第20回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会


日時:平成18年1月23日(月)15:00〜17:00
場所:キャピトル東急ホテル 紅真珠の間(B2F)

出席委員
石井みどり委員、加賀谷淳子委員、加藤尚武委員、加藤陸美委員、河野順吉委員、
菊田信子委員、北村惣一郎委員、坂本雅子委員、笹月健彦委員、澁谷いづみ委員、
新道幸惠委員、高橋清久委員、高橋滋委員、多田羅浩三委員、土屋隆委員、
富永ハ民委員、中村丁次委員、久道茂委員、松田晋哉委員、松本和夫委員、
渡邊昌委員(21名)

厚生労働省出席
(健康局) 中島健康局長、岡島審議官、中島参事官、
矢島生活習慣病対策室長、北地域保健室長、野村保健指導室長

次第
I 開会
II 議題
(1)「医療制度改革大綱」とそれを踏まえた生活習慣病対策の今後のスケジュールについて
(2)「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討委員会」の設置について
(3)平成18年度予算(案)及び平成18年度税制改正について
(4)その他
(1) 健康づくりのための運動指導者の養成及び普及定着方策について
(2) 食育基本法(議員立法)の成立及び食育推進会議について
(3) 食事バランスガイドの普及状況について
(4) たばこ規制枠組条約締約国会議について
III 閉会




 矢島室長
 ただいまから第20回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会を開催させていただきます。
 まず本日の出欠状況ですが、委員定数は25でございます。現在20名の委員の御出席をいただいておりますが、高橋委員はおくれて来るという御連絡をいただいております。委員の出席数は過半数に達しておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 次に配付資料の確認をいたします。
 お手元に、議事次第、座席表、委員名簿のほかに、資料1−1、医療制度改革における生活習慣病対策の推進について。次に1−1の参考がございます。
 次が資料1−2、医療制度改革大綱でございます。
 次が資料1−3、各種計画に係る今後のスケジュールでございます。
 資料2として、標準的な健診・保健指導のあり方に関する検討委員会設置要綱(案)。
 資料3として、平成18年度予算(案)及び平成18年度税制改正。
 資料4−1、健康づくりのための運動指導者の養成及び普及定着方策について。
 資料4−2、食育基本法(議員立法)の成立及び食育推進会議について。
 資料4−3、食事バランスガイドの普及活用状況について。
 資料4−4、たばこ規制枠組条約締約国会議について。
 もし不足、落丁等がございましたら、事務局までお申しつけいただきますようお願いいたします。
 それでは、以後の部会運営につきましては部会長にお願いいたします。よろしくお願い申し上げます。

 久道部会長
 それでは早速議事を進めたいと思います。最初の議題1ですが、医療制度改革大綱とそれを踏まえた生活習慣病対策の今後のスケジュールについて、中島参事官より御説明をお願いしたいと思います。

 富永委員
 委員長、議題に入る前に一言、たばこ問題について発言させていただきます。
 この部会では過去数回にわたり、たばこ問題についていろいろなことを議論し、特に前回の部会でも、たばこ価格を大幅に値上げすることを要望しました。委員を構成されている主団体におきましても同様の要望が出されましたけれども、結果的には1本1円、1箱20円の値上げにとどまってしまいました。これは大変遺憾なことでございまして、このような20円くらいの値上げでは未成年者の喫煙抑止効果も全くありませんし、禁煙の動機づけにもなりません。また、大幅に値上げしますと税収増が期待できますので、それを健康づくり、特に生活習慣病予防対策に充てることもできますが、これもできません。
 たばこ価格は大幅に上げる必要がございまして、昨年12月15日に自民党税制調査会が1本1円という決定をした後で、一部の新聞にも出ておりましたが、小泉首相が、1本10円くらいでもよかったんじゃないかというようなことをつぶやかれたそうでございますが、これは大変妥当な判断でございまして、小泉首相のつぶやきなども考慮して、今後どうすべきかということについて、厚生労働省の今後の取り組みをぜひお聞きしておきたいと思います。

 矢島室長
 今御指摘いただきました件につきましては、資料3のところで、18年度税制改正大綱のところにもそこのところが入っておりますので、できればそのときに御説明させていただければありがたいと思うんですけれども、よろしいでしょうか。

 富永委員
 結構です。

 久道部会長
 それでは、今富永委員から御発言がありました件については、後ほど議題3のところで議論していただきたいと思います。
 それでは議題の1番目、中島参事官より御説明をお願いします。

 中島参事官
 医療制度改革における生活習慣病対策の推進についてということで、資料1−1、1−1の参考、資料1−2、資料1−3について説明を申し上げたいと存じます。
 資料1−1の4ページをお開きいただけますでしょうか。今般の医療制度改革をにらんだ生活習慣病予防のあり方については、本部会でも精力的に御審議いただいたところでございまして、昨年9月に本部会として中間取りまとめをしていただいたということでございます。そこでお示しいただいた考え方を十分踏まえ、厚生労働省としての考え方でございます医療制度構造改革試案というものを昨年10月に取りまとめさせていただき、各界の御意見をいただいてきたということでございます。厚生労働省試案につきましては、前回11月の本部会でも報告を申し上げたところでございます。本日はそれ以降の動きについて報告を申し上げるということでございます。
 2ページに戻っていただけますでしょうか。その後、厚生労働省がまとめました試案というものをたたき台に、各界で御議論いただいて、昨年12月には政府・与党共同で、政府・与党医療改革協議会ということで、医療制度改革大綱というものをまとめたということでございます。基本的には本部会での中間取りまとめ、それを踏まえた厚生労働省試案というところと、生活習慣病対策については軌を一にした考え方のもと、政府・与党の間でも取りまとめをいただいたということでございます。
 改革の基本的な考え方の第1に、安心・信頼の医療の確保と予防の重視ということをはっきり明記しておりまして、具体的には、予防の重視ということで、国民運動を展開していくということ、糖尿病、高血圧症、高脂血症といった生活習慣病予防を国民運動として展開し、運動習慣や食育の推進を含め、バランスのとれた食生活の定着を図る。また、高齢期の健康確保のため8020運動を推進するということでございます。
 具体的な取り組み体制としては、都道府県の健康増進計画の内容を充実し、目標を設定し、普及啓発を積極的に進める。また、健診・保健指導実施率の目標も設定する。そして、生活習慣病予防についての保険者の役割を明確化し、効果的・効率的な健診・保健指導を医療保険者に義務づける。保健指導の効果的な実施を図るため、国において標準的な保健指導プログラムを提示するという形になってございます。
 3ページでございます。がん予防につきましても積極的に進めるべきだと。なお、たばこ税を引き上げるべきとの意見については、税制改正全体の中で議論していくこととするとなっておりまして、これは後ほど報告を申し上げることになると思います。
 医療費適正化の総合的推進ということで、国及び都道府県において医療費適正化計画を作っていくということでございまして、計画の策定のところでございますが、国の責任のもと、国及び都道府県等が協力し、生活習慣病対策や長期入院の是正などの計画的な医療費適正化に取り組む。医療費適正化計画策定の手順・内容は次のとおりということで、国は基本方針を策定する。そこでは、糖尿病等の患者・予備群の減少率に関する政策目標の全国標準を定める。国及び都道府県は、基本方針に則して5年間の医療費適正化計画を策定する。都道府県は、その適正化計画において全国標準に基づき、都道府県における糖尿病等の患者・予備群の減少率や平均在院日数の短縮に関する政策目標を定める。政策目標の実現の効果として達成される医療費の見通しを、国レベル、都道府県レベルで定めるということになっているところでございます。
 こうした基本的な考え方、政府・与党で合意された内容に則しまして、現在、資料1−1の参考というところで、健保法等の一部を改正する法律案の概要というものをお配りしておりますが、こうした形で医療保険関係法等の改正作業を進めているところでございます。内閣法制局の方で審査をいただくとともに、並行して与党との調整も行っている過程でございます。そうした形で法案の準備作業を行い、本通常国会に提出したいと思っているところでございます。
 そうした中で、1−1の1ページでございます、今回の医療制度改革において、生活習慣病対策をどのように推進していくのかということについてまとめたものが1ページの資料でございます。基本的な考え方として、内臓脂肪型肥満に着目した、いわゆるメタボリックシンドロームの概念を導入する。「一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」という考え方のもと、健康づくりの国民運動化を図る。必要度に応じ、効果的な保健指導の徹底を図り、行動変容を促すための網羅的・体系的な保健サービスを展開していくということでございます。
 具体的な取り組みは3つでございます。1つ目が、健診・保健指導の重点化・効率化ということでございます。2つ目が、医療保険者による保健事業の取り組み強化。3つ目が、都道府県の総合調整機能の発揮と都道府県健康増進計画の内容充実ということでございまして、この柱建ては、昨年9月に取りまとめていただいた本部会の中間取りまとめにおける基本的考え方と同じものでございます。
 健診・保健指導の重点化・効率化ということにつきましては、内臓脂肪症候群等の予備群に対する保健指導を徹底するため、健診機会の段階化により予備群の確実な抽出を図る。健診結果を踏まえ、保健指導の必要度に応じた対象者の階層化を図る。動機づけの支援を含めた標準的な保健指導プログラムの策定をしていくということでございます。これについては後ほど、健診・保健指導のあり方についての検討委員会を設置したいということで報告を申し上げる予定としております。
 医療保険者による保健事業の取り組み強化ということで、今般、通常国会に提出を予定しております法案の中で、医療保険者に対し、糖尿病等の予防に着目した健診・保健指導の実施と、そのデータ管理といったものを義務づける方向で検討しているところでございます。
 3つ目、国がプログラムを提示し、医療保険者はハイリスクアプローチを中心とした健診・保健指導をしていただく。市町村においてはポピュレーションアプローチとして、国民運動の展開を積極的に図っていただく。そして、都道府県が中心になって、それら関係者の役割分担を明確にしていくということで、都道府県の総合調整機能の発揮と、県の健康増進計画の内容充実ということでございます。
 そういう中で、少なくとも糖尿病等の有病者・予備群の減少率や、その健診・保健指導の実施率などの具体的な数値目標をきちっと県の健康増進計画に明記していただくという方向で、都道府県の健康増進計画の充実・見直しを図っていただくということで、現在、県の方とも相談して進めているところでございます。このスケジュールについては資料1−3をお開きいただけますでしょうか。今般の医療制度改革では、都道府県ごとに医療費適正化計画をつくっていただく。それと連携をとる形で地域医療計画の見直し、健康増進計画の見直しを県にお願いするということでございます。
 これら3計画のスタートを、今のところ平成20年4月からということでございまして、18、19年度をその準備期間として、20年4月には万全の体制でスタートすべく、国、都道府県、医療保険者等で準備を進めていく必要があるわけでございます。
 健康増進計画については、基本的には一つの理念形としましては、平成20年4月から見直し後の新しい健康増進計画で施策を展開していっていただきたい。その具体的な見直し内容は、医療費適正化計画に関連する部分としては、健診・保健指導の実施率、さらにはアウトカム指標としての糖尿病等の有病者・予備群の減少率といったものを、しっかり計画に目標値を明記していただく。それとあわせて、本部会で取りまとめていただきました、健康日本21の70項目をさらに絞り込んだ21の代表目標項目といったものも各都道府県の計画に共通に目標値を設定していただきたいということで、そのための調査・統計のやり方、さらには目標値の設定のための参酌標準等を国の方で提示していきたいと思っております。
 最終的にはそういうことでございますが、県の健康増進計画は、策定年度、策定期間といったものがまちまちの部分がございますので、少なくとも医療費適正化計画に関連する部分だけについては、平成20年4月から健診・保健指導の実施率、糖尿病等の有病者・予備群の減少率について、しっかり18年度に、国民健康栄養調査に上乗せ調査等していただく形で、各都道府県の実状を把握していただいて、19年度に計画の見直し作業をしていただき、20年からその目標値を盛り込んだ健康増進計画にしていただきたいということを都道府県の方にはお願いしているということでございます。
 今後はこうした形のスケジュールで進めていきたいと思っているところでございます。そうした形で、今般の法改正等々を踏まえ、18、19、そして20年の4月からのスタートということで、医療制度改革、その中の生活習慣病予防の充実に努めてまいりたいと思っております。以上でございます。

 久道部会長
 どうもありがとうございました。ただいまの説明に対して御質問、御意見ございますでしょうか。どうぞ。

 笹月委員
 いわゆる国の戦略的研究、糖尿病の研究というのがございますが、それが今後のスケジュールでは平成18年度からデータ収集・分析と書いてあるのは、これはどういうものを集めるということをお考えなんでしょうか。

 矢島室長
 糖尿病の戦略研究とは別のものでありまして、糖尿病の戦略研究については技術的な手法を開発していただくことになりますが、今回ここでやっていますのは、都道府県の健康増進計画をつくっていただくときに、栄養調査だとか、そういうデータをもとにして、地域で糖尿病だとか肥満の方がどれくらいいらっしゃるのかとか、そういうことをまず把握していただくことが大事だと思っていますので、そういう観点で情報を集めるということをする必要があると考えています。

 久道部会長
 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。それでは、議題2として、標準的な健診・保健指導のあり方に関する検討委員会の設置について、矢島室長より御説明をお願いします。

 矢島室長
 資料2に基づいて説明させていただきます。標準的な健診・保健指導のあり方に関する検討委員会設置要綱(案)でございます。地域保健健康増進栄養部会で9月に中間取りまとめをいただきまして、その後省内でもいろいろ議論がありまして、12月1日に政府・与党医療制度改革協議会において、医療制度改革大綱というものが定められました。この流れを受けまして、ライフステージを通じた健診・保健指導のあり方を踏まえ、新たな健診・保健指導のプログラム等の検討を行うために、本検討委員会を設置して、厚生労働省健康局長が開催するということで行いたいと思っております。
 検討事項でございますが、生活習慣病に関する健診・保健指導に係る事項としまして、標準的な健診プログラム、標準的な保健指導プログラム、健診データ、保健指導データの管理方策、健診・保健指導の委託基準などが考えられます。その他、健診・保健指導の推進に係る事項について検討する検討会というものを設置したいと考えております。以上でございます。

 久道部会長
 この検討委員会の設置要綱(案)、いかがでしょうか。御質問ございますでしょうか。どうぞ。

 橋(清)委員
 新しい健診のあり方というところでぜひ御考慮いただきたいのは、メンタルヘルスという観点からの項目も取り入れていくことが必要だと思いますし、生活習慣病対策の上でもメンタルヘルスというのは欠かせないものだろうと思いますけれども、それに関する言葉今まで余り出ていないので残念に思うんですが、この検討委員会の中にメンタルヘルスに関する専門家を入れていただきたいということと、健診の際に、ストレスとか睡眠とか、メンタルヘルスに関する項目をぜひ入れていただきたいということです。将来的に必ず役立つデータになるだろうと思いますので、そういう可能性があるかどうかお聞きしたいと思います。

 矢島室長
 ライフステージを通じた健診・保健指導ということで、幅広く、母子保健から学校保健まで含めて検討しなければいけないと思っております。一方では、今回の医療制度改革についてもやらなければいけませんので、これについてはまた中で検討させていただきますが、基本的には生涯を通じた健診のあり方についてということも念頭に置いて考えてはいるということでございます。

 橋(清)委員
 ぜひよろしくお願いいたします。

 石井委員
 私も同様のことでございまして、本部会から9月に出された中間取りまとめの中でも記述していただきましたように、歯周病等の口腔疾患と糖尿病あるいは循環器疾患との関連ということが盛り込まれましたので、この検討委員会の中に歯科の専門職を委員として加えていただきたい。また、健診・保健指導プログラム等の中に、口腔疾患との関連というところも項目としてぜひ取り入れていただきたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。

 矢島室長
 先ほどの御返答と同じことになりますが、生涯を通じた健診・保健指導のあり方ということを念頭に置いておりますので、いただきました御意見を踏まえまして、中で検討させていただきたいと思います。

 北村委員
 私どもの施設のある吹田市の市長とこの間話していまして、小学校4年生と中学校2年生に生活習慣病の健診を始めると。この健診は学校健診になるのかと思うんですけれども、そうすると文部科学省担当になって、ここで生涯を通じた健診ということをおっしゃいましたけれども、生活習慣病は学童期の、10%以上が肥満型になっているということを考えたり、聞かされたりしますと、生涯を通じた生活習慣病の健診・保健指導のあり方が重要、その世代の子供たちを含めること、ここに書いてある健診というのは、厚生労働省としては40歳以上ということしかできないのか。学校の健診、文部科学省との連携ワークとか、そういったものの視野はどこまで入っているのかお聞きしたいと思います。

 矢島室長
 すごく大事な点だと認識しております。健康増進法は、母子保健、学校保健、職域保健、老人保健、生涯を通じた健康づくりの観点で健診の指針を作成するように定められております。文部科学省との調整もかなり必要になってくると思いますが、すごく大事な点だと思っていますし、その点についてはなるべく早く予防するという観点も踏まえて、そういうことが大事な要素であると認識しておりますので、御指摘の点も含めてできるような方向で努力していきたいと思っております。

 松本委員
 町村の立場で申し上げたいと思いますが、医療制度改革大綱では保険者が健診・保健指導を徹底するという方針が出されていますが、国民健康保険の保険者である我々市町村としましては、これまでも糖尿病予防などに取り組んできたところでございます。今後も今まで以上にしっかりと生活習慣病予防を行い、住民の健康増進を図っていくことは大変重要でございます。
 また、健診・保健指導は、ただ漫然と実施すればいいのではなく、その内容が効果的なものでなければなりませんが、そのプログラムは市町村を初めとする保険者がそれぞれ考えることは困難であります。国でしっかりしたものを示していただきたいと思います。
 また、保健指導の効果を上げるためにも、こうした保健指導を担うところの保健師並びに管理栄養士の資質向上のための研修など、都道府県が中心となってしっかりと進めていただきたいと思います。お願いでございます。

 矢島室長
 すごく大事な点を御指摘いただいたと思いますので、一所懸命努力させていただきたいと思います。

 澁谷委員
 事務局にお伺いしたいんですが、検討事項の中で、こういったプログラムをつくるということであれば、あらかじめどうやって評価をしていくかということがないといけないと思うんですけれども、評価をする視点をあらかじめ検討項目の中でデザインしておくという視点はあるんでしょうか。

 矢島室長
 今回の医療制度改革の中でも、糖尿病等の患者・予備群を25%減少させることを一つの目標にうたっております。そういう意味ではアウトカムが明確に示されておりますので、そういうことの評価ができるような仕組みにすることが大事ではないかとは思っております。そういうことも含めてこの中で御検討いただければと考えております。

 久道部会長
 設置要綱の説明を割と簡単にしたために、大分いろんな要望、重要な御意見が出たと思うんですが、健康局長のもとに設置される検討委員会だと思いますので、皆さんの意見を踏まえて、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは次に参ります。3番目、平成18年度予算(案)及び平成18年度税制改正について、これも室長よりお願いします。

 矢島室長
 資料3に基づいて説明させていただきます。18年度予算(案)でございますが、健康フロンティア戦略のさらなる推進ということで約1300億円、昨年は1000億円ですからかなりの増額になっておりますが、予算案として計上しております。新たなものとしましては、メタボリックシンドローム、日本語であらわす表現として内臓脂肪症候群と表現させていただきますが、これに着目した健診・保健指導の重点化ということで、準備事業を行うということで2.1億円の予算を計上させていただいております。総合戦略事業費という形で用意させていただきます。若年期からの肥満予防対策ということも重要だと考えておりまして、若年期からの食生活や運動に関する正しい知識の普及啓発、実践的な取り組みを支援するためということで、対象は児童・生徒、そういう意味では、学校保健の方を対象に考えております。新しい予防対策推進費としまして6400万円の予算を考えております。
 2番目が、がん対策の総合的かつ重点的な推進でございます。これも予算が大きく伸びております。がん対策推進アクションプランというものを昨年定めまして、第3次対がん10カ年総合戦略、これも16年度から行っているわけでございますが、これらを踏まえまして、今回新しい流れとしまして、がん医療水準均てん化の促進ということで、地域がん診療拠点病院(仮称)の機能強化ということで13億円計上してございます。全国どこでもがんの標準的な専門医療を受けられるようにということで、がん診療拠点病院において地域格差を是正するため、不足しているがん専門医の育成、かかりつけ医等を含めた診療ネットワークの構築、院内がん登録の推進、患者の療養上の相談、セカンドオピニオン等の紹介などを実施するためのものでございます。
 がん対策情報センター(仮称)の設置、がん診療に関する最新情報を収集し、利用者の立場で整理した情報を提供するとともに、がん対策の企画立案に必要な基礎データの収集・蓄積・分析・発信機能を担うがん対策情報センターを国立がんセンターに設置するものでございます。
 3番目として食育の推進でございますが、国民健康づくり運動を通じた食育の推進ということで6.2億円の予算を用意させていただきます。
 6番目としまして、健康危機管理体制の強化ということで、地域健康危機管理対策事業費というものを新たに設けまして、保健所を中核として健康危機管理体制を構築するための予算も今回新たに用意させていただいているものでございます。
 4ページからは具体的な予算を一覧表にまとめたものでございます。
 8ページをお開きいただきたいと思います。先ほど富永委員から御指摘がございました、たばこ税について、いろんな御議論もいただきました。たばこの価格を引き上げることが未成年者の喫煙防止対策につながるという御指摘もございました。自民党、公明党でもいろいろな議論がございまして、たばこ価格の引き上げについていろいろな議論がございました。その中で、今回は1本1円ということで最終的に税制改正がまとまったわけでございますが、重要だと思いますのは、3番目の検討事項というところをごらんいただきたいと思いますが、大事なので読ませていただきたいと思います。
 「近年、国際条約の発効や国民の健康増進の観点から、たばこ消費を積極的に抑制すべきとの指摘も出てくるなど、たばこをめぐる環境は変化しつつある。このような指摘は、財政物質というたばこの基本的性格にかかわるものであることから、たばこに関するあらゆる健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、たばこ税等のあり方について、必要に応じ、検討する」という検討規程をここにいただくことができたということがございます。これについてはこれからいろんな意味で検討をさせていただく必要があるのではないだろうかと思っているところでございます。以上でございます。

 久道部会長
 どうもありがとうございました。それでは御意見、どうぞ。

 多田羅委員
 たばこに関する御説明を最後にいただきましたが、富永先生からも最初に御質問をいただいております。その点に関して私の方から一言発言させていただきたいと思います。
 この間、この部会などを中心に、まさに国を挙げて国民のたばこ消費を削減する取り組みというものが推進されてきたと思います。国民だれしもたばこの危険、リスクというものについてはかなり認識しているかと思います。しかし、これは国の国民健康栄養調査で見たものですけれども、国の平均は、男は46.8%になっておりますけれども、20〜50歳代、成人病と言われていた、その成人に相当する世代の喫煙率の推移を見ますと、1995年以降ほとんど変化がございません。しかも、2003年で見ますと、20〜50歳代すべての年齢階級において50%を超え、55%前後の喫煙率になっております。これは平成15年の話でございます。かろうじて60代、70代で若干の減少が見られ、これらの年齢階級では30%前後、それでも60代では35%程度の喫煙率でございますけれども、平均として46.8%となっています。これら高齢世代の若干の減少でやや平均としては減少の傾向が見られますけれども、20〜50歳代ではほとんど変化がない。しかも55%、国民の半分以上が吸っている。女性に至っては20〜40歳代で近年増加傾向、20%に達しようとしているという状況でございます。
 つまり、こういう傾向を見ますと、これまでの我が国のたばこ消費に対する取り組みに対しては、この段階で相当踏み込んだ取り組みを行わないと、これまでのやり方を継承し、取り組みをやや強化するということでは不十分ではないかということが言えるのではないかと思います。この点、健康日本21の中間評価作業チームにおいて、喫煙率の数値目標について検討を加えているということも聞いております。しかし、喫煙率の低減という目標を達成するためには、この10年間の我が国の喫煙率の推移から見ますと、具体的に一歩踏み込んだ取り組みが必要であり、その具体的なものとして、たばこの価格や税率という課題に取り組む必要があるのではないか。つまり、たばこの価格や税率を大幅に引き上げるという踏み込んだ施策に取り組む必要があるのではないか。このことがなければ、我が国のたばこ消費の低減、喫煙率の低減というものが達成できないという認識を、本部会でもぜひ御議論いただいて示していただきたいというのが第1点でございます。
 それから、前回私の方から日本たばこ会社に、たばこが健康に対するリスクであるということについて、たばこ会社がどのような根拠のもとにそのような認識を持っているのか、その根拠を示してほしいというお願いをいたしました。それに対してたばこ会社から、彼らが根拠とする文献等のリストを提供いただき、この部会の先生方にもお配りいただいております。この文献リストが提供されたということは非常に重要な我々の議論の根拠になるものでございますので、そういうものも含めて、たばこに対する価格や税率の大幅な引き上げ等を含めて、本部会で集中的に議論する場をぜひ設けていただきたい。
 この2点が私の要望でございます。よろしくお願い申し上げます。

 富永委員
 私も多田羅委員の発言をフォローしたいと思います。喫煙率の低減目標、これはそもそも平成12年の健康日本21の最初の計画を策定しようとしたときに、国会あるいはたばこ業界から相当圧力がかかりまして、不本意ながら喫煙率半減を撤回してしまいました。その後、大分状況が変わりまして、平成14年12月25日のこの部会の答申として、我が国のたばこ消費量を低減するということをはっきりうたっておりますので、ぜひこれは実現しないといけないと思います。
 たばこ規制枠組条約の第6条でも、たばこ消費を抑えるために価格政策も検討せよということが書かれております。喫煙率低減目標の設定というのは、この部会で過去に何回も議論しておりまして、多田羅委員からも御紹介ありましたように、中間評価作業チームでも、喫煙率の低下目標の復活をやりたいと思っております。今作業チームでいろいろ検討しておりますので、いずれ案が固まりましたらこの部会にも御報告いたしたいと思います。
 最後に、税制改正大綱の最後の部分を、大事ですから繰り返して読ませていただきます。「たばこに関するあらゆる健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、たばこ税等のあり方について、必要に応じ、検討する」。こういうことをせっかく書いていただいておりますので、厚生労働省、とりわけこの部会が中心になって、たばこ対策を総合的にどう進めるべきで、税制面ではどうすべきかということを提案すべきだと思いますので、本日は時間もございませんし、いろいろなことを議論しておりますので、いずれ、たばこ問題に集中して議論するような機会を、私もぜひ設けていただきたいと思います。以上です。

 久道部会長
 ほかにございますか。中村委員、どうぞ。

 中村委員
 私どもは生活習慣病対策に積極的に取り組んでいこうと思っております。保健指導に関して、私ども栄養士会は看護協会と協力し、保健師、管理栄養士を中心として保健指導を積極的に進めようと思っております。ところが、最近、たばこを吸っていたのでは、幾ら食生活を改善しても大した効果がないということも言われ始めてきまして、私どもが生活習慣を改善するということは、喫煙を防止するということが第一に必要なのではないかと考えております。
 前回、私の印象では、もっと高い税率が課されるのを期待して、それは生活習慣病対策に回ってくるということを期待したんですが、結果的には1円であって、あれは少子化対策に行ったのではないかという話もあります。もう一度この委員会で、たばこの問題に積極的に取り組んでいって、生活習慣病予防ということを声高らかに言わなければいけないのではないかと考えております。以上でございます。

 久道部会長
 松本委員、どうぞ。

 松本委員
 実は私の町で最近、びっくりするような事例がございました。昨年の暮れなんですが、小学6年生がたばこを吸っているということを聞きまして、教育長に注意、保護者にも注意させたんですが、保護者の方は子供が吸っているのを認めているんです。家で吸ってるんです。びっくりいたしました。こういう事例があるんです。そういうことがあったということを申し上げておきたいと思います。
 また、今まで言われた御意見にも賛同いたしますが、我々の市町村も従来からたばこ対策は推進してきたところでございます。住民の健康増進は市町村にとって大変重要な役割と認識しておりまして、普及啓蒙活動はさらに進めてまいるつもりでございます。そのために、今回の健康日本21の中間評価に際し、かっての策定時に盛り込まれなかった喫煙率低下のための数値目標を設定していただきたい。町村の立場ではそう思っているわけでございます。
 また、たばこ価格が外国に比べて安いことが喫煙率の高い一因にもなっているんじゃないかと思います。たばこ価格の大幅な上昇は、未成年者の喫煙防止につながるだけでなく、喫煙率の低下や税収関係もあるように、地方の財源確保という観点もございます。こうした方法は歓迎できるわけでございますが、先ほど小学6年生の例を申し上げましたが、買いやすい自動販売機があるのが大きな原因で、我々もよく見かけるんですが、未成年者がそれを買っているんです。そういうことで、これを規制ができないかどうか。撤去ができないか。そういうところも検討していただきたいという感じを持っております。
 また、たばこに起因するがんなどの医療費を考えれば、たばこ価格を引き上げ、それによって増加した税収を健康増進施策などに活用していただければありがたいと思っております。本当に大事なことではないかという感じがいたします。

 久道部会長
 同じように財源を扱っている河野委員、いかがですか。

 河野委員
 私のところには生産者から、あるいはたばこ組合から、かなりいろいろな御要望をちょうだいしたことがあります。私たちの市にあっても、財政においてはたばこ税の重要性はあります。そのときに諸先生方から、たばこの恐ろしさ云々ということは言えないでしょうと。だから厚生労働省のお立場では、ぜひ連携をとってくださいと。生産者もいることだし、農林水産省、販売店の関係などはお困りでしょう、このことの連携をとってという、お言葉の中では諸外国に比べてということでありますが、そういったことが税制問題については十分検討してという、この会としては、たばこの危険度、恐ろしさを訴えていっていただかなければいけないだろうと。ぜひお願いしたいと思います。
 そこで私の立場から、発言の機会をいただきましたので、ちょっと申し上げさせてください。私も市長会の立場として、この栄養部会の諸先生方の熱意が厚生労働省の幹部の皆さん方、こういう厳しいときではあるけれども、予算の充実を図っていただいたということに高い評価をいたしたいと思います。本当に御苦労さまでございます。ぜひお願いします。
 そこで、糖尿病の予防だとか、いろいろなことがございますけれども、うちの保健師にいろいろなことを聞いてまいりました。野菜の摂取などは言うに及ばずなんですけど、やっぱり最後は運動不足ではないだろうか。この会としては全く別なのかもしれないけれども、そこを総合的に行政の立場としてはお願いしておかなければいけないのかなと。運動というのは、時間がないとか、疲れ切っているとか、ありふれた言い方なんですけど、運動を定着化していくということを御論議いただいて、いや、もうわかっていることです。ですから、国は国の立場として、市町村は市町村として、運動不足解消、栄養の問題、たばこの問題も実はさせていただいているんですけど、やはり一番はメディアの広告だと思ってるんですね。
 うちの保健師あるいは栄養士などは、市の広報に載せているんですけど、これを見ていただく人たちが少なくなっている。しかし、新聞やテレビの広告というのは非常に効果的なものがあるなという感じですね。ですから、こういったこともエリアに入れて、今後とも御研究いただくように私の立場からお願いしておきたいと思っています。

 久道部会長
 ありがとうございました。突然指名させていただいて失礼いたしました。

 渡邊委員
 たばこ規制については後の方でお話ししようと思っていたのですが、たばこに関連して追加でお話しさせていただきたいと思います。
 前回の会議のときに、フィリップモリスと日本たばこを代表してお二方が見えたわけですが、少なくとも全員の一致点は、未成年者の喫煙は減らそうということでした。そのときに私は自動販売機に関して、たばこには3分の1ないし50%、健康警告表示を載せないといけないということで取り入れられているにもかかわらず、自動販売機においてある見本のたばこには一切そういうことが書いてないということを申し上げました。何百カ所という自動販売機を見ましたが、たばこの見本と入れ替え、それには一つも書いてありません。
 これは厚生労働省ではなくて経済産業省が絡む話とかいろいろなことがあるかと思いますが、この際、たばこがこれだけ国民の健康に密着して被害を起こす可能性が高いということでありますので、財務省が持っているたばこの販売増進に関する法律とか、そういうのをすべて改廃して、たばこに関することはすべて厚生労働省に集めるというような方針で挑んでいただくのが一番効果的ではないかと考えているのですが、そういう方向の御検討というのはされているのでしょうか。

 久道部会長
 たばこに関しては後日集中的にやりたいと思いますので、またそのときにいろいろ御意見を出していただきたいと思います。きょうたばこをやり始めると終わらないので、とりあえずたばこに関しては最後ということで。

 加賀谷委員
 禁煙に関するもう一つ違った観点を考慮していただきたいと思います。それは、一に運動ということで、運動しようということを進めているわけですけれども、喫煙者と非喫煙者の運動中のパラメーターをとりますと、特に筋交感神経活動が喫煙者で非常に高いわけです。ということは、運動中のリスクが高くなるということになりますので、運動を進めるに当たっては、ぜひ禁煙運動を先にしないと、いろんなことが起こりますので、その観点でぜひお願いいたします。

 久道部会長
 いろいろ御意見をいただきました。この点をまとめさせていただきますと、今回の税制改正においては、まずたばこ税の増税幅が非常に小さい。喫煙防止の観点からは余りにも小さい額ではないかという御意見がありました。それから、増税された分が健康増進対策の方にはほとんど使われていないのではないかという遺憾の意が強く出されたのではないかと思います。その中で、喫煙率の低減についての数値目標をぜひ設定するべきではないかという御意見が出されました。この点の具体的な作業は、富永先生が座長をしておられます健康日本21中間評価作業チームで、もう一度詰めていただくということが一つ。
 それから、先ほど室長が朗読し、富永先生も朗読したように、与党・政府税制改正大綱においていろんな検討をしたと。しかし、たばこ税のあり方については、必要に応じ、今後も検討するということになっております。したがって、たばこ対策については、本部会で集中的に審議する機会を設けるべきではないかという御意見が出されたと思います。
 そのほか、運動に関するたばこの影響の問題などもありましたので、こういった意見が強く出されましたので、この部会で機会を設けて、集中的に検討したいと考えておりますが、これは事務局と相談をした上で、どういう形でやるかを決めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それではそのようにさせていただきます。
 次は議題4の(1)、健康づくりのための運動指導者の養成及び普及定着方策についてでございますが、7月に行いました第15回部会でも御説明いただき、今回資料の提供がありました、健康体力づくり事業財団・加藤理事長より説明をお願いしたいと思います。

 加藤(陸)委員
 河野市長からも、加賀谷先生からも、運動についての御発言をいただいたところでございます。私からは資料を配付させていただいております。資料4−1でございます。この資料をベースに御説明申し上げたいと思います。
 健康づくりのための運動指導者の養成でございます。これにつきましては、昭和63年に公衆衛生審議会の答申に基づいて開始されております、第2次国民健康づくり対策におけるマンパワーの養成という位置づけで開始されたものでございます。現在、健康運動指導士1万人、健康運動実践指導者約2万人が活動しているところでございますが、行政改革という大きな流れの中で、厚生労働大臣のお墨つき、省令が今年度いっぱいで一応廃止ということでございます。しかしながら、運動の問題は大切でございまして、しかも、これが実際に実行されるのには、周りの指導、助力は大切でございます。私どもの財団としましては、引き続きこれらの養成事業を実施してまいる所存でございます。
 現在、医療制度改革、関連して生活習慣病予防、あるいは介護予防といった国の重要施策を踏まえながら、運動指導者の量の拡大、質の向上といった、社会の大きな要請にもこたえるべく、運動関係者並びに学識者に委員をお願いしまして、厚生労働省にオブザーバーとして参加していただいておりますが、今年度中に検討結果を取りまとめまして、平成18年度を準備期間としまして、医療制度改革に合わせまして、平成19年度からは新たな制度へ移行できるように進めているところでございます。その検討会における主要な検討項目を1〜5まで挙げさせていただきましたが、この主要点について若干説明させていただきます。
 第1としまして、体育系大学を対象としまして、健康運動指導士の養成を効率的かつ量的な拡大を行うという観点から、体育系大学において健康運動指導士に必要な知識・技術を体系的に習得された人には、直接受験資格をお与えするというような、健康運動指導士養成校制度の導入、そういった者と同等または同等以上と考えられる方が簡便に資格を取得できる方策について検討をしております。
 第2でございますが、健康運動指導士の養成カリキュラムを充実・強化しようとしております。厚生労働省におかれましてはメタボリックシンドロームの考え方を取り入れた生活習慣病対策、介護予防といった国の重要施策に対応した内容を、知識、運動指導の技術の両面から充実しまして、医療関係者と連携して運動指導業務に当たれるような医学的知識等の強化について検討を進め、カリキュラムの充実・強化を図るというのが第2点でございます。
 第3に、受講者の負担を軽減して、受講しやすい環境整備をしよう。具体的に言いますと、各受講者が同じカリキュラムを受講するというのではなくて、例えば保健師、管理栄養士などが運動指導にも当たるべく現在勉強されておりますけれども、それぞれ持っておられる資格に応じて受験科目を一部免除したり、受講資格別に養成講習会をセットするなどによって、運動指導士の資格を取っていただく機会を今よりも増加させる方策を検討しているというのが第3でございます。
 第4でございますが、登録更新という制度がございます。常に最新の科学的知見に基づいた活動を行っていただくために、登録更新という制度を設けております。その際、お受けいただく講習内容の質的充実、経験年数や実務内容に応じた専門研修を設けるなどのシステムについて、具体的な検討を進めております。
 第5でございますが、フィットネス産業界を初め、関係業界等において健康運動指導士などの積極的な活用をお願いするとともに、登録更新時の研修や教育の場としてもその施設を提供していただく、そんな試みも必要ではないかという御意見も承っておりまして、資格のレベルアップ、フォローアップに関する具体的方策についても、関係業界等の御意見を十分伺いながら検討を進めているところでございます。
 以上、要点だけ申し上げましたが、健康づくりのための運動指導者普及定着方策の検討内容でございます。経過報告を申し上げました。先生方には日ごろ御議論をいただいておりますけれども、今後とも御支援をよろしくお願い申し上げまして、御説明を終わらせていただきます。

 久道部会長
 どうもありがとうございました。どなたか御質問ございませんでしょうか。

 渡邊委員
 体育系大学というのは何カ所あって、何人くらい卒業しているのかというのをお聞きしたいのと、もう一つは、総務省は、規制緩和で特定のものが特定の認証資格を出すということにかなり抵抗感を持っているようです。また、文部科学省の認定しているものもありますね、そのあたりとの関係はどのように解決なさるんでしょうか。

 加藤(陸)委員
 後におっしゃった方からお答えしますが、私どもの財団はたまたま文部科学省の認可団体でもございまして、連携はとりやすい立場にございます。ただ、学校制度というのは大変難しい面もございますので、おっしゃいましたような点については十分、事前に調整をしながら進めてまいりたいと思いますが、基本的には、確かに特定のものだけを勧めるというのはなかなか難しい問題があると思います。この辺は、カリキュラムの充実その他、自分のところで実力をつけるような努力をしないと、受講していただく自身を含めて、自分たちで努力して身につけていただき、それを活用するということがベースと心得ております。
 それから、大学の数は相当数あるわけでございますけれども、それが全部一遍に応じていただけるとまでは申し上げませんので、数を今並べるのはあえて差し控えさせていただきますけれども、非常に数多くございますし、現在既に相当数の御希望も承っております。この検討委員会には、その主要なメンバーもお加わりいただいておりますので、十分実効が上がるところまではいけると存じております。

 加賀谷委員
 前向きな検討をしていただきましてありがとうございます。一つお願いがあるんですが、今回のこの検討委員会では指導者養成と同時に、定着というところが極めて重要であると。これまでの運動指導士のあり方から見て、ここが非常に重要だろうということであったと思います。この中の検討項目では多分5番のところでしょうか、どこでしていただくのかわかりませんが、そこを次の重点課題としてぜひ御検討いただきたいと思います。それについては、先ほど議題2のところで、標準的な健診・保健指導のあり方に関する検討委員会が設置されるということで、検討項目の最後に、保健指導の委託基準というものが書かれておりまして、多分こういうところに専門家を生かすシステムをつくるということが入っているのではないかと期待してるんですね。そういうものを含めて、国全体で運動の専門家をどう定着させるかということをぜひ御検討いただきたいと思います。以上です。

 加藤(陸)委員
 ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。今ここで縷々申し上げるのは差し控えさせていただきますけれども、特に定着させていくというところは、実際資格をお取りになった方がどのように世の中で活動していただけるかというところにつながるわけでございますので、大変重要な点であると思います。関係業界の方ともいろいろ打ち合わせもしておりますが、厚生労働省の方でこれから御検討いただく、きょうの議題の(2)でのお話との関連もございますので、オブザーバーとして厚生労働省の方々にも参加いただいておりますので、そういうパイプを通じて十分御指導、連携をとらせていただけるようにいたします。ありがとうございます。厚生労働省の方、よろしくお願いいたします。

 久道部会長
 体育系大学の数は僕も質問したかったんだけど、把握してますか。

 中島参事官
 いわゆる体育系大学というのをどう定義するのかというところがございます。まさに体育大学と銘打っておられるところから、教育学部で体育の先生を養成されているところもある。また、保健学科みたいなところでやっておられるところもあるというので、今後は加藤理事長のところの検討委員会で、まさに養成カリキュラムを現在検討しておられるわけでございまして、健康づくりのための運動指導をしっかり担えるだけのカリキュラムを持っているところというのがまずあって、そこからどのように考えていくのかというプロセスになるのかなと思っております。ただ、御参考までに申し上げますと、いわゆる典型的な体育大学と言われているものがありまして、体育大学協議会というのをつくっておられます。日本体育大学、国士舘大学等々でございますが、その協議会は15の大学で構成されておられるやに聞いておりますが、必ずしもその15だけが、ここで言う体育系大学だという認識ではございませんので、こうしたプロ養成を担っていただくだけの教育環境が整っているかどうかというところから、具体的に指定校というものも決まってくるのかなと、私はオブザーバーとして出させていただいて感じているところでございます。

 久道部会長
 ほかにございませんか。どうぞ。

 松田委員
 運動は大事だと思いますが、健康づくりの中で、職域でTHPというのをやられておりました。健康度を測定する。それに基づいて、必要な人には運動指導を行って、そこに運動指導士が関与していたわけですが、残念ながら過去20年間においてTHPというのは余り広がらなかったというのが実態です。特に運動に関してはそれが余り広がらなかった。そのときに、運動指導者がかなりやめていったりとかいろいろあったわけですが、そこのところをもう一度検証しないといけないのではないか。なぜ運動というものが日本の健康づくりの中に根づかなかったのか。その議論をしておかないと、また同じことを繰り返してしまうんじゃないかと思います。ぜひTHPの検証というのをやっていただきたいなと思います。

 加藤(陸)委員
 ありがとうございます。十分承っておきます。

 久道部会長
 ほかにございませんか。
 それでは議題4の(2)食育基本法の成立及び食育推進会議について、(3)食事バランスガイドの普及活用状況について、(4)たばこ規制枠組条約締約国会議について、これを一括して説明をお願いします。

 矢島室長
 資料4、食育基本法の成立及び食育推進会議について説明させていただきます。昨年7月15日に食育基本法というものが施行されました。法の概要ですが、一人一人が食についての意識を高め、適切な判断を行うことにより健全な食生活を実現し、心身の健康の増進と豊かな人間形成を図ることということでございまして、厚生労働省との施策の関係から申しますと、健康づくり、特に生活習慣病予防の観点がございまして、地域における栄養・食生活に関する知識の普及啓発ですとか、管理栄養士等による栄養指導、食生活改善推進員等のボランティア活動。母子保健の観点では、食を楽しむ機会の提供ですとか、栄養管理に関する知識の普及・情報提供。妊産婦に対する栄養指導、乳幼児を初めとする子供を対象とする発達段階に応じた栄養指導。食品安全の観点からは、食品の安全に関する知識の普及ですとか、適切な情報提供ということが厚生労働省との関係でございます。
 この食育推進会議については、事務局が内閣府に設置されておりまして、食育推進会議、食育推進基本計画検討会が設置されまして、18年3月をめどとして食育推進基本計画が検討されているところでございます。2、3ページが推進会議、基本計画検討会の構成員名簿でございます。4ページが基本計画の作成方針でございますし、5ページからが法律の抜粋でございます。
 引き続き、資料4−3、食事バランスガイドの普及状況についてでございますが、食事バランスガイドについては、民間企業での活用が多く進んでおります。スーパーマーケットやコンビニエンスストアでの活用ですとか、食品メーカーでの活用、その他企業での活用という形で、ここにありますようないろいろな形で活用いただいております。特に私ども、足元からということでございまして、職員食堂でございますが、厚生労働省、農林水産省の職員食堂におきまして、委託給食会社と連携しまして、ポスターですとか、メニューへの表示などを実施しております。自治体、関係団体におきましても、10月の食生活改善普及月間に合わせてポスターや普及啓発のいろんな活動をしていただいておりますし、日本栄養士会におきましては、健康日本21推進フォーラムですとか、民間企業と連携したパンフレットの作成ですとか、そういうことをしていただいておりますし、日本食生活協会におきましても、ポスター8万枚を配布していただいております。具体的には次のページからごらんいただきますような形で、スーパーマーケット、コンビニエンスストアでの取り組み事例ですとか、食品メーカーでの取り組み事例というものをお示ししております。
 次に、資料4−4でございますが、たばこ規制枠組条約締約国会議でございます。平成15年5月のWHO総会でこの条約案が全会一致により採択されました。16年6月に条約が批准されました。17年1月18日、第1回たばこ対策関係省庁連絡会議というものが設置されたところでございます。平成17年2月27日、この時点で条約が発効いたしました。署名が165カ国、批准が116カ国になりました。
 国内の取り組みでございますが、未成年者喫煙防止対策ワーキンググループというものを、内閣府、警察庁、財務省、文部科学省と厚生労働省で設置いたしまして、17年6月から3回の議論が行われました。未成年者への喫煙防止教育ですとか、たばこの入手方法に応じた喫煙防止対策ですとか、喫煙習慣者への禁煙指導等について議論を行ったところでございます。
 締約国会議でございますが、第1回の締約国会議がことしの2月6〜17日までジュネーブで開かれることになっておりまして、主な議題でございますが、第1回の会議ということで、事務局の設置及び機能の確定ですとか、手続規則ですとか、事務的な手続がございますが、そのほかにも、含有物規制の実施に係るガイドラインですとか、広告・販売促進及び後援に関する議定書について議題となるというふうなことで準備を進めているところでございます。
 次のページがたばこ規制枠組条約の概要でございます。以上でございます。

 久道部会長
 3つの議題を一括して説明いただきました。何か皆さんから御質問なり御意見ございませんか。
 私から質問なんですが、国会を含めて、各省庁の建物は喫煙はどうなってますか。分煙だとか禁煙状況は。

 矢島室長
 基本的に分煙が進んでいると認識しておりますが、既存の調査等を確認の上報告させていただきます。

 久道部会長
 厚生労働省の建物はどうですか。食堂なんかは……

 矢島室長
 基本的に1カ所で喫煙する場所が制限されておりますので、喫煙できる場所以外では喫煙できないということになっております。

 久道部会長
 ほかに何か御意見ないでしょうか。どうぞ。

 富永委員
 厚生労働省が入っている合同庁舎ですけど、たばこを吸える場所はありますけど、B1の食堂などへ行きましたらたくさんたばこを吸っておりまして、先日入ろうと思ったら、灰皿もあり、たばこを吸ってる人がいましたからパスしましたけど、厚生労働省が入った建物から率先して、建物内完全禁煙、できれば敷地内禁煙までいっていただければいいんじゃないかと思っております。

 久道部会長
 それを決めるのはだれですか。

 矢島室長
 それも含めて、確認させていただきたいと思います。

 久道部会長
 ほかにございませんか。どうぞ。

 渡邊委員
 食育基本法の絡みなのですが、いろいろ聞いていますと、やはり主役を担うのが栄養教諭になっていくと思うのですね。現実には栄養教諭は10人、20人というような単位でしか採用されておりませんし、既存の学校栄養士を再教育して栄養教諭に上げていくという話も聞いておりますが、一方では、平成18年度から栄養教諭の課程を組んでいる栄養士養成校もかなりあるということでありまして、この部分は文部科学省と総合的に、卒後教育も含めて考えないといけないと思っています。そのあたりの進行状況はどのようになっておりますでしょうか。

 矢島室長
 そういうことも含めて、先ほどの食育基本計画のところで、文部科学省も入って、食育基本法を推進する上でのいろんな連携をさせていただいておりますので、どのような形でこれを推進していくのかという観点だと思いますので、そこはまたよく内閣府を中心に意見調整をさせていただいているところでございますので、ただいまの御意見があったということも伝えさせていただきたいと思います。

 久道部会長
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

 石井委員
 食育基本法に関して、内閣府ということだったからかわかりませんが、ほとんどこういうところに医療の専門家がかかわっていなくて、現実に学校で取り組むときに、相当いろんなところから私どもへの御依頼がありまして、いい生活習慣を身につけるというところで、食事の内容だけでなくて、食べ方も非常に重要で、発達期においては口腔機能のとらえ方をきちんとしませんと、給食のところで非常に問題が起こったりしているわけです。本日の資料の中の予算のところを見ても、食育の推進というところもあるんですが、若年期からの肥満予防対策なんて、食べ方というところに着目すると、極めてチープな、予算もそんなにかからなくてきちんとできる、私ども学校歯科医会というところがあって、そこと文部科学省ときちんと連携してやっているんですが、少なくとも、本年3月に基本計画が出るということですが、保健とか医療の視点でもう少しここにかかわるべきではないかなという気がしているんですが、全くその視点が欠落しているんじゃないかという気がするんですが、そのあたりを厚生労働省の方から働きかけていただくことはできるんでしょうか。

 矢島室長
 委員の中に医者もおりますし、そういう意味では、そういう観点も多少加味しているつもりではございますが、そのような御意見があったということは伝えさせていただきます。

 多田羅委員
 たばこの価格にこだわって申しわけないんですけど、今回相当我々からも要望したにもかかわらず、結果として1本1円、1箱20円という、ミニマムつき合っていただいたという感じなんですけれども、この1円ということに決定した根拠といいますか、経過などは何か把握されているんでしょうか。もうこれでやったということなのか、おつき合いなのか。

 矢島室長
 税制改正大綱の中に検討規程を設けていただいたということがございますので、たばこ税のあり方等について必要に応じ、検討するということでございますので……

 多田羅委員
 検討結果として1円とはいえ出てきた数字であるという理解でいいんでしょうか。

 矢島室長
 ということではなくて、これはこれから引き続き検討をするというふうに理解しております。

 多田羅委員
 じゃあ、この1円というのは検討の結果ではないんですか。

 矢島室長
 そこまではよくわかりませんが。

 多田羅委員
 じゃあこれからということで、踏み込んだ議論が可能という、結果がこうなったんだということじゃなくて、これから検討可能だと。

 矢島室長
 これから検討するという記載だと認識しております。

 多田羅委員
 そうすると、我々が検討するということについて了承を得ているというか、立場があるということですね。

 矢島室長
 検討事項として書いてあるということではあります。

 多田羅委員
 わかりました。

 石井委員
 たばこ対策に関してですが、先ほど小学6年生ということで相当びっくりしたという御意見がありましたが、実態は、初発年齢はどんどん低年齢化しておりまして、そういうケースはほとんど両親がスモーカーなんですね。ある地域でそういうデータが出ています。といいますのは、私どもは口腔を診ますので、歯科検診のときに少し疑いがあるような方は、本人を傷つけないような形で担任とも連携をとってかかわっている。そういう方は口の中を診たらわかってくるんですね。そういうところでデータもつながってくるんですけども、一番大事なことは未成年者対策でありまして、この部会で集中的に別途議論をしていただく機会をぜひつくっていただきたい。先ほど成人のデータが出ましたけど、成人に関してはほとんどあきらめている状態で、大事なことはこれから喫煙者をつくっていかない、防煙のところが一番大事だと思いますので、ぜひそこは今後議論の場をお願いしたいと思います。

 久道部会長
 たばこはもう一度集中的にやりますので、満を持して、そのときにはぜひ発言をしていただきたいと思います。

 渡邊委員
 資料3の予算のところでありますが、4ページの一番下に、管理栄養士国家試験費という項目が出ておりますけれども、17年度予算額は9億円あったのが、18年度は4700万となっておりますが、これはこの額でよろしいのですか。

 矢島室長
 具体的には、事項の整理の関係でこのような数字になったというだけでございますので、基本的には変わってないという考え方です。

 久道部会長
 ほかにございませんか。どうぞ。

 坂本委員
 2つほどお尋ねしたいんですけれども、一つは先ほどの食育基本法ですが、事務局は内閣府ということですけれども、県や市町村の事務局はどういう担当のところがなっておられるのかということをお尋ねしたいと思います。
 それともう一つは、運動に関してのガイドが出されたんじゃないかと思うんですが、きょう御報告があると思っておりましたけれども、運動に関しての検討はどういうふうになっているということをお尋ねします。

 矢島室長
 県によって実状が違うみたいですが、健康部局がやったり、農林部局がやったりということで、これは県の御事情によって管轄するところが違うと聞いております。

 中島参事官
 運動の検討ですが、幾つか新聞等に出ておりましたが、あれは決して最終報告という形で出たわけではございませんので、運動所要量、運動指針に関する検討会というものをやらせていただいております。運動については現在2つの方向でやっておりまして、一つがエビデンスがどうなっているのか。生活習慣病予防に必要な運動所要量というのはどの程度なのか。それに基づいて国民の方が気軽に運動するにはどうしたガイドラインが必要なのかという検討会。もう一つが、そうしたものを踏まえて、どのような指導者が必要なのかということで、先ほど加藤理事長から御説明いただいた検討会がございます。
 前者の方については、運動所要量、運動指針の検討会を開催させていただきまして、運動所要量の検討についてはほぼ大詰めを迎えつつありますので、それについて過去の文献レビュー等の結果をもとに、こういう方向で今後まとめていきたいという御報告があった。
 それを踏まえた運動指針については、こういうようなことを盛り込んで今後作っていきたいんだということについての中間報告があったということでございまして、運動所要量については改めて委員会としておまとめいただき次第、それを踏まえて運動指針についても今後委員会でおまとめいただき、この部会でも報告申し上げたいと思っているところでございます。

 久道部会長
 それではよろしいでしょうか。きょうは時間が少々余りましたけれども、これで本日の議事を終了したいと思います。事務局から今後のスケジュール等についてお願いします。

 矢島室長
 今後の日程につきましては、詳細が決まり次第御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 久道部会長
 きょうはこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
(終了)

問合せ先
健康局総務課生活習慣病対策室
調査総務係 主藤・松浦
電話  03−5253−1111
 内線2346・2342

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