第5回運用委員会準備会合議事要旨


1.日時平成18年1月20日(金)14:00〜16:10
2.場所厚生労働省共用第7会議室
3.参加者 ・堀内委員長 ・宇野委員 ・鹿毛委員 ・小峰委員 ・島上委員
・中名生委員 ・引馬委員 ・本多委員 ・米澤委員 ・若杉委員

4.議事要旨(○は委員、●は事務局)


議事 中期計画等について
≪事務局より説明。以下、質疑等≫


 民間企業の経営に影響を与えないということと、議決権行使などを行うということは矛盾するのではないか。
 コーポレート・ガバナンスの目的は、全面的に経営を委ねた経営者から、株主利益を重視した経営を引き出すために、経営者がそのような経営を行いやすいような環境を作ることであり、経営の内容に口出しすることとは全く異なる。コーポレート・ガバナンスは、株主総会で取締役を選任できる特権を持つ株主の責任である。管理運用法人も、世界最大の年金ファンドとして、お手本を示す意味からも、コーポレート・ガバナンスの重要性を認識し何らかの形で実践していることを明示すべきである。
 コーポレート・ガバナンスの明確な定義がなく多義的に使われる可能性がある。年金積立金の運用の基本方針にある「株主利益最大化」とした方が誤解はない。
 確かに、コーポレート・ガバナンスはさまざまな意味で用いられているが、少なくとも年金資産運用の世界では、「年金ガバナンス」という言葉が定着しているように、経営者から株主重視の経営を引き出す株主の行動ということで世界的に共通の理解ができており、世界の先進的な年金資金は積極的に実践している。
 この案は議決権行使について触れているので、その意味ではコーポレート・ガバナンスを認識していることを明示しているが、議決権行使は株主のコーポレート・ガバナンス活動の一つの手段に過ぎない。議決権行使等を含めたさまざまなガバナンス活動を通じてポートフォリオ価値を高めることが重要なので、コーポレート・ガバナンスという言葉を明記し、広く解釈できる表現にしたほうが良い。
 企業にコーポレート・ガバナンスをしっかりして経営するよう株主が求めることは当然だが、公的資金がコーポレート・ガバナンスについてどういう内容の働きかけをするのかということを十分議論しなければ、結局企業経営に入り込むことになってしまう。コーポレート・ガバナンスという表現にこだわらなくても、最終的に長期的な観点から株主等の利益を目指すということに収斂される。
 新法人として、議決権行使によってどのような形の影響を与えることが望ましいのかが重要である。現行の基金の取組み方は適正であると思う。今後現状より踏み込んで議決権行使を行うなら、今の基本方針の表現では制約になるかもしれない。
 新法人が直接議決権行使をしないことに変わりはないと思うが、運用受託機関のガイドラインを見る限り、議決権行使の基準はコーポレート・ガバナンスを考慮した内容になっている。
 新法人が運用受託機関の行動をモニターすることが必要であり、その対象範囲として、議決権行使を含めた株主権行使としておけばよい。
 モニターだけでなく、運用受託機関の報告についてディスカッションすることが必要。
 全額自主運用開始に際し、今のような議決権行使のルールを定めたが、その後、日本企業のコーポレート・ガバナンスに大きな進展がないことを考慮すると、管理運用法人は、ガバナンスのガイドラインを示すなど、もう少し積極的な行動を取るべきであり、基本方針にもそのことを明記すべきである。
 現状の基金の議決権行使状況については、受託運用機関とのミーティングを行い意見交換し、個別事例についてどのように判断したのかを確認している。基金設立当時は行使しない運用機関も見られたが、現在では概ね専任担当者もおいて行使していただいているし、議決権行使以外にもIR活動を通して会社側へ意見表明をすることもあると聞いている。運用機関における取組みは変わったと考える。
 中期計画について、受託者責任の記述の仕方、専門性の向上のための人材強化という視点、リスク管理について受託運用機関と新法人の分担、情報開示と市場への影響との関係等について、もう少し検討の余地があるのではないか。
 今回の議論を踏まえ、中期計画案について次回引続き議論することとしたい。


≪事務局から、次回以降の日程について説明≫
  次回は、別途調整することとしたい。



〈照会先〉 年金局総務課 企画調査係
TEL 5253-1111(内線3358)

トップへ