05/12/27 児童自立支援施設のあり方に関する研究会第6回議事録 第6回 児童自立支援施設のあり方に関する研究会 議事録 日時:2005年12月27日(火)15:00〜17:30 場所:厚生労働省 専用第16会議室(13階) 出席者:  委員   津崎座長、岩田委員、小木曽委員、野田委員   服部委員、藤岡委員、山内委員、吉岡委員  事務局   北井雇用均等・児童家庭局長、白石審議官、清川家庭福祉課長   山本虐待防止対策室長、相澤総務課長補佐、佐藤児童福祉専門官   芝海家庭福祉課措置費係長 議事:  1. 開会  2. 議題    (1)児童自立支援施設のあり方に関するまとめ    (2)その他  3. 閉会 配布資料:  ○児童自立支援施設のあり方に関する研究会 第6回議事次第  ○座席表  ○資料 「児童自立支援施設のあり方に関する研究会」における      検討課題に対する考え方について(案)  (参考) 「児童自立支援施設のあり方に関する研究会」検討課題 ○芝海家庭福祉課係長  定刻となりましたので、ただ今から第6回児童自立支援施設のあり方に関する研究会 を開催させていただきます。本日はご多忙のところ研究会にご参集いただきまして、誠 にありがとうございます。  本日の委員の出席状況のご報告ですけれども、本日の研究会は8名の出席となってお ります。瀬戸委員は欠席と伺っております。  それでは、議事に入りたいと思います。津崎座長、よろしくお願いします。 ○津崎座長  それでは、まず初めに本日の資料の確認および内容の説明を事務局からお願いします。 ○芝海家庭福祉課係長  それでは、資料の確認をさせていただきます。上から順番に、「第6回議事次第」、「座 席表」、「配付資料一覧」、それから資料として「「児童自立支援施設のあり方に関する研 究会」における検討課題に対する考え方について(案)」です。最後に、参考として「「児 童自立支援施設のあり方に関する研究会」検討課題」となっております。  お手元に以上の資料がない場合には、お知らせください。 ○津崎座長  それでは、佐藤児童福祉専門官から資料の説明をいただくということですので、よろ しくお願いします。 ○佐藤児童福祉専門官  それでは、資料の説明をします。本年7月29日に当研究会が設置されてから、これ まで5回の研究会が開催されました。当初の検討課題については、一応すべて議論をし ていただいたということですけれども、お手元の資料は検討課題の議論内容について議 事録を基にまとめさせていただいたものです。  大きく分けて三つの項目にまとめております。一つは「自立支援機能の充実・強化に ついて」、それが5ページの中段まで続きます。二つ目が「施設の運営体制について」、 これが8ページの下段まで。三つ目が「関係機関等との連携について」ということです。  用語の使い方などについては、今回統一せずに書かせてもらっております。本日の議 論の後、整理させていただきますのでご容赦願います。  それでは、1ページ目から簡単に説明したいと思います。まず、「自立支援機能の充実・ 強化について」の(1)「援助技術・援助方法について」、一つ目の○「生活指導の基本的 なあり方」、黒ポチのところになります。家庭的で福祉的なアプローチにより育てるとい う役割が重要であって、従来の生活型・暮らし型の支援基盤をさらに強化することが必 要。  黒ポチの二つ目、生活指導においては、一人ひとりの子どもに向き合い関係性を育む なかで愛着関係を形成し成長・発達、立ち直りを支援していくことが重要。  二つ目の○「特別なケアを要する児童への支援・援助のあり方」の黒ポチの一つ目、 発達障害等を有する児童は、個々の特性に応じたきめ細かい支援が必要。児童自立支援 施設が実践してきた枠のある生活と規律ある生活指導が効果的である場合が多く、施設 のこれまでの支援内容を踏まえつつ、枠の作り方や行動の修正の方法を積み上げていく ことが必要である。  黒ポチの二つ目、発達障害等を有する児童の支援は、医療機関との連携を図りつつ、 医療・心理・福祉・教育のスタッフが情報を共有化し、連携することが必要である。心 理療法を担当する職員は、施設全体の児童の関係性をみる職員と個人療法を個別に行う 職員の両者を配置することが望まれる。  黒ポチの三つ目、国は、発達障害等を有する子どもの支援を効果的に行うための研究 あるいは先駆的な取組事例の収集、提供を行うことが必要。  三つ目の○「個別的な指導が必要となった場合の支援・援助のあり方」というところ では、集団生活の不調等から子ども自身がクールダウンでき、より効果的な支援ができ る個別寮(観察寮)の設置が望まれる。この個別寮は、緊急一時保護にも対応できる設備 となり得る。  ○「親支援・家族支援のあり方」、発達障害や虐待等のケースの場合、親と親子関係を 治療の対象としなければならないケースが多く、平行治療を行うことが必要。  黒ポチの二つ目、親支援、家族支援を行うには、親へのアプローチは児童相談所が行 い、具体的な親子へのかかわりの仕方は、児童自立支援施設の子どもの生活の場で提供 するなど、児童相談所と充分な連携を取ることが必要。  それから3ページになりますけれども、○「自立支援計画のあり方」では、自立支援 計画は、児童相談所から提供されるアセスメント情報等を有効に活用する。計画の実施 やモニタリング、評価は児童相談所等関係者との連携を図ることが必要。  ○「学習指導のあり方」では、学習指導は、個別の学習プログラム・教育計画を立て て、個別支援を充実する必要がある。教員は子どもの特性・個別性を理解した学習プロ グラムを作成する力が求められる。  黒ポチの二つ目、発達障害等に対応できる特別支援もしくは特殊教育の経験ある教員 の配置が望まれる。  黒ポチの三つ目では、平成9年の法改正で学校教育を行うことになったが、導入状況 を踏まえた今後のあり方について検討することが必要。県レベルの福祉部局と教育委員 会との連携、特に人事交流も含めた連携のあり方について検討する必要があるというこ とです。  それから下の○「被害者の視点を取り入れた教育のあり方」、ここでは、被害者の視点 を取り入れた教育についても、より積極的に進めていく必要があるが、生活全般を見直 す取り組み一般のなかで行うことが必要。実施に際しては、子どもの成長や発達段階に 十分配慮して行うことが重要である。  4ページになります。○「武蔵野学院の機能の充実・強化のあり方」、武蔵野学院は、 自立支援事業全般のノウハウ・研究においてさらに充実すべきで、施設長や児童自立支 援専門員等に対する研修について、強化を図ることが必要。さらに、自立支援事業に関 する情報発信センターとしての機能と、大学等の教育機関や地域との連携を積極的に行 う必要があるということ。  黒ポチの二つ目は、児童自立支援専門員養成所の試験実施時期や試験科目について検 討することが必要。それから、養成所を卒業した後の進路が児童福祉現場に直結してい くよう全国の児童自立支援施設との連携を深める取組などが必要ということです。  それから(2)「施設機能の拡充・強化について」。一つ目の○が、「リービングケア・ア フターケア機能のあり方」ということで、リービングケアやアフターケアについて、高 齢児寮や自活寮など、新たな体制を作ることが必要。  黒ポチの二つ目では、民生委員を活用するなど、施設退所後に地域で子ども達を見守 る仕組みを具体的に作ることが望まれる。  それから、○「短期入所機能・通所機能・相談機能のあり方」では、次の5ページに なりますが、より短期の入所により効果があがる児童も考えられる。通所機能について は、アフターケアの一環として効果的な場合が考えられるが地理的に遠いという問題も あるということ。それから、児童家庭支援センターを附置することによって、非行相談 等への対応も期待できる。ただし、これらの機能については、施設の本来の機能を十分 に果たせる体制整備を図った上で、機能を附加することによって、総合的に対応できる センターとなることが望まれる、とあります。  2は「施設の運営体制について」です。  (1)「施設長・児童自立支援専門員等の資格要件と人事システムについて」の一つ目の ○「施設長の資格要件・人事システムのあり方」ですが、施設長の人事については、地 方自治体は、一定程度の期間の配置や児童自立支援施設等の児童福祉関係経験者の配置 などに配慮することが必要。国においても地方自治体に対して、指針を示す等により必 要な助言・指導を行うことが必要。  黒ポチの二つ目、国は、児童福祉施設最低基準第81条第2号に児童相談所の児童福 祉関係経験者を加えて専門性を確保することが必要。  6ページは、○「児童自立支援専門員等の資格要件・人事システムのあり方」です。 児童生活支援員の資質の向上や待遇の改善について、児童自立支援専門員資格の取得に 向けた支援等を行っていくことが必要。  黒ポチの三つ目、児童自立支援専門員等の人事は、地方自治体については、一定程度 の期間の配置や児童福祉関係経験者又は自立支援事業に熱意のある者の配置などに配慮 をすることが必要。国においても地方自治体に対して、指針を示す等により必要な助言・ 指導を行うことが必要としております。  それから、(2)「寮舎の運営形態について」です。  ○「夫婦小舎制の維持・充実・強化のあり方」、黒ポチの一つ目ですが、家庭的な形 態の夫婦小舎制の維持・強化を図っていくことが重要。そのため、国は、幅広い人材を 対象とした養成や夫婦小舎制における好事例のとりまとめなどにより、夫婦小舎制の人 材確保や職員の養成を強化することが必要。地方自治体は、夫婦小舎制同士の施設にお いて、地方自治体の枠を越えた人事交流の仕組みを作ることが望まれるということです。  7ページの最初の黒ポチですが、国は、専門里親が寮舎を受け持つ形態での寮運営の 仕組みを検討することが必要、となっています。  それから、○「交替制寮舎の充実・強化のあり方」では、夫婦制から交替制へ移行す る施設が増えているが、交替制に移行する際は、児童集団の構成・適正規模や居室等の 生活環境に配慮することが重要であり、併せて職員体制を整備することも必要。  黒ポチの二つ目、職員の育成は、「仕事の場を通じて」行うことが有効だということ。  黒ポチの三つ目、国は、交替制への移行の参考となるよう好事例を収集し、情報提供 することが必要。あるいは子どもへの支援についても、参考となる好事例を集めて提供 することが必要ということです。  続いて、(3)の「設置運営主体について」ですけれども、これは、公設民営化の議論で す。これについては、委員の方からどのような意見があったかについて書かせていただ いております。  まず黒ポチの一つ目は、基本的な理念と言うか、考え方。児童に対する適切な対応を 図っていくためには、施設運営の安定性・継続性の確保が不可欠である。民営化により、 児童自立支援施設は、地域社会の企業やNPOと協力し、運営諮問委員会をつくるなど により、効果的な施設運営を図ることができ、また、ボランティアや地域の積極的な活 用により、児童の社会性の向上や施設の活性化にも有効と考えられるとの意見が一部の 委員からなされた。一方、非行児童に対する公の責任の観点、退所児童のアフターケア、 学校教育の円滑な導入、職員の身分の安定、他の福祉施策や関係機関との連携等の観点 から、都道府県の公設公営原則は維持することが必要であるとの意見が多数の委員から なされた。  次の黒ポチですけれども、伝統的に民営で事業を行っている施設は、さまざまな実践 により、児童への効果的な支援が図られているが、民営で事業を行うには、きちんとし た運営理念を立てること、それから、財政的な確保がなされることが必要である。  最後の黒ポチになりますけれども、仮に民営化を認めるとしても非行へのスタンス、 公としての責任・対応、児童自立支援施設の役割、民営化する場合に施設機能を維持・ 強化する仕組みがあるのか、民間と共同する場合にはどのような仕組みがあるのか、こ れらをきちんと検討することが必要ということです。  それから、3「関係機関等との連携について」の(1)「児童相談所との連携について」、 児童相談所と連携を図ることは極めて重要。連携を図って、入所の円滑化、親への関わ り方、社会復帰後のアフターケアの充実を図っていくことが必要である。  最後の9ページになりますけれども、(2)「学校等教育機関等・少年院等との連携につ いて」ということで、黒ポチの一つ目、学校教育の導入の推進や教育内容の充実を図る には、県レベルでの福祉部局と教育委員会との連携、特に研修や人事交流も含めた連携 のあり方について検討することが必要。  黒ポチの二つ目、医療と福祉との連携、学校と福祉との連携などさまざまなケース検 討会議を積み重ね、連携のあり方を検討し、国は、連携の好事例等を全国へ発信してい くことが必要。  黒ポチの三つ目になります。国は、児童自立支援施設と少年院相互において、それぞ れの支援方法や連携のあり方について、情報交換を進めていくことが必要。  最後の黒ポチになりますが、児童養護施設の地域小規模児童養護施設や自立援助ホー ムを活用するなど新しい連携の仕組みを検討していくことが必要。また、関係機関の連 携に加え、大学や地域との繋がりを強化し、マンパワーや知識の活用を検討していく必 要があるということです。  ご意見をいただいた中で、このまとめに落ちている点もあるかと思います。これにつ いては、議論の中で補足していただきたいと思います。以上です。 ○津崎座長  ただ今、事務局から説明がありました資料、「「児童自立支援施設のあり方に関する研 究会」における検討課題に対する考え方について (案)」、ということを基にして、報告 書の取りまとめに向けた議論をお願いしたいと思います。それぞれの項目について、順 にご意見をお伺いしたいと思います。  まず、1「自立支援機能の充実・強化について」の内、(1)「援助技術・援助方法につ いて」の部分についてのご意見・ご質問等をお伺いしたいと思いますので、よろしくお 願いします。  ページ数で言いますと、4ページの半ばまでです。(1)「援助技術・援助方法について」 の部分でのご意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○野田委員  確認なのですけれども、全体の流れの中で、今の範囲の二つ目の○には「特別なケア を要する」という表記がありまして、三つ目の○には「個別的な指導が必要となった場 合」とある。これは何らかの事情を対象の子どもに対して課していると思うのですが、 そこの位置関係がどうなっているのかというところを1点知りたいです。質問の趣旨は、 学習指導の所には個別の学習プログラムをかなり明確に作れと書いてあるのですが、そ の前提として、児童自立支援施設の子ども全体に対する支援計画で、個別にきちんと見 きれているかというところが弱いのではないかということが、この間の議論でも相当出 てきたのではないかと思うのです。そこのところをきちんとしたい。  自立支援計画のあり方のところには若干触れていただいているのですが、せっかく先 般作っていただいた「子ども自立支援計画のガイドライン」等々もありますので、その 辺りも読み込んだ上で、もう少し個別の、少年院で言えば個別処遇計画のようなものを クリアにして、それに基づいて、集団ベースでやる、あるいは特別な配慮が要る、ある いは時と場合によって個別処遇が要るという構造になると思うものですから、これとの 整合性が、私が今言ったようなことと合っているのかずれているのかが読み取れなかっ たので、よろしくお願いします。 ○清川家庭福祉課長  お答えします。整理した考え方としては、最初の生活指導の基本的なあり方というの は、基本的な生活指導方針。その次に、例えば発達障害等を有する児童に対しての、特 別なケアを要する児童というカテゴリーと言いますか、そういった児童に対する支援・ 援助のあり方というのを、二つ目は考えております。三つ目は、そういった児童のタイ プと言うか、それよりも、各児童が、その時どきで調子が良くなったり悪くなったりと、 そういう児童の時どきの動きに応じて、特に一時期不調になったような場合には対応す ることが必要であるという観点から、ここは一人一人を見ると言うよりも、同じ一人の 児童がその時どきによって調子が悪くなったような場合に必要な施策ということで、整 理して書かせていただきました。 ○野田委員  ありがとうございます。よくわかりました。その辺で言うと、「親支援・家族支援」の 所は、発達障害・虐待という位置付けかと思うのですが、「特別なケア」の所には発達障 害「等」とある。行政用語の「等」というのは、非常にいろいろなものを含むことは承 知しておりますけれども、少しこの辺りのところも。 ○佐藤児童福祉専門官  ここは、今、野田委員からご指摘のあった通り、発達障害等の「等」は、まさに最近 の傾向である被虐待児も文言として入れなくてはいけない箇所だと思います。 ○津崎座長  他には、ご意見ありませんでしょうか。はい、どうぞ。 ○岩田委員  「親支援・家族支援のあり方」の所で、「発達障害や虐待等のケースの場合」と書いて あるのですけれども、これは、別にこれだけに限ることなく非行のケースであっても当 然親支援・家族支援の問題が出るのだろうと思うのです。ただ、その場合は、「治療」と いう概念ではなくなるのかなと。そこも含めて、非行の問題についても、こういう観点 を入れる必要があるのではないかと思います。 ○津崎座長  今のご指摘のように、「治療」というのは、福祉現場ではあまり使わないのです。医療 現場では治療ということなのですが、虐待ケースも含めて福祉現場で支援していくとな ると、「調整」とか「支援」とか「指導」とか、そういう言葉の方が一般的ではあるよう に思います。  他にいかがでしょうか。 ○服部委員  何点かあるのですが。小さな単位の節がありますが、その順番でいくのか、それとも (1)の「援助技術・援助方法について」の範囲で意見を述べてもよいのでしょうか。 ○津崎座長  やはり順番に沿ってご意見をいただく方がわかりやすいと思います。 ○服部委員  わかりました。まず、「枠のある生活と規律ある生活指導」という表現ですが、私の理 解では、規則的な生活の中に少年を帰してやるという意味だと思うのです。枠とか規律 とかいうことが、あまり強調されるのはどうかと思います。入り口において、発達障害 等の問題を抱えている児童について、そういうものが有効だというのはわかるのですが、 本質的に重要なことは、子どもを受容して、情緒の混乱や、不安や怒りを解いていく、 心身を癒していくというアプローチだと思うのです。社会に戻って、枠のない所で生活 をさせたときに、うまくいかないということではいけないので、その枠・規律というこ とと、児童自立支援施設における本質的な援助のあり方というものとの関係を確認して おく必要があるのではないかというのが、まず一つです。  それから、次の「心理療法を担当する職員については、施設全体の児童の関係性をみ る職員と個人療法を個別に行う職員の両方を配置することが望まれる」という部分で、 私も心理職の複数配置ということについては賛成なのですが、施設全体の児童の関係性 をみるという視点、それに加えて他機関との連携・調整を図るという視点は、心理療法 というよりも、前回出ましたソーシャルワークという視点に立つものであって、そうい う観点を加えることの方に意味があるのではないかと思います。  それから、その次の「個別的な指導が必要となった場合の支援・援助のあり方」で、 緊急一時保護という言葉がありますが、これは、児童相談所からの一時保護委託と混同 しないために、はっきりと児童自立支援施設における処遇の過程で必要とされるという、 限定と言うか、性格付けが必要だと思います。  それから、先程出た「親支援・家族支援のあり方」ですが、私も「治療」というのは、 一つの方法ではあると思うのです。しかし、それに限定はされないので、もう少し、治 療を含めた働きかけとか支援とかいう表現が適切だろうと思います。  それと、「被害者の視点を取り入れた教育のあり方」の部分で、「被害者の視点を取り 入れた教育についても、より積極的に進めていく必要がある」とありますが、これはケ ースバイケースだろうと思います。加害者性を受け止めることができる年齢、発達段階 はやはりあると思うのです。まず必要なことは、少年の被害者性をしっかり受け止めて いくということで、加害者性への気付きというのは、もう少し発達を待つと言うか、時 間が必要なのではないかと思います。もちろん、ケースによっては被害者の視点を取り 入れた教育というものが必要になることもあるのでしょうけれども、一般的な指針とし て、より積極的に進めていくということについては、戸惑いと言うか、躊躇があります。  あと、細かいことはありますが、主だったところは以上です。 ○津崎座長  かなり具体的にポイントを踏まえた提起をいただいたわけですが、今の提起に関して、 何かご意見がありませんでしょうか。 ○野田委員  登場回数が多くてすみません。一つは「枠」の所なのですけれども、趣旨は私も服部 委員と似ているのですが、ただ、単に規則正しい生活というよりは、もう少しその子の 持っている発達や虐待や非行というような課題に応じた枠のイメージなのですね。  ですので、最近の、むしろ心理療法などで使われる用語で言えば構造化されたと言う か、その子に合った形でのイメージで考えています。言葉の適性性については、また藤 岡委員に教えていただけたらと思いますが。  一方で、この枠という言葉は、岩田委員が代表していただいている今後のあり方につ いての中で非常にクリアに語っていただいていて、それ自体原文にも当たっているもの にとっては誤解はないと思うのですが、社会一般から見ると何となく枠イコール檻みた いな感じがないでもないので、ちょっと、その辺りの表現を用いた方がいいのかなとい う実感なのですが。 ○服部委員  野田委員のお話を伺って、なるほどと思っております。  ここでの文章、意見が、どんなものとして伝わっていくか、そういう点で、「枠」と いう言葉はちょっと誤解を呼びやすいし、もう少し明確な概念、先程構造化された生活 とおっしゃいましたが、ここでの意味を、もうちょっと具体化したい。  「枠」ということを否定しているわけではないのです。それは大事だと思うのです。 その具体的な意味を、はっきりさせられないかということです。 ○津崎座長   藤岡委員は、この表現についていかがですか。 ○藤岡委員  難しいところだと思うのですけれど、枠とか規律とかいうのは、オイチニオイチニと いうわけではなくて、野田先生がおっしゃったように構造化されたという意味だと思い ます。ただ何のためにここで生活を送っているのかとか、どうやって時間やいろんなこ とを自立的に使えるようになるのかという意味では、枠という言葉は結構最近使われる し大事なことかなと。世間の方がどう思われるかはまた別の問題ですが、私は個人的に は枠というのは結構大事だとは思っています。 ○岩田委員  前に児童自立支援施設の将来像を作ったとき、やはり枠の問題について考えたのです けれども、現実の問題として、施設に入所してくる前にはかなり荒れた生活をしている のです。  最終的には、自分の判断で自分の行動をコントロールできる力をつけることが目標で あるとしても、やはり施設の中でちゃんとした生活を送らせるためにはある程度きちん とした生活、規則正しい生活をやるということが前提になる。そこのところまでぐらぐ らするようであると、子どもの処遇というのは非常に困難性を抱えるということで、当 時は子どもの自由を尊重しようというような状況も社会的にはありましたので、それで だけではできないということを前提として、枠の問題について表現をしたのです。  だけど同時に、そういう生活ではあるけれども、職員は子どもとの関係づくりに精力 を注ぎ込む。それと合わさって初めてうまくいく。そういう論調で書いたわけです。  だけど、実践ということになると、ただ形式的に、規則を守らせることだけに重点を 置いた指導をやってきた施設もありますので、若干、表現は慎重でないといけないので はないのかと思います。 ○清川家庭福祉課長  それでは、例えば枠のある生活というのを使うとして、それが誤解を招かないように、 間違ったメッセージを持たないようにするためにはどういう言葉を補足することがあり 得るのでしょうか。教えていただければありがたいのですが。どんな言い方を足すと、 うまく伝わるでしょうか。 ○津崎座長  どなたか意見ありますか。 ○服部委員  先程、規則的な生活の中に帰すという表現を使いましたが、藤岡委員はそこにとどま らない枠の意味があると言われる。そこをもう少し、説明していただけるといいかなと 思います。 ○藤岡委員  児童だけではなくて職員にも、多分、枠というのは大事だと思うのです。  ちょっと違うように聞こえるかもしれませんが、やはり大勢の非行少年たちが集まっ て集団生活をすると、その中で暴力などの問題も出てきます。ここには全然触れられて いませんけれど、現実問題としては性暴力があったり身体暴力があったりする。とりあ えず再被害化を防ぐためには、きちんと個々の子どもの人権が守られるような生活の場 をつくらなければならないわけです。  その最低限の他者の権利を侵害しないような枠や規律はすごく大事だと思いますし、 それから現に職員が被害を受けているところも漏れ聞きます。中学生くらいになれば、 女子の職員が胸を触られても福祉的な施設だからということで割となあなあで過ぎてし まうけれども、結局その子はその施設にいられなくなって、何のケアもないままに別の ところに移されたりする。加害者もそうだし、子ども同士だった場合には被害少年の方 もうやむやのままにされて、あまり手当てがされているような現状には見えない。  そういうときにやはり加害と被害、非行で入ってきているのですからちょっと話がず れますけれど、生活指導の基本的なあり方の、より家庭的で福祉的なアプローチという のは、もちろん基盤にはあるのですけれども、非行行動、暴力行動、自分と人を傷つけ たり、傷つけられたりということを変えていくという枠ですか、目標とか、手段とか、 限界設定とかいうようなイメージなのですけれど。 ○野田委員  多分、これまでの枠の議論でも、場所的な枠であるとか、時間的な枠であるとか、あ るいは方法的な枠であるとか、目的的な枠であるとか、いろんな議論は、実は現場を巻 き込んでされてきたと思うのです。  それプラス前提として、さっきから出ています規則正しさと言うか、見える形で、そ して皆でこれを守ろうねというミニマムスタンダードみたいなところも必要だと思いま すけれども、先程のように限界設定と言ったり、あるいは構造化したりというような、 そういうこと全体が生活の場の中に練り込まれていることがこの施設の特徴であり非常 に有効性のあるところだろうと思うので、なかなかこれを一言で言って、限界だとかけ じめだとかいう話になると、またそれぞれに違うニュアンスが出てきます。ですので、 ある程度、言葉を端折らずに説明せざるを得ないところが出てくると思います。  私自身も、枠という言葉自体は決して嫌いではないのです。ただ先程の被害者への視 点をどうするかということと併せて、今日この施設が社会からどんなふうに見られ、そ して、そこで出す一言がどんなふうにメッセージとして受け取られるかというところで、 少々危惧があったので発言させていただきました。用語部分ではそのようなことなので すが、ただ片一方で、先程個別の支援計画の話をさせていただきましたけれども、枠と 言ったときに、その子に丁寧に応じた個別の枠という視点が入っている、その視点が合 わさっているのだということをクリアにしておいてもらわないと、集団で行け、みたい な印象を受けてしまうので、少なくともそこはリンクしてご説明いただいた方がいいと 感じております。 ○相澤総務課長補佐  今のご議論を聞いていまして、一つはその子ども同士の行動上の問題を抑制するよう な生活秩序の維持・確保をまずしていくという枠、それから強制的・指導的な管理面で の枠ではなく、子どものニーズに適合した、子どもの自立を支援・推進するような枠と、 そういうことを説明していくということでよろしいでしょうか。 ○津崎座長  ということで、割と合意を得たような感じになっていますが。はい、どうぞ。 ○吉岡委員  この枠の問題は施設にとっては基本的な特徴のあるところですから、ここを二つ目の ○の所に少し書くのではなくて、ある程度字数を要したとしても、生活上の基本的なあ り方の所に入れていくべきだと思います。  そうすると、集団で生活をして時間を守るとか、勝手に施設を出て行かないとか、具 体的に書いてもいいと思いますが、そういういろいろな意味での枠を守ること、あるい は他の子どもの人権を侵さないというような枠が必要な施設であるということで、教育 訓練的な面もあるし、保護受容的な面も相まってやる施設であると。それが基本だとい うことを一番に書いておけばいいと思います。 ○津崎座長  今のご意見に関して、私も見せていただいたときに感じましたのは、おっしゃるよう に基本的なあり方の中に、「成長・発達、立ち直りを支援していくことである」と結んで あるのですが、「成長・発達、立ち直りを支援して、自らの肯定感と社会的規範の内面化 を育てていくことである」というふうに、あまり枠で縛るというよりも、愛着関係とか いろいろな立ち直りを支援して、最終的には子どもが自らに肯定感を持って、そしてそ の中で自然に社会的規範を内面化していく、それを育てるということを入れ込むほうが、 むしろ今言われた議論に沿う文言かなというふうに感じていますが、いかがでしょうか。 ○吉岡委員  そうですね、自信を持ったり、自己肯定感を持ったり、自己感の形成、そういうこと が、我々の大事なポイントですので、入れたほうがよいと思います。 ○津崎座長  要は、規範も外から押し付けて、その子にはめるのではなくて、自らがそれを内面化 する作業、内面的に自分の枠を作る作業を育てるという、そういうことを強調する方が より児童自立支援施設のあり方に近いのかなという印象を持っています。  他にはご意見ありませんでしょうか。  それともう一点、服部委員が言われたところで、その通りだと思いつつちょっと難し かったのは、被害者の視点を取り入れた教育のあり方です。確かに、従来の児童福祉の 発想そのものが、その子どもをどう育て直すかということで、してきた行為そのものに 対しての問いかけというのはあまりしていなかったのです。  私たち、実務の中で振り返ってみましても、した内容をあまり厳密に精査せずにその 子の環境そのものを調整したり、あるいはこれまでの育ちの中で十分でなかったものを、 今後の指導なり、改善調整の中で、そういう要素を含めて子どもを保護的に育て直すと いう視点をかなり重視してきたのですが、やはり年齢がそこそこ大きくなってきたとき には、自分のしてきた行為に対して直面化と言いますか、直面化させることの作業と併 せないと。これも、さっきの枠と連動するところがあると思うのですが、そのことも踏 まえて、そのことの意味あるいは自分の行為の振り返りみたいなものをうまく育てる作 業の中で内面化すると言いますか、そういう視点を取り込まないと、やはり本当に被害 者の立場に立った自分の認識というのができにくいのかなと思っています。これも表現 の仕方が難しいですが、こういう側面もやはり重要な一つのポイントではあるような気 がしています。 ○藤岡委員  今の所ですけれど、この「被害者の視点を取り入れた教育」という言い方は、多分矯 正施設などで言い出していることだと思うのです。私はこの言い方にもちょっと不満を 感じています。行動を振り返るということは大事なのですけれども、そういう言い方を すると、自分のやったことを考え直せ、とっちめてやるというようなニュアンスになっ て、服部委員のおっしゃったような懸念も出てくると思うのです。  もう少し広い概念で言うと、言葉がわからないのですけれど、欧米ではいわゆるリス トラティブジャスティス、修復的正義と言われる概念で、この被害者の視点を取り入れ る教育が中に入ってくると思うのです。  それは、加害者本人の回復であり、そして被害者の回復にできるだけのことをするこ とであり、その犯罪の被害を受けるのは加害者本人・被害者本人だけではなく、地域社 会だとか世の中の人が被害を受けることであり、その三つをまとめて被害と加害のこと を考えながら、本人も被害者も社会も皆で協力し、できるだけ被害を回復していこうと いうコンセプトが根底にあると思うのです。  何か、そういう新たな、適切な言葉で入れていくと、新しいし、方向性として適切だ と個人的には思っています。  つまり、本人自身の被害性という中で一緒に振り返っていくことで、本人が心の痛み を感じられ、他者の痛みが感じられるようになって、他者の視点が取れ、本当に責任を 感じるようになる。そしてその責任を果たそうとする行動を取ることによって、真の社 会的規範の内面化にもつながってくると思うのですけれど、そういう意味では、すごく 大事なところです。しかし、この文言だと、被害者のことを知れというだけで終わって しまうような感じがします。 ○津崎座長  内容を伴った表現の仕方ですね。表面的・短絡的に理解されないような、もっと深い 内容があるというのを含ませるような表現を、いろいろ工夫していただくということだ と思います。  他にご意見は。はい、どうぞ。 ○吉岡委員  3ページの上の○の「学習指導のあり方」の所ですけれど、三つ目の黒ポチの下から 三行目、「さらに、県レベルの福祉部局と教育委員会の連携、特に人事交流も含めた連携 のあり方について検討することが必要である」。「県レベル」と書いてあるのですが、平 成9年か10年の法律改正のときにも公教育の導入とか何とか出ました。隣に山内委員 がおられるので言いにくいですけれども、日本の国の法律は改正しても、国立の施設は それがなかなかできていなくて、もうすぐできるようですけれども、そういうことでは 駄目だと思うのです。  どこか他の所に表現がありますけれど、やはり、県レベルではなくて、国レベルで指 針を示すなどが必要であると出してもらいたいと思います。 ○津崎座長  というご意見ですが、山内委員は今のご意見には。 ○山内委員  そうですね、おっしゃる通り、今、学校教育の方が国立でできていなくて、来年から 実施の方向で動かしていただいていますが、国と県と政令市を含めてともに協力し連携 しながら進めていただくと。今の学習指導のあり方もそうなのです。  全体的に今の各委員のご意見を聞いている中で、もう一回元に戻ってしまって申し訳 ないのですが、この(1)の「援助技術・援助方法について」の所が、今私ども児童自立支 援施設で一番困っている、あるいは問題になっている部分です。この援助技術で非常に 難しいところは、書いていただいているような発達障害あるいは虐待等の子どもたちの 対応の中で、処遇技術あるいは援助技術、処遇方法についてなかなか十分ではない、あ るいは今の話の中であったように児童自立という枠と言ったらいいのか、規範的な部分 と言ったらいいのか、そういう規則的な指導を行うところで、いかに個別的なそれぞれ の課題をうまく取り扱っていくかというところに非常に難しい点がある。それを踏まえ て、実は、各委員がおっしゃっていることもそうだとは思うのですが、まずは基本的な 主文の考え方みたいな部分をきっちり書いていただくのと、そういった特別なあるいは 個別的な処遇の考え方についてもきっちり捉えた上で、それぞれの処遇のあり方という ものをもう少し整理をして書いていただきたい。  特に発達障害等の部分の書き方と、それから親支援の所です。同じような治療あるい は個別処遇となっていますし、それから個別的な指導が必要となった場合というのは、 発達障害だけではなくて一般的な子どもを含めた部分を全部書いてあるというところも ありますので、少しこの辺の整理をしていただいて、今、いわゆる従来からある非行の 子どもたちと、新たに処遇がなかなか難しいような子どもたちとの扱いの中、どういう ふうに今の施設全体の枠組みの中でそこをうまくやっていくかというところを、この中 で書いていただけるとは思うのですけれども、うまく整理をしていただくと、自立支援 計画のあり方までの所が非常にわかりやすくなるのではないかという気がしています。  それから学習指導、あるいは被害者の視点、私ども武蔵野学院の機能の充実という所 は、また別の観点から、こういう処遇、院内の合併、いわゆる児童自立支援施設の中の 指導の仕方に対して、関係機関あるいは私ども武蔵野学院とどう援助していくかという 新たな部分で取り入れていただくと、わかりやすいのではないかと思います。そういっ た視点を少し整理していただくと、ありがたいと思います。 ○津崎座長  さらに私自身が児童相談所の立場で気になりましたのが、2ページの「親支援、家族 支援のあり方」の二つ目の黒ポチのところですが、「親支援、家族支援を行うに当たって は、親へのアプローチは児童相談所が行い、具体的な親子へのかかわりの仕方は、児童 自立支援施設の子どもの生活の場で提供するなど」というふうに、役割分担があまり明 確に書かれすぎています。これを読むと親へのアプローチは児童相談所がしたらいいと 読み取れてしまって、施設と児童相談所との関係のときにいつも揉めるのですが、親の 指導は児童相談所の仕事だというふうになってしまうと、これも連携がかえってうまく いかないと思います。そこで、「親へのアプローチは児童相談所とともに行い」とか、共 同作業であるというニュアンスをちょっと入れ込んでいただく方が、連携がよりうまく いくような気がしていますので、付け加えさせていただきます。 ○吉岡委員  それに関係するのですけれど、施設の立場から言うと、その後の「具体的な親子への かかわりの仕方」は「生活の場で提供するなど」の部分。意味がよくわからなかったの で、線を引いてお聞きしなかったのですけれど、例えば保護者が面会に来たときなどに 面接をしている場合を捕らえて、家族療法みたいなことを施設がするという意味ですか。 これは施設の方に負担かかる内容だと私は読んでいました。全体について言えば、むし ろ当たり前のことですが。 ○津崎座長  これは多分、親へのアプローチはこうだと、児童自立支援施設は来たときの場でしな さいという役割分担みたいなことをイメージして書かれていると思うのですけれども、 一方はこっちをして、一方はこっちという、そういうすっきりと割り切った形では難し いと思います。もう少しその辺を、双方での共同作業になるというニュアンスで整理し ていただくと、ありがたいと思います。 ○野田委員  先程の「学習指導のあり方」の所です。ここでは総論的に今後のあり方に任せながら、 かつ人事交流を含めて教育委員会と連携するということなのですが、昨今の状況から言 えば、進路指導的なところ、あるいは原籍校復学の問題など、相当具体的な問題は幾つ かあがっているのではないかと思うので、例示的でいいかと思いますけれども少し触れ ていただいたほうがいい。最後の連携の所に入るのかこちらに入るのかというのが、再 掲で出ているように、ご苦労いただいているのだと思いますが、幾つか共通的に課題に なっているところについて、他官庁のことでもありますので明示していただけるとあり がたいと感じています。  それから、もし次の方に行かれるなら、その前に2ページの個別的指導の所で「個別 寮(観察寮)の設置が望まれる」というふうに寮単位で書いていただいているのですが、 中舎・大舎の具合あるいは寮だけでなくて武蔵野学院が持っているようなクールダウン のためのタイムアウトルームみたいな所、ここでは寮と触れていただいていますが、そ の辺りの枠組みをどうするかということ。それから、これは今回のことでは言いにくい のかもしれませんが、瀬戸委員がずっと言われている強制措置の復活の問題。これは理 論編でも相当議論のあるところだろうと思うのですけれども、そういう意見も出たこと は事実なのです。そうなりますと、観察寮を各拠点に、みたいな話になってきますけれ ど、その辺りがどうなのかというところが、気になるところなのですが。 ○小木曽委員  細かいことで申し訳ありません。文言でということではないのですが、前回八並先生 がいらっしゃいましてお話があったのですが、とりあえず今、3ページの「学習指導の あり方」という前提が、学校教育導入ありきということだと思うのです。しかし半数が まだなかなかそういう状況になっていない理由として、県の教育委員会の連携がなかな かうまくいっていない。まず、そこをきちんとしなさいということだと思うのですが、 それ以外の理由として、前回もありましたけれども、児童自立支援施設の教育というも のが、ある意味学校教育導入ですべてその個々の学校教育のプログラム、教育計画とい うもので取って代わられるべきだという前提であれば構わないですが、その後の9ペー ジに教育委員会との連携云々、制度とか人というところで、何とかしなさいということ だと思うのです。  かつて学校教育とは違った意味で、独自に行われてきたものに対しても、評価なり、 こういった問題があったのではないかということで、まず教育権の保障として、そこま でしなさいということであれば、今回はそれで構わないと思うのですが、少しその辺だ け気になったものですから。以前から行われていた物に対しての講評なり、評価なりを 踏まえた上でというものが加えられるとありがたいと思ったのです。 ○岩田委員  学校教育の問題に関しては、やはり児童自立支援施設の中に設置されている学校であ ることを踏まえた教育、ということが必要になってくるのではないか。完全に独立した 形の学校教育でいいのですよ、それが教育権の保障ですよということでは、なかなか施 設機能も十分に発揮できないという側面がある。その辺りは書いていただけるとありが たいと思います。  それから、ついでになりますが、3ページの学習指導の所で、発達障害等に関しての、 「特別支援もしくは特殊教育の経験ある教員の配置」という部分。現実に私たちの施設 に来る発達障害の子どもというのは、通常今の学校教育の中で、特殊教育をやっている 先生たちが対応した経験があまりない、そういう子どものような気がします。ですから、 もちろんこういう特別支援教育の経験をお持ちの教員の方も配置をされればいいのでし ょうけれども、それで解決するみたいなトーンだと少し違う、実態と合わないという印 象は受けます。 ○津崎座長  ご指摘の通りだと思います。特別支援的な一つの視点なり技術も必要だけれども、そ れが今の児童自立支援施設の全体の状況にどうマッチするのかということで、新たな教 育への配慮ということなのでしょう。  強制措置はあまりこの場で論議してこなかったのですが、強制措置が全国1カ所とい うのは、活用の仕方についても、いろいろ制約があるのではないか。もう少し、例えば ブロック単位に整備する必要があるのではないかという声もあります。その辺を少しご 紹介いただきたい。 ○岩田委員  近畿の施設の方から、各ブロックに今の国立の施設が持っているような機能を持つ施 設が必要ではないかという意見があがっております。具体的に言うと、強制寮を持つよ うな施設になろうかと思います。この問題については、前に、強制措置の施設が都道府 県が設置したものの中にあったわけですけれども、そのときの運営状態が、ある意味で あまり肯定的ではなかったように思います。だからそのトラウマみたいなものがあって、 この問題についてきちんとした議論が、これまでなされていないように思うのです。場 合によっては、そういうことについて検討していく必要があると思うのですけれど、こ の研究会の中で結論を出すのは少し議論が足りないのではないかと思います。 ○津崎座長  一つお聞きしたいのですが、少年院の論議の中にも、要は開放の施設で処遇できない のであれば、児童自立支援施設に強制的な要素を持たせて、少年院に安易に子どもを送 り込むのではなくて、児童自立支援施設の中で、処遇できる範囲をもう少し広げるべき ではないかという論議があるようなことも少し伺っています。その辺も踏まえて、藤岡 委員、あるいは服部委員、ご意見がありましたら紹介いただけますでしょうか。 ○服部委員  最近の重大触法少年事件については、かなり長期の強制的措置が付けられるようにな っています。強制的措置というのは、元々はケースに必要だという判断で付されるもの です。しかし、現在の強制的措置は、社会的な不安に対して付けられているという感想 を持ちます。まずそこの議論を、本来の姿に戻すのが先決だと思っています。  今は本旨から外れてしまっている強制的措置と少年院収容とが比較されてしまって、 議論がゆがんでしまっている感じがするのです。だから、子どもの成長発達、ケースに とって必要だという、強制的措置の本来の性格を確認した上で、それに必要な物理的な、 あるいは人的な環境を整えていくにはどうしたらいいかという観点から、各ブロックで、 強制的措置寮と呼ぶか、強制的措置対応寮と呼ぶか、名称はともかくも、実施に向けて 検討していくべきだろう。その上で児童自立支援施設が持っている処遇と、少年院が持 っている処遇とのそれぞれの特徴が、双方活かされていくという方向で議論を進めるべ きだろうと思っています。  今はそういうことではなしに、施設の見え方と言いますか、社会不安に対する措置と いう面が、もちろんそれも大事なのですけれども、過度に強調されてはいないかという 考えを持っています。 ○野田委員  この問題は多分もう一方で、そもそもブロックという概念をどうするのか。これは強 制措置寮を持っているか持ってないかではなくて、例えば後にもありますが、夫婦小舎 制と交替制を持っている地域があったときに、ケースによって的確にふるい分けること ができるという考え方で、58の施設をもっと相互に有効に使えないかという議論。この 辺りは少年院の場合には、かつて少年院の特色化というような形で、相当見直しが行わ れておりましたけれども、それが成功したと言えるのか、他の要因からかわかりません が、今活況を呈しているわけです。児童自立支援施設に関しても、その県に一つのカラ ーのものしかないということに関して、どう考えていくか。私はABC型みたいな言い 方を何回かさせてもらいましたが、ブロック単位での広域での相互処遇の問題がある。  もう一つは、子どもの権利条約や、さまざまなガイドラインを前提にした枠の問題と して、強制措置と言うほどではないけれど、逃げたらいけない子ども、あるいは児童自 立支援施設から無断外出するのも処遇の第一歩みたいな、そういうことが社会的にも非 常に許されなくなる中で、どこまでのことを子どもや保護者に対して要求していいのか という未整理な部分があると思います。  いずれにしても今服部委員がおっしゃったように、我々が思うに、福祉の理念から外 れたところから巻き起こってくる議論が一方にあります。現実の現場でも処遇上、非常 に悩ましい部分も抱えているので、もし今回の報告の中で積み残し課題とでも言いまし ょうか、何となくそういう中で、今後の発展のためにこういうようなところがあるのだ と、各項目にそういうスタイルは必要ないと思っていますけれども、ただ総合的なとこ ろで、今後考えていくべきこと、今回の改正だけでは踏み切れないところを、建設的な 部分について、幾つか残していただくことがあればいいと感じています。 ○藤岡委員  今までの流れに乗っていると思うのですけれども、たたき台だったと思うのですが、 今まで出た意見をばらばらに載せてくださったので、レベルと順番が結構ごちゃごちゃ な気がします。例えば生活指導の基本的なあり方。先程座長がおっしゃいましたが、後 で出ている発達障害を有する児童に対する枠のある生活をどうやってやるのかというこ とについて、基本的なあり方の所で、指針となるような考え方をきちんと示していく必 要があると思っています。  非行のある子どもが入っているわけですから、その子たちに対して最初の頃の家庭的 で福祉的なアプローチが基盤だというのもいいし、それから座長がおっしゃったように、 自らの肯定感と社会的規範を内面化するという文言も結構ですし、それから可能であれ ば、非行行動そのものに対する働きかけを行うとか、それと被害者の視点を入れる教育 みたいなものをリンクして、どうやって非行行動を変化させていくか、アプローチして いくかということを示した方がいいと思っています。  例えば発達障害等を有する子どもというのは、きっと現場では大きな問題なのでしょ うけれども、発達障害の子の適応がなされて、社会適応が改善されたとしても、非行犯 罪行動が改善されない可能性はすごく残ると思います。ここのところでいきなり「特別 なケアを要する児童」で、発達障害を有する児童に対して書いてあるのは、少しレベル が違うという感じがします。  その他、例えば非行行動を変化させるためにも、家族状況だとか、社会の受け入れ体 制だとか、そういったものを変化させる必要があるというのが出たら、その後で親支援・ 家族支援・地域の支援のあり方が出てくるでしょうし、学習指導のあり方もあがってく るでしょうし、最初のアセスメントとしての自立支援計画のあり方などが入ってくると 思います。そういうふうに作っていけたらと思います。 ○津崎座長  事務局も多少お考えになっていたと思いますが、基本的なあり方をもう少し膨らませ て、今ご指摘のあったようなことを、基本に触れておくのか、あるいは初めにとか、終 わりにという形で、当然前提となるようなことをしっかり押さえた上で、個別のあり方 を作っていくのか。その辺、もう少し頭の部分を膨らませて、それを前提に個別の問題 が続いて出てきているという流れにしていただくと、今のご質問にお答えできるという 気がします。  この問題ばかりに時間を使ってしまって、次の問題に行けていません。次のテーマに 行ってよろしいですか。  次は1「自立支援機能の充実・強化について」のうち (2) 「施設機能の拡充・強化に ついて」に移って、ご議論をいただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○服部委員  「短期入所機能」の部分です。「児童自立支援施設の入所期間は、1年半から2年半程 度となっているが、より短期の入所により効果があがる児童も考えられる」、その通りだ と思うのですが、入り口としての短期処遇を実施するかどうか、これはまた別途検討す べき課題だと思います。長い・短いで言えば、短い方がいいに決まっています。しかし 大事なことは子どもとの関係で、期間ということがきちんと目標に据えられることであ って、そのための処遇プランが用意されることだと思います。子どもから見て、やはり 2、3カ月というのが、一つの生活の単位だと思います。その目標設定と処遇プランが、 うまくかみ合って動いていくことが大事です。その結果として、短期に終わればそれに 越したことはないと考えるべきです。少年院には短期・長期の別がありますけれども、 児童自立支援施設において、同様に入り口として短期・長期を設けるかについては慎重 に考えるべきと思います。 ○岩田委員  私も同じ意見です。短期入所についてもそういう意見です。最初から短期入所を前提 とした運用をするという取り扱いをすべきではないと思っています。  それから、この中の通所機能の所で、「アフターケアの一環として効果的な場合が考 えられるが地理的に遠いという問題もある」というのは、順番が逆ではないのかという 気がします。問題があるけれども、役立つのだったらやったらどうかという文章にすべ きではないか。そうなると他の児童福祉施設での通所というものとは概念的に違います。 普通の通所機能というのは、定期的に毎日そこに通ってくるという機能なのですけれど、 アフターケアの場合はそういうものではない。かなり時間をおいて1カ月に1回とか、 そういうものも通所の中に入ってきて、そういうやり方も有効であるという意味合いで はないかと思います。  それから児童家庭支援センターの所ですが、前回の議論でも、まだここまでのまとめ にはなっていないように思います。現実に附置されている児童家庭支援センターが、ど んな役割を果たしているのか、私たちにも見えないところがあります。うまくいけばい いですけれども、どんな役割を果たしているのか、現実の問題が見えないところがあり ますので、検討したらどうかというぐらいのまとめの方がいいと思います。 ○吉岡委員  私もその意見に賛成です。4ページの一番下に「短期入所機能・通所機能・相談機能 のあり方」と書いてある。これをやることが前提のごとく出ているのですが、これを前 提とするような議論をあまりした記憶がないのです。話が飛びますが、逆に定員格差の 問題で施設が十分に入っていないという問題は討議しましたが、このことが今日の資料 に全然入っていません。  もう1点は、通所機能について、5ページの上から2、3行目に書いてありますけれど も、少し意味がわからない。根本的な話になって、今からこんなことを言うのも恥ずか しいですけれども、平成9年と10年の法律改正のときに通所機能をどうして、どうい う検討をして、どういう中身が入ったか私は知らないのです。今更ここで教えていただ くわけにいきませんが、何をイメージしてやったのか。なぜこういうことを言うかとい うと、先程国レベルで指針を出してほしいと言ったのも、そういうことを十分に検討し た後で報告を出すなり何なりしないと、まずいと思っているものですから。この間、例 の法律改正のとき、個人的な疑問を持っている。例えば学校形態はいいです。現状で埼 玉県がうまくいっているのでいいと思います。将来どうなるかはわかりませんけれども。 あと名称についても児童自立支援施設に変わったのですけれども、障害の施設も児童の 自立を支援する施設です。養護施設だってそうだと思います。昔の教護院らしい哲学が なくなっているイメージがありまして、そういう意味でもう少し十分に論議してから書 いていただかないと。慎重を要するなと懸念しています。 ○小木曽委員  その1個前のリービングケア・アフターケアを否定しているわけではないのですが、 「民生委員を活用するなど」というのは、なぜ民生委員なのかという疑問があります。 今の地方の側で言えば、保護観察の制度などがある。民生委員を活用というのを第1番 に出しているが、一つの例だと思います。あくまでも自立が難しい子どもたちがいると すれば、施設内で自活寮等、措置を延長してということがある。逆に言えば退所後、児 童相談所の18歳未満であれば、それ以後子どもの生活指導であるとか、そういうこと があると思います。あくまで、中心的には福祉の実施体制の中で、きちんと責任を持っ ていくということです。もしそれをまた次に託すのであれば、今そういった機能を持っ た自立援助ホームなりを活用するというのが本来であって、何も民生委員という従来型 のアフターケアのあり方の文言になってしまうことはない。できればその辺のことを、 もう少し。先程ご紹介がありましたように、一つの理念として、具体的にはこういうこ ともある、こういうことも行われているのだというところでの組み合わせを、うまくし ていただければと、せっかくリービングケア・アフターケアが重要だというところで、 感じました。 ○野田委員  今の所は、民生委員ではなくて児童委員だろうと思うのですが、それだけでなくて、 前回も申し上げましたけれども、この間の経過から言えば、市町村と、それから要保護 児童対策地域協議会等々で、現状としてすぐ追いつくかどうかは別としても、地域の中 に手厚くそういうマットレスのような、ふかふかした地域を作り上げるという視点が重 要と今のところ思っています。  一つ目の黒ポチのところで、「高齢児寮や自活寮など、新たな体制を作る」と書いてい ただいているのですが、体制というのは中のプログラムと箱もの、あるいは人、総合的 なものを含むという理解でよいのでしょうか。先程のタイムアウトの量と質の問題もあ りましたけれども、こういうスペースはお金もかかるので、必要なのだと相当はっきり と打ち出すと同時に、その中でどんなプログラムを出していくのか、その辺りを強調し ていただけるとありがたいと感じています。 ○岩田委員  このアフターケアの所は、施設の中の設備、あるいは人の配置の問題があるのだけれ ども、実際に退所した子どもに対して、施設がより積極的に取り組むという、そこの要 素が当然入ってこなくてはいけない。それからその他に自立援助ホームであるとか、グ ループホームであるとか、そういう他機関あるいは他の社会資源との連携を図りながら、 より効果的にアフターケアを進めていく。そういうのが次にきて、そしてさらに地域の 中で、子どもたちを見守る体制づくり、これはなかなか難しいのだけれども、そういう ことについても考えていく必要がある、こういう流れになるのではないか。だから取り 上げた項目が少ないのかと思います。 ○津崎座長  今回は骨子のまとめでかなり端折って、簡単な言葉で説明していますので、そういう 意味では取りようによっては、かなり誤解的な取り方もできるということです。まとめ の中では今の議論を踏まえて、もう少し丁寧に中身も盛り込んでいただく、あるいは例 示的なものも盛り込んでいただくと、より具体的にわかりやすくなると思います。そう いうご配慮をお願いしたいと思います。  今の(2)「施設機能の拡充・強化について」はよろしいでしょうか。  次は2「施設の運営体制について」です。まず (1) 「施設長・児童自立支援専門員等 の資格要件と人事システムについて」という部分についての意見交換をしたいと思いま す。 ○服部委員  私も踏み込んだ提言・発信をしていくべきだと思っています。そういう観点から言う と、「児童自立支援専門員等の資格要件・人事システムのあり方」の部分の最後は「指針 を示す」という一般的な表現になっていますが、もっと踏み込んで最低基準を改定する という明確な指針、具体的な指針を内容に盛り込む必要があるだろうと思います。 ○津崎座長  この所で他の方ご意見はいかがでしょうか。人事システム・資格要件について。 ○岩田委員  私は施設長の資格要件と、それから自立支援専門員等の資格要件で、若干区分けをし て考えたらどうかという意見です。これまでの議論の中でも、自立支援専門員について は、資格の問題も若干踏み込んだ提言をしたらどうかということが出たと思うのです。 施設長の資格要件は、自治体固有の管理職の登用制度とも絡みますので、資格要件のと ころまで入り込むと、かなり厳しい問題なってくる。それが基本的な考え方です。  それと文章の中で、この問題はかなりひどい状態になっているのにもかかわらず、例 えば自立支援専門員の所でも、配置の人事異動の問題でも、「一定程度の期間の配置」と いう表現では、現状の問題性が、自治体の事務当局ではほとんど考慮されないという恐 れがありますので、もっと明瞭にしていただきたい。本当に短い期間で、どんどん人を 異動させているというのは、施設の運営が成り立たない状態を作り出している。そこを 変えないといけない。もっと明瞭な文章にしないといけないのではないかと思います。 ○野田委員  私も同じで、施設長も、それから専門委員だけではなくて支援員もそうだと思います けれども、トータルでもう少し具体に表記した方がいいだろうというところと、それか らこの間、児童福祉司を巡っていろいろな議論がありましたけども、対象を拡大した代 わりに、きちんとその中での研修スタイルを明記する。その意味では児童自立支援施設 は、どうあがいても最後は人でもっているところなので、特に支援専門員等については 相当踏み込んで、なおかつ要求水準も児童福祉の分野においては児童福祉司と並ぶ最高 水準できっとやっていくのだというスタイルは表明していただきたいと思います。 ○津崎座長  特に児童相談所とか児童自立支援施設というのは、専門性を蓄積していく必要のある 機関です。そうすると2年や3年で替わっていると実際上無理だと私も思います。「一 定程度の期間」となると、2年でも一定程度の期間です。だからそういう意味では、具 体的に例えばこれが適当かわかりませんけれども、10年程度のスパンで考えるとか、そ ういう文言を入れると、10という数字が出てきているというふうに自治体は見ますので、 具体的な縛りになるのではないかと思います。抽象的なことですと、今おっしゃるよう に多分自治体は無視すると思います。自治体に対する拘束性を持つような、具体的なも のがここに表記される方がいいのではないかという意見を私自身も持ちます。  この部分で他に意見はないでしょうか。なければ次に移らせていただいてよいですか。 次は(2)ですが、6ページの真ん中のあたりです。「寮舎の運営形態について」という所 でのご議論をいただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○服部委員  交替制への移行の部分ですが、どうしても必要な文言があると思います。それは子ど もの最善の利益を優先させるとか、子どもの生活の場という視点を優先させるという、 そういう言葉をきちんと入れることです。施設の側の事情だけで、交替制への移行をす ることがしばしばありますので、まずは子どものための施設だという点、子どものため の児童自立支援施設だという点を明確にしておく必要があると思います。  それと「好事例を収集し」という表現がありますが、これはむしろ悪いケースも収集 し反省をする必要があって、何も好事例に限定する必要はない。重要なことは事後の検 証とそれがフィードバックされていく点だと思うのです。ですから、例えば最後の表現 は「児童への支援のあり方についてケース検討を重ね、それを共有することが必要だ」 というような表現になるのではないかと思います。 ○野田委員  今までは悪い事例も好事例と言ったかと思います。  1点、専門里親が出てきているのですが、国からは将来的に専門里親が寮舎をという 考えがかつてから出ていましたし、斬新な、将来的に有望な考え方かなと私も思ってい るのですが、ここで考えている専門里親というのは現在の虐待を視野に入れた専門里親 をイメージしているのかどうかというところで誤解が生じる可能性があると思うのです。  実は先程の話で、小舎夫婦が解体されていくプロセスの中、小舎夫婦に近い形で子ど もたちを処遇したいということで、公務員の身分を離れて「小舎夫婦・命」のような形 で実質的に里親あるいはホームを作られている方も何人かいらっしゃるかと思うのです。 やはりそういう蓄積のある中で、場合によってはそういう実務経験を下敷きにして、あ るいは武蔵野学院での教育であるとか、いろいろなことをベースにした従来の専門里親 とは異なるプロフェッション化したものをイメージしてのことかなと思いますので、そ の辺の確認を兼ねてお願いします。   ○津崎座長  多分これは今の専門里親をそのままスライドして利用するということよりも、今の専 門里親に一つのヒントを得て、これをよりプロフェッション化したものということです ね。   ○清川家庭福祉課長  そうですね、専門里親のような制度ということで、児童自立支援施設を経験した方等 について、それに見合った形を何か検討できないかという趣旨です。   ○藤岡委員  必ずしもここで言うべきことなのかよくわからないのですが、好事例を収集し提供す るとかまとめのところで思うのですが、人事システムだけではなくて研修のことも話し 合いをしたと思います。広報をきちんと位置付けて心がけたほうがいいのではないかと 強く思っていまして、広報というのは必ずしも宣伝ではなくて、ここではどんなことを どんなふうにやっているのかと。失敗した例ばかりがマスコミに取り上げられると士気 も落ちますし、社会的な誤解も生じますし、うまくいった例もたくさんあると思うので す。もちろん失敗した例もありますけれど、その両者をきちんとケースをまとめて、説 明責任を果たすという意味で社会にきちんと問うていって、また社会からの意見を聞く ことによって職員の士気も上がるし研修にもなるし、外とのつながりを維持できると思 うのです。  どこで言えばいいのかわからなかったのですが、人事システムと施設の運営体制につ いてという所で、広報のあり方についても入れていただけたらと思います。   ○清川家庭福祉課長  その辺りの研修の話とか情報発信については、4ページの武蔵野学院の所でかなり多 く語られていましたので、「武蔵野学院の機能の充実・強化のあり方」で「施設長や児童 自立支援専門員に対する研修についての充実強化」、それから「自立支援事業に関する情 報発信センターとしての機能と同時に、大学等の教育機関や地域との連携を積極的に行 う必要がある」という所で盛り込ませていただこうと思っているのですが。   ○野田委員  今のことに関連して、私も後で時間があれば戻りたいと思っていたのですが、武蔵野 学院についてお書きいただいている部分です。一つは同じ国立の中で国立きぬ川学院を どう位置付けるのかということもあるかと思います。多分武蔵野に期待されるものとい うのは非常に複合的なので、この欄だけでいいのかどうかというところはあるのですが、 そういう意味では情報発信だけではなくて、もっと総合的な位置付けとしていただきた い。我々がいつも忸怩たる思いをするのは、法務省は非常に立派な研究所を重層的に持 っていらっしゃるように感じているのですが、今日のような議論を含めて地道に情報収 集しながら今のように広報していく、そして私のかねての持説ですが、都道府県レベル でもきちんと受け皿になる児童自立支援施設が拠点になってセンター化していく。決し て行政のヒエラルキーとしてのピラミッド構造ではなくて、情報や研究や実践としての ピラミッド構造みたいなものをイメージできたらいいと思っています。   ○小木曽委員  人事とか養成・育成と絡んで多分議論があったと思うのですが、第三者の評価の所で 質的担保というのはやはり次につながっていくと思います。いろいろな福祉施設が評価 基準というものを持っていますが、児童福祉の分野はまだそういうものが遅れていると ころもあります。先程服部委員が意を強くしてもっと踏み込んでと言ったところでは、 広報を含めていろいろ個人情報の問題はあるので、そこはきちんとクリアして、児童自 立支援施設はこういうことをやっているのだという一つのモデル的なものを構築してい く上で、そういった評価に耐えるものが盛り込めないかということをお話を聞いて感じ ました。   ○岩田委員  寮舎の運営形態の所で、夫婦小舎制の中で地方自治体は「自治体の枠を越えた人事交 流の仕組みをつくることが望まれる」と非常に大胆な表現になっているのですが、もう 少し地方自治体に納得させられるような文章にしなければいけないのではないか。やは り自治体の枠を越えた人事交流の仕組みは簡単ではない。けれど夫婦の人材確保をする という観点からそういうことについても県当局がもっと理解を示して実現できるような 判断をしてもらいたいということではないかと思うのです。仕組みを作るということに なるとなかなか厳しいと思います。  それから交替制寮舎の所で具体的にどうやるかという難しい問題がありますが、議論 の中でかなり難しい状態で運営をしている施設がある。そこをどう支援していくかとい うような課題があって、場合によっては武蔵野学院にも期待するところもある。だけど 武蔵野学院の場合は交替制の経験を持っていませんので、なかなか支援といっても難し い問題もある。交替制であっても、自治体を越えた支援のあり方みたいなことについて 考えられないかという気が若干しています。 ○津崎座長  要はこの辺も各自治体で独立してしまっていると、駄目なところはそのままズルズル と駄目になるという部分ですね。もっと全体的なノウハウを有効に活用できるような仕 組み作りということだろうと思います。おっしゃるような意見をうまく組み込んで表現 していただくとありがたいと思います。ここの所では他にご意見はないでしょうか。な ければ次に移らせていただいてよいですか。  次は(3)「設置運営主体について」というところで、民営化の表現が出てくるわけです が、この部分についてのご意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。   ○野田委員  最初の黒ポチに該当するのかもしれませんが、「安定性・継続性」が要るというのは、 どこの施設でも当たり前と言えば当たり前の話です。やはり施設が持っているリスクと 言いましょうか、財政的なことも含めて内部あるいは外部との事件・事故であるとか、 あるいは人権問題だとかを含めた相当深い課題を持っている。この辺り、北海道家庭学 校の小田島先生はじめお越しいただいてご説明いただいたところにも重なるかと思うの ですが、やはりそのことはクリアに書いておいた方がいいと思うところが1点です。  一方で、議論が出たためかもしれませんが、8ページの上から4行目くらいの所、今 日の公設公営原則という中に「職員の身分の安定」というのを入れていただいています。 これも当然必要なことです。しかし公設公営原則の前提として職員の身分の安定という のは、説得力としてどうなのか。むしろ先程言いましたように、施設でやっていくこと については一方で積み重ねが必要であるし、それから非常にリスキーな部分、実際に不 幸なことですが、命を落とされている方もいらっしゃるわけで、そういう状況を背景に する中で、やはり公設公営なのだという主張の方がいいという印象を持っています。 ○津崎座長  この運営形態の所でもう少しご意見を伺いたいと思いますが、他の方はいかがでしょ うか。   ○服部委員  「伝統的に民営で事業を行っている施設においては」という段落ですが、北海道家庭 学校、横浜家庭学園については理念というのは明確にあるのですね。それを言うよりも、 私たちは小田島先生から話を伺いましたが、財政的な問題に直面しているという点を前 面に出すべきだろうと思います。財政的な基盤の確保と、それに対する支援体制が強化 されることが必要で、そこは任せきりでなしに民間がやっている難しさを公が財政面で 援助していくことが必要だろうと思います。  それとその次の段落の「仮に民営化を認めるとしても」というところですが、私は引 っかかる部分があります。「民営化の是非を検討するに当たっては」くらいがよろしいか、 あるいはこの段落はなくてもいいのではないかと思っています。 ○岩田委員  私も「仮に」という表現は現実的には相当意味を持ってくる表現になるのではないか という気がします。議論の中で施設が置かれた状況がかなり厳しい状況にあるが、それ は単に施設なり児童相談所だけの問題でなくて、行政が非行の問題に対して児童福祉と してどう取り組むかという基本が明確になっていないという問題があり、そういう側面 から、児童自立支援施設が厳しい状況に置かれてきている。なおかつそういう中で、交 替制に移行する施設が増えてきて、しかも交替制というものでどう子どもに関わってい けばきちんとした運営ができるのか、ということが非常にあいまいになっている状況に ある。その中で民営化の問題が現実に動き出すということになると、やはりこの児童自 立支援施設の機能が本当に維持されるのかということが非常に危惧されるところであっ て、そういう意味ではかなり慎重に検討しないといけないと思っています。   ○津崎座長  私はこの部分では、観念的なのですが、単体の児童自立支援施設を民営で運営すると いうのはかなり難しいだろうと思うのです。仮にあるとすれば、もっと複合的な、例え ば情緒障害児短期治療施設との抱き合わせであるとか、他の施設機能との総合的な運営。 ということであれば、相互補完的な施設間の役割をうまく調整して民営ということもあ り得る気がします。そういう具体的な運営上の工夫のあり方や、先程服部委員が言われ た公との連携あるいは公の支援のあり方、そういうことも十分考慮された上での検討で ないといけないという形で表現してまとめていただく方が、むしろいいのかと思ってい ます。  ここで特に追加のご意見は。はい、どうぞ。   ○小木曽委員  議論が公か民かというか、確かな情報ではないのですが、入所児童が極端に減少して いる幾つかの県においては、もう一部民営化の議論がされてきていて、具体的に来年・ 再来年度に出てくるというような状況で、きちんと公でなければならないというところ を示すのは必要だと思います。公であるがどの辺まできちんと守らなければいけないか という指針を出す状況に来ていると感じています。あと他の児童福祉施設との関係で言 えば、今大きく民営化に動いている状況の中で、児童自立支援施設のときはこうなのだ と言っても、行政単位なり他施設との他の協議会なりからするとどう映るか。あまり関 係なく、児童自立支援施設は児童自立支援施設なのだと示すなら、今回はそういう形で まとめて、あくまでもここはそうなのだという総意でいいと思うのですが、そんな状況 を踏まえるとどうなのかということがあります。   ○津崎座長  大きな流れからすると、いつまでも公にこだわりにくい部分がありつつも、民にする ときの指針をもう少し具体的に明確化したものを盛り込む必要があるということでよい でしょうか。そういう意味では、いろいろな性格を考えてみると全くの民営というより も、場合によっては県が持っている事業団的な位置付けにするとか、もっと具体的に、 民と言っても全く自由競争の営利追求の民ではない、半ば公的なものもしっかりとその 中に取り込めるようなものであるというイメージが持てる表現も工夫していただければ と思います。この方はそれでよろしいでしょうか。はいどうぞ。   ○野田委員  私は今の民の議論に軽々に乗るべきではないと思っていますので、まだ十分に議論で きていないと思っています。小木曽委員のおっしゃられた枠で言えば、この間の動きと いうよりは、少なくとも戦後なぜこうなって、数字まで出してということがある。ただ それにしがみついていく話でないことも、この間の議論で出ていると思います。一方で 先程委員が言われたように、例えば評価システムであるとかいろいろな形で、枠の議論 に出てきましたように、やはりこの施設が人権と裏表の非常にシビアな問題を多々抱え ながら、しかも今日処遇が非常に難しくなっていて職員の蓄積もできていなくて、とい ういろいろな課題があるので、「仮に」という文章を私も改めた方がいいと思っています。  やはり積み上げでどういうふうにやっていくかという、民にするときの、と言うより は、それに向けての一里塚のようなものをもっとクリアにしていく必要がある。しかも その大前提として、今回の北海道家庭学校の実例を含めて、単に財政だけではなくて相 当行き詰まっている。私の実感としては、あれだけ歴史があり理念もあり応援団もいる 施設ですら非常に危機に立ち至っている。そこのところは一方で強調していただきたい と思っていますし、一方で公設公営のところも別な意味で危機ですから、そこの課題に ついてもクリアにする必要がある。そうしますとこの文章を各論の所で書き込む以外に、 多分前文のような形と最後の課題の所、そしてそこにどういう方向性を示していくのか、 というのは意味合いが大きいと併せて感じているところです。以上です。   ○津崎座長  多分事務局でお考えになっていると思うのですが、当初の前書きの部分と最後のまと めの部分と、その辺の所でまだはっきりと書けないが検討課題であるとか、こういう方 向性を今後さらにもう少し詰めていく必要があるとか、その辺を整理していただいて、 初めと後のまとめの部分で全体の論議の流れがしっかりと把握できる、特に検討課題の ものも含めて、そこに盛り込まれているという文章を工夫していただければと思います。   ○藤岡委員  民とか官とか考える基本として、児童自立支援施設に最低限必要な基準規則と言いま すか、施設はこうだとかプログラムはこんなものがあるとか、職員と少年との人数比が どのくらいだとか、そういったものを考えていって基準を作るというのは役に立つので はないかと思います。もしそれがクリアできるなら、別に民がやっても全然構わなくて、 その基準規則を基に毎年毎年アクレディテーションをちゃんとやっているかどうかをチ ェックできる体制が作れるということを言えばいいのではないかと思います。   ○津崎座長  現状では基本的には最低基準があるのです。だからそれを変えた基準を提示するとい うのは難しい面があると思うのです。ただ、建前はその基準でできるということなので すが、実際上は難しいという現実と建前のギャップみたいなものもありますから、それ を超えた基準は、おっしゃる意味はわかりつつも、なかなか難しい課題だという気もし ます。   ○藤岡委員  そうすると、その基準は公であることを前提にできている基準なのですか。基準を具 体的に知らないので申し訳ないのですが、そうではないのですか。   ○津崎座長  そうではないですね。   ○野田委員  多分その辺りが、先程小木曽委員が言われた各施設が最低基準レベルではなくて、評 価基準というのを出しているということです。しかし児童自立支施設の場合の評価基準 というのが、実際には運営形態も含めて非常に多様な中で作りあげていただいているよ うに思うのですが、例えばそれをどこが実施できるのかという辺りと、今回の議論と言 うよりは、それこそ社会福祉法が規定する児童自立支援施設の処遇の評価と苦情解決の システムをどんなふうに盛り込みながらやっていくのか、というところが私は大きな積 み残し課題だと思っています。少なくともこの間の介護保険も含めて、平成12年以降 の福祉サービス化の中で、そもそも児童自立支援施設をどのように乗せていくのかとい うところがまだクリアできてない。そこのところがクリアできないままで民営化の話と いうのはあり得ないのではないか。この間のマンションの話でもありますけども、検査 機構の枠組みすらない、あるいはその中で何に依拠して検査するのかという枠組みさえ 持ってない児童自立支援施設が、たちどころに依って立つ枠組みというか、そこのとこ ろを動かす話ではないだろうと思っているところです。   ○津崎座長  評価の基準そのものがしっかりとした形でないと、基本的には民というのを考えるこ とそのものが難しいのではないか、無理があるではないかということですね。   ○野田委員  はい、何をしてもいいという話だったら、建物は建っているし、人はいる。しかしこ の児童自立支援施設は、実際に担われた小木曽委員などは、直接それの評価にでも動か れたと認識しています。私なども地域では運営適正化委員会の苦情解決の責任者という 立場で幾つかの児童施設などの評価にもかかわらせていただいているのですが、保育所 でも非常に難しいです。外から入って半日や1日で何がわかるのだと。  一方で児童自立支援施設が決して儲け主義の下でないというのは社会福祉法人ならば 当たり前なのですが、しかしどんな人でも担い手になり得るという話になると、そのこ とについて公の責任としてきちんとどういう処遇がなされているのか、国と地方公共団 体が保護者とともに究極まで責任を負わなければいけないわけで、やはりそこのところ がクリアできない、あるいはそこに非常にリスクが残るという状況で、なおかつ本来行 政がやるべきことを民に付託するという話にはならないのではないかということです。 ○津崎座長  いずれにしましても、民を考えるについてはクリア条件ですね。各委員がおっしゃっ ているのはいろいろなクリア条件があるということを踏まえて、少なくとも子どもがし っかりとそこで守られる、あるいは子どもの教育・自立が保障されるという要件に合致 するようなものをしっかりと踏まえて、あり方を検討することが必要なのだというスタ ンスですね。それをしっかりと押さえていただければと思います。この問題はこれでよ ろしいでしょうか。  次のテーマですが3「関係機関等との連携について」の(1)「児童相談所との連携につ いて」の部分の意見をいただきたいと思います。どなたからでも結構ですが、いかがで しょうか。   ○吉岡委員  重要な児童相談所との連携について3行しか書いていないのですが、それにしても「き ちんと連携して、入所の円滑化、親への関わり方、社会復帰後のアフターケア」と書い てありますが、入所の円滑化は入る前の話でしょう。次は親のことでしょう。次は出た 後のことですよ。施設にいるときのことが入っていないですね。だから自立支援計画の 具現化とか、何かそういうことが入っていないと、肝心なところが抜けている気がしま す。そのために児童相談所との連携が必要だということで。   ○津崎座長  はい、おっしゃる通りです。   ○野田委員  同じ趣旨なのですが、先程の支援計画と併せて、児童相談所の側にも例えば処遇指針 をちゃんと送るとか、定期的に訪問をして打ち合わせをするとか、失礼な話のように聞 こえますが、実際にリサーチしてみると行われていないのです。入れて終わりとか、あ る日突然連れてきておしまいとかいうことが、実例としてもあるのです。ここの委員会 の立場としては、この項目は両方にそういうことを訴えるということでもよさそうに思 うのです。   ○津崎座長  要はそのプロセスの中でしっかりと連携協議をして、子どもの自立支援の具体的なあ り方を両方が考えるという連携ですね。他にはいかがでしょうか。   ○服部委員  (1)と(2)の間に警察・学校と児童相談所の連携という項目を置く必要があると思います。 あるいは、(1)のサブカテゴリーになるのかもしれません。  この研究会では児童自立支援施設のあり方に焦点が当てられていますが、やはり発見 段階を含めた全体像を捉えないと根本的な検討にならないと思います。そこで学校と児 童相談所、警察と児童相談所が連携を強化していくために、児童相談所に非行問題専門 の部局と人を配置し、その上で、児童自立支援施設が児童相談所とどう連携をしていく のかという全体のシステムを構想していく必要があると思います。 ○津崎座長  この部分では先駆的には人事交流を図って、両方の強化にいろいろ寄与するような取 り組みをされている所があります。そういう意味では、適切な人事交流のあり方という こともこの中に入れ込んでいただいてもいいのではないかと思います。他にはありませ んか。  次に移らせていただきます。  次は「関係機関等との連携について」の中の(2)「学校等教育機関等・少年院等との連 携について」という部分についてご意見をいただきたいと思います。どなたからでも結構 です。いかがでしょうか。 ○吉岡委員  この研究会が始まる以前にも少年法改正の問題等で少年院が浮上してきていますけれ ども、上から三つ目の黒ポチの所に書いてあります少年院との連携というのはないよう な気が基本的にはしています。議論の中でどういう子どもをどういった所でどういうよ うに処遇するかことはあったとしても、それよりもっと先に連携しなければいけないの は上から4行目に書いてありますように、医療ということがもっと大きくクローズアッ プされるべきだと思います。この間の杉山先生のご発言でも非常に遅れていると言われ ているわけですから、いろいろな所で児童自立支援施設の子どもが早期に医師の診断を 受けていなくて、それによって対応が遅れているというのは根本的な問題ですから、連 携という意味ではまずそちらの方を重視するべきだと思います。 ○津崎座長  多分少年院との連携で課題になっているのはノウハウの共有化ではないのかと思いま す。少年院の場合は具体的な教育のプログラムをかなり作っておられて、児童自立支援 施設の場合はどちらかというと経験型と言うか、プログラム形成が若干十分ではなかっ た部分があるので、多分その辺のノウハウの連携ということに意味が置かれているので はないかと思います。 ○岩田委員  連携ということなので理解はできるのですけれど、最後の黒ポチの「児童養護施設の 地域小規模児童養護施設や自立援助ホーム活用するなど」という所は、目的がどういう ことなのかという表現がやはり必要なのだろうと思うのです。児童自立支援施設で子ど もたちを生活させて、それから実際に社会に戻して、そしてその自立を支えるという作 業が極めて重要な側面であって、そのためには単に児童自立支援施設だけではなくて、 いろいろな社会資源との連携で本当に支える体制を作っていって効果を上げていくとい うことが必要なのだという表現を入れないといけないのではないかと思います。 ○津崎座長  全般的に言えることですが、目的と言うか、意味する背景の課題点をもう少し具体的 に書きつつ、制度という形にしていただくとよりわかりやすいと思います。その辺のご 配慮をお願いしたいと思います。他にご意見はありませんか。  それでは全体を通して、この点は言い残したことがあるとか、あるいは先程話題に出 ましたが、むしろ初めに、あるいはまとめにもう少しこういう点も書いてほしいとか、 そういうご意見も含めて、最後に意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○山内委員  全体的にお願いしたいと思っている点は、やはり今まで議論をさせていただいた中で 先程からも出ておりますが、児童自立支援施設はかなり難しい子どもの処遇を扱ってい る上で、人・職員が一番大事なところです。その専門性という点から言うと、今お話が あったように処遇の方法であるとか、あるいは新たな機能、それぞれの運営の形態、民 営化、それぞれのところがすべて職員の専門性をいかに高めるか、あるいは職員がそう いった技術をきちんと持ちながら今の子どもたちに人権上の問題もクリアしながら適切 にやっていくかというところが一番大事な部分ではないかと思っています。ですからこ のように縦でそれぞれの課題に分けた部分はあるのですけれども、一方ではそこを輪切 りにするような形で、職員の専門性の維持というものをきちんと何らかの形で記載して もらって、そういった専門性を確保するためには研修であるとか、あるいは人事交流で あるとか、あるいはそれぞれの役割のある専門職がきちんとその施設の中で位置付けら れているとか、あるいはそういった職員がどのように処遇されているのか、そういった 面も含めてそれぞれの課題ではない、人というところに注目して、何らかの形で記載を していただけるとありがたいと思います。人をきちんと配置することと、その人がうま く働けるような施設、箱ものの整備の部分が、これからの児童自立支援施設ではすごく 大事な方向ではないかと思いますので、どこかにうまく記載をしていただければありが たいと思います。 ○津崎座長  今のご意見だと中途で入れるというよりも、それが全般的に最も重要な事項であり、 むしろ初めかまとめの所で強調して書く方がよいということなのでしょうか。 ○山内委員  重複する所もあるかとは思いますが、できればそのような形で記載していただければ ありがたいと思っています。 ○津崎座長  他に全体を通してのご意見はありませんか。 ○服部委員  案には「今後検討する」という表現がたくさん出てきます。この研究会では時間の制 約もあり、また児童自立支援施設については検討項目がたくさんありますので、そのす べてを議論したわけではなく一部だと思うのです。しかしその中に具体的な提言があっ たと思うので、最小公倍数的に検討項目を並べるということではなく、児童自立支援施 設のいい所を継承し、補っていくべき点はこういう事だということを、踏み込んで明確 に提言を出していくことが必要だろうと思います。それに当たっては提言の執筆につい て任せたままではなく作業にぜひ加わらせていただければと思います。協同作業として 発信していきたいと個人的には思っています。 ○野田委員  私も総論と言うか前文的になると思いますけれども、先程も申し上げた児童福祉法第 2条の「国と地方公共団体が」ということ、つまり公の責任の部分を明確にしていただ くと同時に、非行という形で出てきているけれども、先程の被害者性とまで言えるかど うかと言うといろいろな子どもがいると思いますが、やはり我々社会が育てきれていな かったそういう子どもたちの問題として福祉のサイドでもきっと受け止めていくのだと、 このことは児童自立支援施設だけではなくて、これも先程出ていましたが児童相談所あ るいは児童相談体制全体で受け止めていく、そしてその中の非常に重要な中核機能とし て児童自立支援施設が存在するのだという位置付け。それから言い回しで、私は障害が 専門ではないのでよくわからないのですが、随所に発達障害等という表記がされていま す。この辺り、多様な発達障害の関係者の方々にとってもある意味での負担になりうる と思います。昨今の流れで言えばむしろ虐待の方が圧倒的に要素としても大きいし、先 回の杉山先生のお話の中でもそこのところの切り分けの課題などもありますので、この 辺りは私も人ごとで何がいいのかわかりませんが、ご検討いただいた方がいいのではな いかと感じています。 ○津崎座長  まとめの仕方なのですが、事務局で考えておられたのは今日の論議を踏まえて、提示 いただいた案をさらに加筆・修正をしてまとめのたたき台を作っていただいて、それに 基づいてもう一度論議をしてという手順だと思うのですが、今の服部委員からはむしろ 文書作成にもできたら自分たちの意見を提示させてほしいというご提案だと思います。 例えば今日の骨組み的な下案に対して、ここの部分で例えば文章化と言うか、あるいは こういう問題についてこういう押さえ方の文章が入らないかというようなものを、場合 によっては各委員それぞれの思いのあるものを事務局にファックスなりメールなりで届 けていただいて、文章再構成のときにそのまま載せるかどうかは別にしまして、全体の 流れもありますでしょうから加味いただいて、次のまとめの案作成にしていただくとい うことは可能でしょうか。 ○服部委員  もう一つの方法として、少し早めに素案を用意いただければメールもありますので意 見を加えて成案に近いものを用意して、それを検討する方がよいのではないかと思いま す。 ○津崎座長  つまり、事務局で今日の論議を踏まえてまとめの案を作っていただき、それを委員に 発信して委員がそれぞれの意見をそこにさらに加えたものを事務局に集めるというご提 案ですか。 ○服部委員  はい、そうです。 ○津崎座長  ただ、日程的にどうなのでしょう。 ○清川家庭福祉課長  今回の資料もできる限り事前にお渡ししようと思っていたのですが、次回は報告書の 案をお出ししようかと思っていますので、今回よりはもう少し時間の余裕をもってお送 りしたいと思っております。そこでいただいたご意見を集約してまた作り直すというこ とになりますと、次回は1月25日ぐらいを予定しているので、ややタイトかと思って おります。場合によっては先程津崎座長が言われましたように、例えば今の段階で文章 案のようなものがあれば25日にまとめる前の1週間か10日ぐらい前に送っていただけ れば、それらも踏まえて文章を構成した上で、もう少し余裕をみた形で事前に送るとさ せていただければ非常にありがたいと思います。 ○津崎座長  事務局からは今のようなご提案です。 ○服部委員  できる事はさせていただきたいと思っていますけれども、今日の会議を集約いただい て、それに意見を加えるという方が作業としてはうまくいくのではないかという予想な のですが。  これは津崎座長のご判断にゆだねたいと思います。 ○津崎座長  1月25日にかなり完成度の高いものをまとめようとすると、後からばらばらと来ると いうことであれば、かなり作業は大変だということですね。 ○清川家庭福祉課長  そうです。送ってからまたいただいて集約し直すということになりますと、最初に送 ってから10日から2週間程度見なくてはいけないことになりますので、1月25日まで に仕上るためには1月10日ぐらいに報告書案をお送りしなければならないということ になりますが、私どもは当然議事録などを見ながら作業をさせていただくことになりま すので、そうなりますと日程的に少しきつくなるかという気がします。あるいは、次回 の日程をもう少し遅い時期に持つということは可能です。 ○津崎座長  1月25日をもっとずらすと、服部委員からご提案いただいたように事務局が一定にま とめて、それに対して意見を出して、もう一度まとめるということになると思います。 そうすると日程的なことから言うと2、3週間はずれるということですね。 ○清川家庭福祉課長  そうです。あるいは、もう一つのやり方としましては、1月25日に出させていただき まして、そこでご議論いただいて、場合によればそのご議論も踏まえて、お忙しいとこ ろ恐縮ですがもう1回会を持っていただくか、両方のやり方があるのではないかと思い ます。 ○津崎座長  意見でいろいろ言う作業も必要かもしれませんけれども、もっと文章としてこういう 表現を具体的に盛り込みたいということになってくると、文字として出てきている方が いいのでしょう。 ○服部委員  やはりあった方が作業はやりやすいと思います。私ばかり発言してしまっていますけ れども、インパクトを与えるものを作りたいという気持ちは同じだと思いますので、他 の委員の方々も具体的にどうしたらいいのかぜひお考えを示していただいて、より良い ものを作っていくということになればと思います。 ○津崎座長  他の委員の方はいかがですか。 ○岩田委員  今日の議論はかなりいろいろな議論ですし、表現の問題なども出ましたので、そうす ると事務局の方でまとめるのもかなり時間がかかるのかなというのが率直な感想です。 ただ、今日の会議も事前にということで今日見たのですけれども、それではもう間に合 わないのです。だから、多少時間的な余裕をみて場合によっては日程を遅らせてもらっ て、ある程度今日の意見を集約したものに対して意見を出せるような日程でやっていた だけたらと思います。 ○清川家庭福祉課長  わかりました。それでは委員の皆さまのご意見にありましたように、かなり多岐にわ たっておりまして、良いものを作るためにはこれからかなりの時間をかける必要がある と思いますので、服部委員が言われたようにこちらの方で案を作りまして、意見をいた だき、それをさらに集約して研究会に出すというのが適切であるならば、1月25日の予 定を少し後にずらしまして2月の初旬ぐらいに次回の研究会を持つということでよろし ければ、私どもの方はそれで結構です。 ○津崎座長  むしろ、たたき台を早くもらう方がいいのです。 ○清川家庭福祉課長  ですから、たたき台を例えば1月20日ぐらいに委員の皆さまのところにお送りして、 ご意見をいただきまして、それを踏まえてもう一度直したものを2月の初旬ぐらいにお 出しするということです。 ○津崎座長  1月25日に予定しているのであれば、むしろそのときに原案を提示していただいて、 それを踏まえて各委員がこの事はこのように変えられないかとか、こういう文章を挿入 できないかというものを持ち寄って、その次には具体的な文章構成をできるような形は 難しいですか。 ○白石審議官  その場合は1月25日の後にもう一度あるという前提ですか。つまり2回方式という ことですね。 ○津崎座長  そうです。2回は大変ですか。 ○服部委員  何でもやろうという気持ちでいます。 ○津崎座長  だから20日なら20日にお配りいただいて、その下案に基づいて各委員に具体的な文 章を考えていただいたものを25日に持ち寄って、そしてそこでかなり完成度の高い文 章の構成にしてその次の最終に決定をするということでいかがでしょうか。後2回ある ということになります。  よろしいですか。いいようです。 ○清川家庭福祉課長  それでは、よろしくお願いいたします。 ○津崎座長  25日は引き続きということですが、事務局の方から日程も含めて再度説明をお願いし ます。 ○芝海家庭福祉課係長  次回の研究会については先程からお話が出ていますけれども、1月25日を候補として 考えておりまして、時間等の詳細につきましては後日事務局よりご連絡させていただき たいと思っております。その次の日程調整につきましても、改めてお願いしたいと思い ます。 ○津崎座長  それではこれをもちまして、今日の研究会は終了します。 (了) 照会先  雇用均等・児童家庭局家庭福祉課措置費係(内7888) 35