05/12/20 平成17年12月20日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品 部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日 時:平成17年12月20日 (火) 14:00〜16:00 ○場 所:経済産業省別館1020号会議室 ○出席者: 委 員  井上(達)委員(部会長)、小沢委員、加藤委員 志賀委員、中澤委員米谷委員、山添委員、吉池委員 事務局  松本食品安全部長、南野企画情報課長、 伏見基準審査課長、加藤課長補佐、長谷部課長補佐、 河村課長補佐、近藤専門官 ○議 題  (1)食品中の残留農薬等に係る基準の設定について  (2)その他     ○事務局 若干早いわけでございますけれども、皆様おそろいというこ とでございます。 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審 議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきま す。本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。ど うぞよろしくお願い申し上げます。 開会に当たりまして、まず、松本食品安全部長からごあいさつを申し 上げます。 ○食品安全部長 先生方におかれましては、年末の大変お忙しいところ 当部会に御出席いただきまして、ありがとうございました。 また、日ごろより食品衛生行政の推進につきまして、種々御協力をい ただきまして、重ねて御礼申し上げます。 まず初めに、委員の皆様方に御礼を申し上げたいと存じます。本部会 におきまして、数多くの御審議を賜りました、農薬等残留基準にかかる ポジティブリスト制度につきましては、11月29日づけで、一律基準等 を規定した告示を始め、ポジティブリスト制度に関します関係法令を公 布することができました。このことにつきまして、改めて御礼申し上げ ます。 本日は、食品中に残留する農薬であります、オリサストロビン及びピ ラクロストロビンの残留基準について御審議をいただくこととしており ます。 農薬のピラクロストロビンの基準につきましては、11月29日づけの 告示に含められておりますが、今般食品安全委員会におきまして、AD Iが設定されましたことから、科学的暴露評価に基づいた基準値案につ き御審議をいただくものです。 新規の化合物であります、オリサストロビンと併せまして、この2品 目について御審議をいただくようお願い申し上げます。 また、暫定基準を設定いたしました農薬等につきまして、今後、食品 安全委員会へ食品健康影響評価を依頼することとなっておりますが、そ の際の計画につきまして御報告をさせていただく予定です。 簡単ではございますけれども、部会の開会に当たりましてごあいさつ 申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○事務局 ありがとうございました。 本日は、青木委員、井上松久委員、大野委員、下田委員、豊田委員よ り、欠席の御連絡をいただいております。 「農薬・動物用医薬品部会」の委員13名中8名の御出席をいただいて おり、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立 しておりますことを御報告いたします。 それでは、井上部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後 の御審議、よろしくお願い申し上げます。 ○井上(達)部会長 それでは、部長もおっしゃっておられましたよう に、寒い中、年度末のお忙しい中御参集いただきまして、御苦労様でご ざいます。 最初に資料確認ですね。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。お手持ちの「議 事次第」を参考にしていただければと思います。 まず、資料1でございます。こちらは「オリサストロビン(農薬)」 についての資料でございます。ページ数は全ページで1ページ〜43ペー ジです。資料1−2としましては、37ページから始まるものとなってお ります。 次に、資料2についてでございます。こちらは「ピラクロストロビン (農薬)」についての資料となっております。ページ数は全ページで1 ページ〜53ページです。資料2−2としましては、41ページから始まる ものとなっております。 また、本日は報告資料といたしまして、1枚添付をしております。内 容は「暫定基準を設定した農薬等の食品健康影響評価依頼計画」でござ います。 参考資料1として「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農産物・蓄 水産物摂取量(平成10〜12年の国民栄養調査の結果より)」の表でござ います。 参考資料2として「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評 価結果について」となっております。 以上、落丁等ございましたら、事務局までお願いいたします。 ○井上(達)部会長 過不足等ありましたら、事務局に申し越しくださ い。 それでは、部長も御説明くださっておりますので、早速農薬のオリサ ストロビンについて、事務局からの御説明をお願いいたします。 資料作成に当たって、関係の委員にあらかじめ資料等について御検討 をいただいております。お断りしておきます。よろしくお願いいたしま す。 ○事務局 それでは、ただいまから資料1に基づきまして、オリサスト ロビンにつきまして説明させていただきます。 資料1−1の1ページ目でございますけれども、これにつきましては、 食品安全委員会でとりまとめられまして、本年12月8日づけで当方に通 知があった評価書でございます。37ページからは、資料1−2となって ございまして、これは本部会の報告書案となってございます。それでは、 資料の説明に入らせていただきます。 資料1−1の6ページ目から、これまでの審議の経緯が示されており ます。オリサストロビン自体は、平成14年11月28日にイネについて農 薬登録をするということで申請がなされたものでございます。 このことを受けまして、平成16年2月3日に、厚生労働省から食品安 全委員会に対しまして、残留基準設定に係る食品健康影響評価について 要請を行ったということでございます。 食品安全委員会の方で、数回審議を行っていただきまして、本年12 月8日にこの評価書がとりまとめられて、当方の方に通知が返ってきた ということでございます。 食品安全委員会におきます報告書について、8ページ以降で簡単に御 説明申し上げます。 オリサストロビン自体は、ストロビルリン系の殺 菌剤ということで、ミトコンドリア内のチトクローム電子伝達系阻害に よる呼吸阻害により殺菌活性を示すということが言われております。こ の物質自体は、我が国で初めて登録申請されるものでございまして、現 時点で他国では登録されてないということでございます。 オリサストロビンにつきまして、毒性評価ということで各種試験が行 われております。28ページから「III .総合評価」というものが書いて ございますので、それに基づきまして試験の概要、またその評価につき まして簡単に説明させていただきます。 まず、ラットを用いました、動物体内運命試験というのが行われてお りまして、この物質自体の排泄経路というのは、大体投与量の50〜60% ぐらいが尿中であったと、ただし、オリサストロビンは検出されず、代 謝物という形でF010 、F007 というような代謝物が尿中に検出されて いるということでございます。 また、水稲を用いました、植物体内運命試験では、根から吸収されて 容易に茎を通りまして地上部に移行すると。ただ、穂への移行は、茎や 葉よりも少なかったということが示されているということでございます。 また、抽出可能であったという主成分として、オリサストロビン本体、 また代謝物のF001 というものが抽出されたということでございます。 土壌中の運命試験でございますが、その半減期は、水中では6日、土 壌中では294 〜318 日ということが示されております。水中加水分解試 験では、加水分解試験ではほとんど分解しないということでございまし て、光分解試験では速やかに分解するということが認められております。 また、オリサストロビンと代謝物に関する作残データも提出されてお りまして、その結果から暴露評価の代謝物としては、食品安全委員会と してはオリサストロビンと、その異性体でございますF001 というもの の和で設定するということが示されております。 続いて、各種毒性試験の結果でございますが、オリサストロビンの急 性毒性でございます。急性経口のLD50は、ラットの雄で356mg/kg体 重/ 日超ということでございます。雌では、356mg/kg体重。経皮のLD 50は、ラットの雌雄で2000mg/kg 体重超。急性吸入LC50は、ラット の雄で4.12mg/ L、雌で1.04mg/ Lということでございました。 亜急性毒性試験の無毒性量は、ラットで6.8mg/kg体重/ 日、イヌで2 7.5mg/kg 体重/ 日であったということでございます。 ラットの亜急性毒性試験で、十二指腸粘膜に肥厚が認められたという ことがあります。また、ラットの慢性毒性、また発がん性併合試験でご ざいますけれども、そこで十二指腸と甲状腺に腫瘍が認められたと。ま た、マウスの発がん性の試験で、十二指腸に腫瘍が認められたというこ とがございましたので、食品安全委員会の方で更にその腫瘍の発生機序 に関する試験を追加で実施しております。 その評価の結果、いずれの腫瘍の発生機序につきましては、非遺伝性 のメカニズムのものであったということで、評価に当たってもその閾値 を設定することが可能ということで結論づけられております。 十二指腸につきましては、この物質自体が鉄の吸収阻害とか輸送を阻 害するということで、鉄結合の貧血を誘導するということで、十二指腸 の粘膜上皮の増生が亢進してしまうということで、このような結果にな ったのではないかということです。 甲状腺につきましては、甲状腺ホルモンの代謝の変化が肝臓の方で起 こりまして、それに伴うフィードバックの機構が活性化したと。それで、 甲状腺の刺激ホルモンが増生して、濾胞細胞の増殖が刺激されたんでは ないかということで、いずれにしても非遺伝性のメカニズムであるとい うような結論づけで、この試験の評価がされているところでございます。 慢性毒性試験、また発がん性試験の下で得られた無毒性量でございま すけれども、イヌで27.5、マウスで26、ラットで5.2 でございました。 2世代繁殖試験では、繁殖に対する影響は認められなかったというこ とでございます。 発生毒性試験においても、催奇形性は認められなか ったということでございます。 遺伝毒性試験では、一部のin vitroの染色体異常試験で陽性反応が認 められましたけれども、そのほかはすべて陰性であったと。 この陽性が認められたin vitroの実験におきましても、再現性に問題 があるということと、陽性となる用量範囲が非常に狭いということ。ま た、十分高用量で検討されたin vivo での小核試験で陰性となっている ということから、生体に問題になるような遺伝毒性の発現はないという ことで結論づけられているところでございます。 代謝物につきましても、遺伝毒性試験が行われておりますけれども、 結果はすべて陰性であったということでございます。 次の30ページでございますけれども、これら各種試験の無毒性量の一 覧が表26で示されてございます。ラットの24か月間の慢性毒性/発が んの併合試験におきまして、雄で5.2mg/kg体重/ 日という数字がござい ますが、この値を食品安全委員会としましては、ADIの設定根拠とし ております。 この結果から、最終的に安全係数100 で割った値として0.052mg/kg 体重/ 日というのが、一日摂取許容量(ADI)として設定されている ところでございます。30ページの下のところでございます。 以上が、食品安全委員会がまとめました食品健康影響評価の結果でご ざいます。 この評価の通知を受けまして、当該農薬につきまして資料の一番最後 の43ページでございます。12月15日づけで薬食審の方に、この物質に ついて残留基準を設定するということにつきまして、諮問をいたしてお ります。 また元に戻りまして、37ページでございます。ここからが、部会の報 告書案ということで、事務局の方でまとめさせていただいたものでござ います。 先ほど申しましたとおり、オリサストロビン自体は、今回新規で農薬 登録の申請がなされているものでございます。5番のところに、適用の 範囲等々書いてございますけれども、適用の病害は、イネのいもち病と、 次のページでございますが、紋枯病という病気でございます。 ここで表の訂正でございますけれども、上の欄のところに「適用害虫 名」と書いてございますけれども、これは「適用病害名」ということで 訂正をさせていただきたいと思います。 5番の(1)と、次のページの(2)ということで、使用の方法、使 用時期が記されております。これが、登録に当たっての適正使用の範囲 ということになろうかと思います。 次に項目6でございますけれども、 作物残留試験が行われてございます。提出された試験成績をまとめたも のが、39ページの表3でございます。基本的に示されている使用条件下 で使用した際に、最も多く残留すると考えられる時期のデータ等々に関 して記載されているものでございます。 項目7でございますけれども、この物質につきまして、乳牛各群2頭 を用いまして、7日間連続して経口投与いたしまして、乳汁での残留試 験を実施しております。そうしたところ、乳汁からはオリサストロビン は、また代謝物F001 とF033 でございますけれども、検出されなかっ たということが示されております。 次に40ページでございますが、中段にまいりまして、先ほど食品安全 委員会の評価いただきましたADIでございますが、0.052 という数字 を記載させていただいております。 また、諸外国の使用状況というこ とでございますけれども、さきにお話ししたとおり、この物質につきま しては、我が国が世界で初めて使用についての登録がなされるというこ とで、念のためコーデックス、米国、カナダ、EU、オーストラリア、 ニュージーランドの状況について調査しましたところ、登録または残留 基準の設定はないということでございました。 最後に、基準値案の説明に移らせていただきます。まず、規制の対象 でございますけれども、今回オリサストロビンと代謝物F001 の総和と させていただいております。作物残留試験では、代謝物としまして、F0 01 のほか、F033 というものについても実施したということでございま すけれども、植物体内運命試験と作物残留試験におきまして、可食物で ある玄米中において、このF033 の検出がないということがありました ので、今回は規制の対象物とはしないということで、案として挙げさせ ていただきました。また、これにつきましては、食品安全委員会の評価 書においても、同様の記載としております。 作残試験の方から、基準値案を上げさせていただきます。42ページの 上の表でございます。基準値としまして、米、これは玄米ということに なりますけれども、基準値案として0.2ppmという数字を今回、案として 挙げさせていただきました。 41ページにまた戻っていただきまして、この数字で暴露評価を行いま した。今回は基準値で、TMDIで理論的な最大摂取量ということで計 算したところ、ADI比は国民平均で1.3 、幼小児で2.4 、妊婦さんで 1.0 、高齢者の方で1.3 という、かなり低い数字で収まっておりますの で、基準値案の数字を基準値と設定しても安全性には問題はないという ふうに考えております。 最後に42ページに、先ほどの基準値の案の下のところでございますが、 答申(案)という形で記載させていただいております。米(玄米をいう) で、残留基準値0.2ppm。その範囲としまして、※でございますけれども、 オリサストロビン本体とその異性体の部分、先ほどF001 と言っており ましたけれども、その部分を書いてございます。その総和として、0.2 という記載になっております。 以上でございます。御審議の方、お願いいたします。 ○井上(達)部会長 御説明ありがとうございます。今の御説明にもあ りましたように、今回、イネだけを対象にした形での申請でございます。 諸外国での登録がありませんので、ここでの評価が責任を問われるとい うことになろうかと思います。毒性を拝見しますと、大変低いもののよ うで、ターゲットは細胞毒性で刺激性が強くて、粘膜が障害を受ける直 接障害、そういったものが主な毒性のターゲットなのですけれども、私 はそういうふうに拝見いたしました。 それでは、早速審議に入りたいと思います。御意見、コメントなどあ りましたら、どうぞよろしくお願いいたします。 米谷先生、よろしくお願いいたします。 ○米谷委員 本剤オリサストロビンの化学名が37ページに載っており ますけれども、日本語に訳して書いてありまして、化学名の3行目のと ころが「N−メチルアセトアミド」ということになっております。 次に代謝物ですけれども、38ページのところの、EZE体、代謝物F 001 というものですけれども、最後が「N−メチルアセタミド」という ふうになっております。同じくEEZ体、代謝物F033 の方も「N−メ チルアセタミド」ということでございます。この言葉を探していきます と、40ページの「10.基準値案」のところで、3行目にやはりF001 の 名前として「N−メチルアセタミド」というのが出てまいりまして、最 後の答申のところにも勿論この「N−メチルアセタミド」というふうに 出てまいります。 英語で書けば同じなのですが、日本語で書くときに「メチルアセトア ミド」か「メチルアセタミド」かということで、多分「メチルアセトア ミド」の方が正しいのではないかと思うのですが、直すときにほかの薬 事法の動物薬とか医薬品の方とそろえて直されたらいいかと思いますし、 ここだけで直すんでしたら、英語でできるなら英語で書けば別に問題は ないんですが、日本語で書くと「メチルアセトアミド」か「メチルアセ タミド」かというのが不統一でございますので、それを指摘させていた だきます。 ○井上(達)部会長 それでは、ここではどのようになっているかを横 並びでお調べいただいて。 ○事務局 統一させていただきます。 ○井上(達)部会長 ほかにはございませんか。 加藤先生、お願いします。 ○加藤委員 食品安全委員会の方の評価書でちょっと気になる表現があ りますので、それについてコメントさせていただきたいと思います。 13ページの「6.乳汁への移行試験」なんですが、この真ん中辺りに 「オリサストロビン、2種類の変化生成物F001 及びF033 の最大残留 濃度0.89、0.04及び0.14mg/kg の2倍量が残留し」と書いてあるんで す。 それから、その下の「7.作物残留試験」の一番下の「稲わら中の最 大残留値は1.68mg/kg であった」ということで、同じ稲わら中の最大残 留量で、矛盾した数字を並べてしまっております。実際に、これは当初 計画した段階から上に書いてあったような、全部の作残データが出てい なくて0.89でやられて、最後に全作残のデータがそろったら、そうでは なくて1.68なり、ここに書いてとおり大体倍ぐらいのところが実際の最 大残留量であったというところだったと思いますので、ここの表現をも うちょっと食品安全委員会で考えられた方がいいのではないかというコ メントです。 ○井上(達)部会長 そういう指摘を申し送るしかないんですか。 ○事務局 はい。 ○井上(達)部会長 よろしくお願いいたします。 ほかにはいかがでしょうか。 評価書に続いて、この部会の本務の資料1、2に関しては、いかがで しょうか。オリサストロビンの(案)というところからです。ADIを 導き出した経過、あるいはTMDIですか。そして、答申(案)そのも のですね。0.2ppm。 中澤先生、お願いします。 ○中澤委員 大変マイナーな質問なのですが、38ページの分析の概要の ところでちょっと、「分析対象の化合物」というのは3点を中ポチで付 けておりますが、親化合物はわかるのですけれども、この代謝物のF00 1 とF033 というものの標品は入手することができるのでしょうか。 ○事務局 分析の関係でございますので、多分できると思っております けれども、また別途確認させていただきます。 ○井上(達)部会長 ほかにはいかがでしょうか。これは、イネ以外の ものに拡張されれば、また申請されるわけですけれども、見通しとして はわからないわけですか。使われる見通しはあるのですか。 農水省の方、お願いします。 ○農林水産省 現在のところ、イネ以外に適用拡大をする予定はないと いうふうに聞いております。 ○井上(達)部会長 特に、ほかにコメント等ございませんか。毒性に 戻っていただいても結構です。 それでは、御意見ございませんようですので、本報告案をもちまして、 当部会の報告ということにさせていただきたいと思いますが、よろしゅ うございますか。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。それでは、御審議終了い たします。 次にもう一剤ございまして、農薬のピラクロストロビンの審議に入り たいと思います。事務局、御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料2に基づきまして、ピラクロストロビンにつ きまして説明させていただきます。 先ほどと同様に、1ページ目から資料2−1でございますが、これに つきましては、食品安全委員会でまとめられまして、今年の9月22日づ けで当方の方に通知のございました評価書でございます。 41ページから、資料2−2となってございます。これは、本部会の報 告書案ということで、当方でまとめたものでございます。 本物質につきましては、食品安全委員会から評価書の案の時点で本年 3月31日づけで薬食審の方に諮問させていただいております。これが、 資料の53ページでございます。 それでは、資料の説明に入らせていただきます。資料2−1の6ペー ジに、これまでの審議経過が記されてございます。この物質につきまし ては、平成13年10月31日に農薬登録の申請がなされております。これ を受けまして、平成15年11月17日に食品安全委員会の方に当方から、 残留基準設定に係る食品健康影響評価について要請をしたところでござ います。 食品安全委員会での審議を経まして、本年9月22日に、先ほど申しま したとおり、通知書で評価書の方が当方の方に来たということでござい ます。 食品安全委員会の報告につきましては、7ページ以降でまた簡単に御 説明申し上げます。 1枚めくっていただきまして、8ページでござい ますが、ピラクロストロビン自体は、先ほどのオリサストロビンと同様、 ストロビルリン系の殺菌剤でございまして、ミトコンドリア内のチトク ローム電子伝達系阻害による呼吸阻害により殺菌活性を示すということ が言われております。ただ、本物質につきましては、先ほどと違いまし て、既に米国を始めとする諸外国で登録があるということでございます。 ここでは、スイス、ドイツ、イギリス、フランスということで、ヨー ロッパの方のことが書いてございますけれども、調べましたところ、米 国、オーストラリア、カナダ等でも登録されているというふうに聞いて おります。 各種毒性試験につきましては、30ページからの「III .総合評価」と いうところに基づきまして、各種の試験の要点について説明させていた だきます。 まず、ラットを用いました、動物体内運命試験でございますが、主な 排出の経路としましては、糞便中ということでございます。主要な代謝 物としてM08という代謝物があったということが認められております。 植物の体内運命試験につきましては、ブドウ、バレイショ、小麦、ハ クサイ等を用いて行われてございまして、主要代謝物はM07、M72であ ったとされております。 土壌中の運命試験では、本剤につきまして土壌中半減期は12〜14日と。 代謝物につきましては、少々長くて120 〜160 日前後であったというこ とでございます。 水中加水分解また光分解の試験では、加水分解的には非常に安定して いるところですが、光分解によって速やかに代謝したということでござ います。 ピラクロストロビンの作残試験でございますけれども、代謝物につい ても検討されておりまして、多くの作物で検出限界以下、また検出され ても非常に微量であったという結果が出ております。 食品安全委員会からの評価では、暴露評価の対象としましては、ピラ クロストロビン本体、親化合物のみという設定をしてございます。 続きまして、各種毒性試験の結果でございますが、ピラクロストロビ ンの急性経口のLD50は、ラット及びマウスで5000mg/kg 体重超。経皮 のLD50は、ラットで2000mg/kg 体重超。吸入LC50は、ラットで0. 31〜7.3mg/Lであったということでございます。 亜急性毒性の無毒性量は、イヌで5.8 、ラットで10.7、マウスで9.2 であったということでございます。神経毒性は、認められていないとい うことでございます。 ストロビルリン系化合物ということで、オリサストロビンと同様に十 二指腸への影響につきまして考察されております。一部の試験で、十二 指腸粘膜に肥厚があったということで考察されておりまして、当該物質 については、そもそも変異原性がないということと、投与を中止すれば それぞれの症状が回復するということで、十二指腸に対する毒性につき ましては、閾値があるということで結論づけられております。 また、ラットの方で認められました溶血性の貧血というものにつきま しては、先ほどの鉄の輸送、吸収について、この物質については阻害の 傾向があるということがございまして、それらの影響によります低色素 性の貧血というふうに結論づけてございます。 慢性毒性試験、また発がん性試験で得られました無毒性量は、イヌで 5.4 、ラットで3.4 、またマウスで4.1 という結果でございました。発 がん性は認められてございません。 2世代の繁殖試験では、繁殖に対 する影響は認められてございません。 発生毒性試験では、催奇形性は認められておりません。 遺伝毒性につきましては、すべての試験で陰性でございました。 また、代謝物についても、遺伝毒性試験が行われてございますが、結 果は陰性で遺伝毒性を発現しないというふうに考えられてございます。 1枚めくっていただきまして、32ページでございますが、また各種毒 性試験の無毒性量の一覧を表にまとめてございます。 1つは、ラットの24か月間慢性毒性試験でございますけれども、雄の 3.4mg/kg体重/ 日という数字と、ラットの発がん性試験、これも雄でご ざいますが3.4mg/kg体重/ 日という数字が無毒性量として求められて ございます。この2つの値を、食品安全委員会としましては、ADIの 設定根拠としております。 次の33ページの中段に書いてございますが、この数字を根拠といたし まして、安全係数100 で割った値、0.034mg/kg体重/ 日というものを、 一日摂取許容量(ADI)として設定したということでございます。 以上が、食品安全委員会の方でまとめていただきました、食品健康影 響評価の結果でございます。 それに基づきまして、事務局の方で作残試験結果等から、残留基準値 の案をまとめてございますが、それが資料の41ページからの資料2−2 でございます。 41ページでございますが、先ほど申しましたとおり、ピラクロストロ ビン自体は我が国では初めて農薬登録の申請がなされているということ でございます。 5番目のところに、ピラクロストロビンの適用範囲と、その使用方法 が列挙されております。今回、国内の登録につきましては、リンゴ、ナ シ、ブドウ、キュウリ、カボチャ、ハクサイ、オウトウというものにつ いての登録申請が出ているものでございます。それらにつきまして、国 内で残留試験が行われておりまして、次の42ページから結果が記載され てございます。まとめたものが、44ページの「作残残留試験成績」とい う表の部分でございます。 7番目のところに、先ほど食品安全委員会の方でまとめていただきま したADIが、次のページにかけて書いてございまして、ADIとして 0.034mg/kg/dayということでございます。 8番目に、諸外国の使用状況ということでございますけれども、先ほ ど申し上げましたが、コーデックス自体では基準の設定はございません でしたが、米国、オーストラリア等で、既に登録されて基準設定がある ということでございます。 最後に、基準値案の説明にまいらせていただきます。まず規制の対象 でございますけれども、案ではピラクロストロビン本体のみということ を考えてございます。 米国では、農作物について親化合物である本体と、その代謝物を対象 としているところでございますか、作残試験の結果、検出される代謝物 が非常に微妙であったこと、また検出量が大きいものであっても、全体 の量に対する割合が非常に低いということがございましたので、事務局 としては案として規制対象物質としては、ピラクロストロビン本体、親 化合物のみということで考えてございます。 これにつきましては、食品安全委員会の評価書においても同様の評価 がなされているということでございます。 基準値案につきましては、47ページの「別紙」からでございます。本 農薬につきましては、海外でも登録の実績があったということでござい ますので、今回国内登録申請となった作物のほか、海外で既に登録され て基準が定められている作物等につきましても、それらの作残試験等を 参考に基準値案を設定させていただきました。 また、本農薬につきましては、海外で登録の実績があったということ から、ポジティブリスト制度の導入に伴って設定しました、いわゆる暫 定基準の設定の際に、既にこれらの基準等を参考にして値を設定してお ります。 今回、審議で設定された基準値案が基準になったときには、これが本 基準となるわけでございますけれども、作残試験の結果、またそれぞれ 各作物の国民の摂取量等々を踏まえて設定したところ、暫定基準と数値 が変わっているところが多々ございます。 例えば、バレイショ等につきましては、左が基準値案というところで ございますけれども、0.02という数字が出ております。告示の基準値に つきましては、一番右端に書いてございますが、0.04という数字でござ いますけれども、今回0.02という数字を当てております。これは、アメ リカでの作残試験に基づいて設定しているということでございまして、 それらを含めまして、若干数字が変わっているところがあるということ でございます。 45ページに戻っていただきまして、「9.基準値案」の?でございま すが、この基準値案、また作残データのデータから推定される量という ものを用いまして、TMDI、またEDIで換算して、1日当たり摂取 する農薬の推定量を計算してADIに対する比率を求めたところ、国民 平均で40.70 、幼小児で78.23 、妊婦で32.93 、高齢者で41.72 とい う結果になっております。幼小児がちょっと高めではございますけれど も、ADIの80%の範囲内に収まっているということがございますので、 この基準値案を基準値として設定しても、安全性には問題がないのでは ないかというふうに考えてございます。 最後に、51ページ〜52ページに、先ほどの基準値案をもとにして作成 しました、答申の案というものを挙げさせていただいております。 御審議の方、よろしくお願いしたいと思います。 ○井上(達)部会長 御説明ありがとうございます。 それでは、最初に御説明のあった評価書を中心とした安全性部分のと ころについての御意見、コメントなどございましたらお願いします。い かがでしょうか。 前のものと同じストロビン系のもので、毒性を拝見しますと、粘膜毒 性などは、どちらかというと前のよりも低いわけです。それから、前の 剤が、血球に対する影響があって、貧血などが出ていましたけれども、 これも貧血があるんですけれども、これは溶血ではないという報告にな っておりまして、なかなか面白い。鉄の利用が下がっていて、鉄欠乏性 貧血、正確に見ていないので疑われると書いてありますけれども、きっ とそういうことなんだろうと思います。鉄の利用が下がるタイプの貧血 が出ているほか、先ほどのような消化器症状は余りないんだということ で、全体をあれしていいのかどうかわかりませんけれども、毒性を下げ てあるんです。改良されているような印象を受けますけれども、よけい なことを申しましたが、コメントありましたら、どうぞ。 ADIは、たまたまラットの24か月の慢性毒性と発がん性試験が別々 に行われておりまして、くしくもほぼ同じ値であったと、それで両方取 ったというわけですね。いかがですか。毒性面でのコメントなどは、山 添先生辺りからは、特にございませんか。 ○山添委員 どちらかというと、教えていただきたいというか、質問な のですが、この評価書の21ページの「(3)24ケ月間発がん性試験(ラ ット)」のところがあって、ラットの場合には、その次の22ページの表 11と表12の雄と雌があって、雄では肝細胞腺腫、それで腺がんが雌の 方で有意差が付いているんですけれども、最終的な判断としては、発が ん性は認められないという結論になっています。これが、背景データと いうことの記載なのですが、私は専門ではないのですけれども、こうい う解釈でよろしいんでしょうかということをお教えいただきたいと思い ます。 ○井上(達)部会長 事務局は何か聞いていませんか。私が答えるわけ にはいかないので。 ○事務局 その辺は、事務局として聞いてはおりません。 ○井上(達)部会長 恐らく、この用量との相関関係があるということ で、そういう評価になっているのだと思いますが、有意差そのものは出 てしまうのですね。そういうことだと思われます。 ほかにはございませんか。なければ、ADIの設定から、その後の事 務局の作成資料の方、食品健康影響評価についての内容にいきたいと思 いますが、いかがでしょうか。 小沢委員、お願いします。 ○小沢委員 素朴な疑問なのですが、41ページの5番の適用病害のとこ ろで、使用時期、回数は3回以内というふうに決まっているんですが、 リンゴとナシは収穫前日で、ブドウは7日前で、ハクサイは3日前、こ の違いというのはどういう根拠で設定されるのかをお教え願いたいので す。 ○井上(達)部会長 それでは、その辺の考え方をお教えいただきまし ょうか。お願いいたします。 ○農林水産省 農林水産省でございます。御質問の件なのですけれども、 農薬の使用時期と言いますのは、やはり作物の栽培特性と言いますか、 そういうものですとか、病害虫や雑草の発生生体、こういうものも考慮 して、適時適切に防除できる時期に使用するということが大切でござい ます。 それと、当然のことながら、実残留試験の結果を総合的に勘案して決 められるものと思っております。 作物の栽培特性としましては、収穫時期が同一時期になる作物、例え ば、イネですとか、果樹というような、収穫時期がそろうようなものと、 比較的長期にわたりまして毎日収穫が繰り返される、同一作物体から順 に収穫されるような、キュウリ、トマトといった花菜類、こういう作物 の栽培特性があろうかと思います。 また、病害虫、雑草の発生生体につきましては、発生する時期が限定 されるもの、植え付け間もないときに発生しやすいとか、そういう時期 が限定されるものと、また限定されないもの、発生頻度が非常に多く、 繰り返して発生するものとか、一度ある時期に発生すればそれ以降は発 生しないといったような発生頻度が少ないものがあろうかと思います。 これらを総合的に勘案しまして、毎日収穫する花菜類などで病害虫も繰 り返し発生するというような場合につきましては、やはり収穫前日まで 使用できるということが一定の品質確保した農産物の生産には欠かせな いのかなと思っております。 また、収穫時期が同一時期で病害虫の発生も比較的限定されるといっ たような場合には、収穫前日までに農薬を散布する必要性がない。そう いう使用をしなくても、一定の品質の農産物を得ることができるといっ たような場合には、特に前日の使用はないと思いますし、イネにおきま しては、収穫前日という使用方法は、私の見た限りではありませんでし たので、そういう必要性がないということかと思います。 また、収穫時期は同一時期、果樹のようなものであっても、やはり収 穫直前まで防除が必要な病害虫の発生があるといったような場合には、 やはり収穫前日まで使用できるということが求められております。それ らを考慮し、かつ実残留試験の結果をもとに使用時期を決めておりまし て、またそれに対応できる基準というものを設定いただいているという ふうに思っております。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。問題は、その使い方は大 変よくわかったんだけれども、間際まで使うと残留を見て、実際には少 な目にせざるを得ないんですか。結局、どうなるんですか。一つひとつ きめ細かく決めなければいけないということはよくわかったんですけれ ども、実際の使用を、対にしているだけではないわけですね。実際に残 留しているものとの関係で、間際まで使いたい方はわかるんですけれど も、安全性の側ではどういう目配りをするのかというのが、多分、小沢 委員の御質問だと思います。 ○農林水産省 そこは、残留基準の設定におきまして、ADIの範囲内 であれば安全が担保されるというふうに考えておりますので、仮に収穫 前まで使いたいということであっても、実際の作物残留試験成績の結果 から、大量に大きく残って、ADIの占有率を非常にぎりぎりまでとい うことになりますと、やはり問題かと思いますので、そういう場合には 収穫時期を3日なり10日にするなり、登録自体をあきらめるなり、そう いうふうなことを総合的に判断することもあろうかと思います。 ○井上(達)部会長 そういう判断がなされているということですね。 ○農林水産省 はい。 ○井上(達)部会長 小沢委員、いかがですか。 ○小沢委員 最初の話は重々わかっている話で、具体的に井上先生おっ しゃったように、やはり消費者としては、今日の農薬ではないのですけ れども、よくイチゴなどでも収穫前日までということで、結構高いレベ ルで日本の基準、アメリカなどに比べると何でキュウリより高いのです かとか、イチゴが高いのですかとか、いつも話題になるのですが、その 辺がどのぐらいのきめ細かさで配慮されているかというのは、よく見え ないのと。 あと、現実にどのぐらいか。これは伺っても無理かもしれないんです が、実際はその収穫前日にまくということが、しょっちゅうあるのか、 それはまれなことなのかということも気にはかかっております。 ○井上(達)部会長 御指摘にとどめておくということなのかもしれま せん。 ほかには、いかがでしょうか。関連のことで御質問ございませんか。 どうもありがとうございます。 ほかに話題がありましたら、お願いいたします。 吉池委員、どうぞ。 ○吉池委員 表現ぶりのことなのですが、暴露評価のところになってし まいますが、よろしいでしょうか。 45ページの下の表で、小数点2位まで書いてありますが、これはもう 少し丸めた数字がよいだろうと思います。 次の46ページで、「試算の具体例」の意味合いを確認しなければいけ ないと思うのですが、あくまでも例という場合に、「その他の野菜」と いうものを例として挙げるのはどうなのかと思います。 また、その次の動物の肉類も、注釈を付けル必要があるものを例にす るのか。ここの脚注というのは、ほかの47ページとか、50ページの表 を見ても書いてなくて、ここの50.7という数字は、例というよりはここ でしか触れてないものだと思うので、数値の表し方を少し工夫していた だけたらと思います。 ○井上(達)部会長 事務局、いかがですか。 ○事務局 御指摘のとおり、もっと代表となるようなもので、わかりや すいものに変えたいと思います。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。 ほかには、いかがでしょうか。どうぞ。 ○米谷委員 今回暫定基準の方から本基準に変わったときの、どれが上 がって、どれが下がったかというのをいろいろ見てみますと、ほとんど の場合は下がっているようなんですが、若干48ページぐらいの果実で上 がっているものがございます。そこで、先ほどの暴露評価の点なのです が、国民平均で40.7%、幼小児で78.2%と、EDI試算して80%以下 にはなっているのですが、もし暫定基準のまま入れますと、どれぐらい の値になったかは計算されたことはございますでしょうか。それとも、 暴露評価をしないのが暫定基準だということで、暴露評価は暫定基準で は、この剤に関してもされていないのでしょうか。もしされているなら お教えいただきたいんですが。 もともと暫定基準では、暴露評価をしないという説明でしたのでして おられないのかもしれませんが。 ○事務局 暫定の方ではやっておりません。先ほどの、例えば果実の方 で、恐らく先生の方でラズベリーの辺り、暫定で1のところが1.3 とな っているというところだと思いますが、これは暫定基準を定めたときに、 四捨五入をするルールがございまして、もともと1.3 のところを、その 0.3 のところをカットして1として置いておりますので、今回そういう ルールではなくて通常のルールということだとしますと、作残なりで求 めた数字でそのままはめるということになりますので、1.3 がまた出て きたということでございます。 ○井上(達)部会長 どうぞ。 ○米谷委員 もし暫定基準で、この剤でやっておられたら、これだけの パーセントのものが、これだけのパーセントに減りましたという説明の ためのデータができるかなと思ったものですから。ただ、やっておられ ないのでしたら、それはそれで結構です。 あともう一点だけ、非常に細かなことなのですが、先ほども化学名の ところで御質問させていただいたのですが、今回は41ページのところに 化学名の英語表記がございまして、一番最後はcarbamate になっており ますけれども、これもよく我々の方で日本語表記にするときに迷うんで すけれども、今回告示された品目の中に、カルバメートというものがご ざいまして、あれは告示されたのでcarbamate の日本語の読み方がカル バメートというのが厚労省がお認めになった読み方として受け取ってよ ろしいんでしょうか。本論とは全く関係なくて申し訳ないんですけれど も。 ○事務局 一応、告示上で決めておりますので、並びとしては今後はそ ういう呼び方になるかと思います。 ○米谷委員 今後、厚労省としては、カルバメートとお使いになるとい うことで解釈してよろしいんですね。 ○事務局 同じような物質であれば、そうなるかと思います。変える必 要があれば、それはまた専門家の先生とも御相談ということになるかと 思います。 ○米谷委員 以前、食品添加物の既存添加物名簿を告示するときに、英 語の化合物を日本語にいかに訳すかということで、非常に書き方に悩ん だものですから、それで当時の文部省、今の文科省の方の書き方に全部 統一しましたけれども、ここではどうされるのかについて御検討いただ ければと思います。 ○事務局 今回の告示も、そのカタカナ名称のところにつきましては、 かなり専門家の先生に見ていただきまして統一させていただいたところ でございまして、また今後必要があればそういった名称については御意 見いただければ検討したいと思います。 ○井上(達)部会長 まだいろいろ出てくる可能性はありそうですね。 ほかにいかがでしょうか。吉池先生、どうぞ。 ○吉池委員 本件に限ったことではないのですが、食品安全委員会での 作残試験の結果では、例えば16ページにあるのですが、最大残留量の定 義的な説明のところで「加工・調理による残留農薬の増減が全くないと の仮定の下に行った」と、常に表現が付いています。厚労省の評価書を 見ると、実際には起こり得る、例えば、洗浄とか、加工・調理のことは 触れられていないので、例えば、この剤では、レタスとか、葉野菜に濃 度としては多いので、暴露試算はこういう条件で行ったということがあ る程度わかるようにしておいた方が良いのではと思います。 ○井上(達)部会長 いかがですか。 ○事務局 そういう洗浄とか加工を加味して、暴露評価のときに数字に するとすれば、それは勿論書かなければいけないと思っております。 ○吉池委員 逆に、今そういうことを考慮してないということを書いて おく必要があるかどうかということです。 ○事務局 そこら辺は、今まではずっとこの表現ぶりだったんですけれ ども、必要であるということであれば、書き加えさせていただきたいと は思います。 ○井上(達)部会長 それでは、ちょっと御検討いただいて。 ○事務局 はい。 ○井上(達)部会長 ほかにはいかがでしょうか。 大分広く使われる見通しのもののようでございますので、なかなか基 準値の比率が高くなっているようですけれども、よろしゅうございます か。 それでは、御意見なくなったようでございますので、本報告案をもち まして、当部会の報告ということにさせていただきたいと思いますが、 よろしゅうございますか。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。 それでは、事務局から今後の手続についての御説明をお願いいたしま す。 ○事務局 本日御審議いただきました、2つの農薬につきましては、既 に食品安全委員会からの通知を受けております。ですので、報告案を部 会報告書としたいと思っております。 また、今後の手続につきましては、食品衛生分科会にお諮りするとと もに、パブリック・コメント、WTO通報の手続を進める予定としてお ります。 以上でございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。 それでは、基準値設定に関する議題の1を終了いたしまして、その他 が何かあるというふうに伺っておりますが、お願いします。 ○事務局 報告事項としまして、ポジティブリスト制度導入に伴いまし て設定しました、いわゆる暫定基準の設定した農薬につきましての評価 に関しまして、「報告資料」に沿って御説明させていただきたいと思っ ております。 ○井上(達)部会長 この1枚紙の「報告資料」ですね。 ○事務局 はい。 ○事務局 それでは、こちらの「報告資料」に基づきまして御説明させ ていただきます。 暫定基準を設定した農薬等の食品健康影響評価ということでございま すが、食品安全委員会の方からも、平成17年4月27日づけでポジティ ブリスト制度の導入についてということで御意見をいただいておりまし て、御意見の方は6点ほど入っておるんですが、その中の1つで、暫定 基準については、当該制度の導入後に実施する食品健康影響評価の結果 を踏まえて見直す必要があることから、優先的にリスク評価を実施すべ き物質についての考え方を整理した上で、リスク評価の効率的な実施に 資するためのリスク評価計画を策定し、当委員会の了承を得ることとさ れておりまして、その食品安全委員会に対して出した資料がこちらでご ざいます。 まず、優先評価する物質をどう考えるかということでございまして、 1の「(1)優先評価物質」というところでございますが、こちらの4 点ほどを挙げさせていただいております。 1が、JMPR、JECFA等の国際リスク評価機関で一日許容摂取 量(ADI)が設定できないと評価されたもの。 2が、マーケットバスケット調査の結果、我が国の食生活を通じた1 日当たりの摂取量が比較的多いと推定されるもの。 3が、発がん性等新たな重要な毒性知見の得られたもの。 4が、上記に準ずるもの。 ということで、このいずれかに該当する場合には、優先評価物質とす るという考え方を示させていただいております。 なお、1に該当する物質としましては、現時点では、アレスリン、オ キソリニック酸、キシラジン、スルファチアゾール、タイロシンの5物 質が相当するというふうに考えてございます。 「(2)優先評価物質以外の物質」のところは、こちらにつきまして も、可能な範囲で毒性試験成績など、リスク評価に必要な資料を収集し まして、食品安全委員会にリスク評価を依頼することとしております。 「2.リスク評価の依頼」というところでございますが、今回、暫定 基準を設定した物質数としまして、758 ございまして、それらにつきま して、来年度、平成18年度から5年間を目途にということで、各年度に しますと約百五十農薬等についてリスク評価の依頼を行うという計画に してございます。 (2)のところでございますが、各年度ごとにリスク評価を依頼する 予定の農薬等については、その年度の開始前までに食品安全委員会事務 局に、その予定を作成して提出することというふうにしてございます。 こちらは、具体的に作成しましたものを、また本部会の方に御報告さ せていただきたいと考えております。 それから「758 物質の用途別の内訳」ということで、参考でございま すが、農薬が一番多く516 となっておりまして、動物用医薬品192 、飼 料添加物3、以下重なるものが幾つかございます。 裏の方は、この評価を依頼するに当たって、どういうふうに資料を集 めるかといったことですので、御参考ということで情報提供させていた だきます。 こちらの方につきましては、食品安全委員会の方でADI設定等の食 品健康影響評価が行われた後、通常のようにこちらの方で基準値の設定 ということで御審議いただくことになるかと思いますので、またそのと きはよろしくお願いいたしたいと思います。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。そのときはよろしくとい うことですけれども、どうぞ。 ○小沢委員 枠組みとしてはわかるのですが、具体的にはとても見えに くい点がございます。それをちょっと早口で言わせていただきます。 1つは、このADIが設定できないというものは、今までの暫定基準 のリストの中でも、1次案、2次案と追加が出てきて、最終的にもっと ないのと食品安全委員会に言われて、最後に追加した分があって、別表 1の中の不検出というリストに入っているのと、ここに書いている5物 質ということになると思うのですが、もう本当にほかにないのかという のを精査する必要があるのではないかと思います。 それから、この5物質のADIを設定できない理由というのが、恐ら く違うのだと思うんです。その辺を全部ごちゃごちゃにしないで整理す る必要があるのではないかと思います。 次のマーケットバスケットで、一般的にマーケットバスケットのやり 方というのがあるんだと思いますが、具体的にはどんなふうになさって、 大体どのぐらい、消費者からするとたくさん日常的に口に入りやすいも のを優先的に、やはりきっちりしていただきたいとか。それから、使用 実態の多いものから考えてほしいなと思いますが、品目数というか、そ の辺のイメージがどうなのかが全くわからないと。 発がん性と新たな重要な毒性知見。これは、何もこんなところで言わ なくても当たり前の話で、優先順位も何もないと思います。 さっきの5物質ですが、現在各国でどうなっているのか、例えば、E Uだとか、FDAでどうなっているのか。あるいは、オーストラリア、 ニュージーランドでどうなっているのかということもきちんと見て位置 づける必要があるのではないかと思います。 それから、次の毎年150 ということなのですが、暫定で七百五十幾つ 決めているわけですから、1つずつつぶしていかなければいけないとい うのはよくわかるんですが、現実的に評価依頼を食品安全委員会が仮に お受けになっても、本当に今、暫定リスト以外にやっていてもこういう ピッチでというのに、素人が考えるとどんなふうになさるのか、食品安 全委員会がいいと言えばそれでいいのかという問題ではなくて、やはり 管理側として、こういうふうな目途で、こんなふうにということを申し 上げてお願いしなければいけない関係にあると思うんですが、その辺の 150 というのがどういう感覚なのか、私にはよくわからなくって、超ス ピードでやるとしたら、かえっていいかげんになるのかなというふうな、 その辺の余りスピードだけを優先することもできない。だから、むしろ 本当に優先順位が大事ではないかというような気がしています。その辺 の、見えるプログラムを固めていかないと、事態が進まないのではない かということで、是非煮詰めていただきたいということです。 特に、ときどき話題になるんですが、急性毒性とか、ここでよく言わ れているような問題などが、国際的にはそういう観点があるのに、そう いった観点がこの中に入らないでいいのか、どうかということも、私は 素人ですのでよくわかりませんけれども、素人の立場からするとなかな か見えてこないなという気がいたしております。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。たくさんもっともな御指 摘をいただきまして、事務局、どうぞ。 ○事務局 まず、JMPRなどでADIが設定されていない5物質につ いてでございますが、設定されてないということで優先評価物質にさせ ていただいておりますが、またその具体的な評価をする中では、どうい う原因でどうだということも詳細に検討いたしますが、現時点では設定 されていないということ自体が問題だというふうに考えてございます。 それから、マーケットバスケット調査についてでございますが、こち らの方は毎年物質を決めまして、国の方で実施しておりますが、今回暫 定基準設定に当たりまして分析法も大分できておりますので、一斉分析 法を採用しているものが結構ございますので、できるだけその一斉分析 法で行って、マーケットバスケット調査を行う農薬数を今後増やしてい きたいと思っております。現時点では、個別法が中心になっております ので、余り結果が出ていないということはたしかでございます。 あと、実際この計画について、各年150 というふうになっておるとこ ろでございますが、こちらの方は実際1年で150 できるのかという、今 のやり方ですと御懸念あるかと思いますので、食品安全委員会さんの方 とも議論しながら、どういったやり方が適当かということを今後議論し ていきたいと考えております。 ○基準審査課長 ちょっと補足をさせていただきますと、確かに毎年15 0 物質を我々の方から食品安全委員会へ評価依頼するということで、こ こまでは食品安全委員会とこれまでお話しをしてきて、向こうも了解し ていただいております。 今後、評価というのは食品安全委員会がされるわけでございまして、 具体的にどんな評価をされるかということにつきましては、実は評価方 法を向こうで検討していただいておりまして、また我々の方とも御相談 していただいて、最終的に決めていくという段取りになっております。 まだ、その辺の作業中の段階ですので、具体的にどういう形でというの は、私どもの方もまだ見えておりませんけれども、そこはいずれにいた しましても、先方で今、検討なさっているという状態であるということ を申し添えたいと思います。 ○井上(達)部会長 現段階では、そんなところでしょうね。どうもあ りがとうございました。 ほかにはございませんか。それでは、このその他の項の審議はとりあ えずここまでといたします。 ほかにございますか。ないようですね。 それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了させていただきます。 御協力、どうもありがとうございました。また来年よろしくお願いいた します。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課 (03-5253-1111 内線2487,2489)   1