05/12/16 第10回予防接種に関する検討会議事録 第10回予防接種に関する検討会 議事録              日  時:平成17年12月16日(金) 10:00〜12:00              場  所:厚生労働省9階省議室  議 事 次 第  (1)平成17年度政省令改正について  (2)予防接種における横断的課題の論点整理について  (3)予防接種における横断的課題について     (1)個人の予防接種記録の活用推進について     (2)接種率の正確な評価をおこなえるような共通指標の構築について     (3)医療従事者・社会福祉施設等の従事者への予防接種勧奨について     (4)予防接種医師の知識・技能の向上について  (4)その他 ○皆尾課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第10回予防接種に関する検討会を開催いたします。  本日は、御多忙のところ予防接種に関する検討会に御出席いただき、誠にありがとうございます。  開会に先立ちまして、委員の出欠状況について御報告させていただきます。廣田委員、宮崎委員から欠席の御連絡をいただいております。  それでは、議事に先立ちまして塚原結核感染症課長よりあいさつを申し上げます。 ○塚原結核感染症課長 第10回予防接種に関する検討会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。  委員の先生方におかれましては、本日、年度末の非常にお忙しい中に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。個別疾患の予防接種の在り方につきましては、中間報告といたしまして3月31日に報告書を公表させていただき、この中間報告書を参酌しまして必要な法制上の検討を加え、措置をしたというところでございます。  また、前々回の検討会から主に予防接種の制度的課題について御検討いただいているところでございますけれども、本日はこれまでの検討会における参考人の方々の御発表や委員の先生方の御意見等につきまして、論点整理を行いましたものを御報告させていただくということにしております。予防接種行政につきましては、予防接種法に基づきます定期の予防接種を主たる施策対象としてきておりますが、予防接種禍に関する相次ぐ訴訟、敗訴を背景にしまして、平成6年の法改正におきましては、接種義務を努力義務ということに改正して以降、平成13年にはインフルエンザを新たに対象として追加したところでございますが、この際、非常に賛否両論ありましたけれども、原則として65歳以上に限定した上での予防接種法の定期予防接種化ということで現在に至っているところでございます。  近時、接種対象の拡大など、積極的な予防接種をというような専門家の皆さんの御意見も一方では多いところでございますけれども、現行法における行政によります積極的な勧奨あるいは国の責務、訴訟判例などの動向を踏まえまして、適切な対応をしていきたいと考えております。最後になりますが、どうか忌憚のない御意見をいただきまして、活発な御検討をいただきますようお願い申し上げ、開会に当たりましてのごあいさつとさせていただきます。本日は、どうかよろしくお願いいたします。 ○皆尾課長補佐 ありがとうございました。  引き続きまして、加藤座長よろしくお願いいたします。 ○加藤座長 おはようございます。  それでは、本日の検討会を開始させていただきますが、本日の検討会の進め方に関しまして、お手元の第10回予防接種に関する検討会の議事次第をごらんいただきたいと思います。まず最初に、平成17年度の政省令改正につきまして、事務局から御説明をいただきます。若干の検討・御質問等をいただきまして、それに続きまして、今お話がありましたように、これまでの検討会における参考人の方々の発表内容や各委員の方々からの問題提起につきまして、事務局の方で整理をしていただいておりますので、その報告をいただきます。そして、それぞれの個々の課題ごとに議論に入っていくことといたします。4点ほど今日は議論していきたいと考えているところでございます。時間を余り十分にとってございませんので、委員の先生方にはどうか円滑な議事の進行に御協力いただきたいと考えております。  それではまず、事務局の方から資料の確認についてお願いします。 ○皆尾課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。  議事次第と資料一覧がございます。 資料1「麻しんと風しんの2回接種制度導入について」。 資料2「都道府県における麻しん及び風しんワクチン接種の勧奨調査結果」。 資料3でございます。「予防接種における横断的課題の論点整理について」。 参考資料1でございますが、これは政省令改正の通知等一覧表が綴ってございます。 参考資料2でございますが、これまでの第1回から第9回における予防接種に関する検討会で、横断的課題に対する主な意見を取りまとめてございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。特に参考資料で過不足ございませんでしょうか。  それでは、まず最初の議題に入りまして、平成17年度の政省令改正について事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○伯野予防接種専門官 今年7月29日に改正法令が交付されましたので、御報告をさせていただきます。  資料1をごらんください。まず、予防接種法政省令改正の概要についてでございます。現行は、生後12月から生後90月に至るまでの間にある者に対して、麻しんワクチン及び風しんワクチンを1回ずつ接種することとしておりましたが、麻しん及び風しん対策の強化という観点から2回接種制度を導入することといたしました。  改正後でございますが、その接種時期につきましては、第1期といたしまして生後12月から生後24月に至るまでの間にある者。2回目、第2期の接種でございますが、5歳以上7歳未満の者であって、小学校就学前の1年間にある者を対象者とさせていただいております。  また、2回接種制度を導入する上では、被接種者の利便性、接種率の確保、副反応の発生頻度等の観点から、麻しん及び風しんの混合ワクチンを使用することとしております。この使用に当たりまして、2回接種を行う際には現行制度におけます麻しんワクチン及び風しんワクチンの単抗原ワクチンを打った後に麻しん・風しん混合ワクチンを接種した場合の有効性・安全性の実証データがまだないということから、当面の間2回目の接種としましては、現行制度で麻しん及び風しんワクチンを単抗原で接種した方は対象から外させていただいておりますが、平成20年4月を目途として、厚生科学研究等で有効性・安全性に関する実証データを収集し確認され次第、対象者とさせていただく方向を考えております。  また、今回の改正で接種対象者が変わること、麻しん・風しん混合ワクチンの使用となることから、接種漏れ者がないよう来年3月31日までに接種対象者に対しまして、制度の周知をする必要があるということが課題となっております。  資料2をごらんください。本年9月21日付の通知によりまして、都道府県に対して接種勧奨の周知を要請したところでございます。この勧奨の際に個別通知というのが最も有効かつ重要かと思いますが、こちらの表で実施率というところを見ていただきますと、約90%の市町村が実施していると、あるいは実施予定であるという状態となっております。これは平成17年10月31日の段階での状況でございます。この予定というものに関しましては、日付が具体的に記載がないもの、及び来年3月と記載してあるものに関しては、予定なしの方に入れております。ですから、既に実施しているあるいは予定があって、かつ、来年2月以前に行う予定である市町村の割合でございます。  90%ということで、ほとんどの市町村が個別通知という形をとっていただいている現状でございますが、一方で、東京や大阪などの大都市においては、実施率が低いというところが懸念されているところでございます。  政省令改正の説明は以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  ただいま、主にMRワクチンに関する政省令の改正についての御説明がございましたが、この件に関しまして委員の方々から何か御意見・御質問がございましたらお受けいたします。いかがでしょうか。  特別御意見ございませんか。若干まだ医師会レベルでも十分に認識が行われていないところもありまして、まだ少し各地で混乱しているような状況があると思われますけれども、4月1日に入れば順当に進むことであろうかと考えております。特に御質問ございませんようでしたら、先に進ませていただきます。  それでは、議題2につきまして、事務局から論点の整理等の説明をお願いいたします。 ○伯野予防接種専門官 続きまして、「予防接種における横断的課題の論点整理について」という資料3をごらんください。今回、大分期間があいてしまいましたので、これまでの論点も含めまして今後、議論をしていただく内容等につきまして、まとめさせていただきました。大きく2つに分けております。  まず、1としまして今後の予防接種に関する検討会、この会において更なる議論を行うものと、6ページ以降になりますが、引き続き議論が必要となるもの。これは今回の検討会の議題としては挙げませんが、引き続き議論が必要となってくる議題について挙げさせていただいております。簡単に、その中身について説明させていただきます。  まず、今回の予防接種に関する検討会において更なる議論を行うものとしまして、(1)個人の予防接種記録、すなわち予防接種手帳等の活用推進についてでございますけれども、現状としましては予防接種を受けたか否かに関する記録としまして、母子健康手帳が挙げられますが、母子健康手帳は小学校入学以降の予防接種歴を記録していくものとしては必ずしも十分ではないとの指摘がございます。ですから、その予防接種手帳等の予防接種を生涯にわたって記録するようなものを何かつくった方がいいのではないかという御意見をいただいているところでございます。  (2)「接種率の正確な評価を行えるような共通指標の構築について」ということでございまして、接種率はこれまで接種者数を全接種者数と対象者数から算出されておりまして、場合によっては100%を超えることも生じるという正確ではないという指摘を受けていたところでございます。これを受けまして、平成16年度以降の予防接種の実施報告におきまして、年齢・階級別に接種者数を把握できるように報告制度を改正したところでございます。  続きまして、(3)「医療従事者・社会福祉施設等の従事者への予防接種勧奨について」でございますが、現状としましては医療従事者や社会福祉の職員等が麻しんや風しんなどの予防接種対象疾病に罹患しまして、患者さんや入所者等に感染させるような院内感染の事例が数多く報告されております。したがいまして、ハイリスク者への感染を予防・防止する上で、医療従事者や社会福祉施設の職員等への接種の重要性が指摘されているところでございます。  一方で、統一した医療従事者向けの予防接種指針がないために、院内感染予防のための積極的な対策が進まないという意見がございます。  (4)「予防接種医師の知識・技能の向上について」というところでございますが、現状としましては、定期の予防接種におきましては、被接種者の通常の健康状態を十分に把握しております、かかりつけ医が個別接種を行うことが適当であると考えております。したがいまして、接種医の予防接種に関する知識・技能の水準を引き続き確保する必要があると考えておりますが、予防接種事業におきましては、副反応等についてより正確な情報提供及びリスクコミュニケーション及び安全な接種の一層の推進が求められているところでございます。  (5)「予防接種健康被害と予防接種後副反応報告について」でございます。現状としましては、定期の予防接種につきましては、接種を希望する者に対する費用負担の軽減という行政政策の問題と混合して論ぜられてきた傾向もございますが、予防接種を推進することにつきましては、有効性及び安全性について慎重かつ適正な行政判断を行う必要がございます。  一方で、予防接種後副反応報告制度の迅速性・正確性等の点で不十分との指摘もなされているところでございます。また、予防接種後副反応報告書は、予防接種との因果関係の有無に関係なく予防接種後に健康状態の変化を来たした症例について報告するものでございまして、これらの症例の中には、この予防接種によって引き起こされた反応だけではなく、予防接種との関連性がない偶発事例も含まれておりまして、この報告のすべてが副反応であるという誤解を受けている場合もあるようでございます。  (6)「都道府県への積極的な役割を求めることについて」ということでございますが、現状としましては予防接種は市町村の自治事務とされておりますが、予防接種率の向上、個別接種の推進等の課題に広域的、総合的に対応するためには、市町村では人材やノウハウ等の観点で限界があるということから、都道府県の関与を求める意見がございます。  また、市町村の圏域を越えました相互乗入れ方式を採用するなど、できるだけ、かかりつけ医で接種を受けられる体制の確立が求められているところでございます。  また、予防接種による事故の発生が多く報告されているところからも、都道府県が市町村に対し助言できる体制の構築が求められているところでございます。  (7)「予防接種勧奨について」でございます。現状としましては都道府県の関与と多少重なるところではございますが、定期の予防接種におきましては市町村ごとに接種対象者の人口格差や周知方法、接種体制が異なる等の地域事情によりまして、接種率には著しい地域格差が出ているのが現状でございます。  大きな2番目の議題としましては、引き続き議論が必要となるものでございます。今回の検討会では議題としては挙げさせていただかないものでございますが、(1)「対象疾病の類型化について」でございます。現状としましては平成13年度におきまして、対象疾病に対する予防接種の目的・効果の相違により、対象疾病を一類疾病と二類疾病に分けて類型化がなされたところでございます。  また一方で、二類疾病を設けてまで国・市町村が接種機会を確保する必要はないとの意見など、さまざまな意見がございます。  課題としましては、対象疾病のみならず類型化の方法等につきましても、更なる検証、検討が必要であるという課題がございます。  (2)「予防接種政策を定期的かつ継続的に議論する場の必要性について」ということでございます。現状としましては予防接種政策に関しましては、公衆衛生対策として法律に基づきまして行政責任で判断することとされておりまして、その際、パブリックコメントや有識者の方々の御意見も参酌させていただいておりますが、最終的な判断及び法的責任というのは国が負うこととしておる現状がございます。  一方で、定期的、継続的な評価・検討を行う新たな組織または制度の創設を求める意見がございます。  課題としましては、新たな行政組織または制度の創設につきましては、現実的な問題としまして法的責任の所在や行政組織の在り方、予算等において検討すべき課題が幾つかあるかと認識しております。  (3)「健康被害救済制度について」でございますが、現状としましては昭和51年の法改正により健康被害救済制度が導入されましたが、その後、平成6年の改正で給付内容の充実が図られてきたところでございます。ただ、因果関係の蓋然性の判断、時効を適用していないことに伴う問題点も指摘されておりまして、制度の公平・公正な運用につきましては、引き続き制度の在り方を慎重に検討する必要があると考えております。  また、(4)「海外渡航者に対する予防接種について」でございますが、例えば、黄熱ワクチンにつきましては、検疫所等でしか接種できない状態がございまして、被接種者の利便性という観点から検討が必要であるという現状でございます。課題としましては、被接種者の利便性を考えてトラベラーズワクチンの接種につきましては、より身近に接種できる体制づくり等を検討していく必要があると考えております。  以上が、論点整理でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  ただいま、事務局から今までの検討会で話し合われました論点整理の御説明をいただきましたけれども、この御説明の中身につきまして委員の方々から御質問や御意見がございましたらお受けいたしますが、いかがでしょうか。 ○澤委員 最初の予防接種の記録の手帳のことなんですけれども、健康増進法の中で生涯にわたる健診結果の書けるような手帳をつくるというようなことを以前会議で聞いたことがあるんですけれども、その手帳と照らし合わせて同じような、その手帳の中に組み込むような形で予防接種の記録も生涯にわたってつくれるようなものがあれば、もらう側の住民にとっては非常に便利だなと思っておりますけれども、そういう連携の仕方というのは、なかなかとりにくいものなのでしょうか。できればそういう方向で検討していただきたいなと思うんですけれども。 ○加藤座長 その件に関しましては、後ほど第3番目の議題で個人の予防接種記録の活用推進についてというところで、またお話ができると思います。 ○澤委員 わかりました。 ○加藤座長 全体的な流れとしまして、論点の整理のところで何か事務局に御質問ございますか。よろしゅうございますか。  それでは、各論と言っては何ですけれども、本日の議題の3というところに入らせていただきまして、「予防接種における横断的課題について」というところを事務局から御説明していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○伯野予防接種専門官 まず、1番目の個人の予防接種記録の活用推進についてでございますが、資料3に沿って説明をさせていただきます。課題としましては、予防接種記録の保持というものに関しましては、健康管理の観点から考えますと必要であると考えておりますが、この記録をつくった場合に、どのような記録をどのような目的で使用するか等、より具体的に検討する必要があるかと考えております。  また、母子健康手帳や健康手帳等の既存の手帳の記載事項に追加・併用する等の先ほどの澤先生からの御指摘もございましたが、そのような方法も考えられるところでございます。ただ、この場合のデメリットとしましては、既存の手帳の目的との整合性が損なわれる可能性というものが挙げられるかと考えております。  情報管理の手法としましては、手帳以外にも、例えば電子管理のような形態も考えられるかと思っております。  また、母子健康手帳と分けて作成した場合には、予防接種の実施者は母子健康手帳と同じ接種内容について重複した記載を行うこととなりまして、手間が掛かってしまうという問題点が挙げられるかと思います。また、この点に関しましては、プライバシーの問題等につきまして十分な配慮を行っていく必要があるという御意見もいただいているところでございます。 ○加藤座長 それでは、第1点目の個人の予防接種記録の活用推進についてという話題になりましたが、澤委員、もう一度先ほどの御質問を繰り返しになりますが、お願いできますか。 ○澤委員 同じことで恐縮です。健康増進法の中で生涯にわたった健康手帳ということがうたわれておりますので、母子手帳、それから、学校保健のところでも予防接種やいろいろな健康情報がありますので、それから産業の分野、高齢者のところということで、全部が一体化されたものをつくるということを健康増進法の会議の中でお聞きした記憶があるんですけれども、なかなか現実的には見えてこないんですが、この機会に私は墨田区という小さな区ですけれども、住民の中からもやはりそういうものが欲しいということが言われておりまして、今、答弁といたしましては国が考えていると思うので、それを待って区も考えますというふうに答えてはいるんですけれども、やはり住民の方もそれを希望していらっしゃるということもわかりますので、できればそんな方向で動いていただけたらというのが私の希望です。 ○加藤座長 特に事務局からお答えはありますか。 ○伯野予防接種専門官 この点に関しましては、御指摘のありました母子健康手帳に関しましては、厚生労働省内ではございますが母子保健課あるいは先ほど学校関係という御指摘もありましたので、文部科学省とも連携して方針を考えていく必要があるかとは考えております。ただ、現時点で具体的にこういう形でというところではまとまっていないという現状でございます。 ○加藤座長 よろしゅうございますか。  予防接種手帳と略してお話ししますけれども、記録ですが、この件に関しては、たしか平成11年の神谷座長のもとで開かれていたこういう検討会で話題となった事項でございまして、そのとき以来、いわゆる感染症であるとか予防接種に直接関連する手帳というようなものをつくるべきであろうという提言がなされていたと記憶しております。果たして現在、母子健康手帳に記載されているような予防接種の記録だけで十分であるのかどうかというようなことをまた議論しなければならないという状況になっているわけですけれども、蒲生委員、何かこういう母子健康手帳に書かれている予防接種の記録で、現状でよろしいのか、それともやはり何らかの形で生涯持てるような独創的なものをつくっていくべきなのかということを一般の方々はどのようにお考えになっているか御意見はありますか。 ○蒲生委員 母子健康手帳は小学校に入りますと、探さないと出てこないというのが一般の家庭の現状ではないかと思います。利便性から言えば、母子健康手帳も予防接種の記録も、それから、健康の記録も1冊になっているものがやはり一番望ましいと思います。銀行のカードなどでも、たくさんあればあるほどどこに行ってしまうかわからないので、1冊になっているのが一番よいかとは思いますが、今あるものとどうやってそれをすり合わせていくのかという問題が残ってしまいますし、また、妊娠中からの記録をずっと高齢まで持っている必要があるのかということもありますので、多少不便ではありますが予防接種は予防接種で1冊、または予防接種と健康の記録を合わせた1冊があればよいかと思います。2冊程度であれば母子健康手帳は小学校まで、それ以降は普通の健康手帳というような形になればよいのかなと思います。  電子化ということですが、携帯したり、いろいろな情報の量の多さからすれば電子カードというのは非常に便利だと思いますが、一般の方がそれをごらんになって、御自分のお子さんが何の予防接種を受けていたのかということをチェックすることがなかなか難しいのではないかと思います。手帳ならページをめくればわかりますけれども、カードの場合何らかのハードウェアに入れて、その情報を引き出さないといけない点に問題があるのと、個々の病院すべてがそのカードに対応できる状況になっているのかどうかということもあると思います。現実的には手帳の方がどういう方でもごらんになれる、どういう病院でも記録できるのかなと思いました。 ○加藤座長 ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。 ○雪下委員 いつも個人情報をどうするか、今言われた電子化によって一本にまとめたらというようなことが議論されるんですが、いつもそこでやはりプライバシーの問題というのが出てくる。ただ、個人情報保護法はよく読んでみますと、第1条にただそれを保護するというか、守って外に広げないということだけではなくて、やはり有益な個人情報については十分それを活用するという考え方が入っているということから、今のいろいろ健康問題については、出生の問題とかそういうことも全部記載されて、それを手帳に全部するというのは、その辺でいろいろな問題になるんですけれども、予防接種につきましては、いわゆる有効に活用できるという範囲の個人情報ではないかと思いますので、将来的にはどうなるかわかりませんけれども、やはり予防接種についての特定した手帳みたいなものは是非必要ではないかと考えております。これは母子保健の改正、これは10年ごとでしたか、数年前に平山委員長のもとにやられてそれに私も参加していたのですが、そのときにも予防接種と既往症については、まとめて母子手帳の最後のところに入れておいたらどうか。母子手帳はいつまでも持っていないので、まとめたものを波線みたいなものをつくって、それを切り取って本人が利用できるようにしたらどうかという議論があったと思うんですが、その中でまとめるということは今実際にされているわけですが、それを参考にしながら、やはり予防接種手帳のようなものを生涯にわたって持てるようなものを作成するということには私は賛成です。 ○加藤座長 ありがとうございました。 ○竹本委員 予防接種の記録が別冊になるというのは、私にとって実際に診療している立場から見ると非常に不便で、実際に予防注射が記録されているのは、今は中学2年生がなくなりましたので小学校6年生までになったのが1つと、それから、あとインフルエンザは毎年毎年子どもたちは2回ずつ記録されているんですが、記載の欄だけを大きくしてくださればいいのではないかと。今、現実にインフルエンザの予防注射をやっていますけれども、ほとんどの方が大学受験ぐらいまでのお子さんは母子手帳を持ってきていますので、なくしているというのはその先のことだと思うので、毎年毎年予防注射、インフルエンザを打っている子どもたちにとってみると、母子手帳をなくすということはないと思いますので、記載欄だけを大きくとっていただければ問題はないのではないか思います。  川崎市は小学校6年生の2期、それから、今までは日本脳炎の3期がありましたから3期まで、それが記載できるようにきちんとなったのと、それから、予備の予防接種欄のページを3ページまで持っていきまして全然支障はないので、新しい形態ができるまでは、その一時的なものとして母子健康手帳1冊でいいんじゃないかなと私は思いますけれども。 ○加藤座長 意見が若干分かれているようですけれども。 ○雪下委員 今の例えば、小児科に継続的にかかりつけとしてかかっているというような人は母子手帳を持っているんですよ。だけれども、そういう人ばかりではなくて、一般には中学生に母子手帳を持ってこいと言ったって絶対に持ってこないことの方が多いわけで、それにやはり母子手帳というのはいろいろ家庭事情というか、親の情報なども入っているということで、やはり普通大きくなるまでそれを持ち歩いて、それが他人の目に触れるということは、これこそ個人情報に今は触れるだろうと思うんです。だから、やはりそこを考えると、そこのところは分けなければいけないのかなと私は思います。 ○加藤座長 また、後の方で医療従事者等に関する今日の議論の中で、医療従事者・社会福祉施設等の従事者への予防接種の勧奨というようなところにも関与してくることかもしれません。今、雪下先生がお話しになったように、それでは、果たして医療従事者やナースが実際ワクチンの既往歴がはっきりしているか、していないかということで全員にかつての母子健康手帳を提出しなさいと言った場合、竹本先生がおっしゃるように全員が持っているとは私も考えにくい。雪下先生もそのような御意見かなと思っておりますけれども、そういった意味で、予防接種手帳は今の母子保健手帳が定着しておりますので、それで十分であるという考え方も一方にはございますが、また一方には違う御意見もあるということですが、岡部先生何か御意見ございますか。 ○岡部委員 確かに、書く側の簡便性・利便性から言ったら同じところでずっとあった方がいいと思うんですけれども、母子健康手帳はその子が生まれる前に発行されているので、その後のいろいろな複雑な事情が含まれていたり、雪下先生がおっしゃいましたけれども、お母さんのいろいろな記録も全部含まれているので、実際に予防接種の記録が欲しいときにそこを見せてくださいと言ってもなかなか見られない時があります。つまり、後でその人の予防接種の記録を見ながら予防接種のプランを立てたり、あるいはその記録を基に調査をするときに困難が生ずることがあります。それから、どこかに行ってしまった、よくわからない、出てきにくいということがあります。分冊とはいえ、いつも使うときは1冊で持っていて、後からそこの予防接種部分を切り離すような形であれば特に問題はないと思うんですけれども、私は分冊の方がいろいろな意味で結構ではないかと思いますし、この点については、既に前の神谷先生が委員長のときの委員会でも、そうあるべきであるという結論が出ていますので、そのことについては私は変わりがないのではないかと思います。 ○加藤座長 岩本委員、何かございますか。 ○岩本委員 基本的にはやはり母子手帳と本人の中学以降ということになるかもしれませんが、それから自立した後のものというのは、母子手帳をずっと持ち続けるというのは考えにくいのではないかと個人的に思います。だから、利便性から言えば、勿論1冊のものを使っているのが書く側も受け取る側も便利だと思いますので、切り取る方法、それを例えばある意味で言うと、途中から逆に保険証と一緒にするとか、要するに医療機関を受診するときと同じようなセットで生涯持ち続けられるような格好で1つのものを持って病院に行くようなやり方を考えるのが自然かなと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。大多数の委員の先生方が特別の予防接種の手帳というものが必要であろうという御意見であろうかと思いますが、御承知のように、同じ厚生労働省の中でも局が違いますとどこが担当するかということで、いろいろまとまりにくいところもありますし、また、学校のお話になりますと文部科学省も関係してくるということで、どこがリードしてこれをつくっていくかということは非常に難しい問題が含まれているかと思いますが、いずれにいたしましても、母子健康手帳の中にある記録にとどまっているのではなく、個人の予防接種の記録というものを何らかの形で活用できるように推進していくべきではなかろうかと考えております。この件に関してほかに御意見ございますか。よろしゅうございますか。  それでは、続きまして、第2番目の件につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。 ○伯野予防接種専門官 2番目の議題といたしましては、接種率の正確な評価を行えるような共通指標の構築についてということでございまして、先ほど申し上げましたが、これまでの接種率に関しましては、接種者全数と対象者数から算出されてきたところでございまして、場合によっては100%を超えてしまうという正確ではないという御指摘を受けていたところでございますが、平成16年度から年齢階級別の接種者数の把握を開始しているところでございますが、この場合の課題としましては、データが蓄積されるまで時間が掛かるという問題点がございます。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございます。  これも既に以前から国としての予防接種の接種率の算定の仕方が正しく評価されていないと、ある接種率に関しては100%を超えるような数字が出てくるという状況であったことから、厚生労働省の方で作戦の転換をいたしまして、現在、年齢・階級別の接種者数の把握というところを開始している最中であると聞いてございます。しかしながら、例えば、3歳までの間にどのくらいやるとか、また5歳までの間にどのくらいであるとか、そういう接種率の積算率を出すにはまだ年月が掛かりますので、国としてのデータがすぐ出るということはなかろうかと思いますが、少なくともそろそろ1歳代における日本の接種率というのはオープンになると。 ○伯野予防接種専門官 平成16年度に行ったデータが、まだ出ないんですけれども例年ですと今年度中くらいには出てくるところかと思います。 ○加藤座長 そのような状況が進行しておりまして、年齢が経つごとに毎年毎年それが繰り返し行われることによって、年度年度によっての接種率の変化と、それに加えて各年齢ごとの累積接種率というものが今後出てくるであろうと、こういう予定になっていると聞いておりますが、何か予防接種率の正確に評価を行えるようなことについて御意見はございますか。 ○竹本委員 これは非常に接種率を求めるのは難しいと思うんですけれども、川崎市では7〜8年前から1歳半健診を中心にして、受信者に関しましては予防接種を全部把握しております。ただ、1歳半健診に来ない方については把握できないんですけれども、90%以上の人が1歳半健診に見えていますし、保健所で実施していますので、1歳半と3歳というのは非常にデータが取りやすいのではないかと思います。ですから、新しいいい方法ができれば、それにこしたことはないですけれども、1歳半、3歳健診保健所実施のときにデータをきちんととっていくといいのではないかと思います。  それから、日本小児科医会はいろいろ1歳代の検査しているんですけれども、1歳で出てきたり1歳半で出てきたりしますと、1歳と1歳半では、1歳で検索したときにははしかや風しんのデータは出ないわけですから、できれば1歳半、3歳と保健所で実施している限り全国的にできるのではないかと思いますが、その辺のところを考えていただければと思います。 ○加藤座長 今、厚生労働省としては具体的にはどのような方法で把握していくのか、方法論をちょっと簡単に御説明いただけますか。今、川崎市ではそうやっているということですが、国全体としてはどういう方法をとられておられるのか。 ○伯野予防接種専門官 平成16年度からのデータ収集に関しましては、1歳ごとの年齢別にそれぞれの実施者数を出して対象者で割っているという状況です。ただ、それに関しましては、やはりデータが蓄積しないと正確な累積接種率が出てきませんが、数年経てば勿論、正確な累積接種率は当然出てくるところかと考えております。  これまでの間は、正確な累積接種率は全国データではございませんでしたが、厚生科学研究等で全国的な規模の研究は行っていただいているところと把握しております。 ○加藤座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○岡部委員 もう一つのデータとしては、感染症流行予測調査事業の中で、サンプリングのようにして予防接種率からもある程度推測はできるわけですけれども、大きい乖離はないだろうと考えます。しかし、あくまで極めて少数のサンプリングなので、それをもってナショナルデータにするわけにはいかないだろうと思います。平成16年から年齢・階級別の把握をやっていただくようになって、今後は期待されるんですけれども、やはりそれは全数把握であるということが前提になっているので、もう一つはこの中にあるような予防接種台帳のきちんとした登録、これはまずやっていただかなくてはいけないと思うんですけれども、いずれにせよ全数把握でやるとわかってくるのにすごく時間が掛かります。今も2〜3年経たないとわからないというので、例えば、日本脳炎は勧奨接種を中止したわけですけれども、その後、再スタートしたときの回復はどうだとか、MRに変更したときにどうだということは早く把握しなければいけないので、それはやはりサンプリングをやって早くキャッチするという別のシステムを立てていく必要があると思います。  それが一つここに書いてあるような厚生科学研究でやっているものです。特に崎山先生たちがやっている累積接種率の調査方法はかなり普及してきているので、サンプリング調査ではかなりのところができる、ということが言えます。それから、CDCスタイルで電話での情報収集ができないかというので、私たちのところで藤田学園の橋本先生に協力してやっていただいたんですけれども、電話はやはりなかなか日本では難しいのでアンケート調査でやりました。これもかなり実数を反映しているということでした。そういったようなサンプリングで行う方法も取り入れて、全数での把握とは別になるべく早く答えを出すという方法を構築しておいていただくといいのではないかと思います。これがすぐに予防接種行政の判断であるとか、あるいは科学的にどうだという判断の材料になると思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。特に、MRワクチンに来年度から変わるというようなことがありまして、その辺の接種率が気になるところです。  それから、先日たしか読売新聞でしたか、日本は、はしかが制圧されつつあるという記事が一面に出ましたけれども、その根拠となるものがどうしてもわからない。では、1歳代の予防接種率が急速に増多したのかどうかということもわからない状況で、なぜなくなってきたのかという根拠がありません。実際に我々臨床の立場におりますと、はしかが減ってきていることは確かですけれども、では、なぜ減ったのか。それとは逆に、いつも米国から出てくるデータのように、予防接種率がうんと高くなってくると病気がうんと減ってくるという構図が出てくるかどうかということは、残念ながら日本ではまだとらえられていないということで、科学的なエビデンスがないわけです。現象だけをとらえているということなので、是非、接種率の正確な評価というものが、今、岡部先生がおっしゃったように、厚生労働省からもお答えがありましたが、すぐに出ることではないと思いますが、5か年ぐらい掛かって日本でもそういう正確なデータが出るであろうと。それまでの間は、岡部委員がお話しになったようなサンプリング調査的な方法で、ある程度の実数を局所的につかむ必要があろうかということではなかろうかと思いますけれども、ほかにございますか。 ○岡部委員 5年経って今の年齢・階級別の把握ができるようになったら、サンプリングは要らないという意味ではなくて、私は常に並行に走らせて、正確なものと早く判断しなければいけないものと両方やらないと、予防接種を柔軟に判断していくことができないんじゃないかという意味です。 ○加藤座長 ありがとうございます。 ○雪下委員 例えば、MRで今度新しい方法でやるとすれば、12か月から24か月、いわゆる公費負担によって実施したものの集計ということになりますよね。それを過ぎて任意接種のものは入ってきませんよね。24か月過ぎてからは入らないことになります。その辺、それを公費でもって負担するというのは把握できるのかもしれませんけれども、やはり任意でどのくらいやっているのか、その辺やはり何らかの方法で把握できるようにすべきだと思うのです。少なくとも3年間なら3年間、全体の接種率を知る為にそういうものが必要なのではないかと思いますけれども、その辺のところは何か検討されておりますか。 ○伯野予防接種専門官 現在、加藤先生の研究班でも麻しんの累積接種率等は全国的な調査を行っていただいていたかと思うんですけれども、すぐに厚労省としてというのはなかなか難しいかとは思うんですが、引き続き厚生労働科学研究等でその辺の正確なデータ収集というのは検討していきたいと考えております。 ○加藤座長 国でやる接種率ですので、予防接種法に基づいた中での接種率ということは、国の責任でもってできるということは確約できると思うんですけれども、予防接種法から外れた方までの予防接種率というものを国の力で行うというのは、なかなか難しいところがあろうかというところから多分、岡部先生がお話になったような、1つの方法だけではなく、違う方法でも継続的に行うべきであろうという御意見が出たものと考えておりますが、ほかにございますか。 ○岡部委員 研究班等々のレベルでやっていると、一生懸命やっている研究者がいなくなる、あるいは研究費がなくなるとできなくなるというのがありますので、システムとして組み入れることが重要であろうと思います。 ○加藤座長 ということは、要するに、国として先ほどお話しになったことの繰り返しなりますけれども、すぐには出ないけれども、例えば3歳児、5歳児における累積接種率というものは、いずれは出てくるわけですね。 ○伯野予防接種専門官 はい。 ○加藤座長 ですから、早急には国の力として今、雪下先生がお話しになったように、2歳を超えた方々についての接種率、その他は出てこないかもしれないけれども、累積接種率というものは出てくる可能性は十分にあると考えていただければいいかと思います。  ほかに何か御意見ございますか。よろしいですか。特に御意見がないようでしたら、先に進めさせていただきまして、次の議題について事務局からお願いいたします。 ○伯野予防接種専門官 3番目の医療従事者及び社会福祉施設等の従事者への予防接種の勧奨についてでございます。この件に関しましては、課題としましては医療従事者・社会福祉施設従事者等への予防接種勧奨につきましては、国や自治体が対応すべき事項であるか、または職業倫理という観点から各病院あるいは大学、学会等にお任せするべき事項であるかというところは議論が必要かと考えております。  以上でございます。 ○加藤座長 医療従事者や社会福祉施設等への予防接種の勧奨ということ、現状把握というところから本当は入らなければいけないんですけれども、これは日本小児科学界で医療従事者、学生等について若干調査した経緯がありますので、その委員長であります岡部先生、ちょっと調査の概略についてお願いします。 ○岡部委員 数字や何かは持ってきていないんですけれども、少なくとも医学教育をやっているようなところ、あるいは看護教育をやっているようなところでの調査では、予防接種を勧奨しているところはだんだん増えつつあります。ただ、現実には取り組んでいるところがどのくらいあるだろうかというところでまだまだ十分ではありません。しかも、これは医育機関が中心になるので、その他の医療機関に関しては、ほぼ何もしていない状況ではないかと思います。殊に小児に接することの多いところでは十分に注意していく必要があるだろうと思います。 ○加藤座長 これは病院でありますとか、いろいろ高齢者の施設等に従事している方々、特にこれからインフルエンザのシーズンになりますと、そういう方々への予防接種の勧奨ということも必要になると思いますけれども、これはまた先ほどと同じように、やはり予防接種法の中で行うものではありませんので、国の方から積極的または努力目標的にこれを指導していくということはなかなか難しいかと思います。この検討会の委員の先生から、このようなことをしたらよろしいのではないかという御意見を是非伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○竹本委員 医学部であるとか薬学部、それから、いわゆる看護師の学校は、入学時の時点である程度抗体が、実習に入る前には抗体があるかどうかを調べた方がいいのではないかと思います。川崎市では高等看護学校は2年生の実習に入る前に、感染症に関しては抗体を調べて、抗体がない人に対して予防接種の実施を促しております。大体80〜90%の人が抗体を持っていますけれども、持っていない人も出てきておりますので、その人たちにそういう意味では検査をきちんとして実習中にうつさないということと、本人自身うつらないということを確かめる必要があるのではないかと思います。 ○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。 ○澤委員 地域で見ていますと、高齢者に対応する施設というのはかなり予防接種、特に今の時期ですとインフルエンザなどはきちんと打たれる方が多くて、施設全体的にそういう傾向が強いと思うんですけれども、保育園などは指定管理者制度が入ってきまして、割とアルバイト的に働いている方が非常に多くなって、短期間で入れ替わりになっているので、ああいうところに対してやはりもう少し、予防接種をきちんとするような勧奨を自治体でできないことはないので、やった方がいいのではないかなということを感じており、墨田区としましては手を打ちたいなと思っています。  高齢者の方は多分、かなり問題意識がありますので、かなりの接種率ではないかなと思っています。時々、特別養護老人ホームなどで感染者が出て入院するようなインフルエンザですけれども、事態になりまして調査に入りますと、ほとんど職員は打っておりますので、そういう意味ではむしろ問題は小児の方かなという感触を持っていますので、そちらの方へのPRなどがもう少し必要かなとは思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  こういう定期の予防接種に適用しない方々に対して、予防接種を勧奨するということを先ほどもお話しいたしましたが、国権でもってそれを指揮するということはできないだろうということですが、検討会の意見として、どのようなことを厚労省にやっていただきたいかというような御意見をいただきたいんですけれども、皆さんおっしゃっていることは当然そういう方々に接種すべきであると、何らかの方法で接種すべきであるというのは皆さん共通の御意見だと思いますが、では、実際に具体的にこういうようなところを努力していただいて、厚労省にはこういうことをやっていただければよろしいのではないかという建設的で具体的な御意見を是非述べていただきたい。 ○岡部委員 直接いわゆる定期接種としてやっていくのは難しいだろうというのは全くそのとおりだと思うんですけれども、例えば、院内感染対策委員会といったようなところに私は出席していますが、予防接種に関することはほとんど語られない、ようやく少し入ってくるようになりましたけれども、そういうところに対して必要性を、感染症全体の守る立場というところから是非お互いの行政同士でその辺を強調していただきたいと思います。そして今、先生がおっしゃったような、幼稚園あるいは保育園あるいは学校、そこの教育において予防接種というものがなぜ必要なのかということを、これは職業に従事する人たちへの勧めといったようなことは、これは定期接種だからうちの責任ではありませんというようなことではなくて、感染症対策の一環として進めていただくような工夫はできるのではないでしょうか。 ○澤委員 ほぼ同じなんですけれども、より具体的には、やはり国の通知文書というのが非常に有効だと思いますので、感染症対策というようなことをお勧めしてほしいというような文書を出していただくと、かなり自治体は動くのではないかというふうに私は思っていますけれども。 ○岩本委員 私は医学研究所の中の病院の者なんですけれども、病院では要するに講習会をしたり、必要な検査を新規職員に行って、必要な人にはワクチンを病院の費用でやっているんですけれども、医学研究所ですので最近調べてみると、例えば、人の材料を使う研究室が思ったより多いんだということが今、所内で議論になっているんですが、恐らく医療従事者であるとか社会福祉施設を超えたような人たちが、例えば、社会的にインフルエンザのような社会で蔓延しやすい病気ということだけではなくて、それが例えばNGOの研究活動であったりいろいろなことで、本来ワクチンで守られるべき病気に対して知識をどこで得るのかとか、そういったような情報がある程度幅広く国民に知らされるようなものが必要なのではないかと思うんですけれども。非常に漠然とした言い方ですが、恐らく医療従事者だとか医療関係だけということではなくて、こういう病気が今、日本人の中で減ってきたけれども、こういうものに対してワクチンで守ることができますよとか、そういうようなスタンスを国として持っているということは非常に大事だと思うんです。それは単に医療従事者だけではないと思います。今の世の中ですと、全く医学と関係なかった人がまさに医学関係の研究をすることが昔よりずっと多くなっていますし、NGOの方がいろいろな医療に従事することもありますので、そういうものが恐らく省庁を超える格好になるかもしれませんけれども、国としてこういう病気の類型に関してはこういう対策がなされてきて、ワクチンに関して日本では減ったけれども、ワクチンでこういうことは守り続けなければいけないとかそういうような、いわゆるシンクタンクなり意見を述べるような機関が要るのだと私は思いますが。 ○雪下委員 今、委員の方々が言われているとおりで、一般的な場合は私も、国なり自治体からの予防接種の必要性についての通知を出していただくということが、みんなが動いてくれるのには大事だと思っております。しかし、例えば、緊急を要する場合といいますか、差し当たって新型インフルエンザに対する、いわゆるプロトタイプのものを医療従事者とか関連する職種の人に対して接種するという時、それは半ば強制的に接種する場合、そういう公費みたいな負担を考えておられるのかどうか。もし、そういうものがないとすれば、新潟地震のときに私どもがインフルエンザワクチンを被災者に打ってあげようというときにいろいろ苦労しました。結局は、災害救助法を適用してもらってワクチンを送ったということがあるんですけれども、このような緊急な場合はどのように考えておられるのか、その辺のところを教えていただければと思います。 ○伯野予防接種専門官 新型インフルエンザのワクチンに関しましてお話がありましたけれども、新型インフルエンザのワクチンに関しましても今、予防接種法上でも強制という形では天然痘のワクチンが今、臨時の予防接種として扱われておりますが、強制という形では取り扱っておりませんので、あくまで新型インフルエンザに関しましても、御本人の希望に基づいて接種という形になるかと考えております。 ○雪下委員 もう一つよろしいですか。そうすると、いわゆる指定医療機関がフェース5までは働くわけですけれども、そこについても任意でやりなさいということでしょうか。  例えば、今の新型インフルエンザの発生について、5段階までは指定医療機関が対応することになるわけですよね。一種、二種と結核病棟の陰圧式ベッド等が使用されることになるわけですけれども、そこに対しても任意で対応しなさいということですか。 ○伯野予防接種専門官 その費用負担云々の話と、任意・定期という話とはちょっと別かとは思うんですけれども、任意というところが御本人の希望をあくまでも尊重してという形であれば任意、御本人の希望に基づいて、御了解に基づいてというふうに考えております。 ○加藤座長 現在お話をしているのは、いわゆる医療従事者・社会福祉施設等の従事者への予防接種の勧奨について、今までの検討委員会の中から出てきたことを掘り下げて課題としているわけで、すなわち予防接種というものは子どもたちだけに行うものではなくて、環境にある医療従事者または学校の先生方も入るかもしれません、そういう方々に対して感染予防ということに関連して、予防接種をすることをお勧めする必要があるのではなかろうかと。それについては、国としてはどのような対応をとったらよろしいかということを議論していただきたいということでして、先ほど感染症対策として国が勧めるとか、または通知というようなものを出していただくと、かなり有効打になるのではなかろうかという御意見が出たわけですが、この辺のところの意見をもう少しいただけませんか。 ○蒲生委員 できるかどうか全然私にはわかりませんけれども、国としての姿勢というかアピールが足りないのではないかと思います。高齢者にかかわる方々がインフルエンザの予防接種をするようになったのはなぜかと言えば、あれだけの報道がなされたからだと思います。小児にかかわる、お子さんにかかわる人たちもいろいろな予防接種を受けましょうというアピールをしてはいかがでしょうか。クールビズのときに新聞に全面広告が出ましたけれども、あれを見たときに、国は本気なんだなと思いました。今まで何回も省エネルックとかいろいろなことがありましたけれども、あの全面広告が出たとき、本当にやるんだと。あれで本当にみんながわかったし、やりやすくなったしというところはあったんだと思います。ああいうふうに新聞の広告を活用することはとても有効だと思います。自治体に通知を出すというのも勿論大切なことだと思うんですけれども、みんなが「ああ、そうなのね、子どもにかかわる人も予防接種しなくてはいけないんだわ」と思えるのは、ああいうわかりやすい形だと思います。何も医療の方とか福祉の方だけでなく、私はお子さんを育てている御両親も、赤ちゃんにうつさないという意味では予防接種が必要な部分もあると思っていまして、そういうところでもお子さんにかかわる方は、御自分の感染ということも考えましょうというような広告をできたらいいんじゃないかなと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。大変貴重な御意見で、いつもマスコミをうまく利用できるとか、または政府広報とよく出ますけれども、そういう方向で何らかのアピールをすれば、より簡便に広がるということであろうかと思いますが、何かほかに御意見はございますか。 ○岡部委員 全体の姿勢の問題にもかかわってくると思うんですけれども、どうもこのところの傾向を見ていると、定期接種というものに組み入れたものについては、国は責任を持って「公権力も持ってやる」と、このごろよく言葉が出てきますけれども、それはそうだけれども、それ以外のものについては、国はほとんど関与しない、関与する度合いが少ないというような姿勢が余りにもはっきりし過ぎていると思うんです。仮に任意であっても、これは公衆衛生上非常に重要であると。しかし、もろもろの理由から定期接種にはしていないんだけれども予防という意味では重要であるということをはっきりしていただくと、そうかという考えで安心して見ていただけるのではないかと思うんです。一般の方にとっての印象はどうも私の聞いている範囲では、定期接種だからこれはいいワクチン、任意接種だからこれはまだ国も認めていないような、まだよくわからないワクチンといったような理解で、誤解の元になっているのではないかと思うんです。つまり、任意接種、定期接種外のものであっても、感染症対策として重要なものはこういうものである、ということについては明確におっしゃってもいいんじゃないかと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。  今の岡部先生の御意見は非常に大切なところでして、確かにこのごろ、いわゆる公権という言葉が大分出てまいります。それで、定期接種に関しては国は責任を持ちますという言葉がよく出てまいりますが、この検討委員会でも時間がありますと議論になると思いますけれども、この元になっていると思われるのは、予防接種後の健康被害がかなり大きな視点となってくるのではなかろうかと考えています。したがって、予防接種後の健康被害をどうとらえるかということによって、大分考え方も変わってくるのではないか。現在のような制度において、予防接種後の健康被害というものを考えていくということが続くならば、やはり国としては定期接種以外のものに関しては関与できないという対応をせざるを得ないのではなかろうかと、これは私個人の意見ですけれども、そのように感じております。それが正しいか正しくないかは、また後日の検討委員会の席で厚労省の方からの御意見もお伺いしたいと考えております。  いずれにいたしましても、この第3番目の議論はなかなか難しいところですので、今後も検討を続ける必要があると思いますが、定期接種ではないものでも、何らかの形で国が関与すべきであろうというのが、ほとんどの委員の御意見のようですので、またいろいろ知恵を出していただきまして、検討していただきたいと考えます。  この点に関しましてはよろしゅうございますか。それでは、最後の論点についてお願いいたします。 ○伯野予防接種専門官 4番目の予防接種医師の知識・技能の向上についてでございますが、現状としましては定期の予防接種におきましては、被接種者の通常の健康状態を十分に把握している、かかりつけ医さんが個別接種を行うことが適当であると考えております。したがいまして、たくさんの接種医の方々が予防接種を行うこととなりますので、予防接種に関する知識・技術の水準を引き続き確保する必要があると考えておりますが、どのような方法で接種医の知識及び技能の水準を引き続き確保するかというところが課題かと考えております。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございます。  そのような接種医、現在は市町村長が接種者でございまして、その接種者が医師会に対して接種をお願いするという形です。医師会側は接種を行う意思のある方に手を挙げていただきまして、その手を挙げた方々に接種を委ねるという形をとっているのが現状でございますが、その接種を行うにおいてたびたび出てまいります、例えば、期限切れのワクチンを接種してしまったとか、異なったワクチンを接種してしまったとか、それから、先般配付されました予防接種事故の手引きというのがありますが、幾つかの事例があるわけでございまして、予防接種医師の知識・技能の維持またはレベルアップということが一つの問題になろうかと思いますが、この辺に関して、雪下先生から何か御意見ございますか。 ○雪下委員 特にありません。 ○加藤座長 竹本先生、いかがでしょうか。 ○竹本委員 本来であれば、予防接種の予防接種認定医みたいな形できちんとできていれば、知識の普及というのは非常にいいのだと思いますが、現実的には無理なので、また川崎市の実情なんですけれども、川崎市では7〜8年前からまず予防接種の講演会というのを2回行っております。予防接種は手挙げ方式なものですから、内科、小児科以外にも外科であるとか耳鼻科の先生たちも希望してきますので、2回の講習会のうち1回は出てもらわなければいけないということで、2回どうしても出られないという方は予備として、その先生方を呼んで担当理事が説明しているというのが実情です。  それから、その2回の講習会のうちの1回どちらかに出てもらわないと、希望しても認定はされないということになっております。高齢者のインフルエンザもまた2回講演を行って、これは行政とタイアップして、行政が説明を行って、医師会は出席の状況を把握するということで、今年度も2回講演会をやって出られなくて、もう一回予備に先生方に来てもらったんですが、それでも出られなくて希望した方がいたんですが、これは規定として講習会に出てもらわなければいけないということで、今年度はあきらめてくださいということで遠慮願っております。ですから、やはりそういう講習会をきちんと義務付けるということが必要なのではないかと思います。  それから、もう一つは、川崎市は同一ワクチンを使っておりますから、問診票のロットナンバーを見ると期限が切れているかどうかというのはわかっておりますから、期限切れワクチンを使った先生の一覧表を提出してもらって、医師会から個別の先生に手紙を出して、今後どういう対策をとりますかということで、患者さんにお話しした、様子を見る、そういう返事をもらって個々の医療機関に対応してもらっておりますので、趣旨に沿っていっているのではないかなという感じがいたしております。 ○加藤座長 ほかに何か御意見ございますか。できるだけ講習会を行って、そこで講習会に出席した方にお願いするという、川崎市はそういう方法をとっていると。よそでもそういう方法をとっている市町村があるとは聞いておりますけれども、全国統一的にこれをやることはなかなか難しいと思いますが、雪下先生、日本医師会としてそのようなことを医師会にお勧めするというような方法については、いかがでございますか。 ○雪下委員 それは毎回こういう問題が出てきますが、日本医師会も努力してやっているつもりです。例えば、予防接種週間というのは御存じのように3月1日から1週間やっておりますけれども、それはただ予防接種するということだけではなくて、その間に予防接種についての啓発、活動をしてほしいということで、これは手を挙げた市町村医師会に対しては補助金を出して、講習会等をなるべくやってもらうということにしています。  ただ、それについて今、座長が言われたような、期限の切れたワクチンを使って問題をおこすというような先生方はなかなか講習会に出てきてくれないというのがあるのです。講習会に出てくる先生方は一生懸命やってくださっているわけですが、ただ、それに出てこない人について予防接種をやっていけないと言うことは、日本医師会としても云いにくいという現実がある訳です。 ○加藤座長 ありがとうございます。これが現状であろうかと思いますけれども、何か御意見はございますか。蒲生委員、何か御意見ございませんか。 ○蒲生委員 一般的な感覚ですけれども、期限の切れたワクチンを打たれるなんて、とても信じられず、それこそまた議論が続くでしょうけれども、副反応とか重大な健康被害ということにもつながっていく、賞味期限が切れたものも食べないぐらいの感覚でいるのに、ワクチンの期限が切れているかどうかは受ける側はわからないので、とてもびっくりしています。そういうことに関しては講習会が云々とか技術やら知識が云々というより、早急に何か対策をとらないと、そんな恐ろしいことはないんじゃないかと思います。どういうふうにしたらいいのか、期限が切れたら回収したらいいのか、そこまでしないと期限が切れたものすらわからない状態なのか、きっと期限というのは大きく箱などに書いてあることなのでしょうし、どうしてそんなことが起こってしまうのかという疑問の方が大きくて、技能やら何やらというより基本的なことをちゃんとやっていただかないと、予防接種を受ける側としては恐ろしくて受けることもちゅうちょしてしまうような気がします。 ○加藤座長 そういうことがないように、先ほど竹本先生がおっしゃったように、できるところの都市・市町村ではできるだけ講習をして出席を求めて、そういう方々にレベルを向上させるような努力をしているというところですが、一方では雪下先生がおっしゃるように、全国にすべてそれを統一してやるということになりますと、今度は接種医がいなくなってしまうようなこともありますので、なかなか難しい問題が含まれていると思いますけれども、いずれにしても、予防接種をする上において予防接種の専門医をつくるというようなこともなかなか難しいことですので、接種する先生方の個人個人のレベルを上げていただくという努力をしていただくという以外になかろうと考えております。  何かほかに御意見ございますか。よろしゅうございますか。  それでは、一応、本日用意いたしました議題のうちの3番目の予防接種における横断的な課題については4題ほどお話が出ましたが、これについては今回で一応のまとめをさせていただきます。  最初の予防接種の記録の件ですけれども、予防接種手帳をつくるかどうかということに関しては、多くの委員がやはり何らかの形で今の母子健康手帳とは異なった方法での予防接種手帳をつくるということを今後、更に関係部局で検討して作成していただきたいという御意見が多数出たということでまとめさせていただきます。  また、接種率の正確な評価についてですが、これも定期接種に関しての接種になりますが、1年目のデータはそろそろ出るというところですけれども、やがて3年、4年、5年というような先々の累積の接種率の調査は、現在の調査が引き続き行われた段階で表に出てくるものであろうということ。そういう国レベルでのデータが出るまでは、現在行われているような厚生労働科研費において累積の接種率の調査を引き続き行っていかざるを得ないであろうということでございますが、それだけでは研究費が続かなくなった場合とか、それに対して積極的な医師がいなくなった場合に困ることもあるので、より有効な接種率把握の方法も国レベルで考えていただきたいという御意見が出たというところでございます。  また、医療従事者や社会福祉施設の従事者等への予防接種の勧奨についてですが、これもやはり定期の予防接種ではないという関係上、その医療従事者以外にも成人に対しても予防接種というものが必要であろうというような啓発活動というものを国を挙げて行っていただきたいという御意見が強く出たものと思われます。いずれにいたしましても、例えば、医療従事者自らが感染源となってしまうというようなことは避けなければならないわけですので、一人一人の認識と努力が必要であるということは言うまでもありませんけれども、そこを何らかの形で必要性があるということを皆さんに認識していただくと。そういう方法を、では国としてどのような方法をとることができるのか。委員の中にはお勧め言葉であるとか、通知を出していただきたいという御意見もありましたし、また、新聞、マスコミ等を利用して、メディアを通じての啓発活動を行うことが有用ではなかろうかというような御意見も出ました。これらを勘案して、厚生労働省当局として今後、御検討をいただきたいと考えます。  それから、予防接種医師の知識・技能のレベルアップについてですが、先ほど申し上げたのは簡単な例でございますけれども、幾つかの予期できないような事象もございます。したがいまして、予防接種医師の知識・技能のレベルアップにつきましては、各地域または各医師会で検討を加えていただいて、より一層のレベルアップを図っていただくことが重要でございます。専門医制度をつくって予防接種医を決めるということは、非常に非現実的でございますので、できることであれば、川崎市が具体的にお話しになりましたような講演会等を中心といたしまして、各接種医のレベルの維持、レベルアップを図っていただきたいというふうにまとめさせていただきます。  以上が、今日の論点のところでございますが、全体にわたりまして何かまだ御意見がおありでしょうか。 ○岡部委員 今のまとめから外れてもいいですか。  この次の会がいつになるかまだわからないので、なるべく早く検討した方がいいんじゃないかと思うのは、来年4月からの制度切替えによるはしか・風しん同時接種ということになって、そこが接種漏れ者が増加する可能性がある。つまり、現在の制度の中でできる人になるべく接種しておいていただかないと、積み残しのままいってしまう人がいるという可能性が危惧されております。実態としてうまくいっているのかどうか、それから、3月までにこれからあと4か月ぐらいですけれども、その間に是非とも積み残しがなくなるような努力を国としてもしていただきいし、私たちもやらなければいけないことです。そのことについて例えば、保育園、幼稚園への連絡とか、あるいはそれこそ蒲生委員のところで啓発をしていただく、あるいは国としては自治体にもう少しきちんと、4月までどうするんだというようなことをおっしゃっていただくことは、緊急の課題として必要ではないかと思うので提案させてください。 ○加藤座長 岡部先生はちょっと遅れていらっしゃったので、このときにおられたかどうかわかりませんが、本日配付されました資料2のところに現在のはしか・風しんワクチン接種の勧奨調査結果というのが添付されてございます。したがいまして、現在国が努力している現状がこの資料2ということになりまして、これがどのくらい反映しているかということについてはわからないわけですね。これだけの努力はされているということのようでございます。 ○岡部委員 私たちが日本ワクチン学会のときに演題として発表しておりますが、やはり現状のままでもし何もしなければ積み残してしまう。つまり、はしかと風しんに対して感受性を持ったまま定期接種から外れてしまう人が20%前後ぐらいはいるのではないかという結果が出ております。これはアンケート調査から来ているんですけれども、したがって、この人たちに対してやはり何らかの形で強く勧奨していただくということが必要なので、例えば、自治体にこういう方々については、できるだけ早く接種をするように勧めてくださいといったような連絡をしていただくということについては、私はちょっと遅れてきたので、そのディスカッションがもしかするとあったのかもしれないんですけれども、しかし、これについては来月、再来月とはいかないので、もし議論が行われていないのでしたら、是非このことについて御検討いただきたいと思います。 ○加藤座長 この件に関しては、厚労省の方はこの資料2でよろしいということですか。 ○伯野予防接種専門官 そのような御指摘も受けているところですので、ただ、保育園、幼稚園、また縦割り行政で大変恐縮なんですが、関係省庁とも相談しながら対応しなくてはいけないところかと思いますので、こちらで検討させていただきたいと思います。 ○澤委員 地域と自治体では、かなり強烈にこれには力を入れておりまして、ありとあらゆる広報手段、それから、個人へのお知らせとかすべてにわたってかなり強力な勧奨をして、ともかくここまでに打ってちょうだいよみたいなことは医師会にも連絡してありますし、保育園・幼稚園は勿論のこと、学校にも毎月のようにメールで流しておりまして、生徒に周知徹底してほしいということ。それから、広報、新聞がありますけれども、そんなようなものとかホームページとか、できる限りの手段でともかく打ってちょうだいということは叫んでおります。 ○岡部委員 私も全部の現場を知っているわけではないんですけれども、やはり温度差があって、非常に熱心にやっていただいているところはもともと接種率のいいところです。問題は、全体としては確かに接種率はいいんだけれども、地区で見ると非常に落ちているところであるとか、最近の調査なんですが、あるものに注意をしたために、こっち側の予防接種が落ちているということもあるので、少なくともこの2種類については、なるべく早く何らかの方策、先ほどの通知といったようなことがもし可能であるならば、発することができるようなことを、是非課内で検討していただければと思います。 ○雪下委員 この予定のないというところが214市町村把握されているわけですよね。それについては、何かプッシュする指令というか指示というのは出ているんですか。10%については予定もないと返事しているんですよね。今言われたのもここが問題であると思います。 ○伯野予防接種専門官 その辺も含めまして改めて徹底させていただこうかと思っております。ただ、予定なしと書かれておりましても、例えば、対象者がその市町村の中に5人しかいないと。ですから、個別通知はしなくても全部終わっていますとか、把握していますというようなものも多少この中には含まれているという現状でございます。ただ、それ以外の点もあるかと思いますので、十分にこちらの方でまた徹底するよう検討させていただきます。 ○加藤座長 政省令が大幅に変わるわけですので、接種医の中にも混乱がございますが、それ以上に接種を受ける側から見ますと、今、岡部先生がお話しになったように、まだ接種ができるはずだと思っている方々がたくさんいる可能性が十分にありますので、岡部先生の今の御発言は、もう少し更にしつこく指令を出していただきたいと。1回やったからいいだろうということではなくというような意味合いだと考えてよろしいでしょうか。では、そのようなことも是非当局としてお考えいただいて、岡部先生がお話しになりましたような法的な接種漏れ者が生じないように全力を払っていただく。もう既にやっていただいているとは思いますけれども、更にもう数か月しか残っておりませんので、ラストスパートを掛けていただくということで、よろしくお願いしたいと思います。  全般的なことで何かほかにございますか。よろしゅうございますか。  それでは、大体今日の議論が済みましたので、終了時間もありますので議論は終了させていただきます。そのほかのことでございますけれども、事務局から何か御報告がございましたら、よろしくお願いいたします。 ○塚原結核感染症課長 それでは、1点御報告をさせていただきたいと存じます。  感染症法改正を今検討しておりまして、その中で予防接種に関係する部分がございますので、簡単に事務局から御説明をさせていただきます。昨年12月に政府の国際テロ対策推進本部の中で、テロの未然防止に関する行動計画というものが策定されました。この中で厚生労働省は、感染症の病原体の取扱い規制について検討を行い、感染症法の改正案を平成18年度の国会に提出をするということが決定されております。この中で、したがいまして、病原体等について感染力あるいは重篤度に応じて病原体を分類いたしまして、所持・輸入等に関して禁止、届出あるいは許可といったような制度を創設しようということで今検討をしております。この中で、病原体の管理に当たりましては、いろいろな病原体がございますけれども、その中で多剤耐性結核菌につきましても現在、医療機関あるいは試験研究機関で広く取り扱われているということでございまして、規制の対象とする要請が高いと考えております。  また一方、結核予防法に基づく各種制度の中で人権問題でありますとか、入所命令を掛ける際の同居者要件がなければならないというような問題、いろいろな結核予防法における法的な指摘もされております。このような状況の中で、現在、政府部内におきまして、適正な感染症対策の総合的推進を図るため、病原微生物の管理体制の確立、それから、感染症の分類の見直し、結核対策の見直し、人権尊重のための規定の整備といったような内容とします感染症法の一部改正を現在検討しているところでございます。この中で、仮に結核予防法を廃止して、新たに感染症法の中に位置付けるという形になりますと、BCGの取扱いがどこに法的根拠を求めるかということになるわけでありますが、今のところ予防接種法を根拠にすべきだということを考えておりまして、引き続きBCGを進めていくということになりますと、予防接種法改正をいたしまして、結核を予防接種法の対象となります一類疾病に位置付けるというようなことを現在併せて検討しております。  そういう状況の中で、結核予防法の取扱いに関連をいたしまして、予防接種法の中でBCGを位置付けてはどうかというようなことを今検討しておりますので、現段階でそういった状況であるということを御説明させていただきました。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。感染症法と結核予防法の統合で、BCGが感染症法の中に組み入れられて、結核が一類の方の予防接種ということになるという大体のお話だと思いますけれども、これに関しまして何か御意見・御質問がございましたらいただけますか。よろしゅうございますか。  特に御意見がないようでございますので、本日はこれで終了させていただきますけれども、今後のスケジュール等もございますので、事務局の方からございましたらよろしくお願いします。 ○皆尾課長補佐 次回の検討会でございますが、1月27日の午前中を予定してございます。最終的な日程調整につきましては、後日御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○加藤座長 ありがとうございました。  次回は来年の1月27日の午前中ということでございますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。  本日は、お忙しいところを御議論いただきまして、ありがとうございました。これをもちまして本日の会議を終了させていただきます。 - 1 -