05/12/16 中央社会保険医療協議会総会平成１７年１２月１６議事録


０５／１２／１６　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　第７７回総会議事録　	

(1)日時　　平成１７年１２月１６日（金）１１：３７～１２：２２
(2)場所　　厚生労働省専用第１８会議室
(3)出席者　土田武史会長　遠藤久夫委員　室谷千英委員　小林麻理委員
　　　　　 青柳親房委員　対馬忠明委員　小島茂委員　勝村久司委員
           宗岡広太郎委員　飯塚孜委員　松浦稔明委員　
           松原謙二委員　青木重孝委員　野中博委員　石井暎禧委員　
           邉見公雄委員　黒﨑紀正委員　登利俊彦委員　山本信夫委員　
           白石小百合専門委員　大島伸一専門委員　
　　　　　 ＜事務局＞
　　　　　 水田保険局長　宮島審議官　麦谷医療課長　榮畑総務課長　石原調査課長
　         堀江保険医療企画調査室長　水谷医療課課長補佐　他
(4)議題　　○　平成１８年度薬価制度改革の骨子について
　　　　　 ○　平成１８年度保険医療材料制度改革の骨子について
(5)議事内容

○土田会長
　ただいまより、第７７回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。
　まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、大内委員、針ヶ谷専門
委員及び岡谷専門委員が御欠席です。
　次に、委員の選任について御報告申し上げます。
　１２月１日付で、室谷委員及び岡谷専門委員が再任されております。
　それでは、議事に入らせていただきます。
　まず、「平成１８年度薬価制度改革の骨子」について議題としたいと思います。
　本件につきましては、本日の薬価専門部会において取りまとめが行われました。同
部会の部会長である遠藤委員の方から、御報告をお願いいたします。

○遠藤委員
　御報告いたします。
　薬価専門部会におきましては、本年４月より合計９回にわたりまして薬価算定基準
について審議を行ってまいりました。審議に際しましては、実際に新医薬品の薬価算
定を行っております薬価算定組織の早川委員長から御意見をちょうだいするとともに、
日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会（ファルマ）、欧州製薬団体連合会（エ
フピア）及び日本医薬品卸業連合会の内外の関係団体からそれぞれ２回ずつ意見聴取
を行いました。それらの意見を踏まえながら検討を進めてまいった次第であります。
本日、その検討の結果を「平成１８年度薬価制度改革の骨子（案）」として取りまと
めましたので、御報告いたします。
　内容につきましては、事務局に読み上げていただきたいと思います。よろしくお願
いいたします。

○事務局（赤川薬剤管理官）
　　　　　　　　　　平成１８年度薬価制度改革の骨子（案）
I　基本的な考え方
  ○　我が国の医療費に占める薬剤費の比率（薬剤比率）は、国際的に見ても高
    い水準にあると言われてきたが、これまでの様々な取組みにより、薬剤比率
    は低下し、また、薬価差も縮小傾向にある。
  ○　平成１２年度においては、薬価算定基準の見直し及び成文化や薬価算定過
    程の透明化などを行った。
　  また、続く平成１４年度においては、先発品と後発品、画期的新薬等の薬
    価算定基準の見直し等を行った。
  　さらに、続く平成１６年度においては、新規収載医薬品の薬価算定、市場
    拡大再算定等の見直しを行った。
  ○　次期薬価制度改革においては、上記のような経緯を踏まえ、これまでの算
    定経験に基づく薬価算定組織からの意見書及びこれを受けた中医協における
    議論に基づき、また、社会保障審議会医療保険部会及び医療部会における薬
    剤に係る給付の見直し等についての議論を踏まえ、最近の我が国の医療保険
    財政を取り巻く厳しい状況にかんがみ、引き続き薬価の適正化を図ることを
    基本として、薬価算定基準について所要の見直しを行うものとする。

II　具体的内容


 既収載医薬品の薬価改定


１　薬価改定における調整幅方式
  ○　調整幅方式については、既収載医薬品の原則的な薬価改定方式として、こ
    れを維持するものとする。【平成１８年度実施】
２　後発品のある先発品の薬価改定
  ○　「医療制度改革大綱」（平成１７年１２月１日政府・与党医療改革協議
    会）の「薬剤等に係る見直し」において「画期的新薬の適正な評価を行う一
    方、後発品の状況等を勘案した先発品の薬価引下げを行う」とされたことを
    受け、後発品のある先発品の薬価改定については、更なる薬価の適正化を図
    る観点から、現行の薬価算定ルールにおける先発品薬価の一律引下げ率（４
    ～６％）を２ポイント拡大し、併せて、平成１４年度及び平成１６年度改定
    において一律引下げの対象となった後発品のある先発品についても、今回の
    薬価改定に限り、更に２ポイント引下げを行う改定方式に見直すこととする。
【平成１８年度実施】
  ○　なお、後発品を含めた同一成分・同一規格の全銘柄の市場実勢価格の加重
    平均値を用いて、調整幅方式により算定した価格を先発品の改定薬価とする
    改定方式については、引き続き検討を行うこととする。
３　再算定
  ○　市場拡大再算定、効能変化再算定及び用法用量変化再算定については、こ
    れを維持するものとする。【平成１８年度実施】
  ○　不採算品再算定については、現在、薬価改定の際に行われているが、安全
    対策上の必要性により製造方法の変更等を行った既収載医薬品について、既
    収載医薬品の薬価をそのまま適用しては不採算となり、緊急性がある場合に
    限り、現行の不採算品再算定を準用し、必要な時期に薬価の改定を行うこと
    とする。【平成１８年度実施】
  ○　また、既収載医薬品と同一のものであるが、安全対策上の必要性により製
    造方法の変更等を行った新規収載医薬品の薬価算定に当たっても、既収載医
    薬品の薬価に基づく類似薬効比較方式により算定したのでは不採算となり、
    緊急性がある場合に限り、現行の不採算品再算定を準用し、必要な時期に薬
    価収載を行うこととする。【平成１８年度実施】
４　薬価改定及び薬価調査
  ○　現在２年に１回行っている薬価改定については、頻度を含めたその在り方
    について、引き続き検討を行うこととする。
  ○　季節等により使用量が大きく変動する既収載医薬品についても、その価格
    及び数量を適確に把握できるよう、薬価調査を充実することとする。【次々
    回以降の薬価改定時に実施】
  ○　長期にわたる取引価格の未妥結及び仮納入は、薬価調査の信頼性を確保す
    る観点からも、不適切な取引であることから、その是正を図ることとする。
【平成１８年度実施】
５　その他
  ○　後発品については、その収載に当たり必要な規格がすべて揃っていること
    を原則とするとともに、安定供給を確保するよう指導することとする。【平
    成１８年度実施】
  ○　長期にわたり収載され低薬価となっているもので、最低薬価が設定されて
    いないことにより供給に支障が生じるおそれがある医薬品について、その必
    要性を評価した上で、最低薬価を設定することとする。【平成１８年度実
    施】


 新規収載医薬品の薬価算定


１　類似薬効比較方式
  ○　後発品のある先発品の薬価の適正化を図る一方で、画期的新薬の適切な評
    価を行うこととし、画期性加算及び有用性加算の要件の緩和及び加算率の引
    上げ並びに補正加算における傾斜配分の標準額の見直しを行うとともに、補
    正加算として「小児加算」を新設し、主たる効能及び効果又は当該効能及び
    効果に係る用法及び用量に小児に係るものが明示的に含まれているもののう
    ち一定のものに対し適用することとする（別紙参照）。【平成１８年度施】
  ○　類似薬効比較方式の在り方について、引き続き検討を行うこととする。
２　原価計算方式
  ○　薬価算定組織における輸入原価の妥当性の評価に資するため、新薬収載希
    望者に対し、輸入先国における価格の状況等の輸入原価設定上参考となる資
    料の提出を求めることとする。【平成１８年度実施】
  ○　原価計算方式の在り方について、引き続き検討を行うこととする。
３　外国平均価格調整
  ○　外国平均価格調整について、以下のような場合には引上げ対象から除外す
    ることとする。【平成１８年度実施】
  ・　類似薬効比較方式（II）（新規性に乏しい新薬）の場合
  ・　複数の規格があり、外国平均価格と比べて高い規格と低い規格とが混在す
    る場合
  ・　複数の規格があり、非汎用規格のみが調整の対象となる場合
  ・　外国平均価格が１ヶ国のみの価格に基づき算出されることとなる場合
  ○　外国平均価格の算出方法等について、所要の見直しを行うこととする。
【平成１８年度実施】
４　規格間調整
  ○　規格間調整について、汎用規格に対応する用量を超える高用量の規格の算
    定の際に用いる規格間比の上限を引き下げることとする。【平成１８年度実
    施】
５　新規後発品
  ○　新規後発品の算定ルールについては、これを維持するものとする。【平成
    １８年度実施】
６　その他
  ○　薬価算定組織が薬価算定案を決める前に、補正加算の適用を希望する新薬
    収載希望者等に直接意見表明する機会を与えることとする。【平成１８年度
    実施】
　　　　以上でございます。

○土田会長
　ありがとうございました。
　ただいま報告いただきました「平成１８年度薬価制度改革の骨子（案）」につきま
して御質問等ございましたら、どうぞ。

○小島委員
　既に部会でも発言したのですけれども、今回示されているこの「骨子（案）」でお
おむね了承したいと思います。
　それと、今日、総－３で１号側の意見書を出しております。その４ページに、「９．
薬価基準制度について」ということで記載をしております。そこに記載されるように、
「薬価は、市場実勢価格をより適切に反映した制度を基本とすべき」という観点ある
いは今後中医協の場で薬価調査や改定の頻度などについても検討すべきという意見も
入っております。今回の「骨子（案）」の中に、その趣旨がおおむね盛り込まれてい
るというふうに理解をしております。今後、薬価調査あるいは改定の頻度ということ
についてもぜひ早急に検討を開始をすべきという意見を再度述べておきたいと思いま
す。

○土田会長
  ありがとうございました。
　ほかに御意見ございますでしょうか。
　よろしいですか。それでは、中医協といたしまして、資料、総－１のとおり、「平
成１８年度薬価制度改革の骨子」ということを了承することにしたいと思いますが、
よろしいでしょうか。
　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土田会長
　どうもありがとうございました。
　それでは続いて、「平成１８年度保険医療材料制度改革の骨子」について議題とし
たいと思います。
　本件につきましては、本日の保険医療材料専門部会におきまして取りまとめが行わ
れました。同部会の会長である遠藤委員の方から、御報告をお願いいたします。

○遠藤委員
　御報告いたします。
　材料専門部会におきましては、本年４月より合計７回にわたりまして材料価格基準
について審議を行ってまいりました。審議に際しましては、実際に新医療機器の価格
算定を行っている保険医療材料専門組織の小柳委員長から御意見をいただくとともに、
日本医療機器産業連合会、在日米国商工会議所、米国先進医療技術工業会及び欧州ビ
ジネス協会の内外の関係団体から意見聴取を行い、それらの意見を踏まえつつ検討を
進めてきたわけでございます。本日、その検討の結果を「平成１８年度保険医療材料
制度改革の骨子（案）」として取りまとめることができましたので、御報告いたしま
す。
　内容につきましては、それでは事務局の方からよろしくお願いいたします。

○事務局（福田企画官）
　それでは、事務局より、「平成１８年度保険医療材料制度改革の骨子（案）」につ
きまして朗読させていただきます。

　　　　　　　　平成１８年度保険医療材料制度改革の骨子（案）
I　基本的な考え方
  ○　特定保険医療材料においては、国際流動性が高まっているにもかかわらず、医
    療保険財政が厳しくなる状況の中で、なお内外価格差が大きいとの指摘があるこ
    とから、更なる取組が求められている。
  ○　次期保険医療材料制度改革においては、保険財源の効率的、重点的配分を行う
    観点から、革新的な新規の医療材料については迅速な保険導入を図るとともに引
    き続き適切な評価を行うこととし、既収載品については、不合理な内外価格差を
    是正する観点から価格の更なる適正化を図ることを基本に見直しを行うものとす
    る。
II　具体的内容


 新規の機能区分（Ｃ１，Ｃ２）に係る事
項


１　保険償還価格の算定方式について
  ○　既存の機能区分の中で最も類似する区分の保険償還価格を基礎として算定
    する「類似機能区分比較方式」を原則とし、類似の機能区分がない場合には、
   「原価計算方式」による。
  ○　原価計算に用いる一般管理費、流通経費等の率については、医療材料業界
    の多様性から同一の係数を当てはめることが困難であるとの理由から、製造
    販売業者の過去の実績等に基づき計算を行っているが、係数を設定すること
    も含め、より適切な原価計算の在り方について、引き続き検討を行う。
２　保険適用時期について
  ○　決定区分Ｃ１（新機能）とされた特定保険医療材料については、１年に４
    回を標準として保険適用が行われており、決定区分Ｃ２（新機能・新技術）
    とされた特定保険医療材料については、新規医療技術の保険適用に併せて保
    険適用を検討することとされている。
　  決定区分Ｃ２（新機能・新技術）については、大部分が診療報酬改定時に
    保険適用されている現状にかんがみ、早期に患者が有用な医療技術を受ける
    ことが出来るよう、決定区分Ｃ１（新機能）と同様に、年４回を標準として
    保険適用することとする。【平成１８年度実施】


 既存の機能区分に係る事項


１　価格改定方式について
  ○　市場実勢価格加重平均値一定幅方式における一定幅の水準については、ダ
    イアライザー及びフィルムについて他の特定保険医療材料よりも大きな一定
    幅が設定されている（ダイアライザー　１４％、フィルム　６．５％）。
　  ダイアライザー及びフィルムの一定幅については、銘柄別ではなく機能区
    分別に保険償還価格が設定されていることを考慮し、一定幅が特定保険医療
    材料の安定的な供給に果たしている役割に留意しつつ、より適正なものとな
    るよう縮小を行うこととする（ダイアライザー　１１％、フィルム　５％）。
    一定幅の見直しに当たっては、併せて機能区分についても必要な見直しを行
    うこととする。【平成１８年度実施】
２　再算定について
　○　既存の特定保険医療材料価格は、当該材料の属する区分の保険償還価格が、
    当該区分に属する既収載品の最も類似するものの外国（アメリカ合衆国、連
    合王国、ドイツ及びフランスに限る。）における国別の価格の相加平均値の
    ２倍以上であるか、又は１．５倍以上であって、直近２回の材料価格改定を
    通じて保険償還価格の下落率が１５％以内である場合に再算定を行い、再算
    定後の額は、価格改定前の材料価格の７５／１００を下限としている。
  ○　平成１６年度改定においては、ペースメーカ用リード、ＰＴＣＡバルーン
    カテーテル、冠動脈ステント等について再算定を行ったが、内外価格差の是
    正を図る観点から、再算定の条件への該当性を検討する特定保険医療材料の
    対象範囲を拡大することとする。【平成１８年度実施】
  ○　また、再算定により価格が下落する機能区分にあっては、激変緩和の観点
    から、段階的に引き下げる等の措置を設けているが、当該措置の対象につい
    て、再算定により１５％以上価格が下落する材料区分とすることとする。
【平成１８年度実施】
  ○　外国価格による再算定については、本制度がより効果的なものとなるよう、
    精度高く特定保険医療材料の外国価格を収集するための方策について、本年
    度の外国価格報告の状況を踏まえつつ、次年度の早い時期から検討を行う。
    その際には、外国価格による再算定ルールについても併せて検討を行う。
  ○　内外価格差については、我が国特有の流通システムや審査期間等が医療機
    器の価格に与える影響を定量的に把握し、その上で、内外価格差の是正のた
    めの根本的な取組みに努めるとともに、適正な価格設定について次年度以降
    検討を行う。また、アジアの国々における医療機器の流通や購入の状況等に
    ついて、次年度以降調査を行うことの必要性も含め、引き続き検討を行う。
３　既存の機能区分の見直しについて
  ○　既存の機能区分については、臨床上の利用実態を踏まえる等の観点から、
    必要に応じ、材料価格改定時に見直しを行うこととする。【平成１８年度実
    施】
  ○　現在、数十万にのぼる銘柄の特定保険医療材料について６６９の機能区分
    を設定し保険償還価格を設定しているところであるが、一つの機能区分に
    様々な機能を有する医療材料が混在することにより、医療現場における使用
    に影響を与える可能性が必ずしも否めないことや新規医療材料が適正に評価
    されない可能性について指摘がある。
　  機能区分については、これまでも競争による価格の適正化の効果と機能に
    応じた適切な評価を併せて期待していたところであるが、より適正な評価を
    行う観点から、内外価格差の是正の状況を検証しつつ、次年度以降、特定保
    険医療材料の機能区分の在り方について、一定幅の見直しも含め検討を行う。
４　保険上の算定制限の見直し時の償還価格の再設定について
  ○　一部の特定保険医療材料については効率的な使用等の観点から保険上の算
    定制限が設定されているところであるが、医療材料の普及に伴いその有用性
    が広く認知される中で、保険上の算定制限が医療材料の有用な使用の障害と
    なっている場合があるとの指摘がある。
　    このような医療材料については、保険上の算定制限の見直しを行うととも
    に、価格設定当初とは異なる状況となることから、併せて保険償還価格の見
    直しを行うこととする。保険償還価格の見直しに当たっては、保険適用時の
    保険償還価格設定の状況等を踏まえ、保険医療材料専門組織において再評価
    を行う。【平成１８年度実施】


 その他


  ○　医療材料の特性を踏まえ、手技料に包括されて評価されている医療材料に
    ついて、特定保険医療材料として評価することが適当なものについては、新
    たに機能区分を設定することを検討する。なお、機能区分設定の具体案の検
    討に当たっては、保険医療材料専門組織を活用することとする。【平成１８
    年度実施】
  ○　医療現場から保険医療材料の内外価格差や流通実態等に関する情報を得て
    問題意識を共有することは、適正な保険医療材料制度の構築に当たり有用で
    あることから、医療現場からの声を吸い上げる仕組みについて、引き続き検
    討を行う。
　　　以上でございます。

○土田会長
　ありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして御質問等ございましたら、どうぞ。
　よろしいでしょうか。それでは、中医協として、資料総－２のとおり、「平成１８
年度保険医療材料制度改革の骨子」を了承することにしたいと思いますが、よろしい
でしょうか。
　　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土田会長
　どうもありがとうございました。
　以上で、御承認いただく議案は終わりましたが、最後に、１号側委員より平成１８
年度診療報酬改定における具体的な見直し項目に係る意見書が提出されております。
　説明をお願いします。

○小島委員
　その前に、今薬価制度と材料制度の改革の骨子がまとまりました。この骨子に基づ
いて実施された場合、そして先の薬価調査、材料費調査の乖離がありますけれども、
それらのものを是正した場合、それが医療費ベースでどう影響するか試算をされてい
れば、事務局からぜひお知らせ願えればと思います。

○土田会長
　今この場でですか。

○小島委員
　そうです。

○事務局（麦谷医療課長）
　薬価の改定率、材料価格の改定率というのは、平成１８年度予算における医療費の
見込み額、ですから、この見込み額に基づきます薬剤費、特定医療材料費の見込み額
ですので、金額についてはまだ確定はしておりませんが、仮に平成１８年度概算要求
ベース、で、この試算値を申し上げるとすれば、先ほど薬の方で特例引下げ幅の拡大
がありましたし、さらに材料でもダイアライザー、フィルムの縮減がございましたの
で、このすべてを織り込みまして、薬価でマイナス１．６％、材料でマイナス０．
２％下がります。したがいまして、薬と材料の合計でマイナス１．８％というのが、
今のところの試算でございます。金額につきましては、医療費を掛けていただければ
出ますので、それぞれ推計していただきたいと思います。

○土田会長
　ありがとうございました。
　それでは、先ほどの意見書について説明をお願いいたします。

○対馬委員
　それでは、意見書について説明させていただきます。本来、８委員連名ですから読
み上げるべきかと思うのですけれども、ちょっと時間も押していますので、簡潔にさ
せていただきたいというふうに思います。
　最初の丸と次の丸はこれまでの経緯等でございますので、ちょっと割愛させていた
だきたい。
　丸の３番目は私どもの基本姿勢ですけれども、「国民皆保険のもとで制度を持続可
能なものとし、質が高く安全で効率的な医療をいかに患者、国民の目に見える形で提
供する体制を構築していくか」というのが私どもの眼目でございます。このあたりに
ついては、恐らく政府等の考え方も基本的には同じ方向性を向いているのかなという
ふうに思ってございます。
　それから４つ目の丸ですけれども、今回「大綱」の中では「引下げの方向」という
ことでございます。財源的に制約があるということですけれども、医療の透明化、標
準化につながるＩＴ化という、こういった基盤を整備するとともに、まずは、体系を
簡素・合理化していくと、それから積年の歪みを正していくと、そしてメリハリの効
いた医療資源の配分をしていくことが重要であろうというふうに考えております。
　これらを踏まえて、具体的な意見ということになります。次の２ページ目でござい
ます。まず、急性期等々の評価ですけれども、まずは入院医療における包括化・定額
化の拡大、充実が必要であろうということでございます。(1)ですが、今のいわゆる施
設基準ということではなくて、いわゆるケースミックス分類というのでしょうか、患
者の病態、医療の中身に応じた包括評価をしていく。当然これは医療の質が担保でき
る措置も講ずることが必要であろうということでございます。
　以下、慢性期等々書いていますけれども、慢性期については、今申し上げた(1)を敷
衍してですけれども、今議論されている医療の必要度とＡＤＬの状態に基づく患者分
類を活用した包括評価の導入を実現していくことが必要だろうということでございま
す。さらに、今後の問題ですけれども、一般病床における長期入院等々への拡大とい
ったこともあわせて検討すべきであろうということでございます。また、分科会で今
後とも汗をかいていただければというふうに思っています。
　それから、急性期の入院ですけれども、これもＤＰＣについては、１号側、２号側、
意見が方向としてはおおむね一致しているのではないかなというふうに思いますけれ
ども、拡大を図っていくべきだろう。それから、データの分析・活用を行う必要があ
るだろうというふうに思います。
　それから(4)ですけれども、前回ハイケアユニット、亜急性期入院医療、このあたり
について改定をしたわけですけれども、この検証が必要であろうということでござい
ます。
  それから、(5)はリハビリテーションについてです。急性期についてはメリハリをつ
けた上で充実を図る。それから回復期については、効果の検証を十分した上でですけ
れども、対象の疾患でありますとか日数等について検討すべきだろうと。
　それから、在宅医療についてでございます。基本的に私どももこれは推進していく
べきだろうということでございます。協働体制の構築でありますとか、訪問診療、訪
問介護、こういった周辺環境の整備が必要だろうということでございます。評価の適
正化もあわせて図るべきだろうと。
　それから２番目ですけれども、機能分化の明確化と適正評価ということでございま
す。不合理な病診格差を是正していくべきであるということが(1)または(2)あたりでも
記載されております。
　それから３ページ目ですけれども、今２００床などの病床数でもって切られていま
すけれども、そのあたりについても、むしろ提供される医療の内容に基づいてやって
はいかがかということであります。
　それから(3)ですけれども、再診料の逓減制を平成１４年度に導入いたしまして、１
５年に廃止されたわけですけれども、これにかわる方策ということが今後検討される
必要があるだろう。また、包括化もあわせて進めるべきであろうということでござい
ます。
　それから(4)です。先ほども議論が出ましたけれども、特に救急・急性期医療、この
あたりについては、私どもも最重要課題というふうに認識してございます。メリハリ
の効いた配分とすべきだろうということでございます。ただ、その際には、過剰な病
床数等も削減していくべきだろうということです。
　それから(5)ですけれども、いわゆる指導管理、このあたりが患者の目からなかなか
わかりにくいということもございますし、特に「生活習慣病指導管理料」については
見直すべきであるということでございます。
　それから(6)ですけれども、診療情報提供料、このあたりは前回も議論されたわけで
すけれども、大幅な簡素・合理化を行う。
　それから有床診療所、このあたりについても、先般議論したわけですけれども、私
どもとしては、確かに規制の撤廃という方向性は医療部会で確認されましたけれども、
有床診の特性を踏まえて、特に機能に応じた、全体的にということではなく、むしろ
やはり有床診の中にいろいろな機能があるわけですから、メリハリの効いた評価とす
べきであろうというふうに思います。
　それから、小児、周産期医療の充実と、このあたりについても１号側、２号側、あ
まり異論がないところだろうと、充実・評価していくべきであろうというふうに思っ
てございます。このあたりついては、後ほど勝村委員の方から、資料をもとにコメン
トいただきたいというふうに思っています。
  それから精神医療ですが、前回精神医療についても評価をしたわけですので、それ
についての検証を行う必要があるだろう。さらに救急については充実させる必要があ
るだろうということでございます。
　それから５点目、医療の質の向上、事故防止等ですけれども、安全の確保というこ
とはもちろん私どもも全く異論はないと、大原則でございます。ただ、このあたり、
医療と安全というのは一体不可分ということもございますので、全体の中で評価をし
ていくのが筋ではないかということであります。
　それから(2)ですけれども、先ほどもお話がありましたように、適切な評価を行って
いくということですけれども、特に新規技術の導入とあわせて、代替できる技術の洗
い出しを進めていくという、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドが必要だろうとい
うことです。
　４ページ目でございます。手術についても、先ほど議論したばかりですけれども、
私どもの基本姿勢はここに書いているとおりです。医療の質の向上、効率的な医療提
供、それから患者選択の拡大という、当初の趣旨を生かしていくと、それを基本にし
ていくということで不合理な部分は見直す、これは異論がないところです。不合理な
部分は見直し、技術の集積性等を踏まえた制度設計を目指すべきである。
　それから医療事故、これはあってはならないわけですけれども、これについても言
及しておるところであります。
　それから６点目、患者中心の医療ですけれども、これについては、「大綱」にも記
載されておりますけれども、明細つき領収書をまずは発行すると、それも無償で速や
かにということが必要だろうというふうに思います。
　それから薬剤について、かつては「２０５円ルール」、今現在「１７５円ルール」
ですけれども、これは、これだけＩＴ化が進んでいる中では撤廃を目指すべきではな
いか。また、一歩進めて、主傷病名の記載も義務づけてはどうかというのが私どもの
考え方です。
　それから歯科診療ですが、「かかりつけ歯科医初診料」、これも議論されたところ
ですけれども、根本的に見直すべきだと。
　それから調剤報酬、これも議論されたところですけれども、特に調剤基本料につい
ては、段階的に一本化して適正化を図る。
　薬価基準については、先ほど小島委員の方からも言及されましたけれども、私ども
の基本姿勢は、市場実勢価格をより適切に反映した制度が基本だと。
　それから、流通慣行の是正等も必要だろう。それから薬価調査・改定についても、
早急な議論が必要だと。
　それから、後発品についても今回適正化されると。また画期的新薬についても、今
後とも引き続き議論していくということでございます。あと、外国平均価格調整につ
いても実態把握をして適正を図るべきだと。
　それから、今日これは確認していただきましたけれども、新薬収載希望者が意見を
表明できる機会を設けていくべきだということであります。
　５ページ目、後発医薬品の使用促進、これについても総合的な対応と、さらに(2)で
書いていますけれども、処方せん様式の変更ということも、ぜひ中医協の場で確認さ
せていただければと。
　それから、保険医療材料については、引き続き内外価格差の是正を図るべきだとい
うのが私どもの意見でございます。
　以上のとおりでございますので、ぜひよろしく御検討をお願いしたいというふうに
思います。
  勝村委員、よろしくお願いいたします。

○勝村委員
　では、失礼します。ただいまの１号側の意見の３ページの３にあります「小児、周
産期医療の充実について」という点ですが、現在、多くの国民の重大関心事になって
いるほど、非常にこのあたりの医療の提供体制に不安があるということで、そこにも
「喫緊の課題として対応すべきである」ということを書かせていただいているわけで
すが、それに関連して今どれほどの現状になっておるのかということの一つの資料と
して、別添資料というのをごらんいただければと思います。
　これは、厚生労働省のデータをもとに、私の方でグラフにしたものでありますが、
１枚目をごらんいただきたいと思いますが、これは、厚生労働省が集計しております
１日当たりに何人の子供が出生しておるかというデータであります。今集計されてい
る中で一番新しいのが２００４年１２月ですが、平均すると、現在１日当たり３，０
００人ちょっとぐらいの出生になるのですが、曜日によって全く違っておりまして、
平日は、日曜日・休日の１．５倍という形になっておるわけです。年末年始とかゴー
ルデンウイークの前になると、今からまた１２月の末になりますけれども、お正月を
避けるために、年末に非常にたくさんの出生がなされているというような現実がある
ということです。
　続きまして２枚目をごらんいただきたいわけですが、これは、１日当たり３，００
０人ちょっとですと、１年間で、２００４年の場合は１１１万人ぐらいの出生があっ
たわけですが、そのすべてを時間別、何時台に生まれたかというのをつくったグラフ
であります。そうしますと、午後２時が夜間の２．５倍というふうな値になっている
わけです。
　本来の人間のお産はどうなのかということで、今現在１％程度でしかないのですが、
助産所で生まれている赤ちゃんがおります。その助産所で生まれた赤ちゃんだけでこ
ういうデータをつくってみると、当たり前のことなのでグラフは提示しませんが、曜
日別による差異はありません。時間別にはどんな差になっているかというのが３枚目
であります。３枚目をごらんいただきたいのですが、助産所では１％ぐらいしか赤ち
ゃんが生まれておりませんので、ちょっと出生の数が少ないので、これに関しまして
は、この２１年間に助産所で生まれたすべての赤ちゃんの時間別のデータをプロット
しております。そうしますと、朝の６時ごろにちょっと増え、夕方の６時ごろにちょ
っと減るというのが見えますが、これが本来の人間のお産の地球の自転と合わせたリ
ズムなのだろうということが考えられるわけです。
　ところが、現状、残りの９９％は、病院または診療所で生まれているわけですが、
その子たちでとったグラフというのは、１つ前に見ていただいたようなグラフになっ
ているということです。恐らく厚生労働省がこのデータをとり始めたのは１９８４年
からだと思うのですが、その間のデータを私の方ではすべてグラフにしておるのです
が、もう最初にデータをとった１９８４年から、平日が日曜日・休日の１．５倍、午
後２時が夜間の２倍以上というのがずっと続いておるわけです。
　それで、その一方で、３０年前の１９７４年から、産科医には計画分娩という言葉
が使われておりますが、医学的には必要はないのだけれども、陣痛促進剤などの薬を
使って、平日の昼間に無理に産まそうとしていることで、子宮破裂や母親死亡、胎児
仮死、胎児死亡、重度の脳性麻痺などが頻発しているということが繰り返し医師向け
には配付されていたところだったわけです。平日の昼間に産ませる目的ですが、なぜ
そんなことになっているのかというと、人件費というものがそのことで削減できると
いうことがあったわけです。そういう問題の中で、一方で、そういうものに再三事故
が多いと言われている理由としましては、この使われている薬が感受性の個人差が２
００倍以上あるからということで、非常に強すぎる陣痛が来る場合があるということ
が、毎年のように警告され続けてきているところなわけです。
　それで、それに対して現状、これをどう考えていくのかということに関して、私の
知る限りでは、産科医の皆さん方の、関係の意見は二分されていると思います。１つ
はこのままでいいのだという意見、それは、人手の少ない夜間や休日より、人出の多
い平日の昼間に産んだ方が安全なのだということで、薬を使ってそう誘導するという
ことは、その方が安全なのだというふうに考えられている人たちと、一方で、もっと
人を集めていかなければいけない、地域ごとに医師を集め、医療提供体制をもっと病
診連携を深めて、２４時間体制をとるなど、必要ないことはしないようにして、かつ
医師や医療機関がばらばらになるのではなくて、地区ごとに集中をしていって、産科
というのは救急なんだから、救急と同じ体制をとっていくように変えていくべきなの
だという議論があるというふうに認識しております。
　私どもとしましては、単に医療費の総額を上げるか下げるでかではなくて、平日の
昼間にこういうふうに誘導されているお産のために、こういう場合のレセプトを見れ
ば微弱陣痛という病名がつけられておったりするわけなのですけれども、使われてい
る薬代や、またはちょっと無理に会陰切開といって出口をはさみで切るなどの手術な
どが施されていることが常だというふうに聞いておるわけですが、そういうことにか
かる医療費をもっと夜間や休日の人件費の方に回すと、スクラップ・アンド・ビルド
といいますが、また医療費をどっちの方の使っていくのかシフトしていくのかという
ことを考えるべきではないかというふうに思っているわけです。
　ここの中医協というのは診療報酬の単価を決めているところだと思いますが、単価
の「価」というのは価値観の「価」であって、どういう医療に価値をつけるのか、ど
ういう医療を価値があると考えるのか、どういう医療の価値が高いのかということを
しっかり議論していかなければいけない。それを決めるのは国民だと思いますし、国
民に本来助産所のようなきれいなグラフで、平日であろうが夜間であろうが同じよう
に子供が生まれる、そういう医療提供体制を、人手をたくさん確保していただいてや
ってもらう医療を価値が高いと考えるのか、そうではなくて、平日の昼間の方に、人
手よりも、薬を使って誘導する方が良いのかという、そういうような議論を、産科は
一つの例ですけれども、どっちに価値があるのかということを、市民感覚に合わせて
考えていく必要があるのではないかというふうに思っているわけです。
　この出生の問題から、小児の問題から、安全・安心の救急体制というものをつくっ
ていくために、人手というものをちゃんとつくっていくためには、もう個々の、中医
協の議論ももちろんですが、厚労省全体のいろいろな議論を通して、本当に医療の提
供体制ということがやはり問われていると思いますので、どんな提供体制を理想とす
るのか、そしてそれに向かっていくために各審議会でできることは何なのかという本
当の目的を持って、この３番の問題、小児や周産期医療の問題については緊急にかか
っていただきたいということをお願いしたいと思います。
　以上、ありがとうございました。

○松原委員
　１号側から意見をまとめて出していただき、ありがとうございます。ほとんどの意
見はこれまで十分に議論したことでございます。私どもも適切に反対しておりますの
で、ここで反対、また並べ立てるのは少し差し控えて、反対する権利は保留したいと
思います
　ただ、３点だけ申し上げたいと思います。２ページ目の１の(2)の一般病床でござい
ます。一般病床へも包括化と書いておられますが、これは明瞭に反対しておきたく思
います。
　また、２ページ目の一番下のところでございますが、初診料・再診料の病診格差に
ついては、これは十分議論したところでございます。ただ、これにつきましては、平
成２年、４年、６年の甲乙一本化において、入院の医療を病院において高く評価して、
そこに加点し、診療所は病診連携の下に再診料・初診料を評価するという歴史的な経
緯があることを十分に御理解いただきたく思います。現象だけを見てこれで間違って
いると言うのは、少し判断として正しくないのではないかということを申し上げたく
思います。
　３番目は、４ページ目の６の(2)でございます。「１７５円ルール」、これが前回は
「２０５円ルール」でありましたが、ここのところで大きな誤解をしていらっしゃる
方が多いので、一言申し上げたく思います。このルールは、長期収載された比較的薬
価の低い、安全性・有効性が確立されている薬品について、医師が薬理作用に基づい
て処方した場合には、これを審査委員会が認めるということの裏返しとして、これを
記載しなくても、十分にカルテに記載し、そしてこれを薬理作用に基づいて使ったと
きには、これは認めるということでございます。そういったことがすべて今までうま
くいっているわけでございますけれども、これは使っていなくて請求しているという
ような誤報道もありますが、これは薬理作用に基づいて使っているものについては、
点数だけで判断すれば十分だということでございますので、そこのところを御理解い
ただきたく思います。
　また、主病名につきましては、簡単に申しますれば、１つでない場合、２つの場合、
３つの場合もございます。非常に難しい判断の面もございますので、簡単に「義務づ
け」と書かれていても、非常に難しい面があると私たちは思っております。
　多々ありますが、ここでは再度議論しても同じことでございますので、３つだけ申
し上げさせていただき、また、私どもも後出しじゃんけんのようで申し訳ございませ
んが、後日同じような意見書を出させていただきたく思います。

○対馬委員
　今３点ということですけれども、ちょっと今日は時間も押していますので、私ども
も個別に議論させていただくということだけを申し上げるにとどめておきたいという
ふうに思います。

○土田会長
　ありがとうございました。
　それでは、後で２号側からの意見が出るということでございますので、半ば楽しみ
にしながら次回以降の議論を進めていきたいと思います。
　次回以降の日程につきまして、１月はもう決まりましたか。

○事務局（麦谷医療課長）
　１月はまだ決まっておりませんが、次回、１２月２１日の日に１月の日程をお示し
したいと思います。

○土田会長
　それでは、本日の総会はこれで終了いたします。


【照会先】
厚生労働省保険局医療課企画法令第１係
代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２８８）