05/12/15 第12回振動障害の検査指針検討会議事録


振動障害の検査指針検討会(第12回)議事録

1 開催日時及び場所
 開催日時:平成17年12月15日(木) 午後2時から午後5時まで
 開催場所:中央合同庁舎第5号館16階専用第17会議室

2 出席者
 医学専門家:木村彰男、重松宏、髙山真一郎、樋端規邦
       原田規章、本間浩樹、宮下和久、梁井俊郎
 オブザーバー:宮井信行
 厚生労働省:明治俊平、只野祐、天野敬、藤本龍太郎、伊作城青他

3 議事内容

○職業病認定対策室長補佐(天野)
 定刻になりましたので、ただいまから「振動障害の検査指針検討会」第12回検討会を
開催いたします。本日ご参集いただきました委員の皆様におかれましては、大変お忙し
い中をお集まりいただきありがとうございます。なお、本検討会は原則として公開とし
ております。傍聴される方におかれましては、別途配付しております留意事項をお読み
の上、会議中はこれらの事項を守って傍聴いただくようお願い申し上げます。それでは
座長、よろしくお願いいたします。
○宮下座長 
 早速、第12回の検討会を始めさせていただきます。まず、本日の配付資料ですが、事
務局から確認をお願いいたします。
○中央職業病認定調査官(藤本) 
 本日の配付資料は、資料1として報告書のたたき台、前回の検討会において報告書骨
子案について事務局から説明いたしましたが、これに基づき、たたき台ということで、
案の前の段階とご理解いただきたいと思いますが、作成したものです。資料2は「実証
検査成績の相関分析について」です。資料3は「認定基準別添1に掲げられている検査
手技及び指摘事項」ですが、これは過去の検討会において既に提出した資料で、現行の
検査手技について精書等で指摘されている事柄についてまとめたものです。また、各先
生方から分析結果について提出していただいたデータ関係の表、図といったものがあり
ますが、併せて配付しております。
○職業病認定対策室長(只野)
 いま説明があった資料2、3は、クリップ止めしてあるものを外していただければわ
かりやすいと思います。相関関係と1枚紙の横表がありますが、これが資料2、3です。
○宮下座長 
 今日原田先生から提出された3部の資料は、資料1の中で先生が担当されている箇所
で説明していただく報告書案ですが、資料1に追加するような形で扱っていただければ
と思います。資料の確認についてはよろしいですか。
 それでは本日議論していただく内容と時間的なものも含めて、議論に入る前に私から
若干説明させていただきたいと思います。冒頭に続き、本研究の対象者についてお諮り
したいことがありますが、その後大半の時間を使って、資料1を中心として、たたき台
ということですが、概略のお目通しをいただいた上で、本検討会で検討いただいている
報告書案を中心に検討いただきたいと思っております。先生方にはご担当のところで説
明をお願いいたします。時間的なことですが、先生方の中に少し予定がある方がいらっ
しゃいますが、報告書の議論ですので、全員の参集の下にと考えておりますから、いま
2時ですが、4時半ぐらいを目処に進めていきたいと思っております。活発な討論をお
願いしたいと同時に、時間的な配分についてもご協力をお願いいたします。まず、検査
データの取扱いについて、事務局から説明をお願いいたします。
○中央職業病認定調査官
 冒頭恐縮ですが、今回の実証検査の分析対象者として、これは振動障害患者群ですが、
個別データについて検討いただき、分析対象者として33名を選定していただいたところ
です。ただ、このたび事務局でデータ関係について精査している中で、33名の中に2名、
治療期間が10年を超える方が含まれていることが判明いたしました。したがって、この
データの取扱いについてどのようにするかお諮りをさせていただきたいと思います。よ
ろしくお願いいたします。
○宮下座長 
 分析がかなり進んだ段階でのことですが、この検査分析を開始する前に、いわゆる分
析群というか対象者を選定する際、治療歴が10年未満で、鑑別疾患と言いますか類似の
疾患が認められないものと限定し、分析対象者33名を選定したところですが、33名の中
に治療歴が10年を上回る方が2名いることが判明いたしました。このことについては、
当初この検討委員会でそのような枠で分析しようという趣旨がありましたので、分析に
際しては先生方にご面倒をお掛けすると思うのですが、33名の対象者のうち2名が非該
当であることが判明しましたので、2名を除外した形の31名を分析対象としたいと思い
ます。各先生方には大変ご迷惑、ご苦労をお掛けいたします。おそらく、いまの分析の
結果自体は33名で進めていると思うのですが、報告書完成時には2名を除いた31名の分
析結果として改めて提示していただきたいというのが私からのお願いと提案ですが、い
かがでしょうか。
 それでは大変恐縮ですが、そのように進めさせていただきたいと思います。
○樋端委員
 ID番号で教えていただければと思います。
○中央職業病認定調査官
 1129と1132の方です。
○宮下座長
 ID番号が1129の方と1132の方がその2名ということです。
○樋端委員
 そうすると、平均年齢が少し上がりますね。それぞれ何歳ですか。
○中央職業病認定調査官
 64歳と68歳です。
○樋端委員 
 少し平均年齢が上がりますね。
○原田委員
 下がります。
○宮下座長
 平均が60.6歳ですので。
○髙山委員
 質問です。この間メールで送られてきた除外の経過ですが、1132の方は振動工具使用
歴20年で、治療期間24年と書いてありました。どちらかが間違っているのではないです
か。
○原田委員
 18歳からずっと勤めてぱっと辞めれば、ちょうどです。
○宮下座長
 個別のデータはすぐわかりますか。
○髙山委員
 これはリタイアした後で、経過として24年ということですね。
○中央職業病認定調査官
 確認させていただきます。
○宮下座長
 確認後、きちんとお答えいただきたいと思います。他にはいかがですか。ID1129と
1132の方、64歳と68歳の方を除外して、改めて検討いただくことにいたします。
 今回配付の資料1「振動障害の検査指針検討会報告書(たたき台)」に沿って、概略
的な意見を頂戴するべく、まず事務局から全体の構成なりについて、概略の説明をお願
いいたします。
○中央職業病認定調査官
 冒頭少しご説明いたしましたが、報告書のたたき台は前回の検討会において、報告書
の骨子案ということで説明したところです。これに基づき、事務局で平成13年度の検討
会報告、平成14年度以降の委託研究報告書、過去の当検討会において提出した資料等か
ら、事務局として記述できる部分に関して引用等を行い、まとめたものが配付したたた
き台です。今回の検討会において実証検査を実施しておりますが、この分析結果につい
て、各先生方から資料としていただいており、その部分についてもたたき台のほうに盛
り込んでおります。なお、各先生方からはデータや表という形で合わせて提出いただい
ておりますが、表の関係についてはたたき台ではなく、別途配付させていただいており
ます。
○宮下座長
 いま説明があったように、このたたき台は事務局で既存の資料についてまとめた分と、
先生方からお寄せいただいた報告書を取りまとめたもの、具体的に入っていないところ
については、前回報告書のフレームということで項目立てしたもののみが挙がっている
部分がありますが、順次ご覧いただきながら進めていきたいと思います。
 まず、資料1の「はじめに」に検討会の趣旨、目的があり、2頁には「振動障害の検
査手技に係る検討経過」、これについては、当検討会に至るまでの経過の中でどのよう
なことが行われてきたかということで、平成13年から一昨年までの検討経過、それに纏
わる検討会報告書、あるいは委託研究報告書、2頁からは平成13年度報告書、3頁が平
成14年度委託研究報告書、8頁が平成15年度委託研究報告書、10頁からは平成16年度委
託研究報告書と頁が割かれております。16頁は、前回那須先生においでいただきました
が、「(独)労働者健康福祉機構振動障害研究センターの研究成果」というレポートを
集録しております。
 19頁からは「振動障害の検査手技に係る国際標準化の動向」ということで、原田委員
がISOの取りまとめ役をされており、そこで手掛けている一連の国際的な状況をまと
めたものが集録されております。この多くは既に報告書等で公表されているものですが、
事務局サイドでまとめていただきました。一度に読むのは時間も労しますが、拝見して、
文言や趣旨等で、本検討会としての方向性なり問題点がありましたら意見を頂戴すると
ころです。報告書あるいは検討経過については、事務局がまとめているのですが、各年
度の報告書もそうですが、かなり記述に重なっているところが多いのです。全体的にな
がめてみると、重複、あるいはやや冗長なところがあるので、この部分については事務
局に任せるということだけでもないのですが、もう一度その辺を整理していただき、も
う少しすっきりとした形の文体なり表現にできるかと思いますから、その作業は私から
事務局に重ねてお願いしたいと思います。
 今日のたたき台の検討結果は今回だけで、詳しく検討する時間もなかったと思います
ので、この流れの中でというか、特に最初のほうもそうですが、ざっとご覧いただき、
この時点で方針なり、表現なりで気になることがありましたらご意見をいただきたいと
思います。幾分長い文章ですので、じっくりお目通しされてからでも結構です。少し進
めて、また振り返ってということにさせていただきたいと思います。
 22頁からは、ある意味、本検討会のバックグラウンドにもなっております。22頁のV
の「現行検査手技の医学的妥当性と有効性の限界」の記述については、本日配付の資料
3の「認定基準別添1に掲げられている検査手技及び指摘事項」として、指摘事項云々
については参考資料として欄外の報告書書物なりから抜粋したものとして、主に事務局
がまとめたものですが、本検討会でも既にお目通しいただいたところです。Vの記述は、
この表を基にして文章化したものです。この部分についても細かくご覧いただき、指摘
事項があれば議論したいと思います。
 少し速くて中身まではご検討いただけないかもしれませんが、26頁からは本検討会で
検討している事項についての、この報告書のまさに骨子になるところです。また振り返
りながらということで結構ですので、このメインの部分を時間を取って進めていきたい
と思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、まず26頁の最初の部分、「実証検査の実施状況」、28頁は「分析対象者の
属性」で、先ほど問題になりましたが、この文面は33名そのままになっており、当然書
き直されるところです。29頁の「実証検査結果」までは、事務局と樋端先生、本間先生、
梁井先生で担当していただき、記述をお願いしたところです。対象者以外のところで担
当された先生方、あるいはもし事前にご覧いただいておりましたら、お気付きの点をお
願いいたします。
○原田委員 
 先ほどの2名は除外せざるを得ないということですが、除外基準に合うわけですから
原則に即して行うべきだと思います。対象者の選定基準は非常に重要で、まだ全体を詳
しく読んでいないのですが、最初の選定基準、実際に調査を実施する中で解析前に若干
基準を緩めることにいたしました。その辺りのところをもう少し具体的に明確に書く必
要があるのではないかと思ったのが1点です。
 もう1つは、例えばコントロールは振動曝露のないものと当初していたわけですが、
解析前の対象者の検討の中で、たしか2名に振動曝露がありました。それについてもこ
こで検討して、どう取り扱うかについていろいろと議論しました。そのようなことをき
ちんと反映させて書く必要がある。対象者の選定に関わる問題を明確にする必要があり
ます。
○宮下座長
 明確に、詳細に表現するということですか。
○原田委員
 詳細というか、明確にです。曖昧にするのはよくないだろうと思います。
○宮下座長
 担当の先生方、いかがでしょうか。樋端先生、いかがですか。
○樋端委員
 そのとおりでしょうね。
○宮下座長
 その部分を明解にと言いますか、少し書き加えていただくということでよろしいです
か。
○重松委員
 10年にした根拠は何でしたでしょうか。ちょっと忘れてしまったのですが、なぜ10年
にしたのでしょうか。
○原田委員
 本当は治療歴が短い人が望ましいわけですが、現実的には一定長い人もやむを得ない
ということで、10年で切るということになったかと思います。いま見せていただくと、
2名の方を除いて、治療歴は皆さん一応5年以内で、なるべく治療歴の短い方をという
基準で頑張ってやっていただいた経緯があります。
○宮下座長 
 原田先生ご発言の趣旨も選定の根拠と言いますか。
○原田委員
 ただ、そこまでいくと薬剤のこと等々、いろいろ詳しく書かなければいけないことに
なるので、事実をきちんと記載することが肝要かと思います。
○宮下座長 
 樋端先生を中心に、またご検討いただきたいと思います。
○樋端委員
 繰り返します。
○宮下座長
 29頁の属性までの記述でいま指摘があったものを、明解に表現しようということです
がよろしいですか。従前から担当の結果について、種々検討していただいておりますが、
報告書をまとめるたたき台ということで苦労していただいている部分をこれから検討し
たいと思います。手順としては、まず全体的な見地から、検査結果の記述にどのように
反映するか、位置づけはまだ決めていませんが、いわゆる全体的な相関分析ということ
で、個々の先生方の検討をする前に、全体的な話題として相関分析等の話を宮井先生に
していただき、その後29頁(1)(2)の順に従い、用意していただいた資料に基づき
説明をお願いしようと思います。特に、かなり何回もやっておりますので、方法などは
よくご存じだと思いますから、まとめていただいた中での問題点も含めての論点、最終
的には診断基準なり評価基準なりでの集約をしていただいていると思いますが、そこに
至る考え方に主眼を置いて、資料を用いながら各項目10分程度でお話いただければと思
っております。最初に資料2に基づき、宮井先生から説明をお願いいたします。
○宮井先生
 資料2に基づき、相関分析についての検討結果を説明いたします。最初に、1枚目と
2枚目で示しているのは、第10回の検討会において、相関分析の方向性ということでお
諮りした資料そのままです。この相関分析については、1枚目の資料の下にあるように、
各検査における症度判定等に用いられる代表値そのものについての相関を検討すること
と、2として、それぞれの検査で出てきた症度について、判定された症度の関連性を検
討するという2つを主に検討課題としております。
 2枚目の資料は、各検査で私が評価の対象として用いた代表値について挙げており、
その代表値について相関分析を行ったということです。3枚目の資料の1頁と次の2頁
は、前回の検討会において報告したものですが、今回の分析対象者、療養群の33名につ
いて、症例ごとのストックホルム・ワークショップスケールあるいは厚生労働省分類で
の症度、検査で判定された症度について示したものです。2頁も同様ですが、これは末
梢神経と運動機能検査で、こちらは前回報告した資料そのままです。
 3頁の表2は、各検査で判定された症度と臨床所見、自覚症状等から判定されたスト
ックホルム・ワークショップスケール、あるいは厚生労働省分類との関連を見たもので
す。これも前回示した資料そのままですが、若干説明を足しますと、1)レーザドップ
ラー血流計による皮膚潅流圧検査では、横軸にレーザドップラー血流計の検査において
判定された症度0~3の4段階、縦軸がストックホルム・ワークショップスケールで判
定した場合の区分になります。この際、症度1、2の該当者数が少なかったこともあり、
まとめて分類をしております。以下も同様に検査での症度と、ストックホルム・ワーク
ショップスケールあるいは厚生労働省分類での症度との関連を該当者数ということで示
した資料です。
 4頁は末梢循環、末梢神経、運動機能検査の各検査において判定された症度を、検査
間で関連を見たものです。体裁が多少違っていますが、こちらも前回示した資料そのま
まです。いちばん上の皮膚潅流圧検査と手指皮膚血流検査のところで少し説明しますと、
横軸が皮膚潅流圧検査で判定された症度、縦軸がレーザー血流画像化装置による血流検
査で判定された症度で、それぞれ症度が0~3と4段階に区分されており、それぞれの
症度間での患者の分布状況を示しております。神経ですと、神経伝導速度検査、MRI
検査について現在判定が済んでおりますので、こちらも同様の方法で示しております。
 5頁は今回少し追加でお示しできる資料です。表4-1については、レーザー血流画
像化装置あるいはレーザドップラー血流計の潅流圧の二者の代表値として用いられてい
る検査値そのもの、あるいは検査値から導いた指標そのものの値の相関関係を見たもの
です。表4-1は前回既に示したものですが、皮膚潅流圧検査においては浸漬前の値、
浸漬後の値、浸漬前から浸漬後に対しての変化量、さらにそれの比である変化率、浸漬
後の常温血圧に対する手指血圧の比が指標として用いられており、レーザー血流画像化
装置(LDPI)のほうは浸漬前、浸漬中、浸漬後のそれぞれの測定値、浸漬時の最低
値に対しての浸漬後の回復の割合が指標として使われております。それぞれの値は年齢
の影響を調整した上で、偏相関分析として出しております。
 これは前回見ていただいたとおりですが、基本群全体のデータを使った場合と、療養
群のデータを使った場合、対照群を使った場合ということです。表のいちばん下を見て
いただくと、少し注釈がありますが、今回皮膚潅流圧検査は左右両指の中指を対象指と
しており、レーザー血流のほうは、左右どちらかの症状のある側の手を浸漬してありま
すので、今回の相関分析に採用したデータは、レーザー血流画像化装置において浸漬を
行った側の指の中指のデータを採用し、相関関係の分析をしております。
 同様に、表4-2ですが、これは今回初めて提示する資料です。これは皮膚潅流圧と
冷水浸漬皮膚温検査の測定値の相関関係です。皮膚潅流圧については先ほど説明した5
つの指標で、皮膚温については浸漬前の5分値、浸漬中、終了直前の5分値、浸漬後5
分目、10分目、15分目のそれぞれの測定値について、皮膚潅流圧検査における代表値と
相関を見たものです。同様に、基本群全体と療養群、対照群の個別に分けたときの相関
を見たものです。相関の高いものについて少し見ていくと、療養群では浸漬前の皮膚温
の5分値と、浸漬後の皮膚潅流圧の測定値0.39、浸漬後の常温血圧に対する手指血圧の
比であるSPP/BPが0.48。その他0.4を上回る相関件数が得られているものとして
は、手指の皮膚温の回復、浸漬後の10分値、15分値と浸漬後の手指血圧と常温血圧の
比が0.41と0.48となっております。
 対照群では、関連の向きが正負で若干違っていますが、浸漬前の5分値の皮膚温値に
対して高い相関を示しているのが、皮膚潅流圧の浸漬前の値と浸漬後の値で、それぞれ
-0.42と-0.43となっております。なお、この相関分析に用いたデータは、下に書いてあ
るように、左手の中指の測定値を用いております。先ほど述べたように、皮膚潅流圧は
左右両指の中指を測定値としておりますが、皮膚温に関しては左右の全指を対象として
おります。このような観点から、今回は左手の中指を解析対象としてこの分析結果を得
ております。
 最後の頁ですが、同様にレーザー血流画像化装置の皮膚血流検査の代表値と、皮膚温
値の検査の代表値それぞれの相関を見たものです。基本群全体、療養群、対照群それぞ
れ同様の方法で検討したものです。基本群全体を見ていただくと、皮膚温の浸漬前5分
値の欄のLDPI浸漬後相関係数0.41と書いてありますが、そこには*が付いておりま
せんが、本当は*が2つ付く結果となっております。したがって、そこは有意な関連が
得られたことになります。以下、療養群、対照群もそれぞれ同様ですが、印象としては、
レーザー血流画像化装置の皮膚血流と皮膚温の測定値について、患者である療養群にお
いては比較的良好な中程度の相関が認められるが、対照群においては相関が比較的低い。
こういった傾向は先ほどの潅流圧においてもほぼ同様に、療養群においては検査間の相
関が比較的強い、あるいは測定の段階や指標によって若干傾向が違いますが、全体とし
て見るとそのような様子が窺えるということです。以上、現在データとして揃っている
ものを使いましてお示しできるのはこの段階までです。
○宮下座長
 症度間の分析結果については前回検討いただきましたが、5頁以降の後段について、
個々のデータについて関連する検査間の相関ということで新たに分析を進め、その結果
について概略の説明をしていただきました。ただいまの検討結果について、担当の関連
のところで何か追加なり、ご意見があればお願いいたします。
○木村委員
 これは報告書の中ではどこに入るのですか。
○宮下座長
 冒頭申しましたように、この位置づけをどうするか、例えばこの結果を基に評価基準
なり、診断基準といった流れの中に組み込むのがいいのか、先生方の検討結果を集録さ
せていただき、関連する検査間の検討をそのような項でまとめるのがいいかは、いまち
ょっと考えているところです。
○木村委員
 細かいことで恐縮ですが、私の書き方が悪かったのかもしれませんが、例えば最初の
頁の真ん中辺りで、「正中・尺骨神経の運動・感覚神経伝導速度検査」となっています
が、全部「速度」を取っていただいて、神経伝導検査で統一していただいたほうがよろ
しいと思います。次頁においても、例えば表の中の下から2段目ですが、伝導速度とな
っていますが、伝導検査としていただきたいと思います。他にもいくつかありますが、
修正していただければと思います。
○宮下座長
 検査面での言葉の統一を図りたいと思います。
○原田委員
 私が担当している3つの検査ですが、症度については後で出てきますが、確定的に症
度評価できるかどうかという疑問が残っております。説明がちょっと悪かったかと思い
ますが、宮井先生の所にお送りした生のデータと合わせてスコアもお送りしていました
よね。
○宮井先生
 はい。
○原田委員
 前々回、皮膚温であれば4段階に分けてあり、振動覚について言うと3段階だったで
しょうか。それを仮に症度とでも言うのであれば、軽いほうから重たいほうにとなるの
ですが、たぶん私の説明が不十分だったと思います。
○宮井先生
 いまちょうどここにある資料番号1のデータが、先生が私にお送りくださったもので
す。各検査値のスコアリングはありましたが、症度という形のものはなかったのです。
○原田委員
 そうですね。これを合計して前々回の会議のときに、皮膚温の場合には4つのランク
に分けた表をお配りしたかと思うのですが、その辺が不十分でした。
○宮下座長
 この説明と内容についてはよろしいですか。関連もまたありますので、この報告は以
上にいたします。次に、29頁以降の順番に沿って、今日は少し時間も区切っており恐縮
ですが、10分以内ぐらいで各先生方に各項目の説明をお願いいたします。まず、原田先
生担当の「冷水浸漬手指皮膚温検査」について、よろしくお願いいたします。
○原田委員
 3つの検査を抱えて、後ほど説明いたしますが、特に手指血圧検査についての検討が
かなり手間取っており、全般に遅れていることをお詫びしなければなりません。皮膚温
検査については、今日お持ちし、印刷して配っていただいたものがお手元にあろうかと
思います。皮膚温検査についての構成は、基本的には変わっておりません。1頁は対象
から方法、成績、ある程度ここでの申し合わせに即した形に揃えた項目立てになってお
ります。3-1には基本統計があり、3-2の分析結果には、具体的には鋭敏度あるい
は特異度、すなわちセンシティビティあるいはスペシフィシティについて書いてありま
す。従前お配りしたものについては、レイノー症状を有する群、有しない療養者、コン
トロールということだけの記述であったわけですが、今回はストックホルム・ワークシ
ョップスケールあるいは厚生労働省のVS分類、VL分類についても書いてあるわけで
すが、それについての記述を加えております。
 3-3の症度分類、前のスコア評価ですが、これは従前と同じものです。これが仮の
症度に対応するかと思うのですが、3-4は新しく書き加えました。評価基準について、
これまで説明した「5%基準値」あるいは「25%基準値」は、1つの候補になろうかと
思うのですが、結論的には、これは判定基準に用いるには現段階では留保すべきだろう
といった記述になっております。理由はそこにも書いてありますが、冷水浸漬前に療養
者、特にレイノー現象を有する療養者と健常対照者の間の差があるわけですが、冷水浸
漬中にその差がなくなっていく。さらには冷水浸漬終了後の回復期においては差がなく
なる。そのような結果が今回得られているわけですが、これはいままでの我々の経験、
過去の関連文献等から見て非常に考えにくいので、慎重に取り扱う必要があるという記
述にしております。
 考察もまだ半分しか書いていないのですが、一応書き加えております。問題点として
は、皮膚温の検査というのは測定条件に非常に影響される微妙なところがありまして、
今回、先ほどお話したように従前の、過去のいろいろな報告に合わない成績になった理
由として考えるところをいくつか挙げてあります。1つは12℃で5分間の冷水浸漬、こ
れの浸漬条件の問題、あるいは防水手袋を着用するという問題。これらについては英国
で若干の検討が既に行われているわけですが、一応そのような問題。複数の冷却検査を
同一日に繰り返した、その間の時間間隔の問題、ISOでは一応3時間という基準を設
けているわけですが、それに対しては触れていませんが。おそらく、いちばん大きな問
題は対象者(被検者)の選定上の問題であるわけで、結果的には療養者の8割以上が徳
島健生病院での被検者(11月・12月)です。逆に、健常対照者の多くは美唄・岩見沢労
災病院での1月、2月の結果です。12月もあったかもしれませんが、そのような地理的、
季節的な条件を考えることが最も重要ではないかと考察しております。その後に付けさ
せていただいた表については、従前お配りしたものと全く同一のものです。
○宮下座長
 原田先生から冷水浸漬手指皮膚温検査について、報告案ということで概略を説明して
いただきました。この内容について少し議論していただきたいと思うのですが、いかが
でしょうか。
○職業病認定対策室長
 議論が出ていたのかもしれませんが、地域と季節の問題というのをもう少し噛み砕い
て説明していただければと思います。つまり、北海道の寒い時期に健常者を検査したこ
とがどう影響するのですか。
○原田委員
 最初の頁を見ていただくと表があると思います。これを見ながら説明したほうがいい
と思うのですが、振動障害療養者の33名、現在は31名に減ったわけですが、そのうち
28名が徳島健生病院であり、美唄・岩見沢労災病院は5名でしたが3名に減るという状
況があります。健常対照者は各医療機関で同数程度選定されていますので、結果的には
美唄・岩見沢労災病院が3分の2を占めるという状況になっています。季節的には徳島
のほうが11月、12月に、北海道はそもそも寒いわけですが1、2月に大部分の検査を
行っている。この検査における季節影響については、私ども論文に書いていますが、明
確に認められるわけです。季節影響はあります。極端に言えば夏と冬では随分違うとこ
ろがあります。
 もう1つは環境室温です。21℃の検査室温に慣れる必要があるわけですが、徳島と非
常に寒冷である北海道では、やはり生活気温が違うと思うので、21℃の気温に慣れるま
でに、生理的な順応の差が生ずる。極端に言うと、これは本当にきりがない。完全に室
温に慣れるためには、例えば2、3日同じ条件に置かなければ完全に順応できないとい
ったこともあると思います。話は飛びますが、検査のあり方としては、例えば30分なら
30分ときちんと順応時間を切っておいて、それを前提にした評価をすることになろうか
と思います。そのときに、比較的温暖な地域と寒冷な地域とでは地域差が出てくるとい
う趣旨の記述です。
○職業病認定対策室長
 そうすると、例えば北海道で外気温が21℃ぐらいの春先の時期を選べばどうなるので
すか。
○原田委員
 生理学的には難しいところです。生理学的にはいろいろ検討されてきたところですが、
同じ外気温でも、夏に向かう場合と冬に向かう場合とでは人の代謝は違うという生理学
的な報告がされています。振動障害の検診で、基本的に春に行うのではなく、秋から冬
にかけてという言い方をするのは、同じ外気温であっても、春のほうが代謝が大きく、
秋のほうが春とは違うという要素があるからです。外気温だけではなくて、夏へ向かう
のか、冬へ向かうのか、そのようなことも生理学的には反映されます。
○職業病認定対策室長
 検査にあたっては30分の馴化をするというか、同化するというか、そのような配慮は
しているが、もっと大きなバックグラウンドでそのようなことが生じ得るということで
すか。
○原田委員
 生じ得ますし、完全に季節影響、あるいは生活気温影響をなくすことは現実的には困
難だと思います。逆に言うと、30分の順応時間を設定して、30分間順応した上での検査
結果として評価するというのが現実的なやり方になります。いつもそうするわけですが、
基本的には年齢も合わせるし、従前からお話していますように、例えば徳島で患者とコ
ントロールの割合、それと同じ割合で北海道でも患者とコントロールの割合といった検
査が望ましい。しかも、できれば同じ日に検査したほうがより厳密な検討ができるとい
うことです。さらに言えば、プラクティカルな実際の診療のときにはもう少し現実的な
対応になるかと思いますが、このような基本的な有効性の検討のときには、薬効評価と
同じで、より厳密な条件を揃えた検討が望まれます。
○職業病認定対策室長 
 わかりました。
○宮下座長
 いまの議論を含めて、課題、まとめのところでまた触れていただくことにしたいと思
います。続きまして、重松先生からお願いいたします。
○重松委員
 これまでこの項は何度か検討されていますので、今回は前回指摘されたレイノー症状
に少しウエイトを置いて、解析した結果を追加しました。レイノー症状については30頁
の真ん中に書いてありますが、「被検者の問診票を参考にした上、実証検査時にストッ
クホルム・ワークショップスケールによる症度分類において症度1以上と医師が判断し
た例及び患肢をレイノー症状を示す群とした」、これが10例18肢ということです。
 結果の所は、前回と同じですが、振動障害群と対照群の比較をして、そこでは寒冷刺
激後のSPPの絶対値と寒冷刺激後の上肢血圧に対するSPPの比で見るのです。それ
から、これは当たり前ですが、(1)の振動障害群で寒冷刺激前後における値です。こ
の3つについては有意差が出ている。ただ、SPPの絶対値の比較についてはP値が
0.0609ということで、完全に有意であるというわけではないのですが、傾向は出ていま
す。今度は、レイノー症状を示す振動障害群と比較すると、これはかなり有意差が出て
くるものが少しあります。0.0575は完全に有意とは言えませんが、寒冷刺激後のSPP
の絶対値、寒冷刺激後の上肢血圧に対するSPPの比、寒冷刺激後と寒冷刺激前のSP
Pの比。それから、その次の、完全ではないのですが、傾向としてSPPの絶対値の変
化、こういうものがレイノー症状を示す振動障害群ではかなり有意に出ているというこ
とで、レイノー症状が出ている振動障害群はかなりはっきりした違いが出ていることが
言えると思います。
 それを今度はレーザー血流画像化装置による評価です。これも前回少し問題になった
ことですが、33頁の真ん中を見ていただくと、個々の症例に関する評価でSPPとレー
ザー血流画像化装置との比較です。振動障害群のうちSPPが高度に低下した群(30mm
Hg以上)の10例10肢を対象とすると、これはレーザー血流画像化装置で描いているデー
タの対比が可能だったのですが、比率1、先生のほうでこれはどっちにされたのですか。
Bの比率2と(A^2/B)を用いた場合と、それから、どっちを用いても比率2のほう
は(A^2/B)+(B^2/25)ですか、どちらを用いても非常に高い一致を見ていると
いう結果になっております。
 こうした検討結果から、どこにカットオフを置くかというところでやっていくと、32
頁の上のほうですが、器質的血流障害の指標として、比較的用いやすい値ですが、寒冷
刺激前のSPPと上肢血圧の比を用いた場合に0.7ぐらい用いると対照患者さんの手の
器質的な血流障害の有る無し、あるいは無しをある程度除外することができるのではな
いかと思います。
 今度は、寒冷刺激を受けた後にレイノー症状を呈するという観点から見た血管れん縮
が誘発されるということを見るためには、寒冷刺激後のSPPの低下を絶対値の変化量
で検討していくのがよい。ここのところの値をどの辺りに持ってくるかというところで
少し異なりますが、カットオフ値を10とすると27例ぐらい、20とすると17例ぐらい、
82%あるいは52%というところで、この辺りは振動障害認定のための1つの基準として
用いることが可能ではないかという結果が出ています。
 これは、レーザー血流画像化装置と併せてやっていくのはいいのですが、こういう方
法論で、血流障害を評価する方法でどういう目的にやっていくか。要するに、スクリー
ニングで用いるのか、あるいは確定診断的に用いていくのか、そこのところのコンセプ
トがはっきりしないと基準値の設定はかなり難しいものではないかと思います。ですか
ら、この検討会の目的がどこにあるのかということを少し明らかにした上で言っていた
だかないとこの基準値の設定は難しいと思うのです。
 現時点で言えることは、こういうことでこうだとすればこうだと。それから、こうい
う方法論を用いてほかの同じようなものを反映する、例えばこの場合だと、残念ながら
ほかにはないみたいですが、レーザー血流画像化装置との対比をすればこうだというこ
とです。それから、これはメインにSPPを用いた比較とも言えると思うのですが、こ
ういうふうな方法論とこれとはこういう相関にあるということまでは言えますが、そこ
から先への踏み込みが今後の厚労省の考え方を言っていただかないと難しいのではない
かと思います。
○宮下座長
 重松委員のご担当の部分で、特にレイノー現象との関連について追加してご説明いた
だきました。後段の部分については、これはまた最後に申し上げようと思っていたので
すが、書式との関連もありますが、書式は標準をお示しておりますが、全体的な狙いも
含めて個別に再度ご相談をさせていただきたいと思います。ただいまのご説明で何かご
質問はありますか。
○重松委員
 ただ、これは33名で、今度31名になりますね。そこでP値が微妙なところにあるの
で、これも少し変わってくるかもしれない。ですから、こういうデータに基づいた結果
はこうだというところで止めさせていただければ報告書の大筋にはあまり変化がこない
だろうと思います。
○宮下座長 
 それと、私のほうからレーザー血流画像化装置との関連ということで、経過の中で指
数化した値とかいうことでの検討もご紹介したのですが、それを採用していただいた考
察をいただいているのですが、最終的に、私のところで生データ、あるいは比にしても
単純な比ということでまとめようかと思っていますので、ここのところもまた先生とご
相談させていただいて報告書としては統一させていただきたいと思います。
○重松委員
 先生のほうでご報告いただいた表4-2のSPPレーザドプラ血流計における潅流圧
検査(SPP)でした症度分類と、ストックホルム・ワークショップあるいは厚生労働
省の分類。
○宮下座長
 相関のですね。
○重松委員
 はい。それから、1のレーザー血流画像化装置による手指皮膚血流検査での症度分類
でも、この結果は非常によく似ていますね。だから、なかなか面白いのですが、今後ど
のような組み合わせで用いていくのがいいのか少し検討しなければいけないですね。
○宮下座長
 いまのご議論は最終的にこの検査体系を考える場合に、どこに位置づけるかというこ
とにもなろうかと思います。この点については次回の検討で少し突っ込んで、皆さんの
ご専門の立場からご意見を頂戴したいと思っています。
○原田委員
 私もそうなのですが、いろいろ解析に苦労されていてなかなか大変だと思うのですが、
前回と同じようなことで、これも繰り返しになるのですが、30頁の下から6行目と、も
う1カ所あるわけですが、寒冷刺激後SPP変化が30mmHg以上の症例を除外する。検
査の有効性を検討するときに、検討しようとしている検査のデータでもってケースなり
コントロールを除外することは、基本的には自己矛盾を起こすと思うのです。ただ、例
えばその検査で出た30mmHg以上は明らかに何か特別の疾患を持つのだという一般的に認
められたものがあるのであればまた少し違うのではないかと思うのですが。1点は、基
本的には、評価しようとする検査のデータでもって解析対象者を除外するということは
原則的には問題があるのではないかということをもう一度繰り返しお話したい。
○重松委員 
 わかりました。むしろ、ここのところは考察に入れるべきかもしれませんね。考察の
ところで、こういうふうなことでやればこうなります、ということを記載するか、ある
いは削除するかのどちらかですね。我々の所は、結局、SPPは、バージャー病とか壊
疽とか、その器質的な閉塞のある症例に対して、膨大というか、ある程度のデータがす
でにあるのです。それを拝見して30以上下がるというのは相当なことであるということ
の認識でそういうことを記載したのが結果になっているのだと思います。
○原田委員
 逆に、この対照群は健常者とは言えないということになりますね。
○重松委員
 そうです。ですから、最初から議論になっているところですが、対照群の正常性をど
のように評価するかというところが難しいという話は最初から出ていると思うのです。
○原田委員
 評価しようとする検査法のデータを用いて、逆に、除外者を選定するということが、
例えば薬効評価の場であっても、薬効のデータでこの被検者のケースは除外するという
ことはやってはいけないわけで、それと同じようなことを感じるのです。2点目は、前
からよくわからないところがあるのですが、32頁の上から10行目辺りですが、先生はと
きどき「現実とあわない」という表現をされているわけです。私はその意味がうまく理
解できないところがあって、もう少し一般的に理解できる表現にしていただけるといい
と思うのです。3点目は、先ほど先生も言われましたように、この検査の目的はスクリ
ーニングなのか確定診断なのか認定なのかというところでカットオフポイントが変わっ
てくると思うのですが。いずれにせよ、健常者での、つまりコントロールでの特異度と
いいますか、スペシフィシティについても併せて記載していただければ診断精度はどの
ぐらいかということが、センシティビティとスペシフィシティを比較することによって
読みとれることになりますので、コントロールにおける判別性といいますか、スペシフ
ィシティ、特異度も併せて記載していただけると理解が進むかと思います。
○重松委員
 それは追加させていただく予定です。
○原田委員
 よろしくお願いします。
○宮下座長
 それでは、「レーザー血流画像化装置による皮膚温血流測定」ですが、私どもの担当
のところにつきましては特に前回までご報告した内容と大きく変わっていません。34頁
からずっと流し込んでいただいているのですが、初めに今までの経緯をご説明して、方
法を35~36頁に順次、37頁以降が結果ということです。お手元の別添の資料番号3、こ
れも今までにご説明させていただいているのですが、この中の表とこの本文の表1とか
が対応しております。それで、最終的に38頁から39頁に「検査結果の判定と症度区分」
ということで書いております。この根拠につきましても、資料番号3を何枚かめくって
いただいて、医療所見値がコントロール群24名の異常を示す個数が2個ということで、
それを上回って段階的に3個から6個、6個から9個、9個以上というものを症度それ
ぞれIIIIIIとしています。その異常値の算出する代表値、検査から算出したカットオフ
値を表7に、平均から1.5標準偏差を引いたものを生のデータの評価基準という形で考
えています。
 これを中心として特異度、敏感度という辺り、レイノーというものの関連を後の表と
かにして、これもご覧いただいたとおりです。また、重松委員の検査との関連性につき
ましても検討させていただいた部分が特異度、敏感度ということで39頁です。まとめに
つきましては、若干追加しないといけないのですが、これらをまとめというところにし
て、これが最後の表の評価基準とかまとめの所に行くのか、その辺はありますが、全体
でまとめさせていただきたいということで、重複いたしますので、それ以降、先生方、
私どものものをご覧いただいてご指摘事項がありましたらご質問なりをお受けして重複
を避けたいと思います。以上、非常に簡単なのですが、前回までのまとめをこの報告と
させていただきたいと基本的には考えております。まだ完全とは思っておりませんが、
お気づきの点がありましたらよろしくお願いいたします。
○原田委員
 このレーザー血流画像化装置の測定データは、再三お願いしまして、2、3週間前で
すか、事務局から送っていただいて私のほうでもいま見せていただいているところです
が、なかなか興味深い装置だと思うのです。測定法に関してなのですが、実際に画像は、
冷水浸漬する前、浸漬中、浸漬した後、13点の画像が撮影されていまして、それを血流
計算されているわけですが、そのときにどうしても指が動きますよね。ですから、継続
して、連続して13点の血流を測るときに指が動いて、例えば中指、最初に分析するとき
に捉えていても、次の撮影点は少し指がずれていることがしばしばありますよね。この
辺はどのようにされたのですか。
○宮下座長
 基本的には、この画像には出ていないのですが、冷水浸漬する以前から、リラックス
していただく指位も含めて、指位をある程度固定しまして、浸漬後もそのボードがその
ままジャッキで沈むようになっています。先生がご指摘のように、1mmも狂いがないか
ということになるとそうではないですが、基本的には同じ所を狙える。ですから、冷水
浸漬後もそのまま同じ指位で上がりますので、ヘッドも同じ場所を狙えるという形です。
それで、水の影響とか、そういうことも事前にチェックしてあります。基本的にはそう
いうことです。
○原田委員
 私の質問は、今回、実際に先生方が測定されたデータを何例かチェックさせていただ
いて、また、測定のときには指を動かさないように同じ指位にするということで随分配
慮されていたことは重々承知しているわけです。実際の測定データを見ると、指がその
半分程度どうしても動いているわけです。そのときに、私は2通りあると思うのですが、
どちらかということをお聞きしたいのです。1つは最初にどこの血流を測るかというこ
とを固定していて、それから13点ずっと測っておられるのか。あるいは、途中で測定す
るエリアを指の動きに合わせて動かしているのかということなのです。
○宮井先生
 画像から血流を算出するときは1枚ずつその都度その画像に合わせてやっています。
○原田委員
 動かしているわけですね。
○宮井先生
 はい。例えば、末節部ということであれば、画像と同時に横に写真が出てくると思い
ますが、写真と合わせて末節部の部分を確認しながら、その部分の全体の血流量を平均
値として算出していく。先生がおっしゃるように、多少ずれますので、その際には1枚
ずつ変えてずらしてやっているということです。
○原田委員
 そのときに、私たちの大学の担当者が言うには、血量測定は面積によって数値が変わ
ってくるということも言っていましたが、基本的には同じ面積で測るということですか。
○宮井先生
 そうです。特に水中に手を漬けているときは画像によって指の画像の出方が少し変わ
ってきますが、極力、そういった面はそういう影響を取り除くように配慮しながら対応
しております。
○原田委員
 2点目は、装置の説明書によると、皮膚の表層数百ミリミクロンを測定という表現で
記載されているわけです。0.数mmの深さの血流を測定するということで、非常に関心が
あるのですが、そのときに、非常に浅い部分であるとすれば例えば現業の人たちは皮膚
が比較的厚いことがあるかと思うのです。事務作業の人たちは皮膚は比較的薄いという
こともあろうかと思うのです。そういうことの影響については何かありますか。
○宮井先生
 私たちもそれについては検討すべきと思っていまして、確かにそういうことがあるか
なと思って、一部、症例を選定して検討したことがありますが、基本的には、全体とし
て冷水負荷試験中の動きの中ではあまり大きな影響を与えないという印象を現状では持
っています。それ以上に、広がりの程度であるとか、あるいは冷水浸漬中の動きのほう
が圧倒的に顕著であって、そういう影響はないということはないでしょうが、全体的に
は障害の程度を評価する上では影響として少ないのではないかと考えています。
○原田委員
 皮膚の厚さによる影響についての関連の文献があれば見せていただければと思います。
もう1点は、今回のこのレーザー画像の解析検査の中で、冷水浸漬前から両群で差があ
るわけですね。これは皮膚温でもそうなのですが、皮膚温の場合は手を冷水につけるこ
とによってその差がなくなっていくという状況なのですが、このレーザー画像の場合に
はその療養者とコントロールの差がそのまま浸漬中あるいは浸漬終了後も続いていくと
いうことです。このことについては、これまでの前の年度の調査のときと少し違います
ね。前は差が広がっていくという表現だったかと記憶しているのです。
○宮下座長
 動きの特徴としましては、先生がご指摘のように、前値ですでに差がある。浸漬開始
後には血管が収縮しますので血流の差がさほどない。それが、これは対象者にもよるの
ですが、冷却負荷の反応として時間経過後にずっと離れる。これが基本的な動きです。
今回の動きは、いろいろな要素と言ってしまうとあれなのですが、1つは年齢の問題も
あります。年齢の影響を見ておりますと、動きが年齢によって違います。加齢に伴う反
応の鈍さということもあろうかと思っております。冷却負荷をすることによるほうがト
ータルとして特徴をよりはっきりさせることができるのではないかということは思って
いるのですが。
○原田委員
 こういう期待で冷却負荷を行うわけですね。でも、今回の成績は必ずしもそういう結
果ではなかった。それで、それをどのように考えるかということなのですが、なかなか
難しいと思います。
○宮下座長
 それでは、FSBP%について原田委員からお願いします。
○原田委員
 これも今日追加で配らせていただいた追加資料です。先ほどと同じような形式で、「
冷却負荷手指血圧検査報告案」ということで配付しております。基本的な構成は従来の
ものと同じですが、これまでお話してきましたように、このすべてのデータを私たちの
所で再判読する必要があるということで非常に苦労をしたわけですが、英国ともデータ
を何度もやり取りして、若干の加工をしてもらったり、あるいは私の大学のパソコン5
台を使用したのですが、英語版のWindowsを入れてというようなことで四苦八苦しまして
約2週間ほど前にすべてのデータを私たちの手で読めるようになりました。担当者はド
クター・ラスカルですが、彼と2人で全部読み直しました。結果的にはそう変わらない
というか、前回より少し高いかなという感じがするのですが、そういうようなことにな
っております。何が違うかといいますと、前回のときには各施設の担当者にお願いして、
その時の説明には若干問題があったのですが、そこで判読していただいた数値で解析し
ました。今回は我々がもう一度全部見直しまして、血流再開のポイントをきちんと捉え
るということをもう一度評価し直したということです。
 この資料ですが、最初のほうは全く同じです。3-1の基礎統計については、従前は
レイノー現象の有無だけについての記載でした。これをストックホルム・ワークショッ
プスケールあるいは厚生労働省分類での記述を加えております。3-2の分析結果、中
身はセンシティビティ、スペシフィシティですが、これについてもストックホルム・ワ
ークショップスケールあるいは厚生労働省の分類についての評価、記述を加えておりま
す。症度分類ですが、現在のカットオフポイントが、例えば56.8%とか、そういうよう
な数理的に求めたもので現実的には55%、58%、60%というようなカットオフポイント
を設定する必要があるわけですが、そこまでに至っておりません。いま担当者がやって
いる最中であるわけですが、そういうこともありまして、申し訳ありませんが、症度評
価までまだ到達していないという状況です。ですので、この冷却負荷手指血圧検査の相
関分析の値のデータはまだ宮井先生にお送りできていません。近々お送りできるように
は努力いたします。
○宮下座長 
 解析に非常にご苦労があって、2週間前に、再検索が行われたということで、その経
過も踏まえて別紙の報告書、現段階までの進捗状況をご報告いただきました。何かご質
問ありますか。
○原田委員
 1点だけ追加しますが、手技的にある程度の熟練が必要な検査であるわけです。その
辺が今回の調査では少し不足したかなということを後半の中に書き込まなければならな
いかと思います。もう1点は、従前からお話しているゼロプレッシャーというものがあ
るかどうか。それに近いといいますか、事例がいくつかありました。これは担当者とい
ろいろ議論しているのですが、どう吟味するかということで、ゼロプレッシャーなのか、
あるいは技術的なエラーなのか。実際に測定しているときに見ていればこれが判断でき
るわけですが、後でデータだけを評価しようとするとわからない部分があるのです。そ
の1例についてはこの中に含めていないということです。もう少し検討したいと思いま
す。
○樋端委員
 データのどういうところでしょうか。
○宮下座長
 カットオフというような観点からということですか。近いのではないですかね。
○原田委員
 今回のたたき台を見せていただくと、那須先生はEUの動きということで60%と書い
ておられますが、今回の我々のデータを見てみますと、健常者でも60%を切る人たちが
いるのです。ただ、それは、先ほどお話しましたように、手技上の問題も、習練上の問
題もあろうかと思います。さらに、那須先生の装置と私たちの装置はメーカーと検査の
方法が若干違うということもありますので、ダイレクトには比較できないかと思います。
○本間委員
 今回、このFSBP測定に立ち会ってみて、機械が非常に壊れやすいのです。コンプ
レッサーがすぐ動かなくなる。カフが加圧できなくなる。冷水が漏れる。圧を測定して
いるストレンゲージが切れてしまう。ちょっと扱いにくい機械ですね。やっている途中
でまたやり直し、またやり直す、ちょっと待ってくださいと。ですから、データがばら
つくのは当然だと思うのです。今回使用した機械の特徴ではないかと思いますね。
○原田委員
 そうですね。那須先生も言われたように、なかなか難しいということです。それで、
那須先生は英国に行ってその辺のことについていろいろ注文をつけられたというお話も
ありました。
○樋端委員
 私の所でこれまで20例ほどだったのですが、全部きれいにとれています。いま言われ
たようなトラブルはほとんどなかった。
○宮下座長
 同じ機種ですか。
○樋端委員
 同じ機種なのですが改良型です。徳島でやった実証検査のときは原田先生の所の機械
を使わせていただきましたが、トラブルがポツポツあったのですけれども。
○原田委員
 新しいタイプのWindowsXP上のソフトに変わっているという話をミユキ技研から昨日
聞きました。
○樋端委員
 いまのところ外すことが全くないですね。
○職業病認定対策室長
 感想なのですが、1S例をとるか2S例でいくかという問題があるのですが、56とか
58というカットオフ値はどうお考えですか。
○原田委員
 56.8という切りの悪い数値です。
○職業病認定対策室長 
 56.8でしたか。国際的に発表されている例えばオルセンなども58ぐらいで出ています
し、随分近い数値で出たなということで感心しました。
○原田委員
 そうですね。58とか60という論文が出ていました。同じようなあれですね。
○職業病認定対策室長
 ただ、オルセンらは1本の指でやっているのですね。
○原田委員
 1本は冷却し1本はコントロールということです。リファレンスということです。
○宮下座長
 解析を進めてまた議論をいただこうと思います。続きまして、これも原田委員ですが、
振動感覚検査を続けてお願いします。
○原田委員
 同じように追加配付させていただいた資料で「振動感覚閾値検査報告案」というもの
です。これも、前々回にお配りしたものと同じですが、若干、追加した部分があります。
3の「結果」の所ですが、3-1の基礎統計ということで基本統計量について、これも
先ほどの2つの検査と同じようにストックホルム・ワークショップスケールあるいは厚
生労働省の分類についての記述を加えております。分析結果も、センシティビティある
いはスペシフィシティということですが、従前のものに加えてストックホルムあるいは
厚生労働省分類についての記述を加えております。症度分類のスコアも同じような表現、
記述を加えています。
 3-4の評価基準については新しく書き加えたものですが、一応、そこのところまで
使用してきた基準値案を使用するならば、この程度の特異度は期待できるだろうという
こと。それから、これは年齢影響があるものですから、そういうことも含めた検討がさ
らに必要であるだろうということを付け加えてあります。考察の所では、現在、日本で
使われているRIONの装置と比べると、被検者が自分で指の力をコントロールしなが
ら、しかもボタンを押しながら判定しなければいけないという、やや複雑な測定の形式
になっているものですから、今回はそれについての習熟度が少し足りなかったかなとい
う印象があるという考察を現在のところ書いています。あと、まとめや課題についても
う少し書き加えるようにいたします。
○宮下座長
 振動感覚の検査結果についてのご説明でしたが、何かご質問はありますか。基本的な
ことですが、この検査方法では、被検者は一定の力を保ちながらリスポンスするわけで
すよね。それで、あの応答は、感じるところから除除に感じなくなって、という検査で
すよね。測定値はどうやって決めていましたでしょうか。
○原田委員
 ISOの方式でいきましたので、最初のデータは除いて、さらに3回以上の分につい
てきちんと測定できていれば、できなければいけないわけですが、それについての平均
値を求める。つまり、知覚したときの閾値と知覚しなくなったときの閾値の平均値です。
それをまた3回あるいは3回以上の平均値を求める。
○宮下座長
 それを1つとして、3回ならば3回を平均するということですか。
○原田委員
 そういう形だと理解しています。
○宮下座長
 そうしますと、カットオフ値ですが、例えば個人的なリスポンスの幅がありますよね。
それと、いま先生が言われたように、技術的な問題の詰めが今後の課題だと言われたの
ですが、ここのカットオフ値の検討された値の動きといいますか、これは生のデータも
お示しいただいているのですが、そこらの個人的なリスポンスの大きい方、あるいは小
さい方で測定値そのものの変動がかなりあるのか。1つは再現性の問題とかということ
ですよね。そこらのところは基本的にはクリアーされていると考えているわけですか。
○原田委員
 3回、あるいはそれ以上の試行の中でデータがばらつくことはもちろん望ましくない
わけですね。そのことについてのISOの中にもそういう基準が記載されています。私
たちの印象で見ていると療養者、つまり患者の方たちはどうしてもリスポンスの波が大
きくなっていく、健常者はそれが比較的安定している、という傾向はあるように思いま
す。
○宮下座長
 それでは、神経伝導検査について木村委員にお願いします。
○木村委員
 39頁からです。資料番号6を参照しながら見ていただければと思います。全体の構成
については、今まで平成13年度から平成16年度までにやった研究報告書のサマリーが最
初にあるということをあまり認識していなかったこともあって、一部、繰り返しになっ
ているような所があります。39頁から始まる「はじめに」の部分はいろいろと解説する
ようなことになっていますが、ここら辺は座長からご指摘があった冗長とかダブる部分
と思いますので、もっと簡単にできると思います。今回の検査については44頁の「目的
」、「対象と方法」からの部分です。前回までの検討会でご報告してきたとおりなので
すが、46頁の上から10行目辺りにある様に「データの解析」にあたり、今回は正中神経
では運動神経の遠位潜時、前腕での運動神経伝導速度(MCV)、感覚神経の手関節刺
激での遠位潜時、前腕での感覚神経伝導速度という4つの指標を用いました。同様に、
尺骨神経についても4つの指標を選びました。すなわち今回の検査開始にあたり合計8
つのパラメーターを選んだというわけです。それから、年齢補正した正常値を基にして
異常となるパラメーターがいくつあるかを検討したわけですが、非常に多くの検査を行
い、多数のパラメーターがあるため、以前からお話ししていたように、どのように評価
するかは大変悩みました。一応、今回は異常を示すパラメーターがいくつあるかによっ
て神経伝導検査からの症度分類を試みてみました。
 その結果なのですが、資料番号6の表5になりますが、振動障害患者と対照者につい
て今回選んだ各パラメーターの比較をお示してあります。そして検定を行い右にその結
果の値が書いてありますが、左右の正中神経の運動神経伝導速度、左右の正中神経の感
覚神経伝導速度、すなわちいずれも前腕部の伝導速度ということになります。これと、
右の正中神経の運動神経の遠位潜時、これらの値について振動障害患者さんと対照者と
の間で有意差が出ました。
 それから、47頁ですが、今回の症度分類を試みた結果とストックホルム・ワークショ
ップ分類、それから厚生労働省の分類との比較も行ってみました。そこら辺については、
最初のパラグラフの真ん中にありますが、今回我々がつくった症度分類とストックホル
ムと厚生労働省の分類、いずれも有意な相関が認められました。
 神経伝導検査による振動障害の診断について、感度としては70数%、特異度は50数%
ということになっていますが、特異性においてはコントロールのほうでも異常が出てい
ますので少し落ちるのかなという印象があります。以上お話ししましたように前回まで
申し上げてきたとおりのことをやってきたわけですが。
 あとは、それに応じた考察等を記載しました。さらに50頁には「まとめと今後の展望」
ということで1から5までのことが書いてあります。対象のこと、どういうことを行っ
たかということ、ストックホルム・ワークショップと厚生労働省のスケールと相関した
こと、また、神経伝導検査は障害があることを確認するには優れているが、その原因を
特定することは非常に難しくその診断にあたってはこれだけではなくて他の検査や臨床
所見などと総合的に判断する必要があることなどで、これらのことをまとめて書いてあ
ります。
○宮下座長 
 木村委員のほうも、データ解析についてはほとんど前回でご報告いただいておりまし
て、改めて報告書の形で概略ご説明いただきました。何かご質問なりご指摘はあります
か。
○本間委員
 聞き落としたところがあるので、表5の所を説明していただけますか。振動障害者群
と対照者群の差があるところ。
○木村委員
 振動障害者と対照者のパラメーターの平均と標準偏差についてですね。振動障害者と
対照者に分けて、左の正中神経、尺骨神経について、各々4つのパラメーターをとりま
したので、その結果についての実際のデータを示してあります。例えば、振動障害の患
者さんで言えば、正中神経の運動神経に関しては遠位潜時が左右の平均が4.1、標準偏
差が0.5という結果が出ています。対照者は、左の場合が4.0、右の場合が3.8で、標準
偏差はそれぞれ0.6、0.5ということです。遠位潜時に関して言えば、これは値が小さい
ほうが良いわけで、一般的には4を超えると遅れている傾向があると判断します。従っ
て、4.0と4.1という振動障害の患者さんと対照者の値を比べた場合に左の遠位潜時にお
いては有意差がなかったということになります。しかしながら4.1と3.8という右に関し
て比較すると有意差があったということになります。そういうことで、表の右のほうに
有意差の有無を全部書いてあるわけですが、有意差が見られたのは左右の正中神経の運
動と感覚神経の神経伝導速度、さらに遠位潜時においては右側で有意差がみられたとい
うことです。
○本間委員
 わかりました。
○宮下座長
 それでは、最後に髙山委員からMRIの機能検査についてお願いします。
○髙山委員
 50頁からの部分で、何回か報告させていただいているのですが、前半の部分は以前の
報告と同じです。私は少しずつつくったものですから、それから、各病院での検査の機
器が違いますので、とりあえず、初めに分析を病院の結果ごとに書いてあります。それ
が54頁辺りです。最終的に統計をとるときにいろいろな投薬の問題などで除外症例を考
慮に入れて評価をしましたが、最初のこの辺りの所見に関しては投薬の影響で、すぐ鋭
敏にMRIの違いが出ないことがわかっていましたので、全部そこら辺も含めて書いて
あります。
 今回、症度分類に関して58頁辺りから書いてあるのですが、このMRIの評価でどの
ように症度分類をつくるかということを考えてみたのですが、今まで私どもがやってい
た研究ではT2強調画像における対照の骨格筋の輝度変化、白っぽく映るということで
輝度が上がる高輝度というものを(-)(±)(+)(++)という程度の定性的定量
変化をしていたのですが、今回はどの筋肉というわけではなくて、前腕あるいは手掌と
いう形でやっていますのでどうしようかなと思ったのですが、それぞれ、先ほど言った
輝度変化のグレーディングと例えば別系統の神経、正中神経領域の筋肉と尺骨神経領域
の筋肉の両方にあれば、1ランク上げるという、そういう2つの組み合わせで症度分類
をつくってみました。
 たまたま、今回の療養群でも通常の末梢神経損傷のような著しい麻痺症例がありませ
んので、MRI評価で「++」というものはありませんでした。結果的に、3段階とい
う形になります。4段階までつくったのですが、いちばん重症の患者群にあたるものは
ないという形です。除外症例を除いた32例、1133はMRIを行っていませんので32例な
のです。それからまた今回2例減るということなのですが、症度0が20例、症度1が8
例、症度2が4例という形になります。それから、除外症例を含めて、これは岩見沢の
症例はほとんど除外症例に入ってしまっているのでもったいなくて、これを入れまして
も症度0がかなり多くて38例、症度1が9例、症度2が8例という状態です。
 前々回辺りに報告させていただいたように、木村先生との検査の関連で、明らかにエ
ントラップメントニューロパシーと思われるような筋肉や運動機能障害、正中神経障害
での手根管症候群あるいは尺骨神経障害の肘部管症候群がありそうだと思われる症例で
は伝導検査と非常によく相関しているのですが、それぞれ、説明がつかない症例という
ものが、今回やってみて改めて振動障害。さらに、末梢神経を介して筋肉が障害を受け
るのではなくて、まだよくわからない理由で変化が起きている症例では伝導検査と全く
相関していないということがわかりました。
 もう1つは、何回か言われた握力との相関で、これも58頁の真ん中から下に書いてあ
るのですが、どの辺で握力の線引をするかなと思ったのですが、握力のデータをもらっ
て比べてみると、徳島のグループに比べて岩見沢、美唄のグループは全般に握力が低い
のです。だから、測り方とか測定機器とか、それも違うのかなという感じを印象として
持ちました。握力が落ちていてもMRIの評価で全く症度0と評価される人が多いので
すが、逆に、除外症例を含めると、MRIで症度2と評価された8例では7例に明らか
な握力低下が見られました。だから、MRIで所見があれば握力が当然落ちていて運動
機能障害は確実にあると言えるのですが、逆に、握力だけ落ちているデータでMRIの
所見がない場合には、本当にそれを運動機能障害ありと言っていいかはかなり疑問なの
ではないかというのが今回の検査結果で大体わかった、そのような形です。
○宮下座長
 梁井委員、いかがですか。
○梁井委員
 筋肉は非常にガッチリしているのに握力が10kgぐらいしかない人もいるのですが、M
RIをすればそこで異常がなければないという除外診断といいますか、そういうものは
やってもいいということになりますか。
○髙山委員
 異常が起きているのだけれども何の所見もないという人が北海道の症例では2、3見
られました。
○梁井委員
 握力の基準というのはどうすればいいのでしょうかね。
○髙山委員 
 今回は便宜的に25kgという所で線を引いてみたのですが、成人男性だと大体30kg以上
あるのが普通で、成人の男性で25kg以下だと握力が通常下がっているという評価をして
もいい、女性だともっと低い値になると思うのです。
○梁井委員
 実際の生活に必要な握力は最低限どれぐらいだと思われますか。
○髙山委員
 一般論として、日常生活では20kgを超えていればそれほど困らないと思います。それ
から、先ほど先生からのご指摘で、筋肉の筋力と筋肉のボリュームは非常に強く相関し
ます。筋肉のボリュームがあるのに筋力が落ちているということは通常考えられない。
○梁井委員
 萎縮がなければ筋力そのものは落ちていないということになりますか。
○髙山委員
 筋力の質ということでMRIを調べて、筋肉の質がどうかということを1つこれでチ
ェックができるということです。ボリュームがあって質が悪いということは普通は考え
られないのです。
○重松委員
 筋力測定そのものは、握力を測りますよと言うと恣意的なものが入ってくる可能性が
ありますよね。そうすると、例えば日常生活の中で、実際にはあり得ないことかもしれ
ないけれども、鉄棒にぶら下がるとか、そんなことで客観的な評価の仕方はないのです
か。
○髙山委員
 難しいですね。振動障害とは別にして、私たちが外来を見ている感じでは、痛いから
握力が入らないという人がいるのです。筋力が悪いのではなくて、力を入れようと思う
と痛がるから、それも数値としては握力低下になってしまうのです。本当の筋力低下か
というと、そうではないことが結構あるのです。
○梁井委員
 もし10kg以下と仮定すると、日常生活そのものができないということになりませんか。
○髙山委員
 できないということはないです。例えば、こういうコップをちょっと持とうとしても
滑って落ちてしまうとか、それぐらい。
○梁井委員
 それぐらいの判断をしていいということですね。
○髙山委員
 そうですね。
○梁井委員
 普通の日常生活は最低限20kgというのが1つの基準でいいということでよろしいです
か。
○髙山委員
 はい。
○原田委員
 そうすると、本当の握力が低下しているのか痛みのために握れないのかということに
ついてはわからないというよりも、検査を受ける人はわかっているわけだから、それを
含めた判断をすべきということになりますね。
○髙山委員
 はい。
○梁井委員
 その場合、末梢神経伝導速度で非常に障害が強ければ痛みがものすごくあるというか、
マヒがあるとかいう形になるかとは思いますが、末梢神経伝導速度も異常がないところ
で起こるかどうかという1つの判定のところになってきますね。
○木村委員
 見ているものが少し違うと思うのですが。神経伝導検査はそのまま数値で評価できる
客観的なものですが、握力についてはいろいろな主観的な面が入ると思います。それか
ら、先ほど髙山先生は20kgとおっしゃいましたが、機械とか握る幅とか恣意とかによっ
てもその値はいろいろ違いますから、一概にその値で評価できるのか疑問です。最近で
は握力計もいろいろと変わってきています。ですから、私も同じ機械を使って同じ施設
で同じ人を対象に何度もやると非常に再現性があると考えていますが、対象となる人が
違えば持っている幅によって、小さく出てしまったりということも起こり得るわけです。
そういう面では、握力はスクリーニング的には良い検査なのですが、詳しく議論してい
くと握力自体色々と問題があり、本当に使っていいのかどうかわからなくなります。そ
ういう限界を踏まえた上で使用することが重要だと思います。
○髙山委員
 振動障害などの場合は片手だけ悪いということは通常ないので、両手に多かれ少なか
れ影響があるのですが、通常、私たちが扱っているような疾患の場合には握力を絶対数
値より相対的に左右差をかなり重要視して、いろいろなスキャンの評価や回復の評価を
やっています。振動障害は片手だけ振動が伝わるわけではないので、それが少し難しい
ところではないかと思います。
○宮下座長
 よろしいですか。
○中央職業病認定調査官
 髙山委員から冒頭ご指摘があった点ですが、調査表で確認しましたが、ID番号1132
の方は振動工具の使用期間は20年でございます。
○宮下座長
 それぞれの先生方がご担当の報告書案についてのご説明、あるいはそれに関連するご
議論をいただきました。全体としてのまとめ方について最後に私からお願いを再度申し
上げるのですが、全体を通しまして何かお気づきの点、この調査報告書案の部分ですが、
いかがでしょうか。
 それでは、全体的なことを先に進めさせていただきますが、このたたき台の次は「そ
の他の検査」、58頁です。この項目については、平成13年報告で末梢循環障害に係る検
査としてということで、この応用可能なという、あるいは検討すべきということでいく
つかの検査が挙がっています。その部分を集録していただいておりまして、このいくつ
かは例えば木村先生の範疇であったりということもするものですから、そこのところの
全体的な整合性につきましても個々に先生方と少し調整をさせていただきたいと思いま
す。
 それから、69頁ですが、これは勤労クリニックの近藤先生にお出でいただいて、全身
空冷負荷検査についてご説明いただきました。そのことについても記載させていただい
ております。70頁ですが、これが本検討会で最終的になされなければならないことだと
思います。特にVII、VIIIです。今後の検討のスケジュールとも関連するのですが、先生方
にまとめていただいた報告書案、プロトコルに沿って書いていただいているのですが、
報告書全体として体裁の面とか記載の方法に若干差異がありますし、まだ詰めていただ
かないといけない部分もありますので、これは私と事務局で先生方個々にお願いいたし
まして、ご修正というとあれですが、さらにブラッシュアップしていただくような作業
をお願いしたいと思います。
 冒頭申し上げた最初の部分と、その後のその他の検査という事務局でまとめていただ
いた部分についてもご意見を頂戴して事務局までお寄せいただきたいと思います。VIIの
新たな体系のあり方、あるいは評価基準については、今日、先生方に報告書案としてご
提示いただいたものを、大変僭越でありますが参考にさせていただいて、座長の私と事
務局の間でたたきのたたきというものをつくらせていただきます。次回が1月5日の木
曜日ですので、たたきのたたきは年内に先生方にお送りした上で1月5日にたたいてい
ただくことにしたいと思います。先生方に個々にお願いするブラッシュアップについて
は、おそれいりますが、そのブラッシュアップの文面を年内に一度事務局にお送りいた
だきたいと思います。拙速ということではないのですが、少しキャッチボールを個々に
させていただいて、そのものも1月5日に改めて全体をご覧いただくということをいた
したいと思います。31名になった部分につきましては、これはもちろん評価基準ともあ
れしますが、鋭意お願いいたしたいと思います。進め方についてご意見があればどうぞ。
○原田委員 
 私どもは随分遅れているわけですが、実は、調査で来週の22日から12月30日まで中国
の奥地に行かなければいけないという、少し身動きがとれないような状況になっていま
して、1月5日にどれぐらいブラッシュアップするかというところは非常に心許ない状
況なのです。場合によっては1月5日を延期していただけないかと思っていたりもして
いたのですが、どういたしましょう。
○宮下座長
 実は、その後の予定もありまして、最終的には少し先の話も副案させていただくと、
1月5日に原田委員の所の分析結果も頂戴していなければいけないのですが、できれば
並行した形でやらせていただいて、しばらく期間を置いて2月の中旬以降に、大体この
線で当委員会としての報告書の形を整えたいと思っております。その上で、本委員会の
責任上こういう言葉はふさわしくないとか、ここの部分はもう少し踏み込んで書いてお
くべきだという最終的なものを、約1週間後の2月の終わりぐらいにもう一回開かせて
いただいて、3月は皆さんも非常にお忙しい月だと思いますので、年度内ということで
2月中に本検討会の報告を上げるつもりにしております。実は、今度、原田委員は日本
産業衛生学会の振動障害研究会の世話人をされまして、教室も大変お忙しいというのは
存じ上げているのですが、そんな中で2月ぐらいを最終限度にした形でおまとめいただ
くということでいかがでしょうか。
○原田委員
 並行してということですね。わかりました。
○宮下座長
 そうしましたら、概略、方向性なりをご承認いただいたということで、個別的にはま
た私と事務局で相談いたしまして先生方とご連絡をとらせていただきたいと思います。
繰り返しますが、それぞれの先生方のご事情はございますが、年内に今日のご議論を踏
まえたブラッシュアップを是非していただきたい。それから、体系あるいは評価に関し
ましては、私と事務局でたたきのたたきぐらいをつくって年内に先生方にお届けして1
月5日にそれを基本にご議論いただきたい。その上で、最終的なまとめの作業を私と事
務局の間で、またこれも先生方と1カ月の間に細部ご連絡申し上げることがありますが、
2月の中旬、それから最終的な確認ということで進めてまいりたいと思います。それで、
少し先の日程で恐縮ですが、年度末は何かとお忙しいと思いますので、できれば1月5
日以降の最終の日程ぐらいまでここで調整させていただければと思うのです。
                               (日程調整)
○宮下座長
 それでは、次々回は2月17日(金)の午後2時から4時。それから、おそらく最終と
させていただきたいと思いますが、3月3日(金)の午後2時から4時ということでお
願いしたいと思います。少し早足で進めさせていただきましたが、本日の検討会はこれ
で終了とさせていただきます。ありがとうございました。


                【照会先】
                 労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室
                 職業病認定業務第二係
                  TEL03-5253-1111(内線5571)