05/12/14 平成17年12月14日第8回船員保険制度の在り方に関する検討会の議事録について 第8回船員保険制度の在り方に関する検討会          日時:平成17年12月14日(水) 17:00〜19:00          場所:はあといん乃木坂 3階 312号室 ○事務局  事務局でございます。会議に先立ちまして資料の確認をさせていただきたいと思いま す。本日の資料は議事次第が1枚と、その後ろに資料1、「船員保険制度の在り方に関 する検討会報告書(座長案)」というタイトルのものと、資料2、横の紙で「船員保険 における医療制度改正案一覧」というものの2種類を御用意しております。お手元にお 配りしている資料の中で不足のものがございましたら、事務局までお申しつけください。  それでは定刻になりましたので、座長、お願いいたします。 ○岩村座長  それでは、定刻になりましたので、第8回船員保険制度の在り方に関する検討会を開 催いたします。議事に入ります前に、本日の欠席状況について御報告させていただきま す。本日は谷口委員の代理で坂本さんがお見えになっておられます。 ○坂本委員(谷口委員代理)  坂本でございます。よろしくお願いします。 ○岩村座長  どうぞよろしくお願いいたします。それから保険局長ですが、おくれて見えられると いうことでございますので、このまま進めさせていただきたいと存じます。  それでは、早速議事に入ることにいたします。本日はこの検討会の取りまとめの議論 をしたいと考えております。前回の検討会におきまして、船舶所有者側から、また被保 険者側から、それぞれ積極的に御意見をちょうだいいたしたところでございます。その 議論を踏まえまして、公益の野川委員、西村委員とも御相談しまして、また事前に船舶 所有者側、被保険者側、それぞれにも御相談させていただいたところでございます。そ して、それをもとに報告書案をまとめさせていただきました。  それでは、事務局から報告書案について御説明をいただきたいと思います。よろしく お願いいたします。 ○事務局  資料1、「船員保険制度の在り方に関する検討会報告書(座長案)」という資料をご らんください。順を追って御説明いたします。  まず1ページ目、1.「検討の経緯」とございます。1つ目の○から順次御説明しま す。船員保険制度は、船員を対象とする総合保険として昭和15年に創設され、船員労働 の特殊性を踏まえた給付を行ってまいりました。船員及びその家族の生活の安定と福祉 の向上に大きく寄与してきたということでございます。  しかしながら、昭和46年度をピークに被保険者数が減少し続けております。そういっ た中で、昭和61年には職務外年金部門を厚生年金に統合するという大きな改正が行われ ましたが、その後も職務上の年金を扱っている部門につきましては財政が逼迫しており まして、平成10年度以降赤字が続いているという状況です。こういった構造的な財政問 題を現在も抱えている状況にございます。  一方、現在、政府部内で特別会計の見直しについても議論されておりまして、一昨年 の11月には財政審におきまして、「特別会計の見直しについて」というものがまとめら れております。その中では、「船員保険特別会計については、独立した保険事業として の必要性を検討すべきである」というような指摘がなされております。また、昨年6月 のいわゆる「骨太の方針2004」の中では、その存廃も含めて検討するといった指摘がな されたところでございます。こうした状況を踏まえまして、昨年10月にこの検討会が設 置され、本日も含めまして8回にわたる議論が重ねられてきたところでございます。  1ページ目の一番下にございますが、この報告書は今後の船員保険制度の見直しの方 向性について、関係当事者の共通認識を取りまとめたものという位置づけでございます。 関係当事者、厚生労働省、国土交通省に対し、今後この内容に沿って制度の見直しを具 体的に進めることを求めるものであるとしております。  その次が2.「制度の現状等」でございます。被保険者数の推移でございますが、船 員保険制度の被保険者数は減少傾向に歯止めがかかっていない状況にございまして、先 ほども申し上げましたが、長期給付を行う職務上年金部門においては厳しい財政運営と なっておりまして、抜本的な財政対策が必要であるということでございます。  こうした中で、未加入者に対する対策としまして、本年1月から適用促進対策の強化 を図ってきたところです。また、経済情勢の回復基調等といったこともございまして、 この1年に限ってみますと、汽船の被保険者数に関しては下げ止まりの兆しも見られる ところではございますが、やはり長期的には被保険者数が減少し続けるものと見込まれ るところでございます。これに関しまして、被保険者及び船舶所有者からは、保険財政 の将来見通しを試算する上での前提としまして、将来は3万人または3万5千人まで減 少すると、こういった見込みも示されたところでございます。  そのような前提に立ちまして、機械的な財政推計を各部門について行っておりまして、 2ページ目の一番下の○のところですが、職務上年金部門につきましては、現行の制度 と保険料率を前提とする限りにおいて、将来にわたり支払いを継続できるケースととも に、途中の年度で積立金が枯渇して財政破綻するという試算結果も複数見られたところ でございます。そのうち最も深刻なケースでは、平成32年度に積立金が枯渇するという 可能性が示されたところでございます。  3ページをおめくりください。現在の船員保険の職務上年金部門につきましては、給 付時点の船舶所有者からの保険料収入と積立金の運用収入の両方で賄うという形をとっ ておりますが、こうした方式をとる場合、今後、保険集団として規模が縮小していった 場合には、保険料の負担が過大なものとなる可能性がございます。仮に、労災保険と同 様に、災害発生年度の事業主で負担する財政方式、いわゆる充足賦課方式をとった場合 には、今年度末で約1,700億円の積立不足が見込まれるというような状況にございます。  次に特別会計改革との関係ですが、2つ目の○のところです。本年11月に財政制度等 審議会において、「健康保険制度に相当する部分については公法人化した政管健保を含 め国以外の主体による運営を、また労災保険、雇用保険に相当する部分については、労 働保険特別会計との統合を検討すべきである」、このような指摘がなされております。 こうした流れの中で、船員に対する必要な保障を維持していくという観点からも、本検 討会において、今後の在り方の結論を出すべきときにきているのではないかということ でここに書いております。  また、社会保険庁改革との関係では、平成20年の秋に、年金の運営を担う年金運営新 組織と、政管健保の運営を担う国以外の公法人に分離されることが検討されております。 来年の通常国会には関連法案が提出される予定でございまして、この面からも船員保険 の運営組織の見直しが避けられない状況にあるということでございます。  4ページ目をごらんください。以上のように、制度を取り巻く環境は、制度運営を安 定的に行っていく上では大変厳しいものとなっておりまして、抜本的な見直しが行われ るべき状況にあるということでございます。そういった状況のもと、見直しに当たりま しては次の点を考慮する必要があるということで、3点書いております。  まず1つ目ですが、職務上年金部門の財政問題については、年々被保険者数が減少し 続ける制度の中だけで解決するには限界がございます。一方、労災保険におきましては、 長期給付について充足賦課方式を採用していること、また給付等に要する費用の一部を 全業種一律に負担するという考え方で保険料率を設定している、こういった特色がござ いまして、これにより財政の長期安定性を保つ仕組みが働いているところでございます。  2つ目としまして、船員が陸上勤務に移った場合には、船員保険制度の失業部門と雇 用保険制度との間で被保険者期間が通算できないといった、制度が分立していることに よる不都合も生じているところであります。  3つ目としまして、船員労働の特殊性ということでございます。海上という厳しい環 境による肉体的負荷が長期にわたり続く、また、乗船中に医師による治療を受けること が陸上と比較して困難であるということ、さらには、長期にわたって家庭から離れなけ ればならない。こういった特殊性がありまして、これを踏まえた給付が現在行われてい るところであります。  このような状況を踏まえまして、基本的な方向として、4ページ目の○2つを書いて おります。まず下から2つ目のところですが、船員保険制度の各部門を一般制度に統合 することを基本とした上で、船員労働の特殊性にかんがみ、なお不可欠と考えられる給 付については、引き続き給付できる仕組みを構築することが必要である。  具体的には、職務上部門及び失業部門については、労災保険、雇用保険に相当する部 分をそれぞれ一般制度に統合するとともに、船員保険制度のその他の部分については、 国以外の公法人で実施することを基本とし、その実現可能性について今後速やかに具体 的な検討に入るべきであるとしております。これに関しまして、被保険者側からは、一 般制度への統合というのは選択肢の一つであって、引き続き船員独自の総合保険として 維持することについても検討すべきであるという意見。あるいは、統合後の姿をはじめ 先行きが不透明であるといった意見がございました。一方で船舶所有者側からは、統合 後も強制加入を担保できるような仕組みが必要である、このような意見も出ていたとこ ろでございます。  次に、一般制度との統合に当たっての留意事項についてまとめております。まず1点 目、積立不足額の取り扱いでございます。その2つ目の○のところに書いておりますが、 積立不足の償却に当たっては、保険料負担によるほか、現在船員保険が保有している積 立金等を充当することについて、制度全体で検討する必要があろうかと考えております。 これに関しましては、積立金は制度全体で一括管理されており、その全額を償却に充て るべきという意見がある一方で、被保険者の保険料負担に係る積立金については充当す べきでない、このような意見もあったところでございます。  また、その次のところですが、積立不足額の償却の期間等について検討していく必要 があるということになっております。  それから、船員労働の特殊性を踏まえた給付の取り扱いにつきましては、一般制度に 統合するに当たりましては、一般制度における給付内容との均衡を図っていくことを基 本としつつ、独自給付の取り扱いについて見直しを検討する必要があるということでご ざいます。  最後の○のところですが、独自給付の中には船員法において災害補償の内容等が定め られている給付があります。また、6ページ目の一番上のところにありますとおり、I LO条約において、国内法令の内容が実質的に同等であることを確認するということが 求められているようなものもございます。こうしたことから、船員法に根拠を有する独 自給付については、引き続き給付できる仕組みを構築することが必要であろうというこ とでございます。なお、それ以外の独自給付につきましても、今後の検討を通じて、船 員労働の特殊性の観点からなお必要不可欠と判断される場合には、引き続き給付できる 仕組みを構築していくことが適当であるということでございます。これに関しまして、 独自給付についてはすべて包括承継すべきであるというような意見もあったところでご ざいます。  また、引き続き実施する独自給付に要する費用につきましては、その性格に応じて、 被保険者と船舶所有者の適正な保険料負担により賄う仕組みが適当であるとしておりま す。  なお、下船後3月の療養補償のような、複数の一般制度にまたがる可能性のある性格 を持つ給付も中にはございますので、こういった単純に整理することが難しいものもあ るということを踏まえながら、引き続き検討が必要であろうとしております。  また、福祉事業の取り扱いについては、真に必要な事業を精査して実施することが求 められております。原則として、一般制度における福祉事業の取り扱いとの整合を図っ ていくことを基本として実施していくこととする。ただし、無線医療センターの運営や 洋上救急医療の援護など、特に特殊性との関連が深い事業につきましては、引き続き実 施することが適当と考えられます。こうした事業は一般制度の福祉事業の枠組みを超え ておりますので、それ以外の仕組みも視野に入れて幅広く検討していくことが必要であ るとしております。  7ページ目のところですが、福祉施設につきましては、特別会計改革における議論や、 国が保有する公的施設の在り方に関する議論において、廃止・民営化などの整理合理化 措置を進めることとされております。引き続き整理合理化に取り組むとともに、真に必 要と認められる施設につきましては、国以外の主体による管理・運営の方法も視野に入 れて検討すべきであるとしております。  また、事務の効率性につきましては、統合するに当たって事務の効率性や被保険者等 の利便性の確保等に配慮しつつ、また事務コストの削減に努めるべきである。さらに今 後の検討に当たっては、統合後の保険料率の合計が、可能な限り統合前の水準並みとな るよう検討していくことが適当であるとしております。  船員保険特別会計の取り扱いについてでございます。現在国が行っております船員保 険事業につきましては、保険料財源を中心に運営されておりまして、給付と負担の関係 を明確にする必要があります。こういった考えから、区分経理を行うための特別会計と いうのが設置されております。この特別会計の見直しについては、制度の在り方の見直 しに応じて行う必要があろうかと考えられます。したがいまして、次に書いております ような、関係者による協議の結果を踏まえての検討が必要であろうというところでござ います。  その「制度改正に関する検討の進め方」については、4のところにまとめております。 制度の見直しに当たりましては、他の社会保障制度や国際条約との関連に留意して、個 々の給付についての整理が必要であること。また、新たな運営組織において、システム 開発等の円滑な体制整備のために一定の期間を要すること。また、積立不足額の償却に 向け、その取り組みの円滑な進捗を見きわめる必要があること。こういったことが要素 として考えられますので、見直し後の制度を実施するまでには、相当の移行期間が必要 であると見込まれるところです。  8ページに移りまして、そういったことから、それまでの間は円滑な事業の実施とい う観点から、社会保険庁、また年金運営新組織の設立後はその新組織において、暫定的 に船員保険事業を運営することが適当であると考えられます。そのために必要な法整備 を行うべきであるとここでは書いております。  また、このような基本的な方向に沿って、新たな給付の仕組みの在り方、独自給付や 福祉事業の種類・内容の整理等につきまして、今後、具体的に掘り下げた検討が必要に なってまいります。このため、被保険者、船舶所有者、厚生労働省、国土交通省等の関 係者において、その討議の場を設けまして、今後1年程度の期間をかけて、その具体的 な形についてこの報告書に沿った協議・検討を行いまして、合意形成を図っていくべき であるとしております。  また、最後に統合の受け皿となる一般制度を運営する立場からの検討も必要であると いうことで、この船員保険制度側の検討状況も踏まえながら、関係する審議会に対して、 統合する場合の制度の在り方等について検討を開始するよう求めることが適当であると いうふうにまとめております。  以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。報告書の案の内容につきましては、ただいま事務局 の方から御説明いただいたところでございます。これよりこの案につきまして、御意見 を伺っていきたいと存じますが、なるべく効率的に議事を進めるということもございま すので、恐縮ですが算用数字の大きな1、2というような、その単位ごとに順次意見を お伺いしまして、その上で最後に全体について何か御意見があれば伺うというような順 序で進めさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。  それではまず初めに、1〜2ページにかけての部分で、「検討の経緯」というところ がございますが、そこにつきまして御意見がございますでしょうか。はい、山口委員、 どうぞ。 ○山口委員  この報告書のブロックごとにということなので、まず「検討の経緯」ということで、 これは私も第1回のときからこの検討会に参画していますので、それなりに理解をして いるつもりですが、若干書き方が偏った書き方になっているなと私としてはとらえてい ます。  というのも、船員保険制度は昭和15年創設云々ということで、船員の総合的な福祉制 度として非常に意義があるものだということでまずとらえています。被保険者数の減少、 これは現実の問題でありますし、この2番目の○のところの書きぶりですが、被保険者 数が減少して、年金部門は一元化をしているということですけれども、とりわけ職務上 年金部門については単年度の赤字が続くなどということで、これはこの検討会でも論議 されていますが、比較の問題ですけれども、もともと陸上の労災制度との積立方式が違 うということで、その間、たしか職務上年金部門の保険料率についても見直しがされつ つ今日まで至っていると思いますが、とりわけこの職務上年金だけが赤字が続いて、構 造的な財政問題を抱えているということだけを特記するというのはいかがなものかな と。  それから3番目の○のところの、これも前回論議したと思いますが、特別会計の見直 しに関する議論がされていると。それから、閣議決定で骨太方針が決定されていると。 こういった背景についても十分承知をしていますが、この検討会の論議というのは、そ ういったものに何ら拘束されるものではない、強制されるようなものではないというふ うに理解をしているのですが、前段のところにあえてこういう形で書くことについては いかがなものかなと。  それから、5番目の○で「検討の経緯」のまとめのところですが、ここの書きぶりに ついては非常に不満があります。というのも、1ページから2ページにかかっていると ころですが、「今後の船員保険制度の見直しの方向性について、船員保険制度の関係当 事者の共通認識を取りまとめたものであり」というふうに断定しているのですが、この 中に後ほどの記述の方で、例えば被保険者側からこういう意見があったとか、はっきり 言って完全に整理された状態になっていないにもかかわらず、共通認識という表現はい かがなものかなと。「共通認識と問題提起があった」というのが正確ではないかなと考 えます。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。そのほかには、今のこの「検討の経緯」のところについて 御意見はございますでしょうか。はい、松井委員、どうぞ。 ○松井委員  山口委員が最後におっしゃったところは私も共通の認識を持ちます。なぜならば、最 後の行の「船員保険制度の関係当事者」というときに、私は含まれるのか含まれないの かということを、ちょっと懸念をいたします。私としては、さらに途中のところの船員 の被保険者数の減少の数値も含めて、船舶所有者と海員組合の皆さんで決められたもの と理解しておりまして、私は単に聞きおいただけで、それが正しいものであるかどうか という検証がなされた数値とも理解をしていないわけであります。そういたしますと、 私はいわゆる一般制度の方の代表の一人として出てきた立場ですが、ここの関係当事者 の中に私の立場が含まれていないのならまだいいのですが、そうでないとなると共通認 識とまで書かれると困るなと。山口委員とは違った意味合いで今のことを、私としては 懸念を表明しておきたいと思います。   ○岩村座長  ありがとうございました。そのほかにはいかがでございましょうか。どうぞ、堀委員。 ○堀委員  「財政面での課題」ということも含まれるということで、3ページにも若干及ぶとい う前提で意見なりお願いを述べたいと思います。  当初この1,700億円という数字自体は、「仮に」という表現を使いまして、労災保険 制度と同様に充足賦課方式に変更した場合に、1,700億円の積立不足が生じることにな るということでした。本委員会が当初シミュレーションをするために、ここの文の表現 にもありますが、極めて悲観的に予想した被保険者数、3万人から3万5千人という数 に基づいて算出した数字であります。そういった意味から、監督官庁である国土交通省 なり水産関係の産業政策上の見通しについては、何ら反映された数字ではありません。 それと先ほど山口委員もおっしゃいましたように、算出する際の条件設定によっては、 乖離幅が非常に大きくなるという問題点もこの数字は含んでおります。このようなこと から、この数字がひとり歩きして、すべてがこの数字に基づいて方向を一にして検討さ れるということになると、非常に難しいところにくると。そういったことを踏まえれば、 積立不足額そのもの、1,700億円、後で出てきますけれども償却の期間と、加えて将来 検討する中にこの不足額そのものの見通しといいますか、これについても引き続き精査 していくと。そういう形でお願いしたいと思います。 ○岩村座長  ただいまのは、そうしますと「検討の経緯」よりもその先のところの部分というふう になりましょうか。 ○堀委員  そうですね。2ページ目の「財政面での課題」の後半になると。 ○岩村座長  2ページ目のところの「財政面での課題」の後半の部分ということでございますね。 今の堀委員の御意見はその部分に関するものとしてお受けさせていただきまして、なお 「検討の経緯」のところはほかにございますでしょうか。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  ここの報告書の取りまとめの中に入れていただくかどうかは別といたしまして、2ペ ージの2行目からですが、「本報告書の内容に沿って船員保険制度の見直しを具体的に 進めることを求めるものである」と書いてあります。今日はあえて申し上げようかと思 っているのですが、一般制度に統合するというならば、一般制度側の関係労使一般制度 の受け手側の考え方も踏まえて本来見直すべきではないかと私は思いますが、そういう 点はここに盛り込むべきものと、この中では合意が得られるものなのでしょうか。とい うのは、船員の方の理屈ばかり言われていて、受け手の方はそれでいいのかということ についての議論が、今まで余りなされていなかったと思いますし、私はあえてそういう ことは今まで申し上げなかったわけですが、幾ら船員の方がそれでよくても、一般制度 の方がそれは見通しが甘いのではないかとか、そういう意見もあってしかるべきだと私 は思っております。その点については何らかの記述をするのか。あるいはこの関係当事 者というのは、一般制度の方は関係ないという整理をするのか。ちょっとそこら辺は議 論をしていただきたいと思います。 ○岩村座長  私の方で今気づいた点としては、今の松井委員の御意見に対しては、この報告書の最 後の8ページのところで、統合するとして、「統合の受け皿となる一般制度を運営する 立場からの検討も必要となる」というふうに書かれているところでございまして、関係 する審議会に対して検討を開始するということでございますから、当然この後の段階と して、関係する審議会で一般制度の労使その他関係者の御意見も伺って制度をつくって いくと、その議論をするということになるのであろうかというようには考えております。 ですので、今の松井委員の御意見に対してはそこに書かれているということで、この部 分はちょっと御了承いただければと思います。 ○松井委員  了解いたしました。 ○岩村座長  ほかにはいかがでしょうか。小坂委員、どうぞ。 ○小坂委員  2ページの上から3行目までの「検討の経緯」については、私は一切、手を加えずに これで結構だと思っております。 ○岩村座長  ほかにはいかがでございましょうか。三尾委員、どうぞ。 ○三尾委員  2つ目の○のところで、被保険者数のことについては事実関係を書いているというこ とですが、後半の方で財政的なことが書かれているとすれば、船員保険全体としての記 述というのがあってしかるべきではないかなと。職務上年金部門についてのみ特徴的に 書くというよりは、こういう報告書をつくるのであれば船員保険制度全体と、船員保険 制度には部門的には3つの部門があるので、そういった部門も含めた記述をする必要が あるのではないかなという意見です。   ○岩村座長  ありがとうございました。私としましては、最初のこの2番目の○のところでありま すが、財政状況の問題をどう書くかということについて御意見はありますけれども、恐 らく象徴的に問題があらわれているのはやはり職務上年金部門であるので、それを代表 させる形で記述させていただいたということでございまして、そこが赤字が続くなどと いうような表現で、職務上年金部門だけに着目して議論をするという趣旨ではないので、 そこは御了解いただければと思っています。  それから、特別会計につきましても、拘束されるかどうかはともかくとして、少なく とも外的な要因としては、この検討会でも考慮せざるを得ない事情であることは確かだ と思いますので、経緯としては書かざるを得ないだろうと思っております。  あと最後のところで、「関係当事者の共通認識を取りまとめた」というところについ て御議論がありまして、ちょっと文言はすぐに整理できるかわかりませんが、「関係者 の共通認識と議論を取りまとめた」とかいうようなことで整理できるかというふうにも 思っております。  またその扱いについては後ほどお諮りさせていただくとしまして、時間もございます ので次に、恐縮ですが入り口のところから少しずつ中に進んで、2ページの「制度の現 状等」という大きな項目のところ、3ページの(4)までのところでございますが、そ こについて御意見を伺いたいと思います。既に堀委員からは、3ページの1,700億円の 積立不足の点については御指摘をいただいたところですが、ほかに御意見をちょうだい できればと思います。山口委員、どうぞ。 ○山口委員  今財政的なことで、ほかの部門のことについても記述してはどうかということを指摘 しておりますが、被保険者数の推移そのものというのは事実関係ですから、これは事実 こうだろうなという理解をしています。ただ、ここでもちょっと偏った書き方、私の見 方が偏っているのかもしれませんが、例えば「被保険者数の推移」の一番上の○のとこ ろで、人数が減少している、保険料収入も減少し続けているということですが、財政的 な面からいうとここ2年間黒字の状態を維持しています。結果的に給付費が減ったとい うことで、小さい規模になりながらでもバランスが一応とれているということで、ここ でもあえて職務上年金部門については云々ということをまた繰り返し述べられています が、そこら辺はちょっと余りにも偏った書き方ではないかなという感想を持っています。  それから、2番目の○のところの、先ほど堀委員も指摘されましたが、あくまで船員 保険が単独の制度として将来にわたって持続が可能なのかどうか。それを検証するため に、最悪のケースといいますか、一定の数字を置かないと検討できないということもあ って、いわゆる船員の労働行政、産業政策の問題とは切り離した形でこの3万人という 数字を置いてみましょう、それから3万5千人という数字を置いてみましょうというこ とでシミュレーションをしたものであって、ここのこの書き方だと何か将来はもう3万 人、3万5千人まで減少するということについて、この検討会が共通認識をしたという ふうにとられてしまいかねないので、その点を表現はもう少し慎重にやっていただきた いなということを、意見です。 ○岩村座長  将来見通しの点については、先ほど船主側からも同じような御意見があったと思いま すが、この点については今、山口委員の御意見もありましたけれども、ただここでの表 現というのは「最も厳しいケースとして」という限定をつけた上でのことでありまして、 先ほどお話があった、例えばこの後の景気の動向であるとか、あるいは国の行政の在り 方によってどうなるかということについては、ある意味含みを持たせた表現であると私 は思っていました。あくまでもここでは「最も厳しいケースとして」ということで、書 かれているのはそういうことだろうなと思っているところでありますが、やはりそれで は不十分であるという御意見でございましょうか。三尾委員、どうぞ。 ○三尾委員  今、座長の方から、そういう趣旨で理解していただきたいということなのでしょうけ れども、これは船主さんの方と私どもの方と話をして、本当にこの保険制度が独自でや っていけるのかどうかの見きわめをするためには、相当厳しいケースも考慮してシミュ レーションをしてみる必要があるなということでございまして、こういう見込みを示し たというようなことになると、ちょっと誤解を招くと私も思います。したがって、そこ は慎重な書き方が必要なのではないかなと。  (2)の2番目の○で、そこは「機械的な財政推計を行ったところ」というふうに書 いてありますので、そういう趣旨で3万人だとか3万5千人という、極めて双方にとっ て厳しい想定をお互いにやってみようということを確認した記憶がありますので、申し 述べておきたいと思います。 ○岩村座長  小坂委員、どうぞ。 ○小坂委員  ここも今、三尾委員の方から御指摘がありましたが、だけど冷静に考えて両方あわせ て読むと、今座長の方からお話があったようにすんなりと読める話だと私は思います。 そういうことで、この「制度の現状等」の部分についても、このままで私は結構だと思 います。 ○岩村座長  ほかはいかがでございましょうか。堀委員、どうぞ。 ○堀委員  先ほど私もちょっと1,700億円ということについて、内航総連としてお願いしたので すが。といいますのが、後で出てきますからここでは簡単に言いますけれども、3万人、 3万5千人という数字の中身を考えるときに、外航はほとんど対象者はいなくなりまし た。それであとは内航と旅客、要するに沿海を走る船社、内航総連でいえば4,000数社 ありますが、そこに1,700億円というものが将来的にはほとんどかかってくるという見 通しですから、この1,700億円についてもっと数字自体を考えるべきではないかと、先 ほどこちらで指摘したわけでございます。  小坂さんの言い方をすれば、確かにこういう論議もしてきましたから、1,700億円と いうのはこの表現で構わないのですが、その辺をお含みおきいただいて、今後引き続き この数字についてもこれがもう決まりなんだ、方向性はこの数字を一本にしていくんだ、 そういうことがなければ私は構わないと思っていますが、議事録の中にきっちりとめて いただきたいなという気はいたします。 ○岩村座長  小坂委員、どうぞ。 ○小坂委員  この1,700億円については、現在の平成17年度末の推計ではこういうふうになるとい う事実であって、これの処理もしくは金額の確定というのは別の問題だと思います。そ ういう意味では、大きな3以降というか4以降というか、その中でどういうふうに書き 込むかということで私はよろしいのではないかなと思います。 ○岩村座長  ほかにはございますでしょうか。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  私も小坂委員がおっしゃるとおりだと思います。ここは、ある一定の前提に基づいて 計算するとこういうふうになるという数値を述べているだけでありまして、それをどう いった形で償却していくのかというのはまた別の議論でありますから、ここが大きい、 少ないという議論は、ほとんど意味がない議論ではないかと思います。   ○岩村座長  それでは、もう少しほかもあるので、今のところまでの議論でまず第一に、2ページ の「被保険者数の推移」のところの1番目の○の財政状況の書き方のところで、「保険 料収入も依然として減少し続けており」というのがございますが、ちょっと御指摘もあ ったのでそこに例えば「給付額も減少していて、最近はやや安定しているところもある が」というような、そういう一節を入れた上で、その後「特に」というふうにつなげさ せていただくということでもいかがかと思います。  それから、2番目の○のところですが、最も厳しいケースでということで御了解いた だければいいと思うのですが、「見込み」という表現について懸念も示されているとこ ろですので、例えば下から2行目のところで、「将来見通しを試算するに当たって」と いうことで点を入れて、「最も厳しいケースとして」というところはそのままにし、最 後の行で「3万5千人まで減少するという想定が示されたところである」というような、 「見込み」ではなくて「想定」という、計算に当たっての想定をするという表現にする ことではいかがかと思います。  3ページ目に参りまして、最後に話が出ました積立不足の部分ですね。一番上の○の ところでですが、これについては平成17年度末での見込みを記載しているということで ありまして、その後のことについてはまたその後、そのときそのときでの計算というこ とになると思いますので、ここはこのままということにさせていただければと思います。  あと3ページ目で(3)「特別会計改革との関係」、(4)「社会保険庁改革との関 係」がございますが、何かそこは御議論がございますでしょうか。御意見はございます でしょうか。江口委員、どうぞ。 ○江口委員  私はこのままで結構かと思います。 ○岩村座長  ほかに。三尾委員、どうぞ。 ○三尾委員  先ほど山口委員からも意見がありましたが、私どもからすれば、本検討会がこの船員 保険制度の在り方について検討していく本体であると考えております。そういったとこ ろからすると、この(3)と(4)については、何か先に結論ありきというふうにとら れがちなように思いますので、前回も申し上げましたが、もう少しその辺の表現を入れ ておくべきではないかなと考えます。 ○岩村座長  ありがとうございます。被保険者側の御意見もわからないではないですが、ただある 意味結論を先取りするかということよりも、外的な動きのことであって、これも考慮し ながら先ほど申し上げたように検討せざるを得ない、そういう状況であることは確かで すので、恐縮ですがここはこのままにさせていただければと思います。  もしまた御意見があれば後で戻っていただくとしまして、一番かなめであります3ペ ージの一番下で、「今後の船員保険制度の在り方について」というところについて、御 意見をちょうだいしたいと思います。大分中身がありますので、最初に(1)の基本的 な方向について御意見をちょうだいしたいと思います。龍井委員、どうぞ。 ○龍井委員  皆さんの議論を伺う前に質問を、大きく2点です。1点目は、この文章が何を意味し ているかということで、4ページの一番下の○、これが今回新しく提起をされていると ころだと思いますが、ここで一つはこの○の2行目、3行目、つまり2行目にあります 「相当する部分」、その次にあります「その他の部分」、これがどういう範囲かという 素朴な質問です。後ほど出てくる独自給付の部分を、ここでどういうふうに読み込んだ らいいのだろうかということです。  2点目は下から3行目、今の「その他の部分」については国以外の公法人で実施する ことを基本とする。ここで「その実現可能性」という言葉が出てきます。ということは、 基本とするのだけれども、このまま読めば実現できるかどうかがわかりませんという表 記になっているのですが、これをそういうふうに読んでいいのかということです。  まずその2点です。 ○岩村座長  これはむしろ事務局にお答えいただいた方が適切かと思いますので、よろしくお願い いたします。 ○武田医療保険課長  医療保険課長でございます。私どもとしては、この報告書案でこういう表記をされて いる部分につきまして、労働者災害補償保険制度及び雇用保険制度に相当する部分とい いますのは、現在の各制度で給付制度が書かれておりますので、それと重なる部分とい いますか、同じ部分につきましては一般制度への統合を検討してはどうかと、こういう 趣旨というふうに理解をしております。したがいまして、「船員保険制度のその他の部 分」と書きましたものは、現在の船員保険法で規定をされております給付の範囲がござ いますが、一般制度たる労災、雇用で給付する部分は一般制度に統合し、その労災保険 制度、雇用保険制度としての給付と考えられないこともないものであっても、一般制度 でカバーされない部分につきましては、船員保険制度のその他の部分と考えて、別途給 付のスキームを考えるということで理解をしております。  それから、「公法人で実施することを基本とし、その実現可能性について」というふ うになっておりまして、実現しないこともあるのかという端的な御質問かと思いますが、 国以外の公法人といいますのは、現在政管につきまして社会保険庁改革の中で議論が進 んでございます。来年の通常国会に関連法案を提出することを前提として作業しており ますので、こういう社会保障制度を担う公法人といいますのが、これから議論されると いうことを前提といたしまして、余り今の段階で断定的に書くことができるかどうかと いうようなことがございましたので、一歩引いた表現になっているということで御理解 いただければと思います。「実現可能性」と書いたことで、可能かどうかわからんとい うような趣旨で書いていることではございませんで、現時点で社会保障制度を担う公法 人というのが、まだ法案が出されていない時点で、どこまで書くのが適当かという趣旨 でこういう表記になっているというふうに、むしろ御理解いただいた方がいいのではな いかと思います。 ○岩村座長  龍井委員。 ○龍井委員  ちょっとそこの点は、後で当事者の皆さんが御意見あると思います。私はもう1点別 の視点で、下から2つ目の○のところです。これも端的にお聞きしたいのですが、この 基本的枠組みで議論していたA、B、Cという分類でいうと、今回の最終案というのは 何というふうに理解すればよろしいでしょうか。 ○岩村座長  ちょっと今すぐに資料が頭に浮かばないのですが。 ○龍井委員  つまり、下から2つ目の○というのは、前回もお示しをされている中身ですよね。こ こでは一般制度との統合を基本とするということで、いわゆるCに見えるわけですよ。 A、Bと検討をしてきた経緯からCになったのかなと。ただここは前回なかった表記だ と思いますが、実際に今御説明があったように、職務外、つまり政管に関連するところ については、独自なものとして継続しますよということですよね。そうすると、一般制 度統合が基本というふうに言ってしまっていいのか。とても下世話な言い方ですが、ジ ャーナリストが見出しを書く場合に、今回は一般制度統合だと書くと思いますが、私は この今の説明を伺う限り、むしろ強いていえばB、でも純粋BでもないですからBのB ′ぐらいかなというふうに、私個人は印象を受けているのですが、もしもその認識に間 違いがなければこの下から2つ目の○については、前回と同じ一般制度統合を基本とす るということよりも、もう少し正確な表現に直していただくべきではないかと。これは 私の個人的な意見なので、皆さんがどう感じるかわかりませんが、そこは中身と平仄を 合わせていただきたいという、これは意見です。 ○岩村座長  藤澤委員、恐縮ですが事務局の方で今ちょっとお答えがあるようですので。 ○事務局  済みません。事務局でございます。先ほどのB、Cの件ですが、第5回の資料で提示 させていただいたものですが、今Bに近いのではないかという御指摘でしたけれども、 ケースBとして当時出しておりましたものは、健康保険とそれから職務上及び失業部門 がセットになった船員保険と、2つになるというものでして、一方、ケースCというの がそれに対して各部門がそれぞれ独立するという形になっております。ですので、今の ここの報告書案の書きぶりからいたしますと、むしろ労災、雇用それぞれに分かれてい くということでありますので、BというよりはむしろCの形に近いのではないかと思い ます。ただ、ケースCの方では、独自の給付については一般制度上に特例が必要という ようなコメントがついておりましたが、そういう意味では今回4ページの一番下の○に ありますように、その他の部分ということで、Cとも少し違うというような形になって いるのだと私は理解をしています。 ○岩村座長  はい、龍井委員。 ○龍井委員  BかCかという議論はあくまで議論のための議論で、問題は一般制度統合が基本とい うことで今回の見直しがくくれるかということがかなめですので、その点のコメントを。 ○岩村座長  それでは、龍井委員の意見もございましたので、そこはちょっと私も今考えさせてい ただくとしまして、藤澤委員が先ほどから御意見がおありのようですので、そちらをま ず先にさせていただきたいと思います。 ○藤澤委員  ちょっと関連するのですが、4ページの3番目の○ですね。ここがやはりこれから判 断するについて非常に大きなところだろうと思います。それで1点確認と、その実現可 能性という説明がございましたが、それに関連しまして御質問したいと思います。  まず第1点は、ここに書かれている内容は、職務上疾病・年金部門については労災保 険、失業部門については一般の雇用保険、これを基本としていろいろ整理をしていくと。 それで、これは国以外の公法人で実施することを基本とすると。そのあたり私の考え方 に間違いないのかということと、その次の「その実現可能性」というのは先ほど公法人 についての御説明がございましたが、文章表現からいきますと、今言った部分も含めて、 残された職務外疾病部門は現在の船員保険のいろいろな延長にあるというふうに理解で きるわけですが、これらをいろいろつかさどるのが国以外の公法人だと、こういうふう に理解するとするならば、これも含めて実現可能性という表現につながらないかという 危惧を持っているわけです。こういう最終的な判断をするについては、根幹にかかわる ところを、実現可能性があればそういう方向に持っていくと、そういう表現につながる としたら大いに異議のあるところでございますので、この表現については明確にしてい ただきたいなと思います。  以上です。 ○岩村座長  小坂委員、どうぞ。 ○小坂委員  私もこの下から3行目の実現の可能性について、先ほど課長からも御説明がありまし たが、極めて不満であります。ここについては、例えば「その実現に向けて」とはっき り書くべきであって、少なくとも可能性は我々委員は目指してはいない。目指している 人がいらっしゃるかもしれないけれども、基本的にはこれに向けてだというふうに私は 思います。可能性は要らない。 ○岩村座長  微妙なところだと思いますが、医療保険課長、どうぞ。 ○武田医療保険課長  この実現可能性という表記でございますが、さっき若干申し上げましたけれども、事 務局といたしましても、「その実現可能性について」という表記が是が非でも必要なも のかどうかということにつきましては、皆様の合意が得られるのであればここの表記を 外すことも可能だと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○岩村座長  はい、国土交通省。 ○後藤船員労働環境課長  事務局に1点質問兼確認をさせていただきたいのですが、ここで今話題になっており ます公法人というのは、いわゆる一般制度の公法人と性格は同じということでよろしい のでしょうか。具体的に申し上げますと、料金の徴収は国の方でやる。ただ、その運営 というのは公法人に任されておるのであって、企業経営的な視点を含めて責任を持って 赤字にならないようにやっていく。そういった公法人ということでよろしゅうございま すでしょうか。 ○岩村座長  医療保険課長、お願いします。 ○武田医療保険課長  恐れ入ります。現時点でどこまで確定的にお答えできるかという問題がございますが、 私どもといたしましては、現在政府管掌健康保険において公法人の議論が進んでおりま す。健康保険組合のような任意の団体とは異なる社会保障事業を公法人で行う場合につ きまして、やはり適用・徴収は国が責任を持って行うべきだろう。それから、任意に設 立したり、任意に解散ができないような法人とすべきであろう。それから、安易に財政 赤字が生じないような仕組みを講ずるべきであろう。このような議論が政府管掌健康保 険においては行われております。  船員保険制度につきましても、任意の形態での事業という整理にはならないと思いま すので、同様の仕組みが講じられるべきだろうと現時点では考えておりますが、先ほど 申し上げましたように、現時点で確定的なことがなかなか申し上げにくい状況にあるこ とは、御理解をいただきたいと思います。基本的な考え方としては、そういうふうに考 えていくべきだろうと思っております。 ○岩村座長  はい、三尾委員、どうぞ。 ○三尾委員  もう一つ答えていただきたいと思います。国以外の公法人の概要は今わかりましたが、 一方政府管掌健康保険も国以外の公法人がやるということで、都道府県単位というふう に認識しているのですが、ここで言われている船員保険制度のその他の部分について国 以外の公法人というのは、同じ法人なのですか。それとも別な法人になるのでしょうか。 ○岩村座長  保険課長、お願いします。 ○今別府保険課長  もちろん今の時点でこうだというところまで行っておりませんが、一つありますのは、 運営の単位は船員保険は全国でやるんだろうというところは、この県単位の運営を前提 としている政管の公法人とは違うと思います。ただ、そういう組織があるのであれば、 そこでその2つの事業を実施するという考え方は当然あり得る話だろうと思います。い ずれにしても、検討していった過程で決まっていく話だろうと思います。  それから、先ほどの龍井委員の問題提起についてちょっと補足をしますと、この4ペ ージの下の2つの○の関係でちょっと論旨が飛んでいるような感じが私も最初しまし て、そこは一般制度への統合を基本とすると言いながら、もう一つその下に、船員労働 の特殊性にかんがみて不可欠と考えられる給付は引き続きやると。下から2つ目の○は 実は2つの前提を置いております。その回答として一番下に船員保険制度のその他の部 分、すなわち健康保険の部分と3つの分野のそれぞれの付加給付といいますか、独自の 給付、これを残すと。こういう論理構成になっていますので、実は3つ一般制度に統合 することと、それから独自の給付を残すということを両立するために、今既に独自の付 加給付という制度のある健康保険をベースに考えることが一つできるのだろうというの があって、結論的には労災と雇用保険を移した残り、すなわち健康保険と3つに対する 独自の給付が残るという形を、この一番下の○では提案されているのではないかと、私 はそのように考えております。 ○岩村座長  そのほかいかがでしょうか。山口委員、どうぞ。 ○山口委員  論議をしているとそれなりに理解が深まると思うのですが、ここのくだりのところで、 はっきりとした形が現時点では言えないということもあろうかと思うんですけれども、 今ある職務外疾病、いわゆる健康保険部門ですね、それから職務上の疾病・年金、労災 に相当する部分、それから失業保険に相当する部分ということで雇用保険が対峙されて いますが、事前に事務局から基本的な方向について図示を、イメージ的に絵をかいても らって、それをもとに説明を実は受けているのですが、その説明を受けたときの理解と この文章になった状態での理解と、どうも相当違うように見えて仕方がないんですよ。  それで、先ほど来言っているように、統合という表現をしていますが、具体的には職 務上疾病・年金部門、失業部門は労災と雇用保険に相当する形に再編される。残った職 務外疾病部門、つまり健康保険に該当する部分については、再編されずに残った状態で 国以外の公法人が運営する。そういう理解でいいのですか。 ○岩村座長  それでよろしいのではないかと思っていますが。どうぞ。 ○山口委員  ここのパラグラフの1つ目の○のクロポツの真ん中のところです。雇用保険のところ ですが、この書きぶりがちょっといまいち、先ほど説明を受けましたけれども、陸上勤 務に移った場合に通算がされないということで、制度が違うからだというような書きぶ りですが、これまでの船員保険制度の勉強会、検討会の中での論議はこういう論議では なかったと思います。要するに、財政調整上複雑なので海陸の通算ができないんだとい うことの説明を私は聞いています。これは海員組合が20数年前から、海陸のこの雇用保 険の部分について一本化してくれということを毎年お願いしておりますが、財政調整上 の複雑な問題であるとかそういったことで、実現がされていない問題だというとらえ方 をしていますので、制度が分立しているというのはちょっと適切ではないと思っていま す。  以上です。 ○岩村座長  いろいろ御意見をちょうだいしましたが、まず初めにこの4ページの下から3行目の、 ちょっと話題になりました「その実現可能性について」というところについては、先ほ ど事務局の方からは特にこだわらないという御回答もございましたので、そこは私も先 ほどから気になって読んでいるのですが、きょう事務局の方でお答えになった範囲では、 ここの部分を削っても今後の議論にとってそれほど支障は生じないかなと思いますの で、ここは削るということでよろしゅうございましょうか。  それから、下から2つ目の○と最後の○の間でややトーンが違うのではないかという のは、龍井委員の御指摘にもありまして、ですのでそこのところは例えばこのような形 にするというのも一案かと思います。「以上のような状況を踏まえれば」というところ で、その後少し文言を挿入しまして、「財政の長期安定性の確保や制度が分立している ことの不都合の解消という観点から、」という一言を挿入した上で、その後、「船員保 険制度の各部門(職務外疾病部門、職務上疾病・年金部門及び失業部門)」があって、 「を」を取りまして、そこにまた次の一節を挿入する。「のうち統合効果のあるものに ついて、」とし、それで「一般制度に統合することを基本とした」というふうにつなげ まして、最後の行で「引き続き給付できる」の後、「よう船員独自の」というふうに入 れる。そうしますと全体をザッと読みますと、「以上のような状況を踏まえれば、財政 の長期安定性の確保や制度が分立していることの不都合の解消という観点から、船員保 険制度の各部門のうち統合効果のあるものについて、一般制度に統合することを基本と した上で云々」、ちょっと括弧を飛ばして読んでいますが、ずっといって、「なお不可 欠と考えられる給付については、引き続き給付できるよう船員独自の仕組みを構築する ことが必要である」というような形でそこの部分を修正するということではいかがかと 思います。  それから、先ほど山口委員から雇用保険のところについて御指摘がございましたが、 確かに被保険者側、組合側の認識もわからないではないですが、やはり財政調整の問題 というのも、結局のところ制度の分立に起因するものということでは同じだという気が いたしますので、この表現で御勘弁いただければと思います。  それから、恐縮ですがまた御意見があれば後で戻っていただくとしまして、5ページ ……。はい、どうぞ、小坂委員。 ○小坂委員  可能性のところではなくて、それの後、「これに関しては、被保険者側から」という くだりがずっとありますが、被保険者側が一般制度への統合は選択肢の一つであるとい うのであるならば、少なくとも船舶所有者の議論を前へ持ってきて、「船舶所有者側か ら、統合後も強制加入を担保できるような仕組みが必要である」というのが先にあって、 点を切って、「被保険者側から、一般制度への統合は選択肢の一つであり」ということ になっていくのではないかと思いますが、僕はちょっとここの並びが悪いような気がし ます。 ○岩村座長  はい。御指摘はわかりますが、ややそれぞれのニュアンスが違っておりまして、被保 険者側は一つの選択肢であるという考え方であり、他方で船舶所有者側は統合というこ とであったとしても強制加入であるということで、意見の並び方としてはおっしゃるこ ともあるのですが、被保険者側の消極的な意見というのが先にあって、その上で船舶所 有者側からの強制加入を担保すべきだという御意見という順序で置かせていただく方 が、落ちつきやすいかなという配慮もございますので、その辺は御勘弁をいただければ と思います。  恐縮ですが次に行きまして、5ページに参りますと、(2)の「一般制度との統合に 当たっての留意事項」ということで、「積立不足額の取り扱い」以下ア、イ、ウ、エと ございますが、これについて御意見をいただきたいと思います。それでは坂本委員、ど うぞ。 ○坂本委員(谷口委員代理)  「一般制度との統合に当たっての留意事項」という形の中で、保険料負担という記載 が何カ所かございます。まず5ページ目の「積立不足額の取り扱い」については、○で 大きく2カ所に記載をされております。また、イの「船員労働の特殊性を踏まえた給付 の取り扱い」についても、下から2つ目の○で○を起こして記載をされております。そ れで、そういう○3つを受けて、最後の7ページのエの「事務の効率性等」の中に、ま とめた形の扱いがあるのかなと思います。ですから、前の段階でア、イという大きな項 目の中で記載されている内容を、エという中の事務の効率性、それも「等」という形の 中で、「また」という表現で記載をされているのはいかがなものかと思います。逆に、 ここについてはオという項目を起こして、「統合後の保険料率」と見出しを変えて表現 をすべきではないかなと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。ほかにはいかがでございましょうか。江口委員、どうぞ。 ○江口委員  私も同じ意見で、7ページのときにお話ししようかなと思ったのですが、まさに我々 はこの統合の方向で検討するについても、全体的な保険料率が現行と変わらないでとい うのが主張の原点でありまして、これは「事務の効率性等」というようなところで述べ るべき問題ではないと思いますので、別書きしていただきたいと考えています。 ○岩村座長  そのほか、はい、国土交通省、お願いします。 ○後藤船員労働環境課長  要望と、事務局に御確認をさせていただきたいのですが、この料率のところはやはり 深く関係するのが中小企業の集まりでございます内航業者、あるいは旅客船業者でござ います。料率が高くならないようにというのは、中小企業から見たら真摯なお願いでご ざいますので、今後とも徴収の方法や水準については、ぜひそういった視点に立って検 討をお願いしたいと思います。  それからもう1点、事務局に御確認は、ちょっと実務的なことで大変恐縮ですがよろ しゅうございますでしょうか。今回の統合によりますと、従前船員保険の中のいわゆる 労災と言われていた部分が、陸と同等の部分は陸の労災の方に行く。それから、上乗せ されている部分は公法人の方に行くということで、また裂きになってしまうわけでござ います。そうすると、例えば陸上の場合ですとある事象に対して給料の6割を払う。そ れから、船員の場合ですと給料の全額を払うという場合、6割分は陸の労災から受け取 ってください。4割分は公法人から受け取ってください。あるいは船舶所有者との関係 でも、料率もある部分はこっちに納めてください。ある部分はこっちに納めてください。 そういうことになると、利用者あるいは船舶所有者から見た場合の事務コストが膨れ上 がる危険性があるわけでございます。ですから、私どもとしてはどちらかに窓口を統一 していただくとか、そういったことをやっていただけないかなと思っておりましたとこ ろ、この7ページのエのところで、「利便性の確保等に配慮しつつ」という言葉を入れ ていただいておりますので、多分窓口をどちらかにして一本化していただけるのではな いのかなと思っておりますが、一方で窓口を一本化すると、今度は2つの法人と労災と の間の事務コストがふえる可能性があるわけでございますので、そういった場合は利用 者利便の立場を優先していただけないかなと思っております。その辺の運用についても し現時点でわかっていることがあれば、事務局の方から教えていただければと思います。 ○岩村座長  それでは恐縮ですが、現時点での範囲でということでございますので、お答えいただ ければと思います。医療保険課長、お願いします。 ○武田医療保険課長  今、後藤課長からお話をいただいた点は、両側の委員の方々からもいただいている御 意見でございまして、その点はここの御指摘のように利便に配慮するということで、私 どもとして今後1年間の検討課題の非常に大きなものとして、なるべくその方向で検討 させていただきたいと思います。関係するところが多方面にわたりますので、関係部局 とも調整の上進めていきたいと思います。  なお現在、船員保険の話と離れますが、社会保険と労働保険の事務の一本化、窓口の 一本化につきましても、少しずつ事務の統合、一本化を進めている状況でございますの で、なるべく利用者の方々の事務負担の軽減を図れるようなことは検討してまいりたい と思います。それに当たりましては、御指摘の点が2つありましたが、徴収その他のコ スト全般、それからその実務の事務負担につきまして、これが全体的に船員保険関係の 方々の軽減になるようなということにつきましては、私ども厚生労働省の中のみならず、 国土交通省の方にもぜひ御協力をいただきたいと思いますので、その点も含めてよろし くお願いいたしたいと思います。 ○岩村座長  はい、国土交通省。 ○後藤船員労働環境課長  前向きに検討していただけるということで、大変ありがたいと思います。私どももい ろいろな窓口を国土交通省で持っておりまして、検査窓口とか登録とかございますが、 やはり民間からはワンストップサービス化してくれという希望が、いろいろな業務につ いて多ございますので、ぜひ利用者利便というのを第一に考えていただければと思いま す。ありがとうございます。 ○岩村座長  多分今のところについては8ページの2番目の○のところでも、この後さらに関係者 で討議の場を設けて具体的な在り方を検討するということでございますので、そこの場 が今後の検討の場になるのだろうというようには理解はしているところでございます。  ほかにはいかがでしょうか。それではお三方が挙がりましたので、恐縮ですが小坂委 員から、済みません。 ○小坂委員  関連しておりますが、今の「事務の効率性等」のところで私ども使用者側、江口委員 と坂本委員からこう分けて料率の部分をという話があって、気持ちとしてはまるきり同 感ですが、余りにもぶつぶつと切ってしまうとおかしいような気もするので、私はでき れば「事務の効率性と今後の保険料率」か、もしくは「今後」は要らないけれども「保 険料率等」というようなタイトルにしっかりしていただければ、十分意味が通じるので はないかと思います。 ○岩村座長  建設的な御意見をありがとうございます。それでは堀委員、どうぞ。 ○堀委員  先ほど国土交通省さんの方から、将来の見通しの中で内航の中小零細企業の御理解を いただいて、まことにありがとうございます。まさに内航の4団体というのはそういう 状況にありまして、保険料率の増加は死活問題であるということで、これは先ほど来船 主側が当初からの申し入れだという表現でしていますが、我々内航総連の方の実情から いいますと、やはり大きな分母数のところに行くのであれば保険料率は下がるのであろ うという、その程度の認識しかありません。したがいまして、ここにきて積立不足の1,700 億円だのどうのこうのということは、海員の認識を得るのは非常に難しいところがあり ます。しかしやはり、何らかの形で船員保険という統合に向けての部分はやむなしとい う総意もありますので、そういった意味から小さな変更点ですが、アの○の3番目、「急 激に過大なものとしないため」というのは私たちのソフトランディングということであ りがたいと思っています。その後段で、「積立不足額の償却の期間」というふうに、不 足額の償却に焦点が当てられていますが、先ほど1,700億円のところであくまでも平成 17年度の瞬間風速の数字なんだという御説明、私もそれは十分理解しています。しかし、 この数字というのがやはり中小零細については、将来の3万人、3万5千人というのは ほぼ内航の業者ですから、非常に重くかかってくると。  そういった意味から、小さなところですが、「積立不足額」で「、」をしていただい て、「その償却の期間」というふうに、要するに不足額の償却の期間についてだけでは なくて、今後の積立不足額を計算するに当たってはいろいろ変わってくるでしょうから、 不足額で「、」をしてをいただけないかと、そういうお願いです。  以上です。 ○岩村座長  先に松井委員の御意見を伺ってからにしたいと思います。 ○松井委員  7ページの「事務の効率性等」の最後の「また」以下のところは、5ページのアの「積 立不足の取り扱い」の3つ目の○のところにも保険料負担のことが書いてありますが、 もう一つありますことは、イの特に給付の取り扱いとの表裏の関係もあると思います。 もちろん福祉事業が全然関係ないというつもりはありませんが。したがいまして、例え ば5ページのイの1つ目の○で、船員保険独自の取り扱いについて見直しを検討する必 要があるとしても、どうしても合計の保険料を引き上げたくないというならば、その給 付と負担を両方とも見た形で本来やるというのが筋であり、船員の関係労使には大変申 しわけないですが、両方見た上で給付も決めていくというスタンスが必要なのではない でしょうか。給付は大体従前どおり維持し、他方、保険料は引き上げないんだと。可能 な限りということですから、若干ののり代はあるのかもしれませんが、もう少しこの点 は給付を考えるに当たっても、保険料を上げないで済むような考え方に基づいてやると いうのが、私は筋ではないかと思うのですが、皆さんいかがでしょうか。 ○小坂委員  違う。 ○松井委員  違いますか。 ○岩村座長  即刻反応がありましたが、それでは、とりあえず今までのところでの部分ですが、一 つは特に5ページのアの3つ目の○で、積立不足の償却の問題が出ていましたが、労災 管理課の方で先ほどの御意見で「、」を入れるという点について、何か御見解があれば と思います。 ○中沖労災管理課長  基本的に1,700億円というのは確かに瞬間風速でございますが、ただ、これは現時点 で年金受給が決まっている方について、既にある積立不足の額でございますので、した がって今後まだ移行の期間がありますので、その中でさらに償却していただくというこ とでそれが減るということはあり得ると思いますが、そういう前提での御検討というこ とでよろしいわけですか。 ○堀委員  はい。 ○岩村座長  ただ、若干気になるのは、積立不足額自体が検討の対象になるということではないと 思うんですよね。これは今労災管理課長が御説明になったように、既に過去の分として 計算すると出てきてしまうものでありますので、それについて議論するという話、検討 するという話になると、先ほどの松井委員の議論ではないですが、一般制度の方の議論 が多分もたないだろうという気がします。ですので、私としてはできれば原案のとおり、 「積立不足額の償却の期間」ということでつなげさせていただければと思いますが。堀 委員のお立場も大変よくわかるのですが、なかなか難しいところかなというようには思 います。小坂委員、どうぞ。 ○小坂委員  この積立不足のことがないという前提であるなら、松井委員のお話は十分理解できる わけです。これは何度も我々が議論してきたとおり、現行の制度の中ではこういうこと は考えられていないわけです。船員保険という今の制度の中では別の方式で将来部分も 見ていこう、いわゆるやっていこうという形になっておるわけです。これまでの試算の どれをとっても、一番保険料率の重きをなすところがこの1,700億円。これが1,000億 円ぐらいでおさまるのであれば、もしくはそういう議論はここには書いてございません が、25年などという長期の償却ができるのであるならば、その辺の負担が物すごく小さ くなる可能性があることは、これまでのシミュレーションでも十分理解できるところで す。そういうところが我々が一番言いたいところであって、当然のことながらそろばん ですから、給付を置いておいてほか金は払えませんという話にならないのは当たり前だ けれども、一番のよるところというのがこの充足賦課方式と、現行の我々のやっている 船員保険制度の制度上の違いというか欠陥というかがそこにもろにきている。  ですから、この前もこの公の場ではないかもしれませんが、私は社会保険庁は保険者 としての責任から、100億円でも200億円でもちゃんと持参金を持ってきて、そこを低 くせよという主張を何度かしておるはずです。一番我々の言いたいところはそういうと ころで、それでなくても漁船も含めて原油の高騰等の中で毎月何社も倒産していく現実 の中で、これをソフトランディングさせないような姿であるならば、とても乗れないと いうことです。  先ほどから我々使用者側の委員からは、そういう形で何とかソフトランディングでき るような方策を、極端にというよりも今後1年かけた中でしっかり考えていただくにし ても、この基本的な部分で何らかの姿が出てこないと、やはり議論が先に進んでいかな いのではないかという心配をしているところです。  以上です。 ○岩村座長  ソフトランディングの面については、ここにも書いてありますように、「急激に過大 なものとしないため」ということで、償却の期間というのを検討すると。これは過去に 一般制度、労災保険制度に統合した例においても、やはり償却の期間を設定したという こともございますので、それを踏まえつつのソフトランディングのための表現であると いうふうに御理解いただければと思います。  それからもう一つ、7ページの「事務の効率性等」のところの議論で、保険料率の水 準のところがございまして、小坂委員の御意見もありましてそこも今考えていたのです が、こうさせていただいてはどうかと思います。「事務コストの削減に努めるべきであ る」というのが3行目で終わっておりますが、そこで改行しまして、「また」を取って、 もう一つ○を起こして、そして「今後の検討に当たっては、」というようにする整理で はいかがかと思いますが、よろしゅうございましょうか。  そのほか、この留意事項の部分につきまして御意見はございますでしょうか。山口委 員、どうぞ。 ○山口委員  この検討会でも実はほとんど深い論議がされていない福祉事業の扱いですが、この書 きぶりからいくと、福祉事業については真に必要な事業を精査して実施することが求め られているということで、結論から言うと必要ない部分は陸上の現行制度の廃止・民営 化、こういったことを踏まえて、真に必要と認められる施設以外については廃止をしな さいよというふうに書いてあると、そう読んでいます。  福祉部門については、ここで医療センターや洋上救急の問題は引き続き実施するとい うことになっていますが、これ以外の例えば雇用三事業にかかわる問題、SECOJと いう日本船員福利雇用促進センター、それから陸上の労災から出ている災害防止協会の 海上版の船員災害防止協会、そういったところで実は事業もやっていまして、そこら辺 については当然必要とされる部分に該当しているんだろうなという理解をしておりま す。  福祉施設の問題について、これまでこの検討会とは全く別のステージですが、船員保 険福祉施設問題懇談会という、社会保険庁の運営部長が座長で労使の関係者が福祉施設 の合理化について論議をして、それなりの結論を出して、平成17年度、つまり今年度の エンドまでの整理合理化計画については既に合意をして、粛々と実施に移されていると ころです。この施設問題について、最後のところの結論にありますが、保険制度全体の 問題と船員保険が抱えている福祉施設の問題について、関係者が論議をした上で今後の 扱いについて決めるということなのかなと。そこら辺ちょっと理解を深めるために返事 をお願いしたいのですが。 ○岩村座長  正確には場合によっては事務局の方でお答えいただくとしましても、福祉事業のうち の最初の部分は一般制度との整合性を図ってということになりますので、それとの整合 性で実施していくかどうかについて検討するということだと思いますから、例えば雇用 三事業との並び、あるいは労働福祉事業との並びで、今までやってきたもので実施可能 なものを取り上げて考えていくということになっていくのだと思います。  あと、福祉施設の検討の今後の在り方ということについては、これは事務局の方でお 話しいただいた方がいいと思いますので、医療保険課長、お願いいたします。 ○武田医療保険課長  ただいまお話に出ましたが、運営部長のもとでの船員保険に係る施設の扱いについて の懇談会というものがございました。これにつきましては、本日出されている報告書の 後の方で出てまいりますが、船員保険事業全般についての御意見をいただく場という形 に改組いたしまして、その場でトータルに議論していただいた方がよろしいのではない かと思っております。したがいまして、来年以降、船員保険に関する懇談会のようなも のに関係の方々に入っていただきまして、その福祉施設の問題も含めて御議論いただけ ればありがたいと思います。 ○岩村座長  よろしゅうございましょうか。どうぞ、三尾委員。 ○三尾委員  前回言ったことと関連しますが、5ページの(2)のアの2番目の○で、最後のくだ りのところが船主さんと私どもと全く対立しているような表現になっております。この ままではちょっと誤解を招くと思いますので、最後の方は、被保険者の保険料負担によ って積立金というのができてきた部分もあるのではないですかと。要するに、職務外の 部分だとか失業にかかわる部分だとかにはあるのではないですかという趣旨です。そう いったものがあるのであれば、今後一般制度に統合する、あるいは職務外の部分がどう なるかというのはある程度姿が今見えてきたところですが、そういったところの軽減に 使う方法も考えるべきではないかということが真意でございます。単純にこう積立金を 償却に充当すべきでないというふうになると、ちょっと誤解を招くのではないかなと思 います。 ○岩村座長  そこは修文した方がいいという御意見でございますか。 ○三尾委員  できればそういうふうにお願いしたい。 ○岩村座長  そうしますと、例えば積立金については積立不足の償却以外の使途も考えるべきであ ると。あるいは別途検討すべきであるとか。 ○三尾委員  どういうふうに言ったらいいのか、趣旨を入れていただければよろしいと思います。 いわゆる職務外の部門とか、逆に言うと職務上疾病・年金部門以外の、というふうに言 った方がよろしいのでしょうかね。 ○岩村座長  わかりました。それでは、今の御趣旨を含めて、職務上年金部門以外……。はい、ど うぞ。 ○小坂委員  今、三尾さんのおっしゃることも十分理解できるので、不満足かもしれないけれども、 積立不足の前に「すべてを」と入れればいいのだと思います。「すべてを積立不足の償 却に充当すべきでない」と。そうしたら一言で終わる。 ○三尾委員  それで皆さんの意味が通じるのならばよろしいですが。例えばもっとより具体的に言 えば、職務外のところは言ってみれば、船員保険の一部としてやっていくんだなという イメージを私は抱いていますので、そこで使ってもおかしくないのではないかなと。そ れと、失業保険については、料率を下げたっていいではないですかとそういうことです。 ○小坂委員  そういうことも含めて理解しております。 ○岩村座長  それでは、これではいかがですか。今の御意見を踏まえて、ここのところは「積立不 足の償却に限定すべきでない」と。被保険者側の意見としてはそういう御意見であると いうことで、よろしいでしょうか。 ○三尾委員  わかりました。 ○岩村座長  あと、時間も迫っておりますが、「船員保険特別会計の取り扱い」については何かご ざいますか。よろしければ7ページからの「制度改正に関する検討の進め方」で、例え ば今後の検討の場とかいうようなことについてでございますが、ここの点について何か 御意見がございますでしょうか。龍井委員、どうぞ。 ○龍井委員  今座長からもありました検討の場ですが、この後、社会保険庁自体も大きな改革の段 階に入っていくということを考えると、この検討の場が具体的に言うとどのポストの下 につくられるというふうに今想定されているかがわかれば教えてほしいのですが。 ○岩村座長  8ページの2番目の○で、船員保険事業に関する討議の場を設けるということですが、 どこの所管の下になるのでしょうかというのが御質問だと思います。まだ今わかってい る段階ではないとすると。よろしいですか。わかる限りで結構でございます。 ○武田医療保険課長  政管健保につきましては、政府管掌健康保険の運営に関する懇談会というものを、社 会保険庁運営部長のもとで開催しております。そういった前例も含めて今後考えさせて いただきたいと思います。ちなみに、この検討会は保険局長のもとの検討会ということ で整理をされております。 ○岩村座長  龍井委員、どうぞ。 ○龍井委員  やはりここに記載されていますように、これからむしろ制度改革、あるいはほかの制 度との調整というのが実務的にも、あるいは制度設計上も本番になってきますので、要 望としてはやはり厚生労働省、本省の方できちんとそこの責任を持って調整するなり、 あるいは取りまとめをするなり。当然これ以外にいろいろな公式、非公式の場をつくっ て調整はされると思いますが、せっかくつくられるのであればそうした責任が明確にな った形でぜひ進めていただきたいと、これは要望です。 ○岩村座長  では、そういう御要望があったということで承っておきたいと思います。そのほか、 ございますでしょうか。山口委員、どうぞ。 ○山口委員  財政的なところと事務の効率性とちょっと関連しているのかもしれませんが、現在の 船員保険制度は、医療保険のところに国庫補助でたしか30億円定額で入っていると思い ますが、再編後の医療保険のところには国庫補助というのは引き続きあるのでしょうか。 そこら辺の見通しがあればお聞かせ願いたいのですが。 ○岩村座長  ちょっと見通しがどうなっているかというのは難しい御返事かと思いますが、医療保 険課長、可能なところでお願いいたします。 ○武田医療保険課長  あくまで私どもの考えとしてはということになりますが、運営主体の変更ではあって も制度の枠組みが変わらないことを前提とすれば、国庫補助も引き続き現行の補助が引 き継がれるべきだと、私どもとしては思っておりますが、最終的には財政当局もありま すので、財政当局とそのような形で要望・交渉してまいりたいと思っております。 ○岩村座長  よろしゅうございましょうか。それでは、最後に全体を通して御意見があれば承りた いと思います。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  先ほどの山口委員の御意見につきましては、ほかの医療保険制度がどうなっているの かということと、国庫補助そのものについて本来どうあるべきかという議論が別途行わ れておりますので、恐らく一般制度に統合していく中では、そういう中での結論に私は ならざるを得ないのではないかと思います。ですから、そういう国庫補助が必要と判断 されるような保険集団なのかどうかというのがまずポイントにあって、幾ら社保庁の後 継組織がやるからといっても、ほかの保険者としてそれが納得性が高いのかどうかとい う議論があった上で決まっていくものと、私は理解しております。ですから、そういう 観点からいろいろな制度の見直しをしてほしいと思います。一般制度の立場からすれば、 今まであったのだからそのままだよということには、いろいろな面でならない可能性は あると思っていただければ幸いです。   ○岩村座長  松井委員の御意見ということでございますので、特にこれが報告書の内容になる話で はないということで御理解いただければと思います。 ○山口委員  誤解のないように言っておきますが、公平に扱ってくださいねということを私は言っ ているのです。それだけです。 ○岩村座長  ありがとうございました。そのほか。三尾委員、どうぞ。 ○三尾委員  全体的なことに入ってしまった後で言うのはなんですが、最後のまとめの8ページの 上から2番目の○のところで、今後被保険者、船舶所有者、厚生労働省、国土交通省の 関係者で検討する場を設ける。気にしているところは、今後1年程度の期間をかけて統 合の具体的な形について検討するということですが、私は今後1年程度というところが 若干ひっかかる。というのは、この検討会の中でも申し上げましたが、1年程度で結論 を出そうといったときに、スムーズにそういう検討が行われているのならば、結論が出 るのかもしれません。しかし、スムーズに行われなくても、1年程度やったらもう決着 をつけるんだというようなことのないように、お願いしたい。特に具体的に今後1年程 度というふうに文字に書かれますと、これは最終的にもう1年程度と決めたことだから、 というふうに言われるのは我々としては納得できないので、そこは余り硬直的に考えて やってほしくないなと思います。それと、やるのであればスムーズに回るようにやって いただきたいということも、要望として述べておきたいと思います。 ○岩村座長  御要望は、今の点については、事務局の方においても真剣に受けとめていただきたい と思います。ほかにいかがでございましょうか。それでは、藤澤委員が先でしたか。藤 澤委員の方でお願いします。 ○藤澤委員  座長案は、今の船員保険制度における職務外疾病部門と船員の独自給付の部分を、新 たな国以外の公法人の中でいろいろ運営を継続していくと、こういったものがベースに なっているというふうに私はとらえております。また、そういう観点からいきますと、 今後は公法人の在り方やこの運営上の問題がいろいろ出てくると思うわけでございま す。そういったことも本来であれば議論をして、こういったまとめの中に盛り込んでい ただければよかったかなと考えるわけでございますが、これらについては今後もいろい ろな意味で審議が継続されるということでございます。そういった意味で、我々全日本 海員組合の考え方も、かなりそういう現行制度を継承すべきだという根幹については理 解していただいて、まとめの中に盛り込んでいただけたかなというふうにとらえており ます。そういった意味で、今後とも我々船員の立場でいろいろまだまだ主張したい点、 整理をしたい点がございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。堀委員、どうぞ。 ○堀委員  全体を通してということで一言お願いをしておきます。これまでいろいろと意見なり 要望なり文言修正など申し述べてきましたが、この辺はやはり先般11月29日に、船主 協会を初め我々船主側4団体で要望いたしました3点に基づくものでございます。どう かこの要望書をもう一度御確認いただいて、格段の御配慮を賜りたいと思っております。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。きょう大分詰めて真剣に御議論いただきまして、私の感触 としては可能な限り報告書の中に皆様の御意見は取り入れさせていただいて、なおきょ うこの場で、幾つかの点についても修文することを御提案させていただいたところでご ざいます。ですので、もしお認めいただけるようでございましたら、きょうの議論をも とに、先ほど私が幾つか述べた修文を加えるという形で、この報告書を取りまとめさせ ていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。内容につきましては、私と 事務局に修文の部分については御一任をいただいて、それを最終的には労使のそれぞれ の当事者に改めて御確認いただくということにさせていただくのは当然としましても、 検討会の場での議論としては、きょうをもって取りまとめということで御了解いただけ ればと思いますが、いかがでございましょうか。江口委員、どうぞ。 ○江口委員  私ども船主側4団体は異存はございません。 ○岩村座長  ありがとうございます。被保険者側はいかがでございましょうか。 ○藤澤委員  先ほど私が申しましたようにまだ課題はあるわけでございますが、そういったものを 今後の審議にゆだねるということで、異存はございません。 ○岩村座長  ありがとうございます。それでは、報告書の扱いにつきましては、ただいま申し上げ ましたように、きょうの御意見を踏まえて修文をさせていただき、その内容については、 私と事務局の方に御一任させていただくということでお願いをしたいと思います。  それでは最後に、時間も差し迫っておりますが、今般の公的医療制度の改正との関係 で、船員保険についても改正が出てくるということでございますので、それにつきまし て事務局から資料が提出されております。恐れ入りますが、事務局の方で御説明をお願 いいたします。 ○事務局  保険局保険課の池上でございます。お手元にございます、「船員保険における医療制 度改正案一覧」という資料をごらんいただけますでしょうか。  医療保険制度全体の方に関しましてはかなり動きがございまして、今月の1日でござ いますが、医療制度改革大綱ということで、政府与党において次期医療制度改正につい ての枠組みが示されたところでございます。船員保険における医療制度改正につきまし ても、基本的には全体と歩調を合わせてということになろうかと思いますが、幾つか健 康保険法と相違点があるものもございますので、この場にて改正案について御説明させ ていただきたいと思います。資料が2枚ございますが、1枚目が一般制度と違う部分の ある点、2枚目の方は一般制度と同じ並びで改正してはどうかと考えている点でござい ます。  それでは資料の内容に入ります。健康保険法と相違点のあるものとしましては、現金 給付の関係ですが上の2つ、傷病手当金、出産手当金、これは同じような内容ですので まとめて御説明したいと思います。現在傷病手当金、出産手当金については、支給額が 標準報酬月額の60/100ということになっております。これは一般制度の方で、支給額 に賞与の支給分を反映させるという改正を考えておりまして、それと同じ形で職務外疾 病の傷病手当金、出産手当金については、標準報酬月額の2/3に給付改善をしてはど うかということを考えております。一方、職務上の手当につきましては、これは労災保 険法においても賞与を反映するといったことは行っておりませんので、改正しないとい うことで考えております。ただ、職務上につきましては、初めの4カ月は従来どおり100 %出るということであります。  それから、疾病任意継続被保険者制度がございます。ここについても今傷病手当金、 出産手当金が出ているわけでありますが、今回本体の方で傷病により労務に服すること ができなくなった者に対して、所得保障としてこういった手当が出ているという性格を 踏まえますと、そもそも労働によって所得を得ていない者について、さらにこういった 手当を支給する必要があるのかどうかといった議論がございまして、廃止するという結 論になっているところでございます。船員保険についても同様の取り扱いとしてはどう かと考えてございます。  それから、下の囲み2つ分、葬祭料、家族葬祭料でございます。こちらは被用者保険 全体について、定額5万円ということで大綱を取りまとめられてございますが、法律本 体の方は同様に制度改正をしたいと考えております。ただし、船員保険につきましては、 船上や海外での死亡等で、場合によっては移送などに費用を要するという特殊事情もご ざいますので、現在支給されている額と定額5万円の差額部分については、付加給付の 方で引き続き給付するという改正で考えてございます。  それから、右下の方に施行時期が書いてありますが、下の2つは平成18年10月に実 施するということで考えてございます。  2枚目の方は、時間の関係もありますので簡単に御説明したいと思いますが、これは 一般の方もこういった改正でいくという方針になっております。例えば一部負担割合の 関係ですが、70歳以上の現役並みの所得を有する方々につきましては、現役世代と同様 3割負担をお願いしたいということで考えてございます。それから、平成20年度になり ますと、今度は70〜74歳で、現在1割の自己負担となっておりますが、ここを2割負担 に引き上げるということで考えております。一方、乳幼児に関しましては、現在3歳ま で自己負担割合が通常3割のところが2割になっておりますが、その範囲を拡大いたし まして、小学校就学前までを2割負担にすると、負担を軽減するといった内容で考えて ございます。  療養病床に入院していらっしゃる高齢者の患者さんにつきましては、介護保険との均 衡を図るという観点から、食費・居住費の負担を見直すことということで考えてござい ます。  高額療養費制度につきましては、現在平均的な月額の25%を定額の限度額としており ますが、そこに先ほどと同じように賞与を反映させると。賞与を含めた総報酬ベースで の月収の25%という額にしたいと考えております。それから、人工透析の方につきまし ては、昭和59年の創設以来1万円ということで月額の負担をお願いしてまいりました が、所得に応じて負担をしていただくということで、その引き上げを考えてございます。  出産育児一時金につきましては、現在30万円定額で支給されていますが、分娩料の動 向等も踏まえまして、定額35万円に引き上げるということで考えてございます。実施時 期ですが、平成18年10月実施で考えております。  標準報酬月額の上下限のところですが、これは社会の二極化といった全体の傾向も踏 まえまして、上限下限ともに4等級追加するということを考えてございます。  賞与につきましては、現在1月当たり200万円を上限としておりますが、それを出し 方によって不公平が生じないよう1年間通算してみると。その場合は、1年間に540万 円を上限とするというふうに見直しをしたいと思っております。  それから後期高齢者、これは75歳以上の方を指しますが、75歳以上の方が加入する 地域保険の創設を考えてございます。それについても、船員保険についても同様の取り 扱いにさせていただければと考えてございます。  説明は以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御意見などがご ざいましたら御発言をいただきたいと思います。三尾委員、どうぞ。 ○三尾委員  私は、傷病手当金と出産手当金についてちょっと慎重に取り扱ってほしいなと思いま す。出産手当金の方の実態についてはちょっと把握していない部分があるので、今慎重 にというふうにお願いしましたが、傷病手当金については漁船関係で就労実態として、 同じ事業主に雇用されてそのままずっといくスタイルでない雇用形態が実はございま す。したがって、一つの船主さんから業種が変わるときに、失業状態になる。そのとき には任意継続をしているという実態もございます。そのときに、傷病手当に該当するよ うなことが起こったときに、出ないということになりはしないかなという懸念をしてお りますので、そこはこの支給しないということについてはちょっと問題があるかなとい うことを申し上げておきたいと思います。 ○岩村座長  どうぞ、事務局。 ○事務局  任意継続被保険者制度に関してただいま御指摘がございました。これは陸上の一般制 度においても同様に季節労働的な働き方をして、その間は任意継続でつないでいくとい う働き方も一部にはございます。ただ、今回の見直しは、働かない期間についてはそも そも給料を得ていないという状態にあるわけです。その場合に、傷病があったというこ とをもって所得保障を行う必要性があるのかどうか。ここについて一般制度の方では、 必要性がないのではないかなというふうに考えておりますので、船員保険についても同 様の取り扱いとしてはいかがかという御提案でございます。 ○岩村座長  保険課長、どうぞ。 ○今別府保険課長  今のところは船員の独自給付に当たるかどうかというところを、また引き続き個別に 御相談をさせていただこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○岩村座長  三尾委員、よろしいでしょうか。  ほかに御意見がないようでしたら、この船員保険における医療制度改正につきまして は、御了解いただいたということでよろしゅうございましょうか。  それでは、ほかに御意見等がなければきょうの検討会はこれで終了したいと思います が、最後に保険局長から一言ちょうだいしたいと思います。よろしくお願いをいたしま す。 ○水田保険局長  保険局長でございます。私自身この会議には余り参加できなかったことを大変残念に 思っておりますが、皆様方におかれましては8回にわたりまして御参集いただきまして、 まことにありがとうございます。  本日まとめられた報告書に示された基本的方向性ということがあろうかと思います。 船員保険制度の各部門のうち、統合効果のあるものについて一般制度に統合することを 基本とした上で、船員労働の特殊性にも配慮するということが示されたと思います。今 後はその具体化に向けて検討を進めてまいりたいと思います。  それから、今回をもってこの検討会での検討は終了ということになりますが、先ほど 来お話がありましたとおり、今後においてまたさらに関係者の皆様方には具体的な御議 論をお願いしたいと、このように考えてございます。先ほど来の要望ということも受け とめさせていただきまして、こうした具体的な御議論をさらに深めていただきたいと、 このように考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと考えておりま す。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。それでは、私の不手際もあって若干時間をオーバー しておりますが、この検討会はこれで閉会とさせていただきたいと思います。委員の皆 様には、これまで長い期間にわたりまして御協力をいただきまして、まことにありがと うございました。それでは終了いたします。どうも御苦労さまでございました。 <了> 照会先:厚生労働省保険局保険課企画法令第2係     (代)03−5253−1111(内線)3250