05/12/14 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成１７年１２月１４日議事録


０５／１２／１４　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　第７６診療報酬基本問題小委員会議事録　

(1)日時　　平成１７年１２月１４日（水）９：３０～１１：３０　
(2)場所　　厚生労働省専用第１８会議室
(3)出席者　土田武史委員長　遠藤久夫委員　室谷千英委員　小林麻理委員
　　　　　 対馬忠明委員　小島茂委員 　宗岡広太郎委員　大内教正委員
　　　　　 松浦稔明委員
　　　　　 松原謙二委員　青木重孝委員　石井暎禧委員　黒﨑紀正委員
　　　　　 山本信夫委員　
           岡谷恵子専門委員　白石小百合専門委員
           田中滋コスト調査分科会長
　　　　　 ＜事務局＞
　　　　　 麦谷医療課長　田原医療安全推進室長　福田企画官　他
(4)議題　　○　医療機関のコスト調査分科会の調査研究について
　　　　　 ○　医療安全対策に関する診療報酬上の評価について
　　　　　 ○　紹介率を基準とした紹介患者加算等の評価の在り方について
　　　　　 ○　診療情報提供料の評価の在り方について
　　　　　 ○　コンタクトレンズに係る診療の適正評価について
　　　　　 ○　地域加算に係る診療報酬上の評価の在り方について
(5)議事内容

○土田小委員長
　ただいまより、第７６回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催
いたします。
　まず、委員の出欠状況について報告いたします。
　黒崎委員がちょっと見えておりませんが、まもなく着くことになっておりますので、
全員が御出席の予定です。
　なお、保険局長は、公務のため欠席させていただく旨の連絡を受けております。ま
た、宮島審議官は、まもなくお見えになる予定ですが、公務のため途中退席される旨
の連絡を受けております。
　それでは、議事に入らせていただきます。
　まず、「医療機関のコスト調査分科会の調査研究」について議題としたいと思いま
す。
　本日は、同分科会の田中滋分科会長に御出席いただいております。医療安全及び医
療のＩＴ化に係るコスト調査の中間報告について、田中分科会長より御説明をお願い
いたします。

○田中分科会長
　おはようございます。
　では、２つの調査の中間報告でありますが、説明させていただきます。これは、平
成１７年１０月５日の中医協診療報酬基本問題小委員会において了承いただきました
今年度の調査研究についての中間報告であります。
　初めに、資料でいうと診－１－２、「医療安全に関するコスト調査」について御報
告いたします。初めに、調査の概要が書かれています。この調査は、医療安全に関す
るコストの実態を把握し、診療報酬体系における評価の在り方について検討するため
の資料を作成するとともに、今後の医療安全への取り組み方を検討するための基礎資
料を得ることを目的としております。とはいえ、今年度はまだ本当に始まったばかり
ですので、医療安全に関して先進的な取り組みを行っている医療機関などを対象とし、
医療安全を保証あるいは改善させるための活動状況を明らかにすることを目的として
おります。
　調査対象は、３００床未満の病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局の４種類と
いたしました。それぞれ１０施設程度、これはランダムサンプリングではありません
が、先ほど言いました先進的な事例と思われるところを１０施設程度を選定しまして
書面調査を行い、その中からおのおの５施設を選定してヒアリング調査を行うことと
しております。まだ全部終わっておりません。この調査は、京都大学の今中教授が中
心となって行っております。一方、３００床以上の病院については、今中先生が別途
厚生労働科学研究で行われている研究の調査結果を提供していただくことになってい
ます。
　２ページをごらんください。調査の内容ですが、安全管理、感染制御、医薬品の安
全使用についての取り組み状況を把握し、それぞれの取り組みにかかわる費用を分析
することとしております。また、医療安全対策の効果を計測するための指標について
も調査を行うこととしています。
　病院・一般診療所・歯科診療所の書面調査の項目については、２ページから４ペー
ジ、２ページちょっとにわたってずっと載っておりますが、書面調査の項目です。ま
た、保険薬局の書面調査項目、ヒアリング調査項目については４ページから５ページ
に示したとおりであります。
　６ページをごらんください。現時点までで行われた書面調査などの実施結果をまと
めてございます。中間報告では、病院が２件、一般診療所が２件、歯科診療所は１件、
保険薬局が２件の、計７件の調査が終わったところであります。各施設の調査結果に
ついては次ページ以降になりますが、留意点が真ん中に太い字で書いてあります。
「注意」と書いてあるところです。読ませていただきますと、「現時点では、医療の
質・安全の原価の測定方法の開発段階にあり、項目それぞれの原価の把握に改善の余
地が残され、データ収集も結果の検証も途中段階にあり、項目毎の合計値は妥当な総
額にはならない。以上のことなどから、当中間報告の値は、今後の妥当な原価計算に
向けての検討に資するための参考資料にとどめ、制度・政策の根拠とする段階にはな
いことを、しっかりと留意する必要がある。」。つまり、前回お認めいただいてから
２月の間でこれだけ調べて、方法論を開発している途中ですので、このデータは参考
としてごらんくださいという意味です。
　そうした前提に立って調査を行った個別施設の事例を簡潔に報告いたしますと、ま
ず７ページをごらんください。これはある病院のデータです。基本情報は、平成１６
年６月の状況でありますが、医業費用については平成１６年度１年間の数値となって
おります。調査対象が特定できないように、ここでは、数値は概数、あるいは範囲の
形で示されています。医療安全の取り組みに係る費用は、平成１６年度１年間の状況
についてまとめたものです。また、それに要する人件費は、国家公務員による給与を
もとに推計しております。その他の費用は、この病院における特定の値を聞き取った
ものであります。平成１６年度の運用コストだけでなく、平成１６年度に使用してい
た設備・機器の初期費用なども聞き取ってきております。今後は、初期費用と初期費
用以外の平成１６年度費用に分けて算出していく予定であります。この病院、０１の
安全管理に係る人員配置は、常勤換算しますと約１．９人が配置され、これを国家公
務員の人件費で換算すると、年間約１，３７０万円と見てとれます。また、感染制御
に係る人員配置は、常勤換算した人員約１．６人が配置され、人件費に換算すると、
年間約１，１８０万円と見てとれます。以下、そのような値が並んでおります。
　次に、同じようなことですので、１６ページまで飛んでいただきますと、施設ごと
に医療安全に関する取り組みや課題の状況についてヒアリングした結果をまとめてあ
ります。大病院と共通して、３００床未満の病院においても、教育研修やマニュアル
作成を行っているようです。新しい取り組みとして、（２）のところですが、離床セ
ンサーマット採用などが挙げられております。それから（３）、（４）ですが、費用
負担が大きい取り組みとしては、臨床工学技士の採用が挙げられています。歯科診療
所は比較的小規模であることから、医療従事者全員でのミーティングをほぼ毎日行う
ことができているようです。
　次のページに参りまして、保険薬局はＩＴ化の促進が挙げられています。システム
導入費用のうち、医療安全に寄与した分の費用を推計する方法については、まだどの
ように分類したらいいか研究班の中でもまとまっていないため、今後の検討課題と、
私どもの分科会では認識しております。
　引き続き１８ページをごらんください。調査結果の取りまとめは来年３月を予定し
ており、それに向けて経過報告で示した調査・分析を進めるとともに、各医療機関に
おける安全対策の導入効果並びに課題等についても把握し、考察を行う予定でありま
す。
　最後に、２２ページをごらんください。これは分科会としてではなく、今中先生が
厚生科研費を使って行われた研究の、３００床以上の病院についての結果であります。
方法論はちょっと違いまして、ここに示されている方法は、１９９９年と比べてどれ
だけ費用が増えたかという、増分の値で書いてあります。これは、安全についてどの
くらい費用が前よりもかかるようになったかという調査方法をとっておられます。結
果の数値については、先ほど申し上げたように、これはまだこちらの研究も中途段階
であります。
　以上が、「医療安全に関するコスト調査」の中間報告であります。
　次に、診－１－３をごらんください。これは、「医療のＩＴ化に係るコスト調査」
の中間報告でございます。１ページに、同じく調査の概要が書かれています。平成１
７年度の調査研究は、医療のＩＴ化に伴うコストの範囲などを明らかにするとともに、
ＩＴの導入効果の測定指標を確立します。まだ指標を確立する段階です。今後の医療
のＩＴ化の推進方策を検討するための基礎資料を得ることを目的として実施したもの
であります。
　調査の対象は、先ほどと同じように、先進的な取り組みをしている病院を１０、一
般診療所、歯科診療所、保険薬局をおのおの５施設程度選定し、こちらはヒアリング
調査を実施しております。
　２ページをごらんください。調査の内容ですが、(1)基本情報から始まり、収支情報、
資産情報、ＩＴシステム・機器の概況情報、院内のシステム導入・運用に関する検討
体制、ＩＴシステム・機器の個別情報、診療報酬請求のための入力項目とシステム化
の状況、そしてＤＰＣ対応の状況について、書面ではなくヒアリング調査を行ってお
ります。実際の調査実施に当たっては、事前に(1)～(8)で構成されるヒアリングシート
への記入を調査対象に依頼し、その記載内容に従ってヒアリングを行っています。
　３ページ以降は、中間結果であります。なお調査は、そこに書かれていますように、
産業医科大学の松田先生が中心となって行われております。現時点までに、病院９施
設、一般診療所２施設に対してヒアリング調査を行っています。この中間報告の報告
書に書かれているのは、ＩＴシステムを単独運用している病院を４事例、共同運用し
ている隣接する２病院について１事例、共同運用している病院と併設診療所について
の２事例を報告してあるものであります。
　ちょっと飛びまして、６ページをごらんください。ここには、実際のヒアリング事
例の概要が示されています。６ページから８ページにわたって、仮にＡと呼びますが、
Ａ病院について載っております。Ａ病院は、病床規模が２００～２９９床の間の急性
期病院です。併設する一般診療所と院内システムを共有しています。Ａ病院のシステ
ム・機器の構成としては、電子カルテシステムそれからオーダリングシステムを中心
に、各種部門システムを連動させたマルチベンダー型のシステムを導入しています。
図にあるとおりです。
　７ページに行きますと、電子カルテシステム導入の目的が挙げられています。職員
間の情報の共有化による業務効率の向上、リスクマネジメントの向上、ＤＰＣへの対
応、それから併設する診療所との情報の共有化が目的として挙げられていました。
　実際のシステム導入・運用に係るコストとしては、ベンダーへの支払いとして５年
リースの内訳が書いてございますが、計欄でいうと、４億４，７００万円が５年間で
かかる費用です。１年間の年間保守料としては２，２００万円との回答を得ておりま
す。そのほか、院内のマンパワーの投入としてシステムを専門的に管理する部署にお
ける人件費をはじめとして、システム運用に関する院内検討会の医師をはじめとする
ユーザーの参加があります。ここはマンパワーの投入にとどまります。
　８ページをごらんください。院内マンパワーの投入としては、システム導入に当た
ってのスタッフの研修や医療秘書等の配置もあります。また、レセプト電算処理シス
テムにおいては標準マスターを整備すること、特に材料マスターの整備の負担が大き
いという回答がございました。
　システムの導入の効果としては、真ん中辺からあります。削減可能なコストとして、
紙カルテの保管スペースの削減などが挙げられました。とはいえ、実際には、患者へ
の説明の際には紙に打ち出すために、実際のペーパーレス化が進んでいるとは言えな
い状況でありました。そのほかの効果としては、情報の共有化、安全性の向上、業務
の効率化などが挙げられました。
　恐縮ですが、４ページにお戻りください。これらを踏まえて、このような成果がず
らっと並んでいますが、それらのまとめに当たるところとして、４ページに幾つかの
ヒアリングのまとめとして書かれております。医療のＩＴ化に係るコスト範囲として
は、「導入保守費用」と「院内人件費」に大別されます。「導入保守費用」としては、
システムネットワークの本体価格とそれぞれの保守費用となります。また、「院内人
件費」としては、先ほどＡ病院の例に御説明したように、システムを専管する部署の
人件費をはじめとして、各種システムの導入、運用に係る人件費が挙げられます。そ
こにリストアップしてあるとおりです。
　また、幾つかの病院から得られた導入効果をまとめたものが(2)以下であります。ま
ず、コスト削減としては、紙・フィルム費用の一定程度の削減効果が挙げられます。
また、レセプト電算処理システムに伴う人件費の削減効果もあります。これはデータ
入力作業やレセプト集計作業、仕分け作業に要する時間が短縮された結果によるもの
です。さらに、その他の効果として、「情報の共有化・明確化」に伴う「安全性の向
上」、また、「業務の軽減」、そして「人員の適正配置」などが挙げられました。
　最後に５ページをごらんください。今後、まだ残った対象に対するヒアリング調査
とそのその結果の分析を進めるとともに、各医療機関等でのＩＴ導入効果をはじめと
して、問題点・課題にも考察を加えていく予定であります。同じく年度内にまとめる
予定です。
　以上が、「医療のＩＴ化に係るコスト調査」の中間報告になります。
　ただいま御報告いたしました２つの調査につきましては、最終結果が取りまとめら
れた段階で、改めてこの小委員会に報告させていただきます。
　以上でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
  ただいまの説明につきまして何か御質問等ございましたら、どうぞ。

○松浦委員
　それでは、ちょっと１つだけ質問させていただきます。医療安全の取り組みに係る
費用というところの部分なのですが、安全管理に係る人員配置、それから感染制御に
係る人員配置、いずれも１．９人、１．６人と、こういうような小数点で出ておりま
す。ということは、これは専属でやっているのではなくて、仕事がないときには実務
にもタッチすると、こういうことなのでしょうか。

○田中分科会長
　おっしゃるとおりです。これは、常勤換算に合わせて、例えば週のうち１日出ると
かというのを合わせてくるとちょうど１．９人、そういう数え方になっております。

○松浦委員
　そういうことですね。とすると、私なんかは普通、こういうチェック機関が実戦部
隊としてやっていくというと、どうしてもこのチェックが甘くなるおそれがあるので
はないかというような気がするのですけれども、そういうことはあまり医療現場では
ないのでしょうか。

○田中分科会長
　それも含めて、さらに残った病院で調査をいたします。

○松浦委員
　そのあたりのことをちょっと私は関心を持っていますので、また調査ができればで
すね。

○田中分科会長
　まだ残った対象がございますので、実際に担当している今中先生にそのようにお伝
えします。

○松浦委員
  どうぞよろしくお願いします。
　以上です。

○土田小委員長
　ほかにございますでしょうか。
　よろしいですか。それでは、最終報告を待ちたいと、そこでまた改めて議論したい
と思います。
　それでは、本件に係る話はこの程度にいたしまして、次の議題に移りたいと思いま
すが、なお、この後に医療安全に係る議題を取り上げますので、田中分科会長におか
れましては、引き続きお残りくださいますようお願い申し上げます。
  それでは、「医療安全対策に関する診療報酬上の評価」を議題としたいと思います。
　事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○事務局（福田企画官）
　医療課企画官でございます。お手元の資料、中医協診－２をごらんいただきたいと
思います。「医療安全対策に関する診療報酬上の評価について」でございます。
  まず最初のところでございます。「現行の診療報酬上の評価の概要」でございます
が、安全管理につきましては、入院に関して当然確保されるべき事項であるとの観点
から、診療報酬では、医療安全管理体制に係る基準を定めまして、これらが行われて
いない場合に、入院基本料から現在は減算する仕組みといたしてございます。ちなみ
に、その下の四角で囲ってありますところが、今申し上げました「医療安全管理体制
に関する診療報酬上の基準」でございまして、そこに４つのぽつでお示ししてござい
ますけれども、指針の整備、院内報告制度、安全管理委員会、そして職員の研修とい
うことが基準となっているというところでございます。
　次に、２の方にお移りいただきまして、「現行の診療報酬上の評価に係る課題」で
ございます。まず最初の丸でございますけれども、「医療提供体制に関する意見」、
これは社会保障審議会の医療部会で出されているものでございます。具体的には、こ
の資料の４ページ以降に別紙としておつけをいたしてございますが、ここにおきまし
て、医療安全対策の総合的な推進が示されているところでございます。一般的な医療
安全管理体制、これにつきましては、ほとんど病院で既に確保されていると、そうい
った現状から、前回の中医協でございますが、今般の診療報酬改定におきましては、
これを入院基本料の算定要件とする、そういう方向で見直ししてはどうかということ
で、前回御議論をいただいたところでございます。
　次の丸でございますけれども、従来の医療安全管理体制に上乗せをいたしました医
療安全対策といたしましては、平成１５年度から、特定機能病院及び臨床研修指定病
院につきましては、専任の医療安全管理者の配置や患者相談窓口の設置等を求めてい
るところでございます。具体的な内容につきましては、その１ページの下、参考１の
ところに、特定機能病院において、上乗せして整備すべき安全管理体制といたしまし
て、その１として、専任の医療に係る安全管理を行う者（安全管理者）の配置、２ペ
ージにお移りいただきまして、２のところでございますが、医療に係る安全管理を行
う部門（安全管理部門）の設置、３といたしまして、患者からの相談に適切に応じる
体制の確保、４といたしまして、専任の院内感染対策を行う者の配置というようなこ
とが示されているところでございます。また、参考２といたしまして、これは臨床研
修指定病院において必要とされる医療安全管理体制の確保についても、あわせてお示
しをしてございます。また、参考３といたしまして、特定機能病院そして臨床研修病
院、これらの具体的な対象になっている医療機関の数及び病床数につきまして、参考
までにお示しをしているところでございます。
　その次の丸でございますが、特定機能病院のうち約３分の１につきましては、複数
名以上の専任の医療安全管理者、これが配置をされているということで、具体的な内
容につきましては、参考として参考４でお示しをさせていただいております。
　最後の丸でございますが、また、特段の上乗せの規定を設けていない一般の医療機
関におきましても、先行して医療安全管理者が配置されていると、こういった報告も
ございまして、この内訳につきましては、３ページの頭の部分でございますが、参考
５といたしまして、これは財団法人日本医療機能評価機構、こちらの方の調べにより
ます医療安全管理者の配置状況、こちらの方につきまして、参考としておつけをして
いるというところでございます。
　これら医療安全対策を担う医療安全管理者の養成につきましては、各種の団体等に
よります研修が既に行われているところでございます。また、医療の質向上につなが
るような、より効果的な医療安全対策、これに係ります具体的な手法の確立及びコス
ト等の詳細につきましても、先ほど中間報告がございましたけれども、調査研究が現
在進められているところでございます。
　次に、「３．論点」にお移りいただきたいと思いますが、まず最初の論点でござい
ます。専任の安全管理者の配置、医療に係る安全管理部門の設置、患者相談窓口の常
設などの医療安全対策について、診療報酬上の評価の在り方を検討してはどうか。
　次でございますが、ただし、この際には、診療報酬調査専門組織によりますコスト
調査や医療安全管理業務に関する指針及び医療安全管理者の養成研修に関するガイド
ライン等の作成状況を踏まえる必要があるのではないか。
　３番目でございますが、特に、特定機能病院及び臨床研修指定病院におきまして、
既に上乗せをして実施されております医療安全対策についても、その評価をどのよう
に考えるかということでございます。
　事務局からの説明は、以上でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等ございましたら、どうぞ。

○石井委員
　医療安全は、これからもさらに強めていかなければならないと思うのです。そうし
ますと、提案のように、ほとんどの病院で確保されている現状からして、これを特別
扱いしないということだけですと、むしろ安全を評価しないとも読み取れてしまう内
容に現実的にはなると思うのです。やっていてもやっていなくても、これは減算もし
なければ加算もしないということだと、評価しないというふうに読み取れてしまいま
す。医療部会を進めるのだというメッセージをここには組み込む必要があるだろうと
思います。
　従来の上乗せした安全対策として、ここでは特定機能病院や臨床研修指定病院に専
任の医療安全管理者の配置や患者相談窓口の設置を求めていると、こういったプラス
で評価しているところについて、これまでなくしてしまうと、完全に評価しないとい
うことになりますので、こういうのはやはり残さなければいけないし、むしろ、特定
機能病院だとか臨床研修指定病院という枠を外すという形で積極的評価を残すべきだ
ろうと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかに御意見ございましたら、どうぞ。

○小島委員
　これは質問です。安全管理、その向上を図るのは当然のことだと思います。それを
診療報酬でどう評価するかというのが課題になってくると思います。今この対応を図
っている特定機能病院なり臨床研修指定病院では安全管理者を指定、あるいは安全委
員会を設置しているといったような、上積みで安全管理については配慮しているのだ
と言っています。それが実際にどう機能しているのかということが、本当はエビデン
スがあれば、それに対する評価はできると思います。単に安全管理者を指定をしてい
る、あるいは委員会を設置しているということだけでなく、実際にどう機能している
か、その実態についての質問です。

○土田小委員長
　質問ですよね。事務局の方で医療安全推進室長が見えておりますので、お願いしま
す。

○事務局（田原医療安全推進室長）
　医政局医療安全推進室長でございます。今お尋ねの、医療安全管理者がどういう機
能をしているかという御質問でございました。
　まず、機能の前に、医療安全管理者の業務について申し上げますと、安全管理部門
の業務に関する企画立案や評価、あるいは職員の意識向上や指導等の業務を行ってお
ります。具体的には、事故だとかあるいはヒヤリハット事例の収集・分析、改善策の
立案だとか事故防止マニュアルの作成等を行っているものでございます。その効果と
して、どういう具体的なエビデンスがあるのかという御質問でございますけれども、
この点につきましては、特定機能病院に専任の医療安全管理者の配置が義務づけられ
たのが平成１５年４月でございますので、まだ具体的にこういう効果があるというよ
うな目に見えたデータがこちらの方でそろっているわけではございません。
　ただ、我々としては、この専任の安全管理者を置いたり、あるいは管理部門を配置
をしたりするということにおいては、大きく２つの効果があるのではないかというふ
うに期待をしているところでございます。１点は医療事故の予防効果、それからもう
１点は、再入院やあるいは追加の医療を行うことになりますけれども、そういった医
療費の適正化の効果、こういったものがございます。こういうような問題につきまし
ては、研究の方で、入院患者さんのカルテを約４，０００冊以上調べておりまして、
その中で予防ができそうな医療事故等の、有害事象というふうに言っておりますけれ
ども、そういったものが、予防可能性があるというものが半数以上あるというような
結果が得られておりまして、専任の安全管理者等を配置するということによりまして、
こういった予防の可能性の高いものにつきまして事故の予防が図れるのではないかと
いうふうに考えております。
　以上でございます。

○対馬委員
　ちょっと事務局に伺いたいのですが、「論点」の中に３つの丸があって、この相互
の関係がちょっとよくわかりにくいところがあるのですが、丸の２つ目のところを見
ますと、今まさに調査専門組織、今日、田中先生に大変御苦労いただいたわけですけ
れども、調査などを行っているので、その成果を踏まえてはどうかということですが、
もう少し時間をかけてというニュアンスが出ていると思うのです。それに対して一番
上のところはちょっとニュアンスはよくわからないのですが、「特に」という、一番
下のあたりを見ますと、「評価をどのように考えるか」というので、今回の診療報酬
改定の中にどう考えたらいいのかというようなニュアンスも出ているように見えるの
ですが、一番上のやつはその中間みたいな感じもちょっとあるのですが、この全体の
３つの丸の関連についてお伺いしたい。特に、もう少し時間をかけてということであ
れば、いろいろな多面的なデータもこれから出てきますし、また多面的な議論をすれ
ばいいのですけれども、今足元で改定したいのだということであるならば、ここで相
当議論しなくてはいけないと、こういうこともありますので、ちょっとそのあたりを
教えていただきたいと思います。

○事務局（福田企画官）
　今御質問ございましたように、まさに真ん中の丸のところで、その具体的な安全に
資するような指標ですとかそのコストについては、これは、基本小委の命を受けて今
調査をしていただいているというところでございます。これは、まさにこれから引き
続きこの重要な医療安全の問題についてデータをもとにきちっと継続的に議論してい
くための基礎になってくる、そういったものであろうかと思っておりますけれども、
そういった中で、一方では、医療現場としてはやはり医療安全対策というのは今非常
に喫緊の課題でございますし、また患者さんにとっても非常に関心が高い。そういっ
た中で、一方ではデータもきちっと出すという努力をしつつ、現実問題といたしまし
ては、この医療安全という問題についてどのように対応していくかというのは、あわ
せて対応していく必要がある、少なくとも検討していく必要があるものというふうに
事務局としては理解をさせていただいておりまして、そういったところで、ある意味
では、こういう時点的に考えるとちょっと相矛盾するような内容になってございます
けれども、こういった形で論点を整理をさせていただいているというところでござい
ます。
　具体的に、その最初の丸の部分については、現実問題として既に上乗せをしてやっ
ていらっしゃる、そういう医療機関があるということについてどのように考えるかと
いう観点でございますし、最後の３番目の丸の部分につきましては、これは医療法の
方でこういった対応がある意味では義務づけられているわけでございますので、医療
法という、そういった制度、そういったものに対してどのように診療報酬の方で対応
していくのかというような、そういった観点も含めての論点ということで整理をさせ
ていただいているというものでございます。

○松浦委員
　この「論点」のところの１つ目の丸で、「専任の安全管理者の配置、医療に係る安
全管理部門の設置、患者相談窓口の常設等の医療安全対策について」と、こうありま
すけれども、先ほどの、私ちょっと田中先生に御質問させていただいた内容ともちょ
っと関連するのですが、安全管理者の配置、安全管理者とか医療に係る安全管理部門
に専従の職員がいるのかいないのか、これによって相当違うと思うのです。ですから、
例えば専従職員を配置するのであれば、どの程度の病院、例えばベッド数５００とか
３００とか、そういう病院についてはこういうようなモデルが適当ではないかと、そ
ういうようなことを検討することはどうなのでしょう、事務局の方として考えていら
っしゃいますか、それはこちらの問題でしょうか。

○土田小委員長
　これは事務局でしょうか、田中先生に対する質問ですか。どなたか答えられたらと
いうことで。

○松浦委員
　いや、どっちとも言えないのですが、中医協全体かもわかりませんね。

○事務局（田原医療安全推進室長）
　私の方からお答えします。
　こういった専任の安全管理者等の配置というのは、我々も非常に重要だというふう
に考えております。ただ、医療法で義務づけるという点につきましては、特定機能病
院に専任の安全管理者、それから臨床研修病院には兼任でも可というような形になっ
ているわけでございます。病床規模等についてモデルを示してはどうかというお話が
ございましたけれども、これにつきましては、具体的にこちらでお示しをするという
ような状況ではございません。むしろ、診療報酬上ある一定の範囲につきまして評価
をしていただけるというような御議論がいただけましたら、それはそれで病院の方と
しまして、こういった安全対策に取り組む体制を確保するという契機になるのではな
いかというふうに考えております。

○松浦委員
  この専任というのは、今お考えになっているのは専従でもあるのですね。

○事務局（田原医療安全推進室長）
　専任というのはもう専従という、ここで言うのは専従というふうに考えていただい
て結構でございます。

○松浦委員
　はい、了解。

○岡谷専門委員
　この医療安全のことにつきましては、今まで未整備減算ということが主だったので
すけれども、やはり医療安全には人件費等のコストがかかりますので、きちんと体制
を整えてやっているところはそれなりの評価ということが必要ではないかというふう
に思います。
　今御議論のあった専任・兼任の問題でございますが、日本看護協会が、看護職員で
安全管理者をやっている者について、専任と兼任の業務の違い等を調査しているので
すけれども、看護職員で専任で安全管理者を配置しているのは、３，３７３の施設を
調べて、６５４施設で約１９％だったのですけれども、その業務の内容を調べてみま
すと、専任で行っている人は、インシデントレポート、アクシデントレポートなどの
収集処理以外に、やはり職員への啓発や教育活動とか、医療現場のモニタリングです
とか、それから院外での情報収集ですとか、それから医療安全管理対策委員会などの
運営とか、そういったようなことをかなりやっているのですけれども、兼任の場合に
は、インシデントレポート、アクシデントレポートの処理にとどまっていて、そのほ
かの活動というのはやはり３分の１程度しかできていないということで、ただインシ
デントレポートの分析をしても、そこからさらに予防活動とか予防対策をどうしてい
くかということを考えないといけないわけですから、やはり兼任・専任の差というか、
アウトカムの差というのはかなりあるのではないかというふうに思っておりますので、
そういうところはきちんと評価していくべきではないかというふうに思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○宗岡委員
　医療の安全についての重要性は申すまでもないことだし、これまでも良質な医療機
関では当然のこととして行っていただいているのだというふうに思っております。そ
れをさらに医療安全の向上のために何が必要なのかという議論をこれからやるという
ことになると思うのですけれども、その場合には、これまでの議論がありましたよう
に、できるだけ具体的なエビデンスに基づいて、データに基づいて議論がされるよう
に、ぜひ事務局の方にも工夫をしていただきたい。特に、特定機能病院ですとか臨床
研修病院で、実際にどういう成果が上がったのかということはまだわからないという
話ですけれども、わからないものにまたお金を出すというのは、ちょっと我々として
は理解できないので、そういう意味で全体の評価ができたときに初めて次の議論とい
うふうになるのではないかというふうに思います。いずれにしても、エビデンスベー
スでの議論というふうになるようにお願いをしたいと思います。

○土田小委員長
　ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

○松原委員
　私どもも医療の安全が一番大事だと思っております。ただ、エビデンスを出す上で、
例えば医療事故が減ったというようなデータが出れば御納得いただけるのかもしませ
んけれども、もともと適切にやっていれば、そういうことはより少なくなるわけでご
ざいます。したがって、これの証明というのは非常に難しい面がある。つまり、適切
に行えば事故が起こらないようになる。つまり、問題が起きていないということ自体
が成果を上げているということでございますので、医療事故の数を調べて、それが減
ったからエビデンスがあるとおっしゃりたいのかもしませんけれども、なかなか難し
い面があると思っております。
○青木委員　話を聞いておいていただければいいことかもしませんが、この医療安全
という形で大事なことを考えていく中で、医療機関にとってこれまで議論されていな
いのではないかということで、一つ非常に大きな負担というのがありまして、それは、
感染性廃棄物の処理でございます。
  例えば本日のヒアリングで出てきた、数はまだ少ないのですが、７ページをごらん
いただきますと、これは小さな病院の例でございますが、廃棄物の処理・保管という
項が下から４行目にございます。年間で７６０万円のお金がかかっている。それでは、
ほかの項目として、これだけの金額のものが今あるかという話になりますと、先ほど
の人員配置のところの一部という形になるのではないかと思います。ですから、この
感染性廃棄物、要するに、廃棄物の処理に関する費用というものは、医療機関にとっ
て大変負担になっておるものでございますので、これについての対応といいますか、
これをぜひこういう項目の中でお考えをいただきたいというふうに思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○対馬委員
　安全についてのなかなかデータというか、アウトプットが出にくいということを松
原委員の方からお話がありましたけれども、それは、一方ではそういう面もあるのだ
ろうと思うのですけれども、ただ、産業界でも、御承知のとおり、安全については度
数率とか強度率とか、いろいろな手法を用いながらやってきた経験もあるわけです。
医療の場合ですと、まさに人様の命、健康を預かると、こういうことですから、やは
りこれまで培ってきた産業界の知見なども含めながら、恐らくさまざまな御努力はさ
れているのだろうと思いますけれども、ぜひそこはあきらめずに、そういったことを
続ける努力をよろしくお願いしたいというふうに思います。

○松原委員
　私どもも、そういった努力は最大にしなければならないと思っているわけですけれ
ども、いつも議論の中で物の例をお出しになりますけれども、やはり、物というもの
と人とは違いまして、製品の安全性あるいは製品の精度の問題と、この医療の、人を
相手にしているものは違うということは御理解いただいているところだと思いますけ
れども、一言申させていただきます。

○対馬委員
　安全についてというのは、私どもが品質管理とかそういったことを申し上げている
のではなくて、度数率とか強度率というのは、まさに人が災害が起きたときにどうか、
亡くなられたのか、それとも重度の障害を負ったのか、それとも軽度であったのかと、
そういうことですから、まさに人そのものの問題でございますので。

○松原委員
  事故のお話ですね、わかりました。

○石井委員
　エビデンスの問題が今出ていますが、病院のこういったような仕事の場合、実際上
一番問題になるのは、やはり職員の意識づけと教育です。その結果として医療安全が
達成されるので、エビデンスといっても、患者さんの個別性などがあるので、統計と
してはなかなか出にくいと思いますが、そこにおける職員の実際のやっている仕事、
それからシステムの完成度といったようなことでもって、現実の医療安全対策の効果
は大体はかれるのだと思います。そういう点で、先ほど看護協会の方からお出しにな
った資料も一つのエビデンスといいますか、効果の立証と言えます。専任の方がいて
ずっと仕事ができていることの重要性がはっきりしているわけなので、そういったこ
とに対して評価していかなければいけない思うのです。
　この問題を、さらに調べながら、成果とはなにかを明らかにしながら、システムの
あり方、または要件の確定を明らかにする必要はあると思います。今現状から一歩で
も二歩でも進んでいくためには、医療安全に対する人の配置、教育の充実から始めな
ければいけないし、それをまず評価するというところからとりかかるべきです。今ま
でも点数評価として一定程度なされているわけですから、それは後退させてはいけな
いと思います。さらにそのほかの要件だとか、こういったことは必要だということが
あれば、ここでどんどん出していただいて、それを今後の評価の基軸にしていくのが
いいのだろうと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○山本委員
  保険薬局についての調査が２件載っておりまして、この現状につきましては、大変
ありがたいと思っております。また、専任・兼任の議論がございましたけれども、保
険薬局あるいは薬剤師の立場からしますと、医薬品の管理は専任でやっておりますの
で、そうした意味で言えば、今後こうした調査をこれから仕組みがつくられて、安全
の体制が薬局にも義務づけられるような形になったときのことを踏まえて、これから
も、そうしたことが十分な評価ができるような調査の仕組みなりあるいは項目なりと
いうことについて継続的に検討していただきたいというふうに考えています。よろし
くお願いいたします。

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。
　この医療安全につきましてはこの後も議論を続けていくわけでございますけれども、
少なくとも医療安全が非常に重要な課題であるということと、その議論を進めていく
場合には、一定のエビデンスに基づいて議論を進めていかなければいけないというこ
とは共通した認識だろうと思います。
　それで、その場合には、エビデンスをどうやってとらえるかというのは、実は非常
に難しい問題で、そのために、田中分科会長に分科会長になっていただいてコスト調
査を進めているわけでございますけれども、ちょうど田中先生がいらっしゃいますの
でちょっとお聞きしたいのですが、今回進めている調査及びその調査結果、それが今
回の改定にどこまで役立ち得るかと言うとあれですけれども、つまり、この丸の２つ
目の議論ですが、そこが、先ほど推進室長の話ですと、医療法上は特定機能病院と臨
床研修病院については、一応人員配置のあれがあると。しかし、そのほかの病院等に
ついては、人員配置上の規制はないと。したがって、それについては診療報酬上の対
応が必要かどうかと、これは議論になるわけですが、そういう観点から現在の調査を
進めているところの役割といいますか、次回の改定には当然間に合うわけですが、今
回改定、どこまでその辺の根拠を示し得るかという点については率直にお聞きしたい
のですが、どうでしょうか。

○田中分科会長
　今回の私どもの研究はまだ方法論の探索段階ですので、正直なところ、今回の調査
にこのデータを使ってというのは無理だと思います。安全についてどう考えるかとい
うのはこの小委員会で御議論いただくのはあれですが、このデータをもとにというの
は、まだ今回は無理と言わざるを得ません。

○土田小委員長
　ということですね。一応それを前提としながら調査を進めていただきますし、また
今回の改定の議論を進めていくということになろうかと思いますので、次回以降、よ
ろしくお願いします。

○松浦委員
　そうすると、データがなくてその点数の話に入っていくと、こういうようなことに、
診療報酬の話になりますと、前回の改定のときもあったのですけれども、安全でポー
ンと幾らと、こういうような出し方ではなくて、もっとぜひ、それならば専門の先生
が数人でも集まって、厚労省の事務局と一つの、先ほどもちょっと申し上げたように、
３００床のベッドだったら大体こういうものだと、このぐらいのものだろうというぐ
らいのことは、私はある程度わかるのではないかと思いますがね。だから、そういう
ようなものに基づいてやはり点数を議論するのであればいいけれども、何にもなくて
ただ安全が要るのだということでやりますと、とかくつかみでボーンと幾らでいこう
と、こういうことになりますから、その辺はならないようにひとつよろしくお願いし
たいと思います。

○土田小委員長
　重要な指摘だと思います。事務局と相談しながらこの議論を深めていきたいという
ように思います。
　それでは、次の議題に移らせていただきます。その前に、田中先生、どうも長い間
ありがとうございました。
　　　　　　　　　　　　　　　〔田中分科会長退席〕

○土田小委員長
　次は、「紹介率を基準とした紹介患者加算」について議題としたいと思います。
　これについても資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○事務局（麦谷医療課長）
　お手元の資料、中医協診－３、紹介率の資料をごらんいただきたいと思います。こ
れは、現行診療報酬点数上、紹介患者加算という点数がついているものを一覧にした
表でございます。２種類ございまして、初診料に対して紹介患者を受けた場合に算定
できる加算点数というのは上の方でございまして、一方、入院基本料に紹介患者があ
る一定パーセント以上いた場合に加算が取れるというのが下の点数でございます。ご
らんのとおり、初診の紹介患者加算というのは６種類もございまして、それぞれパー
センテージに従って、あるいは対象病院に従って点数が異なるといった形態になって
おります。また、入院基本料の加算、紹介患者加算につきましても３０％以上とか、
８０％以上とか、その他の要件も含めて、そのようにまちまちになっております。実
際、これは現状でございますけれども、紹介患者を診療する機能を重視した評価を行
うというのは、平成１５年３月の閣議決定で既に示されておりまして、紹介患者をあ
る一定程度評価するという大方針は、これは決まっております。
　１枚めくっていただきまして、２ページでございますが、この今行われている初診
と入院料に関する紹介患者加算でございますが、実は、先ほどの現行の例で見ますと、
紹介率何％というのが幾つかあったかと思います。実はその紹介率を算定する式とい
うのは、不思議なことに４種類ございます。４ページと５ページにそれが書いてござ
いますが、医療法で規定している紹介率、これは２種類、４ページにございます。診
療報酬で規定している紹介率、これは２つございます。４つ紹介率があって、さらに
そのパーセンテージで点数が決まっているという極めて複雑怪奇な点数形態になって
おります。
　加えて、例えば４ページの医療法の紹介率の上の方、「(1)　特定機能病院の承認に
係る紹介率の算定式」をごらんください。分子にＣというのがございます。分子で患
者を計算する場合、Ｃ、そこに、「救急用自動車によって搬入された患者の数」、こ
れを分子に算入するということが書いてございますし、同じような規定が５ページ、
診療報酬でも、「一般の病院及び特定機能病院の場合」の紹介率の算定の分子に、や
はりＣといって、「救急用自動車によって搬入された患者の数」というのがございま
す。これは当然多ければ多いほどその紹介率は上がるわけでございますけれども、そ
うすると、救急ヘリで来た者はどうするのだと訊かれます。それはだめだと、ここに
「自動車」と書いてありますからと答えるわけです。さらに親が自分の子供を自分の
車で運んできた場合はどうでしょうか。それは救急であるにもかかわらず分子に算入
されないという事情になっておりまして、ここはなかなか不合理であるというふうに
いろいろ御指摘を受けております。御指摘は６ページに書いてございますので、これ
は今日読み上げませんが、いろいろな御指摘がございます。
　ということで、そういうことを踏まえまして、４種類も式がある、さらに加算が６
種類もあるという複雑になっておりますので、これを簡単にしてはどうかというのが
一つの提案でございます。また、本来、なぜ紹介率の高いものに加算しなければいけ
ないのかというそもそも論を考えますと、２ページの丸の２つ目に書いてございます
が、「本来の趣旨である医療機関の機能分化・連携に」、この紹介加算というのは
「十分寄与していないのではないか」と、先ほどの救急自動車の例もございますが、
本来目的を持ってつけた紹介加算なのに、それが十分に生きていないということがご
ざいます。
　それで「論点」でございますが、２ページの下から、紹介率を基準とした紹介患者
加算については、初診料の病診格差の是正や大病院における紹介状なし患者に対する
初診評価の見直し、これは既に今までの中医協で出してございますので、これを見直
すことになっていますので、その課題を踏まえて、紹介ということも根本的に見直す
こととしてはどうかというのが一つの論点でございます。
　めくっていただきまして、３ページの上でございますが、しかしながら、医療法上
規定されております地域医療支援病院、特定機能病院の紹介率というのは評価されて
おりますので、これは紹介率ではなくて、それぞれの病院の機能を評価した点数を別
途算定すれば、何も初診の紹介で評価しなくてもいいのではないかというのが２つ目
の論点でございます。
　それから、入院基本料の加算に紹介患者が３０％以上とか書いてございますので、
この３０というのは意味があるのかどうかも含めて検討してはどうかというのが今日
の論点でございます。
　以上、紹介率の説明です。

○土田小委員長
　ただいまの説明につきまして御意見、御質問等ありましたら、どうぞ。

○松原委員
　医療法上でこの紹介率を規定しているものがあるということでございますけれども、
今お話しいただきましたように、私どもも、その救急の扱いをこの中に要素として入
れているということに問題点があるのではないかと思います。救急は救急で別に評価
して考えるべきではないかと思っているわけでございます。したがって、父親が車で
お子さんを連れてくると救急扱いにならない、一生懸命救急の対応をしている病院が
評価されない、そういったことが起こりますので、ぜひここは考えを一回直して、適
切な形になるようにしていただきたく思っております。

○石井委員
　紹介率で一番の問題は、やはり救急との関係です。救急というのは、どこかの診療
所に行って紹介状をもらってから救急車に乗ってくるというわけにいかないので、当
然紹介と同様に扱うとの趣旨で紹介率に反映されてきたので、特に救急車というのは
入れるべきです。
　ところが、特に小児などは、親が直接連れてきますので、今問題になっている小児
救急などをやればやるほど紹介率が落ちてしまうというように、非常に矛盾がありま
す。もしも紹介率を残すのだったら、すべての救急はそこに入れていかなければいけ
ないし、そもそもそういった紹介率という概念を、急性期病院とか地域医療支援病院
の要件に使うべきかどうかについても議論があるところです。ですから、全くそうい
ったことを考慮しないで、紹介率という概念をまずなくしてしまうか、計算式を変更
するかが問われます。というのは、大学病院みたいな特定機能病院における紹介と地
域病院における紹介の、救急や、そういった問題点とは質が違っております。大学だ
ったら紹介で全部来いといっても、ある意味ではわからないでもないのですが、地域
の中核病院ということになりますと、救急の要素が非常に大きくなる。それから、そ
の地域に診療所にない科があって、地域中核病院は小さな科をやらなければならない。
地域支援という内容からは、この紹介率が逆に働いてしまうというようなことがあっ
て、いろいろ問題が出ているということです。
　それで、先に議論になって、３００床以上の初診科の特定療養費問題も、やはり同
じような問題を持っています。ベッドの規制では問題があって、機能で見ていかなけ
ればいけないのです。特に患者さんの視点から考えると、機能で見ず、ベッド数で分
けても意味が分かりません。
　特定療養費の使われ方は、この間の資料を見ますと、性格の違いで２種類あるので
す。１つは、あまり一般の患者さんに来てもらいたくない。それでないと専門医療は
できないという意味で、１回３，０００円とか５，０００円とかつけて、そういう患
者さんの来院を防ぐという使われ方。それから、１，５００円ぐらいというのは、紹
介なしとありとの差を、紹介では非常に赤字になってしまうので、その部分を患者さ
んから直接取るという使われ方。これはあまりいい方法ではないと思うのですが。
　そういった問題がいろいろあるので、私は診療報酬に関しては、同じ技術料だから
全部同じにしてもらいたい、ベッド数というのは関係なくしてもらいたいというお話
をしたのです。診療報酬における変な形での誘導というのはかえってゆがんだ構図を
つくっていきますので、これは避けていただきたいと思います。
　この紹介率問題についても、そういった観点から、患者さんにわかりやすいような
診療報酬体系という観点でぜひお考えいただきたいと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○対馬委員
　今のお話のとおり、やはり機能で考えていくべきだということは賛成ですし、また、
松原委員の救急については別途の評価を含めていろいろな対応をとるべきではないか
ということに対しては、我々も賛成だということであります。
  ただ、ちょっと懸念といいますか、この外来の紹介患者を診療する機能を重視した
評価を行うというのが、これは改革の基本方針ですよね、そしてそれに対して、今実
際に本当に機能しているのかどうかと、なかなか十分機能していないのではないかと
いう、寄与していないのではないかという指摘もあるということなのですけれども、
その中で、もし全面廃止ということであると、もう少しデータをもとにした議論をし
ないと、という感じはありますよね。全体的に極めて複雑怪奇だという説明はござい
ましたし、また、それはお話を伺っても確かにそのとおりだということで、簡素化す
ることは全く異論はないところですけれども、ゼロということであると、少し慎重な
議論も必要なのかなと、こういう感じはします。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○青木委員
　私も、これを見直すというか簡素化するのか、なしにしてしまうのかということは
議論しなければいけないことだと思いますが、そのときには、紹介率だけを取り上げ
て議論するのではなくて、医療部会で討議されてきた医療提供体制が今後どうあるべ
きかということに発して、初再診料の問題とか、それから情報提供者の問題だとか、
要するに、医療機能に応じた在りようの中から、これも一つの問題として自然発生的
に出てくるというか、そういう形を総合的にといいますか、そういう討論を一度やら
なければいけないのではないかというふうに考えます。

○宗岡委員
　ちょっと事務局に質問なのですけれども、この２ページ目の一番下の「根本的に見
直す」、「根本的」というのは何を意味しているのかと、ちょっとコメントをいただ
きたいのですけれども。

○事務局（麦谷医療課長）
　これは、先ほど申し上げましたように、紹介率というのは４種類ございます。医療
法の紹介率は、ここでお決めいただいても、私どもでいじることはできませんので、
少なくとも診療報酬のこの紹介率は、この算定はやめようと。ただ、紹介機能をどう
診療報酬で評価するかというのはもう一度御議論いただければいいと思います。とり
あえず、診療報酬上の２種類の紹介率はやめようではないかというのは、そういうこ
とは非常に根本にかかわる話ですから、「根本的に見直す」というふうに書かせてい
ただきました。

○土田小委員長
　よろしいでしょうか。
　それでは、この紹介率に係る議論も引き続き取り上げていきたいと思いますので、
今日は次の議題に移らせていただいてよろしいでしょうか。
　次は、「診療情報提供料の評価の在り方」について議題としたいと思います。
　事務局より資料が提出されております。お願いします。

○事務局（麦谷医療課長）
　それでは、診療情報提供料につきまして、中医協資料、診－４をごらんいただきた
いと思います。ここに、先ほどと同じように、現在の診療報酬上の診療情報提供料と
いうものを一覧にしてございます。現行点数は、これも先ほどのとおり６種類ござい
ます。項目は、（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）、４つしかないのですが、逆紹介の
加算というのがございますので、点数形態としては６種類ございます。これもいろい
ろな縛りがございまして、特別の関係の機関への情報提供を算定できないとか、それ
から２００床以上の病院とかという基準がございまして、そういうことをすべて区分
けしまして６種類あるというのをまず御理解いただきたいと思います。
　それで、どんなふうになっているかでございますが、２ページをお開きいただきま
すと、診療所間、あるいは病院間の診療情報のやりとりに比して、診療所から病院、
病院から診療所へというところは高く評価してございます。それから逆紹介として、
例えば病院からもう一回返すとか、そうした場合の加算ですとか、外来よりも、病院
から退院して、退院患者の情報提供の方が高いとか、いろいろなことをされておりま
す。それから、紹介率と同じように、特定機能病院、地域支援病院は高く評価してお
ります。こういう評価体系になっていますので、結果として６種類あります。
　しかしながら、その２ページの真ん中の丸に書いてございますが、患者さんにとっ
ては全く同じ情報が行き来する、にもかかわらず、情報提供を行う機関と提供先の機
関の属性あるいは退院か否かによって点数が変わっているということで、患者さんに
とってはわかりにくい。診－診の場合は安くて、自分が特定機能病院から退院すれば
高いとか、中身のデータはあまり変わりませんが、お金が違うということでわかりに
くいということになっております。
　それから、そもそも何のためにこの情報提供をやるのかということは、１つは、病
診間の連携や医療機関間の連携の推進、あるいは無駄な検査、あるいは情報を最初の
医師から次の医師へきちんと橋渡しするというようなことが趣旨で行われてきており
ますが、実際は、この情報提供料があってもなくても、医療機関あるいは医師は当然
データをつけて情報提供を行いますので、この情報提供料という６種類の点数がどれ
ぐらい情報のやりとりに寄与しているかというのはなかなかわかりにくいということ
が今まで言われております。
　そこで「論点」でございますが、２ページの一番下、こうした医療機関間の情報提
供機能の評価につきましては、提供を行う機関と提供先の機関の属性に基づいて今評
価しておりますが、そうではなくて、退院患者の紹介時における退院後の治療計画と
か、そういう患者さんの役に立つような、あるいは、もらう側の医師にとって非常に
役に立つような、そういったデータ、提供される情報の内容に着目した評価体系にし
てはどうかというのは論点でございます。
　以上です。

○土田小委員長
　ただいまの説明につきまして質問、御意見等ございましたら、どうぞ。

○宗岡委員
　今御説明がありましたように、医療機関の規模だけではなくて、提供される情報の
内容に着目した評価ということであれば、私個人としては大いに評価したいと思いま
すし、ぜひそういう方向で改正が行われるように期待をしたいと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかに御意見ございましたら。

○松原委員
　私どももこの診療情報を患者さんにお渡しするときに、この（Ａ）と（Ｂ）があっ
て非常に説明しにくいというのも事実でございます。確かに、病院に行くときに資料
をつけねばならないという場合が多いのは事実ですが、説明するのが大変なものもご
ざいます。毎度のように、領収書の話のときに私が引き合いに出しているわけでござ
いますが、こういったことをなるべくなくしていただかないと、なぜある病院へ行く
ときには高くて、ほかのところには安くなるのか、そういった説明を一々していると
いうのが大変だということもございますし、これについては私どもも、適切な評価で
あれば、しかるべき方法によって変えていくのは賛成でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　１号、２号側、大分意見が一致して、これも非常に珍しい。

○山本委員
　診療情報というと、今まで医－医、医－診、病－診という、そういった形が多かっ
たわけでありますが、医療部会等の議論の中でも、在宅への円滑な移行、あるいはわ
かりやすい情報提供をという要望があり、あるいは医療安全をどう確保していくかと
いうことが今後の医療提供体制の中で十分に求められています。そういった意味から
考えますと、今後は、診－診あるいは病－病という連携以外に、やはり医－薬、ある
いは薬－薬といったような連携も当然必要になってくるだろうと思います。現在、前
の調査の方にもございましたけれども、薬局、保険薬局からは、もちろんおくすり手
帳という形で調剤情報を患者さんにお渡ししておりまして、それが多くの医療機関の
方で評価されています。一方で、病院の薬剤部からも、積極的に手帳を使って、いわ
ゆる退院情報とか、院内投薬の状況等についての情報提供がされている実態がござい
ますので、今後議論をする上で、病－診であれ病－病だけではなしに、病－薬、ある
いは医－薬－薬といった連携につきましても、その評価についてぜひ御検討いただき
たいというふうに思います。情報に着目した内容という意味では、ぜひ御検討いただ
きたいと考えております。

○土田小委員長
　大事な指摘だと思います。
　よろしいでしょうか。ほかに御意見ございましたら、どうぞ。
　それでは引き続いて、次の議題に移りたいと思います。次は、「コンタクトレンズ
に係る診療の評価」について議題としたいと思います。
　事務局より資料が提出されております。説明をお願いいたします。

○事務局（麦谷医療課長）
　中医協診－５をごらんください。目が疲れないようにフォントを変えてございます。
コンタクトレンズですから。
　「コンタクトレンズに係る診療の適正評価」ということで、近年、酸素透過性に優
れたコンタクトレンズとか使い捨てコンタクトレンズ、いろいろなコンタクトレンズ
が出ておりますが、利用者は１，５００万人に達しているということでございます。
　コンタクトレンズの市場規模でございますが、３ページをお開きください。グラフ
がつけてございます。一番上の線がトータルでございますが、１，５００億円の市場
規模になっております。そのほとんどは、もしカラーのものをお持ちの方はすぐわか
ると思うのですが、ブルーと黄色が外国の、特に黄色が外国のコンタクトレンズでご
ざいまして、白黒のをお持ちの方、上から３番目の非常にシェアの大きいもの、これ
はほとんど輸入物でございます。日本の国内のものは、カラーをお持ちの方は赤でご
ざいまして、下から２番目、これが国内のコンタクトレンズで、圧倒的に輸入のシェ
アが大きい。それから一番下のカラーが紫の線はハードでございます。ということで、
市場規模は１，５００億円あって、ほとんど輸入がシェアを占めているというのをま
ず御理解いただきたいと思います。
　戻っていただきまして、診－５の１ページ、１，５００万人が装用していて、その
市場規模は１，５００億円である。これはコンタクトレンズだけでございますので、
これに付随する医療保険というのは莫大な金額が出ております。それで、では、コン
タクトレンズと医療保険はどういう関係かということでございますが、「現状」は、
コンタクトレンズの装用を一番初めに行うとき、開始するに当たっては、医療機関に
おいて眼科学的検査が行われ、確かに近視であるという診断がなされる必要はもちろ
んございます。それから、実際角膜の上につけますので、装用に伴う目の障害の発生
を早期に発見するため定期的に検査を受けることが望ましいと、これは医薬局も言っ
ております。それは参考資料をつけてございます。こうした環境の中で、いわゆる
「コンタクトレンズ診療所」と言われておりますコンタクトレンズの装用に関する診
療を専門に行う医療機関が世の中に多数開設されるようになってきております。
　「論点」でございますが、まず、このコンタクトレンズ装用に伴ういろいろな目の
検査は医療保険適用になるのかどうかということを整理いたします。そのことでござ
いますが、「論点」の（１）、コンタクトレンズ装用者に対しては、先ほど申し上げ
ましたが、装用に伴う眼障害の発生を早期に発見するため、定期的に検査を受けるこ
とは、これは勧奨されております。それから、当該定期検査は目の病気を予防するた
めに実施されますので、コンタクトレンズ装用者はほかの目の疾患に罹患する蓋然性
が高いという側面を有しています。したがって、当該診療が療養の給付の範囲内であ
るかについて明確になっていない、つまり、どっちがどうだということはなかなかは
っきりしていないという指摘がございます。
　このような考えから、コンタクトレンズに係る診療について、次のように保険給付
の範囲を明確化いたしたいと思います。１ページの一番下の黒ぽつでございます。初
診時に眼科学的検査を実施し診断を行うことは、屈折異常という疾病に対する療養に
該当いたしますので、保険給付の対象でございます。２ページ、次の黒ぽつでござい
ますが、コンタクトレンズの装用者が自覚症状を有して受診する場合など疾病に罹患
していることが強く疑われる場合は、当然でございますが、療養の給付の対象となり
ます。ただし、屈折異常に対する継続療養中、急に治ったりしませんので、したがっ
てこれは初診料は１回で、次からは初診料ではなく再診料を算定することとなります。
その次の黒ぽつですが、では、どういう場合が保険給付の対象とならないかというこ
とでございますが、コンタクトレンズの装用者に対して、本人の自覚症状がないにも
かかわらず実施される定期的な検査については、疾病に対する療養と見なし得ないこ
とから、これは当然ですが、保険給付の対象となりません。
　こうやってさばきますと、レセプトはみんな「何とかの疑い」になってきますので、
実際は保険請求されます。そこをどうするかというのが次の課題でございます。
（２）、コンタクトレンズに係る診療は、ⅰ）実施される眼科学的検査がほぼ決まっ
ており診療内容が定型的であります。ⅱ）コンタクトレンズを装用している患者に対
する診療は、屈折異常に対する継続的な診療であるにもかかわらず、一定期間が経過
すると、一定期間というのは３カ月でございますが、初診料を再度算定する場合もあ
ります。こういうのが散見されますので、診療報酬上の評価の在り方について検討す
ることとしてはどうか。
　具体的には、どのような検査が行われているかでございますが、参考３というのが
７ページにございます。コンタクトレンズ診療において実施される主な検査、算定さ
れる点数というのをそこに掲げてあります。そうすると、初めてコンタクトレンズを
つけに行くと、この検査をしまして、眼圧までやりますと７４６点ですから、約７，
５００円、本人の負担２，２５０円が払われるということでございます。再診はそこ
に書いてございますが、１，９００円ぐらいが算定されるということでございますの
で、これが定型的な検査であろうということがわかっております。
　戻っていただきまして、２ページの（３）、コンタクトレンズの処方を主な目的と
するなどコンタクトレンズに係る診療に特化した医療機関について、その評価の在り
方を検討してはどうかということで、特化した医療機関というのは、例えば１月のレ
セプトが仮に１，０００枚あるとします。そうすると、８８０枚がコンタクトレンズ
に係る検査だったということであれば、それはコンタクトレンズに係る診療に特化し
た医療機関ということです。今のは仮に私が申し上げただけで何も決まっておりませ
んし、これは御議論いただきたいと思います。
　以上です。

○土田小委員長
　ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞ。

○対馬委員
　医療財政が大変厳しい中でさまざまな議論をしているわけですけれども、コンタク
トレンズについては、例えば求人なんかをずっと見てきますと、ほかの内科とか外科
医なんかに比べて非常に高いですね。しかも、若干というより相当乖離があるという
こともあって、それは保険外のケースはちょっと別にして、保険内診療の場合ですら
そういった状況があるわけですから、やはりここは診療報酬上の問題として、今書か
れているような方向でもって進めていくのがいいのではないかなと、こういうふうに
思います。

○小島委員
　私も今回のこの「論点」に出されているような方向での見直しが、基本的には必要
ではないかと思います。けれども、今は定期的な検査については保険適用になってい
るということですので、それを見直しをすると、保険適用から外すということになり
ます。そのため、患者の自己負担というふうになりますので、利用者への説明として、
定期的な検査の必要性について、きちっと利用者にわかりやすく説明することが必要
ではないかと思います。

○宗岡委員
　一般にこのソフトのコンタクトをやっている人にいろいろ聞いてみますと、実態と
して、なぜこんな検査をやらなければならないのかという矛盾があって、中には、コ
ンタクトレンズ屋さんのところにカーテンで仕切って、その横に先生がいらっしゃる
とか、そういう実態があるというふうに伺っているのですけれども、この提案にあり
ますような内容で私は個人的に賛成したいと思うのです。ただ、定期的な検査につい
ては保険給付の対象にならないということになるわけですけれども、そうしたときに、
現在、販売店においては目の異常がなくても購入の都度検査を受けるということを強
く勧めると、場合によっては受けないと販売してもらえないとか、そういうケースも
あるというふうに聞いていまして、そのような場合の検査がこれに該当するのだとす
ると、やはり今小島さんがおっしゃったような混乱が起こる可能性があるということ
で、中医協のマターではないかもしれませんけれども、コンタクトレンズの購入と検
査の関係について、やはり販売店に適切に掲示をするとか、そういうことをしっかり
やらせて、混乱が生じないように、総合的に対応していただくようにお願いしたいと
思います。

○事務局（麦谷医療課長）
　これは、眼科検査を実施する眼科学会、眼科医会とももちろんお話をしますし、そ
れから今言われた販売形態について医薬局ともよく相談して、もし通知を出す必要が
あれば、そのように対処したいと思います。

○土田小委員長
　よろしいでしょうか。ほかに御意見等ございましたら。

○松原委員
　この件に関しましても私どもも学会に問い合わせて、いろいろと学会もこういった
御意見もお持ちだということを申し添えさせていただきます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　それでは、次の議題に移らせていただきます。次は、「地域加算に係る診療報酬上
の評価の在り方」を議題としたいと思います。
　事務局より資料が提出されています。説明をお願いいたします。

○事務局（福田企画官）
　お手元の資料、中医協診－６をごらんいただきたいと思います。「地域加算に係る
診療報酬上の評価の在り方について」でございます。
　まず、「現行の診療報酬上の評価の概要」でございますが、この地域加算につきま
しては、平成６年度の診療報酬改定におきまして、地域差、特に物件費等の地域差が
厳然としてあるという、そういった地域差の是正を図る観点から、医業経営におきま
す地域差に配慮いたしまして、当時の入院環境料、これに対する地域加算を創設をし
たというものでございます。
　具体的には、その下の丸でございますが、地域加算は、別に厚生労働大臣が定める
地域区分、４つの地域区分でございますが、による地域に所在する医療機関に対して、
４区分に分けて加算をしている。具体的な概要は、その下の四角い表のところでお示
しをしているというところでございます。この、「別に厚生労働大臣が定める地域区
分」ということにつきましては、これは国家公務員の給与の調整手当の地域区分を基
礎としているということでございまして、現行の地域加算のつくりと申しますのは、
国家公務員の給与の調整手当の調整区域、そして調整率をそのままなぞった形でこの
地域差を入院環境料に加算をするという形でつけているということが基本であるとい
うことでございます。
  ２といたしまして、「現行の診療報酬上の評価の課題」でございます。診療報酬に
おける地域加算は、先ほど申し上げましたが、国家公務員給与の調整手当の支給割合
及び支給区分を基礎としているところでございますが、本年の国家公務員給与に係る
人事院勧告、これにおきまして、まず、月例給の引き下げというのがあるのですが、
その次のぽつでございます、現行の調整手当にかえまして、新たに地域手当というも
のを新設をいたしまして、支給地域及び支給割合について、現行の４区分から新たに
６区分に分類をするといった内容の勧告がなされておりまして、これは３ページのと
ころに別紙１として、具体的には参考までにおつけをしてございます。また、この勧
告どおり、先般、給与関係法の改正が行われまして、平成１８年４月から施行される
ことになったということでございまして、それにつきましても、これは資料の４ペー
ジでございますが、別紙２としておつけをしているというところでございます。
　２ページにお移りいただきまして、「論点」ということでございますけれども、国
家公務員給与の地域手当の新設に伴いまして、地方加算における地域区分等について
も同様に、見直すことを検討してはどうかということでございます。ちょっとこれだ
けではわかりにくいと思いますので、お手元の資料の６ページのところをごらんいた
だきたいと思いますが、こちらの方に、現行の部分とそれから改正後の形ということ
で、抜粋した形でお示しをしているというものでございます。このうち、横の軸の部
分、１２％、１０％、６％、３％といいますのは、これは現行の調整手当という形に
なります。そして、この縦軸の方が、今度は１８％から３％まで６区分に分かれてい
る、これが新たに１８年４月から適用されます地域手当という形の区分でありまして、
その調整率という形になるということでございます。それぞれのマトリックスに入っ
ておりますのが、都道府県庁所在地または人口３０万人以上の都市だけとりあえずピ
ックアップをして、具体的にどの地域がどこに当たるのかというものをお示しをした
というものでございまして、例えば東京都の特別区でございますと、現行は１２％の
調整手当の地域に当たるわけでございますが、改正後は１８％の地域手当というとこ
ろに該当するという、そういったことでこの表を読んでいただければというふうに思
います。
　ちなみに、調整手当それから調整の具体的な地域割りにつきましては、まだ現在、
最後の調整中というところでございまして、最終的な決定というのは、来年の２月、
３月に明らかにされるというふうに聞いてございます。
　事務局からの説明は、以上でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして質問等ございましたら、どうぞ

○松浦委員
　これは人件費を対象にしてお考えなんですね、そのことをまず確認させていただき
たいと思います。

○事務局（福田企画官）
　平成６年の当時の議論を見ますと、１つは、資本形成コストがいろいろ違うのだと
いう議論が前提としてあって、そこで、その具体的な内訳として物件費・人件費とい
うところが議論をされたというふうに、記録としては残っているところでございます。

○松浦委員
　「平成１２年以降は、現行の入院基本料、特定入院料に対する加算」というと、こ
れはやはり対象とするものは人件費なんでしょうか。

○事務局（福田企画官）
　物件費・人件費が対象になると思います。

○松浦委員
  私は実は人勧の考え方そのものがちょっとおかしいと思っていまして、それで、よ
うやく国が慌てて、小泉さんが大勝したら行革行革と、大きなきしみを見せてやって
いるのですけれども、口幅ったいようですけれども、私は１６年に当選しましたから、
１５年前、ぼんと表に出して行革をやりかけたのは１３年前ですね。１３年前から実
はやっているわけです。その手段は、やはりちゃんと給料は出すものは出さないとい
い職員は来ませんから、ただ、無駄はとにかく徹底的に省かなければいかぬと、そう
いう考え方でやっているわけです。端的に粗っぽい言葉で言えば、無駄を省いてでき
るだけ余計に仕事をして、仕事をした者は金を取れと、こういうことなんです。今こ
れを見ますと、見ますと言っても、私の坂出市なんかはゼロのところなのです。何か
隣の町は、高松はプラス４．８％とかなんとか、こんなことを言っているわけです。
こういうことを言うと、これはもうそんな先入観を持ってはいけないとおっしゃるか
もしれないけれども、ようやく東京の官庁ですとかそれから国家公務員の上級職です
ね、そういう人たちも入ってきてくれるような状況になっているわけです。それをま
た、こういう逆戻しにされますと、非常に私は不満がある。
　その不満を背負って申し上げますと、むしろこれは逆ではないかと思います。人件
費に限って言うのであれば、私は市長会でこういう議論をしたことがあるのです。
「今のお医者さんの給料は率直に言って高すぎるのではないか。だからもう少し下げ
るべきだ」と私は言いましたら、東北の方の市長さんが、「いや、もうとにかくそれ
は市長のところはどうか知らぬけれども、本当に医者がいないのだ。金を出さなけれ
ば来ないのだ」と、こういう切実なことをおっしゃったことがあるのです。ですから、
そういうような地域間の事情というものがあるということを十分お考えいただきませ
んと、といって、これを逆にして、例えば非常に医療過疎の地域に持っていってどん
どんつけますと、これは点数がついたのだからもっと上げろもっと上げろと、こうい
うことになるかもわかりませんから、こういうような考え方でなくて、やはり医者を
どうやって過疎の地域に持っていって不足が起こらないようにするかというのは、根
本的に考えていかなければいかぬ問題だと、そういうふうに私は思います。それで、
こういうようなやり方というのは私は反対いたします。
　意見ですから、回答は要りません。

○土田小委員長
　貴重な意見として受けとめておきたいと思います。

○松浦委員
　ぜひひとつ。

○土田小委員長
　今の松浦委員の御意見に対しては事務局は答えようがないですね。
  ということで、ほかに御意見ございましたら、どうぞ。

○松浦委員
　反対意見がなければ全員賛成ですね。

○石井委員
　人件費問題はそれほど単純ではなくて、医者に関しては地方の方が高い、それから、
その他看護師やなんかについては地方の方が低いという現実がありまして、ですから、
我々病院団体で議論をしていましても、その辺ではみんな立場の違いが正直に出てい
ます。民間病院で見ていきますと、やはり都市部においては人件費が高いので、病院
の経営は、人件費が高いところの方が悪いという現状があります。民間病院であって
も、実際上、人件費に関してはほぼ人事院勧告準拠のところが多いわけですので、な
かなか医者の問題だけでは結論づけられない。大体病院については、医者１に対して
その他職員９名ですので、医者の給料だけを見て議論するわけにいかないので、総合
的に検討していただきたいと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかに御意見ございますでしょうか。
　よろしいですか。今日は非常に順調に進んでおります。
　それでは、一応今回議題として取り上げたのはこの５点でございますが、最後に、
前回１２月７日でございますが、この基本小委におきまして、「医療提供体制の改革
に係る診療報酬での取扱い」について御議論いただきましたが、その際、青木委員よ
り、有床診療所について資料を提出したいという発言がございました。
　本日資料が配付されております。これについて青木より説明をお願いいたします。

○青木委員
　委員のお手元には２種類の資料があるかと思います。１つは、「平成１７年度有床
診療所に関する検討委員会報告書」でありまして、もう１部は、左上がとじられた
「有床診療所の実態に関する資料」と。実は、下に、最初に言いました報告書をもと
に、その概要版をつくったものがとじ込んだものでございますので、本日は、この概
要版で説明をさせていただきたいと思います。
　先回私が有床診に関しましてお話をさせていただきましたことは、医療部会の方で
有床診についていろいろ討議をされてきたと、そのことについて、またそれを受けて、
私どものこの中医協で残された仕事があると言うと、ちょっと言葉がよくないかもし
れませんが、医療部会では、有床診療所の４８時間規制を撤廃すると、それから、撤
廃したかわりにというわけでもないでしょうが、基準病床にカウントする、この２つ
が決められてきたということで、この問題というのは、有床診療所もしくは私ども医
師会での討論の中でもう１つ非常に大事なことがある。それは、不当に低い入院基本
料を、そこそこにまでは引き上げていただきたい。これはよく医師会の会合では出て
きますが、田舎のビジネスホテルよりも安い、こういう言い方をいたしております。
不当に低い入院基本料は引き上げていただきたい。ただ、そういうことを言うだけで
もいけないということで、本日の資料を提出させていただきました。
　この調査は、本年の２月～４月にかけまして、日医総研で、全国有床診療所連絡協
議会の協力を得まして、対象になりましたのは４，４７０医療機関でございますが、
１，１３１施設から回答を得ました。調査結果につきまして、有床診療所の人員配置
のこと、それから財務のこと、それから提供している医療の内容のこと、それから患
者さんの視点という、この４つの観点で行いました。本日の資料の一部に、この調査
と並行して、熊本県で行いました補足調査、並びに平成１５年に熊本県で行いました
有床診療所の実態調査結果も少し比較対照等のために交えて説明をさせていただきま
す。
　まず最初に、１ページの人員配置のことでございますが、表１についてでございま
す。全施設における休日夜間の平均人員配置状況を示しておりますが、配置は必須と
なっていないわけではありますけれども、きちんと看護師さん等配置されているとい
う状況が読み取れると思います。
　表２でございますが、人員配置の状況であります。I群１とかI群２という人員配
置の高い水準の医療機関が多うございまして、高い水準で配置されております。
　表３は、これは厚生労働省の資料であります。参考までに掲載をいたしました。入
院基本料届出区分別に見ますと、I群２が、施設数、患者さんともに最も割合が高く
なっております。入院患者はI群１とI群２、この２つを合わせますと約８割を占め
るという状況であるということがおわかりいただけると思います。
　次のページをお願いします。ここには財務状況を示しておりますが、上の四角で囲
んでございますように、「財務状況は厳しい。医業収入・経常利益の中央値や最頻値
は平均値より低い」、この２つを申し上げたいと思います。
　表４は、今回の調査で得られた財務の結果でございます。対象は、財務の質問に答
えた６２８施設であります。左側、個人の収支差額欄は３，３００万円ほどになって
おりますが、これは院長の給与等が含まれる金額でございます。
　その下にございます図１は、法人施設の経常利益について、４６７施設の分布を示
したものであります。上の表４に示すように、経常利益は１，５６７万４，０００円
でありますが、中央値や最頻値ははるかに低い水準にあるということがおわかりいた
だけると思います。これは平均値が、一部の規模の大きい、手術が多い施設等に専門
に特化したといいますか、そういうところに引っ張られているということでございま
す。この分布からおわかりいただきますように、平均値だけでは現場の状況を正確に
把握することができていないというふうに考えられます。
　次のページをお願いします。ここの図２、一番上の図でございますが、これは平成
１３年から３年間の経年変化を示しております。収入の目減りに加えて、平成１４年
の診療報酬改定の影響もあって、法人も個人も経常利益が悪化をしております。
　その下にございます表５をごらんいただきたいのですが、これはちょっとわかりに
くいかと思いますが、黒字の施設と赤字の施設の差を示してございます。病床数とか
医師数とか、そういうところであまり大きな差はございませんが、外来患者数と外来
収入において違いが大きい。つまり、有床診療所は、入院施設であるにもかかわらず、
入院だけではやっていけなくて、外来収入に依存しておるというということがおわか
りいただけるのではないかと。点線で囲んでございます。
　私どもが出しましたこの財務の状況についての検証といいますか、他の調査と比較
をするという意味で、一番下の表６をごらんいただきたいわけですが、真ん中に書い
てございますのが今年の中医協の医療経済実態調査のデータでございます。一番上の
医業利益率を見まして、本調査では４．７％でございます。平成１７年６月の医療経
済実態調査では９．９％。ただ、一番右にTKC M-BASTのデータを記載してございます
ので、こういうふうな状況にあるのだというふうにごらんをいただければと思います。
私どもとしましては、医療経済実態調査は、客体数が少なかったこととか単月であっ
たというようなところがやはり考慮する必要があるのではないかというふうに考えて
おる次第でございます。
　次のページをお願いします。有床診療所というのは、専門性の高い医療、それから
在宅医療を提供する、それから休日夜間の救急等に対応していくというような多様な
医療提供ということで、近くの住民に、要するに近隣の住民に非常に上手に対応して
いるのではないかということを申し上げたいということでございます。まず一番上の
図は、いわゆる専門医療として、眼科とか産科で手術数がそれなりにたくさんござい
ます。そういう形の有床診というのがあります。
　それから一番下の図でございますが、これは、介護保険による訪問診療と、それか
ら医療保険による往診、この２つを合わせますと、年間で３４０ぐらいの在宅医療、
訪問・往診を行っておるということでございます。
　ページ、次をお願いします。これは、救急告示のことでございまして、外科、整形
外科では２割以上の施設で救急告示医療機関となっております。
　それから、一番下の図でありますが、これは熊本県での実態調査でございます。休
日夜間の受け入れを年間１００件以上行う医療機関が３４％ある、こういうことでご
ざいます。
　次のページをごらんいただきたいと思いますが、まず、患者さんの視点でどうかと
いうことでございまして、一番上の図で示してありますのは、入院をしていらっしゃ
る方、いわゆる利用者は、その診療所から近い距離にある方の御利用が多いというこ
とを示しております。
　下の表でありますが、患者さんの視点で見た場合に、患者さんの満足度を、このよ
うにデータとしては出ておりまして、入院患者さんの８０％ぐらいが、「非常に満
足」または「やや満足」というような形で評価をしていただいておるということでご
ざいます。ただ、これは、ｎ数が１１８とちょっと少ないというところがございまし
て、次のページをごらんいただきたいのですが、次のページの下、これも熊本の有床
診での調査でございますが、ｎは１，８９３で、ここで出ておりますのも、この有床
診で望んでいる医療が受けられたということについて、やはり８０％ぐらいの患者さ
んがある程度の満足を得ていただいておるというふうに考えてもいいのではないかと
いうふうに考えるところです。
　ちなみに、患者さんの満足度ということでは、次のページをごらんをいただきます
と、これは平成１４年に厚労省が行いました病院に対する患者さんの満足度の調査で
ございます。５０％ぐらいが「病院の全体的な満足度」というお答えでございますの
で、病院に対する患者さんの評価、満足度よりも、診療所の方が高いというふうに考
えられるというふうに考えます。
　長い時間、ありがとうございました。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして御質問等ございましたら、どうぞ。

○宗岡委員
　出していただいた資料で御説明いただいたことに感謝したいと思いますけれども、
このデータの読み方についてはもう少しよく我々も勉強しなければいけないのではな
いかと思います。前にも申し上げましたけれども、有床診全体で、日本全体で１０万
床以上あって、大量のベッドを抱えることによって日本の医療費が下方硬直的になっ
ているということも一方であるわけで、そういう観点で有床診が果たす役割というの
は何なのかということについての議論を真剣にしていかなければならないのではない
かと、このデータを見て改めて感じます。
　あえて感想を申し上げますと、要するに、有床診の中で本当に頑張ってやっていら
っしゃるところがあるということがある一方、そうでないと思われるところもあると
いうことで、したがって、実際に機能を果たしている有床診については全体として評
価をし、そうでないところはそうでないような対応をするという、全体としてのメリ
ハリが必要ではないか。したがって、有床診全体についての底上げというふうな議論
にこれがつながるというふうには、伺った範囲では読めなかったという感想を申し上
げたいと思います。

○土田小委員長
　ほかに御意見ございますでしょうか。

○対馬委員
　有床診のこの調査なのですが、一部こう実態が浮かび上がってきているところもあ
るのですけれども、ちょっと私どもよくわからないところもあるのは、１つはこの人
員配置のところで看護職員のことだけ言っていますけれども、まさに近隣の方々が一
番関心あるのは、いざ何かあったときに本当に大丈夫なのかというのはあると思うの
です。ですから、医師がまさに対応していただけるのかどうかというのは非常に大き
なポイントだろうと。夜間、休日、救急のところも、これは５ページに、熊本県のが
急に出てくるのですけれども、これは熊本県は一つの例なのでしょうけれども、まさ
に全国的な調査をやって看護師さんの配置などをお調べいただくのであれば、なぜ医
師をしなかったのか、ないしは、したけれども、今回データとしてお出しになれない
のかどうかと、そのあたりがよく見えないなと。
　それから、先ほどの宗岡委員の話にも関連するのですけれども、４ページ目に、専
門医療の手術とか分娩等がわかるわけですけれども、これは全体の中で、それ以外の
ところはどうなんだろうかというのが見えないですね。往診一つとっても、例えば３
００件とか６００件、非常によく頑張っておられるところは、これは一部出ています
よね。しかし、そうではなくて、手術とか分娩とか往診とかをやっておられないとこ
ろ、そういったところが一体どういった実態にあるのかということがわからないとい
うことだろうと。先ほどの宗岡委員の評価というか感想にもつながるのですけれども、
やはり機能に応じてということですから、そこのところがもう少しわかるようなこと
になってきますと、ですけれども、これだけ見ますと、やはりよくやっているところ
はよくやっているのだなと、そうでないところはよく見えませんねと、こういうこと
ではないかなという感想を持つわけです。

○松原委員
　よくやっているところがあると御理解いただいたのは非常にありがたいことでござ
います。
　有床診療所の中にも、分娩や眼科的手術に特化したところもございますし、さまざ
まなものが入っているのも事実でございます。ただ、私たちが申し上げたかったのは、
何をやっているかわからないというお話でございましたので、地域密着、特に地方に
おいては大変な役割を果たしているのだということを御理解いただきたいということ
でございます。したがいまして、大きな病院がない地方においては、近くでアクセス
できて、１人の医師が最後まで責任を負って対応する、こういったことが、逆に非常
に地域の信頼を得ているということでございます。当直体制につきましては、地方に
おいて、ほかのバックベッドがないところにおきましては、１人の医師が２４時間体
制で対応しています。ただ、それも患者さんにとっては、その人がすべて最後まで責
任をとるという体制であることも非常に意味のあることでございます。
　もう一度申し上げますけれども、大都会だけで考えますと、何でこのような医師１
人の者が残るのかというような疑問もお持ちだろうと思いますけれども、地方におい
ては、こういったことが役割を果たしているのだということを御理解いただきたく思
います。有床診療所におきましては、２人医師を配置したときには４０点ほど点の加
算がございますが、実際それで計算いたしますと、年間で２８０万円ぐらいにしかな
りません。２８０万円で１人の医師が雇用できるかというと、無理でございます。地
方の、特にほかに大きな病院がないところにおきましては、かなり疲弊しているメン
バーもいらっしゃいます。ぜひそのあたりを御理解賜りたいということで、お出し申
し上げました。

○青木委員
  １つは、有床診というのはすごく多様性があるというふうにお考えいただきたいと
思います。
　それから、入院の患者さんがいらっしゃるということは、常時医者との連絡がとれ
るということでもありますし、患者さん、近隣の患者さんも、多くの場合は、例えば
救急告示で何か大きな宣伝をしていなくても、電話すればいいという、通ずるのだと、
相談ができるのだという、ビル診とはやはり違う、地域に密着したというところがあ
って安心感を得られておるということが非常に大きなことなのだというふうに私ども
は考えている次第です。

○宗岡委員
　青木先生と松原先生がおっしゃる意味もわかるのですけれども、例えば今日御説明
いただきませんでしたけれども、この報告書を拝見いたしまして、配付されている報
告書の２ページから３ページにかけて、今後の在り方について述べていらっしゃるわ
けですけれども、これを今ここの場で議論するだけの知識は私はございませんけれど
も、これを見ても、例えば２ページの真ん中からちょっと下に「有床診療所は基本的
に１人医師による自由裁量の適切な発揮によってその役割を全うする」、そういう役
割を負っていると。つまり、１人医師でやるということが大前提になっているのだと。
右の上の方には、「有床診療所病床を医療計画上の基準病床数として算定することは、
医師の新たな地域医療活動への参入を阻害するものであり認め」られないと。「この
規制撤廃に伴って新たに医師・看護師等の配置を要件とすることについても、地域に
おける従来からの医療の継続を不可能とするものであり容認できない。」。下の方の
ブロックでも、新たな有床診療所の機能を区分することにも反対であるというふうに
述べていらっしゃるわけです。
　そういう考え方でありますと、全部、いかに多機能をやっていらっしゃるとしても、
みんな一緒に何かしろというふうに聞こえるのですけれども、それは現時点でそうい
う議論は恐らく国民的な理解を得られないのではないかと。有床診が本当に役割を果
たしているところについては我々も理解したいという意識を持っていますけれども、
全体と、その結果の平等を求めるような議論というのは我々はなかなか容認できない
ということです。
　そういう意味で、この調査は医師会の方々が中心になっておやりになったと思うの
で、その果たしている機能についても含めて、中立的な方々も含めた調査をぜひしっ
かりやっていただいて、その上で、この議論がさらに進められるように期待をしたい
と思います。

○青木委員
　この文章、２ページ、３ページは、今お読みいただいたように、有床診の私どもの
委員会としてはこういうふうでありたいという形で会長に答申を出しておるというこ
とでございます。今年の医療部会の中で決まってきたことは、基準病床数にはカウン
トしてほしくないと言っておるわけですが、カウントされることになったわけです。
そういう形で、やはり徐々にこれも変わっているわけですので、私どもの意志だけを
強引に主張しているとか、そういうつもりではございません。ですから、できるだけ
いい形になるように持っていかなければいけないという意識は、私どもとしては持っ
ているというふうに御理解いただけるとありがたいのです。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　この有床診につきましては、また改めて議題としていきたいと思っておりますので、
そのときに引き続きお願いしたいというふうに思います。
　それでは、非常に珍しいことで、多分僕が基本小委のこの役割を果たすようになっ
てから初めてではないかと思いますが、予定時刻より３０分ほど早く終わることがで
きました。もう１つ議題が欲しいところですが、今日は早くやったということで、今
回はこれで終わりにしたいというふうに思います。どうもありがとうございました。
　次回の日程につきまして予定がありましたら、お願いします。

○事務局（麦谷医療課長）
　次回は、あさって９時半から行います。それから、１２月中はあと１回。２１日水
曜日、これも９時半からということでお願いしたいと思います。
　以上です。

○松浦委員
　来年の予定はまだわかりませんか。

○事務局（麦谷医療課長）
　来年は、１１日がたしか水曜日なのですが、まだ決めていませんが、１１日より前
にやることはありません。

○土田小委員長　それでは、どうもありがとうございました。



【照会先】
厚生労働省保険局医療課企画法令第１係
代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２８８）