05/12/12 第8回社会保険新組織の実現に向けた有識者会議平成17年12月12日議事録 第8回 社会保険新組織の実現に向けた有識者会議                      日時:平成17年12月12日(月)                         18:00〜19:55                      場所:厚生労働省 専用第18〜20会議室  佐藤座長 定刻でございますので、ただいまより第8回目の「社会保険新組織の実現 に向けた有識者会議」を開催させていただきます。本日の委員の皆さんの御出欠ですが、 袖井委員が御都合により御欠席です。  前回は組織改革法案に盛り込みます事項につきまして、論点整理メモを基に議論をい ただくとともに、人員削減計画等について御議論いただいたところですが、本日はこれ らについてのとりまとめを行いたいと考えております。  それでは、まず本日の議論に先立ちまして、先日、年金個人情報の業務目的外閲覧問 題についての調査結果が出たということでございますので、事務局より説明をお願いし ます。  村瀬社会保険庁長官 その前に私の方から。去る12月5日に、今御指摘のありました 年金個人情報の業務目的外閲覧につきまして公表をさせていただきました。後ほど詳細 は総務課長から説明させますが、1,500名ほどの職員が業務目的外閲覧をしたことが判 明しました。さらに、昨年の6月以降規定を設けておりまして、業務外閲覧をするなと いうことを決めたわけでございますが、それ以降も残念ながら職員が閲覧をしていたと いうことでございます。新組織に向けて御議論をしていただいている中で非常に残念な 結果でございます。長官としまして深くお詫びを申し上げると同時に、厳正な処分をし っかりさせていただくことによって信頼の回復に努めたいと。  今後の防止策については、実は今年の1月から一人一枚カードにした上で監視システ ムを導入しておりまして、それ以降は現段階まで、非常勤職員を含めて4名ということ で激減しております。そういう点ではシステム的な面における問題点もあったかなとい うことで深く反省をしている次第でございます。  どちらにしましても、あってはならないことでございまして、今後こういうことが絶 対ないような形で運営をしてまいりたいということをお誓い申し上げて、お詫びのごあ いさつにさせていただきたいと思います。  佐藤座長 それでは総務課長から資料を説明してください。  石井総務課長 社会保険庁総務課長でございます。それでは私の方から今回の調査の 結果につきまして御説明を申し上げたいと思います。  資料1−1をご覧いただきたいと思います。今回の調査には、実は経緯がございます。 昨年春でございますが、年金改正法案の審議が始まるちょうどそのころ、国会議員の方々、 あるいは国民年金の収納に関して御出演いただいた女性タレントの方、それらの方々に ついて年金未納の問題が週刊誌などで取りざたされるということがございました。そう した情報が社会保険庁内部から漏れているのではないかという指摘も当時ございまして、 総理、当時の福田官房長官、女性タレントの方などについてオンラインシステムの通信 記録に当たる形で閲覧状況を調査したわけでございます。  その処分でございますが、昨年の7月16日と29日、2回に分けまして、およそ500 名の規模で処分がなされたわけでございます。今年になりまして社会保険庁改革そのも のが大きな問題となる中で、この2月から3月にかけて、自民党の検討を行っているワ ーキンググループの方でも改めて昨年のその閲覧状況のことが問題になりまして報告を した次第でございますが、その折に改めて全職員に対して自己申告の調査をすべきであ るということ、昨年の3月から6月までの間の当時の閣僚の方々、26名程度に限っての ことでございますが、念のために通信履歴を当たって、業務外の状況を把握すべきであ ること、そうした指摘もございましてやったわけでございますが、その結果、190名近 い者が業務外の閲覧をしていて、その半分近くが自己申告調査では閲覧をしていないと いうことを言っていた。  それだけの者が出てきたということが判明したことに及んで、これは徹底的に調査を やろうということで、この資料1−1の冒頭にございますように昨年の1月から12月ま で、年金の個人情報に接することができる立場にあった者について調査をしたわけでご ざいます。全ての国会議員の方々、自己申告調査で把握されました著名人、友人、知人、 そうした方々を対象に行ったわけでございます。  結果でございますが、長官の方からも申し上げましたように、業務目的外閲覧を行っ たと認めた者が1,574名という状況でございました。ちなみに、3つに時期を区切って ございますが、5月までは私ども、内規におきまして、業務外閲覧を明確に禁止する規 定というのを設けていなかったという不徹底な状態があったということでございます。 8月以降ということでその後の時期を区切っておりますのは、これも申し上げましたよ うに、昨年7月末に多数の者を処分したわけでございますが、その折に改めて業務外閲 覧は決してしてはいけないことを通知しているわけでございまして、そういうような時 期の区分で整理をしたものがこちらの数字でございます。  めくっていただきまして、これらの者が回数別にどんな分布になっているのかという ことでございますが、50回以上というところに2名いると。最多閲覧回数66回という 者もいたわけでございます。閲覧対象者別の数でございますが、国会議員の方々、それ ぞれこんな数字の閲覧があったわけでございますが、合計欄のところでございます。職 員と非常勤職員に分けて見た場合に8割の者が職員であったと。その中には8名の管理 職が含まれていたという大変ショッキングな結果がわかったわけでございます。月別の 閲覧者数、これは延べ数ということになるわけでございますが、合計欄のところをご覧 いただきますと、不徹底な状態がありました5月までのところで、およそ2,200名程度、 6月以降で350〜360名にわたる者がなお見続けていたということでございます。  閲覧理由は「興味本位」が圧倒的でございまして、「プリントアウトした者」が25名、 いずれも破棄をしたという申告になっております。他言したかどうかでありますが、23 名のうち20名は守秘義務がかかっている職場の上司などに話をしたという申告であり ます。問題はこのうち3名が外部に情報を出したということを言っておりまして、この 事実関係の確認を進めているところでございます。  3ページでございますが、昨年の3月に行った自己申告調査との関係でございますが、 閲覧したと申告をした者がこのうちの半分に満たない699名、閲覧をしていないと自己 申告の調査では申告した者が875名ということでございます。  以上、閲覧を自ら認めた者でございまして、(2)は自らの閲覧行為であることを否定 した者でございます。具体的に申し上げますと、社会保険オンラインの通信履歴上はそ の者が使用名義者となっているカードで閲覧したことが記録上確認されているにもかか わらず、そのことについて確認を求めるわけでありますが、自分は閲覧していないとい うことで否定をしている者が1,447名ということでございます。下のアスタリスクのと ころに書いてございますように、そのようなことを言う者に対しては、周囲の者が見た 可能性もあり得るということで、一通り聴取をいたしますが、なお周囲の者にそのよう なことをした者が見当たらないというような場合においては再三にわたって改めて本人 に問いただすということをやってきております。閲覧の状況でございますが、最多の者 が7回ということでございます。  閲覧対象者別の分布でございますが、国会議員の方々、著名人、それぞれこういう数 字で、職員と非常勤の区分では1,282名の者が職員であったということでございます。  4ページ、月別の閲覧状況でございますが、9割の者が5月までに見ているわけであ りますが、およそ130件の閲覧が6月以降も見られるということでございます。  今後の取り扱いでございます。まず処分でございますが、今回、閲覧行為を認めてい る者、そのことを否定している者、いずれにしましても処分をすることにいたしており まして、12月中に処分を行いたいと思っております。先ほど長官の言葉にもございまし たように、17年に入りましてから4件の行為が判明しておりまして、この処分も今回あ わせて行うこととしております。他言した者の中の問題事例3名でございますが、厳正 に調査をして、今回の処分に間に合えば一緒に処分したいということでピッチを上げて 作業をしております。  徹底を図るために、研修に加えまして、今後の人事にも反映しなければいけないと思 っております。5ページでございますが、まずは今回処分を受けた者については少なく とも平成18年度、次期の人事には昇任・昇格は行わないということでございます。戒告 以上の懲戒処分を受ける者、相当数出る見込みでございますが、そのうち事務所課長以 上の管理職にある者については管理職のポストから外すということを考えております。 懲戒処分の一段下の矯正措置の処分を受ける者、これも相当数考えられるわけでござい ますが、幹部職員、これは管理職の中でも上位の者でございますが、これについては次 の異動で管理職のポストから外します。それ以外の事務所課長などの管理職については、 原則、人事凍結でございますが、やむを得ず動かす場合においても職務の困難度の高い ポジションに移すということを考えております。非常勤職員で戒告以上の処分を受けた 者につきましては、次の採用は行わないというふうに考えております。  資料1−2が現在手続きを進めております処分の量定をどう考えているかという資料 でございます。業務目的外閲覧を行ったことを認めた者のみならず、自らそのことを否 定した者も処分することにいたしております。処分に当たっての考え方でございますが、 先ほど申し上げたような3つの時期、閲覧回数、一般職員であったか管理職であったか、 自己申告できちんとした申告をしているかどうか、それに応じて区分をいたしまして加 重をしていこうと考えているわけでございます。  加重の姿でございますが、3ページの別紙の方をご覧いただきますと、左側の区分の ところ、3つの時期に分けてございます。昨年1月から5月までのところは、先ほど申 し上げた昨年7月に行った処分との均衡を図る必要がございます。この関係で、処分量 定の欄でございますが、それらの者のうち自己申告がなされた者、これについては一般 職である5級以下の職員であれば昨年との均衡をとって口頭の厳重注意、幹部であれば 文書の厳重注意ということでございますが、ここにおいても回数が頻繁であればワンラ ンク加重をするということでございます。1月から5月に閲覧した者であっても、自己 申告を正直にしていなかった者、これは職務義務違反でございますので、矯正措置では ございませんで、懲戒処分ということにいたします。そういうことでこれは戒告という ことにする方針でございます。  6・7月の者でございますが、ここからは矯正措置は考えられません。すべて懲戒処 分でございまして、自己申告がなされていて、一般職の者、これが戒告ということでご ざいます。この者を軸にいたしまして、それぞれその対応によりまして加重をしていく ということで、この升目で一番重いのが自己申告をしなかった6級以上の職員で回数が 10回以上という者が減給10分の1、3カ月ということになるわけでございます。8月 以降はさらにその禁止行為を犯した度合いがきついわけでございますので、今、ご覧い ただいた6・7月の者、これをさらに一段階強めているわけでございます。先ほど触れ ました3名の外部に情報を漏洩した者でございますが、これは免職または停職というこ とでございます。  2ページの方に戻っていただきまして、今、ご覧いただいたのが閲覧行為を認めた者 についての処分でございますが、2ページの上の方、(2)閲覧行為であることを否定し た者に対する処分でございます。閲覧したことの事実を突きつけるようなことはできな いわけでございますが、しかしながら非難の仕方として、少なくともその者にカードの 管理が不適切であったということを申し向けることはできるわけでございます。明らか でありますので、そういう観点での処分を行うと。この場合、自らが閲覧した場合と同 等の処分を行うことを基本としたいと考えております。  4ページでございますが、否定した者についての処分量定を整理してございます。な お、これは閲覧を認めた者のうち自己申告をした者と同じ処分量定で整理をさせていた だいております。  2ページの方に戻っていただきまして、(3)のシステム運用責任者に対する処分でご ざいますが、昨年の7月まではカードの一人一枚化というものが導入されておりません でした。逆に言いますと、それまでの間は、大変申しわけないことでございますが、組 織として複数の者がカードを共用するという状況があったわけでございます。その状況 のもとでは、各組織にシステム運用責任者という者が指定されております。この者に対 する処分は免れないということで、これも今回の処分の対象にいたします。厳重注意、 文書ということでございます。  先ほどから出ております3名の外部に情報を出した者につきましては厳正に処分を行 うことにしております。  さらに監督者に対する処分でございますが、組織全体の指導監督責任についての処分 ということで、昨年7月の処分後も業務外閲覧行為を防止することができなかった、監 督が不十分だったということから、社会保険庁長官、社会保険庁次長に訓告の処分をい たします。  行為者の監督者責任についての処分ということで、業務センターの所長、地方社会保 険事務局長、これらの者につきましては、6月以降に管下職員による目的外閲覧、これ を防止するための周知徹底が不十分だったということで訓告の処分をいたします。実際 の所属長であります社会保険事務所長等に対しましても厳重注意の処分、文書でござい ますが、行うこととしております。6月以降に閲覧行為がない場合は口頭という処分を 考えているわけでございます。  最後に5ページでございますが、これらの懲戒処分、内規による矯正措置でございま すが、随伴効果ということで、一定の給与に対する制裁措置というものが決められてご ざいます。あわせてこれらの措置も講ずることになるわけでございます。私からは以上 でございます。  佐藤座長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明につきまして何か御 質問があれば。いかがでございましょう。  杉山委員 質問なんですが、去年、国会議員が、「あの方が未納だ」とか、「未加入だ」 というようなお話がぼろぼろ出た時期がニュースで報道されたりしてすごく大きな問題 になったと思うのですが、あのときの「国会議員が未加入だった」とか、「未納だった」 みたいな情報というのは、社会保険庁の方が見なかったら知ることのできない情報だっ たのかどうか。他からは漏れようがなかったのかどうなのかというのがよくわからない ので。実は一定の手続きをとればマスコミ関係者も見ることができるものなのか、そん なことはあり得なくて、本当に社会保険庁から漏れたとしか考えられないものだったの かどうなのかというのをちょっと確認させていただけたらなということと、あともう一 点、全然関係ないのですが、議員の方たちが未納であったというようなことを見た一般 の国民として、それに対してある程度対応はなされているのか。「ちゃんと国民年金払っ てくださいね」というような通知は行っていたのかどうなのかみたいなところを教えて いただければと思います。  石井総務課長 まず昨年の国会議員の方々に関するいろいろなお話、社会保険庁以外 にそういう情報が流れるような性質のものだったかどうかという御指摘でございますが、 当時、いろいろな方についてそういうようなお話が週刊誌などにおいて取りざたされま した。どれが正確な情報でどれがそうでないかという吟味を私どもはしてございません。 ただ、私どもはこれまで、先ほども申し上げたように、昨年の7月、今年に入りまして 4月、そして今回でございますが、社会保険オンラインシステムの通信履歴に当たる形 で全ての国会議員の方々についてだれが閲覧をしたのか、特に業務外ということで考え られる者はどうなのか、当たってきたわけでございます。考えられる者について絞って いく形で本人の認識も正してきたわけでございますが、国会議員の方々に関して申し上 げれば、その方々のものは見たけれども、外部にそれを出したというようなことを言う 者は現在のところおりません。そこのところはなかなか推測も絡むような話で難しいわ けでございますが、現状においてはそういうことでございます。  川崎厚生労働大臣 そうじゃなくて、マスコミの関係者は何かの関係で知る方法があ ったのかと問われている。要するにそのデータはマスコミの人でも見られたのか。  石井総務課長 失礼いたしました。その情報でございますが、マスコミの方々が照会 をいたしましても、例えば本人の許可がきちんと明快な形であるというようなことでな い限り、これは個人情報の最たるものでございますので、その照会に応ずるということ は、私どもはしてございません。  川崎厚生労働大臣 私は国会対策で、担当でやっていましたから申し上げますが、基 本的にはデータを、外部の人からアクセスがあって、外部の人がアクセスして見たとい うことはないです。内部であるという確証はない、しかし外部から見られるということ のスキームにはなっていないということだけは御理解いただきたい。国会議員の未納で ある人たちにさかのぼって納めたらという法律をつくりましたが、残念ながら通らなか ったということもありました。  もう一つは、国会議員が何で納めなかったのかというと、一つは、国会議員は納めて はいけないという期間があった。国会議員は互助年金がかかっているから納めてはいけ ないという期間があった。それから任意で納めなさいという期間があった。それから強 制になって、掛けなさいという期間があったということが一つ。もう一つは、政務官と か大臣をいたしましたときに、例えば私の場合でしたら、今、厚生労働省の短期共済に 入っています。健康保険は共済に入っている。ところが長期共済には入っていません。 そうすると、擁護するわけじゃないけれども、国会議員の立場からいうと、短期共済に 入っているんだから当然長期共済も入っているだろうという勘違いをした。だけどその 法律をつくったのは誰といったら、国会議員が作ったのでしょうということで、いろい ろな意味で国会議員が責任をとった。最終的に法律を作った責任は国会議員にあるわけ ですから。そういう意味ではいろいろな方々が責任をとられたり、おやめになったりと いう形が相次いだというのが結果。  半分以上の国会議員が、周りでいろいろなデータが出てきて、やっぱりおれは国民の 前に明快にしなければならないということで、自ら進んで自分の経歴を発表された。役 職にある人は別として。役職にある人たちは何年何月以降、強制になったときにちゃん とかけていましたかということを問われたわけです。それは発表した。しかし、かつて 共済じゃない期間はどうしたかといったら、いろいろな大臣が立たれて、全部正直に、 大学生のときはどうでした、司法修習生のときはどうでしたという、こういうことまで 研究されてしゃべられた方もいらっしゃった。それは一人一人の政治家の判断としてお 話になった。こう理解しております。  杉山委員 複雑なものはある程度対応というか、手続きしやすくなったのでしょうか。  川崎厚生労働大臣 今は事実上強制に近い形になっています。あれは、国会議員は払 うようにシステムをつくったのか。  石井総務課長 もうちょっと補わせていただきますと、新たに国会議員に就任なさっ た方については、ルートが2つございます。私どもの方に照会していただいて対応させ ていただくというのもありますが、もう一つは、衆議院なり参議院、こちらの事務局の 方がいろいろな御相談に応じて、そして私どもへの照会が必要なケースの場合にはそち らを通じて御連絡いただいて、必要な手続きの履行をお手伝いさせていただくと。こん なような仕組みになってございます。  川崎厚生労働大臣 衆議院、参議院の事務局が、もし入っていない人がいたら入りな さいということをするようになった。逆に言えば、それまではだれも何もしなかった。  陶山委員 単純な質問でやや恐縮ですが、資料1−1の5ページのところの(3)という のがありまして、矯正措置の処分を受けた者のうち、幹部職員の扱いについてと。この 後段の部分で、「やむを得ず異動を行う場合にあっても、職務の困難性の高いポジション に異動させる」という記述があります。通常、職務の困難性の高いポジションへ異動さ せるというのは、難しい仕事ができる能力があるから、その人の仕事の能力を評価して そういうポジションに異動させると考えるのがある意味で常識だと思うのですが、ここ に書いてある意味は、恐らくは別途の意味を込めて表現されていると思いますので、こ の表現の限りでは私には理解ができませんから、若干御説明をお願いできればありがた い。  石井総務課長 補足の説明をさせていただきます。この「職務の困難性の高いポジシ ョン」、これだけですのでちょっとわかりにくい点があろうかと思いますが、要はきつい ポストということでございます。それは肉体的、精神的になかなか苦労が伴う、消耗す る、こういうポストがございますので、そういうところで、何しろ人並み以上の苦労、 汗をしっかりかいてもらうと。こういう趣旨での表現でございます。  陶山委員 懲罰的な意味合いであると理解いたします。  佐藤座長 あと何かございますか。よろしゅうございますか。それでは次の議題もご ざいますので、次に入らせていただきます。  最初に組織改革法案関連の御議論をいただいて、その後、人員削減問題につきまして 御検討いただきたいと思っております。組織改革法案につきましては、どういう内容を 盛り込むか、盛り込むべき事項につきまして前回各委員から御議論いただいた上で、御 了解いただきましたように、稲葉委員、陶山委員、私とでさらに前回の御議論を踏まえ て整理したものを御提案申し上げるということでございました。そこで、「組織改革の在 り方について」の案でございますが、資料2がございます。これを用意させていただき ましたので、これを稲葉委員の方から御説明いただきたいと思っております。よろしく お願いします。  稲葉委員 それでは私の方から説明させていただきたいと思います。資料2に沿って、 ただし前回一通り説明をさせていただきましたので、今回は変わったところ、あるいは 詰めたところがございますので、その辺を中心に説明をさせていただきたいと思います。  まず、最初のところですが、書き出しから、ここは基本的に前回と同様でございます。 新組織実現会議においては、これまで、(1)ということで、業務改革の面で「業務改革プ ログラム」、それから(2)といたしまして、職員の意識改革という面で「新人事評価制度」 についてとりまとめを行ったということでございますが、今後引き続きこれらの実施・ 試行状況についてフォローアップを行うということで、その点を書き加えさせていただ きました。とりわけ「新人事評価制度」につきましては試行的な側面がありますので、 引き続きフォローアップをしていくということが大事かと思います。  続きまして組織改革につきまして、「社会保険庁を事実上解体し、年金運営新組織を設 置するものであり、これまでの社会保険庁における組織の構造問題を一掃することので きる組織改革が必要である」ということをはっきりとさせまして、したがって、「前例に とらわれない新しい組織を実現することが必要である」ということ。他方では、(2)とい たしまして、年金制度が国民に対して超長期にわたる対応を要するという特性を備えて おりますので、その点を十分に踏まえるということから、「特別な位置づけと新しい構 造・機能等を備えた年金運営新組織を実現する」という表現にさせていただきました。 「これらの事項を適切に盛り込んだ組織改革のための法案をとりまとめることが必要と 考える」というふうに今回は明確にうたっております。  ポイントはその後でございますが、1といたしまして、年金運営新組織の法律上の位 置づけ及び名称ということでございます。そこを読み上げますと、「年金運営新組織につ いては、公的年金に対する国民の信頼を回復するため、名実ともに国の新たな行政組織 として再出発することが重要であり、また、以下のとおり外部人材の登用による「年金 運営会議」や「特別監査官」といった新しい構造・機能等を備えたものとなることから、 国家行政組織法に定める「特別の機関」とすることが適当である」というふうに今回し てございます。  御案内のとおり、前回は2案を併記するというような形でまとめさせていただきまし た。つまり外局としての取扱い、ないしは特別の機関という形でございましたが、今回、 3名の委員で、事務局も交えていろいろ議論をいたしましたが、最終的には特別の機関 という案で行こうということになりましたので、このようにまとめさせていただきまし た。この点につきましては複数の委員から前回、国民に対してとにかく変わったという 点をわかりやすく示すことができるようなものが必要ではないかという御意見がござい ましたし、我々委員の中でも同種の意見がございました。  その点が一つと、外局と位置づける場合には、実は年金運営会議という目玉の組織が あるわけですが、この位置づけでありますとか、あるいは評議会、次のところに出てま いりますが、この運営評議会の位置づけなども法制的にいろいろと難しい面がございま す。逆に、特別の機関と位置づけますと、そのような制約が基本的に取り払われますの で、そういう面からも弾力的な組織編成が可能になるということがございます。あるい は、特別監査官の位置づけにつきましても同様のことが言えるわけでありまして、結論 的には、特別の機関ということが適当ではないかとさせていただいております。この点 につきましては委員の皆様の御意見を改めて伺うことができればと存じます。  その後ですが、「その際、公的年金の運営という、国家として重要な極めて大きなまと まりのある実施事務を円滑に遂行することができるよう、内部部局から一定の独立した 位置づけを有するものにするとともに、組織の重要性に対応した責任ある体制を確保す ることが必要である」と書いてございます。この点は前回、私、少し触れたところです が、特別の機関、これは本省の特別の機関ということになるわけでございまして、御承 知のように企画立案部門というのは本省にございます。外局にすれば制度的に一定の独 立性がそれによって常に確保されるという仕組みになるところですが、特別の機関とい うことになりますと、そのような制度的な担保というものがございませんので、逆に意 識的に内部部局から一定の独立した位置づけができるような形での制度化を図るという ことをする必要があるという趣旨からこのように書かせていただきました。  最後に、「また、年金運営新組織の名称については、ブロック機関及び第一線機関の名 称とあわせて、年金の運営を行う組織であることを端的に示すものとすることが必要で ある」ということで、前回と基本的には変わっておりませんが、ブロック機関及び第一 線機関の名称のことも勘案しながら名称については考える必要があるのではないかとい うことでございます。実は、それ以上に具体的な名称を考えるというようなことにつき ましては私ども3名の責任の外かなということで、このようなまとめ方になっておりま す。  続きまして2のところですが、以下、基本的には前回と同じでございます。まず、意 思決定機能というところですが、運営会議と長との関係ということにつきまして、前回、 小林委員、あるいは杉山委員から、年金運営会議の審議の後、別途新組織の長が最終的 な意思決定を行うという二段階のプロセスでは年金運営会議の位置づけが非常にわかり にくいといったような御意見がございました。そういう点も踏まえまして、大方前回と 同じなのですが、最後のところに、「長は、年金運営会議の審議を最大限尊重しながら意 思決定を行うとともに」の後に、「会議の運営方法においても、その趣旨に十分留意しな ければならないものとする」とつけ加えさせていただきました。運営会議が実質的な意 思決定の場として機能するようにという趣旨でございます。  その後ですが、「したがって、年金運営会議の審議結果は、事実上、長の意思決定を強 く拘束するものであり、年金運営新組織の意思決定は、国民の意向に沿ったチェックが 行われるように」ということで、その文言を入れさせていただきました。「行われ、国民 の意向を十分に反映する仕組みであることを明確に示す観点からも、年金運営会議につ いて、従来の審議会とは異なる新しいタイプの意思決定補助機関として、法律上位置づ けることとする」と。この辺は前回と基本的に同じでございます。  前回、木村委員から、年金運営会議について、新組織の重要な意思決定が長の専断に よって行われることがないように、外部専門家がそれぞれの専門の立場から長の意思決 定を牽制する機能を持つことを明確にすべきではないかという御趣旨の発言があったと 存じます。そのような御発言も踏まえまして、「国民の意向に沿ったチェックが行われる」 というような文言にさせていただいた次第です。  その後、年金運営会議の構成員につきましては前回と同じことでございます。その後 で運営評議会について書いてありますが、ここも前回と変わっておりません。  次の監査機能ですが、最初の丸のところは前回と同じでございまして、十分な内部牽 制体制を確立するという観点から、特別監査官というものを置くということです。この 特別監査官につきましては専門性の高い外部の専門家を配置すると。このことについて、 新組織の長の法律上の義務として位置づけるということ。これは前回と同様で、その後 ですが、監査業務について客観性・公平性が高められるようにということから、このよ うに新たにつけ加えさせていただきまして、「客観性・公平性が求められる監査業務を遂 行するためには、内部組織から一定程度独立した地位を与えるということが必要であり、 特別監査官は、年金運営会議に出席し、意見を述べることができること、及び新組織の 長に対して、年金運営会議の招集を求めることができること等の権限を付与するととも に、新組織の長直属とすることを法令上位置づける」というふうにしてございます。  4ページに行きまして、特別監査官についてさらに触れてございますが、ここのとこ ろは前回と基本的に同様でございます。  (3)としまして、業務執行機能というのがあります。これは今回新たに加えさせて いただきました。意思決定機能並びに監査機能についてはその前に1、2というふうに あったわけですが、これらとともに組織の基本的な機能である業務執行機能についても、 その強化を図るという観点から一定の記述をしておく必要があるのではないかという趣 旨でございます。本会議でとりまとめを行った新人事評価制度というのが一つあるわけ ですが、これは職員の積極的な取り組みを促して、業務執行機能の強化という観点から 極めて重要な役割を果たすものでありますので、それを中心に、1つ目の柱として、「職 員が意欲を持って保険料の収納率の向上、サービスの改善等に取り組むことができるよ う、能力主義・実績主義に立った新人事評価制度の円滑な実施を図る」と書いてござい ます。  現行の組織の構造的な問題といたしまして、閉鎖的な組織体質というものがこれまで 指摘されてきたわけでございます。各委員からも、システムや広報等に関する専門人材 の積極的な受け入れを図るべきといった御指摘もございました。そのようなことを踏ま えまして、組織の活性化を図るという観点から、外部の専門人材の受け入れについて書 き込むということでございまして、2つ目の丸ですが、「組織の閉鎖性を解消し、活性化 を図るため、他省庁や民間企業から専門人材を積極的に受け入れるとともに、質の高い 業務執行に資するための研修の徹底や他機関との人事交流の推進を図る」と書いてござ います。  次が(4)ですが、ここも基本的には前回と変わっておりません。4ページの最後の ところですが、「持続性の確保された具体的な実行上のルール」と。「持続性の確保され た」というのを加えてあります。これは大山委員の方からも企画立案部局との連携の重 要性という御指摘がありましたので、この具体的な実行上のルールについて持続性を確 保するという観点が必要ではないかということで付加したということです。  次に3、職員の新組織への移行というところですが、これも新たに加えました。ただ、 この点につきましては既に前回、事務局の方から説明がございまして、おおむね各委員 の御了解も得られているのではないかという理解のもとに書いてございます。読み上げ させていただきますと、「年金運営新組織が、従来の組織への真摯な反省に立ち、真に国 民の信頼を回復できるものとして再出発できるよう、法律上、新組織の職員は年金運営 業務を遂行するにふさわしい厳正な服務の宣誓を行わなければならないことを規定する など、新組織への職員の移管に関する適切な措置を講じる」ということです。  最後に4、その他ですが、1つ目の丸は前回と同様であります。2つ目ですが、これ は業務改革プログラムにおきまして、法律改正をする事項については改革関連法案に盛 り込むということが掲げられておりまして、第4回の会議でしたか、陶山委員から、い わゆる施設規定の見直しという御指摘もございました。そういうことを踏まえて、関係 法律の整備について、「組織改革とあわせて、保険料の収納対策、国民サービスの向上、 業務運営の透明化等の業務改革をより一層推進するため、国民年金法、厚生年金保険法 等の関係法律の整備法案をとりまとめることが必要である」というふうに言及をしたと いうことでございます。私の方からは以上でございます。  佐藤座長 ありがとうございます。それでは、ただいまのような原案でございますが、 御意見をまず承った上で取扱いについては御議論申し上げたいと思っています。どうぞ。  小林委員 3ページの特別監査官のところですが、特別監査官は業務執行を監査する ということになると思うのですが、その業務執行機能のトップは新組織の長ですよね。 新組織の長以下の業務執行部隊の監査をするということになるわけですが、一方で、4 ページの頭にありますように、その特別監査官は新組織の長の直属であるということは、 つまり部下であるということです。したがって、制度的には自分の上司を監査するとい うことにならざるを得ないわけでありまして、下手をすると、このコンセプトの背反性 が実務上問題を招来する恐れがないわけではないと思うんですね。つまり、組織長から 見てうるさい特別監査官がいれば、評価を下げたり、あるいは異動させたりということ も、制度上、自分の部下ですからできるわけでありまして、そのようなことになると、 これは問題ではないかと思う次第です。  ではどうすればいいのかというのは大変難しいのですが、せめて、3ページの下から 4行目ですが、「内部組織から一定程度独立した地位を与えることが必要である」という 言葉に加えて、例えば組織長からの独立性を確保する仕組みを工夫するとか、具体的に どう工夫するかは専門家に詰めていただかなければいけないと思いますが、何かそうい う仕掛けが一つ必要ではないか。会社であれば監査役は社長を監査して文句を言えるけ れども、社長は監査役を首にできないわけですからね。制度上の矛盾が実務上出てこな いような仕組み、仕掛けができればと思います。  稲葉委員 その前のところに、客観性・公平性の担保ということで、一つ年金運営会 議における権限といいますか、年金運営会議を通じて、長との関係でも一定の独立性は 図られるのではないかというようなニュアンスもここにあるわけなんですが、年金運営 会議に出席して意見を述べると。それから、年金運営会議自体の招集も求めることがで きるということで、そして年金運営会議には外部の専門家の方も入っておられるという ような位置づけには一応なっております。直属というのはいかにも直の部下という感じ ですが、組織的には「何とか室」を別途つくるというのは、むしろ直下の内部部局とは 別ですよという、そちらの位置づけの方が強いですけどね。ただ、おっしゃるように、 それによって長の意向がかなり反映するということを完全に排除できるわけではないか もしれないですね。  小林委員 そうすると、この新組織の長直属ということの意味は、ほかの内部組織と はちょっと違うと。つまり、指揮命令権とか、人事考課権とか、そういうものも他の組 織の長に対するのとはちょっと違う意味合いを持つと理解してよろしいのですか。  佐藤座長 むしろそういう発想に近いものですよね。あとは法案の書きぶりですよね。 どう書くかによると思いますね。  稲葉委員 人事権との関係なんかもありますから、完全に関係を切るというものでは ないことは確かなんですけどね。  小林委員 つまり監査対象に長の活動、行動も入るのでしょうか。  稲葉委員 それは入ります。  小林委員 わかりました。  佐藤座長 監査対象に長の活動も入るのに監査を行うのは部下ということになるので はないかということですね。そこをどうするかですね。何か知恵はありますか。  吉岡改革事務局次長 御指摘の点でございますが、この点につきましては内部監査で あります。したがって、国家行政組織であるからには、監査の業務につきましても最終 的な責任というものは組織の長が負うということはまず前提として必要になるわけでご ざいますが、ただ、内部監査以外の監査といたしまして、いわゆる外部監査として、こ れは会計監査であれば会計検査院の検査、業務監査であれば総務省の方の行政監察とい うものが別途、行われるわけでありますので、そういう双方が相まって、業務の透明性 なり、適正さというものを確保していくことになると考えております。  佐藤座長 このあたり、いかがでございますか。もし御意見があれば少し承った上で、 また知恵を絞らなければいけませんけれども。  大山委員 今の回答ですが、非常にうまい回答ですが、それで本当にうまくいくのか 疑問が残ります。言い方を変えると、今までと同じところとの差分で議論しなければい けないはずで、その差分が国民の信頼を回復するのに十分足るのかどうかというのが、 今ここで議論していることであると思うからです。言うまでもなく、会計検査や行政監 査は従来から行われていたことで、そのような状況に対して、これからの対応が十分か どうかというのが、ここでの話題ではないかと思うのですが、いかがでしょう。  稲葉委員 おっしゃるとおり。それはそちらであって、ちゃんと機能すると。  佐藤座長 こういう類似の特別監査官を配置しているという行政システムというのは、 現行ではほかにありますか。  吉岡改革事務局次長 組織の長直属という形で監査官を置くというのは全く初めてで ございますので、これまでにはない取り組みであるということでございます。それに加 えまして、今回御提案いただいておりますのは、特別監査官が年金運営会議の方にも出 席できるとか、そういう意思決定の場にも出席して意見を述べることができるとか、ま たさらには監査という業務を完遂させるために年金運営会議の招集を求めて、その業務 運営を適正なものにしていくためのそうした権限まで持たせるということまで御提案い ただいておりますので、かなりこれまでの組織とは異なる監査体制ができ上がるのでは ないかと思っております。  稲葉委員 確かに長に対するというのはそんな考えではないかと。少なくとも私は、 むしろ長をバックにして、かなり監査機能を働かせるというようなイメージであったこ とは確かです。外部の専門家ということでもありますし、運営会議との位置づけという のもありますので。  大山委員 今の話でちょっと思い出したのですが、監査の結果報告を長に上げるだけ ではなく、ほかに上げる方法はないのでしょうか。そうすれば、別の道ができます。例 えば大臣に直接というのは考えられませんか。  稲葉委員 公表制度ですよね。監査結果の公表。  佐藤座長 国民にしてもいいわけでしょう。  大山委員 国民でもいいですね。そういうことを加えるのがありますよね。  佐藤座長 もう一つ、やはり長官を背景にして、運営そのものを、長官は長でありな がら現実には多分業務執行をきちんと監査する、ここがねらいに一つあるでしょうね。 もう一つ、長官も監査するということになるから、大きいのはこっちでしょう。ですか ら、どっちが主かによって、あるいは両方にらんでいるわけですが、私はむしろ長官の 直属だという意味は、長官を背景にしてやるぞと。こういう構造だと思うんですね。事 務局から御説明があったように、内部でまず自らそういう体制をつくれと。こういう発 想だと思うんです。そして、先ほど大山先生が言われたけど、外からのチェックは会計 検査院、総務省の行政監察、確かにあることはある。だからこういうのが機能してくれ ればね。内部、外部。もしだめなら、本当に外につくらなければいけない。外部監査を ね。という話だと思うんですね。  岸井委員 だめということを前提にしないとだめじゃないですかね。とにかく今まで 内部監査もないし、行政監察も会計検査も行き届かなかったわけですからね。期待しち ゃだめですよね。これは、いい長官が来るということを前提にしないと。いつも村瀬さ んというわけにいかないんだから。だからここは思い切ってやってもらいたいんですけ どね。なかなかこれは国民、あるいはメディアが見るときに、ストンと新しく生まれ変 わったと。そのための全く新しい組織だというイメージをポンと前に出すための仕掛け がいろいろいると思うんです。今の監査制度にしても。だから一言いえば、方針、運営 も、監査も、それは全部民間人でかためて、人事制度なんかも民間の人を取り入れてい くと。全く民間のあれでかためた新しい省庁、全く今までにない組織だということを出 さなければならないでしょう。  ところが実際の行政上とか法律上でいうと、外局と特別機関、どっちの方が独立性が 強いんだとか、いろいろな問題があるじゃないですか。そこはやはり切り分けないとい けないので、これはまだ先かもしれませんが、例えば今のままで漫然と職員が移行しち ゃう、そういうところに不信感があるわけですしね。ネーミングもそうですよ。この間、 政府与党、7日のやつなんかは、物すごく冷ややかですよ。メディアの受け取り方はね。 解体的出直しといっても、新しく生まれ変わったというイメージが全くわいてこないわ けですよ。名前一つ、そうなっちゃうわけだからね。だからそういうことも相当ここで は議論しておく必要があるんじゃないかという気がしますけどね。せっかくこういう内 容になったんですからね。  佐藤座長 おっしゃるとおりで、国民に向けての、どう示す組織になるか、ここが最 後の、多分私どものこの会議の重要なポイントだと思うんですよね。ですから、ちらほ ら出ていたネーミングなんかについても、そのようなありふれた名称では私自身も最初 からだめなんじゃないかと。国民が変わったという感じを持てないですよね。どうなる かはまだ決まっていませんけれども。このあたりも大事ですし、今の監査のところも、 一工夫、これはできますかね。むしろ非常にお詳しいと思うのですが、陶山委員とか、 このあたりどうですかね。内部的にビルトインしたこのような監査の仕組みは今までも なかったものだから、こういうのをつくったら全く新規なんだと思うんですね。それは 間違いないと思うのですが、外から見た場合に、お手盛りの監査機関かと言われちゃう と一発で終わり。そういうこともあることはありますね。実効性はあると思うけど。  陶山委員 先ほど岸井委員からお話のあった国民向けの説明の仕方というのは、いつ かも同じことを私は申し上げたのですが、大変に重要な事柄なので、厚生労働省、社会 保険庁、当局のお立場では今後十分にお考えいただきたいのですが、一つは、今、岸井 委員もおっしゃったように、業務改革とか、人事制度とか、もちろん今回の組織改革、 総合的に全体を絡めてわかりやすい説明の仕方を工夫される必要があるだろうと思いま す。  組織の問題について、確かにこれまでとどこが変わるんだということについて、なか なかストンと落ちるような説明の仕方が難しい面があることは当然なんですが、もちろ ん法律上の位置づけが異なり、運営会議、評議会、特別監査制度、こうした業務全体の 適正執行のための新たな仕掛け、仕組みというのは、ほかの行政機関では少なくとも類 例のない全く新たな仕掛け、仕組みを設計した新たな機関として再出発をするというこ となんだろうと思うんですね。  その際、組織の名称というのが、イメージとしては非常に大きな要素があると思うん です。これはそれぞれのお立場、それぞれの考え方によって、名称の問題というのは、 最初からそう思っておりましたが、大変難しい問題を含んでいると思います。仮に組織 法の位置づけが従来と同じ外局ということであれば、少なくとも名称の使い方は限られ ますから、恐らく名称自体での議論には余りならないと思うのですが、特別の機関とい うことになれば、名称についてはいろいろな選択肢があり得るということになりますの で、そこは限度があるにせよ、やはり新しく生まれ変わったというべきか、再出発をす る新たな組織の名称としてどういう名前がいいのか、これはなかなかに難しい問題であ り、知恵と工夫を要するという面も多々あると思いますし、特に与党のお立場でこれま でいろいろ御議論をされた経緯もあると承知しておりますから、党サイドの御議論も極 めて大きな意味合いを今後持ってくるのではないかという感じがいたします。  したがって、稲葉先生からお話がありましたように、私ども3名の立場では、今の段 階でこういう名前の方が適当、妥当だと思われますというような形の具体的な御提案と いうのはむしろ避けるべきであるという判断をさせていただいたということを改めてほ かの委員の方々に御理解をいただきたいと思います。  なお、つけ加えてでありますが、今後、地方出先機関の再編、合理化というテーマが 控えており、かつ、それが予算ともちろん連動しながら議論の俎上に上ってくるわけで ありますが、中央の組織の名称というのが、大変いろいろ難しい要素があると申し上げ たのですが、第一線の、今でいう社会保険事務所、これの一般の人たちが日常的に多数 出たり入ったりする、相談に行ったり、書類の届出をしたり、変更手続きをしたりとい う窓口の名称については組織改編の際に、行政組織としての正式の名称は名称として、 当然のことながら中央の組織とある意味で連動といいますか、つながりがありますので、 当然それをベースにしたある意味の決まりがあると思うのですが、例えば一般の人たち に、正式の組織名でなくても、愛称として親しまれるような、そういうネーミングを考 案して定着させていくというような対応も年金制度の一般国民に対する周知、ピーアー ルと、親しみやすさを感じてもらうための一つの手段としても意味があるのではないか という気がしております。  たまたま私が今いるオフィスは池袋のサンシャインビルというかなり有名な建物なん ですが、そこに公共職業安定所があるわけです。かなり規模の大きい、公共職安として は全国的にもかなり大きな規模の出先だと思いますが、公共職業安定所という正式な行 政機関名はどこにも見当たりません。入口に、入っているオフィスの名称の一覧表があ るんですね。そこにも職安という名称はありません。いろいろポスターなんかを掲示す る掲示板のような大きなものが入口のところに備えつけてあります。そこに時々ポスタ ーが張られたりいたします。そこに職安の関係のポスターを時々目にするのですが、そ こにも、実はポスターであっても、職業安定所という正式の名称を使わないで、すべて 「ハローワーク」で統一している。ということは、「ハローワーク」という名称が一般の 人に定着してしまいまして、公共職業安定所、正式には何というのでしょうか。池袋東 公共職業安定所とか何とかいうんだろうと思うのですが、そういう正式名称じゃなくて、 「ハローワーク」といったら一発であそこにあるという状況になっているということだ と思うんですね。  年金の出先の窓口についても、これはなかなか難しい面はあるのですが、仮にそうい うふうな、一般的の人たちにわかりやすくて親しみやすいような愛称でいいから何か定 着させるようなことを含めて、今後、組織改編の名称問題について考えてみる価値はあ るのではないかという気がいたしております。  佐藤座長 ありがとうございました。名称問題については、私どもがここで決められ るかどうかということもございますので、ただ、知恵を出すことはあり得ると思うんで すね。当然だと思うんですね。そこで、今しばらく時間もあり、政府、あるいは与党筋 の御検討もおありだと伺っておりますので、それはそれ、私どもは私どもとしてまた知 恵を出すことは当然あるとしても、一番問題になっておりましたのは、監査機能のとこ ろをまず決着をつけておかなければいけません。いかがですか。原案の趣旨をいろいろ 伺っているうちに少し明確になってきたと思うのですが、その上でなおいかがでしょう か。取扱いですね。  小林委員 先般いただいた資料を今眺めていたのですが、今回、外局ではなくて特別 の機関ということにしましょうということのようですが、外局と特別の機関の違いは何 かという資料を拝見しますと、外局の場合には長官がその機関の事務の統括権を有する、 職員の任命権もあると書かれている。しかし特別の機関は大臣の直接の指揮監督を受け るとありますよね。そうだとすると、どなたかがちょっと乱暴かなとおっしゃった、直 接の監督者たる大臣に特別監査官は報告をするというのも、実務的にはやっかいかもし れませんが、考え方としてはおかしくないかもしれませんね。  佐藤座長 ここらあたりいかがですか。今後検討するとしても、重要なポイントです よね。当然あり得ないわけじゃないですよ。普通ですとあるのですが、特別の機関にし ておいた上で、なお通常の特別の機関とは違った、そういう位置づけに置きたいんです ね、このケースの場合は。そういうことになっているんですね。両方の兼ね合いを見な がら、できるだけ特別の機関という形にして、協議会とか、評議会とか、運営会議とか、 こういうものをつくりやすくしておいて、そのために特別の機関にした方がいいという ことであり、イメージの点でも、変えられるかどうかということにかかわるかもしれま せん。  もう一つは、そうすると、どうしても、今おっしゃったように、本省の大臣の直属と いう、そういう構造になっちゃうものですから、通常のものとちょっと違う扱いをする んですよと。他方、法案の書き方で大分そのあたりに苦心を払うことになるかと思うん ですね。それを頭に置いた上でなお大臣に報告をする。これは制度上あり得ると思うん ですね。十分あり得ると思います。  稲葉委員 通常ですと、長官が大臣に報告するという形になるんですね。それを特別 監査官は大臣にも直接報告ができるとか、そういうふうにしておけば、これでも十分考 えられると思います。  佐藤座長 そういう御意見等を伺っておいて、また検討させていただくということで よろしゅうございますか。扱いとしてはそういうことでよろしいですか。ほかの点につ いて御意見があればむしろ広く伺っておきたいのですが。  杉山委員 ちょっと質問なんですが、新組織の長はどのように決めるのかとか、決め 方とか、制約というんですか。民間からとか、そういうようなことは特にここでは何か 言わなくて、それ以外の運営会議に関してはいろいろと出てくるのですが、新組織の長 は何となくそのまま置いてあったようなところがあったので、どうなのかなというのを ちょっと思いましたので。  佐藤座長 大臣が自由に選べるということは制度上そうなんでしょうが、ここで一言、 できれば何か触れておいた方がいいという、そういうことですよね。広く人材を求める ということですよね。それは法案に盛り込むべきことか、人事の運用のレベルで……。  稲葉委員 任命権は大臣が。ただ、おっしゃったような、できるだけ民間からとか、 そういうことだと思います。  佐藤座長 そうしたら、法案に盛り込むことと、そういう考慮すべき要素、それを書 いておくことはあり得るかもしれません。  稲葉委員 基本的な考え方は、民間人材も含めて適切な人材をということだと思いま すが、原則、民間からとか、そこはまだちゃんと議論していないんじゃないかと恐らく 思いますが。  吉岡改革事務局次長 ただいまの御指摘の点につきましては、5月の官房長官主宰の 有識者会議の方で一定の結論が出されていることでございまして、新組織の長は内部登 用を原則とせず、民間からを含めて幅広く求めるということになっておりますので、私 どもはそれを原則として考えるんだろうと思っております。厚生労働大臣が任命をする という部分につきましては、これは法律上の位置づけをしなければならないものだと考 えております。  佐藤座長 それはさわれないですよね。運用でということのようですから。そういう ことでよろしいですかね。  杉山委員 わかりました。  大山委員 ある意味、言わずもがなかもしれませんが、2ページ目の最初の丸の3行 目に、「内部部局から一定の独立した位置づけを有する者云々」とあります。意図はよく わかりますが、一方でシステム側から見るとこれは困ることなので、そこのところは何 か手当てをしていただく必要があるのかを含めて一言申し上げさせていただきたいと思 います。  と言いますのは、前の有識者会議、すなわち前官房長官が主宰した会議において、年 金と労働保険の徴収業務を一緒にするという案が出されました。そのときにも申し上げ たのですが、社会保険庁が今使っている年金のシステムだけでも、その刷新化と最適化 の作業は結構大変なのに、さらに厚生労働省の中でも旧労働省系のシステムと連携しな ければなりません。新しい組織が厚労省から分かれていくと、一体どちらがシステムの 面倒をみるのかが課題になります。要するに厚生労働省または新しい組織のどちらが面 倒を見るかで、両者の連携が少しでもずれるとシステムは多分うまく機能しなくて、と んでもないことになりかねないのではないかと危惧します。このようなことを避けるた めにも、厚生労働省の中に、ほかの府省も同じ状況になると思いますが、早急にプロジ ェクトマネジメントオフィスをおつくりいただき、システム全体の統括をしていただき たいと考えます。隣のシステムとうちのシステムは関係ないよとしている限り、最適な システムは絶対できないと思います。この観点から、ここの文章とシステム面は随分違 うので、そこのところはぜひ御配慮いただきたいということを申し上げたいと思います。  佐藤座長 それは、基本的には事務局の方で受け取っていただければいい話でしょう か。  大山委員 システム面からいうと、前から申し上げているように、社会保険庁の枠を 超えます。厚生労働省の本省が持っているシステムと連携させることになっている上に、 さらに今回、社会保険庁さんが新しい組織に変わって、独立性を強めるとなると、これ は一体どこが全体設計を行い、実運用していくのかを十分に考えることが必要です。せ っかく新しい組織の話をしているときに申しわけないのですが、システム面から見ると 逆になるところがあるので、心配するということを申し上げました。  陶山委員 私は大山先生のような専門家ではありませんからよくわかりませんが、た だ、先ほどおっしゃっているお話と独立性云々という話と、少しく次元の違う話ではな いかなという理解をしております。といいますのは、システムのお話は、確かに大山先 生のおっしゃることはよくわかるのですが、ここで言っている行政組織としての独立性 という意味は、現在の外局が外局としての、要するに、長官が例えば組織法上、職員の 任命権なんかを別途手当てをしなくても当然の前提として有しているという意味のかな り強い独立性を持っている。それが前提になっているわけです。  ところが、そうでない特別の機関ということになりますと、その中で、言ってみれば 現在の外局と同じにできるかどうかという話ではなくて、むしろ大臣の指揮監督権があ る意味で当然の前提として及んでいるのですが、新しい組織の長官の指揮監督権といい ますか、責任を、塊のある大きな規模の仕事としての独立性をどうやって担保できるか という、そういう議論は議論としてあるわけです。それは組織法令上どういう手当ての 仕方をするかということであって、そのことが、大山先生が御心配になっているコンピ ューターを中心とする業務システムのつながり方とストレートにつながるような議論に はならないのではないかという感じがしておりますが、いかがでしょうか。  大山委員 ストレートに言わなかったので、余計わかりづらくなったかもしれません。 おっしゃることは私もよく理解しているつもりです。具体的には、今の長官のもとで新 組織に移行し、長官のもとで年金の運用にかかわるシステムを再構築するとします。一 方では、厚生労働省側にある雇用保険関係のシステムはそちらの部署で最適設計をする と、2つの組織が分かれているので、これら2つのシステムを一緒にし、さらに最適化 するには、これらを統括する、言い換えると両者に傘をかけたような組織がないと全体 設計がうまく いかないのではないかということです。  ですから、異なるシステムを統合した新しいコンピューターシステムを設計する場合 には、全体を統括する組織が必ず必要で、行政組織からみると大臣がいらっしゃるので、 大臣のもとにまとめ役をおく必要があるのではないかということです。このような部署 の役割は従来に無いものになるので、システムの最適設計を行うのであれば、プログラ ムマネジメントオフィスという厚生労働省及び特別の機関、現在の外局を含めた全体を 統括する部署がいるのではないでしょうかと申し上げていたわけです。  塩田政策統括官 先週末、大山先生も出られている政府全体の新しいITの国家戦略 が決められましたが、その中でも省全体のIT戦略を、体制整備とか指摘されておりま すので、今回の社会保険庁の新しい組織のシステムの問題とは別に、これも含めて省全 体のIT戦略のやつは別途ちゃんとやりたいと思っております。  佐藤座長 そうすると、そちらで引き取って、対応していただける。  塩田政策統括官 次官トップの、省全体のIT全体のあり方を考える組織は一応あり ますので、この間決まった新しい計画をどう具体化するかについてはちゃんとやりたい と思います。  大山委員 もう一言だけ。しつこく確認をさせていただいて恐縮ですが、グランドデ ザインをおつくりいただきたいということは、確かに今、パブコメがかかっている次期 のIT戦略案に書いてあります。この案には、別途、プログラムマネジメントオフィス の設置に関する記述があります。プログラムマネジメントオフィスは全府省に関するも のです。厚生労働省さんの場合には、保健、医療、福祉の分野において、省が関与する 全てのコンピューターシステムを最初に棚卸しをしていただき、次にそれらのコンピュ ーターシステム全体の最適な設計を行うことを目的とするのがプログラムマネジメント オフィスです。このような組織をおつくりいただきたいというように原案に書いてあり ます。  これの対し、今ここで私が申し上げているのは、全体のプログラムの中の一つですが、 今回の社会保険庁さんの話に端を発したシステムの入れ替えと、労働の方のシステムと を一緒にして、さらによいものにしようとするものなので、これはプログラムというよ り、その中の一つのプロジェクトと位置づけられます。こういう作業が予想され、さら に組織移行の方向が見えるのであれば、全体を統括するCIOと補佐の方々を中心とす る組織を早目におつくりいただき、必要な作業を開始いただきたいと思い、繰り返し意 見を述べさせていただきました。  塩田政策統括官 大変貴重な御指摘だと思います。省全体として重く受けとめて検討 したいと思います。  佐藤座長 大分時間がたちましたが、いかがでしょうか。組織改革の在り方について いろいろ御意見を承っておりますが、基本的にこの原案で、今日いろいろいただいたこ とをもう一度見直して、盛り込めるものを盛り込むという前提でございますが、そうい うことで基本的に御了解いただけるかどうかということですが、いかがでしょうか。  岸井委員 原案どおり了解できるんだと思います。私も同感ですが、先ほど言ったよ うに、広報の部分はまた別途検討しなければならないというのが一点ですね。さっき陶 山委員が言われたように、類例のない行政組織であるということをまずポンと言って、 それはなぜかという、監査制度の問題とかを並べて、順序立てが、やはり仕掛けも違っ てくると思うんですよね。  もう一点、ネーミングについては、どこがあれするかわかりませんが、私のアイデア はやはり公募ですね。あるいは部内募集を含めてもいいですけどね。そうすると、公募 する主体はどこになるのかなという感じもするんですよね。政府、官邸、厚労省、ある いはこの会議とかね。そういうことも多少考えておかなければいけないのかなという気 がします。  ネーミングでいうと、つたない経験で、ちょっと時間をいただければ、三十数年前に なりますが、環境庁ができるとき、私、公害国会を担当していて、最後のネーミングの ときに、ネーミングをやる記者の仲間の一人だったんですよね。最初、公害調整庁とか、 公害対策庁とか、いろいろ全部「公害」がついていたのですが、私だけは恐る恐る「環 境」という言葉を出したんですよ。そのときまでは「環境」という言葉は全く定着して いなかったんですよ。  ただ、その直前まで私は熊本にいて、水俣病をやったり、ハンセン病をやったり、サ リドマイドをやったり、つまり公害とか、薬害とか、そういうのを担当していたもので すから、そういう中でどうも日本では「環境」という言葉は定着していないけれども、 欧米では既に言葉としてあるし、長い目で見たらその方がいいんじゃないかと。ところ が、お役所とか、当時は通産と厚生で相当綱引きをやっていましたから。役所の組織そ のものも、ネーミングも。だから議論の中で、そういう「環境」というあいまいなもの では行政目的がはっきりしないというのが一番抵抗強かったですよ。だけれども、当時 の山中貞則担当大臣が裁断して、「環境」と。それに対して、保護庁を入れるかとか、何 とか対策を入れるかとか言っていたけれども、そんな鳥のような名前はいらないと。「環 境」だけでいいといってポーンと決められた経緯もあるんですよね。だから今になれば 環境庁とか、環境省というのは当たり前のようになりましたしね。そういう意味で思い 切った発想と知恵というのは、やはり公募なんかした方が出てくる可能性もあるんです よね。それは公募する主体がどこかということもありますけれども。  もう一点言うと、この議論、会議の始まる当初からあった、歳入庁構想みたいな一元 化の問題ですね。これは、今すぐは無理だということは十分わかるし、性格や業務の内 容も違うということはわかるのですが、やはりこれから少子高齢化、人口減がどんどん 進んでいく、あるいは一方で年金制度の一元化の問題も進んでいくという中で、そうい うやり方というのも将来どこかで考えておかなければいけないという、これは大山先生 なんか、システムはそのときまたどうなんだということはあるかもしれないけれども、 そういうことをある程度将来の検討課題として念頭に置いておく必要があるんじゃない かなという気がどうしてもするんですけどね。この2点、ちょっと現時点で気になると ころです。  大山委員 実はシステムから見ると、利用者となる国民を中心にして設計する方が良 いと思います。今はそれぞれの制度から国民を見るシステムになっているので、システ ム間の連携を図ろうとすると非常に面倒になっています。一人一人を中心に社会保障を 全部集約させれば、非常にすっきりとしたシステムを設計できます。  佐藤座長 最初から歳入庁構想というのは一つございました。この私どもの会議の対 象外ではありますが、多分一貫して今後の課題の一つに残ると思いますので、議事録に は残させていただいて、今、3つの点をおっしゃいましたが、可能なものについては、 例えばネーミングについては公募の問題。どこで決めるかは別にしましてもね。それは 方法論としてはあり得るかどうか。これはまた検討していただくということになると思 いますけれども。そういうことなども含めて、本日、「組織改革の在り方について」の案 を御提示したものの大枠をお認めいただくことはできるでしょうか。よろしいでしょう か。それではどうもありがとうございます。  今後の進め方としましては、これをもとに組織改革法案の準備を並行して進めていた だくことになります。どういう書きぶりにするかによっても大分違ってまいりますので、 それを今後進めていただいて、年明けに法案の具体的な内容等について、まとまった段 階でまた御説明するという、こういう形になるかと思います。よろしくお願いいたしま す。  その間にまたネーミング問題その他、並行して動くと思いますが、差し当たり組織改 革の骨格については御了解いただいたということで取り扱わせていただきたいと思いま す。どうもありがとうございます。  時間がかなりなくなりつつあります。次のテーマ、人員削減計画と改革の年次計画に 対して御説明いただいた上で議論したいと思っています。多少かいつまんで進めていた だきたいと思います。よろしくお願いします。  清水参事官 資料3をご覧いただきたいと思います。詳細は社会保険庁の総務課長か ら説明させますが、資料3は人員削減計画でして、箱の中のアンダーラインのところに ありますように、結論として、来年度から7年間で政管健保公法人に移る3,500人を含 め、常勤公務員定員を20%以上、人数として3,500人純減するということ。それと、(2) ですが、常勤、非常勤あわせて、率にして3分の1、人数にして1万人程度の純減を行 って1万9,000人体制にするといった内容の人員削減計画の案、これが資料3でござい ます。資料4は、その人員削減計画も含めた全体の改革の工程表でございます。詳細に ついては、社会保険庁から説明させます。  石井総務課長 資料3でございますが、これは前回、先月の21日に開かれました第7 回の会議で、これの手直し前のものを説明、報告させていただいております。今回変わ った点でございますが、この1枚目の計画、枠によってくくっておりますこの部分を人 員削減計画の本体というふうに整理させていただいているわけでございますが、この中 の下の方、アンダーラインで記載している部分、「平成18年度から24年までの7年間に」 とございますが、この次の部分が「政府管掌健康保険の公法人(非公務員型)への移管 を含めて」という文章でございますが、この文章が(1)の中に入ってございました。趣旨 としては、20%以上の純減、1万人程度の純減、いずれも公法人への移管分を含めての 数値でございますので、そこら辺、趣旨を明確にするためにこの柱書きの部分の方に移 して明確にしたというのが一点でございます。  次の2ページでございますが、こちらも前回お出ししたものを若干訂正させていただ いておりまして、その一つはこの左側の現行社会保険庁の枠の中でございますが、下の 方、アスタリスクで注記がございます。前回はこの注記が少々わかりにくかったのかな と私ども、その後反省をいたしておりまして、例えば謝金職員でございますが、これは ここに記載のような、その勤務を前提に予算定員ということで計算をしていると。事務 補助員についても常勤換算した人数であるということを改めて明確にさせていただいて いるということが一点。  もう一つ、このページの下の方でございますが、ポツが2つございます。常勤公務員 の定員を20%以上削減というふうに前のページで記載しているわけでございますが、そ の具体的な数字というのは何かということで、そこのところを明確にさせていただいた わけでございます。政管健保の公法人への移管、3,500人のうちの正規職員2,000人程 度、これは(1)でございますが、これと残る組織について、その後削減をかけての正規職 員分1,500人の減、これを足したものが3,500人で、左上にございます正規職員1万 7,000人余、これに対しまして20%以上に当たると。こういうようなことでございます。 1万人程度というのも正確に言えば9,800人のことであるということを整理してござい ます。  3ページ、4ページ、5ページ、こちらの方は前回の資料と同じでございます。6ペ ージ目でございますが、政管健保の公法人に移管する職員を純減にカウントするという ことをもう少し明確にしておいた方がいいだろうということで、補足的に追加させてい ただいた分でございます。この資料で申し上げれば、前回もエッセンスは記載させてい ただいたわけでございますが、先月14日に開催されました経済財政諮問会議で、ここに ございます総人件費改革基本指針というのが決定されてございます。そこに公務員の定 員の純減目標についての記載があって、その削減を図るときの検討項目が別紙というこ とで整理されているわけでございます。この中に、5番目のものとして、現在、公務員 型ということで設置されている独立行政法人を非公務員型に転ずるというときもこれは 純減ということでカウントするのであるということが記載されてございますので、その ことを御紹介させていただいて、その上で2つ目の二重丸でございますが、この政管健 保、非公務員型ということでの移管もこれに則して扱うということで、純減数に含まれ るということでカウントしているということを明確にさせていただいたということでご ざいます。  次の資料4でございますが、こちらは本年、有識者会議が立ち上がって御検討をいろ いろしていただいたわけでございますが、その間御議論いただいた、あるいは私どもの 方で御説明申し上げた主な改革のメニューというものを据えまして、これが年次計画の 姿としてどういうふうになるのかというのをわかりやすく整理させていただいたもので ございます。組織改革であればまさに御議論いただいているわけでございますが、位置 づけ、名称、その他の改正項目、これらを整理いたしまして、次期通常国会に関連法案 として提出いたします。法案としては2本ということになるのではないかと思っており ますが、いずれも予算非関連法案ということでございますので、提出の時期は来年の3 月半ばまでということになろうかと思います。提出後、国会において御審議いただきま して、その会期内に成立するという前提に立って、その後、18年の半ばから年金運営会 議、特別監査官、法の施行そのものは20年の10月になるわけでございますが、それに 先立って実施するということをここに明記させていただいております。そして20年の 10月でございますが、2つの新組織が発足していくという姿でございます。  2つ目の柱の業務改革でございますが、これもこの9月にかなり集中的な御議論を2 回にわたっていただきました。緊急対応プログラムということで先行している取り組み を含めましてトータル120項目、これを新組織が立ち上がる20年の秋までの間、一段の 業務改革への取り組みということでやっていくと。同時に、その間の進捗状況を四半期 ごとにフォローアップさせていただくということでございます。新組織発足後もこのよ うな取り組みは引き続き検討していくと。その場合、費用対効果というものも十分に念 頭に置いた形での推進をしたいと思っているということでございます。  新人事評価制度の方でございますが、これもこの9月に2回にわたりましてかなりの 御議論をいただきました。おかげさまでこの10月から一定職以上の、いわば幹部でござ いますが、試行に入ってございます。これら幹部については18年4月から本格実施をい たします。それ以外の一般職員につきましては18年度1年間を試行の期間といたしまし て、それで平成19年度から全職員本格実施ということでございます。この制度が健全な 形で運営、そして発展していくためには職員の移行というものをきちんと行っていく必 要もあるということで、アンケートの継続的な実施、それらをも踏まえた分析評価、随 時の見直しというものもかけていこうということでございます。  地方組織でございますが、本格的なブロック化は20年の10月の新組織発足時点でご ざいますが、それに先行する形で来年の10月を目途として監査業務についてのみ事務局 のブロック化を実施したいと思っております。業務全般につきましては広域的な集約化 というのを進めていこうということでございます。  システム改革でございますが、こちらも御説明申し上げておりますように、現在、業 務とシステムの最適化計画の案の策定作業に入ってございます。年度末までに策定をい たしまして、それを踏まえて平成18年度から平成22年度までの5カ年間でシステム刷 新を進めていくということでございます。その暁に、平成23年度から次期システムの運 用が始まるということでございます。  最後に、今、ご覧いただいた人員削減計画でございますが、政府の純減計画、あるい は定員合理化計画との内容的な整合性というものをきちんと確保しつつ、社会保険庁独 自の計画として7年間にわたって削減を進めていきたいというものでございます。甚だ 簡単ではございますが、以上でございます。  佐藤座長 それでは、ただいまの資料3、4を中心にどうぞ御意見、御質問があれば いただきたいと思います。人員削減計画につきましては組織・業務改革とあわせて、あ るいはIT化も含めて、並行して進めるということでしょうから、今までも何回か御説 明いただいたところですよね。それを今回かなり明確な形で整理をしていただいて、そ れを年次計画に盛り込んでまた見えるようにしていただいているということだと思いま すが、いかがでございましょうか。この方向で、今までの御説明と特に大きく変わった わけではありませんね。そういうこともありますので、特に何かございましたら伺いま しょう。  木村委員 言わずもがなのことかと思うのですが、コンピューター関係の話もまたい ろいろ昨今、世間をにぎわせております。大山先生の方でいろいろ全体の大きなシステ ムを検討していかれるのも大変だと思うのですが、一般競争入札による調達、このあた りは、公的なところですのでやむを得ないところですが、この競争入札による調達の持 つ危うさみたいなものも当然いろいろ出てくると思います。そのあたり、どういう形で チェックをするのがいいのかという問題があります。ここがしっかりしていないとこの 人員削減計画の方にもまたはね返ってくるということもありますので、大山先生の方の お仕事ばかりで恐縮ですが、その辺のところがうまくいくといいなと感想として思って おります。以上です。  佐藤座長 今の点、特に何かございますか。あるいは関連して御質問ございますか。  石井総務課長 非常に重要な御指摘でございます。まさにおっしゃるような危うさが 一般競争入札による調達にはつきまとうというのは、この有識者会議の1回目の御議論 のときにも大山先生の方からもあったかと思います。私どもの方も既にそうですが、プ ログラム開発の案件、これをきちんと私どもなりに正確に理解した上で、ベンダー等、 価格も含めてですが、とり得る措置として何が最も合理的なのかと。そこら辺の方法論 も含めてきちんと確認しながらやっていこうということで、実はシステム検証委員会と いうのをつくっております。ここに厚生労働省担当のCIO補佐官にもキーパーソンと してお入りいただく。そのほかに民間の企業の方からも優秀な人材の方、何名も来てい ただいておりまして、この検証委員会に私どもスタッフと一緒に入って議論をするとい うようなことをやってございます。そういうことを通じて、さらにそういう取り組みを 強化しながらやっていきたいと思います。  ただ、基本的な問題は、新しい刷新後のシステムができた後にこれは待っているんだ ろうということでありまして、自前の職員で極力そういうような判断がきちんとできる ように、そういう体制整備に向けて取り組んでいかなくてはいけないと思っているわけ でございます。  佐藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。特にもしほかにござい ませんでしたら、お手元の「社会保険庁の組織・業務改革に伴う人員削減計画(案)」、 資料3ですが、及び資料4の「改革の年次計画(案)」に基づいて今後改革を進めていく ということでよろしゅうございますか。ありがとうございました。それではそういうこ とで進めていきたいと思います。  最後になりましたが、厚生労働大臣、あるいは長官、御発言があればよろしくお願い します。  川崎厚生労働大臣 今日も御熱心に遅くまで御議論をいただきましてありがとうござ いました。今、おとりまとめをいただきました組織改革法の案、人員削減計画等につき まして、これから私ども、年末から年始にかけて作業に入っていくことになります。特 に国会の法案提出、基本的には3月15日までに法案提出というのが与党のルールでござ いますので、それに向けて作業を進めていくことになります。その過程の中で内容等に ついて、今日も特別監査官の問題について位置づけがまだ明確になっておりませんので、 それも含めて皆さん方に御議論いただきながら作業を進めていきたいと思っております。  とりまとめにも上げられております他省庁との連携の問題、民間企業からの人材、こ れは両方とも人材が主になりますが、他省庁の場合は、基本的には向こうから人材を入 れると同時にこちらも向こうへ勉強しにいくというようなことを考えております。既に 事務方で他の役所との話し合いが、皆さん方の御想像のつくような役所との話し合いが 始まっておりますので、御理解を賜っておきたいと思います。人員の削減につきまして は新組織発足に向けてもう来年から動き出すということでございますので、どうぞこの こともよろしくお願いいたします。  先ほど議論の中で一番多ございました新組織の名前の問題。名前だけでなく、長官と いう名前もなかなか仰々しい名前でございますので、それも含めて組織が変わったなと いうイメージをどう国民の皆さん方にわかっていただけるかというところが一番大事な 点だと思います。一方で、今申し上げたように、2月には素案をつくり上げていかなけ ればなりませんので、岸井先生からの御提案のように公募をできるかどうかは少し考え させていただきたい。いずれにせよ、もう少し頭をやわらかくして考えろということを 言っておりますので、極端に言えば女房どもの意見を聞けという中で、いろいろな考え 方が出てきておりますので、また皆さん方と最終御相談をしながら決めていきたいと思 っております。  いずれにせよ、この12月、こういった時期まで皆さん方にお運びいただいて、熱心に 御議論いただいた成果を、まさに新しい組織の立ち上げに向けて私ども全力を挙げなけ ればならないと思いますので、変わらぬ御指導をお願い申し上げて、ごあいさつとさせ ていただきます。ありがとうございました。  佐藤座長 ありがとうございます。それでは長官、どうぞ。  村瀬社会保険庁長官 まず、熱心な御議論をありがとうございます。資料4にお示し させていただきましたように、新たな新組織に向けて社会保険庁、実はやらなければな らない仕事が物すごくあるんだろうと思っております。今現在、組織の関係について御 議論いただきましたが、当然のことながら、業務改革を進めなければだめだ。職員の意 識を変えるために人事制度もやらなければいけない。当然組織ということであれば本体 だけではなくて地方の見直しもしなければいけない。また、いろいろな形でサービスを 展開する、コストを削減するということであれば、新たなシステムをつくらなければだ めだ。等々、人を減らしながらお金を使わない中でいかに業務効率を高めて、かつ実績 を上げるかという非常に難しい課題を持ちながら計画を進めていくということだと思っ ております。  今、おかげさまでそういう点では本庁並びに地方庁も含めて、職員、これに向かって 何としてでもやりたい、やっていこうという気構えがあるというふうに私は思っており まして、何とかスピードアップしてこれをしっかりやらせたいと。それが国民の皆さん の信頼を得る最大のものだろう。こういう形で進めておりますので、また局面ごとに御 報告申し上げ、いろいろなアドバイスをお願いできたらと思っております。以上でござ います。  佐藤座長 ありがとうございます。それでは予定の時間が参りましたので、本日の会 議はここで閉会とさせていただきますが、次回の日程につきましては調整中でございま すが、改めて決まりましたら御案内いたします。  本日は長時間にわたりどうも御苦労様でございました。 (了) 【照会先】  政策統括官付社会保障担当参事官室   津曲、川島   03−5253−1111   (内7702、7708)