05/12/09 第14回「医療計画の見直し等に関する検討会」議事録 第14回 医療計画の見直し等に関する検討会 日時 平成17年12月9日(金) 10:00〜 場所 厚生労働省共用第7会議室 ○谷口指導課長 ただいまから「第14回医療計画の見直し等に関する検討会」を開催さ せていただきます。まず、冒頭お断りを申し上げます。黒川座長が、不測の事態で20 分程度遅れられるというご連絡がございました。そのような場合には田中委員に座長代 理をお願いいたしておりますので、本日、急なことで誠に申し訳ございませんが、田中 委員よろしくお願い申し上げます。なお、本日ほかにも検討会委員の佐々委員、納谷委 員、それからワーキングの松田委員がご欠席という連絡をいただいております。その他 の方々につきましては追い追いお見えになると考えておりますので、よろしくお願いい たします。では、よろしくお願いいたします。 ○田中座長代理 早速議事に入りたいと思います。はじめに事務局から提出されている 資料について説明をお願いします。 ○針田医療計画推進指導官 事務局から資料の説明をいたします。今回は前回お配りし た資料とほぼ同じ形になっています。資料1「医療計画制度と都道府県の権限について」、 資料2「救急告示制度の見直しについて」。参考資料1として「今後のスケジュールに ついて」、参考資料2「モデル医療計画(骨子案)について」、参考資料3「医療計画 作成ガイドライン(たたき台)について」、参考資料4「全国で把握すべき指標(案) について」です。前回の検討会に提出した資料のリニューアルの形になっています。ま た、本日は「日本看護協会からの意見」も添付していますので、ご確認いただければと 思います。資料等の欠落がありましたらお申し出ください。以上です。 ○田中座長代理 黒川座長がお見えになりましたが議事に入ります。最初の資料の説明 をお願いします。 ○針田医療計画推進指導官 資料1の説明をいたします。「医療計画制度と都道府県の 権限について」。基本的に内容は変わっていません。1頁、これまで各都道府県等から いくつか意見が出てきていまして、基本的に既存の病床の転換を図る方策はないのかと、 また総務大臣からは過剰病床を減らす権限は持っていないこと。また、静岡県から機能 をしていない病床を回収し、必要なところに利用する枠組みが必要であるという発言が ありました。具体的に言いますと、もう少し質の高い効率的な医療提供体制を作るに当 たりまして、何らかのインセンティブが欲しいというお話だったかと思っています。  2頁、それに対して事務局から提出した案として、その課題を整理したものです。現 在、基準病床数制度で、基準を超えた場合は、新たな開設、増床はできないという形に なっています。このため、新規参入ができず、既存の病床が既得権化しているのではな いか。また、本当に地域が必要な病床を確保したいと思った時に、的確に対応すること がなかなかできないといった問題点。また、現在の流れの中の官から民へを配慮する必 要があるのではないかということ。そういったものを加味して考えて、基準病床数制度 についての見直しが必要ではないかというペーパーになっています。  3頁、具体的には弾力的な運用が考えられるのではないかということになっています。 例えば小児救急医療など、地域によって本当に必要なものがあるのであれば、その再構 築プランを支援する制度措置が必要ではないか。また、公立病院の病床の有効活用を考 えるべきではないか。また、それらのことを担保する意味で情報開示、また質の向上に 向けて集約的・重点化といった問題に取り組む必要があるのではないかというのが3頁 です。  4頁、これも前回説明いたしましたが、棒グラフが2つ出ているもので、この左の方、 現行は既存病床数が過剰地域であるといった場合、増床、例えば小児救急医療・周産期 医療などで病床を確保したくてもできませんが、これが右側にいきますと、実際の地域 の病床がこのくらい減れば、弾力的な運用として、既存の病床数のこの部分を、県の裁 量によって認める増床というところ。病床が減った分、そのうちのいくつかは本当に必 要なものに使っていける制度を考えてはどうか、といった棒グラフになっています。当 然医療審議会等で、その地域における必要な医療とは何かといったものを議論した結果、 解決する話とは考えています。  5頁、どういう病床を有効活用していくのかといったものとして、例えば公立病院、 その中でも例えば50%を下回るような病院があって、地域で病床が足りないと、要は地 域で再構築するために、いま使われていない病床などを有効活用する方法もあるのでは ないかといったものを、このペーパーに書いています。  下の表ですが、例えば200床の病床があって、病床利用率が40%ぐらいであった場合 は、地域の中で90床ぐらいあればいいのではないか。残りの部分のいくつかについては、 地域で必要な医療サービスに新たに充てる病床としてもいいのではないかという絵を書 いています。  6頁、若干前回から加筆していますが、実際にこういう病院があるのかどうかといっ たことを聞かれたことがあります。例えば1つ目の○の下の小さな字のところですが、 年間平均病床利用率が50%を下回っている「公立病院」として、46の市町村立病院があ って、10の都道府県立病院があると。ここは書き加えたところですが、地方公営企業年 鑑というものがありまして、そこから数え上げた数字になっています。これはインター ネットでも取れる数字でして、公表ベースのものになっています。実際にこれをうまく 利用するために医療審議会の活動をお願いしたいことと、県の立入検査等を通じて管理 できるような体制が必要ではないかということを書いています。  7頁、 実際にそのようなことをやっていくうちの環境整備みたいなものですが、例え ば情報開示や、医療機関の集約化・重点化を進める上で、現在の配置人員とか、また、 このようにして頑張っていくのだといったものを示す人員配置改善計画のようなものを、 各病院から知事に提示してもらって、地域住民の理解を得ながら進めていくことが大事 ではないか、ということを書いています。  8頁、これに合わせて現在の特例病床という制度、これは過剰地域においても、本当 に必要です、もうどうしようもないという時に、いま活用されている制度です。要は今 まである地域のベッド、何も手を付けないでやるということになっているのですが、地 域の中、医療審議会等でもディスカッションしていただきまして、地域の病床の再構築 を図った上での確保を考えるのであれば、現在の厚生労働大臣に協議をしていただいて おりますものをやめる。要は地域全体で病床を減らすという前提のもと、その減らした 分のいくつかを特例で使うという話であれば、その時は知事の判断でできるような体制、 そういった権限移譲の形になります。そしてまた、いちばん下の※を付け加えています が、知事は定期的にその継続的なフォローアップが大事であるというところを書き加え ています。  このように都道府県が強く要望していたことに対する答えとして、こういう案を前回 提示いたしまして、今回も提示させていただいております。以上です。 ○黒川座長 遅くなって申し訳ありませんでした。それではこのようなことの考え方、 かなり地方分権、それから都道府県の自立ということになっていますが、これについて どうぞご意見をいただきたいと思います。  特に公立病院でベッドの利用率が悪い所もあるのが、そのままずっと残っているとい う話は、地方の権限でいろいろ使えるようにしたらどうか、運用ですね。1つの問題は、 いまいろいろな所が独法になって、例えば国立病院などというのは90カ所ぐらいの病院 が全部1つになっていて、その地方での話、状況がかなり違うわけで、それは4頁の都 道府県に書いてあるような、「県の裁量によって認める増床分」というものが、そうい うところとはどうなのかなというのが何かありますか。そこも一応権限としては県の裁 量でこれは減らしてというところになるのですか。 ○谷口指導課長 座長ご指摘のように、全国的に病院機構など病院を持っているわけで すが、基本的にはこの考え方に従い、都道府県の知事の裁量の中にそういったところも 入り込んでいく、ということを我々は想定しております。 ○黒川座長 それに似たのが厚生年金とか社保、労災とかいう病院群が1つの法人にな っていると、いちばん収支の良い所ばかり力を入れて、周りを蹴散らかすなんていうこ とがあると、公的な資金を入れた意味がなくなってしまうので、それは全体のフィロソ フィーがある程度知事の権限になってこないと。病院機構としても、理事長としてはい ろいろな評価をされて、どうした、どうしたなんて言われているだけでは困るのではな いかという話が出てきます。その辺、両方、評価の話と国のお金、パブリックマネーを 入れた時に、どういう社会的責任があるかということを見るのが大事かなということで、 お尋ねしたわけです。そのほかに何かありますか。 ○鮫島委員 基準病床数に達していない地域が実際にあるわけですが、そういう所で新 たに増床もしくは、新たな病院の開設の申請が出たときに、しかもそれが全体の地域の 中であまり必要としないような病床であるとかいうものの場合に、例えば医療審議会で こういうのはあまり必要がないのではないかということがあったとすれば、その増床も しくは開院を許可しない、という権限は現在はないのではないですかね。その点に関し てはいかがですか。 ○谷口指導課長 その問題点というのは、ある意味では論理矛盾になってしまうのです。 そもそも県で基準病床、ここまではあってもいいということなので、その状況の中で出 てきたものについて、それが不要だという世界というのは一体なんなのだろう。もちろ んその全体としての話ですので、個々の診療科のベッドであれば、ある意味、ここの部 分は満杯になっているとかいう話になるのなら、そこは考慮の余地はあるのですが。基 本的に全体の話として捉えると、そこは論理矛盾になってしまうので、なかなか辛いも のがある。では、もともと基準病床数のレベルをもっと下げないといけないのではない か、という話にたぶんなるのではないかという気はしています。診療科別にそこまで考 えていただけるのであれば、それは確かにそのとおりだろうという感じはいたします。 ○濃沼委員 いまのことに関連して、最後の頁に「都道府県で病床を減らすこと」とい うのがあります。都道府県レベルでの人員配置改善計画と同じように、病床削減計画を 設定して、計画的に進めていく必要があります。使わない病床を再配分するのではなく 削減計画に沿った削減を大原則とする。そこが明解でないと医療審議会等でも方針に迷 います。増やしてほしいという圧力に迷うのではないかと思うのです。病床削減計画を 都道府県レベルで立てることが可能なのか、あるいは立てることを勧めるのかどうか、 お聞きしたいのです。 ○谷口指導課長 基準病床制度そのものの考え方については、ワーキングでもいろいろ ご指摘をいただきまして、今後考えなければいけない点は多々あろうかとは我々思って います。ただ、この検討会でも当座、これまでの考え方はしばらく残るということにな りましたので、それを前提にしますと、先ほど申し上げていますように、全くそれを否 定してしまう考えというのは、なかなか国として採れないというのはあります。ただ、 ご指摘のように県の裁量性というのを今後大事にするということからしますと、何も基 準病床数まで必ずしももっていくか、いかないかという話は県の裁量ですので、そこは 医療審議会の中でどうしてもこの辺は不要だという判断があるのなら、それは別にかま わないと思っています。それを国に対して全体にそれはおかしいのではないか、と言わ れても困りますということだろうと思います。 ○黒川座長 そういう意味では制度というか発想の大転換が起こってくるわけです。こ の委員会の最初の答申があったみたいに、それぞれの地域、都道府県をまた分けていく と、そこで高齢者社会ですから、高齢者にどういうことができるかというキャパシティ によってかなり医療が変わってくる、という話がその前提にあるわけですから、そうい う答えだろうと思います。 ○信友委員 7頁の3番目の☆のところにある文言ですが、地域住民に情報開示しなけ ればいけない。唐突ではないのですが、こう出た場合にこれからの新しい医療計画では、 各病院はこういう情報開示をしなければいけない、というリストをもう一回再掲しても らったらいかがかと思うのです。そうすると在院日数の伸び云々のことが6頁の公的病 院について書いてあるわけだから、平均在院日数も情報開示させるのか。私でしたら、 こういうものが我が病院の退院基準ですと、内科系はこれですとかいう退院基準を明示 させるとか。情報開示はこういうことを積極的にすべきであるという再掲があると、地 域医療計画は作りやすくて実効性があるのではなかろうかと思います。 ○黒川座長 この各論のアイテムについては、これからどんどん進んでいくかなという 気はします。是非ワーキンググループの方からも知恵をもらいながらフィードバックし ていくといいのではないかと思います。結局、必要だというのはその地域の住民が必要 だと思わなければしようがないわけです。 ○池澤委員 6頁ですが、主として「公立病院を念頭に置いている」ということがはじ めの○にあって、それからその公立病院は市町村立が46、都道府県立病院が10という 例が挙げられているわけですが、現実の問題として46市町村立病院を都道府県単位の医 療審議会において、不必要な病院、入院をチェックしてベッドを減らしていくというこ とは、そこの設立母体が違うのに、できるのだろうかという問題があります。実は私自 身がそういうことをたまたま経験したものですから、非常に難しいのではないかと思っ たのです。  私は東京都で、そういう病院をどうするかということが出たときに、市町村立の代表 の方が出席したわけですが、例えばうちの所をそういうことの対象にされては困るとい うこと、総論賛成各論反対みたいなことが現実に起こるのです。それから市民運動とし ても起る。それをそこの労働組合が煽るということがありまして、非常にややこしい問 題になっていくということがありました。そういうことを現実にやっていくことは大変 難しいという印象をもったのですが、そういうことを本当にやっていくだけの体力を、 現在都道府県の自治体の体制が組めるようにこれからやっていく、という決意を表した ものとするならば歓迎しますが、その辺はどうなのでしょうか。 ○谷口指導課長 確かに現状、そういうドロドロしたところというのは、地方に行けば 行くほどあるのだろうと私ども認識をしています。であるからこそと言いますか、そう いうことをあまり放置しておいてはいけないと、逆に我々は考えています。これまでそ ういうことが残ってきた一つの背景としては、それなりの仕組み、仕掛けがなかったか らだろうと思っているのです。その仕掛けというのは、ある程度今般のこの計画の中で の仕掛けとして、こういうのをみんなでやろうということで国がお示しをし、法の本則 ではないにしても、どこかではっきりと打ち出すことにより、逆に都道府県も国がこう 言っているのだから市町村に対して指導力を強めていただくことも当然期待できます。  もう少し申しますと、この辺本当はオフレコにしなければいけないかもしれませんが、 市町村にしましてもそれなりに困っておられる部分は確かにあるのです。そこのところ を都道府県がこう言っているのだからしようがない、国がこう言っているのだからしよ うがないというところの、ある意味で表現は難しいのですが、そういう形で国なり都道 府県が背中を押す、という方向に少なくともこの仕掛けがうまく使ってもらえないだろ うかという気持がありますので、そこのところははっきりしたものさえちゃんと示せば、 従前のようなことにはならないのではないかという期待を込めているところです。 ○信友委員 もう1つそれに繋がるようなプロジェクトで動いているのですが、地方分 権に熱心な岩手県知事ほかが地方分権研究会をつくっておられます。そこで開設者に向 けての自治体立病院の評価チャートを作りました。それはもう検証もして今年度で終わ りますが、開設者は自ら開設している自治体立病院を統廃合するのか、あるいは縮小す るのか、均衡縮小するのか強化するのか。そういう評価をする評価チャートを作って動 いていますから、たぶんもう開設者たる知事だとか市長だとか町長は熱心にこのことを 考えると思います。医療審議会という場があると同時にその評価をする武器もあるとい うことです。 ○小方委員 全体的な流れとしては、いまの世の中の流れであるとか、あるいはこの医 療計画立案、あるいは今般出ています医療費の適正化の問題を考えますと、地域の実情 は地域の方がいちばん詳細に把握をされていると思うべきかなと思います。したがって 権限の移譲がなければ、いろいろな計画立案についても、ある程度制限をされるという ことから考えて、大まかにこの流れとしては、私は個人的には賛成です。いろいろな医 療費適正化の問題を考えますと、病床数が大きな要素にはなろうかと思いますので、い ま各委員から出ているような問題点はあろうかと思いますが、取りあえずこういう形で スタートを切って、問題があったときに1年ごとなのか、あるいは何年後にフォローア ップも含めた検証をして、また問題があればそこでまた議論をするという方向がよろし いのではないかと思います。 ○土屋委員 都道府県の医療審議会の裁量で弾力的な運用ができることになっています が、具体的には、それぞれの医療圏の基準病床数はいろいろでして、ある医療圏では基 準病床数に達していない、ある所は過剰である。その過剰な地域を見ますと、そこには 県全体にわたる役割を担っているような医療機関があるとしますと、そこはどうしても 足りなくなってしまうのです。余っているという言い方が適切かどうかは分かりません が、そこの病床をこちらに持ってくるということについては、この弾力的運用の考えの 中には入っていないのですか。 ○谷口指導課長 最終的には知事の権限ということを前から申し上げているので、そう いった部分の裁量の余地はないとは言えない。当然のことながらあるのです。あるので すが、あまりそれを露骨にやってしまうと「なんのための二次医療圏ごとの医療」にな ってしまうので、そこのところはどこまで県のほうで真剣にお考えいただくか、という ところが根本の問題だろうと私は思っています。特に委員がおっしゃいましたように、 1つの医療機関が全県の患者を集めるようなものは、確かに三次レベルではあるのかも しれませんが、仮に三次だとしたら、それは本当に数として多いと理解をするのは、な かなか辛いのではないかと思っています。むしろ二次レベルの人たちを県域を越えて集 めていくような話であれば、そこは機能分担という形で、本来ほかの医療圏の所がしっ かりやっていただくということを考えるべきではないか。そこは県の指導力ではないの かなという感じがいたしております。 ○土屋委員 では、具体的に言いますが、地域のがん診療拠点病院というもの、これは もう制度化されているわけですが、各医療圏ごとに置くということにいまなっています。 新しい考えとしては、そういう医療圏ごとの拠点病院と、県レベルの拠点病院を1つ置 く、という考えにいま大体まとまってきています。そうしますと、県拠点病院には全県 下から患者が集まってくるわけです。その県拠点病院はその医療圏だけの役割ではない わけで、その分は全体の中から考えてあげないといけないのかなと思います。  地方に行きますと、都市部の中にそういうものが集中しているので、どうしても二次 医療でやれるような医療機関が逆に少なくなっているのです。そこで拠点病院と称する からということで、これはこの検討会でも再三申してきましたが、そこまで含めて集中 させてしまうと、本来の三次なりあるいは拠点病院としての本来機能が果たせなくなっ てはいけないのではないかということです。いうならばその医療機関にも自覚を持たせ る意味からも、弾力的な運用ができることにしないと、結果としては拠点病院を看板に 掲げて、そこに患者が集中してしまうという情けない結果に終わってはいけないと思う のです。 ○谷口指導課長 先ほど申しましたように、最終的にはもちろんできるのですが、その 最終的な県知事の裁量部分以前に、流入流出という概念を算定式の中にも実は入れてい ます。そういう意味で本当に全県的にしか診られないような患者がどれぐらいあるのか、 二次医療圏でどのぐらい出ていくのだという発想で、流入流出の中で、本来的には飲み 込んでいただくような話が本筋だろうとは思っています。そこで議論をしていただいて 、どうしてもまだ飲み込めない部分では、最後の最後で知事の裁量というのは確かにあ るのかという気はします。 ○豊田委員 6頁にあるとおり、公的病院のベッドで有効活用されていないということ が事実としてあるわけですが、いま議論になっているベッドを減らすという問題は、特 に地方に行くほど難しい。要するに規模を減らすということは、地方の議員たちの関係 もありまして、これは非常に難しいです。単にベッドを減らすというだけではなくて、 私は前回も発言しましたが、公立病院のベッドを減らす、しかしながらそこの病院の機 能を高める。規模は縮小するけれども、機能を高める。例えばそこの病院にオープンベ ッドを用意するとか、高額の医療機器をそこに備えて、地域の開業の先生方、あるいは 民間の病院の検査に供するという機能をアップすることと、規模を縮小することをセッ トにして考えれば、病床を減少することはある程度実現するのではないか。その裁量は 知事にある程度任せる部分もなければ、それを国が後押ししなければ進まないと思いま す。そういった形にしていけば、ここの検討会でずっと検討してきた医療の役割分担と 連携も更に前進するように考えます。 ○田中委員 一委員としての発言です。全体の方向としては正しいのですが、4頁の図 を見ると、折角の良い案なのに、書き方のせいで、これが私たちの認識かと思われると、 ちょっと変な点があるのでお聞きします。4頁の図の右の端に「医療サービスの質の競 争を促進」と書いてあります。競争とは経済学から言うと、供給のほうが需要を上回っ ているときに、お客さまを奪い合うための競争が起きるという意味だと思う。たしかに 職業倫理として、客の取合いをしようとしまいと、ベンチマーク競争やクオリティを高 める競争は別で、必ずあるはずです。それとは別にここで書いてある「質の競争」は、 いま参入規制があるから客の奪い合いが起きていないから起こそうという意味にとれま す。  ところが真ん中に書かれている医療審議会等で認められる医療は、小児救急や周産期 医療などの「必要な医療」とあります。この「必要」の意味は、必要なのに供給が足り ないからこういうものを認めようということですね。ここは論理的に必ずしも通ってい なくて、地域で不足しているから入れようという話と、もともと不足していないのに更 に参入を認めるから、はじめて競争精神が起きることが繋がっていないと読めます。  もう1つは、そもそも根本的な認識として、地域で小児科救急や周産期医療が足りな い理由は、病床が足りないのではなくて医者が足りないのではないかと思うのです。小 児科救急や周産期医療をやりたい病院がたくさんあるにもかかわらず、参入規制ででき ないからではなくて、ドクターが辞めてしまうから地域で小児科救急とか周産期が危機 に瀕しているのではないか、と認識しています。病床規制の話と、この挙がっている例 が距離が遠い、これが2つ目です。  不足している所をなんとかニーズに合わせて少しでも増やすことと、そうではなくて、 提供者間競争が起きるべきが第1点目で、2番目が周産期医療等は医者の話ではないか と思います。折角のいい話なので、4頁の図など、私たちの認識を現わしていることに なるので、そういう指摘になります。 ○黒川座長 これも大事な指摘だと思います。全体としてはやはりこちらの方向にいく のではないかという話で、今までのことだと、こういう問題がある、ああいう問題があ ると指摘をされるのは当然だと思います。これからこういう話から、どうやってそれぞ れの地域でどういう権限で作っていくかという話が、たしか4頁もサービスというのが 4カ所ぐらい出てくるのです。この「質の良いサービス」とか、サービス、サービスと 言うけれども、その辺が誤解されるといけないので、ここをワーディングを変えること。 皆さんの意見を伺っていても、こういうことをすることによって、この基本がどういう ものになっていくのかというプロセスには時間もかかるし、それぞれの利害関係者もい るわけですから、それがここのいちばん上から「国全体としてこうあるべし」などとい う話ではなくて、こういうルールでやったらどうですかという話には皆さんご賛同をし ていると思います。それぞれの個別の問題はあるかもしれないけれども。  6頁に市町村の病床も2,400いくらと書いてありましたが、これも市町村合併でそれ ぞれの市町村が持っている意味がだんだんなくなってきています。そんなことまでして 自分たちの税金を使いたいのですか、という話が出てくるわけで、こういう話になって くると、いろいろな意味ではいまの問題を超えて新しい形がいろいろ出てくる。それは 単一のモデルではないわけで、それはこの間も約束したように、このワーキンググルー プの人たちが、いろいろステークホルダーではないというところから、いろいろなポリ シーの相談に乗れるし、サクセスモデルにこういうのがありますよと、いろいろな話が できるということになる。それぞれの地域でディシジョンする人たちにいろいろな選択 肢を提供できるという意味では、非常にいいと思っています。個別の問題はあると思い ますが、このような方向にこれを持っていくと、この後出てくると思うタイムラインが フィードバックをしながら、より地域の人たちが納得するような医療体制が構築できて いくのではないかと思います。 ○古橋委員 6頁です。いま座長もおっしゃいましたように、46市町村立病院と10の 都道府県立病院の5割も利用されていない具体的実態は、たぶんそこで行われている医 療の質等、医師の不足等も含めて、住民がもう選択しなくなってきているという点での 病院機能の劣化が生じている病院ではないかと推測をいたします。そうしますと、もう そういう点では基準病床とか医療計画の点では、ある意味で過剰な病床と断定できるか どうかは別ですが、ただし先ほど池澤委員もおっしゃったように、地域住民が公立病院 がなくなったり数が減ることに対して、また別の価値意識がありまして、そこに対する 反対が起こり得ると私は思います。  職員の反応もあるでしょうが地域住民のそうした違和感に対しては、是非とも状況の 公開、あるいは地域住民へのそうした判断に供するような事実公開とかいうことを積極 的にやっていくことが非常に大事だと思います。そういう点も含めて私は公立病院に、 その後は広げて公的な所にも都道府県の権限や裁量が機能するように具体的な例から、 総論的に論ずるよりも現実にある56の公立病院について、各都道府県が具体的に検討を して意思決定をしていくことが重要だと思います。  ただし、論じられていることは、療養病床と一般病床の区分があります。療養病床に 対してはニーズといいますか、需要という言葉が正しいのかどうかですが、地域の住民 にとっては、そこが病院であろうが老健であろうが特養であろうが我が家を離れて館で 暮らす場所という認識があるわけですから、そういう点では都道府県も介護保険領域の 介護施設と、この医療法下の療養病床と合体させた中での過不足を検討する、という視 点が本当に要るだろうと思っています。そういう点がなんらかの形で進む必要があるの ではないかと思います。  もう1つは都道府県を集めて懇談会がなされたわけで、意欲的な都道府県の存在もわ かったのですが、全部の都道府県においてなされたわけではありません。私は都道府県 のそうした決断、覚悟、力量には非常にばらつきがあるように思いますので、そこに対 してはより積極的な推進というか導きというか、話合いというか、そういう場がもっと 起きないといけないのではないかと思っています。 ○黒川座長 これもそうですが、いまお話があったようにいろいろな使い方があるわけ で、それを公的なオープンシステムとしてみんなで使いましょうという話もあるし、み んなで機械を使いましょうというのも大事ですし、それぞれのあり方が地域に基幹病院 があるとかないとかでかなり変わってきます。そういうことを是非、地方ごとに決めら れるということと、高齢者の収容をするというか、高齢者のニーズに合うことが大前提 としてあるのだという話がこれのいちばん最初に書いてあるので、そういうところから 次の政策に移ろうというのは、ある意味では画期的ですから。  これについての相談がこの間朝日新聞の1面に出ていました。44都道府県で医療計画 を書けなんて言っても全然わからないと。いまは移行期ですから、わからないのだった ら大学の人を中心にしたコンサルタントチームをつくりましょうというのはいいわけで す。厚労省の担当者に聞いても、それはあまり返事にはならないのだというのはしよう がないですよね。やはり国中心ではなかなか動かないという話をいっているわけなので、 そういうことでよろしいのではないかと思います。一応こういうことを基本的に認めて いただいて、競争の質とかいろいろな話は格好はいいのだけれども、実際は医療に馴染 まない部分が多いですから、誤解のないようにしていただいて、次に移ります。次、資 料2をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○針田医療計画推進指導官 ありがとうございました。これも前回示した資料のリニュ ーアル版の形になっています。資料2「救急告示制度の見直しについて」です。1頁(見 直しの背景)前回示したものと同じですが、基本的に告示制度、救急隊により搬送され る傷病者を担当する医療機関。もともと救急車で運ばれる医療機関を定めているのが告 示病院で、そういった視点を考えながら検討していく形になります。小児救急患者が課 題という話、また医療機関の見直しで機能分化を積極的に検討しているといったものを 告示でも考えていくべきではないかということ。また、実際問題としてある、救急医療 に携わる長時間労働の話もある程度加味していかなければいけないこと、こういったも のを踏まえて、機能に応じた医療機関の名称を告示できるようにすること。また、指標 をある程度の基準に基づいて考えていくべきではないか。そして、3年ごとの更新、ず っと続くのではなくて、ある程度更新制度のようなものを有効に活用すべきではないか ということを方針で考えています。  2頁、概要ペーパーはこれ1枚になっていますが、救命救急センター、入院機能を有 する救急医療機関、そして初期救急医療担当医療機関。わかりづらいという話もありま したので「初期」という文言を入れています。右のところを「初期救急医療担当医療機 関」という形にしています。「構造」「過程」「結果」は前回と同じ形になっています。 前回のご指摘の中で分かりづらいところがいくつかありましたので、その辺、修文して おります。救命センターの(人員)の中程で夜間・休日の診療について、交代制勤務が できる体制を導入していることといった言葉にしています。真ん中の入院機能を有する 医療機関に関しては、(2)で、メディカルコントロール協議会の活動に参加していること、 これも大事ではないかという理解もしています。また(研修)については救急隊員の臨 床での研修を年間8人日以上受け入れることが可能であること。地域の実情、これは救 急隊の地域の実情もあるので「可能であること」という形にしています。真ん中の(3)の 結果ですが、(搬送)に関して入院診療を要する救急患者ということです。左の救命救 急センターは重篤としていますが、真ん中は入院診療を要する救急患者の搬送依頼を受 け入れてほしいと書いています。  そのいちばん下に注記を書いています。現在、地域によっては輪番を用いて地域の救 急医療を守っている地域もありますので、その辺の位置付けを明確にしてほしいという 話がありましたので、「地域における複数の医療機関が輪番制で実施している場合には、 当該医療機関全体でそれに見合う実績を有すること」はということで、地域の医療機関 が連携しながら、地域の救急医療を守っていくというのは、当然お願いすべき事項であ るということで追記しております。右の初期救急医療担当医療機関はいちばん上の文言 が入っただけになっています。  1枚めくります。これは前回付けていなかった資料ですが、現在の救急病院等を定め る告示制度の厚生省令を付けています。これは参考です。以上です。 ○黒川座長 この間の議論を踏まえて整理された表ですが、いかがですか。 ○土屋委員 だいぶ良い形にしていただいたと思いますが、特に入院機能を有する救急 医療機関のいちばん下に、輪番制で実施している所に対するこういう考え方を入れてい ただいたのは、極めて現実的なことで結構だと思います。この初期救急の医療を担当す る医療機関のほうにも、こういうことは起こり得るわけです。もっと言いますと救命救 急センターになれなかった所は、真ん中の入院機能を有する救急医療機関というものに なるのでしょうし、あるいは入院機能を有する救急医療機関がこの要件を満たすことが できない場合は、初期救急を担うということになると思うのです。実態はこれも輪番制 とは言いませんが、当番制という格好でこれは成り立っていますので、いちばん下に似 たような文言を入れておいていただくのが実態と合うのかなと思います。  これは告示の救急医療機関をできるだけ閉め出そうという考えではないのですね。で きるだけやっていただこうということだとするならば、いま一生懸命地域でやっていた だいている医療機関が、参画できるような形にしておいていただいたほうがよろしいの ではないかと思います。 ○濃沼委員 患者や住民の立場に立つ医療計画に見直していくのですから、どの病院で も基本的な救急は担ってもらえるようにするのが当り前と思うのです。最初の考え方の ところに、病院と言うからには基本的な救急を担う機能を全て持つべきことを謳ってほ しい。医師であれば蘇生術のようなものは診療科を問わず誰もができるようにするとい う考え方と同じです。こうした考え方に立って今までの救急告示病院を再構築するべき ではないかと思います。  実際に大病院の前で交通事故があり、そこは救急はやらないから別の病院に運ばれる 間に亡くなってしまったという事件がありました。病院と名乗るからには、救急がやれ る能力を持ってもらうことが必要であって、その上に救急を専門的にやれる病院を明示 していく。救急についての包括的なコンセプトを、最初のところに是非書いていただき たい。国民にわかりやすい救急のシステムを通じて安心・安全を確保することも医療計 画の1つの大きな役割だと思います。 ○黒川座長 どうでしょうか、やはり患者のほうから見れば病院と言っているからには 24時間、時間外で来たら最初の対応はしてくれなくてはいけない。「今日の当直は眼科 ですからできません」なんていうのだったら、医者の免許を持っているということはど ういう意味をもっているのだという話ぐらいは、当然期待されていると知っていなくて はいけないわけです。それが例えば最初の判断をして、その次を紹介するなり何なり、 最初の対応と手当ぐらいはできなければしようがないのではないか。すると、1人だけ 当直をしているから不安なわけですから2人とか3人いたほうがいい。そうすると病院 で給料をもらっている人だけである必要もないわけですし、病院と言うからには時間外 の対応ぐらいできなければ困るというのは、それはそうですね。  いちばん最初の消防法に云々かんぬんもそうですが、昭和23年というのも結構だけれ ども、これ救急車なのでしょう。救急隊により搬送されるというけれども、今はみんな 自動車で来てしまうのではないですか。救命救急センター、消防法というのはまだこの 議論をしているわけですか。わざわざ救急車を呼ばないで車で行ってはいけないなんて いう話ではないですね。 ○針田医療計画推進指導官 その説明が不足で申し訳なかったのですが、別に告示病院 だけで救急をやってくれという話ではなくて、告示病院というのは救急隊が搬送する病 院という狭い話でして、そこが不明確であった。いま救急病院という看板がたくさん立 っているけれども、要はたらい回しという話もあったし、いま小児の需要が非常にあっ て、医者であればどんな医者でも診れるというわけでもないという状況を踏まえて、取 りあえずまずは告示制度に関して検討をしたらどうかということ。告示病院だけで救急 をやるという話でもありません。これは救急隊が運ぶ先の医療機関を説明しているもの ですから、救急隊員が前面に出てくる。ここは説明不足でした。 ○黒川座長 救急隊ではなくて自分で行くぶんにはいいというわけですね。 ○近藤救急医療専門官 自分で行くぶんも踏まえて、年間365の入院患者等に関しては、 自分で行く分も含めてカウントすることになっていまして、必ずしもこれは救急隊の搬 送だけがこのアウトプットの仕様に提示しているわけでもありません。 ○黒川座長 ただこれ、全体の枠組みで、先ほどから言っているような都道府県で作る 対応にまた入るわけです。最初から出たように、小児科の場合は90%以上が時間外の診 療が多いわけだから、すると地域によって小児科の先生が病院オープンシステムにした りして、ほかの当直の人と一緒にいることを作ればいいのではないかという話に、ここ では全部かかっている話だろうと思います。そういう話をどうやってみんなに理解され るかは、このペーパーだけだとなかなか見えないのですが、一応大きな枠組みの中でこ れをやってるわけですね。そうすると、これは時間外とかいうわけではなくて、消防法 でやっている救急何とかという話のことをこれは書いているわけですね。その辺が全体 としての分かるようにしておけばいいわけですね、濃沼委員のおっしゃるとおりだと思 います。病院だったら当然だと思います。 ○山本委員 救急医療ということではなく、初期救急と明確になったわけですが、前回 私の代理で出席した者が発言しているように、先ほど土屋委員から初期救急医療の中に は、輪番制があるだろうというご指摘がありました。実際には入院機能を有さない診療 所での輪番体制というのが当然、初期救急にあるわけです。前の資料1もそうですが、 基本的には病床をどうするか、という大きな医療提供体制のまず根っこの部分の議論で 始まっている中で、医薬品に関する小さな部分を申し上げるのは申し訳ないのですが、 少なくともこの資料1を見ても、救急体制の中での仮に入院あるいは高次の救急につい ては、きちんとした体制が採れているので問題はなかろうと思います。  いま黒川座長の言われたように、地域の中では必ずしも輪番制を敷いている当番医の お手元に必要な薬がないようなケースもあります。必要な薬については十分な判断がで きても、ご自分の手元にないケースになりますと、そこは地域の薬局に薬を出せという 話になってきます。そういった意味でいくと、この、1番2番を通して全体ですが、医 薬品の提供体制はどうなさるのかというのが見えてきません。特に薬剤師をという話で はなしに、少なくとも医薬品が医療提供体制の中で適正に供給されないと、医療の一部 が欠落してしまうというような気が私はしています。  特に初期救急の中に、少なくともそうした医薬品を念頭に置いた、あるいはそれが見 えるような形でこの計画を作っていただかないと、医療のほうはすっかり体制ができた、 しかしながら患者にとって必要な医薬品が、医療提供体制の中で円滑に提供できない形 になってしまうのではないか、という懸念を私は持っています。  病院の中にいる薬剤師もそうですが、地域医療を考える上では、当然機能連携という ことがここでも言われているので、是非そうした意味での医薬品の提供を含めた医療提 供体制をどう構築するのか、都道府県に権限を含めて落とすのであれば、そうしたこと が明確に判断できるような書きぶり、そうした言葉の整理が要るのではないかという気 がしますので、意見として申し上げました。 ○黒川座長 これは次の日の朝になるまでない、できるだけのことという話をしている わけですね。 ○山本委員 それはそのとおりです。 ○黒川座長 そういうことだから、病院であったらそういう物がないというのは考えに くい話のような気がするのです。 ○山本委員 もちろん病院では起こらないだろうと思いますが、まず処置があって、そ の次には当然その体制が次に待っているわけですから、そうしたことが全く配慮されな いというのもおかしなことだなという気がします。薬にこだわって申し訳ないのですが、 そのような気がいたしますので、よろしくお願いいたします。 ○豊田委員 輪番制について意見を述べさせていただきます。私は救急の輪番制には基 本的には賛成できないです。救急患者は救急車で行くばかりではない。いまですと車で、 特に地方の場合は車で行くとかいうことは結構多いですから、その時に輪番制というこ とがある意味では合法的というのか、法ではないのですがその地域の申合せによって、 その日は救急患者は診なくてもいいという形に利用されますと、大変住民が迷惑します。 先ほども意見がありましたが、病院がある以上みんな医者は初期救急ぐらいはできるわ けですから、今日は輪番はあちらの病院ですということで門前払いされるような形は、 輪番制でのいちばんの弊害なのです。輪番を行うのであればその辺についてきちんとす べきです。  こういう救急体制が地域のセーフティネットとして必要であるというのであれば、専 門医の問題も生じてくると思いますが、ある病院に地域の先生方が協力をして外来を診 て、そこの病院で入院できるような、その辺の地域に合った本格的救急体制、きちんと した形で何かがあればそこの病院に行けば大丈夫だ、という安心感を与えるような救急 体制を目指すべきだと思います。 ○黒川座長 最初の議論で出ていましたよね、やはりその施設を皆さんで使おうという ことにすべきで、やはり輪番制というのはいざという時には分からないですね。電話を すると、ここではないですなんて言われているようでは、話にならないという気がしま す。今までのはそういうことがあると思うのですが、これからは基本的に、場所はあそ こに行けば大丈夫だという話にしないといけない。 ○池澤委員 この文言の解釈にちょっと、とらわれるわけです。救命救急センターの「一 定期間(3年程度)以上の救急医療の臨床経験を有し、専門的な救急医療に精通してい る医師が常時診療に従事していること」。それから「循環器、脳神経等を専門とする医 師との連携があること」というのが救命救急センターの主な定義になっているわけです。 次の入院機能を有する救急医療機関の場合に、やはり同じく「一定期間(3年程度)以 上の救急医療の臨床経験を有し、救急医療に精通している医師もしくはその指導下にあ る医師が病院内で常時診療に従事していること」ということがあります。  ここで現実に私どものところでもってやっているのと、これから大きく変わっていく のではないかと思いますのは、ここの救急医療に「一定期間以上の救急医療の臨床経験 を有し」というのは、救命救急センターの場合と、入院機能を有する救急医療機関の、 この部分のところが、内容が全く同じものを指しているのか。つまり、私はここでもっ て一定期間3年程度は救命救急センターでいろいろ臨床経験をこなして、そういう者が 一般病院に勤務しているという者を指しているのか、それとも一般にこれまで当直をし てきて、適当に夜間救急を二次救急を含めて扱っていて、そういう者がいればいいのだ という意味で言っているのか、その辺は非常に難しい。  特に輪番制の問題と絡んでくるとややこしい問題になるわけですが、地域によって輪 番制でやる場合に、その中に加わる医療機関の中には、あまり救急医療の臨床経験を持 たない当直医がいるということは十分に起こり得るわけで、そういう問題について、1 つはどのように解釈したらいいのかという問題と、2番目には、いま非常に問題になっ ているのは厚生労働省の下のほうの二文字の問題で、ごくわずかな患者を診るならば、 救急当直医がやってもかまわないというような、そんな妙な抽象的な表現で決めている わけです。ところが、365名以上というのは、1日1人必ず来るというような順番で決 まっているわけではなくて、10名を超す場合もあるし、あるいは一晩中眠れないような 日も続くというようなことも起こり得るわけです。そんなことでいくと年間365名以上 を受け入れるということは、そういう問題とどう絡むのかということが1つです。  それと現在の医政局で十分に資料を持ってこの案を出したのなら結構なのですが、現 在臨床研修医制度でもって、第1年目に救急医療および麻酔ということを3カ月間研修 するということになっています。そういうことでもって受け入れている病院の中で、い ままでの救急医療の概念でやってきている病院がある程度含まれているのではないか。 そういうことについてどのようにそれを補強していって、臨床研修制度を補完するのか。 それともそういう病院はこれから研修医がとれないようにするということで、救急医療 をやらないようにするという意味で考えているのか、その辺のことについてよく分かり ませんので教えていただけたらと思います。 ○谷口指導課長 ちょっと私どもの説明不足もあって、議論がかなり錯綜している感じ がします。先ほど指導官が若干申し上げたと思いますが、この制度自体は実は消防法に 基づく告示制度で、基本的に救急隊が救急患者をどこに運べばよいかということの1つ の目安としてそもそもスタートした制度です。そういう意味からすると、これがすべて ではなくて、当然これに入らなくても、先ほどから議論に出ているように、救急患者を 受け入れる病院はかくあるべしというのが当然医療の世界にはあるわけなのです。そこ のところの議論として、この議論は私どもの説明不足のために、委員の先生方に大変ご 迷惑をかけているような気がいたします。  あくまでもたらい回しがされないような、消防法に基づく救急の搬送ということを考 えると、こういう1つの目安がどうしても要るのではないかということを、これまで救 急学会などを中心に専門家の検討会で議論いただいたものをまとめたという世界です。 今後、池澤委員がおっしゃいました臨床研修といった要件と、これが完璧にリンクする かという話とは若干別ものであると我々は理解しています。 ○黒川座長 そうですね、どうぞ。 ○土屋委員 豊田委員や池澤委員から輪番制の話が出ましたが、輪番制の実態はそれに 対する財源もなくなっていますので、地域におけるみんなが知恵を出し合って、現状に 即した救急体制を敷いているということで、輪番制を敷かなければいけないという話で はないのです。ほかに手立てがないものだから、窮余の一策としてまだ輪番制を続けて いるというのが地域の実情で、豊田委員がおっしゃったように、それは理想ではありま すが、なかなかそれができないというところでの1つの救急応需体制であるということ です。  それと、救急告示の診療所として手挙げをして指定されたということと、初期救急を 捉えてみた場合に、では在宅当番医との違いをどのように皆さんは捉えていらっしゃる のか、これを制度としてこういう格好で持ち込んでみても、実態はあまり変わりないの ではないかという気がするのですが、どうでしょうか。 ○針田医療計画推進指導官 いずれにしても申し訳ありません。3頁に基本的にいまの 救急告示医療機関ですが、いくつかの条件がすでにあります。第1条の下から4行目に 「傷病者のために優先的に使用される病床を有すること」ということで、うちはちゃん と病床を準備していますという診療所が「うちはやる」と示していただけるということ は、非常に素晴らしいことですし、365日その診療所で頑張ってくれというのが現実的 にどうかという話もありますので、そういうものはある程度現実的な対応も考えなけれ ばいけないかとは思います。 ○黒川座長 そういうことですね。その辺がここで書いてあるのは、時間外を含めた全 体の救急体制と消防法でいう救急体制とは少し違うところがあるから、そこのところの 整理をしなければいけないですね。 ○河口委員 今回、救急告示制度の見直しは非常に内容としてはいい方向にいっている と理解していますので、もしこういう形で救急体制を効率化されるということであれば、 いくつかデータをきちんと取られたほうが、見直しをするときにワークしているかとい うのがわかりますので、もし可能であれば検討していただきたいと思います。  例えば救命率や、先ほどから出ております受入れに関する拒否率がデータとしてある と思いますので、そういうものを都道府県に見ていただきながら、多分救急救命という とアクセス時間と救命率のトレードオフをいかにうまくコントロールするかということ が重要だと思いますので、そういうデータ。それから年間365名以上を受け入れるとい うことになりますと、ちょっと無理してでも受け入れたくなる所が出てくると思います ので、指標としては救急患者を受け入れてから実際に治療にかかるまでの時間、救急車 が到着して実際に治療が始まった時間をデータとして取っておきますと、無理な受入れ やきちんと対応しているかどうかが分かると思いますので、こういうことも是非ご検討 いただければと思います。 ○黒川座長 最初のワーキンググループのところで、前回出てきた有賀さんや救急の人 たちがやっているのではないですか。 ○針田医療計画推進指導官 ある程度やっていただいているのですが、それ以外にもい まのいくつかのアクセスの話が出てきていますが、新たな手法など、コンピュータソフ トも出てきているやに聞いていますので、いま河口委員が言われたような話については、 今後学識経験者的な方々と相談しながら、研究はしていきたいと思っています。 ○黒川座長 いま救命救急センターとここで言われているのは何カ所あるのですか。 ○近藤救急医療専門官 186カ所です。 ○黒川座長 186カ所ですね。そこで平均何人ぐらいの患者がきているのですか。365 人などということはないですね。 ○近藤救急医療専門官 すべての救命センターがデータ上は365名以上の。 ○黒川座長 だから事実は何人ぐらいになっていますか。 ○近藤救急医療専門官 事実はすべて365人以上を受け入れています。 ○黒川座長 どのくらいですか。 ○近藤救急医療専門官 大体多い所は1,000、2,000という所もありますし、少ない所で も500、600以上は受け入れているという状況です。 ○黒川座長 500、600といったら1日2人でしょう。少ないですね。 ○近藤救急医療専門官 少ない救命センターも残念ながらあるというのは、人口が少な い所もあるからという実態です。 ○黒川座長 でも、多くて2,000ですか。少ないですね。 ○近藤救急医療専門官 調べればすぐわかるのですが、最高値はまだ見ておりません。 ○黒川座長 入院はしなくてもいいという人が、たくさんいるということは確かですね。 ○近藤救急医療専門官 もっと多いです、1日重篤患者でも1,000、2,000いく所はあり ます。 ○黒川座長 そうですね。 ○池澤委員 あまりにもデータの把握が足りない。東京都で見てもいちばん多い所は1 年間で1万近い所がありますよ。 ○近藤救急医療専門官 救急車の話ではなくて救命センターの重症患者というお話で、 私どもは答えさせていただきました。 ○池澤委員 そういう意味でね。 ○黒川座長 たくさん受け付けはしているけれども、入院してどうのこうのではなくて、 そこの所で数時間で退院する人がたくさんいるということでしょう。 ○近藤救急医療専門官 それを入れると、いま委員がおっしゃられたような1万とか、 そういう数字の所は確かにあります。 ○黒川座長 そうですね。 ○古橋委員 入院機能を有する救急医療機関のところですが、私も医療を受ける住民の 立場からすれば、救急医療というのはこのように整えられることが非常に重要と思うの ですが、看護職の立場で救急依頼等があったときに、やはり医師の意向を受けてお断り をしなければならないとか、いまはとても一生懸命なのだけれども、手に余って受けら れないとか、ベッドがいっぱいで無理とか、そういう事態はあると思うのです。それが この告示制度でこのようになった場合に、とてもこれがクリアできないので、告示施設 辞退ということが起きてくる可能性はないのだろうかと、ちょっと危惧します。  そういう点では、やはり入院診療を要する救急患者は、初めて医師の診療を受けて入 院の必要があるかないかが判断されるわけで、救急隊がこれは入院診療が必要だという ところまで判断していいとなっているのかどうか、私にはよくわかっていないのですが、 告示施設を辞退するような現象については、どのような予測を厚労省的に持っておられ るのかどうか。この真ん中の要件をクリアできない医療施設はそれなりにあるのではな いかという気がするのですが、そこはいかがなのでしょうか。 ○近藤救急医療専門官 現状のお話を申し上げますと、救命センターのところでも現状 重篤患者の搬送依頼は断らないということが原則として求められる要件という形になっ ています。それはあくまでもベッドが満床でないとか、処置が重なっていないなど、そ のような付属条件が付いています。どうしてもそこでいま重症の患者の処置をしていて 手が空かないという場合に断るという行為を、駄目だというようなことにするつもりは ないので、その辺のご懸念についてはあまり心配しなくてもいいのではないかと思って います。 ○土屋委員 先ほど針田医療計画推進指導官がおっしゃったことは、診療所であれ、病 床がないといけないということなのですか。 ○針田医療計画推進指導官 救急患者を受け入れるかどうか、もし重篤な患者がいて、 もしベッドがないと困るのではないかなと。実はこれには経緯がありまして、告示制度 は非常に長い歴史がある中で、地域に根付いた制度で、とりあえずうちの病院は頑張り ますと言っていただける所がありますと。ただ、実際問題として、いまの多様なニーズ に対してなかなか対応できない部分もあるというところで、一度きちんと今回ディスカ ッションしていただいて、こういう形で救急告示制度を運用するのですということを明 確にすることが、実際に患者のためにもなるし、医療機関のためにもなるという判断の 下にやったということです。実際にいろいろ考えた結果、告示に該当しない所も出てく るかなと、それはそれでいまの救急車がきて重篤な外傷患者が来たときに、対応できな ければそれはもう。 ○土屋委員 そんな重篤ではなくても、先ほど消防法を引いて、こう書いてあるとおっ しゃいました。これは病床がないといけないわけですね。 ○針田医療計画推進指導官 はい。消防法におけるこの告示制度ですから。 ○土屋委員 消防法を変えるわけですか。そうではない。それなら初期救急のこのいち ばん左の欄の所に、こういうものを有するものとの連携を云々ということを言っていま すね。これは入院ということを前提にしていない、あるいは必要な場合にそちらに送る ということになっていますが、自らも入院施設を持っていなければいけないというのが、 1つの要件なのですか。この消防法に書いてある字面を解釈すると。 ○針田医療計画推進指導官 法律ですからそのように読むことになると思います。専用 病床を持っているか、優先的に使える病床を有していることというのが基本的条件にな っています。 ○近藤救急医療専門官 そこは先ほど来説明しているように、これが消防隊が運ぶべき 告示病院という形ですので、万が一そこで入院が生じたときに、ほかに転送できない場 合には一旦そこで受け入れていただいて、少し医療機関の側でケアができるような病院 がいいという形です。一応ウォークインで直来する患者よりは、少し処置に重みを置い ているという文言になっているので、必ずしもそこだけで、告示の初期医療機関だけで 初期医療を担え、という形で申し上げているということではないということです。 ○土屋委員 先ほどこの欄にも輪番制実施をしている場合に云々という、似たようなも のをここに入れてもらったらどうかということを申し上げたのです。それについてもう 1回お答えを聞いておきたいです。実態としては似たようなものになってしまうわけで はないですか。 ○鈴木指導課長補佐 一応当番が明文化されたような形で輪番制と同じような形になる と思いますが、そういう形だった場合に、この要件を満たすということも含めた形の文 章を入れるような形で、調整させていただけると思います。 ○土屋委員 これはできるだけ救急医療に参画してもらう、告示病院になったからとい って別にそんなにメリットはないのです。地域で救急告示になっている医療機関に本当 のところを伺うと、できたらお断りしたいというのです。しかし、うちの医療機関でや らなければいけないから頑張ってやっていますというのが、それぞれの医療機関の実態 です。あまり難しいことを言って締め出すというような意味にとられますと、それを幸 いに、ではこれを機会に辞退させていただきますというようなことになったら大変かな と思うものですから、ちょっとくどく申し上げました。 ○黒川座長 確かに現状を見てみると、救命救急センターがあって、救急車が搬送され る所が180カ所あるわけですね。そこにはベッドがあるのです。しかし、そこにはすご く重症な患者がたくさん入っている。私も東海大学にいたときそうなのですが、そうい うのがあるのはいいのだけれども、やはり48時間したらバックアップして、例えば整形 外科などいろいろな病棟があるのだから、そこのインテンシブケアユニットへ移してく れと私は言っているのだけれども、結構医師の頭の中や組織は縦割で、そういうところ は直していかなければいけないのではないか、という内部的な問題はあります。窓口の 最初の48時間はそこでやりなさい。そこから後はどこの病棟だって、本当はインテンシ ブケアです。ところがまた変な話で、内科を一まとめにしてICUをつくりなさいとい ろいろ言ったのだけれども、構造上の問題があって、なかなか動かないですね。  そういうことは病院の中でできると思いますので、対外的なニーズにどのようにマッ チするのかという話と、病院の中の、ここだって「院内の循環器、脳神経等を専門とす る医師との連携」は当たり前の話で、だからわざわざ書かなくてはならないのは救命救 急のスタッフだけでやっているというのが結構多いからなので、それはちょっとこちら の問題ですね。あとは交代して勤務ができると書いてあるのは、外の先生たちもローテ ーションに入れるようにするというのはすごくいい話だなと思います。だんだん変わっ てくるのではないでしょうか。 ○池澤委員 私は先ほどから用語の問題にこだわっていることを申し上げますが、例え ば東京都では初期救急といったときには入院を必要としないという、特に小児科などに は多く見られる問題です。入院する率はせいぜい5、6%というような状況の中で、救 急隊員はそれぞれ判断しながら運んでいくことになるわけです。初期救急医療担当医療 機関というのはそういう解釈でいきますと、消防法で言っている3頁の救急診療所とい う概念のうちには、ここで言っているものは入らないのではないか。つまり、そこでも って入院させなければならないわけですから、ベッドを持っていない所は。  実際に都内で行っている小児の初期救急医療は、区役所の一部であったり医師会館の 一部でやっているわけです。医療機関ではないわけです。そこでこれは入院が必要だと いうと、そこに送っていくということでもって、地元の医師会が全部協力してやってい く。これは小児初期救急の場合には当然なのです。身障者あるいは脳卒中その他の肢体 障害者、高齢者の方々は初期救急は近所でもって引き受けるという体制にしていかない と、どこかの入院機関のある所まで運んでいくというのは大変なことになるわけです。 そういうことでもって、実際に小児救急もそうなのです。そんな遠くまで運んでいくと いうことは、親御さんたちは耐えられないということがあります。  だから、ここで言っている初期救急医療機関というのは、入院を必要とするというこ とになると、真ん中の入院機能を有する救急医療機関とそう違わなくなってしまいます。 だから、その辺で、ここで言っている初期救急というのは一体何を言っているのかとい うことで、それを教えてほしいです。 ○近藤救急医療専門官 先ほど来ご説明申し上げていますように、救急車が運ぶ初期救 急医療機関です。つまり、救急隊の判断でこれはそこまで重症でなかろうと判断した場 合に、ここの初期救急医療機関に運んでいくということが生じるのではないかと考えて います。その場合、ただ先ほど来議論がありましたように、消防の救急隊の救急救命士 であっても、その判断は必ずしも適切であるということは当然保証し切れないわけです ので、そういう意味のバックアップということで、この初期救急医療機関には念のため、 ベッドを持っていただいたほうが望ましい。ただ、現状を否定するわけではないので、 初期救急医療に関しては、告示でない医療機関にどんどんやっていただくということに 関しては問題はないのではないかと考えています。  先ほど池澤委員からご質問のあった2番目の人員の欄ですがここも専門的なというと ころが左側と比べると抜けているということで、先ほど委員がおっしゃったことはまさ にそのとおりのことで、夜間救急でしっかり救急を診ていただいた経験のある医師等に よって指導される。また、その医師がしっかり教え込んでいる医師が当直に入っている という文言を入れさせていただいているつもりです。 ○松谷医政局長 あまり私から言うことではないかもしれませんが、消防法の解釈とい うか、読み方で3頁です。いまベッドが必要かどうかということですが、消防法省令の 第一条で、告示をすべき医療機関の要件が決められていますが、本文がずっと続いて、 これらの内容地域を○○とすると第1部があり、その要件が下に一、二、三、四号と書 かれているということです。その第四号に「病床を有すること」というのが条件になっ ているわけです。その後に、第一条の本文の柱書きのところに、第2パラグラフですが ただし書きがあり、「ただし、疾病又は負傷の程度が軽易であると診断された傷病者及 び直ちに応急的な診療を受ける必要があると認められた傷病者に関する医療を担当する 医療機関は、病院又は診療所とする」ということで、この場合の診療所はこの一、二、 三、四号を適用しているわけではありませんので、必ずしも初期救急のここのところに ついては病床は必要とされていないということです。消防法の省令はそうなっていると いうことをご理解いただきたいと思います。 ○黒川座長 やはり最初の議論に出ているように、いまは80%の人が都会に住んでいる わけでしょう。そうすると、普段の受持ちというか、診療所の先生たちは診療所と自宅 が全然違う所にいるわけです。だから、いまでもときどき相談を受けるのだけれども、 普段は誰に診てもらっているのという話がなくなってしまって、その先生に電話をして 相談できるようにしておく、という社会を構築していないところに1つ問題があるわけ です。だからすぐに救急車を呼んでしまいましょうなどというお母さんは、普段の先生 はいないのかという話がしょっちゅう出ますから。  そういう話になってこないから、ここのところは移行期で矛盾はあるのです。昔だっ たら診療所の裏に行けば先生はそこにいることがわかっているから、そういう社会だっ た。その辺がもうひとつ問題があるわけですね。そういう話をどんどん構築していくと いいのではないか。そういう話が出てくれば、まずそこの先生に電話をしてくるから、 ちょっといらっしゃいという話になる。 ○濃沼委員 ここで出された認識の違いは、一般の住民になるとこれに輪をかけた形に なると思います。だから救急というイメージから法律なり省令なりが少しずれてきてい るのではないかと思います。この機会に救急医療のあり方全体を、省庁をまたぐ形で再 検討していただきたい。県のレベルですと医療課と消防課の意思疏通が悪くて、データ を取るにもお互い利用されていなかったりということがあります。救急告示ということ から一般の国民がイメージするものと、消防の担当者がイメージするものとが違う恐れ がある。初期から三次救急まで分けることの意味や通報、搬送の方法も当時のものと様 子が変わってきていると思います。ここで議論されたものをこのままにしないで、救急 全体に係る残された課題として、どこかできちんと整理をしていただきたいと思います。 ○谷口指導課長 大変議論を混乱させてしまい申し訳ありませんでした。いちばん最初 の段階で告示の話であることと、全体の救急の話というのは整理してプレゼンテーショ ンを進めるべきだったと反省しております。この件については告示の話で消防を引っ張 ってきているものですから、基本的に告示の世界でどうあるべきかということをまとめ ていただきましたということで、これはできればこの形で整理をさせていただいた上で、 いま濃沼委員がおっしゃいましたように救急全体の話について、今後医療計画の中で具 体的にどういうようにしていくかという話を、私どものこれからの宿題でもあるので、 その中ではっきりさせたいと考えております。よろしくお願いいたします。 ○黒川座長 どうもありがとうございました。そういうことですよね。だから、これだ けを取り上げても問題は解決しないわけで、一昨日か昨日、日経の経済教室に都市計画 の話が東工大の中井さんがなかなか良いことを書いてあったのだけれども、これも都市 計画全体の像が全くないから、やたらと都市の周辺に似たような都市がどんどんできて くるという、アホなことばかりをやっているという話が書いてありました。その問題は どこにあるかということも書いてあって、似たような話で、国のあり方のファンダメン タルはどこでも同じだなと思っています。今後の議論にさせていただいて、こういう問 題の認識があるという、ちょっと最初のところの出方が少し違ってしまったか、両足を 一緒に出してしまったから、右、左と前進しなかっただけの話かもしれません。ちょっ と整理をしてみましょう。よろしくお願いいたします。  次に参考資料がありますので、それについて少し説明してもらえますか。 ○針田医療計画推進指導官 申し訳ありませんでした。残りの参考資料ですが、これも 前回と同じになっています。ただし、若干、前回の議論を踏まえリニューアルさせてい ただいております。例えば参考資料1「今後のスケジュールについて」に関しては、全 体的には同じなのですが、最後の頁で、いままではどのような医療計画があるべきかと いうディスカッションをさせていただきました。今後はどのように作っていくかという 話、進行管理していくのかという話もあろうかというところで、今後、国、都道府県、 医療関係者とある程度学術的な面などの協力もいただきながらやるべきであろうという 発言があったと思います。そういったものを踏まえて、書かせていただきました。網掛 けの部分が新しく書いたところです。「あわせて、大学等の医療政策の学識経験者がこ の作業を支援する」といったもの。また真ん中のところで(地域の大学・研究所など果 たす役割)として「都道府県が円滑に医療計画を作成できるよう、国と医療関係者とと もに支援をする」といった文言を入れさせていただいております。 ○黒川座長 この3頁の地域連携クリティカルパスなどというけれども、クリティカル パスって、こんな話にまで使うようになってしまったのですか。 ○針田医療計画推進指導官 進捗状況ですか。 ○黒川座長 患者のマネジメントのクリティカルパスみたいなものがあったのだけれど も、だんだん地域連携体制の構築ぐらいの話かもしれないなという気がしたのだけれど も。だんだん片仮名が多くなると、みんな誤解されるだけですよ。5頁も「脳卒中の医 療連携体制のイメージ」だというのも概念図ぐらいでもいいのかもしれない。みんなイ メージなのだけれども。だんだんクリティカルパスも拡大されてきたなと思って、省庁 のあり方のクリティカルパスなど政策を作るのにどうですか。そういう話ですよ。次に いきましょう。 ○針田医療計画推進指導官 それでは一通り説明させていただきます。参考資料2にモ デル医療計画についても前回とほとんど同じになっています。精神の救急の分野が重要 になってくるということで、例えば5頁の精神保健医療対策というところで、精神科救 急、うつ、認知症等の取組、また、精神障害者の退院促進に関することなどについても 加筆しています。  在宅医療のところですが、地域で在宅医療を行っている医療提供施設ということでい ろいろな医療機関のみならず、いろいろな施設がある、また、その辺の役割なども地域 で考えていただきたいといったところを書いています。  ガイドラインについては前回と同じものなので省略させていただきます。最後に指標 の話、参考資料4です。これも前回と同じ考え方で、事業ごとにやっていくという見方、 がん、小児救急など事業ごとに考えていくという話、患者の視線にたった疾病予防、治 療、療養、在宅医療、その流れを把握しながらやっていく。そして、できるだけ地域医 療のあり方が把握できるよう、分かりやすいような指標を用いていくべきである。また、 重複した調査は避けて、国と都道府県が協力しながら、過度な負担を求めるのではなく てやっていこうということ。医療安全、在宅医療などに関しても指標を考える必要もあ るということ。これらの指標も都道府県が独自にやるということもよろしいのではない かということをいちばん下に書いてあります。  2頁目がそれぞれ指標の一覧として、例えばがんのところで左端にステージ、こうい った流れの下、把握したい概念がどのくらい多いのかといった概念を書き、その概念を 表す指標と、すべてを計る必要もないと思いますが、できるだけ取りたい概念を反映す る指標を持っていく。また、実際にそれが取れない場合もあるということで代替指標、 そしてその代替指標は順次より良い指標が開発された段階で順次変えていくという考え 方、これはアメリカ、イギリス等々先進諸外国の取組をしているところと同じような考 え方になっていて、そうした出典を書いたりしています。  例えば6頁の小児救急のところですが、下から3番目、地域医療カバー率を指標とし たいと思っています。専門医という言葉と標榜医は地域にどれだけ対応しているか。む しろ代替指標として「医師歯科医師薬剤師調査」で数が把握できますので、また「健や か親子21」みたいな計画でも掲載されていますし、できるだけ分かりやすい指標として、 それの標榜医、「医師歯科医師薬剤師調査」を用いて計れるものなどを書いています。 産婦人科もそのような感じにしています。前回は専門医という言葉を使っていたのです が、なかなかその定義が難しいということがありましたので、わかりやすく変更してい ます。  以上、後は細かい誤字、脱字を修文した程度です。 ○黒川座長 これはワーキンググループの先生たちとも相談して作っているのでしょう。 前々からそれでずっとやってもらっているのだけれども、長谷川委員どうぞ。 ○長谷川(敏)委員 前回スリランカの出張で出られなくて恐縮ですが、見ておりませ んでした。今回「モデル医療計画」というのが出てきて、一応事務局には意見を述べて おいたのですが、いつくかあります。例えば第1章については趣旨があまりよくわから ないし、基本理念が明確にないから目的にしたほうがいいのではないかとか、第2章は 資料に回して、その代わりに折角、今回疾病ごとのプロセスの指標ができたので、それ を評価して、弱いところを引っ張り出してきて、それをどのように解決するかというス テップにしたほうがいいのではないか。  あとは編集上のことですが、よく見ますと資源、いわゆる人材、病床、情報が大変重 要ではないかと思っていますし、医療費のことも書く必要はないかなという資源関係の こと。最後のシステム関係のことで、ここには連携と危機管理、最後に医療、福祉、全 体的な連携ということが書いてありますが、そのように整理したほうがわかりやすいか なということをご提言しました。 ○黒川座長 それはワーキンググループの中でみんなオーケーになっているのですか。 まだ、そこまではいかないですかね、いろいろやっていただけたらいいなと思いますの で、是非やっていただければと思います。 ○信友委員 参考資料1の8頁です。4のタイトルなのですが、先ほどの救急医療、前 回もお話しましたがこれは患者の協力というか、住民の協力なしには展開できないわけ ですから、「達成に向けた都道府県、医療関係者、医育機関等」の「等」で含まれると いうのはそうかもしれませんが、是非住民を入れてもらわないと、救急医療というのは 提供側がいくら考えたとしてもできないと思うのです。こういう使われ方をしていて、 何億円使われている、これでいいのでしょうかと住民に伝えて考えてもらう。住民がど のようなことをし出すか、誘発するということも今回は要るのだろうと思うのです。患 者の視点といいながら、全然患者の参加する場面がこの医療計画の中には入っていない から、「等」の中に含めないで「患者」ないしは「住民」を入れていただけたらと思い ます。  そんな形で兵庫県の香住町には町立病院があるのですが、町立病院をどうするかとい う委員会をつくったときの委員は、すべて住民だけなのです。医療関係者はゼロ、そう するとその委員が他の町に勉強に行っているのです。どれだけお金を使ってどうなって いるのか。だから町民が考え始めている所もあるから、是非わかった上でこうするとい う対話を医療提供者側とする、というところまで日本もきていると思うのです。そうい うのを明記して、住民にも責任をとってもらう。  あと2つは前回は救急医療で年間何兆円か何千億円かというお金の話を話題にしまし たが、医療計画でお金のことを言及しないというルールならそれはそれでいいのですが、 住民を巻き込むとき、これだけのお金でこれだけのことしかできていない、これだけは できているというような、コストを踏まえた医療計画の作り方の発想を、医療提供側も 医療利用側も考えるステージであれば、お金の話題もこの医療計画の中のデータとして 取り込むことを、行政にお願いしたいと思います。 ○河原委員 いまワーキングのほうでモデル医療計画を見ると、行政に対するような説 明になると思うのですが、信友委員がご指摘のように、住民に対する医療計画の内容を なぜこのような数値を取る必要があるかとか、お金の流れを網羅的にわかりやすい形で、 住民向けの医療計画本というものもモデル計画の中で取り組んでいこう、というように ワーキングでは考えています。 ○黒川座長 そうすると、確かにそういう視点は大事で、国の政策は国全体でも地域で もそうだけれども、そこの人たちが選挙というプロセスでやってくるためには、どうい う政策をしたいのだという、市長さんもそうだけれども、そういう話はそれぞれ出てこ なくてはならない、そういう意識をいろいろなステップで上げなくてはいけないです。 それでないと、住民もそうだけれども、あれもほしい、これもほしいと言っても、言っ ているだけでは仕様がないのではないかという話がだんだん分かってきますから。  そういう意味では、参考資料1のスケジュールのいちばん最後に、参考資料がいちば ん下に付いていますが、ここにこれからと違ったような、住民もそうだけれども、医療 政策の学識経験者の協同作業というものがあって、ここに大学等の医療政策の学識経験 者がこの作業を支援するというところに、「大学の人たちと研究者は、決して文科省の 下部機構ではないのだから、自分たちの社会的責任は何なのかということをもっと考え なさい」という話もかなりしているつもりなのだけれども、そういう意味で、初めて自 分たちが社会的に存在する人たちだということが、これで分かってきたのではないかと いう話を強調しようと思っているのです。それでないと、役所に行って陳情しているば かりでは仕様がないと思っています。大学、研究所も地域の大学の先生も自分の言うこ とだけを聞いていればいいのだという人もたまにはいるかもしれないけれども、ワーキ ンググループがそういう核になって、情報を提供するとか、選択肢を住民に出すなど、 いろいろなアドバイスができるようになってくると、より健全な政策を決定する社会が できてくるのではないかと思います。これで一歩前進したかなという気はします。  そこでモデル医療計画も医療計画作成ガイドラインも、把握すべき指標、参考のずっ とあれですが、それも尾形先生に引き出されたこういう版が、やはりそういう地域の話 をやりたいという若者もどんどん巻き込んでいくと、大変政策の立案についてもいろい ろな話が常に出てきていいのではないか。やはりいままでの日本だと、住民が役所に言 いに行くというのはなかなかやりにくいプロセスもあるし、ましてや霞が関に来るなど というのはとんでもないすごいバリアがあると、サイコロジカルにみんな思っています から。こういうプロセスにしていくと、霞が関は霞が関の役割があるわけだし、地方自 治体は地方自治体の役割があるし、大学の人たちも役割があるし、職業人の集団もそれ なりの役割があるけれども、それぞれが社会に向かって何をするのかという意識になっ ていけばいい、言っているだけでなかなか前進するのは難しいけれども、一歩前進する と、だんだんはずみが付いてくるかと思います。  是非、皆さんでそういうことで応援していただければ、医療も教育もそうですが、国 の根幹ですからどのようにしていくかなどということで、公的医療と国民医療費という のは全く一緒である必要はないのだけれども、そんな話で。是非、地方分権もそうだと 思うのですが、住んでいる人たちがどのようにしたいのかというのは、あれもくれ、こ れもくれでも仕様がないし、高速道路になってくれればいいのだなどという人も多いよ うでは困るし。それでも結構まだ高速道路がほしいという人は、いるみたいですね、な ぜだか分からないけれど。  いまの点、ほかにもありますか。ワーキンググループの先生何かありますか。 ○尾形委員 このように位置付けられてありがたいと同時に、非常に責任重大だなと逆 に思います。やはり座長がおっしゃったように、医療、あるいは医療政策全体について インフォームドコンセントが必要だという気がします。個別の医療行為もそうなのです が、医療全体を支えるためには地域住民、あるいはサービスの受け手の理解を求めない と物事が動かなくなってきているのだろうと思います。そういうところに1つお役に立 てれば、学識経験者と書いてありますが、少しでも知恵を出してエビデンスのある政策 形成に寄与したいと思います。 ○黒川座長 そういう意味でもう1つ大事なのは、ここで聞いておられる方もあると思 うのだけれども、地域だと地域のいろいろなニュース、都道府県自治体のニュースいろ いろあるだろうし、全国のメディアやいろいろな所がそういう議論はされているという ことをもっと言ってくれることが大事です。そうすると、それが大学にいる人たちとか、 それぞれにそれなりのプレッシャーを感じてもらうものが大事だし、社会的責任という のはそういうところにもあるのではないかという話で。そういう意識が出てくると、先 ほど言ったように住民の意見を聞くと言っているばかりでは仕様がないわけで、いろい ろな人の意見が広がるようになると、より良い政策の決定になるし、自分たちのお金を どうやって使っているのだという話が、もう少し意識が上がってくればいいのではない かと思います。そのほかにどうぞ。 ○古橋委員 資料として「日本看護協会からの意見」というのを本日提出させていただ きました。これはいわゆるこの医療計画の会議でもずっと議論されたように、国民住民 が必要としている選択のための情報を、どう提供していくかという中で、医療機関、医 療施設は都道府県に自分の所のそうした項目について、届出をするのだと。それに基づ いて必要な情報が地域住民、サービスの受け手に知らされていくのだという構図が、改 めてシステム的に議論されました。その中で看護協会としては指標の中に主として在宅 医療と終末期医療という視点と、是非国民あるいは住民が欲しておられる医療安全、安 心という視点で、どのような指標があるかということでここに書かせていただきました。 個々の説明は省きますが、ご一読いただければ幸いです。  もう1点は、大きな動きになります生活習慣病予防に関しても、一体アドバルーンは 上がったのだけれども、具体的にどこがどのように取り組むのかという辺りは、これか ら詰められると思いますが、私としてはやはり保健師という職能の責任と重要性を改め て意識しております。厚労省の中で医政局と健康局、老健局が保健師機能の活用面で、 サービスの受け手の国民・住民に対して何ができるかという検討に際しては、やはり縦 割のような気がします。是非とも省内でシームレスな検討をやっていただきたいと思い ます。国民にはこれは健康局だから、医政局ではありません的なことは何もわかりませ ん。余計に混乱します。そういう点では、是非とも保健師機能の活用を省内横断的に詰 めていただき、より結果の出せる保健師の働きをご検討いただきたいと思っております。 ○山本委員 最後に一言。参考資料1から4までのことはワーキンググループのほうで 議論はされるのだろうと理解はしていますが、例えば古橋委員のおっしゃったことと同 じようで、私どもが以前に資料をお出しして、薬局のあり方について、医療提供体制の 中での位置付けについてお願いをしてまいりました。そうした意味でいえば、この先、 具体的な医療計画が立てられる中で、先ほどの繰り返しになりますが、医薬品がどう提 供されていくか、質の良い医薬品を十分な情報を持って提供していく体制も、どこかに 置いておいていただきたい。  参考資料2の中で、先ほど医療提供施設、あるいは医薬品の項目で医薬品の提供体制 といった項目が載っていますが、全体を通して、あちらこちらで医薬品が必要になって くるだろうという気がします。是非事務局にもお願いをしたいのは、これまでいくつか 発言をしてきましたが、ざっと眺めてみますと、あまりそうしたことがうまく出てきて いないという感じがするのは、どうしてかという疑問があるのが1つ。是非そうしたこ とについて、医療計画を立てる場合に、きちんとした体制整備ができるような記載ぶり について、是非お願いをしたいと思いますが、その辺はいかがなものなのでしょうか。 事務局へお伺いします。 ○針田医療計画推進指導官 基本的に医療提供体制というところで位置付けられれば当 然入ってくるので、特段お出しする必要もないですし、必要に応じたところには入って いると思っています。ただ、いまのご意見は認識しておりますので、必要に応じて書き 加えさせていただきたいと思っています。 ○黒川座長 これは参考資料1のいちばん最後の大学関係者のマップも、医療関係者と 書いてある大きなマップになっていて、医師、看護師という話はどこにも出てこないの で、そういう認識もあるのではないかと思います。 ○山本委員 では、そのように理解しておきます。 ○黒川座長 医療連携体制という言葉で出ているから、そういうことではないかと思い ます。よろしいでしょうか。よろしければ、委員の先生方のご議論を経て結構この第5 次医療計画はかなり前進というか、前向きな発想が出てきて、具体的にはなるべく地方 分権、地方に意味のある医療計画を築いていこう。それについては医療関係者だけでは なくて、むしろ医療制度とか、大学で公共政策をやっている人たちが、その政策やいろ いろ各都道府県での窓口などの対応をして、それぞれの情報をもらいながら報告書を出 すとか、論文を出すとなると、より広いところにニュートラルな立場からの政策の選択 肢、ものの考え方が出てきます。  役所だとどうしても文章を書いてしまうと、書いてしまったから駄目ですよという話 になりかねない。参考資料1も目標が何パーセント減らそうなどというと、5年で20% となると、それが目的になってしまって、あと1年で20いかないぞという発想になって しまうのです。これは単なる1つの指標なので、目標は20%にすることではなくて、よ りよい医療体制を築いていこうという話なのです。役所だとどうしても書いてしまうと、 それがマイクロスコピックから目的みたいになってしまって、よくある話なのだけれど も、そういう話が出てくると、大学の人たちも本当は政策やいろいろなところに立案に 関与してくるということは、ポリティカルにニュートラルですから、是非そういう役割 を広い国民にも認識してもらうということがすごく大事になって、最終的にそういう政 策の選択肢が採択されるかどうか、立法府の機能ですから。それは役所とは違って、成 果をいろいろなところに学会で発表するなど、いろいろなことをする機会はいくらでも あるわけなので、より地域の人たちに、こういうことを考えているけど、どうでしょう かという話の評価を受ける、批判を受けるという機会を、是非増やしてもらいたい。  そういう立場になってくると、そういうことをやる人材も大学も、それぞれの人たち の自分の社会的責任も感じ出すだろうし、尾形委員が責任を感じますと言ったから、い ままで感じなかったのかというわけではないですものね。だけど、やはりそういう役割 はしなくてはいけないという話になってくると、長谷川委員たちも頑張ってるし、皆さ んも頑張るのがなぜ頑張っているのかというのが分かってくるわけなので、いいと思い ます。それをどうやってこれからサポートするかというのは、厚労省にも厚生労働科学 研究費とか、大事なブレーンを使うのはタダで使うのはもったいないという話になって くる。事務局機能も大事だと思うので、やっていただければと思います。  そんなことで、地域の分権、いろいろな病院を共同利用して使いましょうとか、その ときに大きくなった労災病院や国立病院機構なども、それぞれの地域の役割が違うはず ですので、そういうことを反映させながら、医療計画を作っていくということになると、 医師会、看護師会、薬剤師会など、いろいろな職業人の団体の社会的責任もかなり明ら かになってくると思います。委員の先生方の議論を踏まえて、医政局長から一言熱い思 いを語っていただきたいと思います。 ○松谷医政局長 御礼を申し上げたいと思います。平成15年8月に第1回検討会を開き まして、15年の8月というのは医療提供体制のビジョンを策定して、その中から出てき たわけです。ご存じのとおり、医療提供体制のビジョンを踏まえて、本検討会そのほか 関係の検討会を相当たくさん検討を続けまして、来年いよいよ全体の集大成としての改 革に取り組むという段階にきたわけです。本検討会においても、実に2年を超える2年 4カ月という間、14回にわたるご議論をいただいており、本当に大変なご努力をいただ きました。感謝申し上げたいと思います。  ビジョンの中にありました患者の視点に立った安全、安心で質の高い医療を効率的に 急性期から回復期、在宅医療に至るまで、適切な医療サービスが地域で切れ目なく、シ ームレスに提供できる医療連携体制の構築といったようなことについて、医療計画の中 でどのようにそれを実現することができるか、ということについて詳しくご検討をいた だきました。今回までにご検討いただきました結果を反映して、いま参考資料にありま したモデル医療計画、医療計画作成ガイドライン、指標として取りまとめていきたいと 思っておりますし、今後、これらを都道府県に示して、参考としていただくように考え たいと思っております。  厚生労働省においてはこの見直しに必要な事項について、所要の必要な法律改正、医 療計画の具体的な指針などの作成を行い、患者と医療提供者の信頼関係に基づいた医療 が各都道府県において実現できるように、国としての役割を果たしていきたいと考えて おります。検討会は本日で一区切りではありますが、終了ということではなく、今後と も必要に応じて開催していきたいと考えておりますので、引き続きご協力のほど、お願 いを申し上げたいと思います。  来年改革予定の医療提供体制は、医療保険制度と並んで、車の両輪ということですが、 医療提供体制の中ではこの医療計画の見直しというのは非常に大きな柱でして、国民の 関心も非常に高いところです。引き続きご意見を賜ればと考えておりますので、よろし くお願い申し上げます。本当にありがとうございました。 ○谷口指導課長 本日はホットな議論をありがとうございました。ただいま局長からご 挨拶を申し上げましたように、本検討会は今日で完全に終わるということではございま せんで、私どもは今日のご議論の中でご了承いただいた方向性に向けて、これから実務 的な作業を来年の法改正に向けて突入してまいります。その中で、委員の先生方にはま たご指導を仰ぐべき点が出た場合に、適宜この検討会を座長のお許しを得まして、開か せていただきたいと考えておりますので、その節はよろしくお願い申し上げます。あり がとうございました。 照会先: 医政局指導課 担当者: 計画係、指導係 連絡先: 03-5253-1111(内線2557)