05/12/09 第25回労働政策審議会職業能力開発分科会 議事録について 第25回労働政策審議会職業能力開発分科会 日時:平成17年12月9日(金)16:00〜 場所:厚生労働省5号館9階 省議室 ○今野分科会長 それでは時間になりましたので始めさせていただきます。ただいまより労働政策 審議会職業能力開発分科会を開催いたします。今日の出席状況ですが、中馬委員と草浦委員がご欠 席でございます。  それでは議題に入りたいと思います。今日の議題は前回に引き続いて、これまでの議論を踏まえ た総括的な議論です。まず事務局から準備した資料の説明をお願いいたします。 ○杉浦総務課長 それではまず資料1に基づいて、前回ご説明した「実践型人材養成システム」に ついて、いくつかご質問、ご意見等を頂戴しましたので、その流れを改めて整理させていただいた ものについて、まず説明させていただきます。2頁目に、この間もお付けしましたが、研究会報告 に付いている流れに、若干コメント風に吹き出しを付けたものを載せておりますので、併せてご覧 いただきながらお聞き願いたいと思います。  流れとしては、これも研究会報告に出ていたことですが、1(○の中に1)として、まず業界団 体、事業主団体と、民間あるいは公共の教育訓練機関が業界における人材ニーズに応じた形でのモ デルコースというものを共同して開発するということでございます。  その次に、業界団体とか事業主団体等の呼びかけ、あるいは広報等を契機として、この実践型人 材養成システムの実施を希望するに至った企業と教育訓練機関がモデルコースを参考にして、具体 的なコース作りを行うということでございます。  企業は、この若年求職者の就職促進策として有効と認められる実践型人材養成システムを実施す る計画を作成した場合には、厚生労働大臣の認定を受けることができる。これはまた後でご説明し ますが、こういったような作りにしたらどうかと思っております。  次に3(○の中に3)で、企業と教育訓練機関がその作成したコースを希望する訓練生の募集を 行うということです。この場合は、企業がデュアルシステムに係る求人募集として、安定所等を活 用することも考えられるということです。  4(○の中に4)からが、次の図の流れになってくるわけですが、企業が、訓練生との間で面接 等を行うことによって、訓練生の意向、あるいは意欲の確認等について把握した上で、訓練生がそ のコースにおける座学の受講というものの判断をするということです。そこからが実際の教育訓練 に入っていくわけですが、訓練生は、自らの受講費の負担ということで、教育訓練機関のほうで、 座学受講をします。  6(○の中に6)として、並行して、あるいは時期はそれぞれ状況によるかと思いますが、企業 が訓練生と有期の雇用契約を締結した上で、訓練生に対して企業におけるOJTを中心とした実習 を行って、実践的な職業能力の習得を行う。最後に、教育訓練機関と企業がその座学と実習の成果 を踏まえた能力評価を行って、その上で実習先企業と訓練生双方の希望が合致すれば、その企業に 就職することもあり得る。訓練の途中で企業と訓練生の要望が合致して、期間の定めの無い、通常 の雇用に移行することも考えられるという流れでございます。  2頁の図を見ていただくと、いま申し上げたように、左から流れていくわけですが、特に真ん中 の黒い所のOJTの部分ですが、企業と労働者の間の有期労働契約の下で賃金を得つつ実習を行う ということですので、当然のことながら、その場合、労働関係法令は適用になるわけです。  それで、ここにおいては、労働契約のモデル様式のようなものを定めて、書面による明示等を行 って、トラブルを未然に防ぐような努力をしたいと思っております。現行のデュアルシステムにお いても、すでにこういったモデル様式を作っておりますので、そういったものをまた十分工夫しな がら、トラブルが起きないような配慮はしていきたいと考えております。  なお、3頁は、これも前回の報告書に付いていたものですが、従来からやっているデュアルシス テムと、それから今回新たに考えている実践型人材養成システムの部分の位置づけを表した図です ので、併せて付けさせていただいております。 ○今野分科会長 それではいまの説明についてご質問、ご意見をお願いします。いかがですか。前 回いろいろご質問があったのですが、それを踏まえて新たに説明していただきました。 ○山野委員 この新しい実践型人材育成システムというものを取り入れることになるわけですね。 そうすると、いままでのデュアルシステムそのものというのは、前回のとき残すとおっしゃったの ですが、デュアルシステムの効果といいますか、前の説明のときに、就職率が68%とおっしゃって いましたが、我々からいうと、まだなおかつ30何パーセントの人が就職も何もできなかったとみえ るわけです。そういうものに対するきちっとした検証なりができないままに、それをそのまま残さ れて、新しいものをまた作っていくというのはどうかなと思うのです。そういった費用というのは、 全部我々事業主が支払っている雇用保険が使われるわけですね。  そういうことを考えると、やはり私たち中小企業の事業主としても、それをそのまま残されて、 新しい制度だけまたお作りになるという、その辺のところはどうかなと思うのですが、これをお作 りになるのなら、いままでのものを少し見直していただくなり、それはそこでもう廃止というと言 葉はきついのですが。いろいろなことをやって、そういう機会を与えるというのはとても大切なこ とだとは思うのですが、本当にやる気のある若い人たちというのは、私どもの企業でも実際現場に たくさんいて、新卒者が毎年入ってきますが、自分の本当にやりたい夢があって、やりたい仕事が あってというときには、多少お金を出しても時間をつかっても、必ずそれをクリアしようと思うわ けです。ですから、本当はそういう人たちを助けるべきであって、いまそれが問題になっているの で、もちろん助けなければいけないと思うのですが、あまりいつまでも残された方たちのことを思 われるのはいかがなものかと思うのです。 ○杉浦総務課長 前回か、あるいはその前にもご説明させていただいたと思うのですが、これまで やってきたいわゆるデュアルシステムというやり方の主流が、短期間、5カ月くらいの期間のもの で、対象者が主に離職者とか失業者の方をできるだけ早期に就職させようというようなことで、言 ってみれば就職対策を中心に、もちろん就職が最終目的であることには間違いないのですが、非常 に不況というか、雇用状況の悪い中で実施してきた部分がございまして、それはそれで、研究会の 報告でもそうだったのですが、一定のそれなりの成果は上がっているのではないかと思います。そ こが68%くらいではまだ不十分というご意見かと思いますが、一般の委託訓練に比べれば若干なり とも就職率は高いので、我々としてはそれなりの効果はあるのではないかと思いますが、それはそ れで良しとするわけでは決してなくて、もうちょっと就職率も高めるべく努力はしなければいけま せん。  これから雇用情勢等がよくなるとしたら、適正な規模をどのくらいにするかということはもちろ ん考えていかなければいけないと思っていますが、一方で、今回この提案をさせていただいている 実践型人材養成システムというのは、そういった短期間の教育訓練機関主導型というのとはちょっ と違って、もう少し長い期間で企業とよりタイアップした形で、実習をより組み合わせるような形 で、その現場にできるだけ早く通用するような人間を育てていこうというようなことが主眼ですの で、その対象者、あるいは訓練の形というのも、やはり違うのだろうと我々としては位置づけたい と思っております。  一方、今回これを作るから、ただちにこれまでのものは廃止するというようなことは、ちょっと どうかなとは思っております。もちろん、我々の、さっき申しましたような運用の中の努力はして いきたいと思っておりますが。 ○草野審議官 ちょっと付け加えますと、いまやっているのは、要するに教育訓練コースの中の1 つのコースとして委託があって、就職率が60%だったものを徐々に68%の高いほうに切り換えてい ただくということです。要するに、別個に委託訓練、委託のデュアルシステムを付け加えるという より、既存の教育訓練コースの中身を、委託でやっているものをちょっと見直していただいて、そ れをデュアルシステム的なものに切り換えていただいているということで、事業主の負担が増える という話ではありません。  今度新しくやるものは、結局、訓練生の受講料は自分で払いますので、雇用保険の負担というこ とではありませんから、民と民の組合せなのです。公的助成金みたいなものは多少あるかもしれま せんが、それによって雇用保険の負担が増えるとか、そういう性格のものではありませんので、ご 理解いただきたいと思います。 ○玄田委員 いまのお金の話ですが、やはりある程度、事実上ではないのですが、所得制約等で、 5(○の中に5)で、受講生にとってある程度認められる非常に厳しい条件がある際には、減免措 置等については考えるということを、ある程度明記しておいたほうがよいのではないでしょうか。 そこに関しては、公的な助成の可能性をある程度共有していくのはどうでしょうか。  それともう1点、高卒以上に限るか、大卒を認めるとか、その場合には中卒者や中退者等を認め るかということは、最終的には企業と訓練機関の判断ということでよろしいのですか。 ○草野審議官 おっしゃるとおり、前者のほうについての負担の軽減ということは、我々も政策的 に模索していきたいと思います。後者についても、特に限定はございません。ただ、1つの大きな 柱としていく上に、学校、学生と接触して、やはり第三のコースとして選択してもらう。そういう 道筋をメインロードとしつつ、それは別に対象者は限定するわけではないということでございます。 ○佐藤委員 非常によいシステムだと思うのですが、運用するときに、ちょっと気がかりな点があ ります。それはどういうことかというと、黒澤さんなども気にされていることですが、トライアル 雇用などでも重なるところがあるのですが、これは基本的に有期契約を結んで訓練し、それで両方 希望があったときに、基本的に企業が最終的に選ぶ形が大きいと思うのです。そうすると、選ばれ なかった人が社会的にどう評価されるかなのです。  やはり訓練の問題もあるでしょうし、その企業が選ばなかったわけですから、その人について、 ほかの企業にはやはりマイナスの情報が伝わるわけです。これをどうするかです。海外でも、例え ばイギリスなどでいうと、大卒についてもトレーニング・プログラムなどがあって、有名な投資銀 行か何かで1年訓練して、全員がそこに採用されるわけではないのです。けれども、有名な銀行で 訓練したということが、そこに採用されなくても、2番手、3番手の企業へ行けば評価されるので す。  実際、このときそういうように機能するかどうかなのです。つまり、そこで採用されなかった人 も、そのプログラムに入ったこと自体が、終わったことが評価されるような仕組みにしないと、実 は、受けて採用されないということが逆に大きなマイナスになってしまう。これをどうするかは結 構難しいかなと思っています。何か案があれば。 ○草野審議官 もちろんそういうケースも出てこざるを得ないと思いますが、1つは実践力を付け るコースを修了したという、修了資格みたいなものを1つ付けるということを考えています。単に 座学をやっただけではなく、実践でやっているということで、修了資格もあるということが、1つ のエンプロイアビリティーを高めているということになるかと思います。  それから、中には一流のホテルで訓練を受けたから、地方のホテルで、そういう所で訓練を受け た人なら採りますというインセンティブもかなり働いてくる場合もあります。ですから、採らなか った理由がどこにあるかということなのですが、それはなかなか明らかにするわけにはいかないわ けで、そこは市場の中で自ずとやっていくよりしょうがない。  よい知恵があれば出していただきたいと思いますが、こういうシステムを作ることによって、い ままで普通に教育訓練をして、それから就職だということで、全くキャリアの目途がなく勉強する 場合に比べて、8割くらいの人が就職するということですから、相当程度キャリアの目途がある。 キャリアの目途をもちながら、目標をもってやるという、しかも実践力が付くというところで、プ ラスの効果は非常に大きい。もちろん1、2割の方がそういうことになるので、そこはどうするか という問題は確かにあるわけです。駄目だった理由ということになりますが、それはある程度、一 般的に言えば市場価値を高めているとか、評価の制度とか、そういうところでできるだけカバーし て、そうでない部分というのは若干残るかと思いますが、それは今後の課題として考えていくより しょうがないなと思います。 ○黒澤委員 同じ懸念を私も持っているのですが、その場合、このいちばん最後に括弧書きで書い てある、「以上の訓練の過程で、要望が合致して期間の定めの無い雇用に移行することも考えられ る」。この「以上の訓練の過程で」ということですが、教育訓練機関における理論面での学習とい うのも、継続してなされる訓練機関という図に2頁目はなっております。そうしますと、そういっ たものが終わっていないのに、雇用形態が有期からフルの雇用に移行してしまって、そちらの教育 のほうも受けないで、なし崩しになってしまう人も出ることについては、ちょっとどうなのかなと 思います。  それをすることによって、いま佐藤委員がおっしゃったような問題がより大きくなってしまう可 能性があるのではないかというのが1つです。なぜかというと、雇用されなくても、正規雇用に結 び付かなくても、このプログラムに参加することがよい意味での付加価値のシグナルとなるために は、やはりそこで行われている、みんなが共通で受けるカリキュラムの部分、業界団体なりの1 (○の中に1)とか2(○の中に2)の部分で構築されたカリキュラムの内容が、やはり市場に評 価されるものであることが第一だと思うのです。それを受けた人たちが、それなりの評価を受ける、 その部分についての評価を受ければ、それが必ずしも雇用に結び付かなくても、ある程度の機能を するのではないかと思うのです。  もう1つは、マッチングといいますか、就職させること、相性を見るということがすごく重要で あり、もしこのプログラムの中でそれに主眼が置かれるのであれば、つまり、実習で得る付加価値 技能の習得よりも、実習を通して雇用主との相性を確かめることにより主眼を置くのであれば、し ばらくやって、これはもう駄目だなと思ったら違う所で実習をさせるですとか、そういった可能性 についてはどのようにお考えなのか。 ○草野審議官 考え方としては、やはり一定の内容のものをやって出来上がるということが基本で す。ここはこう書いてありますが、修了してもらうということを前提に考えなければいけないと思 います。  ただ現実に、いまでもやっている普通課程とか専門課程活用型デュアルシステムの中で、相性が いいと、早く賃金をもらいたいという学生もあって、就職してしまうということがあります。これ はいまのシステムは、基本的に賃金がもらえないシステムなので、これは実習の部分はもらえると いうことにすれば、そういうことも減ってくるだろうと。ですから、コースを全部修了してもらう。 そのことが結局、後の雇用の安定につながってくる。それが終わらないで採用になっても、後でき っちりしたものをもっていなければ、将来的な基礎ができないということです。これはやはりコー スをしっかり修了してもらうということを前提に考えなければいけないだろうと思います。  それから、おっしゃったようなコースの振替ということですが、これはまだ検討課題です。かえ っていまのシステムの場合は、要するに教育訓練コースの1つで、それで最後の実習の部分とか、 そういうものを企業に委託していますから、これだと相性が合わないとすぐ振り替えることができ るというメリットがあります。  しかし実践型人材養成システムの期間雇用ということになってしまうと、なかなかそこら辺は融 通がきかない面は出てくるかなということがありますので、そこら辺の柔軟性をどうつけるかとい うのは、いますぐお答えできかねます。今後の課題として考えさせていただきたいと思います。 ○今野分科会長 その前に、2番目の点ですが、公共職業訓練がやっているいままでのデュアルシ ステムの場合だと、初期の段階で、短期の実習をさせて、いいところを見つけて本格的な実習に入 るという、そういうやり方ですよね。実践型人材養成システムでも、何かその種の工夫ができない ですか。今後どうするかですが。 ○草野審議官 ですから、そこは今度の場合は、初めの段階で、もう企業と学生が接触してある程 度相性を見て決めるということですので、そういう仕組みにしてしまうと、後で実習の事業主を変 えるというのはちょっと難しくなるという面があります。ですから、それぞれの制度のメリット、 デメリットということになると思います。  現行でやっているようなシステムだと、事業主との接触は、教育訓練機関である程度研修を積ん で、その後ですから。しかも雇用契約を結ばないとなれば、振替等をフレキシブルにできるのです が、逆に、学校や学生の中に入っていくシステムにするには、事業主がそこで接触する。面接して、 その時点で相性を見ていただいて決めるということがポイントになりますので、その後のフレキシ ブルというのは、ちょっと難しい面が出てくるということだろうと思います。 ○今野分科会長 そうすると、この2枚目の絵の中で、一応これはモデルケースですから、いちば ん最初に雇用契約を結んでいるわけです。それを、業界団体等が一括して採っておいて、途中から 雇用契約を結ぶという形にしてはどうか。 ○草野審議官 それですと、企業と学生の接触が、要するに学校しかないのです。学校が接触する。 学校の入学というコースの1つになってしまうということになります。 ○今野分科会長 私が言いたいのは、これはこれでいいのですが、あと実際にこれを事業主団体と かが運営するときに、先ほど言ったような問題点をもし考えた業界団体があったら、そこは少し工 夫をする幅はあるのではないですかという話です。 ○草野審議官 それはあり得ると思いますね。どういう形になるかわかりませんが、まだこれは基 本設計ですので、ご意見を言っていただいて、そこら辺はできるだけこれから知恵を絞っていきた いと思います。 ○今野分科会長 いずれにしても、非常に重要な留意点であることは確かですので。 ○草野審議官 はい、わかりました。 ○中村(正)委員 質問ではなくて、意見を申し上げたいと思います。前回もこの件については論 議をさせていただいて、少し戻る形になるかもしれませんが、整理をしますと、日本版デュアルシ ステムというのは、2つの形態がございます。1つは教育訓練機関主導型。もう1つは企業主導型。 そして前回の説明の中では、現在の実施形態というのは教育訓練機関主導型のみであります。そし てこの実施状況は、資料を見ますと、しっかり分析をされて、評価と課題をしっかり整理されてい る。したがって引き続き推進をしたい。これについては私は十分理解しております。  ただ、一方で企業主導型が結果として広がらなかった要因を調べてみると、前回の資料にもあり ましたが、1つは企業が対象者を当初から有期雇用するとか、あるいは経費を企業が負担するとか いう要因で広がらなかった。こんな分析をしているわけですが、本当にその2つの要因だけで広が らなかったのか、もっと深く分析をして、課題を整理する必要があるだろうと思っております。  今回、この実践型人材養成システム、いわゆる第三の選択肢と言われるものが出てきたわけです が、これとて、企業と教育訓練機関との連携・協力で行われるわけです。いわゆる企業とのかかわ りが非常に強いわけです。そうした場合に懸念されるのは、前の企業主導型と同じような道をたど りはしないかと、そんな懸念をしております。  したがって、もう少し、企業主導型というものがなぜ広がらなかったのか、これを深く分析し、 課題を整理する必要があると考えておりますので、是非そういう視点で検討をお願いしたいという 意見を申し上げておきたいと思います。 ○今野分科会長 いまのご発言について、何かございますか。 ○杉浦総務課長 研究会報告でも申し上げておりましたように、いまご指摘いただいた中にも触れ られておりましたが、確かに従来の概念整理の中での企業主導型というのは、当初から雇用して、 しかも賃金もその期間は全部企業が払うという理念型でやっておりましたので、そこはそれだけの 負担をかけてやるというのは、企業にとって負担が大きすぎるのではないかという前提というか、 そういう考えのもとに、それを工夫して、より実効性のある、あるいはもっと訓練生の就職として 現場力というか、実践力のあるものにしていくにはどうしたらよいかということを考えながら、今 回のこのシステムの基本型というか、概念型を作ったつもりでございます。  ですから、もちろんこれからこのシステムの細部を設計していく中において、そういったところ も含めて考えていかなければいけないと思うのです。基本的に、企業に全部負担をかぶせた形でや ることができなかったというのが、根本的には、さっき申し上げたようなところにあるというのは、 研究会をやっていたときの委員の先生方のご意見でもあったと我々は認識しております。もちろん それを踏まえて、今後新しい制度を作っていく中で、十分考えていきたいと思います。 ○中村(正)委員 先ほども申し上げましたが、この実践型人材養成システムというのは、企業と のかかわりが極めて深いわけですので、業界団体とか企業との連携の在り方も、しっかりと検討し ていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。 ○小栗委員 前回も少し発言したところなのですが、要するに訓練生と、いわゆる労働者、その曖 昧さがやはり入口から出口までいろいろある。今回、労働関係法令の適用というようなイメージも 含めて、少しすっきりはしてきているのですが、いずれにしてもわかりにくいところがたくさん実 例としてあるわけです。したがって、そうした個々の事例をいろいろ出してみて、若い人たちがこ うならないように、いろいろ熱心に考えていただきたいというような意見も出ました。  その意味で質問ですが、この1頁目の3(○の中に3)のところで、「企業及び教育訓練機関は」 と始まって、「希望する訓練生の募集を行う」と書かれています。具体的に、企業の皆さん方は、 どういう参入のイメージなのか、ちょっと見えないのですが、企業のほうは、いわゆる社員の採用 というのが一般的ですね。したがって、今回ここで企業が募集を行うという場合は、短期の有期雇 用契約、訓練生社員とでもいう人を募集するということですか。その辺がちょっとイメージがわか らない。短期の採用なのか、訓練生社員の募集なのか、それはどのようにやられるのかという質問 が1つです。  2つ目の質問は、4(○の中に4)で、「企業は」云々と始まるのですが、「訓練生との間で面 接等を行うことにより」ということなのですが、この面接のタイミングが先ほどの話では、一旦、 訓練機関に入った人の面接をするのか、さっき言ったように、採用のときからある程度企業はきっ と面接したいのでしょうから、訓練機関に入る入らないの前から面接をするのか。その面接という のは、訓練機関と企業と、ときには産業団体と共同して面接をするのか、この辺がちょっと見えな い。この文章だと、ちょっと誤解されるかもしれないので、その2点を確認しておきたいと思いま す。 ○杉浦総務課長 募集するのは、ここは「企業及び教育訓練機関は」と書いてはありますが、社員 としての募集ではもちろんないわけで、こういった訓練コースというか、養成システムの訓練生と してもちろん募集するわけです。その訓練コースの中での実習部分は、短期の有期雇用になるわけ ですから、そこは最初から必ず雇用契約を結ぶというわけではないわけで、あくまでも1つの訓練 コースを受講する訓練生を募集するという割切りで考えるべきだと思います。  ですから、もちろん企業としては、行く行くは、その中でいい人がいれば、訓練が終わってから 採用するということも当然腹の中では思っておられるでしょうし、もっと言えば、さっきもありま したが、途中段階でもということもあるかもしれませんが、あくまでもここで考えているのは、訓 練コースの受講生として募集するという割切りは付けておかなければいけないことだろうと思いま す。  面接についても、これはいろいろなやり方はあろうかと思いますので、ここで全部これだよとい う言い方はできないかもしれませんが、やはり訓練コースを開始する前の段階で、企業とその訓練 コースを受講する希望者というか、訓練生の候補者との面接になろうかと思います。  ですから、それが教育訓練機関と企業の共同で面接会場を使ってやるのか。それとも、もうちょ っとどちらかということになるのかわかりませんが、そこはいろいろなバリエーションがあるのか もしれません。そこはもちろん、訓練を受ける前の段階で、社員の採用の面接ではないわけですか ら、訓練生として迎えるにふさわしい人たるかどうかを面接しておくという趣旨での面接だという ことで、あくまでもそこは訓練という1つの中のものだと理解しております。 ○今野分科会長 よろしいですか。 ○小栗委員 はい。 ○長谷川委員 質問ですが、この2頁の図でいうと、このOJTのところの括弧の中で、「企業と 労働者の間の有期労働契約の下、賃金を得つつ行う実習」となっているのですが、有期労働契約の 下ということは、例えば、いま労働基準法の大臣告示で、有期労働契約を結ぶときの大臣告示の内 容があるのですが、この時点でこういうものをここで結ぶのかどうなのか。それから、そのときの 労働者性があるということで言っているのだと思うのですが、もし有期労働契約ということであれ ば、有期労働契約者のところに、いろいろな、雇用保険だとか諸々のものがあるわけです。ここで 「労働関係法令の適用」となっているのですが、これは全部適用されると解釈してよいのかどうな のか。  それから、これは結局、訓練とOJTがずっと一緒に入ってくるのですが、そのときの、どこが 訓練かと。おそらく入ったり出たりするのだと思うのですが、そのときの、どこが有期労働契約だ というのか、そういうのがわからない。就業規則との関係はどうなのか教えてください。 ○村山調査官 お答えします。基本的な考え方ですが、このOJTについてはそこに書いてあるよ うに、労働関係法令の適用ということで、長谷川委員がおっしゃった基準法の14条2項に基づく有 期関係の更新とかの基準のことだと思いますが、そういったものを含めて、すべて適用されるもの ということでございます。  それで、杉浦総務課長のほうからもご説明申し上げたように、現在の日本版デュアルシステムの 中でも、専門課程、普通課程の1年とか2年の長いコースの中で、後半にはかなりの部分を雇用形 態で実質的に雇い入れてもらって、できればそこに就職してもらいたいということで、それで実際 にそこにほとんど常用就職しているという形のものがございます。それをやる場合には、現在は運 用でやっているので、局長通達等に基づくモデル様式ということでやっています。そこのモデル様 式において、いろいろなチェックポイントがありますが、それは基準法の一般的な必要記載事項だ けではなくて、労働契約の中で、特に雇止めの後のトラブルにならないように、その後はどういう ふうになるのかということについて選択肢を設けて、そこで、有期契約の後は基本的に常用に移行 するのかとか、しないで、またそのとき改めて協議するのかということも含めて、最初の入口のと ころで明確化するような運用をしております。  今回のは、先ほど中村委員からもお話がありましたように、さらに企業側に近いところでやると いうことですので、例えば改正法に基づく指針の中で、そういった現在の運用をめぐるような問題 点とか、あるいは懸念される点も含めて、きちんと対処してまいりたいと思います。基本的な考え 方としては本日お示ししている資料のとおり、労働関係法令の適用というのは、特段に適用除外を 設けるようなことは全く考えていないということでございます。  その上で、座学、理論面での学習というふうにしておりますが、ここは基本的にどこか違う場所 で、訓練生ご自身の負担でということになろうかと思いますが、そこで、資格なら資格ということ に向けて勉強されるということですので、そこはわりと実際の運用の中でも、場所も違うし、企業 関与度も違いますので、明確に仕切ることも可能なのではないかと思いますが、ご指摘を踏まえて 十分懸念のないような形で制度化してまいりたいと考えております。 ○今野分科会長 最後の3点目の、就業規則との関係はというのは。 ○村山調査官 お答え漏らしして申しわけございません。現在の、先ほど申し上げた有期の、例え ば2年なら2年のポリテクコースでやる場合にも、就業規則がモデル様式の中で、どの部分は就業 規則を引用するとかということを明確にする形になっています。いずれにせよ、当然、労働基準法 とかそういった関係の法令の適用があるということでご理解いただきたいと思います。 ○今野分科会長 今日、実はもう1つ大きな議論をしていただきたい点があるので、とりあえずこ のデュアルシステムについては。 ○玄田委員 私は、実践型人材養成システムはやはり素晴らしいと思うのです。うまくいくといい なと思うのですが、だからこそ逆に心配になるのは、これがとても素晴らしいものであれば、なぜ いままでなかったのだろうと思うのです。  これだけ見ると、民間の知恵でできるはずで、特段いま法律上の規制があってできないわけでは ないのです。もちろん一部の企業はやっていますね。学校を自らつくるのを含めて。それが今ない ということは、やはりちゃんと疑ってみないといけないのではないか。  それはなぜないのかわかりません。1つはさっき、黒澤さんとか佐藤さんが言われたように、そ の後のケアというのがものすごく大変だという可能性もあるかもしれないし、訓練機関と企業のす り合わせというのが、実はとてつもなく難しいのかもしれない。企業自体に、例えば訓練期間中に 必要な座学を言ってくださいと言われても、企業も、わからんなどという可能性もある。そうだと すれば、すり合わせをする人材みたいなものを、あえてそこで行政が積極的に関与する。  何が言いたいかというと、これだけを見ると、行政が何を責任をもってやると言っているのか、 非常に小さくしか見えない。けれども、企業が自らやるときには、認定をするとか、軽減措置をや る。それは当然あると思うのですが、何かやはり見えないものがすごくあって、いいものなのに、 今この様なシステムがないことが心配なのです。最初にモデル事業とかをして相当詰めていかない と、とてもいいものなのに失敗するということになるかなと思うのです。そういう意味で、モデル 事業的なものを早急にやるということを是非期待したいと思います。 ○五嶋委員 中小企業団体中央会です。前にも申し上げましたが、私どもの石川県のほうでもやっ ているのですが、現在18の都道府県で厚労省のこのデュアルシステム・コーディネート事業に取り 組んでいます。この事業は、専修学校とかあるいは各種の学校、団体、それから私どもの中央会、 これらが連携して、それぞれの側のコーディネーターを配置して、学生と自主受入企業をマッチン グさせている。受入れのほうは、企業がその訓練生を一定期間雇い入れて、専修学校、各種学校の 座学と組み合わせて実習を行っているわけです。訓練の修了後は、双方がよければ、企業が訓練生 を本格的に採用するということで、私どもはまさにこの実践型人材養成システムと同じものを、こ れに先がけて、いま日本版デュアルシステムという名称で、実際に行っているところです。  したがって、今後やはり日本版デュアルシステムの発展型として、この実践型人材養成システム を、新たな制度として立ち上げる場合には、この趣旨、あるいは意味するところ、両者の違いを行 政やコーディネーター、事業主団体、企業、学校、学生などに広く周知徹底をしていただいて、取 組を進めている現場に誤解とか混乱が生じないようにということで、その対策をお願いしたいと思 っているところです。  ただし、新しい制度の実践型人材養成システムと、現在のデュアルシステム・コーディネート事 業で取り組んでいる日本版デュアルシステムとの関係については、基本的には同じ形、内容のもの、 あるいはそれを発展させたものであることを関係者に明確に伝えていただければありがたいなと、 中小企業団体中央会のほうでは考えているところでございますので、よろしくお願いいたします。 ○今野分科会長 いずれにしても、今日、いろいろなご意見があって、基本的な骨格や考え方につ いてはよいのですが、留意点がいくつも出ましたので、そういう点をきちっと考えていただいて、 具体的な仕組みを設計するときには、その点を考慮してほしいということだと思います。  それで、申しわけございません。もう1つ議論して、時間が余ったら、また戻りたいと思います ので、次の議題に入らせていただきます。まず事務局から資料の説明をしていただいて議論したい と思います。 ○杉浦総務課長 それでは引き続いて資料2と、データとして2−2というものを付けております が、資料2に基づいて説明させていただきます。前回のこの分科会のときに、論点の整理というこ とで、今後の方向性についてのペーパーをお出ししてご議論いただいたわけですが、もちろんそれ を踏まえて、もう少し肉付けといいますか、いろいろな説明を加えた形にしました。  それで、当初お話申し上げたように、この制度改正を含めた方向性について、年内に建議という 形でおまとめいただきたいと考えておりますので、その素案というような位置づけで、今日ご説明 させていただいて、ご意見を頂戴したいと思います。  それでは資料の説明をさせていただきます。まず1頁に、現状及び課題的なことを書いてありま す。1番として、「職業キャリアをめぐる課題」ということです。この辺の記述については、これ まで何回か論点を絞ってご議論いただいた中で、こちらからお出しした説明の中にも入っている部 分とかなり重複もしておりますが、まず、今後知識やノウハウを提供して付加価値を生み出すとい った、知識重視型の社会への中で、様々な能力をもった人材の育成が重要な課題になっているとい うこと。それから少子化の進行などによって、一人一人の働く者を人材として育て、能力を高めて 生産性を向上させていくことの必要性。  ただ、一方で働く者の能力開発や職業キャリア、これは一応定義づけで説明しております。「労 働者が一定の職業に関する目標に沿って職務を経験することにより形成される職業能力をいう」、 というような形ですが、それなどをめぐり、様々な深刻な問題が生じているということでございま す。  イとして、「若年者の職業キャリアの準備について」ということで、特に若年者の問題ですが、 職業への動機付けをもつ機会の不足とか、職業意識の希薄化、進学の段階等における基礎的な能力 の低下とか、あるいは資質と進路のミスマッチといったようなことが指摘されています。  一方、企業においては、いわゆる正社員としての採用の絞り込みが進むとともに、新卒、あるい は指定校制度といったような一人一社制が見直されつつあって、第二新卒を採用対象とする企業が 約6割となる等、一括採用というシステムが大きく変化してきている。  こういった中で、ニート64万人、フリーター213万人及び若年失業者150万人、合わせると400 万人にも達するということで、これらの人たちの職業能力を見た場合に、習得すべき時期になかな か習得できないという結果、その後の職業キャリアの円滑な発展が阻害されるおそれがある。さら に、こういった状態が放置されると、安定した生活基盤を築くことが困難となり、様々な影響が及 ぶほか、将来的には社会保障制度といったような大きな問題に影響を及ぼすことが懸念されるとい うことで、能力開発だけではなく、地域での教育、家庭教育も含めて、その教育の在り方というの が問われているということでございます。  ロとして、「企業の実施する能力開発の促進について」ですが、職業キャリアの発展期における 30代から40代を中心にして、企業間競争の激化等を背景として、企業の能力開発の実施率が停滞 しております。それから、調査によると、従業員調査における受講率の低下幅が大きくなっていて、 以前よりも従業員を絞り込んで、OFF-JTを実施する傾向がうかがえるということで、企業内に おける教育訓練投資が重点化されている可能性を示唆するような結果になっております。  一方パート労働者等においては、いわゆる正社員と非正社員に対する教育訓練の実施率には格差 があるというようなことで、人材の二極分化につながることのないよう、非正社員も含めたバラン スの取れたキャリア開発や能力開発の在り方を模索する必要があるのではないかということでござ います。  ハとして、「労働者自らが行う職業能力開発の促進について」です。労働者の職業生涯が長期化 する一方で、いろいろな事業環境の厳しさから、労働者は自らの職業キャリアについて、全くの企 業任せでは済まなくなりつつある。加えて、企業の中の組織のフラット化等によって、労働者に求 められる職業能力も、自ら裁量を持ちながら知恵やノウハウを提供して付加価値を生むものへと重 心を移しつつあるということです。  こうした中で、労働者の意識としても、自ら考えようとする者が統計的にも増加しております。 今後ともそういったことで、企業による職業能力開発を促進するだけでなく、労働者自ら行う能力 開発を促進していくことがますます重要となると考えられます。  しかしながら、自己啓発の実施率は35%程度で推移しておりまして、なかなか上昇はしていない ということです。この要因としては、「忙しくて自己啓発の余裕がない」という者、「費用がかか りすぎる」という者、「情報が得にくい」という者が大きな要因を占めていて、時間面、金銭面、 情報面での制約というのが大きな阻害要因となっているということでございます。  そのほかにも、在職者が社会人大学へ通学しにくいような企業内の雰囲気とか、あるいはそうい った所へ行ってきても、専門的知識が処遇に反映されにくいということも隘路になっていると言わ れております。  こういったものを克服するための企業内外における支援の仕組みづくりや環境の整備を進めてい く必要があるということです。  ニとして、「職業キャリアのやり直しについて」ということで、高齢化とか職業生涯の長期化と いうことで、労働者の職業キャリアが変化に富んだものになるということですが、こういった中で、 自ら転職とか起業を志す場合だけではなく、失業あるいは技能の陳腐化、育児・介護といったよう なことを経験して、様々な「やり直し」を求められる機会が増えてくるだろうということです。  こうした職業キャリアの「やり直し」を促進するということは非常に重要ですが、一方では、企 業の枠を越えたキャリア展開とかキャリアのやり直しを支える情報提供、相談・助言システム、そ れから個人が活用しやすい多様な教育訓練システム、職業能力評価システム等のインフラの整備が まだ十分ではないということで、こういったことの体制が重要ではないか。加えて新たなキャリア 展開とかやり直しを受け入れる企業の雇用システム、あるいは資金・ノウハウの提供を支援するシ ステムということも、不十分ではないかということでございます。  ホとしては、「2007年問題と技能の継承について」ということで、これまで我が国の製造業を中 心に競争力を支えてきた、いわゆるものづくり現場における「現場力」の強さということですが、 近年、競争の激化等によって高付加価値製品をつくり出すのに不可欠な技術・技能とかノウハウを 身に付けた現場を支える人材の重要性というものが改めて見直されております。  他方、企業の中における事故等を契機として、「現場力」の低下が問題となっている中で、いわ ゆる「2007年問題」が迫ってきているということで、こういった現場を支える熟練した技術・技能 とかノウハウが継承されずに失われてしまうといった懸念があるところでございます。  こういった「現場力」の強化を図っていくためには、若年者の現場への入職を持続的に確保する とともに、技術・技能をもった団塊の世代等の活用によって、企業内を中心に技能継承を進める措 置を講ずることが喫緊の課題であるということでございます。  今後、こういった状況の中で、様々な課題に対応して、労働者一人一人の職業キャリアや能力開 発を支援していくということが不可欠であるわけですが、とりわけ若年者を安定した雇用に導く施 策の強化と、「2007年問題」による現場を支えてきた技術・技能やノウハウを円滑に継承していく ことが緊急性が高い課題として、優先的に取り組むことが必要なのではないかということで、それ らに優先的に取り組むこととして、その他の重要課題についても、第8次の基本計画の策定に向け て検討を行っていくことが必要であるとしております。  2番として、「制度見直しの方向性」です。これは前回もご説明したところですが、まず(1) として、「職業キャリア形成の支援措置の充実」、イの「職業キャリアの準備段階における支援措 置」ということで、いわゆる「実践型人材養成システム」の創設について記述させていただいてお ります。  若者をめぐる状況は、先ほど申し上げたようなところと重複しますが、とりわけ学校から就労に 至る仕組みについて、新規学卒者の一括採用とか、就職システムの機能が趨勢的に低下するという 中で、こういった若年者がキャリアの目途をつけながら、職業能力を習得できる新たな仕組みづく りというのが喫緊の課題であろうということで、現行の「日本版デュアルシステム」をさらに発展 させていく必要があるとしております。  具体的にはということで、新規学卒者も対象とし、企業が主体となって、いわゆる理論面の基礎 教育と、それから訓練生を一定期間雇用する形で行う実習を効果的に組み合わせることにより、現 場の中核となる職業人を育成する実践型人材養成システムを新たな制度として立ち上げ、就労、就 学に次ぐ「第三の選択肢」として普及、定着させることを、今後の政策目標の柱とすべきであると しております。  こういった仕組みのメリットとして、4点ほど書いておりますが、1つは若年者のキャリア形成 支援の在り方として、安定的な雇用の目途をつけながら、実践的な職業能力を習得できる。それか ら、企業が求める職業能力と求職者の持つ職業能力のミスマッチを縮小しながら、就職につなげる 効果が期待できる。  それから、産業の高付加価値化の方向が明確になる中で、現場における中核となる実践的な能力 を持った人材の育成・確保に資する。  特に中小企業にとっては、訓練生の負担による理論面での学習と、自社の現場におけるOJTを 効果的に組み合わせた訓練ということが可能になるということで、時宜にかなったものであろうと いうことでございます。  こういったシステムの普及、定着を図るという観点から、この理論面での学習と実習を効果的に 組み合わせて行う職業訓練を、職業能力開発促進法に規定する事業主の行う多様な職業訓練の一形 態として位置づけることが適当である。同時に、これまでなかった仕組みであることを踏まえて、 有効かつ適切な実施を図る上での必要な事項を指針として示すことが適当である。その上で、この システムのうち、訓練期間とか時間数とか内容等の面で、就職促進策として有効であるというもの については、それを実施する事業主を対象とする支援策を講じていくことは必要であると書いてお ります。  6頁にまいりまして、その支援策については、助成金の活用など、研究会報告書に掲げられた課 題について検討することが求められる。併せて、現行のシステムの実習を行っている事業主のほう からは、「訓練に伴う人的負担が大きい」というような意見が多数出されているということも踏ま えて、その負担を緩和する方策についての検討が求められる。さらにそのシステムを実施する事業 主を対象に、若年者の受入れに積極的に取り組んでいることを称揚するための表示制度についての 検討も求められるとしております。  なお、訓練生の募集方法とか労働条件の明確化の方法、カリキュラムの編成方法、修了時の能力 評価方法等については、報告書の内容を踏まえつつ、今後、専門家の意見の聴取や関係機関との調 整の上で、具体的に検討していくことが必要である。  ロとしましては、「職業キャリアの発展段階及び円熟段階における支援措置」でございます。壮 年とか高齢者とか言っていたところですが、発展・円熟段階においては転職や配置転換といったよ うな節目だけではなく、日頃から職業生活設計に即して能力開発に取り組めるような環境の整備が 必要である。  キャリア・コンサルティングが重要性を増していることから、国がキャリア・コンサルタントの 養成や資質の向上に積極的に取り組むとともに、事業主においてもその体制の充実等に配慮してい くことが適当である。また、事業主の環境整備措置としては現行の有給教育訓練休暇等に加えて、 キャリアの発展段階においては、例えば企業に勤務しながら社会人大学に通学するといったことが 行いやすくなるよう、勤務時間について配慮する。  円熟段階においては、退職後の再就職・就業や地域活動等に向けた準備を行うための休暇制度の 導入について配慮する、といったような規定を設けて、その積極的な取組を促すということが求め られています。同時に、国の支援策として、これらの取組を支援するための助成金制度の充実を図 ることが必要である。  (2)「技能の継承のための措置の充実」。技能の継承を通じた現場力の強化という観点に立っ て、特にそういったことが困難な中小企業への支援を重点的に講ずるため、法制的な措置を含めて 検討を進めることが適当である。具体的には、定年退職者や間近の方々を活用したマンツーマンに よるOJTや、事業所においてコアとなっている技能のデジタル化・マニュアル化など、若年者等 への円滑な技能の継承のための取組について、助成措置を含めた支援をすることが適当である。  事業所内における熟練技能を習得しやすい環境の整備として、熟練技能の習得を希望する労働者 が効率的かつ効果的に能力開発ができるよう、法律の中に事業主が措置を講ずることを促す規定を 設けることが適当であろう。内容として、熟練技能等に関する情報の体系的な管理・提供。あるい は熟練技能等を活用する業務に従事する機会の確保。熟練技能者がOJT等で技能の後継者に教え やすいような配置、その他の雇用管理についての配慮を規定することが適当である。以上が制度改 正の方向です。  3の「第8次職業能力開発基本計画の策定に向けた検討課題」ということで、いま申し上げた制 度の見直しのほかに、平成18年度以降を計画期間とする第8次職業能力開発基本計画について、現 行の7次計画に掲げられた施策の実施状況や、これまで本分科会において指摘のあった以下の点に 留意しつつ、中長期的な観点に立って検討していくことが必要である。1つ目は、若年者の対策で す。その若年者を対象とする訓練について、職業生活を営む上での基礎を身につけさせることにも 配意するとともに、「若者自立・挑戦プラン」等に基づく諸事業について、以下の点に留意しつつ 効果的に推進することが適当である。  項目として1つ目は、小中学校などの早い段階から、職業との触れ合いや職業意識の啓発が重要 であること。2(○の中に2)としてニートやフリーター等に至る要因の多様性にかんがみて、カ ウンセリングやキャリア・コンサルティングに基づくきめ細かな支援。3つ目は、若者の目線に立 って、就労支援を行うNPO等を育成するとともに、ボランティアや社会参加を受け入れる多様な 分野を作っていく必要性。4つ目は、家庭、学校、地域社会、企業等がそれぞれ適切な役割を果た し、社会全体として支援をしていく。  2つ目の○ですが、「併せて」ということで、職業キャリアの円滑な展開を支援するため、現行 の諸事業についても以下の点に留意しつつ推進する。1つ目は人材ニーズの動向や、教育訓練コー スに関する情報提供体制の整備。2つ目は、教育訓練給付制度に係る講座指定等において、大学、 大学院等の高度なものを含めた多様な教育訓練メニューの提供。3つ目は、失業や技能の陳腐化な どによるキャリア・ブレイクがあった際の新たな技能の習得に向けた再訓練の機会の確保。大学や NPOへの委託訓練等の多様な教育訓練機会の確保です。  3つ目の○は、技能の継承の取組が円滑に進むように、地域における相談窓口の設置等による相 談援助、情報提供体制の整備が適当である。併せて、公共職業能力開発施設においては、事業主団 体等との連携を強化しつつ、地域ニーズに即したオーダーメイド訓練、地域企業への施設開放、指 導員派遣等によりまして、地域レベルでの現場力の強化に一層の役割を果たしていくことが求めら れています。  次は、技能の振興を図る観点から、教育機関等との連携の下に、児童・生徒の段階から技能やも のづくりの魅力に直接触れる機会、あるいはその技能を競う機会を増やすとともに、高度熟練技能 者を活用した施策を推進していくことが適当である。特に2007年の「ユニバーサル技能五輪国際大 会」を契機とした技能振興策を講じていくことが適当である。  次の○は、就業形態や企業規模等による能力開発機会の格差がみられることや労働者のニーズ、 意識の多様化を踏まえて、一人一人の状況に応じた多様な職業訓練・教育訓練機会の確保、整備を 図ることが重要である。特に障害者や母子家庭の母など、特別な配慮を必要とする者の職業訓練を はじめとする、いろいろな支援の在り方について関連する行政分野の動向も踏まえつつ、さらに検 討を深めていく。  職業能力評価制度の整備・充実については、企業・業界団体による活用状況や、評価制度が労働 者の処遇にもたらしている効果等の把握を行った上で、社会的ニーズを踏まえて、活用しやすいも のとなるように留意することが重要である。  こういった施策を講じるに当たり、適切に目標管理を行うとともに、どのような公的サービスが どこにあるのかといった情報が、対象者に行き渡るような広報活動に取り組むことが重要である。 関係省庁との連携を一層緊密なものとしつつ、施策を総合的に推進していくことも重要である。  以上が、これまでの議論を踏まえて、今後の能力開発施策の在り方についてまとめたものです。 ○今野分科会長 それではご意見をいただきます。 ○佐藤委員 出席していなかったので、もっと早く言わなければいけなかったのではないかと思い ます。少し気になるのは、3頁の職業キャリアの「やり直し」です。3頁のニの2つ目のパラグラ フに、例えば転職、倒産、失業、育児・介護、やり直しと書いてありますが、いろいろな人のやり 直しが大事だと思います。  1つは、女性のところを考えますと、現状は育児休業取得までいかないで、妊娠・出産で、それ より前に辞めてしまう人が6、7割いるわけです。例えば雇用政策研究会では、これから労働力が 減少していく中で、女性が辞めないで働き続けるようにすることも同時に大事ですが、加えて、子 育て等で非労働力化した人たちが働きたいということで、出られるようにすることは大事だと思う のです。  この後ろを見ると、やり直しの所に「育児・介護」とは書いてあるのですが、6頁ですと、結局 転職している人、再就職、あとは退職後なのです。忙しくて労働時間が長く、つまりいま雇用があ る人が教育訓練を受けられるようにと書いてあって、ずっと見ると、非労働力化している、いわゆ る主婦なり、女性のところは全部落ちてしまっているのです。もちろん雇用・能力開発機構では、 雇用保険を払っている人だけが対象である等、その業務の枠内だとできないということもあるかも しれません。これは雇用均等・児童家庭局がやることとか、職業安定行政がやることかもわかりま せんが、職業安定行政だけに任せておいていいのか。職業能力開発局でも、そこについてのサポー トすることはできないのか。あるいはもうすでにやっているから書かなかったのか。私が知らない だけならいいのですが、その辺は教えていただければと思います。 ○杉浦総務課長 いまお話にありましたように、いろいろ意見を頂戴したことは、ここに書かせて いただいたつもりです。すべて施策の中に盛り込んでいるつもりですし、観点がずれるかもしれま せんが、いちばん最後の「多様な職業訓練の確保」で書いてあるようなことにはしているつもりで す。ご意見を頂戴して、もっと盛り込んだほうがいいということならば、そこは検討させていただ きます。 ○今野分科会長 いまの意見は、その点を明確に書いてという意見だと思いますのでご検討くださ い。 ○中村(紀)委員 2つあります。1つは3頁で、結局、これからは企業だけではなくて、労働者 自ら行う能力開発に対しても促進をしていこう、ということが明確に出ています。ところが、調査 をしますと、自己啓発はしたいのですが時間がない、お金がない、情報をどうやって取ったらいい かわからないという、この辺が30%から40%で調査結果が出ています。3頁の上段で締め括りとし て、今後は「労働者自ら行う能力開発を促進するためには、企業内外にわたる支援の仕組みづくり や環境の整備を進めていく必要があると考えられる」と。「考えられる」ということで切ってしま い、それで具体的な対策はどのように講じるのかというところが、どこを見ればよろしいのですか。  文面を拾ってみると、6頁のロ、「職業キャリアの発展段階及び」云々という支援措置の中で汲 み取っていくものなのか。あるいは、先ほどの「考えられる」と切ったあとに、具体的に個人がや りたい場合に、時間がない、お金がない、情報が足りないといったことに対しては、このような支 援を講じたいと思うとか、そういうところに結び付いていくものが取れてしまっているのか、それ ともこれでよろしいのかというのが1つです。  2点目は、制度の見直しの方向性ということで、今後、制度が見直しされていくというご説明が ありました。実際に、法律の改正に結び付いていくところがあるのか、ないのか。この2つです。 ○杉浦総務課長 最初の点については、制度面での見直しは、6頁の下に書いてあるようないろい ろな支援措置について、こういった施策をメニューとして考えていくべきではないかという内容に しています。  もちろんこれだけではなく、今後の基本計画の中に、もっと長期的に見て、さらに支援をいろい ろな形で講ずるべきである、ということは考えられると思います。制度の見直しの内容としては、 ここに書いてあるようなことで考えています。  実践型人材養成システムや、技能の継承の観点については、文面の中にも少しずつ盛り込んでい るつもりですが、「法律に位置づける」とか、そういった「規定を設ける」ということで書いてお りますので、その部分については法律を改正した形で、その制度の見直しをやっていきたいと思い ます。 ○中村(紀)委員 具体的にこことか、というのはまだですか。 ○杉浦総務課長 例えば先ほどの実践型養成システムについては、5頁の下のほうの「したがって」 に書いてあるように、実践型人材養成システムの訓練を、法律に規定する事業主の行う多様な職業 訓練の一形態として位置づけると。規定の中に、新しい形の訓練を盛り込んだ法律の改正を考えて います。 ○西原委員 いまの関連で、私も企業内外における支援の仕組みづくりは環境の整備の制度の6頁 で、考え方の整理ということで、6頁のロの中段、「国はキャリア・コンサルタント」云々、その あと「事業主」。本来はまず企業、事業主だと思います。その上で、個々の企業単位でできない部 分、あるいは対象者との関係で行政がやるべきところということで、順番が違うのではないかとい うことが1つです。  もう1つは、3頁に戻りますが、先ほど出た職業キャリアのやり直しの「やり直し」という言葉 が少し引っかかります。やり直しと言うと、いままでのことが全部パーになってしまい、またゼロ からやるみたいな感じですが、そうではなくて、もちろん専門的な技能等で、場合によっては、職 種転換を含めてやる場合もあるかもしれません。いま仕事をしている人たちにとっては、そこで積 み上げたキャリアが必ず次に生きてくる部分と、その発展性の中でやる部分があります。この「や り直し」というのは、積み上げと継続の発展性ということで、これはいま頑張っている人たちはか なりメゲてしまうという感じがしますので、この言葉は変えていただいたほうがいいのではないか という意見です。 ○杉浦総務課長 確かに最初の国と事業主の書き方については、基本的に、事業主がやる、という ことを前に持ってきたほうがいいのではないかと思います。そこは修正します。  「やり直し」の言葉については、ほかの先生方のご意見がもしあれば頂戴したいと思います。も し変えたほうがいいということでしたら再度検討いたします。 ○今野分科会長 やり直しと言うと、過去失敗したからやり直しという、そういう語感があること は事実なので、これは変えましょう。事務局も別にそういうふうに考えているわけではないですよ ね。失敗したからやり直すと考えているわけではないので、あとはきちんとした表現、もっといい 表現があったらお願いします。 ○西原委員 表現はないのですが、私は自動車の関係なのですが、現場の監督者のベテランの方が、 例えばその場での生産管理にかかわる、あるいは工程改善にかかわるノウハウを活用して、全く異 業種で、アドバイザー的な形で仕事をしている例は結構あります。  例えば外食の牛丼チェーンや、場合によったら全く違うサービス業、旅館の運営の中に、自動車 の現場の中で培った能力を活用しながらとか。製造業だけではなくて、シンクロしながらこれまで のキャリアは活かせるのです。そういう面では、いま継続して努力している部分が、多様性をもっ て発展できる可能性をメッセージ性として出したほうがいいということで申し上げました。 ○今野分科会長 何かいいアイディアはないですか。 ○西原委員 ないですね。もしあればひとつ。 ○草野審議官 やはり日本の場合は、まだ学卒で入って積み上げていくというシステムがあって、 職業生涯が長くなる中で、二回人生論と言いますか、ある程度従来から延長でやるのと、思い切っ てキャリアを変えて、また大学へ行って、また別のキャリアと、そういうダイナミズムみたいなこ とを少しできるような社会にする必要があります。それが趣旨なので、ちょっと言葉は。 ○今野分科会長 そこはいいのです。言葉が問題だということです。 ○草野審議官 ですから、途中から大学へ行って、全く違う方向を勉強し直して、それからの人生 は違う方向だとか、そういう思い切ってキャリアを振るとか、それを企業が受け入れるとか、そう いうダイナミズムみたいなものはまだまだ足りないので、その辺をこれから出していく必要がある のではないかという趣旨です。言葉は考えますが、もちろんキャリアの積み重ねを全く否定するわ けではない、それは基本です。思い切って振ることも許容するような社会にしていくべきではない かという趣旨です。 ○今野分科会長 これは直していただくということで、我々は合意する。あとはもう一度考えてい ただいて、出てきた新しい用語をチェックさせていただくということで。 ○玄田委員 積極的転換みたいな意味ですか。 ○今野分科会長 そうですね。そういうニュアンスです。 ○玄田委員 転換だけですとあれなので、積極的な転換という感じの。 ○今野分科会長 職業キャリアのダイナミズム。 ○佐藤委員 先ほどの育児・介護もあるわけです。この「やり直し」というのは変なのです。子育 ても選び、その次もまたということで、ですからそういうものも含めて。 ○今野分科会長 何かないですか。 ○江上委員 非常に網羅的に目配りがされた文章になっていると思います。6頁のいちばん上のパ ラグラフで、実践型人材養成システムについては、先ほどどなたか委員がおっしゃったように、事 業主のインセンティブが上がるかどうか、というところを私も大変懸念しています。ここの「称揚 するための表示制度」というのは、具体的にかなり政策できちんとイメージがあるわけですね。称 揚する表示制度についての検討等も求められると。ここだけ具体的なので、何かもう少しフォーカ ス的に書いて、もっと方策をこれから練るのかなと思っていたのですが。それが1点です。  先ほど佐藤委員がおっしゃったように、育児や家庭に入った女性たちが出る、ということは随所 に入れたほうがいいかと思います。特に、いちばん気にかかったのは、8頁の2つ目の(3)、キャリ ア・ブレイクというのは女性にとって大きな問題なので、是非これは入れていただいたほうがいい と思います。  今後の見直しのところで、8頁、現行の諸事業についても、いろいろ見直しをすると書いてあっ たところで、9頁の最後でもいいのですが、何が言いたいかと言いますと、現在、行っている能力 開発に関する公的サービスの中で、資格や講座等々も、大胆に見直しに取り組んでいくことも少し 踏み込んで書かれたほうがいいのではないかと思います。アビリティガーデンの講座が、こういう イメージにあるのですが。 ○今野分科会長 いま3点質問がありました。 ○杉浦総務課長 1点目の6頁に書いてある、称揚するための表示制度のところですが、資料1で 説明した中で、一定の形にはまったシステム、訓練の形態をやろうとする場合、厚生労働大臣に提 出していただいて、それを厚生労働省のほうで認定をする。そういったものを、これはいい形だよ ということで表示をすることができるといったような仕組みを取れないかと思っています。それが 世間に対するPR効果も非常に大きいのではないか、ということでそういう仕組みとして捉えたい と考えています。まだそれ以上のことは細部までは詰めていませんが、制度の仕組みとしてそうい った形を考えているところです。  女性の話については、先ほどのご意見と同じですので、そこは文言的なことをよく検討したいと 思います。それから、能力評価などでもあったかと思いますが、もちろんこれは再度チェックはし ますが、基本計画で、これに限らず具体的な制度の在り方について網羅的に書いていこうと思って おります。またそういった中で、必要性を含めながら、公共訓練や能力評価制度などについてまた ご意見を頂戴しながら盛り込んでいければと考えています。 ○玄田委員 先ほどの「やり直し」の代わりのネーミングとして、「リフォーム」では駄目ですか。 ○今野分科会長 住宅みたいですよ。 ○玄田委員 英語ですが、比較的日本語としても流通していますし、大事に使うという感じはしま せんか。駄目ですか。私が提案を出しているのですから。 ○今野分科会長 そういう提案は大変結構です。 ○玄田委員 8頁の若年支援で、たまには若年のことを言いたいのですが、もう1個欲しいのです。 5(○の中に5)が。それは「自立支援人材の育成及び能力開発」というのが欲しいのです。「自 立支援人材」というのは、前回の基本計画のキャリア・コンサルタントとは違うのです。どういう ものかというと、こういう自立の場を設けて、それを運営する実務的能力を持った人材のことであ り今後それらが絶対必要なのです。いまそういう芽が若干できかけていますし、また自立塾の評価 というのは、そういう人材を事実上行政的にサポートしてつくっていく場だと思うのです。そうで ないと、対症療法的に1,000人云々の就職支援だけではない意味があって、これがまだ足りないの です。  そういう人たちをつくるために、お金ときっかけと時間が必要なのです。それをやっていかない と、100人のニートを国が何かするよりも、100人のニートをちゃんと面倒を見られる10人の若者 をつくったほうが絶対に早いのです。これはいろいろ検討しながら、いまNPOとか訓練機関でや っている所に、勉強したり、経験したりとか、まさに座学も必要ですし、単なる情熱だけではでき ないので、マネジメントスキル等を持った人材をつくることも、幅広い能力開発の中ではとても大 事な時期なので、基本計画等で考えるときには、そこまで幅広に労働市場の問題を考えていただき たい。 ○杉浦総務課長 いまのご意見を踏まえて、そこに何らかの形で盛り込みたいと思います。文案は また検討します。 ○長谷川委員 2頁のロで、正規社員と非正規社員の能力開発においても、教育訓練でも格差があ って、人材の二極分化の問題がここで触れられているのですが、その受け皿というか、見直しとい うか、実施する内容としては、9頁にある○の就業形態が出てきて、ここで正規と非正規の二極分 化のことは触れていますが、実際それに対して何をするかというのは、ここしか出てこないと思う のです。正規と非正規で、非正規も一括りになっているのですが、非正規の中にも派遣労働者、パ ート労働者、有期の契約労働者、請負労働者とあるわけです。それに対して能力開発、訓練につい てメッセージを出すことが必要なのではないか。それは8次計画で書き込むということであれば、 それでいいのですが。  例えば派遣の場合は、派遣法の改正のときに指針の中で、福利厚生施策については、派遣先の労 働者と同じように行うというので、福利厚生施策とは何かというところで、教育訓練の話も出たと 思います。やはりそういうものをもう少し具体的に書いていただけるといいのではないかと思いま す。 ○杉浦総務課長 わかりました。そこは9頁の○にも、その趣旨を踏まえたものを書き込む方向で 検討します。 ○草野審議官 ここら辺は8次計画、これからご議論をいただくので、いまのところ論点整理みた いな形で、むしろこれから作っていく過程で、いろいろ議論を出していただいて、計画にはできる だけ反映する。  いまのは途中段階で結論を出しているわけではないので、ここは課題という形で書かせていただ いているという位置づけです。それはもう少し課題でも触れたほうがいいというのであれば、いま 申し上げたような形で課題として書かせていただきます。 ○黒澤委員 しつこくて恐縮ですが、佐藤委員がおっしゃった点についてもう一度繰り返させてい ただきたいと思います。  2頁のハの部分ですが、これは先ほどの「やり直し」の部分にもつながってきますが、ハとニの 違いというのは、いまの状態ではターゲットが違うのと、支援の在り方が違うというやり方が書か れていると思うのです。ただ、ターゲットとしては、いま読む限りにおいてハでは、事例として挙 げられている能力開発基本調査自身が、正社員を対象としたものですので、そういう意味において は、すでに働いている人たちにおいて、そういった時間と金銭と情報面での制約が大きいので、そ れについて支援をしようよという形に受け取れるわけです。  実はそういった時間や金銭、情報面、特にその中でも金銭と情報面については、非労化している 方、非正社員、失業者にはより深刻なわけです。特に金銭面での深刻な部分をどう支援するかにつ いては、ニにも書いていないですし、具体的な施策として8頁とか9頁の「多様な」というところ でも、「教育訓練機会を確保する」という言い方しかないので、結局一般財源がないと駄目なので 書けないかもしれませんが、少なくとも課題の部分にはそういったことを入れたほうがいいのでは ないかと思います。  最後にこれは非常にマイナーな部分ですが、イロハの課題の各項目は現状そして問題があって、 それで政策的介入の必要性みたいな形で書かれているような気がします。2頁のハについては、最 初に現状があって、その問題、つまり忙しいとかで、いろいろと自己啓発の実施率がなかなか上が らないということが書かれる前のところから、「労働者自ら行う能力開発を促進していくことがま すます重要になる」と。これは主語が誰なのかわからないのですが、これがもし行政であるならば、 この文章は、こういったことで阻害されているから、阻害要因を取ってあげる。市場の失敗を取っ てあげるという形で、もう少しあとに持っていったほうが論理的にすっきりするのではないかと思 います。 ○草野審議官 ここの分け方ですが、意識としてはハはどちらかというと企業内の在職者の自己啓 発みたいな形です。企業の外に出た場合がニという分け方です。ハの最後に「企業内外」と書いて しまったのでまぎらわしいですが、ロは企業自らが実施する。ハは企業内の在職者が、企業の支援 のもとに実施する。ニは企業から出ている失業者とか、企業の外の人たちです。そういう分け方で す。  ニの場合ですと、失業している方や、まだ仕事に就いていない方ということです。失業者につい ては、もちろん雇用保険制度とか、それに基づく能力開発システム、一般会計も部分的に入ってい ます。そういうシステムが当然あるという前提で書いているので、あえてその金銭面には触れてい ないということです。そのシステムでも、例えば、若年はそういう雇用経験がないから保険が出ま せんので、そういう所は手当てしなければいけないのではないか。教育訓練を受けたときの融資制 度とか、そういうことを書くべきだということがあれば、当然のことと別個に、問題点として指摘 するということは書かせていただこうと思います。 ○黒澤委員 わかりました。若年だけではなく、それこそ非労化している主婦の方々も対象外にな りますので、そういう意味においては、金銭面で。ハで在職者について「時間、金銭面」と書いて あるのに、金銭面については、そうでない人たちのほうがずっとシリアスなはずです。 ○草野審議官 それはそうですね。 ○黒澤委員 それが書かれていないというのは、やはり不自然のような気がしますので、是非よろ しくお願いします。 ○今野分科会長 そういうことでよろしいですね。 ○杉浦総務課長 はい、わかりました。そこの構成は検討します。 ○鈴木委員 3つばかりあります。1つは1頁のイのパラグラフの2番目、「正社員としての採用 の絞り込み」云々があり、採用システムも変わってきたというのが前段にありまして、今度はニー ト、フリーターの話になるのです。そうすると、正社員としての採用の絞り込み、これは人の量の ことを言っているのか、あるいは質のことを言っているのかはっきりしませんが、この絞り込みが もしニート、フリーターを生み出していると読まれてしまうと、これは企業の責任になりかねない のです。後ほどのところで、確か「要因の多様性がある」と書いているので、これは一方的に企業 が悪者になりそうな感じがしますので、ここはお考えいただきたいのが1つです。  次は2頁目です。ここは実施率の停滞とか、実施率の低下という、非常にネガティブな言い方を されています。「企業内における教育訓練投資が重点化されている可能性を示唆する」云々とあり ますが、この部分のネガティブな記述がどうも気になります。基幹的役割を担う従業員、あるいは 自ら能力向上に励もうという意識を持った従業員に対して、重点的に投資することは当たり前のこ とです。企業としては、そういう姿勢はきちんと持っていることは前にもお話したとおりですので、 あまりここはネガティブに表現してほしくないと思います。  3頁の上のほうで、「社会人大学、大学院などで専門的知識を習得しても処遇に反映されにくい ことも隘路となっている」ということですが、これは必ずしも企業の社命で、本当に企業に必要な ことを学んでこいと言えば、それは処遇に反映するのも当たり前ですが、全くそれとは関係ない勉 強をされるケースもあるだろうと思います。反映するかどうか、これはまさに労使の自治で決める ことではないかということです。要は、処遇に反映されるだけのものを身につけたかどうかという ことになりますので、必ずしもこれが隘路になっているかどうかという言い方はいかがなものかな と考えます。 ○今野分科会長 いま表現についていろいろご意見がありましたが、そこはもう一度検討するとい うことですかね。 ○草野審議官 表現は工夫してみます。ただ事実として、高卒の求人が非常に増えて、急にフリー ターやニートが減ってきています。そこは労働市場の需給というのは、表現はともかくとして、大 きな影響を与えていることは間違いない事実だろうと。ただ、表現は工夫してみますが、中身の因 果関係はあると思っています。  2点目は、これは能開基本調査をどう解釈するかの問題です。やはり基本調査からすると、基本 的にこういう形、ネガティブとおっしゃいましたが、重点化を示す可能性というのは、多少それは 表現の上では工夫したつもりですが、事実は事実として、調査の事実は書かなければいけないので はないか。それをベースとして議論すべきであります。ここは基本調査から見て違うのであれば、 その読み方を是非教えていただきたい。一応、調査に基づいて書いたつもりですので、調査の解釈 だと思います。そこはこういう表現とは違う解釈であれば、具体的にまた教えていただければと思 います。  3点目は、確かにこれは社会人の教育訓練のコースの中身で、個々の問題もあると思うのです。 中身が実践と見合っているものでなければ、それを受けて習得しても評価しないということだと思 います。ただ企業側でも、その辺は受けにくい雰囲気だとか、受けてきてもそれを本当に反映しよ うというつもりがあるかどうかというところについては、我々もやや疑問を持っています。単に習 得の中身が反映されないものかどうかということを企業の中で見ていただく必要があります。最初 からそれは駄目なのだということではなくて、そういうものを見ていく姿勢というか、そういうも のは企業側でも考えていただく必要があるのではないかという気がします。表現は考えたいと思い ます。 ○谷川委員 印象的なことで2点あります。1点目は、いま審議官も雇用情勢が少し変わってきた ので、ニートの数が少なくなったとご指摘になっておられました。  それから数回前に、第8次ということで、平成18年から平成22年の期間の職業能力開発基本計 画ということなので、その時点でどういうふうになっているか、ということをある程度考えなけれ ばいけないというご指摘がありました。  いま雇用を見ますと、第7次に対する反省として出てきているのは、実践的な人材養成システム をもう少しやってみようというお話と、中小企業における技能継承に対する支援を第8次できちん と取り上げていこうというこの2点について書いてありました。これは両方とも非常に大事なこと なので、平成18年から平成22年で、5年見ればこれも非常に大事なポイントだと思います。ただ、 平成18年と平成22年では、かなり景気、状況も変わってきていますので、いい状況にあったとき に、これで本当に十分かどうかというのは、いま一度チェックをしたほうがいいのではないかと考 えています。  これも印象的な意見ですが、これを拝見しますと、書いてあることは全然問題ないと思いますが、 例えば熟練技能や高度技能。確かに日本はものづくりで技能を重視するというのは私も大賛成で、 ものづくりの現場を大事にしなければいけないということは事実なのです。ただ、若干ITとか、 そういった世界の訓練というか、エンベデッドとか、組込型の半導体とか言われて、これを技能と 捉えることもできるかもしれませんが、そういうものを使いこなすテクニックみたいなことが非常 に大事になってきていますので、これでは少し表現が伝統的過ぎるのではないかという感じがしま す。  あるいは表現だけの問題だとすれば、もう少しIT寄りの表現なり見方を入れないと、いま若い 人に訓練を受けてもらいたいということがあるならば、相変わらずヤスリと仕上げの世界かよと見 られても馬鹿らしいと思います。そういう意味で、もう少しコンピューターを使ったIT関連の教 育訓練もやるのだという色彩を出されたほうがよろしいのではないかと感じます。 ○杉浦総務課長 1点目は確かにおっしゃるとおりです。これからおそらく5カ年計画を見越して 作ることになると思いますので、その辺、今後の経済社会の動きを踏まえた形で検討はしていきた いと思います。これはまだ当面のというか、制度改正を中心に書かせていただいていますので、第 8次計画の際にはそれも検討したいと思います。  もちろん従来型に限った話で書いたつもりでもないのですが、そういう印象をもし持たれるなら ば、そこはあまねく産業について当然当てはまる話ですので、どこまで配慮できるかどうかわかり ませんが検討したいと思います。 ○今野分科会長 「技能」や「熟練」というのは、何となく古い感じですね。 ○谷川委員 私はもう50歳になっていますから、私は評価できる立場にありませんで、逆に。 ○玄田委員 私は40歳なんですが、「熟練」とか「技能」は大好きです。 ○谷川委員 それは大事ですが、PRする意味では、もう少し違った言葉を使ったほうがいいかも しれないと思っています。 ○杉浦総務課長 これを言うとまた古いとか言われてしまうかもしれませんが、もともと職業能力 開発というか、その前は職業訓練でしたが、職業訓練ということ自体が、要は技能を身につけるこ とが職業訓練だという位置づけできているものですから、「技術」という言葉になると、そのイメ ージが変わってしまうこともある。「技能」という言葉は、世間の持つイメージが古いのかもしれ ません。ただ技能という中にはいろいろな面もあり、新しい先進的な分野においても依然として技 能が生きているところは多々あると思います。そこはご理解をいただけるように、足りなければ含 めて検討したいと思います。 ○中村(紀)委員 いまの話で、私もこの文章を読んでいて、ものづくりのイメージをとても強く 感じるのです。若者たちがサービス産業に向かう可能性は大いにあるのですが、どのぐらい意識し ておられますか。実践型人材養成システムの中で、サービス産業に、そういったことをしている企 業が手を挙げると。いままでデュアルシステムもそうですが、サービス産業で手を挙げた所が何箇 所ありますか。 ○杉浦総務課長 統計的なものはないのですが、研究会などでいろいろな業界から話を聞いた中で、 例えば情報サービス産業やホテル関係、そういった所で実際にデュアルシステムを活用してやって いただいている所も何箇所かあります。必ずしも製造業だけだとは思っていませんし、我々として も第三次産業の中でどんどんこういうものを活用していただきたいと思います。 ○中村(紀)委員 例えば国家資格が必要なサービス産業というのがありますよね。私どもが関係 しているのは保育や介護で、これは国家資格の保育士の資格取得が必要ですが、それではこちらで 職業訓練で保育士の国家資格をとりに行かせる反面、OJTでこちらの現場でさせることもできる と考えてよろしいのですか。 ○杉浦総務課長 保育士がそのまま当てはまるかどうかは検討しなければいけませんが、もちろん そこは資格と連動する訓練というのは当然あると思います。そこは今ここで何が当てはまるか、何 が当てはまらないかというのは申し上げられませんが。 ○中村(紀)委員 サービス産業はここには当てはまらないのではないか、という感触が少しあり ましたので。 ○杉浦総務課長 いや、決してそういう趣旨はございません。 ○今野分科会長 先ほどから問題になっている「熟練」「技能」というのは、サービス産業では何 となく馴染まない。 ○中村(紀)委員 いまコールセンターというのは、人が欲しくてしようがないわけです。ああい うコールセンターの技能みたいなものも、どこに職業訓練に行って。 ○谷川委員 そうだと思いますけれども。言い方は少し違うかもしれませんね。 ○今野分科会長 いま言葉の問題になってしまっているのですよ。 ○中村(紀)委員 いま日本でいちばん求められているサービスのほうにも、こういう若者たちに 入ってきてほしいですし、それが座学とOJTでできることが本当にわかれば、企業はみんな手を 挙げると思います。 ○今野分科会長 今日の案もそうですし、今回検討したデュアルシステムもそうですが、決してサ ービス業を考えていないということはありません。ですから、それは製造業だけを考えているわけ ではない。いま議論になっているのは言葉の問題で、言葉の問題は取りあえず置いておきましょう か。私は意外と抵抗がないのですが、抵抗のある先生方もいらっしゃるので、ちょっと考えていた だいて。 ○山野委員 高度な技能継承を上の人から下の人にするわけですが、その検証は誰がするのですか。 ちゃんと継承できたかどうかというのを。それは企業がするのですか。その辺は明確ではないので、 首をかしげてしまうのですが。  いまのサービス業の話ですと、私どももサービス業で、国家資格なのです。ただ私どもは法律で 縛られていて、資格のない者は人の身体を触れませんから、そういうものもこの中にデュアルシス テムで入れていただいていいのかどうか。 ○中村(紀)委員 そうですよね。資格があって初めてできるという。 ○山野委員 そうなのです。無資格美容師が、カリスマ美容師なんていうのがいましたが、またそ ういうニュースになるとえらいことになりますので。 ○長谷川委員 私が言うことではないかもしれませんが、職業能力開発促進法というのが労働総覧 の1,741頁にありますから、これが能開法の全体像なのです。いまやっているのは、その中で今度 はどこを見直さなければいけないかという話なのです。ですから、もともとの全体像があって、そ の中で今度はどこをいまやるのかという話で、そこは整理して受け止めなければいけないのではな いかと思います。  こういうときに審議会の委員は出たり、出なかったりすることがあるので、前回の資料を必ずし も持っているとは限らないのです。そうすると、この間の戦後の能開法がどういうふうに改正して きたか、前回も配った紙があればどうってことないのです。ITの問題も、何年か前に変えた能開 法はそこが中心だったわけです。ですから厚生労働省ももう少し参考資料をここに置いておいてく れると、みんなが全体の議論ができるのではないかと思います。余計なことですが。  技能の継承のための措置のところで、中小企業労働確保法の枠組みを活用した支援で、ここでは マンツーマンによるOJTのことが触れられていて、「助成措置を含めた支援を行うことが適当で ある」という書き方と、3(○の中に3)で「熟練労働者がOJT等で技能の後継者に教えやすい ように、その配置その他の雇用管理について配慮すること」とありますが、特に製造業でものづく りの技能の継承というのはマンツーマン方式ですよね。そうすると、おそらく助成措置というのは、 労働者の助成だけを考えているのか、それともマンツーマンというのは二人なので、教える人が一 人いることで、この事業所から言うと本来は別な仕事をする人がマンツーマンで教えるためにそこ に一人とられるわけです。そういう助成措置をするときには、どういうところに助成措置をしてほ しいかを実際中小企業によく聞いて、そこのところをもう少し使われるように。この制度がいいな というように。かつて批判があった制度もありますので、事業所の使用者が使えるような措置、制 度をしてあげることが重要なのではないかと思います。そういう配慮を是非してほしいのです。 ○今野分科会長 そういう方向で頑張れということでよろしいですか。 ○長谷川委員 そうです。 ○久保村能力開発課長 いまデータ的なことでご質問も出ましたので申し上げます。委託型のデュ アルについて、職種の構成を昨年の秋に調べたものがあります。これは委託型ですので、民間の教 育訓練機関にお願いしていることもあり、事務系、あるいはIT系、ホワイトカラー系が多くなっ ています。いちばん多いのが事務で41.6%、その次がITで32.6%、介護が8.1%、営業・販売が 7.3%という風に続いています。職種的にはサービス業系のものもかなり入っていますし、ITもか なりやっていると思います。  離職者訓練全体の中で、女性の訓練生は、全体で6割ぐらいおります。特に委託訓練については、 全体の7割が女性ということもあり、現在の職業訓練の中では、かなり女性が受講していただいて いる実態もありますので、付け加えて申し上げます。 ○今野分科会長 だいぶ意見をいただきましたので、これで一度今日の意見を事務局で整理してい ただいて、この案の改訂版を作っていただこうと思います。その改訂版を踏まえて、各委員の先生 方の意見をもう一度お聞きして、調整するという形で進めていきたいと思います。各委員の先生方 は、ご協力をよろしくお願いします。今日は時間ですので、これで終わりにいたします。事務局か ら次回の日程についてお願いします。 ○杉浦総務課長 次回は12月21日(水)16時から、場所は17階専用第21会議室で開催いたしま す。いま会長からお話がありましたように、その辺の文章については本日のご議論を踏まえた形で 修正させていただきます。事前にも当日にもご意見をいただき、21日に最終的におまとめいただけ ればと思います。 ○ 今野分科会長 次回の分科会は、今日の議論を踏まえて修正、調整をした上で、報告書の取りま とめに向けて議論をさせていただければと思います。今日の議事録の件ですが、本日の署名委員は、 労働側は大江委員、使用者側は中村紀子委員にお願いします。それでは終わります。 【照会先】厚生労働省職業能力開発局 総務課 企画係 (内5313)