労働時間等設定改善推進助成金の創設
及び労働時間短縮実施計画推進援助団体助成金等の廃止関係

(労災保険法施行規則の一部改正)


 時短促進法改正に基づく助成金の規定の削除
 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法(以下「時短促進法」という。)第17条第1項第1号においては、事業主又は事業主団体に対して労働福祉事業として給付金を支給できることが、同条第2項においては、支給要件等を省令で定めることが規定され、時短促進法施行規則第7条第1項は、支給要件を労働者災害補償保険法施行規則(以下「施行規則」という。)に定めるところによるとしている。

 施行規則第24条において、労働者災害補償保険法(以下「法」という。)第29条第1項第3号に掲げる事業として、下記の助成金を支給するものとされている。
労働時間短縮実施計画推進援助団体助成金
労働時間制度改善助成金
中小企業長期休暇制度モデル企業助成金
長期休暇制度基盤整備助成金

 今般、時短促進法第17条が削除され、上記助成金の根拠がなくなったことから、上記助成金に関する規定を全て削除する。

 労働時間等設定改善推進助成金(仮称)に関する規定の整備
 昨年の労働政策審議会の建議においても、「中小企業事業場(中略)においては、労働時間等設定改善委員会の設置や指針に基づく措置の実施等を円滑に行う上で支援が欠かせない場合も考えられる」とご指摘いただいているところであり、労働時間等の設定の改善に関する実効性を確保するには、
 我が国の大半を占める中小企業における取組み
 業界内での横並び意識が強いため団体のネットワークを活用すること
が重要である。
 そこで、中小企業事業主の団体又はその連合団体(以下「事業主団体等」という。)が実施した、構成事業主が行う労働時間等設定改善を推進するために必要な取組みに要した費用の助成を行う、労働時間等設定改善推進助成金(仮称)の支給を予定している。この事業により、長時間労働抑制、年次有給休暇取得促進等を図ることは、労働者の健康確保に資するものであるから、法第29条第1項第3号事業の一つとして行うものである。
 助成金支給の要件は、上記を踏まえ、下記のとおりとする。
 受給者が事業主団体等であること
 当該事業主団体等の構成事業主が行う労働時間等設定改善を推進するため、当該構成事業主に対する相談、指導その他の援助を行ったこと
 ロの措置の実施の状況を明らかにする書類を整備していること



時短促進法の一部改正
 「年間総実労働時間1800時間」を目標とする労働時間の短縮の推進を図る法律から、労働時間等の設定を労働者の健康と生活に配慮したものへ改善するための法律に改正。

「『年間総実労働時間1800時間』については、時短促進法に基づく労働時間短縮促進計画において目標値とされてきたものであるが、近年の状況の下では従来どおりの目標値として用いることは時宜に合わなくなっている。」
(出所:労働政策審議会建議「今後の労働時間対策について」)

現行
 法律名
労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法

平成4年制定。
平成9年、平成13年に改正を行い、廃止期限を延長。

 労働時間短縮推進計画(閣議決定)
 全労働者一律の目標を設定
 (年間総実労働時間1800時間)



 労働時間短縮推進委員会

 労働時間短縮実施計画
 2以上の事業主が共同して作成し、大臣承認を受けた場合、計画内容の独禁法違反の有無を関係大臣が公取委と調整。

 指定法人労働時間短縮支援センター

 廃止期限:平成18年3月31日
改正案
 法律名
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法

労働時間等の設定
 労働時間、始業・終業の時刻、休日数、年次有給休暇の日数や時季等の労働時間等に関する事項を定めること

 労働時間等設定改善指針(大臣定め)
 事業主が労働時間等の設定を改善するという努力義務に適切に対処できるよう、具体的取組を進める上で参考となる事項を掲げるもの。(具体的内容は改正法成立後、審議会で議論)
〈盛り込むことが考えられる事項〉
 ・ 長時間労働者の健康保持に資する労働時間等の在り方
 ・ 育児・介護、自己啓発等を行う労働者の実情に応じた労働時間等の在り方 等

 労働時間等設定改善委員会
 設置促進のため、衛生委員会など既存の委員会をも活用。

 労働時間等設定改善実施計画
 2以上の事業主が共同して作成し、大臣承認を受けた場合、 計画内容の独禁法違反の有無を関係大臣が公取委と調整。

 指定法人労働時間短縮支援センター
 公益法人改革等の観点を踏まえ、廃止

 廃止期限→削除(恒久法化)



労審発第186号
平成16年12月17日

 厚生労働大臣
  尾辻 秀久 殿

労働政策審議会会長
 西川 俊作

今後の労働時間対策について(建議)(抄)




(中略)
 具体的な改正内容
(3) 事業主に対する支援の在り方について
 時短促進法の指定法人「労働時間短縮支援センター」及び指定法人に対する交付金に基づく施策等については、労働時間の短縮に取り組む事業主に対する支援措置として一定の成果を上げてきたところであるが、「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成14年3月閣議決定)等を踏まえ、この際、廃止することが適当であること。
 一方、改正法の下で事業主は労働時間等の設定の改善に向けて取り組むこととなるが、中小企業事業場や労働組合の無い事業場においては、労働時間等設定改善委員会の設置や指針に基づく措置の実施等を円滑に行う上で支援が欠かせない場合も考えられることから、必要な範囲に絞って効果的・効率的に実施することが適当であること。その際、事業主の意識面での啓発に力点を置くことが適当であること。

(以下、略)

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