通勤災害保護制度の見直し関係
(労災保険法施行規則・特別支給金支給規則の一部改正)


 労災保険法の改正

 先の特別国会において成立した改正労災保険法は、通勤災害保護制度について、現行制度において保護されている、
(1)  住居と就業の場所との間の往復     に加え、
(2)  厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
(3)  (1)の移動に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。
を「通勤」として定義した(改正後の労災保険法第7条第2項第2号及び第3号)。
 (2)は複数就業者の事業場間移動を、(3)は単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居の間の移動を指すものである。


 省令で定める事項

(1)  通勤災害保護制度の対象となる事業場間移動の起点たる就業の場所

 1の(2)で示したとおり、複数就業者の事業場間移動については、当該移動の起点たる就業の場所を厚生労働省令で定めることが必要である。起点としては労災保険の適用事業に係る就業の場所、特別加入者に係る就業の場所等を定めるものとする。具体的には、省令案要綱第一の一のとおり。

(2)  通勤災害保護制度の対象となる住居間移動の要件

 1の(3)で示したとおり、保護される住居間移動の要件について、厚生労働省令で定める必要がある。配偶者と別居した場合、配偶者がない場合において18歳到達年度末までにある子と別居した場合及び配偶者も子もない場合において同居介護していた要介護状態にある親族と別居することになった場合等に分けて定めるものとする。具体的には、省令案要綱第一の二のとおり。

(3)  通勤災害に関する保険給付及び特別支給金の請求手続規定の整備

 (1)及び(2)の改正に伴い、保険給付及び特別支給金の請求書の記載事項について所要の整備を行うものである。



改正後の労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)(抄)

第七条 (略)
(2)  前項第二号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
 住居と就業の場所との間の往復
 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
 第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。
(3)  (略)



労働者災害補償保険法の一部改正
 複数就業者の事業場間の移動((2))単身赴任者の赴任先住居・帰省先住居間の移動((6))を通勤災害保護制度の対象とする。

 複数就業者の場合
複数就業者の場合の図

保険関係の処理は、(2)を第2の事業場への出勤ととらえ、第2の事業場において行う。
 
 単身赴任者の場合
単身赴任者の場合の図

単身赴任者とは、転勤により配偶者との別居を余儀なくされ、一人で職場の近くに住んでいる者などのこと。

今回の改正において保護の対象とする部分 ・・・(2)、(6)
現行の通勤災害保護制度の対象 ・・・・(1)、(3)、(4)、(5)

 複数就業者数(本業・副業とも雇用者である者の数)
 昭和62年 55万人   →   平成14年 81万5千人 (+26万5千人)
 単身赴任者数(雇用者であって単身かつ有配偶である者の数)※男性
 昭和62年 41万9千人 →   平成14年 71万5千人 (+29万6千人)

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