中小企業における法律・判例によるルールの認識

 事業所規模300人未満の企業において労働に関する法律や判例によるルールがどの程度認識されているかについてみると、労働基準法第20条に定める解雇予告義務については、労使ともに9割以上が正しく認識していた。
 一方、変形労働時間制については、正しく認識していたのは経営者の51.7%、労働者側の54.0%であった。
 父親の育児休業取得については、労働者の81.7%が正しく認識していたのに対し、使用者側は約半数(45.5%)にとどまった。また、企業規模が小さくなるほど正しく認識されていなかった。
 解雇権の制限については、労使とも「解雇を制限する法律があるのでそれさえ守れば解雇できる」と認識している者が多く(経営者の70.6%、労働者側の66.7%)、解雇権濫用法理により解雇が制限されていることについて理解している者は少ない(※)。
 ※ これは、平成15年の労働基準法の改正によって解雇権濫用法理が立法化される以前の調査である。


 「使用者が労働者を解雇する場合、事前に予告する法律上の義務があると思うか」との質問に対する回答(単位:%)

図


 「残業手当を支払わずに、何週間かは長時間労働をし、その代わりに何週間かは短時間労働をする、といった労働時間の割り振りは許されると思うか」との質問に対する回答(単位:%)

図


 「父親は育児休業を請求することができると思うか」との質問に対する回答(単位:%)

図


  上の問に対する規模別経営者の回答(単位:%)

図


 「使用者は、従業員を自由に解雇することができると思うか」との質問に対する労使の回答(単位:%)

図


  上の問に対する規模別経営者の回答(単位:%)

図

注:凡例は上の問と同じ。


調査方法:
 大阪府豊中市の商工会議所構成員のうち事業所規模300人未満の企業に対して調査票を郵送、また、名古屋、広島、京都、神戸における経営者団体や労働組合の会合を通じて調査票を配布。
 その結果、経営者から354件、労働者から87件の回答を得たもの。なお、労働者の回答者属性は、管理職63.2%、管理職以外の正社員28.7%、パート・契約社員8.0%。

 資料出所:村中孝史ほか編「中小企業における法と法意識」(平成12年、調査は平成10年から平成11年にかけて実施)



企画業務型裁量労働制の労使委員会の労働者委員の選出方法

 企画業務型裁量労働制の労使委員会については、過半数労働組合が労働者委員を指名しているものが全体の83.8%、過半数代表者が指名しているものが16.2%となっている。
 過半数代表者が指名している場合に、その過半数代表者の選出方法についてみると、選挙・投票により選出されている者が55.1%、信任・挙手により選出されている者が35.7%である。その役職についてみると、一般の労働者が64.3%、係長・主任職相当以上が14.3%である。


届出件数 606件 構成比
  うち、労働者委員が過半数労働組合に指名されたもの 508件 83.8%
    労働者委員が過半数代表者に指名されたもの 98件 16.2%
  うち、過半数代表者の選出方法が    
  選挙・投票 54件 55.1%
信任・挙手 35件 35.7%
話合い 3件 3.1%
その他・無記入(※) 6件 6.1%
うち、過半数代表者の役職が    
  部長職相当以上 2件 2.0%
課長職相当以上 10件 10.2%
係長・主任職相当以上 14件 14.3%
一般の労働者 63件 64.3%
無記入 9件 9.2%


 「その他」は、「社員の推薦」1件、「書面の同意書による」1件、無記入4件であった。

 平成17年7月1日から同年9月30日までに全国の労働基準監督署に届出のあった、企画業務型裁量労働制に関する決議届を分析したもの。厚生労働省労働基準局監督課調べ。

トップへ