日本看護協会からの意見



平成17年12月9日

医療計画の見直し等に関する検討会
座長 黒川 清 様
医療計画の見直し等に関する検討会
委員 古橋 美智子
(日本看護協会副会長)



医療計画の見直し等に関する意見




 疾病予防から終末期を含む在宅医療に至るまで幅広く関わる看護職として、患者・国民の安寧な生活と健康の保持増進を支援する観点から、新しい医療計画の作成に向け、下記の対策及び指標(詳細別添)を盛り込んでいただきたく提言致します。




1. 在宅医療・終末期医療の充実のために、在宅医療・訪問看護サービスを望む患者・家族の意向を尊重した提供体制の基盤整備や、有益で適切な情報提供を行うための指標を盛り込むこと


2. 医療安全確保のために、看護職をはじめとする医療提供者の適正な配置など施設としての対策や、医療安全に関する情報提供や相談窓口の充実が必須であり、これらを把握するための指標を盛り込むこと

以上



(別添)

1.在宅医療・終末期医療について
 在宅医療・終末期医療の充実のために、在宅医療・訪問看護サービスを望む患者・家族の意向を尊重した提供体制の基盤整備や、有益で適切な情報提供を行うための指標を盛り込むこと

1)基盤整備と地域連携を評価するための指標
 医療機関に設置された退院支援部門において、退院支援チームが患者・家族の退院後の不安に対応するため、地域の訪問看護師・ヘルパーと連携しつつ地域ケアサービスを紹介することで、入院期間の長期化が防止されることが示されています。

2)在宅医療の充実を評価する指標
 在宅医療の充実には、地域の疾病構造や医療ニーズに応じた訪問看護の質的量的整備が不可欠であり、そのためには、訪問看護ステーションを利用する患者の疾病や特性の把握が必要です。また、急変時に備え、在宅医療を受ける対象者がいつでも入院できる病床を確保しておくことが求められます。

3)利用者のニーズと対応に関する指標
 地域において医療・看護ニーズの高い患者に必要な看護を提供するには、居宅や利用者の範囲を拡大しグループホーム・ケアハウスなどにも訪問看護できる仕組みや、患者の療養生活の質向上支援や介護家族のレスパイト支援など訪問看護ステーションの多機能化が必要です。

4)終末期医療提供体制に関する指標
 終末期に自宅で療養することを希望している人は6割近くにのぼりますが、実際には、全疾患患者の8割以上が病院で療養し、病院で亡くなっています。自宅で最期まで療養することについては、家族の介護負担や症状の急変への不安等から66%が「困難」と回答しており、患者・家族の不安と介護負担を軽減し、住民が望む終末期在宅医療体制を整備する必要があります。

2.医療安全対策について
 医療安全確保のために、看護職をはじめとする医療提供者の適正な配置など施設としての対策や、医療安全に関する情報提供や相談窓口の充実が必須であり、これらを把握するための以下の指標を盛り込むこと。

1)適正な人員配置とその効果に関する指標
 米国をはじめとする諸外国の研究では、看護職員の配置が多いと、患者死亡率、術後の肺炎発生率、転落事故発生率など減少することが明らかになっています。

2)医療安全対策に関わる指標
 施設における医療安全対策実施状況の把握が必要です。
また、患者・地域住民にとって、医療安全支援センターがさらに利用しやすい施設となるよう、相談窓口としての機能や医療安全情報提供の強化が求められます。

以上

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