○ 労働条件の明示について

 1 企業が採用内定時に採用内定者(新規学卒者)に労働条件を知らせる方法は、就業規則の配布が26.8%、労働条件を書いた説明書の配布が41.2%、その他口頭で説明が67.8%となっている。何らかの書面(就業規則・説明書のいずれか又は双方)を配布している企業は全体の59.6%、書面を配布していない企業は40.4%になる。(労働政策研究・研修機構「従業員関係の枠組みと採用・退職に関する実態調査」より再集計(平成16年))

  ・採用内定時に労働条件を知らせる方法(複数回答 単位:%)(無回答を除く集計)
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  ・ 採用内定時・就業開始時の書面の配布の有無(単位:%)(無回答を除く集計)
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 ※ 「書面あり」は就業規則、説明書のいずれか又は双方を配布しているもの

  ・ 採用内定時・就業開始時を合わせた書面の配布の有無(単位:%)(無回答を除く集計)
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 2 労働条件の明示に関する紛争の事例としては、例えば、次のようなものがある。

実際の労働条件が募集時に示された労働条件を下回っていたと労働者が主張した例】 賞与について、求人票には「前年度3か月分」と示されていたが、実績評価の結果、実際の夏季賞与は9万円であった。労働者は、求人票等では実績評価をすることが示されていなかったことを理由に、求人票に示された3か月分(のうち夏季賞与分1か月分)と9万円との差額を求めたもの。
 会社側は、求人票で示したのはあくまで前年度の実績であり、支給額を保証したものではないと主張した。

入社時に明示された労働条件を労働者が主張した例】
明示の内容が問題となった例】
 7年前に入社した労働者が自己都合退職により退職したところ、退職金の金額が入社時に説明を受けた金額よりも大幅に少なかったとして、差額の支払いを求めたもの。
 労働者は、入社時に、退職金は賃金×勤続年数であるとの説明を受け、その旨の資料を受け取ったと主張している。
 一方、会社側は、労働者の入社1年前に退職金制度を改定し、退職金は賃金×一定率×勤続年数になっており、その旨は規定に明示され、社員はいつでも閲覧可能になっている。労働者の入社時にもそのような説明を行ったはずであり、労働者に旧規定に基づく資料を渡したことを示す資料は見つからなかった、と主張した。


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