○ 募集・採用について

 1 新規大学卒・大学院卒を採用内定した企業のうち、通年採用制を実施している企業は8.9%、学校名不問採用を実施している企業は43.2%である。(厚生労働省「雇用管理調査報告」(平成16年))

  ・ 採用方法別企業数の割合(複数回答 単位:%)(新規大学卒・大学院卒を採用内定した企業を対象に集計)
図


 2 平成15年の1年間に中途採用を行った企業は全体の71.2%に上り、管理職、事務職、技術・研究職では企業規模が大きいほど、現業職では企業規模が小さいほど、中途採用を行った企業割合が多くなっている。(厚生労働省「雇用管理調査報告」(平成16年))

  ・ 中途採用の実施状況(単位:%)
  全企業 中途採用を行った(複数回答)
管理職 事務職 技術・研究職 現業職
規模計 100.0 71.2 13.7 27.5 18.4 50.8
5000人以上 100.0 86.2 34.9 54.8 51.9 38.4
1000〜4999人 100.0 77.5 26.5 44.9 38.6 42.4
300〜999人 100.0 78.7 23.8 43.6 31.3 48.7
100〜299人 100.0 75.3 15.6 34.5 20.0 49.3
30〜99人 100.0 69.1 11.7 23.2 15.9 51.7


 3 募集・採用に関する民事上の個別労働紛争に関する相談件数は増加傾向にあり、平成16年度における採用に関する相談件数は1,882件、募集に関する相談件数は1,163件に上る。(厚生労働省大臣官房地方課労働紛争処理業務室調べ)

  ・ 募集・採用に関する民事上の個別労働紛争の相談件数
図

  ・ 募集・採用に関する助言・指導申出受付件数
図
(単位:件)
 (注)いずれも「平成13年度」は平成13年10月から同14年3月までの数値である。
 ※労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争は、あっせんの対象とはならない。


 4 募集・採用に関する紛争の事例としては、例えば、次のようなものがある。

採用過程の補償に関する事例】 2か月間に8回の面接を繰り返した後に不採用とされたことについて、応募者が、面接打ち合わせ時間に対する補償や慰謝料を求めたもの。
 会社側は、当初の応募者の説明(自己アピール)に事実と相違があったことから最終的に不採用となったものであり、当初から採用しないつもりであったわけではないと説明していた。

裁判例:使用者には採用の自由があるとされた例】 労働者は、大学在学中に社員採用試験に合格し、大学卒業と同時に会社側に3か月の試用期間を設けて採用された。
 会社側は、労働者が、採用試験の際に提出を求めた身上書の所定の記載欄に虚偽の記載をし、または記載すべき事項を記載せず、面接試験における質問に対しても虚偽の回答をした(具体的には、学生時代に学生運動に関与した等の事実を秘匿した)ことを理由として、試用期間の満了直前に、本採用を拒否する旨の告知をしたもの。
 判決では、「憲法は、思想、信条の自由や法の下の平等を保障すると同時に、他方、22条、29条等において、財産権の行使、営業その他広く経済活動の自由をも基本的人権として保障している。それゆえ、企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであって、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない」とされた。(三菱樹脂事件 昭和48年最高裁判決)


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