05/11/30 第13回「医療計画の見直し等に関する検討会」議事録           第13回 医療計画の見直し等に関する検討会                       日時 平成17年11月30日(水)                          10:00〜                       場所 厚生労働省専用第15会議室 ○谷口指導課長  定刻になりました、ただいまから「第13回医療計画の見直し等に関する検討会」を開 催いたします。委員の皆様には、お忙しい中をご出席いただきまして誠にありがとうご ざいます。  本日はワーキングの河口委員、長谷川敏彦委員、長谷川友紀委員がご欠席のご連絡を いただいています。濃沼委員、ワーキングの松田委員は遅れるというご連絡をいただい ています。また、山本委員の代理として日本薬剤師会の飯島常務理事にご出席をいただ いています。それでは座長、よろしくお願いいたします。 ○黒川座長  おはようございます。医療改革の山場は越したようですが、宇沢先生のように、教育 や医療という社会の基盤資本、コモンソーシャルキャピタルとおっしゃっていますが、 最近も『コモンソーシャルキャピタル』という英語の本を書かれまして、素晴らしい本 だと思いました。基本的に、あのようなしっかりした哲学がなくて、ごちゃごちゃやっ ているのは非常に困る。この間久し振りに宇沢先生とお話をしたのですが、はっきりし た思想や理念がなく、小手先のようなことはまずいと思っています。  それでも先生方のご意見をいただいていた、各都道府県での医療計画をやることは、 向こうではどうしたらいいのかわからないという、それは旧体制なのかもしれません が、先生方のお蔭で、結構新しい考え方はできると思うので、出している方向はいい方 向ですが、財源などは別の話として、明らかに世の中が変わっているのは確かです。  私たちがいちばん懸念しているのは、一旦駄目になると、戻すのに10年、20年かかる わけですから、そうならないようにしたいと基本的に考えています。  まず、事務局から説明をお願いします。 ○針田医療計画推進指導官  資料の確認をさせていただきます。資料は6つあります。資料1「救急告示制度の見 直しについて」、資料2「医療計画制度と都道府県の権限について」、資料3「今後の スケジュールについて」、資料4「モデル医療計画(骨子案)」、資料5「医療計画作 成ガイドラインのたたき台」、資料6「全国で把握すべき指標(案)について」です。 ○黒川座長  よろしいでしょうか。議題に入りますが、今日はしばらく先生方のご意見を、問題提 起をしながらいただきます。それから、その後の報告的なことがあります。  そこで、この間話をしたように、去年この会議が始まったときを考えてみると、地域 の病院はみんなの共有の財産だということで、みんなで使ったらどうでしょうかと、医 療法人がそこを利用すると。それで地域ごとにしっかりした医療体制をつくっていこう という、基本的な考えは素晴らしかったと思います。  それから、いま各地方自治体からの政策については、どちらかというと、尾形先生と かワーキンググループの人たちというのは、行政そのものではなくて、むしろアカデミ ックコミュニティーからニュートラルな立場で、いろいろなことを考えていただくのが いいと思いまして、そういう話に少しずつ進んでいくというのは、大変いいことだと思 いますので、これをぜひ応援していただければと思います。  そこで、今日は議題にあるように、資料1「救急告示制度の見直し」で、これは救急 医療をどうするかという1つの問題ですが、これについてはまず話題を提供して、いろ いろご意見をいただきたいと思いますので説明をお願いします。 ○針田医療計画推進指導官  資料1「救急告示制度の見直しについて」です。救急に関しても9事業の1つとし て、重要視して検討してきたところです。1頁です。現在の救急告示制度は、消防法に 規定されている救急隊が搬送する医療機関ということで、厚生省令で具体的な救急病院 等についての基準がある程度固まっているところです。  現在このような中で、小児患者を含む救急患者の増加がありまして、地域において質 が高く効率的な医療提供体制について、再構築が必要ではないかと言われてきていま す。また、医療計画の見直しにおいて、救急医療に関しても医療機能を明示して機能分 化を図ることが、地域の実情に応じた望ましい医療提供体制の構築というものが重要視 されています。3つ目として、救急現場において医師の長時間労働の問題があるとなっ ています。  以上を踏まえて、質が高く効率的な救急医療提供体制を地域で再構築するために、救 急告示制度を検討したらどうかということで、ペーパーを出させていただいています。 なお、へき地に関しては別途となります。まずは救急告示制度についてお話をさせてい ただいています。  見直しの方針としては、新たに救急医療の機能に応じた医療機関の名称を告示できる ようにすること、2つ目は新たな救急医療の機能について指標に基づいた基準を設ける こと、3つ目として新たな救急医療の機能について認定された医療機関の政策評価を通 じて3年ごとの更新制をより明確にすることとしています。  次の頁です。いまの救急告示を3つに分けて、1つ目は「救命救急センター」、2つ 目が「入院機能を有する救急医療機関」、3つ目が「救急医療担当医療機関」のよう に、わかりやすく分けてはどうかとしています。それぞれについて、「構造」「過程」 「結果」。ストラクチャー、プロセス、アウトカムと、検討会で再三議論していただい た切り口で明確にしていったらどうかという提案になります。  救命センターの構造に関しては、人員としては、3年ぐらいの救急医療の臨床経験を 有して、専門的に救急医療に精通している医師が常時診療に従事していることという条 件、さらに救命センターですので、循環器、脳外科、脳神経外科等々、院内での専門性 の高い医師との連携が図れるようにしてあること。また、夜間・休日の診療を含めて、 適切な勤務体制がとられていることを人員的な条件とするとしています。また、設備に 関しては、高度な救命救急医療ができるための施設・設備を有していること。また、重 篤の患者、救急患者のための病床が確保されていること、といったところを条件と考え ています。過程については、連携という視点で捉えると、初期救急医療機関や入院機能 を有する救急医療機関、さらに消防機関との連携体制が構築され、医療計画上明示され ていること。また、メディカルコントロール協議会において中心的な役割を担っている こと。臨床研修医を年間4人以上受け入れていること。救急隊員の教育も大事ですの で、救急隊員、救急救命士の臨床での研修を年間120人日以上を受け入れていること、 というものが妥当ではないかとしています。  (3)の結果としては、重篤な救急患者の搬送依頼を全て受諾すること。年間365名以上 を受け入れる能力、それに見合う実績を有することを条件にしてはどうかというのが救 命センターになります。  次は入院機能を有する救急医療機関です。人員については、3年以上の救急医療の臨 床経験を有しているもので、救急医療に精通している医師もしくはその指導下にある医 師が、病院内で常時診療に従事していることを条件としています。また、設備について は必要な施設・設備を持っていること。また、傷病者の入院に関してその病床を確保で きていることが条件になります。  過程については、連携として救命センター、直近の医療機関、消防機関との連携を構 築し、医療計画上明示されていることになります。研修については、救急隊員、救命士 の研修を年間8人日以上受け入れていることを条件としてはどうかとしています。結果 として、救急患者の全てを受け入れること。重症患者を365名以上受け入れる能力、そ れに見合う実績があることが必要かと思います。  3つ目ですが、救急医療担当医療機関については、救急医療を担当する医師が夜間・ 休日を含めて診療に従事していること。必要な施設・設備があることとしています。過 程においては、連携を取って医療計画上明示していることとしています。(3)の結果と して、夜間・休日の救急患者を年間365人以上受け入れる能力と、それに見合う実績を 有しているということを条件として、いままでは告示という1つの枠組みだったもの を、このように明確に分けていってはどうかという提案になっています。  次の頁は、救急に関する研究班で研究をしていただいたもので、いまどのような基準 を設けたらいいかという研究もしていただいて、いまの説明の根拠となる資料を具体的 に分析したものを添付しています。以上です。 ○黒川座長  救命救急センターと言われるのは、三次救急、二次救急、一次救急に概念的に大雑把 に分けてもいいのかもしれません。それは行政の組織的にはそうなのかもしれません が、患者とかコミュニティーから見るとどうかというイメージでいろいろ言っていただ きたいと思います。  後ろのほうの研究班は参考資料2になりますが、これでいろいろと検討をしていただ きます。具体的なデータやファクトシートが本文の2、3頁の辺りに、考え方のフレー ムが出ています。しばらくご意見をいただいて、もう1回整理しないといけないと思い ますし、この辺は研究班の意見も聞きながらということで、ご自由に発言していただけ ればと思います。 ○信友委員  救急の現場では県境越えが日常化していると思うのです。高知医療センターは日常的 に関西や中国から来ています。対馬であっても、行政は長崎県ですが、実際に救急は福 岡、久留米がやっています。それが日常化している中においては、県境を越えて検討す るような場をつくりなさいという指示が絶対に必要だと思います。県境を越えるときに 救急車を移し替えてしまうという馬鹿なことが定着していますので、それを壊すために もです。  それと救急患者の定義です。消防法によっては救急隊によって搬送される傷病者は全 部救急患者ですが、実態はそうではないです。あと時間外で受診した人も救急患者のよ うに扱っていますが、ただ相談したいだけの人もいます。それから、これには精神医療 が書いていませんが、寂しいから救急車を使うという人もいます。みんなが思う救急患 者と、ただ時間外の受診あるいは相談で終わるもの、定義をしてから具体的に検討する ことを指示しないと、また従来どおりの延長になってしまうと思います。 ○黒川座長  いまの指摘はいいポイントです。この間のこの委員会でかなり議論をしたもので、実 際には使われなかったのですが、第5次医療計画の場合には、二次医療圏という話だっ たのですが、議論していくと二次医療圏というのはあくまでも行政の都合で、日常医療 圏というような言葉になってきて、その次の段階に、救急ですとかなり広域で、どこに でも三次の救命救急センターが必要かというと、そういうわけではなくて、ここにもデ ータがありますが、そういう意味からいうとそれが1つあります。  実際に救命救急センターがあるのは、大学ですと私立大学ですが、誰が来るのかとい うと、救急車で運ばれた人というのを一次的な数字の基にしているのです。それも少し 変だというのは信友委員のおっしゃるとおりだと思います。 ○高津委員  いまの話の中で、受け皿ではなくて、国民が救急医療を受けるときのかかり方はこの 中で検討されるのでしょうか。 ○黒川座長  それはどうでしょうか、何でも結構だと思いますが、胸が苦しいと思って救急かと思 って行ったら大したことはないというのはいくらでもあるわけで、患者に判断しろとい うのも難しい話ですから、電話を受けたときの聞取りも大事ですね。 ○納谷委員  大体現状の話のような気がするのですが、違いを教えていただきたいと思います。  もう1つは、「救急医療機関、医療計画に掲上」とありますが、大体どこも医療計画 は5年に1回で、救急病院の入替えはもう少し激しいので、この辺は別表にするとか、 細かい話ですが工夫が要るのかなと思っています。 ○針田医療計画推進指導官  現状は地域によってかなり異なると思います。医療提供側の配置状況によってもかな り異なりますし、告示病院が全くステーブルのまま変わらない、看板だけは掲げている けれども、行っても受け入れてもらえなかったという地域もあるやに聞いております。 そうでなくて更新しながらやっている県もあると。その辺は今回の案によって、ある程 度全国的にわかりやすくなってくるのではないかと思います。  いまは全国ばらばらというか、告示制度は昭和の早い時期からつくられた制度ですの で、今回医療計画という切り口、その連携といったものを踏まえてやっていくとなる と、アウトプットとしては、どこに行けば求める医療を受けられるかがわかりやすくな るのではないかと思います。いままでは告示病院だけだったのがわかりやすくなるので はないかと思っています。 ○池澤委員  東京都の現状をかなり取り入れている感じがしました。「結果」というところです が、「年間365名以上を受け入れること」と、これは東京都が石原都知事になったとき にいままでの救急告示病院は告示は要求するが、実際に患者が来るときには満床だとい うことで断って、補助金だけもらうというシステムで、大体700いくつかありました。 それを年間365人以上受け入れることというルールをつくって、それに合わないところ を全部切って半分にしました。それで東京都は300台だと思います。  そのようにしてつくってやっているのですが、それはあくまでも救急搬送患者の数で す。しかし、これは地方、例えば旭中央病院や佐久病院では、救急車を待っていないで 自家用車やタクシーで来る患者が救急患者なのです。救急患者の概念が何を指すか、あ と昼間に来ているけれども、夜、薬だけくれと、これも救急患者になると。いまは時間 外に来るのがみんな救急患者になるという無原則的な流れになっています。  こういった点で、カウントできるのはあくまでも救急車の搬送です。いろいろそのと きに使い分けるナイフが違うわけで、救急患者をカウントするときには救急車搬送でい くと。しかし、実際に扱うのはそれよりもはるかに多いのが現状であると同時に、非常 に軽症のものまで入ってしまうという盲点があります。  もう1つは、いままでは救急に関して、休日などは輪番制でしている体制がありま す。そうすると、年間365名以上という規定、毎休日やっていることはないわけで、こ の辺はどのようになるのかなと思います。 ○古橋委員  救急医療センターの構造のところで、夜間・休日の診療について「交代勤務制」とい うことが書かれています。これは医師の交代勤務制を布いておくべきという捉え方と思 いますが、もちろんそこは必要だと思うのですが、そうしたことがある意味で実現可能 なのかどうか。これは医師の需給見直し検討でも、医師たちの非常なハードワークと疲 労が現実的に大きな問題なので、交代勤務の検討を始める必要があるのではないかとい う議論が出たことがあります。そういう点では、この救命救急センターでは、医師も含 めて交代勤務規定がなされるべきと謳うのかどうかということです。  もう1つは、2番目の入院機能を有する救急医療機関等々の結果としては、「救急患 者の搬送依頼を全て受諾する」ということも、あるべき論としては本当に重要な要件だ と思うのですが、多くの民間では、夜間の当直医、救急室担当医が、ときには非常勤医 師にお願いをして維持されている現実は少なからずあります。依頼を断るという事実も ゼロではなく、日常的にゼロでもないと思うのです。  この辺りを厳重にこうした形にしていく、医療を受ける側からすれば、絶対にこうい う要件が必要だと思うのですが、この辺りはシビアに布いていくということを決定する 方針としていけるのか、いくのかどうか、その辺りの厚労省からのご意見を聞きたいと 思います。医師の確保は現実的には非常に厳しく、大きな項目ではないかと思います。 ○黒川座長  何か、いい忘れたことがあったらどうぞ。 ○池澤委員  もう1つ追加として、「この頃の救急患者は」という言い方をしますが、この頃の救 急患者は専門医志向なのです。夜間の場合、例えば都内の病院にあっては、内科系、外 科系ということで、当直医を設けています。そのときの症状や疾患に対して、救急処置 が講ぜられて、翌日までもたせられるというのがあくまでも条件であって、それ以上の 専門医ということは要求していないのです。  ところがこの頃の患者は、足の捻挫で来て、それを当直の外科医が診たと。あれは専 門医でなかったと怒るわけです。その類のトラブルが現実にしょっちゅう起こっていま す。  そういう専門医志向に対する救急医療の考え方というのは、この中では述べていない わけですが、現実に存在している、小児科でもない医者が小児科を診たと言ったり、も う1つはもっと細かくなるのです。呼吸器専門でないのに喘息を診たと、そのようなと ころまで話がいってしまう。そのような事態に対する厚生労働省としての、救急医療に 対する、特に「入院機能を有する」云々というのと、3番目の「救急医療担当の医療機 関」と、この辺についての原則を患者に対してもピシッと決めておかないと、医療機関 だけが攻撃を受けるという問題があります。 ○尾形委員  全般的なコメントですが、全体として研究班の成果を踏まえて、ストラクチャーとプ ロセスについては、それなりに整理されていると思います。問題はアウトカムのところ で、いずれも「それに見合う実績を有すること」という形になっています。今後の課題 としては、この辺をもう少し明確にしていく、あるいはエビデンスを蓄積していって、 一定のベンチマークをつくってアウトカムを評価することが必要ではないかと思いま す。今後の課題ということで指摘しておきたいと思います。 ○飯島理事(山本委員代理)  私は上田市の薬局で、夜間の救急、小児救急の対応をしています。医師と電話でやり 取りをして、本当に救急なものを夜間でも受けています。外来で対応できるものは医薬 品が出てくるわけです。そのようなものに対して、薬局は薬物療法において非常に貢献 している部分があります。夜9時から翌朝1時ぐらいまで、それぞれの薬局で対応して います。365日そのような状況が続いているのが現状です。 ○豊田委員  現在、救急医療の現場で問題になっているのが2つありまして、1つは池澤委員も言 われましたが、医療機関側から言えば医師が大変疲弊しています。そして救急に追わ れ、疲れ果て、開業に走り、それを補充するのが大変と、そのように慢性的な忙しさが 医師不足を加速させています。それは当直の回数は少なくても、受診する側の患者か ら、専門の先生に診てもらいたい、同じ外科でも専門に診てもらいたいといった志向が 強いです。診療科でいったら、子どもを連れて来る母親は必ず小児科の専門医に診ても らいたいという希望が出てくるわけです。そうすると、せっかく診療を終えて疲れて帰 宅された医師が、また電話で呼び出されます。忙しい病院ほどそういったことで医師が 非常に疲れていっています。そのことが医師不足につながっていくという、その2つの 現実があります。  例えば小児科の医療というのは、この1、2年で非常に大きく問題にされました。私 は秋田県ですが、全県横断的な各救急病院の話がありました。小児科の場合は、家族の 生活の有り様と直結しているわけで、なかなか改善できません。救急時間帯に救急患者 として来る患者で、実際に本当の救急の患者は1、2割であって、その他の人たちは結 果としては救急として来る患者でなかったということです。  しかし、救急であったかそうでなかったかというは、患者側からすれば救急なので す。行って、「大丈夫です」と言われるのは、あくまでも行った後の話ですので、この 辺の受入れ側、受診する側の調整をどうするのかは非常に大きな問題ではないでしょう か。 ○鮫島委員  精神科のことが出ましたので問題提起をしたいと思います。本来なら精神科救急に行 くべき人が一般救急に行ったり、精神科救急に来て救命救急センターに運ばなければな らない患者がいたりというのは、日常的にあるわけです。そして、必ずしもその辺の連 携がうまくいかないというのはよくありますので、一般救急と精神科救急との連携がス ムースにやるようなことを、1つの課題として挙げていただきたいと思います。 ○土屋委員  ここに、一次、二次、三次として、救急医療機関の要件が書かれています。これは現 状とかけ離れていますので、あまり難しいことにしないほうがいいのではないかという 点について申し上げます。救急隊員の臨床研修についてですが、これは実際には地域で 救急というものを相当中心的にやっているところでも、必ずしも研修がいるという状況 にはないということです。そのような希望があれば当然それを受け入れてもいいのです が、「受け入れていること」という条件にしないということが1つです。  重症の救急患者ですが、末尾に、重症の救急患者の区分が載っていますが、たいがい 救急で入って来るというのは呼吸、循環不全のいずれかですから、重症な救急患者に相 当するのだと思います。現状の救命救急センターですら専門医と称する人が必ずしもい るとは限らないのです。そのために評価で、なかなか充実段階Aになれないところがあ ります。それがようやく専門医ができたためにAになれたとしても、格好だけ整えられ たところがあるというのが、地方における救命救急センターの現状です。したがって、 二次救急を担うようなところは、その他の専門医全般に言えることなのですが、あまり 専門医にこだわらないことが必要だと思います。  主役は、二次のところが果たしているので、あまり「こうあるべきだ」と最初から絞 り込まないほうがいいと思います。 ○納谷委員  二次のところで話が出ていますが、全て受け入れるというのはできないわけで、それ は専門医の問題もありますし、キャパシティーの問題もあります。そのために各県、救 急医療情報センターというのが整備されているはずなのです。この辺の全体のレベルが どうなっているのか、搬送という患者のディストリビュートという点では、救急医療情 報センターの有り様、在り方も検討しないと、病院だけでは不十分ではないかと思いま す。 ○田中委員  1つ文言で、救命救急センターの条件に出たドクターの交代勤務制は結構ですが、 「適切な超過勤務を導入していること」は何となく変であって、これはやむを得ず超過 勤務を導入する場合には不適切にならないことという意味で書いてあるのだと思うので すが、国家が「超過勤務を導入せよ」と言っているように読めるので、そうではないで すよね。交代勤務制をとるときに、やむをえず超過勤務になる場合はとの意味だと思い ますので。  それから、今回は別に関係ないのですが、地域医療体制の中での救急については、先 ほど信友委員が言われたように搬送の部分も構造だと思います。今回入れろという意味 ではないのですが、救命救急センターたるもの、例えば救急ヘリとの連携が取れている ことも、将来、構造の条件に考えてみたいですね。 ○針田医療計画推進指導官  いろいろ文章に表現不足がありますので、次回にまた文章を変えていこうと思いま す。今回は連携を非常に重視しています。これはこの検討会での流れに沿った形になっ ています。院内、病院間の連携ということで、例えば災害時にたくさんの人が来たとき にも、全て受けなければいけないのかという非現実的な話を考えているわけではなく て、現実・可能性も当然考えながら作ろうと思っていますので、その辺の文章は修文し て、また次回に出させていただこうと思います。 ○信友委員  今度のとは関係ないのですが、救急隊維持のために年間にどのくらいの予算を組んで いるのでしょうか、見えない医療費だと思うのです。無駄な使い方をしているのではな いかという国民への啓蒙も入れるのだと思うのですが、1兆円を超えていますかね。 ○黒川座長  総務省の予算ですか。 ○谷口指導課長  いま手元に資料を準備していませんので、次回にお答えさせていただきたいと思いま す。  何人かの委員の先生からご指摘いただいた話で、我々としても大変辛いものがありま す。はっきり言いますと、救急患者の定義の問題です。これは根本の話だという認識は あるのです。ざっくばらんに言いますと、本当の救急患者なのか、単なる時間外の患者 ではないのかという話が、この中にかなり含まれていることは事実です。それを十把一 絡げに駄目だと言えないのも、また辛いところで、その辺については病院は苦労されて いるのだと思います。その辺をきれいな切り分けでどこまでできるのかというのは、我 々としても大変苦労するところです。そういう意味からすると、先生方にご覧いただい た2頁の書き振りはどうも曖昧という感覚を持たれるのは仕方がないというところがあ ります。  これについては、今後もう少し国民への啓発も踏まえて、そういう趣旨も活かしたも のとして、この表の形でまとめていきたいと考えていますので、ご意見をいただいた部 分は次回までに修文はいたしますが、その辺を含めてご理解いただきたいと思います。 ○黒川座長  いろいろと貴重な意見をいただいて、研究班の話は救命救急センターのフロントの人 ばかりで三次救急の話をしているわけです。夜間や時間外の普段の診療の話はないの で、常識的にERなどを見ていれば、あそこに単なる飲み過ぎだという人はいくらでも 来るわけです。地域からすればそこに来るのは当たり前の話で、けしからんという話を してもしょうがないわけです。その中に、信友委員がかかった脳外科の専門病院があっ たとか、整形の専門病院があったから、そっちはたらい回しだと、交通事故はどうする のだという話になってしまうと、基幹病院には救急センター何とかと言っているからに は、そこに普通の人が来て、そこで診なくてもいいのだけれども、時間外だという話で プライマリーケア的な対応をするのも大事だし、精神科も大事だし、患者がそれによっ て選ぶという話は難しいから、それはある程度やらなければいけないような救命救急セ ンターはあるけれども、そこに来る人のうちのほとんどは大したことはないのです。こ こは違いますというのも住民から見れば変な話です。そうすると心カテに行かなければ ならないというと、私は東海大にも、東大にもいたのでよく知っているのですが、救命 救急センターと言った途端に、自分たちでベッドを持っていないといけないと思ってし まうわけです。私は東海大で言ったのは24時間以上も持ってはいけないと、その後は整 形外科なり、循環器なりの病棟に移せという指示をしているのですが、どうしても救命 救急講座とか言って、自分たちでベッドを持ってやっております、といっているのは自 分たちの都合で言っているわけで、社会のニーズに対応しているとはとても思えませ ん。ドクターヘリを受け入れたときも、電話を受けて5分で出発しています。報告書案 ではそういうレベルの話をしているのですが、そこに特化していて、循環器や整形など の話がある程度病棟にあって、といっても医師がみんなそこをやっているわけにもいか ない。前に信友さんが言ったように、皆さんその地域全体、100万人で1カ所を使うな ら使うでもいいのですが、研修医をどうするとかいう話もしなくてはいけないのです。  看護師やドクターのローテーションもあって、スキルを持った看護師でも、いまは子 育てとかいろいろな人がいくらでもいます。そうすると、夕方だけ1日8時間、5日し かやりませんという人がたくさんいてもいいわけです。そうすると、あの人は違うとこ ろだから私たちは仕事をしたくないと、そういうことを言っているほうがおかしいので す。  プロであれば、スパッと入ってくればその時間はサッサとやれるようになっていくた めには、普段から一緒にしている場所にしておくことがすごく大事です。そのような話 をもう少し前向きにやったほうがいい気がしています。  これをやってしまうと、どうしてもこの機関は全てが自立すると考えるのは、極めて 機能としてはおかしいのではないかと思うので、その辺も考えていただこうかと思って います。 ○信友委員  施設の話ではないのですが、この発想は病院の中のマンパワーでどうにかしようとす る発想です。一部の郡医師会では、診療所の先生が当番で、夜間に病院に勤めているの です。そして病院のスタッフに楽をさせてあげて、地域で守るという発想です。麻酔医 も3割は女性ですが、夜間であれば行けるというのです。そのような上手な勤務体制を 現場でつくっていくことです。これはまだ病院の中で対応するという発想だから、地域 で対応する発想、もう少しいろいろな事例を集めてみれば対応できているところもあり ますから、制度に偏らないで知恵を出せば、メディカルコントロール協議会においても 大事なところです。 ○黒川座長  都会だとそうではないかもしれませんが、いつも田中委員が言っているように、地域 のかなり広いところに20万人から30万人の人が散らばっているようなところで、距離は あるかもしれないけれども、あそこへ行けば軽くても何でも24時間ちゃんとやってくれ る、という話になっていてもいいわけです。普段から、あそこは夜に行っても誰か先生 がいるというのは一次救急だろうし、この委員会でいままで話していたことと同じで、 ファシリティは皆で使おうとなってくればいいのではないかと思います。全て自前とい うのは無理ですよね、一次、二次、三次がそれぞれ別だと思っているのも、場所によっ てはそうはいかないのではないかと思います。今日のをもう1回まとめていただいて、 議論の最初の出発点にしたいと思っています。  統計だと救急車で運ばれて来た人というと、東海大もそうでしたが、病院の近くに住 んでいる人はわざわざ救急車などでは来ないで、自分の車で来てしまいます。それはカ ウントしないという馬鹿なことを言っていてはいけません。「救急車呼んでから来てく ださい」というのも変な話です。  いろいろ問題点があると思いますので、もう1回整理して、活発な議論をお願いした いと思います。言いたりないことがあると思いますので、またメールでも何でも、メモ を入れておいていただければいいと思います。  次に「医療計画制度と都道府県の権限について」に移ります。 ○針田医療計画推進指導官  資料2です。医療計画制度は、この検討会を含め医療部会等々で検討がありまして、 さまざまなご意見をいただいています。また、都道府県の役割強化、自主性尊重を1つ のコンセプトとしてやってきたこともありまして、都道府県からいくつかの意見が出て きています。前回の検討会でもご説明させていただきましたが、新しい医療計画の作成 に向けた都道府県と国との懇談会を3回ほど開きまして、意見交換をさせていただきま した。そのような中で出てきた意見をまとめたのが1頁です。  例えば9月9日の第1回懇談会で、東京都から、都道府県の責任で病院や病床を増や し、医療費に関しては都道府県で賄うので、そういった権限を増やしたいという意見が ありました。静岡県は、実際に使っていない病床があるので、それを返してもらうこと も課題の1つではないか、というご指摘がありました。第2回では、熊本県から、既存 の病床を転換するために何らかの権限、ツールを検討していただきたい、という話があ りました。また、全国知事会からも、都道府県の指導等の権限がない、という問題提起 がありました。また、10月27日の経済財政諮問会議においては、総務大臣から、都道府 県は過剰病床を減らす権限がない、というコメントが出ています。また、11月1日関東 地方知事会から、一定の条件の下に、病院間の病床移転を可能にするような規制緩和が 必要である、という問題提起がなされています。11月17日の第3回懇談会でも、東京都 から病床を減らすこと、高額医療機器の導入を制限する権限がないので、そういったも のに少し強い権限がほしい、という話がありました。静岡県からは地域によっては必要 な医療があって、それを確保するために機能していない病床を回収し、必要なところに 利用する枠組みが必要だ、という話がありました。  そういう意見を総じて、「都道府県において、質が高く効率的な医療提供体制を構築 するためにインセンティブとして、基準病床数制度について、当該都道府県において弾 力的に運用できる権限を創設することを検討してはどうか」ということに至っていま す。  次の頁です。現在の医療計画制度についてです。この検討会が始まったときに課題に なっていたと思いますが、基準病床数を超えてしまうと、新たな増床や開設はなかなか できないと。新規参入が行われず、既存の病院の病床が既得権化し普通の競争が起こり にくい状況になる。2つ目として過剰地域では増床ができず、地域の的確な医療ニーズ に答えられない、という指摘がありました。3つ目として、既存の公立病院の病床が既 得権化となって、医療資源が官から民へといった流れが円滑に移行できない。特に公立 病院の病床は固定化してしまい、小児科・産科医療の集約化・重点化など医療資源の再 構築が行われず、結果として官から民への円滑な移行が阻害されている、ということが あります。このような中で「基準病床数制度の見直しが必要ではないか」ということを 書いています。  次の頁です。具体的にいろいろとご意見をいただきながらまとめていますが、方策は ないかということで、いくつかの案を示しています。(方策1)として、小児救急医療 など、地域で必要な医療を確保するための医療計画制度の弾力的運用の措置ということ で、ニーズと供給とのギャップを踏まえて、再構築するプランを支援するものです。2 つ目として、地域で必要な医療を支援するための公立病院の病床の有効活用措置で、病 床の利用状況を加味して、医療計画制度、病床許可制度の見直しを通じて、地域で必要 な医療を担う提供主体の官から民への移行を加速することを考えるものになっていま す。(方策3)として、医療機関における人員配置状況の情報開示と改善に向けた検討 といったもので、例えば小児科医療・産科医療などで、提供する医療機関に関しての人 員配置状況を把握して、情報開示することを通して、地域の医療サービスの質の向上に 向けた医療機能の集約化・重点化を行うもの、となっています。具体的なものは次の頁 からご説明します。  (方策1)として「地域で必要な医療を確保するための医療計画制度の弾力的運用」 の具体的な案を出しています。小児救急医療や周産期医療など、地域で必要な医療を確 保するために、都道府県の医療審議会において今後の医療提供体制に関する再構築の方 策を検討していただいて、その結果として、地域の既存病床数の全体を「減らす」場合 には、当該医療の実施を条件として、都道府県知事が病院の増床、新規参入を認めるこ とについて弾力的な措置を検討してはどうかと提案しています。いままで過剰地域にお いては固定して、新たなニーズに十分に対応できなかったところですが、地域において 必要な医療を検討していただいて、全体の病床数の再構築について検討して、病床数が 減るのであれば、過剰地域においても新たなニーズに対応する病床を確保してもいいの ではないかとしています。基準病床数より多いベッドがあるというのが左側の棒グラフ です。それが右側に減ると。その中の役割分担、連携を通して、ベッドの有効活用を考 えて、新たに必要とする医療を提供するベッドを確保することもどうか、となっていま す。  この中で、公的病院に変わって民間病院の開設を許可することにより、例えば質の競 争も出てくると。右下ですが、地域の多様なニーズに応じた医療サービスが可能になる のではないかという考えです。  (方策2)です。「地域で必要な医療を支援するための公立病院の病床の有効活用措 置」という具体案になっています。実際に病院の中では年間の病床利用率が50%を切っ ているところが散見されているところです。その地域で本当に必要な医療ニーズがある にもかかわらず、あまり活用されていない病床があるというのは検討の余地があるので はないか、といったところから出てきた話です。  例えば50%を下回っている病院がある場合、年間平均病床利用率を掛けたものを下限 として、再度必要病床数を考えていただいて、ほとんど使われる見込みのない病床に関 しては、病床数を全体としては減らしますが、地域で必要な医療サービスに充てる病床 として活用できるのではないかと。下の図は、例えば200床ある病院の40%しか使われ ていないとします。単純計算で80床になりますが、この検討の中では90床にして、残り に関して110床空くのですが、そのうちの90床は新たに必要とされるサービスを提供す るために捻出するという形の例です。これによって小児医療、周産期医療で必要な病床 が確保できるようになってくるのではないかと考えています。  次の頁で、いま言ったことの「留意点」です。おそらく病床利用率の低いところは公 立病院にいくつかあるということになるので、これは公立病院を念頭に置いた考え方に なるということです。一方で、病床利用率に応じた基準病床数制度の運用を行う場合、 「不必要な入院を助長させる」のではないかという意見もあろうかと思いますが、その 辺に関しては適切な医療が行われることを、都道府県の医療審議会でチェックしていた だきながらやっていただければと思います。また、立入検査等においてもチェックして いただくということでもいいのかと考えています。  次の頁です。(方策3)として、「医療機関の人員配置状況の情報開示と医療機能の 集約化・重点化について」の具体案です。地域においては質の高い効率的な医療提供体 制を確保するためには、薄い人員配置による状況を改善し、質の高い医療サービスを求 める地域ニーズに応えていく必要があります。特に医療安全の面、小児科・産科の確保 の面、救急医療の面など、労働基準の問題などもありますので、その辺を踏まえて考え ていく必要があります。このためには、各医療機関において現在の人員配置状況、人員 配置標準を下回る場合には改善計画を都道府県に提出し、地域住民に情報開示すること を導入してはどうかと。  また、特に、病床利用、対象となる公立病院に関しては、医療機能の集約化・重点化 の検討を医療審議会で行うよう指導していくことを考えています。  次の頁です。このようなことをやるに当たって、都道府県の権限は非常に大切になっ てくると思うのですが、現行で特例病床というのがありまして、過剰地域においても真 に必要な医療の例が列挙されていますが、それをつくる場合には厚生労働大臣に協議を して、同意を求めてやるものがあります。都道府県が地域で病床を有効活用する。全体 として減らしていくのであれば、都道府県の判断を尊重して、特例病床に関しては厚生 労働大臣との協議は不要として、迅速な対応が取れるようにすべきではないかという案 を提示しています。病床を減らす場合であれば、都道府県の判断でやるということで、 厚生労働大臣への協議は不要にするという権限を考えたいと思っています。以上、これ まで言われた都道府県が必要とする権限に対する案をつくらせていただきました。 ○黒川座長  いかがでしょうか。 ○豊田委員  ここで問題になってくるのは公立病院です。民間病院では、いくつもベッドを空け て、慢性的に経過すれば経営が成り立たないので大体なくなってしまいます。しかし、 公立病院、自治体病院では、一般財源からの繰入れといった財政的な援助があって、ベ ッドが空いたまま継続しています。それから、やっている機能も民間病院と競合してい るようなところもあります。  そこで、今回問題になっているベッドの有効活用という点から言いますと、そういっ た非効率的な状態であれば、活用を考えることの中に廃止という言葉を考えるべきだと 思います。ですから、ほかの科に回すことで辻褄を合わせるのだったら廃止。  ここに書かれていませんが、公立病院の中でその地域でどうしても必要であれば、ベ ッドのオープン化、公立病院のオープン病院化も考えるべきです。廃止した場合に、そ れでは地域は困るのではないかという議論にすぐなりますが、いまは非常に開業志向の 先生方は多いので、むしろ不完全で医師が足りない、ベッドも使えないような病院が存 続するよりは、廃止してそこに開業医を誘致していただく。それで存続するならば、さ らに先生方にオープン病院としての機能を発揮させる発想も必要ではないかと思いま す。 ○濃沼委員  この委員会ではこれまで機能のことが中心に議論されてきたと思いますが、都道府県 から出された病床の数の問題はとても重要だと思います。病床数と機能は強い関連があ るからです。  そこで私が申し上げたいのは、病床利用率が50%を下回る場合に、これを召し上げる ことにしますと、不必要な入院が誘導される恐れが大きいことです。無理にでも利用率 を高める可能性がある。全体の病床数を変えずに設置主体を組み替えることだけでは十 分でないと思います。在院日数が短くなり医学が進歩することで、病床は必要なくなる のが常です。技術進歩で在院日数が半分になれば、病床の数は半分で足りるわけです。 その地域で在院日数が減少した分だけ不要なベッドが生じることを考えて、5年先、10 年先にそれぞれの地域での適正な病床の数がどれくらいかを、最初に掲げる必要があり ます。それに見合う形に都道府県の政策が取られているかどうか、その乖離を見ていく ことが大事だと思います。  利用していない病床に対して医療審議会が召し上げの判断をするのは、実際には難し いと思います。病院のダウンサウジング、病床のスリム化を促すような動機づけが必要 と思います。それは削減の幅だけ単価を引き上げるような診療報酬上の対策を講じてい く必要があるのではないか。地域ごとに将来における病床の数の適正数を算出し、強力 な医療連携などを通じて目標に向かってどれくらい実効性が達せられたかを、チェック することが大事ではないかと思います。 ○黒川座長  ちょっと一言。いま事務局から三位一体などのいろいろな話があって、教育の義務教 育チームがここで決まってきました。政治の方向もそうですが、こちらも財源や何かに 都道府県で医療計画するのはいいですが、それによって各地方自治体は国保の管理をす るわけですが、そのような所にどのように、すぐにではなく将来的にいまのあり方を変 えていくことはもちろん大事ですが、そのときにどのようなトランジションのファイナ ンスや財政の問題があるかを、簡単に何か言えますか。もちろんあなたたちがプランし ているわけではないかもしれませんが、政治的にどう持っていくかという話はどうです か。 ○谷口指導課長  大変大きな問題でして、私のレベルではとても答えが完結しませんが、少なくともい ま厚生労働省のほうで進めている医療改革で、10月の半ばに試案を出しました。今後都 道府県のほうでは、地域地域に合った医療の提供体制の中で、具体的に医療費がどのよ うな形で適正化されていくのかを県にもしっかりと考えてほしいという意味で、適正化 計画をつくっていただきたいということを保険局中心ではありますが、省としてお願い をしました。  医療計画との関係で申しますと、医療計画とはご案内のように良質でかつ効率的な医 療を提供するにはどうあるべきかという計画ですので、直には医療費には結びつかない のですが、良質でかつ効率的な医療が理想的に提供されますと、おのずと医療費の削減 に結びついてくるということが、我々の認識です。したがいまして、そのようなところ に意識を持っていただき、都道府県のほうで医療費的削減と医療計画とを併せて進めて いただく形のインセンティブを、座長がおっしゃいましたようにファイナンスとしてど ういう形で結びつけるかがなかなか難しいのですが、少なくとも我々としては意識とし て持っています。  医療計画についてだけ申しますと、医療計画をどのようにうまく進めるかについて は、事務費にしろさまざまな検討費にしろ、予算化をしていこうと考えています。た だ、適正化計画については、具体的な話として完全にどのようにインセンティブをかけ ていくのか、ファイナンスの面でどうしていくのかの議論が、なかなか煮詰まっていな いと我々は認識しています。 ○納谷委員  1つお伺いしますが、(方策1)の新旧ですが、新たに潰すのは公立病院で、できる のは何か民間の病床という意味でしょうか。それとも別にルールを守れば、例えば民間 が潰れたときに公立が入れ替わることも認めるのかという質問です。  特例病床の件ですが、これは厚生労働大臣に協議をしなくてもいいのは1つの前向き な方向かと思います。特例病床で許可しても、例えばがんをやりますといってもなかな かがんの専門医が集まらないので、とりあえずは小児救急をやっていますなどというこ とがあって、現状お宅は特例病床をちゃんとやっていないので病床を取り上げますよと いう権限まで知事に与えるのかどうか。なかなかきっちりと運用されていない現状があ りますので。  都道府県の権限強化は、知事会も言っておりますが、今度の試案では都道府県のいろ いろなペナルティ、あるいはインセンティブなどいろいろなことが出てきている割には 権限がよくわからないという批判が出ています。それで出てきたのかと思いますが、創 設だけなのかどうか、表題のわりにはこれだけかという質問と意見です。 ○土屋委員  この医療計画制度では、病床区分、区分病床数ができたのですが、先ほどの厚生労働 省の医療制度構造改革試案の中で、長期入院の患者はすべて居住系サービスへ転換させ るということが出てきています。ということは、一般病床の中にもいまだに長期入院の 人は確かにいます。その理由は何かというと、単なる社会的入院などと言われるもので はないと思いますが、それを含めて療養病床も、介護療養型医療施設というような介護 保険のほうへこれを持っていく考えではなくて、居住系サービスということで、外へ放 り出してしまう。病床ではなくしてしまう。要するに老人のアパートのようなものでい いのではないか。長期の人にそこに入っていただき、それにいわゆる在宅医療を提供し てはいかがかということが何箇所か読み取れます。そのようなことを試案で謳っておき ながらここでこれを議論することは、何かものすごく空々しく思うのですが、それにつ いてちょっとお話を伺いたい。療養病床のほとんどが外へ行ってしまうとしたら、いく らここで議論しても無意味では。基本的にもう1回これについては考え直さなければい けないのではないでしょうか。 ○黒川座長  すぐに返事をしなくてもいいです。いまはいろいろな意見を言っていただいているわ けですから。 ○土屋委員  ではもう1つ、ワーキンググループの先生方がいらっしゃいますが、一般病床を急性 期の病床に特化するというニュアンスを、当初に感じたわけです。そうしますと、一般 病床として急性期病床だけを残すと。その他はすべてもう外へ出してしまうということ になってしまうわけです。試案ですから、これから議論をしていくとするならば、ここ でこれを大きな議題の一つとして取り上げて、みんなで意見交換をしてみる必要がある のではないかと思いますが、どうでしょうか。 ○池澤委員  平均病床利用率が50%を下回っている公立病院がこれだけあることに、私は非常にび っくりしました。よくこれで平気で運営していたと思うのですが、これは職員のための 病院だったのですか。職員を生活させるためのような匂いがするので、このような所は 基本的には病床は閉鎖だと思うのです。そうでなければ示しがつかない。  民間病院のベッド数の増大などには、いろいろ抑制をかける。それが非常にはっきり しているのは、そのような所は医師は病床を増やすことが需要を増やすのだとしきりに 言うわけです。その理屈を使えば、空いているベッドを無理矢理何かの形で利用しよう とすれば、それこそニーズを誘導するわけであり、そういう意味でみれば、自らがまず 隗より始めよということで、自分の所の病床を閉鎖することが当然だと思います。それ がまた地方自治体の財政を潤す結果になって、民間病院への補助金も増えていく方向に なるので、その辺は十分にその方向にはっきり変えたほうがいいのではないか。これは もう惨憺たる数字です。  私は、ある県で稼働率が20%ぐらいだと聞いたことはありますが、そのような所はど うして即刻廃止しないのだろうと思います。 ○黒川座長  先ほど言ったように、その地域の場所や人口のディストリビューション、歴史を考え れば、オープンシステムにしてみんなで使う、公共財として皆が使うという話はあり得 る、その辺の考え方を変えないといけないですね。 ○池澤委員  結局20床でやればいいのです。20%でやらせて、それで運営していればいいではない ですか、実際それしかニーズがないのですから。なくせというのではなく、その分病院 の中でベッドを減らしてやれということです。 ○黒川座長  だけれども、20%で、隣にもまた20%があったりして。今度は県立病院と私立病院の 両方で、いろいろやっているかもしれないです。 ○尾形委員  私も公立病院の病床の有効活用措置の所は賛成で是非やるべきだと思いますが、1 点、制度論としてのコメントをします。確かに平均病床利用率が50%ということで切る と、公立病院の問題となってしまうかもしれないのですが、一方で医療法上の制度とし ては公的医療機関というカテゴリーがあると思うので、法的には公的医療機関に対して 一定の地位や責任が付与されていると思います。例えば設置命令がかけられるなど。そ の辺の制度論としての整理がいるのではないかと思います。もちろん公的医療機関で実 際にはこれに当たる所はないと思いますが、制度化していくときには公立病院というよ りは公的医療機関をどう考えるかという枠組みがいるのではないかと思います。 ○古橋委員  私もいま民間で仕事をしていますが、3年前に100床のある町立病院が、いま話題 になりましたように、23%稼働で、定床100に見合う職員数を抱えながら、公務員です からどんどん給与は上がりながらで、患者は20人を切ることすらあった。  ところが、結局首長さんは、公立病院をなくす決断がしにくい、公立病院を潰すこと に対しての選挙結果がついて回るから決断ができず、本当に惨憺たる状況になって、町 議会が中心に運営中止を決議をした。こういう病院を知っております。ですから、公立 病院等の出処進退を決断していくときには首長選挙があるので、そういう点ではこのよ うな制度下できちんと方向づけることをしないといけないと思います。  もう1つ、病床の過不足という点で、ある決定をしていかなければいけないと思うわ けです。みんなやや過剰ではないかなと思いながらも、そこをきちっと言い出しかねて いる状況が、全体の医療制度改革の中でもあるように思われます。具体的には公的病 院、あるいは公立病院の稼働率の低い所、一方職員を高い給料で抱えているような所 を、全国的に洗ってみて、リストアップすることが必要だと思います。  いま話題にした町立病院は民間が引き受けて、当然稼働させながら県からの指導を受 け、緩和ケア病棟を加えた形で、100を150床として、いま新たな病院建築、病院再生に 入っています。人も確保して救急も受けるようにして、取り組んでいます。モラルが落 ちてしまったこの町立病院自体は、救急も断り、患者も断り、しかも高い給与で、町の 人は職員のための病院と言っているというような実態があったのです。やはりメスを入 れる必要はあると思います。  ただ、公的病院は民間よりさらに高い機能で、地域になくてはならない所もあるの で、この点で色分けする、区分をする作業には、入ったほうがいいと思っています。 ○黒川座長  「なくてはならない」が存続しているのはなぜか。20%あります。つまり今度の都道 府県という話は、それがまた各自治体に起きてきます。そうすると、そこの市長や知事 はいちばん権限があるわけですから、それがいいということを周りの選挙をする人たち に言っていく必要があります。みんなが使わなくてもいいから地方公務員の病院の職員 を抱えている私たちは幸せ、という人であればそれでいいわけですが、情報をどうする かという話が、お上から言っていても全然聞かないわけですから、普段、現場の人たち がそれを共有することが大事だと。民主主義というのはそういうものだろうと思いま す。  私は去年『日経ビジネス』や『日経メディカル』に、国立が独法化されて、東大病院 のこれからなどという話で、そんなものなくても、そこに勤務している人以外は誰も困 らないと書いたわけです。そういうところから、初めて大学病院は何をする所かという ことがみんなわかってきますから、院長にも電話しておきましたが、そこで勤めている 人以外は誰も困らないのではないのと書きました。「最近になったら東大病院は、外来 が4,000人になった」などと喜んでいるから「馬鹿なことを言うな」と言っていますが、 そのような民族性があるのではないですか。信仰の世界ですね。 ○古橋委員  1ついいですか。公的病院が俺が町さからなくなると言うと、市民、住民、国民が、 やや拒否感が出る性質が日本国民にありますから、そこは是非とも啓蒙・啓発して、機 能が大事で自分の町に町立、市立病院がなくなることは損失だと思わない啓蒙・啓発が 非常に重要だと思います。 ○黒川座長  普段からの問題があり、今日の新聞にありましたが、別に家に高速道路が来ても役に は立たないが、やっぱり欲しいという人も結構いると書いてありました。それが誰の借 金なのかということなどは考えてもみないから。何か読んでいたら、公務員というか役 所は、タックスペイヤーのお金の意識はあり、何かやっているようなふりをして、それ を使うことを一生懸命考える人たちだと何かにも書いてありましたが、それは別に日本 のことを言っているわけではなく、そういうものですから。国民のチェック機能をどう やってきかせるかは地方自治体がいちばん多いわけで、いま都道府県の議会が動いたと おっしゃいましたが、確かにそういうものだと思います。  この5年間で都道府県の条例が変わったのが50本から60本あると思いますが、ほとん どが宮城県と鳥取県、三重県と長野県だけではないですか、知っていますか。そのよう な政治を決めていくプロセスがあるような民主的な自治体に、国全体を考えても、なっ ているかということです。それをどうやって変えていくかについては、いまは医療には みんなが興味を持っているので、エグザンプルとして非常にいいのですが、地域の人た ちは医療でそういうことを言ってほしいのか、病院が機能していなくても欲しいのか、 使わなくても高速道路があったほうがいいのかという問題を、議会と自治体の長が打々 発止でやっていなければ、やはりそこに住んでいる人たちの意識は、全然変わってこな いと思います。地方条例、都道府県の条例が変わったのがそこだけだというのは、極め て象徴的なことではないですか。それは知事が猛烈に独裁者のようにやっているわけで はなくて、むしろ議会との議論を活発にすることによって変わってくるというプロセス があるので、是非これにもそれをやっていく必要があるのではないかという今度の医療 計画は、一歩前進したかという気はしていますが、なかなか難しいです。  もう少しこの意見を聞いて。こんな大事な問題はこれで終わりではないですね。つま り財源の問題が地方自治体に下りてくると、国保の問題や財源、選挙のプロセスという 話が民意を反映したものとして地域ごとにできてくるといえば、将来は明るいような気 もします。そのような話で、是非皆さんの意見を反映させながら、私たちは厚労省の応 援団としているようなものですから。応援団ではない、ウオッチャーです。 ○谷口指導課長  お答えできるだけお答えします。民間をそもそもどうするのだというご指摘もありま した。民間であっても、その地域において不必要であると地域の関係者の方が判断され た場合には、当然理屈から言えば対象になると私も思います。ただ、県知事に権限を与 えようといま我々が考えていますと、さすがに民間の医療機関が持っている財産に対す る侵害がある意味で若干ありますし、既得権の問題もありますので、一義的に、いきな りそれに対して手をかけるのはさすがに難しいと考えています。したがいまして、率先 垂範すべき都道府県知事、市町村長がまずやっていただかなければ、これは話になりま せん。いくら民間のほうにお願いをするにしても、手前の所がやっていないではないか と言われたら、もう返す言葉がありません。まずどう考えても公立病院をやるべきであ るというところからスタートしたいと思います。  公的病院ですから、公立に準ずるものという位置づけを我々はしていますので、話し 合いの中で理解を得て、過剰、不必要があるならば、当然この中に入ってきていただき たいと考えています。公立で話が済めば、当然公的のほうにご理解いただくプロセスも あり得ると考えています。  特例の話も出まして、大臣協議なしということで進めたいと思いますが、たまたま濫 用の事例が出ましたが、がんでとって小児で使っていると先ほどおっしゃいましたが、 そのような例はもってのほかですので、そのようなことをやらない仕組みを当然考えな くてはいけません。我々の知恵はまだそこまでには至っていませんが、いろいろご意見 を伺いながら、そこまでの仕組みができればいいと考えているところです。  居住系サービスの話が出ましたが、確かに試案のほうで居住系サービスの話を一応訴 えていますし、それ自体は間違えているとは思いませんが、こちらのほうでも基本的に は医療機関といえども高齢化社会の中では福祉との接点が大変重要であるという認識を 持っています。したがいまして、いまはできないのですが、医療法人改革の中でも将来 社会福祉的な社会福祉事業がいくつかできるような形にできないかという話も進めてい ます。その中で居住系サービスも、当然、我々としても医療機関の中でできるサービス として打ち出していく方向性は出していくつもりです。それ自体が試案と医療系のほう で乖離があるという理解は、少なくとも我々はしていないつもりです。  話を戻しますが、ベッドの権限を知事に与えることにつきましては、いまが1つのチ ャンスだろうと考えています。と言いますのは、従前ですと町長、村長が住民のことと いう大義名分のもとに、その町なり村なりに1つずつ病院は持たざるを得なかった。首 長さん自身のある意味での事情もあるのでしょうが、現実にいま市町村合併が大変進ん でいます。従来であれば1つの町や村に1つずつ病院があったのが、今度は大きくなっ た市町村にいくつもの中小病院が散在する状況が出てきています。そうなりますと、さ すがに1人の町長から見ると非効率ではないかという考えが当然出てきますので、そう いうところは意識を是非持っていただいて、この流れの中で、本当に十分使われている のならば確かにその理屈はあるかもしれませんが、ベッドの利用率が悪いという話にな ってくると、そこは真剣に考えていただく素地はできているのではないかと我々は考え ていますので、そのような条件も踏まえて、この仕組みを是非活かしていきたいと考え ています。 ○黒川座長  確かに公的なファシリティは、ここでしか使えないというわけではないので、医療費 のかなり基本的な部分の公的医療費と国民医療費はかなり違い、どこにギャップが出て くるのかという話をはっきりしなければ、これからはいけないだろうと思います。その ときに、公的な病院だから公務員ばかりでやるという話はかなり古いわけです。高知が そうで、県立と市民が一緒になったのは、事業全体をアウトソーシングしたわけです ね。そのような話は出てきていますが、アウトソーシングしている先が特定の株式会社 では困るかもしれませんが、そのような話がだんだん出てくる気がします。  地方によって医療事情や歴史が違いますが、将来に向かっては建設的な意見が出てく ると、医師会も大事な役割を当然しているわけですし、病院協会もいろいろあります が、いまは市町村合併など、時代はどんどん変わり高齢化社会になってくるので、是非 建設的な意見を出しながら制度を直していくというか、自治体レレバント、コミュニテ ィーレレバントにしていかないと、なかなか難しいですので、そのような意見をどうぞ 言ってください。 ○土屋委員  そういうことですので、国公立病院、公的病院、特定機能病院、あるいは地域医療支 援病院といろいろありますが、結局医療法の中に相互の関係なしに登場してきて、その まま今日まできてしまったということです。全体として医療提供体制の中でそれぞれが どういう役割を担うべきかが、どうも明確になっていないわけです。その中で先ほど座 長がおっしゃったように、最たる大病院である特定機能病院が、いま株式会社と連携し て、稼ぎに走ってしまっている。  一方では相当な運営費交付金として何百億円もらって黒字などと妙なことを言ってい ますが、本来特定機能病院というのは何なのか。要するに、病床がどういう性格の病床 なのかという認識が、全くなくなってしまっています。一般の民間病院のレベルと全く 同じになっているということです。そのようなことについて検討するのは、この医療計 画の見直し等の検討会なのでしょうが、これは医療部会のほうでも出ていますが、今後 引き続きそのことを含めて検討していくということになっています。そこで、国公立の 公的な病院についても病床がどういう性格のものであるかを、ある程度きちんとした整 理をしていかなければならないと思います。昨今の状況からいうと、何しろそれぞれの 病院の病院長さんは、黒字経営で収益を上げることが名病院長と言われる最大の証であ ることから、なり振りかまわずいろいろなことを始めてしまいます。国公立の公的な病 院の本来の使命や役割は何なのかが、いま完全にボヤケてしまっています。それを踏ま えた医療計画制度でありませんと、部分的にこの辺のところを触っているだけでは、き ちんとした医療提供体制は、出来ないのではないかと思います。政策医療をやっていく というのであればその地域にあって、たとえ自治体として持ち出しであっても、その住 民の考えや保健・医療・福祉という観点から考えるとどうしても必要であるというな ら、民間ではそれは担っていけませんので、地域の住民の十分な納得のもとに存続させ ることも必要かもしれません。採算性や収益性だけで医療機関の存廃を論ずることは、 できないだろうと思います。しかしその基は、それぞれの病床がどのような性格でどの ような役割を担わなければならないのかを、ある程度定義づけする必要があります。本 来ならば高度、高機能の医療をやっていかなければならない医療機関が、民間レベルに なり下がってしまっているのが現状です。  使わない病床を持っていること自体をここで論ずることは、ほとんどナンセンスな話 ですので、この病床は必要ないということで切っていただいたらいいのではないです か。特に公的病院はそうです。どうしても必要なものならば20床でも30床でも残さなけ ればいけないでしょうし、これは地域ではすぐ答えの出ることだと思います。でも地元 の行政ではできないから国の力を借りたいということだけで、そう難しい構図ではない と思うのです。 ○黒川座長  逆かもしれませんが、PFIのようなものかもしれません。公的なところでつくっ て、みんなで使いましょうというのはいいかもしれないし、大型の機械は私的な病院で 買うのも大変だというように、いくらでもアイディアはあると思います。だから私がわ ざわざ言っているのは、東大病院がなくなって困るのは、そこに勤務している人だけで はないかという話から考えれば、もうちょっと大きなパラダイムは何が関わっているの か。  国立病院機関は猛烈に大きいですから、それぞれの地域レレバントにしないと駄目だ ということはかなり言っていますが、自分たちの単体で儲かったという評価だけでは困 るのではないかという話をしていますが、そういうことだと思います。 ○濃沼委員  医療計画には医療の質の向上が強調されていますが、医療の質と病床利用率は一致し ません。医療の質を高めようとすると、利用率は下がります。病床利用率で召し上げる 召し上げないとなると、利用率を高める動機づけが働く。しかし、利用率を高めること と医療の質を高めることとは必ずしも一致しない。病床利用率が高くても質の劣る病院 をどうするかも重要です。そこを注意しないといけないと思います。 ○黒川座長  そうです。2、3日前のテレビで見て気が付いたのです。私も前にテレビに出たとき に言ったのですが、何かの病気で大学病院に行ったら2、3時間待たされて何とかと言 うが、大体何でそんな所に行くのかという話をしました。普段から主治医の先生がいれ ば、とりあえずではないですがそこでいい。自分でどんどん選んで行けるなどというの はとんでもない話で、それを待たされたとブーブー言われて、申し訳ありませんと言っ ているのもおかしな社会だと。つまり医療にはアクセス、クオリティ、コストを誰が払 うのかの3つが大事ですが、医療というシステム全体へのアクセスは常に保障していか なくてはいけませんが、いつでもどこへでも自分が行きたい所に行けるという話を公的 なアクセスで許しているのは日本だけです。先ほど池澤委員が、患者さんのほうがいろ いろなことを言うと言われましたが、それが当たり前だと思っているところを常に認識 してもらわなくてはいけないのではないかと思います。好きなときにどこの大学病院に でも行ける国は日本だけですし、それで待たされたなどと文句を言っているのも日本だ けです。  次にまいりますので、説明をお願いします。 ○針田医療計画推進指導官  一括で最後まで説明します。資料3は、前回お示しさせていただいた資料です。た だ、若干変わったのはより適切な言葉でということで、例えば1頁の1の医療機能調査 等を通じた都道府県内の医療サービスの供給と「需要」と書いてあったものをご指摘に 従い直しました。その他部分的な修文をしましたので、大きな変更はありませんが、今 回入れさせていただきました。  11頁に作業工程表がありますが、これも前回示しましたが、網掛けの所の法改正後の 施行に向けた政省令改正といった文言を、差し入れさせていただきました。  12頁の網掛けに加えた所ですが、国の改正作業や、都道府県の取組状況に関して継続 的な意見交換の場を設けることなど、従来は二次医療圏といったもので、すべての提供 体制を二次医療圏ごとにつくりなさいといった文言があったのですが、今回の検討会の 検討結果、もしくは医療部会の検討結果を踏まえて、この文の修正を入れたいと思いま す。それがここに書いてあります。  資料4の「モデル医療計画」。いままでは都道府県によってかなり認識が異なるので すが、ひな形のようなものがあったほうがいいという県と、ないほうがいいという県も あり、とりあえずはイメージ的なものとして示させていただこうということで、都道府 県に対してこのようなものをお示ししたということで、簡単にご説明させていただきま す。  「新しい医療計画制度を念頭においたモデル医療計画」という所で、今回の検討を踏 まえて、いくつかの基本方針を国が出そうと考えていますので、それとの整合性を取っ てくださいといった文言。また医療連携体制に関する事項は今回新しく入るものですの で、平成20年度には全国どこでも書けるようにしていただきたいということで書いてい ます。  下のほうにはマップやグラフ・レーダーチャートなどでわかりやすく説明してほし い、インターネットの活用も考えてほしいと書いてあります。大体それ以降は、現在各 都道府県でやっている医療計画に載っていることを書いてありますが、3頁の網掛けの 所ですが、事業ごとの医療連携体制の現状を是非お書きくださいと書いています。医療 機関の機能分化・連携はどうなっているのか。それもここで議論した9事業の、がん、 脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、小児、周産期、救急、災害、へき地などについても書 くようにといったところです。  次の頁からはそれぞれの項目ごとで、がんであればこのような感じでしょう、脳卒中 であれば発症から入院、そして在宅に復帰するまでの流れをまず書いて、すでにどんな 機能があるのかも書いていただければわかりやすいのではないか、といったものが書い てあります。網掛けしたところが、すべて新しい所です。  5頁の8番目として災害医療、9番目がへき地医療で、第10次へき地保健医療対策を 踏まえた対応と。また10番目として在宅医療、終末期医療は、医療部会を含めてディス カッションされていますので、この辺もしっかりと書いていただきたい。それ以外の所 は医療安全対策などもしっかり書いていただきたい、というところを書いています。  6頁は、将来の保健医療提供体制の姿と事業の推進で、周知や情報公開についてもし っかり書いていただきたい。また、数値目標もわかりやすく書いてほしいということで す。7頁は推進体制の役割で、どのような主体がどんなことをするのかという責務と役 割を明記してくださいと。また、進行管理、PDCAサイクル、期間、周知方法などに ついても触れてほしいと。評価と検討という項目を設けて、しっかりディスカッション をやり、書いてほしいとあります。  以下、第5章としては、どこの県の医療計画にも書いていますが、保健・医療・福 祉。今度は介護も出てくると思いますが、その連携について書かれるのではないかとい うことで、高齢者、障害者、母子などのいろいろ。また最後に健康危機管理について章 立てしたことが数多くありますので、こういった形になるのではないかといったものを 示しました。  資料5は、具体的にどうやってつくるのか、作成のガイドラインがあったらいいとい う話がありまして、実際厚生科学研究等で研究をしていただき、ワークの先生を含めて 研究させていただきまして、そのたたき台をつくって示しています。ちなみに資料4、 5に関しては、先ほど来説明した国と都道府県との懇談会というか意見交換の場でも提 示したものになります。  2頁のガイドラインについては目次だけになってしまいますが、まず準備、医療計画 をつくるに当たり、作成の準備としてはこんなことがありますという基本的な考え方 で、住民の視点などをしっかり入れてやってほしいと。体制づくり。予算、組織、情報 を踏まえて考えていただきたいということです。  医療計画の作成までの過程として、まず基本的な情報の収集と整理の考え方。また課 題をどうやって抽出するのか、分析や解決の方法の検討、解決方法の決定、最終確認と 意思決定、事業の実施と評価。具体的にガイドラインを研究者の方々のをベースに事務 局のほうで手を入れさせていただきつくったたたき台ですが、これも併せて提示させて いただいたもののご報告になろうかと思います。時間の都合で一瞥していただきまし て、何かご意見がありましたらまた別途いただければと思います。  最後に資料6ですが、「全国で把握すべき指標(案)について」を提示しています。 これは説明させていただきます。次頁の「全国で把握すべき指標の考え方」ですが、指 標を通じて目指す患者本位の地域医療の姿ということで、これまで中間まとめ、または さまざまな業務の中で資料を提示してディスカッションをしていただきました。指標に 関してはさまざまな意見がありまして、なかなか集約することが難しかったところです が、このような形で集約を考えました。まずいちばん大切なのは考え方ですが、1番と してがん対策、小児救急医療対策など、事業ごとに地域医療の質の向上と効率化を図る ものであることということで、量的な観点だけでなく、良質かつ適切な医療が効率的に 提供できる体制の構築に向かうための指標であること。  2点目として、患者の視点にたって疾病予防から治療、療養そして在宅医療といった ような流れに沿って示すものである。あくまでも治療は地域医療のあり方を把握できる よう、わかりやすい指標であること。  3つ目は、できるだけ重複した調査を避けるために、都道府県と国の共同作業として 分担して行うことということで、都道府県に対して過度な負担を新たに強いるものでは なく、最終的には地域医療に関して比較などもできる指標にすべきである視点にたって いること。  また、医療安全、在宅医療などに関しても、この考え方に沿って別途検討することと しています。都道府県にはいままでもいろいろな指標を取られている所もありますし、 当然独自で集めていくことは非常に素晴らしいことですので、是非やっていただきたい ということを注書に書いています。  次の頁は指標の一覧です。例えば、がんはこういった形になります。左端にステージ と書いてありますが、このような流れに沿って、いくつかの概念を把握する指標を取る と。あくまで指標は概念を把握するためにありますので、まずどういった概念を把握し たいのか。例えばいちばん上ですが、そういった病気はどのくらい多いのかを把握する ために罹患率を指標にしたいと。ただ実際問題として、患者調査などで取れるのは受療 率で、どれだけ医療機関にかかっているかということでまずは代替指標、本来は罹患率 なのでしょうが、受療率になります。  いまがん登録等を大阪府のほうでしっかりやっているものもあり、各県でいくつかや っているものもありますが、そのようなものであれば置き換わることになるかと思いま すが、いまできるのは受療率が妥当ではないかと思います。出典、患者調査で、予防対 策の効果が評価できるのではないかという形になっています。  あと、縷々検診受診率、精密検査受診率、ハイリスク群の減少率は代替指標として喫 煙率はどうかと。情報公開率、地域医療カバー率は専門医の割合でどうかと。総治療期 間、これは平均在院日数でどうかと。地域連携率は、地域連携パス利用率でどうかとい ったものが書いてあります。網掛け部分ですが、総治療期間、地域連携率、在宅看取率 といったものに関しては、特に注目したいと考えています。  出典として患者調査、人口動態統計、衛生統計等、このままできるものもあります し、都道府県で地域連携パス利用率ですと、医療機関のうちどのくらいの医療機関が使 われているのかを調べる必要が出てくるかと思います。  次の頁は、同じような考え方で脳卒中ですが、適切なリハビリの概念は大事だと思い ますので、その辺をカバーし、リハビリのための早期リハビリテーション実施率を把握 することが必要ではないかとあります。次が急性心筋梗塞ですが、これも大体同じよう な形になっています。糖尿病で、例えば合併症発症率が下のほうに書いてあり、網掛け をしてあります。新規透析導入率は、透析医学会のほうでしっかりした統計を取られて いますので、まず既存の信頼性のある程度あるものを仮定しながら、将来的には指標と して合併症発症率を把握できるようになれば、そういったものを調べていくという手順 で考えていこうということでやっています。  次の頁が小児救急の話です。新生児死亡率等々と小児救急電話相談実施率など、休日 ・夜間診療に参加する医療機関の割合といったものを、一応考えています。  次に周産期ですが、ハイリスク、低出生体重児の出生率などは重要ではないかと思っ ています。救急医療、バイスタンダーによる、どれだけの心肺蘇生法が実際出るかが救 命率にもかなり影響を与えてきますので、そばにいる人、バイスタンダーによる心肺蘇 生法の実施率なども必要になるのではないか。  次の頁は災害医療、へき地医療ということで、それぞれの9疾患について、いくつか の指標によって事業の取組状態がわかるような指標を提示しています。アメリカもイギ リスもそうですが、指標を導入した当初から実際に取り始めてよりよい指標ができたと きに、それに変えていくという手順を踏んでいますので、そのような手順で今後も考え ていきたいと思います。 ○黒川座長  盛りだくさんですが、いま出ているところは、みんなワーキンググループの先生たち と相談しているのですか。 ○針田医療計画推進指導官  はい。 ○黒川座長  尾形委員は忙しいですが、何かサポートしているのですか。 ○針田医療計画推進指導官  テーマによってと言いますか。 ○黒川座長  いずれはこの間話をしたように、このようなダイナミックで難しい問題があって、各 都道府県の担当の課長さんやいろいろな人が医療計画をどうやってつくろうかなど、結 構質問があると思うのです。やはり谷口課長の所に来られてもほかに満杯の仕事がある でしょうから、ワーキンググループの人たち、共同研究のグループを少し増やして、そ こにスタッフとできれば事務室など、どこか空いていないですか。要するに、こことは 別に独自に、アカデミックなコミュニティーからいろいろな情報を交換しながら、こう いうものがあると。そうすると、比較的自由に発表できるし、それぞれの都道府県の担 当者や自治体の担当者が、いつでもカウンセリングができるようなニュートラルなボデ ィを是非つくりたいとこの間もお話したので、ここに局長もいるし審議官もいるのでい いのです。だから研究費とスタッフを少しつくれるように、サポートしてあげるように していただくと、そちらも本来の仕事に集中できるし、いいのではないかと思っている ので。どこかにお金はあるのではないかという気もします。 ○田中委員  資料6の案についてですが、画期的なことなので是非推進していただくことには賛成 です。この検討会に出てきた議論の中で、地域の中にお医者さんが何人いるかという指 標でいいものと、集中していないと意味のないものもあります。すべて適切な医療を受 けられるかには専門医の割合が多いですが、例えば糖尿病ならばそれはそれで地域に何 人いらっしゃるかで済むと思います。  信友委員がよく言われるように、小児救急の場合には小児科医が地元のあちこちに薄 くいても意味がなくて、集中している施設があるかどうかのほうが大切です。必ずしも 地域、医療圏に何人いるだけではなく、とりわけ小児救急の場合は典型的ですが、ちゃ んとした集中した機関があるかというコンセプトで見るべきものも、ほかにもあるので はないかと考えます。  もう1つ、病気別ではなくいま日本の医療の危機の1つだと皆様のご存じのとおり、 病院における麻酔科の常勤医が激減していることは、こういう立て方だと出てこないの です。地域の麻酔科医のお医者さんはきっとおられて、それぞれペインクリニックをや っていたり内科を開業していたりして、非常勤でときどき病院での麻酔を行っている。 手術のある部分もまさに集中がものをいうタイプの指標になります。麻酔は疾病別だと 出てこない指標ですが、外科医療にとっては必須なのに、常勤比率が下がってしまって いいのだろうかということを私もよく聞きますし、新聞でも取り上げられるようになり ました。そのような医療の別の側面からの危機も、反映するようにしないといけないの ではないかと思います。 ○飯島理事(山本委員代理)  資料4の3頁目に、○○県における事業ごとの医療連携体制の現状が書いてありま す。私は長野県の上田ですが、薬局での受取率は80%を超えていますが、これからも他 の医療関係施設と連絡していきたいと思っています。ただ、その中で第2節の上から3 番目を見ると、医療関係施設相互についてや、第4節の医療連携体制の状況において図 表等を用いてわかりやすく明示することなどが書いてありますが、ここについても明ら かに入れてもらわないと、地方では関係ないと理解されてしまうことが多くあります。 いろいろな部分で医薬品や、医療材料を介して貢献したいと思うのですが、なかなかそ の辺が地方なり市なりの行政に行くと難しいのが現状で、是非その辺を明確に具体化し て入れていただきたいと思います。 ○土屋委員  専門医というのが、ここそこに出てきています。適切な医療が受けられるかどうか、 地域医療のカバー率ということで。対象人口割に専門医がどのくらいいるかと。  ご案内のように、がんに関連するいろいろな検討会でも、がんの専門医がいないこと が、今、大変な課題になっているわけです。抗がん剤の使い方を知っているドクターが 少ない、あるいは放射線治療をできる者が少ない、病理診断をできる者がいない、それ がいちばんの課題です。ここでいちばん国民に誤解を与えているのは、学会認定の専門 医が国民の期待している専門医ではないということですね。がん治療学会の認定する専 門医、これはがんの専門医ということになるわけですけど、本当にそうなのかという話 です。それに、がん関連学会だけでも何万人もいるのですけど、そのことを言っている わけではないのです。  要するに、患者さんが診てもらいたいという、国民が期待している専門医というのは 学会認定の専門医を言っているのではないということです。しかし、こういう格好で指 標の一覧が県のホームページか何かにこれが出たりすると大変な誤解の元になります。 病院には何々学会の専門医と称する者が大勢いるのですけど、ご案内のように、あれは 学会の発表の数だとか論文の数だとか、ほとんどそれらで決まってしまいますね。  むしろ、臨床で一生懸命やっている、国民が期待するそういうドクターは、以外に専 門医の資格を取るのが大変なのです。ですから、大学とか、1つの研究施設的な所に勤 務している医者のほうが取りやすい。しかし、実際には、臨床の現場では専門医と言え ないのが現状ですので、専門医というものの使い方、これを相当慎重にやっていただく 必要があるかと思います。都道府県のホームページ等でこれを公表していただくこと は、住民なり国民を大変ミスリードすることになるのではないかと申し上げておきま す。 ○池澤委員  資料6についてですが、この5ページに私は興味を持ったのです。糖尿病についての 数値、いろいろなデータのとり方を挙げているのですが、これに関してはOECDの 2005年の報告書のいちばん最後の所に、「例えば」といういくつかの例の1つとして、 糖尿病についてのインディケータの国際的なとり方ということでやっているのがありま すね。それはもう少し具体的で、毎年HbA1cについてどの程度調査しているか、検査し ているか、毎年GMの患者をやっているかという割合。それから、おもしろいと思った のは、LDLの検査をどの程度やっているかと。あと、透析導入率と、視覚障害罹患 率、これはいいのですけど、その他に、下肢の切断等についてどの程度の割合がある か、そういう数字を具体的、国際的に検討するという動きもあるようで、そういうこと についての視点もいろいろ研究してみたらどうでしょうか。 ○信友委員  今日の議論を取り込むという面で、2つほどあるかと思います。患者の視点を大事に するというけれど、患者の協力を得ないと救急等で相当な医療の無駄が出てくると話題 になりました。その為にも、救急車搬送の理由の内訳とか、夜間・休日受診の理由別の 割合とか、それも是非入れてもらって、それをどのように地域でトリアージするか、フ リーホスピタルのケアをどうするか、そういったことに感心がいくようにするのが1つ だと思います。  それから、お金の話も少し出ました。まったく触れないのが原則であれば言いません が。高齢者医療保険ができることを前提にすれば、例えば都道府県別の75歳以上の余命 と75歳以上の人の老人医療費が平均いくらかと、お年寄自体にも感心を持ってもらわな いといけない。あと、最後の、自治体立病院をどうするかということで、確かに都道府 県の医療計画ですけど、これを書くのは知事が責任者ですから。では、知事としては開 設者としての、県立病院をどうするのかということで、新たに節でも設けてもらって、 福岡がやったように、我が県においては民間移譲するとか、そういった見識を示しても らうのも出てくるかと思います。以上です。 ○松田委員  池澤委員のご発言に関連してなのですけれども。HbA1cとか、眼底検査の割合とか、 国際的にもいろいろな指標が出ているわけですが、こういうものを新たに調査するとな かなか大変です。ただ、日本の場合には、もしレセプトを電子化してやると、そこから 数値表をつくることができます。こういう調査、こういう指標を作るのに新たに調査を 追加してやるというのは非常に負担がかかると思います。医療事務と言いますか、やは り日常の作業の中から情報が取れるような仕組みをつくるべきだと思いますので、是非 そういう意味からも電子レセプトを考えていただきたいと思います。  第2点は、日本は他にもいろいろと使える情報がたくさんございます。母子保健の健 診の結果とか、いろいろな健診の結果もあるわけですけども。私はある自治体でそれを つなぐというお手伝いをしたことがあるのですが、今度これが個人情報の保護の問題に 関係してきます。そうすると、いま地域にあるいろいろな情報をどういうふうにつない で、どういう分析ができるのか、個人情報の保護との観点からの、それに関する視点の 整理を是非厚生労働省でしていただきたいと思います。やはりそれがないと、現場の方 々は非常に混乱すると思うので、是非その点をお願いします。 ○信友委員  先ほど専門医の話が出たのですが、専門医はアカデミックコミュニティーが出したデ ィグリーですね。でも、看護師協会という、プロフェッショナルコミュニティーが出し たディグリーとしての専門職がありますけど、そろそろ社会的な認知は得つつあるわけ だから、それを出したらどうなのですか。だから、アカデミックコミュニティーが出し た専門性とプロフェッショナルコミュニティーが出した専門性というものも、そろそろ 数が出せるのではないですか。そうすると、感心が強くなるわけですね。 ○黒川座長  これは是非ワーキンググループをいろいろと活用して、ワーキンググループにいろい ろな情報を出すのはいいと思います。やはりそれをサポートするような、局長、構築を お願いしますね。局長の功績として長く残るでしょう。  つまり、アカデミックコミュニティーに中立的な立場からのいろいろな情報を入れ て、政策の選択肢を出してもらうのはいいわけですね。中央官庁の人たちにはもっとや るべき仕事がたくさんあるわけなので、是非そうしたらいいと思います。  最近どこかの話で出ていましたが、日本は先進国だから、いろいろな所のシンクタン クがどうのこうのと言っているけれど、実は日本の国はシンクタンクは存在しなくて、 大抵昔官僚だった人が多く、天下りかどうか知らないけれど、要するに政府側の意見し か言わないで、シンクタンクなどまったくないことは、ばればれだと書いてありまし た。そういう国だとわかってきたのが1つ。  2番目、専門医の問題です。これは確かに専門医というのも、ある分野では専門医が 多過ぎる、専門医だけど下手くそだというのは段々ばれてきたわけですね。やはりそれ は、アメリカとかイギリスはいちばん古いからあれですが、例えばイギリスの内科だ と、ロイヤルカレッジ・オブ・フィジシャンというのをつくりますね。カレッジとはど ういう意味かご存じですね。カレッジとはあるカリキュラムを終わった人にしかあげな いメンバーシップです。つまり、そういうことを終わった人でなければ会員になれない のです。日本の学会はどうだと思いますか。資格があろうがなかろうが入れるでしょ う。会員が多ければいいと。だから、医者だけではなくて、いったい学会というのは誰 の為にあるのかということをいま私は云っているのだけれど。そういうことで、学会と いうのは、自分たちが単体として社会にどういう責任を持つ機関になるのかという話を するのであって、向こうではプロフェッショナルコミュニティーの場合、必ずカレッジ となってきて、それを終えていない人はメンバーになれないのです。学会という「ソサ エティー」は、それに興味ある人は誰でも入れるのですが、「カレッジ」はまたクオリ ファイされた人しかできない、とはまだなっていませんから、それが1つかと。だか ら、専門医であれば、例えば循環器の人であれば、外科医であれば5年間で500例ぐら いは指導医の下でやると、2人でやったのは2つにカウントできないと、それだけ厳し くしていれば社会の信用は出てくるのではないかと。  それから、HbA1cとか、統計の話が出てきました。これをいまやっているのは、アウ トカムスタディーというのを厚労省で、私もその戦略的アウトカムスタディーというの で、糖尿病と打つという話は行政的に大事だというので、いまやっていますけど。これ も専門の人に聞いていると、やはり視野が狭いですね。自分の分野のことしか考えてい ない。ところが、一般の糖尿病の人は誰が診ているかというと、ほとんど開業している 先生が診ています。そこで、このスタディーでは、どうやって診療の質を向上させるか ということを言わなければいけないのですが、あからさまに言うと、俺たちはちゃんと 質があるよと言うけれど、糖尿病の先生にも聞いたのです。あなた、足の潰瘍が出来る ことは知ってるでしょうが、じゃあ、外来に来ているとき、年に2回ぐらいは足を裸足 にしてちゃんとチェックしてますかと言ったら、してますと言うけれど、多分そんなこ とないですね。そういうことをどうやって図るか、いろいろなインディケータがあるの で、土屋先生ともいろいろ相談しているのですが、それもやってみて、全体と人、医療 の質が上がってくるということがメッセージとしてアウトカムが出るようなスタディー を組んでいます。  もう1つ、いま、個人情報と電子化の話がありました。電子化は、カルテの電子化と いうことで、ものすごいお金を使って全部駄目になりましたね。あの責任は誰がとるの かという話は、厚労省と通産省の管轄ですけど。やはりそういう話もきちんと、アカデ ミックコミュニティーの分析がないといけないのかもしれないと思いました。1つは、 個人情報を守るのがすごく大事で、いま内閣で問題になっているのは、政府のデータの 一次情報は各省庁が持っていて、というのはやはりまずいのではないかという話で、個 人情報のプロテクションは大事ですけど、それをもう少し、アカデミックスタディーと かいろいろな話に利用しなければいけないという話がある。それはOECDのかなりの 国で常識で、学術研究にどうやって一次データを分析するかというと、いろいろ違った 見方が出るではないですか。あそこが役所の都合のいい所しか出てこないのでまずいの ではないかと、いま、そういう感じでやっていますね。やはりそれをやらなければいけ ないです。これが、日本が後進国か先進国かの信用の分れ目で、最近、OECDでも、 日本の統計が全然当てにならないということはそこにあるということがわかった。先生 方ご存じでしょう、少子化のときに後出しをやったという、ああいう話です。知ってい るけど言わないで、わかっているのだけど隠しているという。隠したくないのだけれ ど、そういう性格があるから。一次データを持っているのは、やはり権力の1つの源で すから、それを国民の情報として使おうという話がいま動いています。これは政治的な 一種ですから、役所からはなかなか出て来ない。これはよくわかるのですが。しかし、 明治8年に福沢諭吉が『文明論之概略』を書いたときに、日本にはその言葉がないか ら、かた仮名で「スタティスティックス」というのがあって、これはすごく大事だと言 っていました。何故かというと、全体の個別のものではなくて、全体の傾向を把握した 上で、これがどのぐらい違うかということをやるには、そういう学問が非常に大事だと 書いています。やはり原文をたくさん読んで、あれだけのことを書ける人はいまいる か、ということが問題なのではないですか。だから、尾形先生のグループは高い立場 で、いろいろと情報を集めて、分析して、いろいろな選択肢を議論のテーブルに出して いただければと。それをサポートしてください。局長、よろしくお願いします。岡島さ んもよろしく。事務所もいろいろつけてください。 ○古橋委員  いま、信友委員からも、看護職の専門性とか認定についてエールをいただいた思いで すけど、これについては医療安全の確保に向けた保助看法の検討会でも議論が進みまし た。看護職は日本看護協会が認定していますが、今、認定看護師はどんどん増えて、年 間400名ぐらいずつ累積されてきています。是非ともこれは、表示・広報できることを 進めていただきたいと思います。  もう1つは、資料6に関しての指標ですけど、基本的な発想では、患者の視点にたっ て、住民、患者にとってわかりやすいという、そこが重要です。医療を受ける側の、受 療する立場のニーズは、ここの表にある「概念」という所に掲げられていることだと受 け止められますが、それに関連した指標のほうが、これは医療を提供する側の視点で、 国民のニーズとこの概念と指標との関連に乖離があったり、住民・患者にはわかりにく いのではないかと思われます。住民・患者側の視点も入れて、一層の検討をお願いした いです。 ○黒川座長  局長が最後に言われる前に、それぞれいま言ったのは、看護職もそうで、お医者さん もそうで、やはり免許を持っているというのはどういう社会的責任があるのか、是非考 えていただきたいと思います。先ほど言った、救急でいろいろな違った病院や何かを行 った救急の専門の看護師さんが入って来たとき、それでは、私、毎日夕方から8時間、 週5日やりましょう、と言ったときにパチッと共同作業ができるというのがプロですか ら、うちの先生と違うなどと言うのでは話にならないな、という話が段々できてくれば パートの人でもどんどんできるので、是非そういうことをしていただきたいと思いま す。局長から最後に、熱い思いと決意を語ってください。 ○松谷医政局長  辻厚生労働審議官ほど熱いしゃべり方はできませんけれども。医療計画についてはま だ来週もご討議いただきますが、ワーキンググループの先生方からのご報告を踏まえ て、当検討会でご審議をいただき、本当にありがとうございます。昭和60年の医療法改 正で医療計画が導入されまして、ハード面での病床の整備計画という考え方から始まっ ていたわけですけど、今回の改革では、医療のそれぞれの事業ごとと言っていますけ ど、地域ごとに、ソフト面からの計画として衣替えをしようと。もちろん従前の枠組み は残るわけですけど、それに加えてこういう形にしようと。ご審議いただいたように、 ソフト面から医療計画をやっていくことは相当大変な作業です。ハードについては割り 切ってできることがありますが、例えば把握すべき指標についても本当にまだ、アカデ ミックな先生方から見ればこれは極めて不備なものだと思いますけど、アカデミックな 机の上の作業から実務の上に乗せて指標としてやるとなると、これはまだまだこれから の作業ではないかと思います。さらに、これを地方自治体のルーチンの作業として定着 していく必要がございます。これについては、もちろん法律の目途がたった段階で、今 年度も都道府県と国との対話をしていますが、来年度からは保健医療科学院などを舞台 に、講習会などと言っていますけど、むしろお互いの勉強会みたいな形で、共につくっ ていくという形で進めていくことになるかと思います。いま、座長から、前回もご指摘 をいただいていますけど、ワーキンググループの先生方にはいろいろお知恵を拝借して います。アドバイザリー・ボードというような形で、ひき続き来年からの、ソフトの政 策として定着していく中では、ご支援を賜ればと考えている次第です。よろしくお願い いたします。 ○黒川座長  ところで、違うけど、厚生科学院からの予算をこのグループに回したほうがいい。厚 生科学院について、少し予算を使う必要があるみたいだけど。 ○松谷医政局長  保健医療科学院の意味ですね。 ○黒川座長  そうです。 ○松谷医政局長  来年の講習会の予算その他は考えています。 ○黒川座長  あそこで講習会をやってもあまりいいことないかもしれないですね。 ○松谷医政局長  通常の講習会ではなくて、むしろゼミ形式みたいな形で、お互いアイディアを出し合 ってというようなことを考えています。そういった意味でアドバイザーも必要になって くると思いますので、また先生方のお知恵を拝借する場面もあろうかと思います。よろ しくお願いします。 ○黒川座長  ありがとうございました。  よろしいでしょうか。いまアカデミックコミュニティーと。アカデミックコミュニテ ィーは本当に正しいかというと、そんなことは全然なくて。私もいま、学会は何の為に やっているのだと結構言っていますし、みんな内向きの村社会だからとんでもない話だ と、今日も毎日新聞にも少し書いてあります。そういうプロフェッショナルコミュニテ ィー、アカデミックコミュニティーが、いかに透明性があって、開かれていて、日本の 国内だけでなくても勝負ができるかを考えるのがいちばん大事だと思います。それでこ そ初めてアカデミックコミュニティーの信頼ができるし、プロフェッショナルコミュニ ティーの信頼もできるのではないかと思うので、役所もがんばってほしいと思います。 例の建築のこともそうですけど、人間とはやはり弱い者で、何かあると必ず失敗したこ とは言いたくないのです。これはもう、そんなことを言えというのは難しい話で、みん なも胸に手を当ててみれば必ずあるに決まっているのだけれど。だからこそ、昔から言 うではないですか。この桜の木を切ったのは誰だと言ったら、ワシントンが、私ですと 言って、それが物語になっているぐらいなのだから、やはりあれは稀なのですね。そう いうのをシステムとして、いかに透明性を維持するかが社会の信用を勝ち取っていく社 会から見て、大事なポジションについている人たちの社会的責任だということになるの です。人間は弱いのですから。局長、がんばってください。よろしくお願いします。  というわけで、よろしいでしょうか。ありがとうございました。では次回ということ で。 ○谷口指導課長  本日はありがとうございました。次回はご案内のとおり、12月9日金曜日、10時から ということでよろしくお願いします。 照会先: 医政局指導課 担当者: 計画係、指導係 連絡先: 03-5253-1111(内線2557)