05/11/29 第7回「子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会」議事録 第7回 子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会        日時:平成17年11月29日(火)16:00〜18:00        場所:中央合同庁舎第5号館5階共用第7会議室 1 開会 ○事務局/母子保健課長補佐  定刻となりましたので、ただいまから、第7回「子どもの心の診療医の養成に関する 検討会」を開催します。南委員は所用により少々遅れてご到着の予定です。座長の裄V 先生、よろしくお願いします。 ○裄V座長  それでは、議事を進めさせていただきます。最初に、事務局から簡単に資料の確認と 一部についてご説明をお願いします。 ○事務局/母子保健課長補佐  それでは、お手元の資料について順番に確認させていただきます。まず、座席表の後 に会議次第がありまして、これがひと綴りの資料になっております。会議次第の表紙を 一枚めくっていただきますと、資料の一覧表がありますので、こちらに沿って確認させ ていただきます。  まず、資料1の5頁、検討会の開催要綱とありますのは、検討会の開催要綱と検討会 委員の名簿が続いており、別紙として、いつもの逆三角形のイメージ図があります。  資料2として、9頁に検討会のスケジュール案。それから資料3として、「子どもの 心の診療医」の養成に関する「検討会報告書骨子(案)」というものが11頁から24 頁まであります。こちらは第6回の検討会での先生方のご意見の中間とりまとめに対し て、さらにいただいたご意見を盛り込んだ上で報告書の骨子に近い形式で、事務局で構 成し直したものです。  別紙として、25頁から29頁までが「子どもの心の診療医の養成に関する関係者の 取り組みの現状」の概要として、検討会にご参画いただいている委員の代表されている 学会や協議会などの関係団体に関連のある資料という形になっております。  それからもう一つ、参考資料という綴りがありまして、こちらは、日本小児科学会の 別所委員、日本小児神経学会の神山委員、それから日本小児心身医学会の冨田委員か ら、今回コメントをいただいておりますものを、そのまま綴らせていただいたもので す。  そして最後に、A3の大きな横置きの1枚紙は、別添資料という形で未定稿になって おりますが、子どもの心の診療における教育・研修到達目標のイメージということで一 覧表を付けております。以上です。 2 報告書骨子(案)について ○裄V座長  ありがとうございました。資料の方はよろしいでしょうか。前回は、事務局から、正 式な中間報告書を作成する必要は特にない、と言われました。そこで、子どもの心の診 療医の養成のあり方について、これまでの議論で出てきた様々な意見を、いったん検討 会の意見の中間とりまとめという形で、いわば備忘録風に取りまとめたところです。  検討会も今回を入れてあと3回となりましたので、その後、事務局と相談して、今回 から検討会の報告書を取りまとめることを具体的にイメージしつつ、子どもの心の診療 医の養成方法に関するより詳細な検討を進められるように、「報告書の骨子(案)」を 事務局に整理していただきました。それが、ただいまご説明のあった資料3の「子ども の心の診療医」の養成に関する検討会報告書骨子(案)です。これからは、こちらを使 って議論を進めたいと思いますので、その内容について事務局から説明をお願いしま す。資料3の説明です。 ○事務局/母子保健課長補佐  それでは資料3、11頁目からの資料ですが、こちらについて簡単に説明させていた だきます。こちらは前回の第6回検討会での委員の先生方のご意見を中間的に取りまと めさせていただいておりますが、その後に、さらに委員の先生方から幾つかご意見をい ただいたものを盛り込み、今回は「報告書の骨子(案)」というイメージで構成し直し てみたものです。骨子となっておりますため、文章的には以前よりは短くしておりま す。  この目的としては、これからさらに検討を進めていただく上で、子どもの心の診療医 の養成方法についてさらに議論が必要と思われる部分が、より明確になるようにという 視点もあって構成しております。  構成のことですけれども、まず11頁の「I」の「はじめに」という部分ですが、こ ちらはまず養成が必要な社会的背景や養成研修の現状といったものをまとめており、本 検討会で子どもの心の診療医の養成方法についてのあり方を検討するに至った経緯を簡 単に説明しております。特に力点としては、「子ども・子育て応援プラン」において、 今後5年間の目標として「子どもの心の健康に関する研修を受けている小児科医、精神 科医で子どもの診療にかかわる医師の割合100%」という目標を達成する必要がある ということを説明しております。  最後のパラグラフですが、この目標を達成するためには、小児科医ですとか、それか ら子どもの心の診療に携わる精神科医のすべてが、子どもの心の健康に関しての基本的 な知識や技能を習得するための方策をこの検討会で検討していること。その中でも、検 討の過程で子どもの心の診療の質を全体的に高めるためには、小児科・精神科の専門的 研修を修了した一般の医師がさらに一定の専門的な研修を受けることに加え、より高度 専門的な診療を行うことのできる医師の確保も図る必要があること。そういったことで 全体の子どもの心の診療現場のレベルアップを図るということの重要性が指摘されたこ とを強調しております。  また、この骨子の中で、最後の1行ですが、直接今回の養成研修という観点では、養 成研修について関係するということではないものの、実際に養成した医師などが、成果 を十分に発揮して子どもの心の診療をしていただけるようにするためには今後こういっ たようなことを考えていく必要があるのではないかといった様々なご意見をこれまでに いただいておりますので、それを22頁の左側の「V」のところに「子どもの心の診療 医の養成に係るその他の課題(周辺課題)について」ということで列記しております。 この周辺課題については、扱いとしてはご意見集ということで、必ずしも厚生労働省内 の担当部局などと詳細な協議といった形ではまだしているものではありません。  それから最後に、こちらの「I」について、中ほどの網掛け部分で示しておりますけ れども、検討会で子どもの心の診療といったものに対応できるような小児科医、児童精 神科医は現在あわせて何名程おられると考えられるかといったことについて、推計・考 えを入れていただければということで、こちらは空けさせていただいております。ま た、別途サポートチームの先生方にもご相談させていただいて数字を考えていただけれ ばと思っております。  それから1頁めくっていただきまして、12頁ですけれども、こちらは、これまでに この検討会でご議論いただいた基本的な養成研修の方向性についてということをまとめ させていただいております。この辺りは、前回の検討会からさらに先生方に色々なご意 見をいただいたものを踏まえて、まず認識として、検討会としては現在、子どもの心の 診療医が極めて少ない状況にあって、少なくともこれまで医学教育・研修の中では子ど もの心への対応が必ずしも十分ではなかったという認識が共通していると。その共通の 認識の下に、まず1点目として、当面、医療現場で子どもの心の診療への対応ができる ような医師の確保を図るための対策が必要であるということ。2点目としては、当面の みならず、生涯にわたる医学教育・研修の中では子どもの心の問題への対応を系統立て て学んでいけるような中長期的対策も必要であること。その二つの側面について検討を 行う必要があるということをご議論いただいたところです。  逆三角形のイメージ図は、その議論を進める上で、便宜上、大まかに分けた場合に一 般の医師のレベルアップから、より高度な専門的な技能を持つ専門医の養成までといっ た場合、非常に広い医師層が対象となるわけですけれども、その養成方法をそれぞれの レベルに応じて検討するに当たっては、便宜上、大まかに三種類の医師に分けて、ある いは三段階に分けて考えるということで議論が進められてきたところです。それを全体 として総称としては「子どもの心の診療医」と呼ぶということで共通認識が持たれてい るところです。  今回はその議論を進める上で、逆三角形の三種類の医師を便宜上、どのように呼べば よいのか。その呼称について説明が必要ではないかということでしたので、サポートチ ームの先生方にご相談させていただいた上で、色々なご意見をいただいたものを三つの 形で示しております。まず、「ア 小児科・精神科の一般医」、それから「イ 子ども の心の診療を専門とする小児科・精神科医」、そして「ウ 子どもの心の診療高度専門 医」という三つの分け方あるいは呼び方でまとめさせていただいております。  まず、「ア 小児科・精神科の一般医」については、逆三角形の一番幅広いところで すが、小児科・精神科の専門研修(卒後臨床研修終了後の研修)を終了し、一般的な診 療に携わる医師であると。それから、「イ 子どもの心の診療を専門とする小児科・精 神科医」については、「ア」であって、子どもの心の診療に関する一定の研修を受けた 医師で、例えば発達障害とか特定の領域の子どもの心の診療に専門的に携わる医師。ま た医学的な言い方をすれば、子どもの心の診療をサブスペシャリティーとして行う医師 というグループと説明しております。また「ウ」の子どもの心の診療高度専門医は、 「ア」であって、さらに子どもの心の診療に関する専門的な研修を受けた医師で、子ど もの心の診療に専門的に携わる医師、それ自体を専門とする医師という説明をさせてい ただいております。  便宜上こういった説明をさせていただいておりますけれども、これらが最も適切な説 明の仕方、あるいは呼び方かというところについては、またご意見をいただければとい うところですが、この検討会で今回ご検討いただく上ではこのような三つの分け方、説 明の仕方をさせていただいております。  その上で、こういった三種類のそれぞれの医師の養成の仕方について、実際にそれを どのように進めるのかというイメージを共有できるようにということですが、具体的 に、これまで何回かにわたってご議論いただいたのが、実際にそういったそれぞれの三 種類の医師がどのような技能・知識を必要とされているのか。その目安としていわゆる 教育・研修の到達目標に近いものが出てきておりますので、こちらをA3の別添という ことで、本文には全文は記載せずにそのさわりのところだけ、最初の「1.一般教育目 標」とあるところだけを残して、それ以外の個別行動目標等については、これまでご議 論いただいた成果ということで、未定稿という扱いですが、この教育・研修到達目標の イメージということでA3の資料に一括して取りまとめさせていただいているところで す。  こういった「教育・研修の到達目標について」といったものをご議論いただいた上 で、それを到達・達成するために、養成するための具体的な方法と、それから養成研修 を行うに当たっての実施体制の整備方法といったものについても検討を行ってきたとい うような構想を、まずこちらの「II」で改めて確認しております。  それで、その内容ですけれども、13頁からは「III.子どもの心の診療医の養成の 現状」となりまして、こちらは非常にコンパクトな形でまとめさせていただいておりま す。  ここで14頁をご覧いただきたいのですが、「3.子どもの心の診療に関する学会等 による研修の現状」というところです。これ以外にも色々な取組があると思いますが、 こちらにご出席いただいている委員の代表されている学会等で、これまでにいただいた 情報をもとにすると、このような取組があるということです。  今後、お願いしたいこととしては、より詳細なイメージを把握するために、現在どれ くらいの研修が行われていて何人の医師がこういった養成研修を受けているのか、何人 の研修プログラムの受講者があったか、あるいは「4.子どもの心に関する高度専門的 研修(専門レジデント研修等)」を実際にやることのできる施設といったものがどれく らいの数あるのか、またそういった施設ではどれくらいの受講者がこれまでにあるのか といったことについて定量的にぜひ情報提供をお願いしたいと思います。  次に、15頁ですが、こちらには先ほど申しました「子どもの心の診療医の養成のあ り方」で示しておりますように、それぞれ「ア」、「イ」、「ウ」と申しましたが、こ ちらで小児科・精神科の一般医、それから子どもの心の診療を専門的に行う小児科・精 神科医、そして子どもの心の高度専門医の三種類に分けて、それぞれ必要とされる技能 を習得する上での研修を実際に行うためには、「A」として当面の対策、それから 「B」として中長期的対策という二つに分けており、これらを実施、養成するための、 養成研修の実施体制の整備を行う道筋ということでまとめさせていただいているところ です。それを順を追って一つ一つこちらの資料の15頁から20頁までにまとめさせて いただいているところです。  こちらについて事務局からのお願いとしては、これまで非常に様々なご意見をいただ いておりますので、さらなる研修の具体的なご検討の中で、誰がどのようにして研修を 行うのか。それが例えば関係の学会であるのか、他の組織なのか、といったような誰が そういったものを役割として担うことができるのか、それから研修の実際の内容につい て、例えば座学なのか実習なのか、あるいはその必要回数や1回当たりの研修時間はど れくらい必要なのか、といった形態であるとか、また先ほど申しましたように、それら の研修を実際に実現させるためにはどのような道筋・プロセスを経て誰がどのような働 きかけを行って実施するのか、いわばアクションプランといったものについても、詳し くご検討いただければというところです。  それをご検討いただくにあたり、参考資料として資料3の別紙ということで25頁か ら29頁まで。これは今年の5月時点のもので、何人かの委員の先生方からその後アッ プデートしていただいているものもありますけれども、これを5月の時点でそれぞれの 組織の関係団体の取組についてまとめさせていただいているものです。こういったもの について、今後どのような形で活動をさらに充実していただけるのかといった点につい てもご検討いただければというところです。  最後に一つ資料の補足説明をさせていただきたいのですが、このA3の別添の一番左 に卒後研修というところがあります。この中で一番左の濃い青い部分の卒後研修の新医 師臨床研修のところですが、これについては、実際に担当している医政局の医事課と相 談をしており、現時点では子どもの心の部分だけについて、例えばガイドラインの変更 といったことはできない、とのことでした。これまでに研修と教育の到達目標としてお 考えいただいているものを現在のガイドラインと置き換えるものではありません。今回 作成いただいたのはイメージということで、今後それをどのように具体的に活用できる のかといったことは、また医事課にも相談をしていきたいと思っています。  簡単ですが、以上です。 ○裄V座長  ありがとうございました。今まで6回にわたる検討会での議論を踏まえて、子どもの 心の診療医の養成のあり方に関しての基本的な方向、それから養成の現状・養成のあり 方について整理をして下さいました。前回の中間まとめに比べると、だいぶすっきりし た形のものになっているように思います。  少し確認しておきますが、11頁の網かけの部分の「小児科医及び児童精神科医はあ わせて○○○○人」というのは「検討会において推計する」となっておりますが、推計 する目途というのはあるのでしょうか。 ○事務局/母子保健課長補佐  現段階では、そもそも現状把握が難しいというところからスタートしておりますの で、まずはそういったものに対応できると思われる小児科医・精神科医について何人い らっしゃるのかといったところで非常に大まかな数字をこちらでご検討いただいて合意 できればとは思うのですが、その辺りの詳細・進め方についてはサポートチームの先生 方にもご相談させていただければと思います。 ○裄V座長  ありがとうございました。この検討会で、子どもの心の診療医が必要とされる背景と か、求められる知識・技能の目安について、ご説明いただいたように、一般教育目標と 個別行動目標という形でまとめました。このこと自体が、既に大きな成果だと思えるわ けですけれども、最終的には平成17年度内に子どもの心の診療医の養成のあり方とそ の具体的な方法について、検討会として提言することを目標としているわけです。今 回、事務局でたたき台としてまとめていただいたものを、これからもう少し詳しく議論 していきたいと思います。もう少し詳しく議論する上でのポイントというものもはっき りしてきたのではないかと思います。  そこで本日は、具体的には15頁から始まる「IV.子どもの心の診療医の養成のあり 方」、ここからの部分について中心的に検討をお願いしたいと思います。そういうこと で進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。  もう一つ付け加えさせていただきますと、今までの説明の中に逆三角形のイメージ図 の一番先端のところについて、今回新たに子どもの心に関する高度専門医という言葉が 出ておりますが、私が思うには、ここで用いている専門医というのは、いわゆる制度と しての専門医ではなく、一般名詞としてここでは専門医という言葉を使うと考えたいと 思います。  そういうことで、これから順を追って議論をしていただき、そこに一番かかわると思 われる学会なり団体から出ていただいている委員の方に、それぞれご意見・コメントな どをいただくということにしたいと思います。  「小児科・精神科一般医」は、医学部の卒前教育とそれから卒後の新医師臨床研修、 そしてまたその後に続く小児科と精神科の専門研修ということがかかわるわけです。そ れから、「子どもの心の診療を専門的に行う小児科・精神科医」は、それぞれ小児科あ るいは精神科のサブスペシャリティーの学会などが、こういった部分を主に担っていた だいていると思いますし、これからもそうだろうと思います。 そして、「子どもの心 の高度専門医」は、そういうことを担当できる幾つかの施設があると。このそれぞれに ついて、最初に教育・研修の到達目標というものがあって、次にそれぞれについて養成 のための具体的な方法、そして、3番目として養成研修のための実施体制の整備という 形でまとめられています。  そこで、初めに、「i」の「子どもの心の診療医の養成のための教育・研修の到達目 標」という部分については、これまで何回かにわたって、事務局サポートチームに原案 を作成していただいたものですが、それをさらに、このA3の別添に一覧表としてまと めてくださっているということです。  先ほど申し上げたように、この目標自体が、この検討会のプロダクトだろうと思いま すけれども、このような目標というのは、どのような知識とか技能が求められるのかと いうことの大まかな目安になるだろうと思います。  もちろん医師個々人の知識や経験によって、実際これらから得るところは異なるわけ ですし、どういった研修をするかということも医師の個人個人によって、ずいぶん変わ ってくると思いますが、これらの到達目標については、今後様々な教育とか養成のプロ グラムを企画する上で参考にしていただきたいと思いますし、また、実際にそれを取り 入れていただくことが期待されるのではないかと思います。  本日は、この目標として挙げられている個々のことに関しては、特に議論しません が、問題点があるようでしたら、事務局に出していただいて、事務局がサポートチーム と相談して対応をしていただきます。  最終的には「子どもの心の診療の教育・研修の到達目標」という形で、報告書の参考 資料として添付することが目的です。到達目標に関しては、そういった扱いをしたいと いうことでいかがでしょうか。  もし、これを作成する上で努力された齋藤委員、あるいは奥山委員から、この到達目 標についてこれからの議論に進む前に付け加えるコメントがあればいただきたいのです が、特になければ、先に進みたいと思います。 ○奥山委員  付け加えることはないのですが、今までに他の皆さまからのご意見を加えて、少しず つ変更をしておりますので、もう一度ご確認いただいて、ご意見がありましたら事務局 にご連絡下さい。よろしくお願いします。 ○裄V座長  そういうことで、もし問題点があれば指摘していただきたいと思います。 ○杉山委員  冒頭に、「現在何人程度という実態を少し把握する」ということが書いてあるのです が、例えば、「イ」のドクターというのは何人くらい必要で、「ウ」の高度専門医とい うのは何人くらい必要という推定数は出さないのですか。 ○事務局/母子保健課長補佐  それも必要な数字ですが、現段階では、これといった数字が出ないだろうということ も指摘されていまして、そういった意味では、厚生労働科学研究費で実際のニーズ調査 をして、実際どれくらいのニーズがあって、その上で医療の供給という意味でも何人く らいの医師が必要かといった推計について厚生労働科学研究費の方で対応していく予定 です。つまり、高度専門医の必要数については、すぐには数字が出ないのではないかと とらえております。 ○裄V座長  そういう位置付けというか、考え方だと思います。現状に関しては、事務局とサポー トチームに推計できる範囲で数字にしていただくということです。  私が申し上げたかったのは、この教育・研修の到達目標に関しては、報告書の参考資 料という形で添付するという方向でこれから完成に持って行きたいということです。  では、先に進みますけれども、次の「ii」として、「養成のための具体的方法」。こ こを重点的に検討していただきたいと思います。  この資料の順番に沿っていきたいと思います。先ほど事務局から説明があったよう に、医師の生涯にわたる教育・研修課程ごとに子どもの心の診療のための知識と技能を 高める。その養成方法を、当面の対策と中長期的対策とに分けて、それぞれ書いてあり ます。そういう形で、研修体制を構築するための道筋というものを具体的に検討してい ただきたいと思います。  そこで、最初は小児科・精神科の一般医の養成についてというところなのですが、卒 前教育(医学部教育)について、当面の対策と中長期的対策とに分けて書いてありま す。  この点について、15頁下に到達目標が書いてあり、その具体的な内容はA3の別添 に書いてある。具体的方法について、卒前教育についても当面の対策と中長期的対策に 分けて、16頁の「ii 養成のための具体的な方法」(1)卒前教育(医学部教育)の ところに書いてある。卒前教育としては、これ以上に詳しい事を書くというのは、なか なか難しいですが、何かご意見はありますでしょうか。 ○杉山委員  前にも議論があったと思うのですが、卒前教育ができるかどうかというのは、その専 門のスタッフが大学に居るか居ないかです。そうした場合、担当の人を小児科か精神科 のどちらかに必ず一人置くようにするといったことが当面の対策で、中長期的な対策と しては、確保するためにはどうしても独立講座が必要です。半独立講座のような形であ ったとしても、例えば児童精神科でなくてもいいと思うのです。心の診療科のようなも のです。小児科と精神科の合同にする、それが大学にあるということが、中長期的な形 なのだと思うのですが。 ○裄V座長  仰ることは大変良くわかりますし、確かにその通りだと思います。これまでも出た議 論ですが、検討会の報告書としてそこまで書くことが可能かどうかということがあると 思います。 ○杉山委員  実際に行うのであれば、結局、中長期的に子どもの心の専門医を大学にきちんと確保 するのか、あるいは、例えば子ども病院のようなところにその場を置くのかという選択 が必要だと思うのです。前から申し上げているように、順序が逆だと思うのです。ボト ムアップから議論を始めると、どういう講義をするのかという話になってしまいます。 専門研修をどうやって受けることが可能になるのかというところから議論を始めていか ないと、先が見えないように思います。 ○裄V座長  今、杉山委員の言われたことは、今まで繰り返し出てきたことなのですが、ここでの 検討の進め方としては、ボトムアップから検討していくということで進めてまいりまし た。一番基にある、「子ども・子育て応援プラン」に記載されていることを実現すると いう観点からも、そのことがまず求められている。  このような経緯から、そういう順番で来ているわけです。  ですから、大学に子どもの心の専門医を置かなければいけないとか、大学なのか子ど も病院なのかということはありますし。それは今日の議論の中でも、ここで高度専門医 と呼んでいるところに関して触れることができると思います。 ○事務局/母子保健課長  今回を除くとあと2回になってしまいましたので、私どもの立場で言えば、多少、今 年度のまとめみたいなものを、お作りいただきたいと思っています。杉山先生からのご 提言は、まさにその通りだと個人的には思っております。  ただ、役所の立場で見ますと、これから、報告書なり提言のようなものが出るとする ならば、やはり予算あるいは制度といったものが全部担保された上で紙が出ていかない と、ということになります。  そうしますと、繰り返しになりますが、先生が言われたのは本当にその通りなのです けれども、それを待っていますと、そういうものができなければ最初の議論ができない ということになりますと、患者さんはたくさんいるではないかという話に、また堂々巡 りになってしまうので。お願いをさせていただけるのなら、少なくともこの3月まで は、やはりボトムアップの方でご議論いただけないかと思っています。  来年度のことを言う立場にもないのですけれども、可能であれば、また引き続き並行 して進めていきたいと思っています。これで終わりということならば、言われたような やり方も考えなくてはいけないのですが、当面は冒頭に出てきますような「子ども・子 育て応援プラン」で述べられているような目標を考えたり、検討の過程での1年目の区 切りをつけるということを役所としては考えなければならないのです。 ○杉山委員  その点は了解しますが、16頁にある「ii」の「(1)卒前教育(医学部教育)」に ある「B.中長期的対策」として、「子どもの心の診療に関する参考図書(教科書・教 材)の充実を図る」というのは、あまりではないですか。  こんなことを国の提言として出すというのは、あまりにも医学教育を馬鹿にしている というか、どうですか。 ○裄V座長  そういうご意見は、出していただいて結構だと思います。 ○神山先生  杉山先生が仰ること、すなわち独立講座の件は非常に大事だと思うので、22頁 「V.子どもの心の診療医養成に係るその他の課題(周辺課題)について」というとこ ろには、診療報酬のことも含めて、ぜひ書いていただきたいと、敢えて申し上げたいと 思います。 ○裄V座長  その辺のところは、また触れたいと思います。 ○吉村委員  杉山先生が仰ることはその通りだと思います。  16頁の「ii」の「(1)卒前教育(医学部教育)」の「A.当面の対策」の充実を 図るというところなのですが、充実を図るためには、やはり全大学で子どもの心につい てのカリキュラムをきちんと含めると。それから、そのカリキュラムをきちんと教育す るためのスタッフを揃えるということがやはり必要と思います。  もう一つ、「B.中長期的対策」の「参考図書の充実を図る。」これは、各大学に参 考図書を買いなさい、という意味なのでしょうか。それとも、新たにこういうものを作 りましょうというわけでもないと思うのですが。  中長期的には、やはり、きちんとしたカリキュラムと実習の施設を連携してでも良い のですが、実習をしっかりとやるとか、そういう何か具体的なことがあった方がいいと 思うのですが、役所の立場では、それも難しいのでしょうか。  例えば、カリキュラムをすべての大学で、今は多分、講義していない大学もあると思 うので、少なくとも全大学で最低でもこれぐらいのカリキュラムは揃えると。  そして、そのための教育スタッフを充実するということでもいいかと思います。最初 は常勤でも非常勤でもいいと思います、それも難しいのでしょうか。 ○事務局/母子保健課長補佐  実は、こちらは文部科学省の分担になるかと思います。今日は文部科学省からご出席 かと思いますので、お願いできますか。 ○文部科学省高等教育局医学教育課(小谷課長補佐)  具体的なことを書いた場合、各大学で努力してやっていただけることは結構なことだ と思います。ただ、そのために、国として具体的に、各大学にこういったカリキュラム を作りなさいということを指示、命令できるかと申しますと、それは今の時点ではでき ません。 各大学がこういった提言を受け止めていただいて、自発的に実施していただ くということになると思います、また、スタッフについても、まず、講座を組むこと自 体は各大学で判断していただくことだと考えています。提言いただいたことを受け止め て、各大学でご尽力いただく。そのために何らかの支援ができるかということは考えて いくことはあると思いますけれども。まず、それぞれの大学で受け止めていただいて、 実施していただくということになると思います。  中長期的対策で、私どもは分担という認識ではなくて、厚生労働省の原案について特 段コメントがあればということでコメントさせていただきましたので、特に文部科学省 として、教科書教材の充実を図れということを推奨して、こういった記述になっている ということではないということはご理解いただきたいと思います。 ○吉村委員  いずれにしても、カリキュラムをきちんと全大学に入れましょうと。それをきちんと 教育してください、教育しましょうということぐらいは言ってもいいのではないかと思 います。それを各大学が受け止めればいいと思います。 ○裄V座長  各大学はこれこれ、あるいは、これこれに向けて努力すべきであるとか。そういうこ とは、どうなのでしょうか。そういう書きぶりというか。 ○吉村委員  もちろん、スタッフを揃えなさいとかは難しいと思いますが。 ○裄V座長  少しその辺のところを。 ○事務局/母子保健課長  結論から言うと良いのだと思いますが、まだ、正直申しまして、16頁で「・」だけ があって空白になっているということなので、もう少し出していただきたい。すべて出 た段階で、私どもでこれは駄目でしょうとか、これなら大丈夫かもしれませんというの は、見ることはできます。先ほどから何度も出ていますシラバスのようなものは、文部 科学省も何度も言っているように、これは国がシラバスを作れとかシラバスの中に書き 込めという話ではないので、教育の自由ということで、大学の自由は非常に尊重されて いますから、各大学にやっていただくということでいいと思います。 ○奥山委員  例えば、どこの大学で、これに関してどのようなカリキュラムで、どんなことやって いるのかという情報の収集とかは、できないのでしょうか。  国としてとか、あるいは何らかの形で研究としてやっても良いと思うのですが。どこ の大学が、どのくらい、どういうカリキュラムを作っているのかを定期的に公表してい くような形をとれば、どこが先進的なのかわかると思います。 ○山内委員  精神科の大学の教授の会・講座担当者会議というのがありまして、ずっとその代表を していたのですけれども、そのときに、どんな教育が行われているかというのを調べた ことがありまして、13頁の「III」の「1.卒前教育(医学部教育)の現状」にある ように、精神科では1コマから3コマという数字で、3コマまでやっているところはあ まり無く、1、2コマくらいといった状況があるわけです。  ここに書いてあるように、子どもに関する卒前教育がなぜ貧弱かというと、すでに指 摘されているように、専門の教員がいないという問題と、それから実習したり勉強をす る場がないということがあって、これは杉山委員が言ったように、卵が先か鶏が先かと いうことで、全体がボトムアップされなければ卒前教育も充実したものにはならないと いう現状があるわけです。これは、かなり長期的に目指していくのだけれども、今は、 短期的には、各大学は、卒前教育の中で、子どもの心についての基本的なものをきちん と教えなさいといったような提言をするということは、各大学に対するインパクトはあ ると思います。精神科の担当者会議にもそれが通じるわけで、どうやって今の状況で場 を設定して、専門的な人を周囲から集めてくるかという、自助努力にも繋がるようなも のを今のところは出しておく。長期的には、全体のボトムアップがなされなければ本当 に良いものにはならないという認識は持っているということでどうなのかと思います。 ○裄V座長  山内委員がこの点に関して吉村委員とともに色々なご意見をくださいましたので、そ ういう観点で、まだこの部分に関しては、非常に未完成な形だと思いますので、事務局 でもう一度まとめていただきたいと思います。 ○吉村委員  もう一つ言わせていただければ、16頁の「ii」で「実習を行えるように努める。」 というのはむしろ中長期的。やはり、当面は知識をしっかり教育してくださいというこ とではないかと思うのです。 ○裄V座長  よろしいでしょうか。  次は卒後研修ですけれども、この新医師臨床研修に関しても当面の対策が16頁の一 番下のところから17頁の上の方にかけて中長期的対策と書かれてあります。  この新医師臨床研修に関して、どなたかご意見ありますでしょうか。  当面の対策として、「新医師臨床研修ガイドライン」などを通じて環境整備を行う と。中長期的な対策としてもここに書かれているようなことが考えられるのではないか と。  これも吉村委員のお立場で何かありましたら、ご意見をいただきたいと思いますし、 何か付け加えることがありましたら事務局に出していただければと思いますけれども、 どうでしょうか。 ○吉村委員  やはり、この新医師臨床研修は、プライマリ・ケアの充実ですから、子どもの専門的 なことは少し難しいと思いますけれども、新医師臨床研修制度の中に子どもの心の診療 医についても入れてほしいということでしょうか。 ○裄V座長  そうです。小児科・精神科それぞれ大部分のところは、1カ月間とか2カ月という期 間で研修されますので、その中にどのくらいのことが盛り込めるかというのは、新医師 臨床研修全体の中で、どうとらえるかということ。そういった面について検討されてい る方々に、ぜひ取り上げていただきたいということだろうと思います。 ○森委員  17頁「1)新医師臨床研修」の「B.中長期的対策」というところが、意味がよく わからないのですが、これは何を、どうするという対策なのでしょうか。  「今後、医師臨床研修制度の見直しが行われる際、すでに実施している内容も含め、 子どもの心の問題や精神的問題をもった成人の子どもの状況に関する内容についての具 体的な到達目標について検討する。」という文章の意味がよくわからないのですが。  何を目標としているのか、簡潔な言葉で言うとどういうことでしょうか。 ○事務局/母子保健課長補佐  こちらは、医政局医事課と協議をさせていただいて、こういった形での文言を仮に置 かせていただいておりまして、こちらは、私の理解では、13頁「(1)新医師臨床研 修の現状」というところで、現在のところはどういったことを学べるようにするべきか という事が書かれておりまして、こういったものについて、「新医師臨床研修ガイドラ イン」では、子どもの心の診療に関してということで設けられていると。そういったも のについて今後、より具体的に、どういったものを研修の目標とするのかといったこと は、子どもの心の診療だけに限っては、現時点では、独立して進めることはできないと いうことで、非常に一般的な書き方になっております。 ○森委員  要するに、ガイドラインの見直しにこれを影響させるという意味ですか。 ○事務局/母子保健課長補佐  私はお答えできる立場にはないのですが、これは医事課の方では、現時点で子どもの 心の診療だけ見直しをするとか、そういったことは考えていないとのことでしたので、 今後そういった見直しの機会がある場合には、検討会の報告なども踏まえて考えていけ ればという事でコメントをいただいているところです。 ○山内委員  この問題も先ほどの卒前研修と同じで、小児科・精神科にしても、子どもの問題を意 識して、例えば大学とか病院などが自分のところだけで完結せず、1週間のうちの何回 でも、そういう施設にもまわすような、そういう現実的な努力をするということを要請 するというのが一番効果的ではないかと思います。 ○奥山委員  17頁「2)小児科及び精神科の専門研修(卒後臨床研修終了後の研修)」の「B. 中長期的対策」のところに、「指導医が不足している地域においては、連携をする」と いうようなことが書いてあるのですが、それと同じことが、卒前教育にもあっていいの かもしれないと思います。つまり、今の段階で指導医が少ないとしたら、出張していた だいて指導していただくとか、あるいはそちらに実習に出かけていくとかという連携の ことです。 ○山内委員  それは医師の問題だけではなくて、例えば、「ドメスティック・バイオレンス」とい うような問題についても、児童相談所などへも行って現実に触れるとか、やり方は色々 あると思うのです。ですから、精神科で言えば、指導的な立場の人が、そういうことも 配慮して、なるべく新医師臨床研修の中で、「そういう機会を持ちなさい」と指導をす れば、専門家が来て講義したりなどしなくても、そういう機会にエクスポーズされれ ば、その後に繋がっていくのではないかと思っています。 ○裄V座長  卒前教育、それから卒後の新医師臨床研修に関して、国としてこうするというような ことを言いにくいし書きにくい。それが、事務局としてのお立場でもあるわけですけれ ども、ここで出たような意見が、どのような形で検討会報告書に反映できるかを、ぜひ 検討していただきたいと思います。時間のこともありますので、これから中心的な議論 をしなければいけないところに進みたいと思います。  次は、17頁「2)小児科及び精神科の専門研修」です。卒後臨床研修修了後の研修 での当面の対策と中長期的対策。別紙に書かれた目標を達成するための当面の対策、中 長期的対策をここに分けて書いてありますけれども、この点に関してはいかがでしょう か。その役割は、別添にも書いてありますように、日本小児科学会あるいは日本精神神 経学会さらにサブスペシャリティーの学会などもかかわってくると思います。もし何か ご意見があれば、別所委員あるいは山内委員からお願いしたいと思います。 ○山内委員  日本精神神経学会では、かなりしっかりした「専門医になるための研修プログラム」 を作っているのですが、実は小児の問題を特に強く意識して作っておりませんので、こ こでそういう答申というか指針を出していただければ、学会としては、委員会を設けて こういうことについて、どう具体化していくかを検討するインパクトになりますので、 ぜひ厳しい意見を書いていただければ結構だと思います。 ○別所委員  日本小児科学会としては、現在、17頁の下に書いてあるようなことで、日本小児科 学会そのものよりは、その分科会などに集まっていただいて、その中で具体的なものを 作っていきたいと思っておりまして、その委員会を作るように動き始めたところです。 ○裄V座長  他の委員からこの辺に関して何かありますか。2番目のカテゴリーというかグループ というのは、上下の境も曖昧ですし、なかなかとらえにくいところがあるというのが、 今までの議論だったと思うのですが。 ○杉山委員  プライマリ・ケアを担当する小児科・精神科医ということを念頭に考えますと、いわ ゆる専門家まで上げなくてもいい疾患は、こういうものがあるのだということを、しっ かりガイドラインに載せていただくということだと思うのです。例えば寝ぼけとか夜驚 とか大多数のチックとか、あまり専門的な所でやらなくてもいいケースまで三次医療機 関に上がってくるものですから。 ○裄V座長  そういうことが、今日、ここで示されている到達目標の個別行動目標の中に触れられ ているかどうかというのを確認していただいた上で。 ○神山先生  日本小児神経学会で、今回、10月から11月にかけて何回か集まりまして、色々意 見を集めさせていただきまして、この参考資料の、5頁からと11頁からとにある資料 をまとめました。17頁から18頁には教科書とか研修のプログラムとかがあり、それ らが大事なことは言うまでもありません。ただそれ以前に、例えば健診とかにかかわる ドクターも非常に多いと思うので、そのようなプライマリケアの場で手軽に使えるパン フレットのようなものをぜひ早急に作って配布することが必要と思います。このパンフ レットには、例えば杉山先生が言われた夜驚の時にはとりあえずこうすればいいという ことが書いてあるわけです。それに関して、日本小児科学会あるいは日本小児科医会、 日本精神神経学会、日本精神科病院協会が中心になるのも一つだとは思うのですけれど も、二次担当のところが中心になって作り配布するというようなことは、かなり早急に 実行できることだと思っております。 ○裄V座長  そういったような考え方で、各学会が、この部分に関してこういう役割を果たせると いうことがあったら、それを出していただいて。それを、もちろん報告書に盛り込む し、報告書が出るまでもなく、各学会として独自にどんどん進めていただくということ が大事だと思います。 ○神山先生  実際に、日本小児神経学会でも動き出しましたので。どこかに最初にたたき台がない となかなか動きにくいと思いますので。理想的には、各学会が共通の場でというのがい いと思うのですが、とりあえず、早目に私たちでたたき台が出せたらいいなと思います ので、またご意見いただければと思います。 ○裄V座長  日本小児科医会などはどうでしょうか。 ○保科委員  確かにこの辺りまでは、一般の小児科の先生も、わかっているから研修会に出て来る ので。これが足りないというのがわかっているから、補充しに来るのです。これを若い うちからきちんと入れていただければ研修会を開く必要はないので、もっと専門性の高 いところでやっていただければいいと思うのです。これからも、実際には一般の診療所 で毎日のように診るものではないものですから、これからどう進んでいくのか、ただ、 頭で知っているだけなのかは、これからの問題だと思います。 ○裄V座長  具体的な方法として、ここで、卒前教育、卒後の新医師臨床研修、それから、その後 の小児科・精神科の専門研修というような形で、生涯教育にわたって、ずっと下から順 に出ていますので、そういう形をとっていますけれども、例えば小児科・精神科医にし ても、既存の小児科専門医、精神神経科専門医がいるわけです。そういう方たちのレベ ルアップ、そういう方たちをここで示されているようなレベルまで、レベルアップする ための研修というのは、日本小児科医会あるいは、また日本精神神経学会もそうでしょ うし、森先生のような立場の方が担っていると思うので、そういう観点から、これに関 してもぜひ具体的な取組をもう一度検討していただきたいと思います。 ○別所委員  やはり、今、先生が言われたように、既存の医師のそういうものは、言ってみれば、 利用しながら当面の課題を解決していくという問題と、系統的に教育していくという問 題と、これを答申としてはどう区別しているのか、はっきり区別できないのかもしれま せんが、まとめていく方向がわからないのですが。 ○裄V座長  これは事務局からもまとめるときの考え方をお伺いしたいと思いますが、私が受け取 っているのは、系統的な養成の方法として、このレベルについての到達目標はここまで という形で書いてあると思います。そうした場合に、若い人たちが育っていくときに は、それに沿っていくと。ただ既存の人たちに関しては、同じレベルまで部分的に欠け ているところがあるとすれば、そこまで到達するような研修会や講習の機会を検討して いただくという、日本小児科医会などはそういう役割を担っているのではないかという のが、いつも申し上げているところです。書き方としては、系統的なものを書いている わけですが、既存のドクターについては、それを目標に何らかの方法、研修の機会をつ くっていただきたい。 ○保科委員  今の裄V先生の言葉でいいと思うのです。現在の立場に当てはめれば、これから出る 人がこの「1.」のもので、もうできあがった人がこれから専門性を少しでも広げてい くというのが、この子どもの心の診療を専門的に行う小児科・精神科医についてだと思 うのです。ですから、これから出てくる人は、一番ボトムのところの検討がこれからの 医師だと、できあがってもう小児科医や精神科医をやっている人がプラスアルファにな るときは、この「2.」になってくると考えればいいと思います。 ○裄V座長  そうです。子どもの心のプライマリ・ケアの対応について、プラスアルファのもの を、専門的にある程度見ていきたいという場合には「2.」のところですが、General Pediatrician(ジェネラル・ペディアトリシャン)としても、今のレベルよりはもっと 上を、もう少しレベルアップをすべきではないかというのは基本的な共通認識だと受け 取っておりました。 ○山内委員  今のところは大事な点だと思います。新しく研修する人たちはこういう視点でやるべ きだし、既に専門医・一般医になっている人たちも生涯教育として、こういうところを 補填する必要があるといったようなものがどこかに入っていれば、例えば日本精神神経 学会では、学会の研修の時に、生涯教育として既に専門医になっている人たちのための 講座を設けることになると思いますので、どこかで明言しておいた方がいいような気も します。 ○森委員  今のお話とほとんど同じですけれども、ここの題目のところが、これは教育のシステ ムに沿って作っているわけで、卒前教育、卒後研修というシステムになっているもので すからわかりにくくなるのです。このボトムアップという話は、現在いる先生方のボト ムアップをしないと、ボトムアップにならないだろうと思いますから、17頁の「2) 小児科及び精神科の専門研修」の次に「卒後臨床研修修了後の研修」とわざわざ括弧付 けで書いてあるものですから、そこでわからなくなると思うのです。ですから、卒後臨 床研修修了後の研修及び何らかの生涯教育とか、そこに何か入れていただければ、その 辺のところはクリアできると思います。 ○裄V座長  意味するところは、言われる通りだと思います。また場合によっては、戻ってもいい と思いますが、先へ進みたいと思います。その前に、18頁に「iv その他小児科・精 神科一般医の養成に対する意見」と、今までの議論の中で各委員の先生方から出された 意見が「その他」という形でまとめられているわけですが、ここで書かれているような ことが、有効でしかも具体性のあるものであると、この検討会として皆さまがお考えで あれば、それを当面の対策あるいは中長期的な対策のところに移動するというか、持っ ていくという位置付けで、ここにまとめてあるということでよろしいでしょうか。です から、そのように書いてあるところに関しても、そういう観点からもう一度見ておいて いただきたいと思います。 ○山内委員  今の18頁「iv その他小児科・精神科一般医の養成に対する意見」のところは大事 な問題だと思います。この「○教育・研修の到達目標について」の中の二項目目のとこ ろについてです。最初からこの検討会でも議論となっておりまして、一般小児科医と一 般精神科医で、確かに患者層は違いますが、「必要とされる技術等に相当の違いがある ため」というような表現は、誤解を生む危険があるし、何か全然違う技術を持っている ように思われる危険があります。実際は、子どもを診るという点では同じなのですが、 そこに至る経緯が違う。そして、それぞれ足りないところは、きちんと補い合うという 発想が必要なのではないかと最初から思っておりました。こういう書き方は注意した方 がいいのではないかと思います。 ○裄V座長  今のご意見はチェックしておいて下さい。 ○吉村委員  少し戻るかもしれませんが、15頁の教育のことです。目標が、これは医者の方とい うか、学生の方になっているのです。「子どもの心について配慮する必要を認識してい る」というのは、学生のことでしょうか。 ○裄V座長  そうです。学生のことです。 ○吉村委員  実際に必要なのは、そういうことをしっかりと教育するカリキュラムを作る。それか ら教員もしっかり教えてもらう。できれば専任教員が望ましいとか、そっちの方が自動 的に起こるわけではありませんので。 ○裄V座長  それも、またこの報告書で使われている用語と言いますか、書き方のスタイルの問題 で、あくまでも受ける側が主語になって教育目標などを記載していますので、こういう 書き方になっているわけです。 ○吉村委員  具体的な検討となると自動的に学生が認識すれば良いというか、させるいうことです か。 ○裄V座長  そうです。大学としてやらなければならないことは、認識させるということです。 ○吉村委員  認識させるための具体策が必要となるのではないでしょうか。例えば、カリキュラム を各大学に確立するとか。それから、それを教育する要員を確保するとか、できれば専 任が望ましいとか、あるいは、実習施設と連携をして確保するとか。 ○裄V座長  ですから、それは具体的な方法としては、そのような書き方をするわけですが、目標 は、常に学生が何々できるというような形で書かれている。 ○吉村委員  自動的にできるわけではなく、いかにそうさせるかという具体策が当面の対策ではな いかと思いますが。 ○裄V座長  そうです。当面の対策というか、対策に関してはそういう書き方になると思います。 ○吉村委員  そうですね。 ○裄V座長  目標は、何回も言っていますように、学生が何々できるとか、あるいは研修医が何々 できるとか、あるいは小児科医が何々できるとか。 ○吉村委員  それが目標ですね。すみません、少し戻ってしまいました。 ○裄V座長  少し、行ったり来たりしてしまいましたが、18頁の中程から書いてある「2.子ど もの心の診療を専門的に行う小児科・精神科医について」、「i 教育・研修の到達目 標」の次に、これも同じように「ii 養成のための具体的な方法」として「A.当面の 対策」、そして「B.中長期的な対策」が18頁から19頁にわたって書いてありま す。 ○森委員  今日の話の最初のころに、この領域は「子どもの心の診療を専門的に行う小児科・精 神科医」というのは、ある特定の領域の子どもの心の診療にも関わっている人もここに 入ると書いてあります。別添の「教育・研修到達目標」の「子どもの心の診療を専門と する小児科医・精神科医」の枠の中の「1.一般教育目標」のところで、突然、「中等 症例までの対応と適切な紹介ができる。」と、全般のことが突然出てきまして、ディス クレパンシーを感じてしまったのですが。 ○裄V座長  そうでしょうか。 ○森委員  これでいいのでしょうか。要するに、前の議論で、ある特定の領域で、例えば私もそ うですが虐待なら虐待のことだけをやっているケースもある。 それも、ここに入る。 ○裄V座長  入ると思います。 ○森委員  その人たちの目標は、全般的なこともやりなさいよ、ととらえるわけですか。 ○裄V座長  例えば小児科医であっても、発達障害に関しては興味があって、日常診療の中である 枠を決めて、発達障害の子どもたちを専門的に診ている人がこのグループだと思います けど、そういう人が、ここに書いてある一般教育目標と矛盾するのではないかと仰って いるのですか。 ○森委員  そういうことです。 ○裄V座長  どうでしょう。サポートチームはその辺について、どのように考えましたか。 ○森委員  要するに、この「子どもの心の診療を専門とする小児科医・精神科医」にある 「※2」について、「子どもの心の診療をサブスペシャリティー」のところの「サブス ペシャリティー」というのもまた非常に難しい言葉ですが、「サブスペシャリティーと して行う医師」と書いてあることと、ある特定の領域については、小児、小児と言って も、色々な、今、たくさんの領域があるわけでして、特定のことだけはやっているとい う先生もここに含まれるという意識を感覚的には、持っていたものですから。それは、 サブスペシャリティーなのかなとも思ったりしたのですが、その辺を少し整理して教え てもらえると助かるのですが。 ○奥山委員  私どもサポートチームは、全体をみる最低限必要な知識や技術があり、その上に発達 障害なら発達障害としてのスペシャリティーということになると考えました。例えば、 発達障害に合併症が加わったら、これは、どう判断してどこへ送るとか、あるいは情緒 障害がもともとある子どもが来たら、発達障害との鑑別をして、きちんと紹介ができる とか、そういうことも含めて最低限のレベルはこのサブスペシャリティーの方々は学ぶ 必要があると思います。最低限のレベルがあって、その上に発達障害であるとか虐待で あるとか…。 ○森委員  さらに、得意分野があると。 ○奥山委員  はい。両方なければ、この「子どもの心の診療を専門とする小児科医・精神科医」は できないのではないかという考え方をしました。 ○森委員  わかりました。 ○裄V座長  どうでしょうか。このサブスペシャリティーという言葉も残しますか。人によって、 多少とらえ方が違うかと思いますし、一般の方にはわかりにくいと思いますが。どうし ても必要な言葉でなければ、省くなり他の言葉に置き換えた方が良いかと。 ○森委員  要するに、ここの部分が前から議論になっている一番明確でない部分なものですか ら、その辺りの輪郭が見えてくるといいなと思い、そういう意味で質問したのですが。 ○裄V座長  こういった部分を担う日本小児精神神経学会あるいは日本小児心身医学会、日本小児 神経学会もそうですが。 ○星加委員  これは私から話すよりも、冨田先生からお話いただいた方が良いと思いますが。資料 の中にも入っていますが、私自身が、日本小児心身医学会の研修委員会を担当していた 時期に、色々な工夫をしてみようということになりました。通常、講義だけというの は、非常に疲れるだけで、あまり頭に残らないというイメージがあったものですから、 参加型にしてみたり、色々なロールプレイを用いてみたり、あまり退屈させないような 方法を幾つか考えていて、全部がうまくいったとは思わないのですが、恐らくそれは、 どこの学会でも、このちょうど中間にある、ある程度専門に診られる先生方を育てて行 くためには、非常に役に立つのではないかと考えておりました。冨田先生から続きをお 願いします。 ○冨田委員  星加先生が言われたように、日本小児心身医学会は、研修委員会が星加先生を中心に まとまっていまして、参考資料の15頁から27頁までに詳しく書いております。研修 会は初期からずっとやっておりまして、どちらかというとボトムアップを目的に一般医 を対象にして、地域で医師会に呼びかけたり、小児科医会に呼びかけたりして、学校の 先生も含めて来ていただく方法で日曜日にやってきました。  次いで、現在、議論されているサブスペシャリティーぐらいの人を対象にして、ロー ルプレイだとか実習をするという格好で、イヴニングセミナーを今年まで7回行ってき ました。今年は心理検査の基礎知識ということで演習、質疑応答、総括をしておりま す。こういう形のものと、一般の先生に地域でできるだけこの分野に関心を持っていた だこうという先の研修会と二本立てでやってきています。  それから、もう一つは27頁に書いておりますように、一番ややこしい分野ですが、 ガイドライン等ができないかということで、今、摂食障害、起立性調節障害、不登校、 そしてEBMの必要性の四つに関して、多施設で共同研究をしております。既にOD (起立性調節障害)に関しては、そのガイドラインを出す段階まで行っております。日 本小児心身医学会では、こういう形で行っておりますので、これまでの議論にあります ような、一般の医師あるいはサブスペシャリティーの方への研修というのは、学会とし ては、直ぐに応じることができるのではないかと考えています。ただ、今まで、ある程 度系統立ってはいるのですが、それぞれの学会の会長の意思も入りますので、その時 々、常に系統的に行われたわけではありません。もう少しこれをきちんとやっていけ ば、系統的にできるのではないかと思っております。以上です。 ○裄V座長  今、星加委員、冨田委員から説明をいただいた取り組みというのは、この18頁の一 番下の当面の対策というところで、あるいは、実施体制の整備というところで、書く上 での情報ということでよろしいのでしょうか。 ○神山先生  今、日本小児心身医学会から魅力的な取組を紹介していただいたのですけれども、こ こに参加している各学会それぞれに得意分野があると思うのです。そしてこれは私自身 の勉強不足なのかもしれませんが、これまで各学会間の交流が足りなかったのではない かと反省します。今回のこの検討会を機会に、色々な各学会で、地域的にも色々ばらけ ることもできるでしょうし、ぜひそれぞれの得意分野を出し合って、学会間の垣根を越 えた形でのロールプレイだったり、症例検討だったりとかを積極的にやっていきたいと 思っています。ぜひ色々な関係学会の方々と、これからは緊密に連絡をとる必要がある なと、しみじみ感じています。 ○裄V座長  今、大変貴重なというか建設的な意見をいただいたと思います。ぜひ、そういう取組 を小児科関係だけでなく精神科のサブスペシャリティーの学会なども含めて、これから 進めていただきたいと思います。そのことも、ぜひ触れておきたいと思います。 ○森委員  今、大変建設的なご意見が出たのですが、学会というのは非常に難しい力動関係が働 くところですので、難しい話だと思って聞いておりました。ここの19頁の真ん中辺り にクレジットの話が出てくるのですけれども、これは、そういう意向で作られたのでし ょうか。共通の何かを発行するとか、そういうことですよね。実施体制の整備も、共通 の教科書とか教材とか書いてありますね。ですから、そういったものを本当にできるか は別にして、どこかが中心にならないとできないと思うのです。その母体は、ここでや るわけにいかないでしょうから、それはどのように想定されて、やっておられるのかを 聞きたいということが一つです。私は日本精神科病院協会にいますが、来年度も研修を 厚生労働省と一緒にやることになりました。そういうところだと色々なところから募集 ができるので、色々な力動関係が働かなくて、色々な講師の先生方を、たくさんお呼び できるのでいいのですが、学会主体ですと、それぞれ学会の主体性がありますので、と ても難しい話だと思って今、聞いていました。その辺りが本質的な問題だと思います が、どうでしょうか。 ○裄V座長  そういう力動関係による難しさは確かにあるけれども、これからの方向として神山委 員が言われたことは、非常に建設的で、そのことを念頭に置いて、これは書かれている と私は思いました。 ○奥山委員  実際にできるだけ、この分野の学会がコミュニケーションを取ろうということで、 「子どものメンタルヘルス関連5医学会共同企画」を、3年に一度、今までに2回行っ ています。それぞれの学会から委員を出して、持ち回りの事務局を設けて行うという形 はある程度つくられています。その様なモデルで委員をお互いに出して、研修プログラ ムをつくる可能性はあると思います。5医学会をやってきた実績の中で考えたことで す。もう一つは、例えば児童青年精神医学会の方々が心身症の事を知りたいと言って も、わざわざ日本小児心身症学会に行くというのも大変なことですから、児童青年精神 医学会で日本小児心身症学会の先生を呼んで、研修会の中に入れていただければ、カバ ーできるわけです。 ○森委員  私が申し上げているのは、学会というのは非常にクローズドなところがあって、オー プンのような顔をしながらクローズドのようなところがあるのです。ですから、その学 会が主催されるもので、いくらいいプログラムがあっても、例えばその学会と疎遠な人 たちはなかなかそこに出席はできないわけです。そういう問題も含めて申し上げていま す。 ○奥山委員  越えなければいけない障壁はあると思うのですが、必要なものに関して障壁を越えて やっていきましょうというのがここの提言です。 ○山内委員  精神科関係で言いますと、日本精神神経学会は、General Psychiatrist を育成する という発想です。ここで言えば、プライマリ・ケア的にトリアージができるというとこ ろです。今、議論になっている次のステップは、専門学会というか、まさにサブスペシ ャリティーとなるのです。今のご意見を聞いて、相変わらず小児科、精神科という形に 分かれていくとなかなか良い格好にならないので、できればこの2段階以降について は、共通の研修とか認定のシステムを持つと非常にいいと思います。  思い出すのは、実は精神科で司法精神医療というか、医療観察法ができて、人材育成 しなくてはいけないときに、何を行ったかというと、厚生労働省からお金を出していた だいたわけですが、各地で講習会をやったり、人材育成を心がけたりしてやっていま す。そういう提言ができて全国に人材育成のための講習会・システム・組織を持つとい うことになれば、非常に現実的で解決に結びつくものではないかと思います。 ○裄V座長  ありがとうございました。この部分に関しても今、色々なご意見を伺ったそれぞれの 学会・団体から、この後もし何かあれば事務局に出していただいて、それをサポートチ ームと検討をした上で、次回までにバージョンアップという形で加えてほしいと思いま す。  ここでも、その他の意見が書いてありますが、これについても先ほどと同じような扱 いができると思います。  3番目のカテゴリーとして「3.子どもの心の診療高度専門医の養成(専門レジデン ト研修)について」が20頁以降です。「目標」と、「具体的な方法」を「当面の対 策」、「中長期的対策」、「実施体制の整備」に分けて書いてあります。これについて は、現在こういった高度に専門性を持った医師、その診療、子どもの心の診療を専らに している医師の養成は、ナショナルセンターとか、あるいは全国児童青年精神科医療施 設協議会、あるいは子ども病院の中で、そういった診療科をお持ちのところが担われる のではないかと思いますので、そういうお立場で何かご発言があればと思います。西田 委員いかがでしょうか。 ○西田委員  ある程度専門的な知識を持たれて、実践的な臨床活動をされている先生方が、それぞ れのご専門の施設に行かれて、ある一定期間研修されると、専門性の質が上がると思い ます。ただ皆さん、忙しくてできにくい。ですから、19頁にも書いてあったのです が、ある地域で、皆さまが行き来しながら、実際の研修ができたらお互いの施設もレベ ルアップするし、風通しが良くなるし、そういうことを積極的にやったらどうだろう と。そのことで今やっておられる先生方の専門性ももっと上がると思います。そういう 提言をされたらどうかと思っています。  一週間に一度来られても違うし、症例検討会をしていても違うと思います。実際にあ る一定期間、一カ月でも研修に来られたらすごく違ってくると思います。その辺はどう ですか。 ○齋藤委員  西田先生のご意見はとてもよくわかるのですが、この高度専門医の養成は、たぶん入 院治療とか、かなり三次医療的なところにかかわりを持つ力を持った医師を一定程度確 保しなければ、この逆三角形の体制は支えきれないという認識のもとにつくっていると 思います。  そういうところから考えますと、実際に入院のケースを持つ体験、外来のケースを持 ち、その外来のケースを自ら入院すべきかどうかを判断する体験を繰り返し行った医師 は必要だと思います。それが高度専門医の養成のための必須条件として私は考えていま す。 ○裄V座長  ですから、先ほど西田委員が言われた、地域で連携して、例えば週に一度ずっと行か れるということで、何カ月か経って、あるいは半年経ちということで、この経験を積ん だドクターは2番目のカテゴリーという位置付けです。 ○西田委員  今、齋藤先生が言われたように、実際に子どもの心の診療をするときに、入院治療を 経験することが大切であると考えています。今、現実的にそういう施設はすごく少なく て、しかも専門的なレジデントの教育体制を持っているところも2カ所。今度、神奈川 県のこども医療センターがレジデント制度をつくったというぐらいで、うちは全然あり ません。ただ来てもらって常勤として働いて勉強するだけです。そういうシステムのな いところで考えても、本当の高度専門医というのは難しいので、きちんとした入院も含 めてある機関で、そういう教育体制を準備しないと難しいです。ただそのためにはすご い労力がいるので、その保障をしてもらわないと難しいです。 ○裄V座長  難しいけれどもそれが必要だと、ざっと見た限り21頁の「養成研修のための実施体 制の整備について」の中に色々触れられていると思います。これも厚生労働省から出さ れる報告書として、実際にこういうことが書けるのかということ自体が問題なのかもし れません。 ○杉山委員  今の問題に絡みますが、私どもは今、レジデントを採っています。今年も去年も一人 ずつレジデントがいるのですが、今、1年目のレジデントが、2年目を希望して、他に 新たに何人かレジデントの希望があります。つまりレジデントの場の席の奪い合いにな ります。こういう研修の場が非常に少ないから、県立の施設であっても研修の場は非常 に貴重なものだから、研修に対して少し優先的にレジデントを与えなさいというお達し を厚生労働省から出していただくのは非常に意味があると思います。よろしくお願いし ます。 ○神山先生  杉山先生にお伺いしたいのですが、今、レジデントが一人とか二人というのは、結局 先生の施設のキャパとしてそれしか採れないのか、あるいは結局予算上給料が払えない から採れないのか、それはどうなのでしょうか。 ○杉山委員  県立病院ですから予算がありまして、例えば全体としてレジデントの枠が何人という ことです。その枠をどうやって使うのかが、ある程度病院のフリーハンドになるもので すから。どの科もすごくレジデントは欲しいわけです。非常に貴重な場だということを 強調して、大声で要求していると増えるのですが、そういうときに、こういうところか らこれだけ貴重なのだということが出ているとすごくありがたいです。 ○神山先生  ぜひ、そういうところに3人、4人採れるような予算配分も、厚生労働省からのサポ ートと言うか、研修を行うことによって成果が上がるという部分に、経済的なバックア ップも含めた総合的な援助が必要である、ということを報告書には書くことができれば と思います。 ○杉山委員  ついでに言いますと、実はうちの施設は3カ月研修・半年研修・週1研修というプロ グラムを作っていまして、レベル2の方々のための窓口を今開きつつあります。 ○神山先生  今、レジデントの話をされましたが、例えばこの専門3次のところに認定になると、 かなり経験を積んだドクターも多いと思うのです。そういう10年目、12年目のドク ターが、そういったところに行って、またレジデンシーの給料だと難しいところがある と思います。だからある程度経験を積んだドクターにも、そういったことを保障できる ようなことが当面のこととしてあったらうれしいと思いました。 ○杉山委員  私どもは、火曜日と土曜日です。だから元気のいい方は月曜日にアルバイトができま す。一応そういう抜け道をつくっています。 ○裄V座長  今、お話が出た高度専門医の研修ができる施設のレジデントのこと、そういった施設 が各県に一つ必要だということがここに書いてあります。この検討会の報告書としての 取り上げ方について、母子保健課としてはどう考えておられるでしょうか。 ○事務局/母子保健課長  冒頭にも少しお話申し上げたのですが、今年度なのか2年目なのかという話がありま す。今年度に関して言うと、難しいだろうと思っています。  三位一体改革ではないですが、現在は基本的に国からの補助金を削減していく方向に 向かっております。施設整備・運営費も削られていく形になります。そもそも国立病院 も独立行政法人になりまして、機構に出てしまったので、補助金という形では難しいの が事実です。  先ほどから何度も繰り返しで恐縮ですけれども、1年目にどこまで書き込んで、どこ まで合意をいただくかというレベルで言うならば、この辺りはこういう意見として出た という形になっていれば、少し議論も並行してやっていけるのではないか。もちろん今 度の年度末までに、議論が間に合って皆さまが合意もするし、役所の側もそれなりの準 備ができるというのであれば、それまで書かないでおこうという気はありません。 ○裄V座長  当面予算的な裏付けもあって、できそうなことと、こういうことが望ましいという意 見として出ましたと、そういったことを区別して記載される可能性があるならば記載で きるかもしれないということです。齋藤委員、あるいは奥山委員から今の杉山委員も含 めて高度専門医の養成について何かありますか。 ○奥山委員  先ほど西田先生が言われたように、全国児童青年精神科医療施設協議会とか、日本小 児総合医療施設協議会などの専門性のある病院があるにもかかわらず、研修制度がない ところがあります。そういうところに研修制度をまず置くべきであると、この委員会は 考えているところまでは書き入れたいと思います。ただ国が強制するわけではないけれ ど、委員会としてはそれをできたらいいと思っているという書きぶりも入れた方が良い のではないかと思います。 ○齋藤委員  同じ考えなのですが、最後の方で行われていた議論に少し関連するのですが、今回盛 り込めないにしても、研修の場はこうした高度の専門性をもった研修の場が少ないこと だけは確かで、少ない上に研修をやっていないところが圧倒的に多いことに問題がある わけです。そういう点では各都道府県のうちの半数も、まだ入院機能を持つ病院が存在 しないために、結果的にそこまでの高い水準の診療、研修をする場が全国的には全く足 りないということは、事実でありますので、そうした意見もあるとどこかに付記してい ただけるとありがたいと思っています。 ○山内委員  今の議論と関係して、2番目の専門医の問題でも同じことだと思います。先ほども少 し出ましたけれども、各地域にそういう拠点病院があって、そこを中心にしてネットワ ークがつくられたり、研修ができるということも必要で、3番目の高度の専門医の場合 には、それをもう少し数が少なくなったものになるという発想で持っていった方がいい と思ういます。2番目についても、できればそういう形を今後つくっていくことが望ま しいという提言が大事ではないかと思います。そう考えたときに、可能性のある施設は 全国各地に散在していれば、それらの施設でやって欲しい、と言えばできるような形に なると思いますが、そのようなことができないような状況でしょうか。 ○裄V座長  どうでしょうか。 ○奥山委員  少しやって欲しい、では難しいかもしれません。実際、ニードがあるので、そういう 病棟を持ち、中心的にやれるようなところを作ろうという動きは幾つかの県で見られる と思います。ですから、少しずつは増えているのも事実ではないかと思います。そうい うところで研修まで考えていただいているかというと、別問題になってくるので、ニー ドがあるから病院が必要だけではなくて、そこに研修を加えてくださいとお願いする提 言を入れておいた方がいいと思います。 ○齋藤委員  少なくとも現時点で、我々もかかわっている西田先生の全国児童青年精神科医療施設 協議会は、地域の様々な機関との交流を持っている中心機関ですので、これがある少な くとも正会員の12都道府県に関して言えばやれると思います。  加えて、現在少しずつ児童相談所にクリニック機能を持った部分が増えてきています し、これもそういった発信源になり得ると思います。第2段階の西田先生、それから杉 山先生たちのところに類似のところが多少あります。そういう形で、全国半分というの は厳しいかもしれませんが、近いところまではあると思います。 ○裄V座長  あとは大学病院にもそういった診療部門がこれから増えていく可能性があるわけで、 そういったところも今言われたような役割が担え得る。 ○山内委員  どうしても予算措置だとか、レジデント研修とかになると、すぐにとはいかないので すが、今ある色々なものをうまく統合・連携をとるのは重要なことで、最初にこの会議 のときに埼玉県の色々な連携のこともお話しましたが、実はそういう意味で拠点施設の ようなものをなるべく作って、そこを中心として、各地域が手を繋ぐことを提言するの は大事なことだと思います。特にこれは2番目の専門性の問題には必要ではないかと思 います。 ○神山先生  結局、理念が大事だと思います。先ほど課長から三位一体という話が出てしまうと、 そこからどうしても踏み出せない話になってしまうと思うのです。先ほどの研修の話に しても、やらないところもあるという話は、たぶん予算的にやれないところもあるのだ と思います。そうすると研修とか今の拠点病院にしても、どうしても予算措置の話が出 てきて、三位一体となると医療費削減で云々という話になってしまう。しかしこれでは 何が重要かという基本的な議論が行われなくなってしまう。ぜひ議論の原点としての理 念を書き込む必要があると思います。そしてぜひ理念として「子どもは大事なのだ、日 本は子どもを大事にする国なのだ」ということを出していただきたいと思います。可能 か可能でないかは別にして、ぜひ理念は書き込んでいただきたいと思います。 ○裄V座長  全くその通りだと思います。  時間が残り少なくなってしまいましたが、今日も様々なご意見をいただいて、この報 告書の骨子案が今日のご意見を加えて、もう少しバージョンアップできるのではないか と思います。それから各学会としては、日本小児心身医学会などからもご説明がありま したような取組に対して、ぜひそれを各学会として出していただきたい。そして実績が あるものに対しては定量的なデータを出していただきたいということだと思います。  南委員には、今の議論をお聞きになって総括的なご意見をいただけますか。 ○南委員  先生方は、ご専門の立場で非常に一生懸命やられていて、それぞれのお立場からの非 常に建設的なご意見はよく理解するのですが、先ほど母子保健課長からも話がありまし たように、今、医療を取り巻く現実が、先生方がお考えなるよりもはるかに厳しいこと を肝に銘じておく必要があると思うのです。何しろナショナルセンターでさえ非公務員 型の独立行政法人と言っているぐらいですから、「これが必要だ、あれが必要。」と主 張しても、従来型の補助金を求めることは現実的には非常に厳しいと思います。  折角、色々な議論が出てきているので、問題はそれをどういう形で出すかですけれど も、これもあれも非常に大事で、こうすべきという真っ当な議論は、なかなか響かな い。  むしろ、子どもの問題は、社会的に非常事態だということを強調してはと思います。 医療の大将となる子どもの問題だけでなくて、日本の社会全体が抱えている次世代とい うか、子どもの問題自体がかなり危機的だということです。そういう観点で、緊急アピ ール的な、「これだけはやってもらわないと」というところをはっきり書き込む方が効 果的ではないのか。今、議論を伺った印象ではそう思いました。 ○裄V座長  ありがとうございました。  今、南委員が言われたことは、我々も共通の心のうちに持っている思いです。そうい ったことをこの報告書にどのような形で生かせるかを、もう一度検討していただきたい と思います。  もう一度締めくくりのような形でお話をさせていただくと、繰り返しになりますけれ ども、具体的な研修に関する取組について、ぜひ各学会とか団体など、特にそれを主催 する理事会などでご検討いただいて、色々な取組を積極的にどんどん進めていただきた いと思っていることが一つです。今日いただいた意見については、事務局で取り込んで もらって骨子案をアップデートする。そういう作業を進めていただいて、次回はさらに 報告書のたたき台としての議論を深めていきたい。それから、今日の話の中に出てきた 大事なことだと思いますけれども、学会などの関係者間の連携を密にして、連携の上で 共通の取組を考えていくことをこれからぜひ進めていきたい。それによって、子どもの 心の問題に関するプログラムの充実とか、診療医養成研修の対象者も拡大していく。活 動の充実を連携の上でやっていただきたいということだと思います。限られた時間の中 での議論で多少中途半端に終わってしまったところもありますけれども、事務局から何 かありますでしょうか。 3 その他 ○事務局/母子保健課長補佐  ありがとうございます。先ほど座長が言われましたように、この骨子案については、 またアップデートしますので、ぜひ冒頭お願いしましたようにエビデンスの部分で、例 えば先生方の協議会・学会などでどういう研修を何カ所、何人を対象として、受講者数 これまで何人といった数字的なものについて情報をご提供いただきたいです。現状とし てまずいただきたいと。特に別紙1の表について、前回も座長や私どもからもお願いし た件ですけれども、今回はアンケートという形式で用意させていただきます。現状は、 こういう状況で研修されていて、これから学会ですとか、様々な団体の中で今後このよ うな形で、それをさらに樹立していくことができるという具体的なアイデアを理事会等 でお話しいただいて、何ができるといったものを実際にアンケートを取らせていただき ますので、ご記入いただければと思います。  それから内容の面で、今回、「報告書骨子(案)」ということでしたが、たくさんの 意見をいただいている部分ですとか、またもう少しというところもありますので、その 辺りは若干粗密がありますので。あと名称で、先ほどサブスペシャリティーという用語 を使うかどうかといったこともありました。そういった全体的な表現方法についても、 もしご意見などありましたら、どんどんお寄せいただければと思います。  最後に事務的な連絡をさせていただきます、第8回の検討会ですが、年明けの1月1 8日の水曜日を予定しておりますので、よろしくお願いします。会場等の詳細が決まり ましたらご案内させていただきます。 4 閉会 ○裄V座長  次回1月18日に予定されていて、それが最終回の一つ前ということになるのです が、相当できあがりに近いところまで用意されていないとまずいですよね。その作業は 大変だと思いますが、今日の議論を踏まえて、ぜひその作業を進めていただきたいと思 います。その際に、サポートチームにも色々ご苦労いただかなければならないと思いま す。  本日は、各委員の先生方からもっと色々なご意見を伺わなければいけないところもあ ったと思うのですが、時間になりましたので、これをもちまして第7回「子どもの心の 診療医の養成に関する検討会」を閉じさせていただきます。ご協力いただきまして大変 ありがとうございました。 ―終了― 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 電 話:(代表)03−5253−1111 齋藤(内線:7933) 飯野(内線:7938) 1