05/11/28 労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会平成17年11月28日議事録   第79回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成17年11月28日(月)14:00〜 2 場所  職業安定局第1会議室 3 出席者     委員  公益代表 : 清家委員、北村委員、        雇用主代表: 成宮委員        労働者代表: 川畑委員、池田委員、長谷川委員   事務局  坂口需給調整事業課長、篠崎需給調整事業課長補佐、        松浦需給調整事業課長補佐、佐藤需給調整事業課長補佐、        鈴木医政局指導課長補佐、山口医政局総務課長補佐 4 議題  (1)育児休業等の場合等における医療関係業務への          労働者派遣について       (2)その他 ○清家部会長  委員の皆様がおそろいになったので、ただいまから第79回労働力需給制度部会を開 催します。  本日は鎌田委員、輪島委員、山崎委員はご欠席と伺っています。まず本日は、最初に 公開で育児休業等の場合等における医療関係業務への労働者派遣について、ご審議いた だきます。また、その後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無 料職業紹介事業の許可の諮問に関わる審議を行いますが、許可の審査については資産状 況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、これについては公開することにより、 特定の社に不当な利益を与え、または不利益を及ぼすおそれがある場合に該当するため、 非公開とさせていただきますので、傍聴されている方には始まる前にご退席いただくこ とを、予めご了承いただきたいと思います。  それでは、さっそく議事に入ります。最初の議題の、育児休業等の場合等における医 療関係業務への労働者派遣について、前回の部会において、関係者からヒアリングを実 施したところですが、それを参考にしつつ、今回と12月末の2回で審議を行い、12月 末の回には分科会に対して諮問をする要綱案を取りまとめることとしています。そこで 要綱案の取りまとめに当たり、今回はまず当部会としての考え方を整理しておきたいと 考えています。当部会における考え方の整理の案、及び関係資料を事務局から資料とし て提出してもらうので、まずこの点について事務局より説明をお願いします。 ○篠崎補佐  それでは説明をさせていただきます。まず資料1をご覧ください。本日、医療関連業 務への労働者派遣について、前回のヒアリングも踏まえて、事務局としての考え方を整 理させていただいています。資料1が、その考え方の整理ですが、合わせて参考として、 構造改革特区の本部決定の内容も配付させていただいているので、そちらを適宜ご参照 いただければと思います。  それでは、まず資料1に沿って説明をさせていただきます。資料1については、まず 医療関連業務に従事する産前産後休業、育児休業、介護休業中の労働者の業務への労働 者派遣についてということです。まず考え方ですが、1つ目は、医療現場においては産 前産後休業、育児休業、介護休業中の代替要員に対するニーズがある、それから、仕事 と子育ての両立支援の観点からも、選択肢の1つとして労働者派遣事業を行うことがで きるようにするという意義がある、また派遣期間は、労働者が育児休業等を取得してい る期間に限られ、常用代替のおそれがないということが、まず考え方としてございます。  それで、対応案は括弧の中ですが、全ての医療関連業務、これは※1で示しています が、医師の業務、歯科医師の業務、薬剤師の業務等々です。これについて産前産後休業、 育児休業、介護休業中の労働者の業務を行う場合には、労働者派遣の適用除外業務から 除くというものが対応案です。  対象業務については※1に示していますが、※2産前産後休業、育児休業について、 簡単に参考資料の説明をさせていただきたいと思います。2頁目をお開きください。産 前産後休業、育児休業、介護休業の期間ということですが、まず産前産後休業について は労働基準法によって、産前が6週間、産後が8週間となっています。また、派遣法に おいては、その他、産前休業に先行する休業、または産後休業に後続する休業であって、 母性保護、または子の養育をするためのもの、というものも派遣法上の産前産後休業と しています。  それから育児休業については、これは育介休法上によるもので、括弧書きに太字で書 いていますが、「子が1歳に達するまでの間」というのが基本です。  それから派遣制度においては、その他、育児休業に後続する法定の休業に後続する休 業であって、母性保護等のために行われるものも育児休業としています。  それから介護休業についても、これも育児介護休業法に基づく括弧書きにございます が、通算93日、この法定の介護休業、それから、その他、介護休業に後続する休業で あって、対象家族を介護するための休業というものも、派遣制度上、介護休業としてい ます。  続いて3頁目をお開きください。次に医師確保が困難な一定の地域において行われる 医師の派遣についてです。まず考え方ですが、現在、医師の地域偏在による医師の不足 感が深刻なことから、医師の確保のための選択肢の1つとして、医師の確保が困難な一 定の地域において、医師の労働者派遣事業を行うことができるようにする必要がある。 ただし、医師の確保が困難な一定の地域においては、一人の医師がカバーすべき医業の 範囲が幅広いため、派遣に当たっては医師の確保が困難な一定の地域において、医業を 円滑に行うことができるような研修を受けることを条件とすることが必要である。その 上で対応案ですが、医師の確保が困難な一定の地域で、医業を円滑に行うために必要な 研修を受けた医師を派遣する場合には、医師の確保が困難な一定の地域において行われ る医師の業務について、労働者派遣の適用除外業務から除くというものです。  医師の確保が困難な一定の地域、それから円滑に行うために必要な研修というものを、 ※として注釈を付けているので、説明をさせていただきます。まず※1です。医師の確 保が困難な一定の地域というものですが、現在、医療政策上、医師が不足し、医療の提 供が困難となるおそれがある地域として、医師の配置基準の特例措置等の対策がとられ ている、次のいずれかに該当する地域を、その区域内に有する市町村としたいと考えて います。(1)から(4)までございますが、まず1つ目。離島振興法により、離島振興対策実 施地域として指定された「離島の地域」。それから2つ目ですが、辺地に係る公共的施設 の総合整備のための、財政上の特別措置等に関する法律に規定する「辺地」。3つ目です が、山村振興法により、振興山村として指定された「山村」。4つ目ですが、過疎地域自 立促進特別措置法に規定された「過疎地域」。以上の4地域です。  次の頁にいま申し挙げた4つの地域がございますが、それぞれ例示として一部の地域 を挙げさせていただいております。これは全国、全てということではございませんが、 北海道においては例えばここに挙げているような地域、また、宮城県においてはこちら に挙げているような地域、また、東京都においての地域、それから鳥取県ということで、 例示で挙げさせていただいているので、ご参照ください。  続いて次の頁、※2の注釈です。医師の確保が困難な一定の地域で、医業を円滑に行 うために必要な研修の仕組みです。これは現在、へき地など医師の確保が困難な地域で、 医業に従事する者に対しては、例えば以下のような研修が実施されているということで して、現在、へき地医療に係る研修として、例えば都道府県のへき地医療支援機構にお いて実施している、へき地医療に関する研修を挙げさせていただいております。こちら のほうも、ご参照いただければと思っています。資料1については以上です。  続いて資料2をご覧いただきたいと思います。こちらは今回、産前産後休業、育児休 業等の場合に、医療関連業務への労働者派遣を認めてはどうかということですが、この 医療分野における現在の産前産後休業、育児休業等の取得状況はどうなっているのか、 というものを示しています。  まず、いちばん上の段が平均産前産後休業日数ということです。産業別合計で見ると、 平均的には産前休業が38.2日、産後休業が57.9日となっています。続いて産業ごとに 示しておりまして、下線が引いてあります。医療、福祉ということで、医療のみではな く福祉もまとめてですが、医療・福祉分野において産前休業が40.4日、産後休業が55.9 日という状況になっています。  続いて下の表は、育児休業の取得者割合です。まず、出産した女性労働者に占める育 児休業者の割合は、合計で申しますと70.6%。次に右ですが、配偶者が出産した男性労 働者に占める育児休業者の割合は、合計で0.56%となっています。  今のが産業計ですが、これを医療・福祉分野と見ると、出産した女性労働者に占める 育児休業の割合が86.7%、配偶者が出産した男性労働者に占める育児休業者の割合が 0.61%という状況になっています。  続いて資料3です。これは前々回、委員より医療分野における紹介予定派遣、社会福 祉施設への労働者派遣について、苦情相談が多いか等、その運用の実態について明らか にというご指摘があったことを受けまして、私どもの都道府県労働局に対して調査した ものを整理したものです。  まず把握の方法ですが、病院、診療所、助産所、介護老人保健施設等における、医療 に関係する業務について、平成17年4月から10月までの間における労働者の苦情等の 申出を端緒として、全国の都道府県労働局で把握した労働者派遣法に抵触する可能性の ある事案を整理させていただいています。  調査した結果ですが、2労働局における延べ3件の事案を確認しました。把握した事 案の概要を、簡単にご紹介します。まずアですが、病院Aにおいて一般労働者派遣事業 の許可を有するB社から派遣されて就労していた労働者Cが、解雇の理由に納得がいか ない等を申し出、これが端緒です。当該労働局において実情を把握したところ、当該労 働者派遣は、管理栄養士を派遣するものであり、労働者派遣法第4条違反が判明。解雇 にかかる苦情については、引き続き当該労働局が設置している総合労働相談コーナーで 対応。また当該労働局は、Bの労働者派遣法第4条違反はすでにないことを確認済みで す。  次にイですが、社会福祉法人Aの介護老人福祉施設及び軽費老人ホームにおいて、医 療法人B。このBは派遣事業の許可、届け出、ともにございませんが、その職員である 看護師複数名が介護等の業務に従事しており、労働者派遣法に抵触しないか等について、 地方公共団体から問い合わせがありました。これについて無許可、無届等の違法な労働 者派遣事業のおそれがある。また、情報提供の経緯から、現在、当該地方公共団体を通 じた実情を把握しているところです。  続いてウです。病院Aの事業所内において、受託業務としてB社の臨床検査技師が従 事していた検体検査の業務について、Aの職員の混在が見られ、労働者派遣法に抵触す るのではないか等について、Aの労働組合から申し出がありました。当該労働局におい ては実状把握を行った上で、適正な請負により業務が実施されるよう指導しまして、以 後、当該業務はAが実施するようになったと把握しています。  2頁目は参考として付けさせていただいていますが、医療資格者の労働者派遣の状況 についてということで、医政局において聞き取りをしたものを簡単にまとめています。 平成17年7月現在における紹介予定派遣等にかかる医療資格者の労働者派遣の取扱状 況を、一般労働者派遣事業の許可を有し、医療資格者を取扱っている東京都内の6派遣 元事業主をサンプルとして、聞き取りを実施したものです。概要はここに付けてあると おりですが、社会福祉施設等においては看護師が241人、薬剤師が1,200人。紹介予定 派遣については看護師140人、薬剤師800人という実績を聞き取りで把握しています。 資料3については以上です。  資料4ですが、これについても前々回に委員より、医師不足の状況がわかる資料等と いうことでしたので、まず1、2頁目が医師の不足、医師の偏在状況を示した資料です。 1頁目の黒い四角の2つ目、医師の配置標準適合率とございますが、これの中で全国と 比べて、北海道、東北等は全国と差がある、というのが見ていただけると思います。  また、2頁においては都道府県別に見た、医療施設に従事する人口10万人対医師数 ということですが、こういった地域の偏在があるという状況です。  続いて資料の3頁目以降です。これは医師不足という資料ではございませんが、今回、 産前産後休業、育児休業中の医師の業務についても労働者派遣を認めてはどうかという ことですので、その際の参考として、現在、男女比で見ても数で見ても、女性医師が増 えているということをご紹介した資料です。こちらが3頁、4頁ということで、付けさ せていただいております。  続いて資料5ですが、これは今回へき地といった医師の不足している地域において、 医師の労働者派遣を選択肢の1つとして認めてはどうかということですので、実際、現 在そういった地域における医療の確保対策として、どのような対策が講じられているか を、参考までにご紹介させていただいたので、説明は省略させていただきますが、ご参 照いただければと思います。資料の説明については以上です。 ○清家部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明に関して、委員の 皆様からご質問、ご意見等を承りたいと思います。よろしくお願いします。 ○北村委員  私も詳しい状況はよくわからないので、ちょっと関係者の方のお話を2、3聞いてみ たのですが、すでに、へき地といわれる所の医師の供給については、各地方自治体など も大変苦労しておられることはよくわかりました。言ってみれば、不便な土地に赴任な さる方については、リクルートした上でいろいろなお手当を付けて、いわゆる雇用関係 としては悪くない状況があるということも聞きまして、しかしそれでも人が集まらない のだと。一応いろいろな形で募集と派遣ということが行われて、アサインして赴任して いただくことが行われているようですが。そして、その条件は客観的に見て、決してお 手当等で見ると悪くはないということも聞きまして、そこで派遣という業態が入ること によって、こういったアンバランスがどういうメカニズムで、どのように解決されてい くのかという、何かシミュレーションみたいなものはあるのかなという気がしたのです。  もちろんバインドを外していくというのは基本的に大事なことだと思うのですが、こ こでへき地医療に関して、すでにかなりオープンに募集があって、かなり気遣いをした 対応があって、そしてなお足りない。派遣にするということの具体的なメリットがちょ っとわかりにくいので、その辺について教えていただければと思ったのですが。 ○清家部会長  正社員で雇おうとしても来てくれないのに、どうして派遣だと来てくれるのかと、そ ういうことですね。 ○北村委員  そうです。すごく素朴な疑問なのですが。 ○清家部会長  では、その辺について医政局の方、お願いします。 ○山口補佐  1回目のご審議の際に総務課長のからもお答え申し上げましたが、特にへき地への派 遣容認については、へき地における医師確保の手段として非常に有効であるとは、医政 局としても必ずしも考えておりません。特区本部に対しても、むしろそうした趣旨もあ り、反対を表明してきました。若干アイディアベースのものまで含めて、夏に関係省庁 と医師確保のための総合対策を取りまとめたのですが、その際にも医師派遣というもの は、有効なツールとして念頭に置かれていませんでした。  ただ、実際に事業者の方から具体の要望があり、特区本部で特に取り上げられたとい うこともありますし、ニッチビジネスとして新たなことも起こってくるかもしれません が、それがどれだけ活用されていくかということとは別に一つの選択肢として、どうし ても反対するまでの理由もないのではないか。もっとも休業代替のほうについては、よ り潜在的ニーズはあろうかと思っていますが、そうした温度差が、2つの類型にはござ います。 ○北村委員  わかりました。ありがとうございました。 ○池田委員  非常にシンプルで単純な質問を、事務局にお願いしたいと思います。やはりお医者さ んの問題ですが、一般労働者派遣事業の中でやりたい、そうすると、そこに出てくるの は、お医者さんと派遣元の関係が出てくる。ヨーロッパでもアメリカでもどのようにな っているかわかりませんが、このお医者さんを扱うということは、よほど派遣元が医療 事業に対して深い理解とその対応がなければ、私はできないと思っています。なぜかと いうと、人間の健康や命の問題を扱うわけです。そこには医療ミスもある。いろいろな トラブルが発生する。ということになるならば、派遣元は派遣労働者と言っていいのか、 派遣労働者という医師に対して、どういう契約をするのか。そして、そこから派遣され た医師は、もし重大なミスを犯した場合には、どのような補償をするのか。すなわち派 遣元がやるのか、犯した医師が補償するのか。そういった問題が出てくるのではないか と思っています。ですから、そこのところは事務局にはっきりと、こういう形でやりた いのだということを、まず説明をお願いしたいと思います。  2つ目には一般労働者派遣事業ということで、我々はいつも、また後半にやるのです が、派遣元を許可するわけです。やはり一般の労働者と、それから医師というのは、国 家試験を通っているわけですから、相当な日当というか、1日の平均的なものは高いと 思っています。ですからどのぐらいの設定というか、それは市場原理というようにお任 せするのかもわかりませんが、どのぐらいの平均的な1日の賃金を予定しているのか、 そこら2つをまずお聞きしたいと思います。 ○坂口課長  2点目の、一日の平均的な賃金というのは、従前も統計的なデータをお知らせしまし たけれども、やはりある程度は派元、派先間の派遣契約、あるいはそれに基づいた部分 での賃金の設定なので、具体的に事務局として想定している賃金というのは、ありませ んというお答えになってしまうわけです。ただし、もう1点については、まさしく池田 委員がおっしゃったように、医業は人命に関わる職業ということです。その職業につい ての重要性と言うか、ミスがあってはいけないということについては、まさしく医師と いう国家資格を通した一定の力量、技量の担保ということが求められているわけです。 いまおっしゃったように、何らかのトラブルがあった場合ということに則していけば、 これまでも医業については紹介予定派遣等々を先行して、一定のチーム医療等との関係 で支障がないというものについては解禁しています。そういうところについても、一定 の派遣労働者の方が、第三者たる患者さんに損害を与えた場合については、いわゆる病 院、診療所等の仕事場における指揮命令の中で、労働者の方が損害を与えたということ になれば、一般的には派遣先が損害賠償の責任を負うことが通例かとは思います。いず れにしても、派遣契約を派遣元事業主と派遣先が締結する中で、そういう損害賠償につ いての責任の所在を、できるだけ明確にしていただくように、これまでも派遣先に対し て通知等で周知啓発を促しています。今後とも、そういう措置を徹底していきたいと考 えています。 ○池田委員  それはそれとして理解できましたが、もう1つ大きな問題があります。医師と派遣元 で契約をして、派遣先に行かれる。いま言ったように、派遣先の指揮命令下に入ること はもう十分にわかっているわけです。そこで、一般労働者派遣事業と違っているところ として、先ほどから言っているように、国家資格を持っている人が研修期間を経て、派 遣先にいる。その派遣先である病院あるいは自治体、それがどういうへき地に行ってど ういう関係になるのかわかりませんけれども、そこでこの先生は要りませんと解雇にな ったときに、派遣元がその派遣先に行って、なぜ解雇をするのかということをきちんと 救済できるのか。文書上、法律上はできているけれども、本当にできるのかという問題 が1つ絡むのですが、その辺はどうでしょうか。 ○坂口課長  いま池田委員がおっしゃったような局面は、重要な問題だと思っています。いまのご 指摘のとおり、派遣元あるいは派遣先の中で、労働者の方からの苦情処理ということの 体制を、きっちり整えていただくということは、派遣法上の一般的な施行の観点からも、 それぞれの事業主に求めているところです。まさしく医業における派遣の場合に、特に 派遣先たる病院等において、派遣元事業主を選定される場合、いま池田委員がおっしゃ ったような、医療資格者である派遣労働者からの相談や苦情、派遣先においてうまく適 応しなかった場合の後での処理という点についても、対応し得る体制がちゃんとなされ ているようなところを、派遣元の事業主の選定にあたっては、考慮して選んでいただく ように、通知等で周知啓発していきたいと考えています。 ○池田委員  最後は、先ほど言ったとおり、一般労働者派遣事業の中での派遣元の問題です。医師 というのは難しい職業ですね。それほどややこしく難しい医師の派遣を、派遣元がきち んとやると思いますか。単純なことなので、お聞きしたいのです。 ○坂口課長  率直に申しまして、そういうところが出来ないような派遣元事業主であれば、派遣先 の病院や診療所の皆様が派遣元事業主を選ぶ際に、選定対象になるか否かという観点か らみると、対象になり得ないと思います。前回もヒアリングをさせていただいた際にも、 派遣先となられる側の皆様からも、一定の資質の担保ということの必要性も強く謳われ ていたわけです。最低限と申しますか、派遣事業者として然るべく対応ということは、 許可届出あるいは私ども労働局の指導監督の一環として、きちんとした担保をするわけ ですけれど、更にとなりますと、派遣元事業主の選定ということによって、選ばれてい くのではないかと思います。ただ先ほどの資料の中で、都内での派遣元という形で説明 しましたとおり、私どもがいま承知している範囲でも、医業について既に先行実施され ている紹介予定派遣についても、すべての派遣元事業主がそれを手掛けているというこ とではなくて、今回いろいろご要望があったところも含めてかもしれませんが、一定の 医療関係業種ということの専門性と言いますか、理解の深いところが手掛けていかれる のではないかと考えています。 ○川畑委員  単純な質問なのですが、医師の方ですが、派遣だから希望者がいるのか、いないのか という問題なのです。医政局の先ほどの文書を見せていただいたのですが、医政局でも いろいろ苦労はされている。ということは、労働者のほうがこういう離島や山村へき地 に行きたがらないわけです。都市部の間でも条件の良いところに流れて行っている、あ るいは開業されているという文書を見せていただきました。そのような状況で、派遣だ から離島へき地の方へ満足にクリアできる問題でもないと思うのです。そういう反面か ら言うと、労働者にすごくメリットのあるような対策を、考えていらっしゃるのかどう か。そういうことをお聞かせ願いたいです。もし派遣の労働者をへき地離島に向けよう とする場合、労働者個人のメリットがないと行かないと思うのです。そういうことを考 えているのか。 ○山口補佐  それは先ほどの説明と重なってくるのですが、必ずしも仕向けているというものばか りでなくて、施策の中には、いろいろとニュアンスの違いがあると思うのです。例えば 卒後臨床研修が義務化されまして、その中でへき地のような所での研修が一定期間必修 化されています。プライマリケア、基礎的な診療能力を身に付けるという基本理念の現 れの1つが、へき地での研修の必修化ということです。  そういう理念を体得して養成されてくるこれからの医師は、医政局の思いとしては、 以前にも増してそういった診療に理解を持っていただき、そうした地域にも行ってくれ るようになるのではないか。そのような本質的なところで、へき地へ仕向ける誘因とな る施策もあります。  今回の派遣容認については、これでへき地の穴埋めは大丈夫だというような趣旨では ありません。本当に選択肢の1つなのです。ですから、当方がやろうとしている制度の 仕組みが厄介すぎて使われない、ということでもあれば別ですが、派遣制度上の一制度 として門戸を開いて、それがどの程度使われるかは、結果を見てみないとわからないと ころがあります。ただ、医政局として、へき地などを中心に様々な医師確保対策に注力 している中で、当の医政局がそこで門戸を閉ざしてしまっていてはどうだろうかという 問い掛けに対し、そこだけは開かせていただこうということです。  比較的ストレートなへき地対策ということであれば、本日お配りしている資料5の中 で、主なものを列挙しています。資料5の1枚目は、へき地保健医療計画というものを 5年毎に改定しており、たまたま変わり目に当たるので来年度以降の大元の考え方を取 りまとめたものです。  あるいは3枚目、これは先ほどちょっと申し上げました、関係省庁で医師確保に対す る意気込みの現れとして、何でもやってやろうという精神でまとめたものの主な項目で す。本当にいろいろな角度で考えているということで、決してこれだけでということで はございませんので、その辺りをご理解賜ればと思います。 ○鈴木補佐  補足ですが、医療の提供については、一義的には医療の提供に、都道府県が責任を持 つという形の法律になっています。そしてこの医療の世界では5年に1度、社会主義社 会のように医療計画というのを立てなければいけないことになっています。これは各都 道府県で立てることになっています。  いま総務課から説明があったのは、医療計画の中で都道府県がこういうへき地の所に 対して、どれだけ医師を確保するかということのオプションとして、こういうものを作 りましょうということの基になっているものです。要するに、各事業所などがこういう ことをしなさいというよりも、県としてこういうことで医師を確保していきましょうと いう、少し大きな話の中身になっています。簡単ではありますが、補足いたしました。 ○長谷川委員  ちょっと医政局に聞きたいのですが。資料5の第10次の医師確保等の新たな方策(3)、 「へき地・離島に勤務する医師・歯科医師等の確保・紹介のための公正で公明かつ持続 的なシステム」とありますが、これは何を指しているのかお聞きしたい。いま説明があ った3頁の(3)、「へき地医療や小児救急医療等に対する関係者の責務の明確化と積極 的評価」、この中身をお聞きしたい。  もし、これらの施策が実行されれば、敢えてへき地の医師の充足のために一般派遣を 利用しなくても、これで出来るのではないかと思います。それでもへき地の医師確保の ために、派遣を使わなければいけない理由を教えてほしい。 ○鈴木補佐  いまのご質問の件ですが。都道府県の、地域ごとの医療の確保に穴が空いては困ると いうことで、医師を連れてこなければいけない。その中で、事業主というよりも、都道 府県などで公務員の形で地域医療をしていたり、公立病院があったり、診療所が公立の ものだったりする。そういうときに、医師をいろいろな所から連れてくるような方策を 考えませんかというのが中身になります。  具体的なところでは、いまの2枚目にありました、女性医師バンクなどはまだ構想の 段階で、特段その先のところが現在はありません。こういうものもあるのではないかと いうことが、こちらに書いてあるという次第です。 ○長谷川委員  この間も言ったのですが、医師の不足というのは、例えば、弁護士が1人もいないゼ ロワン地域と言う所があります。そういう地域に対して、リーガルサービスをちゃんと しようというものです。ゼロワン地域対策というと、日本弁護士会が弁護士の社会的責 務として、そういう社会活動も行うのだということで、自らひまわり基金制度を作って、 600万人ぐらいの弁護士を2年ぐらい派遣させる制度があるわけです。  弁護士と医師というのはよく似ているところがあるので、医師も民間の派遣制度を使 うより、むしろそういうものを作って全国の無医村地域をなくすほうが、医療政策とし ては非常に良いのではないか。そこのところがよく見えないまま、派遣というのが突如 出てくることに、私はちょっと理解に苦しんでいます。  例えばこの頁に社会的責務と書いてありますが、医者にも社会的責務があるのだとい うことをちゃんと謳いながら、医師として過疎地に行ったり無医村地帯に行くというこ とを、きちんと医師会だとか地方公共団体に位置付けていきながら、解消していくとい うのが、私は政策の方向として正しいのではないかと思います。特区の話からこれが出 てきたので、非常に私は理解に苦しんでいるのですけれども、その辺は何か理由がある のですか。 ○山口補佐  いくつか思いますに、まず前回の関係団体からのヒアリングの中で、日本医師会から 原則論は原則論として、今回結論としてはやむを得ないとおっしゃりつつも、管理業務 への派遣については医師会としても反対だという趣旨のことを確かおっしゃったと思う のです。要は全然誰もいない所に、その派遣の人だけが来て、その人に任せてしまうと いうのにはちょっと怖さがある。そういう意味で、ゼロの所に派遣を1人持ってくると いうことには、そういうご意見もございます。  あるいは医療連携体制の観点から、特にへき地では医師の数も少なく、医療関係機関 も少ないということで、医師のいないその地域だけで必ずしも完結できるものではなく、 結局いろいろなところに紹介や転送が必要になったりと、いろいろな連携を取り合って、 初めて医療がその地域で成り立つという側面がありますので、本当にピンポイントで狭 い地域だけであると、必ずしも適当ではないのではないか、ある程度エリアを取って考 える必要があるのではないかと。 ○長谷川委員  いまのことに少し関連するのですが。例えば建設労働者の場合は、ある意味では別の スキームを使ったわけです。医療の場合は、前回もいろいろな議論はあったと思うので すが、チーム医療や人の命、安全などが非常に重要視されるわけです。そういうものに 対して、一般派遣と同じような扱い方で良いのか。それとも、建設労働や港湾労働など のような、そういう形の別にもっと厳格なスキームか何かを作ったほうがよいのではな いかと、この間のヒアリングを聞きながら感じていたのです。私の疑問に、厚生労働省 にお答えいただきたいのですが。 ○坂口課長  いまの長谷川委員のお話は、特に建設・港湾労働における、派遣業の問題解決との兼 ね合いということかと思います。従前もご説明しましたように、まさしく港湾運送業務 や建設業務というのは、派遣法上で適用除外業務となっているところです。  これは歴史的にもいろいろな悪質なブローカー等が、労務供給者として介入するとい うことで、まさしく強制労働であったり、中間搾取というような弊害も生じているとい うことから、労働者派遣という労働力の需給調整システムということそのものが、労働 者保護の観点からもこの2つの業務には適切ではないということで、法律上も否定して いるということです。  その中で、それぞれの雇用の安定のために、例えば港湾労働であればその港湾労働の 波動性であったり、建設業であれば受注生産などの特異性も鑑みながら、特別なシステ ムが作られていると考えています。  一方、医療の関連業務については、いま長谷川委員からご指摘があったとおり、港湾 労働や建設業務のような、強制労働、中間搾取という弊害の生じる蓋然性から法律上で 適用除外としているわけではないのです。法律上は、一旦は医療関係も対象とした上で、 政令で機動的に適用除外業務を定める部分において、従前より指摘されているようなチ ーム医療との関係を念頭に、患者への医療の提供に支障が出てしまうのではないかとい うことから、適用除外としています。  そういう意味では、本質的な部分での港湾労働、建設業の派遣に馴染まないという部 分とは、その部分での考えは違うということです。いま長谷川委員からご指摘があった ように、そういう議論の整理からも、社会福祉施設あるいはその紹介予定派遣に対して の、医療関係業務への派遣業種の適用ということについて、政令を一部改正する処理を させていただいていると理解しています。 ○清家部会長  他によろしいでしょうか。この医師の派遣の問題については、最初に北村委員がご質 問になったこと、あるいはその後各委員がご質問になったところと、かなり共通してい ることとは思いますけれども、基本的には医師不足等がある中で、さまざまな方策で医 師を集める必要があるということです。実際にそこに派遣労働者として、応募する方が いるかどうかは別として、その可能性を制度的に閉ざしてしまっているのはいかがなも のかという観点から、この規制を改定しようという趣旨のものであると思います。この ような医政局からのご説明であったと理解していますが、いかがでしょうか。医政局の 方、そういう理解でよろしいでしょうか。 ○山口補佐  結構です。ただし繰り返しになりますが、休業代替の方についてはニュアンスがかな り違うかと思います。 ○清家部会長  では、それでよろしいでしょうか。他にご意見がないようでしたら、もちろんいろい ろとお考えはあるかと思いますが、本日の議論も踏まえつつ、事務局においては本日ご 意見をいただいた資料1の整理に沿って要綱案を作成し、次回お示しいただくように準 備をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。では、そのようにさせていただき たいと思います。  それでは、育児休業等の場合等における医療関係業務への労働者派遣についてのご審 議はこれまでといたします。次に、一般労働者派遣の許可の諮問に移りたいと思います ので、恐縮ではありますが冒頭で申し上げましたように、傍聴されている方はここでご 退席いただきたいと思います。 (傍聴者退席) ○清家部会長  それでは、最後に事務局から何かありますでしょうか。 ○篠崎補佐  次回でございますが、12月27日(火)14時から安定局第1会議室で行う予定です。 ○清家部会長  それでは、次回の部会は12月27日ということですので、日程の確保等よろしくお願 いいたします。以上をもちまして、第79回労働力需給制度部会を終了いたします。委 員の皆様、どうもありがとうございました。    照会先  厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係  〒100-8916東京都千代田区霞が関1-2-2  TEL 03(5253)1111(内線5747)  FAX 03(3502)0516