05/11/24 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成17年11月24日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年11月24日 14:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(13名)五十音順    青 柳 伸 男、 井 上 和 秀、 岩 崎   学、 堺   秀 人、    首 藤 紘 一、 田 島 知 行、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、   ○長 尾   拓、 早 川   浩、 樋 口 輝 彦、 長谷川 紘 司、     村 勢 敏 郎 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(1名)    谷川原 祐 介  3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    川  原   章(審査管理課長)、    豊  島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    浦 山 隆 雄(医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂  本   純(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催 させていただきます。本日は、お忙しい中お集まりを頂きましてありがとうございます。 土屋先生がまだお見えでございませんが、本部会委員数14名のうち、13名の委員の御 出席を頂く予定でございますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。 御欠席は谷川原委員のみと伺っております。それでは永井先生、以後の進行をよろしく お願いいたします。 ○永井部会長 まず、事務局から配付資料の確認及び資料作成に関与された委員の報告 をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、先生方の机の上に議事次第、座席 表、名簿のセットを配らせていただいております。議事次第に資料ナンバーが振ってあ りますけれども、資料1〜10まではあらかじめ先生方にお送りさせていただいた資料で す。本日の席上配付資料といたしましては、資料11として横置きの審議品目の薬事分科 会における取扱いの表でございます。資料12として専門委員のリストです。それから資 料ナンバーはありませんけれども、前回当部会で御審議いただきましたアリピプラゾー ルについての添付文書の新旧対照表を一番下に配らせていただいております。これにつ きましては、一番最後に御報告申し上げる予定でございます。  関与委員の件でございます。平成13年1月23日の薬事分科会の申合せに基づきます 資料作成に関係された委員の確認ですが、審議事項の議題4、プラビックス錠につきま して永井部会長が関与されておりますので、永井先生におかれましてはこの間は別室で 御待機いただきたいと思います。そのため、議題4につきましての議事進行は長尾部会 長代理にお願いをいたします。よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。本日は審議事項5議題、報告事項5議題とな っております。では、最初の議題1につきまして機構から概要の御説明をお願いいたし ます。 ○機構 議題1、資料1、医薬品ロキソニンパップ100mgの製造承認の可否等について、 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるロキソプロフェンナトリウムは、プロピオン酸系の非ステロイ ド性抗炎症薬であり、経口剤で慢性関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症などの消炎・ 鎮痛、手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎等について承認されております。  今般、申請者はロキソプロフェンナトリウムの水性経皮吸収型貼付剤を開発し、整形 外科領域における局所の疼痛疾患で、比較的皮膚表面に近い部分に患部が局在されると 考えられる変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛を効能・効果として製造承認申 請がなされております。  ロキソプロフェンナトリウムの錠剤は、現在、本邦を含め韓国、アルゼンチンなどの アジア、南米を中心に20か国で炎症及び疼痛性の疾患の治療に使用されておりますが、 ロキソプロフェンナトリウムの貼付剤としては、海外において開発は行われておりませ ん。  本申請の専門委員としては、資料12に記載されております高岡委員、中村委員、奈良 間委員、宮川委員、森田委員、森本委員、山村委員、吉岡委員の計8名の委員を指名い たしております。  審査内容について簡単に御説明いたします。品質、毒性、薬理、薬物動態について特 段の問題はないと判断しており、また本剤は全身曝露が既承認の経口投与に比べ、リス クが上回るものではないと考えられております。  臨床成績について御説明いたします。本申請に関する臨床治験は、いずれも国内で実 施されております。第II相試験の結果、用法・用量としては本薬100mgを含有する1% 製剤を1日1回投与と設定されました。第III相でロキソニン錠、ケトプロフェン貼付剤、 インドメタシン貼付剤を対照とした試験がそれぞれ実施され、いずれにおいても非劣性 が検証されております。また、12週から24週までの一般臨床試験も別途実施されてお ります。  安全性については、貼付局所を中心としたものが発現されておりますが、副作用発現 率、及び認められた事象は類薬と大きく異なることはなく、現時点で問題ないと考えて おりますが、承認後には同時に複数枚使用されることが想定され、また長期間使用され るケースも否定できず、本剤の薬理作用に起因する心血管系、消化器系障害などの可能 性も考慮し、製造販売後には使用実態下における使用成績調査を実施し、本剤の安全性 等について検討するように求めております。  以上のような審査を踏まえ、本剤の変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛に対 する本剤の適応を承認して差し支えないと結論に達し、本第一部会で御審議いただくこ とが適当と判断いたしました。  本剤は新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年間、毒薬及び劇薬のいず れにも該当せず、また生物製剤及び特定生物製剤のいずれにも該当しないと判断してお ります。なお、薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願い いたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問、御意見をお願いいたします。 堺先生から御意見を頂いておりましたか。 ○堺委員 ロキソニンといえば、内科医は大体、例えば消化性潰瘍やその他いろいろな 副作用を考えるわけですけれども、これは内服薬とは異なりパップですから、血中濃度 は非常に低いので、治験の過程では副作用は確認できなかったというデータかと思いま す。  逆に、臨床の現場を担当している医師は、ロキソニンという言葉でそういう副作用を 連想するかと思うのです。この添付文書を拝見すると、喘息以外のものは特に挙げてお りませんが、治験の過程で何かそういうものがなかったので、このパップに関してはそ ういう副作用は考えなくてもいいと言ってしまうと逆に問題かもしれませんが、ロキソ ニンという言葉から多くの者がそういう副作用を連想するかと思うのです。その辺につ いては、特に注意書きというのも、逆の注意書きになるわけですが、そういうことは心 配しなくてもいいというようなものは必要ないのでしょうか。 ○審査管理課長 先ほどの説明にも出てまいりましたけれども、このものと類似の非ス テロイド薬のパップ剤がケトプロフェンやフルルビプロフェンですので、恐らくそちら の方でちょっと直接的なものがないということで、類薬で同じような形状のものでもな いということ、それからもちろん治験の中でもそういう事例がなかったということで一 応書いていないものと理解しております。どちらかといいますと、先生の御指摘は場合 によっては名前を変えた方がいいのではないかと。 ○堺委員 いいえ、そこまでは申しておりませんが。 ○審査管理課長 そこまでというわけではないのですか。 ○堺委員 そこまでは申しておりません。例えば類薬のモーラステープなどですと「あ あ、そうか」とみんなが思いますけれども、ロキソニンからそういうことを逆に連想し ないかなと思っただけで、特に実用といいますか、市場へ出されて普及される上で差し 支えなければ特に問題はありません。 ○審査管理課長 一応、現時点で得られたデータや類薬の状況を見ますと、特段の問題 はないと考えております。 ○永井部会長 あとロキソニンの場合ですけれども、長期投与するといろいろな副作用 が出てきますが、パップ剤であれば余り心配は要らないという理解でよろしいのでしょ うか。それは、あえて「漫然と長期使用しないこと」などと書く必要もないということ でしょうか。 ○機構 事務局から御説明いたします。市販直後調査においては、「漫然投与しないこ と」のような注意喚起を長期投与に関しては行っていくように申請者の方に指導してお ります。また胃腸障害等につきましては、市販後において使用成績調査1,500例程度を 行って、こちらの方でまた見ていき、そういうような事象が出てきましたら添付文書等 に反映させるように申請者の方に指導しております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。岩崎先生、どうぞ。 ○岩崎委員 変形性膝関節症を含めて、いろいろなものについて試験をやっていますけ れども、有効性の評価は全般改善度という形で大体すべてのものに行っていると思うの ですが、やはり疾患によっていろいろと違うと思うのです。ですから、どのようにその 有効性を判断されたのかをお教えいただきたいと思います。 ○審査管理課長 外用の非ステはまだガイドラインはなかったのでしたか。ないのです ね。内服は全般改善度…。古いもので改定をしなくてはいけないということで、今作業 中ではあるのですが、それではその辺は追加で御説明願えますか。 ○機構 事務局から御説明いたします。これもまだ古い試験等なので全般改善度で行わ れていて、先生同様機構も客観的評価をした方がいいのではないかと考え、今後の開発 についてはそういう方向で行っていただけるように審査報告にも書かせていただきまし た。古い試験だったので、こちらも全般改善度で評価させていただきました。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はございませんでしょうか。よろし ければ、承認可ということで薬事分科会に報告させていただきます。どうもありがとう ございました。では、次の議題2のゴナール-f皮下注と、議題3のプロファシー注は併 用して使用するということで関連する議題ですので、機構の方からまとめて御説明をお 願いいたします。 ○機構 それでは資料2、医薬品ゴナール-f75皮下注及び同150皮下注、資料3、医 薬品プロファシー注5000について、医薬品医療機器総合機構から説明させていただきま す。  ゴナール-f皮下注及びプロファシー注は、低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症に おける精子形成の誘導に対し、併用して投与されることから併せて審査を行いました。 ゴナール-f皮下注の有効成分は、遺伝子組換えホリトロピン アルファであり、遺伝子 組換えヒト卵胞刺激ホルモン(r-hFSH)です。ゴナール-f皮下注は平成17年6月現在、 海外では乏精子あるいは無精子を伴う性腺機能障害の治療薬として、欧州、米国など世 界 56か国で承認されております。低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症は非常にまれな 疾患であり、妊孕能の獲得を目的とした適切な代替薬がないことから、本剤は平成12 年9月20日に「希少疾病用医薬品」の指定を受けております。  プロファシー注の有効成分は、胎盤性性腺刺激ホルモン(hCG)であり、こちらは効能追 加申請となります。両剤ともセローノ・ジャパン株式会社からの申請です。  本品目の審査に関しまして、専門委員として配付資料12に記載されております赤座委 員、大野委員、菅野委員、武田委員、出口委員、新見委員、松岡委員、横山委員、吉村 委員、渡邊委員の計10名の委員が指名されました。  本品目の審査の概要について説明させていただきます。品質、毒性、薬理及び薬物動 態については審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、特に問題はないと判 断いたしました。  国内第III相試験の成績において、ゴナール-f皮下注とプロファシー注の併用投与によ り18例中16例で精子形成が認められ、同様に実施された海外臨床試験の成績を参考に 評価を行い、当該疾患に対する本剤の有効性は確認されたと判断いたしました。  安全性について、臨床上大きな問題となる有害事象は発現しておらず、国内治験例が 極めて限られているということから、市販後に更なる検討が必要ではありますが、承認 の可否に影響するような重大な懸念は認められないと判断いたしました。  以上を踏まえ、ゴナール-f皮下注及びプロファシー注の効能・効果に関しては、両剤 の併用投与の目的を考えますと、「低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精 子形成の誘導」とすることが妥当と判断いたしました。  ゴナール-f皮下注の用法・用量に関し、国内臨床試験では最大投与量とされている 300単位、週3回投与まで増量された経験はありませんが、海外試験成績等から精子形 成の誘導が認められない場合には、増量することは意義があるものと判断され、用法・ 用量について、増量に関する記載の整備を行っております。  以上のような検討を行った結果、ゴナール-f皮下注及びプロファシー注を承認して差 し支えないとの結論に達し、本医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であ ると判断いたしました。  ゴナール-f皮下注は希少疾病用医薬品であり、国内治験症例が少ないことから、市販 後は投与症例全例を対象とした調査を行う必要があり、承認条件を付し、再審査期間は 10年、薬事分科会へは報告を予定しております。  プロファシー注は既に下垂体性男子性腺機能低下症等の効能・効果を有し、臨床現場 で使用されておりますが、低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の 誘導に対して、併用投与されるゴナール-f皮下注と同様の承認条件を付し、再審査期間 は10年、薬事分科会へは報告を予定しております。  なお、ゴナール-f75皮下注、同150皮下注の販売名につきましては、申請時には「ゴ ナール-f」となっておりましたが、すべて片仮名で「ゴナールエフ」に変更し、続いて 「皮下注用75」又は「皮下注用150」とし、添付文書での英名表記については日本名表 記に合わせて、スペルの方を「GONALEF」に変更する予定です。御審議のほどよろしくお 願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問をお受け したいと思います。 ○田島委員 質問というほどでなくて、教えていただきたい部分があります。ゴナール のポアの作り方の問題ですが、いわゆるCHOに遺伝子を合わせて、それの発現のあっ たものをマスターセルバンクにして、そこからワーキングセルバンクを取りながら、そ の培養上清から抽出するというような過程だと思うのです。このワーキングセルバンク はこれを読みますと□日間連続培養して、□日ごとに培養上清を取っているというので すが、この細胞に関しては□日たった後は廃棄するということなのでしょうか。 ○審査管理課長 通常はそうだと思われますが、ちょっと確認させていただいてよろし いでしょうか。 ○田島委員 このお薬に関してそれほど意味のある質問だとは思わないのですけれど も、ちょっとこの辺のところが分からなかったものですから。 ○審査管理課長 いわゆるこういうバイテク応用のものにつきましては、審査の有効性、 安全性を確認する部署と、それから製造工程のバリデーションといいますか、その辺を 確認する部署が連携して機構内で審査を行っているはずでございますので、ちょっと確 認をしていただきたいと思います。もう分かりましたか。 ○田島委員 時間も貴重ですので。 ○審査管理課長 すみません。後で確認の上、御返答させていただきます。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。青柳先生、どうぞ。 ○青柳委員 教えていただきたいのですけれども、ゴナール-f皮下注の医薬品を投与し た場合に非常に個体差が大きくて、しかもPKとPDの関連性もないと。添付文書を見 ると、とりあえず効かなかったら増量するということになっていますけれども、何かそ ういうようなバックグラウンドのインフォメーションを与えておかなくてもよいのかと 思ったところなのです。 ○審査管理課長 今の御質問はかなり個体差が大きいといったようなところを…。 ○青柳委員 薬効も関係がないと。それで結局やってみて精子が増えなかったら単に用 量を増やすという添付文書になっていますけれども、やってみて効果がない、はいはい と言うには非常に…、個体差があるという情報を与えなくていいのかなと思ったのです。 ○審査管理課長 そこは、添付文書の記載をもう少し充実してはどうかということでご ざいましょうか。 ○青柳委員 はい。 ○審査管理課長 では、もし機構の方で追加のコメントがあればお願いいたします。 ○機構 確かに先生が御指摘のようにかなり個人差がございます。添付文書といたしま しては、結局のところは週に150単位を3回投与して、精子が認められなかった場合は 増量という、それだけのインフォメーションということになってくると思います。第III 相試験の成績を見ましても、やはり精子の発現が認められるまでの期間にはかなり個人 差がありますので、添付文書には精子が認められない場合というインフォメーションを 増量の基準として記載させていただいております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。岩崎先生、どうぞ。 ○岩崎委員 試験デザインについて教えてほしいのですけれども、結構長期にわたる投 与になり、中間解析等も計画されたようですけれども、その辺りの試験デザインに関し ては妥当であったということでしょうか。中間解析だと、統計的に見るとなかなか難し い面もありますので、その辺の妥当性の評価をお教えいただきたいと思います。 ○審査管理課長 それは、分かりますでしょうか。 ○岩崎委員 要するに有効性の評価をするときに、中間解析をするという試験計画が適 切であったのかということと、それから中間解析をした結果がエビデンスとして承認さ れるものであったと判断されたのかということです。 ○新薬審査第二部長 今の先生の御質問ですが、基本的に非常にまれな疾患だというこ とを審査においてはどうしても留意せざるを得ないと考えております。審査報告に書き ましたように、実際に有効性には認められておりますので、試験デザインについては、 この病態をこの試験で細かく議論するのは正直難しいところがあるのではないかと思っ ておりますが、薬の評価としては判断可能だったと考えております。 ○永井部会長 樋口先生、どうぞ。 ○樋口委員 これはお願いということですけれども、このホルモン製剤に関するものが 往々にして中枢神経系、特に精神症状等を副作用として発現させる傾向があって、この 製剤についての第III相のところを見る限り不眠や疲労感程度のものしか書かれていない のですが、米国ではうつ病、ヨーロッパでは情動障害という報告が入っておりますので、 是非市販後の調査の段階で、そういう精神症状を誘発するリスクがないかどうかという ことを明らかにしていただければと思います。 ○審査管理課長 そこにつきましては、市販後の調査の中で、今の御指摘を踏まえた形 でフォローさせていただきたいと思います。 ○永井部会長 土屋先生、どうぞ。 ○土屋委員 要望なのですが、実は併用で取り違えを防ぐために、薬剤識別シールだと か、さまざまな対策をとるということはここに書いてあるのですけれども、現実にここ にはその現物などが全く出てきていないのです。ほかの例でもいろいろあるのですけれ ども、やはり使用の安全というのは重要なファクターだということから言うと、ここに はよく未完成品のまま出てくるのですが、そういうことはいかがなものかということが あります。  もちろん、この後日本薬剤師会の例えば薬価検討委員会など、そういう所に来たとき にはまた別のシールになっていたりしますけれども、少なくともこの段階でそういうこ とがきちんと指摘されていても対応したものが何も置かれていなくて、チェックするに もしようがないというところもありますので、是非そういうことについて御努力いただ きたいと思います。 ○審査管理課長 今年の4月から、薬事法で製造販売承認という形になり、最終製品を 販売しない限り事前に製造しておくことは可能になりました。以前の薬事法では製造行 為自体が承認の対象ということで、最終製品が実際にここにあると、それで法律上の問 題が起こるということはあり得ました。  そういう点では、先生が御要望されたような、できるだけ最終の包装に近いものをこ こで御提示することはしやすくなってきているかと思います。徐々にではございますけ れども、そういう方向で現場の方とも連絡を取り、できるだけそういうものをここにお 出しして先生方にチェックしていただくというか、いろいろな御助言を頂けるように努 力したいと思います。 ○樋口委員 やはり新薬が外観類似で、最初から包装を変更したという例も最近ありま したし、製薬会社へ行くと、「これで認められているんです」という言い方をされるの です。ですから「それはないんじゃないの」と言うのですけれども、そういうこともご ざいますので、是非その辺は御配慮いただきたいと思います。 ○審査管理課長 はい。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。もしよろしければ承 認可として、薬事分科会への報告とさせていただきます。それでは先へまいります。議 題4ですが、これは私も少し関与しておりますので、長尾先生、よろしくお願いいたし ます。私はしばらく退席させていただきます。 ── 永井部会長退室 ── ○長尾部会長代理 それでは議題4、医薬品硫酸クロピドグレル、プラビックス錠の承 認の可否等についてですが、総合機構から審査の概要の説明をお願いします。 ○機構 では引き続きまして議題4、資料4、プラビックス錠25mg、同75mgについて 御説明させていただきます。本剤の有効成分は、硫酸クロピトグレルであり、チエノピ リジン骨格を有する血小板凝集抑制薬で、申請者は第一製薬株式会社です。  チエノピリジン骨格を有する血小板凝集抑制薬としては、既に塩酸チクロピジンが販 売されておりますが、塩酸チクロピジンについては血栓性血小板減少性紫斑病、無顆粒 球症、重篤な肝機能障害等の重篤な副作用の発現が懸念されており、二度の緊急安全性 情報が出されております。  世界的には、本剤は心筋梗塞症、虚血性脳血管障害及び末梢動脈疾患に関する効能・ 効果、並びに急性冠症候群に関する効能・効果で、多くの国及び地域で承認されており、 国内では今般、虚血性脳血管障害後の血栓塞栓症等の抑制に関する効能に関して承認申 請が行われたもので、迅速審査の指定を受けております。  当初、製剤としては75mg錠のみが申請されましたが、審査の過程で75mgよりも低用 量の投与の必要性が認められたことから、25mg錠が追加申請されております。なお、日 本脳卒中学会から、本剤の早期承認に関する要望書が提出されております。  では、本品目の審査の概要について説明させていただきます。虚血性脳血管障害後の 患者を対象とし、本剤75mg/日と塩酸チクロピジン200mg/日の有効性及び安全性を比較 した52週間の第III相試験において、有効性の主要評価項目である「非致死性又は致死性 の脳梗塞症」「非致死性又は致死性の心筋梗塞症」及び「その他の血管死」の発現率は 本剤群で3%であり、2.6%の塩酸チクロピジン群に対する非劣性が認められました。ま た、すべての血管性事故発現率も本剤群で4.4%、塩酸チクロピジン群で4.2%と同等で した。一方、安全性につきましても、主要評価項目とした副作用の複合エンドポイント ではチクロピジンに対する優越性が示されました。  しかしながら、死亡を含めた重篤な有害事象発現率は、本剤群で13.0%、チクロピジ ン群で9.3%と本剤群で有意に高く、発現した副作用の内容は両薬で類似しておりまし た。血小板・出血凝血障害、悪性新生物、筋・骨格系障害、中枢・末梢神経障害及び消 化管障害は本剤群に多く認められました。その中でも、特に血小板・出血凝血障害及び 悪生新生物は本剤群でチクロピジン群より有意に多く認められております。  また、申請時の用法・用量は海外と同じく75mg/日でしたが、参考資料となっており ます国内後期第II相試験では、本剤75mg/日投与群の安全性は50mg/日投与群に劣ってい たにもかかわらず、有効性では両群間に明らかな差は認められなかったこと、及び国内 外の臨床試験における塩酸チクロピジンの比較等から、本剤75mg/日は、日本人には過 量である可能性が考えられました。  機構は、市販後の臨床試験により本剤の75mg/日と50mg/日の安全性を改めて比較し、 さらに市販後調査により50mg/日と75mg/日投与時の患者背景を含めた安全性及び有効 性に関するデータが収集されることが必要であると判断しており、申請者からは市販後 の臨床試験及び調査の計画が提出されております。  以上のような検討の結果、機構は高齢、低体重、出血性素因を有する患者等では、50 mg/日から投与すること及び塩酸チクロピジンに準じた投与開始後の肝機能検査等に関 する注意喚起を添付文書中に記載した上で、本剤を虚血性脳血管障害後の再発抑制薬の 選択肢の一つとすることは可能と判断し、効能・効果として「虚血性脳血管障害(心原性 脳塞栓症を除く)後の再発抑制」ということで本剤を承認して差し支えないと判断いたし ました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年と判断してお ります。薬事分科会では報告を予定しております。  なお、先ほど御指摘のありました製剤見本の件なのですけれども、本剤に関しては申 請者側の都合により、販売会社は今後アベンティス・サノフィに変わりますので、錠剤 の刻印が変わることになっております。これは御覧のとおりパナルジンにそっくりなの ですけれども、今後変更される予定です。以上です。御審議のほどよろしくお願いいた します。 ○長尾部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問はございますで しょうか。 ○堺委員 質問ではなくて要望なのですけれども、「1.8 添付文書(案)」の3ページの 真ん中辺りの「1)重大な副作用」の「(2)肝機能障害、黄疸」、及びその下の「(3) 血栓性血小板減少性紫斑病」のところに、いずれも「観察を十分に行い」という表現が あります。現時点ではこれでいいと思うのですが、近い将来電子レセプトが普及すると、 仮に検査でフォローしなければいけない場合には、どういう検査をどのぐらいの頻度で というようなこともここに記載されていた方が経時的にそのレセプトのチェックが行わ れる場合の混乱が予防できるかと思います。今後のこととして御検討いただければと思 います。以上です。 ○審査管理課長 それにつきましては、その方向で検討させていただきたいと思います。 ○長尾部会長代理 ほかにございますか。どうぞ。 ○井上委員 P2Y12という受容体はちょうど私の研究領域なので、本件の有効性と安 全性に関しての問題ではなくて、ちょっとお願いがあります。大した話ではないのです が、ADP受容体という表記が各所に随分見られていて、かつての分類法ではそれでも よかったのですけれども、現在、国際薬理学会連合会での分類法によるとP2XやP2 Yといって、それらを総称してATP受容体とするのが大体皆さんのコンセンサスを得 ているような分類の仕方なのです。申請資料に該当箇所が多く、今回、すべての修正は 難しいと思いますが、添付文書についてはその後二次資料などで利用されますので、そ こだけ修正を加えていただけませんか。具体的には…。 ○審査管理課長 添付文書は、1.8の7ページに薬効薬理が出ています。 ○井上委員 どうもありがとうございました。そこの「ADP受容体」というところを 「ATP受容体サブタイプ」として、括弧を取ってしまって「P2Y12」と続けていた だければ、今後支障はなくなるものと思います。そういう簡単な修正をできればお願い したいと思います。 ○長尾部会長代理 作用機序のところですか。 ○井上委員 そうです。 ○長尾部会長代理 ADP受容体を…。 ○井上委員 「サブタイプ」を付けて、括弧を取るのです。今はそういう表記の仕方を しています。実はATP受容体も非常にたくさんあり、15種類以上報告されて、更に追 加されて増えてくると思います。ATPに反応する受容体というのは、ここに記載され ている以上のものがたくさんありますので、細かく言えば随所に修正が必要なのですけ れども、それは本薬の大切な性質とはちょっと離れた話なので、そこまでの修正は必要 ないものと思います。 ○審査管理課長 分かりました。 ○長尾部会長代理 よろしいですか。それでは、井上委員のコメントをよろしくお願い します。ほかにございますか。青柳委員、どうぞ。 ○青柳委員 教えていただきたいのですけれども、これは空腹時の投与は避けることが 望ましいと書いてあるのですが、その理由は書かなくてもよろしいのかということをお 聞きします。 ○審査管理課長 これは食事の影響ということで…。 ○青柳委員 消化器障害を起こすから空腹時はなるべく避けることと書いてあるのです けれども、なぜ空腹時を避けるのか、ここだけ見たら分からないということでお聞きし ました。 ○長尾部会長代理 では機構の方、どうぞ。 ○機構 おっしゃるとおり、審査報告には書かせていただきましたけれども、添付文書 上には何も書いてありませんので、確かに空腹時の投与のときに副作用がたくさん見ら れておりまして、何らかの情報提供があった方が親切かと思いますので、その方向で対 応させていただきたいと思います。 ○長尾部会長代理 よろしいですね。どうもありがとうございます。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 添付文書の用法・用量のところの記載方法ですが、50mgを使うというとこ ろの表現が、「ただし、年齢、体重、症状によりクロピドグレルとして50mgを1日1回 経口投与する」という書き方になっていて、いかにも付け加えたような感じになってい ます。普通は、「ただし、年齢、体重、症状」と来たときは、大体「適宜増減する」と いうのがパッと浮かんでしまうということからいくと、確かにその下に用法・用量に関 連する使用上の注意は書いてあるでしょうということかもしれないのですが、50mgの設 定の理由などが書いてありますし、もう少しきちんと書かれた方が、ここしか見ない人 も結構いますので、少し工夫されたらいかがかと思います。これは何か定形があるので しょうか。 ○審査管理課長 御指摘いただきましたが、これにつきましては先ほど機構側から説明 がありましたように、企業側は最初、欧米並びで75mg一本で申請を出してきたと。とこ ろが、審査の中で安全性などいろいろなことを勘案すると、特に50mgから開始した方が よろしいのではないかと思われるポピュレーションはあるだろうということです。  ただ、50mgと75mgのもっと高いエビデンスでの証明というのは市販後に確認せざる を得ないところがあります。一つには、この薬がいわゆる学会や専門分野から早期承認 を望まれているところがありまして、非常に難しい中での判断ということです。御指摘 を受けて、もう少しより良い表記方法がないかということについては再度検討してみた いと思いますが、そういう状況がありますので、下の「<用法・用量に関連する使用上 の注意>」との関連で、現時点ではこういう形で書かざるを得ないのかなというのが今 日までの審査の中での結論であります。その点の御理解もよろしくお願いいたします。 ○土屋委員 分かりました。それからもう一点は名称ですが、このプラビックスという のは、既にカルデナリンの後発品でプラトックスというのがありまして、例のフローチ ャートでいくと要変更になるのだと思うのですが。 ○審査管理課長 そこの御指摘につきましては既に対応を始めております。これについ て説明していただけますか。 ○事務局 本剤につきましては、今御指摘のようにメシル酸ドキサゾシンの後発品でプ ラトックス錠というのが既に出ていますので、それに非常によく似ているということで、 普通ですと新薬の方の名前を変えてもらうのですけれども、両者間で話をしていただき まして、後発品の方の名前を変えるということでもう作業を始めております。 ○土屋委員 これは非常に大事なことで、今後のものは新たにブランドを余り作らない という通知が出ているわけですけれども、やはり既存のものもそういうこともあります ので、その辺はもう少しやっておかないと先発の方々が限りある資源を使えなくなると いう部分もありますので御配慮いただければと。 ○長尾部会長代理 ほかに御発言はございますか。よろしいでしょうか。いろいろ知恵 を出して日本では50mgを使えるようにということですね。多分チクロピジンも、もとも と日本はちょっと少ない量を使っているのではないかと思います。よろしいようでした ら、承認可として薬事分科会に報告させていただきます。どうもありがとうございます。 ○審査管理課長 永井先生がお戻りになるまで、少しお待ちください。 ── 永井部会長入室 ── ○永井部会長 それでは議題5について、総合機構から概要の御説明をお願いいたしま す。 ○機構 資料5、医薬品シロドシン「SFL」、スルーパスカプセル2mg、同4mgにつ いて、医薬品医療機器総合機構から説明させていただきます。  本薬の有効成分シロドシンは、キッセイ薬品工業株式会社において創製された前立腺 肥大症に伴う排尿障害の改善を目的とするα1-アドレナリン受容体遮断薬です。  申請者は、原薬が塩野フィネス株式会社、製剤がキッセイ薬品工業株式会社であり、 後期第II相試験成績までキッセイ薬品工業株式会社が単独で開発を実施し、第III相臨床 試験以降は第一製薬株式会社と共同で開発が進められております。なお、海外では平成 17年10月現在、第III相試験を実施中です。同種同効薬としては、塩酸タムスロシン及 びナフトピジルがあります。  本薬の特徴は、血管系よりも前立腺に存在するα1-アドレナリン受容体のサブタイプ に対しより選択的に作用し、下部尿路に対する選択性が高いという点です。  本品目の審査に関しまして、専門委員として配付資料12に記載されております赤座委 員、大野委員、小嶋委員、出口委員、中江委員、増原委員、松岡委員、横山委員、吉村 委員、渡邊委員の計10名の委員が指名されました。  次に、機構における審査の概略を説明させていただきます。品質、毒性、薬理及び薬 物動態については審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、特に問題はない と判断いたしました。  臨床試験成績について、後期第II相試験においてプラセボ、本薬2mgを1日2回投与 又は4mgを1日2回投与での有効性及び安全性を検討した結果、本薬の臨床推奨用量は 1回4mgを1日2回であると判断されました。  第III相試験では、前立腺肥大症に伴う排尿障害患者に対し、主要評価項目としたI- PSSトータルスコアの投与前後における変化量において、プラセボに対する本薬4mg 1日2回投与の優越性が示されました。また、対照薬である塩酸タムスロシン0.2mg1 日1回投与に対する本薬4mg1日2回投与の非劣性に加え、本薬の優越性も示され、当 該疾患に対する本薬の有効性は示されたと判断いたしました。  安全性について、本薬ではプラセボ及び対照薬と比較して有害事象の発現率が高く、 特に射精障害が特徴的な副作用として見られました。射精障害は本薬の投与中止により 回復しており、射精障害に関する注意喚起が行われ、本薬投与によるリスクについて十 分な説明を実施した上で適切な対象患者に対して使用されるという前提の下であれば、 一定の安全性は確保されると判断いたしました。射精障害については添付文書中で注意 喚起を行うとともに、患者用説明文書の作成も行うこととしております。また循環器系 への影響、肝機能障害及び視覚障害についても添付文書で注意喚起を行っております。  なお、製造販売後に本薬の長期使用、すなわち1年間服用時の安全性及び有効性につ いて検討する特定使用成績調査が実施される予定であります。  また、販売名につきまして「ユリーフカプセル」に変更する予定でございます。お手 元の製剤見本の方も、既に「ユリーフカプセル」となっております。  以上のような検討を行った結果、本薬を承認して差し支えないとの結論に達し、本医 薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本薬は原 薬及び製剤共に劇薬に該当し、再審査期間は6年、薬事分科会へは報告を予定しており ます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問をお願いいたします。いかが でしょうか。岩崎先生、お願いします。 ○岩崎委員 これはI-PSSトータルスコアの変化量というので見ているのですけれ ども、プラセボも下がるのですよね。一応スコアそのものを見てみたのですけれども、 どうしてプラセボが下がるのかよく分からなかったのです。痛みだったら消えることも あると思うのですが、そこが分かりましたらお願いしたいと思います。 ○機構 お手元の資料の「2.5 臨床に関する概括評価」の10ページにI-PSSの評価 の一覧表があります。表2.5の1-2の1〜7の評価のところですが、かなり患者さんの 自覚症状によって左右されるような内容の部分もありますので、今おっしゃったように プラセボの患者さんでもやはりある程度変動してくる可能性はあると考えております。 ○岩崎委員 それは分かるのですが、多少ですけれども、平均値で見ると時間を追うご とに徐々に下がり続けている気がするのです。ですから、最初からちょっと下がって後 は横ばいという形なら分かるのですけれども、だんだん下がってくるというのはそれも 統計的変動のうちでしょうか。 ○審査管理課長 プラセボ効果のようなものというのは。 ○岩崎委員 放っておいて良くなるというタイプの疾患ではないような気がするので す。 ○審査管理課長 薬物のインターベンションはなくても、医師の治療は受けている形に はなりますが。 ○岩崎委員 分かりました。 ○審査管理課長 そういう意味でのプラセボ効果のようなものというのはあり得るので しょうか。ちょっと私もよく分かりませんけれども。 ○岩崎委員 もう一点なのですけれども、最大尿流率変化量というのもありますよね。 これは副次的な評価項目になっていると思うのですが、余り変わっていないというふう に見受けられます。先ほどのスコアの変化というのはある意味で主観性が入りますが、 こういう客観的な評価というのは難しいのでしょうか。 ○機構 客観的な評価というのは難しいと思います。本剤の投与目的というのが最終的 には患者さんの自覚症状の改善という部分がありますので、そういうことで国内にして も海外でも、やはりI-PSSを主要評価項目として設定しているようです。 ○永井部会長 これは従来薬よりも強力のようですけれども、リバウンドというのか、 中止したときに突然尿閉になってしまうとか、そういうことは心配しなくてよろしいの でしょうか。 ○審査管理課長 そこは見られているのでしょうか。中止後のものというのは。 ○永井部会長 射精障害があるということでやめたりすると、大丈夫かなと思うのです が。 ○機構 先ほど申し上げましたが、例えば本剤の副作用として射精障害等で投与中止に なった症例もありますけれども、特に中止例で尿閉が出現したというような報告はあり ません。 ○井上委員 本剤はかなりα1-A受容体に特異的なのですが、一方β2にも若干作用を 示すのです。その効力比は1対140ということで、かなり安全域は合いそうに思います。 ただ、これは動物の場合です。β2といえば、どうしても気になるのが喘息患者さんの 気管支狭窄などで、ただ副作用を見ても、どうもそれをうかがわせるような記事は私は 見出せなかったです。その辺は大丈夫だというところでよろしいのでしょうか。 ○機構 特段、今おっしゃったような気管支狭窄に伴うような症状というのも著明に見 られているというわけでもありません。ただし、市販後調査において種々の安全性につ いて検討していく予定になっております。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。もし御意見がございま せんでしたら、承認可ということで分科会に報告させていただきます。ありがとうござ いました。それでは次に報告事項にまいります。事務局から順次御説明をお願いたしま す。 ○機構 報告事項について御説明申し上げます。まず議題1、ロキソニン錠ほかの製造 承認事項一部変更承認について御報告いたします。資料6を御覧ください。本剤は、ロ キソプロフェンナトリウムを有効成分とするプロピオン酸系の非ステロイド性消炎鎮痛 剤であり、今般歯痛に関する効能追加について、平成11年2月1日付け厚生労働省研究 開発振興課長、審査管理課長の二課長通知、「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱い について」に基づき、医学薬学上公知の効能として、効能追加の製造承認事項の一部変 更申請がなされたものです。なお、本件につきましては平成15年10月に日本口腔外科 学会の要望書が提出されております。また、関節リウマチにつきましては、平成14年4 月に日本リウマチ学会で「慢性関節リウマチ」の病名が「関節リウマチ」に変更された ことを受け、効能・効果の表記の整備を行うものです。総合機構における審査の結果、 本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。  続きまして議題2、ボルタレン錠ほかの製造承認事項一部変更承認について御報告い たします。資料7を御覧ください。本剤は、ジクロフェナクナトリウムを有効成分とす るアリール酢酸系の非ステロイド性消炎鎮痛剤であり、議題1のロキソニン錠ほかと同 様に、歯痛の効能追加及び関節リウマチの表記の整備について、製造承認事項の一部変 更申請がなされたものです。総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支え ないと判断いたしました。  続きまして議題3及び議題4、ペグイントロン皮下注用50μg/0.5mL用ほかの輸入承 認事項一部変更承認及びレベトールカプセル200mgの輸入承認事項一部変更承認につい て御報告いたします。資料8及び資料9を御覧ください。ペグインターフェロン アルフ ァ-2b(遺伝子組換え)を有効成分とするペグイントロン皮下注用及び抗ウイルス薬であ るリバビリンを有効成分とするレベトールカプセル200mgは、現在両剤の併用によりセ ログループ1で血中HCV-RNA量が高値の患者に対するC型慢性肝炎におけるウイルス血 症の改善の効能・効果が承認されております。今般、シェリング・プラウ株式会社から セログループ1以外の血中HCV-RNA量が高値の患者及びインターフェロン製剤による治 療後再燃した患者に対しても、両剤の併用療法を可能とする効能・効果の追加及び用法 ・用量の変更について輸入承認事項一部変更承認申請がなされ、優先審査の対象とされ たものです。総合機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。  なお、ペグイントロンにはより低用量での有効性及び安全性を確認するための市販後 臨床試験(比較試験)を実施し、結果を速やかに報告すること、レベトールにはペグイン ターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)及びインターフェロン アルファ-2b(遺伝子 組換え)との併用療法について、体重による用量区切りを変更した際の安全性を確認する ための市販後臨床試験を実施し、結果を速やかに報告することの承認条件をそれぞれ付 すこととしております。また、再審査期間は両剤とも残余期間である平成22年10月21 日までとする予定です。以上です。 ○永井部会長 続いてお願いいたします。 ○事務局 引き続き資料10に移ります。優先審査品目指定の審査結果についてです。優 先審査の取扱いについては、資料10の2ページにその概要を示させていただいておりま す。指定に当たりましては、適応疾病の重篤性と医療上の有用性を総合的に評価して判 断するという規定です。  資料の1ページに戻りますと、今回指定の報告をさせていただきます品目はバラクル ード錠です。成分名がエンテカビル水和物です。こちらはB型慢性肝炎におけるウイル スマーカー、肝機能及び肝組織像の改善を申請効能としております。本薬はグアノシン ヌクレオシド類縁体でして、HBV-DNAポリメラーゼの阻害薬というものです。  B型慢性肝炎は疾患の進行速度が早く、肝硬変の発症、肝細胞がんの一因となってお り、病気の進行が不可逆で日常生活に著しい影響を及ぼす重篤な疾患であるという判断 をしております。  それから、本剤はラミブジン耐性のウイルスにも効果を示すということ、アデホビル ピボキシル(販売名ヘプセラ)との間に交差耐性が認められないというような特徴を有し ておりまして、既存薬では効果が期待できない症例に対しても効果が期待できるという ことから、本剤の医療上の有用性を総合的に評価いたしまして、優先審査品目に指定さ せていただいたということです。  もう一点議題には入っていないのですけれども、資料ナンバーは振っていないのです が、本日の当日配付資料として配らせていただきましたアリピプラゾールの添付文書に つきまして、若干前回からの経緯を含めて御説明申し上げます。  前回10月13日の当部会におきまして、販売名がエビリファイ錠、成分名がアリピプ ラゾールという統合失調症の薬について、耐糖能異常のリスクに関する警告の表示を含 めました注意喚起の必要性について御意見をいろいろと頂きました。部会の場では、警 告表示までは設けないということでいったん御了解いただいたのですけれども、部会が 終了した後、申請企業である大塚製薬に部会での議論の様子をお伝えしまして、私ども の方の市販後の安全対策を掌管する部署と交えて対応について検討を行いました。その 結果ですけれども、本剤によるケトアシドーシス等の発生頻度は類薬のオランザピンと 比べまして低いものの、一定の割合では発生すると考えられること。それからその類薬、 オランザピンやクエチアピンが該当しますけれども、そちらの方では販売後1年の間に 緊急安全性情報を出して注意喚起しているというような事情を勘案し、警告欄を設けて 注意喚起することが適当ではないかという判断に至りました。そのほかの整備事項を含 めまして、本日お手元の新旧対照表のような形で配付させていただいたということです。  なお、前回部会で御意見いただいた谷川原委員が本日御欠席ですので、事前にこの内容 を御報告させていただき、谷川原先生からは御了解を頂いているということを申し添え させていただきます。以上です。 ○永井部会長 ありがとうございました。たくさんの件が出てまいりましたけれども、 御質問等はいかがでしょうか。土屋先生、どうぞ。 ○土屋委員 ちょっと確認なのですけれども、報告事項の議題1と2ですが、報告とい うことはもう既にオーケーということと解してよろしいのでしょうか。私ども歯科なも のですから非常に…。 ○審査管理課長 実際の承認自体は、これから大体1か月以内になると思います。この 場合は承認効能の追加ということですので、承認即保険上の問題もクリアになるという ことです。 ○土屋委員 30日ぐらいは必要なのですか。 ○審査管理課長 これはそもそも歯科の方で抜歯後の効能はあったわけですけれども、 単なる歯痛については治験をやっていなかったこともありまして、歯科の学会の方から 強い要望があり、いわゆる二課長通知に基づく効能追加の申請ということでの処理をさ せていただいたということです。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。アリピプラゾールの添 付文書もかなり強い形で警告が出されているということですが、これも前回議論された ことが表に強く出たということかと思います。よろしいでしょうか。それでは、これら の案件につきましては御確認いただいたということで進めさせていただきます。本日の 議題は以上ですが、事務局から何かありますか。 ○事務局 それでは、次回の当部会の日程についての御案内です。既に先生方に御案内 させていただいておりますけれども、次回の第一部会は来年の1月26日木曜日の午後2 時から開催させていただきますのでよろしくお願いいたします。以上でございます。 ○永井部会長 それでは、どうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)      - 1 -