05/11/21 社会保険新組織の実現に向けた有識者会議第7回議事録          第7回 社会保険新組織の実現に向けた有識者会議                        日時:平成17年11月21日(月)                           9:57〜11:54                        場所:厚生労働省 専用第15会議室  佐藤座長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第7回「社会保険新組織の実現に 向けた有識者会議」を開催させていただきます。本日は、全員出席でございます。前回 は関係者からのヒアリングを行っていただきましたが、本日は、次回の会議において組 織改革法案に盛り込むべき事項及び人員削減計画について、意見の集約を行っていただ く必要がありますので、これらの具体的な在り方について、御議論をいただきたいと考 えております。  それでは早速、本題に移らせていただきたいと存じます。議論が広範にわたりますの で、前半は新組織の構造・機能等につきまして御議論いただいた上で、後半、人員削減 計画についての御議論をいただきたいと思っている次第です。よろしくお願いします。  それではまず新組織の構造・機能等につきまして、前回の会議で、この分野の御専門 である稲葉委員、陶山委員と私とで組織改革の方向性についての論点整理をするという ことを御了解いただいておりますので、本日はそのたたき台をお示しさせていただいた 上で意見交換させていただきたいと思っております。  それでは稲葉委員から論点整理メモについて御説明をいただきたいと思います。よろ しくお願いします。  稲葉委員  それでは私の方から説明をさせていただきます。お手元に「組織改革の方向性につい て(論点整理メモ)」というペーパーがございますので、御参照ください。このメモの 性格につきましては、今、座長の方から御紹介のあったとおりでございます。このメモ 自体は、事務局の方で書くという作業はしていただきましたが、私も含めまして3名か ら自由な意見を出させていただきまして、大分やり取りもございました。そういうこと を踏まえてまとめたもので、これから一通り説明させていただきますけれども、明確な 形でと言いますか、完全に詰め切っているというものではないので、皆様の御意見を伺 った上でさらに中身を詰めていきたいと考えております。  最初のところですが、書き出しのところはこれまで新組織実現会議が行ってきたこと を前置きとして書いております。2点ございますけれども、「業務改革プログラム」、 「新人事評価制度」についてとりまとめを行ってきたということでございます。そこで 本題に入るわけですけれども、組織の問題につきましては、先行の会議におきまして一 定の基本的な枠組みというものが示されておりますが、大きなポイントとなるところは この(1)、(2)と真ん中辺にあります2つの事項ということになろうかと思います。  一つは、前例にとらわれないということでございまして、これまでの社会保険庁にお ける組織の構造問題を一掃するということが可能になるような組織改革というものでな ければいけないという趣旨からそのように書かせていただいております。もう一つは、 言うまでもなく、公的年金制度というものが非常に長い期間にわたっての安定した運営 が必要であるということがございますので、その特性を踏まえる必要があるのではない かということを書いております。そういう観点から新しい特別な組織・構造等を備えた 新組織の実現を図っていくということです。  柱は大きく1つ目に年金運営新組織の法律上の位置づけ・名称というのがございまし て、その次に第2番目の柱として、年金運営新組織の構造・機能とございます。しか し、本論と言いますか、中身の部分というのは2の部分でございますので、1はむしろ それを詰めた上で考えるべき問題かもしれませんが、しかし、例えば名称の問題という のは非常に象徴的な意味もございますので、重要な問題であることは間違いないという ことで、最初に1ということで大きな位置づけなり、基本的なとらえ方ということを書 いておきました。  最初の丸ですけれども、年金運営新組織の法律上の位置づけということにつきまして は3名の中でもいろいろ意見が出ましたし、事務局の方からも率直な御意見を伺いまし たが、2つに尽きるのではないかということでございまして、一つの考え方は、現在も 社会保険庁が厚生労働省の外局と位置づけられておりますけれども、そのような位置づ けをするということであります。これはいろいろな運営の問題でありますとか、座りの よさとかを考えると、あるいは新たな組織におきましても年金の運営の実施ということ に当たるわけですので、これは無難な案だとは思います。しかし、(2)に書いてあります ように、それではこれまでと余り変わらないのではないかというような印象を持たれる 可能性もございますので、名実ともに新たな国家行政組織として再出発するという姿を わかりやすく外に見せるという点では、あるいはその特別の機関というふうに位置づけ ることも一案ではないかということです。  それに関連しまして、名称の問題につきましては、いずれにしても年金の運営を行う 組織であることを端的に示すということになりますが、外局案をとれば「○○庁」とい うようなことになるわけでありまして、例えば我々の間で出てきた案は、以前にも陶山 委員がここでもおっしゃいましたが、「年金事業庁」とか、「年金庁」とか、そういっ たような名称が考えられるのではないかということであります。他方、特別の機関とい うことになりますとそのような拘束というのはないので、もう少し自由に名前をつけら れますが、そうは言いましても、余り聞いたことがないというのは問題があるかもしれ ません。「局」とか、「院」とか、そういったような名称も可能になるということです が、またこの問題は皆さんにもいろいろアイデアを出していただければ結構かと思いま すが、恐らくここだけの議論で最終的に決まるという問題ではないと思います。  次に2の方に移らせていただきます。年金運営新組織の構造・機能ということでござ います。これは大きく意思決定機能と監査機能というふうに分けられるわけです。いず れも先行会議の提案の中の目玉になっていたものです。まず意思決定機能につきまし て、組織の意思決定に関しては責任の所在を明確にすることが重要であり、新組織の長 が重要事項を決定するに際し、年金運営会議の「議を経なければならない」とする先行 有識者会議の結論に即して、新組織としての最終的な意思決定権は長に属するものとし つつ、長は年金運営会議の審議を最大限尊重しながら意思決定を行わなければならない ものとすべきではないかと。したがって、年金運営会議の審議結果は、事実上、長の意 思決定を強く拘束するものであり、年金運営会議については審議会ではない新しいタイ プの意思決定補助機関として法律上位置づけるべきではいかというふうにまとめさせて いただきました。  目玉中の目玉になる年金運営会議の位置づけでございます。組織論的には、一つは審 議会として位置づけられるかどうかという問題がございます。ここでは、結論的な表現 としましては、審議会ではない新しいタイプの意思決定補助機関というふうに書いてあ ります。審議会につきましては既に政府の方針がございまして、この点については改め て事務局の方から説明をしていただけるようにお願いしてありますが、この年金運営会 議という組織のコンセプトがその審議会の設置方針にうまく合わないということがあり まして、結論的には審議会ではないという表現になっておりますが、しかし重要なこと は今そこに書かれているような実質でありまして、事実上、長の意思決定を強く拘束す るものであると。そしてそのことを法律上明確にするようにしっかりと書くということ であります。さらにその点について、審議会ではないとしてもどういう組織なのかとい う点につきましてはさらに詰める必要があろうかと思いますが、基本的な性格はこのよ うな表現で十分に表現されているのではないか、意を尽くしているのではないかと思っ ております。  さらに年金運営会議の構成員、メンバーということにつきましては、そこにあります ように、審議事項や新組織の業務内容に即した分野の専門家とすることが必要である と。また、長の最終的な意思決定を補助するという性格から少数とすることが望ましい わけでありまして、これは既に先行会議でもそのように言われていたところでありま す。したがいまして、長のほか、年金制度、組織統治、サービス改善、料金徴収、シス テム等に精通した専門家4名程度による構成とすべきではないかということでありま す。先行有識者会議ではこの専門家につきまして、学識経験者、保険料徴収・サービス 向上・ガバナンスの専門家というような例示がされておりましたけれども、システムと いうものも重要ですので、分野としてはこのような書き方をさせていただきまして、具 体的には任命権を有する大臣の裁量にある程度委ねるということでよろしいのではない かという趣旨です。これらの構成員につきましては常勤・非常勤を問わずふさわしい人 材を確保するということを重視しつつ、少なくとも1名は常勤とすべきではないかとい うことです。  年金運営会議と並んで重要な提案となっておりました運営評議会ですけれども、これ につきましては、年金受給者や年金保険料負担者等の意向を新組織の事業運営に十分反 映させるために設けるというものでありまして、自由活発な意見聴取を十分に行うこと ができるよう、構成員や在り方を随時見直しながら、その時々の状況に最も適した効果 的、あるいは弾力的な運営を図ることができるものにすべきではないかというふうにま とめてみました。さらに、地域ごとに運営評議会的な意見聴取の場を設けるということ が必要ではないかということもあわせて書き込んだわけであります。  こうした観点から、制度上の位置づけを検討するとともに、年金受給者や年金保険料 負担者等の意向を新組織の事業運営に十分反映させるとの精神については、法律上明記 すべきではないかというふうに書いておきました。実はこの運営評議会につきまして も、審議会というふうに位置づけることができるかどうかというのが重要な論点になる わけでありますが、ここは、先ほど申し上げましたような政府の審議会設置見直し方針 というのがございますので、難しい面があるということで、とりあえず現段階において はこのような観点から制度上の位置づけを検討すると。とにかく、重要なことといたし ましては、新組織の事業運営にこの運営評議会の意見が十分に反映されるように、法律 上明記をするということでございます。  次に監査機能ですが、3ページの3行目以下です。監査機能につきましては、特別監 査官、特別監査官を補佐する特別監査官補佐の体制にするということ。現在、この監査 機能につきましては会計監査と業務監査に分かれて、会計監査については経理課の監査 指導室、業務監査についてはサービス推進課社会保険指導室において行われているとこ ろでありますので、むしろこれを一本化するということで、3つ目の丸に監査担当組織 の一元化を図るというふうにまとめさせていただきました。言うまでもなく、客観性、 公平性が求められる監査業務の遂行につきましては、内部組織の一職員というのではな くて、ある程度内部組織から独立性を持った地位を与えられた者がこの任に当たるとい うことがふさわしいということでございまして、特別監査官を中心とする監査体制に改 めると。これにつきましては新組織の長の法律上の義務という形で、新組織が国民の信 頼を回復する上で重要な要素であることから専門性の高い外部専門家を配置するという ことについて位置づけるということでございます。  特別監査官につきましては、そこに書いてありますように、新組織の長直属というふ うに、これも法令上位置づけるということ。担当としては会計監査担当及び業務監査担 当というふうに分けて、会計監査担当については公認会計士、業務監査担当については 企業経営等に精通した専門家とすべきではないかということでございます。  最後に、新組織と企画立案部局との関係ということで書いておきました。これは先行 有識者会議におきまして指摘されていたポイントでありますが、「新組織の長の厚生労 働大臣への提案」というシステム及び業務運営に影響を与える制度改正事項につきまし て、新組織の長の意見を聴取・尊重するというような仕組みをつくったらどうか、ある いは明確化したらどうかということにつきましては、実は現行の法制のもとでもこれ自 体は可能なのでありまして、したがいまして、そこには具体的な実行上のルールを確立 するという形で書かせていただきました。ですから一般的な枠組みは既に現行法上可能 な形であるわけでございますので、それが機能するようにルールを確立するということ にむしろ関心を置くという趣旨でございます。  最後、4枚目にいきまして、その他ということですが、先ほど座長からもありました ように、今、私が紹介させていただいておりますものはあくまでたたき台ということで ございますので、新組織実現会議において議論を行った上で、さらに法律案に盛り込む べき事項について検討を進めるということで、皆様から様々な御意見を伺うことができ ればと思います。  むしろ重要なことは、それと並びまして2つ目の丸です。その際、国民の信頼に足る 新たな組織として再出発することを明確にする観点からということで、厚生労働省設置 法の一部改正ではなく、公的年金の業務運営の基本等を定めた新たな単独立法とする方 向で検討すべきではないかということです。現在は、後ほど事務局の方から御説明があ るかもしれませんが、厚生労働省設置法の中に少しだけ社会保険庁というのが顔を出し ているという、法律レベルでいうとそういう形になっております。これをむしろ厚生労 働省設置法から切り離しまして、しかも、先ほど私の方から申し上げましたように、年 金運営会議の「議を経る」というようなことについても明確に法律で定めるべきである というような点、これも法律に盛り込むということになるわけでありまして、狭い意味 での組織だけではなくて、いわば公的年金事業の適正な運営というような観点から、む しろ組織の機能面というものについても書き込むということになりますので、新組織、 仮に「○○庁」ということであれば、「○○庁設置法」ではなくて、例えば「公的年金 事業の適正な運営の確保に関する法律」といったようなイメージのものにしてはどうか と。これはごく一案ですけれども、そういう意味合いで、公的年金の業務運営の基本等 を定めた新たな単独立法とする方向で検討すべきではないかというふうにまとめさせて いただいております。  以上で私の説明は終わりたいと思います。  佐藤座長  ありがとうございます。今、御説明いただきましたように、新組織の在り方につきま しては前回も御議論ありましたが、どういう構造とか、権能、機能を与えるかによって 大分とらえ方は違うかもしれません。そういうことを含めて今御説明いただいたところ であります。あわせて、特別の機関といっても、審議会ではなく新たなタイプと言われ ましてもはっきりしませんので、この点は事務局の方から御説明いただけることになっ ていますので、どうぞよろしくお願いします。  石井総務課長  社会保険庁総務課長でございます。それでは御指示に従いまして、補足の説明をさせ ていただきたいと思います。  お手元の参考資料、「新組織の構造・機能に関する法制度等の概要について」という ものをご覧いただきたいと思います。まず1ページ目にございますのが「審議会等」に ついてということでございまして、稲葉委員から御説明のありました論点整理メモ、こ ちらとの関係を申し上げますと、2ページ目の2(1)の意思決定機能の2つ目の丸、 この部分についての補足ということでございます。すなわち年金運営会議を、メモにお きましては、審議会ではない新しいタイプの意思決定補助機関として位置づけるという ふうに整理なさっているわけであります。  このページの枠囲いのところをご覧いただきたいわけですが、国家行政組織法上、 「審議会等」、これは国家行政組織法の8条に規定されているわけですが、枠囲いの中 の点線の枠の中にございますように、そもそもこの「審議会等」というのは各省、ある いは各省の外局に置かれるものでございまして、重要事項に関する調査審議、不服審査 その他、学識経験がおありになる方等によります合議による処理、これになじむ事務を つかさどる合議制の機関ということになっているわけでございまして、その類型でござ いますが、一つは基本的政策型審議会という類型で、行政の企画立案・立法、そうした 過程において基本的な政策を中心に審議することを任務とする、そういうタイプのもの と、法施行型審議会という類型のもので、行政の執行過程において具体的な計画、基 準、不服審査、そうした個別な案件、どちらかというと個別性が非常に強い、そうした 行政行為にかかわります事項に関する審議をつかさどる、そういう類型のものと2つあ るわけでございます。  年金運営会議につきましては、論点整理メモを拝見しますと、この2つの類型のうち 少なくとも法施行型審議会というのには該当しないのではないかと思われるわけでござ いまして、該当するとすれば基本的政策型審議会という類型なのかとも思われるわけで ございます。しかしながら、行政機関の長の意思決定を補助する機関ということで設け られる場合、行政機関の長自身が審議会等の正式メンバーになる、あるいはそこでさら に議長役を担うという形態のものは一般に見られないわけでございまして、いわゆる審 議会とこの年金運営会議とが、少なくともその点において非常に特徴的な違いがあるも のというふうに整理できるのではないかと思っております。  なお、仮に「審議会等」に該当するということでありますと、平成13年1月に非常に 大きな中央省庁の再編が行われておりますが、審議会についてもその際に大幅な整理・ 合理化が行われておりまして、それ以降、特に新たな審議会を設置する場合にはスクラ ップ・アンド・ビルドの原則にのっとって、少なくとも既存の審議会を1つ廃止すると いうことが義務、ルールということになっているわけでございます。  御参考ということで、「懇談会等行政運営上の会合」について簡単な整理をさせてい ただいておりますが、こちらは行政運営上の必要から設置されるものでございまして、 大臣、局長、長官、そうした行政機関の一定の長が外部の有識者の方々に御参集をお願 いいたしまして、そして同一の名称のもと、同じメンバーの方々に継続してお集まりい ただき開催をするという形のものでございますが、行政運営上の必要から開催させると いうことでございますので、国家行政組織法上の位置づけはないわけでございます。  続きまして2ページをご覧いただきたいと思います。「審議機関の議決と行政機関の 長の決定権の関係について」でございまして、論点整理メモとの関係で申し上げます と、今ごらんいただいた2ページの2(1)の1つ目の丸、この記述に関する補足とい うことでございます。そこに波線の枠囲いで整理させていただいておりますように、官 邸の有識者会議におきまして用いている「議を経て」という表現でございますが、この 表現が様々な審議機関の議決と行政機関の長の決定権の関係に関する立法例の中でどう いう位置づけにあると整理できるのかということで、下の枠囲いにざっと整理をさせて いただいたわけでございます。ご覧いただいてわかりますように、最も強い、法的な拘 束力がある法令上の用語としては、「議決を経て」「議により」というものがあるわけ でございます。これと対比いたしますと、「議を経て」というものは、法的な拘束力と いう点では、これはないわけでありますが、しかしながら、事実上はやはり拘束力が強 いという区分に該当するものであろうというのが立法例から言えることではないかと思 っているわけです。  そういうことでございますので、万が一、組織の長が会議の審議結果と異なる結論を 下すということがあれば、それは相当の責任が伴うことになるんだろうと思います。逆 に言いますと、審議機関のメンバーもそういう重い結果をもたらすことが考えられる。 そういう重い責任ある立場に御就任になるということだろうと思います。  補足の最後、3点目でございます。4ページをご覧いただきたいと思います。「国の 行政組織の設置根拠の法形式について」でございます。論点整理メモで申し上げますと 4ページの3、その他の2つ目の丸に関するものでございます。端的に申し上げて、各 省設置法の一部改正でいくのか、それとも単独立法という形式でいくのかということで ございます。まず一般的には、国の行政組織というのは省が基本単位でございますが、 その設置根拠は、まさに各省設置法が定められ、そこに関係組織は規定されるというの が原則でございますので、その一部改正によるというのが一つの原則的な姿とされてお ります。現に、この社会保険庁につきましても厚生労働省設置法に規定されております し、組織に関する細則も厚生労働省設置法の下位法令にすべて規定されているわけでご ざいます。ただし、一定の場合には別法に規定するという形式が採用されることがござ います。下の枠囲いにございますように、これは「外局」の例でございますが、その組 織の職員の職務でありますとか、権限、あるいは他の行政機関との調整といった、単純 に組織のありよう、設置の内容について規定を置くだけではなくて、それ以外に行政作 用的な規定を盛り込む必要がある場合などには単独の設置法に根拠規定を置く場合があ るというわけでございます。  めくっていただきまして次の5ページでございますが、今度は単独の設置法、あるい は関連事業法に具体的な設置根拠を持つ「特別の機関」の例ということでございます。 私からは以上でございます。  佐藤座長  ありがとうございます。この組織問題につきましては、基本的には先行有識者会議で 示された枠がありますけれども、この会議でいろいろ御議論いただいて決めていくとい う、こういう形になろうかと思います。それでは、稲葉委員からの論点メモ、事務局か らの御説明を含めて、御意見等があればどうぞ。多少技術的な問題等も出てきました が、それはそれとして余りとらわれないで、いろいろな御意見をいただいた方がよろし いかと思います。  杉山委員  何点か質問ですが、資料1の2ページのところで、先ほど説明がありました「議を経 なければならない」ということに先行有識者会議で決まったということですけれども、 この資料を見ますと、「議により」とか、「議に基づいて」とか、「議に付し」とか、 いろいろある中でどうして「議を経て」になったのか、ちょっとかいつまんで説明をし ていただけたらなと思います。  こちらの年金運営会議ですけれども、具体的なイメージというか、会議というのは大 体月に何回ぐらいやろうと思っているのかみたいなこととか、運営会議の委員の人た ち、外部の方たちというのは、任期とか、そういうのはイメージとして何年ぐらいと か、そういうのがもしおありだったら、ちょっとそのあたりも教えていただけたらと思 います。  もう一点が、前々回に配っていただきました「組織改革の全体像について」という資 料とつけ合わせをして見たりしているのですが、3ページの新組織と企画立案部局との 関係という、その企画立案部局というのはこの資料でいうところの業務執行機能になる のか、企画立案部局というのがこの図でいうとどこになるのかなというのがちょっとよ くわからなかったので、その点を説明していただけたらなと思います。以上です。  吉岡改革事務局次長  先行有識者会議の考え方などについてでございますので、私どもの方から御説明させ ていただきます。まず1点目の「議を経なければならない」という表現がなぜ用いられ たかということですが、今回お示しをいただきましたこの論点整理メモの中でも、組織 の意思決定につきましては責任の所在を明確にすることが重要だと述べられておりま す。これは先行会議と同じ考え方でございますが、年金運営会議でいろいろと議論をす るわけでありますが、意思決定を最終的に下すのは組織の長であるということをまず基 本として押さえるということでございます。  したがいまして、法的な拘束力がある「議決を経て」とか、「議により」ということ では差し支えがあるということでございます。しかしながら、外部の有識者に参画して いただくということはまさしく組織としての透明性というものを十分に確保するためで もありますし、その審議を大事にしなければならないということで、法的な拘束力はな い中であるけれども、比較的拘束力が強いものにしなければならない。事実上そこで物 事を決めるという形にしていきたいという考え方の中で、この「議を経て」という言葉 が用いられたということでございます。  2点目に、年金運営会議の委員の任期ということでございますが、これにつきまして は先行有識者会議の報告の中で任期は5年程度とするということが明示をされておりま す。  3点目に、どのくらいの頻度で開くのかということでございます。まさしくそういっ た点につきまして今後この会議でも御議論いただきたいと思っておりますが、先行会議 の議論の経過の中で皆さん方が大体思い描いておられましたのは、これだけのことをい ろいろと審議をするからには最低月に2回程度開催する必要があるだろうということで ございましたが、必ずしも明示されたものではありません。また引き続き御議論いただ ければと考えております。  最後に、企画立案部局とは何かということでございますが、これは内局であります年 金局ということでございます。内局で企画立案を行う年金局とその実施庁である社会保 険庁との関係について、これまでの経過ということを考えた場合に、さらに密接な連携 を図ることが必要であろうということで、今回こうした、論点まとめの3ページにもご ざいますような「新組織の長の大臣への提案」とか、「新組織の長の意見の聴取・尊重 」という枠組みが官邸の会議の中で提示をされたということでございます。  杉山委員  企画立案部局というのは厚生労働省の組織ですか。  佐藤座長  本省にあるものです。  稲葉委員  年金制度自体の企画立案というのは社会保険庁ではやっていないのです。  小林委員  参考資料の2ページを前提とする今のお話、やり取りを伺っていて確認をしたいので すが、まずプロセスとしては、この年金運営会議というのがあって、そこで何らかの審 議がなされて、その審議結果というものが何かまとまる。それは拘束力はないけれど も、それを踏まえて組織長が別途意思決定をするという流れになるのでしょうか。もう 一つの考え方は、そういう2つの段階ではなくて、会社で言えば経営会議のようなイメ ージ、つまりこの場が仮に年金運営会議だとしますと、委員がたくさんいて、いろいろ なことを言う。それを踏まえて座長が組織長として、いろいろ意見はあるけれども、自 分はこうしたいと、ここで決める。この場はそういう意思決定の場であると、そういう 考え方もあるかなと思ったのですが。委員から意見を聞いて、その場の様々なやり取り を踏まえた上で議長がその場で意思決定をするというイメージなのか、ここはここで会 議体として一つ結論を出して、それを踏まえて次のステップで議長がまた何らかの手続 きにのっとって組織の長として意思決定をするという、そういう2段構えなのか、どう でしょうか。  佐藤座長  どうでしょうか、稲葉先生の方から。このつくり方、あるいはこの扱い方、拘束の仕 方、いろいろ考えていくと幾つかの想定はできますよね。幾つかできるのですが、この あたりどうですかね。十分詰め切っていない部分もございますよね。むしろいろいろ今 伺ったので、より論点が明確になりましたので、今後考えますが、どうぞ。  稲葉委員  今まさに類型的な形でまとめていただいたと思うのですが、制度設計としては両方と も可能だと思うんですね。先行有識者会議の枠をはみ出すものではないと思いますが、 これからまさにその点を御議論いただければいいと思うのですが、私のつたない常識で 考えると、2ページ目にありますような、審議事項、重要事項というものがありまし て、こういうものについて長が一定のものを示して、皆さんから意見をいただいて、た だ、議決ということまでするかどうかははっきりしないと思うのですが、一定の方向は やはり出していただいて、それを尊重するというようなものではあるという受け取り方 なんですが、「議決」と書かないで「議」を経てというふうには書いてあるので、そこ は広いと言えば言えるのですが、私の勘ぐりかもしれないのですが、もう一歩進めて法 的な拘束力があるというところまでいけば、そこははっきりするわけなんですよね。ま さに議決をしてもらって。それは最終的な決定ではないのであって、あくまで尊重する ということなんだけれども、それに従わなければいけないと。それは今でも審議会の中 にはいわゆる参与機関型の審議会というのがございまして、通常の諮問機関とは区別さ れる、例えば電波監理審議会が大臣の諮問を受けて異議申立ての審査をする際には、実 質的には最終的な決定権を持っていると。そういう参与機関型の選択はしていないんで す。多分そこは知恵をしぼってやったと思うんですけれども。ですから、どちらの運営 も可能ではないかとは思います。  佐藤座長  現実的に、例えば実際に経営なさっておられて、どちらが有効かとか、いろいろ判断 はあり得ると思うんですよね。審議事項によっても違ってくると思いますが、このあた りまた御意見を伺った方がいいと思います。  小林委員  そうしますと、イメージとしては、年金運営会議では、ある重要テーマについて一定 の方向性を示す。もうちょっと言えば、多数決で意思決定をする、そしてそれに基づい て次のステップで組織長がそれを尊重して自分の最終意思決定をする。そういうイメー ジでよろしいですか。詳細設計は別にして。  稲葉委員  ただその際に、必ず従わなければいけないというものではないというクッションを置 いていると。  袖井委員  私もどうしてもイメージが余りよくわからないのですが、感じとしては日銀の政策委 員会とか、ああいう感じになるのでしょうか。最初、私はこれ、意思決定機関かと思っ ていたら、意思決定補助機関というふうになっているわけですね。だから拘束力がある と言いつつも、必ずしも従わなくてもいいという感じなんですかね。何かその辺ちょっ とわからないので、もう少し何か具体例があれば御説明いただければ。  陶山委員  袖井委員の今のお話に対して、参考になるかどうかわかりませんが私のささやかな知 識を申し上げますと、立法例としては、すべてではありませんが、審議会の中には、そ の答申を最大限に尊重しなければならないということを法律の上で明記してあるものが ございます。これの多くは、現在の組織で申しますと、内閣府に置かれる政策立案型の 審議会の中にそういう規定が多く見られるわけでありますが、これは実務の上では、内 閣総理大臣は答申を最大限尊重しなければならないということが法律上書いてあります と、これは大変に重い。実質的に、いわば100%、法的な拘束力ではありませんけれど も、実際上はそれに沿った行政上の措置なり、立法措置なり対応を、ある意味で義務づ けられていると。義務というのは幅の広い表現で申しわけありませんけれども、そうし ないと、要するに関係者を含め納得を得られないという雰囲気と状況になるというの が、これまで審議会というベースにおいてはそういうものがかなりあったということで あろうと思います。  佐藤座長  最終的に長が決定するということは動かさないでおいた上で、その上での組織のつく り方なんですよね。ですからここですべて決定してしまうという、こういうことではな いということははっきりしているんですけれども。  陶山委員  稲葉先生から大変的確な御説明がありましたので、それに尽きるわけでありますが、 今もほかの委員の方々から御質問がある運営会議、これが今回の新しい組織のつくり方 の上でポイントと申しますか、極めて大きな要素であるということは間違いのないとこ ろであろうと思います。そういう前提で、法制上の立法技術的な観点で、いわゆる外局 と論点整理メモにあります特別の機関というのとが、どういう違いが出てくるかという 面で私なりの感覚を申し上げますと、外局というのは現在の社会保険庁がそうでありま すけれども、その外局を前提としたときに、この年金運営会議というものを法律上どう 位置づけるかということが、審議会であるという前提であるならば、それはそれとして ルールがありますから書きようが当然あるわけであります。基本的政策型と参考資料に 書いてあるようなものなのか、もう一つの型であるのかというのは別として、書きよう がある。  しかし、論点整理メモでは、従来の審議会ではない意思決定の補助機関だと。そうい う位置づけと表現してあるわけです。そうすると、これが審議会ではないという解釈を いたしますと、新たな法律をつくって、その中に公的年金の業務運営についての基本的 なルールとか考え方を盛り込んで、その中に新しい行政組織をはめ込もう、規定しよう という前提で、私ども3人でいろいろこの議論をさせていただきましたし、いつか私が 個人的な意見としてここで申し上げましたけれども、それは今でも私はぜひそうすべき であるという判断は変わっておりませんが、この年金運営会議というのを外局という前 提で、従来の外局の中に法制技術的に規定する仕方というのは大変に難しいと思いま す。仮にこれが今の私どもの会議と同じように行政運営上の懇談会というような位置づ けをするとすれば、それは整理の仕方がある意味で簡単であります。しかしそれでは第 一次の官邸の懇談会の考え方、哲学にも反するでしょうし、対外的にもそれだけのもの なのかということになってしまうわけですね。また、懇談会というのは恒常的な機関で はないということになります。そうすると、外局という前提で、法制技術的な面だけな んですけれども、なかなかに難しい点があるのではないか。  かたや特別の機関というのは、組織管理法制上の哲学としては、審議会とか、施設等 機関とかという、いわば非常にティピカルな、定型的な組織のタイプというものが規定 してあって、それ以外のもので必要があるときは省や庁に設置することができるという ふうに、バスケットクローズ的に規定してありますから、その内部の規定の仕方、つく り方について必ずしもルールがはっきりしていないんですね。だから新たな立法で、単 なる組織根拠法でない作用法的な部分を含めた、意思決定の仕方なんかを含めた新しい 法律の中に行政機関を規定していくということを考えましたときに、特別の機関という 前提に立つならば、少なくとも新しい立法形式の中にはめ込みやすいと言いますか、規 定のやり方としては割と弾力的ないろいろなつくり方、規定の仕方が可能ではなかろう か。  例えば、今の年金運営会議の権限であるとか、議決の形式であるとか、あるいは運営 評議会というのはこういう考え方で評議会というものを設置するとか、長との権限関係 を含めましてむしろ少しく従来の外局のルールでは書けなかったようなことを書き込む ということが法制技術的な面ではやりやすいということではないのかなという感じがい たします。  ただし、特別の機関というのは普通の方にとっては余り意味のないことかもしれない のですが、やはり政府部内の意思決定の調整過程で事務的にはどういう位置づけにする かということによっていろいろな議論が分かれてくるものですから、法制局であると か、組織管理当局であるとかのところで、これから社会保険庁がいろいろな議論を詰め ていかれる過程においては非常に大きな要素になる。それと、杉山委員が前回もおっし ゃっておられましたように、これまでとどこが違うんだということに対する対外的な説 明のしやすさという要素も当然出てくるということだろうと思いますので、そういう観 点からは恐らく、今後だと思いますが、与党のお立場で、従来からもそうであったよう に、改めて年末にかけていろいろな御議論が出てくるんだろうと思います。そうした与 党サイドの御議論の帰趨というものがこのテーマについて非常に大きな影響を与えると いうよりも、むしろ与党のお立場での御議論というのを、ある意味で非常に大きな要素 として勘案しながら最終的な決着を図っていかなければならないという、そういうテー マだと思いますので、今後のいろいろなお立場での議論の集約という大変な議論が多々 まだ残っている状況ではなかろうかという感じを持っております。  佐藤座長  ありがとうございます。いかがでございましょうか。かなり踏み込んだ御説明をいた だいたのですが、ほかの委員の先生方、いかがでしたでしょうか。  杉山委員  私の狭い経験とかの中の話なので、またちょっとわからなくて質問なんですけれど も、新組織の年金運営会議というものの議長は新組織の長なわけですよね。そこで議論 をして、議決を長がされた。小林委員が先ほどおっしゃったように、そこで一つ決まっ て、それは議を経なければいけないけれども、最終的にはその長が決めるんだというこ とになると、運営会議で決まったものがそのとおりにならなかったというか、決まった 後に別のことになってしまった場合、どうしてそうなっちゃったんだろうという、運営 会議で決まったとおりになぜならなかったんだろうということが出たときに、その説明 とか、いきさつ、その間に何があって運営会議の決定どおりにならなかったんだみたい な、そこの情報公開みたいなことというのはなされるのかどうなのか。  私のような単純な人間からしますと、そんなことをするぐらいであれば、議長は新組 織の長でもあるのだから、そこの運営会議で決まったことでもうやっていいんじゃない かと思ってしまうのですが、そのあたりどうなのかなと。尊重しながら意思決定は長と いう、そこがちょっと、なぜそうするのかがよくわからなかったので、教えていただけ ればと思います。  稲葉委員  一般的な言い方をすれば、従わないということは想定されていないということになる と思うんですね。それが事実上の拘束力があるという意味です。法的に従わなければい けないのに従わなければ、いわば意思形成手続違反とかいうことになるわけだから、外 に対しても違法という問題が出てくるわけですよね。だけど、それはないと。もうやっ ちゃったものはしょうがないと。ただ内部的な問題は残るわけで、まさにおっしゃった ような説明責任と言いますか、それは次の運営会議で説明をするとか、つるし上げられ るかもしれないとか、そういうようなことになるのではないかと思うんですね。場合に よっては運営会議のメンバーの方が職を辞するというような抗議の仕方をすることもあ るかもしれないというような、実際問題としてはそういうことも含めた上で従わないと いうことは基本的には想定していないけれども、あえて御質問に答えれば今言ったよう なことになるのかなというイメージなんですけれども。  ただ、わざわざ長が議長であるというのは、まさに皆さん御承知の経済財政諮問会議 がそうですよね。首相がリーダーシップを発揮するためにああいうものをつくったわけ で、現在、想定以上に機能しているというふうにも思うのでありまして、まさにそこは 新組織の長がどういうリーダーシップをとるか。リーダーシップをとれるような形にし ておいて、しかも運営会議というものが十分機能するという、そういうことを先行の有 識者会議はお考えになったのではないかと思います。  木村委員  結局、そうすると、年金運営会議の議を経なければいけなくて、それが長の意思決定 を強く拘束するということで、恐らく前の有識者会議でも、基本的な考え方としては、 チェックするんだと。独走、暴走しないようにチェックするんだと。こういうことから 決まってきていると思うんですね。したがって、年金制度、組織統治、サービス改善云 々の専門家4名というのは、ただ単に参考意見を述べたり、長が意思決定していく事項 について何か教えてあげるということではなくて、牽制の機能を強く持つということで あれば、新しいタイプの意思決定補助機関として法律上位置づけるこの位置づけ方にチ ェックという考え方を入れたような、そういうふうにした方が明確に位置づけられるん じゃないかと思います。したがってそこが新たな考え方というか、新たな仕組みです ね。窮屈かもしれないけれども、そういうことで組織を運営していくんだと。こういう ことになって、それが明確に出てくるんじゃないかと思います。したがって、そういう ようなことがあれば、法的な義務はないにしても、社会的と言いますか、決定執行に当 たってそういった形の責任を負うと。こういうようなことが明確になるんじゃないかと いう感じがいたします。  小林委員  杉山委員の問題意識と私のそれは似ているわけですが、今までのやり取りをベースに 考えますと、稲葉委員がそれも一つの手だとおっしゃいましたけれども、運営会議とい うものが時間的にも、場所的にも、それがそのまま長の意思決定の場であるという設計 でもいいのではないか、むしろその方がやりやすいのではないかなという感じをより強 く持ちました。つまり、年金運営会議で何かを決めて、それを踏まえて別の場で組織長 が別途決めるというプロセスは非常にわかりにくいのではないでしょうか。そこでの審 議を踏まえ、これが議を経ることになるのでしょうが、組織長たる議長がその場で自ら 意思決定をする。そのプロセスは議事録として残され、対外的にもオープンになるとい う方が何となくわかりやすい。それも一つの選択肢として詳細設計の際に検討願えれば ありがたいと思います。  陶山委員  今の小林委員の御意見につきましては、行政組織の意思決定のルールとして問題点が 少しくあると思いますので、その点だけ申し上げておきたいと思います。この論点メモ にも書いてありますように、行政機関の最終的な意思決定権者というのは、省であれば 当然のことながら大臣であり、外局のレベルでは当然のことながら長官であるというこ とでありますから、その長の意思決定をこの年金運営会議の結論が完全に拘束するとい うような仕組みは当然考えられない。実態として、先ほど小林委員がおっしゃったよう なことは、それはあり得ると思います。しかし、制度上の仕組み方として年金運営会議 の結論がある意味で時間的にも、あるいは内容的にもそれが行政機関としての最終的な 意思決定とイコールであるというような仕組みの仕方、これはまさしくルールに反する ことであって、あくまでも議を経て、最大限に尊重して、最終的な意思決定の責任は組 織の長であるということの基本的な考え方は踏み外してはいけないということではなか ろうかと思います。  小林委員  私も同じことを申し上げております。ただ、意思決定の場にしたらどうかということ なんですね。長が意思決定をする場がこの運営会議である。その方がわかりやすいので はないかと申し上げているだけです。  稲葉委員  現実には、要するに最終的に決裁の問題なんですね。長が決裁をするというのは、そ の場ではなくて、長官室に戻って決裁をするということで、それで陶山委員の御意見と も平仄が合うのでありまして、しかし実質的にはその現場で決まったことを長官室に戻 って決裁をするという状態であると。そういうことではないかと思うんですけれども。  佐藤座長  最終的決定権限は長にあるという行政組織法上のルールを頭に置いた上で、実際の運 用でいかに多様な意見を反映できるか。例えば今のように多様な考え方を述べ合う場を つくるというのと、そこで意思決定を合議機関としてやるのと、ちょっと違います。そ して合議機関は想定されていないということですよね、小林さんがおっしゃったのは。 決めるということは合議制機関になっちゃうから。そうではないという御理解でもある ので、運用の問題になる部分もかなりあるかもしれませんね。ほかにいかがでしょう か。  岸井委員  まず運営会議は今度の新組織の目玉中の目玉ですから、曖昧さをできるだけ残さない でわかりやすい権能、やはりある程度コンセンサスを得ておいた方がいいと思いますけ れどもね。今日ちょっと伺いたいのは、先ほど陶山委員がおっしゃられたこと、もとも との新組織の法律上の位置づけ、名称の問題なんですけれども、1と2と提示されまし たが、私なんか個人的には2の方で思い切って変わったということを強く外にアピール すべきだと思うんですけれども、3人の中では、方向としてはどちらの方向に傾いてい たかというのが一点と、大臣から差し支えなければお伺いしたいのですが、陶山委員が 言われるように、与党協議というのは非常に重要だろうと思いますし、デリケートな部 分もあると思います。その点で、感触で結構ですが、例えばこれをもし2の方で、この 会議の意向として強く打ち出すという場合に、どんな反応が考えられるか。大臣も非常 に与党、自民党の内部には精通されているので、その辺もしお聞かせ願えればと思いま す。  佐藤座長  まず第1点につきましては、これは私が答えるべきだと思います。2つ案を出して、 それぞれ各3人の考え方は頭の中にあるかもしれませんけれども、まだ結論を出しては おりません。本日、みなさんの御意見を伺った上で法技術的な問題等も考え、あるいは 国民の目から見てどうかということもございますので、そのあたりも考慮しながら今後 決定したいと考えております。  稲葉委員  私の意見は申しませんが、特別の機関にすると設計が自由にはなるのですが、どうな るかというと、外局ではなくなるんですね。本省の特別の機関になるんですよ。下手す るともっと埋没するかもしれないので、そうならないようにするための工夫がもっとい ろいろ要るんですね。例えば、特別の機関の長の権限というのは、そこで国家行政組織 法の基準規格からバッと出てこないものですから、特別の機関であり、なおかつ独立性 の強いものにするための工夫を法制技術上しなければいけないとか、そういう問題が出 てまいります。簡単に言ってしまえば、外局でなくなることによって生ずる問題という 中に、例えば下手すると独立性が弱くなるのではないかというような問題もあるので、 それをつくることは可能ですが、注意をしなければいけないということなんですね。  岸井委員  既存の組織では、性格的に類似性のあるものというのは何ですか。先ほど列挙されて いる中では。  佐藤座長  資料の5ページでズラッと挙げたのがございますよね。これに一番近いのは何かとい うことですよね。稲葉先生どうですかね。  岸井委員  例えば本省の特別機関ということだと、法務省と検察庁の関係で言えば、法務省の刑 事局と検察庁とかね。特殊ですよね。あと選管とか。そのほかはまた全然違う性格のも のだと思いますけどね。  稲葉委員  原子力安全保安院ですかね。特別の機関として経済産業省にありますけれども。  岸井委員  業務の性格的にはそう類似のものはないと。  稲葉委員  ないと思います。  佐藤座長  新たなものをつくるということでもいいわけですよね。  稲葉委員  そうです。  佐藤座長  一向に構わない。特別の機関としてね。年金の事業を執行する、そういうものとして つくるということはあり得ますからね。  岸井委員  最終的にこれ、両論併記的な形で出すか、どちらかに絞っていくかという、その辺は どんな議論になりましたか。まだそこまで議論されていないですか。  佐藤座長  実はそれを詰めておりませんが、やはり与党の御議論もおありのようですね。ただ、 そのことと、私どもは私どもとして一方できちんと見識を示さなければいけないという こともございますので、まだそこまで決めておりません。  岸井委員  私も与党の方はまだ十分取材しているわけではないのですが、大臣、差し支えなけれ ばちょっと。  川崎厚生労働大臣  まさにそのとおりで、今ここでどういう議論がされるかなということを、私も含めて 注視している。総理もそうだと思いますよ。ここに委ねながら、今議論してもらってい るので、どういうふうに集約されるか、どういう形になるか見ながら最終ステージも判 断をさせていただくということになろうと思うんです。  岸井委員  そういう意味では、お互い相互関連がある。  川崎厚生労働大臣  まだ与党の皆さん方も、ものを言うのは早い。ここで議論していただくのが初めから 想定していたことでしたから、何のためのここでの議論という話になりますので、なる べくものを言わないようにお願いしておきます。  袖井委員  私もこの辺とかよくわからないのですが、今、陶山委員からの御説明で、こういうも のがあるのかと初めてわかったので、外局とする場合と特別の機関とする場合の難し さ、困難性、あるいはメリット、デメリットみたいなものをきれいに挙げていただけま せんか。そうしないとわからない。今初めて陶山委員から、外局にした場合にはいろい ろ難しさがあるという御説明を聞いて、「あ、そうか」とわかったのですが、その辺の ところ、メリット、デメリットとか、困難性、問題点というのをちょっと整理して挙げ ていただけると大変ありがたいです。  佐藤座長  今日、幾つか挙げることは可能ですが、むしろ次回までの早い時期にペーパーをつく りまして、お送りしましょうか。その方がいいと思うんですね。そうさせていただけま すかね。よろしくお願いします。  陶山委員  大臣からお言葉がありましたので、大変御無礼かもしれませんが、一言私の意見を申 し上げたいと思います。確かに組織の問題というのは、予算編成のタイミングとの絡み で申し上げれば、恐らくは最後の最後の段階でいろいろなことの決着がつくというよう な要素が多いものですから、党のサイドの方も恐らくこれからいろいろな御議論がある だろうということはさっき申し上げたとおりなんですが、要するに業務の性格論、仕事 の性格から言えば、私は素直に言えば現在の国家行政組織法を前提とする限りは、外局 に一番なじむ仕事の性格であろうと。これは前回も申し上げたとおりであります。  しかし、年金運営会議というものが非常に新しい組織の重要な要素として第一次の有 識者会議で提言をされた。これを、言ってみれば正規の組織内の大きな機能を持った存 在として法律上位置づけるということが、繰り返して恐縮ですが、法制技術的な観点か らいうと、非常に難しい要素が多いと。審議会とも言い切れないし、仮に審議会という 整理をするとしても、政府の方針から少しくはみ出した存在になることは間違いない。  したがって、そうした技術的には大変難しい要素があるけれども、言ってみれば、こ れはある意味で政府部内のルールみたいな話ですから、法制上のルールですから、今回 の新たな社会保険の仕事をつくり上げる組織として、ニュー社会保険庁をつくり上げ る、庁になるかどうかは別として、新しい保険庁をつくり上げるという状況の中で、言 ってみれば政府部内の意思決定過程で、政治的な判断とか要素は少しく今は別にいたし ますと、事務的な意思決定、調整過程ではどこまで乗り越えられるか、合意形成が得ら れるか。それに尽きるんだろうと思うんですね。  そのときに、それだけしかないよというのではなくて、幾つかの選択肢を想定しなが ら、その問題点を整理し、どうしたら第一次の有識者会議の考え方、哲学が生きるよう な形で集約できるか。そういう方向で、少しく幅を広げた形で少なくとも作業的には対 応する必要があるだろうということを申し上げているわけでして、その最終的な決着が つくまではもう少し時間的な要素というものが必要ではなかろうかと。だから、社会保 険庁の方では、そうした法制当局とか、組織管理当局とかと既にやっていらっしゃるは ずですが、少なくとも水面下でいいからいろいろな議論を重ねて論点整理をして詰めて いく。かたや政治的ないろいろな御議論というのはこれから出てくると思いますから、 その帰趨を見ながら、最終的にもう少しだんだんと方向を見出していくということしか ないのではないか。その中で私どもの新たな有識者会議の立場としては、そういう状況 も見ながら、また報告も受けながら最終的に方向づけを出すというのが、12月半ばに予 定されている会議の段階ということになるのではないかという感じがいたします。  佐藤座長  どうもありがとうございます。それでは次回、12月12日を予定しておりますが、今日 いろいろ御議論いただいた点、さらに御疑問がある委員もございましたので、また私ど も3名で、協議をさせていただいた上で次回また御提案をさせていただきたいと思って おりますが、そういう扱いでよろしゅうございましょうか。それではそうさせていただ きます。  ちょっと時間がございませんので、次のテーマに入らせていただきたいと存じます。 それでは、次は人員削減計画及び職員の新組織への移行問題について御意見を承りたい と思っております。まず事務局から資料の御説明をお願いします。  石井総務課長  前回、人員削減計画、職員の新組織への移行問題につきまして事務局より議論のたた き台を提出するようにという御指示をいただいております。本日、人員削減計画に関す る資料といたしまして、「社会保険庁の組織・業務改革に伴う人員削減計画(素案) 」、資料2でございます。職員の新組織への移行に関する資料として、「職員の新組織 への移行について(論点)」、資料の3でございます。それぞれ用意させていただいて おりますので、私どもの方から御説明をさせていただきたいと思います。  それでは早速資料2の方から説明を申し上げたいと思います。計画そのものは、素案 でございますけれども、この1ページに枠囲いをしているこの中身、これを計画という ことにしてはどうかということでございます。経緯でございますが、御案内のように、 官邸有識者会議の5月の最終とりまとめにおきまして、人員削減計画を策定し、組織の スリム化を計画的に推進するようにとされておりますことから、この有識者会議におい て御議論いただけるように素案として作成をさせていただいたものでございます。この 計画でございますが、政府全体の動きとは別個、社会保険庁として独自に策定をするも のでございます。  政府全体としての取組みでございますが、2つございまして、1つは先月、10月4日 でございますけれども、閣議決定がございます。平成17年度から平成21年度までの5年 間に、平成16年度末定員の10%以上を合理化するという閣議決定がございます。これに のっとって、実際には18年度から21年度までの4年間の削減計画でございますが、これ が決定されております。  もう一つ、いわゆる純減数についての取組みでございます。合理化によって削減数か ら増員数を差し引いたのが純減数というわけでございますが、こちらの方は今月の14 日、経済財政諮問会議で総人件費改革基本指針というのがとりまとめられておりますけ れども、この資料2の5ページ、参考の5ということで簡単に書かせていただいており ますが、国の行政機関の定員を今後5年間で5%以上純減させるというふうにされてお ります。この基本方針につきましては、翌日の15日の閣議決定で、年内にこの純減目標 を実現させることを含む、給与改革なども含んだ実行計画というのを政府として年内作 成するということが決まっているわけでございます。  社会保険庁としての人員削減計画でございますが、独自というふうに申し上げたわけ でありますが、無論この2つの合理化計画、あるいは純減目標の取組み、これと内容的 にはきちんと整合性を持ったものとして策定をするということは、これは当然の命題で あると考えております。計画の内容、ポイントでございますが、結論的には常勤公務員 の定員を7年間で20%以上純減する。非常勤の削減も盛り込んで、常勤と非常勤をあわ せて1万人程度を削減する。そういう積極的に踏み込ませていただいた計画素案という ふうにさせていただいております。  なお、計画期間を7年間としている理由でございますが、これまでも御説明申し上げ ておりますように、社会保険オンラインシステムの刷新というのを、18年度を初年度と して5年間行うことにしております。これが完了いたしますと、もちろんその過程にお いても一定程度のものが出てくるわけでありますが、人員の削減というものが相当程度 そこから期待できるということでございます。システム完了後でありますが、システム が完成した後においても、今度はそれを前提として広域的な集約化を段階的に行うとい うような取組みが可能となるわけでございまして、そういうあたりを勘案いたしまして 7年間というふうにさせていただいているわけでございます。  時間もございませんので簡潔にということで申し上げますと、2ページでございます が、これは現時点における試算でございます。現在、17年度の予算定員として、そこに ございますように正規職員が1万7,000名余り、非常勤職員の方も1万1,000名、合計2 万8,800名余りということになってございますが、7年間の取組みでありますが、まず 一つの動きとして、今から3年後、20年の秋に政管健保の公法人、それから年金運営新 組織、これができるわけでありますが、その政管健保の公法人ができるときに、ここに ございますような人員規模で、職員が非公務員という立場での移行を経ることになると いうことであります。  その際に、現在、政管健保の業務の一つとして、関連するものとして取り組んでいる ものとして、保険医療の指導監督業務というのがあるわけでございます。その性質は、 本来的には行政事務でございますが、医療保険の保険者の最終的な受け皿という、そう いう役割を政管健保は担っておりますので、その政管健保の運営に携わっております社 会保険庁の職員が、現在、指導監督業務に携わっているわけでございますが、年金運営 の新組織にこれを残すことはできませんし、事務の性格がそういう行政事務でございま すので、その際、国の方にこの事務は移すということで、正規職員、それに要する人員 800人程度を本省の方に移すと。具体的には第一線の事務でございますので、地方支分 部局でございます地方厚生局の方に移管するというのが一つございます。  その残りが年金運営に関する新組織でございますけれども、その移行の動きというの をとらえまして、それに向けて、あるいはその後もそうでございますが、大胆に削減を 図っていくということで、削減の規模としては、正規職員・非常勤職員あわせまして 6,000名余りというのを想定しているわけでございます。そういうことで、削減後の姿 でございますが、年金運営新組織の方は1万8,200人程度でございます。削減のトータ ルの姿でございますが、ただいま申し上げました年金運営新組織にかかわります削減 数、正規職員・非常勤職員あわせまして6,300人程度、政管健保の公法人の方に移行し ます職員、正規・非常勤あわせて3,500名程度、あわせて約9,800人。丸めまして約1 万人、これを7年間に削減しようということでございます。  3ページ以降、合理化が考えられる項目ごとにやや詳し目の数字を記載しております が、このシステム刷新、これもまだ着手しておりませんし、業務改革の進捗状況、ある いは市場化テストの実施状況、制度の改廃などによりまして実際は変わり得るんだろう と思っておりますが、あくまでも現時点における試算ということで、これらの積み上げ によって、今申し上げたような削減を目指したいというふうに考えております。今後、 本日、それから次回の有識者会議における御議論を踏まえて、年内に決定を見たいとい うふうに思っているわけでございます。  資料3の方でございますが、「職員の新組織への移行について(論点)」ということ でございます。この資料につきましては、自由民主党が5月31日に決定しました結論、 3ページに整理させていただいておりますが、この中にいろいろ記載がございます。公 的年金制度を運営する組織についての記述といたしましては、2(4)の柱書きのとこ ろに、漫然と新組織の職員に移行しないための措置を以下のように講じるべきだという ことが書いてございます。まず年金新組織への職員の移行につきましては、このことを 踏まえて、年金運営業務の新組織において従事する職員にはやはり厳正な「服務の宣誓 」を行った者に限ってその職員とするというような所要の措置を講じるべきではない か。「服務の宣誓」の内容といたしましては、枠囲いの中に記載しましたようなことを 踏まえて、必要な内容を盛り込むべきではないかというふうに整理させていただいてお ります。  なお、これまでの省庁再編の例を見ますと、旧の組織から新しい組織へ移行する際、 旧の組織の職員につきましては、別に辞令を発せられない限り、新たな組織の職員とな る者とする旨の職員の引継ぎ規定が法律において設けられているわけであります。「服 務の宣誓」についての例はそこに記載のとおりでございます。  政管健保の公法人への職員の移行でございますが、これにつきましても3ページに記 載がございます自由民主党の結論に沿って整理をするということではなかろうかと考え て記載しております。公法人に移行する職員については、まずもって従前の法人化と同 様に法律上で職員の引継ぎの規定を設けて身分を移せるように措置すべきではないか。 ただし、その場合、公法人の独自の人事方針が反映できるように一定の措置を講ずるべ きではないか。職員の引継ぎ時、退職金は支給せずに、あとで通算して法人から支払う という措置も講ずるべきではないかという整理でございます。  甚だ簡単ではございますが、以上でございます。  佐藤座長  ありがとうございます。人員削減計画素案と職員の新組織への移行についての取扱 い、2つございますが、どうぞ御意見、御質問があれば。  岸井委員  申し訳ありません。事前にお願いしたのですが、私ちょっとこれで退席をさせていた だくことになっています。すみません、一点だけ。人員削減については、純減が5年で 5%と政府全体の方針が出ていますので、それを7年で20%というのは相当に大きい規 模になるのかなという気がします。ただ、前回ヒアリングでおいでいただいた職員団体 の方たちの感触から言えば、相当な抵抗があるんだろうと思うんですよね。人事評価制 度も含めて。そういうところの納得を得ながらやっていくわけですから、相当な説得の 御努力もいるだろうと思うのですが、この計画については非常に強い決意で臨んでいた だきたいという気持ちであります。マスコミの立場でこういうことを言うのは隔世の感 がするんですけどね。しかし、そういう状況の中でありましょうし、それは何としても やり遂げていただきたいなという気持ちがあります。  もう一点、さっきの方に戻りますが、改めてということはないのですが、世論とかマ スコミ状況から言えば、なかなかこの社保庁問題というのは簡単な話ではないと思うん ですよね。そういう意味で、論点整理の冒頭にあった前例にとらわれないという、事実 上解体して、そこから出直す新組織をつくるんだというこの方針、精神をとにかく強く 出していく必要があるのではないかなと。この会議としてですね。そういう感じを持ち ますので、よろしくお願いしたいと思います。勝手ながらお許しいただいて、ちょっと 退席させていただきます。失礼します。  大山委員  私もこれで出なければいけないので、申し訳ございません。一点だけ申し上げたいと 思います。既に官邸での有識者会議でもいろいろ議論はあったところですが、この人員 削減計画については、この資料にあるとおりしっかりお進めいただきたいと思います。 ただし、この中で、先ほど来お話がある社会保険のオンラインシステムに関しては、現 状120名ほどの方に従事していただいていますが、残念ながら全体を取り仕切ると言いま すか、設計を含めたシステム全体を見る機能、しばしば「ITガバナンス」と呼んでい ますが、この部分については、残念ながら社会保険庁の中に現在十分な人がいるとはま だ思えません。  現在は、緊急対応のプロジェクトチーム等に入っていただいていますが、社会保険の オンラインシステムがこの業務の改革及び人員削減等に示される今の計画をうまく実行 するのに不可欠であるということを考えると、どうしても社会保険庁の中にそれだけの 人を置いていただきたいと思います。本来ですと、システムの入れかえが始まる前から 見ていただくことが重要で、途中からですと十分な知識や経験が得られないのではない かと危惧します。  言うまでもなく、政府全体としてもシステム調達や開発の管理体制の強化を図るため に、、現在、IT戦略本部の方でも議論しているところでありますが、特に社会保険庁 さんは、行政改革及びシステムを取りかえて様々な変革を進めるフロントランナーにな っていただくためにも、今、申し上げたことに適切な対応をしていただきたいと思いま す。  もう一点は、ITに関する十分な知識を有する人材を育成するには、どうしても時間が かかることから、早急に対応するため、中途採用も考えていただきたいということで す。本来ですと、人員削減の話をしているときにこのようなお願いはしづらいところで すが、あえて必要なところには人をしっかり充てていただきたいとお願いします。ITに 関する十分な知識を持っている方は、世の中には大勢いますので、是非中途採用のこと も御検討いただきたいと思います。以上です。  佐藤座長  ありがとうございます。今現在120名ぐらい従事されているということですね。例え ばどれぐらいというのはありますか。  石井総務課長  それでは事務局の方から、情報提供ということも含めて御説明をさせていただきたい と思います。資料2の4ページのところをごらんいただきたいのですが、枠囲みの上に 説明がございます。まさにオンラインシステムの刷新につきましては16年度、刷新可能 性調査というのを外部の専門能力を持つ事業者に委託して、その結果をまとめておりま す。その結果によりますと、先ほど出ましたように、現在120名の者が携わっておりま すが、170名ほど全体ではいるのではないかということで、50名ほどの高い専門性を備 えた職員の補充、それによる体制の強化を図るべきであるということがそこで明確に示 されているわけでございます。  私どもの方、大山委員からの年来の御指摘もありますものですから、実は18年度の定 員要求の中で、3カ年計画の初年度ということでございますが、15名の増員の要求をさ せていただいておりまして、現在のところ、通常、本省・本庁の方にこうした要員を逆 に増員という形で査定するのはなかなか異例ではあるけれども、そして全体としては社 会保険庁、非常に大きな純減を求められているわけでありますが、そこら辺も御勘案い ただき、このITガバナンスにつきましては他のガバナンスのための強化要員の増員と いうことと共に、できるだけそれに近いような査定を考えようというような大変御理解 のある取組みをいただいているのではないかという感触を目下のところはいただいてお ります。定員に関する御議論はまだまだ続いておりますので、もちろん楽観は許さない わけでありますが、そういうような感触でございます。また、要員の確保の仕方につき ましても、中途採用も含めまして、積極的にやっていきたいと思っております。  大山委員  今のことですが、そういう状況であれば非常に好ましいと思います。しかしながら現 実には、今、最適化計画をつくり、それを実施に移行していく重要な時期に来ているわ けですから、これは無いものねだりかもしれませんが、望むべくは今から将来を担う人 が入って、計画の策定および実施のプロセスをしっかり見ていくべきと考えます。そう でないと、1年くらいはおくれる可能性があり得るのではないかと危惧します。プロジ ェクトチームを初め、いろいろなところに無理がかかっている状況を考えると、ぜひ、 継続的にIT関係の業務に従事する方を選んでいただいて、対応していただけるようお願 いしたいと思います。  佐藤座長  人員削減計画については、かなり厳しい数値が示されていますので、具体的にどうい う形で進んでいくかということもありますが、新組織への移行問題についてはいかがで ございますか。  木村委員  一言だけなんですが、これだけの数の削減を振り分けとともに行うということです が、今まで相当多過ぎて全体にスリムにということですが、それが著しかったのかどう かという評価をしなければいけないと思うのです。ただ単に、削減のときに、新しい採 用とやめる人とのバランスだけを見て採用の方を抑えるというような形にしますと、こ れは我々会社でもよくあるのですが、何年間か採用しませんと、なかなかつながらない ということもありまして、ずっと継続して運営していく組織ですので、そのあたりをよ く考えながら全体のスリム化を図ると。これの具体的な手法論ということなんですが、 そういうような観点をぜひ取り入れて行っていただくべきではないかと思います。  石井総務課長  大変重要な御指摘で、私どももそういうふうに思っております。例えば年金運営新組 織に関する削減数6,300のうち、4,800は非常勤の職員でございますので、これは契約期 間が切れるところで段階的にとめていけばいいんだろうと思います。問題は正規職員の 1,500名ということになろうかと思いますが、現状、毎年退職者が400人近く推移してき ております。今後の退職者の動向でございますが、大体300から400、なかなか正確なと ころを見通しにくいわけでございますが、その幅の中で毎年毎年出てくるんだろうと思 います。そういう数字の推移の中で考えてみたときに、採用をある程度抑制するという ことで7年、あるいは8年でありますが、それだけの時間をかければ、いわば組織の、 例えば年齢構成上のバランスというものに大きな負担をかけることのない、そういう形 での削減が可能かと思っております。以上でございます。  陶山委員  人員削減の問題を含めて、対外的な説明の仕方という観点で若干私なりの意見を申し 上げてというよりも、社会保険庁の当局にお願いをしたいと思っております。それは、 例えば先ほどの組織の問題というのは、どういう名称のどういう法律上の位置づけのも のをつくるかというようなことは、一番わかりやすいものですから、そのことだけに注 目が集まる。マスコミなんかの報道の上でも、外局なのかそうでないのかとかいうよう なことだけにスポットライトが当たるということはどうしても避けられない傾向であろ うと思うのですが、村瀬長官が折々にお話になっておられますように、大変御苦労され て今日まで業務改革の面で非常に多方面にわたって、また内容的にも非常に幅の広い業 務改善、業務改革のプログラムをつくられて、それを工程管理表的な要素も入れながら 実行に移されてきている。  もちろん、かなり長い期間をかけて改善計画というのは進んでいくわけですが、そう した業務改善の分野、先般この有識者会議でも議論のあった新しい人事評価の制度、今 議題に出ております業務合理化に伴うところの人員削減の計画、こうした、単に組織の 名称とか位置づけということだけではなくて、人事制度、業務のシステム改善、そうし たあらゆる分野について総合的に新しい社会保険の仕事の改革を行うというPRの仕方 と言いますか、対外的な説明の仕方、それをぜひ社会保険庁の方は意識して、総体的な 業務改善の内容という感覚でとらえて、そういうものの言い方を工夫していただきたい なと。単に組織だけにスポットライトが当たるということは必ずしも適切ではないと思 います。それが一点。  2つ目に、この削減計画の内容でありますが、数字だけで見ると、本当にこれだけの まとまった削減というのが実行できるのかと。時間はかなりの期間が前提になっていま すが、相当大きな数字なんですね。これは逆に言いますと、この削減目標の計画という のがどういう積算と言いますか、積上げと言いますか、どういう内訳になっているかと いうのは必ずしもわからないものですから、かなり大きくくくってありまして、外部委 託化とか、バックオフィス業務の効率化とか、かなり大くくりになっていて、そのこと 自体、私どもに必ずしも内容を理解するだけの細かい知識はありませんから、一層とい うことなんですが、本当にこれだけのものが可能なのかという感じがいたします。  したがって、これも対外的に説明しPRをされる際は、一般の人に理解しやすいと言 いますか、できるだけわかりやすいような説明の仕方、ものの言い方を工夫される方が いいのではないかという思いがいたしております。  稲葉委員  新組織への移行についてというペーパーに関連してなんですが、ここに書かれている ことについてというのではなくて、これはこれで結構かと思うのですが、新組織への移 行ということになると、むしろ私が関心を持つのは、政管健保の公法人と年金運営新組 織、それぞれに正規の職員の振分けというのをしなければいけないという問題で、実際 に問題としては、その方がと言いますか、それも非常に困難なと言いますか、大変な問 題ではないかと思うのですが、今の段階で結構なんですが、その辺はどんなふうなこと になるのかということについてお聞かせいただければと思うのですが。  石井総務課長  それぞれの組織への職員の振分けについての現時点における考え方ということでござ いますが、率直に申し上げまして、それぞれの組織をどのような形でつくり込んでいく のかということに私どもの業務の重点もございまして、それを前提とした、そうした職 員の振り分けということなどについての組織的な議論というのは、まだ十分な形では行 っておりません。  ただ、かかわります私ども職員の間の基本的なものの考え方といたしましては、これ はそれぞれ職員、いろいろな考え方、生き方をしている、目指しているということであ ろうと思いますので、そういうような考え方、生き方というものを例えばしっかり聞か せてもらって、できるだけそれぞれの職員の立場において問題がないような、そういう 方法で進めるということなのではないかと思っております。一方的に職務命令というよ うな形で指示をするというやり方だけでは必ずしも適切とは言えないのではないかとい う感じを持っているというのが率直なところでございます。  佐藤座長  ほかにいかがでしょうか。特にございませんでしたら、いずれにしましても、本件に つきましてもまた次回、さらに今日の御意見をまとめまして、具体的な提案を示したい と思っておりますので、よろしくお願いします。  それでは厚生労働大臣、もし御意見がございましたらどうぞ。  川崎厚生労働大臣  もう7回目を迎えまして、今日はまさに各論にわたって、また核心にわたって御議論 をいただきました。ありがとうございます。年末を迎えますと、私どもの役所、そろそ ろ忙しい段階を迎えてまいります。三位一体改革も今月中には結論をつけなければなら ないだろうと。医療改革の問題、予算の問題、次から次へと出てまいります。その中で もこの社会保険庁改革、昨年来からの議論の中で厚生労働省として極めて大事な課題、 国民の信頼を回復できるかという根底の問題でございますので、先生方、委員の皆さん 方にいろいろ御議論をいただく中、そろそろとりまとめの方向づけをしていかなければ ならない。年内ということでお願いしてまいりましたが、次回の予定も既に座長の方か ら御提案ありましたように決めていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げ たいと思います。いずれにせよ、来年の法案提出を目指して全力を挙げてまいりたいと 思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。今日はありがとうございました。  村瀬社会保険庁長官  3点だけお話し申し上げたいと思います。1つは、いろいろ御議論いただいています のは、先ほど大臣からもお話がありましたように、社会保険庁改革というのは最大のポ イントは何かと言いますと、国民の皆さんから信頼を得られる組織になり得るかどう か。こういうふうに考えておりまして、その中で1点目は、社会保険庁改革は、組織改 革と業務改革と意識改革、この3点セットがあって初めて改革ができるんだろうと思っ ておりまして、業務改革、意識改革はまさに現状の社会保険庁の中でやっていかなくて はいけない仕事だろうと思っておりまして、私をはじめ社会保険庁の幹部、必死になっ てこれをやり遂げたいと。この決意をまず第1点、述べさせていただきたいと思いま す。  2点目の人員削減計画でございますが、今日、提出させていただきましたのは、まさ にこの中でシステムの刷新、事務集中、市場化テストということで、はっきり外部の力 を借り、システムの力を借りることによって人員を削減していくという大きな方向感を 出させていただいております。したがいまして、これをしっかりやり遂げていくという ことが大前提であるという、これが2点目でございます。  3点目に、公法人への移行の問題が出ましたが、これにつきましては本人の希望を聞 きながら丁寧にやりたいと。ただし、組織として成り立つかどうかというのは最大のポ イントになりまして、特に政管健保の公法人化は保険者機能を強化するのが目的で公法 人化するわけでございまして、そういう点ではしっかりした人員が公法人に行くように していきたいと。この3点を申し述べまして、私の方からの発言とさせていただきま す。  佐藤座長  ありがとうございます。それでは予定の時間が参りましたので、本日の会議はここで 閉会とさせていただきます。次回は12月12日、月曜日ですが、18時から20時までを予定 しております。組織改革等について意見の集約をしたものを御提示申し上げたいと思っ ております。  それでは長時間にわたり、ありがとうございました。閉会いたします。                                     (了) 【照会先】  政策統括官付社会保障担当参事官室   津曲、川島   03−5253−1111   (内7702、7708)