05/11/18 中央社会保険医療協議会薬価専門部会平成１７年１１月１８日議事録


平成１７年１１月１８日　中医協薬価専門部会
　　　　　　　　　　　　第２６回議事録
(1)日　　　　　時　　平成１７年１１月１８日（金）１１：２３～１２：１９
(2)場　　　　　所　　霞が関東京會舘「シルバースタールーム」
(3)出　　席　　者　　遠藤久夫部会長　土田武史委員　室谷千英委員　小林麻理委員
                     対馬忠明委員　小島茂委員　宗岡広太郎委員（代理  松井氏）
　　　　　　　　　　 松浦稔明委員
　　　　　　　　　　 松原謙二委員　青木重孝委員　黒﨑紀正委員　山本信夫委員
　　　　　　　　　　 向田孝義専門委員　仲谷博明専門委員　渡辺自修専門委員
　　　　　　　　　　 〈事務局〉
                     麦谷医療課長　赤川薬剤管理官　他
(4)議　　　　　題　　○薬価基準制度の見直しを行うに当たっての論点
　　　　　　　　　　 ○その他
(5)議　事　内　容

○遠藤部会長
　ただいまより、第２６回薬価専門部会を開催いたします。
　初めに、委員の出欠状況について御報告いたします。
　本日は、宗岡委員が御欠席で、松井さんが代理でお見えです。
　なお、本日、保険局長は、公務のため遅れるかまたは欠席される旨の連絡を受けており
ます。
　それでは、議事に入りたいと思います。
　７月２７日開催の前々回、１０月５日開催の前回と、２回にわたり、当部会において
「薬価基準制度の見直しを行うに当たっての論点（案）」に基づき御議論をいただきまし
た。
　本日は、１０月１９日に厚生労働省が発表した「医療制度構造改革試案」を受けて、去
る１１月１０日に社会保障審議会医療保険部会において「薬剤に係る給付の見直し等」に
ついて審議されたことを踏まえて、私と事務局とで、これまでの御議論をもとに「次期薬
価制度改革の骨子（たたき台）」を作成いたしました。
　表題にもありますように、この資料は、あくまでも今後の議論の「たたき台」ですので、
骨子の内容については当部会において今後十分に御議論いただき、最終的に成案を得たい
と考えております。
　それでは、「次期薬価制度改革の骨子（たたき台）」について事務局から説明をお願い
します。またあわせて、１１月１０日の社会保障審議会医療保険部会に提出された資料に
ついても御紹介を願いたいと思います。
　それでは事務局、よろしくお願いします。

○事務局（赤川薬剤管理官）
　医療課薬剤管理官でございます。
　事務局から提出している資料といたしましては、中医協薬－１、薬－２及び薬－３でご
ざいます。薬－１「薬価基準制度の見直しを行うに当たっての論点（案）」、これにつき
ましては、前回１０月５日の薬価専門部会で御議論いただいた資料ですので、説明は省か
せていただきます。
　薬－２の資料でございます。表紙をおめくりいただければと思います。資料につきまし
ては、まず、「既収載医薬品の薬価改定」につきまして、１ページから５ページまでござ
います。それから６ページ以降は、「新規収載医薬品の薬価算定」という構成になってご
ざいます。
　まず１ページ、「既収載医薬品の薬価改定」、「１．薬価改定における調整幅方式」で
ございますけれども、既収載医薬品の原則的な薬価改定方式として、これを維持すること
としてはどうかということでございます。
　それから、２ページに参りまして、「２．後発品のある先発品の薬価改定」でございま
すけれども、この改定方式につきましては、更なる薬価の適正化を図る観点から見直すこ
ととしてはどうかということでございます。
　その下に、「具体的な改定方式の例」といたしまして、２つ書いてございます。(1)とい
たしまして、後発品を含めた同一成分・同一規格の全銘柄の市場実勢価格の加重平均値を
用いて、調整幅方式により算定した価格を先発品の改定薬価とするということでございま
す。これは平成１４年度の改定におきましても、検討の対象とした方式の例でございます。
　それから、(2)といたしまして、現行の薬価算定ルールにおける先発品薬価の一律引下げ
率、現在４～６％となってございますけれども、これを一定ポイント拡大するということ
でございます。併せて、平成１４年度及び平成１６年度改定において一律引下げの対象と
なった後発品のある先発品についても、今回の薬価改定に限り、同じく一定のポイントを
さらに引下げを行うということでございます。
　それで、その下の丸でございますけれども、この「具体的な改定方式の例」の(1)のいわ
ゆる成分加重平均方式を採用するといたしましたら、その際には、併せて、引下げ率の上
限の設定などの激変緩和措置の導入についても検討することとしてはどうかということで
ございます。
　具体的なイメージといたしまして、３ページに、それぞれ今お示ししております方式の
例、(1)、(2)、それぞれ書いてございます。それから、参考といたしまして、財務省から提
案がなされております、医療保険給付は後発品の薬価の水準までとし、仮に、患者が高い
先発品を選択した場合には、後発品との差額は自己負担とする仕組みの導入というものも
併せて記載させていただいてございます。
　それから、４ページでございます。「３．再算定」についてでございますけれども、１
つ目の丸、市場拡大再算定、効能変化再算定及び用法用量変化再算定については、これを
維持することとしてはどうかということでございます。
　それから、２つ目、３つ目の丸でございますけれども、現在、不採算品再算定につきま
しては、薬価改定の際に行っておりますけれども、安全対策上の必要性によりまして製造
方法の変更等を行いました既収載医薬品、あるいは新規収載医薬品という場合もあります
けれども、それにつきまして、既収載医薬品の薬価をそのまま適用しては、あるいはその
類似薬効比較方式により算定したのでは不採算となる。それからその上で、緊急性がある
場合に限りまして、現行の不採算品再算定を準用し、必要な時期に薬価の改定を行う、あ
るいは薬価の収載を行うということを認めることとしてはどうかということでございます。
これにつきましては、新医薬品の取り扱いにならない血液製剤といったようなものを想定
してございます。
　それから、５ページでございます。「４．薬価改定及び薬価調査」でございます。１つ
目の丸、昭和６２年の中医協建議に基づきまして、現在２年に１回薬価改定を行っている
わけでございますけれども、その薬価改定に関しまして、頻度を含めその在り方について
検討することとしてはどうかということでございます。
　それから２つ目の丸、薬価調査につきまして、これも、毎回診療報酬改定の際に、薬価
調査の充実について、附帯意見を答申の際にいただいているわけでございますけれども、
薬の中には、例えば抗インフルエンザ薬ですとか、花粉症に用いる薬ですとか、季節等に
より使用量が大きく変動するようなものがございます。そういったものの価格、数量を適
確に把握できるよう、薬価調査を充実するための方策について検討することとしてはどう
かということでございます。
　それから、３つ目の丸といたしましては、薬価調査の信頼性を確保するため、長期にわ
たる取引価格の未妥結及び仮納入の是正のための方策を検討することとしてはどうかとい
うことでございます。
　それから、「５．その他」でございますけれども、１つ目の丸、後発品の安定供給を確
保するための方策を検討することとしてはどうか。これは、後発品の使用促進の中での問
題ということでございます。
　それから２つ目の丸、長期にわたり収載され低薬価となっているもので、最低薬価が設
定されていないことにより供給に支障が生じるおそれがある医薬品について、その必要性
を評価した上で、最低薬価を設定することとしてはどうかということでございます。
　それから、次の６ページに参りまして、ここからは「新規収載医薬品の薬価算定」につ
いてでございますが、「１．類似薬効比較方式」について、１つ目の丸でございますけれ
ども、後発品のある先発品の薬価の適正化を図る一方で、画期的新薬の適切な評価を行う
こととし、画期性加算及び有用性加算の要件の緩和及び加算率の引き上げを行う。それと
ともに、補正加算として「小児加算」を新設するということではどうかということでござ
います。
　それで、下の丸でございますけれども、先ほど「後発品のある先発品の薬価改定」にお
きまして、２つの例のうちの最初の(1)の例、いわゆる成分加重平均方式を採用する際に、
当該改定方式により引下げとなった先発品が類似薬となるような新薬につきましては、類
似薬効比較方式の適用の在り方について検討することとしてはどうかということでござい
ます。
　それで、１つ目の丸の方の具体的な加算の要件、加算率の改正案のイメージにつきまし
て、次の７ページに書いてございます。画期性加算及び有用性加算につきまして、この加
算率につきましては、増やす方向でスライドさせるというようなイメージで書いてござい
ます。また、有用性加算（I）の要件につきましては、現在、画期性加算の３つの要件の
うち、イの、「類似薬に比して、高い有効性又は安全性を有すること」という点が必須の
要件になっておりますけれども、改正案では、３つの要件のうち２つ要件を満たすという
ことで緩和を図っているものになっております。それから、一番下に「小児加算」という
ことで、具体的なパーセンテージは書いてございませんけれども、一定の要件でもって加
算を認めてはどうかということでございます。これは、市場性加算とは一応排他的にこの
「小児加算」というものを考えているということでございます。
　それから、８ページでございますけれども、「２．原価計算方式」でございます。原価
計算方式につきましては、いろいろ御指摘がございまして、特に輸入原価の取扱いにつき
まして御指摘がございましたけれども、これにつきまして、薬価算定組織における輸入原
価の妥当性の評価に資するため、新薬収載希望者に対し、輸入先国における価格の状況等
の輸入原価設定上参考となる資料の提出を求めることとしてはどうかということでござい
ます。その他にもいろいろ問題点の御指摘ございますので、原価計算方式の在り方につい
て検討することとしてはどうかということを論点として掲げてございます。
　それから、次の９ページでございますけれども、「３．外国平均価格調整」でございま
すけれども、これにつきましては、以下の４つに示すような場合につきましては引上げ対
象から除外することとしてはどうかということでございます。１つ目は、類似薬効比較方
式（II）によって算定する、いわゆる新規性に乏しい新薬の場合、それから２つ目といた
しまして、複数の規格があり、外国平均価格と比べて高い規格と低い規格とが混在する場
合ということ、それから３つ目といたしまして、複数の規格があり、非汎用規格のみが調
整の対象となる場合、それから４つ目といたしまして、外国平均価格が１カ国のみの価格
に基づき算出されることとなる場合ということでございます。
　この２つ目と３つ目につきましては、次の１０ページに、数字を用いまして、そのよう
なことが起こる場合を具体的にお示ししております。それからその下、外国平均価格の算
出方法などについて検討することとしてはどうかという論点も書かれております。
　それから、１１ページでございますけれども、これは参考といたしまして、現行の外国
平均価格調整のルールを書かせていただいております。
　それから、１２ページでございますけれども、「４．規格間調整」につきまして、汎用
規格に対応する用量を超える高用量の規格の算定の際に用いる規格間比の上限を引き下げ
ることとしてはどうかということでございます。これにつきましては、汎用規格に対応す
る用量を超える高用量規格の算定におきまして、これは外国平均価格との関係で、高い日
本の規格間比を用いるということで高くなってしまったというような事例に基づいていた
わけでございますけれども、規格間比を抑制することによりまして、この辺は、前回の１
０月の薬価専門部会で御説明しました調査に基づきまして適切な数値を設定するというこ
とを考えております。それによって問題の解消が図られるということでございます。
　それから、１３ページでございますけれども、「５．新規後発品」でございますけれど
も、これにつきましては、現状、新規後発品の引下げ率につきましても、平成１６年度の
改定の際の御議論といたしましては、初めて後発品が出た場合の直近の、すなわち、その
直後の改定におきましては、４割程度の引下げ率ということもございまして、０．７掛け
とするというような御議論もございましたけれども、平成１５年度の、ちょっとまだ今直
近のデータはございませんけれども、１５年度のデータを見させていただきますと、やは
り相当程度後発品の引下げ率があるのですけれども、３割程度というような状況になって
いるものですから、この先発品の薬価の０．７掛けとするというようなルールにつきまし
ては維持してもいいのではないかということで、そういうような、維持することとしては
どうかというような御提案をさせていただいています。
　それから、「６．その他」でございますけれども、薬価算定組織が薬価算定案を決める
前に、補正加算の適用を希望する新薬収載希望者に直接意見表明する機会を与えることと
してはどうかということでございます。
　「たたき台」の方は、以上でございます。
　それから続きまして、中医協薬－３の資料でございます。この資料につきましては、１
１月１０日の社会保障審議会医療保険部会の資料でございまして、「薬剤に係る給付の見
直し等」につきまして、これは、１０月１９日の「医療制度構造改革試案」の中で示され
ている事項でございまして、具体的には４つございます。表紙をおめくりいただきまして、
１つ目が、「処方せん様式の変更等による後発品の使用促進」ということでございますが、
これは、診療報酬基本問題小委員会で既に御議論を開始していただいておりますけれども、
後発品の使用促進という観点から、例えば、処方せんの様式を変更し、「後発医薬品への
変更可」などのチェック欄を設けるというようなことを検討するということでございます。
　それから、２ページ目でございますけれども、２つ目の検討事項でございますけれども、
「後発品の市場実勢価格の状況等を勘案した先発品の薬価算定ルールの導入等による先発
品に対する保険給付の在り方」。これにつきましては、先ほどの資料で御説明したとおり
でございます。
　それから３ページ目、３つ目の検討事項でございますけれども、「画期的新薬の適切な
評価」。これも先ほど御説明したとおりでございます。
　それから、最後の４ページ目でございますけれども、４つ目の検討事項、「医療上の必
要性の程度を踏まえた医薬品への保険給付の在り方」ということで、これまで薬事法に基
づく再審査・再評価の結果、有用性を示す根拠がないとされた医療用医薬品を薬価基準か
ら削除いたしますとか、あるいは、ワクチンなどの予防薬、あるいはいわゆる生活改善薬
については、医療用医薬品であっても、保険給付の対象除外としてきたところでございま
すけれども、引き続き、「医療上の必要性の程度」を踏まえ、個々の医薬品ごとに保険給
付の在り方について検討してはどうかということでございます。
　参考といたしまして、「財務省からの提案」ということで、市販薬と類似の医薬品は医
療保険給付の対象外とするという提案も書かせていただいているところでございます。

　説明は、以上でございます。

○遠藤部会長
　ありがとうございます。
　さて、また本日は、向田、仲谷両専門委員から、前回及び前々回と御議論いただきまし
た「薬価基準制度の見直しを行うに当たっての論点（案）」に関する資料が提出されてお
ります。その説明をお願いしたいと思います。
　なお、時間が押しておりますので、恐縮ですけれども、５分程度をめどに要点を簡潔に
お話しいただければと思います。お願いします。

○向田専門委員
　発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
　今先生の方から御紹介ありました意見書を出させていただいたのですが、これは前回、
前々回の論点の主要部分について出させていただきました。本日は、今部会長からもあり
ましたように、時間が限られているようでございますので、これを説明することは避けま
して、今事務局からお示しされた「たたき台」、これに沿って我々の考えをお話しさせて
いただきたいと思います。
　まず１ページ目でございますけれども、「調整幅方式」、これは、私どももこれでお願
いしたいということでございます。
　２ページでございますが、「後発品のある先発品の薬価改定」ということで、ここに書
かれておりますが、特許期間中でも市場実勢価格に基づいて薬価を引き下げるという、海
外先進国には見られない政策をとっている以上、特許が切れて後発品が収載されると、市
場実勢価格を割り込んだところまで薬価を引き下げるというルールは整合性を欠くと考え
ております。
　そもそも先発品と後発品の違いについて若干御説明させていただきますが、「別添資料
１別紙」ということで、Ａ３の大きな紙がついていると思いますが、これをごらんいただ
きたいのですが、これは、新薬の研究開発から始まり、市販後、それから当該成分の役割
が終了するまでどのような研究あるいは情報収集、それから評価あるいは医療機関への提
供等が先発品には行われているかというのは、ほぼ下から３分の２以上が新薬の役割とい
うか、流れでございます。後発品につきましては、その右の下にあることをやっておると
いうことで、明らかに先発品と後発品の違いがこの面からうかがえると思います。
　それから、「別添資料１」の方でございますが、「先発品と後発品の情報活動等につい
て」でございますけれども、詳しくは申し上げませんが、これの３ページ目の図でござい
ますけれども、情報活動に着目してやっているものでございますが、先発品企業につきま
しては、先ほどお示しした表にもありましたように、研究開発段階から市販後まで情報の
収集を行って、データベースを構築し、評価・分析ノウハウを確立し、必要があれば、情
報収集の評価・分析の上、添付文書の改訂とか緊急安全性情報等を提供するということで
ございまして、後発品が出たときには、これらの情報も先発品から後発品には提供すると
いうことで、後発品企業について言えば、薬事法で定められた情報の収集・提供をメイン
で行っているというところでございます。
　同じ資料の７ページでございますが、その中で考えますと、先発品と後発品の役割は、
先発品は今申し上げたように、成分全体のマネジメントといいますか、リスクマネジメン
トもしょっていると。後発品につきましては、良質廉価で、適正使用に係る情報活動を伴
った、安定供給をしていただくというようなことで、下に書いてございますように、「先
発品と、信頼できる良質廉価の後発品の双方が、患者に対して提示・説明され、患者が主
体的に選択して投薬を受けられる仕組みが今こそ必要である。」というふうに結論づけて
おります。
　「たたき台」の方に戻っていただきまして、こんなことから、先ほど申し上げました点
も踏まえ、自己責任でない部分について着目して下げるというこの(1)、(2)でございますけ
れども、これには同意いたしかねるということでございます。
　それから、４ページでございます。「再算定」でございますけれども、この点につきま
しては意見書のペーパーの方で同様のことを我々は述べているところでございます。
　それから、５ページの「薬価改定及び薬価調査」につきましても意見書の方で述べてお
りますが、現行の２年に１回で我々はいいのではないかというふうに考えております。
　それから「その他」の方の下の方の、長期で低薬価となっているところで書いてござい
ますけれども、これも意見書の方で、最低薬価につきまして、漢方・生薬製剤や外用薬の
一部についてのその必要性を述べておるところでございます。
　それから、６ページでございますけれども、「新薬の薬価算定」でございますが、新薬
の評価の見直しについては次ページでお話しいたしますけれども、この中で、前段の方の
「小児加算」というのが述べられておるわけでございますが、これをぜひお願いしたいの
でございますけれども、新規の場合はこういうことですが、新規以外で、例えば大人の製
剤に小児の用法用量ですとか適応症を追加したという場合も、ぜひそれは再算定をお願い
したいということでございます。
　それで、次の７ページでございますけれども、詳しくは意見書に書いてございますけれ
ども、我々は、左の方にあります画期性加算と有用性加算の要件のイ、ロ、ハ、これを統
一して一本化いたしまして、イ、ロ、ハ、ニという考えで、右側にある画期性加算、有用
性加算（I）、有用性加算（II）、これらを革新性加算（I）、革新性加算（II）、革新
性加算（III）、こんな表現で新たな提案をしておりまして、さらに上限の「○％」という
ところの拡大もお願いしておりますが、詳細につきましては、「別添資料２　新薬の加算
体系と加算率について」を後ほどごらんいただければと思います。
　８ページでございますが、「原価計算方式」につきましては、類似薬のないものについ
ては必要というふうに考えておりますけれども、価値の評価として本当に適当かどうかと
いうところには問題意識を持っているところでございます。一番下に「原価計算方式の在
り方について検討することとしてはどうか。」ということでございますけれども、我々も、
原価計算による価値の評価の在り方について検討することは必要だというふうに考えてお
ります。
　それから、９ページでございますが、「外国平均価格調整」でございますが、ここには
最初の○で、「以下のような場合には引上げ対象から除外することとしてはどうか。」と
書いてありますが、同様なケースで、引き下げのあったときも当然除外していただけるも
のというふうに考えております。
　それから、外国平均価格の意義と効用ということを考えますと、存続させるということ
は必要だというふうに考えておりますけれども、上の２つのケースにつきまして、つまり、
類似薬効比較方式（II）（新規性に乏しい新薬）の場合と、その下のことでございますけ
れども、これについてまで行うのはどうかという疑問を持っているところでございます。
ただ、下の２つにつきましては、我々としてはちょっと同意しかねるというところでござ
います。
　それから、１２ページの「規格間調整」でございますが、この点につきましては、７月
２７日の業界の意見陳述の際、業界代表から同様のことを述べておりますところでござい
まして、我々も同様の考えでございます。
　最後の１３ページ、特にこれで同様の考えでございますが、下の、ぜひ算定組織での意
見陳述の機会をお与えいただければというふうに考えております。
　以上でございます。どうもありがとうございました。

○遠藤部会長
  どうもありがとうございました。
　それでは、ただいまの専門委員の御意見を含めまして、「次期薬価制度改革の骨子（た
たき台）」に関して御議論をお願いしたいと思います。どうぞ。

○渡辺専門委員
　流通の立場から少し御意見を申し上げたいと思います。
　まず、先ほど事務局から御説明されました１ページでございますが、私ども同様に、現
行方式を維持していただきたいということでございます。
　それから、５ページ目でございますけれども、まず、薬価改定に対する４のところでご
ざいます。実際に、薬価調査を行われ、薬価改定が行われますけれども、薬価改定に伴う
業務コストが非常に高くかかります。私どもの推計では、約４０億かかっております。そ
のほかにも、私ども卸だけではなくて、医療機関とか保険調剤薬局の皆さんとか、それか
ら支払基金のところとか、行政とか、すべて網羅いたしますと、相当の社会的費用が薬価
改定に伴ってかかっているのではないかと想像されます。また、私どもは「毛細血管型の
流通組織」というふうに称されますように、かなり安定的に安全な医薬品を供給する体制
が全国的に整っておりますけれども、さらにそれを質の高いものにしていくように今努力
をいたしております。実際に、過去の状態を見ますと、３年連続薬価改定がありましたと
きの２年目には、大変経営が悪化いたしました。このような事態になりますと、安定的な
流通の体制をさらに質の高いものにするための努力も挫折する可能性がございます。そう
いうことでございますので、薬価改定の頻度につきましては、現行どおりお願いをいたし
たいというふうに思います。
　それから、未妥結仮納入問題ということを取り上げていただきました。これは、薬価調
査の信頼性の確保という観点に立ちまして、ぜひ対応策の基本的な方針というものを中医
協で明示してくださいますようにお願いをいたしたいというふうに思います。
　本日は、主要な点について私どもの考え方を申し上げました。どうぞよろしくお願いい
たします。

○遠藤部会長
　ありがとうございました。
　それでは、その他の方々で御意見、御質問ございますでしょうか。

○山本委員
　資料の２ページの２になりますが、ここにありますように、後発品のある先発品の価格
につきましては、幾つかの報告が出されておりまして、いずれにしても、(1)、(2)、それぞ
れ御説明がありましたように、一長一短あるのだろうという気がいたしますので、そこは
十分御議論をするべきだと思うのですが、例えば(1)でいきますと、価格が限りなく下がっ
てしまいますので、そうしますと、次回、御説明にもありましたような新しい新薬が出た
ときの比較をする場合に大変安い価格になってしまう、そうしたことが起こるのではない
かという懸念がありますので、そういった意味では、それがきちんと整理できるような方
法をお考えいただきたいのが１点。
　参考で挙がっております財務省の案につきましては、参考ですからあえて言及すること
もないのかもしれませんが、このスタイルですと、皆保険制度を維持しようということで
すべてのことが動いている中で、そこの根幹を壊してしまうので、薬を扱うものだけでは
ないにしましても、私は反対であります。
　それと、薬価調査でありますが、薬価基準価格と実勢価格の間に乖離が生じているとい
うような指摘がされていますので、そうしたことがあることは問題であるというふうに認
識しておりますけれども、そのために頻回調査というようなことが考えられているのかも
しませんが、実際には、今までの経験則からしますと、薬価改定があるたびに薬はどんど
んどんどん下がっていく。最低価格があるにしましても、先ほど流通の面から、あるいは
製造の面からお話がございましたが、私ども実際にエンドユーザーに薬を供給する立場か
らしますと、価格が下がると必要な医薬品が担保されない、十分に供給されない、市場か
ら撤退をされてしまうという、そうしたことがございますので、実際には、薬価調査の信
頼性を上げるような、先ほどの仮納入であったり仮払いであったりといったようなものは
当然排除されなくてはいけませんし、現にあってはならないことだと思っておりますけれ
ども、そうした必要な薬がその市場からなくなってしまうような形での頻回改定というこ
とにはならないように、ここに御提案のありました、ポイントを変えて、あるいは必要に
応じて調査をするというようなことも含めた対応策をとっていただければ、むしろ今の状
況、今の薬価調査制度の信頼性を上げることをまず行った上で、それでも間に合わなけれ
ば頻回調査ということの方が、実際に手間を考えましても、その方がよろしいのではない
かなという気がいたしております。
　少し離れますけれども、中医協薬－３、医療保険部会に出ました資料の中で、幾つかこ
ちらの方で議論されておりますけれども、一番最後にあります「医療上の必要性の程度踏
まえた」というところで、わざわざここにもやはり財務省案が載せられているわけであり
ますが、引き続き、その医療上の必要性を議論することについては、私も決して反対いた
しませんが、参考にあります、医療用と一般用というものを並べて、その中で非処方せん
薬、これは処方せん薬以外のお薬ということだと思うのですが、そうしたものを保険給付
の対象外にするということになりますと、確かにＯＴＣには、一般用の医薬品は患者が自
己選択で買っているわけでありますが、中身が同じだからということで、ただそれだけで
同じ扱いをしていいものかどうか。これは実際に今使われている患者の状況等につきまし
ては、処方医の先生方がきちんと判断をしてお使いになっていらっしゃるわけですから、
中身が同じでも、多分使われている環境は違うでしょうし、状況が違うということもあり
ますので、こうした考え方については、単に同じだというだけで処理されるのは、私とし
ては、薬を扱う者として甚だ納得できないという気がいたしますので、これについても反
対をいたしておきます。

○遠藤部会長
　貴重な御意見をありがとうございます。
  １点だけ、山本委員がおっしゃられたことで、「後発品のある先発品の薬価改定」のと
ころで(1)をとった場合に、類似薬効で新薬の評価をしたときに低くなってしまうのではな
いかというお話ですが、そういうことも含めて、６ページの「類似薬効比較方式」の丸の
２つ目の方は、その点について考慮をしたらどうかということが一応書かれていますので。

○山本委員
　そこは了解しておりますが、ただこのままでいきますと、多分ひたすら下がっていく格
好になりますので、それは必ずしもよいことではないと思います。そこは御配慮いただき
たいと思います。

○遠藤部会長
　わかりました。

○青木委員
　専門委員の方にちょっとお聞きをしたいのですが、今回の薬価に関する全体的なところ
を見ておるときに、後発品を使用促進をしようという方向性というのは、相当強く出てお
ると思うのです。そういう状況の中で、いわゆる医薬品業界として、先発品の値段をもう
少し、この(1)の案よりももっと下げるというような方法論をとっていかないと、業界とし
てまずいのではないかという考え方は全くないのですか。

○向田専門委員
　まず、後発品の使用促進が進むということについては、もう全く反対しておりませんし、
当然、良質で廉価なものが使われるというシステムがこれからもっといくということにつ
いては、もう全く反対しておりません。
　ただ、先発品が高いからといって、それを下げるあるいは先発品に責を負わせるという
ことについては疑問を持っている。つまり、患者さんにとっては、高いもの、安いものを
自己負担でそれは選べるということで、だから、例えばでは先発品と後発品を同じにした
ら、先ほど財務省の「混合診療」のことがありましたけれども、あの上の部分を先発品企
業はとらないよと言ったら、使われるのは多分先発品ですよね。財務省的には下がるから
それでいいのかもしませんが、先発品と後発品の役割を考えるとそれはおかしいのではな
いかなというふうに思っております。
　今御質問のところは、業界として、自己責任で下がるのはいいし、それから後発品が使
用促進されるということについては全く異論はないということでございます。

○青木委員
　極端なことを言いますと、今のお話の先発品と後発品が同価格というようなことは全く
だめと、こういうことですか。競争の結果下がるというのはわかるのです。

○仲谷専門委員
　ただいまの御指摘についてですけれども、先発品と後発品で、後発品がなかなか使われ
ていないという現実が、先発品が高いことが理由になっているとは思っておりません。や
はりそこには、先生方が実際に御処方いただく場において、どちらの方が安心して使える、
あるいはどちらの方がこれまで使い慣れている、その方が有用性が高いという御判断の下
に先発品をお使いいただく。あるいは、もうこれでは後発品でも大丈夫だというふうに自
信を持って後発品をお使いいただける先生もいらっしゃるのだろうと思います。そういう
意味で、ここに書かれているような、価格をいじることによって後発品の使用促進を進め
るというような考え方よりも、もう少し後発品が使われていない環境要件について明確に
した上で、それらの改善ということに取り組んでいただくのがまず筋ではないかと思って
おります。

○対馬委員
　私どもも、簡単にですけれども、個別にちょっと申し上げさせていただきたい。
　調整幅については、これまで随分議論してまいりましたので、ここまで来まして、これ
を今回ということにはならないのかなと、こういうふうに思います。
　それから、２ページ目から３ページ目にかけてですけれども、(1)案というのは、非常に
ある意味大胆な案ではあると思うのです。ただ、これはいわゆる銘柄別方式という基本の
ところにかかわってくるので、もし今回の改定でやるということであると、もう少し議論
を深めないと、という感じはいたします。(2)というのは、確かに市場原理と市場の実勢価
格ということからすると、という議論もありますけれども、たしか７月ぐらいに医療保険
部会に全体の先発品と後発品の薬価の推移の表なんかも出ているのですけれども、そうい
うのを見ますと、どうも後発品が出ても先発品が下がらないという、ちょっと欧米とは違
うような状況もありますので、やはり教科書で言ういわゆる市場というのと若干違うのか
なと。そうすると、もう少し踏み込まざるを得ないのかなと、このあたりはもっと議論す
る必要はありますけれども、そういった感じは受けます。
　それから、再算定ルールですけれども、このあたりについては、確かに緊急性があると
いうことが現実にこれだということがあれば認めるということはあり得るかもしれません
けれども、全体的に上げる方向の議論だけ書いていますので、ちょっと慎重な検討が必要
かなというふうに思います。
　それから、薬価改定と薬価調査ですけれども、このあたりはどうも私どももよくわから
ないところがあるのは、昭和５０年代での流近協というのでしょうか、流通近代化協議会
というのでしょうか、そういった議論をして、さらに昨年の春からは流通改善に関する懇
談会という場でも随分議論されているのだろうと。その中でも、またこういった形での未
妥結仮納入でありますとか、総価方式とか、いろいろな問題が出てきますので、一たんや
はり中医協としても、少しそこのあたりの実態をよく議論して、それで是正していくと。
確かにおっしゃるとおり、こういったベースのところがきっちりしていませんと、薬価調
査でもって、それでもって改定していくのだという、その基本のところが、言葉が適切か
どうかですが、底辺の方から崩れていくという、そういった懸念をなしとしませんので、
やはり議論する必要があるのだろうと、こういうふうに思います。
　あと、その他のところの、長期でだんだん下がってきたものについて、このあたりも、
恐らく市場が教科書的な形で機能すればそういったことはないのだろうと。それが、総価
方式とかいろいろな状況からそういったことが生まれるのかなというふうに思うのですけ
れども、これは必要不可欠ということであれば、本来からするとちょっと筋が違うかなと
思いますけれども、緊急避難というか、そういうことでの対応というのはあり得るのかな
と、こういうふうには思います。
　それから、類似薬効比較方式、６ページ、７ページあたりですけれども、このあたりも、
こういった制度というのでしょうか、仕掛けそのものの問題もあるかもしれませんけれど
も、先般来の議論からしますと、例えば画期性加算でも２～３年で１件しかないと、しか
もその加算割合はたしか３０％だったと思うのですけれども、そういったケースがあるの
で、本当に制度というか仕掛けの問題なのか、それともその運用の問題なのかと、そこは
よく検証する必要があるのだろうと、こういうふうに思います。
　それから、原価方式についてはよく検討するということに異論はありません。
　それから、外国平均価格調整ですけれども、これも先般のクレストールを起点にしてい
ろいろ議論されたわけですけれども、こういった形でもって、一部前に進むかなという感
じはあるのですが、ただ、これでもって本当にやってみて大丈夫なのかと、ふたをあけて
みたらやはりおかしい結果が出てくるということのないように、やはりこれも検証が必要
かなというふうに思います。
　それから、１２ページですけれども、日本の場合、全体にこの用量とほぼ正比例的に若
干曲がっているわけですけれども、このあたりの基本論が本来必要なのかなというふうに
は思いますけれども、なかなか基本論をやっていますと時間がかかるということであれば、
当面、今回こういった対応もあり得るのだろうと、こういうふうに思います。
　あと１３ページですが、新規後発品のところ、これは前回さまざまな議論の中で、０．
８を０．７に変えたと。さらに今回というのはなかなか難しいので、こういうことかなと
いうふうには思います。とりわけ今回後発医薬品の使用拡大ということからしますと、あ
まり軽々にはという感じはあります。
　それから、その他のところですけれども、これは意見をよく聞くということですので、
これは補正加算だけが書いてありますけれども、補正加算の問題だけではなくて、原価計
算方式等の場合も含めて直接意見表明する機会を与えるということは必要ではないかと、
こういうふうに思います。
　以上です。長くなりました。

○遠藤部会長
　ありがとうございました。

○向田専門委員
　関連で。今対馬委員から御指摘のありました、長期収載で、後発品が出てきても日本の
薬価は下っていない、そんなに下っていないという御指摘は、もうそのとおりなのでござ
いますけれども、欧米では下がっているのにという御発言がございましたけれども、欧米
は値段を変えません、先発は高く、後発は安く。値段を変えない中で患者さん、お医者さ
んというかが選ばない。値段はもうそのままです。下げているわけではございません。使
われなくなるということです。だから、その状況は、私どもも、もしもそうなったときに
は使われなくなる、席をお譲りするということに関しては全く異論ございませんというこ
とでございます。

○土田委員
　ただ、ドイツの参照価格は下がっていますでしょう、参照価格制度。

○仲谷専門委員
　先ほどの「後発品のある先発品」のところの２ページのところなのですけれども、考え
方としては、後発品の使用促進というのがまず大前提にあると、ここは共通認識なのだろ
うと思うのです。そのように考えたときに、本当に後発品を使わせようと思ったら、乱暴
な話ですけれども、後発品が出たときに先発品の値段を１０倍ぐらい高くしてしまえば、
必ずと言っていいぐらい後発品が使われることになると思うのです。要するに、何を言い
たいかといいますと、先発品と後発品というのは、価格差があってこそ、後発品に対する
インセンティブであり、もちろんそれ以外にいろいろな要件を整備した上ということには
なりますが、価格差があるということは、必須の要件のように思います。ですから、ここ
で言う(2)のような考え方で、４～６％というパーセントをさらに先発品だけ引き下げると
いうことが本当に後発品の使用促進につながるとは思えません。
　以上です。

○遠藤部会長
　ありがとうございます。

○宗岡委員（代理松井氏）
　恐らく今仲谷専門委員がおっしゃられたのは、先発品と後発品の価格差があることが後
発品の使用促進になると。私は、経済学的に考えれば当然だろうと思います。もし、例え
ば３ページの(2)のところでいくならば、仮に現行の引き下げ幅を今回に限りさらに引き下
げるというちょっと案が出ていますけれども、仮にそれをしようとしたときに、先ほどの
「別添資料１別紙」に書いてありますように、後発品メーカーにさまざまな情報収集活動
とか、そういうものを現実に役割を担ってもらえることができるのかできないのかという
ことが１点と、さらにもう１つ、価格差があるということでは、先ほど対馬委員は、０．
７掛けは維持でもいたし方ないということがありましたけれども、そこをもう少し下げら
れる可能性があるのかないのか、下げた場合でも、そういう情報活動も、後発品メーカー
にしてもらいつつ、なおかつ安定供給ができるようなことがあり得るのかどうか、ちょっ
と教えていただければと思います。

○仲谷専門委員
　ただいまの御質問につきましては、現状で言いましたら、後発品メーカーさんに、先発
企業がやっているようなことをすべてお願いして充実させるとしたら、恐らく供給できな
いと思います。同様に、現在の７掛けの価格をさらに大きく切り下げるということについ
ても、直接的に後発品企業さんの利益を圧迫することになりますので、それ以上の情報活
動というのを要求するのはなかなか難しいのだろうなと思います。

○松原委員
　さっき対馬委員から全体的なお話がありました。私たちも全体的なお話を主にさせてい
ただきたいと思います。
　まず１ページ目の調整幅、Ｒでございますが、これがリーズナブルゾーンなのか、アン
リーズナブルゾーンなのか、疑問のあるところで、まだ私たちは議論の最中でございます。
保留したいと思います。
　後発品のある先発品の薬価の改定、これは非常に大事な問題でございますが、私どもは、
使う上で、先発品が安くなってくだされば、結局国民の負担が少なくなります。それで結
構なのではないかという立場をとっております。それから考えますと、(1)の加重平均をし
てそこのところまで先発品を下げていただければ、国民の負担はそれだけ減るわけでござ
います。それも一つの方法ではないかと思っております。最低限この(1)の方法を十分に議
論していただきたいと思っております。
　財務省がおっしゃっている、患者さんの負担にこれを任せるということは大反対でござ
います。逆に申しますれば、すべて後発品と同じ値段にしていただいても、私たちは文句
のないところでございます。すなわち、患者さんの負担なしに後発品と同じ金額にすると
いうことでも全く問題がないのではないかと思っております。もちろん製薬会社さんがつ
ぶれてしまったら私たちも困りますので、そのあたりは十分に議論していきたいところで
ございます。
　また、再算定の問題でございますけれども、これも適切に行っていかなければなりませ
ん。ただ、市場拡大の再算定につきましてクレームがついているわけでございますが、や
はりこれは予定よりもはるかに多く使われたものに対しては適切な形にすべきだと思って
おります。
　さらに、薬価の改定及び薬価の調査でございますが、現在中医協が２年に１回改定を行
っているということに合わせて２年に１回やっているということでございます。大変なエ
ネルギーがかかりますので、ここのところはエネルギーが増えるだけに終わらないように
しなければならないとも思っております。
　また、その他の項目で、後発品の安定供給を確保することは大事なことでございます。
私たちが非常に使いにくいのは、後発品がいつの間にかなくなってしまうことです。これ
まで投薬していた医薬品がなくなりますと、患者さんは非常に不安でございますので、そ
ういうことのなきようにしていただきたく思っております。また、そのために、幾つかの
手段を講ずるのは当然でございます。
　さらに、長期にわたって収載されて低薬価となり過ぎて、これで採算が合わなくなって
しまってこれをやめられますと、大変患者さんにも不安を来します。また、非常にいい薬
が消えているという現状もございます。現在の薬価の最低のところの金額はあまりにも低
いのではないか。むしろ低いレベルのところでいい薬があれば逆に高い薬を使わなくてよ
ろしいわけでございますので、ここのところは少し勘案して、もう少し余裕を見て、低い
金額の医薬品が採算がとれるようにすべきだと思っております。
　また、小児の問題につきましては、やはり小児というのは、用量が特別ですので、大人
の薬と同じような用量変化によって規格を定めますと、小児の薬は非常に使いづらくなり、
また安くなり過ぎますので、小児の薬は対応すべきだということも、ここに申し添えさせ
ていただきたいと思います。
　さらに、医薬品の薬価算定でございますが、今回の中医協の診療報酬改定においては、
前半のところが非常に大事でございます。後半の新規医薬品については十分に議論をして
いかねばならないと私たちは思っておりますが、類似薬効方式と言いながら、実際のとこ
ろは、類似薬方式でやっているというところに前から大きな疑問を持っております。新し
い薬が出たときに、類似薬がないから、しかし類似薬効の薬はあるわけでございますので、
その類似薬効のところにポイントを置いて、そこから計算すれば正しい数字が出てくるの
ではないかと思います。私どもも、新しいいい薬をどんどんつくっていただきたいという
希望はございます。ここにおきまして、新規の画期的なものに対してはもっと加算が増え
ても当然かと思います。それが増えていて、それによって開発意欲が増えるのであれば、
どんどんそれを増やしていただいても、何も１００％でなくても、特に重要なものをもっ
とつくっていただいても結構かと思います。ベースのところの類似薬効で計算して、特に
画期的なものについては、幾つかの加算があってしかるべきだと私どもは思っております。
　そこにおきまして、原価計算方式でございますが、製造原価のところで輸入原価が非常
に適切でないものがあると、戦略的な、政策的な金額になっているものもございますから、
そういったものにつきましては、先ほど申しましたように、類似薬効方式を用いれば全く
参照できないというわけではございませんので、類似薬効を持つものの平均価格をもって、
そこで計算して、さらに画期的なものに対してはさらに大きな加算をする。ただ、こうい
ったものが、後発品が出るような時期には、取り除いていただいて考えるべきではないか
と思っております。
　また、新規の後発品でございますが、最低限０．７掛けということでございます。これ
は、先ほど申しましたように、先発品が安くなっていただければ、さらに私どもも使いや
すくなりますので、普段使い慣れている、信頼している医薬品が少し安くなる、あるいは
大巾に安くなって使い続けられるようなシステムにしていただくのも一つの方法ではない
かと思っております。
　以上です。

○遠藤部会長
　ありがとうございます。
　それでは、時間でありますが、渡辺専門委員、何か一言。

○渡辺専門委員
　いろいろお考えいただく参考ということで、私ども流通の立場から少し申し上げたいと
思います。
　まず、全世界的な規模で、後発品メーカーと言われているところの規模がどの程度であ
るかというのを一つ御参考に申し上げたいと思いますが、イスラエルにテバという会社が
ございますが、ここは約１兆円の規模でございますし、それから、ノバルティスグループ
が約５，０００億円の規模になっております。国内の内資のいわゆる後発品メーカーとは
歴然とした規模の格差がございます。
　それからもう１つ、先ほど低薬価になったものの医療上必要なものというお話がござい
ました。アスピリンという薬がございますけれども、毎年毎年、処方される量は増えてお
ります。しかし、実際の薬価は非常に安いものでございます。これ以下になりますと、多
分製造するかどうかというぎりぎりのところまでなるのではないかと、これはもう具体的
な例としてお考えくださればありがたいと思います。

○遠藤部会長
　ありがとうございます。
　それでは最後で、小島委員どうぞ。

○小島委員
　短時間に。１つだけ、今日の薬－２の資料の３ページ、「後発品のある先発品の薬価改
定」のところです。(1)、(2)ということで、２つ考え方が出されております。(1)の考え方に
ついては、後発品の普及率、シェアがどのくらい占めているかによって相当違ってくると
思います。今のように、普及がそんなに進んでいないと、結果的に先発品だけの価格とい
うことで、高い水準が、そのまま維持されることになり、現行の(2)よりも高い価格になる
可能性もあるのではないか。
　それと、後発品の促進という面では、安定供給という面が一つ大きなポイントになって
います。安定供給を図るためには、薬価改定ごとに大幅に下がってしまうので、重要な薬
については最低価格の維持といったことが必要ではないか。
　それから、参考で、「財務省からの提案」ということで出ていますが、こういう考えに
ついては、私としては反対です。逆に、後発品を使った場合に患者にもそのメリットがあ
るようなことも必要ではないか。例えば、今は後発品を使えば、３割負担ですので、その
メリットがありますが、さらに、患者負担の３割を２割にするとか、そういうことで患者
にもよりメリットが出るような形で普及を図るというのも一つの考え方ではないかと思い
ます。
　以上です。

○遠藤部会長
　貴重な御意見をありがとうございます。
　ほかにもまだ御議論あるかと思いますけれども、本日は時間もオーバーしておりますの
で、これぐらいにしていただきたいと思います。次回以降この問題を引き続いて御議論い
ただきたいと思います。
　また、次回は、我が国及び欧米の医薬品業界団体並びに社団法人日本医薬品卸業連合会
から、「次期薬価制度改革の骨子（たたき台）」に対する御意見をいただく予定としてお
ります。
　次回の日時及び場所につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろし
くお願いいたします。
　本日は、司会の不手際で予定を大変オーバーいたしまして、申し訳ございませんでした。
おわび申し上げます。
　それでは、これをもちまして本日は閉会したいと思います。ありがとうございました。


　　　　　　　　　　　　　　　　【照会先】
                                  厚生労働省保険局医療課企画法令第２係　　
　　　　                          代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２７６）