05/11/17 第23回社会保障審議会医療保険部会議事録                       平成17年11月17日(木)15:02〜17:23                       厚生労働省9階省議室            社会保障審議会医療保険部会(第23回)  星野部会長  どうも大変お待たせいたしました。これより第23回医療保険部会を開催いたします。 委員の皆さんには、本日は御多忙の折お集まりいただき、御礼申し上げます。  本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、浅野委員、磯部委員、岩 村委員、大内委員、岡谷委員、久保田委員、清家委員、西村委員より御欠席の連絡をい ただいております。  続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りします。岡谷委員のか わりの齊藤参考人、日本看護協会政策企画部長、久保田委員のかわりの逢見参考人、日 本労働組合総連合会副事務局長の御出席につき御承認いただければと思いますが、いか がでございましょうか。 〔「異議なし」の声あり〕  星野部会長  ありがとうございます。本日事務方の出席が非常に少ないんですが、各方面へ説明に 出払っているようでございまして、別にさぼっているわけではございませんので、座長 として「いいよ」と先ほど申し上げてしまいましたが、よろしゅうございますね。担当 の総務課長はおりますので、きょうは総務課長一人でいじめればいいかと思っておりま すので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは本題に移りたいと存じます。本日は、前回の委員からの御指摘を受け、試案 に対して各委員からそれまでに出された御意見を中心に、事務局の方で作成した議論の 整理や資料について説明いただいた後で議論を進めていきたいと思います。それではま ず事務局より説明をお願いします。総務課長、どうぞ。  榮畑課長  資料1、これまでの議論の整理と題している資料について御説明させていただきま す。前回の部会で委員の方々から、これまでの議論の整理を、各委員から出された御意 見、指摘事項を踏まえてつくれという御指摘をいただきまして準備させていただいたと ころでございます。その際、あわせて、ことしの8月に当部会でお取りまとめいただき ました議論の整理を踏まえてつくれという御指摘もいただきましたので、そのようにさ せていただいたところでございます。  1ページをお開きいただきますと、左側に事項と論点案ということで項目を書かせて いただいて、右側に夏の議論の整理を黒枠の中に書かせていただいているところでござ いまして、その下に、項目によっては各委員の意見、指摘事項をつけさせていただいて いるという構成でございます。  まず1ページの基本的な考え方というところでございますけれども、夏の議論の整理 は枠の中に書かせていただいております。国民の健康・長寿という人間にとって一番大 事な価値を実現して、その上に立脚した国民皆保険制度とすべきであるということがあ るのとともに、さまざまな社会の構造変化に柔軟に対応して、経済・財政とも均衡がと れ、国民の安心、制度の持続可能性を確保するといった観点から見直しを行って、将来 にわたり国民皆保険制度の堅持をする。また、保険者の自立性・自主性を尊重した上で 給付と負担の平等・公平を図って、一元化を目指すべきという意見がある一方で、保険 者機能を弱体化させるような一元化には反対だという意見があったということでござい ます。また、保険者としての機能を発揮しやすい制度とするとともに、給付と負担の関 係が透明でわかりやすく、かつ関係者が関与でき、関係者の負担に対する理解とか納得 が得られるような制度とする、そういうところが基本的考え方として夏に示されたとこ ろでございます。  2ページでございます。医療費適正化についてということで、中長期的な医療費適正 化、今度の試案の中で医療費適正化計画というのを提案させていただいておりますが、 夏の取りまとめの中では、黒枠の中で生活習慣病の予防とか、質の高い効率的なサービ スの提供によってQOLを向上し、そのことを通じて医療費適正化を推進するという整 理があり、具体的には保健事業の積極的な展開による生活習慣病の発症抑制、医療機関 の機能の分化・連携、患者の流れを促進ということで、平均在院日数を短縮する。ま た、在宅における介護サービスと連携した医療サービスの充実を図るというような取り 組みの整理があったところでございます。  それとともに、QOLの向上を図るためには、医療と介護との連携も含めて、良質で 効率的な医療を提供して、平均在院日数を短縮する必要があるという整理があり、さら に、医療費適正化に当たっては都道府県が積極的な役割を担うべきとの意見もあり、国 が方針を示して市町村が地域の実状に合わせた施策を進めるべきという意見もあり、関 係者の役割等については引き続き議論が必要という整理があったところでございます。  3ページでございます。夏までの議論の整理を受けまして、各委員の意見、指摘事項 というのを右側に書かせていただいております。医療費適正化については、医療の安全 や医療の質を十分考えて対応しなければならず、経済には連動しないのではないかとい う御意見。医療費適正化についてはあくまでも患者本位の医療を効率的に提供する観点 から考えるべきという御意見。医療費適正化計画の導入についてはさらに工夫が必要だ けれども、基本的な方向としては評価する。都道府県による適正化計画の策定、実施、 検証と評価システムの導入について、方向性としては大筋で了承とする御意見。生活習 慣病対策を通じた医療費適正化については評価できるという御意見があったところでご ざいます。  一方で、医療費に多大な影響を与えるような診療報酬制度とか、医療法等に権限を有 する国が、あくまでも主導的な役割を果たすべきという御意見もあり、都道府県に計画 の策定を義務づけ、なおかつ費用負担の特例を設けるということは、国の責任を県に転 嫁するものではないかという御意見もあり、診療報酬体系に関して、今度の試案では都 道府県の意見具申と国の対応という仕組みを提示しておりますが、本来診療報酬体系を 決定する権限は国のものだから、そういう妥当性とか実効性については疑念があるとい う御意見もあったところでございます。  また、都道府県単位を軸としてさまざまな施策を有機的に連動させるという方向性は 評価できるけれども、都道府県がその役割を担うためには権限とか財源が必要だ。国の 責任のあり方と役割を明確にする必要があるという御意見もございました。  また、医療費適正化計画そのものについて、総枠管理につながり反対だという御意見 があり、都道府県に計画を実行できるのか疑問。都道府県によって診療報酬が異なるよ うな制度は、国民皆保険制度の理念に反するという御意見もあったところでございま す。仮に診療報酬の特例を設定するとすれば、中央社会保険医療協議会に付議すべきと いう御意見もあったところでございます。  次に、保健事業の本格実施という項目でございます。夏の整理では、保健事業につい ては保険者も積極的な取り組みを行っていく必要があるとされたところでございます。 その後の各委員の意見、指摘事項としましては、医療保険者による健診の義務づけは方 向性として大筋で了承できるというような御意見。健康診査、保健指導等を行う市町 村、保険者等に保健師を配置して活用すべきという御意見。さらには、保健事業の健診 の義務づけについては、費用対効果等慎重な検討が必要という御意見。健康診断は労働 安全衛生法で既に事業主に義務づけされているから、それとの連携が重要だという御意 見があったところでございます。  5ページでございます。公的保険給付の内容の見直し等でございます。総論というこ とで、公的保険給付の内容の見直し全体に通じるところでございますが、夏の議論の整 理は黒枠の中に書いてございますが、国民皆保険制度の持続性確保といった観点から、 保険給付のあり方について実態を踏まえつつ、幅広く検討を進めるべきだという整理が あったところでございます。  試案を踏まえて各委員の意見を書いておりますが、短期的対策は医療費適正化に名を 借りた患者負担増であって、すべて反対という御意見があったところでございます。ま た、自己負担をふやすことは財政のつじつま合わせが中心の議論であり不適切という御 指摘もあったところでございます。  これに対して財政や雇用に与える影響もあるため、相互扶助である保険制度に限界が ある。自助努力の範囲との線引きが必要な御意見もあったところでございます。  高齢者の患者負担の件でございます。夏の議論の整理は黒枠の中で、高齢者について も、現役とのバランスを考慮して応分の負担を求めるべきとの意見がある一方、高齢者 の患者負担増大については慎重であるべきとの意見があり、引き続き検討が必要という 整理があり、さらに、高齢者の患者負担のあり方を検討する一環として、自己負担が高 額となる場合の限度額のあり方、医療給付と介護給付の自己負担合計額が著しく高額と なる場合の負担軽減を図る仕組みを創設するため、著しく高額となる場合の具体的水 準、自己負担額を合算するための事務処理の方法などに検討という整理があったところ でございます。  その後試案を出させていただいてからは、各委員から、65歳以上の方について原則2 割負担、高所得者3割を視野に引き上げるべきという御意見があり、これについては、 関係するものとして、前々回出させていただいた各種の試算を後ろにつけさせていただ いております。健康保険組合連合会の提言に基づく財政試算というのもつけております ので、後で御参照いただければと思います。  6ページに入っていただきまして、65歳以上の方について、若年者が3割負担に統一 されていることも踏まえて、原則として入院2割負担、外来3割負担とすべきという御 意見もあったところでございます。年金、介護、税制等他制度との関連も含めて、低所 得者対策を確立すべきという御意見もあり、公的年金活用の強化に伴って、医療・介護 保険料が増加していること、高齢者間の所得格差が大きいことなどを踏まえて慎重に検 討すべきという御意見もあったところでございます。  入院時の食費・居住費の負担については、夏の議論の整理では、在宅との負担の均衡 という観点から、介護保険で食費・居住費の負担をお願いしていることを踏まえて、医 療保険においても患者負担とすべきという意見がある一歩で、医療と介護を同様と考え ることはできない、引き続き療養病床を含めて、医療保険で給付することが必要との御 意見があったところでございます。  一方で、試案後の議論の中で、各委員の意見としましては、介護保険との整合性を考 慮して、食費・居住費を自己負担化することは評価という御意見もあり、一方で医師の 指示に基づいて提供される入院時の食事については治療食の範囲として保険給付すべき であるが、それ以外は自己負担とすべき。また、入院時の部屋代については、少なくと も療養病床においては原則的に自己負担という御意見もあったところでございます。  入院時の食費・居住費の自己負担化については、介護保険との均衡を図るために実施 することが重要だという御意見があったところでございますけれども、一方で、介護保 険との整合性をとるという考え方自体反対だという御意見もあったところでございま す。また、一般病床の食費・居住費の徴収は行うべきではないという御指摘もあったと ころでございます。  7ページでございます。高額療養費でございます。黒枠の中でございますが、夏の議 論の整理の中では、総報酬制の導入とか、負担の公平化を図る観点から、自己負担限度 額を引き上げるべきとの意見がある一方で、高額療養費が患者負担の上限を定めている ことから、引き上げるべきではないとの意見もあって、引き続き検討されたところでご ざいます。さらには、制度の簡素化とか、申請者の利便性の確保について検討すべきと の御意見もあったところでございます。  各委員の意見、指摘事項としましては、医療サービスを受けていないものとの公平性 などを勘案して、見直しを検討すべきという御意見があり、一方で高額療養費の中の医 療費連動の1%について、そもそもこれの撤廃を強く主張してきているのに、逆に2% にすることについては絶対に認められないという御意見もあったところでございます。  また、人工透析患者の方についても高額療養費の水準、所得の高い方についての引き 上げというのもございますが、これについて、負担していただくのはいかがなものかと いう御指摘もあったところでございます。  現金給付関係でございます。夏の議論の整理では、傷病手当金についても現行の給付 水準を維持すべきとの意見もあり、給付水準とか要件について、諸外国の休業時所得保 障のあり方も踏まえて検討すべきという御意見があったところでございます。また、出 産手当金については、同様に夏の議論の整理で、現行の給付水準の維持、ILO水準に 引き上げるべき、受給者の実態等を踏まえた水準要件について見直しを検討すべきとい う御意見もあったところでございます。  8ページでございます。埋葬料でございます。これについては、夏の議論の整理で は、保険給付としての必要性が薄くなっているのではないかという観点から検討された ところでございます。  出産育児一時金でございます。夏の議論の整理では、引き上げるべきとの意見がある 一方で、額を少々増額しても少子化対策の政策効果の面から効果は薄いのではないか。 現在の厳しい医療保険財政を踏まえて、引き上げの財源をどうするかとの意見があった ところでございます。また、出産そのものについて保険適用すべきとの意見がある一方 で、保険給付の重点化等々から考えれば、保険適用する必要性は乏しいとの意見があっ たところでございます。  この点について各委員の意見、指摘事項としましては、少子化対策として出産育児一 時金を引き上げるということなら、むしろ保険ではなく、国の一般会計予算で対応すべ きという御指摘があったところでございます。  薬剤給付につきましては、夏の議論の整理では、後発医薬品の使用促進、後発医薬品 のある先発医薬品薬価の適正化等の観点から幅広く検討すべきだとされたところでござ います。  保険免責制等については、各委員の意見、指摘事項としまして、真に必要な患者へ医 療資源を重点的に投入するためには、外来受診に保険免責制を導入すること。また、生 活習慣病など、疾病によって自己負担率の引き上げというのも検討すべきという御意見 もあり、一方で保険免責制の導入というのは国民皆保険制度を崩壊させるものであり絶 対反対という御意見もあったところでございます。  9ページでございます。保険運営効率化の取り組みとしまして、ITを活用した医療 保険事務の効率化ということで、夏の議論の整理では、医療機関、保険者双方のコスト を削減するとともに、疾病動向や医療費の分析を適時・的確に行い、保険者としての機 能を発揮しやすくするため、レセプトの電子化等を進めるべきとの意見があったところ でございます。  各委員の意見、指摘事項としましては、レセプト電子化についてはインセンティブを つけた上で早急に完成させるべきという御意見や、レセプトは最高級の個人情報であ り、オンライン、インターネットについては慎重にすべきとの御意見があったところで ございます。さらに、オンライン化というのは韓国などでは既にやっているから日本で できないはずがない、個人情報保護もきちんと行われているから日本でも早急に実施す べきだという御意見もあり、レセプトについて紙での請求を義務づけている通知等を改 めるなど、根本問題をまず改めてやるべきではないかという御意見もあったところでご ざいます。また個人カード化を行うべきというような指摘もございました。  そのほか、審査支払機関による審査の充実等については、各委員の意見、指摘事項と しまして、高額医療は自動的に削られることが多く、単純な審査拡大には反対。審査支 払を支払基金とか国保連、いずれにも委託可能とするのは大きな混乱を来すので反対と いう御意見があったところでございます。  10ページでございます。医療に関する積極的な情報提供というところでは、夏の議論 の整理では、高額医療の医学的妥当性の検証、医療機関による医療費の個別単価など、 内容がわかる領収書の発行の促進等について検討すべきとの御意見があったところであ り、各委員の意見、指摘事項としましては、領収書の発行はただちに実行すべきだとい う御意見。一方で、診療報酬が医療費の内容を説明できるものになっていないから義務 づけるのは無理だという御意見。医療費の内容がわかる領収書の発行の義務づけについ ては、試案では検討となっているところでございますが、検討ではなくてただちに実施 だという御意見があったところでございます。  11ページでございます。IIIの保険者の再編・統合等でございます。総論としまして、 都道府県単位を軸とした制度運営ということで、夏の議論の整理では、保険財政の運営 の適正規模化、保険料水準を医療費水準に見合ったものとすることを基本として、都道 府県単位を軸とした再編・統合という整理がされ、都道府県単位を軸として、地域の関 係者が連携して質の高い効率的な医療の提供への取り組みが必要とされたところでござ います。  また、被用者保険、国保、それぞれについて、各保険者の歴史的経緯等を十分尊重し ながら保険者の財政基盤の安定を図るとともに、都道府県単位を軸とした再編・統合を 推進すべきとされたところであり、一方で、国を保険者としたすべての国民の医療保険 制度への一本化を実現すべきという意見もあった一方で、一本化そのものについて反対 という意見もあったところでございます。  各委員の意見、指摘事項としましては、医療保険制度一本化への道筋を示せという御 指摘があったところでございます。  そのうち国保については、12ページでございますが、市町村国保でございます。黒枠 の中は夏の議論の整理でございますが、説明は簡略化させていただきます。市町村国保 について、広域連合等の活用により、都道府県単位での再編・統合を進めるという御意 見もあり、一方で既存の広域連合では十分ではなく、新たな工夫が必要ではないかとい う意見もあったところでございます。  段階的に二次医療圏単位での再編・統合を行うことについては一つの選択肢であるも のの、必ずしも圏域が一致していないことから有効ではないのではないかという御意見 もあり、都道府県や国の役割、技術支援とか財政支援という御意見もあったところでご ざいます。  市町村国保については、国民皆保険制度を守るという観点から極めて重要だと。国保 の保険運営の安定を図ることは極めて重要だという御指摘があり、それについても国保 と被用者保険との間でのさまざまな格差について調整措置を実施すべきとの意見がある 一方で、財政調整には反対という意見もあったところでございます。  13ページでございます。これらに対して、各委員の意見、指摘事項としましては、都 道府県単位を軸とした再編・統合を推進する観点から、高額医療費共同事業の位置づけ を明確にせよという御指摘があり、保険基盤安定制度・財政安定化支援事業等を拡充強 化して、国保財政基盤確立のために抜本的な措置を講ぜよという御指摘もあったところ でございます。  国保組合については夏の議論の整理の中で、国庫助成のあり方について見直すべきと の意見もあったところでございますが、その後の各委員の意見、指摘事項としまして は、国保組合の中には国庫助成する必要のない組合もある。所得実態を早急に明らかに して見直しを図るべきとの御指摘があったところでございます。  14ページでございます。被両者保険の政府管掌健康保険でございます。夏の議論の整 理について簡単に御紹介させていただきますが、政府管掌健康保険の見直しに当たって は、国と切り離された全国単位の公法人において運営することについて、さらに具体的 な検討が必要だという整理がされている一方で、その際、税制運営は基本的に都道府県 を単位として地域の医療水準に応じた保険料水準とすべきとの意見が大勢であった一方 で、全国一律の料率にすべきとの意見もあったところでございます。  適用・徴収については年金と一括で実施すべきとされたところでございます。  そのほか、中央と都道府県ごとに評議会を設置してはどうかという意見、政府管掌健 康保険の国庫負担は現状を維持すべきとの意見があったところでございます。  15ページでございます。夏の議論の整理では、健保組合について、地域型健保組合の 設立も選択肢の一つとして認めるべきとされたところでございまして、各委員の意見、 指摘事項としましては、地域型健保組合については財政窮迫組合・小規模組合の受け皿 として位置づけるだけではなくて、健保組合の自主性・自立性を尊重して多様な形の健 保組合を認め、その選択肢の一つとせよというような御指摘をいただいたところでござ います。  16ページでございます。新たな高齢者医療制度の創設ということでございます。基本 的な方向としまして、夏の議論の整理では、個人の自立を基本とした社会連帯による相 互扶助の仕組みである社会保険方式を維持ということとされ、世代間、保険者間の負担 関係や制度運営の責任主体をより明確にする観点から、老人保健制度及び退職者医療制 度を廃止して、世代間、保険者間の保険料負担の公平化及び制度運営の責任を有する主 体の明確化を図るべきとされたところでございます。また、増大する高齢者医療費の適 正化、高齢者のQOLを重視した医療サービスの提供というのもされたところでござい ます。  具体的に後期高齢者医療制度の基本的な枠組みとしまして、夏の議論の整理では、現 行の老健制度を廃止して、高齢者保険料、社会連帯による国保及び被用者保険からの支 援、並びに公費によって賄う新たな制度を創設するという意見が大勢であったところで ございますけれども、ただし、独立ではなくて、加入期間が長期にわたる退職者を被用 者保険全体で支えるような制度を創設すべきとの意見もあったところでございます。  17ページに、被保険者については、夏の議論の整理では、75歳以上の後期高齢者とす べきとの意見とか、65歳以上の者とすべきとの意見、さらには、年齢で区切るべきでは ないという意見もあったところでございます。  各委員の意見、指摘事項としましては、対象年齢75歳以上とすべきという御意見。後 期高齢者を独立保険の対象とした上で、財政調整を行うような仕組みというのは不公平 ・不透明だということで再考を求める。現行の拠出金以上に財政調整を強化したものだ という御意見もあったところでございます。  また、65歳以上の方を対象とした別建ての保険を創設するという御意見もあり、これ については参考試算I、IIIをつけさせていただいております。また、一定期間被用者保 険に加入していた退職者を対象に制度をつくれという御意見もあり、これについても参 考試算をつけさせていただいております。  18ページでございます。運営主体ということで、夏の議論の整理では、保険者につい ては、地域保険として市町村をベースとして広域連合の活用を視野に入れるべきとの御 意見もあり、一方で、都道府県、当面は国とすべきという意見もあり、国とすべきとの 意見もあり、さらには、広域的な地域を対象とした公法人とすべきとの意見もあったと ころでございます。ともかく、いかなる保険者であっても、保険者のリスクを可能な限 り軽減する対策を講ずることが必要だとされたところでございます。  各委員の意見、指摘事項としましては、運営主体を市町村とすることについては、都 道府県単位を軸とした再編・統合に逆行するので到底容認できない。国等を運営主体と せよという御意見もあり、また、地域保険として市町村をベースとした広域連合の活用 を視野に入れるべきではないかという御意見もあり、また、都道府県、当面は国とする という御意見もあったところでございます。国とするけれども、一定期間後、都道府県 単位とすることも検討という御意見もあり、さらには、行政から独立した公法人という 御意見もあったところでございます。  19ページでございます。費用負担につきましては、夏の議論の整理では、高齢者保険 料と支援の割合について明確なルールを決定せよという整理があり、さらには、高齢者 の方々に保険料負担を求めるけれども、適切な低所得者対策を講じろという整理がされ たところでございます。  具体的には、高齢者保険料につき、老若の人数比で案分せよという御意見、現行の高 齢者の負担水準を勘案して10%とすべきとの御意見もあったところでございます。ま た、国保、被用者保険からの支援については、社会連帯的な性格を有するとされたとこ ろでございます。別建ての保険料として構成せよということでおおむね意見の一致があ ったところでございます。ただ、その際には、現役世代に過重な負担を求めるべきでは ないとの意見があり、さらに法律的な性格を詰めろとか、加入者数に応じた負担とすべ きだとか、所得に着目した負担とか、さまざまな意見があったところでございます。  各委員の意見、指摘事項としましては、若年者の負担については、例えば20歳以上と すべきで、その負担は保険料として明確に位置づけるという御指摘があり、さらには、 財政調整については所得格差を十分勘案せよという御意見があったところでございま す。  20ページ、後期高齢者診療報酬については、後期高齢者医療の質が低下しないよう十 分配慮すべきという御指摘があったところでございます。  21ページでございます。前期高齢者医療制度でございますが、基本的な枠組みとしま して、夏の議論の整理では、現行退職者医療制度は廃止せよという整理があり、一方 で、廃止後の新たな制度については被用者保険、国保の間で財政調整すべきとの意見。 前期高齢者に限らず、若い人まで範囲を拡大せよという御意見。前期高齢者も別建てと せよという御意見。被用者保険の期間が長期にわたる方について新たな制度を創設せよ という御意見があって、引き続き検討するとされたところでございます。  一方で、被扶養者の保険料負担についても両方の御意見があったところでございま す。  また、公費負担についても、夏の議論の整理では、引き続き議論とされたところでご ざいます。  22ページでございます。これらについて各委員の意見、指摘事項としましては、前期 高齢者医療制度の対象を引き下げるべきとの御意見があり、そもそも前期の財政調整と いうのは容認できないということ。拠出金制度の存続であり強く反対するという御意見 があり、後期高齢者の負担の上に前期高齢者でさらに負担させるような仕組みが盛り込 まれており極めて問題だという御指摘もあったところでございます。  また、退職者については、存続させるという御指摘をいただいている一方で、経過措 置としての継続ということも基本方針に大きく反するということがあり、さらに、経過 措置となっているものは恒久的な措置とせよという御指摘があったところでございま す。  その他としましては、夏の議論の整理では、関係者が参画できる仕組みを設けるべき だという整理があったところでございますけれども、各委員の意見、指摘事項としまし ては、保険者協議会については疑問があり反対だという御指摘があったところでござい ます。  資料2、3について簡単に御説明させていただきます。資料2は、宿題として患者負 担の見直しによる影響というのをミクロレベル、個人・家計レベルで出せないかという 御指摘を前々回いただいて、前回できずにいたところをおしかりをいただきまして今回 出させていただいたところでございます。  1ページでございます。今回の試案ベースに伴う自己負担額の変化ということで、来 年10月段階というのを書いてございます。詳しくは紹介しませんけれども、70歳以上の 現役並み所得を有する方の2割を3割負担に引き上げ、高額療養費の自己負担限度額の 見直しを行った場合、風邪の場合が一番典型的なパターンですけれども、若人の人は変 わらず、現役並み所得の高齢者は2割から3割ということで500円アップして、老人の 一般の方は変わらずということでございます。それぞれ骨折の場合、胃がんの場合とい うのを書かせていただいているところでございます。  また、2ページで、高齢者患者負担の見直し。これは平成20年度にどうなるかという のを示したところでございます。これについては試案の中で幾つかのケースを書いてお りますが、前期の方2割、後期の方1割という案を想定してつくっております。同じよ うに、外来の感冒の方については、一般の方については3割が2割になることによって 500円減になり、70歳の方については1割から2割になることによって500円増になり、 75歳現役並み所得の方については2割から3割になることによって500円増になり、 75歳の一般の方については変わらずということになっております。これがそれぞれ骨折 の場合、胃がんの場合というのを下に書いているところでございます。  3ページで、国民全体で見たらどうなるかということで、患者負担見直しの影響とい うことで、国民1人当たりの患者負担増はどうかというものを出しております。注1に 書いておりますが、厚生労働省試案において患者負担増は約2000億と見ておりますが、 これを若人の方、高齢者の方、それぞれの加入数で割って1人当たりの影響額を試算し ております。この場合、高齢者の患者負担の見直しについては試案のうちの本案をベー スとしております。若人については現行3320円が、改正後3400円でプラス80円。高齢者 の方については6500円が7040円でプラス540円となっているところでございます。  一方で、保険料の影響はどうなっているかというのが4ページでございます。患者負 担増をお願いしたとすると、給付費が減少いたします。4000億給付費が減少して、保険 料公費の負担が減少します。これについて、同様に若人、高齢者の加入者数で割った ら、国民1人当たりの保険料、税の負担減というので、現行で若人1万9160円が改正後 1万8880円になって280円の減。高齢者についても260円の減となっているところでござ います。公費については若人と高齢者が均等に負担しているものとして単純に合計して いるところでございます。  私の方からは以上でございます。資料3については国保課長から説明いたします。  唐澤課長  資料3、国民健康保険組合の所得実態調査結果という資料、1ページをお開きいただ きたいと思います。簡潔に御説明させていただきます。既に御説明させていただきまし たけれども、大分時間もたちましたのでもう一度おさらいのために言わせていただきま す。  国保組合は166組合ございまして、大別しますと、医師、歯科医師、薬剤師等の関係 組合が92。建設関係従事者、大工さん、左官さん、塗装をしている方が多いわけでござ いますが、33組合221万人。市場従事者、食品関連の従事者、例えばそば屋さんをやっ ているというような方でございますが、41組合113万ございまして、平成15年度で404万 人の方が加入しております。  国保組合の国庫補助については、定率補助として療養給付費等の32%という補助がご ざいますが、これは平成9年9月以降に改正がございまして、新規に加入した人につい ては13%という補助にとどめられております。組合の財政力に応じて療養給付費等の1 〜20%という傾斜的な調整補助が実施されているところでございます。所得調査の結果 に基づいて見直しを検討することとしております。基本方針において市町村国保との財 政力の均衡を図る観点からということでございます。  次のページをお開きいただきますと、調整補助の段階がございますけれども、財政力 に応じて調整補助が1%、5%、10%、15%、20%という形の補助を実施しておりま す。  そこで3ページをお開きいただきたいと思います。所得調査の結果の概要でございま す。166の国保組合を対象に、平成16年度に調査を実施しました。調査対象者は国保組 合の規模に応じて抽出率を乗じて算出しました。調査しましたのは、組合員本人とその 家族の住民税の課税標準額ということでございます。回収率87%でございます。  4ページをお開きいただきたいと思います。所得調査結果、平均課税標準額、国保組 合の平均では125万円という所得が平均でございますが、最も低いのは建設業が61万円 という水準でございます。右側は世帯ですが、世帯の人数が違いますので規模が違うわ けですが、1人当たりにしたものをごらんいただきますと、建設業が61万4000円。一般 業が101万1000円というような水準でございます。薬剤師組合が143万6000円。歯科医師 が154万7000円。医師が最も高くて262万円という水準になっているわけでございます。  右側に保険料額というものを書いてありますが、国保組合全体的には保険料額はかな り高目の保険料を徴収しているという実態がございます。下の方に市町村国保の状況を 書いてございますけれども、市町村国保では1人当たり、一般世帯と書いてありますの は退職者医療制度もございますので、退職者医療制度の対象になっている方、サラリー マンのOBの方で厚生年金をもらっている方が多いんですが、その退職者制度は区分で 抜きまして、それ以外の一般の市町村国保に加入している方の平均所得は86万8000円と いう水準でございます。  業態別というのは、それぞれの業態の平均でございますので、具体的には個々の組合 の所得水準があるわけですが、それがどのような分布をしているかというのが右の黒い 枠でございます。30〜100万円の間というところに56の組合ということで、3分の1は 100万未満という水準であるということでございます。150万までのところで大体過半数 になりまして、それから後は150〜200万のところに29、200〜250万に15、250〜300万に 31、300万以上というところに3つの組合が分布しているという状況でございます。  次のページをお開きいただきたいと思います。これは国保組合1人当たりの課税標準 額を昭和58年度調査と比較したものでございます。国保組合の平均64万6000円でござい ましたけれども、16年度調査には125万円という水準になっている。これを業態別にご らんいただきますと、建設業は34万6000円から61万4000円ということで、26万8000円増 加しております。一般業も33万円、薬剤関係は61万という伸びになっておりまして、医 師は109万1000円という水準。歯科医師は余り伸びておりませんで、25万5000円という 水準でございます。市町村国保の方は64万9000円から86万8000円という水準になってい るというところでございます。以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは、これから御意見、御質問等をいただきた いと思いますが、どうしましょう、今の資料2と3については、本体の方の御議論を先 にいただきましてから最後の方でやりましょうか。まず資料1について御意見、御質問 をいただきたいと思いますが、総務課長は1ページずつずっとやっていってくださった んですが、できれば少しずつくくった方がいいのかなと。全体をやると話が飛んじゃう から。Iの基本的考え方から、IIの医療費適正化、IIIの保険者の再編・統合等、IVの新 たな高齢者医療制度の創設、基本的考え方を除けば3つになっていますので、皆さんが よろしければ、まず医療費適正化計画から議論を始めていただいたらどうかなと思いま すが、いかがでしょうか。  どうぞ、多田委員。  多田委員  基本的な考え方のところでも多少発言させていただいてよろしいでしょうか。  一つは修辞的な話でございますけれども、最初に、人間にとって一番大事な価値とい うのを、国民の健康・長寿というものに限定するのはいささかおこがましいのではない かという感じがいたします。闘病していても非常にしっかり生きている人間もいるわけ ですので、ここはちょっと表現を考えていただければという感じがいたします。  それから、3番目の○でございますが、「保険者の自立性・自主性を尊重した上で」 というのがついておりますが、これがついていると、私どもがかねがね主張しておりま す一本化というのとどうもそぐわないという感じがいたします。ですから、この前段の 言葉を取って、「給付の平等、負担の公平を図り」というので十分ではないかという感 じがいたしますので、御検討いただきたいと思います。  それから、4ページでございますが、保健事業、ここで保険者もしっかりやれという ことでございますが、被用者保険の御家族について、保健事業がどのくらい現実的にで きるんだろうかという点についても、若干議論があってしかるべきではなかろうかと。 そういう場合に、国保あるいは市町村との関係というのをどうつけていくかということ も、もう少し議論があっていいのではないか、そんな気がいたしております。  星野部会長  今御指摘いただきました点でございますが、御意見があったことは承っておきます。 というのは、夏の段階で一応取りまとめた話でございますので、多田委員の前任者もこ れで御了解を得ているはずでございますので、そこは一言座長として申し上げたいと思 います。よろしくお願いいたします。御意見があったことはちゃんと議事録には残りま すから。  それではIIの医療費適正化から。どうぞ。  松原委員  基本的な考え方の件でございますが、前回私どもが主張いたしましたように、まとめ た医療制度構造改革試案のほとんどが財政のための経費削減を中心にしたものであり、 基本的なところに一番大事な医療の安全確保と質の向上というものがない。そういう発 想がないということを御指摘申し上げたわけでございます。こういった観点から全体の 構造を考えねばならないのではないかと私どもは思っております。高齢者医療制度につ いてはこの基本的な考え方で進んできたわけでございますが、医療制度の構造を考える 上で一番大事なのは、国民にとって医療の安全確保と質の向上です。そういったことを 御配慮いただきたいと思います。  齊藤委員  松原委員が言われたことですけれども、我々としては、政策目標の中に経済と整合性 のある絶対値目標をぜひ入れたいと考えます。前々から経団連としては言っております けれども、経済・財政を避けては通れないということであり、極端に言いますと、後世 への負の遺産の先送りというのはやめるべきです。我々の現世代でよい知恵が出せない のならば、医療といえども聖域ではないだろうと思っておりますし、潔いあきらめもあ る程度大切なんではなかろうかと思っております。将来世代に負の遺産を渡してまでも 松原委員が言われるようなことが大切なのだろうか、自分の世代だけよければいいとい うものでもなかろうと、これはずっと言い続けておりますので、あえて言っておきたい と思います。  松原委員  私どもは持続できないようなものをつくると申しているわけではございません。基本 的な考え方で何が大事なのかということを申しているわけです。私が申し上げたことが 大事でないという御意見でございますが、それは大きな間違いじゃないでしょうか。財 政だけが目的ですか? そうではございません。基本的な考え方の中で、医療制度の構 造において大事なのは国民の幸せでございます。その中で私どもが主張しているのは、 医療の安全と質の向上がなければ、どんなに財政的にすぐれた制度であっても意味がな いと申し上げているわけでございます。すなわち、十分条件を言っているのではござい ません。必要条件として、基本的な考え方の中にそういったものがないということ自体 がおかしいのではないかと申し上げているわけでございます。  対馬委員  今回の基本的な考え方の中で取りまとめた中には、保険者としての機能を発揮しやす い制度と書いてありますね。給付と負担の関係が透明でわかりやすくということを書い ているんですけども、このとおりだと思うんです。きょうの資料及び説明について私が 遺憾に思いますのは、これまでに整理したのは私どもわかっているんです。ついこの前 まとめたばかりですから。1年前、2年前にまとめたわけじゃなくて、つい2、3カ月 前にまとめたばかりなんです。ですから、そういった取りまとめに対して今回の試案と いうのは、おおむねこのとおりにやっているのか、それとも、この中で両論併記になっ ているけども、こちらの方をとらせていただいたんですという説明があれば私どもはよ り議論ができやすいんですけれども、淡々と試案は試案ですからと、今回はこれまでの 整理をざっと説明させていただいて、あとは意見を追加させていただきますと、こうい った説明というのはいかがなものか。もう一回改めて説明してくれということを要求す るわけではありませんけれども、物事を議論するときの効率性に資するということで、 わざわざ部会長から先般お話があったわけですから、そういった方向に沿って資料構成 をまとめていただきたいし、また、説明の仕方もそういったことでやっていただきたい と苦言を呈したいと思います。  星野部会長  それではIIにいよいよ入りますか。どなたからでも結構でございます。  河内山委員  適正化の話の中で、短期的なもの、長期的なもの、いろいろありますけれども、長期 的なもので、いわゆるヘルスの事業をしっかり保険者としてもやらなきゃいけない、あ るいはそれに必要な専門的、財政的な裏づけをというのは前回述べましたので、それは 非常に大事な話でありますけど、具体的に進めようと思いますと、最終的には現場は市 町村ということになるかもしれませんが、やる気はあるんですけれども、さまざまな点 でエビデンスというか、役に立つことをやりませんと、市町村としても住民の方の健康 づくり、ひいては医療費適正化、やったけど余り意味がなかったということであります と狼少年みたいに、今後保健事業に対する信頼性を失いますので、大事なことなんです が、意味のあることをやれるような体制を国を挙げて、厚生労働省の重点的な仕事とし てお願いしたいということを重ねて申し上げたいと思います。  それから、短期的な対策の中で、今回高齢者の方々がどれくらいの負担をすべきかと いうのは、今政府与党の協議会でもいろいろ御意見があるようでございますが、実際に 現場を預かる市町村として、これまでの反省に立って何点か申し上げますと、1割なの か2割なのか3割なのか、これはまだ決まっていませんけれども、ある所得階層によっ て1割の方もあれば、今後はひょっとすると3割の方もある。3倍の開きがあるといっ たときに、どこでこの線引きをするのか。実務的な部分でいいますと、高齢者の方々に とってみますと切実な問題でもありますので、わかりやすい仕組みにしませんと現場は 混乱するということがあります。  過去の事例で申し上げますと、例えば国保の2割の軽減、職権ではなく申請主義でや ります。そうすると申請が漏れる方もおいでになります。あるいは、周知徹底を図って いるといっても、それは聞いてなかったという方もおいでになります。今後もそういう ことは十分あり得ますし、市町村のそれぞれの役所、役場の窓口で一番トラブルが発生 しやすいのは、どこかで線引きしますので、申請してくださいといったけど、申請した らあなたはだめですよというのが多発するということは非常に好ましくないと思ってい ます。  さらに申し上げますと、どういう標準でやるか、所得状況でやる、加えて収入の方も 見なきゃならないということになりますと、現場の事務コストというのは非常に大きい んですね。また、高齢者からしますと、それでなくとも最近は非常にわかりにくい制 度、仕組みがたくさんあって、面倒くさくてついていけないという話にならないよう に、制度設計をする上では実務的な部分にも十分配慮してお願いしたい。これは市町村 の現場の意見にも耳を傾けた上で、制度実施が早くされるものですので、制度の骨格が 決まった以上、大急ぎでお願いしたいと思っております。  さらには、前回レセプトのIT化、オンライン化の話をしましたけれども、医療機関 も、審査支払機関も、あるいは保険者も、オンラインでスムーズに事務作業が行われる ような体制というのを、今後は人によって負担率が違うということになりますので、そ ういう点も、事務コストの削減、効率化の観点から、あわせて実施できやすいような環 境づくりのために特段の取り組みをお願いしたいと思います。以上でございます。  井伊委員  今の河内山委員の最後の点と関連したことですが、レセプトの電子化に関して、医療 機関へのインセンティブは議論されましたけれども、電子化されますと審査方法も変わ ると思いますので、支払基金や国保連合会の受け入れ体制や機能がどうなっているの か、特に支払基金から各保険者への機能というのは、電子化に関して特に問題がないの か、こちらの方のインセンティブも議論された方がいいのではないでしょうか。  質問として、支払基金の費用対効果が現状どうなっていて、電子レセプト化すること によって費用対効果がどう変わるのか。現在レセプトの審査や振り分けの業務にどのく らい費用がかかっているのか教えていただけますか。  星野部会長  わかりますか?  今別府課長  今手元にありませんので、後ほどお答えいたします。  齊藤委員  ただいまの質問に関連しまして、レセプトのペーパーレス化ですけれども、ぜひ目標 なり期限を示して、確実に工程表を作成してやっていただきたい。これまで同様に一向 に進まないということにならないように、それを要望しておきたいと思います。  齊藤参考人  今回の医療費適正化計画に関しまして、生活習慣病予防、あるいは、一たん病院にか かって退院されて、重症化を予防していくという観点はかなり評価が高いものと私ども は感じております。ここにも出ておりますように、かなり実効性の高いことを目指して いく、あるいは絵にかいたもちにならないようにしていくためにはマンパワーの整備等 々がかなり必要になるかと思いますし、重症化予防あるいは生活習慣病予防に関しまし ては、医療機関、保険者、国民の参画がかなり必要になってきておりますし、生活習慣 病予防を簡単に言葉に書いてしまいますと、食事、運動等々の生活を見直していくとい う観点で指導等を行っているのでございますが、長い生活の中で積み上げられた習慣を 変えていくというのは、かなり難しいことでございます。行動変容を起こさせていく事 業をしていかなければいけませんので、専門家の活用をぜひお願いしたいということ と、それから、現在市町村合併等によりまして保健師の採用もかなり減っているという ことも漏れ聞いておりますので、この事業を実施するためには十分なマンパワーの活用 をお願いしたいと感じております。以上です。  多田委員  これまた新参者で、ちょっと前の議論をあれしないかもしれませんけど、食費・居住 費の入所者負担の問題です。昔、私どもが随分議論したときに、食費というのは、家に いないとその食費の分だけコストがかからなくなると。居住費の方は、住所をそちらへ 移してしまって、前のところを使わないということであれば、これは住居費というのは 新たな負担とならないんですが、そのまま住居を残して、あるいはアパートを借りたま まにして入院するということになると、二重の負担になると。そうすると、その負担を カバーしてあげるというのは医療保険の世界でやらなきゃいけないのではないかという 議論をして食費だけに絞った時期があったのですが、その後またその流れが違う方向に なった理由を、もう既に御説明があったのかもしれませんけど、教えていただければあ りがたいと思います。  今別府課長  食費と居住費という言い方でありますので若干イメージが違うのかもしれませんが、 今回対象にしておりますのは光熱水費だけでございますので、今の多田委員の御質問に あったような言い方でいいますと、その家にいる間はそれは使っていないということに なるんだと思いますが、それにも増して大事なのは、介護保険でこの10月から取るよう になったということとのバランス、年金とのバランスというようなことで一応整理させ ていただいております。  それから、恐縮ですがついでに、先ほどの井伊委員の御質問に関してですが、ちょっ と時間がかかりそうなので、答えられる範囲でお答えしておきます。もともと電算化に ついて国で目標を立てておりまして、何年たったら何%電算化するということを立てて おりまして、それにあわせて基金の方は、端的にわかりやすいのは、人員の整理をして おりまして、5年間で800人減らしてきておりますので、一つの例として人員はそれく らいの効果が出るということを申し添えさせていただきます。  多田委員  光熱水費だけだから二重負担にはならないのではないかというお話ですが、家賃分ま で二重負担ということは確かにないだろうと思いますが、光熱水費だけでも、一人で住 まっているときにはあるいは電力も使わない、水も使わないということもあるかもしれ ませんが、家族でやっているときはやっぱりかかってるんだろうし、そういう意味で、 少し性格的には違うなという感じは相変わらず持っているということだけ申し上げたい と思います。  逢見参考人  久保田の代理の逢見です。医療費適正化に関連して、試案では、医療費効率化の中で IT化、明細がわかる領収書発行が論じられておりますけれども、医療費の内容がわか る領収書発行を義務づけるということは、医療費適正化にも資するものである。支払い の観点からいうと、医療費の不正請求に対して厳しい処分がないと、いくら適正化とい っても信頼性を失うということになると思いますので、適正化の中に不正請求に対する 厳しい措置ということも入れてほしいと思います。  対馬委員  保健事業の中の生活習慣病予防の問題ですけれども、これでもって2025年2兆円削減 するということですけれども、ものの考え方自体は進めるべきだということは前にも申 し上げたとおりなんですけれども、ただちょっと危ぶんでおりますのは、私どもメーカ ーにいたこともあるんですけれども、実際に健診の義務づけなんていうのもありますか ら、全国展開をやるんだということだと思うんですけれども、私どもですと、まずは実 験室レベルから始めまして、それから、これはいけそうだということになりますと開発 になりまして、さらに小規模の実験プラントみたいのをつくって、それから中規模をつ くるか、そこは省略して実機規模までやっていくと。しかしそれは、ならし運転とか何 かやって、3カ月、半年待ってからやってみる。それから初めて営業運転をやっていく と。しかも、それは1カ所でまずやってみて、それで実際にふぐあいがないかどうか、 ニーズがあるかどうかということをやっていって、初めてこれはいけそうだということ で全国展開となるわけです。  やや感覚的な言い方で申しわけないんですけれども、実験室レベル、ないしはせいぜ い開発レベルから一気に健診の義務づけということを含めて2兆円下がるんだというこ とは、ちょっと本当に大丈夫かなという懸念を持つところでございまして、質問と意見 になるんですけれども、実際の健診の義務づけに当たっては、ぜひ段階を踏んでいっ て、費用対効果、実効性が上がるかということをやっていって、これはいけるという確 信が持てて、それから初めて義務づけを行うということにしていただきたいということ が要望ですし、また、これは実施時期が最初から決まっているんでしょうか。それが質 問でございます。  大島室長  私どもも準備が必要だろうと思っておりまして、18、19年と実証的なものも含めまし て、あるいは保健指導のノウハウの確立も含めまして準備を行いまして、平成20年度を 事業の義務づけの時期と考えております。ただし、その時点でいきなり被保険者・被扶 養者全員に提供を義務づけるということではなく、20年度から、計画的、段階的に対象 者を広げていくということを想定しております。  対馬委員  20年度一気にということではないということですけれども、先ほど申し上げた趣旨を 踏まえながら、確実に検証しながらやっていただきたいと思います。  齊藤委員  資料5ページに整理していただいていますように、相互扶助である保険制度には限界 があり、自助努力の範囲との線引きが必要であります。保険者に健診や保健指導等を義 務づけていくのであれば、段階が求められます。例えば10年後、15年後には、国民の皆 さんに毎日の健康管理が大事ですので、民間保険への加入等、自助努力を怠らないよう に促しながら、そういうような段階を追っていくことを経団連としては前々から言って おります。ぜひその辺をよろしくお願いしたいと思います。  松原委員  今おっしゃったことがまさに本音のところだと思います。そんなに民間保険を使いた いですか? 何のための公的保険をこれだけ発達させたのか。安心して暮らせるためで はないんでしょうか。さらに公的保険を縮小させて民間保険に入れということを勧奨す るということ自体、この場で議論すること自体が私はそぐわないように思うのですが、 ほかの委員の方々どう思われますでしょうか。  また、食費・居住費でございますが、病人という立場に立って考えれば、家は置いて あるわけでございます。これを終(つい)の住みかとしてそういった居住費、光熱水費 などを取っていくということについては、どうも抵抗がございます。介護保険の中でこ ういったことを実行されたわけですけれども、十分な議論がなされたとは私は思ってお りません。介護保険の中にも反対意見があったわけでございますが、それをほとんど無 視するような形で進められたわけでございます。現在介護保険の世界で何が起きている かと申しますと、世帯の合計所得が高いと居住費を高く取られるので、住民票を分離し て、おじいさん、おばあさんを単独の世帯にしてしまうということが起きているとも聞 いております。国のあり方としてそのような形で正しいのでしょうか。  また、IT化でございますけれども、私はIT化は賛成でございます。ただ、オンラ インのシステムとしてインターネットを用いてというところに大変な危惧をしておりま す。前回、韓国とシンガポールとオーストラリアで実際にやってるのに、なぜ日本でで きないとおっしゃったわけでございますが、逆に申しますれば、ヨーロッパとか北米で なぜインターネットを中心としたオンラインがそれほど普及していないか。もちろん制 度の問題もございます。しかし、インターネットというものはあくまでも「葉書」と同 じようなもので、中継地点でどの業者も読み取ることができます。これを読み取らせな いようにするというのは法的な問題と大変な費用がかかります。そういった中で、現在 は暗号が解けなくても、この進歩の中ですれば、例えばコンピューターを何十台もくっ つければ1秒間に何兆回という計算ができるようなシステムになります。そういったも のを考え、10年前のコンピューター社会を考えて現在をみれば、この10年で進歩したも のが次の10年でさらに進歩する可能性もございます。量子コンピューターもございま す。そういったデータを裸の状態で世の中に通して、個人名と病名と内容とが書いてあ るレセプトをインターネットで配信すること自体は非常に慎重でなければならないと思 います。もう一度申します。先進国でインターネットだけでやっている国は、私は現在 ないのではないかと思っております。  漆畑委員  医療費の効率化とか適正化は進めるべきで、それには全く反対するものではないんで すが、経済の規模に合わせてということで、もしそれを超すことになると将来に負の遺 産をという御発言があったんですが、もちろん将来に負の遺産を残したいと思っている わけではございませんで、ただ、負の遺産というのは経済とか財政という金銭だけでは なく、医療制度とか医療保険制度が国民、患者のためにならないとすれば、それも負の 遺産になってしまうわけですから、お金のことだけで負の遺産というふうに議論するの は間違っているような気がします。  それから、生活習慣病対策ですけれども、ここに書いてあることが実現できればいい と思うんですが、その限りでは、健診の対象にならない学齢期くらいの年齢から行わな いと効果がないもので、学校教育の中にも取り入れていますけど、やはり不十分で、食 生活とか生活習慣というのはその時期についてしまって、自立して社会に出るときには なかなか改善できない生活習慣がついてしまっていますので、企業に行かれて被保険者 になられたからの健診だけでは不十分というのはございます。もし書き加えることがで きるとすれば、もっと年齢が若い時代からの健康増進施策が必要であると、市町村では 取り組んでいただいているところなんですけれども、それが大事だと思います。  対馬委員  食費・居住費の問題ですけれども、松原委員も御承知のとおり、複数の調査で見まし ても、医療の療養病床と介護の療養病床にお入りになっている方々の属性というのがか なり似ているという中において、介護保険との整合を図っていかなくてはいけないと思 います。  また、IT化については全体に賛成であると言われて、ただしオンライン、インター ネットについては、ということですけれども、手法はいろいろあるかもしれませんけれ ども、日本が全体的に欧米や韓国に対して、特に医療の世界がおくれているというのも 御承知のとおりでございますので、手法はいろいろあるかもしれませんけれども、何し ろ前に進めていくということが重要だろうと思います。  井伊委員  年金改革でも保険料の引き上げが限界に達しているという理由で給付水準の引き下げ が行われていますので、いい悪いというのは議論しないといけないことですけど、公的 医療保険に関しても、保険料を引き上げるかわりに保険の範囲を見直していくという考 え方があってもいいのではないでしょうか。そのときに私的な保険がどういうふうに入 るかというのは個人の選択ですが、そういった政策の選択肢を示すという意味で、そう いった考え方もあるのではないかと私は思っております。  松原委員  年金と医療とを一緒に議論されているわけでございますが、同じ社会保障の中でも年 金というものは生活していく上で必要なお金を給付するものでございます。これは、例 えば少し我慢すれば我慢したなりにやっていけるものでございます。ところが医療とい うのは、人の命を扱っているものでございます。半分の命とか4分の1の命とか、我慢 した命というのはないわけです。ただ、私どももむだな医療を認めろと言っているわけ ではございません。もちろん、むだだと思われるものについては削除していかなければ なりませんが、命というのは1人に1つのもので、これを我慢しろということは無理で ございます。したがって、年金でできたから医療でもできるのではないかということ は、私どもは考えておりません。あくまでも命は命として、医療保険で守っていこうと いう立場でございます。  山本委員  5ページのところですが、保険者として新しい医療計画をやっていこうということに ついては少し異論があるんですが、せっかくこういう機会が来たんですから、国保保険 者の統一化、一本化、一元化と言っておりますが、これを進めるような考えを出してほ しいと思います。それが一つも出てないのは非常に気になるんですが、国保の一元化、 一本化ということで、これからの計画の中に入れてほしいと思います。  それから、高齢者の負担増を求めるということは、それはそれで結構ですけれども、 ところが負担増だけ求めて、それに対応するものが何もなかったとするならば、ただ負 担を強いるだけであって効果が薄いということになりますね。ですから、これから計画 を立てるんだろうと思われますけれども、一番大事なことは、なぜ高齢者が医療とかか わりが深くなるのか、ここらあたりが一番問題だと思います。かかわりができるだけ薄 くなるようにすることを考えた方が、負担増を求めるよりもかえっていいんじゃないか と思っています。そこらあたりを考えていただければ、また別途の方策もあるんじゃな いかと思います。ところが、そういうことに関しては余り書かれていないし、考えてい ないのかなと思います。  それから3番目ですが、さっき言われたように、人の命というのは金銭で買えるもの ではないわけです。医療費をたくさん出したら困るから病人はどうでもいい、病気はど うでもいいという考え方があるとするなら、それは間違いだと思います。一番大事なの は人の命なんですね。そこらあたりが、これから新しい制度をつくっていこうとするな らば、国民の皆さんたちから反発を受けないような方策を考えることが必要だと思いま す。  きのうも、ある制度を財政面だけからいって、この制度をこういうふうに変更するん だということは不適当であると、そういうことはやるべきではないということがありま した。そういうような基礎になることをまず考えて、一体どうすれば人は長生きできる のか、あるいは、どういうふうにすれば健康が維持できるかということを考えて、これ はこうすべきであるというときに初めて、その次に出てくるのが財政なんです。だか ら、財政優先のものの判断というのはやるべきでないと私は思います。ここらあたり、 先ほどから説明を聞いていますと、財政優先のような感じがするんですね。そういうこ とを書くものですから、そういうことを言うものですから、民間の保険でも使ったら、 というような話になってくるわけです。これは当然ここから出てくる一つの議論だと思 うんですけれども、そこらあたりももう少し配慮した方がいいのではないかと思いま す。  もう一つですが、もしこのまま新しい医療計画で実施していくということであるとす るならば、私はどうしても納得いきませんから、悪いけれども抵抗せざるを得ない。最 初からそれをきちっとやれということは困難だと思いますから、年次計画で最終的に は、何年か後にはこういうふうに一元化するようになるんだというような計画を立てる ことが大事じゃないか。私はそれを願っているわけです。しかも、厚生労働省は以前か ら一元化ということをずっと言ってきているわけです。もう何年になりますか。ところ が一向にその芽が出ようとしないというところは一体何なのか理解ができませんので、 そこらあたりもわかるように記述していただければと思います。御配慮いただきたいと 思います。以上です。  対馬委員  せっかくの山本委員のお話ですけれども、私どもとしては一本化、一元化というのは 反対であるということを明確にしておきたいと思います。自主・自立の保険者があっ て、保険者が保健事業でありますとか、被保険者に対する医療情報の提供といった保険 者機能を発揮していくと。複数があって、その中で切磋琢磨していくということが必要 だろうと思いますので、一本化、一元化という考え方というのは、考え方として問題で あるというふうに思います。  星野部会長  再編・統合の話に入ってまいりましたので、IIIの保険者の再編・統合等というとこ ろの議論に入りたいと思います。どうぞ。  河内山委員  一つは松原委員、あるいは山本委員が御指摘になったような考え方にも、私は共感す る部分がたくさんあります。同時に、対馬委員や齊藤委員が御指摘になった部分も考え なきゃいかんという部分もありますので、再編・統合の話の前に少し、今の山本委員あ るいは対馬委員がお話しになりましたことを踏まえて発言させていただきたいと思いま す。  今回の大きな制度改革のスタートになりました、平成15年3月に閣議決定された基本 方針、我々はそれを踏まえて議論を始めているわけでありまして、その中には、将来と も医療保険制度が永続性を持つ、ずっと続いていくようなものでなくてはならないの で、いろんな改革を行いますと。一つには、再編・統合というのは、表現は一本化でも 一元化でもどちらでもいいんですけど、負担と給付が公平性があるとか、そういうもの を目指していくんだ、どこまでできるかわからないけれども、改革をしていくための作 業を今やっている、これが話の出発点だと思うんですね。  したがって、そのことを全否定してしまいますと、本当に長期的に見て日本国民にと って幸せな改革なのかどうかということについて疑問符がつくわけです。幾度も申し上 げてまいりましたけれども、国保の被保険者になっている方が何か悪いことをしたり、 あるいは何か非常に反社会的、反社会保険的なことをやっているから国保全体として困 窮しているというわけじゃなくて、制度自体が持つ構造的な問題なわけです。したがっ て、そこのところは何とか、改革をする中でいうと、国保サイドからすると、被用者保 険の中にも健保もあれば政管健保もある、いろんなものがあるんですけれども、なるべ く負担の部分と給付の部分が、同じ国民であれば、働き方だとか、あるいは年齢だと か、住む地域によって、基礎的な社会保障制度である医療保険というのに差があっては いけないということを、相互に調整できることはなるべく調整していきましょうという 考え方がないといけないのではないかと思います。  それから、松原委員も何度も御指摘になった点でありますけれども、国民皆保険とい うのは日本の文化になっているんだろうと思います。先月、中日友好協会の招きで1週 間中国を訪問しまして、北京を初めとする大都市の市長、副市長と意見交換しましたけ れども、中国は国有企業も含めて、親方日の丸ならぬ、親方五星紅旗でやってきたわけ ですけども、それはWTOに加盟することによって経済も、社会の仕組みもだんだん世 界標準になりつつあるわけです。そうすると、今までの社会主義的なもので、ある意味 では、貧しいけれども、お医者さんに行くのも、保育園も、老後の生活も、何とかみん な面倒見てくれるということから、社会保険方式に変えようとしているわけです。そう すると、それから漏れている部分がたくさん出てきて、それが農業・農村・農民問題が 起こっているわけです。今から保険制度をつくろうと思うんだけど、なかなかつくれな いというのをいろんな都市の市長さんが言っていたわけです。  そうしてみると、日本はあるから何とも思わないんだけれども、皆保険というものは 何とか工夫して維持していかなきゃならない。その中で、これは松原委員と若干違うの は、どの部分が違うというのは別としまして、改革すべきところは医療関係者も保険者 も、ひいては国民をお互い納得ずくで変えていかなきゃいけない部分があると思いま す。それを永続するためにはお互いに一歩も二歩も、制度の一本化、一元化の問題もそ うなんですけれども、歩み寄りをするということが、日本全体の保険制度なんですか ら、そういう姿勢が必要ではないかと思います。  そこで厚生労働省の皆さん方にお願いしたいのは、そういうふうに今ここで議論して いることは、各種利害関係者の団体が発言しますので、どうしてもそういうことに少し ずつ配慮しながら試案をつくらなきゃいかんということはわかるんですが、後の世代に 負の遺産を残してはならないという齊藤委員の御発言がありましたけど、これが我々と しては大事なことだと思いまして、2025年にはこうなるという数字がよく出ますが、 2025年という社会はちょうど団塊の世代の方々が79歳くらいになられる。そのときに備 えて、今58歳、59歳、団塊の世代が20年後にある意味では覚悟を決めてもらうような、 こういう社会になるんだというつもりで制度設計をするくらいの抜本改革を行うべきで はないか。あらゆる部分に工夫をされて試案を出されているんですが、そういう意味で は、利害関係調整の上で、小さな課題はいっぱい羅列されているけども、この際、とい うような抜本改革がされるべきだと思っておりまして、今回だけではなくて、今回は抜 本改革パート1くらいで、パート2の中ではそういう覚悟で改革の方向性を出していく べきではないかという、ちょっと長話をいたしましたけど、そういうつもりでございま す。  その中で、国保の再編の話なんですが、急に実際的な話になります。例えば厚生労働 省試案でいいますと91ページだとか94ページに、国保財政の状況だとか、財政負担の一 覧表がございますが、今回の改革で、この財政の状況について、例えば改革後はどんな イメージになるのかという話がありませんと、後期高齢者の運営主体の話とも関係する んですが、我々市長会としては、国保の改革の具体性がちゃんと見えてこないと、とて も後期高齢者の運営主体どころの話ではないというのが本音でございまして、前から申 し上げていますし、唐澤課長の方で作業をされていると思うんですが、いずれかの時点 で高額療養の共同事業初め、拡充されることによって、もう成り立たなくなっている国 保というものが皆保険の最後のとりでですから、これがどう変わるのかということにつ いて具体的なことを早期にお示しいただきたい、これをお願いしたいと思います。大き なことと小さなことを申し上げましたが、失礼しました。  星野部会長  大変貴重な意見ありがとうございました。ただいまのことについては……  唐澤課長  私どもの方で新しい事業の具体例を当てはめたような形でお示ししませんとわからな い、抽象的な言葉でわからないということだと思いますので、今計算等の作業もしてお りますので、できるだけ早く提出させていただきたいと思います。  山本委員  対馬委員、あなたと意見が合わないのはぐあいが悪いけどね、私が言ってるのは、国 保の市町村保険者としてはもう機能が非常に低いんです。だから、自主的に運営しなさ いといったって、到底それは聞こえませんという状況下にあるわけです。だから、保険 者として機能を発揮できるようにすることが一番大事なんですね。御承知のように医療 というのは保険者と被保険者と医療者と、その3者で成り立っていることはおわかりで しょう。ところが、一番根っこにあるところの保険者がしっかりしていなければうまく 運営はできない。この3つがそれぞれ役割分担をしながら日本の医療というのは支えら れているものじゃないでしょうか。その場合に一番根っこにある保険者がぐらぐらして いたのでは、いい医療制度をつくり上げましょうとみんな言っているわけですけれど も、しかし、根っこがぐらついていたのではいい保険制度を持続させるということは難 しいと思うんです。ですから、そのためには小の者がみんな集まって大きな力をつくり 上げて、そして本当の意味での保険者として、持続性の高い医療制度を実施していくと いうことが一番大事なことじゃないかと思うんです。ですから、自立をするために、あ るいは自主的に運営するためにこうするんだという時代はもう過ぎたんですよ。今はも うそんな時代じゃないと私どもは思っていますから、そこらあたりの御理解をいただき たい。役割分担がきちんと果たせる保険者になりたいという考えで私はさっき申し上げ たんですが、そこらあたりを理解していただければいいと思いますが、もしきょうお互 いに意見が合わなければこの次でも結構ですから、そのときまた話し合いをすることに したいと思います。持続性の高い医療制度というのをお互いが守っていくということが 大事なことじゃないかと思います。そういう意味で、保険者としての立場からさっき申 し上げたので、御理解ください。以上です。  星野部会長  対馬委員、どうぞ。  対馬委員  保険者がぐらぐらしているので一本化、一元化と言われることが非常に問題であろう と思うんですね。おのおの努力していって、切磋琢磨していくということが非常に重要 であって、弱いから強いところと一緒になればという発想というのはいかがなものか と。例えば私どものところでも老健拠出金というのは随分いろんな場で言わせていただ いてきましたけども、どういった対策をとるかといいますと、私どもは被保険者みんな に手紙を書くんです。老人の方々に。これは国費でやってるんじゃないんですと、これ これこういうことで皆さん方が努力されれば私どもの保険料が下がるんですということ を申し上げますし、各家庭を訪問していって多受診とかはしご受診とか、そういったこ とをしないようにとか、薬などもいろんな飲み合わせはよくないとか、こういった努力 をしていくわけです。そういったものが全国民一本でというと、形はきれいなように見 えますけども、先ほどお話がありましたように親方何とかということになりますと非常 に問題が出てくるだろうと。河内山委員がおっしゃいましたように、2025年ということ を頭に置いてみんなで痛みを分かち合おうじゃないかと、これは大いに賛成でございま す。そのこと自体を否定するつもりはありませんし、私どもも応分の負担はしていきた いということですけれども、自己努力がない制度というのはいかがなものかということ でございます。  多田委員  ただいまの対馬委員の御意見、そういう側面もゼロとは申しませんが、しかし、実際 に制度としてどういうふうに仕組まれているかということをもう一回お考えいただきた いと思います。つまり、それぞれの制度が自分で相手を選べるわけではないんです。相 手は自動的に決まってきてしまうんです。そして一番負担能力が弱くて、一番医療費が かかる層が全部国保に流れ込んでくる構造になっているわけです。それは保険者の努力 の話とはまた違った意味で、制度的な立て方の問題ということなんです。ですから、そ こについてはそれなりの調整が入って当たり前のことだということだけは御理解いただ きたいと思います。  松原委員  私も、国保の問題は国民皆保険の最後のとりでとして、さまざまな人を引き受けねば ならないという点にあると思います。そういった観点からすれば、国民全体で国民を支 えるという国民皆保険制度の理念に立てば、互いに助け合うのが当たり前のことではな いかと思っております。  また、先ほどお話がありましたが、市町村で保険者機能を発揮しろと制度で決められ ても、私どもが見ていても限度があると思います。ここで一つ質問なんですが、私たち はよく厚生労働省と議論するときに、なぜ市町村でなければならないのだと申します と、市町村がもし財政的な責任を持たなければ徴収を十分にできなくなる、そうすると 回らなくなるのではないかという反論をされます。しかし、年金のときを見てもおわか りいただけるように、都道府県に集約すれば、都道府県というのは端から端まで手が届 くわけではございませんので、最終的には徴収率が落ちているという現状がございま す。確かに集めるという面においては市町村が一番適切なのではないかと思いますが、 そこのところの機能を十分に評価して、最終的な財政的責任は、高齢者医療でも申し上 げているように、本来は公法人なり国なりが一本化して行うのが筋ではないか。財政を 調整する方法を幾つか、都道府県の調整市町村の調整といって案を出されていますが、 これは余計な仕組みをつくるだけで、本体でいえば一本化して、それが公法人であって も結構だと思います。そこが財政的責任を負う。ただ、市町村はそれについて保険料を 集める責任だけは負うという制度では無理なのでございましょうか。  河内山委員にお聞きしたいんですけど、集めるだけを担当するということについて は、例えば高齢者医療ですね、無理なんでしょうか。  河内山委員  我々が主張していることを松原委員におっしゃっていただいたと思います。我々は市 町村として国民健康保険、後期高齢者保険、いろんな仕事をやっているわけです。市 民、町民、村民と最も身近な政府としましては、市町村民税のこともあります。市町村 民税の中にはなかなか集めにくい税があるんです。何かといいますと、固定資産税とい う税金なんです。固定資産税というのは所得に応じてではありませんので、その年々の 収入がなくても固定資産税は払ってもらわなきゃいけない。最も徴収が難しい税という のが市町村の最重要税なんです。したがって、徴収というのを我々は手を抜いているわ けではなくて、最も難しい税で我々の仕事というのは成り立っているということを考え ますと、運営主体でないからとか、保険者でないから徴収を手を抜くとか何とかとい う、それほど市町村の税務担当職員や関係するところの徴収関係職員というのは手抜き をするようなものではありません。一生懸命やれると思います。しかしながら、それだ からといって財政責任とか制度の運営責任をやるということとは違うと思います。我々 としましては、新しい高齢者医療制度が安定する方が、国民にとってはより幸せだと思 います。徴収率が上がるからといって安定しない制度をつくりよりは、安定した制度で 後々も同じような仕組みが成り立つのではないかと思えるようなことを国民は期待して いるんじゃないかと思いますので、我々は一生懸命そういう徴収努力を含めて汗をかく 覚悟はあるということは幾度となく申し上げてきたところです。  松原委員  徴収を十分にしてないと申し上げているわけではございません。実際に私どもの医療 機関と市町村が最も近い立場にあって、患者さんたちの家庭の状況から、収入の状況か ら、比較的わかりやすい状態にあります。取れない方からは取れません。取りにくい方 もいらっしゃいます。そういったことを一番よく把握できるのは市町村でございますの で、そういったことは市町村にお任せして、財政の責任は一本化してとるということが 正しいのではないかという主張でございます。  逢見参考人  国保組合の問題をここで議論してもよろしいでしょうか。  星野部会長  資料に基づくあれですね。  逢見参考人  資料にかかわる部分と、再編・統合にかかわる部分と両方ありますけど。  星野部会長  どうぞ。  逢見参考人  試案では国庫助成のあり方についての見直しという言い方しかしておりませんが、国 保組合については制度そのもののあり方を見直すべきだというふうに思っております。 なぜかというと、国保組合は自営業だけじゃなくて被用者も含まれている。制度の区分 けからいうと、国保組合に被用者が含まれるというのはおかしいんじゃないかと。ここ はもう一度基本に立ち返って制度そのものの区分けをすべきだし、被用者は被用者保険 に入るべきだと思います。  その上で国庫補助なんですけれども、この資料では補助率について、こうなっていま すという説明はありますけど、一体どれだけの補助額が出されているかという資料がご ざいませんので、その資料を出していただきたいということと、なぜこういう仕組みが できたのかという理由が全然説明されてなくて、32%定率補助というのは、例えば政管 健保でいいますと13%しかないわけですが、なぜここは32%なのか。それは平成9年以 降13になっていると言っていますけど、それ以前のものはそのままになっているわけ で、それがそのまま放置されているということが全く理解できない。  それから、国保組合の自己負担が1割、2割のところがあると聞いていますが、一体 自己負担がどうなっているのかということについても資料が全くございませんので、そ こについても明らかにしてほしいと思います。そういう資料を明らかにした上で、国保 組合というのは他の保険に比べて非常に優遇されているというのがありますが、そこは バランスをとるという視点が必要なのではないかと思います。以上です。  唐澤課長  逢見参考人から御指摘がございましたが、前回、決算状況、給付率等の資料は簡単な ものを出しておりますので、それは後でお届けさせていただきます。  星野部会長  あと経緯について。  唐澤課長  経緯も前回つけておりますので、それもお届けさせていただきます。  星野部会長  それでは次に行きますか。IV。申しわけないんですけど、きょうは議論がさらにたく さんあると思うので、5時には終わらないかもしれません。若干時間が延長することを 御了承いただいておいて、余り長くなると疲れちゃいますから、余り長くならない範囲 で時間延長したいと思います。それでは、どうぞ。  漆畑委員  時間延長があるならということで、都道府県のことにちょっと戻ってよろしいでしょ うか。お答えも要らないと思うんですが、今の都道府県単位の再編で、もう一つ素人目 にわかりにくいのは、都道府県といっても随分大きなところと小さなところとあって、 鳥取県のように60万ちょっとくらいの人口しかないようなところと、市町村といっても そのくらいのところもあるものですから、再編・統合に反対しているというのじゃなく て、その役割とか、補助とか、具体的なことまで考えると、規模の大小がどういうふう に実現するのかちょっとわかりにくいので、これから詰めるとすればそこのところもど こかで御説明いただきたいということで、お願いだけでございます。  河内山委員  すみません、たびたび発言しまして。後期高齢者医療制度につきましては、今までも 繰り返し申し上げましたが、私どもは後期高齢者医療制度が円滑に運用されるように、 事務運営責任を拒否するものではありません。だれが被保険者なのか、その方の保険料 は何円なのか、徴収をするときにはほかの税や料と同じように徴収努力もいたします。 また、自分のところで余りにも高齢者の方の、例えば生活習慣病が深刻だということで あれば、それは若年の方から含めて健康づくりその他も、保険者の方と共同して市町村 単位で行えることは一生懸命取り組んでいきたいと思います。それは別に医療費を抑え ようということだけではなくて、それは市民の幸せにつながることですので一生懸命や ってまいります。しかし、その運営主体、保険者とは書いてませんけど、運営主体を担 うことは、これは全国市長会で何度となく議論しましたけれども、全員反対でありまし て、前回は町村会で山本会長が御意見を聞かれたそうでございますが、市長会も全く同 様でございます。それだけ市長会も町村会もこれは困難だということを言っているにも かかわらず、どうしてか、市町村が運営主体になるというのは私どもとしてはよく理解 できません。再編・統合の方向性として、一方で国保の方も再編・統合しないとうまく いかないということでいろんな手立てが講じられているにもかかわらず、新たに制度を 発足させるものがもとに返って市町村ということは、我々としては論理は不整合だと思 っております。  また、別の土俵の話でございますが、今日、地方6団体が川崎厚生労働大臣に生活保 護のことで緊急申し入れを行っていると聞いております。これも厚生労働省と地方団体 の関係でいいますと、ほかにたくさん補助金削減すべきだというリストを提出している にもかかわらず、市町村あるいは知事会が大変嫌がっているものを無理やり、何度とな く生活保護の国庫負担金地方移管、あるいは負担率引き下げというのを出されるのは、 なぜ厚生労働省は、地方団体がぜひこのことはお願いしますということは余り耳を傾け ず、去年の三位一体改革の国保のことでは知事会は余り希望されていないことが出てく るというふうに、地方団体が言っていることと厚生労働省が考えておられることが、い ろんなところで反対の方向へ行くというのはいかがなものかと思っていまして、国民の 生活にかかわる社会保障制度をつくっていく上では、国、都道府県、市町村、お互い得 意とするところとか、責任を負うべきところをはっきりさせて協力関係をつくってやる のが筋だと思いますので、後期高齢者の運営主体については、試案では明確に書かれて おりますけれども、ぜひ御再考を改めてお願いしたいと思います。  河内山委員  私どもが保険者になっていくという、現状のままでいくのは嫌だというのはこの前申 し上げました。だからといって、あしたからやめるというわけにはいかないじゃないで すか。私がさっき申し上げたように、期間は別として、何年たったらこうしますとか、 あるいは2年後、3年後にはこうしますということが出されれば検討せざるを得ないと 思います。ただ、この新しい制度を即やるんだというのではなくて、最初のときは即や るけれども、しかしその後はこういうふうにやっていきますという年次の計画をつくっ て提示していただければ、全くそれを拒否するということにはならないと思います。だ から、今は検討する余地がないんですよ。検討も何もしようがないんです。検討される ような立案をすることが必要じゃないでしょうか。それだけは申し上げておきます。  対馬委員  私どもも随分高齢者医療制度については意見を申し上げましたので、それと重複しな い範囲にとどめたいと思います。  拠出金について随分私ども申し上げてきたんですけれども、拠出金というのは言って みれば極めて税金に近いと思うんですね。税金であるとすると、租税法律主義というの はきっちりしたものがある。ところが拠出金については極めてそのあたりがあいまい、 法律でも大まかなところしか書いていないということで、私どもとしては租税法律主義 に反するのではないか、財産権の侵害にもつながるのではないかと申し上げてきまし て、訴訟を起こしたらどうかということまであったんですけれども、待てと。今まさに 拠出金制度というのは廃止されるんだということで、それは昨年の2月時点でもって様 子を見ようじゃないかと申し上げてきたんです。今回の中身といいますのは、退職者医 療制度、これがまた残るんですね。まさに拠出金そのもの。これは26年度と言ってます けれども、26年度、例えば現在61歳、62歳の方々はまださらに続くということになりま すと、10年、20年残っていく。これは移行措置とか経過措置とはとても言えないものだと思うわけです。さらに、後期医療支援金とか、前期の調整金ということになります と、これまで拠出金と言ってきた以上の、拠出金の拡大と言った方がいいんでしょう か、そういったことになるわけであります。そういう中で、私どもとしては、今回改め て全体の見直しを図ってはどうかと。もっと簡明な制度に変えてただけないかというお 願いをしているわけでございます。  そのことをまず申し上げて、あともう一つ、今申し上げたことと関連するんですけれ ども、高齢者医療制度の運営主体、市町村が難しいのであれば公法人ということでやっ てはどうかという提案をしているわけですけれども、また、さらに全体に私どもが2200 億ほどの負担をかぶる、そのこと自体が問題ではありますけれども、おのおのの健保組 合においてどういった影響を及ぼすのか、これもまだよくわからないという状況がござ いますので、このあたりについて早急に詰めていただきたいんですけれども、どうして もそのあたりが難しいということであれば、もっと多角的な検討をして、もう少し時間 をかけてじっくり議論するということを含めて再考をお願いしたいと思います。以上で す。  岩本委員  大分関係団体の方の意見が煮詰まっているときに、関係のない人間の発言というのは 重みがないかもしれませんけれども、国民にとってわかりやすい制度になるようにとい う観点から、後期高齢者医療制度の保険者について今まで私は意見を申し上げていなか ったので、この際発言させていただきたいと思います。  厚生労働省試案の31ページに書かれているんですけれども、ここで市町村が保険者に なるという案の最大の問題点といいますのは、その2ページ前にある都道府県単位を軸 とする医療保険者の再編・統合の理念に反する形になっているわけです。これは非常に わかりにくいと思います。この3と整合的なものとしてどうなるかと考えると、出発点 というのは29ページの下の方に、政管健保の新しい設計が書いてありますけれども、こ れをほぼ後期高齢者医療制度に置きかえたものが出発点になるんじゃないかと思いま す。言いかえますと、ここに政管健保と書かれているところを、後期高齢者医療制度に ついては、全国単位の公法人を保険者として設立すると。次の○とその次の○はそのま ま使います。30ページに行きまして、次の○は関係団体が入れかわりますけど、ほぼ使 えます。次の○、適用・保険料徴収の事務は市町村においてあわせて実施するという形 で書きかえれば、これでかなり制度の骨格が決まるというわけで、これは既に市町村が 保険者になるということに対して、この部会で随分反対意見が出て、公法人はどうかと いう意見もかなり組み入れたものになると思いますし、それで3のところで既に整合的 におさまるというので、非常にわかりやすいのではないかというふうに思います。私は 今の市町村が保険者になるということで出されています厚生労働省試案というものは、 そのままの形ではなかなか制度設計、実現するのは難しいのではないかと思います。  星野部会長  先生の目から見るとワーカブルですか。今の案は。ワーカブルだと思います?  岩本委員  一応発言した以上、そう思います。  星野部会長  ありがとうございました。それ以上聞きません。どうぞ。  多田委員  19ページのところでございますが、後期高齢者の支援金、これにつきまして、若年者 の負担については稼得年齢を考慮しという御意見があるという、これには反対でござい ます。もし稼得年齢ということで、これは負担能力がないんだからという意味であれ ば、まだほかにも負担能力のないのはたくさんございます。失業者もあれば、年金生活 者もあります。そういう意味で、要するに各集団にどういう形で割り当てるかという問 題だろうと思いますから、稼得年齢を考慮して20歳以上だけを取り上げるというのは適 切でないと考えます。  対馬委員  ここでは負担能力のある、ないもありますけれども、今の拠出金というのは、赤ちゃ んが生まれますと6万円負担がふえるんです。お国の方から御祝儀ということであれば 別なんですけど、赤ちゃん1人生まれたら6万円ふえるねという話なんですね。それと 同じような構成になるわけですね。ということは、少子化対策の方向性とも合致してな いだろうと思うんです。それが一点。  あと先ほどちょっと言い残したんですけれども、四角で囲った上から4番目の○のと ころ、ここでは後期高齢者の保険料については別建ての保険料として構成すべきという ことについておおむね意見の一致があったと書いていますね。おおむね意見の一致があ ったということに対して、今回の試案というのは後期高齢者医療支援金というんです ね。これは別建ての保険料として構成すべきだということに対して、後期高齢者医療の 支援金というのはどういった性格のものでしょうか。おおむね意見の一致があったので あれば、それを尊重していただきたいといことなんですけども、事務局にお伺いしたい と思います。  濱谷室長  お答えいたします。支援金自体は若人の保険者から後期高齢者の保険者に対して支援 をしていただくものであり、保険者と保険者のお金のやりとりでございます。ここで書 いております別建ての保険料といいますのは、賦課された支援金について各保険者が被 保険者からどのような形で保険料を徴収するかということでございまして、今回の試案 では明確にはしておりませんけれども、法制的な点も含めて詰めまして、何らかの形で 明確な保険料として位置づける方向で検討したいと思っております。  逢見参考人  後期高齢者の患者負担の点について、現役並みの所得を有する者は3割という案が出 されておりますけれども、現役世代並み所得といっても、確かに豊かな高齢者はいると 思うんですが、受診率が違うわけですね。受診率が高いということは当然負担がふえる ということになるわけで、これを受診率の抑制のために現役世代並み所得者の負担をふ やすということだとするならば、ちょっと政策効果はいかがなものかという感じがいた します。なぜ受診率が高いかということについて、もうちょっときちんとした分析がな されて、必要な受診であればいいわけですけれども、慢性的な治療で、ただ単に薬をも らうだけという形で受診している高齢者も多いと思いますので、そうした受診率が高い ということのリスクをどのように下げるかということでいくならば、個人負担を現役の 人は負担をふやすということでは、余り政策効果が上がらないんじゃないかと思いま す。  河内山委員  ちょっと技術的な話なんですが、国保の再編・統合するために共同事業とか、さまざ まな方策を講じて、なるべく平準化をしていこうという努力をされるわけですね。後期 高齢者、これは運営主体がどこになるかという話は別としまして、新たに制度設計する 以上は、この工夫、努力というのがいかに大変かというのは、国保の関係はみんなわか っているわけですから、都道府県単位でということを前提にしまして、統一保険料とい うようなことを最初から考えられるというのもぜひ検討すべきテーマではないかという ことを御指摘申し上げたいと思います。  齊藤委員  先ほど対馬委員がおっしゃったこととほぼ同じですけれども、高齢者医療制度につい ては国民全体で公平・公正に支えるという視点が必要なんです。支援金や財政調整とい った仕組みとは別に、財源は原則税を中心にして、我々も応分の負担は行いますので、 消費税の引き上げなど、公平な形で国民全体で高齢者を支えていくべきであると思いま す。また、支援金について対馬委員は20歳以上の者と言われていますけれども、我々 は、現役世代に過重な負担を求めないという意味では、40歳以上の者が負担することを 提案しています。支援金が必要であるならば、少子化対策に逆行しない形で進める必要 があり、我々は20歳でも若過ぎるのではなかろうかと、まだ大学の教育費等がかかる年 代ですから、ぜひその辺も考慮いただきたいと思っております。  松原委員  私たちが高齢者の自己負担を高くするのに反対していると申しますと、医療機関に来 なくなるだろうからという意見をおっしゃいますけれども、実際問題として、アメリカ との一番大きな違いは、日本の国は少しでも調子が悪くなれば医療機関にかかることが できるということ、また、高血圧の方、高脂血症の方、糖尿病の方が、きちっと管理で きて、大きな病気にならないようなシステムができているということでございます。全 体の75%は大きな病気で入院して使います。残りの25%強が外来で管理に当たっている わけでございます。そこのところのアクセスを減らせば最終的には一番大きなところの 支出がふえてまいります。アメリカの制度は3000万人、4000万人の方が保険を持ってお りません。とことん悪くなって、ほとんどが治療したり、高血圧を予防したり、そうい ったことのない方たちでございます。そのような状態で最終的に脳出血を起こしたり脳 梗塞を起こしたり心筋梗塞を起こして入院するから大変な医療費がかかってしまうとい う現実がございます。そこのところが、今現在日本でうまくいっている点でございま す。それを、患者さんの負担をふやすことによって、あるいは免責制を引くことによっ て壊してしまうと、最終的には本体の入院費用が大きくなるのは簡単に予想できるとこ ろでございますので、そこのところをもって私たちは患者さんの負担をふやすことに反 対、また、御高齢の方に過度な負担を来すことは最終的には大きな費用の負担を来すこ とになるということを申し上げているわけでございます。そういった面から考えます と、生活習慣病を適切に管理し、治療していくことによって、脳出血、脳梗塞、その他 の大きな病気を起こさないようにするというのが本来の制度の目的とすべきところだ と。その点において私どもは、今回の高齢者医療制度改革試案の中長期の予防について 賛成しているわけでございますが、短期的なものは最終的には逆効果になると申し上げ ているわけでございます。  星野部会長  どうもありがとうございます。私はこの中で一番年寄りだと思うので高齢者だと思う んですけれども、逢見さんと松原さん……松原さんはちょっと違うのかもしれませんけ ど、現役世代と同じ所得水準を持っている年寄りが3割負担をするのは、私は当たり前 だと思います。賛成なんです。というのは、同級生の面倒をまずお互いに見っこして、 それで足りなければせがれたちの世代に助けてもらうというのは当たり前のような旗が するものですから。これは部会長として発言しているんじゃないんですよ。老人の一人 として、ここに老人いませんから、70歳以上の方はいらっしゃらないと思うので言いた いので、それがなかったらこの保険だれもやってくれないじゃないですか。私はそこは 賛成で、松原委員が言ってたのはちょっと違うんですよね。そういうことを言っている わけじゃない?  松原委員  それだけではございません。私どもは3割の導入が、厚生労働省の案では、残りは2 割にとめるとおっしゃっていますけれども、財務省は全体を2割にするということを言 っておられるわけでございます。そこのところで私どもも財務省案には決して乗れない と思っておりますので、そのように考えております。  星野部会長  あと5分くらいにしたいと思いますが、もしよろしければ、試算の方がありましたよ ね。もし何かありましたら。よろしゅうございますか。  対馬委員  試算の方ではなくて恐縮なんですけど、国保組合の方で、今回所得調査をお願いして 出てきたわけですが、意味がよくわからないところがあるんですが、例えば4ページの ところで、平均課税標準額とございまして、もちろんこれは収入ではないということぐ らいはわかるんですけれども、注書きが右側の1番に書いてあるんですけど、課税標準 額の集計をするに当たっては市町村国保の課税限度額を勘案して上限を設定してここに 載せているんだという趣旨で書いているんですけど、ということは、単純に一人一人の 平均課税標準額ではなくて、一定の限度を最初から設定して、それを集計しているとい うことなんでしょうか。また、そういう意味から申し上げますと、この中で一番高いと いう意味で申し上げるわけで、別に松原委員をあれするわけじゃないんですけれども、 1人当たり262万と。松原委員がよく中医協の場では、月当たり220〜230万というのは そうではないんだと、実際のところは月100万円くらいが限度なんだと、せいぜいその くらいなんだと言われていますけれども、100万円ですと年間1200万円になるわけです ね。それがあっという間に260万円になってしまうというあたりの仕掛けがよくわから ない。場合によってはトゴサンとかクロヨンとか言っているそういったことなのか、そ れとも冒頭申し上げました課税標準額の集計上の何らかのことでやっているのか、私ど もから言わせますと、よく実態を見させてくださいという意味なんですよね。ですか ら、課税限度額が問題なのじゃなくて、収入はどのくらいあるんでしょうかと。その中 で、いわゆる所得というのは幾らぐらいなんでしょうかということを見定めながら議論 したいということでございますので、そこはよろしくお願いしたいと思います。  唐澤課長  まず課税標準額の注1でございますが、これは市町村国保は53万円で天井がついてお りますので、これが収入ベースにしますと大体800〜900万くらいの水準になりますか ら、市町村との基本方針でも財政力をベースに置いておりますので、53万の保険料にな るようなところに天井を置いております。したがって、もっと高い方ももちろんいらっ しゃると思います。生の所得を全部集計したというものではございません。  それから2つ目に申し上げておりますのは、これは1人当たりでございますので、も ちろん御家族の方なんかでも割ってしまっておりますので、お医者さん1人当たりの収 入ではございません。これが2つ目でございます。  それから3つ目でございますが、詳しい経理状況を知りたいというお尋ねと、加入者 の所得を全部把握するような状況はどうなってるんだというお尋ねだと思いますが、最 初の方から申し上げます。決算状況については、この前の全体的な状況を御報告させて いただいたのと、もう一つは、私どもの国民健康保険実態調査に基づきまして、全国の 市町村と国保組合について毎年、事業年報を作成しております。この中に国保組合が報 告されております。ただ、これは市町村も国保組合もそれぞれ、市町村は都道府県ごと にまとめております。と申しますのは、決算状況そのものは、都道府県認可で、指導監 督が都道府県でございますので、決算資料は都道府県の方に出てしまいまして、国の方 には提出してこないということが実状でございます。そんなところでございます。  対馬委員  今の説明でわかりましたけど、私どもが求めておりますのは、課税限度53万円から逆 算して800〜900万だということはおかしいんだろうと思うんですね。まずは実態がどう であって、さらにいいますと、53万自体がいいのかどうかということも、被用者保険と の絡みでぜひ再考を願いたいということに対して、前の北郷委員は、それはぜひそのよ うにやっていただきたいと、賛成だと言われたわけですね。53万自体の議論もあるわけ ですから、今の説明では私どもは納得できないということでございます。前回の資料で も3200億くらい公費が投入されていると、国保組合に対して、ということですし、ま た、1割負担のところもたしか3組合くらいあると。2割負担のところは約4割だとい うことでございますので、2割負担、1割負担のところになぜ3200億も投入するのかと いうことは、むしろ国保の側ももう少しそこに目を向けられたらいかがでしょうか。近 い親戚のところが3200億いただいて、1割負担とか2割負担でやっているわけですか ら、それを遠い友人である被用者保険のところに手助けを願いたいということより、ま ず近くの親戚の方から攻めていくべきじゃないかなと思うんですけれども。  唐澤課長  ちょっと補足をさせていただきますと、国保組合の所得調査をなぜ実施しているかと いうことを申し上げたいと思います。というのは、国保組合の加入者というのは、基本 的にはある特別な大きな建設関係を除けば、基本的には自営業でやっておりまして、自 分で営業しておりますので、国保組合の運営責任者は自動的に加入者の所得はわかりま せん。したがって、保険料をどのように決めているかと申しますと、例えば事業を実施 している事業主の人は幾ら、30歳以上の従業員は幾ら、30歳で職人の人は幾ら、25〜30 歳の人は幾ら、実はそういう決め方をしているわけでございます。会社を営んでいて従 業員に給料を払っているところでは、自動的に所得がわかるという前提でございます が、そうではないということを一言申し添えさせていただければと思います。  対馬委員  そういった形でもって保険者が運営していること自体が極めて問題だろうと思うんで す。それで保険者として自分の健保組合を運営している、財政責任を負っているという ことが言えるんでしょうか。そういったところに3200億円も投入して2割負担、1割負 担があるかということを問いかけているわけでございます。  松原委員  上限があるのはほかの市町村の国保組合でも同じことになっております。そういった 所得の把握の問題もございますが、1割、2割、3割とおっしゃいます。私ども医師の ところをよく攻撃されるのできちっとお答えしておかなければならないんですが、ほと んどが今度3割に統一されます。1割、0割のところが建設業の、負担がしにくい患者 さんの集まっているところに残っております。これは私どもは仕方のないことではない かと思いますが、医師の場合には3割でございます。また、上限が800万でございます が、それを平均して、これは脱税があるのではないかというような不穏に近い発言がご ざいましたが、私どものほとんどは青色申告で適切にやっております。ここのところで 低く見えるのは、一つは、この中に働いている従業員の方々も入っているということで ございます。ある意味では零細なところでございますので、逆に市町村国保に入られる ことを選ばれる方もあります。そういった方もすべて抱えているということでございま す。  また、ここのところでいつも議論になるのですが、右下のところに小さな文字で書い てございます。医療機関においての医師国保というのは、歯科医師国保もそうでござい ますが、みずからの診療は全く保険がききません。すべて自費扱いです。実際上は福利 厚生費として雇っている医療機関が払っているところがほとんどでございます。つま り、よそにはかかれても自分のところにはかかれない。半分近くが内科系でございます ので、結局はほとんどの疾患は、眼科や耳鼻科を除けばかからないわけでございます。 むしろ大きな病気をして入院したときにこれをみんなで支えるということから始まった ものでございますので、自分のところで全く使わなければ実際上は入院保険しか適用に ならないということを御理解いただければ、比較的この金額が適切だということは御理 解いただけるところではないかと思っております。  また、私どもは建築業などに関しては非常に収入が低い、あるいは、常に雇われてい ない方もいらっしゃいます。そういった方たちを適切にフォローアップしていくのも大 事なことだと思いますので、私はこれはこれで国保組合は適切なあり方ではないかと思 います。ただ、支出の面に関しては十分に議論し、また、収入のあり方に関しても御指 摘いただいたところは議論の余地があるところだと思いますが、これ自体が市町村の親 戚だから何で手を入れないのかというのは、私は理解しかねるところでございます。  河内山委員  我々が主張しておりますのは、国保組合も含めた、近くの親戚も遠くの友人も含めた 一元化でございますので、誤解がないようにしていただきたいと思います。  星野部会長  大体時間もまいりましたので、この辺で本日の議論は打ちどめにさせていただきたい と思います。  松原委員  部会長、1つだけよろしいでしょうか。もう一つの資料のところでございますが、患 者さんの負担金額を国民1人当たりで割っている表が3ページに出ております。若人は 1人当たり80円しかふえない、お年寄りは540円する、これは患者さんにとってどれだけ ふえるのかを計算すべきであって、国民1人当たりがどれくらいふえるかというのは全 く不適切な資料だと思いますので、こういう資料は出すべきではないと思っておりま す。また、報道で誤解があるといけませんので、私共はすべての高齢者負担増に反対で ございます。  星野部会長  次回は、前回御議論いただきました平成18年度の診療報酬改定の基本方針について、 さらに御議論いただいた上で、本部会としての取りまとめを行いたいと思います。  また、医療制度改革につきましては、政府与党で年内に成案を得るというスケジュー ルとなっており、今月10日に設置された政府与党の医療改革協議会において、11月末な いし12月上旬にも基本的方向について取りまとめを行う予定と聞いております。その前 に、本部会としても意見の取りまとめを行いたいと思っておりますので、次回は事務局 より取りまとめの素案を提出いただき、御議論いただいた上で、できれば次回にも本部 会としての取りまとめを行いたいと思います。  次回の本部会の日程ですが、既に御案内のとおり、25日13時より、グランドアーク半 蔵門において開催いたします。  本日は御多忙の折お集まりいただきましてありがとうございました。                                    (終了) (照会先) 保険局総務課企画調査係 代表 03−5253−1111 内線 3218