05/11/16 運動指針小委員会第1回議事録                第1回運動指針小委員会                   日時:平成17年11月16日(水)10:00〜12:00                   場所:虎ノ門パストラル新館1階 鳳凰西  中野補佐  それでは定刻となりました。出席予定で、まだお見えにならない方も3名いらっしゃ いますが。時間のこともございますので、早速ではございますけれども、第1回の運動 指針小委員会を開催させていただきたいと思います。  まず最初に本日の配布資料の確認をさせていただきます。上から順番でございますけ れども、議事次第がホチキスどめで配布させていただいております。資料1−1、今後 の生活習慣病の対策の推進について、資料1−2、医療制度構造改革の試案ということ です。資料2は運動所要量・運動指針の策定方針について、1枚紙で配布させていただ いております。あと参考資料ということで、少し分厚い資料を配布させていただいてお ります。  右の方に配布させていただいております資料でございますが、こちらは各委員から事 前に、配布をお願いしますということでいただきましたので、配布させていただきま す。1枚紙が能勢委員からの資料でございます。その後ろのパンフレットに関しまして は、健体財団の配布ということで、増田委員からいただいた資料でございます。落丁、 不足等ございましたら、事務局までお申しつけいただけますでしょうか。よろしいでし ょうか。  それでは開会に当たりまして、大臣官房参事官の中島よりごあいさつを申し上げま す。  中島参事官  おはようございます。官房参事官で、健康と医療保険を担当しております中島でござ います。よろしくお願いいたします。ちょっと長くごあいさつさせていただきたいの で、座らせていただきます。  昨今新聞等で医療制度構造改革の記事というのが、たくさん出ております。医療保険 制度、医療供給、それから生活習慣病対策のあり方をこう変えていくという形の話が出 ております。  マスコミ等々ではお年寄りの負担をどうするのかという議論とか、お医者さんに支払 わられる診療報酬をどうしていくのかという議論等々だけが、割とクローズアップされ ています。実は今度の医療制度構造改革の1つの大きな柱は、予防というところに軸足 を移そうということが、私どもが強調させていただいているところです。  実はこの点についてはそれほど意見は分かれないものですから、マスコミの方も、ま あそうだよねというところで進んでいるわけです。しかしこれを機会に、疾病予防とい うものに軸足を移したシステムをつくっていかなければならないと、こう思っていま す。  その際にキーワードが2つあると、私どもは思っています。1つが運動、もう1つが 保健指導ということです。すなわち普段の生活習慣の中で、とりわけ運動習慣をしっか り定着させていくということを柱に、施策の取り組み強化ができないか。  2つ目が健診をしっかりして、疾病予備軍、境界領域期の人を確実にとらえて、その 人たちに安全で効果的な運動指導、栄養指導、それから禁煙指導を確実にやっていく仕 組みというのをどう作るかということでございます。そういう観点から私どもの方で、 9月15日に資料1−1ということで、厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会で取 りまとめをいただいたというところでございます。ここに書いてございますような目次 立てで、そして3ページ以下が、とりわけ運動のところに力点を置いて記述されている ところを抜粋したということになってございます。  それから資料1−2というところでは先月10月19日に私どもの試案として、広く御議 論のたたき台にしていただきたいということで提示したもので、生活習慣病の部分と保 健事業のところを書いてございます。とりわけその2ページ目の一番下でございます が、今後はいわゆるメタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導は、医療保険 者の責任でやっていただくということを、1つの方向性として示させていただいたわけ でございます。  それでしっかりした運動習慣を国民の間に根づかせるということと、それから疾病予 備軍の人に対して確実に運動指導、栄養指導をしていくということでございます。その 際に重要なのは当然のことながら、きちんとしたエビデンスに基づくプログラムがある こと。もう1つがそれをきちんと担える専門性のあるマンパワーを育成することだと思 っています。  専門性のあるマンパワーの育成については、きょう増田常務がお見えでありますが、 健康・体力づくり事業財団の方で、健康運動指導士という資格をこれまで運用してきて おります。そのあり方についてきちんと見直そうということで、田畑先生に座長になっ ていただいて、検討会をやらせていただいている。そこではこれまでの養成講習会を中 心とした養成形態から、体育系大学の中でそうしたカリキュラムをしっかり教えていた だくということを中心にして、さらには講習会を受けて試験を受けるというやり方も当 然残し、いろいろな多様な形態で、健康運動指導士といったものの資格を取っていただ こうかなと。  そして一方でそうした専門家というのをフィットネスクラブその他運動の現場で定着 させていただくような試みも、当然必要かなということで、現在検討していただいてい るわけでございます。  一方でその前なのか後なのかですが、いわゆるエビデンスに基づいたプログラムとい うことで、実はこの検討会でお願いをしているということでございます。まずは運動所 要量について、先行して御検討いただいて、その方向性が出た段階で、それに基づいて 運動指針というものに結実をさせていく。いわゆるエクササイズガイドとでも呼べるよ うなものなのかなと思っております。  資料1−1のところでございますが、3枚目の(1)の真ん中ほどのところでございま すけれども、平成5年に策定された運動指針を見直し、単に歩数を増やすというだけで なく、ライフスタイルに応じ、運動不足の解消を目指した具体的な実践方法等をわかり やすく示したエクササイズガイドを策定し、産業界や運動関連団体を通じ、普及活用を 進めることが必要だという形で、書かせていただいているわけでございます。  そしてこうしたエクササイズガイドというのは、ポピュレーションアプローチだけで なく、次のページでございますが、いわゆるハイリスクアプローチにおいても真ん中ほ どに書かせていただいておりますが、積極的に活用していくべきだという形で、私ども の審議会の方でも取りまとめをいただいているところでございます。  この場ではそういう形で、ぜひとも「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にク スリ」ということでやらせていただいているわけです。この際運動施策に力を入れて、 国民の間に運動習慣を定着させていくということが大変重要かと思っております。そう いう意味でのプログラムづくりというものに、ぜひお知恵をお貸しいただいて、私ども の施策の極めて重要なツールとして活用させていただければと思っておりますので、な にとぞよろしくお願いいたします。  中野補佐  続きまして本小委員会の委員を御紹介させていただきます。記事次第2ページ目に、 委員の名簿がございますので、そちらを御参照いただきながら、よろしくお願いいたし ます。  まず座長をお願いしております太田委員でございます。  太田座長  よろしくお願いします。  中野補佐  そして続きまして、鏡森委員でございます。  鏡森委員  鏡森です。よろしくお願いいたします。  中野補佐  久野委員でございます。  久野委員  久野でございます。よろしくお願いします。  中野補佐  斉藤委員でございます。  斎藤委員  斎藤です。よろしくお願いします。  中野補佐  坂本委員でございます。  坂本委員  よろしくお願いします。  中野補佐  下光委員でございます。  下光委員  下光でございます。  中野補佐  鈴木茂樹委員でございます。  鈴木(茂)委員  鈴木です。よろしくお願いします。  中野補佐  鈴木志保子委員でございます。  鈴木(志)  よろしくお願いします。  中野補佐  相馬委員でございます。  相馬委員  相馬でございます。よろしくお願いします。  中野補佐  竹中委員でございます。  竹中委員  竹中でございます。よろしくお願いします。  中野補佐  田中宏暁委員でございます。  田中委員  田中でございます。どうぞよろしくお願いします。  中野補佐  田畑委員でございます。  田端委員  田畑でございます。  中野補佐  津下委員でございます。  津下委員  津下です、よろしくお願いします。  中野補佐  戸山委員でございます。  戸山委員  戸山です。よろしくお願いします。  中野補佐  能勢委員でございます。  能勢委員  能勢です、よろしくお願いします。  中野補佐  信藤委員でございます。  信藤委員  よろしくお願いします。  中野補佐  増田委員でございます。  増田委員  増田です。  中野補佐  宮崎委員でございます。  宮崎委員  よろしくお願いします。  中野補佐  吉池委員でございます。  吉池委員  吉池です、どうぞよろしくお願いします。  中野補佐  以上でございますが、本小委員会の座長をお願いしております太田委員に、以後の議 事運営をお願いしたいと思います。太田座長よろしくお願いいたします。  太田座長  国立長寿医療センターの太田と申します。運動指針の前の場合にもメンバーとして入 った経緯があったのか、こういう役割をやらせていただきます。よろしくお願いしま す。  それでは議事を進めていきたいと思います。運動指針の策定方針につきまして、事務 局より、御説明をお願い申し上げます。  中野補佐  それでは早速でございますが、座って御説明をさせていただきたいと思います。お手 元に配布の資料2でございますけれども、先日8月8日に開催いたしました運動所要量 ・運動指針の策定検討会の第1回で配布させていただいた資料でございます。そちらに 御参画の委員の先生方におかれましては、2度目にはなりますけれども、本日初めてこ の資料を見られる方もいらっしゃいますので、念のため全体を御説明させていただきた いと思います。  まず運動所要量・運動指針の策定方針ということで、総論といたしましては、運動所 要量・運動指針というのを生活習慣病の発症予防を含めた健康の維持増進のために必要 な身体活動量、運動量及び体力、そして並びにそれらを踏まえた具体的な身体活動、運 動の実践方法を提示していくような方針を、ここで提示をさせていただいております。  その対象者といたしましては、健康な方、そして診査において軽度の異常、例えば血 圧が高いであるとか血糖値が高いであるとか、高脂血症の方が高いとか、そういった異 常が少しあるという方々に対して、生活習慣の改善の必要性が指摘されている人たち。 そういった人たちを所要量と指針の対象としていきたいというふうに考えております。  そういった全体の総論の話を踏まえまして、今回運動所要量のワーキンググループと いうものを、後ほど議題2で田畑委員より、進捗状況についてお話いただけることとな っておりますけれども、運動所要量については、方向性としましては、運動所要量の策 定目的ということで、身体活動、運動を指導する人たち、そういった方々に向けて、生 活習慣病の発症予防を含めた健康の維持増進のために必要な国民各人の身体活動量、運 動量との体力の目安を示すということと。  あとその策定においては、できるだけ最新の科学的根拠に基づいて策定をしていただ きたいというようなことを方針として掲げまして、現在ワーキンググループで作業中で ございます。  そして2番目としまして、この小委員会にお願いしたいということで、ここに書いて おりますけれども、運動指針についてということで、策定目的というのが、国民各人が 身体活動、運動の現状、目標、そういったものを知った上で、生活習慣病の発症予防を 含めた健康の維持増進に向けた身体活動運動についての理解を深め、そしてそれを実現 するための具体的な身体活動運動の手法を提示するということ。そしてその策定に当た っては、国民各人が容易に理解し、活用しやすいものにしていただきたいということ。 そしてさらにそういった指針の策定の内容をもとに専門家、あるいは関係者によって普 及啓発及び活用の方策、そういったこともぜひあわせてこの場で御検討いただきたいと 考えています。簡単ではございますが、以上でございます。  太田座長  ありがとうございました。全体のフレームがちょっと見づらいのかもしれないもので すから、ちょっとだけ補足させていただきます。  この参考資料という分厚い資料がございます。この第1回運動所要量、運動指針の策 定検討会というのが、まず親委員会でございます。そのメンバーが3ページに載ってお ります。ここが親委員会で、この所要量の問題と運動指針の問題を、一番中枢的に考え ていく委員会です。その委員長は、中ほどの下にある冨永祐民先生、愛知県健康づくり 振興事業団の健康科学総合センター長がされております。  この親委員会の下に小委員会が2つあって、所要量に関するコミティと運動指針のコ ミティがあるということで、中野先生、よろしゅうございますか、という位置づけでご ざいます。それで多分今中野先生の言われたお話が、大分見えてきたのではないかと思 います。  それで今度は所要量の話につきまして、現在の進捗状況等について、所要量のワーキ ンググループの座長の田畑先生からお願いします。  田畑委員  報告させていただきます。8月8日に、運動所要量・運動指針の策定検討会がつくら れまして、その下に運動所要量の検討ワーキンググループが設置されることが決まりま した。それから現在まで3回の会議を行ってきました。その中にはきょうも御出席の下 光委員、相馬委員、久野委員、田中委員、吉池委員と私と太田先生ですけれども、それ でやってきましたところ、一応の方向性としては、そういうことになっております。  やったことは内外の文献を精査しまして、これはシステマティック・レビューといい ますけれども、この数については8,134本の生活習慣病と身体活動、運動量、体力との 関係についての論文を読みまして、それから身体活動量、運動量、体力についての基準 値を提案しようと思っております。  まずは健康づくりのための身体活動の基準値ですけれども、運動量としては4メッツ 時/分、例えば速歩では60分、ジョギングやテニスでは35分、また身体活動としては23 メッツ時/分、強度が3メッツ以上の活動では1日当たり60分、歩行中心の活動であれ ば1日当たりおよそ8,000から1万歩というふうな基準を定めるという予定でございま す。  さらに体力としましては、全身持久性の指標であります最大酸素使用量につきまし て、基準値として、性、年齢別に基準値を定めております。さらに筋力についても定性 的な内容ですけれども、基準を示す方向性であります。  これが今行っております運動所要量のワーキンググループの進捗状況です。  なお、これもどうなるかわかりませんけれど、名称につきましても、できれば栄養の 方との整合性をつけまして、健康づくりのための運動基準、身体活動運動体力2005年と いうふうな形にできればなと思っております。以上です  太田座長  ありがとうございました。大体全体のフレームとか進捗状況がある程度見えてきたと 思います。きょうはできましたら、各先生方に、例えば3分ぐらいずつお話をいただい て、いろんな意見をまず伺うというようにしてみようと思っています。ブレインストー ミングに近い話、あるいはどういうお考えが皆さん方にあるのかということをお聞きし ようかと思います。そういう方向でよろしゅうございますか。  順番は名簿の順に行こうと思っていますけれども、いきなり鏡森先生に行くと、かわ いそうというか申しわけないので、僕の方からぱくっとした話だけを申し上げます。  私も同じように、one of themで考えてきたのですが。先ほど中島参事官が言われま したように、やはり安全性、有効性とか、それから普及という問題。裏がとれているか どうかというようなことを考えながら、この指針をつくっていくんだろうと思っていま す。そのときに裏というのは、運動所要量そのものにかなり大きくつながっているので はないかというふうに思っております。  それからちょっと切り口が違うかもしれませんが、目的といいますか、あるいはどう いう人に行うのかというのも、先ほど中野先生からお話がありましたが、そういう方向 性も含めて御意見がいただければと思っております。  それから運動身体活動というネーミング自体も、スポーツとか運動とか身体活動とか 生活動とかいろんなネーミングがございます。そういう中で、御意見がいただければと いうふうに思っています。  先ほども中野先生のお話の最後にありましたが、この普及啓発というところが、一番 重要であります。それはもう皆さん、現場の方々は本当によくおわかりだと思います。 そこのところにまた何らかの工夫ができたらなというふうに思っています。  これが本当に、何というでしょうか、今私の考えている、何となくぱくっとしたフレ ームと希望みたいなところがあるのですが、各先生方にまた御意見を伺いたいと思って います。  それでは鏡森先生、よろしくお願いします。  鏡森委員  どうもありがとうございました。心の準備ができましたので、大変太田先生に感謝し ます。  私は恐らく呼ばれた理由というのは、別に聞いているのです。これまでの運動指針 は、メタボリックシンドロームと運動、それから今ずっとお話がありましたことに関し て、ほとんど網羅されているので大変よくできていると思っています。  私は現在保養医学というキーワードで、実は健康福祉増進という仕事をしています。 それをしている中で、運動の役割というのも非常に大きいです。この面からもメンタル ヘルスの面が、今日的な課題として、もう少しどこかで入れ込んでいくべきではないか ということです。かつて小児成人病というのを厚労省の研究班でやってきましたけれど も、外国の文献を見ますと、成長期に運動することが、青年期、壮年期の情緒的安定と いいますか、そういうものに役に立っているということがありますので、特にそれを考 えます。  最近そういう意味ではエビデンスということで、きょう資料と文献を持ってきました が、私どもは3つの視点で、紹介したいと思います。1つは、子供です。子供が運動習 慣を持っていると、簡単にいいますと、運動量が少ないと、情緒的な安定性が減るとい う話と、睡眠の質が減るという話です。これは前向き調査で我々は富山スタディという ふうにいっていまして、もう15年間追っかけていますけれど、1万人の調査から言える ので、ぜひこういう子供のメンタルヘルスの面を言っていく必要があるのではないかと いうこと。  それから健康日本21では何といっても、私が思うところ、真ん中にあるのはメンタ ル、自殺の問題だろうと思っています。そういうところに周りから穏やかなメンタルヘ ルスのサポートができるのが運動だろうということです。私どもは富山県の公務員の調 査をずっとやっております。それによれば身体活動が低いほど、睡眠の質が低い、それ から7日以上の病気の欠勤が増えるという、こういう有病率のことも出ています。  それから大人に関しては、温泉絡みで仕事をしています、保養医学という関係上で す。  温泉をよく利用している人たちが3年間のフォローで、死亡が少ないとか、脳卒中の 発生が減るという結果が出ております。私が言いたかったのは、運動というのはメタボ リックシンドロームにも大切ですが、もう1つはメンタルあるいは、生活の質という点 でもぜひアプローチしていただきたいということです。以上です。  太田座長  どうもありがとうございました。メンタルへルスの話は、やはり大事な問題だと思い ます。それでは続きまして、久野譜也先生、よろしくお願いします。  久野委員  筑波大学の久野でございます。よろしくお願いします。私は、運動スポーツ医学が専 門ですが、ずっとここ10年近く、特に高齢者の健康づくりを中心に、地域といろいろや ってきた中で感じていることを少し申し上げます。  私自身、我々のグループの結論は、明らかに個別的なプログラム、国民がどこでも受 けられるようにすべきである、非常に個別性が必要であると。  それからもう1つは、当たり前のことですが、継続です。継続がポイントである。そ のやり方を今回の指針でどのように示すことができるのかが、非常に成功のポイントに なるのではないか。さらに個別性ということにかかわるのですが、多くの国民が、逆に 言うと参加したときに、本当に個別プログラムが受けられるのだろうかと。私もいろん なところで講演をさせていただくと、じゃ先生が言うそういう個別プログラムを私はど こで受けられるのですかということをよく聞かれるわけです。  そういう面では、国としてこういうことを出していくときに、そういう方向性だけを 示されて、じゃどこで受けたらいいのというときに、どこか新幹線に乗って行かないと 受けられませんよという話では話にならないわけです。その辺のことも、やはりリンク しながら考えていくべきではないかというふうに思います。  さらにキーワード的にはよい指導者がいることが、非常に我々の研究グループの、こ れも当たり前だと思うのですが、継続のポイントになります。今我々は全国の20以上の 市町村と一緒に組んでやっていますが、約1年半の継続率を見てみると80%から90%の 方が継続できている。その要因がやはり非常によい指導者と、先ほどの個別性プログラ ムということですので、そのあたりを具体的にぜひ落とせるといいなと思っています。  それからもう1つの視点が地域ということを今中心にお話しましたが、今回メタボリ ックシンドロームということを考えますと、いわゆる職域という考え方も非常に重要で す。地域と職域というふうな考え方は必要だろう。  それから前回太田先生がかかわられたのを、よく読ませていただいたのですが、非常 によくできているのですが、今回作業としては大変になるのですが、多分指導者向けと 国民向けとを分けた方がいいのではないだろうかということを個人的には思っていま す。多分示していく内容が違ってくるので、そのあたりのそういう視点があってもいい のかなというふうに思います。  最後にもう1点は、先ほどの個別性とかそういうことが、実際に動く仕組みを世の中 に示していくということで、ある面産業とのリンク、産業の活性化という視点が多分必 要になってくるということを思います。そういう点では、ここに産業界にはヒントがあ るんだというメッセージが、結果的には出てくるといいのではないかということは、個 人的には感じています。以上です。  太田座長  ありがとうございました。今指導者という指導体制といいますか、そういうところに 力点を置いていただきました。  それでは斉藤先生、よろしくお願いします。  斉藤委員  この委員会に当たって、健康づくりのための運動指針は、平成5年に出ています。そ れをちょっと読みなおしてみたのですが、確かにこれを読むと、だれも文句のつけよう がない、そうだよねという感じなんです。ですから私の立場から言うと、ここに、歩く こととあと楽しいスポーツと書いてあるのですが。その真ん中あたりにフィットネスク ラブ等の運動施設とか、地方自治体の運動施設で、持続できるようにトレーナーの助け を借りながら運動するくらいのことを付け加えれば、別にいいとは思うのですが。  それだけだと多分また10年ぐらいたってみると、実行できなかったねということにな ると思うんです。なぜこの委員会を今開催しないといけないのかという目的を、もう1 回考えた方がいいだろうということが、1つです。  あと総花的にすると結果的にインパクトがなくて、目的を達成できなかったというこ とになるのではないか、今こういう委員会を開かないといけない、1つの目的を考える に当たって、別にいいじゃないかという考え方もあるかもしれないです。というのは健 康寿命も世界一だと、OECD参加国の中でGDPに対する医療費も、比率においてア メリカの半分というくらいです。別にいいのではないかという考え方もあるかもしれな い。  ただこういうことをやらないといけないというのは、結果的に医療保険制度が破綻し て、それが国から出すという、税金を出すということになると、国家財政も破綻すると いうようなことで、これはもうやむを得ず、世界との比較ではなく、絶対的な数字とい うか財政の問題もあるからこそ、こういうことを世界で1位なのに、さらにそれを思う と進めようというようなことだと思うんです。  そうすると絶対に結果を出さないといけないということになると、民間でもそうなん ですけど、いろんな対策はある。だけどこの対策をとれば、目的の3割は達成する。2 番目の対策をとると、2割達成する、というようなことで、20も30もあるけれども、こ の3つに重点を置くと、7割ぐらいは、あるいは5割くらいは解決するというようなや り方をよくとるわけです。そういうような手法も取り入れたらどうだろうか。  確かに委員が多くなって、自分のところに関係することになりだすと、結果的に総花 的な答申案になってしまってだれも文句はつけられないけれども、目的、またその効果 というのが難しいということになるのではないか。  ですからポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチに分けて、ポピュレー ションアプローチにとって一番効果のあることは、何かということをまず真剣に考え る。それとハイリスクアプローチについては、仕組みづくりをしてそれを重点的なこと を義務にして、今保険者に義務を負わせるというお話が参事官からあったので、まさに そのようなやり方で、これは罰則も含めて断固としてやっていく。  ポピュレーションアプローチについては、やはり日本は、一番だれの言うことに反応 するかというと総理大臣でしょうから、総理大臣がアメリカの大統領がやったように、 運動しないと病気になるんだと、害になるんだというようなことを、あそこのぶら下が り取材のときに、1カ月に1回ぐらい必ず言うくらいのことを、厚生労働大臣からきっ ちりと首相に言ってもらう。次の首相選びのときには、自分の運動履歴ぐらいは、選挙 の争点にしてほしい。それと大体厚生労働大臣が運動しているのかどうか知りませんけ れど、そういう人を選ばないと、運動していなければ。今度の厚生労働大臣が、どう言 うか知りませんので、少なくともジョギング姿とか歩いている姿ぐらいは、テレビに見 せてほしい。ポピュレーションアプローチで、いろんなこと言うと、時間がなくなる。  ハイリスクアプローチについては、生活習慣病予備軍の人たちを運動増進施設、この 呼び方も変えた方がいいと思うんですけれど、運動増進施設、公営であり民営であり、 そういうところできちんと行っていくやり方を、医師あるいは運動の専門家、いろんな 専門家と対策づくりをする。その方法というのは、今さら研究しないといけないほど難 しいことではないと思うんです。どうやったら実行できるかだと思うんです。罰則づく りをしながら、それを実行させる。  その一環として、インセンティブとディスインセンティブづくりを、もっと広範囲に 制度化することが大事だろう。  あともう1つ言うと、運動習慣者が徐々に増えているのが、高齢者と言われているん です。それはデータにも出ていた。一番ひどいのが子供ではないかと思うんです。家庭 に閉じこもって遊ぶようなことが、今非常に心配されているわけです。学校でもあまり 運動していないのではないか。私の子供が大きくなったので、ちょっとわからないんで すけれども、その辺を文部科学省と連携をとりながら、運動を子供のうちに習慣づけ る。  それをやらない限り、今の中高年以上の人は、食い逃げ世代と言われています。年金 でも、何でも何とか生き延びられる仕組みになっていると、僕は思うんです。その後で 支払う側の人が自分の健康も蝕まれているという状況を正す必要があるのではないかと 思います。以上です。  太田座長  ありがとうございました。なぜ今こういうことをやっていかなければならないのかと いうお話は、確かにちょうど、別の委員会でもそうなんですが、この前の親委員会でも 少しありました。メタボリックシンドロームを含め、特に糖尿病等の急増が1つあるこ ととか。あるいは参考資料という一番分厚い資料がございますけれども、この61ページ を開いていただきますと、国民栄養調査の年齢階級別の歩数の調査が出ています。確か 運動指針というのは、平成5年に最初の指針が出ています。その後9年に出ていますけ れども、その後全体的に歩数が停滞している傾向があります。そういう意味でも、所要 量というのは確か元年に出たと思いますが、元年の所要量、5年の指針、9年の指針と 少しずつ歩数で見る限りの身体活動量は増えてきている傾向で、最近ちょっと停滞気味 であるというのは、私自身も感じています。  そういう意味でも、先ほど1に運動という話から始まりましたが、運動にやはり着目 するべきタイミングではないかというふうに、私自身は思っています。また後でありま したらと思っています。  どうもありがとうございました。では続きまして坂本先生、よろしくお願いします。  坂本委員  まず遅れてきたことをおわびいたします。現在早稲田大学スポーツ科学学術院におり ますけれども、3年前までは、順天堂大学浦安病院におりました。そこで健康スポーツ 診療科を開設して、いわゆる生活習慣病の患者さんを診ておりました。健康スポーツ診 療科といっても、当然病院ですので、薬を使う患者さんもそれなりにおります。  そこで経験したことですが、薬を使っていても、基礎に運動、食事の方がきちんとで きていないと薬の効果がはっきり出てこないということを常々感じていました。その点 が今まで自分がやってきたことの現時点でのまとめみたいなものなんですけれども、ど うしても運動、食事というものが必要になってくる。  現在大きな問題になっていることは、運動の重要性は大分理解されてきたけれども、 それを長く継続していくことが非常に難しい。それにはやはり運動を指導する側が、ど ういう時期にある人なのかによって、運動処方の内容も変えていく必要があるのではな いかと思っています。  これから運動を始めようという人には、どんなに細切れであっても、例えば1日30分 程度運動してもらえばよいかと思います。そういう方にはとにかく運動をやってもらっ て、楽しいとか気持ちいいということを経験してもらう。それが継続につながると思い ます。  ただし、先ほど歩数のことが出ましたけれども、1日の歩数は同じ8,000歩、1万歩 歩いていても、その継続した時間によって効果が異なってくるのでは、と推測していま す。最近はライフコーダーのようなものを使うと、どれくらい持続している時間がある のかということがある程度わかります。その結果を見ますと、やはり細切れで本当に効 果があるのか、継続した時間がある程度必要なのではと自分としては感じています。で すから運動をただやるだけではなく、運動の内容、どういう時期の人なのかというこ と、あるいはどのようにやればより効果があるのかといった点を多くの人に理解しても らっていくことが重要なのではと感じております。  最後ですが指導者に対する指導という話がありましたけれども、今非常に重要なこと は、実際に患者さん、あるいは病気の予防のために運動しようと思っている人に対し て、医師、ドクターがどれぐらい理解しているかということです。ドクターの方は自分 も含めてかもしれませんけれども、あまり運動、スポーツのことをきちんと理解してい る人はいません。単に昔だったら、運動をやった方がよいのではと話すことで、ドクタ ー、医師の話は終わっていたと思います。しかし、それではやはりよくないと思いま す。医師に対する教育というんでしょうか、そういうことが必要なのではという気がし ます。  最後の最後になります。今からいう点は文科省との絡みがあると思うので、この厚生 労働省の委員会で言うべきではないのかもしれません。ぜひ大学においても保健体育を 必修にして、運動の必要性、スポーツの必要性を最後の砦的な意味合いで、大学で必修 科目として入れるということを厚生労働省の方から文科省に要請する。そのようなこと もやってよいのではと感じております。以上です。  太田座長  ありがとうございました。本当にいろんなことを考えていただいて、御発言ありがと うございました。医者の問題は、僕も医者なので、先生もそうですけれど、ちょっと身 につまされるところがあります。  ちょっとずれますが、日本医師会に健康スポーツ医というのがありまして、今1万 5,000人か2万人ぐらい資格を取っています。それがどうかちょっとわかりませんけれ ども、確かに医者、医療関係者全体がもう少しさっきの検診も含めて、そういうところ の人たちが保健指導も含めて十分理解をしていくということが、必要なんだろうと思っ ています。ありがとうございました。  では次に下光先生、よろしくお願いします。  下光委員  下光でございます。お時間がないので一言だけということで、話をしたいと思いま す。先ほど久野先生も言われたように、指針は専門家あるいは指導者向け、それから国 民向け、この2つで出していかないと、やはり明確なアピールにならないのかなという ふうに思います。  それからやはり指針を出すに当たっては簡単明瞭な、そして明確なメッセージとし て、わかりやすいもので出していかないと、広がっていかないだろうというふうに思い ます。  そういう意味ではアメリカで、ACSNとCDCが出した1995年のガイドラインは、 ちょっと読んでみますと、すべての米国民は1週間ほぼ毎日合計30分以上の中等度以上 の身体活動を行うべきである。この一言でガイドラインをまとめています。これがかな り広がっていって、研究でも、あるいは一般の保健指導でも、これが用いられていると いうところがあります。  これと同じである必要はないと思うのですけれども、やはり本当に、その一言でわか るような明確なメッセージを指針として出していくということが、大事ではないかと思 います。  それに当たっては、やはり指針を国民があるいは指導者がやっていくに当たっては、 運動というのは1つの行動ですから、坂本先生も言われたように、やはり行動変容とい うものが今までの研究成果ですか、竹中先生もいらっしゃいますけれども、そういうも のも駆使して、指針の中に入れていかれたらいいのではないかというふうに思います。 以上です。  太田座長  ありがとうございました。外国の事例も御紹介いただきました。行動変容というのは 最初に僕も申し上げましたけれども、何となく運動をしない人の中に、確かに指導士会 の人と僕が前にやったときに、しない理由というのは、何となくという人が圧倒的に多 く、あるいは時間がないというのがその次ぐらいでした。そういう人たちにどういうふ うに、先生が言われたように、やっていただけるようなインパクトを与えるかというと ころが難しいし。その受け皿の話も出てくるだろうと思います。ありがとうございまし た。  今度健康運動指導士会になるのですが、鈴木先生、よろしくお願いします。  鈴木委員  鈴木と申します。先ほど中島参事官からも、健康運動指導士という固有名詞も出して いただきまして、私はその健康運動指導士会を代表した形で、参加させていただいてお ります。  この健康運動指導士という資格、あるいは健康運動実践指導者という資格の2種類が ございます。17年になります。当時厚生省の方からスタートしまして、現在に至ってお ります。現在資格を持っている方、健康運動指導士が約1万人強。実践指導者が2万人 強、合計3万人強の有資格者がいるということです。これからの運動を担っていけるよ うな資格所有者が、今3万人強、いるということになっています。これは毎年毎年養成 されておりますので、増えていく。あるいは先ほど中島参事官の話にもあったように、 大学の方でそういう資格が取れるようになっていくと、さらに指導者という面では、少 なくともマンパワーの方は、これからどんどん養成されていくのではないかというふう に期待しております。  我々は、この健康運動指導士の方も医療関係、あるいは保健関係、あるいは栄養の関 係、それから現場で運動実践指導している運動関係、こういう方が資格者の中には含ま れています。それぞれの場所で、自分たちの指導力を発揮して、現在指導していただい ていると思います。  実際に私はちょっと民間の方にもおりますので、何年かずっとここを見てみますと、 先ほどの太田先生の話にもありましたように、大分高齢者の方の参加が増えてきていま す、やはり健康を運動でつくっていくんだという意識が、大分高まってきていると思い ます。  確かに民間のあるいは行政がやっている施設に通っていただいている方は、実感とし てその辺が身についてきているのではないかと思います。ただ逆に家庭に引きこもって いる、あるいは施設に来ていただいていない方をいかにして運動させるかというような ところが、これから大きなテーマになっていくのではないかと思います。  いろんなことで、先ほど久野先生からもお話がありましたように、民間の企業の中で 健保組合と協調して、その従業員に対するいろいろな、以前はトリム運動とかいろいろ そういうような固有名詞もあったかと思いますが、企業としてそういうことをやってい くという運動をしていくというケースも大分増えてきております。  それから健康運動指導士の方に、行政の方から、例えば地域にあるコミュニティセン ターを使って、こういう人が30人とか40人集まるので、そこでいろんな健康の話、栄養 の話だとか、運動指導をしてほしいという要請もございます。そういうことで地道な活 動で、大分そういう意味ではできているのですが、せっかくこの小委員会で、これから 指針を出していくとき、先ほど下光委員の方からも報告があったとおり、一般の人に対 する指針とそれからそこを指導していく人に対する指針という、2つの明確なものを出 して、一般の人に対しては、何か、これはちょっとフラッシュアイディアなのですが、 税額に保険料控除があるように、何かそういうような運動施設なりに通うときはその控 除で少しインセンティブをつけるとか。あるいは指導者に対しては、どんな形がいい か、今は考えはないのですが、指導者に対するインセンティブとか。こういうことで指 導者とそれから運動指導を受ける一般の人と、両者がこぞって参加できるような形がで きればというふうに考えております。以上です。  太田座長  どうもありがとうございました。指導士会は、本当に今までいろんな仕事をしてみえ ると思いますので、またよろしくお願いします。  では続きまして、鈴木先生、栄養の方からよろしくお願いいたします。  鈴木(志)委員  鈴木志保子です。よろしくお願いします。日本栄養士会の代表として出てきておりま す。今までお話を伺っていて、今回のターゲットである健康と、あと境界型で少し健康 になるか病気になるかという境の方と、あと学校教育の現場など子供たちの育成という ところでも、全部かかわりのある職種が管理栄養士です。この指針の啓蒙とか普及とか 活用に関しては、とても大きな力を発揮しなければいけないであろうと考えるところで す。  私自身はスポーツ栄養学が専門なので、とても身近なんですけれど、身近に感じられ ない管理栄養士もおります。カリキュラムとしては、運動生理学とかそういうものはや っているんですけれども、例えば体育大学では、最大酸素摂取量の測定を見たことがな いという学生は、多分いないであろうと考えられますが、管理栄養士の養成課程では、 最大酸素摂取量という言葉は知っているけれども、どういうことが本当の最大酸素摂取 量というものなのかという理解がないので、それを100としたとき、さて50とか60とか 70とか80というふうに決めていても、頭では理解していても、本当に体でとか目で感じ るということに関しては、とても疎いので、そこの部分を今後カリキュラムとして、何 らか変えていかないといけないのかなと。エビデンスを読み砕くというところから、ま ずは教育の方針からやっていかなくてはならないのかなという課題を感じています。  食事摂取基準というのが出ておりますので、その際の活用として個人あるいは小集団 にあっても、この指針を活用できたらなというのが、目標として掲げられています。あ と栄養ケアマネジメントという言葉がありますが、その中でアセスメントとかモニタリ ングといって、評価をすることの機会があります。栄養指導の現場では、この評価とい うのをとても大切にするということが最近言われてきています。この運動指針から栄養 のアセスメントの中に、運動指針から得られる評価法というものを何らか取り入れて、 その評価というのも同時にやってしまうことによって、啓蒙、啓発、あるいは成果の確 認というところまで、栄養の方でできるのではないかと考えております  栄養士会としてそこをどのように普及して、管理栄養士たちに理解してもらうかとい うのを今後考えていきたいと、考えます。以上です。  太田座長  ありがとうございました。運動と栄養というのは、本当に切っても切れない関係で す。それは私も前に、栄養研にいたころ、いろいろ処置を教えてもらっていましたけれ ども、本当にありがとうございました。  では続きまして、相馬先生よろしくお願いします。  相馬委員  私はNPO法人JWSという、女性スポーツを支援する組織に属しています。きょう はそういう立場もさることながら、長く広告会社に勤めておりましてそういう視点、そ れから16年間スポーツクラブに通っているという、そういう非常に一般的な国民の視点 から、意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。  こういうガイドラインができますと、運動というものは必ずするものだというふうな 視点が考えられると思いますけれども、まず一般論から言って、運動はするものだと か、するべきものだという視点で論じるというのが、まず一番危険ではないかというふ うに思っています。  例えば勉強が好きか嫌いかと言われたら、大半の人たちは嫌いだというふうに言うと 思うんです。スポーツはそこまで嫌いだと言うとは思えませんけれども、やはりそうい うネガティブなところから発想していかないといけないのではないか。ですから一般論 としての発想の転換をしていく必要が、まずあるのではないかということです。  そうはいいながら、多くの国民は健康あるいは生活習慣病に対する意識だとか理解 は、必要性は十分理解していると思います。私は64歳なんですけれども、リタイアし た、60歳を過ぎた人たちの健康、生活習慣病に対する意識、それから行動というのは相 当なものがあります。恐らく60%以上の人たちが、もちろんこれは長生きだとかそうい うことを目指しての意識だと思うのですが、実際には一番理解していただかないといけ ないのは、働き盛りの30〜40代のコアの人たちだというふうに思っています。  そういう運動を正しくしている人たちに対しての正しい運動指針は、非常に重要なこ とだと思うんですけれども、その指針が最終ゴールではなく、あくまでも国民が目標に 向かってアクションを起こすというところが、最終ゴールだというふうに、私は考えて おります。  ではそのために何をなすべきかという問題ですが、1つは、ここで言うところの運動 指針の啓発と、それからそれの活用だと思います。私は広告会社に勤めていた関係で1 つだけいいますと、コミュニケーション戦略の設定ではないかというふうに思っていま す。その戦略に向けて何が必要かといいますと、1つはターゲット論だと思います。タ ーゲットといわれると、それは国民全般ではないかとおっしゃる方もいると思うんです けれども、もちろん国民全般なのですが、そうではない。実際に運動をしない、コアの ターゲットが最重要ではないかと思っています。  では一般国民には、どうすべきかというと、これは先ほど小泉首相の話がございまし たけれども、やはりコミュニケーション戦略の最たるもの、マスメディアを駆使してや っていく必要があるのではないかと思います。先般の選挙でもやはり一番わかりやすか ったというのは、やはり官から民へというような言葉ではないかと思います。そういう ふうな非常にわかりやすいキャッチフレーズ、ワンワード、あるいはワンビジュアルを 提示することで、国民に一番わかりやすい方法になっていくのではないかと思います。  もちろん国民に対して、先ほど中島参事官が最初におっしゃいましたエクササイズガ イドみたいな正しいものも必要だと思うのですが、それはそれとして、やはり非常にブ レークダウンしたレベルでも、具体的なアクションを起こさせるための動機づけを用い る必要があるのではないかと思います。  例えば野菜嫌いの人が、サラダとかあるいは煮物を見せられてもなかなか食べられな いですけれども、何かにまぎれて入っていると自然に食べてしまうというふうなイメー ジ戦略的な戦略が、ここでは必要になってくるのではないかと思います。  それからもう1つはコアのターゲットですけれども、コアのターゲットというのは、 先ほど申しましたように、実際の働き盛り、運動はしたいけれどもできないという人た ちに向けてどうするかという問題だと思います。これはやはりなかなかそういうコミュ ニケーション戦略では通用しないのではないか。やはり具体的に、行政がそこに対する アクションを起こす必要があるのではないかと思います。  例えば恐らくどこの企業でも、査定というのをなさっていると思います。当然ながら 査定の項目の中に健康というものを入れていくといったようなこと、これはやはり強力 な行政指導というものが必要になってくるのではないかと思います。  それと健保はいろんな施策をやっておりまして、何とかウォーキングとかいって1万 歩歩けば何か差し上げますみたいなインセンティブをつけてやっている企業はありま す。私が勤めていた会社もそうです。結構それなりに成果を上げています。ですからや はりただ歩けと言われてもなかなか歩けないので、そういう非常に具体的なアクション を伴った具体的な施策を、ぜひ考えていっていただきたいなと思っています。  それから例えばことしの夏、クールビズというのがはやりましたけれども、あれも実 は鳥越俊太郎さんなどが昔からやっていたファッションなんです。あれがクールビズと いう形になって、世の中に出ていって非常に成果を収めているわけです。例えば自転車 をこぐことも、これはやはり環境問題に絡めて、環境省と一緒になってやっていけば、 もちろんそれほど、どこまで行ったらいいかわかりませんけれども、そういうトータル な、国としての施策をしていただければ、今まで車に乗っていたところを自転車で行 く、あるいは歩いていくという、そういうふうな運動につながることにもなるのではな いかと思っています  それから最後になりますけれども、私は実は小学校にちょっと関係しています。多摩 市なんですけれども、多摩市の小学校で、昭和62年から生活習慣病の、小学生に対する 健診を行っています。昭和62年からずっと1けた台、もちろん子供の生活習慣病なん て、私は考えてもみなかったんですけれども、平成14年になりますと、多摩市で2%ぐ らいの子供が生活習慣病のチェックリストにチェックされています。  校長先生と話をして、その子たちに運動させればいいじゃないかというと、やはりな かなか強制的に運動させることはできないので、その辺のところは先ほど来言われてい ます文科省と一体になって、国としての施策をしていただければ、そういうこともある 程度解消できるのではないかと思っています。以上でございます。  太田座長  ありがとうございました。それでは竹中先生、よろしくお願いします。  竹中委員  早稲田大学の竹中です。皆さんは、医学、あるいは体育科学の御専門だと思うのです が、私は専門は健康心理学といいまして、人の行動をどうやって開始させ、そして継続 させ、必ずといっていいほど、逆戻り、やめてしまうことが起こりますので、それをい かに防止していくか、このような行動変容ということが、1つテーマとして研究の中に 入っています。  もう1つは、先ほど鏡森先生からもお話があったのですが、ストレスマネジメントで す。要するに子供から高齢者に至るまで、ストレスをいかに自己管理させていくかとい うことに興味を持ってやっています。これは今文部科学省の方の委嘱研究を受けていま して、子供のストレスマネジメントのために体を動かすこと。体を動かすことをいとわ ない子供を育てるという、そういうテーマで1つ介入研究なども行っています。  きょうは、この指針で私が求められているということは、きっと行動変容だと思うん です。いかに始めさせて継続させて、必ずと言っていいほど逆戻り、やめてしまうこと が起こりますので、それを予防していくというところです。もしこういう指針に私がか かわるとすれば、幾つかの切り口があると思います。1つは、セグメント化する。相手 をすべて同じように、一律に見ないで、幾つかのセグメントに分割していって、それを 相手に合った投げかけ、働きかけ、アプローチを行っていくということだと思います。  例えば1つ目のセグメント化といえば、目的別に、もう既に病気になっておられる方 の運動療法というものはどういうものなのか。それからハイリスクの人たちには、これ は個別的にやらないといけないと思うんですけれども、そういう人たちへの対応。それ から意識を全く持っていないような今は健康だけれども将来はわからないというような ヘルスプロモーション、そういう人たちに対してどういう働きかけを持っていったらい いのか。これがなかなか一番しぶとい層だと思います。こういうものをうまくセグメン ト化していく。  それから2つ目のセグメント化は実践内容です。今現在運動なんて全くやっていな い、逆上がりをするのも笑われて嫌だった、そういう人たちに対する働きかけと、既に 不定期に行っている人たちへの働きかけと、そしてもう既に行っている人たちはあまり 働きかける必要はないと思うんですけれども、こういう人たちに対する働きかけという のは、すべて変わってきて当たり前だと思います。それに対して向こうが反応してくる ことを考えれば、非常に効果的に働きかけを前もってやっていく必要があると思いま す。  それからほかにセグメント化として、先ほどから個別、個別と言われていますけれど も、必ずしも個別がすべて効率がいいかといったら、そうじゃないと思うんです。例え ば集団をいかにセグメント化して、サブグループに対して働きかけていき、そしてその 1人ずつについてまた簡単なコメントをしていくような層もあっていいし。全くハイリ スクの人たちに対しては、個別化を進めていくというような考え方があると思います。  それと先ほどから保健指導のところで、私たちが考える働きかけとすれば、最近、モ ーティベーショナル・インタビューイングといいまして、相手をいかに動機づけでいく のか。これはまさに今までやられていた臨床心理のカウンセリングとは違う方法で、相 手の行動を妨げているバリアなどをうまく解決してあげながら、相手の動機づけを高め ていくというような、そういう方法も考えていかないといけないと思います。  最後に幾つかまだ申し上げたいことがあります。例えば入り口、募集に際してどれだ けの人が来るのか。もう既に行っている人しか来ないというようなものではなく、ソー シャル・マーケッティングという方法なども使って、できるだけこちらを向かせるとい うようなことも必要でしょう。それからいろんなデリバリーチャンネル、例えばインタ ーネットから、郵便、Eメール、対面もありましょう、いろんな仕掛けを考えていきな がら、いろんなところとのコラボレーションをこれからつくっていければいいのではな いかと思います。  私の方は行動変容で、ちょっと皆さんとは違う健康心理学という観点から、何かさせ ていただけることがあれば、幸せだと思っています。どうもありがとうございます。  太田座長  ありがとうございました。行動変容のことは実は僕も昔から、すごく難しいけれども 一番重要なテーマだと思っていました。今お話を伺っていまして、そういう御専門の方 が、このメンバーで、いろいろ御発言、あるいはアイディアを提供していただけると、 大変心強いなと思っております。よろしくお願いします。  それでは、田中先生、お願いします。  田中委員  私は福岡なので、あちらの方から冷ややかに眺めながら研究しております。私は運動 生理学が専門でありまして、生活習慣病、疾病と運動との関わりの基礎研究、それから また広く啓蒙するということをやっております。1970年代に日本で初めてだと思います けれども、博多保健所で健康教室を開きまして、最大酸素摂取量を推定いたしまして、 我々のエビデンスと言われます50%の強度のウォーキングを見つけまして、そして啓蒙 するというような活動をスタートしました。  それから今は隔世の感がいたします。まず今回はこれを見てみまして、これを見ただ けで成功したのではないかなという感じがします。まず具体的施策プログラムの提示、 「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」、これはすばらしい。これで大 きなムーブメントが起こるのではないかということを感じます。  それからハイリスク者に対しても、今度メタボリックシンドロームの概念規定で、非 常に運動の効果がわかりやすくなったと思っています。最近ひしひしと感じますけれ ど、例えばことし糖尿病学会のシンポジウムに呼ばれましたが、そのときの質問に、運 動がいいことはわかっている。だけども運動の指導が難しいから薬に頼るんだというよ うなことをおっしゃいます。それをどう思うかということが、1つです。  それはどういうことかというと、実は私は糖尿病の専門医の方に呼ばれて、大学病院 に呼ばれましてお話をさせていただいたときに、質問をさせていただくんですけれど も、肝と筋肉でどちらが糖の貯蔵が多いでしょうかというと、かなりの人は肝と答えま す。実は5倍、筋肉の方が多いというところからお話をさせていただくんですけれど も、しかも筋は貪欲であると。  この運動所要量がスタートした時点に比べると、ドクターの方たちの運動に対する興 味と、それからこれは自分たちに担えないという、やはり専門家の助けが必要であると いうことをまず感じているというのを1つ感じます。  それからそういう意味で、久野先生がおっしゃったように、高度な専門家は既にかな り育成できていると、我々は思っていますけれども、十分にこういうドクターも含めて サポートし得る人材の育成ができたと。その人たちが誇りを持って働ける、そういう場 をセットするというのが、1つ課題だろうと思います。  さらにメタボリックシンドローム、運動の働きかけが、3つぐらいあるのですが、メ タボリックシンドロームだけでなく、今がん学会も運動はエビデンスありと認めていま す。それから今一番注目されているのは、脳機能です。動物実験では、十分なエビデン スが出ています。ヒトでもいくつか出てきました。  私どもプレスタディをしていますけれども、どうやら脳機能の改善に有効であると。 頭がよくなるといってもいいぐらいで、そうするとこれは普及に大いに役立つメッセー ジではないかというふうに感じています。  最後にやはり町づくりというのは、極めて重要だろうと思います。やはり、気持ちよ く運動できる場所の環境を提供する。あるいはソフトです。東京マラソンということ で、都知事が頑張ってくれていますけれども、実はマラソンを走る人は7時間でも、メ ッツですと6メッツ近いんです。それを走れるということは、10メッツ以上の最大酸素 摂取量がある人です。参加者を見ますと断トツは沖縄県です。沖縄県は1,000人に10人 がマラソンを走っています。第2位が鹿児島、東京あたりは1人おりません。なぜ沖縄 でたくさんの人がマラソンを走れるか。それだけ高い健康度を有しているかということ は、あれだけオープン化された楽しいお祭りがあるからだと、そういうふうに思ってい ます。  太田座長  どうもありがとうございました。田中先生は、福岡大学の進藤先生と一緒に多分最初 の所要量、平成元年の所要量は進藤先生と形が橋本勲先生とか、あの辺がつくられたと 僕は聞いています。その辺にも多分下支えをしていただいたのではないかと思います。 どうもありがとうございました。  では田畑先生、よろしくお願いします。  田畑委員  田畑です。私は先ほどお話させていただきましたように、私はもう1つの小委員会で あります運動所要量ワーキンググループの座長をさせていただいております。それでわ かったことは、8,000いくらの論文を読んだと言いましたけれどもその中でも、やはり 日本人を対象とした身体活動、体力と生活習慣病に関するエビデンスが欠如していると いうこと。あと性別、年代別、小児、高齢者ですけれども、対象及び対象の生活習慣 病、例えば糖尿病だったらどうなんだと、高脂血症はどう、そういうふうな生活習慣量 別の予防に必要な身体活動、体力というものとか。あとは筋力と筋量の具体的な指標と いうものがなかなかないということ。  もう1つ、健康づくりのための身体活動の上限というようなことについても、エビデ ンスがございませんでした。  ということとか、高齢者は運動しなくてもいいのかということになってしまうんです けれども、それは絶対にあり得ないことで、必ずやはりすべての性、年代別において、 運動の指針をつくっていかなければならないということになるわけです。  これからはそういうエビデンスがない中で、こういう指針をつくっていくという、非 常に困難な作業になると思いますけれども、皆さんも力と私も協力させていただいて、 運動指針の策定にかかわりたいと思っています。以上です。  太田座長  ありがとうございました。意外とエビデンスが少ないということですが、そういう中 で今運動に対する要望というのは、非常に強くなってきています。どうやってつくって いくかということを言われたと思います。  では続きまして、津下先生、お願いします。  津下委員  愛知健康の森の津下です。現在は愛知健康の森で生活習慣病の予防、健康増進をやっ ておりますけれども、もともと糖尿病の臨床医で、糖尿病の運動療法をやってきまし た。そういう点で、運動習慣のない人、糖尿病または予備軍、メタボリックシンドロー ムの方に運動の場に行ってもらうというのが、私どもの大きな役割だと思ってやってい ます。  何となくとか、忙しくてできないという人たちに、きっかけをつくる場として保健、 医療、そういう検診の場というのは非常に重要だろうと思っています。検診の場が運動 習慣の振り返り、そして運動不足と体重の増加の関係、その辺を見て、個人が納得して 本人が納得をして運動しようという決意をしてもらう場であるというふうにしていかな いといけないのではないかなというふうに思っています。  それで忙しいからやれないというのは、優先順位が低いんだろうということで、運動 の優先順位を高めるために、どのような情報出しが必要なのか。例えば生命保険をかけ る人は、将来のことが心配で保険をかけるわけですけれども、例えば運動をすれば、脳 卒中が半減するよと、そうすると介護費も医療費も心配しなくてもいいということで、 確実に自分を守ってくれるのは運動だというようなメッセージを、もっと強く出しても いいのではないかと思っています。  そういうような情報出しで、本人が納得をして、こうやってやろうということで、行 動を起こしかけるわけです。そのときに所要量で、先ほど8,000、1万歩という話があ りましたけれども、2000歩、3,000歩の人に、8,000歩、1万歩は、非常に大きな目標で ありまして、とても到達できないということです。ですから到達目標はそこにしても、 個人に合ったといいますか、段階的な実行しやすい方法を提示していく。一緒に考えて いくということが必要だろうと思っています。  そして継続のところで、先ほどよいプログラムが必要だ、専門性が必要だということ だったんですけれど、楽しい、効果がある、達成感があるということのほかに、障害を 起こさないということも、もちろん大事なものであります。たいてい運動を中断される 方は、医師に歩けと言われて、歩いてひざが痛くなったと。そして運動なんかつらいか らやめたという感じの方が多いように思います。どのように歩けば、ひざの痛みが出な いのか。またこのような種目をすればいいというようなそういう配慮をしまして、失敗 事例をつくらないというか。運動にマイナスのイメージをつくらないことが、非常に大 事ではないかなというのを思います。  2番目に今回の対象者は、健康診査において軽度の異常ということの定義なんです が、これは要指導域というのを指していると思います。例えば薬を飲んでいて、例えば 高血圧は1千万人います。それから糖尿病も250万人が治療を受けている。有病者740万 人いる。こういう方々は病気に、診断基準では入るんですけれども、実際にはそういう 方々も、その中でも本当に配慮が必要な部分と、あまり配慮が必要ではない、自由にや っていただいても、実際には薬を飲みながら運動をしている人というのは、たくさん見 えるのです。そういう人たちに、ここの治療をしている人は、医師の指示のもとでとい うざくっとした書かれ方ではなく、医療の範囲でもここまではまずまず、激しい運動す るわけではなく、健康づくりの50%強度の運動だったら、まず抵抗なくやれますよとい うようなラインを示していくものも、大事なのではないかなというふうに思います。  ですから医療側が提供すべき情報、そこだけを明確にしておけば、例えば臓器障害 は、ないものがいいとか、薬の副作用を見て、これだったら安心とかというようなチェ ックリストをつくればそれでいいのではないかというように思っています。  最後に前回の指針、スローガンみたいなものがあるんですけれども、非常に明る過ぎ るんです。運動に対して今までやっていないとか、何となくプラスのイメージが持てな くてやっていない人にとっては、明る過ぎて高過ぎる目標のような気がします。例えば 今からでも遅くないだとか、これぐらいでも効果があるとか、そういうあまりにも明る 過ぎるイメージではないところから始めないといけない対象者もいるということも含ん だ指針づくりが、必要なのではないかと感じています。以上です。診療の現場というと ころから、お話させていただきました。  太田座長  ありがとうございました。ミニマムリクワイヤメントみたいな部分の言い方も必要な んだということだろうと思います。ありがとうございました。では次に、戸山先生、お 願いします。  戸山委員  慶応大学の戸山です。まずこの所要量と指針というのが、10年ないし15年前ぐらいに できたということで、今回こういうふうな委員会に向けて、当然社会的環境であるとか 年齢分布も大きく変わっています。それから疾患そのものも大分変わってきている。環 境も違いますから、当然そういう中で、もう1回これを見直すというのは、非常に重要 だと思います。  先ほど田畑先生の方からお話がありましたけれども、10年くらい前ですと、多分運動 とこういう健康のエビデンスというふうなものは、そんなにはなかったと思うんです。 というかほとんどなかったかもしれません。それがこの10年間というふうなものが、当 然運動に注目されてかなりのやつは、出てきている。田畑先生は厳しいというふうなお 話が出ましたけれども。  ですからその当時に比べて、当然この10年間のエビデンスを持ったものを検証しなが ら、ここに盛り込んでいくというのが、非常に大事なことだというふうに思います。  ただ1つ言えることは、その10年前ないし15年前につくった所要量というふうなもの が、当然目標というか、こういうふうにしたいというふうな政策があったんでしょうか ら、何が欠如して何があってと、当然検証がなされていると思うんですけれども、大き く違っているかなというふうなものがもし出るのであれば、それを集中的にここに盛り 込むというふうなものも大事かなというふうに思います。  例えば私は運動器ですから今、この運動というふうなものの習慣をつけるというふう なことが、生活習慣病できるだけ抑える方向。これはすごくいいことだと思うし、それ も当然最大の目標かもしれませんけれども、運動器の整形外科から見ますと、例えば骨 粗鬆症であるとかは、若い女性が今非常に問題になっていますけれども、若いころに骨 密度を上げておくというのが、非常に大事だと。これはもう出ていますから、そういう ふうな面でも関係してきます。  それから平成16年、厚労省の生活基礎調査で、例えば要支援から要介護。何が一番問 題だったかということになると、下肢の運動機能、下肢のそういう機能の維持が下がっ てくる。そういうことがかなり問題なんです。それで骨折や転倒を起こして要支援から 要介護になる。だから歩くのがだんだんできなくなってきて、例えば立ち上がるとか、 それから片足で立つとか起き上がるとか、さらに歩けなくなってきて、だんだん要支援 が増えてくる。要介護になるということですから、これはやはり指針というか、その中 には当然トータルで見ますけれども、下肢の運動機能というふうなものを、少しより重 点的に置かれると、多分健康日本21等々でももう1つ2ついい形で出るのではないか と、僕は思います。それは強く希望するところです。  それともう1つなぜ歩数が平成3年、5年ですか、見たときにあまり改善がなかった か。それは当然分析がなされていると思うんですけれども、やはりどなたかおっしゃっ たように、ただ単に歩数を7,000歩、8,000歩というふうにどんと前提に出た場合には、 いろんな状況下がありますから、それを細かく対応する必要があるかなと思うんです。  当然今後10年後には65歳以上が4人に1人になりますから、そういう高齢者で何が問 題かというふうなものも当然チェックしなければいけません。そうすると例えば学童、 学生を見た場合には教育、それから主婦というものになると、その環境とかそういうふ うなものの整備。それから社会人の場合に、そういう歩数だと、健康なんだけれども、 今度時間的な制約がそこに加わってくる。高齢者だと当然運動器からそういうメディカ ルなチェックが必要で、それをいかに多く歩かせるような形のメディカル的なものの、 支援が必要かという。  そういう年齢別でもそうですし、環境別での対応も少し細かく取り入れる必要がある のではないかなというふうに、私は思います。  ぜひ運動習慣というのは、冒頭でお話しましたように、生活習慣に当然いいですし、 それから要支援、要介護に行くのをかなり抑えられます。それから今医療費とかお金の ことが問題になっていますけれども、そういうふうなものをかけずに、そういうような ものが抑えられるということは、すばらしいことだと思います。国というか厚労省も、 ぜひ中心的に大きく育てていってほしいと思います。私がお手伝いできるものであれ ば、できる限りお手伝いさせていただきたいと思います。以上です。  太田座長  ありがとうございました。ちょっとだけ、さっきの分厚い資料の中で、御紹介だけし ておきますと、77ページに最初の指針が出ています。またこういうものを見ながらお話 されていると思います。  それから85ページに、これは3ページ5ページのところですが、ここに2回目に出さ れました年齢対象別のものが出ています。今の戸山先生のお話は、この85ページの4の 1、2、3、4、5の辺に少し盛り込まれている部分もあります。  ただこれが必ずしもその後十分生かされてきたかということについては、また検証し なければいけないと思います。そういうことを踏まえて、またさらにこれからいろいろ 御意見を伺ったりしていく場があると思いますので、よろしくお願いいたします。  では続きまして能勢先生、よろしくお願いします。  能勢委員  信州大学の能勢でございます。よろしくお願いします。この1枚の紙の資料を準備し てまいりましたので、それを見ながら話を聞いていただけたらいいと思います。  皆さん御存じのように長野県というのは、非常に長寿県でありまして、かつ医療費は 最低レベルであるという、そういう非常にモデル的な県です。  その中で実は私は9年間にわたって、中高年のための健康スポーツ教室というのを開 いてきました。始める前にいくつかの指針を実は立てまして、9年間頑張ってきて、そ れが非常に成功しているということであります。したがって私のこれから言うことに関 しては、かなりのデータを私たちは既に持っているということで、お聞きいただきたい と思います。  私たちが最初始めた目的というのは、ここに書いてありますように、運動処方の効果 について科学的証拠を蓄積して、それに基づいてどの程度の運動をすればどの程度の効 果があるかということを、参加者に逐時フィードバックをかけているということを念頭 に置きました。  次に書いてある継続ということについてですけれども、それが継続を促すのに、非常 に重要であったということがわかってまいりました。  そして私たちはこの9年間、どういうことを目標にして、こういうことをやってきた かということが、以下に書いてあります。  まず国際的に通用する指針でなくてはならない。日本が今から15年間の高齢化という のが、かつて英国が経験した高齢化の約3倍のスピードで、高齢化が起こってきます。 これは人類がかつて経験したことのない高齢化のスピードだと言われています。これを どういうふうに乗り切るかということが、非常にみんな世界中の人が注目しているとい うことです。ですから国際的なものでなくてはならない。  それから2番目に、そうしたらどういう指針があるかというと、私たちは実はその当 時、何も国内にございませんでしたので、ACSNの指針に従ってことをやりました。 大事なことは3番にも書いてありますように、個別運動処方を実施することです。体力 の弱い人は弱いなりに、強い人は強い人なりの運動処方がある。そして何をインジケー タにするかというと、そこに書いてあります最大酸素摂取量と最大筋力、この2つを測 定できないと、話にならないということになります。  それから4番目。どうしたら参加者に継続を促すことができるかというと、努力を数 値にして、参加者に示してあげるということが、非常に大事です。したがってトレーニ ング量の運動量を物理量として表すこと。物理量として表すことによって、非常に客観 性を持ってきます。だからインターナショナルにも通じるものになっていきます。  それから5番目、同様ですけれども、努力すれば報われる。そしてどれくらい報われ るんだということを参加者に示してあげる。それは体力だけではなく、血圧、血液成 分、あるいは医者にかかった費用とかそういうものでもいいと思うんです。そういうも のも定量的に表すことができる。  それから6番目、これは先ほどから話が出ていますように、ただ単にそういうことを フィードバックするだけでは意味がないと、意味がないというか、片手落ちであると。 宗教でいうと宣教師みたいなものですけれども、そこにマンツーマンで立つ指導者が、 きっちりした科学的エビデンスに基づいて自分を指導してくれているんだという信頼関 係を築く。そのような指導者を養成するということが、非常に大事です。  それから7番目。こういう指導をする場合、今までの官主導型のものでは、上からも のを言う。お上がこう言うからこうしようということが主でありましたけれども、松本 市の場合はそうではなくて、自分たちの仲間がやるからやろうという。地域コミュニテ ィが非常に成功しました。体育関係だけでなく、福祉関係の方の協力も得まして、地域 に根差した草の根の運動として、住民主体になって動き出しているところが非常に強い ところです。  このようなことというのは、ちょっと我田引水で恐縮なんですけれども、松本市の熟 年体育大学というホームページに発表していますので、どうぞ見ていただきたいという ふうに思います。以上です。  太田座長  ありがとうございました。また松本市の熟年体育大学の事業スタイル等についても、 また田畑先生、いろいろ調べていただいて、よろしくお願いします。  それでは続きまして、信藤先生、よろしくお願いします。  信藤委員  フィットネスジャーナルという雑誌を20年ほど編集発行しております信藤と申しま す。よろしくお願いします。  私は基本的に編集者でありますので、こちらにいらっしゃる先生方と全然立場が違い ます。大体編集者というのは、聞きかじりの半可通やりますから、そういった意味で は、専門性のある部分に関しては、私の方で何か申し上げられることとか、お役に立て ることというのは全くといっていいほどないと思います。  ただフィットネスというテーマで雑誌づくりをしてきた人間として、いろんな方とか かわり合って、いろんなものを見聞きして、そういった意味で一般の人間の代表のつも りで、ここで少しでもお役に立てることを申し上げられればというふうに思いました。  そういう観点から何が申し上げられるかなと思いまして、運動の指針、方針、所要 量、そういった何回も言葉に出ていますエビデンスに基づいたことというのは、僕の方 から言えることは全くないです。ただ先ほどのお話とちょっとある意味で違ってしまう のですが、自分自身やはり周囲の行動を見ていて、簡単に言ってしまうと、ノルマ設定 がどんなに低かったとしても、目的とノルマのある運動というのは、基本的につまらな いものです。なかなかそれに関して魅力を感じる方というのは、どのぐらいいるのだろ うかということを、ついつい自分やその周囲の体験から考えてしまいます。  とはいうもののやはり疾病予防、生活習慣病の予防、減らしているためにもちろんエ ビデンスに基づいた運動の量や方法、そういったものをきちんと指し示していくことが 必要だろうと思います。  そこで抜け落ちてしまう、エビデンスではない、人間のエモーションというものもあ るのではないかなと。そのエモーションの部分に関して、どうやってできるだけ動機づ けをしてあげて、一歩を始めさせてあげるということの観点がすごく必要なのではない かなというふうに、素人として非常に感じます。  そういった意味で私も前回の健康日本21という、指針の提言をもう一度拝読したので すが、非常に平たくて柔らかくて優しい言葉でいい文章だなと、改めてそういうふうに 思いました。  ただそれでも結果がまだまだついてきていないということは、それに対して簡単に言 うと方法は2つあります。これぐらいやらないと病気になりますよというムチで行くの か、もっとさらに愛情深い文章で、一歩踏み出すことから始めてみようよという部分を やるのか。どちらかもしくは両方を併用する必要があるのではないか。  ですからエビデンスに基づいた部分で、このぐらいの運動をしないと病気になります よと。もしくはこのぐらい運動したら病気になりませんよという言い方も、あれなんで すけれど、とりあえずそういった科学的な部分とは別に、極言すればいつでもいいんで すよと、1人でもいいんですよと。それから例えば歩くことじゃなくても、極言すれば 深呼吸でもいいから、自分の体を意識することから始めましょうと。そういった部分の 一番低いところから、皆さんに運動をしていただくように、動機づけていくような愛情 にあふれた言葉というのが、もしくは表現、もしくは伝達方法というのが必要なのでは ないかなと。  それをどういうふうに形にしていくのかという部分で、もしかしたら多少お役に立て るかもしれないなと。皆さん方のお話を伺っていて、きょうの段階ではそこまで感じた 次第です。以上です。  太田座長  ありがとうございました。今のエモーションという言葉とか、心に訴えるというお話 をお聞きして、1つ僕自身非常に印象的なことがあるので、御紹介します。  以前やはり運動の有効性とかについて、外国の人も含めて、シンポジウムをやってい たことがありました。そのときに皆さん御存じのパッフェンバーガーという、アメリカ の非常に有名な研究者がいます。その人と一緒にシンポジウムをやっていまして、僕 は、運動を始めるのは今からでも遅くないという言い方をしたんです。そのときは一般 の方、高齢者、両方とも指していたのですが、パッフェンバーガーはそのときかなり年 でしたけれども、いつからでも遅くないというふうに切り返されて完全に参ったことが あります。それはもう本当にびっくりしたんですけれども、やはりそういう意味合いの ハードルを下げるといいますか、優しいといいますか。やはりそういうエモーションに 訴えるような言い方も必要なんだなということをつくづく考えました。具体的に僕自 身、その言葉が出てきませんけれども、そういうことを感じています。どうもすいませ ん、余分なことを言いました。ありがとうございました。  それでは増田先生、お願いします。  増田委員  健康・体力づくり事業財団の増田でございます。当財団の事業の大きな柱の一つが啓 発事業であります。きょう私が財団を代表して参加しているというのは、厚労省の方か ら配布されました資料2の中に、専門家及び関係者による普及啓発及び活用の方策につ いても、あわせて検討するということで関係機関として参加しているのだと理解してい ます。お手元に当財団の概要等をお配りさせていただいております。  当財団は昭和56年に厚生省所管の団体から、文部省の同じような団体が一緒になっ て、現在でも厚労省並びに文科省の共管の健康・体力づくりの財団でございます。事業 概要に書かれてございますように、国民の方々の健康及び体力づくりについての正しい 知識の普及啓発ということが、当財団の大きな柱になっております。現在またそういう 健康運動を安全に指導できる健康運動指導者の養成も、また大きな柱になっておりま す。  現在当財団では健康・運動に関する種々の啓発パンフレット並びに小冊子等を作成し まして、機会があるごとにそういうのを配布しているわけです。そのほかインターネッ トで、きょうお配りしていますが、健康ネット、これは完全に厚労省の委託事業でござ いますが、その委託を受けて、ウェブサイトにホームページを立ち上げております。健 康に関する情報を知りたいという方々のアクセスが結構あるということでございます。  またもう1つ国が進めております健康日本21のホームページも、立ち上げておりま す。この2つのホームページで、インターネットを通じた情報の提供をしているところ でございます。この健康日本21のホームページのところに、健康日本21推進全国連絡協 議会というものが書かれておりますが、当財団がこの協議会事務局を引き受けておりま して、現在職能団体並びに例えばウオーキング協会のような一般の国民の方々の団体 と、計125団体が参加をしている民主導といいますか、民間の方々の集まりでございま す。国が全国大会等を推進される、その少しでもお役に立てればということで、国の指 導によりつくられた協議会でございます。  この協議会も昨年から実際に具体的なことをやろうということで、それまではほとん ど年に1回総会をやって終わりだったのですが、昨年から医師と歩こうウォーキング大 会ということで、昨年が1万2,000人ぐらいの参加がございました。この21協議会のう ちの、約10団体ぐらいの協力を得て実施をしたわけでございますが、今年は約30団体の 参加を得まして、先日日曜日13日に江東区の辰巳公園で実施いたしまして、約1万4,000 人の方々の参加を得ています。  それも昼のニュースで、テレビ等で報道された関係で、午後から新たに地元の方々等 が多く参加をいただきました。午後から各イベントブースは行列ができるという状況で ございました。  そういうふうに我々としてはこの21協議会、125団体。そのうち半分のところは、名 前だけという実際があるわけですが、こういうところをもっともっと活性化をして、国 民の方々に健康づくりの大切さをお知らせしていきたいと思っております。  またもう1枚最後のデジタルテレビ、健康体力づくりTナビというものをお配りして ございます。それは皆さん御存じのように2011年から地上波デジタル、そちらに変わる ということです。こうなりますとテレビで、簡単にインターネットにアクセスできると いうことでございます。例えば家庭で、おうちで、老人の方がパソコンはいじれないけ れども、テレビで簡単にインターネットが見れるということでございます。  当財団では今現在数社のテレビを製造している会社と共同で、現在試験的に情報提供 をしています。だからTナビが使えるような地上波のテレビを持っている方々は、この 健康体力づくりのいろいろな情報にアクセスできる。現在簡単な運動だとかそういうも のをインターネットで流しておりますので、これからこの委員会でもっと具体的にわか りやすい運動のそういうものができれば、この中に取り入れてまいりたいと思っており ます。以上でございます。  太田座長  どうもありがとうございました。それでは宮崎先生、お願いします。  宮崎委員  森林研究所の宮崎と申します。我々の研究所は農林水産省の所轄の中の独立行政法人 ということでございます。  今いろんな先生のお話を聞かせていただいて、私はこの委員会に少し異なる観点から 入れさせていただいていると感じています。今は林野庁が中心になりまして、厚生労働 省にも協賛いただきまして、森林セラピー基地構想というものを推進しています。去年 の暮れから始まりまして、ことしの4月から実際に森へ行って、そのリラックス効果、 癒し効果を測定する。最終的には来年の4月に認定するという制度でございます。  これを少し細かく説明させていただきますと、去年の暮れに募集しまして、36カ所の 応募がありました。1市町村約500万円の実験費用等を負担していただくのですけれど も、その中からことし10カ所選定いたしまして、全国の森で先月まで約1週間ですけれ ども、都市と森で被験者の同時計測をして、実際には、光近赤外光を使った脳の活動、 それから心拍変動性での自律神経活動、唾液を使ったストレスホルモン、それと免疫機 能等々を図りまして、エビデンスの蓄積、エビデンスのもとに認定していこうというこ とで、ことしは10カ所行いました。  来年の4月に、審査を経て認定がありますが、今一番問題になっておりますのが、や はり運動です。どのように指針に我々の立場として入れていくかということです。その 基地としましては、期間的には日帰り、2泊3日、2〜3週間、1カ月とこのようなも のを、それぞれの市町村で、例えば温泉があるとか美味しい食べ物があるとか、そうい うストーリーをつくっていただきながら、今構想を練ってもらっているところです。そ の中に運動をどのように入れたらいいかというのが差し迫った問題だということがござ います。  これをやっておりまして、今のお話を聞かせていただいた私の1つの感想は、プラス アルファにかかることですので、個人の価値観、そういうものが非常に強く反映される ということが予想されるということです。ですからそこら辺をどういうふうに入れ込む かというのが、1つのポイントになるかなというのが、私の感想でございます。  太田座長が言われたような普及という観点から、私どもは参加させていただければ、 ありがたいと感じているということです。以上です。  太田座長  どうもありがとうございました。森林といいますか、今山歩きというのも、結構メジ ャーな運動になっていますので、よろしくお願いします。  では吉池先生、お願いします。  吉池委員  国立健康・栄養研究所の吉池でございます。田畑委員とは違う部署で、違う仕事をし ていまして、「1に運動、2に食事」の2番手の方を主にやっている者でございます。 食事の方も2000年に3省合同で食生活指針というのを出したわけですが、今ひとつ知ら れていない、活用されていないという反省がございます。それをいかに広めていくかに ついて、具体的なツールを出すということで、この7月に食事バランスガイドを出しま した。その取りまとめをさせていただいた者でございます。  多くの委員の先生方にごらんいただいていると思うのですが、コマの絵がありまし て、その上を人が走っています。運動と食事のバランスということで、食生活の面か ら、身体活動、運動の大事さをシンボリックに表しているというものでございます。  アメリカのフードガイドも新しく出たマイピラミッドでは、食事の細かいことはなく してピラミッドを上る階段が強調されているように、食事のところでも、特に肥満対策 等を考えると、身体活動、運動と合わせてアプローチしていくというのが、日米とも共 通になっています。  ただし日本の食事バランスガイドは、アメリカよりもチャレンジングだと思っていま す。外食、コンビニ食など、そういう食事が多い、また意識の低い方に対しても、量的 なものを示そうということが、1つ特徴でございます。  竹中委員がおっしゃったようなセグメント化をして、いろんな対象に合わせた形のア プローチが必要だということは、極めて同感に思っています。食事のアプローチも今ま で栄養士さん、管理栄養士さんはどうも70点、80点を目指した栄養指導だったのかなと 勝手に思っているわけですが、今回はむしろ20点、30点の人を50点に上げるというとこ ろからももう始めましょう。そのためにかなり思い切ってシンプルにした部分がありま す。当初の議論の中からいかに社会の中に伝わるか、ソーシャルマーケッティングの視 点からどう伝えるのかということを食品産業の方々等と、かなり議論をし、戦略を考え ながらつくり上げてきたということがございます。  そういう普及啓発を考えたときには、やはりシンボリックなものであり、単純なメッ セージ、またセグメントとしていろいろな層を対象にしないといけないのですが、敷居 の低いところをきちんと押さえるということが、極めて大事だろうと思っています。  特にシンボリックなものというのは、目を引く様な絵があります。食事バランスガイ ドも、基本的には生活習慣病対策として成人を中心としたものであり、学校保健等は踏 み込めない部分があったのですが、学校関係者、あるいは小さな子供、保育所などで も、どうにかして使いたいので対応してほしいと、世に出して、周りからこんなふうに 使いたい、あんなふうに使いたいということを、たくさん言っていただいて、こちらが 十分それに対して対応できていないという状況もあります。そういう何か、役所として 出すのだけれども、周りがこれはいいよ、こんな形でも活用したいというような動きが 出てくるといいのではないかと思っています。  また最後に私どもの研究所は、独立行政法人として今後かくあるべきということで、 総務省から答申をいただきました。運動と食事を個別ではなく、合わせてしっかり考え るようにという宿題をいただいております。この検討会を通じて田畑委員とまた深くデ ィスカッションをしながら、その両面からのアプローチということも勉強させていただ きたいと思います。以上です。  太田座長  ありがとうございました。本当に運動と食事というのは、病気の予防、改善いずれに おいても、常に連動してくると思います。本当によろしくお願いします。  時間があと10分くらいになってきましたが、基本的には各先生方、まだいろいろと御 意見があると思います。それは事務局の方に、多分メールでも先生方にはお流ししてい ますから、その返信のメールあるいは、場合によっては事務局直接でも結構ですが、い ただくことにしたいと思います。  ただこの場で、例えば事務局に確認しておきたい事柄とか、あるいは所要量のことを 少し進めていただいている田畑先生に確認しておきたい事柄とかありましたら、お手短 にと思っておりますが、いかがでしょうか。  鏡森委員  お願いいたします。いくつか話を聞いて確認をしておきたいのは、私どもは現場でい ろんなことで、特に保養ということで仕事をやっていますと、障害を持った人が運動し たいとか、いろんな運動制限の人も入ってきます。ですから運動して健康になりたいと いう人たちを対象にして、この委員会は運動の必要量を出していくということなのか。 それとも、信藤さんとか、宮崎さんが言ったように、運動すること自体が、その場に出 かけて人との交わりというものをもたらす面があります。どうも話を聞いていると、運 動の量的な面がずっと中心になっています。この委員会としては、そういうタスクが中 心になることはわかりますが。私どもにとっては運動が社会との交わりの接点という点 できわめて大切であります。障害を持った人とか難病の人とか、いろんな人も運動した いと言っているわけです。そういう人たちは、こういうのに全然当てはまってこないわ けです。  ここまで話を広めると、話がまとまらなくなってしまうので。でもその中間、量的な ものよりも運動の質的なもの。例えば快適さとかさわやかさとか、そういったものは、 これをやれば確かに手に入るのですが、いわゆる身体の健康増進にとって必要な量まで 行かなくてもできるものであるわけです。そうするとそういったものに今回は目をつぶ るんだということならば、そういうふうに考えていけばいいのだと思うのですが、国民 とか世界的な流れという話になってくると、一方では、車中毒の社会ですから、田舎に いると、どんどん運動量を増していくというマーケットが減っていくわけです。  だからこれまでのように、我々がある量を持って敵地に乗り込んでいくという、これ までの戦術では、とてもこれは成功するとは私には思えない節があるんです。そういう ときに運動の質、それから孤立化していく社会における運動の意味とか、そういったと ころをバックグラウンドで示す程度ににして、今回はそこには手を出さないということ も、1つの知恵なので、そこのあたりの基本方針を聞けたらありがたい。  中野補佐  一応今現状で考えているところというのは、先生にも御参画いただいたということも あるのですが、基本的には先ほどお話をいただいた量的な部分というのが、メインにな ると思います。だからそう言いながら、今回いろんな運動、例えば今先生方、いろんな 発言の中にも運動が嫌いな人とか運動ができない、あるいはいろんなところで、やれな いという人たちもある程度含めた上で示していかないといけないだろう。  ただ1つの話としてはターゲットを絞っていくという話もありますので、そこをどう バランスを持って進めていくかということを、この中で御議論いただくのに、先生にも 参画いただいて、それで結局結論として、今回はそういった質的な面について、少し脇 に置いて考えるのか、それともきちんとした形で盛り込んでいくのかという最終的な結 論は、またちょっと見えていないので、一応そういった議論を、この中で先生なりにお 考えいただいて、こういった意見であれば、皆様方の話の中で入れるべきだとか。ある いはこういったいわゆる運動の効果というものの中に、そういった保養、療養、そうい ったいろんな今までの直接的な効果と思われていなかったところも含めるべきだとか、 そういったいろんな提案をいただいている中で、この部分は入れていきましょう。ここ の部分は今回は見送りましょうというような形で、取捨選択していっていただければい いのかなというふうに、今のところは、事務局としては思っています。  鏡森委員  承知いたしました。  斎藤委員  きょうは最初だからしょうがないと思うんですけれど、小委員会にしてはちょっと大 き過ぎる気もします。次回もこの調子だとブレインストーミングではなくて、ブレイン 表明会で終わっちゃうと思います。できれば成功した事例を発表していただくのには、 長野県が非常に医療費も少なくて、長寿県だということであれば、これをもう少し例え ば松本とか長野市が主導権をとっているのか、地方の小さな町とか村が貢献しているの か。あとリーダーになっているのはどういう人なのか。知事を見るとあまり運動が好き そうな体型でもないし。そうすると私のさっきの持論も取り下げないといけないので、 だれがリーダーシップをとって、こういう結果を出しているのかとか。  2〜3年前ですから、この10年前からやった結果でしょうから、あまり貢献していな いのでしょうけれども、フィットネスクラブ、長野市にも松本市にもちょっとほかの都 市よりも過剰にできていても、みんな成り立っているんです。ですから多分、習慣がで きたから持続するという意味で、後で行ったフィットネスクラブでも、結構大勢の人が 来てくれるとか、いい循環に入っていると思います。その辺をお話いただいて、ぜひそ の資料をできれば事前に送っていただいて、少し読んでから来るとしゃべるのが多くな るだろうと。  あと田畑先生の8,000の全部じゃなくてもいいですけれども、主なものをポイントと 結論みたいなものだけまとめたものを見せていただくと。何かさっき絶望的なこと言っ ていたので、絶望的というのは、エビデンスがないというような表現をされていたので すけれども、ない中でもあるものもあると思います。今から研究を10年するというわけ にもいかないと思うので、その研究成果を短時間で、結論に結びつけられるようなこと というのは、どうなのかということもぜひ見てみたいと思います。そういうようなもの がもしあれば、事前に送っていただけると、ここで議論だけでき来るかなと思います。  太田座長  ありがとうございました。そろそろ時間なので、この辺でと思っていますが、今お2 人の先生から適切な御意見をいただきました。それぞれまた事務局とも御相談したり、 あるいは事前の資料等を必要なものは、前もって見ていただくようなことも含めて、で きるだけ進めていきたいと思っております。  今お話をいろいろ伺っていると、なるほどなということがたくさんあります。かなり 共通項目もございますので、そういう意味では、私自身は結構うまくまとまっていくの ではないかという印象を持っています。  それからこんなことを僕が言ってはいけないかもしれませんが、今回私たちがこの委 員会の中で、運動指針の3番目のものをつくろうとしているわけですが、多分この次に また考えられていくこともあるでしょうし、そういう意味で現状でどこまでつけるの か、あるいはできるのかということも、実効的な意味合いの中でお考えいただければと いうふうに思っております。  私からは以上です。事務局から今後の予定とかその他についてありますでしょうか。  中野補佐  それでは次回に関しましては、先ほど斎藤委員の御発言等もございますので、また追 って日程調整をさせていただいた上、また内容についても通知をさせていただきたいと 思います。また事務局から御連絡をさせていただきます。  また先ほど座長の方から御提案がございました、きょう御発言いただいた中では足り なかったという部分に関しましては、うちの事務局、大澤からメールを先生方に送って おりますので、そちらに返信をいただくような形で御意見をいただければ、そちらも取 り入れさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  太田座長  それでは時間となりましたので、これで終わらせていただきます。大変、御協力あり がとうございました。よろしくお願い申し上げます。                                    (終了) (照会先) 厚生労働省健康局総務課 生活習慣病対策室 内線2974,2338