05/11/04 中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織各分科会平成17年11月4日 議事録 05/11/04 診療報酬調査専門組織          平成17年度第3回DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成17年11月4日(金)10:00〜11:54 (2)場所  三田共用会議所大会議室 (3)出席者 西岡清分科会長 原正道分科会長代理 池上直己委員 伊藤澄信委員        熊本一朗委員 齋藤壽一委員 酒巻哲夫委員 嶋森好子委員        武澤純委員 田所昌夫委員 信友浩一委員 松田晋哉委員        三上裕司委員 山本義一委員 山口俊晴委員 吉田英機委員        邉見公雄(中医協委員)オブザーバー        <事務局>        福田企画官 堀江保険医療企画調査室長 他 (4)議題 ○ 7月から10月までの退院患者に係る調査について(中間報告)       ○ 在院日数の平均の差の理由の検討について       ○ 平成16年度データの集計(参考配布) (5)議事内容 ○西岡分科会長  それでは時間になりましたので、ただいまから平成17年度第3回診療報酬調査専門組 織・DPC評価分科会を開催させていただきます。  委員の出欠状況でございますが、本日は柿田委員、谷川原委員より御欠席との連絡を いただいております。松田委員、三上委員は間もなくお着きになられるのではないかと 考えております。  また、本日はオブザーバーといたしまして、中医協委員の邉見委員に御出席いただい ております。どうぞよろしくお願いします。 ○邉見氏  邉見でございます。よろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  それでは、まず資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○眞鍋補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第がございまして、その 次が出席状況です。  その次、診調組D−1「7月から10月までの退院患者に係る調査について(中間報告 )」でございます。  次が、診調組D−2「在院日数の平均の差の理由の検討について」という資料です。  その後ろに、この続きで、98ページから始まっていますが、カラーで別に印刷をして このような組み合わせになっておりますが、散布図をつけてございます。  それから、参考資料として「平成16年度データの集計」これも分厚い資料でございま す。  そして、最後に、前回、同じ会場でやらせていただきましたDPC評価分科会で、委 員でいらっしゃいます齋藤先生から全社連で行われたDPCに関する調査について情報 提供していただけるというありがたいお話をいただきまして、今日、その用意をさせて いただいております。  資料につきましては以上でございます。資料の有無、乱丁落丁など御確認いただけれ ばと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。資料揃っておりますでしょうか。  それでは10月6日に開催されました前回の分科会の場で、DPC導入影響評価の一つ の締めくくりとして、中医協での指摘について御議論いただきました。  また、本年度の特別調査についても意見交換していただいたところでございます。  その後、10月19日には調査対象病院を対象にして説明会を開催したとの報告をいただ いております。  本日は、新しいデータとして、本年度のDPC基礎調査の中間報告がまとめられてお ります。他にも様々なデータ集計を行っていただいておりますので、それを御報告させ ていただき、御議論いただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたしま す。  それでは、早速事務局より7月から10月までの退院患者に係る調査について御報告い ただきます。お願いいたします。 ○眞鍋補佐  それでは、事務局より御説明させていただきます。  資料は、診調組D−1「7月から10月までの退院患者に係る調査について(中間報告 )」に基づいて御報告をさせていただきたいと思います。  まず、こちらの調査ですが、資料の具体的な説明に入る前に、先ほど、分科会長から 基礎調査というふうに御紹介いただきました調査でございまして、7月から10月までの 退院患者さんに係る調査でございます。これは参加病院からこの間に退院された患者さ んについて、その方のカルテの情報、それから、レセプトの情報を1名1名の方につい て御報告いただいているものです。かなり膨大な調査でございまして、参加されている 病院におかれては大変な御協力をいただいているところでございます。  それでは、資料に沿って説明させていただきます。  1.調査の目的、ここはいつもどおりの言葉ですが「DPC導入影響評価を行うため に、診断群分類の妥当性の検証及び診療内容の変化等を評価するための基礎資料を収集 することを目的とする」というものです。  2.調査方法 (1)調査方法 平成17年7月から10月までの退院患者についてカル テ情報及びレセプト情報を収集してございます。  (2)調査対象病院 DPC対象病院として位置付けられております82の病院 そし てDPC試行的適用病院として位置付けられております62の病院、そのほかに、今年度 のDPC調査協力病院として228の病院からデータをいただいております。  この228の病院について若干解説を加えさせていただきます。本年4月に、昨年度の 本調査を含めたDPC影響評価に係る報告を西岡分科会長から中医協の基本問題小委員 会にしていただきました。その後、中医協の基本問題小委員会で今年のDPC調査協力 病院の対象をどう広げるかという御議論をいただきました。議論自体は、1カ月、2カ 月という時間がかかりましたが、最終的にはデータをちゃんと出していただけて、DP C調査協力病院としてふさわしいというか、比較として適当な病院ということで、こち らの病院を選ばせていただいたところでございます。  事務局から今日御報告させていただく内容としては、中医協の基本小委で、広げるべ しといわれて、広げられたすべての病院が今年についてはデータをちゃんと出していた だけておりまして、1つの病院も今のところ、データの不備等とかで私どもからお断り したところはございません。ですので、こちらは今年調査協力病院とどもでさせていた だいたすべての病院がデータを出していただけると思っていただいてよろしいかと思い ます。  そして、(3)調査票ですが、これは別紙1として一番後ろにつけてございます。こ ちらの説明は割愛させていただきます。  3.調査の実施状況ですが、平成17年6月14日に調査の説明会を開催させていただき ました。そして、6月28日には、平成17年度から新規に調査に参加した病院のみを対象 として調査の説明会を開催させていただきました。  7月から調査対象病院における調査を開始させていただきまして、8月からエラーチ ェック、データ集計等を行ったところです。  こちらの調査ですが、7月分のデータですと、8月25日まで、つまり、前月分のレセ プトデータを翌月の25日までに厚労省にご提出いただくというスケジュールで進めてお ります。当然、10月のデータは11月の25日に提出いただくということですので、本日御 報告申し上げる内容は、7月、8月の中間報告分ということで御理解いただければと思 います。  それでは1ページおめくりいただきまして、データの処理フローですが、ここで申し 上げるべきことは、診療録に基づく疾患情報等で、私ども厚労省に御報告いただきまし た件数が約56万件というデータでございました。そこから、分析対象となるかどうかと いうことを私どもで統計的に処理いたしまして、この52万件が集計の対象となっている という状況です。  3ページは「集計結果について」、こちらでこの分厚い資料の概括、構成をごらんい ただければと思います。分析対象データは今申し上げたところです。次のページからは 除外したデータとかをつけていますが、そのほかに、今日お示しできるものとしては、 ○病院別の状況について、ということで、各病院の在院日数の状況、それから、在院日 数の平均の差の理由の検討方法について、ということで、各病院の在院日数の状況、施 設類型別の差の要因、入院経路等の状況、退院先の状況、退院時転帰の状況、再入院の 状況、そして、手術難易度別件数を盛り込んでおります。  次に、各病院類型の患者構成等の違いについて、という分析も差し入れておりまし て、最後に、これはかなり分厚いものですが、診断群分類別の状況について、というこ とをつけさせていただいてございます。  それでは、結果に入らせていただきます。  4ページは、過去の分析データですが、平成17年調査に係る分析データの状況であり ます。本日御報告いたしますのは、これまでに厚労省が受領したデータのうち、7月か ら8月の2カ月間の退院患者さんに係るものでございます。後ほど出てきます経年の変 化、15年、16年のデータについても出させていただいておりますが、こちらも同様に7 月から8月までの2カ月に限ったデータとして比較をしております。当然、過去のデー タは4カ月間分のデータがございますけれども、比較の対象としては期間を揃えること が前提であろうというふうに判断いたしまして、過去のものについても7月から8月の データを解析をしております。  本集計において分析対象外としたのは、DPCで対象外とされているような下のデー タでございまして、それぞれのデータは右側に各病院ごとにその数をつけております。  4ページの下に2.で、平成14〜16年調査の再集計結果との比較の条件であります が、分析対象データは、先ほど申し上げましたように、14〜16年においてすべて上記の 条件、17年の条件に整理してございます。  それでは、5ページですが、ここで申し上げるところは、分析対象外としたデータの 状況で、かなり細かい表で大変恐縮でございます。委員に先生のお手元には拡大鏡をま た用意させていただいておりますので御活用いただければと思いますが、こちらの表 で、右下の隅をごらんいただきますと、いただいたデータのうち、分析対象として該当 した数というところで95%という数が出ています。ですから、いただいたデータのうち 95%が今回分析の対象としたということでございまして、除外した5%は左側にあるよ うな、上のカラムを見ていただければわかるような、そういった理由で除外しておりま す。  それでは、9ページにお移りいただきまして、在院日数の状況です。先ほど申し上げ ましたとおり、今年度、7月、8月の2カ月分のデータですが、その在院日数の状況で す。表でまとめさせていただいておりますけれども、DPC対象病院は17.56日、DP C試行的適用病院はより短くて14.64日、DPC調査協力病院は15.03日ということで、 DPC調査協力病院は、15年、16年、17年、それぞれ御参加いただいた年度がございま して、それぞれこのような在院日数になっております。  下のグラフは、DPC対象病院について、最も短い病院から上から並べてございま す。これはベースラインが10日でして、10日を基点にして右側にグラフをつくっており ますので、見た感じほど在院日数に差があるわけではないのですが、このぐらいの差は あるというようなデータでございまして、平均在院日数は17.56日ということでござい ました。  次の10ページは、試行的適用病院の在院日数の平均です。14.64日ということでござ います。あとは、調査協力病院全体を参加年度別に分けさせていただきまして、平均在 院日数は、15年度から参加していただいている病院は14.86日、そして、16年に参加し ていただいている病院は11ページで14.76日。そして、12ページにいって、17年から参 加していいただいている病院は15.42日ということになっています。  13、 14、 15ページは、今のグラフでも情報としては入っているところですが、DP C対象病院、試行的適用病院、調査協力病院の在院日数の年次変化を見たものです。  本来、カラーで印刷すればわかりやすかったのかもしれませんが、恐縮でございま す、各病院ごとに下から14年、15年、16年、17年とデータが並んでいまして、在院日数 はこちらで見ていただきますと、大体の病院におきまして、年度がたつごとに短くなる という傾向にあるということです。  それではグラフは飛ばさせていただきまして、次に16ページですが、こちらも大変細 かい表で恐縮でございます。こちらの表もすべての対象病院、調査協力病院、試行的適 用病院について、同じようなものを出させていただいておりますが、16ページで御説明 をさせていただきますと、16ページはDPC対象病院の在院日数の状況でして、各大学 病院のデータが並んでいまして、一番下にDPC対象病院全体という行があって、14年 度の平均値に関しては、一番下の行を見ていただきますと、DPC対象病院の左から2 つ目に20.37という数値があります。これが14年の平均値です。同じ行を右に見ますと、 15年の平均値が18.97日、16年の平均値は18.44日、17年の7月、8月の平均値は17.56 日となっています。これは4月12日の評価分科会の数値と若干違っていますのは、対象 が4カ月から2カ月になっているというのが原因でございます。ちなみにその数字を申 し上げますと、4カ月間データでは、14年は21.22日だったのが、今日の2カ月データ では20.37日となっており、15年は4カ月データは19.70日でしたが、2カ月データでは 18.97日、16年は、4カ月平均では19.11日でしたが、2カ月平均では18.44日になって います。解析対象の期間が長ければ長いほど、長い退院患者さんを拾うことになります ので、4カ月分の方が長いということになっていますが、2カ月分のデータを解析する とこのような在院日数の平均となっていまして、経年的には短くなってきているという 状況が出ています。  それでは、同様に、次の17ページは試行的適用病院の在院日数の状況です。同じく2 カ月分のデータを示しております。平成15年の平均は15.97日でした。それが16年には 15.01日になり、17年には14.64日と短くなってきているところです。  次のページは調査協力病院ですが、すべては申し述べませんが、15年から御協力いた だいている病院についてのみ御報告申し上げます。18ページの上の表の一番下の行です が、15年の平均値が15.55日、16年は15.51日、ここは実はあまり変わっておりません で、17年のデータで見ますと、14.86日ということで、約0.6日ぐらい短くなっていると いうデータになっています。  以上、まず数字を見ていただいたところでございます。  それでは、21ページからの御説明に入らせていただきます。在院日数の平均の差に関 する検討ですが、在院日数は短くなっている、短くなっていると、DPCに関してはい われるわけですが、全国的には短くなっていう傾向にあることは事実でございます。そ の在院日数が短くなる傾向がどのような原因によるものかということをお示ししたいと 思って、次のような分析をしております。  在院日数の平均の差の理由の検討方法について、ですが、これは例を示しています が、今回用いた在院日数の平均の差の理由の検討方法について、平均在院日数、2日と 書いていますが、大体3日ぐらい短縮されています。事例で説明すると以下のとおりで す。  (事例に関する前提条件)としては、平成16年から17年にかけて、DPC別の在院日 数は減少している。一方で、平成16年から平成17年にかけて長い診断群分類に該当した 件数が増加しているということで、在院日数が、例えば、シミュレーションをした30日 から28日に減少したというのは2つの要素、それそれのDPCごとに全体の在院日数が 減ったのでしょうか。あるいは、そういったものと、あとは、DPCの患者数の変化、 いわゆるDPCの構成割合、在院日数が短いDPC、診断群分類の患者さんが増えたの か。どちらの要因が効いているのでしょうか、ということを検討してみたものでござい ます。  表が3つ並んでいますが、真ん中の表の御説明をさせていただきます。  (在院日数の平均の変化による要因)ということで、まず、DPC、診断群分類ごと の患者数の構成を16年にそろえました。患者数をそろえた場合に、そうすると、16年か ら17年に、各診断群分類の在院日数の平均がどんなふうに変わったから影響が出てきた んだということが評価できるということです。  次に、下の表の御説明をさせていただきますが、(DPCごとの患者数の構成の変化 による影響)ということで、DPCごとの在院日数の平均を平成16年にそろえますと、 16年から17年のDPCごとの患者数の構成の変化、つまり、ここは在院日数が長い方が 増えたから長くなっているのか、短い方が増えたから短くなっているのか。そういう疾 患が増えたからどうなのかというところが見えるということです。  これは、どちらの影響が大きいかということを仮に見るということでやった計算でし て、当然、在院日数の変化による要因と、患者数の構成の変化による影響というものを 足しても、全体のマイナス2という数にはなりませんので、そこは御留意いただければ と思います。まず、こちらはインパクトの大きさとしてとらえていただければと思いま す。  それでは、今申し上げたような内容で御説明を申し上げたいと思います。  22ページですが、DPC対象病院の在院日数の状況です。こちらは14年と17年の比較 をしております。こちらも対象病院ごとではなく、一番下の全体という行を見ていただ きますと、14年から17年で平均が20.37から17.56ということで、2.81日減少しておりま す。それが、右の2つの列を見ていただきますと、−3.71日と書いてありますところ が、DPCごとの在院日数がそれぞれ短くなっているからという影響が−3.71日、各診 断群分類の在院日数が短くなっているということです。その右側が患者の構成割合によ る影響ということで、1.14日、これはプラスで、こちらを見ていただきますと、重い患 者さんというか、在院日数が長い患者さんの方が増えてきているということ、これを見 ますと、14年から比べますと、17年は重い、在院日数が長くなるような患者さんを診て いるんですが、全体の在院日数が下がったので、その分、全体としては在院日数が短く なる傾向が出たというふうに御理解いただければと思います。  同じく、23ページは15年と17年の比較です。こちらは平均の差が−1.41日ということ で、DPCごとの在院日数の影響は2.02日、逆に疾患を見ますと、0.71日延ばす要因が あったということです。  24ページは、16年と17年で同様の比較をしております。こちらは時間の関係で数の説 明は割愛させていただきます。  次に25ページですが、試行的適用病院について同じような分析をしたものです。試行 的適用病院の15年データと17年データを比べました。そうしますと、在院日数の差は −1.35日ということで、その要因を見ますと、診断群分類ごとに在院日数の影響が −2.29日と出されて、一番右のカラムですが、診断群分類の構成として長い人が増えて いるというところで1.05とプラスの影響は出ているということです。  これも診断群分類の構成として、長い人が増えているというところで1.05日というプ ラスの影響が出ているというものです。これもDPC対象病院と同じような傾向かと思 われます。  次の26ページは、16年と17年の比較ですが、こちらも同じような傾向が見られます。  それでは、次に27ページの調査協力病院のデータですが、15年からの協力病院で、15 年と17年を比べますと、在院日数の差としては、0.83日減っておりまして、その要因を 解析しますと、DPCごとの在院日数の影響は−2.17、構成割合による変化が0.98とい うことでした。28ページは、同じく調査協力病院の16年と17年のデータを比較したもの です。  そして、29ページは、施設類型別の差の要因ということで、こちらは、DPC対象病 院と試行的適用病院、DPC対象病院と調査協力病院、試行的適用病院と調査協力病 院、それぞれ、どんな差に基づくものかということを検証したものです。  DPC対象病院と試行的適用病院の差を見ますと、平均の差は平成15年のデータで3 日あったわけですが、それがどういう理由で試行的適用病院の方が3日短かったのか、 というのを右側に同じような分析をしますと、全体の在院日数自体が試行的適用病院の 方が短いと見える大きさが−0.61、次に診断群分類の構成の差による影響が−1.93とい うことで、実は診断群分類の構成の割合の方がこの平均の差には大きく効いているとい うふうに見えるわけです。  それが顕著なのが、次のDPC対象病院と調査協力病院を比較したもので、平均の差 は−3.42ということで、調査協力病院は3.42日短いわけですが、差の要因を見ていただ きますと、プラスの0.16で、診断群分類の構成の差による影響が−0.12ということで、 調査協力病院の方が短い要因というのは、短い患者さんがより多いからというところが 見えてくるところでございます。  同じような分析を30、31ページでさせていただいておりまして、31ベージの平成17年 のデータで御説明申し上げます。  DPC対象病院と試行的適用病院の差は約3日ほど、−2.94日ということです。その 差の要因につきまして、診断群分類ごとの在院日数の差の影響というのは−1.50、そし て、診断群分類の構成による影響が−1.34ということで、このような形になってきてい ます。  また、DPC対象病院と調査協力病院、こちらの平均の差は−2.54ですが、この差の 要因を見ますと、DPCごとの在院日数の差の影響が−0.51、構成の差による影響が −1.97日ということで、調査協力病院の方が短い理由としては、DPCの構成、いわゆ る在院日数が短い患者さんが多いという影響が出ているのだろうというふうに見れるわ けでございます。以上、ここまでが在院日数の状況でございました。細かい表が多くて 大変恐縮でございました。  それでは、次はグラフで御説明申し上げたいと思います。  32ページ、救急車による搬送の率です。こちらは、様式1といわれるような、カルテ 情報をいただいているところから分析をしているものです。救急車による搬送の率とい うことで、上のグラフを見ていただきますと、左の4本の棒グラフがDPC対象病院、 次の3本が試行的適用病院、次の3本が15年度からの調査協力病院、次の2本が16年度 からの調査協力病院で、17年度からの調査協力病院は右端の1本の棒グラフでございま す。  こちらですが、割合で見ますと、DPC対象病院は大体同じような、7%、8%台で 推移していますが、試行的適用病院は増加傾向にある。  これを下のグラフ、実数で見ますと、DPC対象病院でも実数は増えてきています し、試行的適用病院でも増えていますし、15年度からの調査協力病院、16年度からの調 査協力病院でも増えてきているという状況です。  次の33ページは、緊急入院の率です。同じように、対象病院、試行病院、協力病院で 見ていただきますと、DPC対象病院としては余り変わっていない、ちょっと減ってい るような傾向ですが、試行的適用病院も率としては余り変化がない。15年度からの調査 協力病院は、15年データがやや高くて、16年、17年が47%といった状況です。  これを下の実数のグラフで見ていただきますと、数としては、DPC対象病院、試行 的適用病院に関しは伸びている。割合は同じように見えましても、実際に受け入れてい る患者数がずいぶん増えていますので、実数自体は増えているという形になっていま す。  次の34ページは、他院より紹介ありの率、紹介患者さんを受けている率です。DPC 対象病院では、14年から15年でいったん下がって、その後は比較的同じような状態とい うことです。試行的適用病院も15年から16年にかけて1回下がりましたが、持ち直して いるということです。  こちらも下に実数を示していますが、DPC対象病院では14年から15年にかけて若干 下がったけれども、その後は増加している。試行的適用病院では一貫して増加していま す。15年からの調査協力病院も増加しておりまして、16年からの調査協力病院も増加し ているという状況が見られます。  次に35ページは、退院先の状況として、左側4本がDPC対象病院のグラフですが、 14年から17年にかけて、退院先として、一番下は「外来自院」、下から2つ目の白いと ころが「外来他院」他の病院の外来に移ったということです。その上が「一般病棟以外 の病棟への移動」その上は「転院」「終了」「その他」となっていますが、ここで見て いただきますのは、左のDPC対象病院で申し上げますと「外来自院」の割合が一貫し て増えてきているというところが特徴かと思います。試行的適用病院ではあまり変わっ ておりませんで「外来自院」の割合はほぼ一定です。そして、平成15年度からの調査協 力病院の「外来自院」は若干減る傾向にあります。これは16年度からの調査協力病院に おいても減っているような状況です。  次の36ページは、退院時転帰の状況です。こちらも同じような形で、左からDPC対 象病院、試行的適用病院、調査協力病院と並んでいます。一番下の網がかかった部分が 「治癒」で、次の一番広い面積を占めている白いところは「軽快」です。その上が「寛 解」、その上が「不変」、「増悪」、「医療資源も最も投入した傷病による死亡」「医 療資源を最も投入した傷病以外による死亡」、そして一番上が「その他」ということで す。  こちらで見ていただきますのは、4月の段階でも同じような議論がなされたわけです が、「治癒」と「軽快」を足した割合は、DPC対象病院ではあまり変わっていないの ですが、「治癒」の方の割合は14年の12.51%からだんだん下がっているような状況に あるというところでございます。試行的適用病院に関しましても、実は同じような状況 でございまして、「治癒」と「軽快」を足した割合は同じか、若干増加傾向にあるんで すが、「治癒」の割合は減っている。15年からの調査協力病院も同じような傾向にある というふうに見えるかと思います。  それでは次に、再入院の状況について、38ページで御説明させていただきます。  同じように、左からDPC対象病院、試行的適用病院、調査協力病院と並んでいま す。下から御説明させていただきますと、一番下の網掛けの部分が「同一疾患での6週 間以内の再入院」、その上の細いところは「同一疾患での6週間以降の再入院」、失礼 いたしました。確認させていただきますが「同一疾患での6週間以降の再入院」が2つ ありますが、おそらく下の網掛けの部分は「同一疾患での6週間以内」だと思います。 その上が「異なる疾患での6週間以内の再入院」、一番上が「異なる疾患での6週間以 降の再入院」ということになっています。  見ていただきますと、再入院自体は、14年から17年にかけて増える傾向にあります。 これは試行的適用病院に関しても同じで、15年度からの調査協力病院についても、16 年、17年では上がっている。16年度からの調査協力病院についても上がっているような 状況です。確認が取れました。やはり、一番下は「同一疾患での6週間以内の再入院」 でございます。御訂正をお願いいたします。  次に39ページからは、若干新しい解析をさせていただきました。こちらは外保連が行 った手術の難易度別の分類を用いて、それぞれの難易度について、それぞれの病院がど のぐらいの手術を行っているかという件数をまとめたものです。一番上の行に、分類、 施設名の次にB−1からE−2まで並んでいて、右に行くほど難易度が高いというふう に分類されているものです。みていただきますと、右のE−2をやっている大学病院が 実はほとんどですが、やっていない病院もございます。  次のページ以降が、同じような分析を、試行的適用病院、調査協力病院についてやら せていただいたものです。一見してわかりますのは、40、41、42、43ページまでありま すが、ざっと見ていただきますと、大きな違いは、E−2といわれる最難度の手術に関 しては調査協力病院なり、試行的適用病院ではかなり施設に差があって、やっていない 施設が多いことと、やっている施設は多いというところが見て取れるかと思います。試 行的適用病院、調査協力病院をみますと、その件数がまったく上がっていない、手術を 積極的にしていないといった病院もあるというのが見えてくるところです。  次に、44ページですが、同じものを割合として表してみたものです。44ページは、D PC対象病院の手術難易度別の件数を病院別の割合にしたもので、一番下の行に合計の 欄がございます。合計の欄は全国82のDPC対象病院の中でそれぞれの手術が何%程度 行われていたかを見たものです。  同じように、試行的適用病院については45ページに分析をさせていただきました。こ こは前回の分科会における松田委員からの御指摘を踏まえまして、試行的適用病院に関 しては、若干分析を追加させていただいておりまして、病床規模ごとに割合を見させて いただいておりますが、病床規模ごとに見ましても、難しい手術が多い、簡単な手術が 多いということが病床規模別にどう変わるかという、明確な傾向はあまり出て来ないと いう状況でありました。  46ページ以降は調査協力病院についての分析でございます。  それではこの資料の最後の御説明になりますが、49ページ「各病院類型での患者構成 の違いについて」です。対象病院、試行病院、そして15年度からの調査協力病院という ふうに見ていただきまして、これはMDC(メジャー・ダイグノスティック・カテゴリ ー)ですが、いわゆる大括りでくくった疾患の分類ごとでどのぐらい患者さんを診てい らっしゃいますか、ということです。  DPC対象病院の中において、14年から17年にかけて大きな変化はございません。こ れは、ない、といっていいかと思います。  次に、DPC対象病院と調査協力病院、一番右に全調査協力病院の構成を書いていま すので、そこを比べていただきますと、眼科系の疾患は、MDC02ですが、平成17年デ ータをDPCで見ますと7.72%でしたが、全調査協力病院では3.94%ということで、こ ちらは大学病院とか、DPC対象病院の方が割合は高いということがわかります。  あと、耳鼻咽喉科系疾患、MDC03ですが、こちらも若干DPC対象病院の方が高 い。逆に呼吸器系の疾患、循環器系の疾患、そして消化器系の疾患、MDC04、05、06 ですが、こちらは全調査協力病院の方が数パーセント高いというデータになっていま す。  次に、筋骨格系疾患、MDC07、こちらはDPC対象病院の方が高くなっています。  次に、12番の女性生殖器系疾及び産褥期の疾患、それから、13番の血液・造血器、そ れから14番の新生児、こういったところもDPC対象病院の方が若干高いという患者構 成の違いが見えるところであります。  50ページ以降は診断群分類別の在院日数の状況を見たものです。こちらは左側の列 に、大変細かくて恐縮ですが、診断群分類を並べて、それぞれごとに、DPC対象病 院、試行的適用病院がどのような在院日数であるかというところを一覧としてまとめた ものです。これは定例で出しているものでございます。  長くなりまして、大変恐縮でございました。以上で、こちらの資料の説明を終わらせ ていただきます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。毎年出ているデータに、さらに加えての解析をしていただ きました。今の御報告に対して御質問、御意見をお願いいたします。 ○信友委員  DPCの影響を在院日数の変動で見たわけですけども、平均がモードないしメディア ンと一致すればいいんですけど、在院日数の長いケースの数に引っ張られていますよ ね。だから、平均在院日数に相当するところにほとんど該当症例がないというようなD PCもあるようですから、平均在院日数の減少というのは、いわゆる、在院日数の短い ケースを増やしたのか、反対に、在院日数の長いケースを減らしたのか、それが本当の 意味でのDPCの影響だと思うんですね。平均値の移動はどっちの変化によってもたら されたのか、そういうことを見るのが大事だろうと思いますね。  それから、ベット数の話がありましたが、世間では今、扱っている症例数が多ければ 多いほど在院日数が短いんだろう、あるいは、反対に長いんだろうと。そういうことを あるから、ケースボリュームによって在院日数がどう変化したのか、変わらないか。そ ういう2つの新しい視点で解析するともっと意味付けが現場に近いものになるんじゃな いかと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。事務局で、最初の、在院日数の差の御説明のところでさらに 細かく分析を、ということですが。 ○眞鍋補佐  御指摘ありがとうございました。事務局としては、DPCごとに減ったのか、構成割 合が変わったのかというところは一定の解析をしたつもりでございまして、さらにこれ に加えてアドバイスがございましたら、ぜひそれはいただければと思います。 ○西岡分科会長  ほかに御意見ございませんでしょうか。 ○山口委員  手術の難易度別にデータがいくつか出ていますが、ちょっと補足させていただきたい んですが、B−1からE−2までございますが、一番難しい手術はE−1ということに なっています。E−2というのは、日本でも数ケ所しかできないということになってい ますので、ないところがあるのは当然であって、そういう専門家がいないところはでき ないということです。  したがいまして、45ページのところに病床数と関係ないというような書き方をされて いますけども、それもまた当然で、ベッド数が少なくても専門家がいればE−2は行わ れるものであります。  それから、B−1からE−2まで、臓器別にこの分布を見ますと、必ずしも均一では なくて、例えば、眼科なんかはE−1が多いということがございますので、これは単に 診療科の患者さんの数を反映しているにすぎないということも考えられます。  それともう一つ、誤解がないようにしていただきたいのは、例えば、D−2のレベル の手術であっても10時間もかかるような手術は大変負荷が大きいですし、E−1であっ ても10分で終わるような手術であれば負荷は軽いということで、これは手術全体の中の 技術度だけを見ているという具合に御理解いただきたいと思います。補足です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○田所委員  川北総合病院の田所でございますが、私たちのところは、DPCを始める前からかな り平均在院日数を短くしていましたが、ここのところ、平均在院日数はあまり短くなり ません。一つは、患者構成、高齢の人が非常に増えて、最近は、入院患者の中で、75歳 以上の人が50〜54%というような割合を占めます。当然、入院期間も長くなりますが、 再入院率もおそらくこれからだんだん増えていくだろうと思っていますが、年齢別にや ると、今のようなことがもうちょっとクリアカットに出ないのかなあと思うんですが、 そういうデータはあるんでしょうか。 ○眞鍋補佐  年齢別の解析はもちろんできます。そこは次の解析に役立たせていただきたいと思い ます。 ○田所委員  ぜひそれを出していただきたいと思います。 ○山口委員  もう一つ、先ほどコメントありましたけど、36ページの退院時転帰の状況、これは年 々、治癒退院というのが減っていると。調査協力病院も同様であるとおっしゃいました けれども、これを見ると、調査協力病院はやはり減り方が少なくて、DPCを試行して いる病院において顕著だという結論になるんじゃないでしょうか。 ○西岡分科会長  これはなかなか難しいところです。前回の中医協に御報告させていただいたときもこ れは問題になったんですが。 ○山口委員  このグラフも下の方は低くなっているので、これを拡大したら、12.51%が6.69%と いうのは、半分ですよね。例えば、DPC試行病院を見るとそんなに差はありませんよ ね。これは差があると言わざるを得ないんじゃないでしょうか。 ○西岡分科会長  DPC導入の14年度と15年度でかなり大きな差が出たということは確かと思われま す。対象病院は15年度から導入されておりますので、そこのところは、導入以前に中医 協でかなり御議論がありまして、大学病院が在院日数が非常に長いではないかというこ とがディスカッションされました。特に北と南の方が長いのではないかということだっ たんですが、北の方は後方病院を14年から15年にわたって整備されたというところで、 そういった動きもここに反映しているのかなというふうには考えられますが。松田委 員、どうぞ。 ○松田委員  今の御意見ですけども、多分、DPC対象病院と試行的適用病院で扱っている患者さ んの種類が違うということも影響があるのかなと思います。先ほど事務局の報告でもご ざいましたし、後で御説明のある資料を見ましても、DPC対象病院の方が少し複雑 な、より在院日数がかかるような患者さんがたくさん集まっているということがありま すので、そういうことを考えると、「治癒」より「軽快」が増えているということはあ り得るのかなあと思います。 ○酒巻委員  もう一つ、転帰の質というところでは「増悪」と「死亡」がその対極側にあるんだろ うと思うんですけれども、数値としては小さなものですけれども、しかし、こちら側が 増えるようではいけないと思うんですけれども、DPC対象病院の方は比較的よい方向 に向かっているというふうに思っていますので、松田委員が言うように、患者さんの構 成とあいまってこういう結果が出ているんだろうし、「増悪」や「死亡」が比較的少な くなっているという点でも、医療の質そのものを下げたものではないというふうに思い ますけれど。 ○西岡分科会長  山口委員の御意見は、14年から15年のところで大きな差があるというところで、これ は有意な差ではないかという御意見ですが。 ○山口委員  構成の差はよくわかりますけれども、例えば、悪性腫瘍の場合には、あまり「治癒」 とは言いません。で、それがこんなに変化するというのはちょっと理解できないんです ね。多分、試行的適用病院はそういうものが多いはずですけど、そのあたり、この転帰 を決める方がどのように考えられたかということもちょっと問題かと思いますけど。 ○西岡分科会長  おっしゃるとおりです。 ○池上委員  各DPCごとに平均在院日数が25%タイル内に退院した患者の構成比を分析していた だいて、その25%タイル内で退院した患者の構成比の割合が各年度ごとにどのように変 化したか、データを出していただければ、それはDPC対象病院、試行的適用病院いず れについても、またそのコントロールとして調査協力病院で、またさらにそれをMDC ごとにも見ると、そういう経済インセンティブに反応するかどうかということが解析で きるのではないかと思いますけど、御検討いただければと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ ○信友委員  今の「治癒」の定義、あるいは現場でどのようなイメージ、基準があるのかなという ことですが、36ページでの「治癒」DPC対象病院は12.5%が14年度では「治癒」です ね。「治癒」となると普通であれば終了と思いますよね。ところが、終了の割合は35ペ ージで14年度を見ると3.17%。「治癒」しても「終了」とは言わないのかと。どういう イメージになってるんですかね。あるいは、基準として大学病院は持ってられるんです かね。 ○西岡分科会長  通常は退院患者に「治癒」という言葉は使わないんですよね。私たち大学で習ったと きは「治癒」なんていうのはなかったんですが、なかったというとおかしいんですが、 「軽快」で退院というような形で処理していたんですけど、この「治癒」というものの 定義が確かに問題になってくると思いますが。どうぞ、伊藤委員。 ○伊藤委員  すみません、これのデータが、14年のデータがDPC対象病院しかないのでこれを外 すとそんなに差がないように見えるんだと思うんですね。あと、医療現場にいますと、 例えば、虫垂炎で手術をして、抜糸をするまで多分昔はいたのが、3日ぐらいで、もう 外来で抜糸をしましょう、という形で帰していて、抜糸まで終わっていれば「治癒」だ けど、外来で抜くから「軽快」で帰ったという話になっているのかな、ぐらいに理解し ているんですけど、どんなものなんでしょうか。 ○西岡分科会長  14年度から15年度にわたって特定機能病院の医者の意識改革が起こったんですね。だ から、いろんなやり方が変わって、それがすべてこれに影響しているのかなと思うんで すが、今いただきました御意見はすべて、その一部として当たっているんじゃないかと いうふうに思いますが。齋藤委員、どうぞ。 ○齋藤委員  言われたような意見ですけども、結局「治癒」という言葉のコンセプトが、14年、15 年、16年と変わってきている可能性があるんですね。だから、実際に治癒した患者が減 ってきているというよりも、何をもって「治癒」と考えるかという言葉の理解の可能性 があるので、そこのところをかなり差っ引いて考えないと危険かなと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ、田所委員。 ○田所委員  このことはしかし、医師会の櫻井副会長からも指摘されていることで、もう少しはっ きりした方がいいと思うんですけども。つまり、「治癒」とした疾患がどういう疾患で 「軽快」とされていたかということがわかるともう少し我々はっきりしたことが言える んじゃないでしょうかね。 ○西岡分科会長  それは調べられると思いますので、ぜひとも調べたいと思いますので、事務局、よろ しくお願いいたします。 ○眞鍋補佐  了解いたしました。 ○西岡分科会長  ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。  では、それでは次の資料がございますので、それに移りたいと思います。「在院日数 の平均の差の理由の検討について」ということで御報告をお願いいたします。 ○眞鍋補佐  それでは、お手元の資料、診調組D−2でございます。それともう一つ、後でパワー ポイントを用いて散布図を説明させていただきたいと思います。  まず、導入につきまして、診調組D−2「在院日数の平均の差の理由の検討について 」私から御説明申し上げます。  在院日数の平均に差があります。その理由はどういうものかということを検討いたし ました。先ほどの、7、8月の2カ月間のデータで申し上げましたとおり、同一医療機 関内で患者の構成が変化したことによる影響なのか、あるいは、同一医療機関内でDP Cごとに在院日数が変化したことによる影響なのかということで、2つを分けて解析を 行ってきております。今回、同様の手法を用いまして、同一医療機関における全国の在 院日数の平均と、個々の医療機関の在院日数の平均の差を次のような、同じような視点 で分析してみました。・全国平均と個々の医療機関の間で患者構成が異なって出ている からその病院の在院日数は長いのか、短いのか。次に、・全国平均と個々の医療機関の 間で、診断群分類ごとの在院日数に差があることの影響なのか。つまり、同じ診断群分 類であっても、その病院によっては長いのか、短いのか、というふうなことで分けて集 計を行っております。  手法としましては、前の診調組D−1で御説明したものとほとんど同じでございま す。平成17年7月から8月の2カ月間のデータを用いたことは一緒で、集計方法とし て、平成17年度調査に参加している全372医療機関のデータを用いました。その中で診 断群分類ごとの在院日数の平均値と、診断群分類の患者構成、どの診断群分類が多い か、少ないかということを集計いたしました。  その上で、患者構成の差については、各医療期間での診断群分類ごとの在院日数を全 国平均に合わせた。つまり、在院日数を全国に合わせたということでございます。そう いった上で患者構成による差を見たいということでございます。  それから、DPCごとの在院日数の差につきましては、各医療機関の患者構成を平成 17年度全国平均に合わせた。つまり、患者構成を合わせたわけです。患者構成を合わせ ると今度は病院ごとに在院日数が短いか、長いかということが出てくるというわけで す。  こういった2つの手法を用いて分析をしてみました。  次のページを見ていただきますと、こちらはある仮定の病院を例に取りまして出した ものですが、全国平均は15.83日という値を用いておりますが、「患者構成の指標」と して、例えば、この例のA病院では、17.99日を15.83日で割って1.14という比が出てい ます。こちらは、いわゆる患者構成、難しい患者さん、あるいは在院日数を長く要する ような患者さんが全国平均よりも多いから1.14長いというふうに出てくる数です。  逆に「在院日数の指標」としては、15.83という全国平均を16.72という当該病院の値 で割っているわけですが、こちらは在院日数が実は若干長い方向に振れていて、構成割 合に合わせるといたしましても在院日数は16.72日であったと。それは全国平均から比 べると長いということですので、こちらは16.72日、当該病院の値で割っております。 そうしますと、0.95という値が出てまいりまして、こちらは同じ診断群分類であっても 長く在院日数がかかっているということを表したものでございます。  この2つの指標を縦と横に用いてプロットしてみたものです。  集計内容としては、  (1)平成17年度における医療機関類型別の比較で、○医療機関別に類型化したもの  次に、○一般病床の規模別でみたもの 次に、○施設基準届出別ということで、どん な加算を算定していると長いのか、短いのかということであります。  (2)平成17年度におけるMDC別・医療機関類型別の比較  (3)医療機関類型別の年度別比較  ということです。こういった集計をさせていただいたバックグラウンドには、前回の DPC評価分科会で松田委員から試行的適用病院の類型別の評価が大事ではないか、と いう御指摘をいただきまして、その一助となればと思いまして、こういう分析をしてみ たものでございます。  参考といたしまして、下にMDCを並べてございます。MDC01からMDC16までご ざいまして、1が神経系疾患 2眼科系 3耳鼻咽喉科系 というふうに上から並んで いるような状況にございます。  以上でございまして、それぞれの結果は5ページ以降、これは細かい表を全部つけて ございますが、これを一つひとつ御説明することはさすがに困難でございますので、そ れは今日、散布図にして見ておりますので、それをごらんいただければと思います。  それでは準備をお願いいたします。 ○堀主査  ただいま御説明させていただきましたD−2の資料の集計の結果を御説明させていた だきます。  集計は主に3つやっておりまして、1つは平成17年度のデータ、2カ月間の退院デー タを使いまして、MDCごとに分けず、すべてのデータを使った集計をやっておりま す。  2つ目として、平成17年度のデータを使いまして、それをさらに今御説明申し上げま したMDC01から16までのMDCごとに分けて集計した結果でございます。  3つ目は、全MDCを用いて、年度別の比較を行っております。  まず、1つ目ですが、平成17年度全MDCのデータを使いまして、医療機関類型別の 比較を行っております。  DPC対象病院82病院、試行的適用病院62病院、今年度調査の協力いただいておりま す228の病院の比較を行っております。  先ほど申し上げました「患者構成の指標」を横軸に、「在院日数の指標」を縦軸にと っております。横軸、患者構成の指標ですが、在院日数が長くなる患者さんが多い病院 は右側の方に行くということです。また、在院日数の指標につきましては、同じ患者構 成の場合に在院日数を短く見ている病院ほど上に行くというような指標です。  それぞれの軸、1.00と1.00のところで交差していますので、今年度全病院の平均を満 たすような病院があった場合には交差する部分にプロットされるというグラフです。 ★ まず最初に、DPC対象82病院の17年のデータ、青でプロットされているもので す。患者構成の指標という点から考えますと、全国平均から右側にずれているというこ とで、在院日数が長くなる患者をたくさん診ていると見えるかと思います。 ★ 次に、黄色でプロットしているのが、試行的適用病院のデータをプロットしたも の。 ★ 次が、今年度調査協力病院228病院をプロットしたものです。 ★ 82のDPC対象病院、62の試行的適用病院、228の調査協力病院を同じ図表上に全 病院類型をプロットしたものです。青がDPC対象病院、黄色が試行的適用病院、赤が 調査協力病院です。 ★ 同じ図ですが、DPC対象病院と試行的適用病院の比較です。患者構成の指標とし てはDPC対象病院の方が比較的右側に寄っているということで、逆に、在院日数の指 標では、試行的適用病院の方が若干上の方にプロットされているという格好です。 ★ 次は、平成17年のDPC対象病院と調査協力病院を同じように比較して図です。試 行的適用病院の場合と同様に、患者構成の指標としては、DPC対象病院の方が右に寄 っているような形になっています。 ★ 次は、平成17年度全MDCのデータを使いまして、DPC対象病院と試行的適用病 院、調査協力病院を病床規模別に比較してみた図です。DPC対象病院はすべて500床 以上ですが、比較のために青の点は同じようにプロットしております。黄色の点、ピン クの点点がそれぞれ病床規模別に切っていまして、DPC対象病院と200床以上一般病 床を持っている病院をプロットした図です。 ★ 同じように、DPC対象病院、試行的適用病院、調査協力病院を一般病床の規模と いうことで300床以上の病院に絞ってプロットした図です。 ★ 同様に、DPC対象病院、試行的適用病院、調査協力病院で400床以上をプロット した図です。 ★ 最後に、500床以上一般病床を持っている試行的適用病院、調査協力病院を比較し た図です。 ★ もう一度、200床以上、300床以上、400床以上、500床以上ということです。  病床規模別に見ますと、病床の規模が大きくなっても、大学病院の方が比較的その患 者構成の指標としては在院日数が長くなるような患者さんを多くみているというような 結果と思われます。 ★ 同じような比較を、それぞれ施設基準の届け出としていただいております入院基本 料等加算、それから、特定入院料の算定の状況でプロットしたものです。DPCの支払 い制度の中で係数化されているような加算、もしくは、加算として示されている特定入 院料を抜粋したものです。  まず、1番目は、急性期入院加算の算定がある試行的適用病院・調査協力病院をプロ ットしています。比較の対象として、DPC対象病院82病院はすべてプロットしており ます。紹介率が30%以上、また、一般病棟の平均在院日数が17日以内といった要件が必 要な加算ですが、急性期入院加算を算定する病院をプロットしたものです。 ★ 次が、試行的適用病院、調査協力病院で急性期特定入院加算、先ほど御説明申し上 げました急性期入院加算より算定の要件が若干厳しい加算で、急性期入院加算の要件に 加えて、入院・外来比率の要件がある加算ですが、急性期特定入院加算を算定する病院 を黄色、ピンクでプロットしています。 ★ 同じように、係数化されています地域医療支援病院入院診療加算を算定している試 行的適用病院、調査協力病院を同じ図上にプロットしたものです。 ★ 次は、平成16年の診療報酬改定で導入された臨床研修病院入院診療加算を算定する 試行的適用病院、調査協力病院をプロットしたものです。単独または管理型の臨床研修 指定病院であって、診療録管理体制加算を算定しており、また研修医2.5人に対して指 導医が1人以上いるという要件がある入院基本料等加算です。 ★ ここからが特定入院料でして、最初が、救命・救急医療を算定する試行的適用病 院、調査協力病院をプロットしたものです。救命・救急センターを有する病院で算定さ れるような点数とお考えいただければと思います。 ★ 次に、特定集中治療室管理料、いわゆるICUの特定入院料を算定している試行的 適用病院、調査協力病院をプロットしたものです。 ★ 次は、新生児特定集中治療室管理料、いわゆるNICUを算定する試行的適用病 院、調査協力病院をプロットしたものです。 ★ 特定入院料の最後ですが、総合周産期特定集中治療室管理料ということで、算定し ている病院が非常に少ないわけですが、同じ図上にプロットしたものです。 ★ もう一度、急性期の入院加算。 ★ 急性期特定入院加算。 ★ 地域医療支援病院入院診療加算。 ★ 臨床研修病院入院診療加算。 ★ 救命・救急入院料。 ★ 特定集中治療室管理料。 ★ 新生児特定集中治療室管理料。 ★ 総合周産期特定集中治療室管理料。でございます。  今までのデータは、平成17年度の全病院のデータ、MDCごとに分けないですべての データを使っての集計ということでしたが、ここからは、資料D−2の3ページにMD Cの中身が記載されていますが、それぞれのMDCごとにデータを分けて同じような比 較を行ってみた集計結果です。 ★ まず、MDC01 神経系疾患は、同じく横軸に患者構成の指標を、縦軸に在院日数 の指標をとっています。青の点がDPC対象の82病院、黄色の点が試行的適用の62病 院、ピンクの点が本年度調査協力の228病院をプロットしたものです。  比較的真ん中に寄って、どの類型も同じような形の分布が認められています。 ★ 次に、MDC02 眼科系疾患は、患者構成の指標として、DPC対象病院が若干右 側に分布しているように見えます。また、縦軸の在院日数の指標では、同じ患者構成で 見た場合に、在院日数を短く見ている病院は、試行的適用病院、調査協力病院の中に認 められ、縦軸にばらつきが大きいというような状況です。 ★ MDC03 耳鼻咽喉科系疾患は、これは患者構成の指標でばらつきが多く認められ ていますが、青の点、DPC対象病院が比較的右側に寄っているという状況です。 ★ MDC04 呼吸器系疾患は、DPC対象病院が右側に若干寄っているように見える という形です。 ★ MDC05 循環器系疾患は、04と同様の傾向が見られます。 ★ MDC06 消化器系疾患にも同じような傾向が認められています。 ★ MDC07 筋骨格系疾患、いわゆる整形外科系の疾患ですが、このような分布の状 況になっています。 ★ MDC08 皮膚・皮下組織の疾患は、若干DPC対象病院の方が患者構成の指標が 右側に寄っているように見えます。 ★ MDC09 乳房の疾患です。 ★ MDC10 内分泌・栄養・代謝に関する疾患です。 ★ MDC11 腎・尿路系疾患及び男性生殖器系疾患で、腎臓内科、泌尿器です。 ★ MDC12 女性生殖器系疾患、産婦人科領域です。 ★ MDC13 血液・造血器・免疫臓器の疾患で、血液内科の分野です。 ★ MDC14 新生児疾患、先天性奇形ということで、若干、患者構成の指標がかなり 大きくばらついているような状況です。 ★ MDC15 小児疾患は、このような状況です。 ★ MDC16 外傷・熱傷・中毒、異物、その他の疾患で、各病院類型ごとに同じよう な分布の状況になっています。  もう一度最初から、MDC01、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、 14、15、16、というようなMDCごとの結果でございます。  資料D−2で、各DPC毎ごとの結果が10ページ以降に表示されていますので、それ ぞれの病院の値は10ページ以降の元データを見ていただければと思います。  集計上10件に満たない医療機関があった場合には表示から除いておりますし、また、 プロットからも除かせていただいています。  各MDCごとに全国で見た場合でも、例えば、14ページのMDC01 神経系疾患の日 本全国での在院日数の平均を見ていただきますと、全国平均値20.94日となっています し、また、眼科系疾患では19ページに全国平均値9.71日となっています。全国の在院日 数の平均ということで示しているわけですが、MDCごとにかなりばらつきがあるとい うことで、元データは10ページ以降を見ていただければと思います。  最後に、全MDCのデータを再度使いまして、同じような比較を年度別に行ってみた ものです。最初は、DPC対象病院で、平成14年度からデータをいただいておりますの で、全国の在院日数の平均値、患者構成の平均値は今年度、17年度の全国の病院の平均 値を使って、それぞれの年度ごとの比較を4年間で行っております。  それから、DPC試行的適用病院、15年からの調査に御協力いただいている病院につ いては、15年、16年、17年と3年間の比較を行っております。  調査協力病院については、15年から御協力いただいている病院と重なる部分がありま すが、16年、17年の2年間の比較ができる60の病院についてはその比較を行ってお ります。 ★ まず、DPC対象病院の平成14年のプロットです。同じように横軸が患者構成の指 標、縦軸は在院日数の指標です。 ★ 黄色で示したのが平成15年のDPC対象病院の状況です。 ★ 次は、ピンクの点で、平成16年のDPC対象病院のプロットです。 ★ そして、平成17年のDPC対象病院のプロットです。 ★ すべてを同じ図表上にプロットしたものですが、14年から15年、16年、17年と若干 上の方に、在院日数が短くなってくるような方向に移動しているのが見てとれます。 ★ もう一度、14年、15年、16年、17年、全体ということです。  同じような比較ですが、試行的適用病院については、15年からデータをいただいてお りますので、15、16、17年の比較を行っています。 ★ 最初が15年です。 ★ 平成16年。 ★ 平成17年。 ★ 全体を重ねたものですが、DPC対象病院と同様に、15年、16年、17年ということ で若干、在院日数の指標が上の方に上がってきているように見えます。 ★ それから、15年から調査に協力いただいております20の病院をプロットしたもので す。平成15年の値、 ★16年の値、 ★17年の値、 ★ 全体を重ねた図です。  平成16年、17年ということで、15年から参加していただいている病院も含めたプロッ トですが、60の病院の16年、17年の比較を同様に行っております。 ★ 16年、 ★ 17年、調査協力病院として年度の比較ができる60の病院については、 このような結果でございます。  以上、D−2の作表部分について御説明させていただきました。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。今の御説明に対して御質問、御討議をお願いいたします。  いずれの病院も、時間的な流れでかなり一つの集約点にまとまりつつあるなという感 じはするんですが、それと、特に特定機能病院の場合と、それ以外とが大きな違いがこ こで出てきたのかなと思われますが、いかがでしょうか。 ○武澤委員  全国の疾患構成に補正した場合というのがありますよね。それが在院日数の指標で、 それぞれの疾患がDPCごとにどれだけ短くなったかという指標だと思うんですが、具 体的にはどういうふうに計算するんですか。病院ごとの疾患構成を全国の疾患構成と合 わせるということをするんですか。 ○堀主査  そのとおりです。 ○武澤委員  それを教えていただきたいんですが。 ○堀主査  比較の対象としておりますのは、平成17年度に調査に御協力いただいております372 の病院からいただきましたデータをすべて使っておりまして、そこを一つの平均という ことで、DPC別の在院日数の平均値もその値を使っておりますし、患者構成も今年度 の2カ月間のデータの構成を比較の対象、平均値として使わせていただいております。 ○武澤委員  ということは、在院日数の指標というのは、在院日数をどれだけ短くするかというこ とを疾患ごとに計算しているわけだから、これが病院機能を評価するというか、それぞ れの疾患ごとに在院日数を短くする診療能力を持っているかと考えると、これが一番い い指標になるということですね。上の、患者構成の指標というのは結果ですね、結局ど れぐらい在院日数が伸びた患者さんが患者構成に関係なくそれぞれの病院にいたかとい うだけの話ですね。  ですから、在院日数の指標の方がおそらく病院の機能としては非常にわかりやすいと いうふうに考えていいんですね。 ○池上委員  すみません、もし可能であれば、こういう分析のしかたもお願いできたらと思いま す。こうやって集計してしまいますと、実際の行動がどうであるかということは必ずし もわかりやすくないものですから、思いつき的なことを申し上げて恐縮ですけど、各M DCごとの最も多いDPC分類を具体的に1つか2つ選んでいただいて、それの平均在 院日数を見る。あるいは、25%タイルに占める割合を見る。それを見た方が、実際の現 場にフィードバックするときにより参考になるのではないかと思います。といいますの は、MDC大分類というのは非常に広範なものが1つの大分類に集約されていますの で、その中での変動を見ても、何が変動しているかがよくわからないので、そして、実 際問題として少数のDPC分類にかなり多くの患者がそこに集約されていますので、現 場にフィードバックする上では具体的なDPC分類を1つだけ、あるいは2つ、最頻値 を選んで見ると、より具体的な特定機能病院とそれ以外の病院の違い、あるいはその変 遷も見ることができるのではないかと思いますので、もし御検討いただければ幸いでご ざいます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。トライアルしてみたいと思います。 ○松田委員  今の池上先生の御指摘ですけども、信友先生のところの、今、東大に移った堀口先生 がコアDPCという形で各DPCごとの分析をしていますので、それを少し発展させる 形で、今の先生の御質問に答えるような形での分析を進めてみたいと思います。 ○信友委員  DPCの世界に入ってこう変わったという説明、前提での意味付けなんですが、もう 一つ、我々が違う仕事をやったときに、学会があるガイドラインを出した。そうする と、大学病院でこういうことは変わったのか、変わらないのか、という視点で意味付け したことがあって、そのときに、ガイドラインが出たからこう変わったのと、それ以上 の大きな影響があるのは、教授が変わったらぐるっと診療体制が変わったのが見えたん ですね。ガイドラインより影響力は強いですよ。だから、DPCの影響なのか、教授が 変わったからなのか、それがどっちが強いのか。個別の病院で検討されたら、全体で見 るのは薄まってしまうからわからないでしょうけども、いかがでしょうか。 ○西岡分科会長  なかなか難しいと思いますが、このデータは今後厚労省のホームページからエクセル の形で公表していただけますので、多分、いろんな大学などで少し御検討いただけれ ば、傾向がはっきりしてくるかなという気はするんですが、非常に貴重な御意見で、身 にしみてわかる話でございますが。 ○伊藤委員  大変おもしろいデータだというふうに見たんですけど、これは随分、大学病院とその 他の病院で、疾患ごとに違う、疾患分布が違うのではないかという気がするんですが。 前に薬剤の調査をしたときに、抗がん剤の使用量が数倍違うんですけど、これを例え ば、悪性腫瘍みたいな疾患とか、そういう切り口で、これは疾患ごとのMDCが厳しい のかなと思いますが、大学病院には悪性腫瘍の疾患が集まっているのではないか。特に こういうのを見ると、耳鼻咽喉科系とかはそういう重たいのがそこに集中するのではな いかというのが図から想像できるんですけど、腫瘍みたいなものとか、循環器形であれ ばCABGみたいな手術とかを取り出してみたら、どう違うのか。逆に、将来的にこれ を全体に広げていくときに、疾患構成を考えていかないと適用が難しいんじゃないかな という印象を持ちました。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。ほかに御意見ございませんで しょうか。  非常におもしろい貴重なデータが出てまいりましたので、これをさらに発展していろ んな切り口で解析していけば、興味あるデータが出てくると思います。できる限り、我 々の方もやらせていただきたいと思っております。 ○熊本委員  先ほどホームページからエクセルでデータをというお話があったんですけど、かなり データが蓄積してまいりましたから、そういったことを還元するという方法に関して、 こういうデータはエクセルの形で還元していただけるような形でなってくるんでしょう か。データのことに関してですが。 ○西岡分科会長  事務局、お願いいたします。 ○眞鍋補佐  御指導ありがとうございます。今日その御質問にもお答えする形だと思っております が、後で御説明する形にしておりましたが、今日つけております参考資料ですが、こち らは平成16年度データの集計ということで、私ども、16年度データとしていただいたも の、かなり細かく各病院ごとにデータをつくりました。これも、現場の先生に大変な調 査をお願いしておりますので、少しでも内容を還元するという意味で、なるべくエクセ ル形式なりでダウンロードできる形でアップして還元していこうというようなことで今 日つけさせていただいたものであります。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。いろんなところで、いろんな側面から解析していただけると医 療の将来にとっても意味あることではないかと思いますので。ほかによろしいでしょう か。  ありがとうございました。松田先生、全体的にコメントがありますか。この新しい解 析で先生にはかなり御協力いただきましたが。 ○松田委員  事務局から説明していただいたことがほとんどだと思います。こういう形でようやく データが集計できて、やっと解析可能になったということは非常にいいことではないか と思います。今まで自分の病院がデータを出しているけれども、ほかと比べてどうなの かということがなかなかわかりにくかったと思いますけども、こういうデータを見てい ただくことによって、それぞれの病院、あるいはこれからその地域においてそれぞれの 病院が果たすべき役割なんかを考えていく上での資料になるんじゃないかと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。事務局からの説明に加えまして、本日、齋藤委員より全社連 で行われました調査結果も御用意いただいております。齋藤委員、御説明お願いいたし ます。 ○齋藤委員  それではお手元の報告書について簡単に御報告したいと思います。  この全社連の研究は、ここの委員会を初めとして、ベンチマーク指標、病院の医療の 内容を解析するとか、あるいは病院間の比較をするというような大変濃密なデータが集 積されつつありますが、医療従事者とか患者から見て、DPCの実施というのはどうい う影響があるのかということを、やや平易な視点で調査することが一つの目的でありま した。  それからもう一つは、2ページ目の研究の目的と方法、に書いてございますけれど も、社会保険病院でDPCを試行的適用いたしましたのが25施設、それから、調査協力 と不参加がそれぞれ13、14で、足すと27でございまして、ほとんど両病院間では患者の 質とか、病床規模が試行的適用で少し多いのですけれども、余り大きな医療上の差がな いということで、非試行病院、これは調査協力と不参加ですけれども、を対照群として 比較したらどうでしょうかという検討をいたしました。アンケートとEFファイルによ る数値等でございます。平均在院日数とか、収益とか、その他については、いろいろな データがございますし、また、外来にどのようなものがシフトしたかとか、そういうも のも調べてございますが、やや定性的なことで注目されるのは、16ページですが、試行 的適用病院と、不参加の病院とでヒヤリハットの件数を見てみますと、今回はこれが7 月からスタートして、調査を12月、1月、2月に行っておりますけれども、DPC導入 後、ヒヤリハットの事故数は試行的適用病院で明らかに低下の傾向にございます。上の 図9ですが、不参加の病院ではその期間ほとんど変わらないということで、医療事故の 防止にもDPCの適用がある程度有効である可能性を示唆していると。  その原因はいろいろ分析できますが、一つには、クリニカルパスが頻用されるように なったということ。それから、医療者側が医療を吟味するようになった。これは西岡先 生が中心になってまとめてくださっている日本病院会の調査でも、医療の吟味が進行す る、というような指摘が試行的適用病院で出ていますけれども、そういうようなことの 結果ではないかなと考えていますが、この点はさらに詳しく見てみる必要があります。  それで少し飛びまして、医師の立場から今回、入院の目的は達成できたかということ を38ページを見ていただきますと、試行的適用病院で「できた」という人が28.6%、非 参加の病院が27.8%とほとんど変わらないですね。それから「ほぼできた」というの も、66.8%に、63.3%ですから、当初、DPCの適用によって中途半端な状況で患者を 退院させなければならないような圧力が医師側にかかってくるのではないかということ もございましたけれども、ほとんど変わらない。  そして、1年前と比較して入院目的を達成できた患者は、「ほとんど変わらない」と いうところが、試行的適用病院では84.7%、非参加の病院では68.2%と、特に余り変わ らないということになっています。  それから、医療の中身が1年前と比べて変化したか、ということについては、これも 全体としては余り大きな差はないのですけれども、細かく見ると、少し試行的適用病院 では「変化した」と感じている人もあるようであります。  そして、41ページでは、クリニカルパスを適用して入院期間を短縮したとか、42ペー ジでは、インフォームド・コンセントを取りやすくなったといったようなことを言って いるところもございます。  それから、看護師の目から見たものも検討しておりまして、52ページで、看護師の目 から見て、患者は満足していたか、ということを調査しております。「十分満足してい た」と「ほぼ満足していた」という頻度は、それぞれ80%を越える数値でございまし て、適用病院も、非適用病院もほとんど差がないということで、看護師の目から見て も、粗診粗療で患者を早く出してしまったというような評価は、この調査ではほとんど みられなかったと。この調査は基本的には、DPCの欠陥検出型の調査で、欠陥がある かということを検出しようとしたというところに主眼があったのですが、見る限り余り なさそうだと。  それから、退院の時期は適切であったか、ということについては、「適切であった」 がDPCの非適用病院では33.8%、適用病院では24.9%で少しパーセンテージが少ない のですが、これはむしろ、長く延びてしまう患者がいて適切でないということで、早期 に退院させる不適切さということを看護師で感じている人は意外と少ないようです。  その次に、患者の視点も調査しておりますが、「患者満足度」が65ページにございま す。今回の入院で、外来から入院まで、これはほとんど差はないんですが、入院してか らの医療について66%に聞いておりますが、「十分満足している」という人が、適用病 院では56%、非適用病院では56%で同じで、「ほぼ満足している」が、それぞれ39%と 37%ということで、これは全く同時にブラインドで、両群で調べたんですが、ほとんど 有意の差は検出できていない。  それから、入院中にあなたに提供された医療は適切だったか、ということを適用病 院、非適用病院に聞いておりますが、「適切だった」が71.9%と69.2%、「ほぼ適切」 が24%と26%ということで、これも有意な差があるとは思われないということです。  70ページでは「あなたの退院時期は適切でしたか」ということについて「適切だった 」という人が66%と62%。「ほぼ適切だった」という人が28%と27%ということで、こ れも特段の有意の差は見られないということでございました。  全体として見ますと、DPC適用によって、よくなったというエビデンスは、ヒヤリ ハットがちょっと減りぎみというぐらいで、余り顕著なものはないのですが、従来、指 摘されているような、粗診粗療とか、早期の退院とか、そういうことは、医師、看護 師、そして患者自身の目から見ても、ほとんど差がないだろう。弊害は少なくともこの 調査からは検出できなかったというのが結論であります。以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。貴重なデータでございます。何か御質問、御意見ございませ んでしょうか。 ○信友委員  このDPCの世界の前のDRG試行検討会にもかかわっていたのでコメントなんです けども、そのときは社会保険岐阜病院が入っていた。で、DRGの世界に入ったら、ど うだ、と聞くと、その所属している群市医師会がこういうふうに言ってます、というこ とを委員長は言っておられるんですね。議事録には残っていると思います。文書には残 っていないと思うんですね。今回の対象は、医師、看護師、入退院の患者さんだけです ので、群市医師会で紹介元とか逆紹介元の先生方がどういう印象、主観的なものです が、というのもあると、なるほどな、というのがあるので、次回もしされるとすれば。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○齋藤委員  病診連携で周辺の診療所の先生が大変医療の中身をよく見ておられますので、今、信 友委員に御指摘いただいたことは大変重要だなと私も考えております。 ○酒巻委員  今の周辺の医療機関という点では、特別調査の方でさせていただいておるのがありま すので、いずれデータを出させていただきます。 ○西岡分科会長  この間ご報告させてもらったのは、中間報告だけでしたので、さらにそれを広げてや っていただく計画とのことですので、よろしくお願いします。 ○山口委員  ヒヤリハットの件ですけど、これは件数が減ったことは必ずしもいいことではなく て、むしろまずいということもあると思うんですね。実際に見ますと、事故の件数が減 っているわけではないので、この効果は今後を見てみないとちょっとわからないんじゃ ないかと思います。 ○西岡分科会長  はい。ほかに御意見ございませんでしょうか。 ○齋藤委員  あと、これも半分予告編みたいなものですが、先ほど申し上げましたように、西岡先 生、邉見先生などと日本病院会でアンケート調査をしております。これについては、実 際にやっている病院長の先生方に、例えば、今後このDPCが日本の医療の中で広がっ ていくのがよいと思うか、という問いかけをしますと、やっている人たちの55%が広が っていった方がいいと言っております。そして、35%ぐらいがなんともい言えないとい う意見で、やめた方がいいという意見は非常に少ないと思います。  それから、よい点というと、医療の吟味が進行するから、という指摘が非常にアンケ ート調査では出ておりますので、また折がありましたら、その中身を紹介させていただ きたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。よろしくお願いします。 ○原委員  ヒヤリハットの件ですが、わざわざ医療事故のところで括弧して(過誤)と書かれて いるんですが、これは過誤に限っているということで理解していいですか。といいます のは、国立病院の調査では転倒事故なんかも全部含めておりますよね。今後データが各 部門から出ていったときに、医療事故という言葉で行くと、先生のところの一群は過誤 だけに限っているんだという……。 ○齋藤委員  ではなくて、事故も含んでおります。いわゆる、看護協会が決めているヒヤリハット のクライテリアがあるんですね。それに沿ったものでありまして、ここに過誤と書いた のはミスリーディングだったかなあと私は思っておりますけれども、ありがとうござい ました。 ○西岡分科会長  ほかにございませんでしょうか。それではどうもありがとうございました。一応御議 論いただきましたので、当分科会におけますこれまでの議論を踏まえましてこの7月か ら10月までの退院患者に関わる調査の中間報告につきましては、分科会長の私から中医 協の診療報酬基本問題小委員会に報告を行うこととしたいと思っております。本日の御 議論を踏まえた報告内容につきましては、私に御一任いただければありがたいと思いま すが、よろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは私から報告させていただきます。  それでは最後の議題でございますが、参考資料ということで、平成16年度データの集 計について、というのがございます。これについて事務局から御説明をお願いいたしま す。 ○眞鍋補佐  ありがとうございます。それでは説明をさせていただきます。まず、参考資料です が、平成16年度データの集計で、もう若干説明してしまったところもございますが、私 ども、14年からデータを集めさせていただいておりますが、非常に大変な調査をいただ いております。そういった意味から少しでもデータを還元したいという意味で、このよ うな形でなるべく定例的にベーシックなデータは毎年、エクセルラインでダウンロード できる形でホームページに載せるなりといった形で還元したいということで、今回試み これを出してみました。16年度データの集計として、こちらの表紙にありますように、 (1)から(6)のようなことについて計算をしてございます。  1ページおめくりいただきまして、2ページです。集計対象年度は平成16年度です。  対象病院はDPC対象病院として82、試行的適用病院として62、調査協力病院として 60の病院でございました。  集計条件と公表条件ですが、1例とか2例というところに関しては、患者さんが特定 されてしまう可能性がなくはないので、そこは配慮させていただきまして、なるべく数 があるもので、すべての集計について10症例以上、5施設以上出現した場合に集計を行 っています。集計を行った場合でも、医療機関別に見て、症例数が10症例未満のときに は公表の対象外として‘−’で表示しています。集計条件については下記の通りという ことで、7月から10月のところで説明したものとほとんど同じような分析対象外項目で ございます。  3ページ以降、MDC別・医療機関別の件数をすべて出させていただいているところ であります。  以上でございます。すみません、一点だけ、先ほどの資料で訂正がございまして、D −2ですが、表紙の文言が1カ所間違っているところがございました。D−2の「在院 日数の平均の差の理由について」の下の方の2.手法の(3)集計方法の2段落目でご ざいますが、その上で「患者構成の差」については、各医療機関でのDPC毎の在院日 数を、平成17年全国平均に合わせた上で、医療機関毎の患者構成を用いて、の後ですが 「DPC毎の在院日数の差を評価」ではなくて「患者構成による差を評価」というふう に御訂正いただければと思います。ここは事務的なミスでおそらくワープロでコピー& ペーストでこういうふうになってしまったんだと思いますが「DPC毎の平均在院日数 の差の評価」を「患者構成による差の評価」と御訂正いただければと思います。  参考資料の御説明と資料の訂正でございました。 ○西岡分科会長  ただいまの御説明に関して何か御質問ございますでしょうか。ミスタイピングのとこ ろは直しておいていただけたらと思います。  それでは本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。  事務局から連絡事項その他、ございませんでしょうか。 ○眞鍋補佐  ありがとうございます。それでは、本日の中間報告につきまして、西岡分科会長から 基本問題小委員会に御報告いただきます。内容につきましては、基本問題小委で了承さ れて初めて中医協の見解となりますので、そこは御了解いただければと思います。以上 でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。それでは平成17年度第3回診療報酬調査専門組織・DPC 評価分科会を終了させていただきます。お忙しい中どうもありがとうございました。                                     −了−                【照会先】                 厚生労働省保険局医療課医療係                 代表 03−5253−1111(内線3276)