05/11/02 平成17年11月2日慢性期入院評価分科会議事録 05/11/02 診療報酬調査専門組織          平成17年度第3回慢性期入院医療の包括評価分科会議事録 (1)日時  平成17年11月2日(水)13:30〜16:35 (2)場所  厚生労働省専用第18、19、20会議室 (3)出席者 池上直己分科会長 高木安雄分科会長代理 泉キヨ子委員 猪口雄二委員        大塚宣夫委員 木下毅委員 近藤正晃ジェームス委員 椎名正樹委員        三上裕司委員 野中博(中医協委員)オブザーバー        <事務局>        福田企画官 赤川薬剤管理官 佐原課長補佐  他 (4)議題  ○ 前回分科会以降の経緯について(報告)        ○ 平成16年度調査の追加集計結果について(報告)        ○ 患者分類案妥当性調査結果概要(報告)        ○ 患者分類案について (5)議事内容 ○池上分科会長  時間となりましたので、まだお見えにならない委員もいらっしゃいますけれど、診療 報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価調査分科会の、平成17年度の第3回目を 開催したいと思います。よろしくお願いいたします。まず、委員に異動がありましたの で、事務局より報告をお願いいたします。 ○佐原補佐  川越委員から辞意の表明がありまして、辞任をされています。 ○池上分科会長  ありがとうございました。次に事務局に異動がありましたので、御報告をお願いいた します。 ○佐原補佐  10月1日付で着任いたしました、課長補佐の佐原と申します。どうぞよろしくお願い いたします。 ○池上分科会長  ありがとうございます。次に、委員の出欠です。まだ猪口委員がお見えになっていま せんけれど、間もなくお見えになると思います。それから本日はオブザーバーとして、 中医協委員で野中委員がいらっしゃる予定ですけれど、まだお見えになっていません。 ほかに、患者分類案に関する御意見を伺うために、本日は学会及び臨床現場の立場か ら、それぞれ1名の専門家にいらしていただいています。事務局より御紹介をお願いい たします。 ○佐原補佐  御紹介させていただきます。学会の立場から杏林大学医学部高齢医学教授の鳥羽研二 先生です。 ○鳥羽参考人  鳥羽です、よろしくお願いいたします。 ○池上分科会長  よろしくお願いいたします。 ○佐原補佐  続きまして、臨床現場の立場からということで、平成16年度の調査にも御協力いただ いております永生病院院長の安藤高朗先生です。 ○安藤参考人  安藤です、よろしくお願いいたします。 ○池上分科会長  ありがとうございます。先生方、本日はお忙しい中を恐縮でございます。後ほど、患 者分類案に関する議論をひととおりさせていただいてから、御意見を伺いたいと思いま すので、よろしくお願いいたします。  それでは議事に入ります。まず資料の確認を、事務局からお願いいたします。 ○佐原補佐  お手元の資料を御確認いただきたいと思います。資料は、まず「診調組 慢−1」と いうものと、それから慢−1の別紙1、慢−1の別紙2、そして慢−2、それから慢− 3、慢−4というものと、それから、きょう、参考人の先生方からいただきました、鳥 羽先生の提出資料、そして安藤先生の提出資料という、以上になっております。 ○池上分科会長  ありがとうございました。                 (猪口委員、入室) ○池上分科会長  猪口先生、いま資料の確認が終わったところでございます。それでは1つ目の議題で あります前回分科会以降の経緯について、事務局より報告をお願いします。 ○佐原補佐  それでは、慢−1をごらんください。前回の分科会以降の経緯についてということ で、簡単に御報告をさせていただきます。前回の分科会は6月30日に、平成17年度第2 回の分科会として開催していただきました。この分科会におきましては、患者分類案及 び平成17年調査の準備状況について、中医協の基本問題小委員会への報告を行うことを 了承ということでございました。  この後、7月13日及び7月27日に中医協の基本問題小委員会に御報告をさせていただ いております。分科会長より、平成17年度の調査について、それを実施するということ について報告をし、中医協から基本問題小委員会の御了承を得ております。その際に提 出いたしました資料は、別紙1及び別紙2ということになります。別紙1が、これまで の検討経過についてまとめたもの。また、別紙2が、慢性期入院医療の包括評価調査分 科会において平成17年度に行う調査について御審議いただいたものであります。  それから、その後、8月から9月にかけて、2つの調査をしております。ひとつは患 者分類試案の妥当性に関する調査を行いまして、この結果につきましては、とりまとめ ができておりますので、本日、報告をさせていただきます。また、もうひとつ、慢性期 入院患者実態調査については、これは現在、集計中ということでございます。以上でご ざいます。 ○池上分科会長  ありがとうございました。いま御説明いただいた内容について、御質問等はございま すか。よろしいでしょうか。事実の確認ですので、特に問題はないかと存じます。それ では次に、前回及び前々回の分科会におきまして、委員から集計希望のあった項目につ きまして、事務局より説明をお願いします。 ○佐原補佐  慢−2の資料をごらんください。これは特定療養費の該当状況についてということ で、御要望のありました件について、調査をしております。療養病棟入院基本料を算定 している患者さんの在院日数階級別分布につきまして、このような結果になっておりま す。180日超の方が全体で49.8%という状況でございました。また、療養病棟在院日数 180日超の方々の特定療養費の該当状況につきましては、特定療養費に該当していると いう方が全体の16.4%という結果でございました。  それから1枚おめくりいただきまして、特定療養費除外規定に該当している患者さん の、除外の理由ということにつきまして、この17項目それぞれ、どこが該当しているか ということについては、この表のとおりでございました。一番多いのは3番目の項目、 また12番目の常時頻回の喀痰吸引というのが多いという状況でございました。  3ページ目、4ページ目は、ここにいまつけておりますけれども、このあと御議論い ただきます、新しい分類案に基づいて、仮に集計したらどうなるかというものですの で、後ほど御議論いただければというふうに思います。 ○池上分科会長  ありがとうございました。1ページ、2ページ目については、これは集計の結果だけ でございます。そして、分母の数が違うのは、これは無回答を除いて、それぞれ集計し た方がわかりやすいので、そのようになっているわけでございます。そして最後の3ペ ージ、4ページ目については、これは本日、後ほど報告いたします、改訂した分類試案 に基づいた結果でございますので、その御説明をしないと御理解できないかと存じます ので、まず、この1〜2ページ目について、何か追加の御指摘などはございますか。時 間が迫っておりますので、また何かありましたら、事務局の方におっしゃっていただけ ればと思います。ありがとうございました。  それでは、この本題となります患者分類試案の妥当性調査結果概要、これを踏まえて 分類試案を見直したわけでございますので、まず、患者分類案の妥当性調査結果の概要 を、事務局から説明いただきたいと思います。 ○佐原補佐  それでは資料の慢−3をごらんいただきます。1枚おめくりいただきまして、まず調 査の客体ですが、これは16年度の調査の対象となった全国89病院のうち、御協力の得ら れました64病院、合計84病棟につきまして、調査をさせていただきました。実施方法で すけれど、実施時期は平成17年8月、調査方法は医師による自記式アンケート調査とい うことで実施しております。  調査内容については、まず1番目として患者分類試案に対する評価ということで、患 者分類試案全体に対する評価をいただきました。また、2番目として医療区分に対する 評価ということで、医療区分を分類する項目として不適切なものがあるかどうかという ことについて御意見をいただきました。それから3番目、医療療養病棟の役割と分類試 案ということで、それぞれの医療機関の医療療養病棟としてどのような役割を担ってい るのか、また担うべきと考えているのか、どういう対応を行っているのか、ということ についてお聞きしました。そして4番目、各患者の医療区分に対する評価ということ で、個々の患者さんが医療区分3とか、あるいは2とかということに評価をされた場合 に、それぞれの患者さんに対して、それが妥当であると感じるかどうかというようなこ とについて調査をさせていただいております。  1枚めくっていただきまして、調査結果でございます。まず最初、「患者分類試案」 全体に対する評価ということをお聞きしたところ、妥当であるというところが10.7%、 概ね妥当であるというところが58.3%ということで、約7割の医療機関で、概ね妥当で あるという評価をいただきました。そして次ですが、医療区分を分類する項目として不 適切なものとはどういうものかということについて聞きましたところ、一番多いのは5 番目ですが、意識障害のある気管切開・気管内挿管。それから1番目の常時監視を要す る状態。これらの項目については、全体の4分の1の医療機関から、工夫が必要である という御指摘をいただいております。  これは医療区分3の項目ですが、次に1枚おめくりいただきまして、医療区分2の項 目について申しますと、多いところでは10の、意識障害のある経管栄養、これが31%の 医療機関から、改善が必要であるということでありました。そして13番のインスリン皮 下注射(血糖チェック1日3回以上、ただし自己注射を除く)というものでも、御指摘 をいただきました。それから、医療療養病棟における対応を、どのようにしているかと いうことで、入院患者さんに、次のような疾病が発生した場合の、各医療機関での対応 についてお聞きしましたところ、まず1番目の肺炎ですが、原則として対応ということ で、療養病棟の中で対応していくというところが73.8%、原則として転棟・転院すると いう医療機関が20.2%というような結果でございました。以下、だいたい、ほぼ同じよ うな、8割近い医療機関で、原則として対応するという項目が多かったのですが、8番 と9番の妄想、幻覚につきましては、一番低い数値になっております。  いまの表は既に入院している患者さんの場合の対応ですが、4ページの一番頭は、入 院患者さんとして受け入れるかどうかということにつきまして、同じように聞いており ます。肺炎の場合、「原則として受け入れる」が45.2%、「原則として受け入れない」 が46.4%。以下、ここにお示ししているとおりの数字となっております。  続きまして、医療区分として追加すべき項目について聞いております。多いところか ら言いますと、まず一番最初の1番目、肺炎が全体で54.8%の医療機関から、これを追 加すべきであるという御回答をいただきました。それから7番目、末期の疾患であり、 余命が6か月以下であるというもの。それから10番目、抗生物質の注射。これらが大き な3つの項目でございました。  続きまして個別の患者さんの評価です。医療区分3に評価された患者さんに対して、 それが妥当であるかどうか。医療区分3よりもっと軽い区分にすべきであるというふう に感じるか、あるいは3の場合は、これより、より重いというのはないわけですが、よ り重いというカテゴリーをつくって、そういうふうに評価すべきであるかということに つきまして、聞いております。全体で、医療区分3の方がn=350ということで、350人 の患者さんについて聞いたところ、同質であるすなわちいまの医療区分3という評価で 適当であるというものが、全体のうち296名ということで84.6%という状況でした。  続きまして、医療区分2に評価された患者さんに対する妥当性の結果ということで見 ますと、全体で1,311名の方について調べたところ、同質であるというものすなわちい まの、この2という評価でいいだろうというものが、全体の74.4%という状況でした。 より軽い評価でいいというのが2.1%、より重い評価とすべきというのが12.5%という 結果でした。  続きまして6ページですが、医療区分1に評価された患者さんに対する妥当性評価結 果については、n=1,838名ということでありまして、同質であるという結果が67.1%、 「より軽い」が2.1%、「より重い」が12.0%という結果でした。  続きまして、医療療養病棟の役割について、どう考えるかという質問については、こ れは複数回答をいただきましたが、多い順に御紹介いたしますと1番目、急性期一般病 棟での治療後の受け皿を必要としている患者を見ていくべきであるという御意見が73.8 %、在宅での療養が一時的に困難になった際の受け皿を必要としている患者さんを対象 としていくべきという回答が71.4%、介護保険施設での療養が一時的に困難になった際 の受け皿を必要としている患者という答えが56.0%、積極的なリハビリテーションが必 要な患者というのが34.5%、というような結果でございました。  1枚めくっていただきまして、これは自由回答で答えていただいておりますけれど も、新たに出来高払いの対象とすべき薬剤はどういうものが適当であるかということに つきましては、抗生物質と回答された医療機関が45.2%、抗がん剤が27.4%、がん性疼 痛に対する鎮痛薬が22.6%という結果となっておりました。以上でございます。 ○池上分科会長  ありがとうございました。なお、本調査の結果は次の議題である患者分類案について に深く関係しており、後ほど御議論、御確認をいただきますので、できれば次の議題の 説明を受けてから、まとめて御質問等をしていただければと存じますが、何かいまの段 階で事実確認等がありましたら、どうぞおっしゃってください。いくつかの表の中で、 「一般病棟併設あり」と「一般病棟併設なし」というふうに、分けて集計してあるのが ございますけれども、これはどちらかというと、あるいは、かなりはっきりと、「一般 病棟併設なし」の方が、肺炎等への対応、あるいは医療区分として追加すべき項目とい うのが高くあがっているようです。そういうこともありまして、こうやって分けて表記 されています。よろしいでしょうか。 ○猪口委員  2ページ、医療区分3のところで、不適切な項目ということで、例えば常時監視と か、5番の意識障害がある気管切開・気管内挿管というのが高く出ているわけですけれ ど、その理由というのは聞いていますか。 ○池上分科会長  これは青い方の冊子に確か……。特に聞いていないですね。 ○眞鍋補佐  分科会長、よろしいでしょうか。事実関係としては聞いてございます。自由記載の形 で、どんな形で直せばいいかというようなことは聞いてございまして、それは実は、次 の資料の中に、少しコメントを引用するような形で書かせていただいております。 ○池上分科会長  はい、わかりました。では、それは次の資料のところでということで、よろしいでし ょうか。ほかにないようでしたら、急いで恐縮ですけれど、本日の主な議題である患者 分類案について、事務局から説明をお願いします。 ○佐原補佐  資料は慢−4をごらんください。患者分類案についてということで、御説明をさせて いただきます。まず、この資料は3部構成でつくっております。1が7月27日時点の患 者分類試案ということで、これは再度、お示しをするものであります。それから2は、 患者分類方法に関する検討ということで、先ほど慢−3で説明させていただいた調査結 果を再度お示ししつつ、今回の、本日に向けての検討の内容について御説明をさせてい ただきます。そして3番として、最後に、患者分類案について御説明をさせていただき ます。  まず1番目ですが、7月27日時点の患者分類試案については、これは特にあらためて 説明をする必要はないと思いますが、この検討に用いたデータにつきましては、患者特 性調査、タイムスタディ調査を行っております。そして1枚おめくりいただきまして、 要素1:「医療区分」という形で、このような形でおまとめいただいております。3ペ ージを開いていただきまして、要素2:「ADL区分」ということにつきましても、こ のような判断基準でおまとめをいただいております。また要素3:「認知機能障害加算 」ということにつきましても、このとおりでございます。  次に大きな2番目、患者分類方法に関する検討ということですが、以下のような調査 結果と、それから分析にあたっての観点というところに基づきまして、見直しを行って おります。まず1番目ですが、患者分類試案妥当性調査の結果を踏まえて、ひとつは検 討を行っております。具体的には療養病棟の役割に関する主な結果、それから医師によ る「医療区分」に対する妥当性評価の主な結果を踏まえております。  また、2つ目。患者分類方法の統計的観点等からの検討というのは、以下の5つの観 点からの再検討というものを行っております。これは順番に説明させていただきます。 まず、最初の1番のところですが、1枚おめくりいただきまして、5ページ目からにな ります。これが先ほど説明をさせていただきました患者分類試案妥当性調査の結果を再 度踏まえてという形になります。まず1番目、療養病棟の役割に関する主な結果という ところですが、先ほども御紹介しましたとおり、調査結果は以下のとおりとなっており ます。特に入院中の患者さんが下記の状態となった場合について見てみると、先ほど座 長の方からも御指摘がありましたとおり、「一般病棟併設なし」という病棟では、肺炎 や脱水等において、原則として対応するとした割合が9割を超えておりました。最初の 表は、入院中の患者が発症した場合に原則として対応する場合、次の表は新規入院患者 として受け入れる場合に原則として受け入れる割合ということで、先ほど御紹介したと おりのものであります。  1枚おめくりいただきまして、2番ですが、医師による「医療区分」に対する妥当性 評価の主な結果ということで、まず表現の見直しが必要な項目として指摘があった項目 ということで、先ほど、常時監視を要する状態、それから意識障害のある気管切開・気 管内挿管という項目が、見直しが必要であるという御指摘が多かったということを御紹 介しましたが、先ほど猪口委員から御質問のあった点は、ここに書いてあるとおりであ ります。その理由としては、定義が必要ではないか−−例えば病態の重篤度であると か、認知症による徘徊というのを、どういうふうに考えていくのかということについ て、明確な定義がないと、できないといったような御意見がございました。また、意識 障害に関しましては、これも意識障害の定義が不明確であり、明確な定義が必要である という御意見、あるいは意識障害という条件は不要ではないかという御意見がございま した。  それから医療区分2の方ですけれども、これも意識障害のある経管栄養、それからイ ンスリン皮下注射ということですが、この理由としましては、意識障害という条件をつ ける必要はないのではないかということと、それから、同様に意識障害の定義をする必 要があるということ、あるいはインスリンにつきましては、血糖値チェックの回数制限 が不要ではないか、あるいはインスリン皮下注射回数を条件にすべきではないかという ような御指摘がありました。  それから医療区分に追加すべき項目として指摘があった項目ということで、これは先 ほどの調査とだぶることになりますけれど、「肺炎」、「末期の疾患であり、余命が6 か月以下である」、「抗生物質注射」、それから医療区分2の「医療処置」に複数該当 する場合には医療区分3としてはどうかという御意見が多いところでありました。それ から、出来高の候補として指摘があった主な薬剤。大きなところでは、抗生物質、抗が ん剤、それから鎮痛薬ということでございました。  これらのことについて、考慮をしますとともに、もうひとつ、大きく考慮をいたしま したのが次のページ、7ページですが、患者分類方法の統計的観点からの検討というこ とであります。まず1番目、患者1人1日あたりケア時間の集計範囲の見直しというこ とであります。具体的には医療区分の評価であることから、前回の分科会における御指 摘も踏まえまして、次のように変えております。すなわち、患者1人1日あたりケア時 間これは職種別人件費重みづけケア時間になりますけれども、これを算出するにあたり まして、看護補助者によるケア時間を除き、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によ る集団リハビリテーションに該当する時間を加えたということであります。なお、個別 リハビリテーションはどうなのかという御質問があるかもしれませんが、個別リハビリ テーションは、現行の点数表上も包括範囲からはずれておりますので、今回のこの集計 には加えておりません。  このような修正を加えた結果、次の四角ですが、したがいまして、患者1人1日あた りケア時間というのは、医師、看護師、准看護師、それからメディカルソーシャルワー カー、薬剤師、栄養士、そしてリハスタッフの集団リハビリテーションにかかる時間、 これらで構成されているということでございます。  それから2番、もうひとつの観点は、これも同様に、前回までの分科会で、費用につ いても考慮すべきという御指摘がありましたことから、2番のところですが、患者1人 1日あたり費用というものを作成しまして、分析をさせていただきました。これは従前 出しておりました人件費に、それぞれの患者さんにかかる薬剤費及び特定保険医療材料 の費用を加えたものでございます。  四角のところを読みますと、1の分析に加え、薬剤費や材料費の使用額についても考 慮するため、患者1人1日あたり費用として、上記職種の人件費に、薬剤使用額(1日 あたり使用額)と特定保険医療材料費を加えた指標を作成しております。なお、この際 ですが、この薬剤使用額につきましては、患者分類試案妥当性調査の結果を踏まえまし て、抗悪性腫瘍薬及びアルカロイド系天然麻薬を除いた使用額というふうにしておりま す。  続きまして8ページですが、前のページの1番、2番に基づきまして、次に医療区分 の統計的観点からの検討ということを行っております。最初に、患者1人1日あたりケ ア時間に基づいて、全体の平均時間を1.0とした場合の、各項目の相対的時間を表す平 均時間比というのを算出いたしまして、それぞれの項目の患者さんに、どのくらい時間 がかかっているかというものを算出しました。そして、以下の基準で医療区分の検討対 象項目を設定いたしました。この平均時間比を1.0とした場合に、1.6以上−−これは、 考え方としては平均プラス標準偏差というものでありますが、1.6以上のケア時間がか かっている方につきましては、医療区分3というふうにし、また、1.15以上−−これは 標準偏差の4分の1のもの以上の方については医療区分2というふうに分類をいたしま した。  ただ、この際に、費用についても十分検討すべきだという御指摘を踏まえまして、次 の四角ですが、患者1人1日あたり費用、つまり人件費に薬剤費及び特定保険医療材料 費を加えたものですけれども、これについても全体平均費用を1.0とした場合の各項目 の相対的費用、すなわちそれぞれの項目に該当する患者さんについて、いくらかかって いるのかという平均費用比を算出いたしまして、次のような基準で医療区分の検討対象 項目を設定しております。この考え方は、基本的に上の平均時間比の場合と同じであり まして、標準偏差をもとに設定しております。これに加えまして、抽出した項目につい て、患者分類試案妥当性調査の結果やアップコーディング防止の観点などから、項目の 加除を行い、医療区分3及び2の見直しを行っております。この辺については、より具 体的には後ほど御説明いたします。  続きまして9ページですが、ADL区分の統計的観点からの検討ということです。A DL区分の方法につきましては、基本的に前回と同様に、以下のとおりとしておりま す。ADL得点によって、それぞれ3つに区分をしていく。ADL区分1〜3というふ うに区分することとしております。これについてADL区分の統計的検討に際しまして は、医療区分における患者1人1日あたりケア時間に看護補助者のケア時間を加えて集 計を行っております。  続きまして5番ですが、認知機能障害加算の統計的観点からの検討ということであり ます。この認知機能障害加算につきましては、これまでの検討の結果をもとに、統計的 検討を行いました結果、認知機能障害の有無による重みづけケア時間の差について、有 意となった「医療区分1・ADL区分1」というところと、それから「医療区分2・A DL区分1」の該当者を対象とするということで、仮に設定をしております。  以上が2つ目のステップであります。このような考え方に基づきまして、再度、分類 をいたしました結果が次の10ページからのものになります。「3.患者分類案」という ことでございます。まず医療区分につきましては、最終的なできあがりの形の案です が、それは次の11ページにお示ししているとおりであります。この項目について、それ ぞれ説明をしていきます。  10ページの頭ですが、まず医療区分の3につきまして、従前の患者分類試案に入って いた項目のうち、不採用となった項目は次のとおりでございます。まず、常時監視を要 する状態につきましては、患者分類試案妥当性調査の結果に基づき、医療区分として不 採用項目としました。これは表現等が不適切であるという回答が、全体の4分の1の医 療機関からあったということに基づいております。なお、この括弧内に書いてあります ように、この、常時監視を要する状態を不採用とした場合であっても、この項目に該当 する患者さんにつきましては、その98%が医療区分2あるいは3に、ほかの項目で合致 するという結果となっておりました。  それから、前回、医療区分3の、意識障害のある気管切開・気管内挿管というものに つきましても、同様に患者分類試案の結果に基づきまして、「意識障害のある」という 表現を削除いたしました。この結果、「気管切開・気管内挿管」のみというふうな条件 になりましたために、ケア時間等から計算しますと、医療区分2相当となりました。  それから新規採用項目につきまして、統計的検討により、「経静脈栄養」、「24時間 持続点滴」、「酸素療法」、「個室管理」、「感染隔離室におけるケア」を医療区分3 に新たに追加いたしました。  続きまして医療区分2ですが、患者分類試案に入っていた項目のうち、不採用となっ た項目につきまして、「脊髄損傷(ADL23以上)」、それから「暴行が毎日みられる 状態」、「ケアに対する抵抗が毎日みられる状態」、「意識障害のある経管栄養」、 「発疹」というものにつきましては、統計的検討により、不採用といたしました。  逆に新規採用項目として、今回の統計的検討により、医療区分2として新たに「肺気 腫/COPD」、「肺炎」、「脱水」、「体内出血」、「尿路感染症」、「創感染」、 「2度以上の火傷」、「うっ血性潰瘍」、「皮膚の治療を目的とした栄養・水分補給 」、「皮膚の潰瘍のケア」、「手術創のケア」、「足以外の創傷処置」、「足のケア」 が2つと、それから「足の創傷処置」、「リハビリテーションが必要な疾患が発症して から14日以内」という項目を追加しております。  このような検討の結果、1枚おめくりいただきまして、11ページにその結果をお示し しております。結果として医療区分3のところを見ていただきますと、医療処置として 中心静脈栄養、経静脈栄養、24時間持続点滴、等々という項目になっております。また 医療区分2につきましては、疾患及び状態が多発性硬化症、パーキンソン病等でありま して、医療処置につきましては透析、喀痰吸引等という状況になっております。  それから1枚おめくりいただいて12ページが、医療区分の7月27日の基本小委に提出 いたしましたバージョンとの比較ということでございます。これはごらんいただけれ ば、そのとおりでございます。  そして13ページですが、患者分類結果について、再度、説明率がどうかということに ついて検討を行いました。前述のとおり「医療区分」、「ADL区分」、「認知機能障 害加算」の3点から患者分類を11分類といたしました。そして11分類につきまして、医 師、看護士、准看護師、看護補助者等の時間の合計値を患者1日あたりケア時間に換算 し、その値に対する説明率を検証したところ、分散分析による説明率は25.6%というこ とで、前回の21%よりは改善したということでありました。  また、患者分布を7月27日の案と比較しますと、医療区分2の割合が5.0ポイント減 少し、医療区分3の割合が4.2ポイント増加しました。そして医療区分1は前回とほぼ 同様であったということでした。同様に、認知機能障害加算に該当する割合は前回と比 較して0.4ポイント減少したということでありました。  その辺を表にまとめたのが、最後の14ページのものであります。上が今回の検討に基 づいて分類した結果、下の表が7月27日の試案に基づいて分類した結果ということで、 前回に比べると医療区分3が増え、医療区分2が減り、医療区分1はほぼ同様という結 果となっておりました。ちょっと補足させていただきます。 ○眞鍋補佐  この資料を説明している中で、ちょっと舌足らずな部分がございまして、そこだけ御 説明させていただきます。今回、医療区分の検討にあたりましては、医療スタッフのケ ア時間を用いたわけですけれども、その際、ADLのところは統計的に調整をさせてい ただいて、ADLの影響をちゃんと調整したうえで医療区分について検討させていただ いたというふうなことを補足させていただきます。  それと、もうひとつ。12ページの医療区分の変更点というところを、ざっとごらんい ただきますと、医療区分の設定の仕方につきまして、先ほど申し上げましたように看護 補助者の時間をはずしてリハスタッフの集団リハの部分を入れたということで、いくつ か患者分類案、右側の列の方に項目が追加になってございます。これはやはり医療の時 間を重く見ていることから、いくつかの項目が出てきているようなところでございま す。例えば医療区分3ですと、個室管理や酸素療法、それから24時間持続点滴、経静脈 栄養、感染隔離室におけるケアといったものが出てきておりますし、医療区分2を見て いただきますと、脊損のADL23以上は逆に落ちているんですが、これはADL区分で すと23ですので、ADL区分でいくと3になるわけですが、純粋に医療の時間だけで見 ると有意な差があまり出てこなかったということでございます。逆にCOPDと言われ るような肺気腫とか慢性閉塞性肺疾患ということが入ってきているのと、あとはその医 療区分2の疾患・状態のところでうっ血性の潰瘍、2度以上の火傷、肺炎、脱水、体内 出血、尿路感染症、創感染ということが入ってきているということでございます。ま た、処置としましても、潰瘍や創のケアといったような項目が入ってきているというふ うな変更を、今回、加えさせていただいたところでございます。以上です。 ○池上分科会長  ありがとうございました。ただいまの御説明を踏まえて、御質問等がありましたら、 どうぞよろしくお願いいたします。 ○猪口委員  前回のこの分科会で決まった案が、中医協でその後の調査に進んでよろしいというこ とになって、それからその妥当性調査というのをやっているわけですが、かなり妥当性 としては高いものが出ていると思います。まあ、抗生物質等の追加という面はあります けれど。それを前提にして入れかえるというお話、結果をもとにして入れかえるという お話はわかるのですが、基本的な作業量を、看護補助を除いてリハスタッフを入れると いうことになると、前提が狂うような気がします。そうすると妥当性調査をして、よい 結果を得ながら、その前提となる作業量の基本を変えてしまうというやり方で、果たし てよいのかどうか。それから、それに基づいてまた分類案をつくると、これもまた妥当 性があるかどうか聞かないと、かなり内容的に変更されておりますので、果たしてその やり方でよろしいのかどうかということを、まずお聞きしたいのですが。 ○池上分科会長  事務局からまずお願いします。 ○眞鍋補佐  まず、事務局から御説明をさせていただきます。確かに前回、慢性期の分科会におき まして、そのときに出した案を若干改善するということで御了承いただきまして、その あと中医協の基本問題小委の方で、2回、御説明をいただきまして、そこでもまた少し 変わっておりますが、最終的には基本問題小委で御了解いただいた案で調査をさせてい ただいた、と。そのときの分析自体が、看護補助者も加えたケア時間でやらせていただ いたということは、猪口委員の御指摘のとおりでございます。それをもとに患者さんの 分類案につきまして、現場の御意見を聞くために、妥当性調査を行った。その結果を踏 まえたのが、まず、この調査の結果の概要から変えたところはございます。  もうひとつは、前回の分科会におきまして、こちらの分類の仕方、トータルケア時間 の中に、看護補助者の時間を加えることについて、いかがなものかというふうな御指摘 が、いくつかございました。そういうところを、まず、分科会長とも御相談させていた だいて、そういう分類の検討方法をしてはどうかというふうなことで、今回、させてい ただいたようなところでございます。まずは以上でございます。 ○池上分科会長  よろしいでしょうか。ひとつは前回の基本小委で承認いただいた案というのは、非常 にタイトなスケジュールでありまして、2月に調査が完了して、それからデータクリー ニングなどを行った関係で、多少、言い訳でございますけれども、まず、必ずしもきれ いなデータではなかったといいますか、十分に分析できなかった面があります。その最 大のものは、いま、事務局から、御指摘になかったもうひとつの点は、材料費について も考慮する必要があるという、当然の御指摘がありまして、その材料費については、実 は前回の案ではまったく考慮しないままの案でありました。それを今回は、1日あたり の薬剤あるいは特定保険材料の費用を含めて、そして先ほどの御説明にありました8ペ ージをごらんいただきますと、材料費を加えたということから、また新たな視点が生ま れてきました。  それからもうひとつ上の方の視点で、繰り返しになりますけれど、ちょっとややこし いんですけれど、全体の説明で3つを見た場合には、看護補助者も見ているわけです。 ただ、看護補助者を見るときには、これはADLの区分についての区分を見るときには 看護補助者は従来のとおり見て、そしてADL区分は看護補助者のケア時間を含めてい るんです。ただ、医療区分に関しては、看護補助者を入れるのは適当でないと考えまし て、看護補助者のケア時間を除いて、またADLで補正したうえで、どのくらい違うか ということを見たわけですので、より精緻な分析を行ったのではないかと、私は思って おります。ですから、考え方は基本的にまったく同じで、時間に少し余裕がありました ので、より精緻に分析することができたということでございます。よろしいでしょう か。 ○猪口委員  ちょっと、見てすぐなので、詳しくは言えないんですが、前回、中医協に2回出させ ていただいた、その2回目の間に行われたのは、より慢性期の状態像というのをはっき りするということで、やはり、それぞれ慢性期をやられている先生が現場から見て、ま ず妥当性を調査する前に、かなり現場でよく知っている先生方の御意見も聞いてつくっ ていったものかと記憶しております。ですから、また今度の分類案で、私も一応、現場 からの人間の意見とすると、例えば慢性期の分類で、感染症が療養型でもちゃんと治療 されているということは、もう、データ上、先ほどの説明で明らかなので、この感染症 に対する対応はきちっとつくらなければいけないというふうには感じておりますが、こ こに出ている、例えば体内出血という表現とか、足のケアについて4項目入っていると か、非常に、慢性期の日本の医療機関の現状には、そぐわないのではないかというふう な疑問を感じたり、それからCOPDといっても、重症から軽症まで、様々な状態があ りますので、COPDだと医療区分2というやり方が、果たして妥当性があるかどうか ということも検討しないとわかりません。  それから、胃瘻とかそういうものが、意識障害がはっきりわからないので抜いたとい うことですが、意識障害という定義づけは現在の診療報酬上も、グラスゴーコーマスケ ールとジャパンコーマスケールで、確か、いくつ以上という規定がはっきりしています ので、そういう規定をきちんと入れると、条件づけがされていくのではないかというよ うなことを考えると、これはちょっと、まったく私の私見ですが、現場のフィット感と して、この新しい分類にした場合にどうだろうかという、率直な疑問があります。 ○池上分科会長  ちょっと確認ですけれど、意識障害というのは、どこを除いたところが問題という御 指摘ですか。 ○猪口委員  意識障害は、先ほどの説明だと、重症度とか意識障害の程度がはっきりしない、条件 づけがはっきりしないということで不適当なのではないかという説明がありましたの で、それは現在も使われている意識障害の重症度に関する定義を入れるだけで、かなり はっきりするのではないかということです。 ○池上分科会長  すみません、6ページをごらんいただくと、ちょっと事務局の説明が必ずしも十分で なくて、例えば6ページの上で、意識障害のある気管切開・気管内挿管について、確か に、事務局の説明があったように、意識障害の明確な定義が必要という指摘もあったの ですけれど、私はこの数的には、意識障害の条件は不要という理由の方が多かったよう に記憶しております。ですから、同様に、経管栄養についても、条件は不要という御指 摘の方が、確か、多かったように記憶しておりますので、定義について、先生のおっし ゃるようなコーマスケールで定義すれば、その疑問は解消できるかと思うのですけれ ど。この条件の設定そのものに問題があるという御指摘が多かったように記憶しており ます。その点だけ申し上げておきたいと思います。  これは実は、きょう、お二人の先生方においでいただいていますので、体内出血や足 のケアについて、御専門の立場からもまた御意見を頂戴できればと思いますけれど、い まの御指摘は御指摘として承っておきたいと思います。よろしいでしょうか。  では、そのほか、別の観点からございますか。 ○三上委員  医療区分1、2、3を分けるのに、人件費等の費用を加味して、平均値を1として、 1+0.5SDと、SDというので分けているということは、平均+0.25SDまでは医療区分1 ということになりますから、基本的には1、2、3の割合というのが決まるということ ですよね。そういう判断でいいんですか。2が平均にするというわけではなくて、半分 以上、約60%を1とするというふうな前提で分類するということでいいのですか。 ○佐原補佐  そのとおりだと思います。 ○三上委員  それと、この人件費というものの考え方ですけれど、基本的に、人件費を計算する根 拠というのはあるのでしょうか。何かの基準で計算されていますか。 ○池上分科会長  どうぞ、事務局から説明をお願いします。 ○眞鍋補佐  こちらはタイムスタディをやらせていただいていると同時に、病院の会計の状況をお 聞かせいただいておりまして、そちらの病院の平均人件費をとらせていただいて、それ で推計をしております。 ○池上分科会長  職種別の平均ですね。 ○眞鍋補佐  そのとおりです。 ○池上分科会長  それから看護師を1.0として、それと比べて、例えば准看護師はいくら、看護助手は いくらという形で……。 ○三上委員  もうひとつよろしいですか。 ○池上分科会長  はい。 ○三上委員  前回の中医協の基本問題小委員会で、食費を、食べたぶんだけ払ってはどうかという 話が出ていました。あれは非常に奇異な感じがいたしましたけれど、要は、ものについ ては出来高にしろというふうな発想なのか。朝ご飯だけを食べて3食分払うのはおかし いのではないかという話があったわけですけれど、ここは経管栄養とかIVHの部分も 全部入っているわけですが、ものについて、どの程度出来高にするというのは、どうな んでしょうか。あれは中医協の1号側から出た意見だと思いますが、確かに出来高にす る方が精緻になるとは思いますけれど、これは診療報酬の検討組織ですので、どういう 考え方で、どこまで包括するのかというのは、基本問題小委員会の方の意見を反映する 方がいいのではないでしょうか。どうでしょうか。 ○佐原補佐  いまの御指摘のようなことまで考えて、前回の中医協で食費のことを御議論いただい たわけではないと思うのですが、つまりすべて出来高に戻すということで御議論いただ いたわけではないと思いますが。いずれにしましても、こちらの、これは慢性期の支払 いの方式がどういうふうにあるかというのは、それはそれとして御議論いただければい いと思いますし、また、先生の御指摘のように、例えばどういう薬剤を包括の中に入れ るべきなのか、入れないでおくべきなのかということも、あわせて御議論いただければ と思います。 ○三上委員  1号案の意見ということですね。 ○椎名委員  私も何か、いまの三上先生のお話がちょっとわからないのですけれど。あくまでも、 ここは調査専門組織だから、きちんとエビデンスのあるデータを集めて、慢性期入院の 包括評価、患者分類をきちんとして、それを基本的に、基本問題小委員会に上げる。し たがって、政策的な判断は中医協の基本問題小委員会で行う。ですから、この調査検討 組織で、1号側、2号側で、ミニ中医協みたいな議論をするのは、まったくナンセンス だと思うんです。 ○三上委員  わかりましたけれど、私は以前から、食費というのが、例えば3食分かれているわけ ですが、いわゆる差益が出る−−1食で3食分という1日包括の場合、その場合に、包 括がまずいという話をされる場合がありますが、差損の出るぶんについても、やはりま ずいというふうには考えておりますので、IVHなんかのものにつきましても、当然、 ものとして別の方が、本来はよく、ここの、どこを出来高にはずすかというの、この包 括の議論の中で、ものについて、ある程度、どの程度の部分ははずすべきである、出来 高にすべきである、という議論をここでしていただく方が……。例えば抗生物質等、高 価な薬剤については、はずしてはどうかという話が出ておりますし、その議論の中で、 この話も検討していただければというふうに思っておりますが。 ○池上分科会長  この妥当性調査集計結果の概要、慢−3のところで、この最後の7ページに自由回答 として、新たに出来高払いの対象にすべき薬剤というのがありまして、まさに三上先生 が御指摘になったことを、そのまま妥当性調査として伺っております。このうち2番目 にあがっている抗がん剤と、がん性疼痛に対する鎮痛薬、この2つは今回お示しした案 では包括の対象外となっていまして、そして、がん性疼痛に限らず麻薬類に関しては包 括の対象外として、その部分の薬剤費は、先ほど申した材料費のコストから除いて計算 されています。そこで最大の課題は抗生物質、あるいはこういう点滴のことでございま すけれど、先ほどの説明で、多少、飛ばしたところがありまして、恐縮ですけれど慢− 4の分類案についての10ページの下の部分をごらんください。慢−4の慢性期入院医療 包括評価における患者分類案についての、10ページの下の部分を補足しながら、事務局 の方で読み上げていただけますか。 ○佐原補佐  はい。すみませんでした。一番下ですけれど、「注射・点滴を受けた日数(過去7日 間)」というのは、統計的検討では医療区分3の水準に該当するものの、安易な処置を 助長する可能性があることから医療区分の項目として、今回は採用しておりません。ま た、集計結果を見ますと、「注射・点滴を受けた日数が1日以上」に該当する方の78% が、何らかの形で医療区分2及び3に該当し、「注射・点滴を受けた日数が5日以上」 の該当者では、87%が医療区分2及び3に該当するということであります。 ○池上分科会長  この分科会に与えられた課題は、患者の状態像などに応じた包括評価分類案というこ とで、実質的にこのような分類の基準にあてはめれば、薬剤使用者の大半はカバーされ ているという解釈に立った分類案であります。しかし、三上先生から御指摘のあったよ うに、この薬剤については、それはそれとして独自に評価するべきということは、御意 見としてお出しいただきましたので、これについて、ほかの委員の先生からもコメント をいただければと思いますけれど。 ○木下委員  では、まず、そのことから。いま、差益とか差損という話があったんですけれど、や はり老人医療が点滴漬けとか注射漬けというふうに批判された時代がありましたが、当 時よりはいまは定額制になって、よくなっているという感覚は、現場として持っている ので、まあ、差損も大変なんでしょうけれど、差益が出るようなシステムはまずいので はないかというので、完全な出来高ではなくて、何か別の方法で−−薬価の2分の1と か、あるいは抗生物質の加算とか、何かそういう方法なら、現場としては非常にやりや すいかなあと思うのですけれど、完全な出来高というのは、いまは抗生物質の使用ガイ ドラインみたいなものが、はっきり教育されていないということがあって、そこが充実 すれば問題ないと思うのですけれど、そういう現状では、完全な出来高というのは、現 場では、少し矛盾が生じるのではないかという感じがあるので、何らかの加算という方 法はいいと思うのですけれど、現場としてはそういうふうに考えています。 ○池上分科会長  ほかにいかがでしょうか。 ○猪口委員  私も完全な出来高にまわすのはどうかなあと思っています。区分を変えるという方法 か、もしくは感染症の治療加算みたいな形で、それもかなり実際の感染源もしくは状 態、そういうものが明らかにされるぐらいのものにしかつけられないとか、そういうふ うなことをしないと、どうしても抗生物質の濫用というのは、あまり日本の医療にとっ て、いいことにはならないはずなので−−過去の歴史から見てもそうですから−−でき るだけ、その辺の抑制等は必要に応じて……。先ほどのデータでも、必要に応じて、皆 さん、感染症も見ているというふうに、かなり多数のところが答えているので、ですか ら現場としては、ある程度の対応は効いているわけですから、少し、かなりの条件づけ を持ったうえでの加算という方が、現実としてはいいのではないかというような感じが していますが。 ○三上委員  加算をつけるのと、使った抗生物質を出来高でカウントするのと、どちらがいいかと いう話ですけれど、加算でいく方が、おおまかなと言ってはおかしいですけれど、包括 的出来高的な、あるいは出来高的包括的な考え方だと思いますが、フェアであるという ことを言えば、出来高が一番フェアであるというふうには思いますが、医療行動という か診療行動を抑制するというか、いわゆる性悪説に立てば、過剰に投与されることを防 ぐためには包括の方がいいだろうというふうには思いますけれど。逆に言えば過少診療 を防ぐには、出来高できちんと出す方がいいという考え方なので。それが、いわゆる平 均値をとってやる、いわゆる定額制のものの中で、バラツキがかなり大きなもの−−で すから、バンコマイシンのような、抗生剤でも非常に高価なものについては、やはり加 算という形ではカバーできないのではないかというふうに思うんですけれど。 ○猪口委員  あまり医療的な話をここでするのもどうかと思うのですが……。私、こういう会場で するような話ではないような気もしますが、個人的に言うとバンコマイシンというの は、そのあとのVREの発生を考えると、極力、使用は避けるべきだと思っておりまし て、ほかの抗生物質で、やはりちゃんと感受性を見たうえで使用すべきであって、安易 にバンコマイシンを使うことは非常に恐ろしい結果を招くと、逆に考えております。 ○木下委員  これは我々の団体で調べたデータで、まだ集計中ですけれど、医療療養病床1万9,000 床で調べて1か月にバンコマイシン系を使ったのが63日ですか、そういう結果が出てい るので、頻度から言えば割と少ないので、ある程度、丸めてもいいのかなあということ で、この調査の中でも、使用量にバラツキがあって、0.5グラムを2回というのと1日 4グラムぐらい使っている例、それから除菌という項目で使っていることもあるので、 やはりある程度、完全な出来高でない方が、耐性菌の発現とか、そういう面から見れば 有効ではないかというふうに感じています。 ○大塚委員  私も出来高払いよりは加算で行くべきではないかというふうに思います。 ○池上分科会長  ほかの先生から御意見がありましたらお願いします。 ○木下委員  ほかのことでもいいですか。 ○池上分科会長  はい、どうぞ。 ○木下委員  この医療度の1、2、3という分類ですけれど、いまお聞きしたら、1が60%になる ようなシステムで最初から始まるということですけれど、この医療度1、2、3という のを、どういうふうに考えるかというので、そのもとが、よくわからない。1になった 人が、どういう解釈をされるのか。1の部類は、もう、病院に入院する必要はないとい う判断になるのか、その辺がはっきりしないので、1が最初から60%だというと、1の 中にかなり医療の必要な人が含まれている可能性があるということを、どういうふうに 解決するかということが必要だと思うのですけれど、その辺はいかがでしょうか。 ○池上分科会長  どうしますか、それは……。 ○眞鍋補佐  まず事務局から技術的なところを報告させていただきます。今回の分類に関しまし て、まずケア時間で標準偏差をとったということ。もうひとつは、お金の方でも項目を 追加して、標準偏差をとってやっていますので、ひとつの軸で、平均プラス1標準偏差 というと、だいたい割合が出てきますけれども、2つの、時間とそれからお金という軸 でとっているので、実は、6割というふうなことで厳密になるものではなくて、慢−4 の資料の最後の14ページを見ていただきますと、医療区分1は、6割は切っておりまし て54%程度というふうになっているということでございます。 ○佐原補佐  それから、この区分したあと、どうなるかということですが、こちらの分科会にお願 いしていることは、この病態に応じた評価をどういうふうにやっていくのかということ ですので、そこを、こちらでは御議論いただくのではないか、と。そのあと、具体的に 支払い方法がどうなるかということは、これは基本問題小委員会等で御議論いただくこ とだと思っております。 ○木下委員  そのときに、どこで切るかというので、最初の数字が生きているわけですよね。標準 偏差をどこまでとるかというのは。その辺をどう考えるかというのと、大塚先生が以前 から指摘されているように、タイムスタディというのは、現在提供されているもので分 析したもので、必ずしも必要な看護や医療がされているという現状ではないということ から考えると、そのタイムスタディを中心に分類していることだけでいいのかどうかと いう疑問があるので、その1の解釈が、これからどうなっていくかということを、はっ きりしておかなくてはいけないような気がします。 ○池上分科会長  私の私見として、これをお引き受けしたときの前提を振り返りますと、包括報酬とい うのは、あるべき報酬ということから出発しているわけではなく、現状ではいくら報酬 として払っているか。DPCにしても、あるべき急性期医療のあり方というところから 出発していないで、特定機能病院における出来高の実績に基づいて、分類もしたし報酬 額を設定して、それで、そのようにしてデータベースができた段階で、次に、あるべき 姿に向けて質の評価ということを行っていくことになるのではないかと思いますので、 なかなか、あるべき姿から分類を作成していくということは難しいのではないかという 気がいたします。  その際、確かに、標準偏差ということで機械的に切ったという印象はお持ちになるか もしれませんけれど、実際の分布を見ますと、それはたまたま境界線上にあって、いず れにするか迷うというのも確かにいくつかありますけれど、大部分は明らかにケア時間 が短いのと、明らかにケア時間が長いというふうに分かれていて、そして境界線上にあ るところは、多少、そういう臨床的なことも、いろいろな先生の御意見を踏まえて、区 分1にするか区分2にするかという振り分けを行ったところもあります。したがって完 全に機械的ということでもなく、また、先ほど事務局から説明があった、費用の点から も分布を見て分けていますので、そういうことはないと思います。ただ、その、そもそ も論として、医療区分1というのはどうするかというのは、ちょっと私は答えにくいの で、むしろほかの委員の先生、あるいは中医協で御検討いただければと思うのですけれ ど。 ○大塚委員  もう一回、確認させていただきたいのですが、この医療区分1、2、3というのは、 たまたま振り分けていったら、医療区分1が53〜54%になって、2、3というのは、そ の残りの分になったというよりは、最初にこのような区分けになるように仕組みを作っ ていったという理解でいいのですか。 ○池上分科会長  100%そうだということではないというのは、先ほど2つの軸があったわけですので、 ケア時間だけでしたら先生のおっしゃるように、機械的にそうなったと思うんです。し かし1日あたりの費用という、材料費を加味したものも含めて分類したわけですから、 その境界線上のところは総合的に判断したということになると思いますので。ちなみに 最後の患者の分布というのを見ますと、今回、いろいろ分類した結果、医療区分1に該 当した方は54.1%で、前回の53.3%より0.8%少なくなっているんですけれど、これは、 そういうふうに意図したわけではなく、結果的にそうなったわけでして、決してこの半 数を、あるいは3分の2を医療区分1にしたいというところから出発したわけではあり ません。 ○木下委員  そこが非常に疑問なので、例えば12ページの下の方の医療処置で、意識障害のある経 管栄養、これが今回のでは医療区分の1になっているわけですけれど、意識障害という 判定が難しいから、意識障害という項目を除いたら時間数が減ったので医療区分1にな ったという説明でしたよね。そうすると、明らかにこれはタイムスタディの結果で分類 をしているということになるのではありませんか。ただ意識障害の判定が困難だという だけで、その項目を除いたという……。 ○池上分科会長  いえ、意識障害の判定が困難というより、意識障害という条件をつけることも難しい のではないかという指摘があったと思います。そして……。 ○木下委員  いえ、だからそこの判断がタイムスタディをもとに数字でされているということは事 実ではないですか、ということを言いたいんです。 ○佐原補佐  御指摘はそのとおりだと思います。というか、我々事務局は淡々とやったつもりです ので、意識障害というのをはずすことで、そうすると時間はどうなるかということで分 類をしております。ただ、最終的にそういう分類でいいかどうかというのは、まさにこ この分科会で御議論いただければいいと思います。 ○池上分科会長  すみません、私が申し上げたかったことは、当初のこの案、7月の段階の案で、なぜ 経管栄養だけとしなかったかというと、これは経管栄養だけだとすると、むしろ介助を して食事をした方が、介護職員の費用がより発生するので、何らかの条件が必要ではな いかということで、意識障害という条件を加味して、その結果、経管栄養の意識障害が あるというのを、7月のときには入れたというふうに記憶しています。ところが、その 分類案を、妥当性調査で現場に戻したところ、意識障害という解釈も難しいし、また、 意識障害というのは、なぜそういう条件が必要なのかという御指摘があったので、今度 はその意識障害を取ってみた結果、経管栄養というだけで条件にすることは必ずしも適 切でないという、もともとの、7月時点の結論にまた戻ってしまって、それがまたケア 時間のうえでも基準に該当していなかったという経緯なんです。ですから、ちょっと複 雑で、確か最初は、経管栄養だけとすることには問題があるというのは7月時点の考え 方ではなかったかと記憶していましたので。 ○猪口委員  この問題は確かにそうだと思います。それで、経管栄養は、例えば現場でもわかると おり、食事介助でやるよりも経管栄養を入れた方が、介助量が少ないというのは事実だ と思うんです。ただ、今後の慢性期の状態像を考えるときに、意識障害があり、経管栄 養で栄養を補給しておられる方が、介護施設と医療療養ということを比べてみたとき に、どちらの方がふさわしいか、あるべき論は違うと言いますけれど、現状はたくさん そういう患者さんがいるわけで、そういう方こそ、医療療養で見るべきではないか、 と。そういうあるべき論があったことも、また事実であって、それで経管栄養だけで は、やはり介助量も少ないし、あれだから、意識障害がある場合はもっと手がかかるん だから、その場合はどうだろうかということで、そうしたら仕事量もそこそこだという ようなことで、そこに入っていったというような記憶がありますので、数字だけで切る という話ではなくて、やはり医療療養が今後、残されていく中で、どういう姿であるべ きかということは、やはり重要な要素ではないかというふうに思いますが。 ○木下委員  慢−3の資料の6ページの下の表ですけれど、これに医療療養病棟の役割というふう に、皆さんが思っている比率が出ています。やはり、この辺の部分は、何らかの形でカ バーしていく項目が必要ではないかというふうに思いますので。1、2、3は入ってい て、積極的なリハビリテーションというのは、まあ、回復期リハとか、そういう役目と して、5番目の維持期のリハビリテーション、それから6番目の終末期ケアを要する患 者、7番目の重度の意識障害を有する患者、8番目の重度の……ああ、これはちょっと 比率が低いですね。それから9番目の経口摂取が困難な患者、これは70%の人が医療療 養病棟の役割だというふうに考えているので、特に今回の分類では経口摂取が可能な患 者というのが、まったく評価されていないということでは、この療養病棟の役割と乖離 しているところがあるので、その辺は考慮していく必要があると思います。  それと、維持期のリハビリテーションですけれど、これは医療区分の2に入ったの が、リハビリテーションで14日という日数がありますけれど、これはむしろ急性期なり 回復期の役割なので、維持期のリハビリテーションは別の評価の方法で入れないと、こ れは療養病床の役割とは違う項目が入っているというふうに感じます。  それと、慢−4の10ページに、医療区分の分析について説明があるんですけれど、こ れの2番、医療区分2。意識障害のある経管栄養で73%が医療区分2、3になるという ことは、意識障害のある経管栄養の27%が医療区分1になっているということですけれ ど、その状態がどういう人かというのも分析する必要があるのではないかと思っていま す。  あと抜けているのが心不全、腎不全、それから猪口先生から指摘のあったCOPD。 この辺には、医療のうえで重症度の判定基準があるので、そういうのを取り入れて判断 すれば、いいのではないかというふうに思います。ADLだけではなくて、現場でいま 使われている医療の重症度判定。パーキンソンにしてもヤールの分類とか、いろいろ使 われているので、そういうのを区分に入れていった方が現場としては非常に理解しやす いというふうに思います。 ○池上分科会長  ありがとうございました。実は、きょうはいろいろ問題点を出していただいて、そし て次回の分科会の日程も決まっております。それが、何らかの年内の結論を得る、ある いは年内に基本小委に報告するとしたら、割とタイムリミットだということを、内々に 伺っておりますので、いま、木下先生から御指摘のあったところは、いまあるデータセ ットで追加分析可能なもので、具体的に作業をして、そして次回までに御報告申し上げ るということの、具体的な作業を御提示いただくと、ありがたいかと思います。  そのうちひとつは慢−4の10ページにあって、いま、木下先生から御指摘のあった、 意識障害のある経管栄養について、当該項目該当者の73%が医療区分2、3に該当する けれど、じゃあ残りの27%の方はどうなのかということは、これは分析できますので、 事務局で−−まだ、それは分析していないんですね。そのような御要望がありました ら、この場だけでなく、また……。ただ、来週には次の分科会が開かれますので、でき るだけ早く、そういったところをいただければと思います。きょう、一度にこれだけの 資料をごらんいただいたので、咀嚼が難しいかもしれませんので、きょう、明日中ぐら いに御指摘いただければと思います。 ○猪口委員  先ほども言ったんですけれど、せっかくの、あれだけの実地調査をやったわけで、そ こで調査を行ったすべての病院さんに、フィット感があるかないかということを聞いて いるわけですよね。そこで看護補助者の作業量も除いて、かなりの項目ががらりと入れ かわると、このあいだやった調査の意味あいがなくなると思うんです。だから、私はや はり7月27日の調査をベースにして、それで皆さんから、こういうところはどうだろう かという指摘があったところを、もう一度、数字で練り直して、例えば入れかえるんだ ったら、そこで入れかえていって、より妥当性が高いだろうというものにつくるべきで あって、指標も軸も変えてしまうというのは、ちょっと、このあいだの調査の意味あい が消えてしまうので、やはり、これはいかがなものかと思います。  それから、例えば臨床的に常時監視を要する状態というのは非常にわかりづらいの で、これは削除するということでしたけれど、一方、個室管理というのが入っていま す。常時監視を要する状態と個室管理というのは、似たり寄ったりというか、どちらも よくわからないんじゃないかなあという気がしています。そういう入れかえではなく て、もう少し現場からわかりやすい−−たとえアールスクエアが少し下がってでも、現 場からわかりやすい、もしくは条件をつけたものに変えていって、わかりやすいものに するという方が、やはり今後のあり方としてはいいのではないかという気がするのです けれど、その辺はいかがでしょうか。 ○池上分科会長  例えば肺炎などについては、どうごらんになりますか。 ○猪口委員  それはまさに、ここで話すことであって、要は、一番問題になっているのは、例えば 皆さんからの御意見で多いのは、感染症に対する対応をどうするかということだと思う んです。べつにそれは肺炎であろうと尿路感染症であろうと、その他であろうと、感染 症であることには変わりないわけです。ですから感染症に対応する対策として、それ を、例えば区分2に入れるのか。そこの抗生物質について、それをどうするのか、本当 に出来高にするのか、もしくは加算という形が好ましいのか。それを話し合うのが、よ ろしいのではないでしょうか。 ○池上分科会長  ですから、その話し合いをこれからしたいと思うのですけれど、私が申し上げたの は、7月時点のことをベースとして、そこから踏み出さないということであれば、妥当 性調査でも返答があった感染症に対して基本的に療養病床で対応しているという実態に 対応できなくなることを申し上げているわけです。それでもし、感染症について療養病 床の中で対応するということを前提とするのであれば、よろしいんですけれど、それも 7月の案になかったから、今後とも、それについては枠組みを変えてしまうから議論す べきでないというと、ちょっと……。 ○猪口委員  いえ、そこまでは言っていません。ですから、あくまでその7月のベースに対して調 査をしたわけですから、そこで皆さんが感染症への対応をしているということも明らか になったし、実際に抗生物質も、多くの医療機関で使用しているということも明らかに なったので、これに対して、じゃあ、どういうふうにこれをまた変えていけば、より妥 当性があるかという議論に持っていけばいいので、そもそもの作業時間とか、そういう 時間を変えていくと、ちょっと、項目設定がかなり変わってしまうのではないかという ことを言っているわけです。 ○木下委員  猪口先生と似たところはあるんですけれど、中医協に出たのは前回のぶんで出ている ので、やはり、それを無視することはできないと思うし、また、それに基づいて現場の 感覚を調査しているので、3つの資料というか、7月のと、実態調査をやったのと、そ れから今回出された資料、この3つをもとに項目の入れかえというのは、やっていくべ きだと思うのですけれど、もう7月のは関係ないよというのは、やはりまずいと思いま す。  それともうひとつ、別のことですけれど、リハは出来高だから個別リハは時間から除 いたということですけれど、リハが、出来高が維持されるかどうかというのは、現在、 非常に不透明な状況にあるので、出来高だから除いたというのが本当にいいかどうか。 薬にしても出来高が保証されているわけではないので、現在そうだからというのではな くて、その辺も含めて総合的な指標で評価するべきではないかというふうに思います。 ○佐原補佐  リハビリのことにつきましては、いまは出来高だから、それが将来どうなるかという ことについて、我々事務局としても何も言えませんし、どうなるかというのはわかりま せんので、そこは、ここの分科会としては、いまの現行の枠組みの中で、包括のところ を考えていただければというふうに考えております。 ○池上分科会長  妥当性調査を行ったというのは、この7月の案でいいかどうかということを検証する ために行ったという、これがひとつの考え方であると思います。もうひとつは、この慢 −4の説明にあって、この4ページにある目次で、ここに患者1人1日あたりのケア時 間の集計範囲の見直し。及び2の、患者1人1日あたりの費用の作成。3の、医療区分 の統計的観点等からの検討。これは行うべきでなかったというのが猪口先生の御意見な んですか。 ○猪口委員  どれがですか。 ○池上分科会長  この4ページの2番の1)、患者1人1日あたりケア時間の集計範囲の見直し、2) の、患者1人1日あたり費用の作成(人件費に薬剤費、特定保険医療材料費を加えたも の)、3)、医療区分の統計的観点等からの検討。 ○猪口委員  いえ、やられて結構だと思いますけれど。ただ、それは、ここをこう変えると、こう いうふうに変わりますよということを、やはり示していただかないと、何とも言えませ ん。だから、ひとつの例として、前はこういう区分でやったけれど、その職種を変える と、こういうふうな変化をしますけれど、どうでしょうかということではないでしょう か。それは、ひとつの例題であって、あくまで、前はもう、前提でつくって、中医協も 通っているわけですから、そこを崩すのは……。 ○池上分科会長  いえ、そこは崩していないので、まさにここで、こういう基準で分けた結果、提示し ましたのが、ここにある12ページのこれです。これについて、まさに猪口先生がおっし ゃるように、このそれぞれについて、適切かどうかを議論いただくのが、この、きょう の会議の目的であるわけです。ですから、この中で具体的に……。 ○猪口委員  ちょっと待ってください。前につくったのを、いろいろな集計を変えていったら、こ うなった、と。前につくって議論したことについては、もうそれは、新しくなったんだ から、前のはもうだめなんですよということがおかしいのではないかと言っているんで す。それを、中医協を通して皆さんに、妥当性調査で聞いているわけですから、前のつ くられた項目で。だから、もしもそのときに、薬剤費とかそういうものの集計が終わっ ていないんだったら、その集計を加味すると、こういう結果ですけれど、前のと比べて どうしましょうかというのだったら、まだわかるんですが、それを加えてこう変えてい きます、と。それをまた考えてくださいと言われても、それはちょっと、流れが違うん じゃないかと思いますね。 ○池上分科会長  いえ、それを考えてくださいというのが本日の会議の目的でありますので、この中の 項目として適切であるかどうかということは、いま申し上げた作業の結果出てきたの は、この新しい項目であるので、これの項目が適切かどうかということを検討いただく ことが本日の会議の目的であるので、これがファイナルだということを申し上げている わけではありません。もしきょうの、これがファイナルであれば、次回の分科会をあら かじめ設定する必要はなかったわけですので。ですから、これをファイナルということ で申し上げているわけではないので、こういった一連の作業をした結果表れたのが12ペ ージで、これが適切かどうかということを議論いただきたいということです。 ○佐原補佐  ちょっと具体的に言いますと、例えばこの慢−4の4ページのところの2番の1)で すが、1日あたりケア時間の集計範囲の見直しということを、前回までの分科会の御議 論を踏まえて、事務局でこういうふうに直してみましたが、そういうやり方でいいかど うかということを御議論いただかないと、我々としても次の作業に入れないところです ので、ぜひその点も御議論いただければというふうに思います。 ○池上分科会長  ちょっと確認しますと、この、見直しを行った手順について−−結果は別として、手 順としてこういった手順でよろしかったかどうかということを、まず確認させていただ いてよろしいでしょうか。いま、4ページの2番の1)、2)、3)にしたがって見直 したということでしたので、この手順がよくなかったというと、もう、この結果は見て もしょうがないと思いますので。 ○木下委員  使い方の問題で、資料のひとつとして考えるものとしては有効だと思いますけれど。 ○池上分科会長  では、プロセスとしてこの1)、2)、3)ということは、これは猪口先生がおっし ゃるように、分析の仕方を変えたわけですけれど、これは、より精緻な分析に持ってい ったというふうに私は認識していますけれど、これがそうでないというんだったら、こ の結果について議論するのではなく、この分析はもとに戻した方がいいというのであれ ば、また、それはそれとして対応しなければいけないと思いますので。 ○猪口委員  分析としていろいろなデータがそろっていって、さらに精緻化していくということに ついて、べつに異論を申しているわけではないのですが、先ほどからの、いろいろなお 話を聞いていますと、やはりそのときに、時間にしても、いろんなことにしても、これ が出たから全部3なんだ、と。この時間を超えているから、もしくは金額が超えている から全部3なんだ、2なんだ、ということではなくて、そこに、やはり様々な妥当性な どが入って、多分、この項目が選ばれているんだろうと推察します。ですから、その選 び方については、この1表をつくって出されても、どうなのかなあ、これは現場にフィ ット感はあるのかなあと考えてしまうのが私の考えで、もし、その精緻化されたデータ に基づいてやるんだったら、もう少しいろいろな選び方があるのではないか、と。その 辺の議論で、例えば先ほど木下さんが言われたCOPDというのが重症度を表していな いとか、例えば体内出血と言われても、わからないですよね。それから、どうしてフッ トケアがこんなにいっぱい、ずらずらと並んでしまうのか。少なくとも私の知る臨床の 範囲では、フィット感が前よりも増したとは、とても思えない分類になっているので、 その辺のことをもう少し議論した方がいいのではないかと思っております。 ○佐原補佐  まさにその辺は御議論をいただきたいと思います。この体内出血という項目とか、皮 膚のケアということについては、項目としてもともと調査項目にあったものですので、 統計的な処理を淡々とやる中で出てきた項目です。それが現場の感覚から、非常に合う ものであるのか、全然違うものであるのかというのは、まさにこの分科会で御議論いた だきたいところです。 ○池上分科会長  まだ議論が整理できていませんけれど、実はきょう、お二人の専門の方においでいた だいていますので、特に体内出血であるとか、そういったことについて、高齢者医学の 立場から御意見を頂戴するというのも、ひとつの方法だと思います。たまたま猪口先生 からそういう御指摘がありましたので、もし委員の先生の御了解をいただければ、専門 家の立場からの御意見を頂戴し、そしてまた、それをお聞きしたうえで、さらに議論を 続けるということでも、よろしいでしょうか。猪口先生、よろしいですか。 ○猪口委員  はい、それは構いませんけれど。 ○木下委員  その前に、いま指摘された作業をいつやるのか。きょうやるのか、日をあらためて、 何か、次の分科会の前までにこれをやるのか。内容について討議はされていないですよ ね。意見は出たけれど、どうするかということは。それは、どういうふうに処理するの ですか。 ○池上分科会長  ですから、これは、まずは専門家の御意見を伺ったうえで、そして木下先生がおっし ゃるように、それを収束しないと分科会を終わるわけにはいきませんので、まずは御意 見を頂戴したうえで、どう処理するかということを、そのあとで議論させていただくと いうことで、よろしいでしょうか。  それでは、議論については、ひとまず中断いたしまして、まずは鳥羽先生から、大変 恐縮ですけれど10分以内でお話をお願いいたします。いろいろ、御質問も委員の先生か らしていただきたいと思いますので、続けてお話しいただくのは10分ぐらいで、そのあ とまた御質問にお答えいただくということでお願いします。また、木下先生がおっしゃ ったように、きょうである程度、どうするかという結論を出さなくてはいけないので、 その時間も必要です。4時半に終了の予定ですので、鳥羽先生、大変恐縮ですけれど、 10分程度でよろしくお願いいたします。 ○鳥羽参考人  承知いたしました。はじめて参加するものですから、区分に対する、非常に、技術的 なアドバイスというだけにとどまらない、全体のこの分類に対する感想の資料もつくっ てしまいましたので、それについても、ごく短時間で、感想も含めて述べさせていただ きます。  患者分類案に関する資料をごらんください。1ページ目ですけれども、従来の医療需 要と介護需要のスキームで、このようにきれいに入るという考え方があって、これは医 療需要が大きい方はお医者さんの密度であるとか、介護需要は看護補助者の密度である ということで、ところが、ここに入らない方が非常に出てきているというのが問題であ ります。実際、急性期病院から退院して療養型に行きましても、3か月しかいられない ので、在宅で重症化して、また急性期病院に来るといったような症例が、私の大学でも 多く経験しているところであります。  2番目は、このモデルの若干の無理な設定という、その根拠といたしまして、高齢者 における、いわゆる症状や所見−−まあ、患者分類案の中にも、病名だけではなくて症 状といったものですね、先ほど言った体内出血、吐下血、フットケア、潰瘍と出てきて いますけれど、そのようなものを、より広範に調べた調査の方法でありまして、2ペー ジ目でございますけれども、これは急性期病院における疾患構造でありまして、急性疾 患に付随するような濃い帯のもの、加齢変化があまりありません。慢性疾患に付随する グレーのもの、これは65歳からふえてきます。特にこの慢性医療病床に関係がある、日 常生活機能、ADLの低下と関係があるような、一部、8割くらいは廃用症候群、生活 不活発病とも言われますが、それとも合致するような、いわゆる症状所見は80歳くらい から急増してまいります。慢性病床における平均年齢の患者さんは、おそらく80歳以上 だと思われますので、このように80歳以上の後期あるいは超高齢者と言われる方は、特 にこのADLの低下と同時に、様々な病態をあわせ持っているというわけでありまし て、医療需要と介護需要が両方とも多い患者さん、入所者の方がいるというのは、疾患 構造から、ある程度うなずけるところではないかと思われます。  3ページ目をごらんいただきますと、急性期病院の疾患構造は、実は慢性期の療養型 病院でも、そのまま維持されておりまして、もちろん比較的若い、74歳くらいから、既 にADLの低下と一緒に存在するような様々な病態が多いという特徴はありますけれど も、この3つの疾患構造といったものを基本的に維持しておりまして、特にADLの低 下と病気といったものを、両方評価していくような体制が必要であるというふうに、前 から考えておりました。  次のページをごらんください。実際、4ページを見ていただきますと、横軸はADL 区分でいろんな方法がありますが、100点満点のBarthel Indexというもので評価しまし て、左側の35点というのは、ほぼ寝たきりに近い方ですが、このような方は、老年症候 群、症状や所見といったものをたくさん持つ。すなわちADLの低い人ほど疾患や訴え が多いということでございます。これは今回の調査でも、見せていただきますと、その ようになっていたというふうに記憶しております。  次のページをごらんください。これは4年くらい前に、池上先生との座談会のときに 提出させていただいたもので、これは日本医師会雑誌に載っていると思うのですけれ ど、要介護度と要素別医療費。どのような調査かといいますと、この包括病棟におきま して、その医療行為を出来高払いに換算して計算していただいたものであります。これ で見ますと、要介護度が重くなるほど、注射や処置などの医療費が多くかかる。しかも 包括病棟でありますので、なるべく費用を抑えようとしても、やはりお医者さんの性善 説というか、そのような医療行為の性善説によっても、注射や処置、検査などの行為 は、介護度の高い人に多くかかるという−−すなわち、その次のページを見ていただき ますと、最初のモデルではなくて、実際の慢性期ケアモデルというのは、実情に近いモ デルというのは、このようなモデルで、はみ出している部分がある。今回のこのADL 区分と疾患区分の9分割、あるいは認知症を加えた区分は、このような意味で、いまま で行き場のなかった高齢者にとって、非常に朗報であると、私は、上手に使えば評価す るものであります。  最後のページを見ていただきたいと思いますけれど、そこに私の考えをまとめており ます。医療需要と介護需要の分析から、現在の慢性医療・介護体制では、両方の高サー ビスを要する高齢者が行き場を失って、急性期病院と慢性期病院、在宅などを行き来し ているという状態がありますので、これに対して、ひとつの回答を与えるような体制で あってほしい。  2番目で、この問題点といたしましては、急性期病院と慢性期病院の連携という目で 見ますと、医療区分3、ADL区分3というものが、ある程度ふえるということで、急 性期病院からの早期退院、そして、より療養環境の整った慢性医療に行けるという、患 者さんにとってもメリットがあると思いますが、実際は、急性期病院の方が費用が安い ものですから、行きたがらない患者さんというものがいます。ですから、この自己負担 という点について、どういうふうに考えていったらいいかということを、皆さんに−− ここの場ではないかもしれませんけれども、御検討をいただきたい。  その次に、委員の先生方から御指摘がありましたけれども、医療サービスというもの が、点滴や機器などの医療材料の増加にとどまるおそれがあっては、いけないと思いま す。このような、ADLと医療と、両方必要だということは、そこに人的サービスとい うものがふえなければ、そのような入院の方に対してのQOLが改善しないということ で、区分によって人員配置が、この医療3、ADL3のところに人員配置が重くなるよ うな形の義務化が、ぜひ、必要ではないか、と。患者さんの視点から言うと、それが必 要だと思います。  その次に、慢性期における終末期医療のあり方の議論が、この中に、もうひとつ、ど のようにあるかということです。この、慢性期医療における平均の余命というのは、だ いたい3年とされていますので、3分の1くらいの方は1年で亡くなっていく方である わけです。その方たちに、医療需要の医療の3というのは、確かに非常に、必要でやっ ていることですけれども、最後の最後では、濃厚な医療よりも、家族を含むチームアプ ローチといった、時間やもので計れないような、このようなところに医療費をかけてい くのには、どうしたらいいかといったことを、ぜひ考えていただきたいと思います。  技術的な問題では、高齢者のIVHに関しては、アルブミンが上がらないというよう なデータが出ていますので、慢性期に使うものは経管栄養の方がはるかに優っていると いうことで、私たちは、IVH区分は3を2にしてほしいと思います。また、輸血とい うのがはずれていますけれど、非常に状態像をよくする可逆的な処置として有効なもの がありますので区分2に入れていただきたい。  将来の課題といたしましては、先ほど言いましたように、そのひとつ前のページに、 イギリスの調査の慢性期の医療においての患者から見た老人医療サービスの優先順位と いうものがありますけれど、ここには医療的な処置だけではなくて、看護師や医師の精 神的なアプローチであるとか、時間で計れないような、お金で計れないようなものが、 かなり大きな要素として含まれていますので、そのようなものを評価の指標として入れ るような、慢性期医療の区分案や評価案を、ぜひ、将来に向けては、つくっていってい ただきたいと思います。以上です。 ○池上分科会長  ありがとうございました。大変わかりやすく、的確に御指摘いただきました。私、座 長の立場から、いくつか御質問をさせていただきたいのですけれど、例えば先ほどもあ りました体内出血というのは、一応ここの患者特性調査表の中では黒色便、コーヒー様 残渣嘔吐、喀血等という規定がありましたけれど、こうした規定の仕方でいいのか。あ るいは、これは慢性期病棟で適切か。  2点目が、脱水というものの規定をどう考えるか。これはどう規定できるかというこ とでしょうか。  それから、皮膚の治療を目的とした栄養や水分の補給。これを、どうやって規定でき るかということ。  それから最後に4点目として、先ほど猪口先生から、足のケアについて、いろいろ追 加があったけれども、これは妥当かどうかという御指摘がありました。医療区分の、足 のケアとして蜂巣炎、膿、あるいは開放創、創傷処置という、こういうものが新たにケ ア時間と総合判断から追加されたけれど、これは妥当なものかどうか。限られた時間で 恐縮ですが、お答えをお願いいたします。 ○鳥羽参考人  順番を少し変えて、最後のフットケアの問題からお答えしたいと思います。項目が数 として多すぎますので、ぜひ、まとめていただきたいと思います。フットケアは、今 後、増加するか、いま増加しているかという問題については、相当増加していると思い ます。大学病院の血管外科で、以前はグラフトが多かったんですけれど、いまは足の切 断が一番になっているところが非常に多いということで、糖尿病もふえていますので、 フットケアは非常に重要になってくると思います。ボディーアトリシャンといった、足 治療師は、まだ日本では専門化されていませんけれども、いずれそうなるということ で、5年先を見据えた項目選定ではないかと思いますが、現在これが適当かどうかは先 生方の御判断にかかってくると思います。  もうひとつ、体内出血。消化管出血とか喀血のことだと思うんですが、これを、どう いうふうに考えるかということで、ひとつは、私はこのように分けてみました。救急医 療の適用がないもの。これは治療不能ながんや全身状態の悪化に伴うものです。それか らもうひとつは、症状が軽微で経過観察でよいもの。この1のケースは、輸血や終末期 の手厚いケアが必要であって、当然、重い医療区分に入れるべきでしょうけれど、症状 が非常に軽微で経過観察でよいものを3に入れるのはどうか。検査計画を立てた場合や 輸血を行った場合のみに中等度の医療に入れるというような、やはり、その状態像に応 じてやっていくべきではないかという意見を持っております。  次に、皮膚の治療を目的とした栄養や水分の補給というのは、非常にこれは、私、わ かりにくいんですけれど、低栄養が褥瘡の危険因子であるということは明らかですけれ ど、先ほど申しましたように、IVHというのは高齢者においてアルブミンを上げない ということが学会の通説になっていますので、栄養補給はあくまで経口・経鼻・胃瘻な どを用いたものでなくては、皮膚の潰瘍に対しては難しいと思います。しかしながら、 このような状態では、嚥下障害などの病態が頻繁に合併しますので、嚥下障害があって 経腸管栄養方法の確定まで、一定期間−−1か月くらいでしょうけれども、この栄養・ 水分補給というものは認められるとは思います。これがずっと、医療区分が高いという 形に置かれるのは間違っているのではないかと思います。  最後の御質問の脱水ですけれど、定義のところで、水分の排出が摂取よりも多いと書 いてありましたが、これは負の水分バランスで、脱水ではございません。脱水の定義は 細胞内液または細胞外液の欠乏症状が、臨床症状としてとらえられるものというふうに していただきたいと思います。なお、きょうの、いま私が話していることは紙に書いて きましたので、また残しておきます。  この臨床研究をしておりまして、脱水における高齢者のとらえられる症状は、皮膚の 乾燥、舌の乾燥が有意でありまして、時に頻脈を伴うことがあります。非常に簡単な、 その3つだけでとらえられますので、そのような形でやっていただけばよろしいかと思 います。脱水の重症度に関して、どのようなものが、どの程度ということですが、神経 症状というのが最も重いわけですから、その重症度に応じてやるという方法もありま す。ですから、お尋ねによって、まず第一に、脱水の診断基準をどうするか、その次に 重症度をどうするか、それに応じて参考資料として提出するということであれば、用意 ができております。 ○池上分科会長  ありがとうございました。鳥羽先生に対して個別的な御質問があれば、どうぞ、なさ ってください。 ○近藤委員  資料の確認ですが、3ページ、4ページ、5ページの縦軸の単位だけ教えていただけ ますか。 ○鳥羽参考人  2ページの方は出現頻度のパーセントの平均値で集計してあります。それを実際の、 何個持っているかという形に換算したものが3ページ、4ページでございます。したが いまして、例えば3ページの見方ですと、80歳の人は平均して、このような症状を10個 くらい持っているというふうに考えてください。これを足したものです。 ○近藤委員  わかりました。 ○池上分科会長  ほかにございますか。また御質問が出るかもしれませんが、とりあえず、よろしいで しょうか。では、鳥羽先生、ありがとうございました。続きまして安藤先生から、御意 見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。 ○安藤参考人  よろしくお願いいたします。私どもの病院は、一般病床、回復期リハビリ病棟、それ から療養、これは医療療養、介護療養、それと精神、これは高齢者の精神です。それか ら老健、在宅ということで、高齢者が非常に多いということで、特に現場の医師3〜4 名と、それからナースに、こういう現場の声を聞かせてほしいということで聞いてまい りました。  以前も厚生省の方の調査でもって、ちょうど医療療養の病棟の患者さん、約50名を対 象にしてアンケートをしていただきまして、今回、ひとつはうちの病院として、ここだ けは、ぜひ入れてほしいというところの項目を3つ入れたらどう変わるのかということ と、それと、以前やったアンケートとまったく同じ患者さん−−現在いる方から、もう 退院された方はカルテを利用して、新厚労省案でやった場合はどうなるかというような ことも出してみました。  前提としましては、うちの場合、医療療養にいる方、介護療養もそうですけれど、よ っぽどオペが必要になった方とか、そういう方以外は、もうその病棟で治療をしてしま うというような方針を立てています。また、今回のこのマトリックスによる方法ですけ れど、以前から、7〜8年前から、このような医療必要度、介護必要度、看護度で分け ていくような分類というのは、慢性期医療にとって、いいのではないかなあということ で、提言も病院協会からしておりますし、大塚先生や木下先生、猪口先生なんかとも、 協会で議論をして、その方向づけをしていたところでございます。  全部で5枚のペーパーですけれど、現場の意見としては、もう、先生方からほとんど 出ているんですけれど、ひとつには、嘔吐とか発熱を呈している方というのが、区分1 に隠れている、と。特に嘔吐の原因としてはイレウスですとか潰瘍の増強、それから、 結構、お年寄りの方は変形性脊椎症なんかで前傾姿勢になりますと、逆流性食道炎を起 こしやすいとか、そういうふうなベースがございます。また、発熱に関しましては、例 えば37度5分ぐらいの熱が月に10回程度出ていて、抗生剤を使ったり、輸液を使ったり している。また、さらには喀痰培養ですとか尿路の培養でモニタリングしている人、そ ういう人たちが対応になるんですけれど、そういう人たちの評価というのを、きちっと 区分2ぐらいには、必要なのではないかというようなことがございました。  2つ目には、先ほど木下先生がおっしゃったように、この14日以内のリハビリテーシ ョンというのは、急性期のリハなので、30日以内の亜急性や回復期の状態まで拡大する 必要があるのではないかということがあげられます。  3つ目としては、これは新しいパターンで、薬剤血中濃度の測定に基づく治療計画と ありますけれど、先ほど猪口先生からもお話があったように、心不全、腎不全、それか らけいれんなどで症状が不安定な方の場合、絶えず血中濃度でもってフォローするとい うような必要があります。あくまでも、この血中濃度というのは、外来でぴんぴんして いる人の血中濃度ではなくて、そのような状態像の方です。そういう方も、きちっと、 1に隠れている人がいるので2に持っていった方がいいのではないかということです。  次に4番目としましては、慢性肝疾患。非常に最近、高齢の方でも、頑張って生きて いる方がいらっしゃるので、そういう方は、肝硬変などの非代償期の方に関しても、き ちんと評価をするべきではないかということです。  実際に永生病院の現場の声として、3ページ目の真ん中あたりの、意識障害のある経 管栄養、かつ頻回な嘔吐・発熱(1か月に10回以上)というパターン、それと2つ目に ピンクの文字ですけれど、頻回な嘔吐または発熱(1か月に10回以上)のパターン、そ れと、いまお話ししましたような、症状不安定な薬剤・薬物血中濃度の測定という、こ の3項目を2のところに入れたところ、やはり2の割合がふえてきたということがあり ます。  今度は4ページ目ですけれど、新厚労省案で、今回やった場合ですけれど、結果とし て、酸素というのが入ったことによって、区分2から7名ほど3に移ったというような ことが起こりました。また、逆に区分2では、改訂案を実施した場合は、逆に3分の1 に減ってしまったというようなことで、区分2に関しては、結構、厳しい結果が出たと いうことでありまして、区分1はあまり変わらないということです。  それで、最後のページにイラストが描いてありまして、うちの看護師さんが描いてく れたんですけれど、区分1に残されている可能性のある患者さんの像ということで、こ のように、意識障害があったり、経管栄養をしていたり、先ほどお話ししたような原因 で頻回な嘔吐や発熱がある方、それからインスリンの皮下注射を行っている方−−これ は高齢者の場合、低血糖も起こしやすいということで、そのフォローも必要ですし、御 自分でどうしてもコミュニケーションがとれないので、低血糖症状が起きてもわからな いということで、きちんとしたフォローが必要ということです。それから、あとは高齢 者の皮膚疾患も非常に多いので、これはこのような発疹のある方。こういうふうな方 が、この症状が少しずつ組み合わさっているというような、その組み合わせの区別によ って、非常に、現場の医療度が上がってくる、看護度が上がってくる。こういうところ が区分1に残されているのではないか、と。こういうところも、きちっと押さえる必要 があるのではないかということと、現場から出た答えで、なるべく現場も、漫然たる薬 物療法や補液をしない−−副作用もありますし、ADLも落ちるということで、きちっ と頑張って治療をして、ADLなり医療必要度が上がれば、そういう部分もきちんと評 価をしてほしいというような意見がありました。以上です。 ○池上分科会長  ありがとうございました。ちょっと確認したいんですけれど、1ページ目にお示しい ただいた患者分類案の問題点と、それから3ページ目以降にある、先生がお考えになっ た経管栄養、頻回な嘔吐、発熱というのは、これは、この1ページ目に網羅されている と考えてよろしいのですか。 ○安藤参考人  そうですね、はい。だいたい網羅されています。 ○池上分科会長  では、事前にいただいておりましたので、この1ページ目について、事務局とざっと 検討をして、可能かどうかというフィージビリティーの観点から、取り上げることがで きるかどうかという観点から、ちょっと検討しましたので、それを報告させていただき ます。どうぞ。 ○眞鍋補佐  はい。それでは、まず1ページ目の、この5つの項目でございますけれども、まず1 つ目、嘔吐でございます。実はこれは、平成16年度の調査で嘔吐がある/なしという状 態は、患者さんの状況で調査をしておりますので、分析は可能でございます。ただ、嘔 吐という状況が、慢性の状態としてずっと続くというところを、どんなふうに、続くの か続かないのか、おそらく一過性のもので終わることが多いのではないかというふうな こともあり、今回、医療区分に入っておりますのは、なるべくなら、そういう状態がな るべく続くようなものを拾ったようなつもりでございますので、分析はもちろん可能で ございますけれども、こちらは、ただちに入れるということは、ちょっと困難ではない かというふうに、まずは思っております。  それから、リハビリテーションが必要な疾患が発症してから14日以内となっていて、 これは30日までということでございますが、こちら、30日までというのも、この調査表 にございますので、こちらも分析が可能でありまして、もし、こういった御意見で、き ょう、先生方の合意が得られれば、もちろん分析をしてみて、それで有意に出れば、そ れはもちろん入れることは可能でございます。  それから、薬物の血中濃度測定に基づく治療計画ということでございますが、ここは どちらかというと患者さんの状態というよりも、その診療行為自体を評価するような形 でございまして、状態と処置に着目したいまの分類案に入るには、ちょっと馴染まない のかなあというふうに、感想を持っている次第であります。  あとは肝硬変につきましては、残念ながら調査表でとっておりませんで、どのくらい の方がここに該当しているのかというのは、ちょっと……。後ろにデータをいただいて おりますけれども、全体のデータでどのくらいのインパクトがあるかというのは、ちょ っとわかないところであります。  最後、5番の成功報酬的な加算につきましては、ここはおそらく、この慢性期分科会 のみならず、介護など、いろんなところで御議論をいただいているところだと思います けれども、いまのところ、こちらの分科会では、患者さんの状態に応じた評価はどうい うふうにすべきか、ということですので、ちょっとこれは分科会で議論する範囲を超え る話であり、こちらは基本小委かどこかで御議論いただく内容ではないかというふうに 思っております。 ○池上分科会長  ありがとうございました。 ○安藤参考人  1番のところですけれど、嘔吐だけではなくて「嘔吐及び発熱」というふうに直して いただければと思います。申し訳ございません。 ○池上分科会長  では、そのように訂正させていただきます。いま、安藤先生から御指摘いただきまし た点について、御意見または御質問はございますか。 ○椎名委員  いま、事務局の方から、一応のお答えがあったようですけれど、5番の成功報酬的な 加算というのが、具体的な形で提案されていますけれど、これは実際、患者分類が確定 して、それと値づけとリンクするという形で、慢性期といえども定期的にアセスメント をやるわけですよね。ですから、もしADLや医療の必要度が軽快すれば、次回のアセ スメントまで、従前の分類、値づけで、結果的に成功報酬的なペイメントが行われるの ではないかと思いますが。 ○池上分科会長  それはまた別の議論ですが、ありがとうございました。具体的な項目について、御指 摘の2番目については、もし委員の先生の御賛同をいただければ、早速、これは分析可 能でありますので、いたしたいと思うのですけれど。 ○木下委員  その分析可能というのが、タイムスタディに基づいているわけですよね。だから、そ こが、最初からおかしいと言っているので……。さっき言ったように、療養病床でやる べき姿というのが50%以上あるような人は、やはり拾いあげられるようにするべきで、 タイムスタディに拠っているわけではないという説明がありながら、検討した項目がタ イムスタディ上適切かどうかということで判断するということになると、説明と違って くるような気がするんですけれど。 ○池上分科会長  すみません、ちょっと私が誤解しているかもしれませんので申し上げますと、この医 療区分1であれば、療養病床の対象でないということは、どこにも言っていないわけで ございまして、それはまた、この療養病床の機能を考えるというのは、ここの分科会の 役割ではないので、こういった包括評価の分類を考えるうえでどうするかということで ありますので。 ○木下委員  いえ、それは違うんじゃないですか。機能に合った仕事をしているところに適切な報 酬が払われるように分類すべきなので、あり方と報酬が違うというのでは、やっていら れないですよね。 ○池上分科会長  いえ、違うと言っているのではなくて、それについては、報酬というのはコストを反 映する、費用に見合った報酬とするということが前提となっているのではないかと思い まして、そのことを申し上げているのであって、機能をどうするかというのは、それは まったく別の次元の話で、それは、いまでも完全な丸めの中で、こういうことがなされ ているわけですね。いまはまったく、そういった医療的なニーズに対応する加算という のが、ない状況であるわけです。それについて、メリハリをつけていくという考えであ るわけですので、値づけがないから、この機能を無視しているということとは、ちょっ と違うのではないかと私は考えて、この医療区分というのは、あくまでもここの……。 そのためのコストの調査を行ったのではないかというふうに私は考えていますけれど、 ほかの委員の先生はいかがでしょうか。 ○猪口委員  リハビリテーションに関しましては、先ほど、14日というような案が出ていますけれ ど、果たして本当に、その個別リハが必要な状況で、発症から14日以内の人が療養病床 にいるんでしょうか。統計的には出て、何症例か出ているかもしれませんが、一般的に は、ちょっと考えられない話ですね。それはやはり急性期の病床もしくは回復期リハと か、最近できた亜急性というところで行われているはずで、むしろ慢性期で必要なの は、回答からも言えるように、維持機能リハビリテーションをどう扱うかというのが、 やはり主題になるし、もし仮に見るとすると、安藤先生の御提案の30日よりも、ひょっ とすると、いま、一般がどんどん、退院を推進するという形になると、療養の方で、ひ ょっとすると90日ぐらいまでの枠での個別リハが必要な人は、結構な数がいるのかな あ、と。多分、これは統計で出ているのではないかと思うんですけれど、その辺をもう 一回見て考えなくてはいけないのではないか。あとは、維持的なリハに関しては、これ はどこまで必要かとか、どれくらいお金をかけるべきかといった話になると、またこれ は介護の方の議論にもなりますので、とりあえず回復期のリハを見るのかどうかという のが、今回の議論かなあというふうに思いますけれど。 ○池上分科会長  そうしますと、この14日以内では短すぎるので、30日とするかどうかというのは、こ れは分析してみて、また次回の分科会に報告させていただきます。 ○猪口委員  それから急性期加算ということになると、現状のリハの点数が4月以降もそのまま行 くかどうかがわからないので何とも言えないんですけれど、いま、ひとつのライン引き としては90日というラインが引かれているのではないかというふうに思います。 ○三上委員  これは慢性期医療の包括評価ということですから、いわゆる慢性期の疾患に対する包 括評価をするということが、この慢性期療養病床の包括評価のあるべき姿であって、こ の中で、いわゆる亜急性期であるとか急性期の部分というのは別に考えないと……。あ るいは急性期加算で1週間だけは特別にいいですよとか、そういうふうな形は可能です けれど、ベースとなる慢性期の包括評価に、例えば出血といったものは、これは慢性期 の疾患というか状態とは考えられないと思うんです。慢性的にずっと1か月も2か月も 出血するということはありませんから、これに関しては、やはり、こういう項目が入る のはおかしいし、やはり、あるべき姿を示してから考えるべきだと思いますけれど。 ○池上分科会長  出血に関しては、たまたま鳥羽先生がおっしゃったので、ちょっと、私もよくわから なかったんですけれど、軽微な体内出血というのは、持続することもあり得るというこ とでしょうか。 ○鳥羽参考人  出血だけによらないわけですけれど、先ほどの疾患構造でお見せしたように、慢性療 養型病棟であっても、急性の変化はしょっちゅう起きるわけです。リハビリを要するも のとしては転倒骨折、ねんざなど、それを、いちいち急性期の病院に戻すということは できないわけです。ですから、慢性期の療養は、それを包括化の中で吸収してやってい るという実情を、まず見ていかないと、何でも急性病気は急性期の方へというのは、そ れは間違った議論になっていくのではないかと思います。  ですから、慢性期の療養の中で見られる範囲は、慢性期の中で見ていった方がいいと いう方は、判断で見ていくように、この療養の区分もされないと弾力性がないというの がひとつです。消化管出血でも、大出血で治療可能なものを急性期病院に運ばないとい うのではなくて、かなり低栄養の中で、軽度の潰瘍というようなものが、なかなか止ま らないとか、あるいは原因が不明ですけれど、がんの末期の場合もあります。じりじり と出てくる。結構、そのような方が、慢性的に体内出血をしているような場合がありま す。それは急性期病院に戻せないような状態も多々あるのではないかと、そのように考 えております。 ○池上分科会長  ありがとうございました。大塚先生、どうぞ。 ○大塚委員  いまの鳥羽先生の御発言というのは、非常にポイントを突いたことだと思います。例 えばさっきのリハビリテーションの問題にしても、慢性期病院に入っていて、そこで梗 塞を起こして、急性期対応を必要とするような場合だって、いくらでもあるわけです。 ですから、そういうものをきっちりと評価するような、あるいは、我々の手に負えない ときは、よそへ移すにしても、一連の流れの中でしっかり見ていくという体系が必要で はないかと思います。 ○三上委員  基本的には慢性期医療の中で起こった急性期を、包括評価するという話にするのか、 別にするのかということを、基本的に考えなくてはいけないということになるのではあ りませんか。 ○池上分科会長  ひとつ、包括評価と言った場合に、いま、現状はどうなっているかというと、これは もう、一律の包括評価であり、ここで言う医療区分やADLにしたがった包括評価と は、ちょっと意味あいが違うと思いまして、ここで包括評価分科会の課題としては、一 律の包括評価から一歩前進していくということが目標にあったのではないかと思いまし て、それは……。 ○木下委員  いえ、そこの認識はちょっと違うと思うんですけれど。ベースは一括ですけれど、そ れに、いろんな加算とか−−ADL加算、痴呆加算、それから重症時加算ですか、いろ んな加算があるので、いまがまったく同じ支払いだということではないので。 ○池上分科会長  いえ、もちろんそうですけれど。 ○木下委員  それをある程度、ベースを分類していこうということなので、いまがまったく一括だ という考え方からは、ちょっと、はずれた方がいいような気がしますけれど。 ○池上分科会長  すみません、ちょっと言葉が不適当であって申し訳ありませんでした。完全な一括で はありませんが、非常に限られた範囲での加算が現状ではないか、と。それをもう少し 幅広くやっていこうという共通認識にあるのではないかと思うんですけれど、そういう ことであれば、よろしいでしょうか。 ○木下委員  はい。 ○池上分科会長  すみません、ちょっと、私の不手際で……。安藤先生のこの問題提起に関しては、よ ろしいでしょうか。特に2については、そういう対応にするということで。それ以外の 点に関してはいかがでしょうか。 ○木下委員  安藤先生の3番に対して、これはちょっと評価が違うんじゃないかという話があった んですけれど、こういうのは、さっき言ったように、例えば呼吸系疾患なら、いまはヒ ュー・ジョーンズの分類が使われているので、それを使って何度以上の人はというふう な表現に持っていけば、解決するような気がするんですけれど。 ○池上分科会長  そういう対応も可能だと思います。パーキンソンの場合、ヤールにかわって、実質 上、あれはADLで代替させていましたけれど、COPDについて、そういう条件つき にするということは、ひとつ考えられると思います。ありがとうございました。時間の 関係で、安藤先生に対する直接の御質問は、これでよろしいでしょうか。では、どうも 安藤先生、ありがとうございました。もしよろしければ、引き続き御臨席いただければ と思います。  それでは、木下先生が先ほど言われた今後の取り扱いについて、残り30分を使って検 討してまいりたいと思います。慢−4の12ページの医療区分の変更点として、左右にわ かりやすい形で出ております。今回出した右側の方は、あくまで、妥当性調査と統計的 な新たな解析にしたがって、このように出たという結果をお示ししています。これにつ いて具体的にどのように見直すかということを御提言いただいたら、次回の分科会まで に、その再解析を行って、御提示したいと思いますので、きょうの時間の範囲でも結構 ですけれど、御指摘いただければ幸いです。 ○三上委員  先ほどの鳥羽先生の方の8ページのところで、経管治療が経静脈より優るとあり、I VHを3から2にしろということですから、現在のこの3を2にするというのは、鳥羽 先生からの意見として出ているわけですけれど、この辺はどういうふうにするのでしょ うか。変えるということですか。 ○池上分科会長  いえ、それは私が決めるのではなくて委員の先生の御意見をお聞きしたうえでという ことですが、まず三上先生自身はいかがですか。 ○三上委員  これは技術的には、多分、2でもいいと思うのですけれど、ここはケア時間プラス薬 剤費が加算されて区分を分けられたという、そういう技術的なものがあるので3に上が ったんだろう、と。多分、薬剤だけで3万円ぐらいがプラスになっていたので、上の方 に行ったと思うのですけれど、別にするということであれば、技術的には楽だというこ とで、こちらにあるように2にして薬を別にするというのは可能だというふうに思いま すけれど。 ○池上分科会長  確かにその問題というのは、実はより大きな問題として、注射・点滴の扱いをどうす るかという、これはまだ未解決の課題があって、それを整理しないと、先生の御提案に ついて検討するかどうかということは、まだわからないので……。こういう、特に抗生 物質あるいは注射・点滴全体について、確かにコスト的にはかかっているけれど、どう するかという、この問題について一応の結論が出ないと、一番関心が高いものですか ら、御意見をいただければと思いますけれど。 ○猪口委員  確かに中心静脈栄養は、非常にコスト高になるんですね。さっと考えて、もし、薬剤 出来高といったときには、そこらじゅうに中心静脈栄養という可能性が、なきにしもあ らずで、ある程度、包括内の方がいいのかなあという気もするんですけれど、もうひと つ、この新しい案だと経静脈栄養まで3に入っているんですよね。経静脈栄養は、しか も、ちょっと注意書きを見ると501ccを超えればというので、点滴を2本も入れると、 みんな3になってしまう。いま、点滴は高カロリー輸液と違って、大分安価になってい ますので、みんな選ぶんじゃないかなあというような感じがして、とにかく中心静脈栄 養と経静脈栄養が同じように並んで、それから24時間点滴も含めて、この3つは、かな り要素が違うので、それを同じ枠で扱うのは、ちょっと厳しいかなあ、と。点滴に関し ては、そんな感じがします。 ○池上分科会長  では、具体的にどう分けた方がよろしいでしょうか。 ○猪口委員  多分、経静脈栄養はそれほどコストもかからないし、脱水というのが区分2に入って いますから、脱水のときに、多分、高齢者だと、そんなにいっぱい入れられないので、 1,000ccぐらい入れるのが通常のパターンかなあ、と。それも数日間ですむと思われま すので、そうすると区分の2に脱水があれば、経静脈栄養はなくてもいいかなあ、と。 24時間点滴も実は同じような意味あいがありまして、本格的に食べられないということ になるとIVHにするのか胃瘻にするのか、経管栄養にするのか、と。こういうのが、 やはり慢性期では、選び方としてはどこを選ぶかという話になるので、中心静脈栄養を 仮にそこに残したとするならば、経静脈栄養と24時間点滴というのを、逆に一緒に並べ ないで、脱水等の医療区分2の方に入れておいた方が、まだ、区分としてはいいのかな あという感じがします。 ○池上分科会長  確認しますと、経静脈栄養というのは区分からはずした方がいいということですね。 それからIVHは、これはこのままでよろしいんですか。それとも鳥羽先生から御提案 のあったように、2に下げた方がよろしいでしょうか。 ○猪口委員  仮に残すとすれば、よっぽどの条件づけが必要になるかなあと思います。例えば消化 管腫瘍で経管栄養とか胃瘻ができないという人がいます。そういう条件づけがあればい いのではないかと思います。 ○池上分科会長  はい、ありがとうございました。そういう組み合わせについての分析も可能ですの で、行ってみたいと思います。ほかに、いかがでしょうか。 ○木下委員  経静脈栄養と24時間持続点滴については、猪口先生と同じ意見で、ほかと一緒にして いいのではないかというふうに思います。先ほど鳥羽先生から、高齢者にアルブミンを 使っても−−IVHですが、改善しないというお話だったんですけれど、現場では結構 まだ使われているという現状があるので、そこは出来高にしてしまうと、少し危ないか なあ、と。アルブミン製剤は除くとか、何か、そういう条件づけならいいんですけれ ど、結構、意外なことに使われているなあという感覚を持っています。  また、意識障害のある気管切開・気管内挿管がはずれたというか2になっているんで すけれど、これはそのまま3に残すということと、それから酸素療法とあるんですけれ ど、これも何か条件づけがいるのかなあ、と。0.5リットルを1回やれば3になってし まうというのではまずいので、何かの状況と組み合わせたことがいるのかなあと思って います。  それから個室管理、感染症、感染隔離室におけるケアというのも、ちょっとわかりに くいので、何か状態像なり条件がいるのかなあというふうに思っています。  それから脊髄損傷がはずれたんですけれど、これも何らかの条件をつけて戻すべきと いうか四肢麻痺があるとか、何か……。もともとのADL23というのも、脊損の人がち ょっと努力して、片手でご飯を食べられるようになったとしたら、これは、はずれてし まうんですよね。その辺はやはり考慮すべきだと思います。症例数が、多分、少ないの で、こういう結果になった可能性があるんだと思います。  それからCOPDについては、慢性呼吸器疾患ということで入るのはいいと思うんで すけれど、これはさっき言ったように、ヒュー・ジョーンズの分類で何度以上という条 件づけが必要ではないかと思います。  暴行とケアの抵抗、この辺をどう解釈するかは皆さんで決めていただければと思うん ですけれど、実際にはかなり、この辺に手間がかかっているというのと、こういう方 は、なかなか急性期病院には入れないという現状もあることからすると、こういう状態 で、何らかの合併症があるというようなことはいるかもしれませんけれど、まったくの ケアだけだと介護保険というふうに解釈されるかもしれないので、その辺の解釈は必要 と思います。  それからリハビリテーションについては、回復期リハの定義がどう変わるかわかりま せんけれど、回復期リハビリに相当する状態とか、何か、そういう文言で解決できない だろうかというふうに思っています。  また肺炎、尿路感染症、その他は、これは感染症というので一括にくくってしまった 方がすっきりすると思います。 ○猪口委員  その際の抗生物質は……。 ○木下委員  抗生物質は、何か、加算でもいいと思うんですけれど、抗生物質は現状でかなり使わ れているという現状もあるので、どうでしょうか、ある程度の加算があった方が療養病 床に、いまの最初の段階では半分ぐらいは、感染症は入れないということで、中で発生 したのは面倒を見るけれど、新規入院の場合は、半分ぐらいは入院できないということ なので、その辺は少し解決するかなあという気はするんですけれど、抗生物質がやたら に使われる状況だけは絶対に避けるべきだと思っています。  それと意識障害のある経管栄養が除かれているんですけれど、これは条件を加えて、 意識障害とか嘔吐、出血、発熱、抜管等の見られる経管栄養とか、何か条件を変えれば いいのかなあという気がします。  それから喀痰吸引も7回以下がまったく考慮されていないので、その辺をどうするか というのは検討項目に入れるべきだと思います。  それから足のところは、何か、項目をまとめた方がいいかなあというふうに思いま す。  それと心不全、腎不全、肝不全等から消化器疾患、その辺が考慮されていないので、 この辺も何らかの判断基準を入れたうえで、入れるべきではないかと思います。以上で す。 ○池上分科会長  ありがとうございました。以上、御指摘いただいた点については、精査させていただ きたいと思います。ほかの委員の先生から、同様に御指摘いただくことはできますでし ょうか。 ○木下委員  すみません、もうひとつ、摂食機能障害に対する評価がまったくないので、それは何 か、ひとつ入れた方がいいかなあという気がします。 ○池上分科会長  すみません、ほかの先生の御意見を伺う前に、先ほど、経管栄養について発熱という 御指摘がありました。発熱というのは、事務局と一緒に考えたんですけれど、どのよう にして発熱をとらえるかということと、それから、これは過去3日間における発熱に基 づいて今後とも発熱が続くという前提でこの区分が確定するわけですので、例えば一過 性のかぜの発熱と頻回の発熱というのを、どう区別できるか。せっかく専門の先生がい らっしゃるので、先ほどに引き続いて、ちょっと、発熱についてのお考えを教えていた だけますでしょうか。 ○鳥羽参考人  発熱はADLとの関係で調べたことがありまして、J・A・B・Cランクという障害 老人のやつですけれども、ADLが落ちる方は、月に2回以上、要するに、このADL 区分で低い人ほど発熱の回数が高いという、まず、ひとつの事実があります。もうひと つは、別の班会議の調査で、発熱は逆にADLを落とす原因になるかという調査をいた しました。発熱がある方は、それを機会にADLが下がっていく独立した危険因子であ るということ、これは私が班長をしております厚生労働省の班会議の報告書に出してあ ります。それを前提として、今度は発熱の原因疾患として、このような慢性期のときに どのような病態が多いかといいますと、呼吸器、尿路感染症で、だいたい8割以上を占 めておりまして、本医療区分の中に、肺炎、尿路感染症、ほかに創感染などもあります ので、ほかに胆道系の感染症などもございますけれども、ほとんど多くの感染症のもの が入っておりますので、発熱の要素として、あとは脱水がありますけれど、脱水も独立 して入っておりますので、だいたい入っているのではないかというのが私の意見です。 ○池上分科会長  そうしますと、必ずしも独立な項目として……。 ○鳥羽参考人  非常に重要ですけれども、ほかのところで吸収されているので、新たに出すと二重に なるのではないかというふうに、むしろ思うわけです。 ○池上分科会長  ありがとうございました。そうしますと、経管栄養も、そういう組み合わせというこ とで考えるということで、ただ、発熱というより、例えば感染症とそういうものとか、 そういうことでもよろしいでしょうか。 ○木下委員  ええ、それは、条件は何でもいいですけれど。 ○鳥羽参考人  余計なことですが、要するに、疾患と状態となっているものですから、あるいは状態 の場合には重症度−−すなわち、その辺が混ざりあっているものですから、発熱は当 然、感染症に出てくるわけで、例えば尿路感染症でも、発熱も伴わない、単に、有害で はない細菌尿は3割に認められますので、それをここに入れるということは非常におか しいわけです。したがいまして、疾患と症状、あるいは発熱とかだったら何度とか、重 症度というものを、この解釈として、また細かく検討されてはいかがかと思います。先 ほどのCOPDの話もお聞きしましたけれど、そういうふうにすると、非常にすっきり していくのではないかと思います。 ○池上分科会長  例えばそうしますと、尿路感染も発熱プラス尿路感染、あるいは肺炎と発熱という組 み合わせも……。 ○鳥羽参考人  尿路症状や発熱のないものは無害ですから、それは当然、入れるべきではないので、 やはり除外というか、そのようなことを書いておくべきだと思いますけれど。 ○池上分科会長  はい。ただ、除外を書くのは非常に難しいので、発熱プラス尿路感染という組み合わ せなら、割合、把握しやすいんですけれど、そういう把握の仕方はいかがでしょうか。 ○鳥羽参考人  そこは皆様で御検討ください。私はそれでいいと思いますけれど。 ○大塚委員  同じような視点から、意識障害という表現については、どのように考えたらよろしい でしょうか。例えばきょうのリストでも、意識障害を伴ったなんとかというのがありま すよね。 ○鳥羽参考人  これはデータがないんですが、個人的な意見として、意識障害で一番問題になるのは 軽度の意識障害を伴う興奮状態のせん妄であろうと思います。それはベッドから起き上 がったり、看護あるいは医療でも、非常に時間がかかるのではないかと思いますので、 ですから、意識障害が、例えば昏睡状態で合併症があれば大変ですけれど、昏睡でも合 併症がなくて静かにされている方で安定している方もいるということで、そこのところ を、私は時間のデータを全然知りませんので、せん妄というような要素が入れられるの であれば、一番手のかかる意識障害の状態からランクづけしてやっていくようにされて はいかがでしょうか。 ○池上分科会長  患者特性調査項目の中で、せん妄を把握する項目は入っておりますので、後ほどこれ は分析してみて、また、次回、御報告できるかと存じます。そうしますと、いわゆるコ ーマスケールですね。まったく植物状態になったような場合の付加的なケアというの は、それほど大きくないという……。 ○鳥羽参考人  いえ、それは大変な誤解でして、そのような方は、だいたい、気管切開をされていた り、様々な医療処置がなされていることが多いので、意識障害単独で医療や介護のもの として大変なものはせん妄であって、意識障害が重くなればなるほど医療がかかること は明々白々だと思いますので、意識障害を残すことには全然、異存ありませんし、ジャ パンコーマスケールでもグラスゴーでも、きちんとしたものでやられたらよろしいかと 思います。 ○池上分科会長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 ○猪口委員  感染症についてですけれど、先ほどから出ているように感染症といっても、やはり、 いろいろな感染があると同時に、肺炎、尿路感染、それから傷の感染、これくらいで、 多分、8〜9割は入っているだろうということで、私もそんな感じはするんですが、そ この発熱だけでとらえられないし、高齢者だと発熱しないけれど重症肺炎というのも結 構いますので、だから、やはり感染症というのが区分2に入っているのはいいことで、 やはり、そこの注意書きですね。ここに、もう、2に細かいことは入れられないので、 そこに肺炎、気管支炎、尿路感染等で、あとは指標が、例えばそれが、白血球だけをと っても下がってしまう感染もあるので、何とも言えないので、だから、そこの感染が証 明されるというような注意書きがきちっとあって、それに対して抗生物質の投与が必要 だということが証明されて、その場合の抗生物質をどうするかという話ですよね。そこ まで行けば、抗生物質がある程度、外出し加算という方向性に行ってもいいと思います けれど、これが、むやみやたらに使われることが、やはり問題なんだろうという点が一 点です。  それから、個人的に言うと脊損がなくなってしまったのは非常に寂しいというか、頸 椎損傷はとても大変ですよ。ケアするのも、それから、すぐ発熱もするし、尿路感染は 必発だし、こういうのはもう、臨床上は、頸椎損傷の重い方は、私はもう、区分3にし てもいいぐらいではないかというふうに思います。  また、意識障害のことですけれど、先ほど鳥羽先生が言われたように、意識障害のス ケールをきちんとすれば、まさに意識障害があり、栄養も与えなければいけない、それ から、気管切開もしなければいけない、その辺の管理というのは、まさに医療上の処置 になりますので、やはり意識障害の気管切開・栄養というのは、ここはやはり、きちん と評価すべきではないかというふうに思います。 ○木下委員  タイムスタディから出した危険性というので、重症の人ばかり集めている病棟があれ ば、かける手間は同じなので、重症の人でも時間は少なくなるという危険性があるとい うことと、軽い人ばかりいれば、軽い人でも手間はかかっているということがあるの で、タイムスタディだけで判断するというのは、そういう危険性もあるということは、 認識していただきたいと思います。 ○池上分科会長  ただ、84の病棟での平均ですので、それをどう相殺するか、されていないかという問 題はあるのではないかと思います。そろそろ、あと10分を切る段階で、次回までにやる べきことについて、木下先生から御指摘のあった点は、再度、分析してみますけれど、 ただ、ひとつ申し上げたいのは、これは脊髄損傷の方が、全部、医療区分1になるとい うことではないわけです。脊髄損傷の方が、例えば、ここにある右側の酸素療法である とか尿路感染を起こしている場合には、これは脊髄損傷ということでは上がっていない けれども、医療区分2ないし3になっているということはありますので、その関係につ いても資料を出して、直接的には反映していないけれども、むしろ脊髄損傷になった場 合に非常に高率に発生する状態と必要な処置として把握することによって、実質的には 医療区分として上がっているということがあり得る。あるいは、どこまでそれが上がっ ているかということのデータをお示しして、そういう脊髄損傷のことに対する補償があ れば、あるいはいいのかどうか。これについてのデータをお示しして、そして御判断い ただくということで、よろしいでしょうか。 ○大塚委員  いまのは逆に言いますと、むしろ脊髄損傷というのが1項入っていれば、そのぶんま でをカバーできるというふうに考えた方がいい。あるいは意識障害という1項が入って いれば、より広範にカバーできるというふうに考えるべきではないかと思いますけれ ど。 ○池上分科会長  実はそれをやってみた結果、脊髄損傷という区分では、軽い脊髄損傷もあるというこ ともあって、それ単独では、木下先生からは、それは適切でないというお考えもあった んですけれど、コスト的に見ると、それはダイレクトには関係がなかったので、まるま る脊髄損傷という形で入れることは、今回は、この医療職者のケアコストから考えて、 適切でなかったと考えたわけです。したがって、まるまる入れると、コスト的に対応し ていなかったので、それは臨床的観点から、これも入れる、あれも入れるということ は、最終的にはいいんですけれど、この第1次案では、こちらは機械的に、粛々とやっ たわけで、そして私が申し上げたのは、結果はともかくとして、そういうプロセスで行 って、脊髄損傷をまるまる入れた場合には、コストを反映しなかった。しかし、脊髄損 傷の方を別の切り口から入れていくと、結果的には脊髄損傷のかなりの割合が、医療区 分2・3に分類されていたというふうに記憶しているということを申し上げたわけで す。 ○三上委員  やはり、ある疾患、ある状態についてのコストを計算して、その値のどこからどこま でが1とかという形で分類したといいうことだと思うんですけれど、ある疾患、ある状 態についてのバラツキが、いまのように軽い脊髄損傷もあるかもしれませんが、非常に 重いものまである。脊髄損傷も、ひどければ相当だと思うんですけれど、そういうバラ ツキというのはデータとして見せていただけるんですか。 ○池上分科会長  次回、脊髄損傷を、こういう組み合わせで見るとこうであるとか、あるいは、そうい う組み合わせでなかったらこうであるというデータをお示しして、それでまた、再度、 御判断いただければと思います。 ○猪口委員  脊損も意識障害も一緒なんですけれど、本当に、臨床上、やはり手がかかるんです よ。それで、要するに脊損の頸椎損傷なんかでADLの非常に悪い、23と書いてありま すけれど、そういう重い方は、ふだんから、かなりきちっとケアしておかないと、本当 に、すぐに感染症や発熱を起こして、何の発熱だかわからないとか、いろんなことを起 こすわけです。ですから、何か起きている状態に含まれているかというのは、理論上お かしくて、そういう状態を起こさないようにケアすることが大切なんです。意識障害も そうです。最初から意識障害があって、もう、経管栄養が入っていたら、これはもう、 最初から手がかかるんですよ。だから、そこでもって尿路感染とか肺炎を起こさないよ うに持っていくことが正しいのであって、起こすと点数がこっちになるから、それでい いでしょうというのは、僕は、理論が逆だと思います。 ○池上分科会長  それは、ここの本質的な課題として、申し上げたことは、あるべき医療ということか ら出発しているわけではなく、現在ある実態としての医療と、そのケアコストという観 点から分析しましたので、その前提を崩すと、いまおっしゃったことで、そもそも医療 区分に入らない方がいい、ADLも軽い方がいいということになって、じゃあ、軽い方 に一番点数をつけるかということにもなりかねないというか……。 ○猪口委員  そんなことは言っていません。もともとADLが悪い脊損とか意識障害の人は、もう これ以上、長期にわったっては、ADLが軽くなることもないし、頸椎損傷だって、軽 度になることはあり得ないんです。そこに合併症を起こさないように、いかにちゃんと ケアしていくかということが、一番重要だと言っているんです。それがまた、我々の使 命でもあるんです。そこから何かが起きたことを評価するのではなくて、合併症が起き ないように努力していることを、やはり評価すべきではないかと言っているんです。 ○池上分科会長  それは、そのとおりだと思うんですけれど。 ○高木分科会長代理  よくわかるんです。そもそも論に戻ってしまいますけれど、例えば医療区分2で足の ケアのところが3つも出てくるというのは、足のケアをやっているところは時間がかか っているから、ここに3つも出てきてしまうわけです。鳥羽先生が、これから5年先に かけて、フットケアがすごく重要になると先ほどおっしゃいましたけれど、たまたまタ イムスタディをやって、時間がかかっているところを拾いあげると、こういう形で出て くるわけです。いまの猪口先生の議論というのも、よくわかるんです。あるべき医療を 医療現場で行うことと、包括的な支払い方式を、どこに着目して払うかというのは、ぴ ったりとはいかないわけです。そこで何か、先程来、会長とほかの先生方が、うまくフ ィットしていないという思いを、私は持っているんですね。やはり時間に着目すると、 例えば脊髄損傷だけではバラツキが大きくて拾えないですよ、と。じゃあこれを、きっ ちり、包括の支払い方式に落とすためには、こういう付加条件をつけて見ましょうとい うのが、支払い方式なんです。ですから、足のケアがこんなに目立って出てくるという のは、多分、先駆的に頑張ってやっているところから拾い上がってきたのかなあという 思いで、私は先ほど、鳥羽先生の話を聞いていたんですけれど、そういうものが、ぴっ たり合うとは限らない。全部に、全項目が合うとは限らないと私は思います。 ○木下委員  支払い方式だけの分類だという話ですけれど、やはり、ここから療養病床の将来像と いうか、あるべき姿が見えてくるような支払い方式でないと、いまがそうだから、それ でいいんだというのでは、先のない話になってしまうので、その辺の考えを、ぜひ入れ ていただきたいと思います。 ○高木分科会長代理  それに関しては、先ほど鳥羽先生も、IVHの話とかアルブミンの話を学者の目で提 起していますので、そういうものを取り入れて、よりよいものをつくっていくのが、こ の分科会だと思うし、抗生物質を安易にまた使わせるのかという思いは、先生方も一緒 だと思うので、その辺を、どう、適切に使うような仕組みをつくっていくかというの は、同じだと思います。 ○大塚委員  会長が、あるべき論からスタートしているわけではないということを、再三、おっし ゃっていますけれど、ただ、基本姿勢としては、現状がどういう状況かという調査をす る一方で、あるべき論に少しでも近づけるような体系に、ぜひ、していっていただきた いというのが、現場を担っている者の共通した認識ではないかと思います。 ○池上分科会長  それはよく理解しておりますので、できるだけ、その方向に反映させていきたいと思 います。ちょうど時間となりましたので、次回までに、御指摘いただいた、今回提示し ました分類案を改めたものを少し整理しまして、あらためてまた、来週の金曜日に御提 示して、できましたら、そこで議論が出し尽くせる形にしたい。基本小委に報告するた めには、次回である程度の結論を出していただかないと、年内に基本小委に提示するこ とができなくなりますので、いろいろ座長としての不手際はございましたけれど、ぜ ひ、次回には結論が出る形で進めたいと思います。 ○猪口委員  そうすると具体的には、次回の前に、当然、また、いろいろな組み合わせがつくられ たりした場合には、やはり事前に郵送していただいて、また意見の集約とか……。きょ うの感じから言うと、あと1回やっても、ちょっと、中医協に上げるほど、この大変な 議論が煮詰まるとは到底思えないので、やはり何らかの、きちっとまとまるような具体 的なことを、事務局からも御提示いただいた方がよろしいかと思います。 ○池上分科会長  では、それもあわせて事務局と検討したいと思います。私が事務局に指示して、次回 の分科会において、そういった修正案を、できるだけ事前にわかる範囲で御提示したい と思います。そのために、もし、きょう言い尽くせなかった御要望等がありましたら、 事務局に、きょう明日中にでも御連絡いただければ、大変ありがたいと思います。それ では、本日の分科会は以上としたいと思います。今後のスケジュールについては事務局 から説明をお願いいたします。 ○佐原補佐  はい。次回は11月11日の金曜日、午前10時からを予定しております。いまお話があり ましたが、できれば次回でおまとめいただきたいと思っておりますが、もちろんまとま らない場合には、その後、早い段階で、もう一回、3回目をさせていただきまして、御 議論をいただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたしま す。 ○池上分科会長  それでは、第3回診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価調査分科会を終 了させていただきます。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。                                     −了−                【照会先】                 厚生労働省保険局医療課医療係                 代表 03−5253−1111(内線3276)