確定拠出年金 連絡会議 |
第14回 平成17年11月25日 |
資料8 |
(第13回)
議事録
平成17年3月24日
日時 | : | 平成17年3月24日(木) 9:59〜11:30 | ||||||
場所 | : | 厚生労働省専用第22会議室(18階) | ||||||
議事 | : |
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出席委員 | : | 加子座長、伊藤委員、太田委員、秦委員、松田委員、光谷委員、吉田委員、渡邉委員、中井川委員 | ||||||
オブザーバー: | ||||||||
田村 正雄(社団法人生活福祉研究機構理事) | ||||||||
石田 成則(山口大学経済学部教授) | ||||||||
関係団体等: | ||||||||
松井 博志(日本経済団体連合会国民生活本部本部長) | ||||||||
小野 明(日本商工会議所新規プロジェクト担当付副部長) | ||||||||
鈴木 英夫(経済産業省経済産業政策局企業行動課長) | ||||||||
石塚 栄(厚生年金基金連合会企画事業部長) |
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事務局 | : | 厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課 |
○ | 加子座長 |
只今から第13回確定拠出年金連絡会議を開催いたしたいと思います。
本日は、大変お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、本日の会議の出欠状況につきまして、事務局より御報告をお願いいたします。
○ | 神田課長 |
続きまして、本日の出欠状況ですが、そのほかにすかいらーくの田中様、それから、新日鐵の徳住様、JR東日本の山根様、連合の小島様が御欠席でございます。それから、商工会議所の小野様は遅れて御出席いただくということになっております。
以上です。
○ | 加子座長 |
まず、資料2の「確定拠出年金の施行状況について」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○ | 神田課長 |
最後の4ページ目でございますが、昨年10月に拠出限度額が引上げになりまして、その後の状況ということで、この場にお出しするのは初めてでございますので、ここだけ御説明させていただきます。
規約上上限額に達しているものの数でありますけれども、ほかに企業年金がない場合、55万2,000円と書いてあるものが月額4万6,000円の上限額でございますが、全体で89規約でございます。前のページをごらんいただきますと、ほかの企業年金の有無ということで数が出ておりますが、ほかの企業年金がない場合でございますので、712の規約に対して89規約ということですので12.5%が上限に達しています。
それから、その下の27万6,000円というのが月額で2万3,000円ということで、これは別途給付建ての企業年金を持っているところでございます。これは548分の94ということで17.2%。全体ですと、1,260規約のうち183規約が、割合では14.5%になりますけれども、上限に達しているという状況でございます。これは、限度額変更前の9月時点と比較いたしますと、ほかに企業年金が何もない場合3万6,000円の上限、年額でいいますと43万2,000円の上限額に達していたのが、9月現在で言いますと607規約中の220規約と36.2%でありました。それから、ほかに給付建ての企業年金がある場合、月額で1万8,000円、年額で21万6,000円でございますけれども、これが461規約のうち243規約、52.7%、全体では9月時点では1,068規約中の463規約、43.4%ということでした。
したがいまして、ほかに企業年金が何もない場合は、9月末時点では220規約の上限、3万6,000円の上限に達していたものが、89規約が4万6,000円の上限に達しているということで、新規導入もありますので単純な比較はできませんけれども、9月末時点で上限に達していた数の4割近くが既に現在4万6,000円という上限に達しています。それから、ほかに給付建ての制度がある場合が243規約でありましたので、やはり4割程度94規約が2万3,000円の上限に達しているという状況になっております。上限に達しているデータをこの会議でお出しするのは初めてですので、それについてだけ御説明させていただきました。
以上でございます。
○ | 加子座長 |
それでは、次の議題に移らせていただきます。資料3及び資料4の「確定拠出年金制度における投資教育について」に移らせていただきたいと思います。
まず資料3につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○ | 神田課長 |
1枚おめくりいただきますと構成が出ておりますけれども、まず、委員の皆様方に投資教育の事例ということで加筆をいただきました事例につきまして、1枚おめくりいただきますと各執筆をいただいた企業名が出ておりますけれども、1〜59ページ目までが個別の事例ということになっております。
それから、前回連合の伊藤様の方から労働組合の取り組み事例について御紹介をしたいというお話がありまして、それを登録いただいたのが60〜65ページ目ということになっております。
その次に、前回の議論の概要を座談会という形で整理させていただいております。全体の構成はそのような形になっております。
個別の事例についての構成でございますけれども、3ページ目から簡単にどんな構成になっているのかということだけ御紹介をさせていただきたいと思います。
基本的には、これは昨年の6月末のこの会議に、アンケート調査という形で実施しました結果を一度まとめて提出させていただいたわけでありますけれども、項目別にバラバラになっているということで、1つの事例として通して読みにくいということから、委員の皆様方にお願いをしまして、その取り組みを事例集という形で通して読めるような形に整理させていただきたいということでお願いしたものであります。2月に執筆依頼をして2週間ほどで加筆・修正をしていただきまして、大変短期間の間に御協力いただきましたことを、この場をお借りして厚く御礼申し上げたいと思っております。
構成でありますけれども、3ページ目のアプライドバイオシステムズジャパンの例で申しますと、一番最初には企業のプロフィールが書いてございます。業種、従業員数、平均年齢等が書いてございます。
それから、2として導入している年金の状況ということで、確定拠出年金以外にどのような年金が導入されているのか、退職一時金ですとか適格年金、給付建ての制度など、どのような比率で企業年金が導入されているのかというのが2の(1)でございます。
それから、(2)で確定拠出年金を導入した理由ということが書いてございます。
1枚おめくりいただきまして、(3)として導入前後の体系図ですとか、制度改定の考え方などが書いてございます。この場合ですと、2つの会社が合併したということで、両社の退職給付の体系ですとか水準格差を補正する手段として確定拠出年金が導入されましたというようなことですとか、適格年金の確定拠出金年金の移行を視野に入れて改正をしましたというようなことが書かれております。
(4)で、導入されている確定拠出年金の具体的な仕組みということで、対象者ですとか掛金の算出方法、それから、業務の委託先、運用商品の数、元本確保とそれ以外というような形で、確定拠出年金の概要を入れております。
それから、3で投資教育についてということで、(1)として投資教育についての基本的な考え方、運営管理機関との役割分担ですとか、事業主として実施する事項等についての企業としての考え方を記述していただいております。
それから、(2)としまして、投資教育の具体的な取り組みということで、1つは投資教育の内容を制度導入時、それから、新規加入時、これは新入社員等に対する説明ですとか、転職してこられた場合かと思いますけれども、それから、(ハ)として継続時の教育ということで、具体的な投資教育の内容を記述していただいております。
最後に、投資教育の課題ということで、それぞれお感じになっている問題、課題などを記述していただくという構成で記述していただきました。
併せて、投資教育の内容のところには、内容をわかりやすくするため、また、興味を持たせるために工夫した点などについても記述していただくようにしております。
2番目のところの導入の理由ですとか、制度導入前後の制度改定の考え方などについても、かなり詳しく記述していただきましたので、投資教育ということだけではなくて導入の事例としても非常に貴重な内容になっているのではないかと思っております。
当方として、特に加筆等はいたしておりません。特に表記、その他の不ぞろいなどの点以外には、基本的には手を加えておりません。ただ、1点申し上げますと、8ページ目に年金個人情報の整備という形で、こちらの方で資料を加えさせていただいております。これは7ページ目のところに御執筆いただいたアプラドバイオシステムズジャパンの投資教育の課題として、公的年金の具体的な給付水準についての情報をもっと簡単に入手できるようにすべきであるという御指摘がありましたので、これは前回の座談会のときにも公的年金の制度改正の概要ですとか、そういうものと併せて説明をすると非常に関心が高いというお話がありまして、その際にも議論に出ておりましたので、いい機会だということで資料として8ページ目に入れさせていただいております。詳しい説明は省略したいと思いますけれども、個人ごとの公的年金の情報も順次提供されるようになってきているということで、1にございますのは、社会保険事務所に年金相談に行ったときに具体的な見込み額を提供しているということで、平成16年1月13日から現行の55歳が、平成17年度からは50歳に引き下げられる。したがって、50歳までの方であれば具体的な見込み額を年金相談に行けば一応相談の中で知ることができるようになっている。
それから、2番目に、インターネットを利用した個人情報の提供ということで、こちらについては公的個人認証サービスの活用によって平成17年1月31日から実施をされているということでございます。加入状況と年金見込み額の両方ということでありますけれども、年金見込み額は55歳以上の人を対象にするということですが、これも平成17年度中に50歳までに引き下げる予定だということでございます。
それから、3番目のところに、これは既に実施しておるものでございますけれども、受給の時期が近づいて58歳時点で加入記録に間違いがないかどうかというのは御本人に通知しまして、そのときに年金見込み額を知りたいですという印をつけて返送していただきますと、見込み額を別途通知するというようなことを既に始めております。
それから、4番目にあります、これは前回の年金改正におきまして、平成20年4月から具体的に若い方々にとってもどれくらいの年金になるのかということを実感を持っていただくと、拠出意欲を高めるという観点から厚生年金、基礎年金それぞれにポイント制というものを導入しまして、1ポイント当たり単価というものを併せてお示しすることによって、大体、今自分が拠出したことによって年金額がどれくらいになるのかということが実感できるようにというようなことをしておりますので、参考ということでその点だけつけさせていただいております。
それから、60ページからでございますけれども、本来連合の委員の方から御紹介いただくのがよいかと思いますが、今日は御欠席ですので簡単に御紹介させていただきます。「セイコーエプソンの労働組合の投資教育を軸にした年金運営事例」というものが出ております。構成のところは60ページの1で厚生年金基金と書いてありますが、代行返上をしまして基金型の確定給付企業年金40%と、適格年金、退職金制度と書いてございますが、それを改組しまして、キャッシュバランス30%と確定拠出年金30%にしましたということで、過去分についても確定拠出年金と前払いとの選択ということでありますが、かなりの方が過去分も確定拠出年金を選択されているということで、その次に商品選択の概況というのが出ておりますけれども、過去資産の運用状況で投資信託が37%、61ページの上の方に行きまして、月ごとの掛金では48%と、かなり高い比率になっているということがわかります。
労働組合の取り組みとしまして、2の(2)にありますが、導入前に労組内部でファイナンシャルプランナーですとか、産業カウンセラー、キャリアカウンセラーといった資格を取られたりして、アドバイザーとして活動を継続されるというような取り組みをされているということですとか、62ページのステップ3というところをごらんいただきますと、運営管理機関とか運営商品の選定に当たっても、組合が一緒に入って人事部、財務部などと一緒に検討して選定しましたということが出ております。
それから、ステップ4・5で導入時の教育などが出ておりますが、この中でもステップ5のところにありますけれども、ライフプランセミナーを労組が実施されるということですとか、「UNISTASION」と書いてありますが、社内のイントラネット、62ページの左上のところにUNISTASIONの説明がありますけれども、シミュレーションソフトを追加して利回り計算とか住宅ローンの繰上げ返済などの試算ができるというようなものを労組でされている。あと、個別相談も労組で応じておられるというようなことでございます。
それから、63ページの2の(3)にありますが、会社提供の教育で不足しているような点について労組で実施するということで、ライフプランセミナーですとか、前払いとか確定拠出年金制度加入の選択のポイントというようなことを労働組合の方で実施されているということでございます。
それから、現在のところでも63ページの4でありますけれども、労働組合独自として、名前はいろいろそこに書いてございますが、投資セミナーですとか確定申告セミナー、年金セミナー、それぞれいろいろ書いてございますけれども、この中で確定拠出年金やその他の企業年金ですとか公的年金などの内容を盛り込んで教育をしているというようなことが出ております。
それから、会社と一緒にやっている取り組みとして64ページのところに、導入後において各拠点組合の支部役員を対象にして、確定拠出年金の勉強会を開催しているということで、人数を絞っているというようなことですとか、ボトムアップのために基礎的なメニューを勉強会で行っているというようなことが書いてございます。
それから、お手元の67ページ以降が、前回の座談会でございます。今回は資料6で議事録が入ってございますので、照らしていただくとほとんど同じ内容でございますけれども、内容的に若干行ったり来たりがありましたので、大きくお手元の資料の81ページ以降が前回の議論いただいた際の論点ペーパーということでありましたので、これに合わせまして一番最初に69ページのところが「投資教育への関わり方」ということで、事業主としてどこまでやるのかと、運営管理機関にどこまで任せるのかといった点ですとか、業務時間中にやるのかどうかというようなお話がありましたので、そういうことを中心に書かせていただいております。
それから、2点目が「投資教育の内容」ということで74ページからのところに投資教育の内容に関すること、それから、76ページ以降に法的な位置付けということで義務付けをした方がいいとか、あるいはガイドラインをつくること等についてどのように考えるのかという御議論の部分を整理させていただいております。
それから、参考資料としまして、前回の論点のペーパーが参考資料1、それから、参考資料2は現在の確定拠出年金法上の条文ですとか、法令解釈通知に書いてございます投資教育に関する部分、それから、前回御出席いただいて確定拠出年金の加入者実態調査について御報告をいただきましたNPOの確定拠出年金教育協会の斎藤様から御報告いただいたものですけれども、議論の中でかなり引用されておりますので、参考資料ということでつけさせていただいております。
以上のようなことになっております。御執筆につきましては、大変短い時間でありましたけれども、御協力いただきましたことを重ねて御礼申し上げたいと思います。
○ | 加子座長 |
○ | 光谷委員 |
ちょっと強調したいということではなくて、確認したいんですが、この事例集というのはどういうところに配付されるのかお聞きしておきたいんですか。
○ | 神田課長 |
○ | 光谷委員 |
○ | 松井本部長 |
皆さん方の御協力により、このように立派なものができたことを大変ありがたく思っております。ただ、事例集ということで、勿論それでいいんですけれども、例えば、端書になぜこういう事例集をつくったのか、そういうことが恐らく後ろの方の議事録の要約を見ればわかるということなのかもしないんですが、やはり投資教育といってもいろいろな取り組みがあるし、さまざまな企業の状況によっても違うとか、導入時と導入後でもいろいろな取り組みがあります。要するに端書というものをもう少し書いていただいて、それで、これはまた一つの参考事例だということがわかるようなものをちょっと添えておいていただけると、この事例集をごらんになられる方がより理解しやすいんじゃないかと思います。と申しますのは、私も何度か申し上げたと思うんですけれども、場合によってここまでやらなければいけないのかとなり、確定拠出はやめたとなると、それも困りますので、これは本当にそれぞれの企業の独自の取り組みだということと、投資教育そのものがやはり多面的な意味合いも持っていて、一義的に取り組もうとしても割と難しいというところもわかってもらう、そういう端書みたいなものはちょっとつくっておいていただいた方がいいのではないかと思うんですが、ほかの委員の方の御意見も承りたく存じます。
○ | 神田課長 |
○ | 加子座長 |
石田様、資料4「確定拠出年金制度の実態調査について」につきまして御報告をお願いいたします。
○ | 石田教授 |
過去2年間のアンケートの調査に引き続きまして、今年度は個別企業に対しますヒアリング調査を行いました。制度概要等についても聞いておりますが、主に投資教育を中心に実施をいたしました。詳細につきましては、資料4の5ページ以降にございます。そこを御参照いただければと思います。私の方からは4ページまでの概要についてを御報告申し上げたいと思います。なお、この概要では対象となりました15社の共通項と、それから、特殊事例、特殊な工夫を併せて御報告しております。また、一部は前回の中間報告の際に御報告を申し上げておりますので、重複をしております点、御了解ください。
それでは、概要につきまして、全部で6項目御報告を申し上げます。
まず、大きな項目の(1)投資教育の内容でございます。多くの企業で導入時の説明会等におきましては、その導入の背景、それから、制度の概要といったものを説明するとともに、運用における自己責任、自助努力の必要性といったものが強調されております。また、多くの導入企業が既存の退職給付からの移行という形で導入しておりますので、その導入前後の制度の比較ということについても説明が行われております。
また、基本的な資産運用の知識、商品内容といったものの説明が行われているとともに、新入社員の少人数のケースでは説明内容に対する質疑応答を重視している企業もありました。
ただ、多くの企業で導入後間もない、ほとんど1年未満であるというようなことから、まだ継続教育に対する明確な方針を持っていないという企業が多かったことは事実でございます。
引き続きまして、(2)では情報提供の具体的な方法についてまとめております。ここにありますように、例外なく各企業では全加入者に対しまして資料、テキスト等を配布して、またビデオなどを活用しながら2時間程度の導入時の説明会を行っております。
1枚おめくりいただきまして、継続教育につきましては、主にWebサイトによる情報の提供、それから、コールセンターによります相談窓口としての活用といったことが行われております。それから、一部の企業ではございますが、フォローセミナーを開催したり、また、ライフプランセミナーを開催して、その中で確定拠出年金制度の概要、運用について説明をしております。
それから、定期的な運用実績に関するレポート、いわゆるニュースレター等を配布して運用状況や経済環境について報告をしております。
また、こうした機会をとらえて、メールにてWebの閲覧などを促すといった工夫も行われております。
引き続きまして、(3)情報提供などの工夫ということで、説明会の資料では多くの企業はいわゆるビジュアル化した資料を使って、わかりやすい説明を心掛けております。 それから、特殊なケースといたしまして、社内の人事の担当者の方と労働組合が共催で説明会を行っていたというところもございました。
それから、運営管理機関の方に寄せられましたコールセンターなどの相談窓口に寄せられました内容を把握し、それを共有していくことで継続教育に生かしていこうという企業がございました。
また、想定金利、想定利回りに満たないような加入者に対しまして、個別にアドバイスを行っている場合もありました。
それから、この2つは一部の企業ですが、各種のセミナーの後に希望者に対して個別に相談できる、こういった体制をとっている企業や、知識のレベル、それから、ライスタイルに合わせてクラス別のセミナーを企画している企業もございました。
それから、大きな項目の(4)、ここでは事業主の協力内容について記載がございました。当然のことながら、説明の会場、機材の提供それから、就業時間内の実施といったことに便宜を与えておりました。
説明会の前に外部の講師の方に対して、加入者の平均的な知識レベルを伝えている企業もありました。これは金融機関でございます。
それから、一番下のところ、海外の勤務者に対して説明会のビデオといったものを配布して、便宜を図っています。
それから、3ページ目になりますが、2番目のところで運用結果の分析等を社内報、インターネットに掲載している企業、更にはQ&A集や過去の配布資料をPDFファイルにしてイントラネットに掲載している企業もありました。
引き続きまして、大きな項目(5)加入者の理解度について御報告いたします。ここにありますように、制度導入時の説明会だけではどうしても全員共通の理解は求められない。それから、制度概要については理解しているけれども、資産運用についての理解度は低いという評価が一般的でした。
それから、1つ飛びまして、加入者自身がライフプランですとか資産形成といったものに関心を持つということも投資教育効果であるとしている企業がありました。
それから、次の2つ、これは問題点になりますが、説明内容が非常に多岐にわたって消化不良の感があります。投資経験がない者にとって専門用語が理解できない。更には、年齢、経験、関心など個人の特性によって二極分化が起こっていて、投資教育内容の理解度にかなり差があるとしている企業がありました。
それから、2つ飛ばしまして、ライフプランセミナー等の関連セミナーへの出席率によって加入者の関心度合いを見て、それに応じて投資教育を行っていこうとしている企業がありました。
それから、下の2つは少数になりますが、退職給付制度全般に対する満足度調査を行って、その中で投資教育の理解度を把握しようとしている企業もありました。
また、運用残高の推移を見て、それによってそれを代理変数として理解度を把握して、それを商品選定の変更に生かしているという企業もございました。
それから、最後、課題・問題点でございます。ここでは、まず最初に、退職給付制度全体の中で、ないしはライフプラン全体の中で理解してもらう、これが非常に重要であると。それから、加入者が必要としている投資情報、データといったもののニーズを把握したいと考えている企業がある一方で、運営管理機関から情報をもらったり、アンケートをしたとしても必ずしも継続教育には生かし切れていないという企業もありました。
それから、新入社員の教育について、詰め込み的に投資教育を行っても、その後の具体的な運用、商品選定には生かし切れない。だから、継続的にタイミングのよい情報提供が必要であると考えている企業がありました。
それから、先ほどの二極分化に対応してクラス別の説明会の必要性を痛感している企業が多かったんですが、実際にどうしたらいいのか、具体策はどうしたらいいのかということについては、余り具体案を持っているわけではないという結果が出ました。
それから、最後、下の2つでございます。個別の運用商品に対する推奨、更には投資のアドバイスといったものに対する要望が非常に強く見られました。
それから、行政側に対しまして、老後資産形成のために必要とされるような知識を中心として、確定拠出年金の枠を超えて投資教育のプランといったものを策定してほしいという要望もございました。
以上、調査いたしました15社の共通項を抽出し、また一部に特殊事例、特殊な工夫について御報告させていただきました。個別の15社のデータにつきましては、何か御質問があればお答えしたいと思います。
以上でございます。
○ | 加子座長 |
それでは、只今の御報告に対しまして、御意見、御質問等があればよろしくお願いいたします。
それでは、私から1件質問させていただきたいと思います。只今御説明いただきました2ページの(3)の6つ目の「○」でございますが、「運用実績が想定利回りに満たない加入者へ、個別にアドバイスしている場合もある」とあります。私どももかねがね個別アドバイスのニーズについて考えておりますが、法で禁止されている特定商品の推奨との関係整理が難しく、悩んでおります。事業主としては、運用実績や想定利回りに満たない加入者を把握すること自体がそもそも難しいかと思いますが、ヒアリングされた企業様では、具体的にどういうアドバイスをしているのか御存じであれば教えていただきたいと思います。
○ | 石田教授 |
○ | 加子座長 |
○ | 石田教授 |
○ | 加子座長 |
それでは、資料5の御説明を事務局からいただきまして、その後フリーディスカッションという形にしたいと思います。
それでは、事務局から御説明をお願いします。
○ | 神田課長 |
1点目でありますけれども、加入時、加入後の投資教育の計画的な実施ということであります。まず(1)でありますが、加入時には実際には運用指図を経験していないことから、制度における運用の指図の意味を理解すること、具体的な資産配分が自らできること及び運用による収益状況の把握ができることを主たる目的として、そのために必要な基礎的な事項を中心に教育を行うことが効果的である。
事業主等は過大な内容や時間を設定して、形式的な伝達に陥ることのないように加入者等の知識水準や学習意欲等を勘案し、内容、時間、提供方法等について十分配慮し、効果的な実施に努める必要がある。
(2)でありますけれども、導入後の教育について、今法令解釈通知の中では加入時と加入後においても情報提供を行わなければならないという記述だけがあるわけでありますが、加入後の教育の位置付けということが必ずしも書かれておりませんが、加入後においては加入者が実際に運用指図を経験していることから、運用の実績データ等も活用して、より実践的、効果的な知識の習得が期待できる。特に、金融商品の特徴や運用については、加入前の段階では難しい知識の習得が期待されるので極めて重要である。
また、加入時に基本的な事項が習得できていない者に対して、事業主等が再教育する機会としても重要であるということで、加入後の教育の重要性、位置付けについて(2)で記述いたしております。
その上で(3)でありますけれども、加入時・加入後の投資教育については、それぞれ上記のような目的・重要性を有するものであり、その性格の相違に留意し、実施に当たっての目的を明確にし、加入後の教育を含めた計画的な実施に努める必要がある。
(4)でございますけれども、上に述べたように、加入時・加入後の投資教育の目的、性格等に応じて、加入時・加入後を通じた全般の計画の中で、加入者等が的確かつ効果的に習得できるよう、その内容の配分に配慮する必要がある。
また、事後にアンケート調査、運用の指図の変更回数等により、目的に応じた効果の達成状況を把握することが望ましいというふうに書いてございます。参考資料の先ほどの83ページを見ていただきますと、具体的な内容としては非常に盛りだくさんの内容が84ページにわたって、こういう内容を情報提供しなさいということが書いてあるわけでありますが、ともすると、これを導入時に一律に伝達しなければならないということで、この場でも繰り返しお話がありましたが、座学によって消化不良になっていて必ずしも十分理解できていないということがありますので、余り導入時だけを念頭に置いて無理やり詰め込むということのないように、全体を考えた情報提供、投資教育ということを考えていただくことがふさわしいのではないかと考えております。
それから、2でございますけれども、加入後の投資教育に当たっての留意事項ということでありますが、(1)運用の実態、コールセンター等に寄せられた質問等の分析やアンケート調査により、対象となる加入者等のニーズを十分に把握し、対象者のニーズに応じた内容となるよう配慮する必要かある。
それから、運営管理機関は制度の運用の実態等を定期的に把握・分析し、事業主に情報提供するとともに、必要な場合には投資教育に関する助言をするよう努める必要があるということで、特に導入後においてどのような状況になっているかという、これも繰り返し指摘されたところでありますけれども、実態把握をしないで形式的な伝達をするということではなくて、現状をまずよく把握する必要があるということが(1)で書いてあることでございます。
それから、(2)でありますけれども、導入後においては加入者等の知識・経験等の差が拡大していることが考えられることから、知識・経験の水準に応じた内容となるように配慮する必要がある。それから、基本的な事項が習得できていない者に対しては、基本的な事項の再教育に配慮するとともに、より高い知識及び経験を有する者に対応できる教育メニューの整備に努めるなど、知識及び経験の水準に応じた内容となるよう配慮する必要がある。
それから、(3)でございますが、具体的な資産配分の事例ですとか、金融商品ごとの運用実績等の具体的なデータを活用することなどによって、運用の実際が実践的に習得できるよう配慮することが効果的であるということで、現在、導入後の教育について留意事項というようなことが触れられておりませんので、こういう留意事項が必要と言えるのではないかと思っております。
3でございますけれども、加入者等への投資教育に当たっての提供方法ということでございます。(1)でございますが、加入後の情報提供においては、加入者等の知識に応じて個別・具体的な質問、照会等が寄せられることから、コールセンター、メール等による個別の対応に配慮する必要がある。
また、テーマ等を決めて社内報、インターネットによる継続的な情報提供を行うことや、既存の社員研修の中に位置付けて継続的に実施することも効果的である。これは、事例集の中でも触れられておりますけれども、一時ということではなくて継続的に情報提供をしていくという工夫をいろいろされておりますし、社員研修に位置付けて、その中で行うことによってコストを下げるというようなことも触れられておりますので、そういったことが書いてございます。
それから、(2)でございますけれども、委託との関係でありますが、事業主が確定拠出年金運営管理機関に投資教育を委託する場合においては、当該事業主は投資教育の内容、方法、実施後の運用実態、問題点等、投資教育の実施状況を把握するとともに、その後ろに書いてあるのは現在も書いてありますように、資料の配布ですとか、就業時間中における説明会の実施、説明会の会場の用意等をできる限り協力するよう努める必要がある。後段は現在も通知に書いてあることでありますけれども、前段でありますが、勿論委託することも当然考えられますし、特に運用商品の説明、その他については、運営管理機関の方から説明していただいた方がプロでありますので、より詳細な説明ができるということで、委託そのものは方法としては結構だと思いますけれども、委託をしてすべて任せてしまうということではなくて、状況は把握していただく必要があるのではないかということを触れております。
それから、加入後の投資教育についても、その重要性にかんがみ、できる限り多くの加入者等に参加、利用の機会が確保されるよう配慮することに努める必要があるということで、これは先般いろいろ議論がありましたが、非常に重要な機会であるということは確かでありますので、集合教育のように必ず参加ということではなくて、アクセスするということも含めて、いつでも、どこでも、誰でもアクセスできるようにするのが重要だというような御発言もありましたので、そういう意味でできるだけ多くの方がそういう教育の機会に触れることができるよう配慮する必要があるということが書いてございます。
それから、最後のところでありますけれども、確定拠出年金そのものだけということではなくて、公的年金の改革の動向ですとか、ライフプラン等の情報提供を併せて行うことが効果的であるというようなことを書いております。
今、申し上げましたように、これはこれまでの御議論あるいは事例集ですとか、先ほどの調査結果を踏まえまして、現在の通達等で触れられていない、特に継続教育、導入後の教育の位置付け、全体を考えた上での教育の実施の必要性ですとか留意事項等について、取りまとめたものであります。
以上でございます。
○ | 加子座長 |
○ | 伊藤委員 |
それから、もう一点は、その後で結構ですけれども、資料3の中のセイコーエプソンさんの事例を御紹介いただきましたが、私どもでもこれから60歳以降の従業員の生活というのが大きく変わろうとしている中で、会社としていろいろやっていかないといけないなと思っている一つだと思っていまして、セイコーエプソンさんでこういった取り組みを労働組合さんが積極的に実施していくという背景のようなものがおわかりであれば、お教えいただきたいなと、その2点でございます。
○ | 神田課長 |
それから、2点目でございますけれども、本来、今日は連合から御出席いただいていれば、ちょっとお答えできるかと思いますが、私も詳しく背景等について伺っているわけではありませんので、また後日、伺った上で情報提供させていただきたいと思っております。
○ | 伊藤委員 |
○ | 加子座長 |
○ | 松井本部長 |
それから、伊藤さんが先ほどおっしゃられた組合が関与してというのは、もしかして石田先生がヒアリングした中で、組合も関与しているものが若干あったみたいなので、そんなことももしあったら教えていただければと思います。
以上です。
○ | 神田課長 |
それから、実施に当たっての留意事項などについては、具体的な内容ですとか、あるいは3番の提供方法については85ページのところに提供方法というのがございますので、その中に織り込ませるような形で修正するということが考えられるのではないかと思っております。
それから、2点目の時間内か時間外かということについてでありますけれども、これは既に85ページの3の(2)のところに事業主は資料の配布とか説明会の実施、説明会場の用意等ということと並んで、就業時間中における説明会の実施等できる限り協力することが望ましいということですので、この位置付けそのものが変わるということではございませんので、先ほどの資料5の2ページ目の(2)に書いてある趣旨は、むしろ前段のところを強調したいということで、委託するということでもよろしいんですが、委託をしてその後の状況を全く把握しないということは問題があるのではないかと思っております。やはり、事業主は責任を負っているわけでありますので、委託したとしても、その実施状況、問題点をきちんと把握していただく必要があるということを書き加えたいということでございます。
○ | 石田教授 |
それから、アンケートの調査結果を過去2年間分析してきたんですが、その中で「投資教育に対する取り組み姿勢」という項目がございまして、そこの中で事業主の責務であるとか、最低限度やらなければいけないという項目のほかに、労使対話として積極的に取り組みたいという項目がございまして、これを選択された企業は圧倒的に労働組合がある会社の比率が非常に高くございました。これを選択された企業というのは少数だったんですけれども、他の項目と比較をしてみまして、労働組合があるという比率が際立って高かったという結果が出ております。そういう意味で、労使の対話として投資教育に積極的に取り組むということを労働組合の存在が後押ししている側面があるのかなということを推察いたしました。
以上でございます。
○ | 加子座長 |
○ | 秦委員 |
幾つかお話をさせていただきます。別に質問ということではないのですが、今お話が出ていました労使の関係から申しますと、弊社の場合もほとんどセイコーエプソンさんと同じような形で、例えば401(k)で申しますと、導入時制度説明会は共催でやりました。それから、現在、整々と実施しておりますが、ライフプランセミナーも55歳と45歳という2か所で、今年は恐らく40歳というのを始めるのですが、これもすべて組合と共催ということで、ほとんどセイコーエプソンさんと同じようなやり方をしています。これは御紹介でございます。
それから、松井本部長からちょっとお話が出た時間外か時間内かというのは非常に悩ましい問題なのですね。導入時教育の場合は余り問題ないのですか、継続教育のときに、確かによくできる者まで時間内にやる必要があるのかという、これはおっしゃるとおりなのです。ところが、継続教育をやらなければならない企業サイドからすると、“おまえは上級だろう”、“おまえは初級だろう”と、要するにターゲットにする初級だけを選び出すということ自体がなかなか実務上難しいのです。したがって、どうしても全体に網を掛けるやり方しかやりようがないのかな、という感じはあるのです。ですから、この辺が正直私どもでも、コスト的には当然時間外にやった方がいいわけなのですけれども、時間外にやると本来のターゲットである初級者が来ないという問題が出てしまうので時間内にやる。そうすると、今度は上級者には無意味ではないかと、これはなかなか悩ましい議論だろうと思っています。
以前から御紹介しておりますけれども、私ども実は初級・中級・上級というコース分けで時間内全員参加の継続教育を実施した後、約3か月か半年ぐらい置いて(実施時期にずれがあるため)この前アンケート調査をやりました。まだ最終結果が出ておらず、今は一部集計中なのですけれども、3,000人の社員に対して2,800人から解答が来たということで大変な回収率だったので、かなり関心度が高かったのか、と思っています。今現在でお話しできることを申し上げますが、初級・中級・上級ということで、初級は例のゲーム感覚のものだったわけですが、今回はそれぞれ自由に選択にしてやってもらったわけですけれども、その結果として「面白かったですか」というポイントと、「役に立ちましたか」というポイント、「次に何をしてほしいですか」という3つのポイントだけ、今日はちょっとお話をさせていただこうと思います。
何故ならば、この回答がコースによってはっきり分かれてきているのです。これは当初からある程度予想したことではあったのですが、やはり、初級コースというのは面白かった、役に立ったという比率が3分の2を超えているのです。客観的にこういうデータを集計されているプロからすると、今回のように、日にちを置いてアンケート調査をやった結果でも、なおこれだけ積極意見が出るというのは相当の効果があったということと考えていいのではないか、というコメントをいただいていますので、初級については間違いなく効果があったし、かつ、初級をやった人は次に何をやってほしいかということで、これは当然想定されるのですけれども、次にはいわゆる一般的な導入時初級コースみたいに、それぞれの商品の説明をもっと具体的にやってほしいとか、そういう辺りに非常に「今度やってほしい」というものがはっきり出てきているのですね。ですから、継続教育というのは初級コース対象者には非常に効果があったということが言えるのだろうと思います。
一方、実は私どもが一番頭をひねったのは上級コースなのです。どういう内容にするかというので、一緒に御協力いただいた確定拠出年金サービス(株)の方々とも随分時間を使って細かく内容を整理してやったつもりだったのですけれども、御想像のとおりと言うと問題なのですが、実は一番評判が悪いのですね。中級も参加者の出口調査をしながら途中で内容を変えていったということはあるのですけれども、それにしてもやはり評判がそれほど芳しくなかった。これは何を示しているかというと、松井本部長からのお話ではないですけれども、初級者を除くとかなりそれぞれの人のばらつきが大きいということなのだと思うのです。だから、集合研修である一定の球を同じ内容で投げるということ自体が、本当にフィットするのかどうかということについて、かなり難しい問題があるなと考えます。特に、上級コースについては、そういう不満が特に高かったということが言えると思います。ですから、初級に対して中級・上級と進むにしたがって、個人それぞれの資質とか環境とか、今まで持っている素養というものによって欲しい内容がかなり変わってきてしまう。この辺りにどう対処するかというのは一つの難問なのだろうと思います。それに対して、本来の継続教育の一番の力点というのは、どちらかと言えば、初級者というか関心のない人たちをどうやって401(k)に振り向けるかというところにあるわけで、ザルみたいな形で初級者を分けるようなことをやって差し支えないものなのかどうなのか、何かの基準で個別指名してもよいのか、やはりその辺のところが非常に悩ましい問題になる。それとともに、中級・上級についてはどういう形でガイドラインというものを設けていったらいいのかというのは、まだまだ確定版はないというのが、どうも今のところ私が感じている感想というか意見なのです。
さて、継続教育について今回まとめていただきました、今、神田課長からお話しいただいた点ですが、少なくとも現状に比べて幾つか大変進んでいるところがあると思うのです。
1例を挙げますと、例えば、加入時の教育と継続教育について、それぞれ性格分けをきちんとして記述していただいている点とか、情報提供と教育というもの、いわゆる集合研修みたいなものを十把ひとからげではなくて、それも分けていただいているとか、モニタリングということが非常に重要だということを繰り返し述べていただくようになって、運営管理機関、金融機関と事業主のモニタリングに関わるそれぞれの責務の考え方をきちんと分けて記述していただいた点等、大変いいものができたと思います。しかし、当初考えていました継続教育のガイドライン、内容のガイドラインということになると、まだまだこれから考えていかなければいけないし、これは実施したいろいろな企業が、今後まだまだやっていかなければいけない部分なのかなというふうに感じております。
以上です。
○ | 加子座長 |
今回の事例集ではあくまで例示列挙という形ではありますが、様々な事例が紹介されており、例えば、「教育の考え方について」の2ページの(3)の「金融商品ごとの運用実績等の具体的なデータを活用すること等により」のところで、この「等」をどのように解釈するか、また、特定銘柄推奨との関係をどのように整理するかなど、実際の教育の現場で事例を参照する場合、限度判定が難しくなるかと思います。
例えば、具体的なデータ活用について、どこまで行うと推奨になるという限度について、事務局として何かお考えがあればお伺いしたいと思います。神田様いかがでしょうか。
○ | 神田課長 |
○ | 加子座長 |
○ | 太田委員 |
○ | 加子座長 |
先ほど来、何人かの方からご質問いただきました、この資料5の使い方についてですが、これはいわゆる解釈通知ということになると思いますが、いつごろ通知される予定でございますか。
○ | 神田課長 |
○ | 加子座長 |
○ | 秦委員 |
太田委員に反対するというわけでもないのですけれども、太田委員のおっしゃることは本来は、そのとおりだと思います。確かに自己責任であり、自らがやってもらう自立した社員をつくるということが大前提になることは間違いないと思うのです。問題は、やはり財産形成というか自分の退職金を自らつくっていかなければならないという状況になかった社員を、企業のニーズで401(k)を導入することによって、悪い言い方をしますとそういう形に強引に振り向けたということは、企業サイドとしては当然感じていることだという点です。ですから、今までは親方日の丸というのですか、すべて企業に任せておけばいいということでやってきていた、そういう意味で確かに自立が足りないと言えば足りないのですが、弊社のように伝統的な日本の製造業の多分多くの社員の方々というのは、ほとんどそういうことに今まで無関心であったのは事実です。現実に、日本の証券マーケットがなかなか拡大しない一つの理由として、やはり底辺が広がっていかないという大きな問題があるのだろうと思います。それはなぜかというと、やはり日本人というのでしょうか、働いている人も含めて、そういう人たちが、経済的な運用をしていかなければならないという意味での自立というものがまだまだできていない状況にある中で、401(k)という制度が入れられたというのが実態なのだろうと思うのです。
したがって、この前、徳住さんもちょっとお話しされていたと思うのですけれども、本当にそういう中で“先走って企業が入れたからといって、本当に企業が全部やらなければいけないのかどうなのか”というのは、大きな目で見たらば議論は当然あるだろうと思うのですが、そうだからといって、今企業の立場からして、“それは全部学校教育なり何なりで入れるべきであり、だから私たちはやらない”というふうに決めてしまうというか、そういう形で行動するということが本当にあるべき姿としていいかどうかということに対して、恐らく大多数の導入した企業というのは、やはり401(k)をかなり無理して入れたという思いがあるのだろうと思うのです。
ですから、そういう意味でも、やはり特に自分で承知した上で本当に確定元本しかやらないというのは、それはそれでいいと思うのですけれども、本当にわからないために結果として全然運用しないままで終わってしまって、こんなはずじゃなかったということにならないようにしてやるだけの最低限のつっかえ棒というのを、企業は用意してあげる必要があるのではないかというのが今のスタンスであり、恐らく今回おまとめいただいた書面の趣旨なのだろうと私は理解しております。
○ | 加子座長 |
○ | 松井本部長 |
以上です。
○ | 神田課長 |
○ | 秦委員 |
今の松井本部長のお話に関連してなのですけれども、恐らく松井本部長が気にされているのは中小企業さんなのだろうと思うのです。中小企業さんの場合に、どこまで本当に会社に対して義務付けるのか、それと、どこまでを運営管理機関にやらせるのかという辺りのところを明確にしてやるか、または、本当にここにも副部長も来ておられますが、商工会議所なり何なり、基本的に第三者的なところがきちんと継続教育も含めて見るような網を掛けていくような制度を導入していくのか、そういうことをしてやらないと、せっかく中小企業さんにとって、自分の企業にとってよかれ、結果として社員にとってもよかれと思ってやったことが、あだになってしまうということになる可能性があるので、何らかのそういうつっかえ棒みたいな最低限の網掛けみたいな仕組みというのは、今後の検討課題として是非お願いしたいと思います。
ある程度以上の大企業、いわゆる従業員数が例えば1,000名以上とかであれば、これはかなりの部分、義務化していくというのがいいかと思うのですけれども、これを現在のように一律情報という表現の中に入れてしまうと、なかなか難しい問題が出ると思うのです。ですから、区別すると言うと言葉はよくないのですけれども、やはり企業群によってある程度きめ細かく運営ができるような形にしておかないと、まずいのかなという感じはしております。
○ | 神田課長 |
○ | 加子座長 |
○ | 小野副部長 |
それから、もう一つ、投資教育につきましては、私ども商工会議所年金教育センターというのを設立してございますけれども、中小企業における投資教育あるいは継続教育のやり方あるいは中身につきましては、私どものような団体もやはり側面からサポートしていく必要があるのかなということで、そういう形できめ細かな対応を何らかの形で公的な団体がしていく必要があるのかなと思っております。
○ | 中井川委員 |
○ | 小野副部長 |
○ | 加子座長 |
それでは、事務局よりお願いいたします。
○ | 神田課長 |
あと、先ほどのお話にもありましたけれども、資料5を解釈通知に位置付けることについても、早目に検討して対処したいと考えております。
あと、来年度の開催につきましては、開催日時、場所等につきまして、また調整をさせていただいた上で御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
○ | 加子座長 |
それでは、只今、事務局からお話がございましたとおり、本年度の連絡会議はこれで終了でございます。来年度につきましては、後ほどまた御連絡があるということで、以上をもちまして、時間は若干早目でございますが、今回の連絡会議を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。