確定拠出年金
連絡会議
第14回
平成17年11月25日
資料7


確定拠出年金の制度改正に関する企業担当者の意識調査
NPO法人確定拠出年金教育協会/フィデリティ投信

ご報告

2005年11月25日

特定非営利活動法人
確定拠出年金教育協会
 代表 斎藤順子



<調査概要>

 調査目的   確定拠出年金制度の導入企業担当者に対して、現行の制度実施に関わる 問題点・課題を探り、今後の制度改正への要望、意向を明らかにする

 調査主体 NPO法人確定拠出年金教育協会、フィデリティ投信株式会社

 調査時期 2005年6月中旬〜7月中旬

 調査方法 FAX送付による自記入アンケート方式

 調査対象 確定拠出年金規約承認企業1400社のうち、アンケート協力企業700社の制度担当者

 回答者数 有効回答 242名(制度担当者) 回収率 34.6%


<調査要約>

 (1) 《制度改正で貴社の制度充実は図れるか》の回答では、全体の9割が肯定的。特に、早期制度導入企業(2002年導入)では全社が肯定。

「確定拠出年金制度の改正(限度額の引き上げ、本人拠出、中途脱退の緩和等)が されることによって、貴社の確定拠出年金制度の充実が図れるか」では、〈そう思う+ やや思う〉の肯定的意見が9割を占めている。

特に、早期(2002年)の制度導入企業では、100%の肯定となっている。

また、退職給付制度全体に占める確定拠出年金制度の割合が多い企業、確定拠出 年金制度の加入率が低い企業において肯定比率が高く、制度推進に際する期待、 制度充実の意向へのモチベーションの高さを物語っている。

《制度改正で貴社の制度充実は図れるか》

制度改正で貴社の制度充実は図れるかの図

 (2) 限度額の引き上げ、本人拠出、中途脱退の緩和について問う個別の項目のほとんどで、制度改正に肯定的な回答が多くなっている

限度額の引き上げ、本人拠出、中途脱退の緩和に関わる質問項目の全体の肯定的 回答〈そう思う+やや思う〉は、以下の通り高い比率を示している。
図

上記のように、ほとんどの質問項目で肯定的回答が多くなっているが、関連する企業 属性とのクロス集計をみると、全体傾向として、
1) 制度導入から時間的経過のある企業
2) 確定拠出年が退職給付制度に占める割合が高い企業
3) 従業員が確定拠出年金を選択する割合が低い企業
4) 確定拠出年金を制度割合を拡大する意向のある企業
でさらに多くなる傾向にある。

数値の傾向については、実際に確定拠出年金を導入し制度を運営していく過程で、 具体的な要望として認識されたと思われる。

 (3) 確定拠出年金制度の導入決定では、ほとんどの導入企業が現行制度に関わる問題点や検討事項を何らかのかたちの阻害要因として捉えている

1)拠出限度額水準が低いこと 2)従業員の本人拠出ができないこと3)中途脱退条件、中途引出に制限があることの3事項に絞り込んだ《確定拠出年金制度導入時の問題点、検討項目》では、無回答が少なく、ほとんどの導入企業で何らかの事項で、問題点、検討項目として挙げている。(無回答1.7%)

特に、「中途脱退条件、中途引出に制限」の項目の比率が高く、複数回答で8割強、単数回答で7割強となっている。

《確定拠出年金制度導入時の問題点、検討項目》

確定拠出年金制度導入時の問題点、検討項目の図

 (4) 制度充実のために望む改正事項では、導入時よりも導入後での現行制度への問題点が多く浮上し、制度改正への要望が高くなっている

《制度充実のために望む改正事項》では、全項目で《確定拠出年金制度導入時の問題 点、検討項目》の回答を上回る回答率となって、制度改正への要望が高くなっている。

つまり、導入時よりも、導入後での制度に対する問題点や課題が多く浮上し、企業担当者にとっても現実のものとなっていることがうかがえる。

特に、「従業員の本人拠出が出来ないこと」は、《確定拠出年金制度導入時の問題点、検討項目》と比較し、2倍以上の高率の5割を示し、導入後での問題点、課題として浮上してきている。

図

 (5) 問題点、検討項目に挙がった3事項では、従業員規模での反応格差が見られる。
「拠出限度額水準が低いこと」、「従業員の本人拠出が出来ないこと」→中堅・大企業多
「中途脱退条件、中途引出に制限」→中小企業多

「拠出限度額水準が低いこと」は、従業員500人以上の企業で導入時に4割以上で 問題点、検討課題として挙がり、制度充実のために望む改正項目としては5割以上に達している。同時に、「非課税枠の引き上げは制度普及のために必要か」「拠出額引き上げで貴社の制度割合を高めるか」の質問でも同様の傾向となっている。

また、「従業員の本人拠出が出来ないこと」および「本人拠出によって従業員の意識が高まるか」「老後資金の補完として本人拠出は必要か」の呼応する質問でも同様の傾向がうかがえる。

一方、「中途脱退条件、中途引出に制限」は、従業員数が少ない中小企業での比率が高く、特に、制度充実のために最も望む改正項目では顕著となっている。さらに「中途引出、中途脱退の条件緩和で加入率は上昇するか」でも従業員規模が小さい企業での比率が高くなっている。


<調査項目について>

【質問内容】     【企業の属性】
制度全体
Q1 確定拠出年金制度導入時の問題点、検討項目
Q2 制度の充実のために望む改正事項

×
従業員規模
個別項目模
Q3 非課税枠の引き上げは制度普及ために必要か
Q4 拠出額引き上げで貴社の制度割合を高めるか
Q5 本人拠出によって従業員の意識が高まるか
Q6 老後資金の補完として本人拠出は必要か
Q7 中途引き出し・中途脱退の条件緩和で加入率は上昇するか
Q8 加入対象者の範囲拡大で制度は普及するか

導入時期



DCの割合
まとめ
Q9 制度改正で貴社の制度充実は図れるか
加入率


Q1確定拠出年金制度導入時の問題点、検討項目

全体
全体の図

 ● 無回答が少なく、ほとんどの導入企業で何らかの問題点、検討項目として挙げて いる。(無回答2%)「中途脱退条件、中途引出に制限がある」が8割強で最も多 くなっている。ついで多い「拠出限度額水準が低いこと」では、500人以上の企業 での比率が高くなっている。また、早期制度導入企業で「拠出限度額水準が低いこ と」「従業員の本人拠出ができないこと」の比率が高くなる傾向。
表
(MA)

表
(MA)


Q2制度充実のために望む改正事項

全体
全体の図

 ● 全項目でQ1の回答を上回る回答率となって制度改正への要望が高くなっている。従業員規模では、「拠出限度額水準が低いこと」で500人以上、「従業員の本人拠出ができないこと」で300人以上で比率が高くなっている。
表
(MA)

表


F4
現在〜将来
拡大移行
 
表 (MA)
退職金全体に占める制度割合の拡大移行の高い企業で「拠出限度額水準が低いこと」
「従業員の本人拠出ができないこと」の比率が高くなる傾向。


Q2-SQ1制度充実のために最も望む改正事項

全体
全体の図

 ● 上記Q2と同様の傾向。「中途脱退条件、中途引出に制限がある」で従業員数の少ない企業での比率が高くなっている。
表
(SA)

表
(SA)


Q3非課税枠の引き上げは制度普及ために必要か

全体
全体の図

 ● 肯定的回答〈そう思う+やや思う〉が83%。従業員が多い企業、早期導入企業での比率が高い。
表
(SA)

表
(SA)


Q4拠出額引き上げで貴社の制度割合を高めるか

全体
全体の図

 ● 肯定的回答〈そう思う+やや思う〉が46%。99人未満の中小企業での否定的回答が多い(6割)。また、早期導入企業では、肯定的回答が多くなっている。
表
(SA)

表
(SA)


F4現在
 
表 (SA)
F5
 
表 (SA)
F4
現在〜将来
拡大移行
 
表 (SA)
退職金全体に占める制度割合の拡大移行の高い企業では肯定的回答が7割弱で比率が高くなっている。


Q5本人拠出によって従業員の意識が高まるか

全体
全体の図

 ● 肯定的回答〈そう思う+やや思う〉が76%。
表
(SA)

表
(SA)


Q6老後資金の補完として本人拠出は必要か

全体
全体の図
 ● 肯定的回答〈そう思う+やや思う〉が77%。2002年の早期導入企業での肯定的回答が多くなっている。
表
(SA)

表
(SA)


Q7中途引き出し・中途脱退の条件緩和で加入率は上昇するか

全体
全体の図

 ● 肯定的回答〈そう思う+やや思う〉が81%。「そう思う」の積極的比率は、500人未満の企業で多くなる傾向。
表
(SA)

表
(SA)


F4現在
 
表 (SA)
F5

表 (SA)
現在の401k占有率が75%以上で、401K加入率では90%未満で比率が高い。
F4
現在〜将来
拡大移行

表 (SA)
退職金全体に占める制度割合が100%の企業では、「そう思う」の強い肯定的回答が多くなっている。


Q8加入対象者の範囲拡大で制度は普及するか

全体
全体の図
 ● 肯定的回答〈そう思う+やや思う〉が61%。5000人以上の大企業で、また、早期導入企業での肯定的比率が高い。
表
(SA)

表
(SA)


Q9制度改正で貴社の制度充実は図れるか

全体
全体の図

 ● 肯定的回答〈そう思う+やや思う〉が89%。2002年の早期導入企業での肯定的比率が高い。
表
(SA)

表
(SA)


F4現在
 
表 (SA)
F5

表 (SA)
現在の401k占有率が75%以上で、401K加入率では80%未満で比率が高い。
F4
現在〜将来
拡大移行

表 (SA)
退職金全体に占める制度割合の拡大移行の高い企業で「そう思う」の積極的回答が約5割と高率。

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