資料3−3

「第7回生活保護費及び児童手当に関する関係者協議会」厚生労働省提出資料などに対する意見と質問

地方財政審議会委員 木村陽子

1. 11月4日協議会における厚生労働省提出資料に対して
意見
国の意見には一貫性がなく、場当たり的である。とにかく国の負担割合を引き下げるという財政目的だけに終始しているために、のちのち社会保障制度上禍根を残す内容を提示している。
たとえば、「権限の移譲〜 住宅扶助基準の設定権限を保護の実施自治体に移譲・権限移譲に伴う役割・責任の拡大と、住宅扶助費を金銭で支給することに加えて、自立支援・就労促進のための機能を備え、地域資源を活用した住まいを現物のサービスとして提供できるよう道を開くことに伴って、財政負担を見直し。」とあるが、ナショナルミニマム確保のため、国が責任を持って基準を定めるべきである。また、衣食住は一体である。
質問
現在でも住宅扶助基準は国により地域差があるように設定されている。その住宅扶助基準の設定権限を保護の実施自治体に移譲するとどのように給付の適正化が進むのか

2. 「『生活保護費及び児童扶養手当の見直し案』に関する地方団体の意見に対する厚生労働省の考え」において「地方自治体における保護の実施体制や実施状況には地域間で較差があり、これらの指標と保護の動向の間の相関のあるデータ等も見受けられるが、相関のないデータもある」ことも共通認識とされたことにも留意しなければならないと考える」(3P)と記述、および同内容の意見について
意見
実施体制や実施状況の指標と保護の動向について相関があるとの主張をしたのは厚生労働省であり、地方団体側は相関がないと主張し、なおかつ厚生労働省側の分析の問題点を指摘した。したがって、両論併記になったのであって、意見が一致しなかったということである。
質問
この点、「『生活保護費及び児童扶養手当の見直し案』に関する地方団体の意見に対する厚生労働省の考え」の記述にあるお考えのままなのか、何を根拠にしてそう主張されるのか、厚生労働大臣、財務副大臣にお答え願いたい。

3. 「市町村合併が進むと県の役割は後退する」という意見について
意見
市町村合併が進んでも、維持しなければならない福祉事務所数はほとんど影響を受けない。現に県が維持する福祉事務所数はこの25年間ほとんど変化がない。

4. 「地域格差が経済・社会的要因で説明できるからといって、すべてを国の責任に帰するというのはおかしい。失業対策など地方団体がすべきことがあるのではないか。」という意見について
意見
社会的、経済的要因が保護率上昇の要因であるから国が責任を持つべき、との発言はこれまでしていない。実施体制の問題ではないというだけのことである。国が責任を持つべきである、というのは、生活保護制度の理念、性格に照らして主張している。
生活保護の性格上、地方団体が責任を負うにはリスクが大き過ぎるため、国が責任を持つべきであると主張している。
現在でも地方団体は4分の1の財源を負担し、県も市も実施主体となっている。
地方団体にとり雇用の創出は大きな課題であり、企業誘致など従来から努力しているところである。また、ボーダーライン層についても、各種の対策を行っている。具体的資料は次回の協議会で提出する。

5. 「地方団体が生活保護受給者に就労支援をするために、都道府県の負担割合を増加させる」という意見に対して
意見
生活保護の目的である「自立助長」、就労支援については、これまで各自治体は取り組んできたところであり、過去30年間の成果は厚生労働省の監査報告にも記載されているとおりである。現在の就労支援専門員の配置などはその延長線上にあるものであり、都道府県の負担割合を変える根拠になるほどのものではない。

6. 「退院を促進するために、都道府県の負担割合を増加させる」という意見に対して
質問
なぜ都道府県の負担割合を増加させると、生活保護受給者の退院が促進されるのか。

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