資料1

生活保護の適正化について


1.  生活保護における給付の適正化とは、
(1)  保護基準が地域事情をより的確に反映した適正・公平なものであること
(2)  被保護者が自立し、保護を脱却したり、入院から在宅に復帰したりするような対応がなされること
(3)  要否判定、保護の支給等の事務処理が適正になされること
により実現されるものと考えている。

2.  厚生労働省は、11月4日に「生活保護及び児童扶養手当の見直し案」を提案したが、その提案は、
 生活扶助基準や住宅扶助基準について、都道府県や保護の実施自治体が設定すること
 医療扶助について、都道府県が医療計画の策定などを通じて平均在院日数の短縮や病院から在宅への復帰促進等に取り組んでもらうことによりその適正化が図られること、他法他施策も活用して自治体が工夫をすることにより、被保護者の自立が図られること
などを内容としており、保護費全体の適正化につながると考えている。

3.  一方、11月4日に、地方団体から、生活保護の給付の適正化のための方策についての提言がなされたほか、この協議会においても生活保護の適正化に資するさまざまな御提案をいただいたところである。
 厚生労働省としては、地方団体の給付の適正化の方策についての御提案を真摯に受け止め、見直しを進めていきたいと考える。
 見直しに当たっては、保護の実施自治体の事務が円滑に行われるようにする必要があるため、別途、地方自治体の生活保護行政担当者と厚生労働省との間で実務的な検討の機会を持つことも必要ではないかと考えているが、主要な項目について、現時点での厚生労働省としての取組みをまとめると以下のとおりである。

(1) 関係先調査の範囲拡大
 保護の決定又は実施のために必要があるときには、現行では、保護の実施機関は資産及び収入の状況につき、官公署、金融機関等に報告を求めることができるものとなっているが、これを資産及び収入の状況以外の必要な情報(例えば出入国の状況など)を必要な機関に求めることができるようにすることを検討する。
 なお、各種の給付行政関係法において、金融機関等に報告を応じることを義務づけている例はないが、法制面において何らかの対応が可能かどうか、さらに検討する。

(2) 年金担保貸付制度に関する問題
 年金担保貸付については、
 受付窓口((独)福祉医療機構から業務委託を受けた金融機関)において「償還期間中の生活に支障が生じないよう十分検討した上で利用すること」、「生活保護受給中である場合は、年金担保貸付が生活保護の受給に影響する可能性があるため、福祉事務所に相談した上で借入申込を行うこと」をパンフレット等により説明するとともに、
 平成17年10月からは年金担保貸付制度の利用者が無理のない返済額を選択できるよう、定額償還制度の導入を行っているところである。
 これに加え、年金担保貸付を受け、借入金を費消した後に、生活保護を受給することを繰り返すことを防止するため、保護の実施機関と福祉医療機構が連携し、生活保護受給者等については、貸付を行わないなどの対策を講じることを検討する。

(3) 不正受給対策の強化
 不正受給の未然防止及び発覚した場合の対応について、被保護者への指導指示、法63条及び78条の適用、費用回収の方法、被害届の提出及び告発の手順等の要領を内容とするガイドラインを国において策定することを検討し、不正受給の防止、厳正なる対処を強化する。

(4) その他
 上記のほか、医療扶助における一部負担の導入、被保護者の保有する資産等からの費用返還の実効性の確保策、生活扶助の基準等の在り方、自立・就労に向けた効果的な仕組みなどについても検討する。

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