(資料1)

評価委員会における主な意見(第1回及び第2回)

(□ 第1回 / ■ 第2回)

1 総論

 各施設の特色(類型など)を踏まえた形での資料としてほしい。

 従前から幼保一体化を行ってきた施設と、今年から初めて取り組む施設とでは、保育の工夫や苦労する点に違いがあるだろう。そうした視点もほしい。

 園児数の多寡による影響等も整理してほしい。

 総合施設はハコモノを作る話ではなく、機能の話であることを再認識してほしい。自治体はとかくハコモノを作りたがるが、幼稚園・保育所が総合施設的な機能を発揮することで十分なところに建てるのは無駄使いである。

 総合施設を求める動機は何か。「地域の子は地域で育てる」観点から、幼稚園が保育所該当児を受け入れたり、保育所に自由契約児を入れたりして工夫・対応している地域もある。

 隣の子どもが3キロ離れているような地域もあり、総合施設には地域の実情に対応可能な柔軟性も求められるが、地方で全部考えるということでも、規制改革・民間開放推進会議のように幼稚園と保育所の「低い基準に合わせる」、あるいはもっと低いものが出る可能性がある。ここは基準として大事であるというものを作りながら、地域の実情に応じた工夫できるという両方の要素が必要ではないか。

 総合施設には柔軟性も必要であり、モデル園の教育・保育内容はかなり様々である。様々なものがあって良いが、基本的なものは押さえていることが必要。

 基準については、幼稚園も保育所も幼稚園設置基準のように固く決める部分と、幼稚園教育要領のように大綱的に定める部分がある。こうした2つの要素の兼ね合いを考えることが必要。

 総合施設は「排除の論理」に立たない弾力的な運用が可能なものにすべき。また、「総合施設」という名前が誤解を招きやすいが、その施設だけで完結するのではなく、地域と連携してほしい。

 行政窓口の一本化等は、急に変えることは難しいとしても、あるべき方向性を総合施設を契機に考えるべきではないか。

 モデル事業実施園における教育・保育の質は、もともとの幼稚園・保育所としての教育・保育の質によるところが大きく、これは制度設計で何とかなるものではない。

 次世代育成支援の行動計画策定時に把握している地域住民のニーズに関するデータを活かして、地域の実情に即して総合施設を考えていくことが重要。


2 職員配置について

 保育所レベルの職員配置が確保されていないことに危惧を感じる。特に低年齢児の配置については課題が多い。

 以下の点を検討し明らかにしてほしい。
(1) 午前中の「共通の教育時間」における職員資格・職員配置のあり方
(2) 午後の長時間保育については、保育所的に毎日利用する子どもと、預かり保育的に週に何日か利用する子どもの双方がいることを踏まえた職員配置のあり方
(3) 年度途中入所を考慮した教育の在り方)
(4) フリーの職員や非常勤職員の活用
(5) 子育て支援の職員配置)
(6) 保育ボランティアや実習生の活用

 非常勤職員については、時間給であるため、打ち合わせ時間が確保できない。常勤職員と非常勤職員の中間的な取扱いを考えざるを得ない。

 職員配置については、園児の数が午後には短時間児が抜けて減っていくことを踏まえて考えることが必要。

 「低年齢児と5歳児に経験豊かな教員を配置」との回答が目立ったが、経験年数が長いことも重要であるが、様々な年齢を担当することで子どもの発達過程の理解が深まるといった効果もある。

 0・1歳児の保育については経験が重要。職員の会議も研修だが、こうした経験を重ねることも1つの研修の方法である。

 総合施設は多様な機能を有するため、職員もかなり力のある人が必要。幼稚園・保育所双方の職員の相互理解を進め、サービスの質を高める上で、研修は重要。施設は長期休業などを活用して時間確保に努力しているが、長時間児担当はどうしても参加時間の制約を受ける。

 非常勤職員が多く活用されている実態を踏まえれば、常勤職員の研修だけではなく、非常勤職員の研修について考えていく必要があるのではないか。

 幼稚園・保育所・小学校の職員の研修等が融合的に行われている例もある。


3 職員資格等

 園長資格の検討も必要。具体的な案はまだないが、何もなくて良いことにはならないのではないか。

 保育士は国家資格化した際に、親への指導援助が法律に規定されたが、幼稚園教諭はそうした定めがない。総合施設の子育て支援機能を考えた場合、こうした二つの資格の整合性をどう考えるか。

 特に0〜1歳児は、幼稚園側にとって未経験の分野である。

 0・1歳児の保育については、実際に従事経験を積むことが重要。現場の中で幼稚園教諭・保育士が一緒に考えていくことで、どちらにも良い影響が出るのではないか。

 園長のあり方が重要。園長次第で、総合施設の多様な機能が柔軟に発揮できる場合もあれば、単に今までの機能を結びつけただけになる場合もある。


4 施設設備

 0・1歳児は幼稚園にとって未経験の分野であり、安全の確保を考え、慎重な対応が必要。「遊具」についても、低年齢児と4〜5歳児とでは同様にはできない。総合施設では、親子登園のように不定期の利用者もいることにも留意が必要。

 幼稚園では園舎は2階建てまでに制限されているが、保育所は3階以上も可能である。既存施設からの転換を考えた場合に、この制限をどう考えるか。

 給食施設のあり方については、食育基本法が制定されたことも踏まえた検討も必要。

 食育については、在園児の食事の充実だけを考えるのではなく、在宅の家庭の参加を念頭に置いて、厨房ではなく台所のような家庭に近い設備を設けることも考えられるのではないか。

 子育て支援を視野に入れた施設・設備の在り方の検討が必要。

 従来の保育室だけでなく、柔軟な使用が可能な多目的なフリースペースがあると運営しやすい。

 給食を含めた食事は、保育の一部であり、施設が責任をもって行うことが必要。やむを得ず外部搬入により食事を提供する場合には、献立作成者や材料の明示、試食、栄養の確認や残滓調査の実施などが必要ではないか。搬入業者に委ねてしまうのではなく、施設側が主体的に計画・実践・評価・改善というサイクルで責任を果たしていくことが必要。
 アレルギー児への対応についても、単に除去すれば良いということではなく、除去した分の栄養をどのように補うかまで含めて考える必要がある。

 既存の保育所や幼稚園が転換しやすいことは大切。


5 教育・保育の内容

 総合施設における教育・保育の内容については、幼児教育要領や保育所保育 指針を踏まえた上で、合同保育や子育て支援といった総合施設に固有の事情を 踏まえた何らかのガイドラインが必要ではないか。

 何らかのガイドラインを作成する場合には、最低限の歯止めをかける部分と 同時に、良い取り組みを紹介して促すような部分があるのではないか。


(1) 同一年齢保育と異年齢保育

 クラス制(同一学年原則)と異年齢保育については、かなり検討が必要。保育所では、かつては同一年齢でクラスを編成されていたが、社会の変化の中で異年齢保育を積極的に行う流れになっている。

 幼稚園と保育所のカルチャーの違いの典型がクラス保育と異年齢保育であるが、総合施設においては両方を取り入れていくべき。

 クラス制は、園構成の基準としての使われ方、教育編成の要素、教育内容の要素の3つのレベルで切り分けて議論することが必要。実際に個別の活動の中で、同年齢・異年齢の組み合わせはそれぞれの園の工夫の問題であり、国レベルで統一することには疑問。

 保育所の基準は子ども一人ひとりの個に着目した要素が多く、幼稚園の基準はどちらかといえば集団教育的な発想で学級という形になっている。総合施設の場合、個と集団のバランスを年齢や発達段階に応じてどのように考えるか。


(2) 教育・保育の概念整理(早期教育等の懸念)

 資料では「教育・保育」と当たり前のように使われている、そもそも「教育とは何か。どう捉えるのか。」を整理していくべきではないか。「教育」の中身を履き違えると、幼児に無理をさせることにつながり子どものためにならない。

 総合施設になれば1歳から英語やコンピュータを教えようとしている人もいる。「(幼児)教育とは何か」を明らかにしなければ、他の幼稚園・保育所が迷惑をこうむる。
 外国語教育等を全く否定しているのではなく、本来の教育要領や保育指針に基づく内容をしっかり行った上で「+α」として盛り込むのであれば構わない。ただし、早期教育を「売り」に総合施設に参入しようとする動きが見られることには、何らかの警鐘を鳴らしていく必要があるのではないか。


(3) その他

 保育所の場合、年度途中入所があるが、それを踏まえた上での総合施設における教育等の在り方を検討し明らかにしてほしい。

 幼稚園と保育所で合同活動を行う場合には、施設の理念や組織といった点について統一的なものを確立することが求められる。

 午睡や給食のあり方、長期休業期間の有無、保護者の参加、行事のあり方などについて検討が必要。
 合同活動については、少人数ではうまくいっても、多人数では難しいこともある。施設の規模に応じて考える必要があるのではないか。

 保護者の意識に微妙に差があるため、苦情解決あるいは、何らかの外部評価、 積極的な情報公開といったアカウンタビリティを果たす仕組みが必要ではない か。

○ 指導要録送付等、小学校教育との連携
 幼稚園では小学校へ指導要録を送付するが、保育所にはこうした仕組みがなく、総合施設ではどうするかの検討が必要。

 保育所も記録は十分に行っているので対応はできる。

○ 保育時間
 子どもの立場に立ち、長時間保育の標準は8時間程度であるべき。次世代育成のために働き方の見直しが求められている今、11時間、12時間といった保育時間を標準とすべきではない。

 長時間の保育の中で、短時間の保育では見られない子どもの成長を認めることがある。無理に保育時間を長くすることはないが、ある程度の時間の長さの保育の中で現れる長所も踏まえた上で指導の在り方などを考えていくべき。

 保育所保育を否定するつもりはなく、8時間が長過ぎるとは考えていないが、11時間も12時間の保育を基本とするのはおかしい。

 保育時間について国の基準として踏み込めるかは、やはり地域の実情や親の状況がある中では微妙。


6 子育て支援

 幼稚園、保育所がそれぞれ機能を広げてきている中で、目配りが行き届いていないのが、在宅の0〜2歳児及びその保護者である。これまでの議論を踏まえ子育て支援は総合施設の必須事項であるべき。特に在宅児とその親を対象に親の子育て力の充実を図ることが大切。

 在宅の親子支援を含め、子育て支援の職員体制をどうするのか。主として子どもの保育に携わる職員に全部負わせるのはかなり厳しい話であり、財政の問題もあるが、ある程度のスーパーバイザーやコーデネイター的な能力を有する人が必要ではないか。

 子育て支援には幼稚園教員、保育士の資格とは違う専門性を有する人が必要ではないか。

 子育て支援を視野に入れた施設・設備の在り方の検討が必要。(再掲)

 本当に支援が必要な人は、施設まで来ない。子育て支援については、こうした人にアプローチしていく、家庭を訪問する出前保育のような取り組みもある。

 地域全体の子どもの育ちを支援する際には、3歳未満児の子どもの育ちに的確に理解し、そこに家族や地域がどう関わるかを明確にしていくことが重要ではないか。


7 その他

 モデル園に訪問した際に、モデル園同士の情報交換の場を用意してほしいとの要望を聞いた。これは質の向上に有意義ではないか。

 情報交換会は、確かに有意義と思う。

 公費負担の在り方については、公私間格差や幼保間格差の現状を整理していくことが必要である。

 職員の人事交流や福利厚生等における幼稚園・保育所間の相違について、どのように考えるか。

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