05/10/28 第12回 医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する 検討会 議事録 第12回医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会 日時 平成17年10月28日(金)15:00〜 場所 厚生労働省専用第18会議室(17階) ○赤熊補佐 ただいまから「第12回医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等の あり方に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙中 のところ、当検討会にご出席いただき誠にありがとうございます。本日は金川委員、坂 本委員、谷野委員から欠席の連絡を受けております。それでは山路座長、議事進行のほ ど、よろしくお願いいたします。 ○山路座長 本日はご苦労様でございます。本日から検討会のまとめ案議論に入ることに なります。今日はその骨子について、検討していきたいと思います。事務局より資料の 確認をお願いいたします。 (資料確認) ○山路座長 資料の確認はよろしいでしょうか。それでは議事に入りたいと存じます。事 務局より資料説明をいただく前に、昨日、医療過誤問題研究会、医療事故情報センター、 医療問題弁護団の連名により、「産科における看護師等の業務に関する意見書」がこの 検討会宛に届きましたことをご報告いたします。内容の概略をかい摘んで紹介いたしま すと、「内診は医師または助産師のみが実施し得る医行為であり、医師の指示により看 護師が行うことは違法であること」、「児頭下降度、経管開大度の計測を看護師に実施 させるための保健師助産師看護師法を改正すべきではない」、「看護師の内診実施とい う違法な医療慣行を改めるよう指導を行うとともに、助産師の就業促進等の施策を検討 すべき」という趣旨のものです。この意見の趣旨については、当検討会において何人か の委員の方々から出されている意見と同趣旨のものであると考えます。そうした意見を 踏まえて、本日からとりまとめの段階に入っておりますので、この場で詳しく紹介する ことは控えて、本日の議論と併せ、次回以降の検討の参考にしていただければと思いま す。  なお、本意見書については参考資料も大部ですので、後ほど事務局から各委員のお手元 に届くようにいたします。次回までにお目を通していただくようお願いいたします。こ れは私の一存でありますが、このような取扱いにさせていただきたいということです。 それでは事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○鎌田看護職員確保対策官 資料1、資料2に基づき、説明いたします。資料1ですが、 第11回における看護職員の専門性の向上についての本検討会における主な意見をまと めたものです。読み上げます。  専門看護師や認定看護師の制度は看護協会のもとにある認定制度である。専門制度とい うものは、国が律して行うものではなくて、団体が自主的に行うことが大切である。専 門医と異なり、専門看護師の制度は、修士課程を修了していないとなれない。専門性を 深めるためには必ずしも学歴は必要ではない。学歴を課すことは、不公平にはならない か。専門看護師も、看護師の資格が土台となっているが、質の高い看護を提供するため には、それなりの知識が必要であると考え、修士課程修了を必須としている。これは諸 外国にも同様の制度がある。  専門職の養成を大学院だけで行っていいのかという議論はあるが、現状では、看護系の 学会は専門性を認定するだけの十分な力量がない学会も多いので、今のような形でも当 面はやむを得ないのではないかと思う。現状の認定看護師、専門看護師の制度では、「保 健師、助産師、看護師のいずれかの免許を有すること」となっており、看護師国家試験 が不合格で看護師の資格を有しておらず、助産師のみ資格を有している場合も、認定看 護師や専門看護師の資格を取得することは可能性があるのはよろしくないのではない か。  現場での活用についてもいくつか意見がありました。専門看護師や認定看護師の資格を 取らせるには、時間的にも、マンパワー的にもかなりの犠牲を払わなければ成り立たな い。また、専門看護師や認定看護師の資格を得たからといって、経済的な評価をされる わけではない。専門看護師や認定看護師をどのように評価し、処遇に反映させるかが課 題である。専門医はかなり増加し、その地位も確立している一方で、看護師は専門性を 導入しても、増加のスピードは緩やかである。  がん専門看護師はがん患者の相談、ケアの提供に加え、看護師の教育や相談、研究の指 導や倫理的課題の調整役なども担っている。重症集中ケアの認定看護師はフィジカルア セスメントをどのように看護に生かしていくかを考えて活動している。専門看護師、認 定看護師の養成は、資格を取得するための期間が長期に及び、しかもその期間は原則と して現場を離れなければならないため、現場の負担は大きい。そのような現場の負担が 大きい中で、資格を取得した者を有効に活用できるよう配置するように気をつけている。 専門看護師や認定看護師は、現場の看護師たちから頼りにされ、医師や他のコメディカ ルとの連携もスムースにいっている。  がん専門看護師はがん患者の告知後のフォローを行ったり、告知プログラムの作成を提 案したり、患者はもとより医師からも信頼を得ている。専門看護師や認定看護師の資格 を取得するために病院から人を出すことは確かに大変なことであるが、資格を取得して 戻ってきたときの貢献度を考えれば検討の価値はある。処遇については、がん専門看護 師が診療報酬における加算が認められる制度があるくらいであり、今後は彼らの活躍具 合をどのように反映させるかが課題である。現状では、資格を持っているからといって、 給料に反映させることは難しい。また、これらの資格は5年の更新制であり、それ故に、 彼らにとっては、研究やその分野の勉強の大きなモチベーションになっている。専門看 護師や認定看護師の看護職員が随所に配置されれば、インシデント、アクシデントの発 生防止に効果があり、安全で質の高い看護が提供できる。現在のところ、専門看護師や 認定看護師の配置の効果を示すエビデンスが十分にはないので、これからエビデンスを 作り上げていくことが大切である。  現在は確かに専門看護師、認定看護師の養成数は少ないし、現場からなかなか資格を取 得するために人を出すことが難しいという現状もあるが、専門看護師、認定看護師がい る病院では着実に成果を上げており、職員からの派遣も多い。人気分野については応募 も多く、試験が難し過ぎて入学できないので、養成数を増やしてほしい等の意見も多い。 今後は少しずつであるが、養成数、有資格者も増加してくると思う。専門看護師、認定 看護師の量を増やすことと、入学時の試験のハードルを調整することの両立に課題があ る。看護師の質を高めることと、数を増やすことの両立については検討が必要である。  次に、論点となった広告についてですが、臨床現場では資格制度がない状態でも、専門 性の高い看護を提供する看護師もいる。専門看護師とか認定看護師の制度を否定するも のではないが、これらの専門性を国がコントロールすることは良くない。医療の現場で 官製は良くない。民間団体にできることは民間団体に頑張ってもらうというのが、今の 政府の姿勢ではないのか。広告については、医療部会においてネガティブにするかポジ ティブにするかといった結論が出ていないので、この場で議論はできない。医師は、そ の存在自体が専門性を持った存在である。一方、看護師の場合は看護師全員がジェネラ リストであったが、医療の進歩に合わせて、看護の中でも専門をつくっていく必要性が 出てきて、意図的に分化させて専門化に取り組んでいると思う。看護の広告はこれまで あまりされてこなかったが、日本看護協会では専門看護師、認定看護師として、看護師 としてのより高度な認定看護師像を想定していることと思う。看護の資格は保健師、助 産師、看護師であるが、看護師をベースの資格と考えるのであれば、ある程度、保健師、 助産師も専門看護師とも解釈できないわけではない。保健師、助産師と専門看護師の関 係性を明確にして、保健師助産師看護師法をどのように構築、改正していくか、避けて 通れない問題であると考える。  3頁に入ります。医師の場合は、専門の標榜と実際の専門が異なると具合が悪いという 旨の意見があったが、看護師も基本的には同じだと思う。不妊治療を実施しているクリ ニック等に不妊看護の認定看護師は配置されているのかという利用者からの質問もあ り、利用者の看護への専門性の期待は大きい。専門看護師も認定看護師も、現場では一 定の成果を上げているので、積極的に広告を認めてもいいのではないかと思う。パンフ レットや院内掲示等で専門看護師について掲示を行った結果、患者は専門看護師のとこ ろへ相談に行くようになった。専門看護師の存在を知らない患者も多い現状では、広告 は必要であると思う。患者が情報を持って自分自身で選択できるようにする1つの方法 としても、広告は必要である。  看護師の専門分化はこれから推進していかなければならない。看護の専門分化は、自分 たちである程度専門分化していかなければならないと思う。学会で専門認定することも 結構であるが、ただ、そのプログラムについては、何らかの客観的なチェック体制を整 備することが必要であると考える。そのようなチェック体制が担保されるのであれば、 広告規制を緩和して構わないと思う。また、それに関連してハードル、妥当性を検討し ていく必要があるというご意見もいただきました。  その他、看護の専門性については、産科専門看護師、精神科専門看護師などの名称を使 用することは法律上問題はないのか。専門看護師と名乗ったり、名刺に記載したりする ことが法律上問題にならないのか。以前、「○○専門看護師」という名称を使うことは 法律上問題がある、というような記述を読んだ記憶がある。この辺りをきちんと整理し なくてはいけない。地域の医療現場で助産師が不足していることを考慮し、産科エキス パートナース、分娩看護の分野の認定を考えるべきではないか。医師から独立、開業し て助産を行う助産師と、医療機関内で医師の指示の下で行われる助産は、求められる能 力が異なることから、6カ月600時間が少し緩和されるのではないか。  分娩に特化し、医療機関の中で医師の監視下で分娩の介助を行うので、助産師ほどの高 度な内容の教育をしなくても十分に業務を提供できるのではないか。助産は助産師の養 成を考えるべき。助産師が不足しているからといって、安易に分娩に特化した認定の看 護師を養成するべきではない。助産師の教育の養成期間は6カ月以上となっている。認 定看護師も養成期間は6カ月以上600時間以上だが、さらに実務経験が5年以上なけれ ばならず、助産師の養成より困難となるというご意見でした。  今回紹介した前回までの意見も踏まえて、中間まとめ以降の議題についてとりまとめた ものを資料2として用意いたしました。これについても引き続きご紹介いたします。 「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会まとめ案 (骨子)」I.はじめに。本検討会は平成17年4月に設置され、患者の視点に立って 安心、安全な医療を確保する観点から重要と考えられる課題について検討し、本年6月 末に、それまでの検討の成果を中間的にとりまとめ、社会保障審議会医療部会に報告し たところである。その後、残された課題について○○回にわたって検討し、これまでの 検討結果をとりまとめることとした。検討の成果については中間とりまとめ同様、社会 保障審議会医療部会に報告することとする。  II.個別の論点。1.助産所の嘱託医師。(1)現状及び問題の所在。嘱託医師につい ては助産師と連携して健やかなお産に導く役割を期待されており、緊急時に限らず日常 的に相談できることに意義がある。産婦人科の医師の確保が困難な現実もあり、精神科 や皮膚科の医師が嘱託医師になっている場合がある他、分娩を取り扱っていない産科医 等がなっている場合もある。こうした専門外の嘱託医師が選任されている場合、本来期 待されている機能が発揮されているかが疑問である。また、名前だけで緊急時には近隣 の周産期センターと連携していることもある。助産所から他の医療機関への転院・搬送 される母体、新生児は分娩数の1割程度存在し、後方支援の医療機関の必要性は高いこ とから、緊急時には嘱託医師を介さずとも、24時間受け入れることのできる医療機関と の連携が必要である。  こうした現状や問題の所在を踏まえて、嘱託医師に関しての確保、今後の方向性をまと めてみました。(2)今後の方向性。嘱託医師については、身近に助言できる医師ある いは何かあったときにすぐに対応できる医師としての位置づけであり、産科医師とする 必要がある。その上で、嘱託医師では十分に対応できない場合の後方支援として、助産 所との連携医療機関を確保するための制度的措置を講ずることが必要である。2頁に移 ります。産科医療の確保が重要な課題となっており、助産所について産科医療の担い手 の1つとしての役割がさらに積極的に果たしていけるよう、各般の施策の中で助産所の 位置づけや役割について考慮するとともに、関係団体においても周産期医療の確保に積 極的に協力する必要がある。  次に、新人看護職員について説明いたします。2.新人看護職員研修。(1)現状及び 問題の所在。新人看護職員の臨床能力は、現場の期待するレベルに達していない。また 看護師については、卒後に行われる研修制度がなく、就職先の病院等の自主的な取組み に委ねられているのが実状です。このために、ヒヤリ・ハット事例に新人看護職員が関 与する事例も相当数存在すると報告されておりますし、残念ながら、医療事件につなが った例もございます。  したがって、新人看護職員研修の制度化の必要性と課題について、次のようにまとめて みました。基礎教育で臨床技術を習得すること、医療機関の自主的努力に委ねることに は限界があり、新人看護職員研修の制度化は必要である。それは医療事故の防止に不可 欠であり、また新人看護職員の離職防止にもつながる。新人看護職員研修の制度化に際 しては、看護職員の就業状況を考慮すると、医師の臨床研修の制度化の経験を踏まえた 研修方法、内容を考えていかなければならない。医療の高度化、看護のニーズの増大を 踏まえると、養成所のあり方やカリキュラムとも関係をしており、並行して基礎教育の 充実も必要である。  こうした必要性と課題を踏まえた今後の方向性ですが、看護師の資質向上のためには、 新人看護職員研修の何らかの制度化が不可欠であるが、基礎教育との関係も含め、研修 の役割、内容等について検討する必要がある。また、現在の医療機関による実質的な取 組みとの整合性についても検討が必要である。このため、新人看護職員の制度化につい て別途検討を進める必要がある。  次に、産科における看護師等の業務について説明いたします。(1)現行制度の扱いと 提案。現在、産婦に対する内診は助産の業務の一環であり、助産は医師及び助産師のみ に許された業務とされている。産科の閉鎖や分娩の取扱いをやめる医療機関が相次いで おり、診療所における助産師の不足も大きく影響しており、一定の条件下での内診を看 護師等の診療の補助行為として考えるべきとの提案があった。(2)産科における看護 師等の業務を巡る議論の経過。分娩を取り巻く状況について。昭和25年には95%は自 宅での分娩であったが、年々医療機関へシフトしていき、平成15年には52%が病院で、 47%が診療所での分娩となっている。また、助産師はかつてほとんどが助産所に就業し ていたが、平成15年には69%が病院、18%が診療所で就業している。マスコミでも報 道されているように、地方においては分娩医療機関がない所も出てきており、地元でお 産ができない状況になると、住民が不安と不満を抱き、少子化を加速させていくのでは ないかとの指摘もある。  看護師の業務について。見直し論。保助看法には助産の定義はなく、助産と診療の補助 行為の違いが明確ではない。助産を定義し、診療の補助行為と区別すべきである。助産 師が行う内診と、医師の指示の下で看護師が行うものとして求めている内診とは自ずか ら異なる。医師が求めるのは、分娩第I期において分娩監視装置等により観察しつつ、 看護師が子宮口の開大度・児頭の下降度のみを計測し、医師に伝えることである。現在、 看護師は内診をすることができないこととなっているが、少なくとも分娩の第I期にあ っては、絶え間ない分娩を監視していくという意味では違法性はないと考えられるので はないか。医療現場では、看護師が患者の状態を観察し、医師に報告し、それを基に医 師が判断することは通常であり、それが否定されることは疑問である。  外来・分娩・手術も行わなければならない医師は、約8時間に及ぶ分娩第I期の経過を 常に観察することは不可能であり、それを補い、分娩を安全に導くために、看護師によ る子宮口の開大度・児頭下降度の観察・測定が必要である。内診は静脈注射より侵襲性 が少なく、分娩監視装置も装着しており、訓練した看護師なら十分行える。現行の枠内 でできないのであれば、保助看法の考え方を変えるべきである。例えば、産科エキスパ ートなど新しい制度を考えるべきである。  これに対して反対・慎重論がありましたので紹介いたします。反対・慎重論。内診は、 分娩進行状況を判断するための全体掌握の1つの手段であり、内診の行為を計測として 単純に論じられるものではない。子宮口の開大度のみではなく、硬度・柔軟性、位置及 び回旋、骨盤内の児頭の高さ、骨産道の形状等を判定して、分娩進行に伴う危険の予見 とその回避のための助産業務の一環である。医師の指示下によるものではなく、また看 護師が代行できるものではない。  内診は計測ではなく診察と考えられるが、仮に看護師に子宮口の開大度と児頭の下降度 の2つだけを計測し、医師に報告させると、他の部分の情報が医師に伝わらない制度と なるおそれがある。内診するタイミングは、機械的に決まるのか。看護師の知識と能力 で判断できるのか疑問である。従来の「内診」の中から、子宮口の開大と児頭の下降度 を見ることのみ切り離し、一定の訓練を受けた看護師にやらせる制度を設けた場合、そ れが内診と言えるのかどうか。また、そのことが患者の安全、医療の安全との関係でど のような意味を持つのか。医師、助産師、看護師の間で議論が必要である。質の高いお 産が求められている中、看護師に内診させるのは問題である。十分な教育を受けた助産 師を養成するべきであり、助産師教育を充実させ、国が政策的に診療所の助産師を増や すことを積極的に行うことが必要である。  助産師の確保について。昭和20年代に比べて看護師は10倍以上増加しているが、助産 師は半減しており、助産師は絶対数が少ない。また、地域や医療機関における偏在とい う問題もある。助産師を増やすことが重要であるが、少子高齢化社会においては、助産 師と看護師とを同時に増やすことは容易でないという状況を踏まえ、安心して出産でき るよう、必要な措置について提言するべきである。産科医の不足を助産師の不足に結び 付けるのではなく、診療所における就労を促進するため、報酬や待遇に加え、助産師に ふさわしい業務が行えるようにするなど、助産師の気持を満たすことが必要である。  患者への情報提供。産婦の不安がないように、誰が何をしているのかきちんと患者へ情 報開示をしてほしいといった議論がありましたので、(3)今後の方向性にまとめてあ ります。助産師の需給の状況、確保策については、現在需給見通しの策定作業を行って いるところである12月の需給見通しの確定を踏まえ、改めて検討する必要がある。産 科における看護師等の業務については、助産師の確保策を推進する一方で、保健師助産 師看護師法のあり方を含めて、別途検討する。  4.看護記録。(1)現状及び問題の所在。法律上の根拠はなくても、医療機関では入 院患者を中心に医療記録を適切に記載しており、また、重要な裁判資料として取り扱わ れている。診療に関する諸記録の取扱いについては、医療法体系において、地域医療支 援病院及び特定機能病院とその他の病院では異なっている。患者のベッドサイドに行く よりも、看護記録の記載に時間を取られ過ぎていることが問題となっており、また外来 における看護師も多忙で、記録を書く時間が十分にあるか疑問である。外来や社会福祉 施設などにおける看護記録の実態が把握されていない。  (2)看護記録を法律に位置づける必要性及び課題。医療に関する記録としての看護記 録の意義は、専門職としての看護師が、医師や薬剤師と同じようにきちんと記録を書き、 それを後で評価していくことにある。医療、看護の継続性を図ること、診療情報を医療 従事者と患者との間で共有すること、看護の内容を評価する指標とするとき、今日的な 意義にかんがみれば、法制化について検討する必要がある。法律に位置づける効果とし て、区々となっている看護記録の記載内容等を統一し、すべての医療機関に行き渡らせ ることが期待できる。外来や福祉施設については、それぞれにおける看護の役割、それ を踏まえて記録のあり方の議論が求められる。チーム医療が行われている現状において、 他の医療関係職種の記録の扱いも考えなければならない。(3)今後の方向性。看護記 録の意義、医療提供において果たしている役割の大きさにかんがみ、法制化の必要性に ついて検討し、記録の範囲や対象など、法制化に際しての課題について明らかにする必 要がある。当面、診療の諸記録の中に看護記録が当然含まれていることを明らかにする 制度的措置を講ずることも考えられる。  5.看護職員の専門性の向上。(1)現状と問題の所在。日本看護協会等が認定してい る認定看護師、専門看護師等は、その専門分野に係る看護の実践、教育、相談において 一定の役割を果たしている。より専門性の高い看護師の育成や普及が求められているが、 養成機関が少なかったこともあり、現状においてはその数は少ない。(2)専門性の高 い看護師の養成・普及、広告の必要性と課題。医療に関する専門制度は、国が関与する ことなく、専門集団が自主的に行うことが大切である。専門分化の過程が医師と看護師 とで異なることに留意する必要がある。また、保健師、助産師と専門性の高い看護師と の関係を明確にしていく必要がある。認定看護師、専門看護師の認定を受けるため、民 間の病院は時間的、マンパワー的に多大な犠牲を払っている一方、資格取得者の効果の 評価、処遇が課題となっている。  患者・国民に対する情報提供を促進し、患者・国民による選択を促す観点からは、看護 師の専門性について広告する必要性はある。医療機関の広告については、その制度のあ り方について医療部会で検討しているところであり、その結論を待つべきである。(3) 今後の方向性。看護の専門性を認定する体制、認定に際しての基準について、資格を認 定する主体における検証、整理が必要である。患者・国民に対して情報提供を促進し、 患者・国民による選択を促す観点から、専門性の高い看護師の広告については、医療部 会における広告のあり方についての検討結果を踏まえ、制度的な措置を講ずることも考 えられる。  3.おわりに。本検討会は、平成18年の医療制度改革に反映させることを念頭に、医 療提供体制に係る看護職員に関連する論点について精力的に議論を行ってきた。中間ま とめを含め、これまでの議論の結果、制度的措置をとることが適当との結論に至った事 項については、平成18年改正に反映するよう期待する。他方、平成18年改正において 制度的措置を取るべきとの結論に至らなかった事項についても、本検討会における検討 結果を踏まえて対応することを求める。以上です。 ○山路座長 それでは個別の検討を行っていきたいと思います。議論を効率的に進めるた めに、ある程度議論の方向性がまとまっているものから検討していきたいと思います。 そのような形で順次議論していただきたいと思いますが、まず「Iのはじめに」からご 意見をいただきたいと思います。これは本検討会の経緯をまとめたものですから問題は ないと思いますが、いかがでしょうか。このような形でよろしいでしょうか。これにつ いては事実経過を説明しただけですから、異論はないと思います。  次に、IIの個別の論点に入ります。まず、1の助産所の嘱託医師について、このまとめ の骨子案についてご意見をいただきたいと思います。 ○山本委員 かねてより、助産師、嘱託医師に関する意見書は提出しておりましたが、開 業助産師、助産院における嘱託医師というのは、専門職である産科医師以外の者でも嘱 託医になり得るということがいちばんの問題です。概ね産婦人科医師が嘱託医師をして おり、実質問題としてはいつでも相談できる状況であったり、緊急時にも対応してくれ るといったことができておりますが、全部の統計が出ておりませんので、その中には、 明らかに産科以外の医師が嘱託医を引き受けているという現状がありますので、制度的 には要らない状況と言えるのではないかと思います。嘱託医個人に係る負担が大きいの で、嘱託医師制度ではなく、嘱託医療機関制度あるいは協力医療機関制度といった制度 の改革が必要であると思いますので、今後もその件に関しては検討していただきたいと 思っています。 ○石渡委員 いま山本委員が言われたとおり、確かに、嘱託医師が嘱託医師として機能し ていない、それは産科以外の専門医でなくてもできるということが1つあろうかと思い ます。ただ、嘱託医師というのは、割と近隣の医師が嘱託医師を引き受けてくれている わけだから、いろいろな意味での相談には乗れると思うので、この制度はあってもいい と思うのです。ただ、それだけでは不十分ではないかと思っております。この論点の中 で1つ欠けていることは、助産所における医療行為についての検討で、特に安全、安心 という意味での検討が少し欠けているのではないかと思います。例えば、子宮収縮が非 常に悪いときの子宮収縮剤の服飲、筋注、あるいは産道裂傷の縫合、早産予防のときの 子宮収縮抑制など、リスクの高い症例について、これらを助産所で処理するということ については、安全という意味において非常に問題があろうかと思うのです。やはり、異 常が起きたときの医療が必要な場合には医療機関に委ねるということが必要であって、 安全面を考えたときに、今後検討されると思いますが、いわゆる約束事項、遠隔的な約 束事項、包括的な約束事項があり、その上で医療を行うということについて非常に危機 感というものを感じております。助産所というのはリスクのない分娩、あるいは新生児 を取り扱うということに限定することが、今後必要ではないかと思っております。 ○山路座長 その点に関して、何かご意見があればお願いいたします。 ○菊池委員 助産所でのお産は自然分娩を中心にしているわけですが、何かあったときの 緊急的な対応として、医療機関がきちんと連携してバックアップすることが大事だと思 います。嘱託医師の場合、前に現状の話が出たときに、必ずしも24時間対応できない 部分があるとか、たまたまいないことがあったりといったことがあるので、連携医療機 関をきちっとつくる上で、例えば新医療計画などでも、それぞれの事業ごとに、医療対 策ごとに診療ネットワークを作り、住民から見て安心して医療が受けられるようなネッ トワーク作りが必要だということが言われております。そのような観点から、産科医療 の体制や周産期医療体制を、地域に整備する中で、助産所の連携医療機関制度も考える 必要があると思います。 ○山路座長 報告書の骨子案に即して言えば、今後の方向性の○の所にそれは含まれてい るわけです。いま石渡委員が言われた点については、後方支援としての連携医療機関の 確保のようなことを言えば、それは敢えて言わなくてもいいのではないかということに なるというのが菊池委員のご意見ですか。 ○菊池委員 書き込まなくてもその内容は一応入っているのではないかと思います。 ○辻本委員 2頁目のいちばん上の○、今後の方向性の2つ目の○ですが、私に読解力が ないからなのか、これは何を言わんとしているのかがよくわかりません。というよりも、 具体的なものが全く見えてこないので、もう少し具体的に、例えば関係団体というのは どういったことを指すのか。その辺りを明確に示すことがこの議論の成果ではないかと 思うのですが、いかがでしょうか。 ○山路座長 事務局として、何かこの点についての補足はありますか。 ○鎌田看護職員確保対策官 ここに「各般の施策」と、いかにも我々がよく使ってしまう 言葉で書いてあるのですが、今年8月11日に、医師確保総合対策の中であったのです が、産科医師と助産師の役割分担・連携の中では産科医師と助産師に分かれる部分は連 携を進めるということがありますし、地域における産科医療の確保というところが大き な課題になっているので、行政としてもいろいろな場面で、今回も制度改正があるわけ ですが、そのときそのときにきちんと産科医療の確保、産科医師と助産師の役割分担・ 連携、その中で正常産を扱う助産所の位置づけなどを考えていくことが行政としてまず 必要だろうということです。  指摘された関係団体においても、いま実際に助産師確保、産科医療の確保の中で、地域 においては助産師会なり看護協会、さらには地域の産科医会の方が協議会をつくって、 産科医療の安全、安心なお産の確保ということで行われていますし、途中、委員の中か らもそういったことに対して協力をしていきたいという資料の提出がありましたので、 関係団体と書いてありますが、具体的に言えと言われれば、助産師関係、看護師の関係、 あるいは産科医の関係の団体が、周産期医療において実際の場面で協力していただきた いということです。 ○辻本委員 ご説明を伺うと、なるほどと納得できるのですが、一般国民はこれだけの文 章で安心というところにいかないのではないかと思いますので、わからない人たちへの 配慮をもう少しお願いしたいと思います。 ○山路座長 関係団体についても、具体的に名前を挙げてもらったほうがいいということ ですね。 ○遠藤委員 ただいまの説明の中でいちばんわかりにくかったのは、おそらく「各般の施 策の中で」と書いてある所だと思います。周産期医療というのは都道府県ごとで整備す るのはもう決まっているわけですから、都道府県並びに市町村の中での制度があるわけ で、その中にきちんと載せていくということがこのディスカッションの中で出ていたか と思いますので、そのように表記していただく。先ほどの安全の観点では、あのときに 山本委員がプレゼンテーションをされた中で、いわゆる助産所の持つべき役割として、 ガイドラインをきちんと遵守していくということを言われていました。もちろん、その 範囲を超えるものに関しては異常ということですから、搬送の仕組みがきちんと乗って いくという理解ができるようにここに書き込めばよろしいのかなと思います。関係団体 も、いま言われたように、助産師、産科医師だけではなくて、実際の周産期医療の中で は住民の方、あるいは消防署などといったいろいろな所が既に入って、システムが機能 するようにできておりますので、その辺のことを書き込んでいただくと助かると思って おります。 ○山本委員 先ほど石渡委員が言われたように、安全面を強化するという意味では、助産 師会はそれを前面に出しているわけです。安全面を強化するために、個人の嘱託医師制 度ではなく、嘱託医は要らないということではなく、制度的な問題として医師制度では ないほうが良いということです。医療機関との強力なバックアップがあった上で、安全 なお産をすることが要求されるわけですから、日々の細やかな相談というのは協力して くれる近隣のドクターにお願いすべきであって、制度としてはバックアップしてくれる 二次救急、三次救急との制度を作ればいいということです。ハイリスク、ローリスクで あっても、助産師が関わることはできないということは、私たちは十分に認識しており、 その上でガイドラインができておりますので、安全面に配慮したことにより、この嘱託 医師という制度は要らないのではないかという提案です。 ○石渡委員 山本委員が言われたように、確かに、助産所で出しているガイドラインが遵 守されていればいいのですが、地域においては必ずしもそうではないところが多々ある ように思います。助産師会が実際に出したアンケート、私たちが求めたアンケートの中 にも、例えば、これは本当に助産所では扱えないような症例が実際には扱われていて、 母体死亡も発生し、新生児死亡はもっと多いわけです。そのようなことを憂慮しての説 明です。もちろん、いままでは周産期救急医療システムに助産所は入っていなかったの ですが、今後はそれに取り組み込むべきだと思っておりますし、山本委員が言われるよ うに、身近な相談は嘱託医師、緊急の場合は救急医療システムの中で、地域として対応 していくということがベターではないかと思います。そのときに、助産所で異常をいつ までも抱え込んでいては大変なことになるので、可及的速やかに、搬送システムを利用 して地域のセンターに送るというのがベストだと思っております。ですから、委員の言 われることと私が言っていることはそんなに違わないのです。 ○山本委員 石渡委員と同じことを言っているのですが、これを保助看法の中で制度とし て残すかどうかというところが最終的な論点になるかと思います。全国の県によっては、 医師会から開業助産師の嘱託医を引き受けないようにという通達が出ている所もあり ます。そうすると、嘱託医師が持てない人は開業権があっても開業できないということ になってしまいます。そうではなくて、きちんと安全面を確保した上で分娩を取り扱っ てほしいということがあるので、嘱託医師制度ではないほうがいいということを再三申 し上げているわけです。 ○平林委員 前の議論のときにも申し上げたと思うのですが、安全面というのは緊急のと きだけではないと思うのです。嘱託医師の制度が全く要らなくて、それは安全面とは関 係ないのだという議論になるのは理解できない。むしろ、嘱託医師と医療機関との連携 をきちんとするという、その2つを制度的に配置していく法的な制度を工夫することが 必要だと思うので、あちらを取って、こちらは要らないという議論はちょっとおかしい のではないかと思います。 ○山路座長 結論として、骨子に即して、例えばここはこのような形に直したほうがいい といった意見をさらにいただければと思いますが、基本的には、この書き方でいま言わ れた話とそう矛盾しないのではないかと考えるのですがいかがでしょうか。ガイドライ ンの遵守等を、この論点の中に、敢えてもう1項目付け加えるかどうかということです。 ○石渡委員 私は入れたほうがいいと思います。 ○山本委員 入れてください。 ○山路座長 異論がなければ1項目付け加えていただくということで、表現については後 ほど事務局と座長とで改めて相談させていただきます。他になければ、論点がややこし い話もありますので、特に異論がなければ進めさせていただきたいと思います。 ○平林委員 具体的な文章のことで、山本委員の懸念を少し晴らすためには、1頁の下か ら2行目、「嘱託医師では十分に対応できない場合の後方支援」となっている所を、例 えば嘱託医師が十分に確保できない場合とか、嘱託医師がなくても後方支援の連携の医 療機関が確保されていれば、医療法上の条件を満たすと。両方あればいちばんいいが、 少なくともどちらかがあるといったことがわかる文章にしていただければ、その懸念は なくなるのではないかと思います。 ○石渡委員 私もそれは賛成ですが、この後方支援病院の先生の中で、その先生が嘱託医 師になっていればもっと望ましいと思うのです。その文言もちょっと加えていただけれ ばと思います。 ○青木委員 前にこの問題について話があったときに、私は自分の意見として申し述べた と思うのですが、嘱託医師というのは医師の応召義務の部分から発してきているものと 理解しております。医療機関との連携ということは、それだけで医行為が必要となって きたときの担保となり得るのかという意味において、これは不確実であると私は理解し ており、嘱託医師があり、さらに連携医療機関があるということがベストだと理解して きたので、本日提出されたこのとりまとめというのは、前回の結論のとおりであると理 解しております。 ○山路座長 表現として、基本的にはこれで構わないということですか。 ○青木委員 「産科医師とする必要がある」と書いてありますから、現在より随分きつく なっているなとは思いましたが、嘱託医師という形のものを外すということは、先ほど 申し上げたように、医師の応召義務から発してきていることなので、医療機関ではその ようにはなり得ないと理解しているわけです。 ○遠藤委員 ただいまの発言で、先ほどのと整合性をつけるために文章を入れればいいの だろうと思うのです。嘱託医師を十分に確保できない場合は、連携医療機関並びに嘱託 医師を確保するための制度的措置を講ずればよろしいのではないかと思うのです。私が 知っている所も現実的には嘱託医をしてくれる医師がなかなか、それは皆さんで受けな いようにしようと言っているのではなくて、現実的にいないのです。それで市立病院の 部長が嘱託医師になっていますし、市立病院が後方支援病院になっておりますが、その 先生の名前で嘱託医師というのをいただいて、現に届出をしている例があります。具体 的に言えば、確保できない場合には、産科の医師が嘱託医師をやってくださればなおい いということで、先ほど石渡委員が言われたことと全く同じことを考えております。 ○山路座長 助産所との連携医療機関が切れて、敢えて嘱託医師を入れると、確保するた めのということで、青木委員の話と整合性がとれるということですね。そのようなこと でよろしいですか。 ○青木委員 賛成です。 ○山路座長 2番目の新人看護職員研修に移りたいと思います。この骨子案についてのご 意見をいただきたいと思います。 ○菊池委員 新人看護職員研修のところで、本会としても意見書を提出し、意見を述べた ところですが、「現状及び問題の所在」のところで、「新人看護職員の臨床能力は、現 場の期待するレベルに達していない」という背景には、そのあと書いてあるような就職 後の研修制度がないための必要性の他に、基礎教育がいまの医療制度に対応仕切れてい ないという問題があるということで、そこの部分が非常に不十分だから充実させる必要 があるということも申し上げたかと思います。その結果、新人看護職員の能力が、現場 の期待するものに達していないために、本人自身も医療事故が非常に不安になるし、実 際に危ない場面にも遇っているということがあって離職が進んでいるという大きな問 題があるので、現状及び問題の所在の所に、レベルに達していないところの問題状況も 少し書き込んだほうがいいのではないか。例えば、いま離職率が9.3%あって、その背 景には、能力が達していないということから、医療事故などを不安に思って離職すると いったことをもう少し書き込んだほうがいいのではないかということが1点。  「新人看護職員研修の制度化の必要性と課題」の所で、研修制度については、今後方向 性の所に「別途検討を進める必要がある」とあるのですが、基礎教育の充実については、 充実も必要であるということが(2)に書いてあるだけですので、基礎教育の充実も早 急に別途検討する必要があるのではないか。基礎教育でどこまで看護職員の能力を求め るのか、その後に臨床研修としてどのような能力を重ねるか、やはりその両方を併せて 考える必要があるので、今後の方向性の所に、基礎教育の年限の延長を含む見直しのた めに別途検討を進める必要があるというのを加えていただきたいと思います。 ○小島委員 菊池委員の言われたことと似かよった意見ですが、基礎教育の充実も必要で あるということに、さらに付け加えていただきたいことは、学生の卒業時点での到達度 の明確化といったようなことも含めた基礎教育の見直しということです。基礎教育をた だ充実させるというのも漠然としていますので、基礎教育の中の卒業時点で到達度を明 確にするということが、いくつかの検討の中で行われていると思います。そういったも のも盛り込んで見直しするということを是非付け加えていただきたいという意見です。 と申しますのは、基礎教育の到達度を明確にすることが、卒後の研修で、どこから出発 するかといったことで、卒前と卒後の教育の継続性というものも出てくると思うからで す。 ○遠藤委員 これは読み方の間違いかどうかわかりませんが、2頁目の(3)のすぐ上の 2行に、「医療の高度化、看護ニーズの増大を踏まえると、養成所のあり方や」とあり ます。これは「養成所」でいいのでしょうか、「養成のあり方やカリキュラムとも関係 しており」ではないでしょうか。「所」が付くのか、付かないのか。 ○田村看護課長 学校養成所と書いたほうがより正確だと思います。養成所だけの問題で はなく、看護大学も含めた全体の看護師養成に絡むことが想定され、たぶん委員からの 意見もあったのだろうと思いますので、学校養成所と書いたほうがいいのではないかと 思います。 ○青木委員 前回、この問題のときにも発言しましたが、新人看護職員研修の制度化につ いて厚生労働省において議論される場合には、医師の場合もそうだったように、需給関 係での不足と言うか、いわゆる不足状況がそこに出るということをよく考えていただき たい。医療機関の管理者にとって、その期間はカウントがなくなるかどうかわかりませ んが、そのようなことにも影響してきます。検討する会には必ずそのような立場の方を 入れていただき、検討をしていくという配慮をお願いしたいと思います。 ○山路座長 いまの青木委員の意見は意見として承り、別途検討を進める際に、その意見 を取り入れさせていただくということになろうかと思います。次の「産科における看護 師等の業務」ではいろいろな意見が出されると思いますので、これについては本日のい ちばん最後に回させていただき、4番の看護記録について意見をいただきたいと思いま す。5頁の「看護記録」のまとめについて、ご意見があればお願いいたします。 ○菊池委員 質問として、5頁目の今後の方向性の最後の○ですが、「制度的措置を講ず ることも考えられる」と書いてあります。これは具体的には医療法の施行規則などとい った中に位置づけるということでしょうか。 ○鎌田看護職員確保対策官 検討会の皆さんのご意見の中でも、診療の記録の中には当然 看護記録が含まれるのではないかという指摘がありましたので、それを踏まえると、 (1)の現状及び問題の所在の中の2番目の○の中で、「医療法体系において、地域医 療支援病院及び特定機能病院とその他の病院では異なっている」ということですから、 こういった扱いを少なくとも揃えるべきとの意見もありましたので、具体策については これから考えますが、皆様のご意見を踏まえるとそのようなことになるのではないか。 つまり、医療法の施行規則の中での位置づけを考えていくということではないかと受け 取っております。 ○山路座長 看護記録に関して、他に何かご意見があればお願いいたします。 ○菊池委員 現状及び問題の所在の○の3つ目ですが、看護記録の記載が議論になって、 患者の所へ行かないようでは非常に問題だということがあって、確かにそのとおりだと 考えています。そのような話もあるし、非常に工夫して、患者のそばに行くために、記 録の時間をできるだけ簡略化して、電子カルテなどの導入のときに工夫しているという 病院もある。この問題を指摘することも1つ必要ですが、工夫、努力もあるという部分 も現状の中に少し含めていただければと思います。そういうことを看護界の中でも一層 工夫していく必要があるということも盛り込んで。それは課題のところに入ってはない ですよね。  それで、「外来における看護師も多忙で、記録を書く時間が十分にあるか疑問である」 というのも、これも実際に外来で看護師がどのように働くか、どういう業務の仕方をす るかということも、それはその医療機関の中できちんと考えるべき問題で、外来はずっ と記録を書く時間もないところなのだと決めつけるのも、ちょっとどうかと思うのです。 その辺をもう少し、表現の仕方を。 ○山路座長 これだけで終わらせずにということですか。 ○菊池委員 これで、外来は暇がないから書けないんだというので終わらせるのは、おか しいかなと思うのです。 ○小島委員 いまのご意見に引き続きまして、私も同じようなことを考えておりますが、 外来における記録の実態、それから外来の実態だけではなくて、そのほかの社会福祉施 設等の看護記録の実態も把握されていないということがございましたから、そういった ことも把握する必要があるということも、この中に含めていただきたいと思います。そ れが今後の方向性の中に反映されておりませんので、そういう実態をまず把握すること も必要であるということが出されたように私は思っておりますので、それも是非含めて いただきたいという意見でございます。 ○山路座長 それは方向性の中にですね。 ○小島委員 はい。 ○山路座長 ほかにはいかがでしょうか。それでは、その次の5番目の「看護職員の専門 性の向上」、このまとめについてご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○菊池委員 6頁の(1)の「現状と問題の所在」のところで、○の2つ目ですが、「現 状においては、その数は少ない」ということで、少ないといっても、受け止め方はいろ いろあるかと思いますので、人数を入れていただければというのが1つです。それから、 教育機関がどんどん増えており、今後増えていく可能性が高いので、その見通しは現状 として入れていただければと思います。 ○山路座長 あとはいかがでしょうか。 ○遠藤委員 6頁の(2)の2つ目の○で、本日、資料1のところでも説明があった部分 と関係しますが、発言がありましたので、これをどうこうということではないのですが、 看護の資格は、保健師、助産師、看護師とあるが、看護師をベースの資格と考えるので あれば、ある程度保健師、助産師も専門看護師と解釈できないわけではないというご発 言が、前回確かにございました。  そのときに、もう少しやり取りをすればよかったのかなと思っておりますが、現在、保 健師、助産師、看護師というのは、いわゆる国家試験ということで、現在それは、国家 試験のもつべき性質というのは、やはりミニマムリクワイアメント、本当にその資格を、 業を行うのに最低といいますか、このレベルでなければならないというところで試験が 行われてなっている職業だと思っております。  専門看護師というのは、どちらかというと、そういういわゆるジェネラリスト的な、こ こまでやれなければその職は与えられないというものとは違いまして、むしろもっと専 門的な機能を発揮してやっていくというふうに、現状の保助看法の中でいう保健師、助 産師、看護師と、ここでいう専門看護師、認定看護師というのは、現状では位置づけが 若干違うのではないかと私は思っておりまして、そこら辺も含めて、この2つ目の○が あるのだということを、この中で言っているとすれば、この文面でよろしいのですが、 よろしいのでしょうか。事務局にお伺いします。 ○平林委員 確かその点について発言したのは私だと思うのですが、あえて私がそのこと を申し上げたのは、専門看護師という議論になると、すぐ日本看護協会が認定している 認定看護師と専門看護師と、もう1つありますが、その議論に集中してしまうのです。  だけれども、専門看護師というのはそれだけではないでしょうという思いがあるもので すから、もっと幅広く、専門看護師というものが何であるのかということを考えるべき だということが1つです。  もう1つは、ここのタイトルは、看護職員の専門性の向上であって、決して専門看護師 とか認定看護師の問題ではないわけですから、そうすると、看護職員の専門性というも のを、本当はもっと議論して、何が看護の専門性なのかというところから、本来は議論 していかなければいけない問題だろうと私は思っています。  ですから、その意味で、少し、いつも日本看護協会のアレをして申しわけないのですが、 認定看護師とか専門看護師と決してイコールではなくて、ということを少し強調したか ったものですから。  それと、ついでに発言しますと、認定看護師にしろ専門看護師にしろ、全部が全部そう だとは言わないのですが、基本的にはメディカルモデルなのです。全部が全部ナーシン グモデルではないと私は思うのです。でも、看護の専門性というのは、本来はナーシン グモデルのところにあるはずですから、そうすると、そこの専門性はどこへ行ったのと いう疑問が私にはいつもあるものですから、そのことをやはりきちんと認識した上で、 その全体の専門性の問題の中の1つをいま議論しているのだということを、我々として も認識する必要があるのかなと思って、あえて申し上げたわけです。 ○山路座長 よろしいでしょうか。 ○菊池委員 今回の看護職員の専門性の向上については、一部分だけを議論したというの は、確かにそうかなとは思っております。ただ、資料1のほうで、ちょっと発言しよう かなと思ったのですが、日本看護協会の行っている専門看護師や認定看護師の制度につ いて、これは確かに日本看護協会がいま認定しておりますが、関係大学協議会や看護系 の学会などの協力も得て、看護界の総意としてつくっている認定制度ですので、資料1 にはそこのところも少し説明を加えていただきたいと思ったところです。  資料1はちょっと追加していただきたいと考えております。 ○山路座長 最初のほうの5つの○の1つの中に入れればいいということですか。 ○菊池委員 資料の2に関しては、そこに関連するところが、現状のところ。 ○山路座長 現状と問題の所在の(1)のところですか。 ○菊池委員 はい、(1)の○の最初のほうだと思うのですが、その制度が、どういう背 景でつくられているかということを書き込んでいただきたいと思います。 ○山路座長 確かに前回、そういうことで繰り返し言われて、その点については皆さん方 もほぼコンセンサスが得られたと思いますので、それを入れるかどうかですが、看護協 会、1団体と、協会ということだけではなく、識者も含めて、看護界の総意として、そ ういう認定看護師、専門看護師制度がつくられ、運用されているという趣旨のことを入 れればいいということですね。それは検討させていただくということで。 ○青木委員 私は、看護協会のご提唱で、こういう形をとっていただいているわけですか ら、いまの菊池委員からのご発言は当然のことと考えております。ただ、専門というこ と、認定ということが、登録商標ですか、何かそういうことで、将来、仮に厚労省が何 か看護の専門性についての制度的なものを考えたときに、逆に厚労省といえども、この 言葉が使用できないということになるのかなと。これも面白いと言ってはアレですが、 何かおかしなことかなと。 ○菊池委員 いま日本看護協会のほうで認定している専門看護師、認定看護師制度ですが、 これを、より公的な認定の制度にしていきたいとは考えておりますから、もう少し公的 な認定という制度に変更になることであれば、例えば厚生労働省で熱心にそこを考えて くださるというようなことがあって、そういう制度ができれば、当然それは商標登録す るという狭い了見ではなくて、きちっとこの言葉を使っていただきたいと考えておりま す。 ○山路座長 今後の方向性の最初の○のところで書いてありますからね。看護の専門性を 認定する体制、認定に際しての基準については、改めてその資格を認定する主体におけ る検証、整理が必要であるという形にまとめられていますから、その点では意見の一致 を見たということでよろしいのではないでしょうか。 ○菊池委員 蛇足かもしれませんが、追加で、なぜ商標登録をしたかといいますと、それ は簡単な研修で、そういう名称を使われると、本会として認定看護師、専門看護師の質 をちゃんと担保しておきたいということでいろいろな厳しい条件を設けて研修して認 定しておりますので、その質を担保するために、そういう商標登録をしたということで ございます。 ○山路座長 わかりました。 ○辻本委員 前回この議論のときには欠席しておりますので、こういうことをいまさら申 し上げてよいのかどうかわかりませんが、国民・患者において、専門ナースが何なのか、 認定ナースが何なのか、非常にわかりにくい。もっと言えば、何が期待できるのという ような、そのあたりが、この(2)の下から2つ目の、情報提供を促進し選択を促す観 点からという広い捉え方になっているところだとは思うのですが、せっかくこういう議 論をしたのであれば、もう少しここをわかりやすい言葉で。いつもすみません、わかり やすいということばかり言っているのですが、国民が新たなこうした展開に、もっと期 待ができるのだ、ナースに期待をしてもよいのだということにつながるようなまとめ方 をしていただけないかと思います。 ○山路座長 これではわかりにくいと。 ○辻本委員 何の情報提供を促進するのか。そして、「選択を促す」と書かれていますが、 それでは患者さんが広告があって、専門ナースや認定ナースがいる病院だから、そこへ 行こうというふうに、果たしてつながるのかどうかということも、大いなる疑問もござ いますので。ですから、この文章では非常にわかりにくいと思います。 ○山路座長 それは選択の1つの材料を提供するという意味ですから、ではどうすればい いのかということになると、なかなか難しいと思うのですが、現在の専門的ナースとい うのは、日本看護協会が認定している制度があることは事実ですから、それを広告する ことが、1つの選択の材料を提供することにはなるという、その認識でこういうことが 書かれているわけですね。それはわかりにくいとおっしゃるわけですね。 ○辻本委員 そうです。 ○田村看護課長 いまの辻本委員のご発言を、私なりに理解いたしますと、そうした専門、 認定のナースたちが、どんな機能を果たしているかといったようなことを、この報告書 の中にも書き込めば、もう少しわかりやすくなると考えられるのでしょうか。私として は、いまそのように理解したのですが。辻本委員のお考えを伺わせていただければと思 います。 ○辻本委員 情報提供ということで書いてありますが、まずは専門ナースと認定ナースが どう違うのか。その辺が私たちにはよくわからないので、そのあたりをもう少しわかり やすくということを申し上げております。 ○山路座長 この報告書の中にそれをちゃんと書き込むのか、それともむしろ日本看護協 会が中心になって、認定看護師、専門看護師についての国民的理解というか、情報提供 をもうちょっと。こういうものですよというPRをしてくださいよと、そういう両方の 意味なのでしょうね。それでは、意見として承っておくということでよろしいかと思い ます。 ○菊池委員 質問ですが、「今後の方向性」の最初の○のところで、 「看護の専門性を 認定する体制、認定に際しての基準について、資格を認定する主体における検証、整理 が必要である」というのは、これはもう少し具体的に何を指しているのでしょうか。 ○鎌田看護職員確保対策官 まさに議論の中で、こういう医療に関する専門制度について は、国が関与する、あるいは外郭をつくっていくのではなくて、専門集団が自らそうい うことを考えていくべきであるということは言われています。  もちろんそれに対して、先ほどご発言があったように、日本看護協会においては、看護 協会だけでなくて、看護関係団体や学会の総意でやっているということで、その辺は自 主的に行っているということでしたから、おそらくその前提に立つのですが、今後、本 当にこういったご議論を踏まえて、いまの日本看護協会がやっていることが、いまの議 論に耐えられるかどうか、もちろん耐えられるという判断であれば、それは1つの答え だと思いますが、耐えられるかどうか。  さらに、検討会の意見の中では、この認定看護師、あるいは専門看護師について、一定 のカリキュラムを組んで、そして認定という行為を行っているわけですが、それがきち んと専門性にふさわしいものであるのかどうかということについて、この議論を踏まえ て再度やはり認定する主体として考えていただきたい。そうすれば、この専門性につい て、今回議論となった、まさに自ら律するものかどうか、あるいは看護の専門性が何か ということに答えが出れば、今後患者の方にそれを情報として提供していく意義がある とか価値があるかということにつながると思いますので、その辺のことを、今回の議論 を踏まえて日本看護協会のほうで少しご検討いただけないかという意味でございます。 ○菊池委員 本会としては、認定に際しての基準はきちっと決めておりまして、当然1つ の試験があって合格者が出てというプロセスの中で、その評価もしているわけですが、 日本看護協会がそれをもっと行う必要があるというような意味になっているというこ とでしょうか。  そのことと、この○の2つ目、これとはどういう関係になるのでしょうか。 ○鎌田看護職員確保対策官 看護の専門性について、養成・普及を進めることが1つと、 広告することが妥当かどうかといった論点があったわけですが、やはり、議論としてあ ったのは、そもそもいま行っている認定看護師とか専門看護師という制度について、医 療に関する専門制度という場合に、いま、例えば先行してあるお医者さんの専門医とい う制度と比べて、運営の仕方、あるいは行政の関与の仕方が全くイコールではないとい うことを考えれば、本当にそれが妥当かどうかという、疑問というか指摘があったと思 います。  もちろんそれに対してご説明がありましたように、学会も含めた総意でやっていること ですとか、あと、途中ほかの委員からありましたように、専門分化の過程が、医師と看 護師は違うことも、事情も考える必要があったと思います。つまり、そうした検証を通 すことによって、1つ1つ答えを出していって、広告に足りる、患者さんに情報として 提供する、選択してもらえるだけの専門性だということを、きちんと検証して説明して いくことが必要ではないかということでございます。  例えば、いまここにあるように、医療機関の広告のあり方について、どういうふうにす るかということを検討されていますから、今後どうなるかわかりませんが、前回の資料 に出しましたように、医師の専門医の広告については、学術団体であることとか、1,000 人以上いるとか、いろいろな基準があろうかと思います。それが、それと全く同じかど うかということは議論があるところで、例えばあの基準で、いま少なくともお医者さん の世界は動いているわけですから、では看護師はどうなのかということをきちんと説明 していただくことが必要ではないか。その上で、それが第三者的な説明なりに耐えるも のであれば、広告する価値もあるということでございます。 ○菊池委員 わかりました。では本会のほうで、専門医が広告されているという条件と、 日本看護協会の認定看護師、専門看護師との、いま教育の認定の制度との基準を比較し て、ちゃんとそれに同じように耐え得るものである、専門性を保障するものであるとい うことを証明することが必要と、そういうことでしょうか。 ○鎌田看護職員確保対策官 具体的なやり方はいろいろあろうかと思いますが、少なくと もご議論があったのは、専門制度としてどういう主体で運営していくかどうか。それで、 その専門性、認定性の基準がどうかということについてご議論があったので、きちんと、 それに対してはお答えを出していく必要があるということではないかと考えておりま す。 ○菊池委員 日本看護協会としても、そのことはきちっと検討したいと思いますが、厚生 労働省としても、その辺は、専門医の広告の基準との関係で、ご検討していただきたい と思うのですが。 ○鎌田看護職員確保対策官 ここにございますように、そもそもこの検討会に議論を出し ましたように、数は少ないと書きましたが一定の数、医療の現場、看護の現場に専門性 をもつ看護師がいて、報告しましたように、患者にそれなりの満足を与えたり、あるい は入院期間の短縮などの効果もあるということですから、我々としても、養成・普及を するということは必要と思っていますし、それには、やはりきちっとそういう方がいら っしゃることは、患者さんに教えて提供することも必要だと考えております。我々とし ては、この看護の広告について検討する中で、できれば広告していきたいと思っており ますので、看護協会さんの検討結果を踏まえて、我々も考えていきたいと思っておりま す。 ○青木委員 本日のこのとりまとめの骨子について、第1頁ですが、個別の論点の1とし て、嘱託医師のことが出ております。これについても、今後の方向性はここに記載され ておりまして、割合明確に答えが出ているように思うのです。それが2頁の「新人看護 職員研修」についても、制度化するというような方向で別途検討を進めるということで、 これもよくわかります。  それから、まだ議論の行われていない、産科における看護師等の業務については、5頁 のいちばん上で、「別途検討する」と書いてございます。ちょっとわからないのが、4 番目の看護記録、それからいま話のありました専門性のところで、制度的措置を講ずる ことも考えられるということですが、この制度的措置を講ずることも考えていただくの は、医政局の局長さんとか大臣であるとか、そういうことになるわけでしょうか。 ○鎌田看護職員確保対策官 この提言を受けて、行政のほうに考えてほしいというような 宿題はいただいております。つまり、嘱託医師については、明確に講ずる必要という強 いトーンがありましたが、看護記録なり広告について、専門性については、考えてほし いと、多少トーンが弱くなったのは議論ですね。経過として、正直に申し上げて、嘱託 機能はほぼ方向性が一致していて、そういうことが我々に、この検討会の報告として出 されているのではないか。また、看護記録や専門性については、多少そのトーンが落ち たのではないかと思っていたものですから、このように表現いたしました。 ○田村看護課長 それが実態でこのように骨子は書かせていただいておりますが、青木委 員のいまのご発言で、制度的措置が必要であるというふうに書いたほうがよいというこ とであれば、そのように書くことは一向に差しつかえないわけですので、そこはご指摘 いただければと思います。 ○山路座長 それでいいのかどうかということですね。それについてのご意見をいただけ ればということです。 ○青木委員 例えば4番の看護記録についても、先ほど小島委員からお話がありましたよ うに、実態調査、実態の把握はまだ十分でないという話もございますので、これは確か にペンディングというのか、こういう検討会が開催されれば別途の話でしょうが、厚労 省がお決めになることかなとは思うのです。 ○平林委員 いまの青木委員の意見に続けて、いまの部分は、3の「今後の方向性」の上 の○の部分だと思うのです。ですから、全体として看護記録をどうするかについては、 まだまだ調べる必要があるし、いますぐには結論が出せないけれども、しかしながら、 現行の地域医療支援病院や特定機能病院とその他の病院とで、診療に関する諸記録の取 扱いが異なっていることについての合理的な根拠がないだろうということで、私はこの 会議の中でほぼ合意が得られていると思いますので、とするなら、現行の、明らかに合 理的な差別をすることに理由がないところについては、もう看護記録が診療の諸記録の 中に含まれるのだということを、全部一つなぎにしろということを言ってもよいのでは ないかと思いますので、「考えられる」ではなくて、「制度的措置を講ずる必要がある」 とかというように言い切ってもよろしいのではないかと思いますが。 ○青木委員 いまおっしゃっていただいたことは、よく理解できますが、それをさらに突 き詰めていきますと、そういう言い方はなくなりましたが、先生がいま言われた「その 他病院」というものですか。有床診、無床診、その次はいろいろ、看護師さんの職場で ある、ここで出ていたのは社会福祉関係のものですね。こういうふうなところは、それ ではどうなのだという、同じ考え方でいくなら、すっと全部律してしまうということに なりますが、そうすると、実際は書かれていなかったり、それをチェックする機能がな かったり、そういう問題はやはりありますから、少なくとも、書きっぱなしで責任の所 在がどこにあるのかわからないというようなことがあってはならない話ですから、一定 のところで、そういうのは止めておかないといけないのではないかと思います。 ○菊池委員 医療法施行規則の中で、地域医療支援病院と特定機能病院だけが整備という ことで入っているわけですが、その他の病院においても、診療報酬の関係で、これは整 備するということになっておりますから、それはきちっと書かれていると思いますので、 措置を講ずる必要があるというふうにしてもよいと私は思います。 ○山路座長 病院ではということについてもですね。同じ扱いをするということですね。 ○菊池委員 はい。 ○青木委員 診療報酬のところに書いてあるでしょうか。 ○菊池委員 入院基本料をいただくための通知の中に入っているのですが。 ○山路座長 あと、外来や社会福祉施設についてはどうするのかという問題ですね。 ○平林委員 そもそも外来における看護というものが何であるのかという議論も、私はし なくてはいけないと、端で見ていて思いますので、そこら辺も含めて、もう1回検討し 直すということになると思うのですが。 ○山路座長 2番目の○のところで、ある程度具体的に書ければ書くということですね。 何か事務局のほうで補足はございますか。 ○鎌田看護職員確保対策官 診療報酬の扱いについて、における看護記録の扱いについて ご指摘があったのですが、第10回の資料の1の1頁にありまして、これは、現行法令 の規定ということで、その他の法令の位置づけで、(1)病院とありましたのは、医療 法の施行規則の関係で、ここにあるように、地域医療支援病院、特定機能病院等の施設 基準の1つである診療の諸記録にあるということで、この際ご説明したのですが、いま 先生から、その他の病院とございましたが、この病院の中の診療所グループには含まれ ていないということで、扱いが違うとご説明したところでございます。  (2)が、診療報酬の扱いで、健保法、老人保健法の規定に基づく、いわゆる療担規則 において、帳簿その他の記録は3年間保存しなければならないと規定されており、その 下の○ですが、その基本診療料の施設基準及びその届出に関する手続の取扱いについて という数字の中において、病院、診療所の入院基本料に関する施設基準の中で、看護に 関する記録について規定されているということで、通知において施設基準の1つに看護 記録の保存があるというものでございます。 ○山路座長 こういう基準があるので、特定機能病院、地域医療支援病院だけに限ること はないという、そういう話ですね。それを、2つ目の○の中で具体的に書き込んではど うかというお話ですね。  あとはいかがでしょうか。そろそろ時間も押し迫ってまいりましたので、ほかに、一旦 これを打ち切るにしても、まだお気づきになった点があれば、あと2回、さらにまとめ の議論をさせていただくことになりますので、随時その都度事務局のほうにご意見をお 寄せいただければと思います。  それでは、最後になりましたが、3の産科における看護師等の業務、これについての議 論、このまとめについてのご議論を、とりあえず今日だけではなかなか終わらないと思 いますが、ご意見を。意見書も、それぞれのお手元にいただいていると思いますので、 この意見書も含めてご意見をいただければと思います。 ○石渡委員 まず、いまの周産期医療の評価、これは大切だと思うのですが、3頁目の(2) に、「産科における看護師等の業務を巡る議論の経過」と書いてあって、「分娩を取り 巻く状況について」と書いてあります。昭和25年から現在の分娩を扱う医療機関がど ういうふうに変わってきたかということが書いてあるのですが、この中で、日本のいま の周産期医療が、世界のトップレベルであるという、これはやはり評価に値することで はないかと思います。これは私が説明させていただいた中にも入っております。  その中で、診療所が現在分娩全体の47%を担っている。診療所での周産期のあり方と いうのは、従来、医師が分娩第I期、第II期をみて、そこに助産師が確保されていない ような診療所においては、分娩第I期、陣痛がある長い時期ですが、医師の指示の下に、 看護師が経管の開大度を測定する、その状況を把握して医師に報告して、いろいろな産 科の医療器具がありますが、そういうデータを総合的に判断して、医師が安全なお産へ と導いていった。それが実際の産科診療所の状況だったと思うのです。  そういう状況の中で、世界でトップの周産期医療を国民に提供していた。このことは高 く評価されるのではないかと私は思います。周産期医療の状況を考慮して議論していく ことも、また必要ではないかと思っております。 ○山路座長 そうすると、それを表現の中に付け加えてはどうかと。 ○石渡委員 2番の上のほうでいいと思いますが。 ○山路座長 あと、ご意見をいただきます。いかがでしょうか。 ○菊池委員 資料2の3頁目の、看護師の業務について、見直し論という、最初の○のと ころに、「保助看法には助産の定義はなく、助産と診療の補助行為の違いが明確ではな い。助産を定義し、診療の補助行為と区別するべきである」というご意見が出ていて、 これが入っているのかなと思いますが、法律に書かれている用語が、すべて法律の中で 定義されているわけではないと思います。例えば医師法における医業も、保助看法にお ける助産と同様、法律の中で定義されていないと思います。  しかし、助産については、保助看法が制定された当時、看護課に勤務されていた金子光 氏が、『保健婦助産婦看護婦法の解説』という本の中で、その解釈を書いていらっしゃ いまして、その解釈については、本日、私と山本委員と一緒にお出しした資料、座長宛 にお出しした「安全なお産を保障する助産体制のあり方に関する意見書」の中で、ちょ っと引用させていただいているのですが、2頁目の下線が引いてある所で、「保助看法 における『助産』とは、『分娩の介助であり、すなわち妊婦に分娩徴候があらわれてか ら、後産が完了して完全に分娩が終わるまでの間、産婦の身辺で分娩の世話をすること である』」という本が、日本医事新報社から出されておりまして、その定義として、こ こに解釈が書いてあります。  こういうふうに書かれていますので、助産と診療の補助行為の違いは、すでに明確にさ れていると考えられますので、この最初の○の記述は、不適切ではないかと考えます。 それが1つです。  もう1つ、資料の骨子の4の、「助産師の確保について」の最初の○ですが、「昭和 20年代に比べて看護師は10倍以上に増加しているが助産師は半減しており、助産師は 絶対数が少ない。また地域や医療機関における偏在という問題もある」という表記がご ざいます。これについては、助産師の数については、過去と比較すると、あるいは看護 師と比較すると少ないというのは事実なのですが、絶対数が少ないという表現は、現在 も絶対数が少ない、不足であると受け取られますが、時代背景が全然違いまして、昭和 20年代には出生数が年間200万件以上あった中で、しかも95%が自宅分娩という中で の助産師、そのときの数が5万5,000人くらいということです。  いまは110万で、99%が施設分娩に移行している。その中で助産師の就業者が2万6,000 人ということで、全然状況が違います。ただ単純に、その数を比較して、絶対数が少な いというのは、全国的なことでは言えないのではないか。確かに診療所に勤務する助産 師が足りないという声はありますので、もしそうだとすれば、そういうふうに記載した ほうがよいのではないかと思います。  それで、実際に、本当に助産師が足りないかと考えると、助産師の国家試験が実施され て、これまで5万5,000人の合格者がいますが、いま実際に助産師として就業している 人は2万6,000人。それではあとの方はどうしているのかというと、未就業の方もいら っしゃるでしょうけれども、保健師免許や看護師免許を併せて持っている人がほとんど ですから、そういう業務に就いている人も相当数いるのではないかと推測されますので、 そういう方たちについても、少し助産師として有効に活用することも必要ではないかと 思います。ですから、絶対数が少ないという表現の仕方は、ちょっと誤解を招くのでは ないかと思います。 ○石渡委員 助産師が少ないということは、私も報告の中に書かせていただきましたが、 産科医療機関における助産師あるいは看護師の役割というところが、以前とは随分変わ ってきたところに問題があろうかと思うのです。特に産科診療所においては、先ほどお 話したように、看護課長通知が出る以前の頃は、分娩第II期の胎児が娩出するときは別 で、これは医師と助産師しかやりませんが、分娩第I期の、いわゆる観察の時期は、こ れは看護師がやっていたわけです。これを助産師がやらなければいけないというような 状況が出てきたので、なおさらのこと助産師が足りなくなったことを強調しているわけ です。 ○遠藤委員 何点かありますが、まず3頁で、先ほどの「助産」という用語の定義がない ということは、何回か議論の中で出てまいりまして、確かに保助看法の中で明確には出 ていないのですが、これは先ほど菊池委員がおっしゃったように、やはりコモンセンス というか、要するに、お産を助けるという、かつて昭和25年に95%が自宅で出産があ った、分娩があったという、いわゆる最初に助産ありきという形で、保助看法ができた 経緯の中で、助産という言葉がすんなり使われてきているのだろうと思いますが、細か く読んでいきますと、やはり妊婦、助産、産褥、新生児というふうに、いろいろなとこ ろで随所に出てまいります。すなわちこれは、「分娩」という言葉と同義で使ってよろ しいのではないかと私は思っております。 ただし、助産というのは正常出産に関する 一連の流れと解釈してよろしいのではないかと思っておりますので、診療の補助行為と の違いは、やはり明確ではないかと思っております。  それから3頁目のいちばん下の行が、私は何度読んでもここが、医療安全の観点からと いうところで、納得がいかないところでございます。外来分娩手術も行わなければなら ない医師は、約8時間に及ぶ分娩第I期の経過云々ということで、分娩監視装置も装着 しており、訓練した看護師なら十分行えるというこの発想そのものが、非常にお忙しい のはわかるのですが、一人の人が一生に産む子供の数は、本当に2人を切っているわけ です。そういう中でその人にとっては、本当に産むときというのは非常に貴重な人生の 中での出来事だと思うのです。それを、分娩監視装置を装着していて訓練した看護師な ら行えて、間で計測をすればいいということを、本当に、現在21世紀は、やはり心の 時代ということで、分娩という体験がその人にどういう影響を及ぼすかということが言 われている実情の中で、もちろんこれは正常出産に限定しての話ですが、こういう形で 分娩期をサポートされる女性たち、あるいは家族の方々は、納得できるのだろうかと考 えております。  すなわち、助産師は役割が変わってきたのではなくて、昔から分娩開始とともに、ちゃ んと後産が出て、もちろんその後の産褥期のケアも含めてやってきたことは、昔も今も、 何ら変わりないと思っております。  それから4頁目の、先ほどの助産師が少ないという議論に関しては、私も毎年1,500人 出していて、定年が60歳だとしたら、40年分のストックのある、先ほど5万5,000と いうことでしたが、5、6万の助産師たちは、一体どこへ行ったのかということで、そ れは産科医・小児科医が非常に減っている現実と非常に似通った部分もあるのかもしれ ませんが、やはり看護師として働いている人も、かなりというか、潜在よりも多いので はないかと思っておりますので、それも含めて、潜在というふうに考えて、やはり何ら かの国家的な対策をもって対応すれば、足りないという議論ではないと思っております。 ○川端委員 あまり中心的な論点ではないのでちょっと控えていたのですが、3頁の下か ら2つ目の○で、「分娩監視装置も装着しており」と書かれていて、あたかも、すべて の診療所における出産が分娩監視装置の装着の下に行われるのが当然という書き方に なっているのですが、そうとはいえないと思います。実は私自身が担当した出産事故の 事件では、医師の指示で分娩監視装置のうちの陣痛計を使用しないで行われて、したが って単なる胎児心拍計としてのみ使用していたわけですが、そのために、早発一過性徐 脈か、遅発一過性徐脈かが区別できないという状態のまま出産が行われました。この方 は帝王切開後の経腟分娩ですから、助産師は扱えないというケースです。結果として、 アプガースコア1という状態で出産して、25分後に死亡したという医療事故にぶつかっ たことがあります。   この論点とは直接関係がないのですが、その事件では、医師のほうから、分娩監視装 置の装着は法的な義務ではない、また、医療水準でもないという抗弁が提出されたとい うことがありますので、当然、分娩監視装置が前提だから看護師がちょっと訓練すれば 安全だという議論の仕方は、ちょっと違うのではないかと思いましたので、一言申し上 げたいと思いました。 ○石渡委員 いま、分娩管理のあり方ですが、医会としては、会員に次のように指導して いるわけです。まず、破水なり陣痛なりで病院に分娩に来られます。そのときに、20 分ないし30分、分娩監視装置を着けて、胎児がはたしてウェルビーイングなのか、要 するに、正常な状況で、いま危険のない状況で、分娩に差しかかってきているのか。そ ういうことを監視して評価した上で、分娩経過を見ているわけで、いま委員がご指摘に なったように、分娩監視装置を付けていない機関がごくわずかにあって、そういうとこ ろで私は事故が発生しているのではないかと思っております。  ですから、あくまでも医会の指導、医会のガイドラインというのは、まず分娩監視装置 を着けて、胎児のウェルビーイング、健康状況を把握する。これがいちばん大事なこと でございます。その後はケース・バイ・ケースに状況を判断しながらやっていくわけで すが、すべて内診ということに関して、助産師がおられれば、その分娩第I期は助産師、 あるいは分娩第II期についても助産師が経過を引き続いて見ていくわけです。医療現場 の中では、例えば看護師は助産師の指導と指示も仰いでおりますし、また医師の指示も 仰いでいるわけです。最終的には医師の判断でやっていくわけですが、産科医療機関の 現場では、看護師の協力がなくれはやっていけない、そういう状況が現実です。  その中で、私はもちろんきめ細かい、つまり心のケアまで全部含めた、そういうような 看護が当然必要だと思いますし、それは医師であり、あるいは看護師においても非常に 努力しているわけですが、助産師の場合でも全く同じだと思います。ただ、その取組み 方というのは、多少とも差があるのは、これはある程度はいたし方ないことだと思って おりますが、先ほど私がお話しました、まず第1に、いまの周産期医療の評価としては、 世界のトップレベルであるということも、是非頭の片隅に入れておいていただきたいと 思います。確かに医療事故というのは、ごく一部のところで起こっていると私は思いま す。それから、いま分娩の、いわゆる母体死亡も含めますと、10万人に6人なのです。 こういう状況の中では、やはり日本の周産期の医療レベルというのは、私は高く評価さ れるべきだと思いますし、これがいままで行われた体制の中で、いわゆる産科医療機関 の中で行われたことを、決して否定するものではないと思っております。 ○青木委員 最初の菊池委員のお話から、3つ4つ話をさせていただきたいと思います。 まず第1番に、「保助看法には助産の定義はなく、助産と診療の補助行為の違いが明確 ではない。助産を定義し、診療の補助行為と区別すべきである」、ここに書き出して見 直し論の1番で書いてあるわけです。議事録を詳しくお調べいただければと思いますが、 私がこの発言をしたのは、看護課長通知が出たということに関連して、お話をさせてい ただいたことです。看護課長通知がああいう形で出るということであれば、助産という ものをきちっと定義し、診療の補助行為と区別するべきである。そういう前提がなけれ ば、この話は始まらないということを、私としては申し上げたつもりでございます。  それから、その次の、終戦直後から昭和30年頃の時代と現在とは、確かに時代背景が 全然違うということは、よくわかることです。ただ、単純な比較をすることはできませ んが、いま50%を超える有床診でのお産があって、それがどんどんなくなってきている、 辞めてきているということですね。そのことが、助産師が不足しているということに、 1つは大きな原因がありますよということを申し上げてきたつもりです。  そういう背景といいますか、現在の状態というのは、ある意味、昭和30年代に安心、 安全を求めたのと同じことを、いま求めているのではないでしょうかということの意味 を、私は申し上げたつもりです。  そして、金子氏という形で、菊池委員が引用なさっている意見書の中での2頁の下線を 引いてある所についてですが、確かにここでは、いまのご発言のとおりに受け取れる部 分もあるわけです。ただ、私どもの資料で、看護協会がご出版になっているのかどうか まではよくわかりませんが、日本看護協会出版会という所で、高田利廣という看護協会 の顧問弁護士の方が、『看護婦と医療行為−その法的解釈』という本を出していらっし ゃいますが、これは1997年に出ているものと理解します。この中に、「看護婦による 産科業務範囲」というクエスチョンが出ています。その中には答えとして、この当時で すから「看護婦は医師の指示により、ある範囲の行為を診療の補助業務として行うこと が許されている。医師の指示による妊産婦の内診は許される。看護婦による内診は、子 宮口開大度を測定する範囲に限られるのであるから、必ずしも医師自らがなさねばなら ない行為とみなくてもよいのではないか」という文章があります。あとでお調べいただ ければと思います。ということは、私どもが前々から申していますように、2つの看護 課長通知が出る以前において、こういう考え方というのは一般的であったというと語弊 があるかもしれませんが、そういう考え方があったということは事実だろうと思います。 その場にあって、あの2つの看護課長通知が出た。  こんなところで大きな声を出してはいけないでしょうが、では、そのときの医学的な裏 付けはどうなのですかということを考えたときに、現在、医会も産婦人科医会も、産婦 人科学会も揃ってこのことに反対している。要するに、私どもと同じ意見であることは 本日添えました意見書に言われていることであります。ですから、そういうところまで いってしまうことがいいのか悪いのかはよくわかりませんが、やはり医学的な判断に基 づいてこういうことは基本的にはなされるべきことであると考えますし、また私の意見 書にも書きましたように、昔からの産婆規則からずっと辿ってきた中には、これは歴史 的にやむを得なかったわけですが、助産師の権益をきちんと守っていくという精神がず っと流れていることはたしかだと思います。結果として、その中で、いまマンパワーが 足りなくて大変困ったという状況が出ていると理解しているし、これがもっと進んでい きますと、結局集約化した病院においても労働過重が発生をしてきて、そこのドクター を中心にやめてしまって開業して、折角お産等いろいろ教育を受けてきた人が、そうい う仕事をすることなく離れていく現象が起こってきている。  私は婦人科医ではありませんので現実問題として、あまりよくわかっていないのですが、 確かにお産というのは事故が非常に多いことは事実が物語っています。ですから、そう いう面でのいろいろな不利益といいますか、患者におかけをしてきていることはたしか だろうと思います。けれども、少子化の中でそういう状況を放置して、ますますお産が しにくくなるような世の中になっていってほしくはないと思いますし、私どもの団体で はこういうことで意見を統一をしていますということです。 ○山路座長 そろそろ時間を意識していただきたいのですが、本日の最後ぐらいにお願い できればと思います。簡単に。 ○菊池委員 まず、高田弁護士の見解は、日本看護協会の見解ではありません。それを発 言しておきたいと思います。  それから、いまほど医療事故が産科に関して多いというご発言もありましたが、そうい う状況だからこそ医療安全という観点からは、助産の教育を受けた助産師がきちんと助 産するということが非常に重要と考えます。いまの産科医療体制が、地域によっては診 療所が閉じてしまったり、近くにお産する場所がない状況が見られることについては、 その地域の周産期医療体制、産科医療体制をどういうふうに整備するかを国や県の責任 において、きちんと計画的に整備すべき問題だと思います。その中で、助産師が取れる 役割も正常分娩のところでありますから、そこのところで助産師も有効に活用していた だきたいと考えています。  実際に、診療所のほうで助産師を求めていらっしゃるのかどうかということですが、確 かに求めていても来ない診療所もありますが、ナースセンターの実際の登録状況を見ま すと、平成16年度の実績では、助産師の有効求人数が3,597人で、この中で296の診 療所から1,203人の求人があります。一方、助産師免許を持っている求職者は3,755人 います。ある程度の助産師の求職の登録はありますが、実際になかなか就業には結び付 いていない部分はありますが、診療所のほうからの求人もナースセンターの統計を見る 限りは、そんなに多くはないのではないかと見られます。  もう1点、そうはいっても非常に熱心な産科診療所においては助産師がきちんとそこで 助産をしたほうがいいと思いますから、産科診療所で助産師が確保されるようにという ことで、今年度から日本看護協会でもナースセンターを中心に事業をさせていただいて います。1つは、潜在助産師や定年退職助産師をもっと活用していただくということで 研修等をやって、それをナースセンター登録に結び付けることをやっています。もう1 つは、実際に産科診療所に助産師の就業をあっせんする事業をモデル的にやってみて、 産科診療所でもこういう魅力的な働き方が助産師にはあるよということがわかるよう にしながら、産科診療所に就業できるようにということで、助産師の就業サポート事業 を5県で実施しています。今年度実施ということで成果はまだ出ていませんが、産科診 療所への助産師就業サポート事業の中では、その県の中でいろいろな関係団体の方にお 入りいただいて一緒に協議をしながらその事業を進めるということで、医師会員や産婦 人科医会の支部の方にもお入りいただきながらモデル事業を実施していますので、助産 師を確保するための対策、いまは一例を申し上げましたが、ほかにもいろいろあると思 いますので、その辺を本気で厚生労働省にも考えていただきたいと思います。それから、 関連の医師の団体の方とは協力をしながら、助産師確保に向けてこちらとしても努力を していきたいと思います。 ○山路座長 予定の時間が過ぎましたので、次回もありますので、最後ということで簡潔 にお願いできますか。 ○石渡委員 いま、いろいろとご発言がありましたが、産婦人科医会の調査でも現実にい ま地方では分娩医療機関がなくなって、分娩をする場所がないための地域の住民の不平 不満がたくさん出ていることも事実です。どのぐらい出ているかについて47の支部に ついて調査をしまして、その1つは分娩医療機関が消滅することによる各地の住民から の不平不満が、どのぐらい出ているか。これは新聞記事やテレビ等々の報道の資料もあ ります。もう1つは、助産師が確保できないことについて、どのように医療機関が努力 をしているかの調査をやってきたわけですが、ほとんどのところが少なくとも助産師確 保については例えば当直ができないとか、昼間の何時間しか働けないとか、いろいろな 条件があります。それから、全く応募をしても少しも反応がない所もたくさんあります。  沖縄のほうでは、北部の県立中央病院がなくなったということで、大々的な国民の決起 集会があって、小池担当大臣がスローガンを出しました。そういう所が各地に出てきて いるわけです。その中で、特に沖縄の先生は1年間で54万円の広告料、新聞とかいろ いろな報知手段がありますが、それを出しても1件も反応がない。地域によっては全く 助産師を募集しても、応募が全くない所が多々あることも事実です。そういうところか ら、だんだん分娩という医療機関がなくなってきて、地域住民に不安と不満を与えてい ることも間違いない。そういうデータがたくさん出てきていますので、それについても 次回の機会にお話させていただきたいと思います。 ○山路座長 わかりました。さまざまな意見が本日も出されましたが、予定の時間を超え ましたので、差し当たっての3についての議論はこの辺で終わりにさせていただきたい と思います。  今後の進め方ですが、確かにいろいろなご意見が出てそれを集約をしてという書き方に なっていまして、基本的には両論併記にならざるを得ないところがある。黒白をこの場 でつけることはなかなか難しいだろうと思います。この両論併記のそれぞれの意見、主 張について、こういうことを盛り込みたいということについて、相手の意見がこう間違 っているということだけではなくて、具体的に反対慎重論と見直し論に分けていますの で、それぞれのお立場からそれぞれのまとめ方についてのご意見を次回までにいただけ ればと。それに基づいて事務局のほうで改めて本格的な報告書案を次回に出していただ いて、それについてご議論をじっくり次回にしていただく。次々回には、最終的な取り まとめとさせていただきたいという段取りで進めたいと思います。 ○平林委員 まとめ方で1つ。そのようにまとめられると、反対論と慎重論は分けていた だきたいと思います。 ○山路座長 それは分かれるとなっていますから。 ○平林委員 ですから、「反対・慎重論」で括られていますが、反対論と慎重論は違うと 思いますので、それはあとで具体的に申し上げます。 ○山路座長 それは、改めて検討させていただきます。  次回以降の日程について、確認を事務局からお願いします。 ○事務局(赤熊補佐) 次回第13回は、11月9日(水)午後4時から6時、場所は今日と 同じ17階の専用18会議室において行いたいと思います。次々回の第14回は、11月21 日(月)午後4時から6時までということで、場所は決まり次第またご連絡したいと思い ますので、よろしくお願いします。 ○山路座長 本日は、これで閉会します。どうもありがとうございました。 照会先 医政局看護課 課長補佐 岩澤 03-5253-1111(2599) 1