05/10/28 第12回「医療計画の見直し等に関する検討会」議事録           第12回 医療計画の見直し等に関する検討会                       日時 平成17年10月28日(金)                          14:00〜                       場所 経済産業省別館825号会議室 ○谷口指導課長  ただいまから「第12回医療計画の見直し等に関する検討会」を開催いたします。本 日は、検討会委員の中で人事異動がございました関係で、新しい委員がご就任されてお りますので、会議に先立ちましてご紹介申し上げます。健康保険組合連合会副会長の小 方浩委員です。 ○小方委員  福島委員の交替で本会議に参画させていただきます小方です。よろしくお願い申し上 げます。 ○谷口指導課長  欠席等については、ワーキンググループの河原委員が欠席、検討会委員の尾形裕也委 員、濃沼委員、松田委員は少し遅れるという連絡をいただいております。また、納谷委 員の代理として、大阪府健康福祉部の高山医療対策課長にご出席をいただいておりま す。  第11回検討会での「中間まとめ」からかなり時間が経っておりまして、その間に私ど ものほうでも医政局長の異動がございましたので、まず、松谷医政局長からご挨拶を申 し上げます。 ○松谷医政局長  8月に人事異動がございまして、岩尾の後に参りました。多くの先生方には以前より いろいろご講義いただいておりますが、初めての方もいらっしゃるかもしれません。よ ろしくお願い申し上げます。  委員の先生方には、大変お忙しい中、当委員会にご参画いただきまして本当にありが とうございます。日頃から厚生労働行政、特に医療行政に大変ご理解、ご支援を賜って おり、改めて御礼を申し上げたいと思います。先生方は既にご存じのとおり、厚生労働 省ではより質の高い効率的な医療サービスの提供の実現に向けまして、医療制度改革の 推進に向けて、社会保障審議会を中心に、いろいろな分野について今やっているところ です。この委員会でも先般、「中間まとめ」をいただいたところですが、社会保障審議 会の医療部会で、夏に行った「中間まとめ」の中に、その内容を盛り込ませていただい たところです。  また、ご存じのとおり、先週、厚生労働省として医療制度改革の試案を公表し、いま 国会で議論が始まったところです。その中で、当検討会でご検討いただきました地域医 療の分化・連携の推進等につきましても、厚生労働省の案として盛り込ませていただい ているところでして、これからその理解の全国への普及に向け、制度改革も含めまして 実現に努力してまいりたいと考えておりますので、委員の皆様方には引き続きご理解、 ご協力を賜り、また、その具体化に向けて、それぞれのお立場からのご審議を賜ればと 考えております。自己紹介ではなく挨拶になってしまいましたが、よろしくお願い申し 上げます。 ○谷口指導課長  それでは黒川座長、よろしくお願いいたします。 ○黒川座長  局長としては、もっと言いたいこと、言わなくてはならないこともあるのかもしれま せんが、それはそれとして、本当にお久しぶりです。ありがとうございます。この討論 の結果は、厚労省の政策をいま出しているところですが、書くとなったら全く新しいや り方です。どのぐらい理解されるのかということは、これから結構いろいろなところで 頑張らないといけないのではないかと思います。  そんなことで今日の議事に入ります。事務局から提出されている資料がございますの で、それについて説明をお願いします。 ○針田医療計画推進指導官  資料の確認をさせていただきます。本日用意させていただいた資料は、資料1「医療 計画に記載すべき事項について」、資料2「新しい医療計画の作成に向けた都道府県と 国との懇談会」、資料3「全国で行われている医療連携の事例について」、資料4「新 しい医療計画のポイントについて」、参考資料として「新しい医療計画の作成に向けた 都道府県と国との懇談会」で用いられた静岡県、大阪府、広島県、高知県が作成してい ただいた資料を添付してあります。資料に欠落等ございましたら、お申し出いただきた いと思います。 ○黒川座長  資料はあると思いますが、よろしいでしょうか。これは前回7月11日で終わっており ますが、そこで「平成18年の医療制度改革を念頭においた医療計画制度の見直しの方向 性(中間まとめ)」を出させていただいたわけです。それについても厚労省からの案と して、いま出ているところですが、その後3カ月以上検討会をしていないわけです。そ の間に一度ワーキンググループの開催があったと聞いていますので、それも含めて、事 務局から資料を説明していただき、それから皆さんとご意見を交わしながら、更に前向 きに、具体性のあるようなポリシーが出てくればいいと思います。  各都道府県での医療計画を策定しなさいという話です。いままでやったことがないの に、突然そんなことを言われてもなかなか難しいところがあるのかもしれません。しか し、いくつかのモデルも実際には出ているし、モデルにはそれぞれの地域性も非常にあ るわけです。「中間まとめ」の前言として、高齢者の受入れのキャパがどのぐらいある か等、かなり格調の高い前文を田中先生に書いていただいたわけですが、そういう話か らすれば、一体どういうふうにするのかという話は、歴史的、文化的、それから今まで の経過は当然ありますが、それぞれ書くという話についてのいろいろなアドバイスやヒ ントになるようなモデルが出てくればいいというのが1つです。  それでは資料について、針田さんからお願いします。 ○針田医療計画推進指導官  まず資料1についてご説明させていただきます。「医療計画に記載すべき事項につい て(考え方)[議論のたたき台]」というペーパーです。「平成18年の医療制度改革を 念頭においた医療計画の見直しの考え方」といたしまして、従来の医療計画では、地域 の医療提供体制の量的な整備を目的として立案されてきました。一方で、患者の視点を 尊重し、がん・脳卒中・小児救急・災害医療などの事業面に関する地域の医療機能を把 握するとともに、これらの医療機能をどのように確保するのかといった医療提供体制の 質的な観点を重視することが求められていると考えられています。このため、平成18年 の医療制度改革を念頭においた医療計画の見直しに当たっては、がん・脳卒中・小児救 急・災害医療など患者の視点を尊重した事業面での地域の医療提供体制の確保に着目す ることとし、医療計画に記載すべき事項としても、同様の視点で検討するものとしては どうかとしております。  その際、特に医療提供体制として地域で確保することが求められている事業につきま しては、医療法第30条の3に規定する医療計画の記載事項として取り上げるものとして はどうか、いわば法律そのものに記載してはどうかということが提案されております。  (2)頁、「医療計画に記載すべき事項として加味する観点(案)」です。医療法に書 くものと、作成指針のように局長通知に書くものとがありますが、そういったところに 記載すべき事項として加味する観点についてご説明いたします。  都道府県が作成する医療計画に記載すべき事項については、次の観点を加味した事項 としてはどうかという提案です。1つ目として、質が高く効率的な医療サービスを住民 ・患者に提供する体制を確保する責任を果たすために、都道府県自ら関与することが求 められている事業であること。2つ目は、患者のニーズ等医療を取り巻く最近の情勢を 踏まえ、新たに政策的に推進すべき事業であること。なお、この政策的に推進すべき事 業は適宜見直すものとすること。そして3つ目ですが、緊急時に住民・患者に医療サー ビスを継続して提供できる体制を地域で確保する事業であること。この3点を挙げてお ります。これが今回協議するところです。  次の参考資料は、医療計画において、その記載事項がどうなっているのかという資料 です。最初にお話した医療法第30条の3は、医療法の中で医療計画について規定してい る条文です。その2に「医療計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする」と いうことで、9項目挙げられております。これは法律の中に実際に書かれている9項目 です。  一が、主として病院の病床の整備を図るべき地域的単位として区分する区域の設定に 関する事項、いわゆる二次医療圏のこと。二として、特殊な医療を提供する病院の整備 を図るべき地域的単位としての区域、いわゆる三次医療圏といいますか都道府県域とい いますか、そういったもの。三は、基準病床数に関する事項。四が地域医療支援病院や 医療提供施設の整備の目標に関する事項。五は、医療提供体制の設備や器械の共同利用 について言及したところで、病院、診療所、薬局その他医療に関する施設相互の機能の 分担及び業務の連係に関する事項とされています。六は、今回も議論になっております が、休日診療、夜間診療等の救急医療に関することが法律事項として書かれておりま す。七には、へき地の医療の確保について書かれております。八として、医療従事者の 確保。医師・歯科医師・薬剤師・看護士等の医療従事者の確保に関する事項を書くよう にということです。そして九が、前号に掲げるもののほか、医療を提供する体制の確保 に関し必要な事項を書くという形になっています。こういったところをどうするかとい うことが1つの協議でありますが、視点として、先ほど言った視点についてこういう形 で書いてはどうかということをお話しているところです。  2頁は、都道府県が医療計画を作るときに参考としております局長通知、「医療計画 作成指針」があります。その中で、こういったものを書いてくださいということが通知 で書かれている事項があります。これは2の(1)の(ア)〜(ク)まであり、現在の ところ法律と同じ内容が書かれています。  以下に、2年ほど前にやりましたワーキンググループで最初にたたき台として使いま したペーパーを添付してあります。例えば4頁の真ん中辺りは、「政策的に推進すべき 医療や機能との関連」ということで、設備関係として、(1)は、「公的病院等の位置づ け及び公私の役割分担の明確化」です。(2)は、「政策的に推進すべき医療や機能との 関連」です。その中でアが医療安全センター、医療安全の話。イが医師等の医療従事者 の確保等に関すること。ウが小児医療・小児救急医療の推進。エが周産期医療の推進。 オが地域がん診療拠点病院のがんについてのこと。カは重症難病患者、ALS等の患者 の入院のこと。キがエイズ治療拠点病院のこと。クが病院前の救護のメディカルコント ロール体制、救急救命の話。そしてケとして在宅医療の推進が出ております。  こういったものがこれまでに検討されておりましたが、いままでは医療計画全体の話 をしておりまして、今回はまさに平成18年に医療制度改革をするのであれば、どういっ た視点で検討すべきかということで、戻りまして、2〜3頁にある「医療計画に記載す べき事項として加味する観点(案)」と書いたところにご意見等をいただければと思っ ております。 ○黒川座長  これは前にもやったところですが、3カ月経っていますので、明確にするためにも、 コメントやご質問等ありましたら出していただければと思います。これを受けた都道府 県では、こんなことを言われたら、かえって戸惑うのでしょうか。 ○針田医療計画推進指導官  実際、都道府県のものはかなり幅広に書かれております。法律に書いてあることは当 然書いてありますし、書いてなくても、県独自でいろいろなものを書いてあります。た だし、オールジャパンでこういったものは確実に把握しておいたほうがいいということ についての観点、こういったことについては書きましょうといったものを今回お示しし たという形になります。 ○黒川座長  議事録や、まとまったところを見ていくと、どうしてそこにまとまってきたかという 意見の集約があるわけで、そこのところのニュアンスがなかなか見えないというのが現 実ですから、何かありましたら、どうぞ。急に言われても大変でしょうか。これは今日 初めて皆さんの目の前に配られているわけですか。 ○針田医療計画推進指導官  いままでのディスカッションをまとめたつもりですので、奇異な感じは皆さんしない のではないかと思います。今後こういった方針で事務作業を続けていきたいと考えてお りますので、お示しさせていただきました。 ○黒川座長  委員の先生方はかなり議論した上でこれが出ているので、3カ月半でみんな忘れてし まったというわけでもないでしょうから、いまさら質問と言われても困るかもしれない ですね。それでは、何かありましたら追加していただくことにします。特に、各都道府 県でやるときにこういうポイントがあったらいいのではないかという話が明示的にあれ ば、計画を作るのに、かえってやりやすいかもしれません。そういう話でコメントをい ただければと思っております。  資料2について説明していただきます。 ○針田医療計画推進指導官  資料2は「新しい医療計画の作成に向けた都道府県と国との懇談会」についてです。 平成18年の医療制度改革を念頭においた医療計画制度の見直しを踏まえまして、実際に 都道府県の方々との意見交換を行っておりました。現在のところまで2回やっておりま すが、行うに当たっての概要ペーパーを1頁目に付けております。  趣旨ですが、平成18年の医療制度改革を念頭においた医療計画制度の見直しを踏ま え、先進的な医療計画を作成している都道府県等との意見交換を通じて、医療連携体制 の構築と住民・患者に分かりやすい医療計画の全国への普及を進めるという趣旨で、医 政局長主催の下、開催しております。  メンバーは、ブロック単位で集まっていただいておりまして、平成19年辺り、いわば これから医療計画を作成しようとしている県を中心に、また、特徴的な計画を作ってい る県などとの意見交換をさせていただいております。また、厚生労働省側は医政局を中 心に、ほかの関係各局にもご参加いただいて、意見交換をするという形になっていま す。  実際の議題といたしましては、新しい医療計画を円滑に作成できるよう、特に地域で の医療連携体制の構築に関するやり方について、また、その実態についてご発表をいた だいております。  このスケジュールは、考えたときのものなのですが、実際はこれまでに9月、10月と 2回行ったところです。  2頁は第1回目のメンバー表ですが、このような方々にお集まりいただき、意見交換 をさせていただきました。3頁目は厚生労働省側の参加者です。マスコミ等で若干報道 されておりますが、このような打合せ会があったことを報告させていただきます。  続いて資料3に入りますが、これが実際にこの懇談会で使った資料です。第2回目の 後半で、各都道府県や関係者からいただいた資料、もしくはインターネット・雑誌等の 情報をもとに、事務局が取りまとめた資料でありまして、まだ完全な、いちばんのセー ルスポイントをちゃんと書いてあるかどうかというのは難しいところもあるのですが、 10月時点の暫定的な取りまとめとしてまとめた資料です。今後、更にいろいろな視点を 変えながら、もっとビルドアップしていこうと思っております。  「全国で行われている医療連携の事例」ですが、診療所から病院への連携、病院から 診療所等への連携、また、在宅への連携。病院や診療所から在宅に戻って在宅支援をす るという、これは現在非常に注目されておりますが、そういった事例があるだろうとい うことです。また、介護施設への連携。全体的、つまり病院も診療所も介護施設も、全 部を含めた形もあろうかと思います。  表をまとめる上で、暫定的ではありますが、強引にいくつか章だてしております。実 際の中身はかなりオーバーラップしておりまして、大雑把な分類で誠に申し訳ないので すが、暫定的にこういう形に取りまとめました。問題点もあろうかと思いますが、趣旨 は、全国的によいところをどんどん参考にしていただいて、よりよいものを各地域で作 っていただきたいという思いでまとめております。  2頁が「診療所が中心となった医療連携を構築している事例」です。これは、まず 「地域医療連携システム」として古川市立病院の例を出しておりますが、前方連携とい いますか病診連携といいますか、全国的に広く行われている形の1つのモデルとして挙 げました。  「病診連携Wの会」、これはかなり以前から行われている、歴史的にしっかりした連 携の組織だと聞いておりますが、その地域の開業医の先生方と済生会神奈川県病院が連 携をとりながら、病床の運営や勉強会を行っていると聞いております。  同様に、「名古屋市医師会病院連携システム」ということで、地域の医師会と名古屋 第二日赤病院が連携をとっている。これもかなりしっかりした、歴史があるシステムだ と聞いております。  徳山医師会病院はオープンシステムで、かかりつけ医の先生方が自ら病院に行って診 察したり、24時間いつでも入れる体制をつくっているモデルとして挙げました。  3頁の「イーツーネット(医2ネット)」は、静岡市静岡医師会と静岡市立静岡病院 が中心となって、糖尿病の連携、C型肝炎の連携、気管支喘息の連携等々、疾病別に専 門性を確保しながら連携をとっている事例として挙げております。  4頁も同じイーツーネットですが、疾病ごとにこんな連携をとっているという事例を 挙げております。  5頁は「病院が中心となった医療連携を構築している事例」ということで、まず「東 京大学医学部附属病院地域医療連携部」というものがありまして、国立大学として最初 に地域連携に取り組んだと。現在ではいろいろな大学病院でも行われていると聞いてお りますが、その事例として挙げました。受診支援や退院支援に、大学病院としても積極 的に取り組んでいるという事例です。  東京都内ではいくつかの地域で先駆的に行われている連携システムがあると聞いてお りますが、多摩のほうですが「西東京臨床糖尿病研究会」という、NPO法人がつくっ て、糖尿病の各種研究会や勉強会をしながら連携を図っているという例を挙げておりま す。  大阪では「りんくう医療ネットワーク」。これは地元の医療機関とりんくう総合医療 センターが協定書を結んで円滑な運営を図っている事例です。  また、西神戸医療センターは、地域のほとんどの医療機関が参加する病院・診療所・ 歯科診療所の連携体制であると聞いております。  先日テレビでも出ておりました中津市民病院は、地域が一体となって連携をとってい る事例として挙げております。  6頁は、「わかしお医療ネットワーク」です。千葉県のほうで、電子カルテを中心と した医療ネットワークの代表的な事例だと思いますが、疾病別といいますか、糖尿病を 中心に、インシュリン療法等に関する連携を図っていると聞いております。また、在宅 ホスピス支援も積極的にされていると聞いております。  7頁目は「道東画像ネットワーク」です。これは、ほとんど専門医といいますか、脳 神経外科領域の先生がいらっしゃらない分野における専門医不足の解消策、対応策とし て、ITを活用したネットワーク化を図って医療を確保しているという事例として挙げ ました。  8頁の「Net4U(ネットフォーユー)」は、山形県鶴岡地区医師会の組織です が、病院・診療所・介護福祉施設・検査センターという4つのユニットが医療連携型電 子カルテで連携をとりながら、一体的に医療を行っているという事案です。  9頁、(3)の「病院・診療所・介護施設等の連携」ということで2つ例を出しており ます。「公立みつぎ総合病院保健福祉総合施設」ということで、別冊の広島県の資料の 中にもかなり詳細な説明があるのですが、包括医療ということで、行政と医療機関、も しくは福祉施設等々が密に、かなり幅広く連携をとりながらやっている事例です。歴史 もあり、皆さんご承知のシステムだと思いますが、それも挙げております。  10頁は「尾道市医師会」。これはケアマネジメントを前面に立てた連携で、同じ広島 のかなり近い地区で行っているものですが、他職種協働で、いろいろな職種の方々が連 携をとりながらやる。また、主治医というものを大切にしながら行う連携、いわゆる 「尾道方式」と言われていると聞いておりますが、そこで在宅支援をやっている事案を 挙げております。  11頁の(4)も在宅ですが、これは宮城県庁が中心となって、保健福祉事務所、いわゆ る保健所が事務局を担当しながら行う事案です。「在宅ホスピスケア推進事業」とし て、病院の先生、かかりつけ医の先生、看護ステーション、在宅介護支援センター、薬 局などが連携をとりながら、地域地域のホスピスを支援していく形の、宮城県で非常に 積極的に取り組まれている事業です。  続いて12頁の「イエローカード」「グリーンカード」。イエローカードというのは、 在宅患者に関する相互連携システムで、静岡医師会と静岡市内の5つの病院が連携し、 在宅の寝たきり患者を支援するシステムであるということで書かれています。  グリーンカードのほうは看取りに関する連携システムで、個々のドクターが一人で対 応するのがなかなか難しい看取りというものを地域で支え合いながら、また、救急隊と の連携も含めて行っている事例です。  四角の部分は、静岡県で作られたばかりの医療計画のホームページから取ったもので す。実際にインターネットで静岡県のホームページにアクセスし、医療計画の部分に持 っていきますと、こういったものが既に出ております。  13頁は「その他のシステム」として、「周産期医療システム」。全国かなりの部分で 周産期医療体制がつくられつつあります。国がその要綱なりをある程度示しながらやっ ている事業ですが、この周産期医療システムを医療連携の1つの形として挙げておりま す。  個別の話として、静岡県西部浜松医療センターで「産科オープンシステム」を行って いると聞いております。出産までの健康診査は、産科の診療所が実施し、出産について は、県西部浜松医療センターで行う。そして出産後は、また紹介元の診療所でフォロー していく。また、帝王切開などのハイリスク出産に関しては、出産後も県の医療センタ ーで対応するということで、診療所の先生と医療センターの先生が連携をとりながら患 者のフォローをしていく形になっています。これも静岡県の医療計画のホームページか ら抜粋させていただきました。  「産婦人科のセンター化」ということで、北海道の中空知地区の試みとして、砂川市 立病院や滝川市立病院、市立美唄病院の診療科単位ということで、それぞれ数人ずつい た産婦人科の先生方を1カ所に集中させ、他の医療機関には外来で持っていくという形 で、いくつかの病院が連携をとりながら役割分担を図っているシステムです。実際にド クターを1カ所に集めたというところが他にない事案であるということで挙げたもので す。  14頁が「地域小児科センター構想」です。これは現在、日本小児科学会が研究してい る形ですが、それぞれの地域に地域小児科センターというものを設ける。また、1次医 療に関しては地域の当番医の先生方にやっていただくというシステムです。それぞれの 役割分担をしながら連携もして、3次医療は中核病院に持っていくというシステムを、 いま、日本小児科学会が提唱しており、それに向けて今いろいろ検討が進められている と聞いております。実際には「豊能広域こども急病センター」というのがあります。こ れはある病院のそばに建っているセンターですが、24時間、夜中もずっと対応できる急 病センターが地元ニーズで造られました。4市2町共同によって設置されたこども急病 センターがうまく回っていると聞いております。  15頁には「精神障害者支援の取組み」ということで、富山県の取組みを書いておりま す。砺波厚生センターというのは保健所のようなところですが、そこが関係する医療機 関や授産施設、地域生活支援センター等と連携をとりながら、なかなか退院しづらい患 者が自宅に帰れるようにするシステム、また定期的にフォローするシステム、「連携ク リティカルパス」をつくりつつ、地域で送れるようにするシステムをいま進めていると ころです。  治験に関するネットワーク化も図られており、大規模治験のネットワークや、地域、 それも小さな地域におけるネットワーク化も行われ、連携がとられていると聞いており ます。  16頁は「公立置賜総合病院」。これは山形県の試みですが、地域の公的医療機関が相 談しまして、組織体といいますか再編を図った事案です。1つの大きな病院を造り、そ れぞれの地域にはクリニックなりを設けながら、ドクターが行き来したり、患者の利便 性を考えながら再編を図っていった事案として、山形県の公立置賜総合病院の事例を出 させていただきました。  また北海道では、「北海道総合保健医療協議会」において、地域の医療がどうあるべ きなのか検討しております。それぞれの地域の検討会で議論してもらい、さらに北海道 庁、北海道全体で一本の協議会において広域連携のあり方、集約化のあり方など幅広い 議論をしていると聞いております。  17頁の(6)は「その他」として、地域連携クリティカルパスです。地域連携を進める 手段として、地域連携クリティカルパス等が有効ではないかというご意見を踏まえて、 いくつか集めております。最初にあるのは、「国立病院機構熊本医療センター 疾患別 病診連携システム」です。これは大腿骨頚部骨折に対するクリティカルパスで、実際、 患者は入院し、手術をし、術後のフォローを受け、リハビリをやるのですが、それらを 1つの病院でやるのではなくて、まず最初の病院である程度のところまでやり、リハビ リを専門とする病院に転院し、そこでリハビリを受ける。最後になって転院するのでは なくて、初めから計画的に転院してもらうシステムです。要は、こういった流れで急性 期の手術専門の所で手術をやってもらい、リハビリが専門の所でリハビリをやってもら う、そういった流れをセットで考えるシステムとしてこのパスが使われております。  18頁も同じく熊本市です。熊本医療センター等たくさんの病院が入った「大腿骨頚部 骨折シームレスケア研究会」で、大腿骨頚部骨折の治療に関する標準的な治療計画等を 複数の医療機関で考え、用いていこうという連携パスです。真ん中より少し左のところ で分かれるのですが、最初に手術する医療機関でこういった治療法を行う。そして、術 後7日で、○月○日に次の医療機関に転院して治療をする。退院も○月○日にする。退 院後もフォローしていく。そういう形のものを1枚の紙にまとめ、あたかも1つの医療 機関でやっている診療計画のようですが、これは複数の医療機関で用いていく。複数の 医療機関で見ながらやるということで、標準化も進むし、効率化も進む、質も担保され ていくのではないかと考えられています。  19頁、循環器疾患につきましては、福島県会津地方の竹田綜合病院が循環器疾患の連 携パスを研究していると聞いておりますが、これは誰もが使えるパスで、できるだけ簡 略化を図った事例として、病院とかかりつけ医の診察を1枚のパスにして相互に用いて いくというものになっています。  20頁ですが、高知県における疾患別病診連携システムとして「なっとくパス」を構築 したと聞いております。これは県の医師会、市の医師会、高知医療センター等の協力の もと、呼吸障害、心臓病、糖尿病、脳血管障害等々9種類の疾患について、どういう形 で連携をとっていくのかについて、それぞれ先生方で考えて「なっとくパス」というも のを作り上げていると聞いております。  21頁ですが、個々の医療機関においても、既にさまざまな医療機関でさまざまな分野 の取組みがなされております。横浜医療センターではDBMと言って、データに基づい たパスをつくっていく。それから、エビデンスと言いますが、診療ガイドラインに基づ いた医療を積極的につくっていこうということで、いま、胃と大腸がんの術後に関する パスについて研究していると聞いております。  NTT東日本関東病院では、「患者さんの立場で医療連携を進める会」を立ち上げ、 そこで検討しており、それは6疾患12種類についてあると聞いています。  また、個々の医療機関、診療所においてもパスを研究しており、「PCI連携パス」 というものを考えている診療所があります。脳血管についての沼津の例、済生会熊本病 院の「クリニカルパス」は、多職種参加によりチーム医療として用いていくということ で、かなり有名なところですが、パスを研究しています。  22頁に、青森県が特徴的な取組みをしておりますので、事例として挙げていますが 「地域連携パス標準化モデルの開発・普及事業」です。これは、みんなで作る。まずパ スありき、特定の病院ありきではなくて、地域の医療機関がまずどんなものを作ったら いいのかと。糖尿病、悪性腫瘍、難病等々、まずこういった疾病イメージを持ちまし て、それぞれの医療機関の代表の方が集まってディスカッションをした上で、みんなで パスを作っていこうという計画です。23頁にその概要図があります。  そして24頁に「地域連携パス標準モデルの開発方法」の全体計画があります。まず、 今年の4〜7月までデザインを検討し、試しのものを作ってやっていこうというもので す。実際は青森県の八戸と下北の2地域でいま検討が進められています。26・27頁に、 実際に青森県でやっているモデルの実施要綱を添付いたしました。  このように、現在全国で、その地域の事情に応じた連携、画一的ではなく、その地域 の医療資源を有効に活用しながら、その地域に合った形の検討の場で連携を模索してい るといった状況の現段階での取りまとめを行いました。 ○黒川座長  いろいろな例が出てきて、いろいろな所でいろいろな話を聞いています。確かにそれ ぞれクリエイティブなアイディアがあり、できる所には、それまでのいろいろな背景が あって、こういうのは参考にはなると思います。一部に限っている所もあるし、総括的 な地方の医療計画を明らかに目指しているものもありますが、どうでしょうか。 ○信友委員  医療連携事例の整理の仕方なのですが、このままでいけば、医療連携を進めることが いいことだと思ってしまうのです。本来は地域完結型医療のために医療連携する。患者 が割を食っているか食っていないかという視点で整理していくとなれば、この医療連携 が地域完結型医療を目指して作った医療連携であるかどうかというので二分類してほし いですね。  とかく医療連携をすると、いわゆる縁故ネットワークになってしまうのです。いちば ん伝統的なものとして例に出るのが尼崎市医師会がやったものです。尼崎市医師会の職 員を市内の基幹病院である県立尼崎病院、県立塚口病院、それから関西労災病院に出し て、そこが医療連携をしていたのです。初めは医師会すべてにフェアに連携をとってい たのですが、そこの勤務医だった等、県立尼崎病院と縁故がある人たちとの連携だけが 生き残ってしまった。結局、フェアでない縁故ネットワークだけが残ったのです。そう すると、患者は、それに乗らないと尼崎の外の病院に行かないといけなくなってしま う。そういうことがあるから、地域完結型医療で患者に割を食わせないような発想の医 療連携の例と、まだまだそこまで行っていない所と、2つぐらいに分けてほしいという 希望があります。  それから、国病機構熊本医療センターのユニークさは、歯科も取り込んだ医療連携な のです。これはユニークで、他ではやっていない。また、医科と薬局の医療連携。県立 東金病院がやったのがそういうものですが、そういうユニークなものも取り上げて、ユ ニークさが分かるように整理してほしいという希望があります。 ○黒川座長  確かにそういうことから言うと、これは連携が目的なのではなくて手段なのだから、 地域完結型ということで、どういうふうにあるリソースをつくっていくかという話で す。完全なものはないわけだから、それをやりながらフィードバックをして、常にそれ を思い出しながら、地域完結型のものを作っていきましょうという話だから、それぞれ について認識されつつある問題点や解決すべき課題も書いてあるといいかもしれません ね。いま言ったような話がどんどん出てくるといいかもしれません。 ○津委員  国病機構熊本医療センターの話で歯科の話が出ましたが、私たち歯科診療所の小さい ところというのは、その地域でどういうふうに連携をしていったらいいかというので非 常に難しくなると思うのです。いまのように、医科の診療所、歯科の診療所、あるいは 薬局の話も先ほどちょっと出ましたが、そういう本当に末端の診療所がどのように加わ っていくか。何か置いていかれている。国民も何か置いていかれているのではないか。 また、糖尿病など大きい疾患が中心になって動いていくのではないか。最終的には医療 費の節約というようなことが先に見えてきて、私たちの小さい所、本当の末端の所はど のように関わっていったらいいのか、そういうことが見えないのですが、何かサジェス チョンがあれば伺いたいと思います。 ○黒川座長  何をやっても課題はあるわけです。だから、課題は何かということが出てくると、別 にマイナスなわけではないのだけれど、何かをやっていくと、必ずそれまでと違うのが 出てくる。その辺の問題点が出てくると、こういうことがありましたという事例は、い くらでも出てくる気がするのです。その辺で、いま方々の地域に行って説明してきた話 は、すごくご苦労さまだったと思うのだけれど、両方の対話というか、そういう話がみ んなで共有できると素晴らしいと思います。 ○濃沼委員  連携はすでに何らかの意味で行われており、その連携を客観的に評価することが重要 です。その場合、これらの事例がどう参考になるのか。各事例の良い点と悪い点が明示 されていると、理解しやすいのではないか。良い点だけではないと思いますし、感心し ない連携もあると思います。また、これらの事例はどういった基準で選ばれたのかが分 からない。同じような連携が行われていても選ばれた所と、選ばれなかったい所とでは 受けとめ方が大きく違ってくる。 ○黒川座長  これだけ書いてあると、これでいいように見えてしまうばかりではしょうがないの で、まだ解決すべき課題、いまの医療制度の中で問題が浮き彫りになったもの等いろい ろなことがありますよね。 ○濃沼委員  連携の進捗状況をチェックする指標のようなものが示されると、似たことをやってい る所にも、これから始めようとしている所にも参考になるのではないかと思います。 ○黒川座長  信友先生が言ったように、もう1つ忘れていけないことは、地域完結型という話から すると、医療のような社会基盤の場合は、アクセスと質と全体のコストという話がある わけですが、無駄を少なくするということは大事なのだけれど、無駄を無くせなどとい うのはとんでもない。そういう話が目的であるという話がいっていないと。アクセスと 質とコスト全部から見て、どれだけ目標が達成されてくるかというのは非常に大事な視 点なのかもしれませんね。それから、地域の人たちがどう見ているのかというフィード バックも大事かもしれません。何かやると、これはいいのだいいのだということばかり 出てしまうのだけれど、必ずしもそういうわけではないので、やってみたらこういう問 題もあるという話もどんどん出てくるといいわけですね。  その辺を書いておいたらどうでしょう。これをやって非常によかった点は、アクセス と質とコストから言うとどうなったとか、いろいろな話があるのではないでしょうか。 やはり書きようです。でも、やってみた所はエンカレッジしないと。実にいろいろなモ デルがあるということがよく分かりました。  信友先生が言っていましたが、国病機構熊本医療センターというのは国立病院機構の 中ではすごく評判がいいのです。比較的地域に密着して、救急もやっているし、先進的 な骨髄移植もやっている。小児救急も、小児科の先生が少し増えて、たぶん夜の10時ぐ らいまでやっていると、院長先生がこの間話していました。それで私は、そんなこと言 ったって、熊本大学の附属病院でもやってるんじゃないの、地域全体として、何でそん な同じことをやっている必要があるのかと言ったのですが、そういう視点が少し欠けて いると思いました。むしろ、小児科が10時までやっているなどと威張っていないで、ど こかに行けばみんながやっていますと言うべきではないのと。うちだけいい、いいなど と言われても非常に迷惑な話です、と言っておきました。  なぜ私がそれを言ったかというと、熊本大学は骨髄移植も結構頑張ってやっています から、両方でやっているなんて、とんでもない話で、自慢にもならないぞ、と言ってお きました。  皆さんの意見を入れると、今度行ったとき、こういうモデルを何年ぐらいかかってや っているのか、それについてのアクセスと質をどう見ているのか、質はなかなか難しい けれど、コスト全体としてどうなったのか、公的な負担がどうなっているのかというよ うな話を書いてみると、もう少し視点がいいし、これについて、かえって浮き彫りにな った問題点、それから地域住民からの苦情なども確かにあるわけで、そういうものはそ のまま言ってあげたほうがいいと思います。もちろん、1人の人が文句を言って、大部 分の人は文句を言っていないことは、いくらでもあるわけだから、その辺はどういうふ うに評価するか難しいわけですが、解決すべき課題はどんなことがあるかというのを書 いておいてあげると、そこで次の解決策が出てくるのではないかと思います。ご苦労さ まだとは思いますが、そういうことを少し書いてみたらどうでしょうか。 ○谷口指導課長  いろいろなご意見を承りました。実際にこういう連携システムというのは、それぞれ 事情の違う地域でそれなりに工夫をしてやっておられると私も思います。ですから、実 施主体はそれぞれありますけれども、そういった所から、いまのご指摘を踏まえまし て、自分たちはこういう特色の地域だから、こういうモデルをやってみたのだが、やっ てみて、自分たちとして長所はこうだと思う、短所はこうだと思う、評価はどうだった のだろうと、そういうことを実際におやりになっている方々からお聞きして、そういう 点を分かりやすくまとめ直しをしてみたいと思います。その中でアクセスの問題、質の 問題等をできるだけ取り込んだ形でまとめさせていただきます。できれば、こういった 全国の連携システムを客観的、第三者的に評価できるようなことが一番いいのでしょう けれど、残念ながら、そういう組織もまだありませんので、とりあえず実施主体のほう からお聞きしてみたいと思っております。 ○信友委員  数値目標を掲げて整理することになっているのです。例えば尼崎市医師会は、その医 療連携を医師会員の何パーセントが使っているかを数値で出しているのですが、それが 年々下がっていたのです。それはなぜかと思っていたら、仲間同士だけが使っていて、 会員が使っているわけではなかった。そういうのを縁故ネットワークと言うのです。だ から二次医療圏の中で、その医療連携のパスやネットワークを使った医師会員が何パー セントいるかで、連携度が評価できると思うのです。そういう数値目標がないと、やっ ているというだけで終わってしまい、患者さんにとってどのようによいのかという面が 見えてこないのです。 ○黒川座長  この間たまたま見せていただいた中津市民病院、ここの場合、もともと地元に脳外科 専門の市立病院と整形外科、それからもう1つ、消化器外科か何かがある。眼科もある から、市民病院は無くしてしまったという話なのです。そうすると、手術をしたい耳鼻 科の先生なんかは、むしろ週に1回、患者とそこに一緒に行って自分が手術をして帰る となると、看護師もいて非常にいい。腕も振えるし、素晴らしいという話があるので す。しかし一方で、交通事故で救急で入ると、整形外科の専門病院はあっちにあり、脳 外科はこっちにある。患者を、次はあっち、その次はこっちなどということで問題だ と。むしろ専門の先生がそこで常に待機する体制を作ればいいじゃないかという話にな るわけです。やってみれば、いろいろな問題が出るのは当然ですから、それをどうやっ て次にフィードバックして戻していくか、そのことが大事ではないかと思います。  そういう意味では、長谷川先生なんかは割に専門かもしれないけれど、QOLまで見 たい。経済だけではなくて、患者から見たクォリティーをどう思っているかという話。 例えばSS-36みたいなのがありますが、その病院を地域全体としてどういうふうに住民 が認識しているかという指標、これについてはどうかという満足度調査のような質問が あって、ランダムサンプルにしてみるのも悪くはないかもしれません。いま信友委員が 言った、ある先生のところにばかり連携がいって縁故関係が出来るというのもあるのか もしれないけれど、中津病院のように、常に病院をみんなで使いましょうということに なってくると、それがだんだん無くなってしまいます。要するに、知らない人だからし ないので、どうしても知っている人に紹介するということは、ある程度出てくるので、 みんなが知り合うような機会として病院を使おうというような話になってくると、解決 の方策として、そういうことはあるかもしれないですね。いろいろなやり方があるか ら、地域の満足度調査の話をどういうふうに入れるか。適宜ワーキンググループで、い くつかの指標の参考になるものもあるので、ときどき各地方自治体が少しサンプリング していくというような話をするのも、いいのかもしれないし、いろいろな方策は考えら れると思います。そうでないと、数値目標といっても見当がつかないですから、フィー ドバックするツールがないといけないかもしれません。いろいろなツールがあり得ると 思いますが。 ○古橋委員  全国で行われている医療連携の事例、本当にたくさんというか、いろいろな方法であ るというのは分かったのですが、全国レベルで見れば、あるいは医療を受ける国民のレ ベルで見れば、まだほんの一部でしかないのではないか。多くの患者にあまねく行き渡 るような方法というものを願うとしたら、気運は出来たという点で、いろいろなモデル が大変興味深く聞くのですが、大事なことは、この気運をもっと普及していく必要があ ると思います。その中で、1つの重要な役割は郡市医師会が担っておられるということ が見えてまいります。そういう点では、日本医師会がこの地域連携、医療連携というこ とについて、どういうご指導なり推進力を果たされるかということも非常に重要ではな いかという気がするので、日医は、この地域連携をいろいろな方法でいいのだけれど も、多くの国民がほぼ一般的に提供されるサービスとして認知するような内容にするに はどうするか辺りで、何かご構想がおありかどうか、それが知りたいと思います。  もう1つは、先ほどから出ておりますように、こうしたいくつかの取組みの結果がど うかが知りたいのですが、1つには患者満足とその0連携内容のプロセスがどうなのか というのと、もう1つは、やはり病院経営や診療所経営といった点での経営の切り口も 要ると思います。そのことによって医療職が人材を担っているか。いわゆるバランスス コアという4つの視点。患者満足はとても大事で、それは私もいちばんだと思います が、残りの3つの切り口での評価もなされて、これまたいろいろな点で先駆的に取り組 んでおられる所から情報が入って、それが1つの刺激剤になるといいなと思っておりま す。そういう点では、事業経営の視点でもこうした医療連携が、ある意味で妥当性が高 いというようなことも検証されていく必要があると思います。その2つ、一応確認させ ていただきます。 ○土屋委員  いま医師会の話が出ましたので。看護協会もそうなのでしょうけれども、実際にこう いうことについて現場をもって活動できるのは郡市区医師会なのです。ですから郡市区 医師会がどのような形でこれを推進していただけるかということなのですが、ここに例 が挙がっているように、それぞれの地域でそれなりの医療連携体制は不完全ではあるか もしれないけれども、一応できてはいる。  ですから私どもがこの検討会で当初から申し上げてきたことは、特定の医療機関にそ ういう拠点病院なるものを置き、そこに患者を送り込むことが連携ではないと。それぞ れの地域における事情に合った、その地域の医療資源を最大限に活かしたものでなけれ ばいけないだろう。  ですから先ほどこの中のいくつかの例にも、私が懸念しておるのは、やはり信友先生 がおっしゃったけれども、本当に縁古連携といいますか、同窓生だけで連携を組んでい るとか、では、それ以外のものはその連携から外されているのかという話です。もっと 言いますと、これを系列化して、私もいちばん懸念しましたのは、そういうものの仲間 からはじき出されてしまうといけないということで、渋々そういうものに従うというこ とは、本来の連携ではない。先ほどお話がございましたが、患者の視点なり、住民の視 点ということが全く欠けておるわけです。  これからの問題なのでしょうが、あの中でも、だから特定の医療機関ではなく、その 地域に既存の組織でもいいのですが、公正公平にそれを調整して、その地域に合ったこ とを推進できるような組織をきちっと立ち上げてもらうことが、いろいろな場面で、例 えば医師確保についてもそうですが、いろいろな関係団体が一緒になって、これを推進 していくことでなければ、何か仲間内だけでというようなことではいけないだろう。最 初から、この「医療連携」、「診療ネットワーク」なる言葉が出たときから、私どもが いちばん警戒した点です。  したがって、これは郡市区医師会にも申し上げてあります。郡市区医師会というのは 900以上全国にあります。それも様々でして、数人の医師会から何百人、何千人という 会員を抱えた所までありいろいろですので、一概には言えないのですが、それぞれの地 域によってはそのアクセスが非常によくない。こういう格好で連携をとってみたのだ が、季節によっても大きく違う。雪でも降ってしまったら、完全にそのアクセスが閉ざ されてしまって、機能を全く発揮できないようになってしまうという地域もあるわけで す。  ですから私どもとしては、こういう偏ったことにならないように。一見ここに書いて あるのは、この角度から見るとうまく出来ているのですが、裏側から見ると、この参画 していない医療機関のほうがはるかに多いのではないか。医師会か何かがやはりきちっ とした調整役を買って出ていないといかん。  例えば、私の知っている所では、包括医療協議会というのがあります。これは、関係 団体が連携して、本当にうまくやっています。平時はあまり感じないのですが、何かあ ったとき、例えば何か災害があった、事故があった、大きな事故があったようなとき に、意外にその連携体制が力を発揮することが分かります。そうすると、そういうとき にこういうことも、こういうこともやはり平時から考えておかなければいけないなとい うことがその度に分かりますので、頭で考えたことと、実際にこれを動かしてみると、 そこに果たして基幹病院と言いますか、そういうものが果たしてあるのかないのか、あ るとしたら、それぞれがどういう特徴を持っているのか。  この医療計画の中ではこういうことでありますが、医療部会のほうでもこれから出て くるわけです。いままでも一部検討されていますが、医療法を見直すという中で、例え ば、特定機能病院とか地域医療支援病院というのはポツポツ途中で登場しているわけで す。だから、全体として医療提供体制の中でそれぞれの役割が何なのかというようなこ とが、実はプツッ、プツッと切れてしまって、全体を眺めるとうまい具合につながって いないという意味があります。したがって、特定機能病院なるものがどういう役割なの か。現実にはいろいろです。地域医療支援病院が、なかなか紹介率が上がらないから大 変だというのですが、本来、地域医療支援病院というものがどういう役割を果たすもの なのか、ということを自覚して手を挙げたのかどうかというようなことですね。  それぞれの地域によっていろいろでしょうから、私どもも誤解のないように、ひと つ、みんなで地域医療を支え合っていけるように。特定の人たちに占められてしまうと 食い上げになってしまうといかんからなんて、そういうレベルの話ではないのでありま す。地域でそれぞれの役割を果たしている医療機関が、あるいはその関連の医療提供施 設が連携できるように、これから機会あるごとに。もう今こういうことが始まりまし て、いろいろな地域から、話に来いといって呼んでくださいます。来月早々、私ちょっ と地方に出掛けるのですが、そういう意味での関心も高まってきておる。今まさに、先 ほどの話のように、気運が盛り上がってきていますので、私どもと共々、これを推進し ていきたい、そう考えています。 ○納谷委員(代理高山課長)  お願いなのですが、このような事例を集めていただくときに、いま見た感じでもそれ なりに集まっているとは思いますが、この連携システムでカバーしている地域社会の規 模を、大都市、都市部、農村部、へき地型など、そういうものもある程度想定したモデ ル事例を収集していただくと、非常に参考になるかなと思います。 ○黒川座長  この1つで出しているのは、当事者が自分はどこがいちばんフィットしているのかな という話で見ない限り、うまくいかないと思います。それで、これが必ずしもうまくい っていない問題点もあって、それは歴史的な背景とかいろいろあると思うのです。例え ば、これだったらうちは全然合わないなというのも、いくらでもあるわけです。例示で すので、いろいろなものがあるのはそういう意味で捉えていただければと思います。  やはりいま土屋先生がおっしゃったことは無理もない話で、いままでの日本はお互い にまざらないことを誇りにしていたというか、そういう縦社会ですから、同じ病院に行 っても、ここの大学系とここの大学系はあまり口をきかないという話もあったのです。 外から見ると馬鹿みたいかもしれませんが、それは役所の縦割りも同じですし、会社の 縦割りもそうです。三菱の人は商売以外は三井の人と口をきかないとか、そういうカル チャーでいいと思っていたのですからしょうがないのですが、そういうことからいう と、みんなが本当に集まってやっている場所があれば、だんだんそんなことは解消され てくるわけです。  それをやるのが、例えば1つは医師会という組織で、そこの地域の人が普段話してい るから医師会同士は話が通じるのですが、そうではない人はお医者さんでも話が通じな いというのが常識になっているわけです。そうすると、もう1つは病院という場を通じ て、ではお医者さんが週に1回ぐらい行きましょうとか、月に2回ぐらい行きましょう と言って、一緒に勤務をしていると言ってはおかしいですが、そこでやれば、だんだん そういう話は解消される。  いくらでもやり方はあるわけなので、お互いに知らないで派閥を組んでいるわけでは ないのですが、そういう社会なのです。まさにこういうようになると、例えば、その病 院でお医者さんが多すぎるとか、少ないとかいろいろなことがあるのかもしれないです が、病院で週半日とか1日外来しても、ちっとも悪いことないわけです。その分はその お医者さんの就任をどうするかという話で、病院は場所を提供すると考えていてもいい わけです。入院したら、入院させた先生も週1回ぐらいちゃんと来てくださいねとか、 電話してちょうだいなんていう話になれば、もうちょっと親近感がわくというのが、ま ず第一歩かという気がします。それはいろいろ地域によっても違うので、是非、医師会 の先生に伺ってもらいたいと思います。 ○濃沼委員  今後のことです。この事例は整理をお願いするとして、この後、都道府県ごとにこれ に準じたようなものを出していただくのか、あるいは、優れた連携をやると何かいいこ とがあるのか、次のステップはどういうことになっているのでしょうか。 ○谷口指導課長  基本的に先ほど申しましたように、地域に応じた連携というのがありましょうから、 画一的なモデルを押しつけるつもりは少なくともありません。やはり高山課長もおっし ゃいましたが、自分の地域に見合ったところというのがどういうモデルか、日本全国で こういうことがやられているのでこれは参考になるなとか、これは駄目だなとかいう判 断ができるようなものとして、そういうものを自治体のほうに提供するような形にした いとは思っています。  それから後段の、採択することによってのメリットシステムみたいな話ですが、これ はいろいろやり方がたぶんあると思います。私どもといたしますと、ちゃんと連携がと れているような所については、いろいろなそういう連携のための事業のために、例えば 自治体が何かその予算が必要になるということになれば、そういったところにちょっと 手厚く配分をすることが考えられるかとか、場合によったら、これは他局の話ですが、 診療報酬の話とか、そういうこともあるのかもしれない。その辺のことは、今後また詰 めてまいりたいと考えています。 ○黒川座長  あとは地域から言うと、メディアへの発信とか。日本の場合は、読売新聞でも1,000 万部というバカげた数を出していますし、朝日新聞も780万部でしょう。日本中が同じ 考えに染まってしまっているというのは、日本のおかしなところなのです。ニューヨー クタイムズはどのくらいか知っていますか。120万部です。ワシントンポストで70万部 ぐらいですから、1桁違う。アメリカの人口は日本の倍以上ありますからね。日本人は みな同じ意思になってしまうという、変な社会だから。そういうところにも、そのかわ りあそこがこんなのをやっていますなんて、ポジティブなニュースが出れば、皆うれし いのではないですか。そうすると何かやたらと電話がかかってきたりという話もあるわ けなので。地域紙でもいいような気もするけれど、やはりその地域の住民が元気になる というのは、こういうポジティブな動きが出てきたということのほうがむしろ大事なの ではないかという気はします。是非いろいろなやり方があるから、みんなに、市民に参 加してもらおうというのが大事ですね。 ○池澤委員  ここに紹介されている例というのは、確かにいろいろいくつか典形的な例が挙げられ ているとは思いますが、しかし、さっきの郡市区医師会といいますか、その単位で見ま すと、もっとたくさんの例が実際にはもう芽生えていて、運動としてやっているわけで す。そういう例が、どういう地域的な特性を持っているかということについては、それ こそ千差万別です。だからここに挙げている例で言いますと、例えば薬剤師会の在宅患 者への訪問指導みたいなものは、どういうようにこれまでの流れの中で評価されている かといったら、確か1つぐらいしかなかったのではないかと思うのですが、とにかくあ まり紹介されていない。専ら救急とか、そういった所を中心、あるいはいままでうまく いっている、よく紹介されている例だけがここに出てきているわけですけれども。  これはやはり東京都でもそうでしょうし、あるいは大阪でも、あるいはそのほかの大 都市でもってやられている、既に作られているネットワークというものをどう組み上げ ていって、もっと有効なネットワークにしていくのかということについての自治体に対 する指導というものが、これからは必要になってくるのではないだろうか。そうでない と、いまさら始まったばかりのことではなく、もう既に10年も前から、あるいはそれ以 上前から作られているネットワークだってあるわけですからね。そういうものを全部、 もっと整備していくという方向がなければ、実際にはこの見直しというものが活きてこ ないのではないだろうかと思います。 ○長谷川(敏)委員  実は、前回のこの委員会のワーキンググループの委員会で、その点についてご発表申 し上げたのですが、全く池澤委員のご意見に大賛成であります。私、この前の年度まで 地域医療システムの運営と連携の研究班で研究しまして、分析をしたり、フィールド調 査をしたりしました。それで次のような結論に至ったので、前回のワーキンググループ で話したのですが、1つ、地域における資源です。ぶっちゃけた話、連携したくても病 院がないとか、あるいは逆に診療所がない。よく私も講演に行ったりすると言われるの です。「先生の言うこと全くそのとおり。しかし、うちの地域には診療所がないのよ」 とかね。  したがって4つのグループに分けまして、非常に病院又は診療所が少ない所、城下町 型みたいに1つの病院を中心に動いている所、3つ目に、熊本みたいに一定の地域があ って、そこで6つか7つの基本的な機能を三次機能として分担連携している所、そして 無限のアクセスがある都市型というので、4類型に分けまして、胃がんの発展みたいに Iのabとか、IIのabとかいうようにして分ける。  何をやりたかったかといいますと、1つは地域における資源はどうなっているかとい うことで、パターンが変わってくる。もう1つは、地域の主張のクラスターです。母子 とかがんとか循環器とか、そういうものをどう考えていくか。3つ目、病院経営戦略で す。すべての病院に3次機能を持つのはなかなか難しいものですから、2次的な基本的 機能の上に3次を持つ。したがって地域の資源と、さっき申し上げたクラスターとを見 ながら、自分の病院はどういう機能を持つのかというような、そういうのがひとつある のではないかというご提案を申し上げました。 ○黒川座長  そうですね。おっしゃるとおりです。確かに、ここに出ているのがすべてなわけでは なくても、たくさんのものがあるわけですから、たくさんのものをみんな書いても意味 がないわけですので、そういう話だろうと思います。池澤先生のおっしゃることはそう なのですが。 ○山本委員  私が申し上げたかったことを先にお話していただいたので、ありがとうございます。 私もそのように思います。1つ、こうした事例を挙げていただいて、それが類型化をさ れて、一定の評価がされて、明確な指標が出される。その中から各都道府県なり市区町 村が自分の状況にあったものを選んで、体制を組んでいくのだろうということなのだと 考えます。そういった意味では、座長が言われたように、我が国には縦割りのカルチャ ーがありますから、どこかが決めるとそこに倣ってしまう。反対に国民的な横並びの意 識もありますから、右がやればみんな同じようにやればいいのだろうというような格好 になるので、その辺りは十分に事例の類型の整理をしていただきたいのが1つです。  それから具体的に実施をする主体が明確に、多くのメニューの中からどれを選んだら いいのかというのが分かるような指標の書き方にならないと、いつもどこかの真似をし てやればいいだろうということになりかねません。いまお話があったような、地域にあ ります医療資源をどう使っていくか、役割を整理した上で、きちんと地域に見合った選 択ができて、それに基づいてそれぞれの地域に計画があれば、恐らく日本中で多少のば らつきがあっても、その地域の方々はきっとハッピーになるでしょうから、そういうス タイルになるような取りまとめをしていただきたいと思います。 ○黒川座長  1つは、いちばんこれの情報等いろいろ勉強したのがワーキンググループだと思うの です。ここの意見も随分吸収している。といって、無限のコンビネーションがあるわけ ですし、いろいろな設定条件があるわけで、そういうことから言うと、おおまとめに は、あえてこういうふうにやってくれと言って、また役所に頼むと、ろくなことないか もしれない。もうちょっと自分たちで考えろという話のモデルを言っているわけなの で、類型にしてやるのは構わないと思うのですが、むしろ、例えば、このワーキンググ ループの先生たちはどちらかというとニュートラルで、学門の府にいると言っては大袈 裟ですが、それを生業にしている方たちなので、むしろこの人たちがコンサルタントグ ループを作って、何か言ったら診断してあげましょうぐらいの話で。長谷川先生などは 得意ではないかと思いますが、こうやっていろいろなファクターを出して、例えばこん なのどうかねなんていう話で。それをエクセキュートさせていく方策についてはどこを 押していったらいいかとか、場所によってまた違うと思います。だから、そういう話を して、むしろこのワーキンググループの業績としてどんどんパブリッシュするとか。や はり行政に反映させるとか。反映させるなんて、行政もできること、できないこと、縦 のまた局がいろいろなことがあったりしてやるのだそうですが、そういう話をアドホッ クではないですが、やりましょうと。その代わり出張して2日ぐらい、いろいろこれだ けのデータを取っておいてくださいねというような話をしていく事例ができると、意外 にもっといいのかもしれない。  つまり役所が言っていると、どうしてもできないこと、できることの理由があり、し かも2年でころころ変わってしまって無責任になってしまうから。そういう話をしてい くと、もっといいのではないかなという気がしますが、先生たちはどうでしょうか。そ のとき行ける人がいけばいいんです、2人ぐらいで。1人でもいいですが。 ○長谷川(敏)委員  大変結構なことで、ありがとうございます。 ○黒川座長  いいですよね。そうすると、やはりその人たちがこういう話、医療計画にも加わっ て、信友委員とか濃沼委員とかもそうですが、そういう話をしてあげるとね。選択肢と してはどうなのか、これはできるのかできないのかというのは地方によっても違う。そ ういう対話をスムーズにするメカニズムというのは、とても大事だと思います。それが いままでの癖ですと、どうしても地方自治体から指導してくれなんて、厚労省にしてし まうからろくなこともないということもよくあるわけですからね。そういうのはどうで すか。少しそれで研究班でフィーをつけるというのはいいかもしれません。 ○松田委員  ワーキンググループに話がきましたので。その連携とかをやることのメリットは、た ぶんその連携の部分か、連携することによっていろいろなサービスとかのリプリケーシ ョンがなくなる、シームレスになって患者が、例えば在宅でずっと診療を受けることで QOLが上がる。たぶんそういうことを評価できるような枠組みを作っていかなければ いけないと思うのです。参考資料にも、そういう機能調査の調査票というのがございま すが、例えばこういう調査をやはりアドホックでやるのは非常に辛いだろうと思ってい ます。  例えば、ここに書いてあるようなデータというのは、もしレセプトが電子化されてし まえば全部取れてしまうデータです。そうすると、そういうデータに基づいて、例えば その地域、つまり連携をちゃんとやっている地域、やっていない地域で、個人単位で何 々という傷病に関して、このくらい検査のリブリケーションがなくなっているとか、あ るいは長期的に見ると、在宅で治療を受けている割合が高いとか、そういうことがやは り評価できるようになると思います。  ですからこういう計画とか、そういうことをやる際の前提として、標準的なそのデー タ情報というものが継続的に、日常業務の中で取れるという仕組みはやはり作らなけれ ばいけないだろうと思います。そういう意味では、日本の場合には日本のレセプトとい うのは非常に細かい内容でデータが取れていますので、それを電子化するということを 是非やっていただきたいと思います。それができれば、たぶんいろいろなパターンの評 価もできると思います。そういうデータに基づいて医療計画に反映させていくこともで きると思いますので、是非そういうものをお願いしたいと思います。もしもそういうも のを研究としてやれということであれば、是非やらせていただきたいと思います。 ○黒川座長  研究のほかに出張するとか、レセプトのデータも、いろいろな個人情報とか制限はあ るのかもしれないですが、やはり非常に大事な研究テーマになって、そういうのは研究 者の社会的な役割でもあるし、是非と思います。 ○長谷川(友)委員  ワーキングとして言い出すと、何か仕事が増えそうなのですが、喜んでやらせていた だきたい、非常に有意義な仕事だと思います。ただ、1つ考えなくてはいけないのは、 地域特性に合わせて連携のあり方考える。これは戦略の組立てなのです。そうすると主 体をどう考えるかがいちばん大きくて、その主体に対してその地域特性の中で長期的に どういう方向に持っていきたいか、こういった軸で考える。だから地域特性を考える、 これは当たり前の話です。ただ主体は何か。いままで連携というのは、むしろ病院経営 の主眼というか、視点で考えることが多かった。連携をやることによってコストパフォ ーマンスが良くなるとか、非常に明快なのです。ただ、いままでなかった地域という視 点をおかないといけない。  そうしますと、ワーキングでやるべきこととしては、いろいろな類型に分けたストラ テジーは作れるだろう。あと、やはり評価軸は作ることはできると思います。しかも地 域に主眼をおいた評価軸というのはできるはずです。例えば、非常に表面的なことを申 し上げますと、どこが主体になっているかとか、ケアコーディネーションの機能がある のかとか、対象疾患はあるのか、あるいは連携共通のパスがあるのか、しかもそれはI T化されているのか、あるいは参加している医療機関の数であるとか、そこのパスにの った患者さんの数であるとか、こういったもので評価軸は作ることはできるだろう。最 終的には地域の住民の評価とか、医療機関のスタッフの評価ですね。こういったもので まとめることはできるだろう。ただ最後の最後で、コンサルテーションになると、やは り主体はどう置くのか。  そうしますと、行政が直接やるのはちょっと難しい。個々の医療機関になると、また これはちょっと、そこの傾向性になってしまうので。非常に新しい試みですね。地域の 医療を考える、しかも行政でもない。行政のサポートはもちろんあるのはいいのです。 ただ、個々の医療機関ともちょっと離れている。ある種のコンソーシアムみたいな形の ものを作っていくという形で、非常にアンビシャスな試みだと思いますので、何となく 大変な仕事のような気がするのですが、是非、今後の大きな検討課題にさせていただき たい。 ○黒川座長  1つは都道府県の医療計画というのはあるのですが、その中でもやはり都市部と地区 部で全然違うと思います。だから、むしろ地方自治体というのは、そこの住民全体が比 較的直接選挙で、そのヘッドを選ぶわけでしょう。それこそ政治のデモクラシーが組み 立てているのだから、住民の満足度とか地域完結型となれば、委託している人は、ある 住民を代表している都道府県なり何なり、都道府県ではなく、もっと自治体の長でもい いわけですが、そういう所が、どんな政策をしたらいいですかねという話をすれば、そ の自治体の単位の人たちがいいと思うような政策を決めるかどうかという話になる。そ こは直接選挙ですから。そういうプロセスがデモクラティックな地域の1つの医療とい う、非常に大事なプロセスを作ることではないかなと思うので、とても大事な役割だと 思う。 ○長谷川(敏)委員  座長のご提案は、このような課題についてアカデミズムがアドバイスするというのを 超えて、ビジネスモデルでやると。 ○黒川座長  政策モデル、公共政策。 ○長谷川(敏)委員  そうなんですか。 ○黒川座長  いや、ビジネスではないんじゃないの。ビジネスの部分もあって結構ですよ。 ○長谷川(敏)委員  つまり、こういうシステム形成について、これまでは伝統的に行政がやってきた。そ うすると、税金を配分をして、そのプランを執行していくというのが、1つの原型であ った。ところが、今回の提案というのは、ベネフィシャリーは個人個人なのですね、患 者一人ひとり。 ○黒川座長  地域住民です。患者になるかどうか分からないもの。 ○長谷川(敏)委員  地域住民ですけれども、最終的にはその一人ひとりにベネフィットがあるような形の システムにしようと。 ○黒川座長  一人ひとりって、患者さんではないです。地域の人たちみんな。 ○長谷川(敏)委員  そこがなかなか微妙なところですね、確かに。 ○黒川座長  いや、それしかない。だって、いつ病気になるか分からないもの。交通事故、いつあ ったらどうするのという話でしょう。 ○長谷川(敏)委員  デイケアの評価とか、その伝え方とかいうものを、基本的にはその一人ひとりの人間 にサービスできるように作っていくという構造にしないと駄目という提案をしているわ けですね。そうしますと、やはりビジネスモデルでやる場合、誰かのハートに向かって いかないとというのが出てくるとは思うのですけれども。 ○黒川座長  いや、ビジネスモデルと違うのは、その税金の部分をどうするか。みんなの払った部 分をどう使ってほしいのかという話を投げかけているわけじゃないですか。だから例え ば、地方自治体の都道府県単位で見ると、地方自治体の都道府県の法律がここの数年で 改正が結構ボコボコ起こっているのは限られていて、三重県と宮城県と鳥取県と長野県 だけです。というのは、その自治体の長がみんなに、どういうふうにしたいんですか と、議会でこうガチャガチャやるから、法律改正がどんどん起こっているのですが、専 ら中央からお願いしますなんて言う人のところで、そんなことする必要がなくて、やっ てないのです。それを見る限り、やはり住民に何を問いかけるかというのは、とても大 事じゃないの。それが都道府県ベースか、もっと小さくてもこの場合はいいわけだか ら。だから是非、そのアカデミズムがインボルブするというわけではなく、何で政策の 提案に、アカデミックコミュニテイーがもっと積極的に関わらないのかというのは、1 つは研究であり、その定義を出すというのはとても大事なことだと思っているから言っ ているだけの話で、やはり中に入って論文を書いていてもしょうがないので、役に立つ 政策の提言と。取るかどうかは、そのポリシーを決めるところの問題だけれどね。それ はとてもいいと思うのだけど。 ○長谷川(敏)委員  座長はいろいろ過激な発言をされるので、過激な意見かなというように誤解しまし た。そこまでいかなくても、おっしゃるとおりで、我々ワーキンググループが提案し た、個人ないし地域の住民の観点ということ自身は、今までの行政スタイルとは違う実 験で、逆にこれを1つの実験として、新しい行政の仕方。 ○黒川座長  実験ではなくて、それがデモクラティックなシステムなのです、本当を言えば。 ○長谷川(敏)委員  では、今まで日本にはデモクラティックがなかったと。 ○黒川座長  そういうことです。ほとんどなかったですよ。 ○谷口指導課長  大分議論が発展してまいりまして、実は資料4にも、大分踏み込んだ議論になってい るのではないかという感じがします。それで、連携そのものは確かにその医療計画を進 めるためのツールということで、必ずしも目的ではございません。医療計画が今後自治 体のほうにどのように受け入れられて、現場に合った形でどのように進められていくか ということを、むしろ資料4でちょっとまとめてございますので、それを説明させてい ただいた上で、いまの延長戦の議論をしていただいたほうがいいのではないかというこ とが1点です。  それから、先ほど長谷川委員がワーキングでお示しをいただいたモデルというのは、 実は今日はお手元にファイルがございますが、この最初の所の「第4回ワーキンググル ープ資料」というのが、赤い紙で仕切ってございます。その後ろのほう10枚ぐらいが長 谷川委員の資料になっています。それを後ほどまたご覧いただければということを付言 させていただきたいと思います。 ○黒川座長  たくさん役に立つ資料とか、そういうのがあって、ここでは誰も見てはいないわけで す。だから、このワーキンググループの先生って、かなり詰めてやっているし、そうい う公共政策とかいろいろなものが大事だから、公共政策を批判するだけではなくて、や はり自分たちで作ってみたらどうかという話を言っているわけなのです。むしろコンサ ルタントとしてのグループを作ったほうがいいんじゃないのという話です。そのフィー をどうするかといえば、依頼した信用がだんだん増えてくれば、自治体がかなりなお金 を出しても、研究してくださいとか何とか言ってくるに決まっているなと思っているの です。最初は、そのリポートを書いたり、出すのに、研究費を少し付けてもいいのでは ないか。  私が言ったことが採用されないと、怒ることはないです。政策を採るか採らないか は、ポリティカルなプロセスだから。だけど選択肢を上げるのはとても大事なプロセス だろうと思うのです。よろしくお願いします。では、資料4にいきましょう。 ○針田医療計画推進指導官  資料4、「新しい医療計画のポイントについて」は、都道府県が実際に医療計画を作 るに当たり、こういった流れで作っていただきたいということをまとめたものになって います。1頁目は、「新しい医療計画のポイント(計画の立案(作成)から実施そして 所属評価)」という流れになろうかと思います。最初は、目字的にいきますと、1つ目 として、医療機能調査等を通じた都道府県内の医療サービスの供給と需要の把握。それ が終わりますと、次は主要な事業ごとの医療連携体制の構築と医療計画への明示。3つ 目として、将来の望ましい都道府県内の保健医療提供体制の実現に向けた数値目標の設 定。4つ目として、数値目標の達成に向けた都道府県、医療機関、医育機関等の役割と 責任。最後の5つ目として、数値目標の達成状況に係る政策評価と次期医療計画の見直 し。そういう流れになろうかと思います。それぞれについて、いまからご説明いたしま す。  2頁、医療機能調査等を通じた供給と需要の把握ですが、現在もう既にいろいろな調 査があり、都道府県は医療機能の統計を持っています。国も持っていますが。そういっ たものをまず活用していただくとともに、医療計画をつくるときにやる「医療機能調査 」と、既にやられている県もありますが「患者の疾病動向調査」、またオールジャパン でやっている患者調査等そうしたものを活用しながら、医療機能調査及び患者疾病動向 調査を実施し、都道府県内の医療サービスの供給の状況と患者の需要動向を把握するこ とになります。事業ごとに把握していくことが、新しい視点ではないかと思います。  また、その医療サービスの供給の状況と患者の需要状況を医療計画に書いてお示しす る。当然、全国との比較といいますか、その地域の状況も分かるような形で提供するべ きではないか、と書いております。  具体的には病院・診療所の数や病床数、健診・検診の受診率やがんや脳卒中などの主 要な疾病ごとの総入院日数、また在宅の看取り率、どこでお亡くなりになるのかといっ たもの、地域連携クリティカルパスの普及状況などがあるのではないか。  3頁ですが、地域連携クリティカルパスという新しい概念といいますか、既にやられ ていたものを活用すべきであるということで、このクリティカルパスは、良質な医療を 効率的、かつ安全、適正に提供するための手段として開発されたものです。アメリカの 工業界で使われ、それが日本に入ったと聞いています。これは診療の標準化、またEB M、インフォームドコンセント、業務の改善、チーム医療の向上に非常に良い効果もあ ると聞いています。  これを地域の複数の医療機関で使うことによって役割分担というものが分かります。 予め診療内容を患者さんに提示・説明することによって、安心感も出てくるのではない か。治療経過や診療ガイドラインに沿った診療内容、達成目標なども書かれるべきでは ないかと思っています。こうしたものに基づき、信友委員もおっしゃっていましたが、 地域完結型医療を目指していく参考になると思っています。  4頁は、どのようにして構築していくのかという話です。がん対策、脳卒中対策、急 性心筋梗塞対策、糖尿病対策、小児救急医療対策、周産期医療対策、救急医療対策、災 害医療対策、へき地医療対策、これは以前より皆様方にお話いたしました事業ごとの体 制です。また都道府県としては、それに付加的に独自に追加することも可能であると思 います。こういったものを医療計画に書く形になります。  それぞれの医療連携体制の地域ですが、これは特定の区域ではなく、その地域の事情 を踏まえた地域によって医療連携体制を作っていく。その中の医療機能というものを明 確にしていくということで、分かりやすい形になっていくのではないか。  その体制は患者の視点に立った、医療サービスの質の向上につながるもので、患者が 安心して在宅につながるような形になっていく。さらには、ほかの医療提供者、もしく は介護提供者にも分かるようなシステムにすべきではないか。  併せて、その地域の話よりもさらに大きな都道府県全域をカバーするようなものもあ るだろうということで、そうしたものも考えていただきたいという形にしています。  これを作るに当たっての留意点として、よく誤解があるのですが、まさにその地域の 医療関係者で自主的に協議をする。これも、以前よりお話しておりますが、今あるシス テムを発展させながら、その地域の医療関係者で自主的な協議のもと、関係者間による 役割分担、連携の手順等の合意を形成していくことを意味するということで、治療開始 から最後、家に帰れるところまで、全体的な治療計画というものができていくことが望 ましいのではないかと考えています。  例えば、がんであれば特定の病院でしか診ないとか、そうした形ではなく、医療計画 で患者の動きまで統制するものではなく、患者が医療計画に示された情報に接し、ま た、ほかの医療機関も、合意された医療連携体制を前提に、医療計画に明示された情報 をもとに、患者の紹介やいろいろ利便を図れるようなシステムを作っていくべきであ る、と書いています。  最後に、国としても、居宅系サービスの充実や、居住系サービスなどにおいても必要 な医療を受けつつ生活が送れるという選択肢が可能になるような体制ということで、介 護保険制度とも連携を取って進めるべきであるとしています。  5頁は非常に簡略化して書いておりますが、実際にこのような形のものは、先駆的な 都道府県においてはもうやられていることです。地域の最初の救急医療を提供する病院 があって、回復期、療養とそのフェーズごとに、インターネットのホームページで分か りやすく、例えば△△病院をクリックすると、それに関する医療機能がわかるとか、ほ かをクリックすると、地域連携パスを使っているのがわかるとか、こんなサービスを提 供していることがわかるようなシステム、住民とか患者が情報を入手しようとしたとき にわかりやすく入手できるシステムを作っていただきたいという思いで書いています。  6頁ですが、機能で選ぶ方法もありますが、そうではなく、交通アクセスの面で見て いる方もいらっしゃると思いますので、会社の住所地から選べるような検索システムな ども意義があるのではないかということでお示ししています。  7頁は、3番の「将来望ましい都道府県内の保健医療提供体制の実現に向けた数値目 標の設定」についてです。地域で適切な医療サービスが切れ目なく提供される体制とな っているか等、望ましい医療提供体制の実現に関する分かりやすい数値目標を設定し、 医療計画に書く。  具体的な数値目標は、政策的な意味合いというものを併せて表現することとし、例え ば、地域ごとの医療提供体制づくりが図られれば改善されることとなる「脳卒中等に係 る年間総入院日数の短縮(□□日から○○日へ)」とか、「在宅復帰率の向上(○○% へ)」というような形、地域の連携状況を直接示す「地域連携クリティカルパス利用状 況の向上(○○%へ)」といったもの、在宅医療の体制が図られれば改善されることに なる「在宅での看取り率・在宅復帰率の向上(○○%へ)」といったような形で、要 は、概念をわかりやすく把握できる指標を考えていきたい。  (4)では、健康づくりというものは非常に認識が高まれば改善され、疾病が減りま すので、「健診受診率の向上(○○%へ)」とか、「年間外来受診回数の減少(□□回 から○○回へ)」といったものも考えられるのではないかと思います。  8頁の役割と責任ですが、当然、こういったものに対していつまでに達成するのか、 期間です。誰がどのような役割をするのか、役割分担と責任です。3つ目として、費用 なども関係ありますが、どのような方法でやるのかといったものを、医療計画に明示す ることが重要ではないかと思います。  5の「数値目標の達成状況に係る政策評価と次期医療計画の見直し」ということで、 計画の目標年において、達成状況を評価し、全国の状況も勘案しながら、また新たな目 標値を設定していく。また、特に、未達成であった分野や全国平均を大きく下回る分野 については、改善策をより積極的に検討していく形を考えています。  9頁は概念図です。新しい医療計画の作成に向け、国・都道府県・医療関係者がそれ ぞれの役割を果たしながら、共同作業をやっていこうということです。社会の基盤とし て国民の生命と健康を支える医療提供体制としては、今後とも、質の向上と効率化を図 るべく、このようなことを実施するという形になっています。  左側の真ん中ですが、国が果たす役割としては、指標の提示や事例の収集と紹介、計 画の作成に当たって人材の問題が出てきますので、人材養成に関するプログラムの開 発。都道府県が果たす役割としては、医療機能調査などを通じて現状を把握し、さらに 関係者の方々と協議をして対策を作成していく。医療機関の方々は、調査への協力や連 携体制に向けた議論、EBMに基づいた地域連携パスなどの作成と活用をやっていただ く。そして最後は、この真ん中のところですが、その目標に対する取組みをする。例え ば、脳卒中患者の総入院日数を10%削減するといった目標を掲げるのであれば、そうし たことを実施していく形になっていきます。そして左下ですが、数値目標の達成に向け た都道府県、医療関係者の努力を国として全面的に支援していこうというものもありま す。また達成に支障がある場合、都道府県は国に対して意見を言い、国は真摯に対応し ていくことも掲げています。  10頁は全体のスケジュールです。平成17年に新しい医療計画のモデルの作成と都道府 県への周知。平成18年度には交付金の創設や基本方針の提示。平成19年は先ほどのとお りで、平成20年には、すべての都道府県で一斉にできるように、新しい事業に関する現 状の把握や数値目標の設定、計画の立案、事業の実施、そして政策の事後評価という一 連の流れを確立するということで、この「一斉」というのは、基準病床数などの従来の ものについては一斉というわけではなく、いま新しい概念について一斉にやるというこ とをお示ししています。  11頁も同じような内容で、留意点のところで、基準病床数制度については従来のとお りでやるということと、新しい部分に関しては平成20年度から一斉に開始できるような 仕組みを作っていきたいということ。実際の医療計画は、各県順次見直しをしているの で、一斉になっていませんが、平成19年度に関しては議論の末、1年遅らせることも検 討に値するとしています。これは都道府県に向けて作成したペーパーで、こんな形でや っていきたいといったものをお示しした内容となっております。以上です。 ○黒川座長  田中委員、どうぞ。 ○田中委員  1つ質問と2つコメントです。質問は、18年度に国が行う全国規模の医療機能調査と 都道府県が行う医療機能調査と、これはどういう関係にあるのでしょうか。両者一体 で、都道府県がそれぞれ何かつけ加えたりするものなのか、それとも全く別に行うの か、これを知りたいです。  あとは、2つコメントです。1つは2頁で、医療機能調査を通じて、医療サービスの 供給の状況と患者の需要動向を把握するというのですが、「需要動向」は、どうも言葉 遣いとして正しくないと思います。そもそも医療経済学の世界では、医療には経済学用 語としての需要という概念が成り立たないが通説です。医療にはニーズはある。けれど も、需要とは、自分が好んでお金を払って買う行動を指します。例えば、疾病別患者数 とか疾病別死亡数というのはニーズを表わしているのです。みんなお金を払って死にた いわけではないから、そういう数値はニーズの数なのです。別な意味で言うと、例え ば、「在宅での看取り率」は、在宅で看取りをされたい人はいっぱいいるにしても、看 取り率は何の指標かわからない。需要の指標ではないですね。たまたまそこに存在して いる地域の、在宅で看取りを行える医師の数の規定を受けてしまうので、供給の状況と はまた違うし、できれば正しい用語である、「医療のニーズ」と言っておかないと、こ の県はたくさん看取っているから需要が高いでは、何か変な感じがする。在宅看取り率 が低いとは、在宅の看取りの需要が低いからではなく、供給がそれだけしかないからと いう実態を反映しているにすぎない場合もあります。  最後、7頁の(4)、ほかのものは比較的納得できるのですが、これは単なる例示だ から違うものでもいいとはいえ、健康づくりを含む意識が高まれば、健診受診率が向上 するとの主張は、何かもう古いような気がするのです。日本の健診受診率は世界的に見 て高いです。学童の受診率は極めて高いけど、学童の肥満はすごい勢いで増えているわ けです。つまり、受診が問題なのではなく、もっとストレートに、「健康づくりを含む 意識が高まれば、メタボリックシンドロームである肥満率が下がる」とか、「喫煙率が 下がる」とか言ったほうがいい。「健診受診率」は、私は日本ではもう適切ではないと 思っています。肥満率・喫煙率のような、健康づくりに意識がいくところを取ったほう がいいのではないか。  年間外来受診件数が減ることがいいかどうかはよくわからない。これは、外来が何を しているかによるので、もしかしていまのメタボリックシンドロームにかかわる指導を しているのだったら、受診回数が減ったら困るのかもしれません。だから一般に言えな いので、この(4)の指標はもうちょっとストレートに、「高まれば改善することにな ると思われる」指標は、私たちいくつかもう既に知っているわけですから、そちらのほ うがよろしいのではないかと思います。 ○針田医療計画推進指導官  最初の質問ですが、現行の医療機能調査の拡充といったものもありますが、それ以外 にまた新たに、全国規模での、国が直接といいますか、調べなくてはいけない事項もあ るだろうと。まだ細かく決まっているわけではないのですが、そういったものも把握す る必要があるだろうといったところで書いています。まだ詳細は決まっておりません。 当然連携をとりながらですが、直接国がやるのと、都道府県がやるのもあるという形で す。 ○信友委員  作成手順についての提案なのですが、これは従来のオーソドックスな行政が考える手 順だと思いますが、患者の視点というのがあるということ。それからいま47都道府県の 所管課がこれを独自に調査して、分析して、プライオリティーをつけてという力はない と思うのです。そうすると、国が示したものをなぞらえて、ただただ形を整えるという ことがメジャーになると思うのです。したがって道州制を前提にして、九州で全部集ま って、佐賀県はがんを考えてくれ、福岡はこれを考えると、そういう一緒に作業を道州 制の中で都道府県を超えてやるというのを、1つ入れたらどうかということです。  2つ目は数値目標。これは下からの積上げですが、患者の視点ということからすれ ば、知事だけが住民から選ばれた人であるとすれば、知事が大きな事業の中のどれにプ ライオリティーをつけてやるか、知事に決めてもらう。部局の提案を知事が追認するの ではなくて、知事が決める。例えば、栃木県でしたか、脳卒中死亡率が日本一になった とき、「こんな恥ずかしいこと」って知事が言ってから、いろいろなことが起きました ね。やはり知事に決めてもらうというのは、これからあると思うのです。決して行政官 は住民から選ばれた人ではないわけですから。そういう意味で知事に決めてもらうよう な数値目標とか、プライオリティーの設定というのを入れたらどうかという提案です。 ○尾形委員  先ほど田中委員がご指摘になったような細かい点はいろいろあるかと思うのですが、 全体としては、私はクリアーでよくできているものだというふうに思います。その上 で、2点コメントさせていただきたいのです。  1頁が全体像なのでしょうけれども、ここではPDCAサイクルという考え方が明示 されていると思うのです。1つ落ちていると思うのは、どこにも住民とか患者、サービ スの受け手ということが出てきていない。やはりここだと、都道府県とか医療関係者、 医療機関、これだけというのはやや片手落ちの気がします。どこかにサービスの受け手 の視点というものを入れるべきだというのが、1点です。  2点目は、全体を通じてなのですが、何となく医療計画が単独で孤立して存在してい るような印象を持ってしまうので、あるいはこれは記載事項の議論になるのかもしれま せんが、その他の様々な計画、例えば健康増進計画、介護保険事業支援計画、あるいは 今度、医療費適正化計画も作られるようですので、そういった関連する分野との関連、 それをきちんとどこかで位置づけることが必要だと思います。そういう視点をどこかに 入れていただきたいと思います。その2点です。 ○長谷川(敏)委員  尾形委員のご質問は実は私も聞こうと思ったのですが、次の参考資料を盗み見しまし て、4頁に「都道府県で医療計画、健康増進計画及び介護保険事業支援計画を整合的に 策定する」と書いてあるのです。 ○針田医療計画推進指導官  実は今日、お手元に、前回あった都道府県と国との懇談会の資料も参考配付しまし て、いま、そちらの資料の話だと思います。 ○梶尾総務課企画官  「参考資料」と書いてあります。「医療制度構造改革試案」と付いているものだと思 います。 ○長谷川(敏)委員  4頁には「医療計画、健康増進計画、介護保険事業支援計画を整合的に策定せよ」と 書いてあるわけで、むしろ先ほどのをもう少しフォローすると、この計画は厚生労働省 としてはどのようにお考えなのかお聞きしたいことが1点です。もう1点は、2に出て きます「医療機能調査及び患者の疾病動向調査」については、どれぐらいの予算規模を 考えておられるのかと。その2点をお聞きしたい。 ○梶尾総務課企画官  1つ目のご質問についてですが、別冊の資料で言いますと25頁となっている所を見て いただくと、いちばん絵になっていますのでよろしいかと思います。25頁に「都道府県 における3計画と医療費適正化計画との関係」という図が後ろのほうにあります。第2 回の「新しい医療計画の作成に向けた都道府県と国との懇談会」というクリップに留め てあるもののいちばん最後に「参考資料」という用紙が付いています。 ○長谷川(敏)委員  おたくの今度の医療制度改革の試案でしょう。 ○梶尾総務課企画官  はい、試案です。試案の後ろのほうに参考資料があるものの25頁です。「都道府県に おける3計画と医療費適正化計画との関係」というのがあり、現在、医療計画、健康増 進計画、介護保険事業支援計画があるわけですが、それを横断的な形で下のほうに横半 分ありますが、「医療費適正化計画」を作ることにしてはどうかということが、今回の 試案の中にあります「都道府県は中長期的な医療費の伸びを抑える」という関係での 「医療費適正化計画制度を作る」というものの中にあります。  これは相互に整合性を持った形で作る。共通の目標になるものもありますし、医療計 画の目標になるもの、あるいは適正化計画の目標になるもの、様々なものがこういう関 係になっているということです。これを整合的に作ろうと。医療費適正化計画は平成20 年度スタートという形で進めようということになっているものですから、先ほどのスケ ジュールの所にいろいろ調査をして、目標を設定したりするのは平成20年度という形 で、ほかの基準病床関係は別な流れがあるにしても、そこは平成20年度に合わせられる 形で手順をそれぞれの県、5年サイクルで違っていますので、そこをそれぞれでうまく 合わせられるようにしたらどうか、ということが先ほどの資料の後ろのほうにあったと いう話になっています。  それとの関係で、適正化計画も含めてPDCAの流れが24頁に、平成20年度に、これ は適正化計画としてのものでありますが平成20年度にスタートして、3年目で検証をし て、検証によって介護の関係、医療計画の関係、健康増進の関係、どこが悪いか、ある いはどの部分が進んでいないかというところがありますので、それを踏まえてまた県か ら国に意見具申をしたりという形を進めていくという話も、適正化計画でもそういった ものを盛り込んでいるという話になっています。文章は、こういう趣旨が文章で何か小 難しく書いてあるということです。 ○黒川座長  そうすると尾形委員の言っていることは、全体をやったときに最初の全体のオーバー ビューの目次やカバーというのは、こういうのが出てこないと、これだけだとわからな いよね。それはいずれ工夫していただけると思いますが。そちらは毎日この話ばかりし ているからすぐにわかるのだけれども、上を取ったほうがわかるわけはないのだから ね。 ○谷口指導課長  予算についてですが、全国的に国がやるものと県がやるものとがありますが、全国的 に国がやらせていただこうというものにつきましては、既存の調査は別にして、一応 5,000万円の概算要求をしています。都道府県のレベルでやっていただくのは、これは 都道府県のまちまちの状況がありますので、これは我々としてはもちろん把握できてい ませんというか、県でしっかりとお考えいただきたいという話です。 ○黒川座長  これは厚生科学の研究費になるのではないですか。この6人のコンサルタントに少し やってもらったらいいのではないですか。 ○針田医療計画推進指導官  既存の調査予算というわけでもないですが、研究費は厚労省はほかにもありますの で、そこら辺は決してこれだけのためではなくて、争いの中で勝ちながら頑張っていき たいということです。 ○黒川座長  では厚生科学研究費ですね。 ○針田医療計画推進指導官  そういうことです。 ○黒川座長  よろしくお願いします。つまり、これに書いてあるものを具体的に都道府県で書くと きに、この研究班のワーキンググループのような人たちが案外中をきれいにしていくと いうか、もう1回いろいろな共通の基盤をつくっているのにすごく大事な人たちではな いかという気がするので、そういうことの機能をやっていただいたらどうか。そのため に、ただやれと言ってもしょうがないけれども、これはアカデミックな人たちの社会的 な使命としては非常に大事な側面だし、厚生科学研究費みたいなものを付けてやるのも 大事かと思っています。 ○河口委員  座長から非常にいい示唆をいただきまして、その関係で2点ほど提案といいますかお 願いをしたいと思います。新しい医療計画のポイントについて、2頁に新しい調査をし てデータを取っていただくということですが、1つ目のお願いといいますか提案は、松 田委員からもあったのですが、現在あるデータでほとんど実態がわかります。例えば医 療施設調査と患者調査の個票をきちんとした形、つまりプライバシーが守られる形で研 究者に公開していただければ、現状の患者と医療機関の関係はほとんどわかりますの で、それをまずご検討いただけないかという点です。  2点目は、新しくやる調査については、できれば患者の重症度、疾病の転帰について もう少し詳しい情報を取るようにして頂くと、それぞれの疾病の在院日数、コストだけ ではなくて、結局どうだったのかということの評価がしやすくなりますので、その辺の 指標を盛り込むことを是非お願いしたいと思います。研究者としては、こういうデータ を使って根拠というかエビデンスをきちんと示すことについては、是非前向きに考えた いと思っています。 ○黒川座長  いまのはすごく大事なポイントですね。実を言うと、新しくデータを取る調査をする などというのは、大体無駄遣いです。そのようなとんでもないデータが急に変わってい るわけではないのだから、いままであるデータをこういう先生たちにアクセスしてもら えればいいわけです。いろいろな方法で1次データ、2次データを分析してもらうのが 大事で、役所でやっているのは仕事を自分たちで増やすだけだからやめたほうがいいと いう気はしますので、是非それで一緒に共通してやったらどうですか。是非お願いしま す。  それで大雑把なデータをどう料理して出すかというほうがよほど大事なので、ますま すこのワーキンググループの役割は社会的に重要になってきたというのはいいのではな いですか。大学院の生徒もたくさん来るし、行った先々にいろいろモニターをしてくれ る人、つないでくれる人は必ずできてきます。そうすると、フィードバックがどんどん できてくるから、一大事業にかかわるのは大変素晴らしいことではないかと思うし。  例えば、ほかに医療政策人講座って夕方やっているではないですか。40人のところに 500人来るのです。50人増やしたけれども、そのうちはここの若い人も何人か来ている けれども、4分の1がこういう人たちで、4分の1が医療人で、4分の1が患者、4分 の1がジャーナリストとか、そういう社会人でやっているけれども、みんなが混ざって やるとすごくいいとおっしゃってくれるので、そういうニーズはすごくあるのではない ですか。具体的にこういう話が出てくると、こういうのをやりたいという人たちはたく さんできるし、参加する人も多くなってくると思います。 ○納谷委員(代理高山課長)  質問とお願いですが、ポイントの4頁の2つ目の○です。特定の区域ごとではなくと いう形で記載されているのです。本日の議題1の医療法第30条の3に盛り込むという中 に、この第3号に「この記載については二次医療圏ごとに記載する」という記載がある のです。そうすると、ポイントの記載の仕方はどの圏域を想定して記載するイメージを 持ったらいいのか。 ○信友委員  日常医療圏という新しい。 ○針田医療計画推進指導官  基本的に地域の医療実情があるということでして、あれはディスカッションの中で言 葉遣いの話とか誤解を招くのではないかという話があり、いま現状の認識として、地域 の実情に合った圏域という形です。ただ、二次医療圏とかの話に関しては、いままでど おりの規格の部分、例えば病床の数の話とかそういったものに活用されるので残ります が、今回は患者の動向に関する圏域という形で考えています。ニアイコールと。 ○谷口指導課長  要するに、二次医療圏にとどまらない、限定されない。だから、従来の圏域の考えを 変えるということです。 ○納谷委員(代理高山課長)  これは細かいことですが、ポイントの5頁、6頁にも書いていますが、病院の医療機 能の数値の中に手術件数が載っているのです。手術件数というといろいろ議論があり、 医療保険部会でも診療報酬加算からは除くという議論も報道されていますし、大阪府で も一度公表するようにしたのですが、少し問題があるということで載せていないという 経過もあります。手術件数は素人目には非常にわかりやすい指標のように見えるのです が、非常に誤解を与える数値ではないかと、再検討していただけないかなと思います。 ○黒川座長  行政の高山さんではないけれども、そちらの立場から言うと、非常にこう書かれたこ とには矛盾することが多いと思います、現場のことを知らないのではないかと。大体そ うなのだけれども。そういう意味ではつなぐ人たちが大事で、これは行政もしょうがな いから書いているだけの話で、非常に不備が多いのは当然だということですから、これ はあまり実直にフォローしないほうがいいと思います。どうやったら活かせるかという ほうがよほど大事なので、そのフィードバックをこのワーキンググループにすると、ま たほかの所に違った解釈が出てくるので、長谷川委員あたりはいいのではないかという 気がするけれども、そうではないかと思います。それじゃないと、先ほど田中委員が言 ったようにただ減らせばいいという、こういう数値目標というのは、どうしても行政と してはしなくてはならないから、限られた頭脳を一生懸命やっているのだけれども、必 ずしもいい結果が出ないというのはよくありますから。  ポイントの12頁です。平成18年になると、これはどうなのかというのがよく分からな い。都道府県は保健医療科学院の養成研修に参加などと、なぜこのような余計なことを 書いてあるのかという気がするのだけれども、これも6人のワーキンググループが地方 に行ってどんどんネットワークをつくれば、このようなことをしなくていいのではない かという気がするけれども、保健医療科学院に予算を付けて何かしているような顔をす るという話の陰謀があるのかもしれないから、これもあるのは大事だけれども活かさな ければ意味がないわけだから、このためにやっているわけではないので、よろしく。 ○谷口指導課長  その点を釈明します。今日は医療計画だけのようなイメージを出して誤解を与えまし たが、少なくとも試案の中で様々な計画との整合性をとることも大事な話でして、医療 計画もいろいろな計画づくりにつきまして、都道府県の方々にちゃんと理解をしていた だき、進めていただくために、我々は信友委員のようにラジカルに考えていないのです が、都道府県でわからない点もあるだろうから、そういった方々に集まっていただいて 研修を受けていただければどうか、困らないだろうと、ある意味で老婆心かもしれませ んが、そういう意味で書いたものです。 ○黒川座長  そういうワーキンググループやこういう先生がまた使い出すと、すごくよくなるので はないか。つまり、みんなが集まる場所をつくってあげるのもすごく大事だから、是 非。 ○濃沼委員  住民の視点、患者の視点は新しい医療計画の柱であり、これらはどこかに反映させる 必要があると思います。大半の都道府県には地域医療協議会があって、行政、関係団 体、住民の三者で成り立っていることが多い。この協議会は住民の意見を吸い上げる1 つの場になると思うし、連携を評価をしていく仕組みとして、これを活用できるのでは ないか。  連携の評価の枠組みは班研究などでアカデミックなものをつくっていただくとして、 それを実際に評価するのは、都道府県レベルの地域医療協議会が適正ではないか。地域 の実情を熟知しており、評価の力量もあると思う。  住民が参加する場として、例えば地域医療協議会を活用することを図の中に明示して はどうか。 ○信友委員  道州制をラジカルと言われていたけれども、今回の医療計画の見直しでは二次医療圏 を越えて、日常医 療圏とかで考えましょうということ。具体的には福岡県久留米とお 隣の佐賀県鳥栖は一緒の生活圏だから、そういう発想であったものだから、当然、県境 を越えるのが日常化していくと思うのです。先週も対馬に行ってきましたが、対馬は長 崎県ですが、生活圏は福岡。だから、福岡と佐賀と長崎で一緒に対馬の医療を考えまし ょう。そのぐらいの発想も現場で起きているわけだから、ラジカルでも何でもなくて、 それを追認していただければいいだけだと思うのです。 ○黒川座長  追認するというよりもやればいいのじゃないの。 ○谷口指導課長  先ほど委員が県職員の資質のことをおっしゃったものですから、そこまで我々はラジ カルに考えてないという意味で申し上げたので、圏域を越えてやるとか、そういう意味 と全く同じです。 ○黒川座長  そういう意味では今日はかなり議論が盛り上がっていたのだけれども、今回の厚労省 の試案もすごく大変だと思うのです。官邸は何が何でも削れという話で来る。いま自民 党にしても政治の案は、官邸について盾突くムードが全くないわけでしょう。自民党の 議員も官邸には盾突けないというので、何か言いたいことを全然言えない雰囲気になっ てしまっている。そこで財務省がガチャガチャやっていると厚労省はどうしてもやらな くてはならないので、かなり苦労をしているわけです。そういう意味では、これの中で はこの委員会の言っていることは、かなり今までとは全く違ったパラダイムというかコ ンセプトを出しているので、それが1つの流れになってくるといいなと思っています。  もう1つは、この中でもいろいろな局があって、その局全体として尾形委員が言った ような医療制度についての整合性があるかというと、必ずしもそうではないところがか なり難しいというのがあるので、是非それを理解して応援していただければというのが 2つ目。  3つ目が、このワーキンググループの委員たちもこれだけ仕事をさせられているわけ なので、是非それを活かすためには何なのかを考えると、ここだけの議論でこのような ものを全部また読むわけもないと思うのだけれども、そういう意味では、その委員たち がある程度の1つの新しいものをつくるときのいろいろなコンサルタントみたいな話は どうやってできるかを是非考えていただけると、委員たちも、またたくさんの大学院の 学生も来るような気もするし、地方のネットワークのそういうフィードバックもできる し、そこに既存の制度がいま、濃沼委員が言ったようなことがあるのであれば、もちろ んそういう人たちをパートナーとして話せばいいし、それから、それぞれの病院の協 会、医師会など、いろいろな所に会話の場をつくっていくきっかけになるのではないか と。それがやはり行政としては把握しながらどうやって使っていくかが大事だし、1次 データ、2次データもそうだけれども、いまのデータは是非アクセスできるようにし て、中に入れてどうやるかだと思うのだけれども、是非考えていただければと思いま す。いま、医療はそういう意味では大改革の真っ只中だけれども、ただ効率、需要など という話ばかりしていると、ろくなことにならないという懸念が非常にありますので、 是非、皆さんのご協力をいただければと思います。 ○谷口指導課長  大変貴重なご意見をいろいろ伺いまして、これで終わるには全くもったいないと我々 は実は考えていますので、皆様お忙しいとは思いますが、次回またお願いしたいと思い ます。事務局から事前にご連絡をしているかと思いますが、11月30日(水)午前10時か らです。是非、ご出席を賜りましてご意見をいただければと考えていますので、どうぞ よろしくお願いをいたします。 ○黒川座長  今日の課題ももう1回もんでいただいて、広い視野で考えてみてください。では次回 ということで、ありがとうございました。 照会先: 医政局指導課 担当者: 計画係、指導係 連絡先: 03-5253-1111(内線2557)