05/10/27 第21回社会保障審議会医療保険部会議事録                      平成17年10月27日(木)15:00〜17:15                      厚生労働省省議室(9階)           社会保障審議会医療保険部会(第21回)議事録  星野部会長  定刻を過ぎましたので、これより、第21回医療保険部会を開催いたします。  委員の皆様には、本日は、御多忙の折をお集まりいただき、御礼申し上げます。  まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。  本日は、磯部委員、岩村委員、漆畑委員、大内委員、清家委員、西村委員、山本委員 より御欠席の連絡をいただいております。  続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りいたします。  漆畑委員のかわりの飯島参考人(日本薬剤師会常務理事)の御出席につき、御承認い ただければと思いますが、いかがでございましょうか。      (「異議なし」の声あり)  ありがとうございます。  それでは、本題に移りたいと存じます。  これまで、当部会におきまして、次期医療保険制度改革に向けた議論を行ってまいり ました。前回、当部会において、「議論の整理」を行ったところですが、これを踏まえ て、今後の当部会における議論を進めていく上でのたたき台として、去る10月19日、厚 生労働省において「医療制度構造改革試案」が公表されているところでございます。  本日は、この厚生労働省試案についての議論を行いたいと思います。  厚生労働省試案は、医療費適正化から新高齢者医療制度の創設まで、内容が多岐にわ たっております。  そこで、事務局より説明を求めた上で、  1.医療費適正化方策  2.医療保険者の再編・統合  3.新たな高齢者医療制度の創設 の3点に分けて議事を進めてはどうかと思っておりますが、皆様の御意見の中で、「い や、全体を一遍にやってしまった方がいいんじゃないか」といった御意見があれば、い かようにでも対応させていただきたいと思いますが、とりあえず、今申し上げましたよ うに、適正化、再編・統合、そして制度の創設の3つに分けて順次やった方が仕切りは いいかなと思っておりますが、いかがでございましょうか。  なお、委員の方々からの厚生労働省試案に関連した意見等を配付させていただいてお ります。厚い冊子の下に皆様方から提出されている御意見がございます。提出のないこ とが意見がないということではございませんということを前提にしたいと思います。  それでは、まず、事務局より、試案について説明をお願いいたします。  榮畑総務課長  保険局の総務課長でございます。資料1の「医療制度構造改革試案」につきまして御 説明させていただきます。座らせていただきます。  まず、冊子の表紙をごらんいただきますと、表紙に四角の枠でこの試案の性格を書い ております。試みの案でございまして、先ほどの御紹介にもございましたが、議論のた たき台として厚生労働省としてとりまとめたものでございます。国民的な議論を進めて いただくために、何かたたき台がないと進まないだろうと思いまして、とりまとめさせ ていただいたところでございます。私どもといたしましては、平成17年中に成案を得 て、法律改正事項につきましては、所要の法律改正案を来年の通常国会に提出させてい ただきたいと思っております。  中身でございます。全体の構成を見ていただくために、16〜17ページの目次をごらん いただければと思います。先ほどの御紹介にもございましたように、多岐にわたってお りますが、まず、第1で医療制度の構造改革の基本的な方向、基本的な考え方というも のを書かせていただいた上で、試案そのものとしては、第2以降でございますが、Iとし まして、予防重視と医療の質の向上・効率化のための新たな取り組み、生活習慣病対策 や医療提供体制の見直し等が書いてございます。  IIでは、医療費適正化に向けた総合的な対策の推進としまして、中長期的な医療費の 適正化や公的保険給付の内容・範囲の見直し等が書いてございます。  17ページでございます。  IIIでは、都道府県単位を軸とする医療保険者の再編・統合等ということで、保険運 営の安定化と保険者機能の発揮による医療費適正化として、国保、被用者保険等の再編 ・統合について書いてございます。  IVでは、新たな高齢者医療制度の創設としまして、高齢者に係る医療費負担の公平化 ・透明化を図る観点から、後期高齢者医療制度、前期高齢者医療制度についてそれぞれ 書いてございます。  Vでは、診療報酬体系のあり方の見直し等としまして、診療報酬、薬剤、混合診療、 中医協の見直しについて書いてございます。  VIでは、施行時期について書いてございます。  そして、最後に、医療費適正化方策に関しての総括についてをつけてございます。  このような構成になってございます。  基本的な考え方として、18ページ以降に基本的な方向を書いてございます。ここを簡 単に御紹介させていただきます。  第1の医療制度の構造改革の基本的な方向でございます。  1の医療制度の構造改革の基本方針の中の2つ目のくくりでございますが、構造改革 に当たってはということで、生命と健康に対する国民の安心を確保するために、国民皆 保険制度を堅持するということが1つ目でございます。  2つ目といたしまして、国民皆保険制度を堅持していくために、経済指標の動向に留 意しつつ、予防重視であるとか、医療サービスそのものの質の向上とか効率化を図るこ となどを基本といたしまして、医療費適正化を実現して、医療費を国民が負担可能な範 囲に抑えていこうということでございます。  3つ目といたしまして、このように医療費の伸びを抑制していくにしても、そうはい っても、高齢化の進展とともに国民医療費はやはり伸びていくものだろうと思っており ます。そういう中で、医療費負担につきまして国民の理解と納得をちょうだいするため には、給付と負担の関係を老若を通じて公平でかつ透明でわかりやすいものとしていか なければならないだろう。  この3点が基本ではないかと思っておるところでございます。  そういう中で、18ページの下でございますが、特に、3.医療費適正化に向けてとい うことで、もうお話しするまでもございませんけれど、我が国の医療及び医療費の動向 ということで、19ページの頭で、糖尿病等の生活習慣病の患者さんが増大しておられま す。また、平均在院日数についても外国と比べて長期にわたっており、地域ごとに大き な格差がございます。このようなことから、医療費の増嵩につながり、また、都道府県 ごとの医療費の大きな格差があろうかと思っております。  このような中で、これらの要因によりまして、老人医療を中心としまして医療費自体 が経済の伸びを相当に上回った伸び率で推移してきているところでございます。  こういう中で、医療費の適正化の進め方といたしましては、(2)の最初のくくりに 書いてございますが、2つの方策を上げております。  (1)国民の生活の質を確保・向上する形で医療そのものを効率化し、医療費の伸び率 を徐々に下げていく中長期的な方策と、(2)公的保険給付の内容・範囲の見直し、診療 報酬改定等を通じまして公的医療保険給付費の伸びを直接的に抑制する短期的な方策 と、この両方があるのだろうと思っております。  そういう中で、その下のくくりでございますが、医療費の適正化を短期的方策のみに よって行おうとすれば、将来、過度の患者負担増による公的医療保険の意義の低下であ るとか、医療機関の経営悪化による医療確保への国民の不安等を招く恐れもございま す。  また、一方で、健康に対する安心の確保というのは国民の皆様方からの強い要請であ って、私どもが進める医療費適正化方策は国民の安心にこたえていくものでなければな らないだろうと思っております。  そういう中で、19ページの一番下でございますが、生活習慣病や平均在院日数や長期 入院高齢者といった医療費の伸びの構造的な要因等に着目しました具体的な政策目標を 立てまして、その政策目標のもとで医療を効率化して医療費を適正化するための政策を 進めていかなければならないことかなと思っております。  20ページでございますが、このような中長期的な視点に立ちまして、国民の生活の質 を確保・向上する形で医療そのものを効率化して伸びを徐々に下げていくことにすると いたしましても、この中長期的な取り組みというのは短期的な効果があらわれてこない 嫌いがございます。したがいまして、私どもといたしましては、国民的なコンセンサス もちょうだいしながら、公的保険給付の内容・範囲の見直しを初めとする短期的な方策 も組み合わせていく。中長期的な方策と短期的な方策を組み合わせていくことによっ て、医療費の伸びを適正化することにしてはいかがかと考えております。  それとともに、先ほど申しました3つの基本的な考え方のうちの3番目でございます が、医療費の適正化を進めていくにしても、医療費の負担はやはり上昇していくものだ ろうと思っております。そういう中で、公平かつ透明な医療費負担を目指す医療保険制 度体系の見直しもあわせて行っていかなければならない。そのときには、都道府県単位 を軸とした保険者の再編・統合、保険者機能の発揮、医療費適正化の推進、保険運営の 安定化という観点からこれが必要であろうと思っておりますし、また、それとともに、 高齢者医療制度につきましても、給付と負担の関係を公平でかつ透明でわかりやすいも のとしていく必要があると思っております。そういう点で、医療保険制度体制の見直し というものを進めていかなければならないと思っております。  最後に、この試案の位置づけでございますが、私どもは、この試案は、閣議決定され ております「骨太の方針2005」と、2年前に閣議決定されました「医療保険制度改革の 基本方針」に対応して、医療制度改革を進めるためのたたき台として出させていただい たところでございます。これがたたき台として議論が進めば、何よりのことだろうと思 っております。  中身でございます。21ページ、第2の試案でございます。  Iといたしまして、予防重視と医療の質の向上・効率化のための新たな取り組みでご ざいます。  (1)生活習慣病予防のための本格的な取り組みが必要であろうと思っております。  具体的には、(1)の3つ目のくくりでございますが、国が基本方針を示して、そのも とで都道府県がつくっていただいている健康増進計画におきまして、糖尿病等の患者、 予備群の減少率の目標やその実現につながる内容の健診及び保健指導の実施率の目標等 を設定いたしまして、これらの達成に向けまして、医療保険者、都道府県、市町村等が 具体的な役割分担のもとにそれぞれ対策を進めていくことが必要かなと思っておるとこ ろでございます。  飛ばさせていただきまして、それとともに、国民運動が必要だろうということで、22 ページでございますが、(3)としまして、健やか生活習慣国民運動推進会議というもの を書かせていただいております。生活習慣病の予防、また介護予防ということにつきま しては、国民運動として展開していくことが必要だろうということで、その推進会議を つくろうということを書いてございます。  その下の(2)患者本位の医療提供体制の実現でございます。これは、医療計画制度 を見直そうと思っておりますが、(1)の最初のくくりでございますけれど、国の示す基 本方針のもとで、入院から在宅医療まで切れ目のない形での地域の医療機能の適切な分 化・連携を進めて、患者の生活の質向上に向けて総治療期間が短くなる仕組みをつくる ために、医療計画を見直すこととしております。  具体的には、脳卒中対策等の主要事業ごとに地域における医療連携体制を構築し、各 医療機関が患者に対し治療開始から終了までの全体的な治療計画(地域連携クリティカ ルパス)を共有して、それとともに在宅医療を推進しよう。  また、それにあわせまして、脳卒中等の年間総入院日数や年間外来受診回数等の数値 目標を導入してはどうかと思っております。  そのほか、医療提供体制の関係では、22ページの下の(2)情報提供、23ページの(3)E BM、(4)医療法人制度改革、(5)医療安全対策と医療従事者の資質向上、(6)地域・診 療科による医師偏在問題への対応を上げてございます。  24ページでございますが、大きな柱の2つ目として、IIの医療費適正化に向けた総合 的な対策の推進でございます。最初の四角の中で、医療費適正化計画に基づき、国、都 道府県、医療保険者、医療機関等々の関係当事者の全員参加という形で中長期的な医療 費適正化を進めていきたい。また、それとともに、公的保険給付の内容・範囲の見直し 等の短期的な方策を組み合わせて、医療費適正化を総合的に進めていくこととしてはど うかと思っております。  具体的には、まず(1)中長期的な医療費の適正化ということで、中長期的に医療費 の適正化を行うために、国が参酌標準――指針のようなものを示しまして、そのもと で、先ほどの生活習慣病予防等々でもございましたが、健康増進計画とか医療計画等、 3計画との整合性を図るような形で、都道府県に医療費適正化計画をつくっていただい て、その計画推進効果を検証しながら医療費の適正化に取り組む仕組み――都道府県医 療費適正化計画制度と呼んでおりますが、そういうものを導入してはどうかと思ってお ります。  ただ、それに当たりましても、当然のことながら、国と都道府県との共同作業という ことで私どもは考えてございますので、まず、実際の策定の際にも、国が参酌標準―― 全国的な目標というものを示すところから始まるだろうと思っております。国が参酌標 準を示し、それとともに、関係当事者の役割も示し、また、これらの政策目標の実現の 効果としての将来医療費の見通しというものを示していくのかなと思っております。  具体的な実質的な成果を目指す政策目標、全国目標といたしましては、24ページの下 半分に書いてございますが、糖尿病等の患者・予備群の減少率を平成20年と比べて25% 減少させる、そして平均在院日数の短縮日数というものも掲げればどうか、全国平均と 最短の長野県との差を半分に縮小するということを掲げればどうかと思っております。  また、これらとあわせまして、具体的な取り組みレベルでの目標も示せばどうかと思 っております。例えば、生活習慣病対策としては、健診及び保健指導の実施率であると か、平均在院日数対策といたしましては、そこに掲げておりますようなさまざまな取り 組み目標も示せばどうかと思っております。  25ページ、2つ目のくくりでございますが、国は、これらの政策目標の実現に資する よう、診療報酬体系の見直しや必要な財政措置を行って、関係者の取り組みを支援して いかなければならないと思っております。また、医療保険財源を活用した支援措置も必 要かなと思っているところでございます。  そういうもとで、都道府県に適正化計画をつくっていただければということで、3つ 目のくくりにそれが書いてございます。  そして、5つ目のくくりでございますが、適正化計画は五か年計画と思っております ので、第1期計画の終了年度として平成24年度を想定しておりまして、平成24年度にお ける政策目標の実施状況を踏まえまして、後期高齢者医療制度とか国民健康保険におけ る都道府県の費用負担の特例であるとか、また、都道府県から国に対する特例的な診療 報酬の設定についての申し出をしていただいて、それを踏まえて、国が都道府県ごとの 特例的な診療所を設定することができるようにできないか。そういったことも考えてい るところでございます。  また、25ページの下で、もう一つ、生活習慣病対策を進めていくに当たりましても、 健診とか保健指導の充実が必須でございまして、医療保険者に保健事業の実施を計画的 に行っていただく、そのことを義務づけられないかと思っているところでございます。  また、26ページの2つ目のくくりですが、そのうちで自営業者等に対する健診につき ましては、公費による財政支援ができないかと思っているところでございます。  (2)公的保健給付の内容・範囲の見直し等でございます。  1)公的保険給付の内容・範囲の見直しでございますが、そのうちの高齢者の患者負 担の見直しを(1)に掲げております。これは文章では複雑ですので、84ページをごらん になっていただければと思います。  現行制度を、ピンクが3割、ブルーが2割、黄色が1割と色分けしておりまして、右 上の矢印が私どものこの試案に掲げているもののまず本案とでも称するべきものでござ いますが、現役並み所得については3割の御負担をお願いしたいと思っております。た だ、それとともに、65〜75歳については2割、75歳以上については1割ということで、 前期・後期の高齢者の制度に対応した形の負担割合を提案させていただいております。  また、それとともに、別案という形で、現役並み所得は3割ちょうだいする上で、後 期高齢者の方についても2割、ただそのうちの低所得者の方については1割という案も あり得る。もしくは、現在、70歳までが3割の御負担をいただいているということを考 えれば、一番下に別案の(注)として書いておりますが、70歳まで3割で、現役並み所 得の方は3割としても、一般が2割で、低所得者の方が1割という案もあり得るのかな ということで、それぞれ別案の(注)という形で書かせていただいているところでござ います。それが26ページの高齢者の患者負担のところでございます。  また、27ページの(2)保険給付の内容・範囲の見直しのところで、@の入院時の食費・ 居住費の負担といたしましては、介護保険との負担の均衡を図るために、低所得者に対 する配慮を当然行いながら、療養病床に入院する70歳以上の方につきまして、食費・居 住費の負担を見直せないかということも書いてございます。  Aとしまして、高額療養費の見直しでございます。高額療養費の自己負担限度額につ きまして、現在、月収というものを基礎として定額部分をカウントしておりますが、賞 与を含む総報酬を基礎として、それの月額25%の水準となるように定額部分を見直せば どうか。また、1%という、あわせて定率的な考え方でちょうだいしている部分につき ましても、高額の医療給付を受けられる方とそうでない方との均衡を図るために、1% の御負担については2%に引き上げられないかということを書いてございます。  そのほか、Bとしまして、現金給付の見直しということも書いてございます。ただ、 この中で、出産育児一時金の水準については検討と書かせていただいております。  また、27ページの下ですが、2)保険運営効率化の取り組みということで、ITを活 用した医療保険事務の効率化を進められないかということも書いてございますし、28ペ ージには、(2)審査支払い機関による審査の充実等、そして28ページの下ですが、3) 保険料賦課の見直しということで、健康保険につきまして標準報酬月額の分布の拡大を 踏まえて標準報酬月額の上下限の範囲の拡大等ができないかと思っているところでござ います。  次に、29ページ、IIIの都道府県単位を軸とする医療保険者の再編・統合等でござい ます。  保険財政運営の規模の適正化であるとか、地域の医療費水準に見合った保険料水準の 設定のために、保険者につきまして、都道府県単位を軸とした再編・統合を推進しよう と思っているところでございます。これによって保険財政の安定化を図るとともに、医 療費適正化に資する保険者機能を強化できないかと思っているところでございます。  具体的には、1)国民健康保険につきましては、2つ目のくくりでございますが、都 道府県単位での保険運用を推進するため、各市町村における高額医療費の発生リスクを 都道府県単位で分散させるとともに、保険財政運営の安定と保険料の平準化を促進する 観点から、現在進めております高額医療費の共同事業――1件70万円以上のものを対象 とする共同事業の拡充を図って、あわせて保険者支援制度等の国保の財政基盤強化策に つきまして、公費負担のあり方も含めまして、総合的に見直すこととしてはどうかと思 っております。  また、その3つ下のくくりで、国保組合の国庫補助についても、財政力に応じて適切 に見直そうと思っているところでございます。  (2)被用者保険でございますが、政府管掌健康保険につきましては、社会保険庁改 革の流れの中で、平成20年10月をめどに、国とは切り離した全国単位の公法人を保険者 として設立することを考えております。  また、財政運営は、都道府県単位を基本としながらも、都道府県間の年齢格差に起因 する医療費格差及び所得格差は調整させていただきたい。ただ、結果的には、都道府県 ごとに地域の医療費を反映した保険料を設定することになるものと考えてございます。  30ページでございます。また、この場合、政管健保の公法人につきまして、政管健保 の被保険者の適用であるとか、保険料徴収の事務につきましては、社会保険庁改革に伴 って新たに設立される公的年金(厚生年金)の運営主体において、あわせてやっていた だいた方が効率的であろうと思っているところでございます。  また、健保組合につきましても、同一都道府県内における健保組合の再編・統合を図 るために、その受け皿といたしまして、企業・業種を超えて健保組合同士が合併して形 成するような地域型健保組合というタイプをつくっていこうと思っているところでござ います。  31ページ、IVの新たな高齢者医療制度の創設でございます。これも委員の皆様方には もう重々御承知おきのところでございますが、タイプだけ紹介させていただきますと、 参考資料の109ページで、新たな高齢者医療制度の創設として絵をかいてございます。  左が現行でございまして、老人保健制度と退職者医療制度がございますが、これを私 どものこの試案では、75歳以上の後期高齢者については独立制度とした上で、後期高齢 者からの保険料と、国庫・被用者保険からの支援金と公費とで賄う。一方、65〜75歳の 前期高齢者につきましては、その偏在に伴う医療費負担の偏りを調整していくための制 度間の不均衡の調整措置を講じたいと思っております。  また、退職者医療については、経過措置として残したいと思っているところでござい ます。  こういったことが大きなイメージでございますが、具体的には、31ページに戻ってい ただきますと、(1)後期高齢者医療制度ですが、概要というところに書いてございま すように、1割の保険料、4割の支援金、5割の公費を財源とした独立制度ということ でございます。ただ、これにつきましては、世代間の負担の公平化の観点から、後期高 齢者保険料総額の負担割合を高めていくことによって、現役世代の負担の軽減が図られ るような仕組みにしたいと思っております。  運営主体につきましては、高齢者のほとんどが地域を生活基盤としている実態等を考 慮いたしまして、地域保険とすることが適切かなと思っておりまして、その安定した保 険運営を確保するために、国、都道府県、市町村が重層的な役割を果たしていきたいと 思っております。  そういうことの具体的な措置といたしまして、運営主体を市町村にお願いすることと しつつも、財政リスクを分散・軽減するための次のような保険運営の安定化措置を講じ たいと思っております。  具体的には、111ページをごらんいただきますと、国、市町村、都道府県の関係を整 理させていただいております。保険料は年金からの天引き、さらに低所得者に対する保 険料軽減措置に対応するような保険基盤安定制度をつくる。また、給付につきまして は、高額給付については国保と同じような再保険・再々保険というものが必要だろうと 思っております。また、予期せぬ保険料徴収減・給付増のリスクに対応するための財政 安定化支援事業というものも必要かなと思っております。こういうものを組み合わせる 形で、財政運営のリスクというものを分散・軽減できないかと思っているところでござ います。  本文に戻っていただきまして、32ページでございますが、費用負担ということで、後 期高齢者お一人お一人から応益+応能の保険料負担をちょうだいできないかと思ってお ります。保険料水準は保険料総額が給付費の1割となるように定めますが、低所得者の 方には当然のことながら適切な軽減措置が必要だろうと思っておりまして、現行の国保 における保険料の仕組みを踏まえて制度を設計したいと思っております。  平均的な保険料の水準は現行制度とほぼ同じで、年間7万円程度になるのかなと思っ ております。  また、その下のくくりでございますが、支援金は、国保及び被用者保険の各保険者の 加入者数に応じて、「後期高齢者医療支援金(仮称)」として全体の給付費の4割とい うものを御負担いただけないかと思っているところでございます。  患者負担は、先ほど申し上げたとおりでございます。  公費負担につきましては、老健制度と同様と思っております。  また、後期高齢者の診療報酬として、心身の特性等にふさわしい診療報酬体系とする こととしたいと思っておりまして、終末期医療の評価、主治医の普及、連携による医療 ・介護サービスの提供、包括的なホスピスケアの普及等を重点的に配慮していきたいと 思っております。  33ページ、(2)前期高齢者の医療制度でございます。概要としましては、先ほど申 し上げましたが、前期の方については国保・被用者保険といった従来の制度に加入する こととしますけれど、その給付費につきましては、各保険者の加入者数に応じて負担す る財政調整を行うことによって、国保・被用者保険の負担の不均衡を是正したいと思っ ております。  また、国保加入の65歳以上の前期高齢者についても、年金天引きを行えないかと思っ ております。  (3)新制度発足の際の経過措置としまして、新制度における費用負担からの円滑な 移行を図るために、平成26年度までの間において、経過的に現行の退職者医療制度を存 続させたいと思っております。  その他、34ページ、Vの診療報酬体系のあり方の見直し等でございます。これにつき ましても項目だけ御紹介させていただきます。  患者本位の医療をさらに推進するため、診療報酬と医療政策上の要請との関係を明ら かにするとともに、診療報酬決定プロセスを透明化するということで、18年度改定にお きまして、(1)に書いておりますような各項目を中心とした検討を進めていきたいと 思っております。  また、35ページですが、(2)薬剤に係る給付の見直し等ですが、これも同様に、18 年度改定等における検討項目を書いております。  (3)混合診療への対応ということで、「保険導入検討医療(仮称)」、「患者選択 同意医療(仮称)」に再構成してはどうかと思っております。  (4)中央社会保険医療協議会の見直しということで、診療報酬改定における中医協 の役割を明確化した上で、またそれとともに、現在、8・8・4となっている委員構成 の見直し等も行わなければならないものと思っております。  36ページ、VIの施行時期でございます。  多岐にわたっておりますが、平成18年4月には国保財政基盤強化策、18年10月には70 歳以上の現役並み所得を有する高齢者の方の負担の見直し、食費・居住費の負担、高額 療養費制度の見直し、特定療養費の見直し等々がございますし、また、平成19年4月に は現金給付の見直し、平成20年度には新たな高齢者医療制度の創設、また政管健保の公 法人化を予定しているところでございます。  なお、37ページに、総括としまして医療費適正化方策についてを書いてございます。 これを少し御説明させていただきます。  現行の見通しでは、平成16年5月の社会保障の給付と負担の見通しに即しつつ、18年 度概算要求を起算点として将来の医療費・医療給付費の伸びを試算いたしますと、37ペ ージの下の上側の小さな箱の中に書いておりますが、現在28.3兆円が、平成27年度に40 兆円、37年度には56兆円になるとみております。私どもがこの試案の中で提案させてい ただいている中長期及び短期の適正化方策を実施することを通じまして、37ページの真 ん中よりやや上のあたりの※印で小さく書いておりますが、平成37年度におきまして は、56兆円が49兆円に下がるだろうと思っております。  37ページの下の大きな方の表でございますが、37年度の数字だけ申し上げますと、中 長期的方策で6兆円、短期的方策で1兆円という適正化効果があるとみておりまして、 あわせて合計7兆円下がるということから、医療給付は49兆円に下がるのかと思ってお ります。  なお、参考までに、先ほどの患者負担の本案ではない別案の2つの効果額も下に記載 させていただいております。  また、38ページには、参考でございますが、経済財政諮問会議における民間議員の方 々から、いわゆる高齢化修正GDPという指標に基づきまして医療費を適正化していっ たらどうか、削減していったらどうかという提案がございます。その高齢化修正GDP という指標に基づきまして私どもで試算いたしますと、平成37年度で42兆円という規模 になるところでございます。  それとともに、この38ページの真ん中からやや上に書いてございますが、これまでの 各方面の議論、諮問会議等々の議論の中でもさまざまな提案がなされておりまして、こ れを紹介いたしますと、そこに書いてあるア〜オまで、食費・居住費につきまして、一 般病床に入っている患者さんからも全員いただくとか、医薬品の後発品の使用促進であ るとか、市販薬との負担の均衡を図るとか、また、保険免責制の創設――外来診療につ きまして、低所得者の方を除いて、かかった医療費のうち、受診1回ごとに一定額、 1,000円であるとか500円であるとかを自己負担とするとか、それから診療報酬の伸びの 抑制――医療給付は当然伸びていきますが、この伸びを抑制するために診療報酬改定に おきまして、平成37年度または27年度までに合計10%の改定を実施する。そういうもの を御紹介させていただくとともに、これらのうち、機械的な試算が可能なものにつきま して、38ページの下の箱の中に書かせていただいたところでございます。  ただ、いずれにいたしましても、37ページに戻っていただきまして、(2)医療費適 正化の方策と規模の中に書いてございますが、今後、医療費適正化の方策規模につきま しては、この試案も含めて各案の議論をちょうだいいたしまして、17年中に結論を得た いと思っているところでございます。  なお、39ページに、今申し上げました医療費適正化の効果というものを絵のような形 でかいてございます。37年度のところをみていただきますと、現行制度ベースで56兆 円、これが中長期的方策と短期的方策で49兆円になる。一方で、経済財政諮問会議の民 間議員の方々からの提案は42兆円となる。それに加えて、各方面からの提案というのも 点線括弧の中に書かせていただいているところでございます。  長くなりまして恐縮ですが、以上でございます。  星野部会長  ありがとうございました。  それでは、引き続き、財政試案についてお願いいたします。  石原調査課長  保険局の調査課長でございます。私から、財政試算について簡単に説明させていただ きます。  資料の41ページから、財政試算を計算した結果を提示しております。制度前提等は今 お話がございましたので、42ページへ行っていただきまして、具体的な結果をごらんい ただきたいと思います。  42ページ、表の構成ですが、(1)に、現行制度であれば平成20年度はどんな状況にな っているかという数字を計上して、(2)として、それが改革後どのような姿になるのか ということ、そして(2)−(1)で、結果、どんな影響が各制度の保険料なり国庫負担・公 費に影響しているのかという形で表をつくってございます。  表の内容でございますが、まず、項目としては、表側にございますが、所要保険料− −これは注に書いてございますけれど、医療給付費を賄うために必要な保険料というも のがどう変化するかということを見ていただくためにつくってございます。それと、加 入者数、そして加入者で割った1人当たりの所要保険料、そういった欄を掲示をしてご ざいます。  表頭を見ていただきますと、今回の改革によりまして高齢者医療制度を独立させると いう形になってございます。そういう意味で、高齢者のところ、現行制度においては政 管健保なり組合健保なり市町村国保が高齢者を加入者として抱えておりますが、それを 高齢者がどれだけ保険料を負担しているかということで、現行制度の中で別立てと仮定 してつくって、高齢者だけ、75歳以上の欄を別途つくってございます。  ですから、団体の加入者の全体は今5,000万人を超えておりますが、市町村国保で申 し上げますと、それが高齢者が除かれて3,900万人という数字になってございます。  数字をごらんいただきますと、所要保険料ですが、政管健保で6兆400億円、組合健 保が5兆1,000億円となってございまして、高齢者が9,000億円、医療保険計で17兆7,000 億円。公費負担は、国庫が7兆6,000億円、都道府県1兆6,000億円、市町村が1兆円。 こういう数字が、改革後は、政管が5兆8,000億円という形で、それぞれ数字が掲示さ れてございます。  その第1の現行制度で見ていただきますと、17兆7,000億円に国庫負担と公費の欄を 足してみますと、約28兆円でございます。改革後の制度でこれを足してみますと、27兆 6,000億円でございまして、その差が4,000億円。それで約4,000億円の給付費の減とい う形になってございます。  その内訳を(2)−(1)の欄で見ていただきますと、医療保険制度の計で2,000億円の減。 今の4,000億円の減というのは給付費の減でございますが、それが医療保険の保険料で は2,000億円、国庫負担で2,200億円の減という形でバランスしてございます。  各医療保険制度の内訳をごらんいただきますと、政管健保で2,300億円の減、健保組 合が2,200億円の増、共済組合が100億円の減、市町村国保が2,200億円の減、高齢者医 療制度が400億円の増でございます。  注をごらんいただきたいのですが、高齢者医療制度については現行とほぼ同じ保険料 水準という形で1割の水準をお願いしてございますけれど、現行制度と改革後のところ で、公的年金等控除の見直しがございまして、自動的に公的年金等控除が見直されて保 険料が引き上がるという効果がございます。それが入って1人当たり約3,000円ぐらい ふえているということで、現行制度並みの水準ということでございます。  それから、次の43ページですが、先ほど説明がございましたけれど、高齢者の負担の ところをかえた場合にどうなるかという水準でございます。別案と申しております。そ の別案の内容ですが、(2)の注にございますけれど、高齢者の患者負担について、前期 高齢者、後期高齢者とも2割負担とするという内容でございます。  この内容で計算しました結果をごらんいただきますと、(2)−(1)の財政影響の欄をご らんいただきたいのですが、医療保険計で4,400億円の減、公費負担で、国庫負担が 4,600億円の減、都道府県が300億円の減、市町村が700億円の減ということでございま す。公費と医療保険料をあせて約1兆円の減ですから、先ほど申し上げました厚生労働 省試案では4,000億円ぐらいが1兆円ということで、約6,000億円近く給付費が減になっ ている。患者負担がふえることで給付費が減になっているということでございます。  その下に注の欄がございますが、それは本文で注と書いてございました内容でござい ますけれど、70歳以上の者について2割負担とするという形で計算しますと、さらにこ こが給付費が減になりまして、その影響で各制度とも負担が減になっているという状況 がごらんいただけるかと思います。  私からもう1点、財政試算を提示してございますので、その点も少しお時間をいただ いて説明させていただきます。  「参考試算」と書いてある資料を用意させていただきました。以前お約束してござい まして、健康保険組合連合会、連合、日本経団連から御提言いただいておりまして、そ れについても当方で解釈して試算をした結果をお示ししたいと申し上げておりました。 その結果をごらんいただきたいと思います。  健康保険組合連合会の提言に基づく財政試算ですが、まず、1として、高齢者医療制 度を65歳で独立させるという内容でございます。ポイントは2の(3)財源のところに書 いてございまして、公費負担は5割、保険料は20〜64歳の人数比案分、支援金も20〜64 歳の加入者案分という形でございます。  患者負担については、別案と同じく、75歳以上が2割負担という形になってございま す。  結果を2ページでごらんいただきたいと思いますが、ここも先ほどと同じように、65 歳以上で区切ってごらんいただいています。  第1のポイントですが、医療保険計の欄で、2兆2,000億円ぐらいの保険料減になっ てございます。公費の欄で、国庫が6,100億円の増、都道府県が3,000億円の増、市町村 も3,000億円程度の増になってございます。この公費の増要因自体は、先ほどの公費負 担が高齢者独立制度に5割入ると。現在75歳以上が、65歳以上で5割入るという形にな りますので、そういったところが大きくて、公費がかなりふえているということでござ います。  それから、各制度のバランスですが、政管、組合、共済ともかなり大幅にマイナスが 立ってございます。市町村国保だけがプラスになってございますけれど、これは20〜64 歳で案分しているということがございまして、国保の方が割合としてふえているという ことで、国保の方が負担がふえる構造になってございます。  次に、3ページですが、日本労働組合総連合会の提言でございます。  ここのポイントは、まず、退職者医療制度をつくって、老人保健制度を廃止して、75 歳以上も退職者医療制度で実施するという内容でございます。  財源については、70歳以上の退職者に5割を入れる、保険料は平均料率の半分。  そのほかのポイントとして、一般制度の欄にございますように、給付は、今は3割負 担になっておりますものを、給付をかなり引き上げて2割負担とされております。  それから、政管の国庫負担を16.4%に引き上げるという内容になってございます。  4ページが試算結果でございます。  医療保険計で2兆8,100億円の増になってございます。これは保険料増ですが、今申 し上げましたように、給付を2割負担ということで、かなり厚目の給付になっていると いうことで、それだけ保険料も必要になるということでございます。  それから、退職者医療制度で突き抜けますので、その分で公費が減るということもご ざいまして、市町村や都道府県は減っております。  それから、国庫負担については、政管の国庫負担を16.4%に引き上げるなどの影響も あって増ということになっております。  各制度のバランスですが、政管、組合、共済ともに負担増でございますが、特に市町 村国保が2兆円近い負担増になっておりますのがポイントでございます。  5ページは、日本経済団体連合会の提言でございます。  これは健保連の提言とほぼ同じてございますが、健保連と違いますのは、40〜64歳の 人数比で案分ということでございます。  6ページで結果をごらんいただきますと、最初のポイントは、(2)−(1)の財政影響で すが、高齢者医療制度のところが8,200億円の増になってございます。健保連のケース とはここが一番違いまして、高齢者の保険料が、40〜65歳で案分するものですから、高 齢者の保険料はかなりふえます。その影響は8,200億円ほどありまして、その影響で各 制度の保険料は、健保連のケースよりもかなり減っているということでございます。  それから、市町村国保については、健保連のケースより若干減ってございます。た だ、減り方が政管よりは少なくなっておりますが、これは40〜60歳で、これも市町村国 保に人数案分が寄っているということが影響しているという状況でございます。  私からは以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。  それでは、これから御質問等をお願いしたいと思いますが、医療費適正化方策に関し て御意見や御質問をまずお願いするということでスタートさせていただきましょう。  松原委員  医療提供側の日本医師会・日本薬剤師会・日本歯科医師会でこの件を議論したわけで ございますが、そこで、25項目につきまして意見があるという統一見解に達しました。 各団体がばらばらに持ちますと時間がもったいないので、ぜひ10分ほどお時間をいただ きまして、私たちが何を考えたかをまず述べさせていただきたいと思います。  また、この医療制度の構造改革というのは非常に大事なものでございますが、ここの 医療保険部会で出たようなものもございますけれど、全く議論されていないようなもの もございます。そういったものをなぜこの審議会で諮らずにお出しになったのか、厚生 労働省はどのようにお考えになったのか私たちは大変な疑問を抱いております。逆に申 しますれば、この審議会は要らないということではないのかということでございます。  もう1点は、今、財政の試算をいただきました。ただ、これを見てもおわかりいただ くように、今回の試算は財政を中心にしたものでございます。私は、医療制度の構造改 革というのは、日本の国民を中心にして考えるべきものだと思っております。その考え 方からしますと、ここには患者さんの視点が全く抜けております。つまり、患者さんが どれくらい負担をされるのか、そういった点が全く抜けて、財政のところだけを計算し て、ふえたとか、減ったとかということを議論していること自体が、厚生労働省のあり 方に対して疑問を呈するものでございます。  もしよろしければ、10分で説明いたしますので、25項目のポイントだけ指摘させてい ただけたらと思います。  星野部会長  はい、どうぞ。10分をお守りください。  松原委員  はい。  まず、第1点でございます。19ページ、上から4つ目、経済と連動してという話でご ざいますが、私たちは常々主張していますように、あくまでもこういったものを考える 上では、医療の安全や医療の質を十分に考えて対応しなければならず、医療の世界は経 済に連動していないという主張をしてまいっているものでございます。  2番。20ページの上から2番目の○でございます。「一定程度削減し」とあります が、一体どの程度削減されるのか。必要な医療を犠牲にしてまで、安全を犠牲にしてま で削減させるおつもりなのか。こういった書き方は不適切ではないかと思っておりま す。  3番。22ページの上から2番目でございます。これは私たちは非常に評価しておりま す。「たばこに起因して医療費が増大することを勘案し、たばこ対策についての取り組 みを強化する」。これはむしろこのような白い小さな○ではなく、大きな○、つまり (2)にすべきだと。大変取り組むべき価値のあるものであり、その中で(3)の推進協議会 で議論していくということを考えるべきだと思っております。  4番。その22ページの一番下でございます。「医療費の内容がわかる領収書の発行」 でございますが、義務づけるというのは現在無理でございます。私は中医協で御発言申 し上げましたように、現在の制度がこの医療費の領収書を説明でき得る制度になってお りません。そのような状態で義務化することは無理でございます。  5番。23ページ、(4)医療法人制度改革ですが、医療法人についての議論は、医療保 険部会ではなく、医療部会で十分に御議論いただきたいと思います。どのような問題点 があるかと申しますと、現在、財産の分与がある医療法人があります。そのようなもの に対してどのような対応をするのか。そういうことも含めて御議論を医療部会でいただ きたいと思っております。  6番。24ページ、(1)中長期的な医療のところで、「医療費の適正化に取り組む仕 組み」とございますが、こういった仕組みを果たして都道府県の中でできるのかどう か。例えば、厚生労働省の範囲でなく、むしろ都道府県の中で御議論いただいたのか、 総務省の中で御議論いただいたのかということについて、私たちは問題を持っておりま す。こういったことを出される以上は、総務省管轄の都道府県ができるのかできないの か、そういうことまで十分考えていただいて出して頂きたいと思います。  7番。25ページ、上から5つ目の○でございます。これも今申し上げましたように、 都道府県は診療報酬の決定を各都道府県で行えるような形にすると。では、一体どこが それを決定するのか。国がこれを踏まえ徹底するということでございますが、こういっ たことにつきましては、中医協という場がございますので、そこのところを通すのか、 通さないのか。私どもは通すべきだと思っておりますし、先ほど申しましたように、都 道府県が十分準備ができていない、あるいは都道府県ができないものをこうやってつく ること自体が間違いだと思っております。都道府県におきましては、厚生労働省の管轄 である専門の方は極めて少ないと思います。そのようなところにつくるということは、 はっきり申しますれば、厚生労働省が天下りを都道府県の中につくるようなものを考え ているのではないか。そこまで私たちは申し上げたいと思います。  8番。26ページ、これは高齢者の負担の見直しでございますが、ほとんどが患者さん 負担を徹底的にふやすと同時に、高齢者がこれまで70歳以上は1割負担でいたものをふ やすということでございますので、私ども医療提供者といたしましては、すべての患者 さん負担は反対でございます。  9番。同じく、その下から5行目でございますが、「医療保険及び介護保険の自己負 担の金額を合算して」ということでございます。こういったことをいたしますと、介護 保険と医療保険と両方使っておられる方は結構でございますが、医療保険においては、 結局、介護保険の上がった自己負担額まで支払わなければならないことになりますの で、これはまた各論のところで十分議論したく思っております。  10番。その下ですが、これは同じく一般の人が1割だったところを一挙に3割にして いるというのは、やはり間違いだと私たちは思っております。  11番。27ページ、入院費、食費・居住費の問題でございます。(2)の@でございます が、私どもは主張してまいりましたように、入院しているということはあくまでも治療 するために入院されているわけでございます。家も別に置いておられますので、こうい った考え方を介護保険と同じような形で、ついの住みかとして暮らしておられる介護保 険と整合性を持つという考え方自体に反対でございます。  12番。その次のAですが、高額療養費の見直しでございます。これにつきましても、 前回のときに私は1%自体が間違いだと申し上げました。さらにこれを2%に引き上げ るという意見を出しておられますが、こういった患者さんに御負担をいただくことは大 きな間違いでございます。また、人工透析の患者さんをねらい撃ちにして負担をさせる ということも間違っていると私どもは思っております。  13番。また、Bの現金給付の見直しでございますが、現金給付につきましては、傷病 手当金、出産手当金、さまざまなものがございます。これは本来医療保険で本当に支払 うべきものでしょうか。ここで議論すべきものなのかどうか。現在は払っておられます が、ここのところは国の政策として、例えば少子高齢化のうち少子対策として出産一時 金を上げるなら、これは国の施策で国の予算の中で行うべきものではないかと考えてお ります。  14番。28ページ、IT化の問題でございます。これはいろいろな規制の問題がござい ます。さまざまな規制の問題を適切に対応しなければ、私どもはIT化自体は賛成でご ざいますが、現実問題にはできないのではないかと思っております。上から2つ目の○ ですが、個人カード化はぜひ行っていただきたいわけでございますけれど、さらに現 在、厚生労働省の中で議論されておりますQRコードを用いて適切にデジタル化すると いうことに対しては私どもは大賛成でございます。  15番。その下の○でございますが、「支払い機関によって高齢者の医療の審査を充実 する」とありますが、例えばある大学の教授が申されていた件でございます。生体肝移 植をしても、結局ここに回されて、ほとんどの点数が自動的に削られると。これを単純 にふやすこと自体には反対でございます。  16番。また、その下の被用者保険及び国保それぞれの保険者が、基金か、国保連合会 か、いずれにしても出せると。これは大きな混乱を来しますので、反対でございます。  17番。29ページ、下から2番目の○でございます。財政運営は都道府県で行うという ことですが、私どもは、これは国の責任の放棄であると。こういったものはやはり国が 決め、国の中で議論し、行っていくべきものだと思っております。  18番。30ページ、先ほど申しましたように、こういった十分なシステムができており ません。保険者協議会におきましても各県でばらばらでございます。こういったものに ついて、果たして本当にそれだけの能力があるのかどうかという疑問を持っておりま す。ここのところは、先ほど申しましたように、厚生省の天下りをふやすための機関に なるのではないかと危惧しておりますので、ここのところも反対でございます。  19番。31ページ、後期高齢者医療制度については、ぜひこの部会で十分に御議論いた だきたいと思いますし、前期につきましてもまだ議論の尽くしていないところでござい ます。特に、32ページの一番下の○でございますが、こういったおのおのの重点的な配 慮が出ますが、これは私ども医療提供者体制といたしましては、うば捨て山医療になら ないように十分に御配慮いただきたく思います。  20番。33ページ、患者さんの負担でございますが、こういった御高齢の方の負担は、 前期においても後期においても、私どもは反対でございます。  21番。34ページ、診療報酬体系のあり方でございますが、これは中医協で適切に行う ものがかなり入っております。基本問題でございますが、この中で書いておられるもの は具体的に中医協で議論すべきものでございますので、この場で議論すべきものではな いのではないかと思っております。  22番。さらに、医療機関等の機能に応じた評価の中で、入院時の食事なども入ってお りますが、これも十分に中医協で議論すべきものではないかと私は思っております。  23番。35ページ、一番上でございますが、これも今申しましたように、処方箋の様式 とか後発品の市場促進とか、もはや中医協で議論しているものでございます。このよう なものは基本的な問題ではなく、むしろ瑣末的な問題で、しかも改善しなければならな いことでございますので、これは中医協にお任せいただくのが正しいのではないかと思 っております。  24番。36ページ、施行時期でございますが、これは十分な議論もしていないのに、な ぜここに70歳以上の現役並みの所得者の負担、並びに食費・居住費の負担、こういった ものがのうのうと出てくるのか。これを出すこと自体、私たちは理解に苦しむところで ございます。十分議論した上で施行時期を決めていただければよろしいかと思います。 このようなものは3つとも反対でございます。  25番。最後に、各方面からの提案と、大変なことが書いてございます。もちろんここ に書かれたということは厚生労働省の念頭にある事だと思います。これに対しては私ど もは、国民的な大反対をしていく所存でございます。  以上でございます。  星野部会長  ありがとうございました。  それでは、引き続き、御意見等がありましたらどうぞ。  河内山委員  まず、医療費適正化のことについてですが、これまでも国保関係者は一生懸命医療費 の適正化について、とりわけ生活習慣病の対策等について取り組みをしてきまして、こ れはぜひとも今度の医療構造改革の中で国民的な運動として実施をし、中長期的な医療 費の適正化、イコール、病気にならない人をふやす、健康寿命を延ばすということで、 これは国民の幸せにつながることなので、ぜひとも実現をしなければならない項目だと 思っております。  しかしながら、このことは非常に理想的ではありますが、実行ということになります と非常にいろいろな課題があると思っております。一つには、都道府県それぞれで目標 を設定したり、あるいは医療保険それぞれが目標を設定し、それをまたみずからが評価 をしていく、このノウハウの問題であるとか、それから、現実問題としまして、個々の 国民の方の健康ということは個人情報の最たるものでありまして、実際に医療保険を保 険者がもろもろの活動を行うときに実効性あらしめるためには、十分な法的な裏づけで あるとか、国民全体の理解・納得性ということが必要でございますので、これは市町村 それぞれが行うというよりも、やはり国を挙げて十分な法的な裏づけをぜひつけていた だきまして、実効性あらしめてほしいと思います。そのためには、十分な検討を期待し ます。  一方で、中長期的には医療費適正化をいたしますが、立ち上がりの段階では、どうい う公費を用いるのか、保険者の責任において行うのか、さまざまな対応があると思いま すけれども、一時的には費用増につながりますので、こういう財政的な裏づけにつきま してもきちんとお示しをいただいて、全国の例えば国保の関係者がこの医療費適正化、 とりわけ生活習慣病対策に取り組めるように、財政的な裏づけもぜひ具体化をしていた だきたい。このことを申し上げたいと思います。  井伊委員  この試案を読みますと、公的給付の給付を減らすということと、自己負担をふやすと いうことは、財政のつじつま合わせが中心の議論のように思います。医療の質や医療安 全の向上が可能なのか、特に急性期病床の医療の質をどのように担保していくのか、医 療制度構造改革といったときに、国民や医療提供者が一番関心があることが余り議論さ れていないように思います。  私の質問は1点で、27〜28ページのITを活用した保険事務の効率化ということで、 「電子レセプト提出を標準であるものとする」と明記されていますが、それ自体はとて も評価できる内容ですけれど、実際に実現するためのインセンティブはどのように考え ていらっしゃるのでしょうか。例えば、韓国が行った方法というのは、請求から支払い までの期間を短くするということでほぼ100%の電子レセプト化を実現しましたが、そ のときに、例えば今2カ月の支払い期間を1カ月にするであるとか、ほかにも、診療報 酬の割り増しをつけるとか、または逆に、紙での請求には何かのペナルティを課すと か、どのようなことを考えていらっしゃるのか。  将来の方向としては、質に基づく支払いへの移行を目指すべきだと思いますので、電 子レセプト化というのは、ただ標準であるものとするとか、そういう方向を目指すとい うのではなく、はっきりとインセンティブも明記してほしいと思います。そのあたりの お考えをぜひお聞かせいただければと思います。  齊藤委員  IT化については、今、井伊委員のご指摘のように、日本経団連としても従来から遅 々として進んでいないと申し上げてまいりました。ぜひインセンティブ等を明確化し て、既に成功している国が幾つもあるわけですから、そういうところを参考にして、実 効が上がるようにしていただきたいと思います。  次に、医療の適正化につきましては、松原委員の方から施行時期などについて御意見 がありましたが、我々としましては、むしろもう少しスピードを上げる必要があると考 えます。政策目標が2015年度に設定されておりますが、団塊の世代が前期高齢者の層に 入ってしまうという時期ではなく、2010年度として、医療給付費30兆円以内に抑制する ことが適切であると考えます。  経済との整合性、医療の質との関係ですが、これは従来からずっと申し上げているよ うに、当然そういうことは前提に、かといっていわゆる現役世代への過大な負担である とか、将来世代への負担の先送りというのは避けなければならないわけですから、余り いい格好だけで言ってほしくない。そして、国民医療費が必ず3%ずつ上がる中で、地 方の所得番付を見れば上の方に医師がたくさん見えると、こういうのはいかがなものか と思います。先ほどの医師会の御意見を聞くと、医師会としては改善したいとか改革し たいとか、そういう意識が僕らから見ると全然見えないように聞こえたものですから、 ぜひ前向きに、今の日本の現状というものをしっかり見据えて御意見を言っていただけ たらと思います。  浅野委員  都道府県の役割ということですが、松原委員からもありましたけれど、若干「総務省 管轄下にある県」と言われたのはちょっとビクッとするわけですが(笑)、違います、 我々は全国知事会のもとに結集しております。後ほど日をかえて、全国知事会としてま とまった意見を申し上げることになると思いますが、今回は出しておりませんが、その 意味では全国知事会の意見を代表したということではないわけですけれども、私から問 題提起をさせていただきたいと思います。  今回の中で、医療費適正化のところでいろいろ都道府県の役割というのがある意味で は唐突に随分出てきています。予防とかそういうことに県の役割ということですが、こ れも松原委員がおっしゃったように、能力があるかどうかということとはちょっと別な のですけれど、大変大きな違和感を感じます。  というのは、この前の審議会でも私は申し上げたことがあるですが、県は県民の方か ら税金を納めていただいてやるミッションというのは、別に医療費の適正化をやるとい うのがミッションではありません。同じことをやるにしても、県民が健やかな県民生活 を送れる、健やかな老後を送れるようにということで健康対策をやっているわけです ね。それが結果的に医療費の削減になるということであって、それは決して医療費適正 化のためにやっているわけではありません。  別な言い方をすると、少し生々しく言うと、県を保険局のラインに入れてほしくない ということなんです。子供っぽいことを言っているわけではないんですよ。我々はそう いうことで存在しているわけではないんです。県民の健康を守るということでして、医 療保険の運営に関係ないといっているわけではありませんが、そこのところ、目標化す ると、県の存在意義が問われると。税金を何のために納めていただいているのですかと いうことになりかねないということで、かなり気にしています。  そういうことからいうと、30ページにある保険者協議会を県でやるというのはどうい う意味なのか。これも保険局のラインに入れられるということで、気になります。  それから、県の医療費適正化計画について、23ページにもありますが、できるのかど うかということもありますけれど、これは明らかに名称からして、都道府県は医療費適 正化というために計画をつくってやるのだと。これもさっき言ったことと同根でありま すけれども、非常に違和感を感じるということで、県の立場でその辺は重要な問題だと 思っています。  これは今回の議論全体を通じても共通していることだと思うのです。経済財政諮問会 議に言われたからといって、医療費適正化、医療費適正化ばかり頭にあって、予防とか 今のたばこもそうだと思うのですが、これはそれ自体重要な価値であって、それを医療 費適正化という中に入れた途端に価値がぐんと下がるという、その辺は今回のこの全体 のスキームが国民全般に受け入れられるかどうかということの説明上の非常に重要なか ぎだと思っています。  「医療費適正化のために予防をやるのですよ」と言われて、そんなことがハッピーで しょうか。「糖尿病にならないようにするためにこういうことをやるのですよ」と、ほ んのわずかなずれのように思われても、これは今回の全体のスキームにとって非常に重 要な視点であると。それが都道府県レベルでは今のような言い方になりますよというこ とですので、単に都道府県の役割分担のことだけの話ではなくて、全体のスキームに関 連することです。  2番目に、それに関連してですけれども、29ページでは「都道府県ごとに地域の医療 費を反映した保険料を設定する」とか、25ページに「当該都道府県のみに適用される特 例的な診療報酬を設定することができる」とか、これも別な機会にこの部会で申し上げ たことがあるのですが、保険料率とか診療報酬の決まり方というのは、必ずしも論理的 に決まるものではないと思います。利害関係のある、ここにもいらっしゃるいろいろな 関係の方が、力関係の中でと言うと身もふたもないのですが、もっと美しく言えば、政 治的な中で決まってくるんです。だとすれば、調整する場は本来は国会なんですね。  ということからいって、都道府県でそれをやれというのは、能力の問題というより も、スキームとして非常に問題があるのではないか。これは機能しないのではないか。 そういうことを指摘しておきたいと思います。  それから、財政試算で、これは中がよくわかりませんけれども、うっかりしていると いつの間にか県の負担がボンとふえて、国の負担は楽になった、ハッピー、ハッピーと いうのは困りますと。これは当たり前のことですが。どこがどうとは言えませんけれど も、その点についてはちょっと留保させていただいて、具体的な案が出た段階で、そう いうことはないように。もしあるとすれば、それなりの適正な対応をしてもらわない と、県としてはギブアップせざるを得ないと。  以上でございます。  岩本委員  医療給付費を抑制することの手段として、短期的には、保険の給付の範囲を狭めてい くという手段が主にならざるを得ないという状況だと思います。それが是か非かという ことで、ここの案のところで短期的方策に上がっているものなのですが、患者負担の増 というものを、これまでありました例えばサラリーマン本人の負担の引き上げよりもか なり深刻なものが並んでいるという状態になっているわけです。  その判断ですが、こういうものが是か非かということですけれども、それだけ問われ ると答えようがない問題だと思います。要するに、こういうことをしないで、保険でみ るということであれば、当然、その分のお金が要るわけですから、それが幾らかかるか ということとあわせての選択ということにならなければいけないわけですが、この試案 のところでは、そういう形では選択肢は示されていないという点が、国民的議論をする のであれば、非常に問題であると思います。  例をとりますと、海外旅行障害保険というのは、旅行へ行く前にこういう保障をつけ るかつけないかということで、つけたら保険料は幾らになりますということですね。そ れは自分の判断で、これは必要だ、あるいは何千万円の保障が必要だということで、そ れは幾らかかるかを見ながら選べるわけです。そうしないと基本的にいけないわけであ りまして、「この保障は要りますか」と、ただそれだけ聞かれて、保障額のことは何も 言われないんですね。それで選んだ後に、最後に幾らですと言われる形では、納得でき る選び方はできないと思います。  ですから、ここでは何兆円という数字で書いていますが、これは国民が見た場合には こういう数字ではわからないでしょう。保険料率でこれぐらいですという形で示され て、それを払ってでも負担を守るかどうか。あるいは、それは払いたくないから、こう いうのは外しましょうかと。そういう形で選択肢を示していかないと、是か非かという ことは私も言いにくいと思います。  ですから、2015年、2025年というところで、その総額の給付費というのが出ています が、この背景にある、では、このときに保険料は幾らになるのか、国庫負担は幾らにな るのかと。国庫負担は税金で払うということですから、それと込みにした選択肢として いかないと、議論は生産的でなくなって、ただ財政の方で締めていくとかという議論に 終わってしまうのではないかという気がいたします。  岡谷委員  各論ではまたいろいろと議論があるかと思いますが、きょうは総論的にこの試案に対 しての疑問点等を3点ばかり述べたいと思います。  まず1つは、試案が医療制度の構造改革ということで、「構造改革」という表現をさ れておりますが、今の日本の医療制度の構造をどのようにとらえて、どこに問題がある のかといった点が非常にあいまいではないかということです。「医療の効率化」という 表現が非常に多用されていますが、その効率化というのは何を意味するのか、今どこが 非効率なのかといったところがあいまいな点ではないかと思います。  2つ目は、「適正な医療費」ということなのですが、これをどのように考えているの かというのが少し不明確なのではないかと思います。試案ではいろいろと指摘はされて いますけれども、この試案全体に流れる考え方とか制度改正の方向性というのは、医療 費の伸びの抑制ということが第一義的に考えられておりまして、医療の質とか在宅医 療、あるいは訪問看護の基盤整備などは後回しに考えられているのではないかという懸 念があります。  現在の医療提供体制のさまざまな矛盾や解決すべき問題に正面から向き合っているの かという点では、少し懸念する部分がありまして、「健康に対する安心の確保は国民の 強い要請」と言いつつも、やはり小児科医の不足であるとか、医療安全対策ですとか、 あるいは救急医療などの急性期における手厚い体制、そういったことをどのように整備 していくのかとか、介護難民といわれるような行き場のない患者のたらい回しなどの解 決をどう図るのか。  そういった、現在、医療の現場で問題になっている課題をどのように解決していくか というところなどが具体的になかなか見えていないという点が非常に懸念されるところ です。  医療費適正化の中で、平均在院日数の短縮化ということが強調されています。全国平 均36日と最短の長野県27日の差を半分に縮小するという目標が例示されていますけれ ど、こういう数値目標の掲げ方が本当に妥当なのかということはよく検討する必要があ ると思います。  平均在院日数短縮の促進については、急性期における手厚い看護体制や病床の削減、 在宅医療の基盤整備の進捗状況などを勘案しながら進めるべきで、こういった提供体制 とセットにして改革を進めていくべきことではないかと思います。  久保田委員  医療費適正化を中心にということでしたので絞りますが、まず、今回の試案全体を俯 瞰したときの印象でございますけれど、これまで何度か医療制度の改革がございました が、そのたびに、基本的には患者の負担増あるいは保険料のアップということで、財政 的なつじつま合わせできたのではないか。だからこそ、抜本改革とか構造改革というこ とを連合としてはずっと一貫して言ってきたつもりでございます。  そういう意味では、今回の改革という点では、生活習慣病予防の取り組みであると か、在宅医療の推進であるとか、都道府県による医療適正化計画の策定等々、大枠とし てさまざまな柱立てを立てているということについては評価をしたいと思っています。  連合としては国民皆保険ということをしっかり守って、アメリカのような医療制度に しないということを前提にしながら、では、現在の医療の質であるとか現在の医療に対 する患者・国民の満足度であるとか、まだまだやるべきことがたくさんあるのではない か。それが結果として医療費の適正化ということにつながるのではないかと考えており まして、例えば、後を絶たない医療事故、小児救急医療の不足、あるいは無医村地区の 解消など、医療サービス内容や医療提供体制にまだまだ多くのメスを入れる課題がある と考えています。  医薬品の多剤投与や医療情報を徹底して患者側に開示をする、あるいは不正請求など の問題が長年にわたって解消されてきていない。こういうところにもしっかりメスを入 れるということが本来の構造改革ではないかと考えております。  そういう意味では、ある程度の柱立て、あるいは構えということについては評価をす るのですが、しかし、国の財政構造改革、あるいは経済財政諮問会議等々からの提言に 対して、先ほどからも意見が出ていますが、それに対応する対策ということがかなり意 識され過ぎて、結局、財政面の手だてみたいなことが先行している、あるいは一般の国 民の目からは、そういうことが全面に出た改革ではないかと見られてしまうことになる のではないかということについて、大変危惧をいたしますし、本当にそういうことで構 造改革あるいは抜本改革という名にふさわしいものなのかという点について、しっかり スタンスを持って改革をすべきだと考えています。  これが大きな印象と視点でございます。  あとは、具体的な内容について手短に申し上げますが、そういう点では、中長期対策 としての医療費適正化計画による生活習慣病予防等々については評価をいたします。た だ、実効性とその検証をどうするのかということをしっかりやるべきだと思います。今 までもいろいろな計画はあったのですが、全部計画倒れになっていないかということを しっかり反省をして、本当に国民的な運動にすべきではないか。これは予算が必要で す。  それから、例えば、環境省の温暖化対策というクールビズというのは比較的成功した のではないかと思っていますが、すべての企業・労使も含めて、本当の国民運動にして いく必要があるのではないかと思っています。労働組合としても、一定の健康づくりに むけて、もっとできることは何かということについて考えております。  それから、適正化という点で、高齢者の自己負担の問題ですが、結論的に言います と、所得実態を踏まえて極めて慎重かつきめ細かくやる必要があるのではないか。現役 並み所得だからいいのではないかという机上で考え方には非常に危惧を感じます。2002 年に定率1割あるいは一定所得以上2割となったばかりです。また、公的年金の課税強 化によって医療・介護保険料がふえております。  高齢者ほど所得と資産の格差が大きいところはございません。具体的な世帯というこ とを想定をし、しかも、お年寄りは病気を複数持ち、そして病院にかかる回数はどうし ても多くなるという、その平均的な実態をもとに、本当に負担能力としてどうなのか、 生活はどうなのかということがシミュレーションできる数字等々も一度出していただき たいと思いますが、高齢者が負担増のターゲットになっているような印象にならないよ うに、慎重にやるべきです。  それから、高額医療費の自己負担の問題については、長々と前回か前々回かに言いま した。とんでもないことと言いたいと思います。これは絶対に反対です。1%を2%に 引き上げるということについては、単なる額の問題というよりは、制度への不信が高ま るのではないかと考えています。自己責任といっても、重い病気にかかることは個人の 責任ではないと思います。こういうときこそ、「ああ、保険があってよかった」と、こ うなるわけでございまして、公的医療保険制度への信頼とか制度の持続性に係る基本的 な問題であると思います。1%のときにもともと大反対をいたしましたが、それをさら に、案の定、結局また2%にするみたいなことについては、もう絶対に反対です。むし ろ、1%をなくして、高額医療制度そのものの簡素化を図るべきだと考えています。  3つ目、患者本位の医療提供体制の実現というところで、22ページにあります「明細 のわかる領収書発行」というのはぜひともやるべきだと考えています。ここの記述の方 策が、所要の措置を講じた上でとか、検討するとか、どうも姿勢と方針が腰が引けてい るような感じがいたします。「明細のわかる領収書発行」というのは一般社会でも常識 でありまして、それを出さない医療機関がむしろ問題だと思っています。医療内容がわ かり、しかも報酬単価のわかる明細書付領収書の発行を義務づけるべきであると連合と しては考えておりまして、直ちに実施をする、そのために具体的にどうするかというぐ らいの姿勢でむしろやるべきではないかと思います。  それとの関連で、IT化の問題が先ほどほかの委員からも随分ありましたが、27ペー ジに出ておりますけれど、単なる効率化という視点でのIT化ということだけではな く、患者本位の医療にするためには、医療情報をいかにオープンにするか。それから、 医療の標準化ということを今後もっと進めていくためにも、このIT化というのは欠か せないと思いますし、安全性の向上ということも含めて、単なる効率化の視点だけでは なく、IT化はぜひ進めなければならないのではないかと考えています。  一定の期間をしっかり設定して、財政措置を含めて、そして今回の試案では、病院の IT化ということにどうも限定されているようですが、診療所のIT化も含めて、しっ かりと計画を組み、目標を組み、そしてそういうことができなければ何らかの診療報酬 上の減算措置をとるみたいなことも含めて、本格的にやるべきではないかと思っており ます。  それから、27ページの出産育児一時金に絡む問題ですが、次世代育成支援という意味 で、働きながら、病気や経済的負担や不安を抱えながら子供を育てている親たちに対し て、本来は妊娠や健康診査や出産に係る費用は公的医療保険の適用とすべきという考え 方を持っています。少なくとも出産一時金は30万〜40万円程度に引き上げるべきではな いかと考えています。同時に、現在、3歳未満の自己負担が2割となっておりますが、 これを子育て支援という観点から、当面、1割に引き下げるべきではないかと考えてお りますので、一緒に検討していただければと思います。  最後に、先ほど財政の試算の説明がちょっとありました。連合案では、現役が2割負 担とか、70歳以上は1割とか、高額療養費制度は自己負担限度額の1%と上位負担者は 廃止するとか、さまざまな前提条件を置いています。したがって、保険料負担が非常に ふえる数字になっておりますが、前提条件の違うものをテーブルの上に並べて連合案が どうだこうだということは、非常に誤解を受けやすいと考えていますので、そういう前 提であるということをぜひ認識をしていただきたい。  そして、連合としては加入年数が25年が20年になっているということを含めて、連合 なりにもう一度検証してみたいと思っています。ただ、ここだけを見ますと、特に市町 村国保が非常に大きな負担になっているように見えますが、私どもは、市町村国保とい うのは国民皆保険の最後のとりでであると考えておりますので、ここを崩壊させるとい うことは何としましても避けるべきであるという基本的な考え方を強く持っておりま す。単なる自分たちさえよければいいということで考えているわけではないということ については、申し添えておきたいと思います。  以上です。  対馬委員  医療費の適正化、中長期、短期ともに、私どもとしてもいろいろな問題意識、意見も あるわけですが、きょうはもう時間もございませんし、また、主として高齢者医療制度 についてできれば3分ぐらいお時間をいただければと思いますので、いろいろな問題意 識があるということを申し上げて、1点だけにとどめさせていただきたいと思います。  先ほど久保田委員も言われましたが、予防保健事業ということで、非常にいいことを 書いているのですが、この実効性の担保、この検証、ここが非常に重要であろうと思う わけです。25ページに、医療保険者等に対して健診等を義務づけるということですが、 このあたりにつきましても、まさに費用は間違いなくかかっていくと。しかし、その効 果というのはこれからだということでございますので、今申し上げたような趣旨を踏ま えて、これまでいろいろな実績・経験もありますし、知恵と工夫を出し合いながら相談 していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  星野部会長  ありがとうございました。  それでは、済みませんが、3つに分けると言いましたけれど、相互に入れ組んでまい りましたが、次は再編・統合について議論をしたいと思います。  それから、松原さんは反論があったようですけれど、その後でお願いしたいと思いま す。  松原委員  ちょっと先に。私は時間をいただきましたけれど、最初に申し上げましたように、3 人分を申し上げたので、3分の1でございますので(笑)。これを同じことを3者が言 いますと時間のむだなので、節約いたしました。  星野部会長  はい、わかりました。  松原委員  次に、総務省ではなくて、これは都道府県知事並びに総務省と私は申し上げるべきと ころでした。これは謝ります。  私どもは一番問題点としてあるのは、医療の安全と質の向上というものが議論されな いまま、単純に構造改革として財政の問題を議論しているということに対して、非常に 違和感を覚えているということでございます。先ほど御指摘がありましたように、日本 医師会は対案を出していないではないかという批判をされたのですが、私どもは、中長 期的な問題――すなわち、予防をして、そして大きな病気にならないようにして、病気 を減らす、このようにしてお金がかかるのを減らすということに対しては、最初から大 賛成でございまして、こうすべきだと長年主張してきたわけでございます。  問題は短期的なところで、中長期で6兆円、短期的なところで1兆円、その1兆円を なぜ今議論しなければならないのか。これまで3割負担を含めて、国民、特に患者さん に大変な負担をしていただいているところに、さらになぜここでこの1兆円を足さなけ ればならないのか。さらに、3年後の検証といいますが、中長期的なものは、当然、5 年、10年とかかります。そうすると、3年ごとに検証するとなれば、これは明らかに短 期的なものだけを、要するに国民をどれだけ痛めたのかを調べるだけでございます。  そういった考え方に対して反対しているのであって、中長期的に対応するということ に対しては、私たちはこれが本質的な方法だと思っております。  星野部会長  失礼しました。  それでは、先ほど河内山さんは適正化を率先やってくださったので、再編・統合もど うぞ。  河内山委員  これは私ども市長という立場だけではなく、町村会の皆さん方、そしてきょう御出席 の北郷理事長の国保中央会、共通の認識でございまして、きょうお配りをしている資料 のとおりでございますので、ごくごく簡単に申し上げたいと思います。  保険者をどういう形で再編・統合するのかというのは、15年3月の基本方針のところ で、都道府県単位を軸としてやるのだと。これはそのさらに大前提としての将来の医療 保険制度の一元化のための一里塚であると。このことについては、先ほど久保田委員か ら、国保は国民皆保険の最後のとりでであると、これを崩壊させたら大変なことになる という御発言をいただきましたが、まさに国保自体は本当に行き詰まり状況にあること は、もう繰り返しこの部会でも申し上げたとおりでございます。  したがって、今度の構造改革という以上は、この国保についてまさに構造を改革して いくという強い決意のもとに抜本的な改革をすることが非常に重要だと、改めて申し上 げたいと思います。その点で、基本方針の折に示されておりました一元化を目指すとい うことが、この構造改革の中で表現上されていないということは、私どもとしては非常 に残念だと申し上げておきたいと思います。  今後とも、一本化の方向――これはもちろん長い間議論しなければならないと思いま すが、皆保険というものを守っていくということからして、年金についても議論がされ ているように、働き方や勤め方によって負担と給付が全然違ってくるということは、年 金ほどの開きはないかもしれませんが、雇用が流動化したり、多数の方がリストラ等で 国保にどんどん入ってこられる状況を考えますと、働き方の変化によって医療保険まで 重大な変化がある、そういうことは望ましくないと思いますので、今後とも一元化の方 向というものを、ぜひこの医療制度の構造改革の中で貫徹をしていただきたいというこ とを強く申し上げたいと思います。  今度は個別具体的な話でございますが、都道府県単位での運営に近づけるために、市 町村国保について今般の試案の中で、高額医療費の共同事業の拡充が示されておりまし て、このことについては私どもも非常に意義のあることだと思っております。そのこと について、具体的に個々の市町村国保についても財政試算等を示していただきまして、 どのようにこれが基盤の安定化あるいは広域化というものの実が上がるのかということ について、法律案にされるまでにはぜひ内容を具体的に明らかに示していただきたいと いうことをお願いしたいと思っております。  あとは個別具体的な話でございますが、当面、構造的に非常に行き詰まっている国保 に対しての財政基盤、財政対策について、これは非常に短期的な話でございますけれど も、なお一層具体化をしていただきたいと思います。  以上のことを申し上げたいと思います。  浅野委員  今お話のあったところで確認をしたいといいますか、都道府県単位を基本とした保険 者の再編・統合、そのように進めてくれというお話ですが、今回の試案では29〜30ペー ジにありますけれど、都道府県単位、都道府県ということが出てきますが、これは実施 主体としての都道府県なのか。つまり、トップは知事であるというところの都道府県と いっているのか、都道府県単位というのは単なる物理的・面積的な広がりとしての都道 府県をいっているのか。ここは全体的には、都道府県単位といっている部分は、後者― ―広がりの部分としていっているように読めるのですが、それでよろしいのですねとい うこと、それから、その際にも、例えば、29ページの(1)国民健康保険についての記 述の最初の○ですが、「市町村合併によってもなお残る小規模保険者の保険運営の広域 化を図るため、都道府県が積極的な役割を果たす」と、ここで言っている都道府県とい うのは広がりとしての都道府県ではなくて、行政主体としての都道府県なので、これが こういうふうに出てきますと、一体どういう役割を具体的に果たすのか、よくわからな かったりします。  それから、30ページの(3)医療費適正化に関する取り組みですが、これは再編・統 合のところで書いてありますけれど、「保険者協議会を置く」と、これも「各都道府県 に」と置いているわけですが、この「各都道府県に」というのは、都道府県単位という ことなのか。事務局は県がやりなさいと言っているのか。これは前の方の記述からいう と後者のように読めるのですが、もうちょっと明確に書いてもらわないといかんという ことと、明確に書くだけではなく、もう一言加えれば、なぜそこで県が出てくるのです かということも、的確に、明確に、論理的に、客観的に、わかりやすく説明してもらう 必要があるのではないかと思います。  星野部会長  ありがとうございました。後段の前半は広がりか知事かという御質問ですので、最初 は答えてもらおうと思ったのですが、その後が浅野委員の多分かなり大きな質問だと思 います。なぜそうなのかと。ですから、きょうは答えなくていいです。あと2回ぐらい は少なくともやりますから、次回までに事務方が浅野委員の質問に対して、例によって 一覧表にして回答をしてもらおうと思いますので。それでいいですね。きょうでなくて いいですね。  浅野委員  はい。  星野部会長  では、ほかに御意見や御質問をどうぞ。  久保田委員  再編・統合のところで2つあります。政管健保の問題と国保組合の問題です。  まず、政管健保の問題につきましては、29ページにありますとおり、連合は政管健保 の保険者を公法人化をして、そして都道府県単位で財政運営を行って、保険料拠出者の 労使が制度運営に参画すると、こういう案についてはもともとそういう方向でずっと意 見を言ってまいったつもりです。したがいまして、今回の案については要求に沿うもの という意味で、方向性はおおむね了解できると思っていますので、ぜひその方向で進ん でもらいたいと思います。  それから、国保組合のことについては私も随分こだわって言ってきたつもりですが、 国保組合の所得調査はどうなっているのか、早急に報告するようお願いしたはずですけ れど、これを改めて求めたいと思います。そして、医療保険部会に提出をして説明をし ていただきたいと思います。何よりも国保組合の財政状況は、その抱える課題などにつ いて実態を明らかにすべきだと考えております。健保組合や政管健保等々は毎年詳細な 決算というものが出ていますが、国保組合は一体公表しているのかと。国庫補助を受け ながら、いまだに自己負担2割を維持している国保組合もあります。  一人親方とか理容師・美容師などの組合というのは大変零細なところでそういう仕組 みでというのは、十分理解をしております。しかし、医師とか歯科医師とか所得の高い 職業の組合が政管健保より高い公費を受けているという現状をこのままにしておいてい いのか。所得の高い国保組合については、国庫補助に限らず、制度のあり方を含めて検 討すべきではないかと考えておりますので、これも期限を切ってきっちり検討すること を強く要望しておきたいと思います。  以上です。  対馬委員  時間の関係もありますので、1点だけに絞らさせていただきたいと思います。  この保険者の再編・統合は、私どもから言わせますと、キーワードはやはり保険者機 能の強化だろうと思います。全体に見ますと、一番上に「保険者機能を強化する」と書 いていますが、あとは実務的な格好になっていまして、例えば健保組合などについて も、30ページの真ん中あたりに書いていますが、随分議論して、私どもも、自主自立と か選択肢の拡大ということで申し上げてきたのですが、また最初に戻ったということに なっているようですけれど、全体的にインセンティブとかモチベーションということが 重要ですので、選択肢の拡大だということを強調したいと思いますので、できればこう いうことも見直していただきたいと思います。  星野部会長  ありがとうございました。  それでは、きょうは、皆さんからこの点が問題だというところをどんどん出してもら うことが非常に賢明だと思いますので、最後の新たな高齢者医療制度の創設に入りたい と思います。  では、河内山委員、どうぞ。  河内山委員  ずっと一番バッターでしゃべらせていただきまして、ありがとうございます。  高齢者医療制度、特に後期高齢者医療制度につきましては、国保や介護保険を抱えて いる、それが構造的に非常にさまざまな問題がある中で、市町村がこれに加えて新たな 独立保険の保険者となるのは到底困難であると、これまでもずっと言い続けてまいりま した。このことは繰り返し言ったにもかかわらず、「保険者」ではなく、「運営主体」 と書いてありますけれど、実質同じことだと思いますが、明確に「市町村」とされまし たことは、我々としては今までの議論・主張が今のところ受け入れていただけなかった ということで、残念でございますが、たたき台でございますので、これから国民的な議 論を踏まえて、これだけリスクの高いものはもう少し安定的な運営をするということ が、被保険者のためにもいいわけですから、そういう議論が出てきて、我々の主張が国 民的な議論のもとに法律案になるように、広範な議論をぜひしていきたいと思っており ます。  何といいましても、理由は、これだけハイリスクなものをという、今申し上げたこと と、それから、せっかく一方で都道府県単位でさまざまなものを再編・統合しようとい う中で、現時点、いろいろないきさつがあってこれを統合するというのは非常に難しい と思うのです。しかし、新たな制度を構築しようという提案をするときに、なぜまたも とに戻って市町村なのかということが、論理的に私どもとしては理解しがたい。どうい う運営主体なのかということは、これまで地域保険で行こうということはありました が、地域保険の地域の範囲というのをせっかくの新しい制度創設ですから、都道府県単 位ということで行くのもいいし、我々、市長会、町村会、そして国保中央会では、都道 府県単位でということもさらにまだリスクが大きいということで、国等が保険者となる ようにぜひ考えていただきたいということを主張したいと思います。  以上でございます。  対馬委員  私どもは、高齢者医療制度については随分いろいろ言ってきたと思いますが、31ペー ジで、「高齢者に係る医療費負担の公平化・透明化」ということが一番上に書いてあり ます。ですけれど、これは本当に公平化・透明化でしょうか。私どもからすれば、不公 平化、不透明化、複雑化だと思います。これから国民的な議論ということですけれど、 私どもとしては今の案に対しては反対であると。ぜひ再検討していただきたいというこ とでございます。  そこで、5〜6点、ごく簡潔に申し上げます。  1点目は、前期・後期に区分していると。これは複雑な構造であるということでござ います。  2点目は、後期高齢者にかかわる問題であります。加入者数に応じて医療支援金―― この性格なり役割もちょっと不明なところがあるのですが、そこは置いておきまして、 0歳から74歳で支えるということは、乳幼児まで入っているということになりますの で、これは少子化対策としても、物の考え方としておかしいのではないかと思います。  3点目は、後期高齢者については加入者全員(若年者)で支えるということで、皆様 方も恐らく実人員で支えていくのだろうと思われていると思います。健保組合でいいま すと、先ほど試算のところで出てまいりましたが、42ページの真ん中あたりに加入者の 頭数を書いていますけれど、75歳未満のところが2,700万人なんですね。では、2,700万 人を支えるということであればまだしもいいのですが、そうではなくて、前期高齢者で 調整した数――結果的には3,000万人で我々が支えるということになっています。言っ てみますと、水増し請求と。これは保険制度の中でも許されることではないのですが、 水増しして我々が負担をかぶると。これはおかしいのではないか。また、とてもこれは わかるものではないだろうと。恐らく皆様方もそこはわからなかったのではないかと思 います。  4点目は、前期高齢者に係るところであります。財政調整につきましては、これまで も申し上げてきましたが、保険の規律、保険者機能を失わせるということだろうと思い ます。  5点目は、退職者医療制度ですが、これが経過措置ということで入っているわけです ね。33ページの一番下になります。平成26年度までの経過措置ということは、経過措置 と言えるのでしょうか。退職者医療制度というのは改革の基本方針の中でも廃止すると いうことになっていたはずでございます。そうなっていたのには理由があるわけでし て、それを今回、またこの基本方針に反してまで復活させたということは、どうしても 納得ができないということでございます。  6点目は、今申し上げたようなさまざまな不合理な制度の集約体制が、42ページの先 ほどごらんになっていただきました財政影響の健保組合が2,200億円の負担増になると いうことであります。厚労省の全体のいろいろな制度を横にらみしながらやっていくと いうことであれば、おのずからなるバランスを頭に描きながら設計するのではないか。 私どもとしては理不尽極まりないと思います。  今申し上げたようなところについては、ぜひ是正していただきたい、見直しを図って いただきたい、再検討をしていただきたいと思います。  久保田委員  高齢者医療制度の問題ですが、結論的に申し上げると、現在の連合の意見としまして は、75歳以上の独立保険とする新たな高齢者医療制度というのは余りにも問題が多過ぎ るのではないか。したがって、このままでは反対だということを言わざるを得ません。  今回の独立保険ということで、保険者機能の強化ということが最大のキーワードだと 思っていますが、それで高齢者の疾病予防や健康づくり推進や医療費のチェックなどを 本当に十分に発揮できるのか。ましてや、運営主体と指定されている市町村の理解・同 意が得られていないという状況でどうなのかということは一貫して申し上げています が、そのように感じます。  さらに、この審議会の2年にわたる議論との関係性からしても、ほとんどこの審議会 の中での議論というのは無視された形で出ているということについては、本当なのかと いうことを感じます。  それから、結局、高齢者医療費の4割ぐらいを各被用者保険とか現役とかで支援する という格好になるのでしょうか。そういうことではこれまでの老人保健拠出金とどこが 違うのかなと。また、65歳以上の全保険者間の財政調整というものは、各保険者の健康 とか予防とかの努力が報われる、努力したところが報われる、そういう意味での保険者 機能を、どんぶり勘定という点では、弱めてしまうことになるのではないか。  また、退職者医療保険について、経過措置とはいいながら、これほど長いものはとい うのは、先ほど対馬委員が言われたことと同じ印象を持っております。  連合としては、そういう意味で、被保険者代表が制度運営にしっかり参加をするとい うことと、現役から退職まで含めて一貫した予防・健康づくり推進、そしてできるだけ 病気にならない、そういう保険者機能を発揮するために、サラリーマンOBは、安易に パートタイマーやそういうところがどんどん逃げていくということではなく、しっかり 抱えて、被用者保険グループ全体で支える高齢者医療保険制度。突き抜け方式の、連合 では退職者健康保険制度と呼んでいますが、その方向でぜひもう一回検討すべきではな いか。独立方式ということは再考すべきではないかという意見を持っております。  繰り返しますが、先ほどの試算のところで、3割を2割に下げようという前提も含め ての試算になっていますので、非常に大きな保険負担ということに見えるかもしれませ んが、そういうところは違いをしっかり踏まえた上で、テーブルのあり方として、どう いうことが本当にふさわしいのかという点については、ぜひ再考していただければと思 います。  以上です。  北郷委員  財政試算のことでよろしいですか。  星野部会長  どうぞ。  北郷委員  42ページの財政影響ですが、改革後の加入者1人当たりの所要保険料というのが並べ て出ています。これは前と後の比較ということですが、これはお願いですけれど、15年 度まででしたか、調査課の方でおつくりになっている3制度間の所得比較が出ていまし たが、20年度はこれはわからないわけですけれど、何らかの推計をして、平均所得に対 する保険料の割合、本人負担分について、これをパーセントで出していただけないか。 給付と負担の公平という観点から、単に前後ではなく、根っこから、所得に対してどの くらいの割合になっているのだと、こういう数字を見せていただきたいと思っておりま す。お願いできるかどうか、これが1つです。  もう1点は、今、退職者医療の話が経過措置で出ていますけれど、それはそういう御 意見もあろうかと思いますが、これは私はわかりませんけれど、推察するところ、この 審議会で私は申し上げたことがあると思いますが、医療費が55歳以上は平均より高いん ですね。要するに、調整がし切れていないということがこういう形であらわれているの だろうと思います。年齢による医療費の相違が全部ならされていないためにこんな話が 出ているのであって、もし退職者医療をやめろとおっしゃるなら、65歳未満を55歳ぐら いに下げなければできないのだと思います。その辺のところもよく御検討いただきたい と思います。  以上です。  松原委員  私ども日本医師会は、65歳ではなく、退職したら国保に入って、その国保を制度間で 支え合うという意見を申し上げたわけです。65歳で切りますと、現時点で60歳退職でご ざいますので、そこのところを調整するには、こういった制度を残さざるを得ないとい う厚生労働省の考え方に対しては賛成でございます。もしこれをしないのであれば、 今、北郷委員がおっしゃったように、この制度を55歳に下げるとか60歳に下げるとかし なければならないのではないでしょうか。それをしなくて、65歳のところで切ったまま ですと、こういう調整がなければ、医療費の一番かかり始める55歳からの方々に対して の給付がバランスよく行われないと思います。  また、私どもは一貫して反対しているのは、とにかく患者さんの負担をふやすという ことが間違っていると。あくまでも患者さんは好きで病気になったわけではない受難者 で、受益者ではないということを十分にお考えいただきたいということでございます。 現行どおり70歳以上1割定率負担とするというのは、私はこれは非常によいと思います が、御負担をいただくのをふやすことに対しては反対でございます。  そういったことで、十分に御理解いただきながらこの制度を組み上げていただきたく 思いますが、一つだけここで強調したいのは、老人医療費が非常に高くて、1人当たり 5〜6倍になっているとよく巷で言われておりますけれど、これは国民1人当たりの金 額であって、1患者当たりの金額は、55歳の人と75歳の人はほとんど変わりません。10 %も違いはありません。ただ、高齢の方が国全体の中でふえているということをよく御 理解いただきたいと思います。これを錯覚いたしますと、医者の中でも、「そうか、大 変だ。入院していたら大変な医療をしているんだ」と思われる方が多いのですが、実際 のところは、入院費の中で、若い方々とお年寄りの方々が費用が1患者さん当たりの違 いが大きいわけではございません。  さらにつけ加えますと、今回のいろいろなデータの中で、健保連を初め、非常に大き な黒字が出ております。一説によると7,000億円近い黒字が出ております。そういった 中で、なぜ短期的な政策をとらねばならないのか。この3年間、医療費の総額はほとん どふえておりません。そういう中で、どうしてそこまで国民の、特に患者さんに負担を 求めるのか。非常に疑問でございます。何とか厚生労働省としては考えていただきたい と思います。  以上です。  岩本委員  後期高齢者医療制度について保険者を市町村にするという試案が示されたとなると、 本当にそれでやっていけるのかということの具体的な姿をもっと見せていかないと、こ ういうことは成り立つかどうかということがわからないと思います。その点に関して質 問ということになるのですが、私が危惧しますのは、非常に小規模の市町村で、高齢者 だけを集めてきてそれで保険をやろうということになると、そもそも保険が成立するの かという問題になろうかと思います。  31ページにそれに関していろいろな工夫が書かれていますが、高額医療費に関して再 保険事業をかけるというところですけれど、これはどのくらいの規模になりそうなのか ということがわかりましたら、教えていただきたいと思います。すなわち、都道府県の 再保険事業が相当大きくなれば、これはいっそのこと、都道府県単位で保険をした方が むしろ合理的ではないかという話になりますので、市町村でちゃんと保険が成立して、 ある一部を都道府県で再保険するという形でちゃんと行くのかが知りたい点でありま す。  もう1点は、この後期高齢者の保険者というのは非常に重要なプレーヤーになってく ると思いますが、保険者機能を発揮する、さらには都道府県単位でさまざまなことに取 り組むということであれば、この後期高齢者医療制度の保険者というものは、例えば、 30ページにあります保険者協議会にも当然入ってしかるべきプレーヤーだと思うのです が、市町村ということになると、都道府県で全市町村の保険者がここに入ってくるので しょうか、それとも代表が入ってくるのでしょうか。法律を書いてくるということにな れば、プレーヤーの構成も大変重要なものだと思います。今のところはとりあえず「等 」というところに含まれると思うのですが、都道府県単位で取り組むときに、どうやっ て市町村単位の保険者が後期高齢者のことを考えていけるのかという枠組みについて も、その具体的なイメージが欲しいと思います。  浅野委員  今のような話があれば私が発言するのは流れ上当然だと思いますけれど、言おうと思 いました。今のお話の中で、後期高齢者医療制度の中の都道府県の役割ということです が、まず、3つあるわけですね。  保険基盤安定制度――低所得者について保険料軽減制度を設け、軽減分を公費で支援 すると。これについては1年おくれの恨みつらみなんですが、これは突然去年入ってき たんですよ、都道府県の負担は4分の3というのが。あえて言えば、どさくさに紛れて というか、これは三位一体改革の一環として入ってきたんです。御存じでしょうかと思 うぐらい、私も御存じなかったんですね。それで、「こんなのが入っていますよ」とな って。そもそもメインのところの都道府県単位の財政調整交付金も突然6,000何百億入 ってきて、ワーッと言っている陰にこれがあったと。これが今度、またここに出てくる んですね。なぜですかというのを問われなければいけないというのが一つです。  それから、今お話のあった高額医療費の再保険事業ですが、これも都道府県の再保険 事業とされています。これもなぜですかということがあります。特に財政安定化支援事 業ということなのですが、これについては国・都道府県及び市町村の拠出のもとという ことですが、それぞれの拠出の根拠は何でしょうかと。県なら県の税金から拠出させら れるということなのですけれども、この財政安定化支援事業に県が拠出をする、そして 基金を設置して、都道府県がその運営主体のようになるのでしょうか。その辺も、先ほ どの都道府県単位のというところの質問の応用問題みたいなものですけれど、次回以降 でいいのですが、なぜですかということを、論理的、客観的、わかりやすく、誤解なく 御説明を願いたいと思います。  ちょっと意見を言えば、ややそこが安易なのではないか。それから、論理的にも詰め られていないのではないかという気がしますので、今の質問というよりも、意見として 申し上げれば、ここはそうあいまいにされては困りますということをつけ加えたいと思 います。  対馬委員  簡単に申し上げます。ここは中医協ではありませんから、松原委員の発言に一々反論 する必要もないのですけれど(笑)、ただ、7,000億というような数字が出ますので、 皆さん、「おお、そうか」と思われてもちょっと困りますので。  15年度のときに総報酬制をとったわけですね。それで、保険料率をみんな上げたんで すね。総報酬制ですからボーナスからとりますから。それで、我々としては、皆さん方 に御負担をいただいて、その結果上がったということですけれど、その前の14年度に、 我々だけでマイナス4,000億です。そして、16年度の決算は幸いにプラス3,000億。です から、マイナス4,000億が総報酬制の中で6〜7%に上げて、結果的に我々としては 3,000億ということでございます。  それから、事務局への要請ですけれど、老人医療費は、今お話がありましたけれど、 どうも私は納得ができない。皆さんも恐らくそうなんじゃないでしょうか。欧米は2〜 3倍だと。それに対して日本の場合は4〜5倍だと。これは事務局に資料提供を次回に でもお願いしたいと思います。  星野部会長  ありがとうございました。  それでは、時間が参りましたので本日はここまでにしたいと思いますが、私の方から 事務方にお願いしたいのは、きょうは大変盛りだくさんでしたが、これでも個別問題は 委員の先生方はまだ質問が残っていると思います。けれど、きょうの大づかみのところ から始まって細かいところとか、いつも各委員の質問を一覧表にしていただいて、それ に対しての考え方や、こういう統計はやるかやらないかとか、先ほど大久保先生から出 たようなああいう統計について、ちゃんと処理できますというならちゃんと処理できま すというふうにしていただきたいと思います。そういう整理で次回を迎えたいと思いま す。  それではこれからどうやるかということですけれど、委員の皆様方は大変御多忙のと ころを恐縮ですが、11月中に3〜4回ぐらいやりたいと思います。もちろん、議論はも うこれでいいよというのだったら1回でもいいんですけれど、とりあえず次の回の開催 日時は、11月10日と11月17日を予定したいと思います。これは事前に先生方に○×をつ けてもらった中で、割合○の多かったところを事務局が整理してくれて、しかも、整理 のインターバルも含めてこういう日にちを選んでくれたようですので、私は信用してい るのですが、この2日を予定させていただきたいと思います。場所は追って事務局から 御報告します。  それから、最後に一つ、私のもしかしたら間違ったお願いかもしれませんが、最初に 岩本先生が言われた話というのは大変重要だと思います。というのは、きょうここに御 出席の関係団体等を抱えている関係者の方々は、きょうの取材などに対してもちゃんと 答えられる、あるいは反対とかと意思表示が割合できるお立場にあるわけですが、岩本 先生が言われたのは、個々の家計なり個人も、「今度、医療改革をするとこういうふう に変わるんだな」とか、「もしこういうサービスを断れば、保険料は下がるかもしれな い。しかしながら、もし病気になったときはこういうことをやるのだから、これくらい かかっても仕方ないんじゃないか」とか、要するに国民ベース、患者ベースでの選択肢 が得られるような資料が提供されていますかねと。  多分そんなことを言われたような気がしますが、間違えたら直してください。それは 実は残念ながら、岩本先生しか言ってくださっていないんです。要するに、患者ベー ス、国民ベースというのは、この場はもっと大変な組織をお持ちの方々が御出席ですか ら、そういう方々を透かし見れば本当は国民も患者もわかるのでしょうけれど、税を考 えてみると、よくやるじゃないですか、モデル税というので。夫婦に子供2人だと、平 均サラリーマンでは今度はこういう税金がかかるとこのくらい税が重くなりますよと。 御議論の中にも、重病になったときに、先ほど久保田さんが言われたように、1%が2 %になるともう面倒見てもらえないんじゃないかと、そういうことにまでなってしまう のかどうかとか。  実はこっちの方が細かいんです。税金は所得階層でやればいいんですが、こっちは病 気と所得階層と両方組み合わさったような話なので、もっと大変升目が大きいわけです が、何かそういうものが出ないと、関係の政党や団体などはまあまあ自分のところは財 政がうまくいきそうだなとかということでおさまってしまうかもしれないし、経済諮問 委員会も、「うん、これだけ下げてくれるの?」でおさまってしまうのかもしれないけ れど、国民の人たちが本当にわかるような情報というものをつくってもらわないと、何 のために我々はやったのかという面が半分残るんじゃないかなという気がしまして、私 は岩本先生の御意見に、もし今言ったとおりなら、賛成なので、これは対馬さんや久保 田さんのような強力な発言者がいないがゆえに、あえて申し上げたいと思うので、事務 方で何か工夫ができるのなら、そういうものを一緒に工夫してもらえるとありがたいな ということをつけ足したいと思います。  榮畑総務課長  どういう工夫ができるのか、私も今はまだ知恵がございませんので、今の御趣旨はよ くわかりましたので、ちょっとお時間をちょうだいできればと思っております。  星野部会長  よろしくお願いします。個別事例を出すと時には誤解を招くこともありますので、慎 重でなければいけない面もありますが、しかしながら、こういう表を見て国民一人一人 がわかるわけではないですから、むしろわかりやすいものがあればわかりやすくしても らって、国民が選択できる−−岩本先生の言われた言葉で非常に重要なのは、「選択で きるということじゃないですか」と。具体的に個々のものを選択できるわけではないで すけれど、制度について選択できるんじゃないですかと。こういうことは非常に重要 で、実に今様だと思うのです。時代的に。そういうところが大事なので、従来のコンベ アシステムでやるよりは、そういうところも当然入ってきて当たり前じゃないかという 気がいたしましたので、事務方にお願いしたいと思います。  久保田委員  ちょっと質問ですが、運営のことですけれど、11月に3〜4回で、次回は11月10日と 17日ということですが、10日と17日というのをどういうくくりでやるかというのは、何 かイメージが事務局でありましたら聞いておきたいのですが。  榮畑総務課長  次回の10日は、私どもといたしましては、きょうの議論をさらに深めていただきたい ということと、できれば、前回に1回御議論いただいて差しかけになっています診療報 酬改定の基本方針につきまして、前回の議論を踏まえましてもう1度お願いしたいと思 っております。また、その10日の議論の模様を踏まえまして、17日の進め方につきまし てはまた考えさせていただきたいと思っております。そして、11月のその後の日程につ きましてもできるだけ早く調整させていただいて、また御連絡させていただきたいと思 っております。よろしくお願いいたします。  星野部会長  それでは、そのように運ばさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいた します。きょうは遅くまでどうもありがとうございました。                                     −了− (照会先) 保険局総務課企画調査係 代表 03−5253−1111 内線 3218