05/10/18 第25回社会保障審議会児童部会議事録              第25回社会保障審議会児童部会              厚生労働省雇用均等・児童家庭局 第25回社会保障審議会児童部会 議事録 日時:2005年10月18日(火) 13:00〜15:10 場所:厚生労働省 専用第19-20会議室(17階) 出席者:  委員   岩男部会長、阿藤部会長代理、網野委員、遠藤委員、大日向委員、小笠原委員   柏女委員、中村委員、堀委員、無藤委員、吉田委員、渡辺委員  事務局   北井雇用均等・児童家庭局長、白石審議官、香取総務課長、尾崎保育課長   清川家庭福祉課長、東育成環境課長、佐藤母子保健課長   山本虐待防止対策室長、度山少子化対策企画室長、河村育児・介護休業推進室長   大塚児童手当管理室長、八神企画官、田中児童福祉調査官、?本障害福祉課長補佐 議事:  1. 開会  2. 平成18年度予算概算要求等について     (1)平成18年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求について     (2)保育所の待機児童数について     (3)総合施設の検討状況について     (4)次世代育成支援対策推進法に基づく取組状況について     (5)三位一体改革について     (6)障害者自立支援法案について     (7)当面の検討事項(案)について  3. 児童家庭相談のあり方について  4. 閉会 配布資料:  資料1  平成18年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求の概要  資料2  保育所の状況(平成17年4月1日)等について  資料3  総合施設モデル事業評価委員会について  資料4  次世代育成支援対策推進法に基づく取組状況について  資料5  生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会について  資料6-1 障害者自立支援法案の概要  資料6-2 障害者自立支援法案について  資料6-3 障害児施設の利用について  資料7  当面の検討事項(案)  資料8-1 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会「中間的な議論の整理」  資料8-2 市町村児童家庭相談業務調査結果(暫定版)  資料8-3 要保護児童対策地域協議会等調査の結果(暫定版) 参考資料:  ・平成17年度「児童虐待防止推進月間」の実施について ○岩男部会長  定刻となりましたので、ただ今から第25回社会保障審議会児童部会を開催させていた だきます。本日は大変ご多用のところ、また足元の悪いところご出席いただきましてあ りがとうございました。まず、事務局から本日の出席状況についてご報告をお願いしま す。 ○香取総務課長  本日は津崎委員、服部委員、前田委員、松原委員、山縣委員、山ア委員より所用でご 欠席とのご連絡をいただいております。 ○岩男部会長  ありがとうございました。次に事務局についてですが、前回の児童部会以降、厚生労 働省の人事異動がありましたので、新しく就任された方々のご紹介をお願いします。 ○香取総務課長  今お話がありましたように、先般8月の私ども厚生労働省の人事異動で新しく就任し ました事務局のメンバーをご紹介申し上げます。まず雇用均等・児童家庭局長北井で す。 ○北井雇用均等・児童家庭局長  雇用均等・児童家庭局長を拝命しました北井でございます。審議官時代に引き続きま して、どうぞよろしくご指導をお願い申し上げます。 ○香取総務課長  もう1人、少し遅れておりますけれども大臣官房審議官雇用均等・児童家庭局担当の 白石です。参りましたら、ご挨拶申し上げます。それから、雇用均等・児童家庭局家庭 福祉課長の清川です。 ○清川家庭福祉課長  清川です。よろしくお願いします。 ○香取総務課長  申し遅れましたが、同じく総務課長を拝命した香取です。どうぞよろしくお願いしま す。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。  最初の議題としまして、平成18年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求について事務 局からご説明をお願いします。 ○香取総務課長  それでは、ご説明します。クリップをはずしていただいて、配布資料の資料1をお目 通しいただければと思います。もう10月になりましたが、平成18年度の雇用均等・児童 家庭局の概算要求の概要についてご説明申し上げたいと思います。  大きな表題にありますように、少子化の流れを変えるというのが私どもの大きな政策 の柱になっています。次世代育成の支援策というものと、公正かつ多様な働き方の推 進。この考え方に基づいて来年度の概算要求をしております。  真ん中の柱書きのところで、(1)から(3)まで柱の点がありますが、一つは、すべての 子どもとすべての家庭に対する子育て支援、それから保育サービスということ。二つ目 は、両立支援ということで、男女ともに子育てをしながら働くことのできる雇用環境の 整備。三つ目が虐待・小児医療等、子どもの生命と健康に対する対策ということでござ います。  以下に主要事項ということで、二つ柱が建っております。役所の予算ということで申 し上げますと、一般会計及び児童手当関係の特別会計の予算というのが上の◎でして、 下は主として労働保険特別会計の事業として組み立てるものです。  次のページを開けていただきます。児童家庭局全体の予算ということで言いますと、 一般会計と特別会計を足して約1兆1,800億円ということで対前年度比6.2%の予算の計上 をしているところでございます。以下、順次主だったことについてご説明を申し上げま す。  3ページですが、1として、すべての家庭を対象とした地域子育て支援事業ということ で、昨年、三位一体の関係で児童福祉関係のさまざまな予算につきましては、交付金化 し、さまざまな補助金を1本に統合しました。自治体が自分の裁量でその中身の配分を 決めることができる、裁量性の高いものにするということで、交付金化したものであり ます。  上から4行目くらいに書いてありますが、次世代育成支援対策交付金、通称「ソフト の交付金」、施設整備に対してではなくて事業に対する交付金なので「ソフトの交付金 」と呼んでいますが、こういった形で交付するということで、390億円の予算を計上し ております。  この事業の中身ですけれども、そこに6項目ほど主な事業ということで書いています が、いずれも市町村が、次世代育成支援対策推進法に基づく地域行動計画の中で計画的 に事業を行う、あるいは整備を行うものについて、交付金という形で一括して費用を交 付するという形になっているものでございます。  おめくりいただきまして4ページですけれども、子育てプランの柱の中にあります子 育てサークルあるいは児童相談を行う地域子育て支援センターの整備については、箇所 数の増を図り、支援の予算を計上してあります。  (2)ですけれども、地域児童のための健全育成事業、いわゆる学童・放課後児童対策 ということで、放課後児童クラブについては、クラブの数の増、これは子育てプランで は全小学校区の4分の3(13,200箇所)を17,500箇所を目途に整備するということになって いまして、それに向けて着実に計画的に箇所数の増を図っていくものです。  5ページの大きな2番ですけれども、保育サービス・待機児童ゼロ作戦ということで す。待機児童対策については、小泉内閣発足当初に、3カ年で待機児童をゼロにすると いうことで、3カ年で約1万5,000人分の保育所の整備を図るということで計画してきま したが、引き続き18年度においてもさらにその整備を図るということです。中ほどに 「次世代育成支援対策施設整備交付金」と書いてありますが、先ほど同様三位一体の関 係で整備費についても一括交付金の形に切り替えて交付金化したところであります。  今年度は、約100億円の増ということで268億円余の予算を要求しております。かなり 大きな予算を要求しましたので、これから年末に向けて調整しないといけないと思って おります。  (2)は、保育所以外のさまざまな保育サービスの充実ということで、延長保育、一時 保育あるいは、いわゆる保育ママの充実ということで、所要の予算を計上しておりま す。  (3)は、本日あとで保育課長よりご説明申し上げますが、いわゆる幼保一元化の関係 で、総合施設というものを検討するようにということで、政府の中で文部科学省と厚生 労働省で検討しているものですが、17年度(今年)、全国32箇所でモデル事業を行ってお ります。18年度から本格実施をするということで、予算上は、経費については既存の経 費の中での対応ということになりますが、事項として要求させていただくということで 所要の予算をお願いしているところでございます。  大きな3番ということで6ページになりますけれども、両立支援。仕事と子育ての両立 を支援するためのさまざまな施策ということで(1)では、特に中小企業において、なか なか育児休業の取得その他、両立支援のための施策が進まないということで、18年度か ら5年間に限り、中小企業における育児休業あるいは短時間勤務の適用について思いき った支援をしようということで、育児休業や短時間勤務制度の適用者が初めて出たとい う中小企業について、1人目の適用者については100万円、2人目については60万円の助 成を事業主に対して行うということで、所要の予算を計上してあります。  二つ目の○は子育てで離職した女性が再就職をする、あるいはもう一度起業するとい うような、何らかの形で勤労する、参画をしてくることを支援するということで、指導 助言の充実・マザーズハローワークと連携した総合的な再就職支援、あるいはそういっ た事業を行った先輩たちからの指導を行うための新しい助成制度を設けるというもので す。  (2)、(3)はそれぞれ短時間正社員の普及、あるいはパートタイム処遇推進のための事 業者への支援の充実ということで、所要の予算を計上しております。  7ページの大きな4番は、虐待等を中心とした要保護児童対策ということです。これに ついては、一つは子どもへの支援の強化ということで、育児支援の家庭訪問事業、特に 虐待については乳児期の虐待、あるいは死亡事例が多いということで、乳児期に手当て をきちんとやろうではないかということで、分娩にかかわった産科医療機関のご支援を いただいて、子育て中の母親に対する支援を行う事業をしたいということです。  その下の児童相談所・一時保護所・児童福祉施設それぞれ現在行っているさまざまな 施策の体制を強化するということで、児童相談所・一時保護所における心理療法の担当 職員の配置の増、あるいは三つ目の児童福祉施設における心理療法担当職員の常勤化等 々、人目の手当てをきちんとしていこうということです。  それから真ん中の、一時保護所の環境改善はハード面の整備ということで、先ほど申 し上げた次世代交付金の中で一時保護所の居住環境の改善を図るというものです。  次に、少し飛んで9ページになりますが、大きな5番は産科・小児科関係のものですけ れども、産科・小児科医療、母子保健医療の関係の補助金についても、やはり三位一体 で改革をするということで、現在は統合補助金という形で各種の補助金を一本化して執 行するという体制になっております。この統合補助金になった補助金の中でさまざまな 施策を行っていくということで、今年特に新しい施策ということで、一つ目の小児科・ 産科医療体制整備事業、小児科・産科は最近子どもの数が減っているということもあり まして、医師の確保が非常に難しい。特に小児科・産科は女性の医師も多いということ で、女性医師の就労継続という観点からも支援が必要であるということで、都道府県に おける小児科・産科の体制整備に対する所要の経費の補助を行うということです。  二つ目の○は不妊治療でして、不妊治療については、平成15年度から助成制度を創設 しておりますけれども、現在、通算2年間にわたって年間10万円まで体外受精・顕微授 精について助成を行うということになっておりますけれども、この助成期間を5年間ま で拡大するということで、充実を図りたいということです。  それから大きな6番、10ページですけれども、母子家庭の自立支援の対策ということ でございます。ご案内のように、児童扶養手当法の改正をしまして、20年から児童扶養 手当の支給期間については、有期化をするということになっていまして、20年を一つの ゴールにして、その間に母子の自立、特に就労を中心とした自立対策、体系的に自立を 図っていくということが必要だということで、そのためのさまざまな施策を講じており ます。  母子の自立支援プログラムについては、基本的には今のモデル事業を全国展開してい く。あるいは常用雇用転換の奨励補助金というものを持っているわけですが、これにつ いては、要件緩和を図る等々、母子家庭の自立のための施策の充実を図るということで す。  児童扶養手当については、これも後でお話をしますが、現在三位一体の議論の中で、 取り扱いが議論されていますが、地方団体との協議を経た形で年末の決着を踏まえて、 18年度から措置するということで、今の段階では、既存の予算の形で予算要求しており ます。  それから大きな7番、児童手当です。これについても、さまざまな税制改正の関係で 議論がありますけれども、概算要求の段階では現行制度を前提にしての予算要求です。 小学校3年生まで、第1子・第2子5,000円、第3子以降10,000円という形で所要の予算を 計上しております。  それから、大きな二つ目の柱「公正かつ多様な働き方の推進」ということで、12ペー ジですけれども、男女雇用機会均等の更なる推進ということで、これについては来年 度、男女雇用機会均等法の改正を予定して検討が進んでいるところですけれども、均等 政策の推進、あるいはポジティブ・アクションの推進のために所要の予算を計上してお ります。  それから、大きな2番、3番はそれぞれ短時間正社員・パートタイム労働に関する施策 で、これは冒頭ご説明したものですので、再掲でございます。  以上、簡単ですけれども18年度の概算要求の概要についてご説明しました。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明について、ご意見あるいはご質 問がありましたら、どうぞ手を挙げていただきたいと思います。 ○香取総務課長  恐縮ですが、遅れて参りました審議官の白石よりご挨拶させていただければと思いま す。 ○岩男部会長  はい。 ○白石審議官  審議官の白石です。遅れて申し訳ありません。よろしくお願いします。 ○岩男部会長  ちょっと簡単な事実で教えていただきたいことが一つあるのですけれども、5年間の 時限で事業主への助成措置というのが新たに始まっているわけですが、1人目の育児休 業取得者には100万円で、2人目は60万円とおっしゃったのですが、これは2人目で打ち 切りということなのでしょうか。1事業所について2人目までなのですか。それとも、3 人目でも6人でも60万円ずつ、5年の間だったら出せるということですか。 ○香取総務課長  これは最初のハードルを越えるというのがなかなか難しいだろうと。一種の、意識変 革を進めるということで、普通なかなかこういう助成の仕方というのはしないのです が、今回あえてやろうということで、1人目は100万円、2人目は60万円。この1人目、2 人目に取得する人が出た所に集中的にお金を入れようということで、一応2人目までで す。 ○岩男部会長  わかりました。他には。どうぞ、柏女委員。 ○柏女委員  特別会計が、児童福祉関係で341億円あるのですが、今新聞報道等によると、特別会 計全体の整理・見直しの議論が出ていると聞いているのですが、この予算の中で、大ま かで結構なのですが、どの事業が特別会計に当たっていて、そして今後の見通しという のはどんな感じで考えられるのか教えていただければありがたいのですが。 ○香取総務課長  特別会計の関係ですが、私どもの局の予算ですと特別会計の予算は二つあります。一 つは、厚生保険特別会計のお金で、これは児童手当の拠出金。児童手当勘定が厚生保険 特別会計の中にありますので、その関係の予算があります。もう一つは労働保険特別会 計のお金で、これは旧労働省関係と言いますか、雇用関係のさまざまな、今ご質問のあ りました助成金もそうなんですが、こういったものは労働特別会計のお金になります。  ざっと頭から主だったもので言いますと、4ページの放課後児童クラブは厚生保険特 別会計ということになります。  それから地域子育て支援センターの整備費、これも特別会計のお金です。  それから多様な保育サービスの関係で、延長保育は一般会計ですが、それ以外に一時 保育・特定保育・保育ママ等々は特別会計ということになります。  それから、ここでは明記しておりませんが、児童館の整備なども特別会計の関係の予 算ということになります。  それから大きな3番の、両立支援の関係は基本的に労働保険特別会計の事業というこ とになります。  あと額は小さいですが、12ページ、13ページの関係の予算も、労働保険特別会計のお 金ということになります。  それから児童手当本体は、私どもが計上している負担金は一般会計から計上しており ますけれども、手当自体は特別会計になります。私どもは一般会計から特別会計に補助 しているわけですけれど、事業自体は特別会計ということになります。金額ですけれど も、先ほどの2ページのところをもう一度ご覧いただければと思いますが、先ほど局全 体で1兆1,800億余円(1兆1,865億円)と言いました。このうち特別会計、上の児童福祉関 係のうち特別会計と書いてありますが、ここが基本的には厚生保険特別会計の児童手当 関係の特別会計で341億円、労働関係が下の109億円ということです。これがそれぞれ全 体のうちの特別会計ということになります。  特別会計の見直しですが、自民党に特別会計の見直しのプロジェクトチームが立ち上 がっておりまして、今日の午後、2回目の会合があります。実質的には第1回目というこ とで、自民党の、例えば、私どもであれば厚生労働部会というように、それぞれ担当す る政調の部会があるのですが、部会長からそれぞれ各所管の特別会計についての内容の ヒアリングをし、問題点の整理をするということをされるということで、これから議論 が始まるという段階だと思います。  まだわかりませんが、スケジュール的には年末には予算編成になりますので、これか ら年末にかけて議論をされて、一応この話は党が中心で取り組むということになってい ますので、与党の方で何らかの考えが示されるということになるのではないかと思いま す。 ○柏女委員  ありがとうございました。 ○岩男部会長  他には。どうぞ、堀委員。 ○堀委員   予算にかかわるということではないのですが、12ページの「男女雇用機会均等の更 なる推進」のについてです。雇用機会均等というのは、非常に狭い感じを受けます。そ もそも、賃金を含めた雇用条件のすべてについて均等を図る必要があるのではないかと 思うのですが。  この局の名称が雇用均等ですし、ここに書いてある労働政策審議会雇用均等分科会と いうのも雇用均等なのですが、予算だけは雇用機会均等という名称で計上しているの は、どうしてでしょうか。 ○香取総務課長  何と申しますか、所掌としては、私ども雇用・均等児童家庭局の中に短時間在宅労働 課とかいう課もありまして、パートタイム労働の問題については、一応私どもの方で も、ご指摘にありますように、歴史的にはパート労働者には女性が非常に多かったの で、そういった女性パート労働者の処遇の問題でありますとか雇用条件とか賃金の問題 についても所管をする形になっております。  ですが同時にパートタイム労働者の処遇の改善ということになりますと、そもそも本 体の労働基準法の中での労働時間の扱いとか、そういう、本体の法律の中での取り扱い ということもありますし、給与とか賃金体系ということになりますと、本体の賃金体系 の中での議論となりますので、その意味では例えば労働基準局なり職業安定局の中の施 策というものと、ある意味では一体になって行うということになります。  申し上げましたように、予算的には労働特別会計の中で計上し、施策を講じますの で、計上自体は例えば、この短時間労働ですとかパート対策の関係の予算については、 労働基準局なり職業安定局で計上して、それを具体的に施策を執行する時に、例えば賃 金時間課と私ども短時間在宅労働課で共同で事業主に対して指導する形でやっておりま すので、予算上は私どもの局の予算としては計上されておりません。 ○岩男部会長  それでは阿藤委員、それから遠藤委員の順番でお願いします。 ○阿藤部会長代理  二つほどあるのですが、今の12ページの「男女雇用機会均等の更なる推進」という、 少し予算とは離れるかもしれないのですが、例えばポジティブ・アクションの促進など というのは、ある種、内閣府の男女共同参画局と、非常に仕事としては相互に補強し合 うような面が強いと思うのですが、その辺の協力関係というのか、予算上はどうか知り ませんが、その辺がどうなっているのか、少しお聞きしたいと思います。  それから少し戻りまして、「次世代育成支援対策」というところで基本的には児童で すので、児童関係の予算が並んでいるのですが、例えば都道府県などで、これは新聞情 報ですけど、例えば奈良県で、結婚・お見合い促進みたいな、そういう事業も次世代育 成支援の中に入っているという話を聞いているのですが、そういうところへもこの予算 から使われることが可能なものなのかどうかということです。 ○香取総務課長  前者ですけれども、内閣府は男女共同参画社会基本法という法律がありまして、内閣 府はそれを所管しております。もう一つ、内閣府は、内閣といいますか、政府全体での 男女共同参画についての総合調整をするということになっていますので、その意味では 全体の取りまとめなり、各省間の施策の調整というのは、基本的には内閣府で取り扱う ということになっておりますが、個別のそれぞれの施策分野で具体的にどういう形で施 策を行っていくかということになりますと、それぞれ具体的な分野を持っているところ が責任を持って行うということになります。  例えば雇用の分野であれば旧労働省、今で言えば厚生労働省が雇用の分野における均 等ということをやりますし、学校教育とか教育分野での共同参画については、文部科学 省に男女共同参画学習課という課がありまして、学校教育の中でとか、あるいは社会教 育の中でのそういった取り組みを行うという形になります。  そういう意味で、確かに全体としての共同参画については内閣府で取りまとめますけ れども、個々の分野で、例えば均等法などですと、具体的に男女差別を行っている募集 については、これは無効にするとか、そういうことをしてはならない、罰則を付けたり とそういう強制的な罰則を伴って具体的に事業を展開していくということになりますの で、そういう事業は基本的には内閣府本府は直接的には持ちませんので、従って中身の 話になってきますと、それぞれ具体的な事業を起こし、施策化し、やっていくという形 になるということです。  それから二つ目のお見合いの話ですが、私どもでは残念ながら計上はしておりませ ん。経済産業省あたりが、ニュービジネスとか、新規産業の創設とかそういう観点で、 そういう事業について支援をするとかいうのは聞いたことがありますけれども。政府と しては、たぶんそういう形の対応だと思います。 ○阿藤部会長代理  ビジネスですよね。そうではなくて、県が次世代育成支援対策の中にそういうものを 盛り込んでいるという新聞情報を読んだような気がするのですが、その場合に、つまり 全体としてカバーできるのかということなのですが。 ○香取総務課長  基本的には、単独事業になると思いますが。先ほど申し上げたソフトの交付金は、か なり自由度が高いので、どういう事業を組むかという中身にもよりますが、公民館の借 り上げ賃くらいは見るとかはひょっとしたらあるかもしれませんが、基本的には施策自 体は各自治体の単独事業ということになります。 ○岩男部会長  よろしいですか。では遠藤委員。それから大日向委員。 ○遠藤委員  9ページですが、母子保健医療対策等総合支援事業ということで、小児科・産科医療 体制整備事業の実施ということが新規事業で挙がっておりますが、この内容を見ます と、本当に今全国で小児科医・産科医というのが非常に減少していることによって、医 療機関の閉鎖ということも生じておりまして、片道2時間かけて妊婦健診に通う実態が あります。この補助事業の内容を見ますと、小児科医・産科医の確保と、施設の集約化 という内容に取られてしまうのですが。小児科・産科医療となりますと、それを担って いるのは、医師はもちろん大事ですけれども、コメディカルもたくさんいるわけです。 例えばその一つ前の7ページに、分娩にかかわった産科医療機関の助産師等による訪問 支援を推進するというようなこともありますが、こういう流れの中で、正常な妊娠・分 娩・育児というのは、やはりサポートするすべての過程にというところでは、正常産を きちんとサポートする仕組みというのが大事なので、できればこれは医師の確保だけで はなく、助産師・保健師等のコメディカルも含めた形で、都道府県単位で「自分のとこ ろはどうやってやるのか」みたいな工夫を補助すると解釈してよろしいのかどうか、お 聞かせ願いたいと思います。 ○香取総務課長  若干説明が不十分で申し訳なかったのですが、例えば、小児科のベッドの数の確保と か、適正配置とか、小児科の医師の計画的な養成、それからコメディカル、看護師や助 産師を含めた養成は、本体と言いますか、それ自体を本業にしている医政局というのが ありまして、そこで基本的には、全体のプログラムを作って施行しています。その意味 で言うと、私どもの局は、母子保健なり、乳幼児医療という切り口から、その部分の方 からできることを少しやろうという切り口での施策ですので、そういう意味では全体と しての施策は、まず医政局にあります。私どもの方で、取り組めるものは取り組むとい う切り口で取り組むと。  今回この事業の中で出てきたのは、もちろん小児科・産科医の確保ということもある のですが、先ほども少しご説明しましたが、小児科・産科は、女医の比率が高いという ことで、これから女性の医者の比率が上がってくるのですが、産科・小児科はそもそも 比率が高い。今医科大学では4割くらいが女性だそうで、かなり女性の割合が多いとい うことになりますと、通常の労働事情と一緒で、30代後半ぐらい、ちょうど一番中心に なって働いていただかなければならない時代に、結婚・子育て問題が生じて、その辺で 小児科・産科の女性医が一斉に職場を離れてしまいますと、かなり大変なことになる。 むしろそういう観点も少しありまして、小児科・産科の方々が、きちんと労働現場で、 引き続き臨床で働いていただけるようにという意味で、一種、勤務の弾力化なり、両立 支援なり、そういう観点での取り組みを少し中心的にやっていこうと、私どもの方でア プローチしてやろうと思っている、小児科・産科医療体制の整備事業ということになり ます。そういう意味で言いますと、先生がご指摘の全体の体系をどうするかとか、きち んと配置するとか、コメディカルも含めた人材の確保ということになりますと、私ども の局ではそこは手が届かないので、医政局本体で取り扱ってということになります。  それから施設の集約化の話は、お話のように数が少なくなっているのと、出産件数そ のものが少ないので、ある程度集約していくという議論と、それは開業医に下ろしてい って、集約するのではなくて、むしろ地域の医療に下ろしていくべきではないかと、そ こはそれとして議論があると聞いております。ここではいわゆる病院と言いますか、一 定の機能の整った病院については、ある程度集約化をしていくと。ここは一つ方向性が 出ていますので、それに対応した医師の配置なり養成を、私どもでも考えていくという ことです。 ○岩男部会長  大日向委員いかがですか。 ○大日向委員  4ページのところで、先ほど、特別会計として挙げてくださった、地域子育て支援セ ンターの整備、それから放課後児童クラブの拡充ということですが、前者の方は、在宅 で育児をしている方々にとって、また後者は就労家庭の方々にとって、今大変求められ ている支援だと思います。それに対しまして、設置箇所数をこのような形で増やしてく ださっていることを、大変ありがたいと思います。ただ、単純に予算を設置箇所数で割 りますと現実にはなかなか厳しいかと。とりわけ、こういうセンターの運営で一番かか るのは人件費ですが、学童クラブなどでも指導員の方々の手当てというのが、必ずしも 十分ではないということも聞いておりまして、その辺り、これは人件費も設備費も全部 含めた金額としてお考えのことなのでしょうか。 ○度山少子化対策企画室長  内容的に少し説明しますと、4ページの上の地域子育て支援センターの整備とありま すが、建物の整備自体は、例えば保育所に併設されるような場合には、保育所と一体的 に整備をしておりますので、ここで挙げているのは、いわゆる設置されたセンターの運 営の事業費の部分を計上しております。人件費もございますし、それから各種の事業を 執り行うときの、光熱費とか雑費とかそういったものが計上されているということで す。  それから放課後の方は。 ○事務局  放課後の方もこれは事業費でございまして、整備の方は別途120億近く用意してござ います。 ○岩男部会長  何しろ予算がないと、私たちがやっていただきたい施策が実現しないということで、 皆さんは関心が非常に高いわけです。最後に一つだけ私からもお願いと、それから委員 の先生方にもご報告なのですけれども、先般の社会保障審議会が開かれましたときに、 かねてより児童関連の予算をもっと増やして欲しいという、これはたびたびここでもご 指摘ありましたので、ちょうど大臣もご出席でございましたので、そのことをぜひお願 いしたいと発言させて頂きました。大臣はもちろんそのことはもう頭にきちんと入って おられるわけですけれども、何しろ7割が高齢者で、高齢者の数がますます増えていく 関係で、社会保障費の高齢者に向けられる比率がどんどん増えて、比率で話をしていて も仕方がないというか、とにかく私たちとしては絶対額を増やしていただきたいという ことだと思います。それは皆さまからのご意見もということで、お伝えをしてございま す。  それから一つだけ、不妊治療に対する支援が年限が伸びるというのも結構なのです が、やはり宿った命が正常に生まれて、育てられるということが非常に大事であって、 先ほどの正常お産ということを言われましたが、その正常お産の件数が大半であるわけ です。生まれるまで10カ月の間に何回も医者に通うことになりますが、病気ではないと いうことで全く保健が利かないわけです。これがエコーを使うと15,000円かかるし、通 常で5,000円ぐらいかかってしまい、かなりの負担になっています。これは妊娠した女 性はすべて医者に行かれるのですから、そういう意味で今後の課題として、私はぜひ予 算を立てられる際にご検討いただければと思っております。  それでは先に進ませていただきます。また時間がございましたら、戻ってご質問いた だければと思います。  次に保育所の待機児童数と総合施設の検討状況につきまして、保育課長からご説明を お願いいたします。 ○尾崎保育課長  お手元の資料の2、資料の3、引き続きご説明をさせていただきます。  まず資料の2、保育所の状況等について、今年の4月1日の状況でございます。上の四 角の中にございます通り、保育所全体の利用児童数が2万7,000人の増加ということで す。内訳はその下の枠外の表にございますけれども、ご覧いただければと思います。そ れから待機児童につきましては、待機児童数は2年連続減少ということで、平成16年4 月、昨年4月に、待機児童数が5年ぶりに減少したわけですが、今年の4月はさらに1,000 人減少ということで、4月現在では2万3,000人ということになっております。  三つ目の○ですが、児童福祉法上は待機児童が50人以上いる市町村は、それを解消す るための保育計画を作るということが義務付けられておりますが、その該当市町村が94 市町村ということです。昨年が95で、15〜6の入れ替えがございましたが、依然として それだけの数の市町村が残っているということです。  総括としましては、依然として都市部を中心にご覧いただけます通り、多数の待機児 童がまだ残っているわけでして、子ども・子育て応援プランに基づいて、なるべく早期 の解消にハードの整備等も含めて、がんばっていきたいと思っているところでございま す。  総合施設のモデル事業の評価委員会についてです。資料の3をご覧いただければと思 います。総合施設につきましては1番の主旨のところに書いてありますけれども、この4 月から35カ所でモデル事業を実施しております。来年度からの本格実施に向けまして、 職員配置・施設設備・教育・保育の内容等について、評価・検証をするため、評価委員 会というものを設けまして、2番のスケジュールの最初にあります通り、10月4日に第1 回を開催したところです。書面調査の結果を提出いたしまして、自由討議をやっていた だき、今後の予定としましては、今月の24日に、今各委員のご都合を伺いながら、実地 調査をやっていただいています。そのデータを合わせて、さらに議論を深めていただき たいと思っております。※の所にございますが、職員配置・施設設備を中心に、来月ま でに中間整理をやっていただきたいと。さらにご検討を加えて、年度末までに最終的な 報告を取りまとめる予定にしております。委員につきましては、3番に書いてある通り ですけれども、本部会の無藤先生に委員長をお願いいたしまして、さらに小笠原委員、 吉田委員にも加わっていただいているところでございます。  次のページ、見開きで第1回の評価委員会における主な意見を、ポイントを絞ってで ございますが、挙げています。ざっとかいつまんでご説明をします。まず1番の総論で すが、総合施設での新しくハコモノを作るという発想ではなく、機能の話であるという ことを再確認したいという意見がありました。二つ目の○にございます通り、総合施設 はその地域の実情に柔軟に対応するという要素と、ここは基準として大事に守るべきだ という、二つを両立するようなことを考えていくべきではないかという指摘がありまし た。それから大きな2番、職員配置につきましては、一つ目の○にある通り、特に保育 所レベルの職員配置が守れるかどうか懸念をしていると。特に低年齢の配置が重要なの で、しっかり考えていくべきではないかという指摘がありました。それから職員配置 で、これは実際の工夫の話だと思いますが、二つ目で、例えば低年齢児、それから小学 校に接続する部分、そういったところへ職員の経験の豊かな人間を配置するという工夫 がなされているといったようなこともありました。職員配置の最後の○ですが、研修の 重要性について、各施設からいろいろな報告が上がってきておりまして、委員の方から のご意見でも研修は重要であると。特に保育所スタイルの場合には、育児時間が長時間 にわたるということで、時間の確保に苦労している、あるいはいろいろな工夫をしてい ますというような意見がありました。  3番の職員資格というところですが、一つ目の○にございます通り、特に0〜1歳児に ついて幼稚園側にとって未経験の分野なので、ここは慎重に留意していく必要があると いう意見がありました。  次のページですが、4番、施設設備につきまして、これまた0〜1歳児についてのご指 摘でしたけれども、これは幼稚園にとって未経験の分野なので、安全の確保に慎重に取 り組む必要があると。これは幼稚園を代表される委員の方からこういうご意見がありま した。それから給食施設のあり方については、今年7月に成立した食育基本法の主旨と いうものを踏まえて検討していく必要があるのではないかというご意見。それから次の 5番、教育・保育の内容ですが、一つ目の○ですが、例えば幼稚園はどちらかというと、 クラス保育重視、保育所は異年齢保育重視と、単純に割り切れませんが、ややそういう 傾向があるということで、委員のご意見としては、総合施設におきましては、その両方 を取り入れていくべきではないかというご意見。それから二つ目の○にあります通り、 保育所はどちらかというと、個に着目した要素、幼稚園はどちらかというと集団教育的 な発想という差があるように思うが、この個と集団というバランスを、年齢発達段階に 応じて考えていくべきではないかというご指摘だったかと思います。三つめの○です が、例えば早期から英語、コンピューターを教えるというような早期教育の動きが一部 にあるわけですが、教育の意味を履き違えることなく、きちんとした警鐘を鳴らしてい くべきではないかというご意見がありました。  最後の6番、子育て支援でございますけれども、一つ目の○にございます通り、幼稚 園、保育所が機能を広げていく中で、目配りが行き届かないのは、在宅の0〜2歳児とそ の保護者であると。そういう意味でこの子育て支援というのは、総合施設の必須事項と 考えるべきではないだろうかというご意見もありました。  今申し上げましたように、まだ実地調査を踏まえて検討・評価を続けていただきます ので、また折に触れて、この部会でもご報告、ご意見を伺うように努めて参りたいと思 います。以上です。 ○岩男部会長  それではただ今の説明に何かご質問、ご意見がございましたら、また委員の先生方で 何か補足で発言がございましたら、お願いします。無藤委員。 ○無藤委員  今のご報告の通りですが、総合施設につきましてはご存じの通り、このようにモデル 事業をしているわけです。その結果としてどういう基準を国が出すかは、全国的に極め て影響力が大きいと思いますので、十分慎重に検討をしたいと思います。ただ、その際 に、先ほどのご報告の議論の内容の最初の方にもありましたが、国としてどの程度、き ちんと基準として出すのか。どこまでを地方なり現場に任せるかと、その判別がなかな か難しくて、やはり従来の保育所や幼稚園のやり方と少し違うことが求められている気 がいたします。そういう意味では、他の厚生労働省の資格等や、施設の基準のあり方と また違う、新しい時代の地方分権化の中での施設のあり方や、国の予算の出し方という ものの一つの試行というのか、大げさに言えばそういうところもあるので、私どもはわ からないところもありますが、基本的な方向としては、国としては最低レベル、最低と いうのはひどいということではなくて、これ以上下げてはいけないという辺りと、ある 程度幅のある提示という辺りで、同時に地方の工夫をできる限り妨げないような表現を 工夫したい、とそんなことを考えています。 ○岩男部会長  はい、柏女委員。 ○柏女委員  直接関係はしないのですが、文部科学省の方で、幼稚園教育要領の改正の話があると いうことで、私も今回委員に参加をさせていただくことになったのですが、その見通し と、それに基づいて、保育所保育指針も変えていくこともあり得るのかと思うのです が、少しその辺の動向をお伺いした上で、意見を申し上げたいと思うのですが、よろし いでしょうか。 ○尾崎保育課長  保育所保育指針は従来からその幼稚園教育要領と歩調を合わせてと言いますか、いろ いろな検討、改定を重ねてきておりますので、その辺はわれわれも、見守りながら注意 深く検討していきたいと思っております。その話と同時並行で、今まさに評価委員会で ご議論いただいています、制度設計途上の総合施設のありようというものが、オリジナ ル保育所、オリジナル幼稚園との関係で、教育・保育のあり方をどう位置付けるのかと いうことが、非常に大事なことになろうかと思います。その総合施設のありようも含め まして、これは保育・教育の要素が、当然総合施設は持つわけですから、その辺の検討 を両省でやっていきたいと思っております。現に、これまで出ているご意見の中でも、 例えば地域子育て支援というようなありようについて、現在の幼稚園教育要領のスタン スというところでは、その辺は重視する必要があるのではないかとか、そういったご指 摘も出ていましたので、両省でその辺はきちんと受け止めていきたいと、同時並行で考 えて行きたいと思っております。 ○岩男部会長  どうぞ。 ○柏女委員  ぜひ同時並行でお願いをしたいと思うのですが、これまでは幼稚園教育要領の改定が あって、それを受けて保育所保育指針を改定するという形になってきておりまして、ど うしてもその教育の分野に引きずられてしまう可能性がありました。そういう意味で は、せっかく合同部会まで来ましたので、保育所保育指針の改定、幼稚園教育要領の改 定について、合同の場を活用しながら、一緒にやっていくということを、ぜひご検討い ただければと思っております。これは要望です。よろしくお願いいたします。 ○岩男部会長  他に。渡辺委員、それから阿藤委員お願いします。 ○渡辺委員  例えば今の中で、子育て支援は総合施設の必須事項であり、在宅の0〜2歳児およびそ の保護者等が一番谷間にあるということから、少し焦点を当てたいのです。例えば「健 やか親子21」は、産後のお母さん100人中、13.4%が産後うつ病になると言われていま す。産後うつ病の状況にある、産後うつ病の親子関係に置かれた子どもたちの中から、 やはり学習障害とか、多動とかいろいろな心身症が出てくる率が高いということは、国 際的に工業化社会で言われています。この0〜2歳の子どもたちを、ぜひ見ていくという 視点と共に、総合施設が実は応援しているのは、子どもではなくて、子どもとお母さ ん、子どもと家族です。その家族の中にもかなり高率、つまり産後の7.5人に1人ぐらい が、お母さんが人に言えない産後うつを病んでいる。例えば保育所が200万人の子ども が利用しているとしたら、単純に200万人のうちの13.4%と言ったら、何万人です。結 局「健やか親子21」で一つ明確にしている、先進工業国の産後うつのリスクが、すべて の家庭に起き得るので、そこの適確な子育て支援レベル、プライマリーケアレベル、セ カンダリーケアレベルの職員のトレーニングをしたり、あるいはスーパーバイズをした り。あるいはそういうところに女性の小児科医などが積極的に入っていって、自らが子 育てをしている女性として、そして同時に小児医療や乳児医療や、そういった周産期医 療を扱う女性として入っていって、もう少し乳幼児期のリスクが、母子共に高いという 事実に焦点を当てたような観点を出していただくと、先ほどの女性医師の活用というこ とにもつながります。総合施設を作る意味も、谷間を何とか救おう、さりげなく地域の 中で落ちこぼれている人を救おうと。ただし、産後うつ病は励ましてはいけない、さり げなくやらなければいけない、これは経験とパラメディカルの保健師たちの暖かい、現 場を根ざした動きなど、全部総合してやる必要があると思います。そこをもう少し打ち 出してやってもらうと、予防、小児精神保健的な意味が、もう少し出てくるように思い ます。 ○岩男部会長  それでは阿藤委員お願いします。 ○阿藤部会長代理  これは前にもお聞きしたかも知れませんが、待機児童というものですが、もう何年に なりますか、待機児童ゼロ作戦という大看板で多分、小泉内閣が銘打ってやっていると 思うのですが、毎回2万何千人という数が、それほど増えもせず、減りもせず、こう続 いているわけです。全国で2万何千人という数は、それほど大きな数ではなくて、例え ば努力をすれば、一気に消すことができるようなニュアンスの数字なのですが、しかし 現実にはそういう数字がずっと続いていると。ということは逆の言い方をすれば、潜在 ニーズというのがどこかにあって、それは相当大きなものであるということを表してい るのではないかと思うのです。その潜在ニーズのようなものを、行政としてうまくすく い上げていく、捕まえていくという、そういう方面の努力は、そういうことを少し伺い たいのですが。 ○尾崎保育課長  直接お答えになるかわかりません。実はこの待機児童、今ご指摘がありましたよう に、減ってはおりますが、その減り方と言いますか、それが顕著なものではないとい う、その背景に、保育所もご覧いただけますように一生懸命たくさん作っているわけで すが、そういったことが、かえってある意味ではニーズを掘り起こすと言いますか、そ ういうことがあります。横浜市は、昨年はワーストワンということで、待機児童が1,200 人ほどございました。ところが、この1年間、市のかなり積極的な保育所の整備、これ は市の単独、国の助成を合わせて、かなりの精力的な整備をやりまして、今内訳で言い ますと、600人ほどで、ほとんど半減に近い状態にまでなっているということで、ワー ストワンから4位か5位だったでしょうか、そこまで一気に減らしたということもありま す。努力のしようによっては、きちんとした対応ができるということが言えると思いま す。そのためにも、国の方でも、保育所の整備を、まさにこの待機児童のいる市町村を 中心に、地域の偏りをなるべく早期に解消するようなことを、やっていくと思っており ます。  また非常に難しいのは、保育所の整備をこういうふうに精力的にやると、住みやすい 町だということで、若いお母さん方が集まりやすくなる、ある意味では、そういういた ちごっこのようなところもあるわけでございます。いずれにせよ、今ちょうど子育てに かかる可能性のある世代のお母さん方が、いい時期にかかっておりまして、この3年間 ぐらいが非常に大事な時期と思っております。残念ながら、保育所のハード交付金のお 金が、今年度は十分ではなかったという反省もございまして、概算要求では、そのハー ド交付金の100億増ということで、要求させていただいております。そういった形でや っていくことで、今このピークを迎えているところに、なんとか対応できるのではない か、またしなければならないと思っております。 ○岩男部会長  網野委員は手を挙げていらしたでしょうか。 ○網野委員  総合施設モデル事業の評価委員会の内容についてです。私自身、個人的にかかわって いる中でも、このいろいろな示された意見の中で、特に重要と思うことが一つ指摘され ているかと思うのです。それは特に0〜1歳児段階での、総合施設の機能・役割というこ とかと思います。2ページに書いてあります、2の職員配置の最初の○で、特に低年齢児 の配置について課題が多いとか、3の職員資格の最初にあります、0〜1歳児は幼稚園側 にとって未経験の分野であることに留意が必要とか、あるいは3ページの6の子育て支援 で、先ほど渡辺委員も指摘されていましたが、在宅の0〜2歳児およびその保護者、この 辺りはまさに総合施設が将来どういう位置を占めるのか、あるいは保育システム、幼児 教育システム、あるいはその一体化も含めて、今後の検討をする上で、かなり重要なポ イントになってくるのかと思うのです。もし今回のこの様々な意見を背景として、基準 あるいは地域の実情に応じたありようという、両方の要素を含めながらという場合に も、可能ならばもちろん最低基準的なスタンダードとしての職員配置ということ、それ からどんな職掌というのは入れる必要があると思いますし、もう一つ可能ならば、ガイ ドラインというようなものがあると、この面での方向を考える上でいろいろ参考になる ことが多くなるのではないかと思います。  特に職員の中で、低年齢児保育ということの重要性と言いますか、保育士だけに限ら ないと思いますが、とりわけ保育士と、それから教員的背景を持った、いわゆる幼児教 育に懸かる人たちにとっても、0〜1歳児期の子どもの発達とか、かかわり方ということ も踏まえた専門的な体制ということは、一つのいいきっかけとして活用できる。どのよ うな基準なり資格が必要かということまで、将来ひょっとしたら及ぶかも知れませんの で、この辺りを非常に注目している人も多いかと思います。さらに先ほど渡辺先生もお っしゃっていたような、保健師とか、現在乳児保育で非常に意味を持っている職種も含 めて、何らかの基準なりガイドラインということで、考えていくことを希望します。 ○岩男部会長  先ほどの渡辺先生のご意見も、特にお答えいただくというよりもむしろ、この総合施 設だけの問題ではなくて、もっとその枠を越えた、ある意味で重要で基本的な問題と伺 いましたので、今、網野委員からのご意見もまた、そういうものとして、今後検討して いく問題ではないかと考えております。  よろしければ、先に進ませていただきます。  続きまして、議事の(4)の次世代育成支援対策推進法に基づく取組状況について、事 務局よりご説明をお願いします。 ○度山少子化対策企画室長  少子化対策企画室の度山です。お手元の資料に基づきまして、本年4月から本格的に 施行されています次世代育成支援対策推進法の、各主体が作ります行動計画の策定の状 況を簡単にご報告させていただきます。  1ページ目ですが、まず都道府県および市町村が作ります公共政策としての地域行動 計画の策定の状況です。これも何度かご説明させていただいたと思いますが、施行半年 が経過した状況ということです。都道府県の状況は、前から変わらないのですが、富山 県1県のみ。これは事情を聞きますと、今年度は県の総合計画を作っていて、そこで人 口減少であるとか、少子化対策のウェートを上げて考えているので、それと合わせて検 討しているということで、今年度中に策定ということで聞いております。市区町村でご ざいますが、かなり未策定というのは減って参りまして、市町村も合併をしております ので、分母分子が変わって把握が難しいのですが、10月1日現在でとらえますと、2,239 の市区町村があり、その中で策定済みが2,227、残っておりますのが12という状況です。 いつまで策定ということで聞いておりますが、そのうちの半分くらいが、今年中に策 定、来年までかかってしまうのが5市町村というような状況です。  中身の方ですが、これも市町村合併でいろいろな数値の集計もしておりますが、まだ 報告が十分に上がってきていない状況ですので、またこれは適宜ご報告をさせていただ きたいと思います。  ページをめくっていただいて、2ページ目ですが、今度は事業主、いわゆる民間企業 が人を雇う立場で作ります一般事業主行動計画策定届ということです。9月末現在で全 国の都道府県労働局に、企業が策定いたしますと、行動計画を作りましたという届けが 出るわけでございますが、その状況を報告しております。中ほどですが、義務がかかっ ております301人以上の企業は全国で12,450社ありますが、9月末現在で、このうちの 84.4%から届け出が上がってきたという状況です。3ページ目の方には、これまで何度 かご報告させていただきましたが、4月末、6月末、9月末ということで、順調に上がっ てきているという状況ではありますが、301人以上の企業については義務ですので、究 極的には100%にならなければいけないということでして、未届企業に個別に督促を行 い、最終的には法律上厚生労働大臣の勧告ということも手段としてあります。そういっ た中で届け出率を100%に上げていくという努力をしたいと思っております。  4ページ目の都道府県別の状況ですが、全国で11県100%という所があります。それか ら100%までいっていませんが、90%台という所も26道県ということですので、かなり 進んできたというところですが、東京に代表される人口集中地域がまだパーセントが低 いという状況でありまして、この辺に力を入れていきたいと考えております。  それから少しページは飛びますが、最後に6ページ、7ページのところですが、これは 国・地方公共団体も人を雇うという立場で事業主としての行動計画を作るということに なっていまして、その状況です。国の機関については、既に4月の時点ですべて策定済 みという状況です。都道府県に関しましては、兵庫県が今月中に策定ということで、そ れですべて完成するということです。市区町村の方ですが、こちらの方はやや率が落ち まして、策定済みの所は72.4%、未策定が27.6%です。背景の事情としては、まだ市町 村合併が進行形で、特に職員の労働条件等の関係の調整の中で話があるものですから、 そういったことで策定が遅れている状況だというふうに推察されております。  7ページ目に都道府県別の状況をご報告していますが、未策定である理由を書いてい ただいていますが、大体策定の済んでいない所の半分ぐらいが合併してまだ間がない、 あるいはこれから今年度中に合併であるということで、そういった事情を報告している 状況です。この点につきましては、7月の初めといいますか6月の終わりの段階で、各都 道府県を通じて早期策定の要請を行ったところですが、市町村合併の事情もわかります ので、そういった場合には合併後速やかに策定されるように、引き続き働きかけていき たいと考えています。以上です。   ○岩男部会長  ただ今のご説明につきまして、何かご質問、あるいはご意見がありましたら。  阿藤委員、どうぞお願いします。   ○阿藤部会長代理  二つあります。  一つは、ある県に行った時に、次世代育成支援で301人以上の企業がどういう行動計 画を作っているかを県は関知していないというか、これは法律の関係なのだと思うので すが、素通りして国に行ってしまうというようなことを聞いて、県に所属する企業であ るにもかかわらず県が掌握していないというやりづらい話を聞いたことがあるのです が、個人的に考えてもその辺は不思議な感じがするなということがあったので、法律の 問題もあるのでしょうが、その辺をこれからどういうふうに考えていくのかを伺いたい と思います。  それから、これだけ出てきてその中身なのですが、どういう項目がどれぐらい上がっ ているのかという資料が既にどこかにあるのでしょうか。   ○度山少子化対策企画室長  まず1点目の、これは一般事業主の行動計画だと思いますが、提出先は各都道府県単 位に国の組織として労働局というのがあって、そこに出すことになっていますので、地 方公共団体の組織は通らないで、ということになっています。  それから地域の行動計画の場合には、策定後は公表されるということになっています が、企業の行動計画の場合には、企業に公表義務まではかけていませんので、企業が例 えばいい人を雇いたいからとか、自分のところの商品等も関係して、そういったことで オープンにされるかどうかということは企業のご判断ということです。そういったこと もあって、なかなか関係者以外には、その具体的な中身はつかみにくいというところが あります。  実は国の方も、直接行動計画そのものを届け出ていただいているわけではなくて、作 ったということの策定の届けということですので、どういった項目について記載をした かというところまではわかりますが、例えば個別にどういった目標を立てたかという細 かい情報は、企業の任意のご協力を得て、いろいろ調べたりしているという状況です。  主にどういった取り組みがあったかということの結果は、一度まとめて公表したこと はあったかと思いますが、あとは地方公共団体として、ワークライフバランスを考えて いきたいということで取り組んでいただいている都道府県もありまして、そういう意味 では、私どもと全く同じ立場に立つわけで、いろいろな企業の方で研究会を作っていた だいてとか、あるいはそういう雰囲気を盛り上げるためのシンポジウムなどをやって と、そんなことをやられているというふうに承知しています。細かい中身については、 言ってみれば、企業の任意の協力を得て、普及啓発を進めていくという枠組みになって いるということです。 ○岩男部会長  ちょっと関連で伺いたいのですが、届出企業のうち、認定申請の予定ありとしている という企業の割合が3ページに出ていますが、これを見ますと非常に低いのですね。大 企業がわずか2割強で、しかも中小企業の方が3割弱ということです。ということは、認 定をもらってもあまり魅力が無いというか、何かインセンティブになっていないという ふうに解釈すればよろしいでしょうか。 ○度山少子化対策企画室長  まず一つは、企業が2年なり5年なりの行動計画を作って、それに基づいて取り組んで 一定のレベルに達したものを認定するということで、企業にとってもやってみないとわ からないというところがあります。ここに書いてありますのは、策定したという旨の届 け出をいただいた時に、認定を受ける意向があるかどうかということを尋ねていますの で、実際に企業の取り組みが進むに従って、この率は変わってくる可能性はあります。  それから中小企業のパーセントが多くなっているのは、実は中小企業が行動計画を策 定するのは努力義務ということになっていますので、その意味では策定していただいて いる企業は、中小企業で行動計画を作った企業というのは、どちらかというとかなり熱 心な企業ということもありまして、認定の意向も高く持っているというふうに理解して います。 ○岩男部会長  ありがとうございました。よろしいですか。  それでは次に三位一体改革に関しまして、生活保護および児童扶養手当に関する関係 者協議会での検討状況について、事務局からご説明をお願いします。 ○清川家庭福祉課長  家庭福祉課の清川です。私の方から、資料5をご覧いただきまして、「生活保護費及 び児童扶養手当に関する関係者協議会」の検討状況についてご紹介したいと思います。  この協議会につきましては、国と地方との役割分担を見直すという三位一体改革に関 する議論の中で、昨年11月、生活保護および児童扶養手当に関する負担金の改革につき まして、地方団体関係者が参加する協議会を設置して検討を行い、平成17年秋までに結 論を得て、平成18年に実施することとされたことを受けまして、この両制度のあり方に つきまして協議会を開催しています。  2の開催状況にありますように、第1回協議会は今年4月20日に開催いたしまして、そ れから第2回から第4回まで開催してきたところです。明日10月19日に第5回の協議会を 開催することを予定しています。  この協議会の構成員ですが、地方団体側から石川県知事および高知市長、国から総務 大臣、財務大臣、厚生労働大臣、有識者といたしまして木村先生、京極先生に参加して いただいているところです。  なお参考のところに書いてありますが、この協議会の下部組織としまして、例えば生 活保護率の上昇、あるいは児童扶養手当の増加などについての原因分析とか、あるいは 母子家庭の就労・自立支援の取組などの状況分析など、こういった事柄につきまして、 事務レベルで行うための協議会の共同作業を行っていまして、第1回から第4回まで実施 というところです。  なおここでは、例えば児童扶養手当につきましては、児童扶養手当の受給の動向には 離婚率とかあるいは有効求人倍率などの社会的要因、あるいは経済雇用情勢が大きな影 響を及ぼしているといった議論とか、地方自治体の個別の取り組み事例を見れば、それ ぞれ効果を上げて、各自治体の取り組みにより就業や収入増加を生み出し、それを通じ て受給額の減少に結びついているなどのような例もあるといった議論をしています。  1枚めくっていただいて、本協議会における議論ですが、そこにこの第2回協議会まで に指摘された論点で1から4で上がっていまして、この順序で行っていますが、現在まで のところは2の「生活保護制度について検討すべき課題」ということで、生活保護の問 題につきましてほとんど議論をしてきています。  児童扶養手当につきましては、第3の「児童扶養手当制度に関連して検討すべき課題 」ということで、一つ目としては「児童扶養手当受給者の就労支援の在り方とその取組 状況の地域間格差」、二つ目として「養育費の確保対策」ということが論点でして、こ の2点につきましては、明日第5回の協議会で議論することとされています。  3枚目の次のページでは「三位一体の改革について」ということで、この協議会につ いての枠組みを示したものです。  なおこの協議会におきましては、秋までに結論を得るということが求められていて、 さらに議論を尽くした上で、速やかに結論を得ていきたいと考えています。以上です。   ○岩男部会長  ありがとうございました。ただ今のご説明につきまして、何かご質問あるいはご意見 がありましたら、ご発言いただきたいと思います。よろしいでしょうか。  それでは、次に前回の児童部会でご質問がありました障害者自立支援法案について、 事務局からご説明をお願いいたします。   ○?本障害福祉課長補佐  障害福祉課の課長補佐の?本です。今回私どもが提出している障害者自立支援法案の 概要についてご説明申し上げたいと思います。  資料6の1、私どもの障害者自立支援法案ですが、こちらに書いてある通り、障害者の 地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、障害者基本法の基本的理念にのっと り、これまでの障害種別ごとに異なる法律に基づいて自立支援の観点から提供されてき た福祉サービス、公費負担医療等について、共通の制度の下で一元的に提供する仕組み を創設することしました。自立支援給付の対象者、内容、手続き等、地域生活支援事 業、サービスの整備のための計画の作成、費用の負担等を定めるとともに、精神保健福 祉法等の関係法律について所要の改正を行うこととしています。  大きな中身として5点あります。第1点目は「障害者の福祉サービスを一元化」で、現 在身体障害、知的障害ということについては福祉のサービスとして行っていますが、事 業としてもけっこう進んできました。ところが精神障害者につきましてはなかなか福祉 のサービスには進んでいない。これも障害という差別の言葉になってしまいますが、同 じ障害と言いながらも差別が出ている。今回一元化することによって、皆が平等にサー ビスを受けられるようにしたいというのが第1点目です。と同時に、今回の改正の中で もう一つの一元化を考えていまして、障害者の方が相談に行ける窓口についても、最終 的には市町村に一元化をしたいと考えています。障害の中でも、児童関係と精神関係は 県で行っています。それにつきましても将来的には市町村へということを考えて、今見 直しも含めてやるということで、将来的には一元化を考えています。  2点目は「障害者がもっと働ける社会に」ということです。一般就労へ移行すること を目的とした事業を創設するということで、今回就労移行支援事業という新しい事業を 盛り込んでいます。それと同時に障害者が働く場所として、在宅での就労といったもの をこれから事業体系の中に盛り込むことを考えています。  3点目は、「地域の限られた社会資源を活用できるよう規制緩和」ということで、現 在私どもの福祉サービスは社会福祉法人が中心として行われてきています。今回私ども ではそこをもっと地域でということで、今までは通所事業という形ですと社会福祉法人 でしかできませんでしたが、今般日中活動という形で事業体系を見直し、そこにつきま してはNPO法人、医療法人等でも行えるという規制緩和を考えています。さらに行う場 所についても、箱という形ではなく、学校の空き教室、空き店舗ということで、大きく 正規の基準についても見直しをし、配置についても見直しをして、地域の規制緩和を行 い、サービスの提供体制の確立を狙うということを考えています。  4点目は「公平なサービス利用のための手続きや基準の透明化、明確化」ということ です。これについては背景があります。申し訳ありませんが、資料6の2を見ていただき ます。6の2のページを開けていただいて2ページです。公平なサービスということを考 えていますが、実際に6の2の資料の2ページの左側、「サ−ビス水準にも大きな地域間 格差が存在する」と。人口1万人に対し支給決定者数がどれだけかということですが、 折れ線グラフが介護保険です。棒グラフが支援費制度、いわゆる障害者の手当ですが、 滋賀県、大阪府のように、ものすごく高い確率でサービスを受けられるというものもあ れば、富山県、福井県のように非常に少ないという大きな地域格差が生じている。これ では公平性の確保はできないということもあります。こういった手続基準というものが あまりにも不備な面がありますので、そういった意味でも今後透明化していく。また使 用にあたっても、本当に正しい使用なのかということで明確化をするということを4番 で考えています。そのため使用者においては審査会といったものを設けるというふうに 考えています。  次に5点目です。「増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合う仕組みの強 化」ということです。まず、同じ資料の6の2の今のページの右側です。在宅サービスの 予算の状況というところをご覧いただきたいのですが、平成14年度までは補助金という ことで、居宅のサービス、ホームペルプ、ショートステイ、デイサービスというものに ついては補助金の中でまかなってきていまして、この当時では12億円が不足するという 形でした。15年に支援費制度が始まりまして、障害者が自己決定、自己選択ということ で、新しい制度に切り替えました。その時には利用者の方からものすごく使いやすい制 度ということで喜ばれました。おかげをもちまして、利用者がどんどん増えました。代 わりに私ども財政の方は非常に大きなマイナス、不足を生じました。15年度で128億円 の不足、16年度で274億円の不足というふうに大きな財政不足が生じているので、制度 破綻というものが見えてくるという状況です。このため、こういった費用に関しまし て、どういった対応ができるかということで、第1点目で「利用したサービスの量や所 得に応じた公平な負担」、1割負担を導入するということを今考えています。これはサ ービスに対して1割を負担していただくということと、もう1点、在宅なりとの公平を 考えまして、施設や通所施設、入所施設でかかる食事代については、在宅の方との公平 性の観点から、個人の自己負担に切り替えるということを考えています。  2点目は「国の財政責任の明確化」ということで、これは今まで居宅に関するサービ スというのは補助金でしたが、義務ということで負担金化をしまして、国は負担をする という義務を負うということで、責任を取るということを明確化することを考えていま す。  今回この大きな5点の改正を提出していまして、先週の14日参議院の方は通りまして、 今週から衆議院の方で審議が始まるという状況です。  子どもの関係について、あと1枚、資料6の3です。障害児の施設の関係につきまして も、今回大きく改正を考えています。障害児につきましてもこの法律が通りますと、18 年10月からは措置から契約という形へ切り替えていきたいと思っています。資料6の3で す。  18歳以上の方については、支援費から、今回の自立支援法案の中で、利用者の申請に 基づき、市町村が支給決定をする制度に移らせていただきます。18歳未満の方につきま しては、保護者の申請に基づき、都道府県が支給決定をする契約制度という新しい形に 取り組んでいきたいと考えています。  ただ実際には、虐待などの保護を要する児童については、従前の手続きにより措置を 残すということで、措置と契約が混在する形で今回の整理をしています。  手短でありますが、今回の制度改正をこのような形で考えています。   ○岩男部会長  ありがとうございました。ただ今のご説明につきまして、何かご質問あるいはご意見 ございましたら、どうかご発言ください。はい、柏女委員どうぞ。   ○柏女委員  前回、前々回もこの障害者自立支援法案について、この児童部会で取り上げて欲しい ということを主張してきた者として、こういう機会を与えてもらったことはうれしく思 っています。  2点あります。1点は平成18年10月までの当面の問題で、もう1点は18年以降に想定さ れている障害福祉関係の施設機能の再編、あるいはサービス供給体制の市町村委譲で、 こうした抜本改革についての検討ということですが、二つにわたって考えていかなけれ ばならないと思っています。いずれの2点においてもこれは児童部会への要望ですが、 できればこの児童部会で児童福祉の視点から考える、検討する機会をぜひ与えていただ きたいというのがお願いです。  例えば平成18年10月までに、平成18年10月に施行されて以降起こりうる問題につい て、かなり詰めておかなければならないというのが多くあるわけですが、例えば1点で は、平成16年改正児童福祉法の施行によって28条で入所した事例に2年更新がかかって いますが、障害児施設にもこの28条で入所した子どもたちがいます。その子どもたちが 18歳を過ぎて、もう更新しなければいけないということになりますと、その子どもたち を直接契約制度のもとで家庭に引き取ってしまうと問題が起こります。新しい虐待など されてしまうので、児童施設に20歳を過ぎても入所させておかなければならないという ことが考えられます。私たちは28条の更新についての審議会で議論をしていますが、そ の場合は18歳を過ぎても児童施設でやるという形でしています。  今回は経過措置が残っていますので構いませんが、一方で、これは人権侵害とも受け 取れます。28条の更新をはじめとする権利擁護システムの整備をどうしていくのかとい う議論を詰めておかなければならないと思います。  2点目は両制度が併存という形になりますが、障害関係の施設の調査でいえば、知的 障害児施設に入所している被虐待児が24.1%、それを含めて約5割が要保護児童だとい うことになります。これは職権で入所する、つまり措置で入所するということが想定さ れます。そうすると、約半分を職権保護のためのスペースとして定員を空けておかなけ ればならないということになります。残りの半分については、新規制度の契約制度で契 約をしていくということで、その場合のあらかじめ確保していく定員をどのくらいの率 にするのかということも詰めておかなければならないかなと思います。  さらに契約の場合は定率負担ということになりますが、定率負担の負担金と職権保護 の応能負担ですから、応能負担の負担率が違いますと、当然のことながら利用者にとっ ては定率負担を選ぶと費用負担が増えるということになりますので、措置でやってくれ という話になってきます。そうしますと、措置がまたこれ以上増えるという形になりま す。  それを防止するために措置費の負担額、応能負担の額を上げていくという形になりま すと、今度は児童養護施設に流れてくるということになります。社会的養護の分野に入 ってきて、児童養護施設でも障害児が1、2割入っていますが、そこに障害児がますます 入所するようになる。この他、契約と職権保護との線引きの問題もあります。こうし て、さまざまな問題が、児童部会をめぐって検討しなければいけない課題が多々残って いるのではないかと思います。こうした技術的問題以上に、第2点目の障害児福祉の将 来方向やサービス供給体制、施設再編などの課題は、障害児福祉を含めた児童福祉のあ り方全体を議論する場で全体の整合性を考慮しつつ、検討していく必要があると思って います。  そういう意味でぜひ障害児の施設サービス、あるいは在宅サービスを含めて、児童部 会でいろいろな論点を出しながら議論する機会を与えていただきたいと考えます。以上 です。よろしくご検討願います。   ○岩男部会長  他にご発言ありますか。よろしいですか。  それでは次の議題ですが、当面の検討事項案を出していただいていますので、それに ついて事務局からご説明をお願いします。   ○香取総務課長  お手元の資料の7をお開きいただきたいと思います。本日は25回ということです。  この後は年末から来年の年明けにかけまして、先ほど保育課長からご説明申し上げま した総合施設の関係、これは予算のときに申し上げましたが、直接の助成制度等を新設 するということはないわけですが、既存の予算の執行なり、あるいは対象なりを組み替 えていく、その他そういった様々な課題を含めて、18年4月から具体の仕組み、制度の 議論をしなければいけない。  おそらく法律改正を伴う手当てをしなければいけないので、こちらについてのご議論 を12月にはぜひいただかなくてはならないと思っています。  もう一つは、児童自立支援施設のあり方については、年末に報告書が取りまとめられ る予定ですので、こういった関係について12月はご議論いただければと思っています。  あとはその他と書いてありますが、これの関係は直接私どもの方で行政的に検討する ということではないのですが、お話し申し上げましたような三位一体の関係でのいろい ろなご議論の中で、すでに生活保護費および児童扶養手当の議論がされていますので、 場合によっては、そういった関係の制度改正が行われる可能性があります。  もう一つは、児童手当につきまして、3のご説明のときにとりあえず現行制度で要求 をしていると申し上げましたが、先般の総選挙でも、各党それぞれ経済支援については マニフェストに掲げてありますし、今年、来年はかなり大きな税制改正がありますの で、それとの関係で年末にいろいろな形での議論がなされる可能性があります。そうし ますと、これもある程度全体の少子化対策の中で位置付けなり、そういったものを踏ま えたご議論をいただけなければいけないということで、今の段階では具体的にはご説明 できませんが、想定される案件がいくつかありますので、12月に関してはそういったと ころでお願いしたいと思っています。  年明けにつきましては、一応予定されているのは虐待の死亡事例の検討委員会の報告 書が取りまとまってくるので、こちらの関係にご意見いただくということと、特に26回 は今の段階ではまだ十分想像できませんが、場合によっては年明けにまでずれ込んでご 議論いただかなくてはならない場合もありうるということで、そういった積み残しのも のについても議論いただくことで、年度内にあと2回ほど予定をさせていただければと いうふうに思っております。以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ただ今、今後の検討事項についてご説明がありましたが、 これについて、何かご発言ありましたら。  先ほど柏女委員からご提案があったような問題とか、他の先生方からすでに提起され たような問題も、関連のところでできるだけ折り込みながら、進めていくということだ と理解します。  次回が非常に盛りだくさんになるのではないかという感じがします。積み残したもの は次回にという予定をすでに組んでおられますがよろしいでしょうか。  児童手当のことを今もご説明の中でお触れになりましたが、先ほどの予算のところで 聞きたかったことが一つあります。当面前年度と同様の額を概算要求で出しているけれ ども、各党それぞれマニュフェストにいろいろと盛り込んでいるとおっしゃいました。 ということは、ここがもっと充実する可能性があるということでしょうか。それともう 一つ、所得制限について、今後それも変わるかもしれないと考えればいいのでしょう か。 ○香取総務課長  児童手当については平成11年、平成16年に制度改正をしておりまして、それぞれ対象 拡大をしていますが、現金給付であるということもあって、かなり大きい金額の手当て が必要ということで、いずれの場合も現行のその規定経費の中で、その財源を手当てを して制度改正をするということは事実上はできませんでした。いずれの場合でも、税制 改正の中で扶養控除の見直しを行って、一定の財源を確保して、その財源で手当ての拡 充を図るという形で制度改正をしています。  今回も政党間の議論の中では、年齢を引き上げる、あるいは所得制限の緩和を図ると いうことがそれぞれ提案されています。いくつかの提案がありますが、最も規模の小さ い現実的な提案をしている政党の案でも、約2000億円以上の財源を必要とするというこ とになりますので、別途の財源対策というものとセットでないと、現実的には議論の対 象になりません。その意味で税制改正の議論の中で、少子化対策、あるいは少子化への 対応をした税制のあり方といったことを議論されています。そういった中でおそらく、 税調の議論と各政党内での議論ということになると思います。  もう一つは、これは前回の児童手当の改正のときにも議論がありましたが、政策の優 先順位の議論というのが政党の中でもあります。支援金給付とそれ以外のさまざまな少 子化対策の施策との関係をどう考える、バランスをどう考えるということで、何千億と いう財源を必要とする給付改善を行う、これがあると他に何ができるだろうという議論 になります。少子化対策については、各党ともかなり重要視して議論しています。政党 間でも与党内でも恐らくこの三位一体の話がある程度山を過ぎますと、そういう議論に なると思います。その中で、基本的には児童手当ないしは児童手当に合わせたさまざま な施策について、全体的に充実を図るための具体的な方策を検討することになると思い ます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。はい、吉田委員。 ○吉田委員  予算のところでお尋ねすればよかったのですが、質問・意見がたくさんあったので今 もう一度お話をさせていただきます。保育ママ等の活用で、先般世田谷で保育ママによ る虐待問題等が新聞を騒がせておりました。そのことも含めて、いわゆる在宅保育サー ビス、ファミリーサポートセンター事業もそういう性格があると思いますが、質の担保 というか質の向上と、ある種のセーフティーネットの構築みたいなことも多分課題にな ってくるのではないかという気がします。  それから待機児童の問題も絡んで、例えば江戸川区の場合は保育ママを活用して、基 本的には認可保育所では0歳児はあまり入れないというような地域もありまして、待機 児童の問題にも絡む地域もかなりあります。  あるいは飛躍しますが、イギリスの総合施設ではチャイルドマインダーという、日本 でいう保育ママを総合施設の方で養成というか、質向上の研修等やったりということも あります。いろいろな部分に絡むと思いますが、基本的にこれから在宅保育サービス を、政策的にどうとらえていくのか、もっと言えば、質の担保とかセーフティーネット という部分が視野に入っていくのか、いかないのか、その辺でもし何かお考えがあれば お聞かせ願えればと思います。 ○尾崎保育課長  はい、保育ママについては、世田谷の残念な事件がありました。今お話がありました ように国の補助事業でやっている部分、地方単独事業で資格をかなり緩和してやってい る部分といろいろあります。例えば事故やけがの把握の体制、それから客観的な透明度 というか、外部にどれだけオープンに出されているのか、あるいは市町村が実態把握を する上でどういう支援策がとられているのか、そういうことについてあの事件を契機 に、今、全国の都道府県を経由して各市町村の方にも調査をかけています。緊急の調査 で、なるべく早くとりまとめたいと思っています。またこの成果をいろいろな形で普及 するなり生かしていきたいと思っています。  たまたま、吉田委員も江戸川区の例にお触れになりましたが、保育ママの実施状況は 国の補助事業と地方単独事業と合わせても随分地域ごとに偏りがあります。  全国で三千何百人の定員のうちの1,000人くらいが東京都です。例えば江戸川区は東 京都内でも圧倒的と言うか一番多い所で、保育ママだけで200人以上います。これは0歳 児保育を基本的に、市のポリシーとして行わないという裏腹の関係があります。いわゆ る地域的な特殊事情もあります。そういう先行事例というか、チェックの体制・行政の 支援の体制を、われわれの方でも現地視察して、状況を把握したりしています。そうい ったことも併せて、保育ママ事業・国の補助事業・地方単独事業を通じて、安全確保・ 質の確保に取り組んでいきたいと思っています。  それからもう一つ、今、地域的な偏差がある、利用の偏りがあるということを言いま したが、どちらかというと集団保育と個人的な保育のバランスという意味では、日本は 集団保育の方が圧倒的な多数派です。国の補助事業としての保育ママ事業も、予算的に まずまずの2,500人ほどの利用児童を予定しておりますが、なかなかそこまでいってい ないという事情もあります。  これをなるべくニーズがあるのであれば、それに対応していきたい。あるいは何か心 配な点があるのであれば、克服したいということで、今年の概算要求の中では、これま でどちらかというと保育ママのご家庭で預かるということで、見えにくさというか、そ ういったことの不安があるということであれば、保育所とうまく連動をとってもらっ て、ある意味で保育所のお墨付きでやるようなパターンも新たに加える。あるいは集団 保育ですと風邪を引いたり病後児の子どもの対応がやりづらいので、二次保育的に保育 ママを例えば看護師・保健師にやっていただく場合などは、むしろ長所を発揮できるの ではないかということもあります。そういった要件を緩和して概算要求をするというこ とで、今年は今新たな工夫をした概算要求を出させていただいております。  今申し上げたような事業のやり方の拡張と、そのチェック体制のいろいろなノウハウ の把握・普及と、その両面からこの事業の展開を考えていきたいと思っています。 ○岩男部会長  よろしいですか、小笠原委員、網野委員で。 ○小笠原委員  お尋ね申しあげます。不勉強で申し訳ないですが、事業所内保育所についてお伺いし たいと思います。小児科・産科の医療体制整備の充実ということを以前にもお聞きした のですが、私も個人的ですが、行政区域が宮崎市とは離れている所に、医科大学が統合 されて、今は宮崎大学医学部になっておりますが、そこの教授や学生から、小児科医療 に従事する人たちが大変少ない、産科医療にあたる人たちが少ないというお話を何度も お聞きしております。医学部としては、女性医師を何とか確保したいという努力をされ ているようです。これまでにこのような話を5回くらいしています。研修医同士で結婚 していく方がほとんどだそうです。出産されて、地域の保育園を利用したいということ で利用はしているけれども、いろいろな意味で不満があるそうです。その不満というの は保育の時間的な問題、保育所における教育的な内容の問題ということも出ていまし た。そこで全国の国立の医科大学の間で、小児科医療・産科医療に就く女医さんを育成 するための子育てに対する支援体制をどうするかという情報交換をお互いにしているよ うです。宮崎大学では、子育て支援のための土地は広くあるので、事業所内保育所を開 設できないのかとお互い連携しているようです。  全国の医科大学の先生方がお互いに情報交換をしあっているようですが、今、利用し ている保育園では、帯に短し、たすきに長しという部分があるようです。 また、大学が郊外にある所では、行政区域を乗り越えていく障壁があるようです。事業 所内保育園の補助金・運営費・事業整備事業がどうなっているのかという質問を受けま して、この機会に大変恐縮ですけれども、お伺いしたいと思います。 ○岩男部会長  それでは手短にお答えいただければ。 ○香取総務課長  事業所内保育所については、先ほどから出ています特別会計のその枠の中で、事業所 内の保育所というか託児所といいますか施設整備の補助の予算を持っておりまして、そ ちらで対応することになっています。  それから労働特別会計の方でも、同様に事業所内での託児施設の助成金というのを持 っておりますので、そういったものをご活用いただいて整備をするということが一応可 能ではないかと思います。  直接のお答えになるかどうかわかりませんが、先ほどご説明した小児・産科の整備事 業の中でも似たような議論があります。病院だと院内託児所を持っていて、看護師さん はお子さんを預けて働いていますが、看護師さんの子どもは預かるけれども、先生だ と、これは一応看護師さん向けという話で、本当は預けられないことはないと思います が、なかなか預けにくいということがあります。先ほど申し上げました統合補助金の中 の議論でも、そういうお医者さんたちが、就労継続をするための保育なり、当然看護師 さんと一緒で夜勤もありますので、夜間の対応等も含めてという議論があります。そう いった中でも工夫ができればと思います。 ○小笠原委員  ありがとうございます。 ○岩男部会長  網野委員、ご質問をどうぞ。 ○網野委員  予算関係で時間を取れたようですので、私も先ほどのご説明の関連で、質問・意見を 述べさせていただきます。7ページの児童虐待への対応の中で、一時保護所の環境改善 等というのが出ていました。一時保護所についてこのような形で体制強化をすることは 非常に望ましいと思っています。  特に日本の児童相談所の一時保護所の特徴・特性、メリットもデメリットも含めて、 いろいろあって、ここでは混合処遇の改善なども含めて、ハード交付金を通じて改善を するという形で予算案が示されています。これは大変喜ばしく、どんどん充実させる方 向の一つとして大事なことだと思っています。  もう一つソフト面で、つまり混合処遇そのものが、いろいろ派生する問題も起こして います。児童養護施設の基準に合わせたと言っても、ある意味ですべての面でぎりぎり 最低限の状態でやっていて、一人一人の子どもにとってどう対応したらいいか、一時保 護を受けている子供への関わり方は大変難しい課題があると思います。その面で言いま すと、虐待対応という点では、制度上は中央児童相談所にほとんど一時保護所が設けら れています。ブランチの児童相談所は設けなくてもいいかというと、設けなくてもいい 体制にはなっていますが、そういう全体的な仕組みからいって、虐待対応としての一時 保護の内容を、このような状態を、ハードを充実させて広げていくということもありま す。もう一つ、このような特殊な問題を抱えているの中に、混合処遇ということで進め るよりは、例えば他の児童福祉施設に一時保護を委託するということについては、どの ような検討がされているのか。あるいはその方向性についてもう少し検討もあっていい のかと思います。  さらに先ほど社会福祉審議会児童部会のこれからの検討事項という中に、少年非行法 制の対応がありました。これとも若干絡むと思うのですが、非行のあった子どもとの混 合処遇の改善という中で言いますと、例えば児童自立支援施設が、一時保護委託の機能 を受けるような側面というのは、私は従来からあったのではないかと思います。ただあ まりにも児童自立支援施設が教護院という、そのような仕組みの中では、現実には非常 に難しかったと思います。このような形で、どんどん家庭の問題を背景とした子どもた ちも入ってくる。そして自立支援を図る。そういう意味で旧教護院的なものから、さら に質的にも機能的にも拡大している中で、一時保護の機能というのを、ここ50年以上に わたって児童相談所の仕事の一つとして、場としても児童相談所に付設されている一時 保護ということだけで、なおさらに今後進めた方がいいのかどうかについては、もし可 能性があれば、例えば審議会などでも検討してもよいと思います。 ○岩男部会長  今のご発言、最後の議題と関係しておりますので、残っております児童家庭相談のあ り方についてといたしまして、今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会の中間 的な議論の整理、および関係調査の報告と併せ、続けて事務局の方からご説明いただけ ればと思います。 ○山本虐待防止対策室長  それでは資料8です。  児童家庭相談体制のあり方と、それに付随する調査結果について、ご説明させていた だきます。  まず資料8-1。「今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会の中間的な議論の 整理」です。  昨年、児童福祉法が改正されまして、児童相談体制について大きな見直しが行われて います。従来、要保護児童対策は都道府県を中心とする体制が組まれていましたけれど も、児童家庭相談に応ずることを市町村の業務として明確にされ、都道府県・児童相談 所においては専門性を要する困難事例の対応や市町村の後方支援に重点化されました。 児童福祉法が制定されて以来、相談体制の見直しという意味では抜本的な改正であり、 これをいかに円滑に定着させていくかが大きな課題になっています。  私どもとしては、この4月から施行されている自治体における体制について注視をし、 先進事例、先進地域における取組や、各地域における取り組みの実態を踏まえながら、 今回の制度改正の趣旨に沿った児童相談体制の、より一層の強化充実に向けたあり方を 展望していくため、今年の2月に雇用均等・児童家庭局の主催によるこの研究会を立ち 上げました。  都道府県中心の従来の要保護児童対策のシステムと、従来市町村がやってきました一 般子育て支援対策を結束点をもってつなげていくシステムについて検討していく必要が あります。これにつきましては、自治体の実態を見ながら大枠の枠組みを示していくこ とが必要であり、地域の取り組みを促していくためのメッセージを織り込みながら、こ の研究会の報告の中でとりまとめをし、発信をしていくこととされています。  資料8-1の一番後ろから2つ目のページをご覧ください。この夏までに6回ほど開催し ていますが、主として児童相談所側から見た児童家庭相談機能の強化・必要な職員体制 の確保・専門性の向上のあり方、児童福祉施設・里親との連携・協同のあり方、先ほど の質問にありましたような一時保護所のあり方、さらに市町村に対する後方支援など、 児童相談所の側から見た検討を行ってきており、8月11日に中間的な議論の整理をまと めさせていただいております。  今後の取組といたしましては、市町村を中心に関係機関との連携のあり方について検 討を行っております。具体的には、ヒアリング等を行うとともに、さらに市町村の実施 状況について、まだ春からの実態ですので十分に見ていないということもありますの で、この秋はいくつかの市町村を実地調査をした上で、その結果を踏まえて、年明け 1、2回開催して、最終的な報告をまとめていきたいと思っております。  続きまして資料8-2は、今年の6月1日現在の市町村児童家庭相談体制調査についての 暫定的な結果です。今後、最終版を11月に出させていただきたいと思っております。  その内容を簡単にご説明しますと、6月1日現在で市町村数は2,399カ所です。2ペー ジ、この春からの児童相談体制が、主としてどこを窓口にしているかですが、平均を見 ると、市町村児童福祉主管課を窓口とするものが最も多く、次いで児童福祉・母子保健 主管課、統合課が窓口とするものが多いという結果になっています。ここで特徴的なの は、町村という規模の小さい自治体において、統合課を窓口にしているところが多く、 一方で市においては、福祉事務所の家庭児童相談室を窓口にするところが多くなってい ます。  3ページですが、主たる相談窓口の担当職員については、総数6,970名、その中で正規 職員に相当する方が5,358人、うち専任職員が2,023名という状況になっています。この 中で特徴的なのが、保健師・助産師・看護師が比較的1,752人で多いことと、さらに一 般行政職が2,113人で、この二つが大層を占めているということだと思います。  4ページは、外部人材の活用による助言があるかどうかですが、人口規模にかかわら ず、助言を受けているところが少ないという結果になっています。  5ページですが、市町村担当職員の改正法に向けた研修の受講状況を見ると、未受講 が町村で多いという結果になっています。  14ページは、受理会議の開催状況です。開催をしているところは、規模が大きければ 大きいほど開催割合が多く、町村では少なくなっている、小さい自治体ですと会議形式 をとらないで受理をするというケースが多いと考えられます。ケース検討会議について は、開催する所が受理会議に比べると、いずれの人口規模でも高くなっています。  15ページは夜間休日対応ですが、特に対応していないというところが平均で51%とな っています。相談担当以外の職員、例えば守衛さんが相談担当職員に連絡した後、相談 担当職員が対応するケースが28%で、夜間休日の対応の内容としては最も多くなってい ます。  17ページは業務マニュアルの有無ですが、「あり」と答えているのが平均で49%で す。  18ページの都道府県からの後方支援は、市町村職員研修とか、情報の提供、あるいは ケース検討会議や要保護児童対策地域協議会に職員を派遣するという形が多いですが、 具体的に人事交流をしているなどの支援は、比較的割合が少なくなっています。  続きまして資料8-3、要保護児童対策地域協議会等調査結果です。従来虐待防止ネッ トワークという形で、多様な関係機関が対処方針を共有しながら、役割分担を決めて支 援を行っていく、システムとしてこのネットワークというものが作られてきたわけです が、改正児童福祉法においては、情報共有を確実にして、民間の守秘義務のない方も含 めて連携ができるようにと、要保護児童対策地域協議会が法律で新たに定められたとこ ろでございます。  現状を見ますと、協議会の設置状況が、「設置済み」が111カ所で4.6%。それから 「設置予定である」が35.9%で、特に「17年度中に設置をする」と答えているところが 28.6%になります。  一方、虐待防止ネットワークの設置状況を見ますと、協議会をまだ設置していないと ころでネットワークは設置しているというところが1,081カ所の45.1%で、この二つを 合わせると、いずれかの設置がされているとするのが49.7%の自治体となっています。  2ページ、協議会ネットワークを設置していない理由としては、「人材確保が困難で ある」調整機関の人材、あるいは協議会のリーダーといった役割の方を確保しにくいと いうことが最も多い。それに続いて「市町村合併が予定されている」となっています。 虐待防止ネットワークを設置していない理由についても同様です。  3ページは、設置形態ですが、一つの市町村に一つ設置しているところが圧倒的多数 です。  4ページ、地域協議会の中核機関、法律上の調整機関ですが、「設置済み」が60.9%。 「未設置」が9.0%。コーディネーターの設置状況については、「常勤職員を設置して いる」が48%。「非常勤職員」が8.8%。「そのいずれも設置している」と重複してい る所が3.3%という状況です。  5パージは、どこを中核機関としているかですが、児童福祉主管課、児童福祉・母子 保健統合主管課が、その役割を果たしているところが多いとなっています。  ネットワークの目的については、「発生予防」と「早期発見・早期対応」、「保護・ 支援」という3つに分けて考えますと、昨年と比べて特徴的なのは、「保護・支援」が かなり増えていることです。早期発見だけではなく、アフターケアについてネットワー クがだんだん機能し始めてきたと考えます。  7ページは活動内容です。代表者会議・実務者会議・個別ケース検討会議の3つに分け て考えますと、代表者会議を開催しているところは69%でほぼ年1回、8ページ、実務者 会議は66.9%で、不定期開催が多く、年1回から4回までが最も多いです。個別ケース検 討会議は、圧倒的に不定期に開催するといった方法で、年1回から12回が最も多いとい うことになっています。  10ページは活動上の困難点ですが、「効果的な運営方法がわからない」、「事務局に 負担が集中してしまう」、「スーパーバイザーがいない」という問題点を挙げられる自 治体が多かったです。課題としては、6月の調査ということもあり、始まったばかりと いうこともありますので、児童相談所と関係機関の役割の明確化が必要とか、効果的な 会議のやり方の工夫という項目が多いという結果になっております。以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。おそらくいろいろご意見、あるいはご質問がおありかと思 いますが、時間が若干過ぎていますので、もしも次回の検討に向けて何かご要望があり ましたら手短に、はい、柏女委員お願いします。 ○柏女委員  児童相談体制のあり方について実態面を聞くという面は、研究会でなされていると思 いますし、実態調査という点ではこうしていくつか調査が行われていると思いますが、 もう1点、理念面での検討が必要だと思います。  実は夏休みに、児童相談所運営マニュアルというのを、これまで厚生労働省が歴史的 に9回出しておりますけれども、その9回の歴史的な検討経緯を調べてみました。これを 見ていきますと、いろいろな動向にかかわって児童相談所の役割というのは大きく変わ っていっている。臨床重視から行政手続き重視とか、あるいはチームワーク同士の合議 制から、アセスメントシートの活用へと変わってきているわけですが、なぜ変わってき ているのか、そしてそれによって児童相談所はどういう問題を抱えることになるのか、 そして児童相談所が別に行政機関としての役割を特化していくならば、臨床機能は児童 相談所から今度はどこが担っていくべきなのかといった、理念的な検討が一つ必要なよ うに思います。そうした議題も次回以降お願いできればと思います。私も児童相談の体 制は研究テーマとしておりますので、資料等はご提出させていただきたいと思っており ます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは最後に次回以降の日程について事務局からご説明 をお願いいたします。 ○香取総務課長  先ほどご説明をいただきましたが、年内に一度開催したいと思っております。日程に つきましては事務局に調整していただきまして、追ってご連絡させていただきますので よろしくお願いいたします。 ○岩男部会長  それでは本日はこれで閉会させていただきます。皆さまお忙しい中、大変ありがとう ございました。                 (照会先)                 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 総務課                               企画法令係                 TEL:03−5253−1111(内線7825)