05/10/13 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成17年10月13日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年10月13日(木) 14:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(11名)五十音順    青 柳 伸 男、 井 上 和 秀、 岩 崎   学、 堺   秀 人、    田 島 知 行、 谷川原 祐 介、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、   ○長 尾   拓、 長谷川 紘 司、 村 勢 敏 郎 (注) ◎部会長 ○部会長代理  他 参考人1名   欠席委員(3名)    首 藤 紘 一、 早 川   浩、 樋 口 輝 彦 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    川  原   章(審査管理課長)、 中 垣 俊 郎(安全対策課長)、    豊  島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    浦 山 隆 雄(医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂  本   純(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部 会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとう ございます。  本部会委員数14名のうち11名の委員の御出席を頂く予定となっております。長谷川 先生は少し遅れて御到着ということでございます。定足数に達しておりますことを御報 告いたします。では永井先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 それではまず事務局から資料の確認、それから資料作成に関与された委 員の報告をお願いいたします。 ○事務局 それではまず資料の確認をさせていただきます。先生方にはあらかじめ資料 1〜6、それから資料8というものを郵送させていただいております。本日の席上配付 資料といたしまして議事次第、座席表、名簿のほか、資料7といたしまして優先対面助 言品目の指定について、それから資料9といたしまして審議品目の薬事分科会における 取扱いの表でございます。また資料10として専門委員のリストをお配りしております。  それから関与委員の件でございます。平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づ きます資料作成に関係された委員の確認でございますけれども、審議事項の議題1、議 題2につきまして樋口委員が関与されておりますが、樋口先生は本日御欠席でございま す。 また本日の議題3、マグセット注におきます参考人といたしまして、元東海大学 医学部産婦人科教授の牧野恒久先生にお越しいただいておりますので、御紹介申し上げ ます。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。本日審議事項が3議題、報告事項が5議題と なっております。それでは早速議題1について、機構から説明をお願いいたします。 ○機構 それでは議題1、資料1-1及び1-2、医薬品エビリファイ錠3mgほかの製造承 認申請の可否等について、機構より御説明させていただきます。  エビリファイ錠はアリピプラゾールを有効成分とする新規の非定型抗精神病薬であり まして、今般統合失調症を効能・効果とする製造承認申請が行われました。本剤は既に 米国、欧州諸国等55か国で統合失調症等に対して承認されております。なお、申請当時 には販売名がアビリファイ錠となっておりましたが、医療過誤の観点から検索をかけて おりまして、「アビリット」と名称が類似するということで「エビリファイ錠」という ふうに名前が変更されております。  本申請の専門委員としては、資料10に記載しております青柳委員、神庭委員、竹内委 員、鍋島委員、林委員、古川委員、松岡委員、三國委員、三森委員、本橋委員、安田委 員の計11名の委員を指名いたしました。  審査内容について簡単に御説明させていただきます。  品質に関しましては、設定された規格の妥当性について検討し、見直し、基準値の低 下等を行っておりますけれども、最終的には適切に設定されたと判断しております。  薬理作用につきましては、臨床効果に寄与している作用機序は必ずしも十分明確にな っておりませんが、本剤はドパミンD2受容体部分アゴニスト作用、5-HT1A受容体部 分アゴニスト作用、5-HT2A受容体アンタゴニスト作用を有しておりまして、これら が薬効に寄与しているものというふうに考えられております。受容体との親和性、生化 学的評価等を行って、本剤の有効性については薬理学的に十分検討されていると判断し ております。  毒性についてでございますが、無毒性量等の確認を行っておりますけれども、特に大 きな問題はないと判断しております。  ヒトでの薬物動態に関してですが、本薬はCYP3A4及びCYP2D6で代謝されるというこ と、それからバイオアベイラビリティー、食事の影響等について検討しており、想定さ れる相互作用については添付文書で注意喚起をさせていただいております。  臨床成績についてでございますが、国内でハロペリドール、それから塩酸モサプラミ ンを対照薬とした二重盲検群間比較試験が実施されておりまして、本剤はこれら対照薬 と同等の有効性を有することが検証されております。錐体外路系の副作用につきまして はハロペリドールよりも有意に少ないということが検証されております。また、最長24 か月までの長期試験が実施されておりまして、本剤の有効性の維持と安全性が確認され ております。  本剤の安全性に関しましては、類薬、特にオランザピンで問題となっておりました耐 糖能異常との関連について詳細に検討させていただいておりますが、試験当時の背景も ございまして臨床試験においては必ずしも十分な情報は得られておりませんでした。し かしながら、レトロスペクティブな調査結果、それから海外でのオランザピンを対象と した試験結果等から、本剤投与時の耐糖能異常発現のリスクは否定できませんが、今の ところそのリスクはマネージできるのではないかと。それほど重大なものにはならない だろうというふうに考えております。しかし、糖尿病あるいはそのリスク因子を有する 患者では特に注意が必要と考えておりまして、これらの患者につきましては慎重投与と いう形で記載させていただいております。また、製造販売後には臨床試験という形でこ の糖尿病因子のリスクを検討することにしておりますし、それ以外にも使用成績調査あ るいは特定使用成績調査というところで、詳細な安全性の確認を行うよう指示しており ます。そのほか体重減少、プロラクチン低下等についても注意喚起を行っております。  以上のような審査を踏まえまして、本剤の製造を承認して差し支えないとの結論に達 し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分 含有医薬品であることから再審査期間は6年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来 製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分 科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問等をお願いいたします。堺先 生、どうぞ。 ○堺委員 このアリピプラゾールですけれども、安全性の確認について一つ要望がござ います。この薬剤は高血糖を引き起こす可能性がまだ否定されておりません。これまで の例でかなり高度な高血糖を呈する可能性がございますので、添付文書による注意喚起 あるいはパンフレットの配付等の通常の方法に加えて、もしも可能であれば、当分の間 使用するときに更に高血糖の危険性の注意を喚起するような方法は何かとれないだろう かと。具体的な方法は専門部会の御検討にゆだねたいと思うのですが、どうしても添付 文書というのは医師が診療のときに必ず座右に置いて見るわけではございませんので、 こういうかなり強い副作用の可能性が否定できないときには、例えば薬剤部からなど、 何か処方ごとに注意を喚起する方法がもしとれればと思いまして、御検討いただければ と思います。以上です。 ○審査管理課長 今堺先生の方からもお話がございましたように、審査の段階でも使用 上の注意やパンフレットという形で一応対応しておりますけれども、詳細の専門的な議 論をしました際に堺先生から御指摘があったようなところまで議論されたかどうか、機 構の方から追加の説明を求めたいと思いますが。 ○機構 それでは機構の方から追加で御説明をさせていただきます。堺委員の御指摘は 誠に我々もそのとおりというふうに思っておりまして、審査の途中でも申請者といろい ろとやり取りをさせていただいております。現在のところは、このエビリファイを服用 されている方とその御家族の方へというパンフレットを作成することにしておりまし て、その中で具体的に糖尿病の初期症状、例えば冷感であるとか手足のしびれといった ようなものを具体的に書いて処方時に必ずお渡しすると。それから、医師の方には添付 文書だけではなく添付文書の説明文書などを同時に配付しまして、この薬の投与中のリ スクについて十分に周知するということは徹底したいというふうに考えております。 ○村勢委員 今の耐糖能の異常について、一言質問あるいは付け加えたいと思っていま す。耐糖能異常、ケトアシドーシスの症例があったということでこの辺が非常に危惧さ れるということだったのだろうと思うのですが、体重への影響を見ますと増加している ケースもありますし、かえって減少している方の数が多かったということで、この結果 だけでは糖尿病によるものかどうかちょっとよく分からないと思うのです。食欲に対す る影響はどうであったかということですけれども、資料1-2の705ページを見ますと、 その他の有害事象として口渇、多飲、多尿、水中毒というようなことが記載されている のです。言ってみれば強迫的な多飲水があるわけですので、これと同じように考えて強 迫的な食欲増進ということがあるとすると、糖尿病が非常に悪化しても構わないわけで して、食欲が亢進しているという現象が臨床的にとらえられているのかどうか。対象が 統合失調症ですから、食欲のコントロールが結構難しいと思うので、そういうことを介 しての糖尿病の悪化というものかなと思ってこれを読んだのですけれども、もしもそう であるとするならば、マネージメントにおいてその辺のことを特に注意するようにとい うことになるのかと思いますが。このことについて何かコメントがありますでしょうか。 悪くなった患者さんが強迫的な食欲増進といいましょうか…。 ○審査管理課長 後ほど機構の方から追加をしてもらえればと思いますが、一応この添 付文書(案)によりますと本剤は欧米では既に市販されておりますけれども、食欲亢進と いったところについては、使用上の注意では今記載はないようでございます。したがい まして、そういう症例は臨床的に把握されていないのかなと思いますが、その辺の議論 があったかどうか補足があればお願いいたします。 ○機構 先生が御指摘のように、まず体重の増加作用、通常オランザピンなど非定型の 抗精神病薬では普通は体重が増加する方向に振れるのですが、この薬は体重が減少する 方向に振れるということで少し特殊なプロファイルを持っていると。我々としては、も しかしたらこのことが糖尿病の一つのファクターとして動いている可能性というのは否 定できないというふうに思っています。したがって、体重が減少することがあたかも今 までと違っていいような意味合いでとらえられるということは我々としては非常に懸念 を持っておりまして、その点については添付文書で注意喚起をさせていただいていると いうことです。それから食欲増進の関係につきましては、詳細に具体的に毎日フォロー しているというようなことは行われておりませんが、症例を見る限りではこの薬で食欲 増進が起こっているというふうには考えておりません。むしろ、やはり今回のドパミン のパーシャルアゴニスト作用というのが複雑な要因と絡んでこういう結果になっている のだろうということでございますので、その点についてはこれから製造販売後の例えば 臨床試験あるいはその調査ということで更なる検討をやることにしておりますので、そ ういった中でモニタリングをできるように考えていきたいと思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。私たちも最近オランザピンで高血糖になったとい う例を経験しましたが、血糖は正常だったのですけれども、後でよく聞いたら昔糖尿病 と言われたことがあったということでした。つまり、糖尿病の既往でもこういうことが 起こるということを認識した次第です。先ほどの患者さんへの説明にはそういう既往の ことも強調して書かれているのでしょうか。今良くても昔糖尿病と言われている人も相 当気を付けないといけないなということなのですが。 ○審査管理課長 使用上の注意には既往まで含めて書いてございます。注意喚起をして おります。 ○永井部会長 先ほどお話のあった処方のときに説明するパンフレットが今手元にない ものですから。 ○機構 枚数がないものですから申し訳ございません。既往歴についてはまだ不十分な 点があるかと思いますので、先生のコメントを反映できるように考えさせていただきま す。 ○永井部会長 よろしくお願いします。どうぞ。 ○井上委員 本剤が有効なときに患者さんの中で自殺されている方がいますよね。その 点について、実はそういった自殺企図の患者さんには注意して使うというふうに添付文 書(案)できちんと明確にされていますけれども、調査会の方でどういう議論がなされた のか簡単に教えていただけますか。 ○審査管理課長 一応自殺企図についてはこういう薬剤で重要な副作用ということにな ると思いますので、専門協議のときにかなり議論はしているかと思います。機構の方か ら紹介してもらいます。 ○機構 機構の方から追加で補足させていただきます。自殺の関係でございますけれど も、確かにおっしゃったようにこの薬で改善は認められているのですが、そこで自殺を している症例というのは確認されております。ただ、そのことがこの薬の副作用なのか、 あるいはやはりもともとの統合失調症という病態から引き起こっているものなのかとい うところは明確に区別されていないということでございます。今のところは、この薬で 統合失調症患者そのもので自殺のリスクが上がるというデータがないということでござ います。しかしながら、自殺について十分なフォローをするため、あるいは注意喚起を するためということで、慎重投与のところに「自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患 者」ということを記載させていただいております。今このエビリファイ錠だけではなく て、非定型の抗精神病薬で一番問題になっている最近の話題としては認知症患者、むし ろ高齢者です。高齢者の方に非定型の抗精神病薬を投与するとどうもプラセボよりも自 殺死亡率が高まる、自殺の可能性が高まるというようなことが世界的に言われています。 今回もそういった世界の情勢を踏まえまして、適応外ではあるのですが、その他の注意 として認知症に対する注意喚起について、事実を記載させていただいているということ でございます。統合失調症患者はもちろん若い方もいらっしゃいますが、我々としても そういった高齢者でどういったことが起こるかというような懸念を持っておりますの で、その点については市販後のところで特別調査、高齢者にフォーカスを置いたような ものでリスクを更に追っていきたいというふうに考えております。 ○永井部会長 谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 最初の話題ですけれども、耐糖能異常の安全性と情報提供の関係につい て確認したいのですが、非定型の類薬のオランザピン、それからクエチアピンは警告が 添付文書に付いているのですけれども、本薬の添付文書(案)には警告というレベルには なっていないわけです。それの根拠は、審査報告書で743例中の糖代謝関連の有害事象 は2例であって少ないというお話なのですが、例えばジプレキサが130,000例中の9例 で、セロクエルの場合は130,000例中13例で緊急安全性情報が出されていまして、700 例中2例というのは、例えば単純に比例して10,000例中もし20例ということになった ら、決して少ないとは言えない数だと思うのです。あともう一つのデータとして、比較 試験の結果がサマライズされているのですけれども、審査報告書52ページの「オランザ ピン対照試験における血糖関連検査値異常」ですが、本剤とオランザピンの血糖関連の 検査値異常を比べても同様であって、オランザピンよりも明らかに少ないというデータ ではないと思うのです。同等レベルのリスクのときに片や警告のレベルであって、こち らの薬剤は警告になっていないということで、どうしてそういう判断をされたのかとい うことをお伺いしたいのですが。 ○審査管理課長 そこにつきましても後ほど機構の方から追加を頂きたいと思いますけ れども、今欧米のものなどを見ますとアメリカではそこの高血糖のところに関するボッ クスワーニングのようなものはないようでございます。先ほど機構の方から説明があり ましたdementia-relatedの最高指数のところだけがボックスワーニングになっている ということで、恐らく欧米の添付文書等との比較、それから谷川原先生が御指摘になり ました国内での試験成績や欧米での死亡例の分析の結果、対比して一応そういう形にな ったのだと思いますけれども、詳細を追加していただきます。 ○永井部会長 機構からお願いできますか。 ○事務局 安全対策課でございます。アリピプラゾールにつきまして、海外の添付文書 においてはクラスラベルのワーニングということでボックスワーニングにはなっていな いというのが一点ございました。非定型の抗精神病薬投与においてということで、日本 では添付文書上は重要な基本的注意の記載の並びであるというのが一点でございます。 それと海外での状況でございますけれども、国内治験におきまして753例中耐糖能異常 が2例、海外におきまして720,000例中3例で1例が死亡ということでございますが、 先生がおっしゃっていましたように、日本における状況がクエチアピンにおきまして 130,000例中13例、オランザピンにおきまして130,000例中9例でございます。他のリ スペリドンとペロスロピンとを比較いたしますと、母数は不明ではございますが、報告 状況といたしましてはクエチアピン58、オランザピン243に比べましてリスペリドン18、 ペロスロピン11ということでございます。アリピプラゾールはどちらの群に近いかとい うと、現行からするとリスペリドン、ペロスロピンと同様な程度の頻度ではないかとい うことを一応考えまして、海外の添付文書でも重要な基本的注意という項目に該当して いるような記載でございますので、当面は警告ということではなく重要な基本的注意と いうことで添付文書の方を記載する方向で検討させていただいております。 ○谷川原委員 審査レポートはそういう海外の添付文書を根拠として警告としなかった というように少し書かれてはいるのですけれども、それが決め手になったかというのは 非常に読み取りにくくて、データを見る限り、例えば検査値ですけれども、糖尿病歴が なく投与前血糖値が正常な患者さんでも本剤は10%の臨床検査値異常は出ているわけ です。オランザピンが8%ということと、母数が小さいので2例だから少ないというの は確定はしていないかもしれませんけれども、いわゆる最近通知されましたE2Eのガ イドラインがありますが、要するに確定したアイデンティファイドリスクであったらこ れは警告になると思うのですけれども、今の解釈ではポテンシャルリスクで、そこまで はっきり確定はしていないというレベルの解釈になるのですか。 ○審査管理課長 一応そういう理解でこういう形になったということを伺っておりま す。 ○谷川原委員 分かりました。そのポテンシャルリスクがある場合は、当然市販後のフ ァーマコビジランスにつながっていくのですけれども、そこで市販後臨床試験で100例 を調べるという試験があるのですが、この試験の目的がちょっとよく理解できないので す。非常に頻度の低い重大な副作用に関して100例で何を見ようとしているのかと。例 えば潜在的リスクを確認するために100例で見られるのか、頻度を調べるためなのか、 それとも薬剤の投与と何か血糖等の検査値の関連性を見る、言わば臨床薬理のような試 験なのか。製造販売後臨床試験を計画するということにはなっているのですけれども、 この100例でもって何が期待されると考えられているのでしょうか。 ○審査管理課長 今谷川原先生が御指摘の部分は、製造販売後調査等基本計画書(案)の 中にある計画の糖尿病の方でございますね。 ○谷川原委員 特別調査の方は糖尿病の患者さんに対する調査がありまして、使用成績 調査実施計画書(案)というのがあります。もう一つは製造販売後臨床試験実施計画書 (案)というもので、高血糖、糖尿病の既往がない患者さんを対象とした血糖に及ぼす影 響という二本立てで調べられる予定のようなのですが、それぞれ100例ということでそ れを設定した根拠を見てみますと、大体3%の頻度でこの副作用が発現すると想定して、 それを検出するためには100例だというふうに書かれているのです。3%のリスクがあ るということがもう大体分かっているのであるならば、これはかなり高いのではないか と思いまして、ですから最初の頻度が低いという話と、ここの設定根拠の3%あるとい う話は矛盾しているように思うのですけれども。 ○審査管理課長 御指摘の部分で市販後の調査計画については、まだ協議中の状況なの でしょうか。追加でお願いします。 ○機構 この100例の製造販売後臨床試験につきましては、イメージとしてはこの薬と 空腹時血糖、HbA1cのパラメーターの動きを見たいと。空腹時血糖の発現率は今のとこ ろ大体6〜10%程度ではないかと。血糖値異常として起こることがその程度で出てくる だろうと。それが実際に、例えば糖尿病ケトアシドーシスであるとかそういう重篤なも のにつながるというのは今のところそれほど高い頻度で起こるとは想定していないので すけれども、この投与とそういうパラメーターの動きを見て、それが予想どおり動くか、 あるいはそれともっと違う高頻度で起こってくるようなことになれば、当然新たな計画 が必要になってくるだろうというふうには考えています。もう一つはこの試験だけでは なくて、例えば糖尿病の既往歴を有する患者さんをフォーカスに置いた特定使用成績調 査、あるいはそれ以外の3,000例の使用成績調査というのは別に実施いたしますので、 そういったパラメーターの動き、それから実際起こってくる体重の変化であるとか当然 そこの臨床検査も調べます。そういったものを併せて我々が想定している範囲内にその リスクが収まっているのか、あるいは違う方向に動いてくるのかということを見ながら、 次の対策を立てていきたいというふうに思っています。 ○谷川原委員 今の時点での解釈はよく分かるのですけれども、もう少し踏み込んで、 例えば今後段に出ました糖尿病を合併した患者さんを対象にした糖代謝に与える影響で す。ですから重篤な例がそう出ないと予想されて、現状とりあえず承認時は警告にはし ないということであっても、この調査実施が4年間ですよね。4年間待って、結果その 間に何十例が出ましたということでは遅いと思いますし、例えばもうこの調査を始めて 10例出したら、オランザピンは9例で緊急安全性情報が出ていますよね。それで既にこ の薬剤は2例出ています。ですからトータルで10例出たらもうその時点で添付文書を改 訂して何か情報を発信するとか、そういうマイルストーンは考えておいた方がよろしい のではないかと思うのですけれども。 ○安全対策課長 御指摘ありがとうございます。今回の判断というのは国内の臨床試験 結果、海外における使用成績調査の結果、さらには海外における添付文書、この三つか ら判断したものというふうに私は考えております。また、今後の試験の結果あるいは調 査の結果に基づいて、4年間漫然と待つのでなく必要な段階で手を打つのだという御指 摘についてはその通りだというふうに考えておりますので、心して対応に当たりたいと 考えております。 ○永井部会長 確かに御指摘のように糖尿病が悪くなっただけでは済まなくて、ケトア シドーシスで亡くなる方もあり得るわけです。そういう意味で早目に対応をとった方が よろしいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。 ○谷川原委員 では少し別の問題でよろしいでしょうか。今の安対課長の話でよく分か りました。あとは添付文書の書きぶりのことなのですけれども、使用上の注意の重要な 基本的注意のところに、今のことで「(4)非定型抗精神病薬が投与されている患者にお いて高血糖の報告があり」というのは、普通によりますとあたかも類薬で出ているかの ごとく書いてあるのですが、実際は本薬で出ているわけですから、ここはもう少し明確 に「本薬を含む非定型抗精神病薬」などにした方がよろしいのではないかと思います。 ── 長谷川委員着席 ── ○審査管理課長 そこは御指摘のとおりだと思いますので、書き改めさせることにいた します。 ○谷川原委員 あと最初の話に戻りますけれども、患者さん向けにパンフレットまで作 って糖尿病や既往歴などに注意してくださいと、そこまで注意を喚起しなければいけな い理由、リスクをみんな認識しているわけですから、別にこの時点で警告が入っていて も私はいいのではないかと思うのです。それをなぜあえて警告を入れないのかというこ とがどうも理解できないのです。それでしたら、もう本当に例えば市販直後調査の6か 月ぐらいの間で、場合によってはその添付文書を改訂するぐらいの準備をかなりされた 方がいいのではないかと思いますけれども。 ○安全対策課長 準備をするぐらいだったら今決断すべきだという堂々巡りの議論にな りそうなのですが、今回国内臨床試験の2例しか出ていないと。外国のデータを見ても 数万例の中で数例しか出ていないと。外国の添付文書でもそうなっていないというよう なことから判断したものでございます。ただ、適時迅速に対応にすべしというのは先生 のおっしゃるとおりでございますので、そういう意味で対応したいと思います。 ○永井部会長 よろしいですか。備えあれば憂いなしということで対応していただけれ ばと思います。ほかにはよろしいでしょうか。岩崎先生、どうぞ。 ○岩崎委員 評価についてお伺いしたいのですが、第III相試験を見ますと「中等度改善」 といったような全般改善度で評価されていますけれども、こういった病態の場合にはな かなか何が改善なのかというのが理解しにくいかと思うのです。第III相のハロペリドー ル試験ですと、本剤が45.8%の中等度改善と。塩酸モサプラミンですと本剤は31.7%の 改善というふうになっていますけれども、かなり改善率が違うような気がします。した がって、こういったいわゆる全般改善度という評価が、果たして客観的に妥当性を持つ かどうかに関してどのような審査をされたのかをちょっとお伺いしたいと思います。 ○審査管理課長 こういう精神科領域の薬剤につきましては評価指標の問題がかなり大 きいと思いますけれども、具体的にどのようなスケールを用いて評価を行っているか機 構の方から追加をしてもらいます。 ○機構 機構の方から補足させていただきます。最終全般改善度評価は実施している時 代が古いということで、今であれば例えばBPRSの評価等のスコア評価をするのが一 般的だろうと思います。そのばらついた原因をいろいろと探索したのですが、明確にな っておりません。しかしながら、例えばBPRSスコアと全般改善度との相関関係、そ れからBPRSスコアの前後差、変化量というものを見てみるとそれほど差はないと考 えておりまして、これはそういう試験の中の何らかのファクターによるばらつきという ふうに我々としては今のところ考えているということでございます。 ○岩崎委員 そうしますと、今の二つの第III相試験のプロトコルは変わっていないとい うことですね。 ○機構 基本的に対象とした患者のポピュレーションにそう違いはないということで す。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。どうぞ。 ○青柳委員 承認の可否には関係ない質問なのですけれども、この薬は日本だけが1日 1、2回というふうになっているのですが、なぜ日本だけが1、2回ということなのか ちょっと教えてもらいたいと思うのですけれども。 ○審査管理課長 これにつきましては薬物動態などと関係があるかもしれませんから、 機構の方でその辺の検討が行われていると思いますので説明してもらいます。 ○機構 ありがとうございます。先生がおっしゃるとおり、我々もなぜ1日2回なのだ という話を審査の中でやっております。半減期からしますと、1日1回ということを目 指して海外では1日1回の開発が行われているのですが、この臨床試験を実施した当時 に申請者の方で臨床現場の先生方と少し話をしていると。その中で、それ以外の抗精神 病薬あるいは精神科領域で使う薬などを考えると、今1日1回製剤というのは余りなく て1日2回製剤あるいは3回というのがあって、患者さんの使いやすさを考えるとむし ろ2回に分けて一緒に飲んでいただく方がコンプライアンスの面、あるいはそういう実 態の医療としてはいいのではないかという現場の先生の意見があったと。そういった背 景を踏まえて、1日1回又は2回ということでプロトコルを組んだようでございます。 実際に臨床試験を見てみますと、7割程度の患者さんは1日2回ということで実態は行 われておりますので、今回我々として1日2回という用法・用量を切るというのも不適 切であろうと。かといって、海外で承認されている1日1回というようなものも残して おいていいのではないかということで判断いたしまして、最終的には先生がおっしゃる ように1日1回か2回というふうに用法・用量を規定させていただいたということでご ざいます。 ○青柳委員 そうすると、いわゆるPKから見ると1日1回で全然問題がないと思うの ですけれども、PK/PDよりも実態を重視して承認するということでしょうか。 ○審査管理課長 そういうことでございます。どちらかといいますと日本における精神 科領域での薬物治療が1日2回の投薬で行われていることが多いので、薬物動態という サイエンティフィックな話よりは実際のプラクティスに合わせて2分割して与えるとい う余地も含めて承認を与えるという形になったということだと思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。岩崎先生、どうぞ。 ○岩崎委員 今日ここに来て初めて気がついたのですけれども、こういったものをどの ように処方されるのかということをちょっとお伺いしたいのです。今これを見ると500 錠入りの箱があって、まさかこれを渡すのではないかなと思いまして、過量投与の問題 というのもちょっとあるかなと思ったのですけれども、その辺はどうなっているのです か。 ○審査管理課長 日本の場合は精神科の疾患ですと基本的に保険診療で医師が処方する という形になりますので、こういう箱ごと渡すということはなくて、これは薬剤部止ま りだと思います。基本的には患者さんにはこういうヒントシールを切ったという形で、 必要量だけが渡ることになると思います。 ○永井部会長 谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 しつこいようですけれども、どうしても最初のこの薬剤が類薬と比べて リスクが低いということが十分に納得できないのですが、ただそれはリスクが低いと示 す明確な根拠が見いだせないという意味なのですけれども。その場合に当局からメーカ ーの方によく御指導いただきたいのですが、結局商売上類薬に警告が付いているけれど も、この薬剤は警告がないからいかにも安全なのだという雰囲気でプロモーションされ ないように、やはり安全性のデータがしっかりとれるまではそこはまだ分からないとい うことで、添付文書上見ると確かにプロモーション上有利になりかねないので、そこは 誤解のないように是非御指導いただきたいと思います。 ○安全対策課長 もちろんそれはそのような形で対応したいと思います。もう一度だけ 整理させていただくと、国内臨床試験では753例のうち2例、我々がつかんでおります 海外のデータでは720,000例中3例ということがそのデータでございまして、更には海 外の添付文書においても同様な形で警告等がされていないということで対応したもので ございます。ただ一方におきまして警告がある、ないというのがマーケティングに利用 されるということは先生の御指摘のとおりでございますので、その点は重々注意をした いというふうに思っております。 ○谷川原委員 今のコメントで重々注意はよろしくお願いいたします。審査報告書の海 外市販後での報告は46例と書かれているのですが、これは違うのでしょうか。 ○審査管理課長 ちょっと確認させていただきます。これは昏睡や糖尿病性ケトアシド ーシスの症例ということでございましょうか。 ○谷川原委員 審査報告書52ページの下の部分なのですが。 ○安全対策課長 ですから先ほど申し上げましたのは、糖尿病性のケトアシドーシスと 昏睡の症例ということで整理をしているわけでございます。 ○永井部会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。死亡例が出ているというのが 非常に気になります。あらかじめ相当厳重な注意をしておかないといけないということ ですね。 ○審査管理課長 いずれにしましても、本日部会でかなり御審議を頂きましたこの結果 につきましては申請者の方にもここでの審議の様子を十分伝えて、先ほども御指摘がご ざいましたけれども、マーケティングやそういったところで誤解等を生じないような形 で対応してもらうように念を押しておきたいと思います。 ○永井部会長 ではそういうことでよろしいでしょうか。それでは承認可ということで 分科会報告とさせていただきます。続きまして議題2、医薬品パキシル錠の輸入承認事 項一部変更承認の可否について機構からお願いいたします。 ○機構 それでは議題2、資料2、医薬品パキシル錠10mgほかの製造承認事項一部変更 承認申請の可否等について、機構より御説明させていただきます。  皆さん御承知のとおり、パキシル錠は塩酸パロキセチンを有効成分とする選択的セロ トニン再取り込み阻害薬(SSRI)でございます。既に本邦でもうつ病・うつ状態及び パニック障害に対して承認されている薬剤でございます。海外でも米国、英国、カナダ、 フランス等の既に90か国で承認されております。今回の申請は、三番目の効能・効果と して強迫性障害の適応を追加するものでございます。  本申請の専門委員といたしましては、資料10に記載しております岩崎委員、大森委員、 小島委員、鈴木委員、埜中委員の計5名の委員を指名させていただきました。  審査内容ですが、薬理的な検討については強迫性障害の機序等がまだ十分解明されて おりませんが、一つの可能性としてセロトニン5-HT2C受容体の脱感作ということが 想定されております。  臨床成績でございますが、国内でプラセボ対照二重盲検群間比較試験が実施されまし て、Y-BOCS(Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale)を主要評価項目として、初期用量 が20mg/日で、40mg/日まで増量する場合にプラセボ群に対して本剤群の有意な改善が認 められております。また最長52週間の長期投与試験も実施されておりまして、改善の維 持が認められております。  審査の過程では50mg/日まで増量したときの安全性、それから自殺との関連等につい て検討しておりますが、現時点で本剤のベネフィットはリスクを上回るものというふう に考えております。  製造販売後には300例程度を対象にいたしました長期特定使用成績調査を実施し、こ の中で高用量投与時あるいは高齢者等に対する安全性について確認するよう指示してお ります。  以上のような審査を踏まえまして、本剤の強迫性障害に対する効能・効果の追加を承 認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断い たしました。本申請は新効能医薬品ということで再審査期間は4年、薬事分科会には報 告を予定しております。よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問、御討議をお願いいたします。 いかがでしょうか。岩崎先生、どうぞ。 ○岩崎委員 専門委員だったのですけれども、本剤は一回後期第II相失敗というか、プ ラセボに対する優越性が示されていなかったわけですよね。したがって、余り用量が少 ないと駄目だということが言えていますけれども、逆に言うと結構たくさん投与しなけ ればいけないということで安全性に関する懸念がありますので、それに関する調査は是 非よろしくお願いしたいと思います。 ○審査管理課長 この再審査期間の設定に伴って、市販後で何か新たな試験の設定はし ていましたか。追加をお願いします。 ○機構 製造販売後の調査についてでございますが、今のところ強迫性障害患者を対象 にした長期の特定調査というのを考えております。その中で今回先生が御指摘のように、 まずは20mgで開始して40mgまでは必ず上げると。その後は必要に応じて50mgまで上げ るということに用法・用量はなっております。したがいまして、40mgから50mgに増大 した患者さんについてある程度の症例数をあらかじめ設定いたしまして、50mg/日を投与 した患者さんでの安全性が検討できるような症例設計というのをこれからまた詳細に詰 めてまいりたいというふうに思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。よろ しければ承認可として分科会に報告させていただきます。ありがとうございます。それ では議題3につきまして概要を御説明ください。 ○機構 参考委員の先生をお願いしていますので、今席の方に移っていただきたいと思 います。サンプルの方は今お持ちしておりますので御覧になってください。 ── 牧野参考人着席 ── ○機構 資料3、医薬品マグセット注について医薬品医療機器総合機構より御説明いた します。  本剤は東亜薬品工業株式会社において開発されました硫酸マグネシウムを含有する注 射剤であり、既承認の販売名マグネゾールという製剤と同一処方で、容量はマグネゾー ルの5倍の100mLとしたプラスチックボトル製剤です。マグネゾールは昭和21年から販 売されており、産科領域を中心に使用されております。昭和61年の再評価結果公示によ り、効能・効果は現在子癇のみとなっております。しかしながら、マグネゾールの使用 実態として、その大半は適応外で切迫早産に使用されている状況が明らかになりました。 また臨床現場からも適応拡大の要請があり、平成12年にマグネゾールについて切迫早産 に係る効能を追加する承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、この効能追加 につきましては日本産科婦人科学会等より要望書が提出されております。マグネゾール は20mLガラスアンプル製剤であり、効能追加に係る用法・用量から見て大容量の製剤が 必要との判断に至り、今回新規に本剤の承認申請がなされた経緯がございます。  同種の医薬品としては塩酸リトドリンのほか、塩酸イソクスプリン、塩酸ピペリドレ ートが承認されております。欧米では、硫酸マグネシウムを含む製剤について英国、ド イツ、スイスの3か国で早産の適応が承認されています。  本剤の審査に関する専門委員として、本日参考委員として御出席いただいております 牧野先生を始め、資料10に記載されております尾崎委員、折笠委員、佐藤委員、田村委 員、寺川委員、永田委員、吉岡委員の計8名が指名されました。  続きまして機構における審査の概略を御説明いたします。  本剤の品質、毒性、薬理及び薬物動態については、審査における申請者からの対応に 基づき、特に問題はないと判断いたしました。  臨床試験成績に関して御説明いたします。提出された試験成績は、切迫早産に対する マグネゾールの有効性及び安全性について申請者により実施された臨床試験2試験に関 する資料であり、そのほか硫酸マグネシウムに関する国内外の公表学術論文、子宮収縮 抑制に関する教科書及びガイドラインなどの参考資料でありました。提出された国内臨 床試験2試験は、マグネゾールの用法・用量、子宮収縮抑制効果並びに母児への安全性 を評価することを目的に多施設で実施された試験及び塩酸リトドリンの効果が不十分あ るいはリトドリンが使用できない症例での効果を検討することを目的に実施された、い ずれも非盲検非対照の臨床試験でありました。これらの試験において、投与前と比較し てマグネゾール投与後4時間及び8時間の子宮収縮抑制回数、また投与期間中の下腹部 痛や子宮出血などの自他覚症状はいずれも有意に軽減し、リトドリンが使用できない切 迫早産患者の治療薬あるいはリトドリンの効果不十分な患者の併用薬としての効果が期 待できるとされました。  機構は、提出されたマグネゾールを使用した国内臨床試験は非盲検非対照にて実施さ れており、薬効を評価するには十分なものではないと判断いたしました。しかし、公表 論文や教科書などの記載から、申請効能に関して国内外で臨床使用されていることは示 されており、「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」の通知に則して審査 を行うこととしました。   本剤の切迫早産に対する適応に関し、国際的に標準とされる教科書、総説及び公表論 文等に基づいて検討した結果、妊娠期間の延長や新生児の予後の改善も含めた早産治療 に対する硫酸マグネシウムの適応については否定的な見解もあり、効能・効果として切 迫早産は妥当なものではないと判断いたしました。しかしながら、硫酸マグネシウムは 子宮収縮抑制作用を有し、この作用は臨床的にも明らかでありまして、子宮収縮を抑制 することによる患者への有用性があり、また硫酸マグネシウムは子宮収縮抑制に用いら れる第一選択薬と位置付けることはできないものの、医療現場における使用薬剤の選択 肢を広げる意味で臨床的な意義があると考えられました。この点については、専門協議 においても意見の一致を見ております。また、マグネゾールの適応外使用の状況をかん がみると、医療現場に対して硫酸マグネシウム投与によるリスクとベネフィットに関す る情報を適切に提供することは重要であり、さらに適当な規格の専用製剤を提供するこ とは医療事故防止の観点からも望ましいと考えられました。  以上のような検討を行った結果、適切な情報提供及び市販後の調査は必要であります が、効能・効果を医学薬学上公知と判断できる範囲である切迫早産における子宮収縮の 抑制とした上で本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品第一部会におい て御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は、毒薬及び劇薬のいず れにも該当せず、再審査期間は4年、薬事分科会へは報告を予定しております。御審議 のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、参考人としておいでいただいてい ます牧野先生から何かコメントを頂ければと思います。 ○牧野参考人 参考委員としてお招きいただきました牧野でございます。恐らく私が考 えますに、私の立場は臨床の産科医としての臨床現場での本剤のとらえ方について委員 の先生方に御説明することだろうと思いますので、その観点から御説明といいますか、 臨床の現場の実態をお話し申し上げたいと思います。  今説明がございましたように、本剤は既に臨床の現場では昭和21年から適応外の医薬 品といたしまして産科医の個人的な適応で長年用いてまいりまして、いわゆる用量とい うものをきちんと守った範囲では、この約50年間副作用の発症は皆無ではないものの、 重篤な副作用はございませんでした。そういう背景におきまして、私どもが今現在この 薬剤を使用している理由というのは三つございます。  第一点は言うまでもなく少産少子の世界で、今から50年前の昭和20年代に比べます と、当時250万件以上あった分娩数が今110万件、120万件の社会でございますので、 半分以下に減っていると。つまり、臨床の現場では以前に比べますと分娩の一つ一つの 持つ意味合いというのが非常に重要になってまいりまして、その中で妊婦のクオリティ ーと申しますか、いわゆる子宮収縮による精神的な負荷というものを本剤が取ることが できるというのは、実際に妊婦に接する場合にひしと感じる第一点のベネフィットでご ざいます。  それから第二点といたしましては、本剤によって子宮収縮を抑制している間に2次救 急あるいは3次救急の母体搬送の場所を探す時間的なゆとりが生じることであります。 一例を取りますと、神奈川県におきまして周産期センターあるいは母子総合センターに 母体を搬送する場合に、搬送先を探すのに平均的に3時間掛かっていると。最近の例で は7時間要する例もあり、とにかく切迫早産で未熟児が生まれる可能性がある母体を、 しかるべきところに搬送するための時間的な余裕というものが本剤では確保できるとい うのが私ども産科医の用いている理由の第二点でございます。  第三点といたしましては、当然この切迫早産で生まれてくる胎児、新生児というのは 未熟児でございますので、肺機能の未熟成によるRDSと申しますか、respiratory distress syndromeというようなものを、この収縮を抑制している間に母体を通じてス テロイドを投与することによってある程度防ぐことができると。そういう時間的なメリ ットが得られるという三点が私どもが現在用いている理由でございます。以上です。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは委員の方から御質問をお受けしたい と思います。堺先生、どうぞ。 ○堺委員 切迫早産の症例に対する臨床的有用性につきましては専門部会の御議論、そ れから今の牧野参考人からの御説明でよく理解できたように思います。私がお願い申し 上げたいのは添付文書の表現に関するところなのですが、この薬剤は母体に高血圧があ って、カルシウム拮抗薬を使用している場合に低血圧が起こることがあるということ。 これは先ほどのアリピプラゾールにおける高血糖ほど激烈なものではございませんが、 一応そういう可能性があるとなりますとカルシウム拮抗薬はかなり広い範囲に使われて いる薬剤ですので、添付文書で注意を喚起した方がいいかなというふうに思うのです。 この資料で拝見いたします添付文書(案)では余りそれをはっきりと読み取ることができ なかったものですから、もう少し明瞭にその辺の注意を喚起していただければと思いま して、要望でございます。 ○審査管理課長 それにつきましては検討させていただきたいと思いますが、機構の方 でそれは審査の段階で検討しておりますでしょうか。 ○機構 ただいまの御指摘に関しまして、現在カルシウム拮抗薬等に関する併用時の注 意といたしまして、添付文書の「3.相互作用」の「併用注意(併用に注意すること)」の 部分の塩酸リトドリンの下に、ニフェジピンとしまして、先生が御指摘になりましたニ フェジピンと硫酸マグネシウム併用による低血圧等について文献も引用する形で注意喚 起をしております。一方、先生の御指摘はやはりニフェジピンだけでなくカルシウム拮 抗薬ということでございます。これに関してはやはり薬理作用的に同じようなことが想 定されますので、括弧書きでカルシウム拮抗薬等の形にして、情報が提供できるのでは ないかというふうに考えておりますので、その方向で詳細を詰めさせていただきたいと 思っております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。これは国内の臨床試験 が非盲検非対照試験でエビデンスとしては余り高くないわけですけれども、それは今の 時点では十分な経験があるので、あえてダブルブラインドで行う必要もなかったという ことなのでしょうか。 ○審査管理課長 最初の説明の段階でもございましたけれども、このものはもともと牧 野先生からの御説明にもございましたが、経験的にはかなりずっと使用されてきていた ということと、それから内外の文献を基にすれば、場合によっては新たな臨床試験を行 わなくても承認申請は可能ではないかというふうに考えたようでございます。実際上は 症例の集積という形でございますけれども、オープンでの試験の追加をして基本的なと ころの効能・効果の裏付けになるデータは取ったということでございますが、かなりの 部分は海外での臨床成績を基に有効性の根拠は酌んでいるというふうに理解しておりま す。その辺は専門協議での議論などを御紹介いただけますでしょうか。それとも牧野先 生から追加していただけますでしょうか。 ○牧野参考人 追加をよろしいでしょうか。今機構の方からも御説明申し上げましたよ うに、当初は切迫早産に対する効能・効果ということでございましたけれども、そのこ とにつきましては内外の文献あるいは国内等の治験等でも有意差を見付けることはなか なか難しいと。しかしながら、切迫早産の適応は取れないけれども、子宮収縮を抑制す るという効能・効果は十分認められるということで、私どもはそれを期待して御審査い ただいているわけでございます。 ○永井部会長 そうしますと、添付文書の一番上に切迫早産治療剤と書いてありますが、 これはよろしいのですね。収縮を抑制するのも治療の一つだと考えるのか…。 ○審査管理課長 余り適切ではないような気がしますので、少し見直しをしていただき たいと思いますが、それは機構の方はよろしいでしょうか。 ○永井部会長 収縮抑制剤という位置付けだということですね。それから必ずしもこれ はファーストチョイスではなくて、今まで使われているリトドリンで無効の場合という ようなことが添付文書に書かれています。そういう位置付けでよろしいのですね。土屋 先生、どうぞ。 ○土屋委員 医薬品そのものではございません。名称でございますが、このマグセット というのは、マグミットというのがもう既に存在しているということからいいますと恐 らく名称変更の対象になるのではないかと考えているのですが、違うのでしょうか。 ○審査管理課長 販売名については機構の審査の段階で類薬とのチェックなどは行われ ましたでしょうか。追加がございましたらお願いします。 ○新薬審査第二部長 その点はもう一度確認いたします。マグミットと似ているという 点での確認はもう一度いたします。 ○土屋委員 スコア的には要変更という話のところに分類されると思いますので。 ○審査管理課長 土屋先生、マグミットというのはやはり注射剤でございますか。 ○土屋委員 注射ではございません。カマの錠剤です。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。ちょっと細かいところですが、このラベルあ るいは添付文書で初回投与が「40mL(硫酸マグネシウムとして4g)」と書いてあって、持 続投与のところは「毎時1g」と書いてあるのですが、最近は皆さんよく計算間違いをす るので、「10mL」と書いた方が安全かなという気もしますが。 ○審査管理課長 御指摘ありがとうございます。そこはそのように両方併記する形で上 と下を一貫した方がいいかと思いますので、改めさせていただきたいと思います。 ○永井部会長 添付文書の用法及び用量のところも直された方がいいと思います。 ○審査管理課長 はい。 ○青柳委員 ちょっとすっきりしないのは、今までの医薬品と違って実態で適応外に使 うというので一応承認して、むしろ今後の調査に懸けているようなところがあるように も審査報告書は見られたのです。結局今までは適応外使用で使われていたけれども、感 じは分かったのですが、きちんとした安全性や有効性が調査されていなかったと。しか し、今度承認することによってそれがはっきりするので、そういう面でのメリットもあ るから承認するというふうにもとれるのですけれども、それはどうなのでしょうか。 ○審査管理課長 適応外でございましても、基本的にはもちろん内外の文献等を最大限 に活用するとか、外国の臨床例なども活用するということは認めていますけれども、そ れだけで説明が付かない場合には国内での臨床試験もやっていただいているという形に なっております。そういう意味では一応きちんと評価に足る、この場合切迫早産そのも のではなくてその際の子宮収縮の抑制という効能で、かなり限定的に有効性が確認でき るところへ絞っての承認ということでございますけれども、そういう点では承認に必要 な部分はきちんとクリアしているというふうに考えております。ただ、かなり欧米での 文献でございますとか、先ほど永井先生の方からも御指摘がございましたように、通常 まっさらな新薬でありますればダブルブラインドスタディーでやってきて、有効性など を確認するということでございますけれども、この場合には物がニューケミカルエンテ ィティーではないということ。それから実態として先行していた部分もあったというこ とで、有効性を確認するのに必要なデータは提出していただいておりますけれども、市 販後も一応きちんとしたフォローはする必要があるだろうということで、そういう整理 の承認の審査になっているというふうに理解しております。牧野先生か機構の方から何 か追加などございましたら。よろしいでしょうか。 ○牧野参考人 私の方はおっしゃるとおりだと思います。 ○永井部会長 そういうことでよろしいでしょうか。あと堺先生から事前に頂いたコメ ントの中でも相互作用、使用上の注意でニフェジピンで血圧低下と書いてあるのですが、 カルシウム拮抗薬というふうにはっきりした方がいいだろうということでございます ね。 土屋先生、どうぞ。 ○土屋委員 使用の安全を高めるためにこういうめくる形の新しいラベルをお作りにな ったのかとは思いますが、医療現場ではここをめくって重要なことを知るという仕組み というのは恐らく通常の過程の中には余りないので、これはむしろ表面上に書くことは 何か法的に禁止されているとか、そういうことはあるのでしょうか。先ほどのきちんと 投与速度注意と、ここをめくって大切な使用上のお知らせがありますと、これぐらい書 くスペースがあれば直接的にその情報をお知らせするということの方が、恐らくヒュー マンエラーを防止する意味ではずっと親切ではないのかなと思うのですが。 ○審査管理課長 企業の方がいろいろよかれと思ってやっているのだと思いますけれど も、工夫をすること自体はいいことだというふうに基本的には思っているのですが、た だ、現場の方から見た場合にちょっとそれがかえって使いづらいとか、間違い誘発とい うことでありますと問題かとは思います。安対課長、その辺はどうしましょうか。 ○安全対策課長 改めて検討したいと思います。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。もしよろしければ承 認可で分科会報告とさせていただきます。それではどうもありがとうございました。牧 野先生、ありがとうございました。 ── 牧野参考人退席 ── ○永井部会長 では次に事務局から報告事項の御説明をお願いいたします。 ○審査管理課長 報告事項につきましては機構の方ですか。よろしくお願いします。 ○機構 報告事項の議題1でございます。医薬品バイアスピリン錠100mgの製造承認事 項一部変更承認及び医薬品アスピリン「バイエル」の輸入承認について御報告いたしま す。資料4を御覧ください。本件につきましては、アスピリン腸溶錠であるバイアスピ リン100mgの川崎病に対する有効性及び安全性について、平成11年2月1日付けの研究 開発振興課長及び審査管理課長からの2課長通知、「適応外使用に係る医療用医薬品の 取扱いについて」に基づき、医学薬学上公知であるとして、効能追加の一部変更承認申 請がなされたものです。なお、バイアスピリン錠100mgでは、申請の用法・用量に基づ いた体重による用量調節が困難であり、また乳幼児では錠剤の服用が困難であることか ら、日本薬局方アスピリンであるアスピリン「バイエル」が追加で輸入承認申請されま した。本申請に関して、日本小児循環器学会より要望書が提出されています。総合機構 における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。  続きまして議題2、医薬品バファリン81mg錠等の製造承認事項一部変更承認について 御報告いたします。資料5を御覧ください。制酸緩衝錠であるバファリン81mg錠を始め とするアスピリン・ダイアルミネート配合剤5品目及び日本薬局方アスピリン3品目の 計8品目について、議題1のバイアスピリン錠100mgと同様に、川崎病の効能追加の一 部変更承認申請がなされたものであります。本申請に関しましても、日本小児循環器学 会より要望書が提出されております。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差 し支えないと判断いたしました。  続きまして議題3、医薬品パシーフカプセル30mg、同60mg、同120mgの製造承認につ いて御報告いたします。資料6を御覧ください。本剤は、塩酸モルヒネを有効成分とす る1日1回投与の徐放性製剤で、「中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛」 を効能・効果としており、機構での審査の結果、承認して差し支えないと判断されたも のです。なお、本剤につきましては9月30日付けで既に承認されております。 ○機構 引き続きまして資料7-1と7-2、優先対面助言品目の指定の審査結果を御報告 いたします。優先対面助言品目指定制度というのは、開発中の薬剤について期待が持て るというものにつきまして治験相談を優先的に行うというものであります。  資料7-1ですけれども、クエン酸シルデナフィルです。ファイザー株式会社のバイア グラの商品名で既に承認が下りているものでございます。今回の指定はそれとは別の効 能である肺動脈性肺高血圧症に関するものであります。肺高血圧症は進行性の致死的な 疾患であり、静注用フローランやトラクリアの既存薬があるにはあるのですけれども、 注射剤であるとか、重篤な肝障害の発現等があるということでいずれも重症度が高い患 者に適応が限られております。本剤は、有効性に関してはプラセボ対照試験で比較的す っきりと出ており、また特に安全性でこれらの既存薬よりも優れた薬剤になる可能性が 高いということで、優先的に治験相談を行う品目としてよいのではないかというふうに 判断しております。なお、本剤の開発が成功した場合の話ですけれども、バイアグラと いう名前ではなしに別の商品名、アメリカでは「Revatio」という商品名で申請されるこ とになると思います。  それから1枚めくっていただいて資料7-2、酢酸リュープロレリン、これは武田薬品 工業株式会社のリュープリン注射用です。既に子宮内膜症や前立腺癌の効能・効果が承 認されておりますけれども、今回の指定は球脊髄性筋萎縮症といいます呼吸筋麻痺等に 至る進行性の神経障害であります。病態には細胞核内の変異アンドロゲンレセプターの 集積が関係しているというようなことが言われておりますけれども、現時点で本疾患に 対する治療薬は存在しておりません。名古屋大学の祖父江先生のところでプラセボ対照 の臨床試験が既に実施されておりまして、疾患の進行を抑制する可能性があるというこ とが示唆されております。今後、本剤の開発は医師主導の治験というような形で行われ るとのことでございまして、今回はそのような疾患への開発に対する優先的な治験相談 を行うという判断をいたしました。以上であります。 ○事務局 もう一つ、資料8の優先審査品目指定の結果につきまして追加で御報告申し 上げます。優先審査の取扱いについては、3ページにその概要をお示ししておりまして、 指定に当たりましては「(1)適応疾病の重篤性」、それから「(2)医療上の有用性」を 総合的に判断して決めるというふうにさせていただいております。  今回御報告いたしますのは、1ページにお戻りいただきまして1のペガシス皮下注、 成分名がペグインターフェロン アルファー2aでございます。それからそれと併用しま す2のコペガス錠200mg、成分がリバビリンでございまして、1のペガシスにつきまし ては現行ですと単独療法の承認しか持っておりませんで、今回リバビリンとの併用療法 の効能を追加するという内容でございます。それから2のリバビリンの方は、1と併せ て用いるという内容でございまして、厚生労働省といたしましては総合機構におきます 検討の結果を踏まえまして、C型慢性肝炎という適応疾病の重篤性、それからC型肝炎 対策に今国として積極的な取組をしている中で、本剤は既存療法に比べて過去のインタ ーフェロン治療の無効例における有効率が高いなどの特徴がございまして、本剤の医療 上の有用性を総合的に評価し、優先審査の品目に指定させていただいたということでご ざいます。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは一括して御質問をお受けしたいと思 います。谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 優先対面助言のクエン酸シルデナフィルについて教えてください。この 肺高血圧症に対してPDE-5の阻害薬の効果が何か明確に認められたというお話でし たけれども、そういう作用があるのでしょうか。 ○機構 海外での臨床試験成績ですけれども、既にアメリカで承認されているわけです が、プラセボ対照をコントロール群にした試験で、効果に関しては比較的すっきりと見 られております。すっきりというのはプラセボに対してはっきりとした優越性でという 意味ですけれども、見られております。 ○谷川原委員 メカニズム的にはこのPDE-5の阻害作用ということなのですか。 ○機構 そことの関連で、肺においてメカニズムの作用機序のターゲットがあるという ことも含めて承認の根拠となっているというふうに考えております。 ○永井部会長 もともとそういうことで開発されているのですね。血管にPDE-5が多 いのではないでしょうか。実は私も個人的に十数年来の肺高血圧症で100mmHg以上あっ た方で使って、今30mmHgぐらいになっている方がいまして、やはり効く印象を持ってい ます。 ○谷川原委員 ありがとうございました。 ○永井部会長 何か御質問はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは 報告事項は御了解いただいたということといたします。本日の議題は以上でございます が、事務局からほかに連絡事項がございましたらお願いいたします。 ○事務局 事務的な連絡でございます。当部会で過去御審議いただきまして、去る9月 15日の薬事分科会を経まして10月11日に承認させていただいた新薬について、名前だ け御報告申し上げます。一つがプロペシア錠(フィナステリド)でございます。それから ルボックス、デプロメール(マレイン酸フルボキサミン)の効能追加。イヌリード注(イヌ リン)。アクチバシン注、グルドパ注はt-PAのアルテプラーゼの製剤の効能追加でご ざいます。ブロプレス錠(カンデサルタン シレキセチル)の効能追加。パピロックミニ点 眼液(シクロスポリン)。最後にセイブル錠(ミグリトール)でございます。これらにつき まして10月11日に承認をさせていただきます。  それから次回の医薬品第一部会の日程でございますが、既に先生方に御案内を差し上 げておりますけれども、来月11月24日木曜日の午後2時から開催させていただきます のでよろしくお願いいたします。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは本日はこれで終了させていただきま す。どうもありがとうございました。    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)      - 1 -