05/10/12 第8回今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会議事録 第8回 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会 議事録 日時:2005年10月12日(水)14:00〜17:00 場所:厚生労働省16階第17会議室 出席者:  委員   山縣座長、井上委員、岩佐委員、上廣委員、江成委員 小野委員、川崎委員   後藤委員、小林委員、佐藤委員、菅野委員、関根委員、高橋委員、前橋委員  ゲスト   三宅氏(横浜市)、宮野氏(神戸市)、森田氏(三鷹市)  事務局   白石雇用・均等児童家庭局審議官、香取総務課長、太田児童福祉専門官   相澤総務課長補佐、内山総務課長補佐、川鍋総務課長補佐 議事:  1. 開会  2. 事務局説明  3. 討議  4. 閉会 配布資料:  資料1 第7回研究会における主な議論の概要  資料2 「市町村における児童家庭相談体制の整備」に関する論点(案)  資料3 市町村児童家庭相談業務調査結果(暫定版)  資料4 市町村児童家庭相談業務調査結果(暫定版)における特徴的な自治体  資料5 要保護児童対策地域協議会等調査結果(暫定版) 参考資料1:  横浜市 三宅氏提出資料  神戸市 宮野氏提出資料  三鷹市 森田氏提出資料 ○山縣座長  定刻となりましたので、ただ今から第8回の研究会を開催させていただきたいと思い ます。まず、事務局から出席状況の確認と資料確認。非常にたくさんの資料がきており ますので、確認をよろしくお願いします。 ○内山総務課長補佐  本日は、濱田委員が所用により欠席でございます。あと、若干遅れている委員がおら れるようです。  資料確認ですが、配布資料として資料1から資料5まであります。資料1が「第7回 研究会における主な議論の概要」ということで、前回の議事要旨でございます。  資料2が「市町村における児童家庭相談体制の整備に関する論点」ということで、論 点と指針などを整理したものです。  資料3は、前回速報版という形でお配りしましたけれども、「市町村児童家庭相談業 務調査結果」。今回も暫定版ではありますが、少しまとまったものです。  資料4はその市町村の業務調査結果における特徴的な自治体をピックアップしたもの です。  資料5は前回速報版で出しましたが、要保護児童地域対策協議会の調査結果。これも 暫定版です。  以上が配布資料でして、今始まる前に急遽お配りしたものがあります。本日3名の方 をゲストスピーカーとしてお招きしておりますが、横浜市の三宅さん、神戸市の宮野さ ん、三鷹市の森田さんの資料を、それぞれ参考資料としてお配りしております。  それから参考資料は大部のものですが、山縣座長が主にされました研究の総括報告書 とヒアリング調査、それから自治体調査の3冊が付いております。  配布資料は以上ですので、もし足りない物がありましたら、事務局へお申し付けいた だければと思います。 ○山縣座長  ありがとうございました。資料は大部でございますし、場合によっては、見落とされ た方があるかもしれませんが、議事のつど、もし必要な物があれば、手を挙げていただ けましたらありがたいと思います。  それでは、今回も引き続き市町村の相談体制ということですので、前回の議論を基に、 論点整理事項について事務局から説明をお願いします。 ○内山総務課長補佐  それでは資料の2をご覧いただきたいと思います。「市町村における児童家庭相談体 制の整備」に関する論点(案)ということで、前回お出しした論点(案)をほぼ踏襲しており ますが、後ろに現段階の私どもの到達点であります「市町村児童家庭相談援助指針」と、 後ほどご説明します市町村の業務調査結果を少し対比させたような形で資料を作ってお ります。  論点自体ですが、1ページにIからVIIIまで書いておりますが、ローマ数字のIは、市 町村の児童家庭相談の役割ということで、市町村が担う機能・相談種別ごとの対応につ いてということが論点になるかと思います。  1枚めくっていただきまして2ページですけれども、市町村の児童家庭相談の役割と いうことで、前回この場で、例えば市町村が担うのは児童相談の窓口的なものなのか、 あるいは処遇方針を関係者と決める個別ケース対応なのかというご指摘や、相談窓口、 要保護児童対策地域協議会、相談種別といったさまざまな話、幾段階かの話が市町村の 児童家庭相談にはあるのではないか。あるいは相談種別と相談の流れを、機能に着目し て整理した方が整理しやすい。そういったご指摘をいただいた所であります。  下の方に抜粋しておりますのはこの4月に、市町村に相談をしていただくに当たって、 一つの到達点として私どもが出した児童家庭相談援助指針です。  この指針を受けて各市町村が取り組んでいるものと思いますけれども、それが現段階 でどうなのか。あるいは今後どうすれば良いのかというところを議論していただければ と思って、参考までにお付けしております。  指針の第1章第4節の所ですが、児童家庭相談援助の流れとして、市町村で(点線の中 ですが)基本的に(1)から(6)の過程で展開されるということを書いています。(1)相談・通告 の受付(2)受理会議(3)調査(4)ケース検討会議(5)市町村による援助、児童相談所への送致等 (6)援助内容の評価、援助方針の見直し及び相談援助の終結のための会議。こうした過程 でやっていただくことを指針では書いております。  3ページに行きまして、種類については当然虐待に限らず養護相談・障害相談、ある いは4ページに行きまして、非行相談あるいは育成相談。そういったものもやっていた だくように指針では位置づけております。  5ページのところで、果たしてその現状はどうなのかということですけれども、市町 村の相談業務調査により、相談処理件数あるいは主たる相談窓口のところで現状がどう なっているかというのを、また後からご説明したいと思っております。  次に6ページに進みまして、ローマ数字のII、市町村の職員体制の確保・専門性の向 上でございます。前回の議論では、例えば市町村と児童相談所の短期的な人事交流が効 果的ではないか、あるいは小さな町では相談窓口の人事ローテーションが難しいといっ たようなご指摘がありました。  市町村の援助指針には、必要な職員の確保あるいは児童家庭相談の質の向上というこ とで、例えば児童福祉司たる資格を有する職員を配置することや、質の向上としては、 研修の他、外部の専門家からの助言・指導、あるいは自己研鑽を図ることなどが書かれ ております。  現状としては、相談窓口の担当職員にはどういう者が就いているのか、あるいは外部 人材を活用する助言の状況、研修の受講状況。こういったものは後ほど資料3で説明し たいと思っております。  7ページに行きまして、IIIとして、市町村の相談体制あるいは都道府県との関係でご ざいます。ここの所については、例えば相談体制についてはハード面についての議論と いうようなご指摘が前回ありました。  8ページを見ていただければ、例えば組織的な対応をしっかりしているか、あるいは 休日・夜間の体制がどうなっているかということを指針で盛り込んでおります。後ほど また資料3でご説明しますが、受理会議、ケース検討会議の開催状況あるいは夜間・休 日の対応、業務マニュアルの有無といったようなことを、市町村調査した現状をご報告 いたします。  9ページに行きまして、「要保護児童対策地域協議会(ネットワーク)による取組」です けれども、ネットワークについては前回の議論でネットワーク・地域協議会がどういう ところを担うのかというご指摘がありました。例えば個別対応ケースについても担うの か。あるいは地域協議会と市町村窓口の関係が不明瞭であり、モデルを示すべきではな いかという話がありました。  市町村児童家庭相談援助指針では、9ページの点線で囲ってありますような会議の3 層構造を採ることが基本的には多いのではないかという指摘をしております。代表者会 議、実務者会議、それから個別ケース検討会議です。  相談から支援に至るまでの流れとして、10ページの後段から一つのモデル的なものを 書いておりますけれども、果たしてこういう形で良いかということをご議論いただけれ ばと思っております。この地域協議会の現状については後程資料5でお話をしたいと思 っております。  12ページに進みまして、福祉事務所、児童家庭支援センターの扱い、あるいは子育て 支援サービスの活用による総合的支援の実施。そして本日二つの政令市の方に来ていた だいておりますけれども、政令市の取り扱いといったところが論点になるのではないか と考えております。以上です。 ○山縣座長  ありがとうございました。この研究会で後期に検討すべき市町村における体制整備の、 今まで行ってきた議論と関連資料、あるいは今後提出される資料についての説明をいた だきました。  今日は、多くの時間を事例発表に予定しておりますので、早速ですけれども、遠方よ りわざわざお越しいただきました横浜市中央児童相談所の三宅所長、それから神戸市児 童相談所の宮野さん、それから三鷹市の森田さん、3人の方からそれぞれ15分程度ずつ 説明をいただき、議論をしていきたいと思います。  政令指定都市である二つの市の説明を聞いた後、そのレベルの議論をと考えておりま すので、三宅さんから15分程度よろしくお願いします。 ○三宅氏  横浜市の中央児童相談所長の三宅と申します。このような機会を与えていただいた山 縣先生をはじめ関係各位に感謝いたします。政令指定都市における地域との連携のあり 方について少しお話させていただきたいと思っております。  資料は表裏2枚ですが、行ったり来たりしますが、どうぞよろしくお願いします。  最初の図ですが、都道府県と市町村と、政令指定都市と区の違いをまとめてみました。 下部に神奈川県と鎌倉市、そして横浜市と保土ヶ谷区の県・市・区の章を並べて、児童 相談所にとって「区」と「市町村」との違いを例示します。横浜の場合は、結構違う面 がありまして、自治体が同じですから人事交流が可能であること。福祉事務所・保健所 (センター)が区に併置されていること。それから上下関係ではなく、パートナーシッ プとしての同格の意識があって、それだけに明確な役割分担がしにくく、双方の補完的 な分担という形になりやすいこと。つまり単なる業務移管には非常に抵抗があり、合理 的な理由のもとに十分な協議の上で、一つ一つ業務移管せざるを得ない状況があります。 特に区への権限委譲が進んでおりまして、区の独自性・自主性が出てきており、区によ る違いが少しずつ出てきております。それから同じ自治体ですので、個人情報・地域情 報の共有が比較的可能であるというメリットもあると思っております。  2ページ目の左上ですが、「数字で見る政令指定都市」という表があります。全国の人 口、18歳未満の児童人口、16年度の虐待件数、それから虐待専従班のあり方、保護所 の定員、児童養護施設の在籍児について、全国、横浜市、政令指定都市、東京都、東京 都と政令指定都市(これを大都市とします)と、大都市の占める割合が大体すべての4 分の1になっております。そうしますと、この委員会の中に4分の1ぐらい大都市の児 童相談所の委員が入ってもいいだろうと思うのですが、残念ながら一人もおりません。  また、元のページに戻っていただきたいのですが、政令指定都市の横浜はどんな所か ですが、人口は一番最近の数字で358万人となり、日本の人口の30分の1に相当しま す。児童人口18歳未満が58万人で全人口の16.2%に相当します。出生数は年3.3万人。 15歳以下の死亡は166人です。合計特殊出生率は1.15。数字ではこのようになります。  平成14年1月から18区に福祉保健センターを置きました。これは、係単位まで福祉 事務所と保健所をブレークダウンして再構成した組織です。その中に子ども家庭支援担 当がありまして、保健師・助産師・婦人相談員・ケースワーカー・元教師・保育士・カ ウンセラーなど多職種が所属している特徴ある職場であります。そこでは乳幼児健診・ 予防接種などの母子保健事業から、何でも相談できる子育て支援相談、それから保育園・ 児童手当などの児童福祉まで、子どもに関して広い範囲で支援をしております。私自身、 4年前まで保健所長でありましたので、そういった区の状況をお話しさせていただきま す。  次のグラフですが、平成16年度の横浜市児童虐待新規把握件数です。平成15年度と 比べますと1.5倍の837件と急激に増えております。この中で把握経路で一番多いのが、 一番下に書いてあります福祉保健センターで、170件近くになっております。白抜きで 「虐待者本人からが急増している、これはよいこと」と書いてありますが、虐待者本人 からの通報が非常に多いのが横浜市の特徴かと思っております。それは、上の方で塗り つぶしになっておりますが、電話相談とは別に、虐待ホットラインという24時間365 日の通報専用の電話を横浜では早くから開設しておりまして、そこに虐待者本人からの 連絡・相談が多くかかるという理由からです。  次の図表では、虐待統計をもう少し分析してみました。右上のグラフですが、塗りつ ぶしが区の福祉保健センターからの通報の件数です。平成12年度から16.8%から20% と徐々に増えておりますが、一番多い通報機関となっています。福祉保健センターの母 子保健事業・障害関係事業・生活保護事業等々から、虐待と判断される事例を発見し通 報できることで件数が非常に多くなっています。  下の二つのグラフですが、重症度について市全体と区福祉保健センターの通報件数を 比較しますと、棒グラフの一番下が「虐待の危惧あり」で、虐待と言いきれないけれど も、虐待の可能性があるといったものですが、これを全市と経年的に比べますと、区福 祉保健センターの方が明らかに減少傾向が強くなっております。この「虐待の危惧あり」 を区で担当して子育て支援をしていただき、児童相談所には送られて来ないことがこの グラフからご理解いただけると思います。  そうは言っても、次の図表のように、区からの声をまとめてみますと、「虐待は児童相 談所で対応してよ」が本音だと思います。地域は正の子育て支援で手一杯なので、例え ば乳幼児の母子保健・ケースワーカー・保育園・児童手当というものが中心の事業にな っていて、虐待関係は無理というのがあります。地域団体の役員・主任児童委員・民生 児童委員さんがいますが、もっと協働できる体制にするために児童相談所が主体的に支 援をしてくださいというのもあります。  それから、区から児童相談所に相談情報をあげても、児童相談所から対応の報告がな く一方通行だという指摘、職種間の食い違いから話が通りにくい。例えば児童相談所は ケースワーカーが中心で、区は保健師が中心です。児相のケースワーカーが区の保健師 にこれをしてください、こういう方向でやってくださいと言っても、言語が違ってなか なか理解されにくいことがあります。児童相談所からの、協働でなく押し付けと捉えら れてしまいがちです。  それから、児童相談所の先ほど申し上げた電話相談・虐待通報ホットラインですが、 そこに入った情報が区に入らず児童相談所だけが占有して問題だという指摘があります。  次の図表は、区の子育て支援事業の中での児童家庭相談の歴史と現状をまとめました。 横浜では保健師が平成6年から「虐待」と言わずに「不適切な養育」という言葉を使っ ていろいろな形で母子保健・子育て支援事業の中で事業展開をして参りました。具体的 にはリーフレットの作成、不適切な養育をしている親子の要支援台帳づくり、これらの 親子のセルフヘルプグループとか、さらに厚生労働省の研究費をいただいて、医師・看 護師・助産師・事務職で構成する実態調査研究委員会を設けて調査研究をして参りまし た。  平成6年には国連の子ども人権宣言に合わせて主任児童委員が設けられ、保健活動推 進員・ヘルスメイト等の保健所が持っている民間協力団体の人たちと一緒に子育て支援 体制作りが本格化し、平成9年より、保健師・保育士・教師OB・教育カウンセラーに よる平日の電話と面接による子ども家庭支援相談事業が始まりました。  その中で生まれたのが「不適切な養育支援マニュアル」です。平成11年に施行され、 乳幼児編が平成12年に完成し(平成16年改定)、さらに現在学齢期編を作成中です。  また、親子のピアカウンセリング事業を児童相談所だけでなく区でも行っております。 虐待ハイリスク群とされる乳幼児健診の欠席者への連絡・勧誘。今年度から産後支援ヘ ルパーに続きまして、育児支援家庭訪問事業、いわゆる「不適切な養育」をしている家 族へ保健師・栄養士・ヘルパーを派遣して見守りと支援をするという体制が始まりまし た。来年度から児童相談所でも同じような事業を行う予定でおります。そのほかにも各 区の自主事業として、例えば地域の子どもの一時保護を区内の家族に委託するとか、夜 間も虐待通報や子育て相談をする事業などがあります。このように区で「不適切な養育」 を中心とした支援事業が行われていた歴史があります。  「不適切な養育」気づきと支援マニュアルについてもう少し述べますと、これは児童 相談所の側面支援で保健師が中心となって作成しました。母子保健事業の中から「虐待 捜し」ではなくて、養育者の抱える問題、児の育て難さなどに気づきと共感の姿勢で支 援するというコンセプトでした。チェックリストを基にしてランク付けをして、スタッ フ・管理職とのミーティングの上で評価をして、ABは児童相談所に即刻通報して、CDE は区で支援する。ABは虐待と考えられるもので、CDEは虐待までとはいかないまでも 虐待に移行しやすい、リスクファクターを多く持っているケースです。  このマニュアルを使った対応は保健師が中心になっており、ケースワーカーの関与が 少なかった状況があります。ケースワーカーの役割も非常に重要で、もっとケースワー カーと保健師が協働できるように視点を変えて学齢期編という形でマニュアルを作成中 です。。  このマニュアルを教材として事例の背景状況の調査・安否確認・その後の対応につい て実践研修をする予定です。  児童福祉法の改正では市町村が「一次通告機関」となっておりますけれども、横浜市 では児童相談所と区が並行して「一次通告機関」となっております。共に担うという役 割です。現実に児相への虐待把握経路では区が一番多くなっておりますし、地域の人に とって区に連絡しやすい現実とそれが区民への信頼感を高める方向だと思っています。 区から重度例が児童相談所に通報されるけれども、児童相談所に任せきりでなく区と協 働で対応できるような、児童相談所と区との言語の共通化が非常に重要だと思っていま す。  次に政令指定都市の要保護児童対策地域協議会の状況ですが、この研究会のデータと、 先日行われました東京都及び政令指定都市児童相談所長会議のデータを並記しました。 ほとんどの政令指定都市では、従来から代表者会議・実務者会議・個別ケース検討会議 が設けられておりまして、それを改組するという形で設置もしくは検討中とのことです。  従来の虐待中心の会議から要保護児童全体に拡大し転換することで、関係機関をどこ まで広げるか、主管は児相・本課なのか、区の組織にしてしまうか、守秘義務が本当に 守られるかなど、いろいろな議論がありました。  横浜の要保護児童対策地域協議会ですが、市レベルでは平成8年から市の子育てSOS 連絡会がありまして、これを代表者会議として位置づけました。人口8万人から38万 人ぐらいまでの横浜市の区ですので、本来は各区に代表者会議があってもいいのではな いかと考えましたが、会議が多くなりすぎるとかで抵抗が強く、結果として代表者会議 は市に一つだけということで設置しました。実務者会議は平成10年から各区にあるの を、若干、変える方向で順次設置しつつあります。  この協議会が実効あるものにするためにいかに地域と連携するかが大きな問題となり ます。民生委員児童委員、主任児童委員、保健活動推進員、青少年指導委員、PTA、学 家地連、子ども会など地域の役員、NPOなど、いろいろと地域の連携すべき相手があり ますが、どこがどことどう連携してどのような支援をするのか。それから警察官・弁護 士・医療関係者・法医学者・家裁調査官等々の専門家との連携、さらに地域いある児童 福祉施設・里親・FGHとの連携。施設と地域との関係の調整をどうしたら良いのか。児 童相談所に専門の担当部署・担当者を設置し、活動を常時支援し、啓発・研修・連絡調 整できる体制作りが急務だと考えております。兼務では限界で専門のパートが必要です。  次に、どこの都市も同じと思いますが、局の再編成が横浜市にも来年度あります。青 少年子ども家庭局という仮称となっておりますが、平成16年度には、子育て支援事業 本部が母子保健と保育園拡充をまとめてできており、そして平成18年に福祉局から障 害児関係・保育運営・児童家庭が、教育委員会から幼稚園が、市民局から青少年部門が 移って、新局が構成される予定になっております。  その中で児童相談所をどういう形にするかが議論になっています。児童相談所の体制 の強化・高機能化が喫緊の課題ですが、現実に人と金がない時代でどうできるのか、非 常に苦慮している現状があります。その一つの方法として、児童相談の流れの各部門の 業務を多職種で対応する。それから、地域との連携を合理的に、直接的に連携できるよ うな体制にする。そして保護所の子どもへの支援があります。横浜の保護所の定員は84 名で、日本では東京に次いで多くなっています。まず84名の子どもたちに対する公教 育の導入。私は障害児医療を長い間してきた人間ですが、どんな重い障害の子どもでも 教育を受けているのに、保護所の子どもは公教育を受けていない。公教育が入ってない 子どもがこの日本にいるということに驚いております。この子たちにこそ自己肯定感を 高める個別教育を必要とするほか、人権教育・性教育・暴力や誘拐等々に対する抵抗性 を付けなくてはいけない。その教育がほとんどされてないという状況に愕然としており ます。それから自分の子どもを入れても良いと思わせるようなアメニティをやはり考え なくてはいけません。それを新たな体制でできたらと思っております。具体的に3枚の 図表に、横浜市が取り組み始めたことをまとめました。  まとめですが、政令指定都市も区との連携に課題があることを知っていただきたいと 思います。その中で、各段階での連携が重要で、区の保健師とケースワーカーが協働し て児童相談に対応してほしい。従来からケースワーカーはケースワーカーで事業を展開 し、保健師は保健師ということで、なかなか連携が十分でないという状況があります。  それから、地域では役員がボランティアでしていますけれども、実践研修を積んで個 別的に力量を高めていただくのが重要で、これを区と一緒にやらなくてはいけないと思 っています。具体的には、区との連携には、区に児童相談担当の責任者が必要ですし、 児童相談所に区と連携できる全体の啓発研修ができる個別事例を持たないスタッフ、一 つの係が必要だと思っています。  それから要保護児童対策地域協議会ができたのですから、これに各セクションに働き かけられる力量を持たせたいと思っています。横浜には残念ながら虐待防止センター 等々のNPOが十分できておりません。そういったものを作ることも大事な役割だと思 っています。  虐待や非行を未然にどう防ぎ、家庭再統合をどう図るのか。そして最大の課題は受け 入れる里親・施設をどう増加させるのか。そして子どもの安心・安全・安定した生活を どう支援するかに、児童相談所の役割があると思っております。  最後に、私は小児科医ですので、医師としての役割があると思っております。  医療との連携をより緊密にしたい。院内虐待対策委員会といったものを中核的病院・ 大学病院・小児病院に置きたい。現在5カ所の病院にありますが、今年、また来年当初 にはあと5カ所できる予定です。広島の例のようなネットワークを作りたいと考えてお ります。  診療所から、重度の虐待事例は入院ができる、入院が保証されているという体制を作 る。そして、虐待対策委員会から団体として児童相談所に連絡がある。児童相談所は、 法医学の科学的な目を利用して、第三者的な鑑定を可能にする。これは交渉中ですが、 予算が取れそうな状況にあります。  次に障害児・非行への児童相談の力量を維持したい。私は障害児医療をやってきまし たから、児童相談所が障害児から手を抜くということを非常に情けなく思っております。 障害児の養育には大変な努力が必要であり、現在の家庭の養育環境ではかなり困難であ り要保護児童化する率が高くなっています。さらに障害児の虐待は一般の虐待よりも10 倍多く発生しておりますので、児相の対応の力量を保たなくてはいけないと思っており ます。  非行も同じであります。家庭内の状況は虐待家庭とほとんど同じです。  私は子育て支援をしたいということで保健所に移りましたので、児童相談という負の 子育て支援の中から、どうにかして正の子育て支援に役立てたい。何といっても、愛着 形成、母子保健の事業が一番大事であって、これらの予算が削られることには非常に抵 抗したいと考えております。  それから警察との関係ですが立入り調査の円滑化と、警察への通報後に署により対応 が異なる場合が多く、標準化が求められます。  それから児童福祉法が本当に情けない法律で、18歳までが対象となっております。今 の子どもが18歳で大人になりますか。18歳になって児童養護施設から出されてアパー トで自立する、そんなことは養育環境の乏しかった子どもたちにとってあり得ないわけ で、どうにかして法を20歳までに上げる努力と18歳以上の子どもに対する生活・精神 的な支援をするNPOとか民間組織とかを作りたい。成人式にその子どもがどこにいる かわからない状況が多くて、それはないだろうと思います。やはり成人式を祝ってあげ られるようなことをしてあげたいと。社会人としての友人作りも含めてこういった組織 を作っていきたいと思っております。  最後の表は、先日の東京都及び政令指定都市の児童相談所長会議の資料から個人的に 作成しました。児童人口当たりの数字に置き換え、斜め太字は東京を除く第1位の自治 体を表しております。後でご覧いただければよろしいかと思います。  少し話が散漫になって申し訳ございませんでした。これで終わりです。 ○山縣座長  ありがとうございました。限られた時間で、横浜の非常に多角的な取り組みを説明い ただいたということで、本当に申し訳ありませんでした。  では引き続きまして、同じく政令指定都市・神戸市の方から宮野さん、よろしくお願 いします。 ○宮野氏  それでは神戸市で今行っております児童相談所と各区の連携について報告させていた だきます。資料をご覧ください。神戸市では平成14年2月に死亡事例がありました。 それを踏まえて14年度に実施を予定しておりました、保健と福祉が一緒になった区に おける子育て支援室というのを14年の3月から立ち上げました。それによってこども 家庭センター(児童相談所)と各区の連携を細やかにして、虐待を未然に防ごうという ことで発足しました。  皆さんにお配りしております資料の「はじめに」の所の子育て支援室設置の経緯が、 平成13年になっておりますけれども、「平成12年に児童虐待防止法が施行され」に訂 正していただけますか。  そういう経緯がありまして、平成14年3月に区の子育て支援室とこども家庭センタ ーの連絡会が始まりました。そのときに、プロジェクトチームということで各区と本庁 の中にプロジェクト組織が設置されました。資料の11ページをご覧ください。11ペー ジの区の中(右側です)に各区の子育て支援室というものが組織的にプロジェクトとして 描いてあります。区長を本部長として各区の保健福祉部長、これが子育て支援室長にな ります。参事、これは以前保健部にいたドクターが参事でおります。子育て支援担当主 幹は、各区に子育て支援係というのがあり、課でなくそこに主幹を置いておりますので、 子育て支援担当主幹が推進課長になります。健康福祉課長、これが調整課長になりまし て、あと虐待ケースは経済的な問題がたくさんありますので、生活保護課長も主幹とい う位置におります。区内に公立保育所があって、その中の所長が2〜3名主幹発令され ておりますので、公立保育所の主幹保育所長を入れております。あと係長クラスから各 担当までということで区の子育て支援室を置いております。  もう一方、本庁の中にも保健福祉局長を本部長として子育て支援部、神戸市では今年 から児童福祉部ではなくて子育て支援部に組織替えがありまして、子育て支援部長。そ れから子育て支援部主幹(子育て推進)、子育て支援部主幹(こども家庭支援)、それから保 育担当と地域保健も含めた主幹、主査で組織しております。ここへこども家庭センター (児童相談所)長はどうかかわるかというと、両方の連携を強めるということです。こ こでも児童相談所長は局に入らないのかという議論もあったのですが、やはり枠外にい た方が客観的に眺められるのではないかということで、一応枠外におります。  平成14年4月から、各区の子育て支援室と児童相談所を連携し、まとめ、調整する 役目として、私が児童相談所に配置されました。私は保健師です。各区の子育て支援室 子育て支援係は主に保健師が係長だったり、保健師が主幹であったりして、そこに母子 福祉を担う行政の係長が配置されております。  やはり子どもの命とか健全育成を考えますと、母子保健から進んでいくというのが考 え方でありまして、子育て支援室のプロジェクトということで、児童相談所と各区はフ ィフティ・フィフティの間柄でいくと。どちらが上でどちらが下ということのないよう にということで、子育て支援室は発足しました。というのが、14年2月の死亡事例のと きに、保健所は通告をした、児童相談所は通告をうけていないというような議論があり まして、そういうことが起こらないように要保護児童のフォローをしております。  子育て支援室の体制についてですけれども、4ページをご覧ください。プロジェクト 組織というのは先程説明しましたように、健康福祉課の中に子育て支援係・管理係・あ んしんすこやか係がある。あんしんすこやか係というのは、老人と障害を担当していま す。これに公立保育所が加わっています。  次のページをご覧ください。虐待ケース(疑い含む)への対応で、虐待ケースの基本的 なマニュアルというものを示しております。ケースを把握しまして、普通一般からの相 談・保健事業・福祉サービスの中で発見してすぐに調査をします。この調査は子育て支 援室の調査と、こども家庭センターに虐待通告があるケースも、こども家庭センターか ら調査依頼をしておりますので、その調査も含んでおります。区に通告があったケース とか、保健事業から発見したケースについてのケース検討会、これは定例で行ったり、 緊急で行います。そこでアセスメントをしまして援助方針を決定します。そのときに虐 待アセスメント、要保護児童のチェックリストを使いまして緊急性の判断をします。ア セスメント1、2は必要に応じてこども家庭センターへ送致されて来ます。次に3、4、 のケースは子育て支援室での援助を継続します。次に要援助家庭の継続支援ですが、こ こには、こども家庭センターで援助計画が立てられ継続観察指導の必要なケースは、子 育て支援室へ指導依頼します。指導依頼のあった継続観察指導ケースも含めまして、こ の支援室の方で継続的に支援をしております。支援している中で再アセスメントをしな がらケース検討会へ戻るものと終結するものというような方法をとっております。  調査ですけれども、6ページの(2)調査に関してはアセスメントシートとか子育て支援 チェックリスト(33ページに見本があります)を使います。一般に知られておりますアセ スメントシートですけれども、このアセスメントシートを使い緊急性の判断をします。 さらに幼児では子育て支援チェックリストを、それから学童用の子育て支援チェックリ ストも使います。  先ほど横浜市の所長さんから報告がありましたが、子育て支援チェックリストは神戸 市では横浜市の例を参考にさせていただいております。こういうものでアセスメントし、 これで必要な関係機関との連絡を行い調査をいたします。  子育て支援室のケース検討会についてですが、子育て支援室のケース検討会を各区の 室で持ちまして、そのケースの対応方針を決定しております。このときにケースについ て「要観察ケース台帳」を作成して、子育て支援室で一括保管しております。  次の(4)については、アセスメントの判断基準を示しております。  それから次に7ページですけれども、要援助家庭の継続支援は、先程申しましたよう に、子育て支援室の継続ケースの支援として母子記録票を用いて一括保管しております。 地域での援助が必要な場合は子育て支援ネットワーク連絡会、代表者会議・実務者会議・ 小地域連絡会がありますけれども、小地域連絡会を開催してケースに関する情報交換を 行っております。  それから、次の(2)こども家庭センターからの「継続指導(観察)」依頼に基づく支援と して、先程も申し上げましたように、こども家庭センターが初期から介入しまして、要 援助家庭の指導をしております。あと援助計画を立てまして、その子の状況によって在 宅で継続的に指導をしていく必要があるものは、「継続指導(観察)」ということで、地域 の見守り依頼、学校・保育所・支援室などいろいろな所での見守りを依頼しております。 そのケースについて区で継続観察し、再評価の時期にはこども家庭センターと子育て支 援室でアセスメントを行い、終結あるいは継続観察ということを決定しております。  それから(6)関係機関との連携ですけれども、区の子育て支援室とこども家庭センター の関係で特徴的なものがあるのですが、子育て支援室とこども家庭センターは原則とし て各区、9区と1支所があり、10カ所で毎月1回定期連絡会を開催しております。その 中で両方が共有しようと思うケースについて、その援助体制・具体的な方法について検 討する連絡会「区子育て支援室・こども家庭センター事例検討会」を開催しております。 このときには検討資料(47ページをご覧ください)をもって双方がこの資料でケースを作 り、お互いに検討します。子育て支援室のケースのうち、こども家庭センターとの検討 を要するものは子育て支援室で選んで来ます。こども家庭センターの方は、こども家庭 センターへの通告・相談があったもの、それから継続指導(観察)で再評価の時期が来て いるものについて検討しております。これについても、現状の問題点について後で説明 させていただきます。  その他関係機関、こころの健康センターとか保育所・幼稚園・児童委員・学校・警察・ 医療機関等、そういうところについては横浜市と同じようにしております。  それから、8ページの四角の中の注)ですが、子育て支援室のケース検討会ということ で、子育て支援室が独自で持っておりますケース検討会については、平均月1回、室長 以下が同席し、新規および継続支援中のケースの対応状況について協議しております。 支援室のケースについて共有し、また、必要に応じて対応方針の変更・継続支援・終結 などの方針決定を行っております。これについては記録を明確にするということです。 緊急対応が必要な場合は緊急ケース検討会を開催して、アセスメントに基づいた対応方 針を決定しております。  子育て支援室の役目としては、他にも子育てネットワークの運営として、子育てネッ トワーク連絡会、先程申しましたけれども、地域の子育ての支援体制づくり、それから 要援助家庭の支援に関することとして、代表者会議を年1回程度、実務者連絡会議は年 数回開催しております。それから小地域連絡会議は、随時開催しております。  親子グループ療法(グループカウンセリング)、これは親子関係を適切に築けない親に 対し、同じ悩みを持つ親同士が語る場の提供。それに、そういうグループカウンセリン グを各区の子育て支援室として行っております。すくすくサポート事業、これは、児童 虐待防止地域協力員(神戸市ではこどもサポーターとしている)が、子育て家庭の訪問ま たは支援を行っております。あと、育児グループの育成支援や啓発事業を子育て支援室 で行っております。  以下、資料ですけれども、12ページには子育て支援室の連絡体制。これが平日・夜間・ 休日の緊急体制です。  それから13ページは虐待から守るしくみについて表しております。  14ページはこども家庭センターと区子育て支援室のフローチャートになっておりま す。  先ほど申し上げました子育て支援室とこども家庭センターの連絡会ですけれども、現 在、原則毎月1回定期連絡会を開催している中で、参加者としましては、区の子育て支 援室の主幹、これは主幹でおりますのが保健師または行政の事務系の人です。係長、こ れも保健師または事務系です。それから保育所担当主査、これは母子福祉担当の主査。 これも事務です。それから保健師・保育所担当の職員・母子担当の職員。それから必要 に応じて精神保健福祉相談員。それから生活保護のケースワーカーというようなメンバ ーです。こども家庭センターにつきましては、こども家庭センターの主幹、私ですが、 それとあと一人、保健師がおります。それと児童福祉司。そういうメンバーが出て開催 しております。  それと検討する場所ですが、これもフィフティ・フィフティということで、偶数月は こども家庭センターで、奇数月は区の方へこちらから出向くというようにしております。  現状ですけれども、定期的に児童福祉司と保健師が顔を合わせることによって、個々 のケース対応だけではなくて、お互いに専門性に合う動き方とか業務内容を知る機会に はなりました。何をどこまで依頼したら良いのか、どんな事を頼んだら良いのかという ようなことを、お互いに知ることができます。各区の保健師にしても、「私がここまで訪 問して来ます」「このケースは健診でフォローしているから、こちらから訪問してみます」 とか「健診からだいぶ経っているから、お母さんからの訴えを今さら訪問して聞くのは おかしい」とか「ちょっとできにくいな」とか、そういうことを言い合って、お互いに カバーしながら役割分担ができるようになりました。子育て支援室の持ちケースとか、 こども家庭センターの持ちケースのランクもある程度わかってきております。それから、 乳幼児のケースについては、ほとんど子育て支援室がカバーしてくれている状況です。  その中での課題と言いますと、情報交換をしている中で、意志伝達がうまくいってい ない。子育て支援室の中での調整不足といいますか、保母との調整とか保育担当との調 整とか、そういうものの不足が明らかになっております。もっと室内部での調整が必要 というようなことが出てきております。  それから児童相談所に送致する前に、生活保護等、保健師のかかわりで、親への抑え といいますか、「あなたのしている事は、虐待ですよ」というようなことを親に伝え、経 過を見て、「それが続くようであれば、私たちは児童相談所へ言わないといけないのです」 というようなことまで言ってもらえる区も出てきております。  それから連絡会の検討ケースとしてあげられたケースは、こども家庭センターの児童 福祉司などからケースワークなどのアドバイスができるようになっております。区がど うしたら良いのかなというようなケースをあげてきますと、それはこういう方向で行っ たほうが良いとかいうようなことを、出席している児童相談所の児童福祉司からアドバ イスできるようになっております。特に生活保護のケースワーカー出身者が児童福祉司 になって虐待対応のケースワーカーをしているためだと思います。  支援室は10カ所ありますので、支援室によってはどういうケースを区で見て、どう いうケースを児童相談所が見るのかわかっていない。早すぎる送致というようなことが あり、そういうときは結局こちらも介入できなくて、区のほうで継続指導をお願いしま すと援助計画書で依頼することがあります。  それから今後の問題ですけれども、今は虐待対応だけをやっている区の子育て支援室 ですけれども、今後は非行相談にも対応できる職員の配置というのが必要だと思います。 こども家庭センターの中でも、国が示された「児童相談所は虐待と非行」という当初の 考え方がありました。そのときも児童相談所の職員から「区で何が非行相談できるのか」 というような言葉も出ていたこともありますけれども、今後はそれに対応できる職員の 配置というのも必要ではないかと思います。それと児童相談所の中の養護とか育成とい うパートの持っているケースというものも、これから子育て支援室での連携・情報交換 が必要になってくるのではないかと思っております。以上、簡単ですけれどもご報告さ せていただきます。 ○山縣座長  こちらもマニュアルに基づいての丁寧なご報告ありがとうございました。二つの政令 指定都市の児童相談所と、それぞれの内部にある区との関係の話を聞きましたので、い ったんここでその辺りに関する各委員からの質問、あるいはご意見を伺いたいと思いま す。  もし質問される場合は、どちらに聞きたいということを明示していただければありが たいと思います。よろしくお願いします。  いかがでしょうか。膨大な説明を聞いたので、十分整理・消化しきれていない所はあ りますけれど。どうですか、岩佐委員。 ○岩佐委員  私のイメージを固めるために、それぞれにお聞きしたいのですけれども、まず通報先 についてですね。横浜では両方が担うというお話だったのですけれども、例えば学校と か保育所とか幼稚園とかへのご説明としては、二つ並んでいて、どうぞどちらでもとい う感じでご説明をされているのか、こういう感じのものはこちらで、こういうのはこっ ちでという形でやっているのか。もしくは学校などへは主にこちらを窓口にしようとい う形での、差があるのかというところを教えていただきたいということ。もう一つは区 の、横浜であれば区のセクション、神戸市であれば支援室ということになると思うので すけれども、どんな感じでテーブルがあって、何人ぐらいそこにおられて、かつそこに 例えば兼務の方が結構いらっしゃるのか、兼務でない人がどうなっているのかとか、も う少しイメージを教えていただきたいです。特に保健師さんなどは、それぞれのお仕事 をされたり、子育て支援事業などもいろいろされているのかもしれませんけれども、い わゆる虐待ケース、もしくは不適切な養育が非常に疑われているケースには、では関係 機関から話を聞きましょうとか、もう少し調査をしましょうとか、何か会議を持ちまし ょうとかいうような仕事を専従的にやっておられる方がいらっしゃるのか、兼務の中で そういうことをされているのかというところを、もう少し具体的なイメージを教えてい ただければありがたいと思いました。それぞれお願いします。 ○三宅氏  具体的な話はしなかったもので、申し訳ありません。  まず地域の皆さん方が、虐待の通報先をどんな場合どこに使い分けているかというこ とですが、24時間・365日の虐待通報システムの無料電話「はまっ子24時間 0120-805-240」があります。どこからでも電話がかかり、関係機関にもいつでもご連絡 くださいと依頼しております。これは中央児童相談所の中に設置されていまして、夜間・ 休日・土曜日は5人の非常勤嘱託職員が交代で電話を受けて、緊急時に応じて常勤職員 につないで対応しています。1年間に1,000件の電話があり、そのうちの150件が虐待 通報でした。時間内の電話は虐待対応チームのデスクにかかるようになっています。虐 待対応チームは三つの児童相談所にいづれも4人体制で、相談員1、看護師1、社会福 祉士1、と係長でやっています。係長の業務は2年もやりますとかなり消耗しますので、 2年の勤務交代となっています。この他に児童相談所の虐待受け口ですが、再来のケー ス、または少し間が切れているけれども前に見ていたケースなどの相談や電話は相談調 整係という別のグループがあって、そこを経由する場合もあります。  区の場合は、先程申し上げましたように、子ども家庭支援担当に相談室がありまして、 教育カウンセラー、保育士、元校長および保健師の4人のスタッフがいます。面接と電 話での相談ですが、子育て全体に対する相談で虐待ばかりではありません。これが一つ の入り口です。それから、福祉保健センターの総合相談窓口が別にあります。ここは、 老人から子どもまでのすべての相談を受ける窓口で、ここで受けるということもありま す。  いずれの入り口からも子ども家庭相談担当という多職種のグループが受けまして、そ こで合議をした上で担当を決めて、実際のケースワーキング等の支援をするということ になります。でも区の規模にもよりますが常勤・嘱託を含めて10〜20人体制で母子保 健事業などを展開しておりますので、その一部で兼務ということになり、しかも虐待に 至る前の不適切な養育を中心に対応しており、このことは関係機関にはいろいろな機会 を通じて理解していただいております。そのほか区のシステムは先程、神戸の方からお 話がありましたように、ほとんど神戸と同じ形になっています。  ただ、残念ながら横浜では、神戸のように児童相談所の保健師が管理職でいて区と連 携をする窓口といった、区と直接連携をする専任の担当窓口はありませんので、その辺 が課題であると思っています。 ○宮野氏  先程の通報につきましては、児童相談所の方へも通報があり、区の子育て支援室へも 通報があるという形になっています。  児童相談所への通報につきましては、子育て支援室においては送致という形で送られ たり、一般の市民からの通報があったりします。  区の方へは、ご近所で泣き声がするなど一般のいろいろな通報が入り、相談に乗り、 調査をし、その後は区の支援室で持つケースと、また調査の結果児童相談所の方へ送致 されるケースがあります。  両方に送致されますけれど、子育て支援室が始まって4年目になりますが、学校の認 識が低いのか、特に学校から子育て支援室への相談の件数は特に少ないです。  それは、学校は主に児童相談所に非行や不登校の相談をしていましたので、学校の先 生はすぐに児童相談所へ「こういうケースがあるのですが」と持ってこられます。「これ は通告ではなく、相談です」という形で、軽度のケースも児童相談所の方へ相談をされる という状況になっています。  学校と子育て支援室の連携をもう少し強めようということで、区の子育て支援室とし ても、定期的に学校との連絡会を行ったり、学校や保育所へ子育て支援室のメンバーが 訪問して、「何かありませんか」と連携をしている所もあります。  そういうことで、両方に通報がありますが、区の子育て支援室への通報は、民間・一 般市民などからが多いです。  それから、区のセクションですけれども、先程の4ページの図にありますように、今、 以前の保健所と福祉事務所が一緒になりまして、区役所の組織の中に入っています。そ の中で、保健福祉部となっています。このプロジェクト組織のイメージ図の所で、保護 課と健康福祉課が区の保健福祉部になっています。  それで、保健福祉事務所長業務も保健所業務もしている状況で、「あんしんすこやか」 というのが、先程言いましたように、老人と障害を担当している所です。介護保険など は「あんしんすこやか」に入っています。  保健師の配置されている所は、「あんしんすこやか」と子育て支援係です。  子育て支援係ですが、先程先生がおっしゃいましたように、子育て支援は虐待だけで はなく、普段の乳幼児健診から地域の育児サークルのサポートなど、いろいろなことを しておりますので、ここで子育て支援全般を担っているということです。他に母子相談・ 保育所相談と母子福祉に関する相談も、この中で相談をしているという状況です。 ○三宅氏  第一の質問「虐待の通報先をどのように分けているか」について追加させてください。。  神戸と同じで、はっきり分けているわけではありません。  ただ、区は「不適切な養育」を中心に対応してきましたので、「虐待に至る前」を主に 担当するという意識が職員にも地域にも昔から培われています。明らかな虐待になれば 児童相談所で、それまではどうにか区で頑張りますという形になっています。虐待もそ うでないものも区でやるというのは、区にとって非常に重荷ですし、地域住民と区の信 頼関係が損なわれやすいと思います。「あなた虐待よ」と言うのは児相のなるべく限られ た人だけでいいので、区はあくまでも「頑張っているね。一生懸命やろうね。お手伝い するよ」という姿勢で支援して欲しいと思っています。おのずから、地域の方々も使い分 けをしているのではと思っております。  それから、学校からの通報が一番多いわけですけれども、学校・保育園はその辺の所 はかなり研修と言うか、同じ市立のことが多いものですから、使い分けをしていただけ ているのではないかと思っています。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。時間的には、もう一方ぐらいしか聞けないのですけ れども。後でまた総括的な質問の時間は取りますが、何か、この段階であれば。 ○前橋委員  三宅先生にお伺いしたいのですが、一枚目の右下の所で、さまざまな連携の現状の中 で、特に言語の違いというようなことをおっしゃっておられて、私もこれは非常に大事 だとは思っているのですけれども、同じ組織の中でも言語の違いが生じているというよ うな問題について、何か具体的に、例えばここの所をこういうようにした方がいいので はないかということがあれば、お聞かせいただければと思います。 ○三宅氏  その辺が、神戸と同じように苦労している事で、神戸は一歩前進したのだと思います。  ケースワーカーは保健所にはいませんでしたし、福祉事務所には保健師がいない体制 でずっとやってきました。それで福祉保健センターになって、両者が一つの係にいる状 況になりましたけれども、仕事のやり方はなかなか変わりません。ゴールを高い所に設 定して、それにどうにかして近づけていこうとする保健師と、語弊があるかもしれませ んが相手の状況と同じレベルで見て、それを少しでも上げていこうというケースワーカ ーでは、仕事の手法ないし言葉掛けなど一つ一つが違います。そこを調整するのが管理 職の大きな役割ですが、係長がケースワーカーか保健師かまたは事務職だったりで、な かなか融和ができません。  そのために、先程言いましたように、保健師向けの乳幼児版の養育支援マニュアルと、 ケースワーカー向けの学童期版の養育支援マニュアルを作るという工夫があります。ほ とんど内容は同じなのですが、多少違う形にしています。それから、われわれ児童相談 所は従来から福祉ですからケースワーカーが中心で、最近医療職が入ってきた状況です。 この保健師が区の保健師に働き掛ける、それからケースワーカーがケースワーカーに働 き掛けるという方が、流れが非常にスムーズに行くことになっています。過渡期だと思 うのですが、しばらくすれば両方の言語が合う状況になってほしいと思っています。  そういったハード・ソフトの工夫と、実践を通じて培っていくより仕様がないと思っ ています。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。  ここで、政令指定都市にかかわる部分につきましての説明と質問等はいったん終わら せていただきまして、引き続き中規模市ということで、三鷹市の方から森田さんに来て いただいていますので、同じように15分程度、状況の説明をいただきたいと思います。  よろしくお願いします。 ○森田氏  三鷹市子ども家庭支援センターの森田と申します。よろしくお願いいたします。  三鷹市は、今、中規模とおっしゃいましたが、人口17万人です。  私自身は相談員ということにはなっていますけれども、小規模の子ども家庭支援セン ターの中でやっていますので、実際には相談も受け、ケースワーカーとして児童福祉的 な動きもし、マネージメントもしということで、活動しております。ですので、できる だけ現場の声というか、皆さんのイメージしやすいような形でお話ができればいいと思 っています。  一番最初のページに「子ども家庭支援センター事業の概要」をお載せしました。  「子ども家庭支援センター」は東京都独自の制度で、少しわかりにくいかと思います けれども、先程の神戸の児童相談所とは全く別です。市区町村で基本的には一つずつ以 上は作ってくださいということで、作っているものです。  「子どもと家庭に関するあらゆる相談に応じ」ということになっています。それと同 時に、さまざまなサービスを提供しながら子どもと家庭に対する支援をネットワークを 中心に行っていくというのが、基本的な機能になります。  その中で、まずは相談をお受けすること、それからショートステイ・一時保育・産後 支援ヘルパーなどのサービスを提供すること、それから自前のサービスだけではなく、 その市区町村の中にあるさまざまな関係機関のサービスも含めた調整を行っていきなが ら、相談に乗っていくということ。それから、もう一つは広場事業を行っておりまして、 広場の中で、さまざまなご相談をお受けする、あるいは、孤立しがちな親子を支援して いくというような事も行っています。  そしてもう一つ、この事業内容の(3)「要支援家庭サポート事業」とありますけれども、 これはすべての子ども家庭支援センターで現在行っているわけではありませんけれども、 先駆型子ども家庭支援センターと東京都が位置づけた所が行っている事業で、「見守りサ ポート事業」・「虐待防止支援訪問事業」・「育児支援ヘルパー事業」があげられています。  「見守りサポート事業」は後程お話しますけれども、基本的に虐待ということで児童 相談所がいったん受理はしたものの、程度が軽く中軽度のものは児童相談所ではなくて、 市区町村の子ども家庭支援センターが中心で行っていけるだろうというものについては、 再度市区町村に戻されて、市区町村の子ども家庭支援センターを中心に、見守りサポー トを行っていくということになります。  もう一つは、児童養護施設に措置された子どもが、また家庭あるいは地域に戻ってき たときに、戻ってきた段階で親あるいはこどもの中にまだ相当の問題が残っている場合、 それは福祉士を中心に福祉指導という形になります。ある一定程度安定してきていれば、 子ども家庭支援センターが中心で行っていくということで、この見守りサポートの対象 になってきます。  それから、虐待防止支援訪問事業というのは、虐待に至る前の所で、できるだけ地域 に出かけて行って、予防的な活動を行っていこうということです。  一番イメージしやすいのは乳幼児健診の未受診家庭ですけれども、それ以外にも虐待 通報が寄せられたけれどもなかなか相談と言うか、こちらの方で待っていても来られな い方にどんどん出かけていくようなこともこの事業に基づいて行っています。  それから、「育児支援ヘルパー事業」というのは、先程横浜市の方でもお話しされた産 褥期だけではなくて、支援が必要な家庭に、ヘルパーも含めてサービスを行っていくと いうものになります。  一番最後に、職員体制というものがありますが、私は特に資格はありません。10年間 ほど生活保護のケースワーカーをやった上で、こちらの仕事に就いています。  もう一つ、三鷹市では現在、職員は常勤は3名しかいません。1名は保育士でセンタ ー長をやっています。保育士が子ども家庭支援センターの管理職に向いているかという と、決してそうは思いませんけれども、現在はそういう体制です。それから、保健師と 私ということです。  それから嘱託職員ですが、現在、精神保健福祉の資格をお持ちの方に、週30時間で すが、相談員をお願いしています。  それと一時保育を行っておりますので、その窓口担当の嘱託が1名です。  それから、これは三鷹市の特色なのですが、ファミリーサポートセンターという国の 事業がありますけれども、これを子ども家庭支援センターの中に組み入れまして、支援 センター事業と併せて、リンクするような形で行っています。そちらに嘱託が3名とい うことでやっています。  ただ実際には、児童福祉司さんがバーンアウト状態という話も出ましたけれども、私 もほとんど毎日10時ぐらいまで残業しているという状況で、市区町村の支援体制が整 えば整うほど、その辺の職員体制というものが、どんどん大変になってくるのかと思い ます。  三鷹市の流れを簡単にお話しさせていただきますが、ページをめくっていただきます と、「三鷹市子ども家庭支援ネットワークの概要」という所があります。その次のページ に「ネットワーク構成機関」というものがあります。これは現在、三鷹市子ども家庭支 援ネットワークということで行っているネットワークの構成機関になります。  この子ども家庭支援ネットワークについては、現在、要保護児童対策地域協議会の方 に衣替えする予定で、年内、12月議会で変更ということで考えています。  三鷹市では、この組織はさかのぼること平成2年に「子どもの相談連絡会」というも のがスタートした所から始まっています。実際に現場の療育関係のケースワーカーの必 要性を感じたところからスタートしたというふうに聞いています。  3層構造と言われますけれども、その第2層の部分を大事にしながら、実際に担当者 レベルで定期的に集まって、最初はどんな人がいるかもわかりませんので、それぞれの 機関がどのような活動をしていて、どのような事を考えながら仕事をしているのかとい うようなことが少しずつわかる中で、実際に困ったときに連絡をし合うというような、 自然発生的なネットワークが出来上がってきていたようでもあります。  ただ、当時は行政はやはり縦割りで、教育委員会は全く入っていませんでした。幼稚 園はそうでもありませんでしたが、やはり保育園関係で支援の対象になる子どもが相当 いたのですが、小学校に上がりますと、それを小学校に持ち込んでいくということもあ りますけれども、それほど小中学校の子どもについては、なかったということがありま したので、平成14年に2カ所目の子ども家庭支援センターをつくったときに教育委員 会を意識的に組み込むような形で、現在このような構成機関になっています。  それと、教育委員会と併せて、民間のさまざまな所にも入っていただくようにしてい ます。  子ども家庭支援センターの2カ所目というようにお話ししてしまいましたが、まず、 1カ所目は東京都の子ども家庭支援センター事業を平成7年に始めましたので、三鷹市 では、それに乗る形で、それまであった親子広場「すくすくひろば」という所を子ども 家庭支援センターに衣替えをしまして、平成9年から子ども家庭支援センター「すくす くひろば」ということでスタートしています。  ただ、親子広場を中心に建てましたので、相談室もなければ、ミーティングする部屋 もない。スタッフも2名が常勤で、後は嘱託でやっていましたので、組織強化というこ とも含めて、また、乳幼児の相談施設ではなくて、18歳未満ということですけれども、 実際には18歳まで相談できる所なのだということを市民に知っていただく意味でも、2 カ所目の子ども家庭支援センター「のびのびひろば」というものを作りました。私はそ のときからそこの相談員になっています。  実際の動きですが、子ども家庭支援センターは、子どものあらゆる事、どのような事 でも子どもと家庭に関することで相談してくださいというスタイルで行っています。で すから、おっぱいの飲み具合がどうこうとか、そういったところから、いろいろな相談 が入ってきます。中にはメール相談もありますし、電話で入ってくる場合もあります。 広場の中から上がってくる場合もあります。  直接サービスを持っておりますので、一時保育やファミリーサポートセンターを利用 している方の中に、気になる子どもや母親が見受けられたり、あるいは、ファミリーサ ポートセンターを利用したいというご相談をいただく中で、子どもと毎日いるのが疲れ てしまったので息抜きしたいなどという声もだいぶん聞かれています。  そういった形でさまざまな相談が入ってきます。残念ながら子どもからはほとんどな いのですが、保護者から直接に相談をいただいた場合には、できるだけ私たちの所で、 まず丁寧にお話を伺うということを心掛けています。  例えば先程の「疲れてしまったのです」というときも、どこがどのように疲れているの か、夫はどうなのかということなども含めて、できるだけお話をゆっくり聞かせていた だいて、その上で、私たちの所だけではなかなか解決できませんので、三鷹でいろいろ な所があるから、そういう所にも力になってもらおうかという提案をしながら、各機関 につなげていくということをします。  横浜市・神戸市それぞれの所に、例えばMCGなどがありました。三鷹市の総合保健 センターというのですが、保健師のいる保健センターの方でも乳幼児の相談ももちろん 行っていますけれども、親支援に相当力を入れてやっていまして、虐待について、自分 の育ちの問題がキーになって子どもに向き合えない、叩いてしまうという自覚を持った 母親のグループ、これは、臨床心理士がファシリテーターを行う形でやっていたり、あ るいは、そこまで重くはないけれどもという方のグループを保健師が中心にやっていた りとか、カナダのノーバディーズ・パーフェクトのプログラムを保健師を中心にやって いたりだとか、いろいろあります。  それと同時に保健師の訪問活動もありますし、先程言った臨床心理士の個別相談もや っていますので、そういった中で、例えば私が相談を受けたときに、親の辛さというも のがある程度はっきりしてきた場合には、定期的にどこかで誰かとお話が出来るといい ですねとか、もう少し辛い部分をどこかで整理できるといいですねなどとお話をしなが ら、保健センターを紹介していくということが、比較的多くあります。  それから最近は、小中学校の生徒を抱えた親あるいは学校からの相談がずいぶん増え てきているのですが、そこまで行きますと、虐待を受けて生き延びてきた後に、非行を 含めて問題が出てきて、子どもの問題も長引いていますので、乳幼児よりももっと複雑 に絡み合ってしまう。その辺で夫婦関係・親子関係を整理する必要があるということで、 保健センターの一つの使命ではありますけれども、三鷹市では「女性のためのこころの 相談」という、女性であれば心の問題を何でも相談できるという所があって、2カ所か ら相談員の方が見えています。一つは、遠藤優子先生の所から来ていますので、ファミ リーソーシャルワークというか、家族問題に焦点を当てて整理をすることが十分できま す。そういう所を紹介したりとか、あるいは、思春期のプログラムを持っている保健所、 あるいは東京都の精神保健福祉センターのような所をご紹介したりということも非常に 多くあります。  そういったときにも常に、紹介したままではなくて私たちも一緒に「ここにこういう 保健師さんがいて、私もよく知っているのだけど、頼りになるのだよ」という話をしな がら一緒にそこに話を持っていくと、万一行った所が合わなくても、紹介して終わりに はしていませんので、また戻ってこられます。そういうことは心掛けています。  それともう一つは、親子で煮詰まっている場合が非常に多くありますので、いったん 少し離れてみると楽になることもあるという話をしながら、一時保育を紹介することも あります。  これも幾つかサービスがあるのですが、時間単位でどんな理由でもお預かりできる支 援センターの中にある一時保育ですとか、先程のファミリーサポートセンターをご紹介 することもあれば、親が精神的に相当に煮詰まっていてうつの状態にあるような場合に は、緊急一時保育といって、公立保育園で2週間、最高で1カ月お預かりできます。そ ういったサービスを提供することもしています。  もっと長ければ緊急一時保育の後、保育園に正式入所などということもあるのですが、 残念ながら3歳児まではほぼ満杯状態ですので、その辺は難しいところではあります。  そういったサービスの提供をしながら、ご相談に乗らせていただいているのが一つの 動きです。  それから、直接保護者の方からご相談に見える場合は、どんな事でもというお話をし ましたけれども、関係機関から来る場合には、やはりグレーゾーンも含めた虐待の心配、 それから恐らく虐待によると思われる影響で子どもが不安定になってしまっている場合 の相談、そういったものが多く寄せられてきます。  まず、近隣通報も含めて虐待の相談・情報が寄せられた場合には、最後から2ページ 目の所に子ども家庭支援ネットワークという図がありますが、こういったネットワーク を通して、まず、心配になったときには、子ども家庭支援センターにほとんどの情報が 寄せられることになります。  先程、通告先・通報先がどこですかという話が委員の先生からありましたけれども、 学校も含めてほとんど子ども家庭支援センターの方に寄せられることが多いです。ただ、 児童相談所の方に寄せられることもあります。どちらに寄せられても、結局このネット ワークを使って情報収集をして、アセスメントをして、協力・連携して動いていくとい うことになりますので、子ども家庭支援センターに寄せられても、あまり軽いものは別 として、まずネットワークを使って情報収集をしてから、今このような情報が寄せられ て、このような状況だけれどもどのようにしましょうかということで、電話で相談をし ます。  逆に児童相談所の方に相談が寄せられた場合にも、まず私どもの方に連絡をいただい て、私たちの所から情報収集をして、それを児童相談所に返しながら、一緒にどうしよ うかという相談をするという流れになっています。  それほど重くないものであれば、児童相談所には今こういった動きをこれからします ということを伝えるだけで、子ども家庭支援センターが中心で動いていくということに なります。  これが、いずれは保護を要するようになると思われるケースや、緊急度の高い、重篤 度の高いものについては児童相談所を中心に動いていただきますけれども、ただあくま でもこのネットワークを使ってという形になります。  実際の情報が寄せられた場合の動きですが、これは東京都の方で作っているもので、 一番最後のページの子ども家庭支援センターを中心としたケースマネージメントの流れ。 先程、神戸の宮田さんが紹介されたものと基本的には同じことだと思うのですけれども、 こんな流れでやりましょうということになって、おおむねこれに基づいて行っています。  まずはニーズの把握をするということで、もちろん情報を受ければ子ども家庭支援セ ンターの中で、今こんな相談が入ったのだけれどどうしようかということを受理会議、 人数が少ないので、まずその場で向き合って相談をするような感じですけれども、そこ で話をした上で、各機関と再度情報を集めて、アセスメントを行っていくということに なります。そこで支援計画の検討・作成ということになるのですが、実際に3層構造の お話がありましたけれど、ケース検討会を行っているのは回数にしますと、昨年は少し 少なかったのですが、おおむね毎年、年50回ぐらいになります。ですから、週1回で す。相談をいただくケースの数からすると非常に少ないです。  職員の体制もそれほどありませんので、ほとんど会議という形で一同に返すのではな くて、電話のやり取りでどんどん情報を集めて、どうしようかということを私たちの所 でいろいろな機関と連絡をして、そこでこうしましょうという方向を定めて、というよ うなことで進めていくことの方がずっと多いです。そんな形で機能的に動いていくよう にはしています。  後は中期・長期の目標を定めて、それと役割分担を決めて支援をしていくわけですけ れども、やはりそこで児童相談所と一緒に相談をさせていただくと先程言いましたけれ ども、児童相談所の福祉士さんにも相当経験のある方がたくさんいらっしゃいますので、 私たちも相談に乗っていただきますけれども、やはりマネージメントも含めて、支援セ ンターはアセスメントをある程度求められてきますので、そういう意味では、支援セン ターの職員の力量というものが、必要になってくると思っています。  三鷹市の場合には、1カ所目のすくすく広場を作ったときからずっといた相談員が、 実はこの3月末で療育センターの方に異動しまして、やはりその職員がいなくなると、 私もずいぶん不安に感じながら、今やっているところです。  横浜市や神戸市のような所は違うと思いますが、中規模以下の自治体ですと、スタッ フをどのように養成するのかということが、課題としては非常に大きいと思っています。  そのような形で、状況が変わるたびにモニタリングをし、再アセスメントをしてとい う動きになってきます。やはり、ネットワークを使って支援をしていくということにな りますと、電話で何度もやり取りをしたり、時間的な負担は非常に大きいのですけれど も、ただ、精神的にはずいぶん楽な部分があります。私たちだけが判断して、やらなけ ればいけないということではなく、いろいろな人と一緒に動ける、いろいろな人のそれ ぞれの専門性に頼りながら動けるということがありますので、精神的にはずいぶん楽か なと思っています。  それともう一つは、先ほど第一義的な窓口、横浜市の所長さんも「不適切な養育レベ ル」が区だというお話をされましたけれども、三鷹市の場合には、基本的には重いもの も含めて子ども家庭支援センターの方でお受けしています。けれども、その親とずっと 相談関係が続く中で、もうこれは限界だとなったときにどうするかということになりま すと、その時点では児童福祉司さんにそういった役割を取っていただきます。やはりも う限界だから、子どもを預からせてもらうということを福祉司さんが言ったときに、い ろいろな機関でチームを組んでいると、親の側に立って支えるのが保健師さんであった り、私たちであったりということができます。あるいは児童相談所にあまり入っていた だかないである程度ずっとやってきたけれど、危なくなったときに、子ども家庭支援セ ンターの職員が「私たちは子どもの立場に立って言うけれども、もう限界であると思う から児童相談所に相談しよう」というようなことを言ったときには、今度は保健センタ ーの保健師さんなり、普段子どもを通わせている保育園の保育士さんなりが、親を支え る側に回っていただくということができますので、きついことを言ったときにもどこか の機関の職員が親と切れないでいられるという意味では、やはりネットワークというの は非常に有効でもあり、私たちもありがたいと思っています。  それから、職員の所で、私はケースワーカーで何も資格がないというお話をしました けれども、もう一人は保健師です。保健師の方の前任は保育士でした。ですので、私た ちも専門性を持っているわけではないのです。そういう意味で、専門的な知識や能力を 持った方に、スーパーバイザーという形で、背後に控えていただくような体制を取って います。  それがこのページで言いますと5枚目です。両面刷りの方の2枚目に「スーパーバイ ザーの活用について」という所がありますが、週1回来ていただいている方もいれば、 月2回・月1回・不定期とさまざまありますけれども、その中でこういった方々に私た ちも相談できるし、関係機関の職員も困ったときに相談できるというような体制で行っ ています。  それと同時に、今、相談体制がきつくなっているので、定期的にカウンセリングのよ うな形を取って、親の面接をしていただいている方もいます。  この表の上から4番目の方は、子どもの状態が見られる方ですので、実際に保育園・ 幼稚園・学童または場合によっては学校へも出向いていって、そこで子どもの様子を見 せていただきながら、どうするかを検討するというようなこともしています。まだ親に 状況を伝えられない状態でも、保育士さんが現場で一番困っていらっしゃるのです。特 に虐待を受けているような子どもであれば、私が言うまでもありませんが、試し行動も 含めてさまざまな行動を保育士の方に出してきますので、相当疲れきってしまいます。  それから親が人格的な問題を持っていたりすれば、そういう意味でも疲れてしまうと ころがありますので、その辺で現場の方々を支えさせていただくというというか、お手 伝いをさせていただく意味でも、こういった方々と一緒に現場に出向くようにしていま す。例えば、動きが非常に激しい乱暴な子どもがいた場合に、純粋な発育・発達の問題 であれば、療育センターの方の巡回相談に相談できますので、そちらに連絡をしていた だくのですが、それがよくわからない場合には、愛着障害なのか軽度発達障害なのかわ からない場合が非常に多いですから、私たちの方に連絡をいただいて、そこで子どもの 様子を見せていただき、親の様子を保育園でできるだけ聴取して、「これはこんなことが 起こっているのだろう」というような事も含めて、あるいは家での様子と園での様子を 総合すると、これはやはり特定の場面で起こっているようであるから、恐らく愛着障害 であろうということを伝えたり、恐らく親には家庭での養育は期待できないだろうから、 保育園で出来るだけその辺を担ってほしいというような具体的なアドバイスをすること もあります。  それと同時に、1回行った後に、保育園の方から親に「頑張って子どもを見ているの だけれど、もう一つ良くするために、子ども家庭支援センターに専門の人がいると聞い たから、相談してみませんか」などと言っていただいて、私たちにつないでいただいて一 緒に動くということもしています。例えばこのような形でスーパーバイザーの方にお願 いをしています。  先程の、軽度発達障害と愛着障害のことで、特別支援教育が始まりまして、学校の先 生も相当苦労されていて、私たちの方にも連絡が入ってくるのですが、なかなか本当に 見分けられないのです。そういう意味では、どちらかわからないという視点に立って相 談を受けていくことが必要なのかと思います。  養育センターという所は、母親のかかわり方が悪くないと言われる意味ではいいのか もしれませんが、子どもが障害というレッテルを貼られる事も含めて、母親にとっては、 少しきついところもありますので、何でも相談できる子ども家庭支援センターというの が、第一義的な相談窓口になるのは有効なのかなと思っています。  余談ですが、これまで支援センターにいた職員が療育センターの方に移りましたら、 次々にそちらの子どもが支援センターの方に回されて来るのです。これまで発達障害で あると見過ごされてきた子どもが、一つ視点を変えてみると全然違う。それから母親の 話をじっくり聞いてみると、母親がこれまで本当に重い育ちをしていて、家庭支援が必 要だということが見えてくる。こんなに如実にわかるのかと思ったのですが、視点一つ 違うだけで、これまで見落としていたことがずいぶん見えてくるのかなと思っています。  そういう意味でも、身近な所で相談できる子ども家庭支援センターというのは有効か と思っております。  それと組織的には、三鷹市の場合は子ども家庭支援センターが直営で、私も市の職員 ですが、社会福祉法人に委託されている所、社会福祉協議会に委託されている所とさま ざまあります。ただ児童福祉法の改正も含めまして、あるいは子ども家庭支援センター の基本的な機能を考えると、やはり市区町村が直接持っていた方が、私個人としては、 機能的に動けるのかなと思っています。  いろいろ漏れているところがあるとは思いますが、疑問点についてはご質問いただけ ればと思います。よろしくお願いいたします。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。以上、広範な活動について説明いただきました。  お一方かお二方になると思いますけれども、質問がございましたら手を挙げていただ きますとありがたいと思います。いかがでしょうか。  先程、神戸市の所でも出ていたのですが、指定都市の場合は、児童相談所と区という のは基本的には同じ市長の下にあるわけで、ある種、合議さえできれば比較的簡単では ないかと思う部分もあります。三鷹市の場合は比較的うまくいっているというようにお 聞きしたのですが、ケース移管というか主担者の変更といったその辺の話し合いという のは、他の子ども家庭支援センターのこともご存じでしたら、それも含めて行政直でや られている場合と、民間に委託されている場合で同じなのか違うのか、その辺と、三鷹 市の場合で大体こういう大まかなルールになっていますというのがあれば、お教えいた だけますか。 ○森田氏  まず三鷹市については、申し訳ないのですが、相当アバウトな形でやらせていただい ています。例えば、月1回定期的な会議を行うこともしていませんし、ちょっとあれば すぐ電話でどうしようかというような関係が、福祉士さんとの間で取れていますので。 もちろん、これは通告をしましょうということを福祉士との間で相談をするということ はします。児童相談所が中心で一応かかわる形をとりましょうとかいうことはしますけ れども、それほど明確ではないかもしれません。  他の所の例で言いますと、民間か直営かはわからないのですが、ギクシャクしている とまで言っていいかどうかわかりませんが、例えば、子ども家庭支援センターが相当頑 張って相談を受けてきて、ケースワークも相当して、もうぎりぎりの所でこれは保護で すという判断をして、もう保護しかないという形で送致をしてくる場合があったりする と、児童相談所としては非常に困るということです。児童相談所としてはまたそこで調 査をして、児童相談所としての判断をしなければいけないにもかかわらず、親との間で もう決まったような形で送られてくるようなこともあったりというのが一つ。逆に、ま だできたばかりの所ですと、子ども家庭支援センターが一生懸命やろうとしたときに、 それはもう虐待だから児童相談所がやりますから手出ししないでくださいというような ことを言われる所があったりという話は聞きます。 ○江成委員  先程、恐らく実務者会議だと思うのですが、ネットワークの中の2層目の会議を大切 にしているとお伺いしましたが、具体的にどのような形で、どういったメンバーで実施 をされているのかということを教えていただければと思います。 ○森田氏  構成機関につきましては先程お話をしました表の所になります。ただこのすべてに入 っていただいているのではなくて、実際は、ここから今申し上げる所を除いた所になり ます。警察、医師会、民生児童委員、主任児童委員です。ここについては、現在は年1 回の代表者会議だけになっています。残りは結局、そこの機関の実務担当者の方におい でいただいているということです。  相当規模を拡大したものですから、やはりそこが経験度も全然違うのです。実際に虐 待案件に全然かかわったことがないという機関の方もいらっしゃいますので、実際に事 例検討まではしませんが、事例を出して一緒に話をしたときにも、共通の土壌を作るの が難しいのと、逆に、事例検討ではないのですけれども、事例を出した方が責められて しまうということになりがちな、良くない事例検討会のような形になることが、最初の うちはありました。  その辺で、規模が大きくなって難しいかなということは思っています。 ○岩佐委員  今のいろいろなお話を聞いていると、三鷹市の中で、子供の相談のコーディネートと いうか、かなり第一次的な一線を担っておられるようにお聞きしたのですが、職員の適 正人数としては、森田さんの頭の中で「あるべき三鷹市子ども家庭支援センター」を書 いたとして、本来は何人ぐらいいた方がいいなと思っておられますか。  私が聞いた感じでは20人か30人ぐらい必要なのかと思ったのですが、感覚的なこと で結構です。 ○山縣座長  どうぞ。勇気を持って人数を言っていいようです。 ○森田氏  やはり10人は必要かと思っています。今、労働組合の方から2名増を要求して、1 名は何とかなるかなという感じなのですが。  実際にできているというような話をしてしまいましたけれども、学校やいろいろな所 から相談の情報も寄せられるのですが、逆に動ききれていないということがどんどん出 てきています。ですからこのままだと、情報を寄せた、相談を寄せたはいいけれど、何 もしてくれないではないか、動かないではないかということがこれから出てくるのでは ないかと心配しています。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。まだ聞きたいことがあるとは思うのですが、いった ん休憩をします。4時に再開します。  三人の方々ありがとうございました。 休憩 ○山縣座長  それでは再開します。2年ほど前に三鷹に行かせていただいて、ますます発展してい るなと思いました。株式会社三鷹と子育てコンビニと支援センターと保育所をずっと見 て回りました。すごい勢いで成長しているなという感じがしました。一つの重要なモデ ルではないかと思います。横浜は地域格差がある。神奈川区あたりでは「すくすくかめ っこ隊」という特徴的な主任児童委員さんや保健師さんを核にした地域活動がある。神 戸は優れた先進事例を聞かせていただきありがとうございました。  後半の方を始めさせていただきます。具体的な事例の方に皆さん関心があると思いま すし、今後考えていく上でも重要だと思いますが、お手元に配っております資料にある ように、昨年度、厚生労働科学研究の助成をいただいて、子ども家庭相談に関する研究 というのをやらせていただきました。その報告書は実はまだもう2冊できあがる予定で、 合計で5冊の大きな報告書になります。  研究会では大きく四つの調査と一つの検討会を開きました。一つが地方自治体調査と いうことで、都道府県と市町村に対して、県中核市・指定都市は全部で市町村について は3分の1抽出という形で調査をさせていただきました。その結果がこの緑色の報告書 になっています。コピーの中にもこの一部、ポイント部分だけが2章として入り込んで います。  その隣に当初エキスパート調査と書いていたものがあります。こちらはわれわれの研 究チームでぜひこの人の意見は聞いてみたいと考えたリストの中から、期間内の日程調 整が可能であった方々、約30人に、院生あるいは若手研究者を最低2人派遣しまして、 1時間から人によっては3時間ぐらいの対応をしていただきました。この研究会のメン バーの中でも、結果として、前橋委員、菅野委員、岩佐委員、川崎委員の4人の方々と、 今日は欠席ですが濱田委員が対象になっています。個人名を出させていただいておりま すけども、これはヒアリングの前の段階で了解を取っております。  CとDの調査はまだ報告書ができ上がっていません。先週の社会福祉学会ではすでに 報告をさせていただいておりますから、集計は完全に終わっているのですが、最終報告 書の所の調整が今でき上がっておりません。10月末をめどに作成予定です。  Dの審議会調査はこの体制とは本来直接大きな関係はないのですが、実は97年の児 童福祉法の改正直後にわれわれのチームでどんな形で作られているか、1回調査をした ことがあります。そのこともありまして、6、7年でどう変化したのか、それを聞いてみ ようということで審議会調査というのをやらせていただきました。  この四つの調査をやり、検討チームで最終、厚生労働省あるいは国民に対してこうい うモデルがどうだろうかという提案をしていくという形を今考えています。その提案に つきましても、これは2年間の継続研究ですが、とりあえず初年度の段階で大枠の緩や かなモデルを作ってみました。この報告書の79ページからの6章の後ろの辺に簡単な 絵が描いてあります。こういうものを今、検討会の方では作っております。このモデル と調査結果を今年度、再度関係者あるいは行政等に送付をして、意見を聴かせていただ くということを考えています。  具体的なことを説明し始めたらきりがないのですけども、幾つかこの研究会との関係 で、特徴的な所を報告します。例えば自治体調査の方からは、この報告書の11ページ、 地域の機関と連携できているかどうかという所を見ていただきますと、はっきりしてい まして、ここは市町村の調査なのですが、要は市町村内にその機関がなければ連携はで きないという結果になっています。児童養護施設とか乳児院というのは、乳児院でした ら全国で110カ所ぐらいしかありません。市町村の数が減ってきたとはいえ、今2,300 か2,400ですね。今年度末で2,000弱でしたか。それくらいになるというふうに聞いて いますけれども、都市部の市に児童養護施設や乳児院は集中しています。そうすると、 実際には施設のない市町村の方が圧倒的多数であるということになります。里親でも一 緒だと思います。おそらく里親がいない市町村の方が実は多数である。そういう所で、 自治体内に存在しない機関との連携というのは非常に難しい。ネットワークをどう作っ ていくか、多様なシステムを作ろうとしたときに、乳幼児型の対応が非常にしづらいネ ットワークができあがってしまうという辺りに、ここからは問題が出てきています。  次のページですが、12ページから13ページ。同じ質問項目を都道府県の方でもやっ ていまして、これが25ページから26ページぐらい。都道府県と指定都市と市町村に同 じ項目で聞いているのですけれども、基本的には相談体制については改善の必要がある。 どこを改善する必要があるかは、ほぼ共通して大きく3点です。とりわけ大きいのが、 市町村には専門性が不足している、専門スタッフがいないということを、県の側も市の 側も言っておられます。人そのものが不足している。絶対数が足りない上に専門性が少 ないということ。県の方からはとりわけ連携が不足している、ということが言われてい ています。そこら辺りの強化をしなければ、市町村の方で十分責任持ってやっていただ くということにはなりにくいのではないか、ということだと感じています。  どんどん市町村化するということについてどう考えるのかという、市町村の方の答え が15ページ、県の方の答えが27ページにあります。非常にはっきり分かれました。県 は「どんどんやればいい」という答えです。市町村の方は「ちょっと待って」という答 えになっていまして、実務を担当される方ではまだまだ不安が高い。県の方はどんどん 市町村化すべきだと、ここは非常にはっきり答えが分かれました。この辺が行政調査の 特徴かと。  もう一つ言わないといけなかったのが、どういうものが可能かという所で、16ページ と28ページ、これも同じ質問項目です。どんどん市町村化していくときに、仕組みと して適切であるかどうかということと、それぞれ地域によって可能かどうか、実際でき るかどうか、そういう二つの次元で聞いてみました。上半分ぐらいが相談の中身に関す るものです。下の方はいろんな法的手続あるいは権限の行使に関するようなものです。 相談の方を先に言いますと、これまでもずっとこの研究会でも議論をしてきましたよう に、基本的に軽度よりは重度の方が難しいだろう。さらに虐待と非行、特にここが難し いかという答が出ています。これは県も市の方も大体同じような答えになっています。  下半分の権限の行使につきましては、実際のところまだ法的には県に残っているとい う状況ですから、そのことも踏まえて考えないといけないのですが、可能性は非常に低 い、難しいということを言われています。今の法律の枠組みと大体似通ったような答え になってしまったということで、これは実感がまだないというところなのかもしれませ ん。このままデータを信頼して動くかどうかというのは別の問題ではないかと考えてい ます。この辺が市町村調査の特徴です。  もう一つだけ、45ページを見ていただきますと、これは県レベルの調査ですけれども、 児童養護問題という範囲に限定して考えたときに、実際にその市町村まで下ろせるのか ということを聞いてみました。その結果は、措置は児童相談所で、在宅サービスは市町 村という、今の構造と大体似通った答えが出ているということなのですが、6カ所で、 すべて市町村に持っていってもいいのではないかという答えも出ています。ただ絶対数 が少ないですからここで明確なことを言うことできません。思ったよりはすべて市町村 に持っていってもいいという意見があるなという感じです。 ○三宅氏  この33には政令指定都市も入っているのですか。 ○山縣座長  はい。政令指定都市と都道府県です。その辺が特徴です。  ヒアリングの方は既にこちらの報告書を作りました。説明すると煩雑になりますので、 一番後ろ、169ページ以降に、それぞれの大枠の意見を整理した一覧表を載せています。 こちらの方をご覧いただいたらと思います。  ヒアリングでは何を聞いてきたのかといいますと、6ページにある、大きく三つとそ の他になります。児童相談体制にかかわる法改正の評価、少年法の改正が議論されてお りましたので少年法のこと、これからの児童相談体制の3つです。研究者の調査でも、 このヒアリングでもそうですし、自治体の調査でもそうでしたけれども、基本的にはト ータルでは今回の法改正は評価が高い。市町村に移管するという方向については、市町 村の方も含め、法改正そのものの評価はある程度得ています。ただ、市町村の方では人 とか専門性とか、それを応援する実務的な体制がまだ十分ではないのではないか。そう いうところにやや躊躇感はありますが、トータルではそれぞれのパートが皆高いという 感じでした。  審議会の方の調査も、これは私自身、若干興味がありましたし、この要保護児童対策 地域協議会との関連でイメージをしていましたので、幾つか話をしたいのです。コピー の方の報告書になります。  例えば60ページから開けていただきたいのですが、国では児童相談所ごとに審査委 員会を設置していい、部会を設置していいという形になっていましたけれども、実際は 複数カ所設置している所は非常に少ない。ほとんどが県で1カ所という形になっていま す。関連はどこまであるかわからないのですが、事務局も本庁の方で行っています。開 催場所も本庁です。その結果、担当の児童福祉司が参加して部会で説明をしていないと か、所長などの管理職と委員の間で部会が開かれていると。個別の具体的なケースの検 討は、きっと行われていないのではないかと想定されます。開催回数もそういう場合非 常に少なくなっているということが明らかになっています。  65ページ辺りになりますと、どんな人が入っているかということと、特に、下側はど んな相談を扱っているかということですが、虐待相談が圧倒的に高い。虐待と養護相談、 非行、こういうところがほとんど。特に虐待で7割くらいということで、審査部会や児 童相談所部会というのは、虐待のところで機能していることがはっきりわかりました。  どういうことを期待しているかいうことですが、67ページの上側の表を見ていただき ますと、権利擁護機能を充実するということです。それから重大事例の検証、第三者的 役割、こういうところがかなり高くなっている。地域協議会の方も事実上はきっとこう いうところになってくるのかという感じがしています。県レベルで委員を集めてもなか なか具体的な事例の検討ができないという実態がありますので、協議会の方でどこまで 担っていただくかというのは、あまり早急なものを求めていくと崩壊する可能性がある。 ゆっくり体制を整備しながらやっていかないといけないのではないかということを感じ ました。  モデルとしましては、三つ。いっぱいあるのでどれを説明していいか。さらにモデル が細分化している、パターンが二つに分かれているのがありますが、研究チームとして はさまざまなデータを基に、モデル1から順番に上がっていくわけですけれども、とり あえずは現行体制から、市町村強化の方にどう移行していくか。段階的にどう移行して いるか、移行させていくのかということをイメージさせました。モデルには今回の児童 福祉法が大体想定している枠組みを書いています。3番目が、欧米の一部にあるような 児童相談所が、日本のようにオールマイティー型ではなくて、ある程度機能分化したも の、裁判所なり地域機関なり等、分化したものにするという提案もありましたので、そ ういうものも含めて考えてみました。特にヒアリングの先生方からは相談機関も民営化 していいのではないかという意見が複数出ておりまして、賛成か反対かは別にしまして、 その辺をどう考えていくのか。先程東京都の例がありましたが、三鷹市は偶然公立で直 営でやっているけれども、子ども家庭センターを社会福祉法人等でやっておられるのも あった。その辺の市民に対する責任のあり方、権限行使のあり方がどういうものになる のかをイメージしながら、モデル3というのを少し考えさせていただいています。  結果につきましては、さらに今年度強化をして、今年度末には厚生労働科学研究の方 に報告をしたいと思っています。  この過程で私も時間を見て、幾つか市町村に行かせていただいたり、ヒアリングに参 加させてもらいました。今日の参加者に重要なモデルがありましたけども、全国を見ま したら、合併したとはいえまだまだ人口が大きくない市町村の方が多いという現実があ ります。私が出会った中で今、絵を描いた段階で、これから実務が始まると期待される ところに、大阪の熊取町があります。もう一つはつい先日行ってきたのですが、高知県 の四万十市。こちらも、人口が5万と少しとか、中村市と西土佐村が合併した市なので すが、これは児童虐待防止ネットワークのころからですが、実際にかなり機能している という感じがします。  今日のケースもそうでしたが、共通のキーパーソンは誰だったかというと、ほとんど が保健師です。熊取町にしても、四万十市にしても非常に有能な保健師さんがいらっし ゃいます。専門用語、言葉が違うという話が先程質問で出ていましたけれども、保健師 の用語が、市町村と都道府県をつなぐときに一番汎用性が高い用語のような気が、今し ています。どうもソーシャルワーカーではなさそうです。残念ながら私はそちらの立場 にいますが、県レベルではソーシャルワーカーという言葉が出てくるのですが、市町村 になってくるとソーシャルワーカーという言葉がほとんど出てきません。生活保護担当 はケースワーカーというのは一部の市で出てきますけども、その人が自分たちをソーシ ャルワーカーという言葉で専門用語を使っているかというと、必ずしもそうではない。 ましてや町村になりますと生活保護業務がありませんから、恐らくますますそういう言 葉はなくなっていくだろうと。その中で、特に市町村の場合ほとんど、介護保険、障害 者支援費制度、そういう日常の地域保健業務等で保健師がいるので、どうもこの人たち をある程度イメージした絵を描いていくというのが一つの姿なのかと。ただ、保健師の 業務の限界というか、持っておられる専門性の範囲には限界がありますから、それをど う周辺でサポートしていくのかという辺りが、きっと私が描く絵の中心になるのかと思 っています。  私たちの研究の方はこれくらいにさせて下さい。  35分ぐらいでまとめないと、次の事務局からの説明事項がございますので、あと5、 6分になりますが、三つの、とりわけ委員の方々の共通項を含めた質問等がございまし たら。あるいは次回に向けて何か準備すべきこと、こういう所についてのデータをもう 少し出してほしい、事務局の方で準備してほしいということがございましたらご意見を 伺いたいと思います。  よろしいですか。では事務局の他のデータの説明を聞いて、時間があれば今の所に戻 りたいと思います。  それでは、前回の概要版がさらにもう少し詳細になったとお伺いしていますので、ま ずは資料を提出していただいております太田さんの方からお願いします。 ○太田児童福祉専門官  資料3をお開きいただきたいと思います。事務局の方からお配りしております資料3 「市町村児童家庭相談業務調査結果」について、前回、お諮りいたしましたものに項目 を追加するとともに、人口で階層化して表現できないかというご指摘を受けておりまし たので、市区町村を6区分で整理をしております。資料3の1ページをご覧いただきた いと思います。人口30万人以上の市、人口10万人以上から30万人未満の市、人口10 万人未満の市、あと町、村、それと政令指定都市の六つの区分で整理をしております。 ただ、職員の配置の部分につきましては、この区分に従っての整理ができませんでした ので、ご了解をいただきたいと思います。  それでは特徴的なところを2ページ以降、ご説明をしたいと思います。特徴的な部分 ですけれども、かなり独断も入っていますので、後程皆さま方の視点からご指摘をいた だければと思います。  2ページ、主たる相談窓口の所でございます。人口30万人以上の所をご覧いただきま すと、割合の所の方がわかりやすいかと思いますが、(1)市町村児童福祉主管課が5割以 上を占めております。それと合わせて福祉事務所、この2つを合わせますと8割近くに なっております。ただ(1)の部分、市町村児童福祉主管課と回答してきておりますけれど も、この部分は福祉事務所の機能も備えているものも含まれておりますので、大半は福 祉事務所がこの役割を担っているのではないかと見られます。同じように市部の人口10 万から30万人、10万人未満についても、この両者の所が相談窓口を担っている割合が 高い状況になっております。ただ30万人以上、10万人以上30万人未満の所で、(8)そ の他という所が比較的割合が高くなっております。先程ご説明いただいた三鷹市のよう に、子ども家庭支援センターなどがこの機能になっている部分が、この(8)その他で計上 されてきています。町村につきましては、児童福祉主管課または児童福祉および母子保 健主管課の統合課が相談の窓口を担っているという状況が見られます。指定都市につき ましては、先程来ご説明いただきましたように、区の福祉事務所ないしは区の機能が、 一時的な相談を担っているという状況になっております。指定都市の(8)その他の部分の 割合が高く出ておりますのは、区に任せずに児童相談所が業務を引き続き担っていると いう所が4カ所ございます。その4カ所分の割合で、このような状況になっております。  次の3ページをご覧ください。主たる相談窓口の担当職員という所でかなり細かく職 種を分けて聞いております。一番下の合計欄を見ていただきますと、一番高く出ており ますのが、右端の方、(11)の事項です。一般行政職の部分が高く出ております。割合を示 しておりませんけれども、2,513人で約36.1%をこの職種が占めております。その次が、 先程座長が研究の説明をされましたように、保健師が中核を担った所が比較的うまくい っているのではないかというご説明もありましたが、(5)です。1,752人が保健師・助産 師・看護師が担当すると。約25.1%を占めております。私どもの運営指針で示しており ます、(1)児童福祉司たる資格を有する者という、期待した職種については383名で5.5% の状況になっております。右端の方、職員総数が6,970名と報告を受けておりまして、 右端から2番目、「うち、正規職員数」という所で、正規職員が5,358名いるという報 告を受けております。ただし、すべてが専任というわけではなくて、兼任職員が大多数 であるという結果が得られました。この中の5,358のうちの専任数がこの表には出てお りませんけれども、670名が専任になっております。一番右端の「うち専任職員数」と いうのは、6,970名のうちの専従で相談を担当している方ということになります。これ が2,023名ということになっております。  一点、報告に誤りがありまして、(2)の医師の配置の所でございます。医師はあちこち の県や市町村で配置をされているという報告を受けて、喜んだのですが、確認しました ところ、神戸市以外は報告の誤りということで、神戸市の9になってしまいます。後程 資料を訂正して、また新しいものをお渡ししたいと持っております。3ページについて は以上です。  あまり細かくしておりますと、時間がないと思いますので、あとは5ページを少しご 覧いただきたいと思います。市町村担当職員の改正児童福祉法に向けた研修の受講状況 という所です。割合の所をご覧いただきたいと思います。受講・未受講と2つの区分で 聞いておりますが、町村に行きますと、未受講が半数ないしは過半数を占めております。 この数字から考えますと、児童家庭相談体制が市町村に移ったということも完全に理解 していただいているのかという状況の中で、中には相談担当をしていただいている地域 もあるのかと、心配・危惧が生まれてきました。本人の自己研修・自己研鑚の中で当然 学習はしていただいているとは言いながら、それぞれ町村の心構えそのものに課題があ るのではないかと見られる数字かと思います。  次の6ページ以降がそれぞれの区分ごとの相談処理件数になります。4月・5月の2 カ月分の相談件数ですので、これから確定的・断定的なことは言い難いと思います。ず っとページを進めていただきまして、12ページに、これらの数字をグラフで表しており ます。12ページの上の所は相談内容別の件数、それぞれの区分ごとの相談内容の割合を このグラフで表しております。特徴的に言えるかと思うのは、保健相談の部分が町村で は多いということ。あと障害相談の中で指定都市が一番高く出ておりますけれども、指 定都市については障害相談の割合が他と比較して多いと見て取れるのではないかと思い ます。  13ページの上の方をご覧いただきますと、相談処理というのはあまりいい響きではな いですが、相談処理別のそれぞれの区分ごとの状況・割合を示しております。助言指導 で一番上に位置しておりますのが村に当たります。その次に指定都市があるのですが、 指定都市を挟んで村いうことで、町村については比較的助言指導という形で処理を済ま せているのではないかと見られます。その一方で、継続指導については比較的人口規模 の大きい、30万人以上の市・区については比較的高い割合を示しております。また13 ページの下段をご覧いただきたいと思います。この部分は児童虐待相談に限って見てお ります。どのような処理がなされたかという所ですが、やはり継続指導については、比 較的人口規模の多い市部はこのような継続指導の対応をなされていると考えられます。 右の中央部分、児童相談所送致という部分は、町村ではもっと多く出るのではないかと 心配をしていたのですが、それぞれの町村でも相談を受けて、自らが対応している状況 があるのではないかと思います。このグラフの中で特徴的なのは、指定都市については 未処理という部分が跳ね上っております。難しい相談を受けて、調査が続行していると いう事例がたくさんあると見て取れるのではないかと思います。  12ページに戻っていただきますと、日本の人口を市区町村数で割った数をここで平均 人口と言っておりますが、一つの自治体、市区町村当たり、5万3,422人になります。 相談件数がそれぞれの区分でどれくらい発生しているかというのを人数で置き換えてお ります。これは相談総数に限っておりますけれども、このグラフの中では、村が指定都 市と並んで、比較的相談件数が多いという状況になっております。これをもって、村が 一生懸命やっていると見て取れるのか、どうかということはあると思います。  14ページの所です。ここで受理会議、ケース検討会議ということで、会議を開催する こととなっているのですが、町村については開催そのものがないという状況が見て取れ ます。  15ページの夜間・休日の対応について、割合の所で見ていただきますと、特に対応し ていないという地域が、全体平均で51.4%、過半数を超えてしまっております。ここに 課題が一つ見出せるのではないかと思います。  飛んでいただいて、17ページの業務マニュアルの有無という所で、業務マニュアルの あり・なしについて聞いております。町村については業務マニュアルすらもないという 状況があります。町村でのバックアップについて、さらに検討する必要があるのではな いかという結果が得られるのではないかと思います。  以上です。 ○山縣座長  引き続きまして、相澤さんの方から残る資料の説明をお願いします。 ○相澤総務課長補佐  それでは私の方から説明させていただきますが、その前に資料4を太田から説明をさ せていただきたいと。 ○山縣座長  追加がありました。 ○太田児童福祉専門官  資料4について、先程の市町村の児童家庭相談業務の調査結果から代表的なものを抜 き書きしております。問1は、人口について聞いております。問2は、相談窓口の状況 について聞いておりますので、問3以降について、代表的なものを抜き書きしておりま す。ただ代表的と言いましても、問3については、それぞれ事項建てしておりますもの に合致する市町村について書き出しております。また問4以降については、村・町で一 番人口の少ない所、市については一番人口の多い自治体について、機械的に書いて抜き 出しておりますので、それを前提に後程ご覧いただければと思います。ただし、医師の 所については、全体を通して、政令指令都市については今回ここで抜き書きをしていな いのですが、市町村で配置されている所がありませんでしたので、神戸市だけについて 例示をしております。  ずっと見ていただいて、特徴的なところが3ページの相談担当職員で、(12)その他で、 埼玉県の都幾川村、児童家庭相談担当職員に県警OBというのがあります。唯一、この 地域だけなのかと思います。  また先程座長の方から、大阪府熊取町が最近よく取り組んでいるという話をいただい ておりますが、問5の相談処理件数の所、養護相談のうち児童虐待相談が多いという中 で、町の中で多いという条件に当てはまったのが熊取町でございます。あとはご覧いた だきたいと思います。 ○相澤総務課長補佐  それでは私の方から説明させていただきますが、資料に不備がございまして差し替え をさせていただこうと思っております。  それでは要保護児童対策地域協議会等の調査結果の暫定版についてご説明させていた だきます。  前回、速報値、暫定値で説明させていただきましたが、若干変更がございまして、協 議会設置済みが111カ所、4.6%。協議会設置予定が861カ所、35.9%でございます。 うち、17年度設置予定が685で、28.6%ということになります。17年度中には約3分 の1が協議会を設置するという状況でございます。  それから虐待防止ネットワーク等の設置状況ですけれども、協議会設置済みは除きま して、協議会設置予定・設置していない所に、ネットワークの設置済みか、設置予定か 等について聞いています。協議会を設置予定・設置してない市町村のうち、ネットワー クを設置済みが、1,081(45.1%)ということで、協議会とネットワーク設置済みを合わせ ますと、約49.7%という状況になっております。うち、協議会を設置しないで、さらに ネットワークも設置していないというのが、1ページの一番下の隅にございますけれど も、765カ所、31.9%ございます。これは市区町村別で見ますと、やはり町村部の方が 率が高いということで、規模の小さい所からあがっているような結果が出ております。  続きまして、2ページです。要保護児童対策地域協議会を設置していない理由という ことで、先程も委員の方からご指示されておりましたが、人材確保が困難であるという ことがあるようで、大きくあがっております。やはり市区町村別に見ましても、町村の 方が比率が高いという状況でごさいます。もう一つ、大きな理由といたしましては、市 町村合併を予定しているということで、これが653の45.8%。これも当然のことながら、 町村部が高いという数値になっております。ただ、先程の協議会を設置していない理由 として、一つ考えられるのは、虐待問題がない、優先順位が低いという所の比率が町村 部が高いということで、そういう実態もあることが推察されるところです。  さらに比率が高い所としましては、各機関の通常業務で対応可能という所が32.4%あ るということ。さらに虐待防止ネットワークを設置していない理由につきましても、協 議会の設置理由とほぼ同じようなデータが出ています。  続きまして3ページ目、要保護児童対策地域協議会・ネットワークの設置形態でござ いますが、一つの市町村に一つ設置ということが圧倒的に多いということで、これはネ ットワークも協議会もそういう状況になっております。  続きまして4ページ目です。要保護児童対策調整機関の指定状況でございますが、協 議会を設置している所、または予定がある所を集中的にというようなことで、 592(60.9%)。調整機関未設置が87(9.0%)というような回答を得ました。それとコーデ ィネーターの設置状況ですが、常勤職員を設置している所が全体で474の48.8%。非常 勤職員設置が86の8.8%ということです。設置しているが、全体の54.3%です。うち、 協議会を設置済みの所につきましては、下の所を見ていただければわかりますように、 全体の約7割、69.4%に職員が常勤・非常勤で配置されているということです。  続きまして5ページ、要保護児童対策協議会に課せられた守秘義務の評価ですが、こ れも情報提供・収集がしやすくなった。特に変化なしという所もありますが、さらに改 善すべき点という所が低く出ておりますので、少なくとも今のところ、問題はないと解 釈していいのではないかと推察できます。  虐待防止ネットワークの中核機関ですが、これは多かったのが、やはり児童福祉主管 課と児童福祉母子保健統合主管課の比率が高かった。  時間がありませんので、先に進ませていただきます。要保護児童対策地域協議会ネッ トワークの目的でございますが、これも発生予防、早期発見・早期対応、保護・支援と いうことで、それぞれ率がかなり高くなっております。  続きまして6ページの要保護児童対策地域協議会と虐待防止ネットワークを構成する 関係機関等です。どのような機関が参加しているかということですが、行政機関として は、教育委員会の比率が86.2%。国、都道府県としては84.2%は児童相談所。さらには 保健所、警察署という所の比率が高くなっています。また、医療機関・学校・福祉施設 等におきましては、保育所、幼稚園、小学校、中学校というような、教育機関の比率が 高くなっている。さらに関係団体としましては、民生・児童委員協議会等の率が高くな っています。  続きまして、7ページです。要保護児童対策協議会とネットワークにおける児童虐待 防止以外の業務分野ですけれども、これは非行対策もしくは不登校、ひきこもり等の相 談を業務として行っているというような実態が出てきております。  それと、ネットワークにおける虐待防止に関する活動内容ですが、代表者会議を行っ ているのは全体の1,634カ所中1,130カ所ということで、69.2%。うち定期的開催を行 っているのは54.3%。不定期が45.1%であり、年1回開催というのが非常に率としては 高くて、58.9%。このような状況になっております。  続きまして、実務者会議ですけれども、これも協議会・ネットワークを設置する、ま たは予定する市町村においては約3分の2が実務者会議を行っているというような状況 です。定期開催が442カ所の40.4%ということで、やはり開催頻度としましては、年に 1回もしくは年に3〜4回という所の比率が高く出ております。  それから個別ケース検討会議になりますと、やはり不定期開催というものが90%を占 めておりまして、ケースの進行状況に応じて検討会議が行われているというようなこと かと思います。やはり年1〜6回という所の比率が高くなっております。  その他、研修会、保護者・住民を対象にした講演会・学習会、その他ということが出 てくるのですが、これは多かったのはポスター・リーフレット・ちらしの作成・配布と いったようなところです。これについては後で見ていただければと思います。  それから10ページですけれども、要保護児童対策地域協議会及び虐待防止ネットワ ークにおける活動上の困難点ですが、これは効果的な運営方法がわからないというよう なものとか、事務局に負担が集中してしまう、スーパーバイザーがいないという所の比 率が高くなっております。効果的な運営方法がわからないという所での比率はやはり人 口規模の小さい町村が高くなっていると。また逆に、事務局に負担が集中してしまうと いうのは、人口規模の大きいところの比率が高くなっているというような特徴が見られ ております。  それから次の、要保護児童対策地域協議会及び虐待防止ネットワークの設置によるメ リット、効果、改善された点ですけれども、これについては、連絡調整・情報共有とい うような所が68.7%ということで高くなっております。これについても、人口の多い所 の方が、メリットがあったと回答されております。次の、各関係機関の役割の明確化も、 48.5%ということで高くなっており、これも人口規模の大きい市の方が比率が高いとい うことです。それから虐待問題の認識・関心の高まりが62.1%ということで、これも同 じように人口規模の大きい市町村の方が比率が高いという状況です。  最後に、要保護児童対策地域協議会及び虐待防止ネットワーク機能充実のための課題 としまして、比率が高かったのが、児童相談所と関係機関の役割の明確化が必要、効果 的な会議のあり方の工夫が必要、関係機関に対する虐待防止の意識づけが必要、という ような項目に対する比率が高く出ておりました。私からは以上です。 ○山縣座長  ありがとうございました。貴重な資料であるにもかかわらず、十分な時間が取れなく て申し訳ありませんでした。残された時間が限られておりまして、ご意見を聞く時間は ないかもしれませんが、表の読み方でわかりづらいところがあれば、質問をいただいた らと思います。 ○川崎委員  市町村児童家庭相談業務調査結果の、「主たる相談窓口」の窓口の担当職員の一番下の 「平均」というのがわからなかったので、教えていただけますでしょうか。 ○事務局職員  この表の一番下から2番目に合計で、例えば左に職員数で6,970名と出ております。 全国の市区町村数が1ページに記載しておりますが、2,399ありますので、要は1市区 町村当たりの割合となっております。以上です。 ○山縣座長  よろしいでしょうか。また細かく見ていただくと疑問が出てくるかもしれませんが、 それは、それぞれ事務局へ問い合わせをいただくという形で対応させていただきたいと 思います。  今日はいろいろな地域から特徴的な事例の報告に時間を取ってしまいまして、各委員 からの意見を十分聞く機会がなかったことは、本当に申し訳ありませんでした。次回以 降、少し気をつけたいと思います。  最後になりますけれども、今後の日程等について事務局からお願いします。 ○内山総務課長補佐  次回の日程ですけれども、前回、特徴的な市町村を含めて、市町村の実情調査をさせ ていただきたいという話をしましたので、そういった調査をさせていただく関係から、 前回お伝えしておりました11月14日を見送らせていただきたいと思っております。そ うした市町村の実情調査なども踏まえた上で、次回市町村の児童家庭相談のあり方の3 回目として、12月21日水曜日に開催させていただきたいと思っております。また当研 究会は12月めどの取りまとめを目標と最初にお伝えしておりましたけれども、この市 町村の状況を把握するのに少し時間がかかっておりますので、次回の12月に市町村の 相談体制についてあらかたの議論をしていただきまして、年明けに1、2回取りまとめ の議論をしていただきたいと思います。各委員におかれましては、お忙しいところ恐縮 ですが、ご了承いただければと思います。以上です。 ○山縣座長  進行の不手際で、当初予定の12月中に報告書を出せないということになり、申し訳 ございません。年明けてからのお忙しい時間帯になるかと思いますけれども、ご協力を よろしくお願いします。  それでは第8回の研究会をこれで終わらせていただきます。3人の方々、本当にあり がとうございました。              (照会先)                雇用均等・児童家庭局総務課児童相談係 03−5253−1111(内線7829) 37