05/10/12 社会保障審議会介護給付費分科会第31回議事録          社会保障審議会 第31回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成17年10月12日(水) 午前9時から12時           厚生労働省専用第15会議室 2 出席委員:井形、池田、石井、井部、漆原、大森、沖藤、喜多、木下、木村、        見坊、田中(滋)、田中(雅)、対馬(代理:椎名参考人)、永島、        野中、花井、村川、矢田(代理:森田参考人)、矢野、横山の各委員 3 議題 (1)新規サービス等の報酬・基準に関する基本的な考え方の整理(案) (2)その他 ○渡辺認知症対策推進室長より資料に沿って説明。 (野中委員)  介護予防サービスは、以前からもあったサービスで、その内容を工夫しようという試 みは評価できるが、どんなサービスでも、利用者がその意味を理解して、継続していく ことが大事だ。  だから、運動器の機能向上、栄養改善や口腔機能改善等はあくまで手段であり、それ を通じて何を実現するかが重要であり、そこにはケアアセスメントから始まってケアプ ラン、それを作成するケアマネジャーの努力が一番大事と思っている。  その過程がいかに大事かということをケアマネジャーには理解してほしい。本当に利 用者のことを思うのであれば多職種と連携するのが当たり前で、その認識が不足してい るからこそ今回新たに介護予防が提案されたことを考えるべきである。  介護予防のサービスは利用者にとってはなぜそれを利用するのかを理解する過程こそ 大事であって、手段は現場の努力なので、そのことを評価することに対して配慮してほ しい。 (矢野委員)  「通所系サービス」を積極的に位置付けることが重要であるという意見があったと整 理されているが、介護予防ワーキングチームの中間報告では「通所系サービス」を主軸 としたサービスプランを組み立てるという言い方になっていた。私はその方が事柄の意 味をはっきり示して適当ではないかと思う。  2点目は、介護予防の通所介護や通所リハ、あるいは介護予防訪問介護について月単 位の定額報酬とする考え方が示されている。利用頻度が高いので、定額報酬の水準につ いては保険財政への影響を十分に考慮する必要があると思う。定額報酬の水準に関する 関係資料の提示をお願いしたい。  3点目は、生活行為向上支援について、通所施設内の台所などで調理・配膳などを指 導するものだと思うが、利用者の実際の居宅で行うものではないので、どの程度の効果 があるのか疑問である。むしろ居宅内で家族とともに行ったり、単身世帯や高齢者世帯 の場合には、介護予防訪問介護の中で展開していくようにすべきではないだろうか。 (三浦老人保健課長)  まず通所系サービスの位置付けについて、この場での議論として主軸という言い方も しているし、合わせて委員からの意見として訪問系のサービスについてもしっかり位置 付けるべきだということから、こういう形で表現させていただいている。  2点目の保険財政への影響ということについては、経営実態調査の結果についての取 りまとめ作業中であり、取りまとめられ次第、速やかにこの分科会にお示しいたした い。 (喜多委員)  全体を通じて言えるが、これまでの主な議論等で「考えられる」、「必要である」、 「設ける」と書いてあるが、一体だれが考えたり決定したものなのか、そんな経過はな かったと思う。  そういうことからいくと、ここに今日提出されている全体についてどうもすっきりし ない。もう少し明快に、こう変えたいという厚生労働省の姿勢なり、分科会で決められ たことを明記する必要があると思う。  それから送迎加算、入浴加算については、現行の加算相当額を追加するのはどうかと 思う。要支援者の歩行、入浴の状態がほぼ自立であることから、歩くことが第1の介護 予防では、入浴についても自己において行うべきではないか。サービスから外せとは言 わないが、例えば現行の送迎でのドア・ツー・ドアからバスストップ方式への変更な ど、工夫が必要ではないかと思う。その下に、目標達成度についてあるが、事業者だけ でなく利用者の達成度についても評価するのかどうか、またその具体的な事務なども示 してほしい。  それから、運動器の機能向上とリハビリテーションの違いは複数でやるのと個別でや るのとの違いだけなのか、OTやPTがそこに参加するのか。去年の介護保険部会で通 所系サービスの一元化の議論があったが、それとの関係はどうなっているのか教えてほ しい。 (大森分科会長)  全体としてすっきりしないというのはそうだと思うが、少しずつ、大きな方向は間違 いなくまとまりつつあるが、現段階で言い切るのは少し早いのではないかと事務局はま だ考えていると思う。 (三浦老人保健課長)  目標の達成度に応じた介護報酬について、事業所の状態の改善に関するサービスの質 に着目して報酬を設定してはどうかということで、この場での議論としても個人に対す る評価、つまり利用者個人が改善したかどうかという評価は基本的に行わないというこ とではないかということであったことから、事業所評価として議論が進んでいったと考 えている。  報酬を実際に運用する際の事務的な手続きとか、その進め方については、ワーキング チームで議論中であり、効率的で、簡易に行うことができるよう検討を進めていきたい と考えている。  2点目の運動とそのリハビリテーションについては、外見的にかなり似ているところ があるということもあるかと思うが、運動機能の向上とリハビリテーションの一番の大 きな違いは、リハビリテーションについては医療として位置づけ、あくまでも医師の指 示の下に一定の内容のプログラムを行うことであり、運動はむしろ体を動かすというよ うなことに視点を置きながら、安全管理上、医師からの運動を行う際の留意点などの情 報の共有はあると思うが、基本的にそういう意味で医療行為であるかどうかというとこ ろから位置付けられるのではないかと考えている。 (石井委員)  通所系サービスの報酬体系について、選択的サービスのところだが、結局は従来のま までも介護予防通所介護の事業所の指定は受けられるということになっている。  ところが現場に出て事業所の意見を聞くと、ほとんどが現行のままで、人員や設備等 を変えずにやる予定とのことであった。積極的にやっているところは、例えば口腔機能 向上に関して言えば、週に1回歯科医師は来ているし、週3回歯科衛生士は来ている。 ただし、事業所の職員でないといけないというところが今後課題だと思う。  そうすると、新たなメニューを使わないところが多いのではないかという危惧があ り、やはり一定の加算という形がなじむと思うし、新たなメニュー、サービスを提供す ることに関してきちんとしたインセンティブを与えておかないと、非常に難しいと感じ たので、その辺りをどう考えているか教えてほしい。 (三浦老人保健課長)  新予防給付、、例えば今回運動器の機能向上などではやや加熱した期待があったと思 う。そういう意味では、それぞれの事業者において効率的、かつ効果的にいろいろな事 業を展開していただく必要があるという観点から、内容について研究班に検討をしてい ただいているところである。  それで、一般的には相当の施設がこの新しいメニューに取り組むところが出てくると 思うが、分科会での審議でも選択的サービスを実施する際には、共通的サービスに加え ていわゆる加算という形で報酬を評価してはどうかという考え方が示されており、全体 としてはかなりの事業所が関心を引き続き持っていると考えている。 (石井委員)  アクティビティというのは今やっていることで、今やっていることで指定も受けられ て加算も付くんだったらいいじゃないかというところが現場では多かった。  選択的メニューについて、特に困るのが運動器の向上で、PT・OTが関与しないと ころが多い。口腔機能向上に関しては協力歯科医療機関からの派遣というようなことが 可能であればできるというのが、多くの現場での意見であった。また、現場における受 け止め方が随分違うと感じているので、ほかの委員はどう思っているのか意見をいただ きたい。 (池田委員)  確かに通所系サービスの事業者の動きを見ると、余り危機感はないと感じているが、 多分それは報酬の金額によってものすごくインセンティブが起きると思う。アクティビ ティだけと、3つやって3つ加算と1つ加算では違うから、早目に情報を与えてインセ ンティブを付けた方がいいのではないか。  それから11ページに、介護予防という定冠詞の付いたサービスがずらっと並んでいる が、介護予防訪問入浴介護、介護予防特定施設入所者生活介護、あるいは介護予防地域 密着型サービス、これははっきり言ってフィクションであり、使う人はいないし、また 使うべきではないと考えている。  法律上の問題からやむを得ずこういうものがあったのだろうが、ここで2つ指摘して おきたいのは、1つは介護予防訪問入浴、訪問看護と訪問リハと居宅療養管理、この辺 は理解できるが、それ以外はフィクションであり、例外としても存在しないと考えてい る。  2つ目は、介護予防特定施設入所者生活介護であるが、これは極めて疑問である。も ともと要支援はグループホームあるいは施設を使わなくていいから使えないということ になっているのに、このような形で特定施設を、しかも支給限度額をはるかに上回る給 付が支払われているか理解できない。  あり得るとしても、支給限度額以上は自分持ちというのが本来の世界であり、要支援 の場合は特定施設に入ったらその入居費用は自分持ちだと思う。 (大森分科会長)  池田委員が言ったように幾つかフィクションだということについて、皆が今のように 認識しておけばよいか。 (池田委員)  法律に書いてあるからどうしようもないので、使い物にならない報酬で使えないよう にするという手が一番強行な手だが、もう一つ、社会常識としてこのようなものは使わ れるものではないという共通認識を持つのが柔らかい方法だと思う。 (山崎総務課長)  介護予防の主のサービスとして、通所系と訪問介護と福祉用具と、これが中心になる ということは当然立法過程でもそういう議論であったので、確かに池田委員の指摘では かなり例外的ケースかもしれないが、例えば訪問入浴のケースも、介護予防において諸 事情によって訪問入浴が必要なケースもあり得るだろうということで含めた書き方をし ている。  報酬によって使わせないというのもどうかと思うが、むしろ例外的なケースだと考え た上で、こうしたサービスについても議論していただきたい。  それから、特定施設等の在り方については、特定施設そのものをどうするかという議 論があると思うので、そこで合わせてお願いしたいと思う。 (池田委員)  これは国会論議の時から、保険給付と社会福祉給付の区別がついていない状況の中で やむを得なかったということだと理解する。  ただし、特定施設について要支援に給付を出すというのはやはり納得できないので、 それについては介護給付の議論の中でもう一回議論をさせてもらいたいと思う。 (木下委員)  選択的サービスが3つ挙がっているが、アセスメントからこれに至る過程が何か示さ れるのかどうか。アセスメントと目標志向的とはっきり書いてあり、基本的には地域包 括支援センターがやるようになっているが、大部分は委託になる可能性が大きいという ことで、地域包括支援センターが委託先に対してどの程度権限を行使できるかという点 について教えてほしい。 (古都振興課長)  アセスメントの重要性は御承知の通りで、市町村が責任主体として地域包括支援セン ターを設置するにあたり、アセスメントからケアプランへの手順、考え方をきちんと示 すべきではないかということで、専門家の意見も聞きながら考え方を整理しているとこ ろである。  具体的には、利用者がどういう自己実現をしたいのかということを聞いて、その目標 をどう実現していくのかということを利用者と話しながら進め、実際にプランをつくっ て実施する。こういうことを地域包括支援センターを中心にしながら、予防給付のケア マネジメントとしてやっていくこととなると思っている。  そういう考え方を参考として示すもので、様式の一つ一つをに義務づけるという話で はなくて、あくまで方向性を示すこととなると考えている。 (木下委員)  アセスメントからうまく選択サービスが選ばれるかどうか、また地域包括支援センタ ーの機能としてどこまで発揮できるかというところがまだ分からない。 (古都振興課長)  各サービスが一対一の対応で効果があるかということについては、実際にこれからな ので、自分一人で買い物に行けるようになりたいといった目標がある場合に、必ずしも その目標がどのぐらい運動機能を使ったらいいかとか、そういうことにすぐに結び付く わけではなくて、そういう目標が達成できるためにはどういう活動を通所の施設でやら なければいけないのかなどが決まるということである。  これは事業者が更に細かい工夫を事業の中でやることになるだろうから、必ずしもそ れが同様に一対一で対応するものではないと思っている。  地域包括支援センターでは、介護予防サービスを利用したいという申請を受けて、そ の中で実際にアセスメントをしながら大きな目標設定やケアプランづくりをすることと なる。地域包括支援センターでは、自ら、あるいは委託したケアマネジャーが具体的な 目標をつくって、そのためにはどういうサービスをやるかというところまで示した上 で、利用者が契約することになると思う。  一方で、もう少し介護保険以外のサービスや地域活動との連携を進めようという、現 場のケアマネジャー、事業者などを支援する仕事は地域包括支援センターとしてやって いくものではないかと考えている。 (三浦老人保健課長)  それぞれの選択的サービスについては検討中で、どういう人たちが運動機器の機能向 上、栄養改善、口腔機能の向上のサービスの対象者として該当するのかというスクリー ニングと、サービスを提供するに当たってまずその事業に関する専門的なアセスメン ト、例えば運動能力、栄養状態、口腔機能の嚥下の能力等に関するアセスメントする仕 組みを研究班で検討してもらっているところである。  そのスクリーニングの方法を地域包括支援センターでのケアマネジメントに利用すれ ば、例えば運動機能が低下している状態の可能性が高いかどうかというものが目安とし て出てくるという仕組みを考えていて、そういう判断基準を示すことによって、的確に それぞれのサービスが利用できるように進めていきたいと思っている。 (田中(雅)委員)  通所系サービスを位置付ける部分について反対するものではないが、例えばケアマネ ジャーが利用者と一緒に、地域包括支援センターと一緒にその利用者のサービスの中身 についても決めるという方向を基本に大事にすべきだと思っている。利用者の中には、 通所系サービスよりも訪問系のサービスを使って、自宅や地域においてより自分らしく 暮らしていきたいという場合には、訪問系サービスの目標達成度に応じた介護報酬の設 定はどのように考えられているのか示していただきたい。  前回の資料の中で通所系サービスを積極的に位置づけると示してあるが、それに対し て通所系サービスと訪問介護の関係を固定的に考えない方がいいのではないかという意 見を述べたが今回どのように扱われているのか、ほとんど見えなくなっていると思う。  それと訪問介護について「その際、利用者の状態やサービス利用の実態等を踏まえ、 複数段階での定額化の検討を行うことが考えられる」とあるが、これは十分な説明がこ れまでなかったと思うので、説明してほしい。 (田中(滋)委員)  評価のことでどういう場合に評価して報酬を変えるかに関わる一般論を説明したい。  事業者評価は何にでもしていいものではなくて幾つか条件があり、まず事前の介入に 対して因果関係がある程度想定できるものでないといけない。要するに、因果関係が科 学的に想定できるものについてのみ評価の対象となる。  第2に、アウトカムが一定の確率分布の幅に収まらないものについては意味がない。 別の言い方をすると、他の変数の影響が入ってはいけないということで、例えば医療の 発想で、がんの病院の評価をするときに重症度など全然別の変数が入ると、病院ごとの 治癒率は重症度を加えないと評価のしようがない。そういう他の変数の影響が比較的な いことを要支援者のスクリーニングの段階でまず絞られることが条件になる。  第3に、大数の法則が働くほどの対象数がないところでは意味がない。利用者ベース の評価が難しい理由は大数の法則が働かないからで、ある利用者が頑張る、頑張らない というプロセスについては評価できても、頑張ってもだめな場合もある。これは他の変 数が入ってくるので、個別の人の予測はつかないことになる。あくまで大数の話で、個 別の人についてはコンプライアンスを守っているかどうかなどプロセス評価はできて も、個別の人のアウトカムは科学的に何も証明しようがない。  今言った3つのことは因果関係が科学的に想定でき、アウトカムがある程度幅に収ま り、大数の法則が働くほどの対象数があるという条件下でのみ事業者評価ができるとの 指摘であり、これが抽象的かもしれないが学者としての見解である。 (田中(雅)委員)  今の場合は学者として評価の視点ということを説明していただいたのは大事なことだ と思うが、先ほど評価の対象にならないと言ったことで、個々の利用者の思惑、それぞ れの事業者の気持ちは全く無視されてもいいのかということがこれからも多分残ると思 う。 (山崎総務課長)  まず1つは文章の表現について「主軸」という言葉でワーキングチームの中間報告も あったが、それが逆に訪問系を軽視しているような印象を与えるのもどうかという指摘 もあるし、こういう表現がちょうどよいのではとしたところである。  その上で、事業評価の対象にならないということはそのサービスを軽視していると か、目標志向とは関係ないということではなく、この事業評価というのは初めての仕組 みで、これが利用者もしくは事業者サイドにどういう影響を与えるかということも十分 考えなければならないと考えており、訪問介護の場合は当然そうした面で事業者の評価 等もあると思うが、それがヘルパーの個人差によって相当違うという現実もあるので、 どちらかと言うとまとまりのある通所系から議論していくのが初めてやる制度としては よいのではないかという気持ちを持っている。  したがって、決して訪問介護自体が違うからとかという意味ではなくて、むしろ事業 評価というものを慎重にやっていきたいと考えているところである。  複数段階の定額化をどう考えるかということは、訪問介護の実態から見た場合に1つ の段階でできるものかどうか、定額というのは自由度はあるが、その自由度の中で利用 者と事業者の間で、ある程度の頻度を想定した階層分けがあっていいのではないだろう かという提案をしているところである。 (田中(雅)委員)  確かに通所系のサービスの方が評価しやすいということの説明はできるが、利用者自 身がその家で暮らすことが一番大事だと思っているので、別の言い方をすると多くの要 支援の方が現在の通所系サービスを十分利用していないという現状で、通所系サービス を利用することを進めることはいかがなものか。  そういう意味では、訪問系サービスがもたらすことについても今後研究することも大 事だと思っている。 (花井委員)  今回通所系サービスを積極的に位置付けると文言が変わっているが、廃用症候群予防 改善の観点からということで言えば、訪問介護であっても軽度のところで状態を維持あ るいは改善しているケースも相当見られるから、同じような評価をすべきではないか。  そして、事業者評価の問題で、ヘルパーの中にも大変頑張っている方、研修制度を設 けて頑張っている事業者などが更に頑張るようなメッセージを伝える意味でも、訪問介 護事業者に対しても評価を入れていいのではないか。ワーキングチームの会議の中で も、訪問介護事業者に対しても評価を入れるべきではないかという意見が出ているし、 介護予防全体に3年後の見直しまでに準備して入れることが可能かどうか検討できるよ うにしてもらいたい。 (横山委員)  目標の達成度に応じた評価の件について、要介護認定の要介護度の改善において評価 をするということであるが、かなり地域格差が出るのではないかという問題をどうクリ アするのかということと、もう一つは維持の段階を地域包括支援センターで評価をする ということだが、標準的なものをどうつくり上げていくのか。  それから、10人以下の小規模での評価は数値的に変動が大きいということだが、現行 のデイサービスセンターに介護予防のデイを併設するところが大部分と考えられ、そう した場合の事業所は小規模にならざるを得ない状況が生じるのではないか。  また、要支援で介護予防サービスを利用して自立した後も、地域支援事業の介護予防 事業としてフォローする関連性、継続性をどうするのか教えてほしい。 (三浦老人保健課長)  まず認定について、確かに要介護度別の分布では、特に軽度者については地域ごとに その割合がある程度異なっているという現象が生じているが、これは申請に基づいて認 定を行っているということによるところでもあり、認定制度が地域によって違うわけで はないと考えている。そういう点で、要介護度が普遍的な指標として客観性があるので はないかと考えているところである。  要介護度が維持された場合の考え方は、地域包括支援センターで作成したケアプラン に書かれた目標が達成されているかどうかを見ていくことであり、これについては具体 的にどのようにするか、技術的な観点も含めて更に検討をしていきたい。  少人数の事業所については、今回この目標達成に応じた報酬の対象外にしたらどうか ということで検討を進めているが、これはあくまでも軽度者の人数ということに限って いるので、介護給付の利用者が何人いるかということではない。目標達成の報酬は新予 防給付での利用者の改善可能性というものに着目したものであり、介護給付での設定に ついての議論は今回行っていないところである。  この目標が達成されて要介護度が改善されて非該当になった場合のフォローアップの 体制については、地域包括支援センターは新予防給付のケアマネジメントについて一義 的な関与を行っていくことのみならず、まだ要介護認定を受けていない方や、あるいは 非該当になった者を対象とする介護予防事業のケアマネジメントの役割を担うこととな る。そういう点で、非該当になったからそれで支援が終わるということではなくて、地 域支援事業の中の特に介護予防事業を利用しながら、引き続き地域包括支援センターが ケアマネジメントというツールを使いながらフォローアップをしていくということにな ると考えている。 (森田参考人)  事業所の評価で、小規模のところは評価の対象外ということで利用者数が10名以上と いうことであるが、この利用者数は登録人員といわゆる平均の利用人数とではかなり違 ってくると思うがどう考えているか。 (三浦老人保健課長)  年間利用実人員とは、年間を通じて実際にその事業者を利用された者であり、実態と しては登録人数と同じくらいの数になると考えている。  その上で、「10名」ということについて、適切であるかどうかというのはワーキング チームで検討していただいている状況である。 (野中委員)  確かに一生懸命頑張った、本人の意欲を引き出したことを評価してあげたいという気 持ちはあるが、医療の現場では、治したから御褒美をもらうことはないし、そういうも のは本来そぐわないと思っている。  利用者から選ばれることが一番の評価であり、大きな事業所と小さな事業所の違いは あるが、やはり介護や医療は対個人の話であり、その人がどんなケアを行っているかが 評価に値することで、そのことを忘れたような評価は、医療の現場としてはなじまない という意見だけは伝えておきたい。 (漆原委員)  介護予防通所介護で、アクティビティプログラムが従来どおり行われるというのは、 従来の通所サービスそのものが要支援者に続けられるということ。実効性のある介護予 防とするならば、アクティビティについてももっと踏み出した取り組みが必要ではない か、これでは従来サービスと変わりはないものとなってしまう。  それから、目標達成度に応じた評価に関連して、要介護度で評価されることであるな らば、ADLの改善を目指した運動器の機能向上とか、ADLの改善または維持が基準 となる。そうでないと、栄養改善とか口腔機能で要介護度がアップするということは想 定しにくいし、そこでの組合せが大事であるので、基本的にはADLの改善を、プラス 栄養改善あるいは口腔ケア、口腔機能の向上という組合せをしないと、実効性のある介 護予防という観点にはなりづらいと思う。ワーキングチームで検討された結果だと思う が、全体的にもう一つ踏み込んだ介護予防になればいいと思う。 (村川委員)  地域密着型サービスについて、特にその中でも小規模多機能型居宅介護のサービスが 地域の中で柔軟に展開されるということは非常に重要な観点であり、特にサービスの質 を高める方向の中で、大事な位置付けではないかと考えている。  ただ、山間地や離島等のことを考え、全国各地にサービスが広がっていくための一定 の柔軟性は必要であろう。今のところ都市部で広がっていくことを想定しており、でき ればより質の高いものを考えるべきであるが、山間地、離島等に限って非営利団体、N PO等が活躍するためにも、(1)通い、(2)泊まり、(3)訪問サービスの一部を緩和する など少し柔軟な設定にすることによってこのサービスが広がりを見せていく事になると 思う。認知症グループホームのように、数的に広がり過ぎのサービスもあるので、規制 的な発想も働いてしまうが、この制度の地域的定着には柔軟な基準と運用が必要ではな いかと思う。  2点目はケアマネジャーについての議論であるが、小規模多機能居宅介護の従事者が ケアマネジャー等のレベルを担保することは理解できるが、やはり囲い込み等の問題も あり、居宅サービスの一環という点からは、地域包括支援センターや居宅担当のケアマ ネジャーが地域全体の動きを見ながら調整を図っていくということを基本にすべきであ る。  しかし、小規模多機能居宅介護の内部のところをどう見ていくか。個別のサービス基 準の中で、例えば訪問介護にはサービス提供責任者という位置付けもあるわけなので、 小規模多機能居宅介護の中でのサービス提供責任者という、要するにサービスを提供し つつ管理者の役割を果たせるような柔軟な運営基準が確保されることが望ましいと思 う。  3点目として、民家等の既存施設の活用について、全体としてのコスト削減について は賛成だが、民家は木造家屋等という場合が多く、防火・防災といったリスクマネジメ ントの観点も必要になるので、地域で支え合う中での防災対策など、配慮ある運営基準 をしっかり担保する必要があると思う。 (喜多委員)  報酬の変更について柔軟な仕組みにしておく必要があると書いてあるが、いつからこ のような柔軟な仕組みを考えてもらえるのか教えてほしい。  これに関連して池田委員から要支援の特定入居者の金額は在宅よりも多いという指摘 もあったが、在宅の支給限度額の範囲ですべてをやるべきと考えている。したがって、 13ページの表はどう使うかは分からないが、要介護1と要介護2の特養、グループホー ムのところはいずれも在宅の支給限度額を上回っているし、要介護1の特定施設入居者 も同様なので、これらについてはすっきりと整理してもらいたい。  それから、通いを中心にして随時訪問や泊まりを組み合わせるとあるが、どのように 要介護別に、また月額報酬を設定するとなっているが、どういう設定をするのか。柔軟 にやればやるほど月額報酬というのは設定が難しいと思うがどうか。  また特別な要件を課した場合、市町村は高い報酬を設定することができると書いてあ るが、その特別な要件とは一体何なのか。仮に厚生労働大臣の許可を取れば、高い報酬 額を設定すればそれは介護保険の中で給付するのか、それとも決定した市町村が自らの 財源で給付するのかはっきりしてほしい。少なくとも法定給付に位置付けてやるのであ れば、これは全国共通の基準であるべきで、国の法令できっちりと決める必要があると 思う。  最後に「駆け込み申請」が起きるおそれがあり、何らかの対処が必要であるとの意見 があったとあるが、あと数か月しかない状態で、これは議論があるから審議してという 問題ではないと思う。間に合わなかったら、また社会福祉法人の軽減制度の特例措置の ように、市町村に黙って勝手にやってしまって、通達を流して市町村負担が増えるよう にするのか。 (川尻計画課長)  地域密着型サービスの報酬・基準については、この分科会の議論を踏まえて、国とし てきちんと決め、それが全市町村に適用されることになるが、一方で市町村の判断でど うしてもこの基準ではやっていけない、あるいはこの報酬でやっていけないという場 合、例えば規制を緩和する、介護報酬を低く設定することは可能な仕組みにしている。  ただ、小規模多機能型の居宅介護などについては、包括的な報酬という形で要介護度 別に月額の定額報酬を設定してはどうかという提案をさせていただいているが、地域に よってはこの報酬ではビジネスとしてやっていけないという場合が考えられる。そうい う場合に、特別な要件を課した上で高い報酬が設定できる余地も残しておいてはどうか ということを考えている。  特別な要件については質の担保という観点から市町村が定めることとなるが、具体的 な内容についてはこの分科会での議論も踏まえて定めていきたいと思っており、例え ば、より多くの職員を配置するとか、一定の資格を持った職員を配置するということが 考えられるのではないかと思っている。  駆け込みのところは以前も説明したところではあるが、現在グループホームの指定は 都道府県知事の指定であるが、市町村長の意見を聞いた上で指定をするという仕組みを 入れているところである。今回の制度改正で、グループホームが地域密着型サービスに 移るので、18年4月以降グループホームに新たに入る者は、基本的にはグループホーム 所在の市町村以外の者は利用ができない形で経過措置の仕切りをしてはどうかと思って いる。そういう意味で、仮に駆け込み申請があって、ある特定の日常生活圏域にグルー プホームがたくさん出てきても、将来的には空いていくという形になると思うので、そ ういうことも含めてきちんと指定をするようにお願いしているところである。  それから高い報酬は、市町村が独自の報酬を決めるという判断によって生ずるものな ので、給付費の負担は他の給付と同じように保険料と公費を半々としていくということ で考えている。 (喜多委員)  高額の報酬を市町村が決定し、それは介護報酬の対象となれば、各市町村がいろいろ な政治的圧力がかかったりして、介護保険制度自体がもたなくなると思う。  全国標準の規定を決めていて、それ以上のことを特例で市町村がやった場合に、全部 保険で見るということになれば、調整交付金の在り方自体の意味もなくなってくるので はないかと思うから反対である。 (池田委員)  地域密着型サービスで中重度シフトということをはっきり打ち出したことは高く評価 するが、一方で認知症ケアが非常に手薄ではないかと感じている。特に15ページの小規 模多機能型居宅介護のことについて、上に書いてある図と、それから真ん中に書いてあ る最初の丸というのが違っていて、登録者数は25名程度、通いの利用者は15名程度、泊 まりの利用者は5名から9名程度とすることが考えられると書いてあるが、上の図では 泊まりの利用は5名までとなっている。  これは流れとしては上の図が先で、後に主な議論が出たわけで、流れとしては別にお かしくはないが、25人登録して、1日当たり15人が通所して、泊まりは9名だというこ とは、1か月単位で見ると1人の利用者は1か月18日デイに通い、6日から11日間ぐら いは泊まって、あとは空いているところに訪問という介護サービス漬けみたいな感じに なって、これはかなり重度を対象にしていると理解できるわけである。ところが、一方 でなじみの職員の関係だとか、こうした流れは認知症ケアのイメージをずっと引きずっ ているわけである。  つまり小規模多機能型居宅介護というのは2つの流れがあったのではないか。重度者 の在宅生活を支えるためにどうすればいいのかというものと、それほど重度ではない が、認知症で家族の負担が非常に高い部分についてどういうサービスを提供していくか という2つの流れがあったと思う。後者の流れは託老所とイメージが重なっていた部分 があり、前者は24時間巡回と同じような形で考えられる。  そうすると、柔軟に対応するということであれば幾つかの類型を考えてもいいのでは ないか。つまり、併設事業所で居住系サービスの受け皿として持っていなければいけな いということになると、大規模法人しかできず、非常に限定されるが、質の担保のため に必要ということで、重度対象型小規模多機能というものを考えていく。もう一つは、 軽装備型で認知症ケア、これはデイ中心になるが、当然ナイトケアも必要になるという ことだが、それほどナイトケアが必要になるとも思えない。そういった重装備型と軽装 備型の2類型くらいに分けて、託老所グループのナイトケアを保障するようなシステム を考えられないだろうか。  もちろん、なぜ泊まりは5名迄が基本で5名から9名になったかというと、それは人 数に関わらず、必要な職員は2人いるわけであり、コストの問題があるからである。た だ、毎日泊まりがあって、職員が常に対応しなければいけないという場合、随時泊まり が必要になって職員がそのまま居残るというような柔軟なシステムで2類型に分けた方 がいいのではないか。  もう一つ、ケアマネジャーについては、どうしても内部にいなければいけないという ことになると、これは名義貸し等余りいい方向に考えられない。だから、当面外付けで 動かしていくということでいいのではないかと考えている。  以上、認知症ケアの重点化について、地域密着型の中でもう少し検討が必要なのでは ないかと考えている。 (山崎総務課長)  地域密着型サービスを考える場合に、市町村の特性に応じた柔軟性も大事ではないか ということで、制度スタート当初から全国一律の扱いよりもある程度柔軟性のある、仕 組みができないかということで今回検討してきているところである。  しかし、一方で、これが野放しになった場合に全体はどうなるんだという議論も当然 あるので、市町村が仮にある程度上乗せ的なものをするにしても、その内容についての ガイドラインを国が示す必要があると思うし、加えて厚生労働大臣が個別に承認と記載 しているのも、一定のガイドラインに沿った形でやった場合に、こういう制度を認めた らどうかという趣旨で書いているところである。  この小規模多機能を含め、地域密着というのは地域によって大分特性が違うだろうと 考えているので、少し幅を持った形のものを今回検討したらどうかということで示して いるもので、その中でこのサービスの特性を生かす道はないかということで考えていき たい。  あと認知症の問題は、全体にわたって地域密着の要素として、認知症の高齢者が増え ること、そして一人暮らし高齢者が増えることの2点を踏まえているところである。  認知症の対応というのは高齢者介護を含め、実は普遍的要素を相当持っているもので はないかと思っていて、小規模多機能についても明確に認知症という形で絞っていない が、このサービスの基本にあるのはそうした認知症をベースにした考え方で、それがほ かにも十分適用できる形で対象を特に限定しないというものであり、それが普遍性を持 っているサービスであれば、制度全体をそういった制度に切り換えていくという趣旨で 考えている。 (横山委員)  いわゆる既存資源の活用とか、効率的なサービスの展開をするということが基本的な 視点の中に入っているが、そういう視点からいくと地域密着型は市町村が主体になって やるということで、小規模多機能型の居宅介護の併設できる居住の部分で、地域によっ て事情も違ってくるということなので、その事業所についてはやはり市町村が柔軟に指 定、判断ができることとしたらどうか。  現状では30床の小規模特養はだめで、29床以下のサテライト型の特養はいいというこ とになっている。今まで特養がやってきた介護の専門性とか、あるいは職員の兼務とい うことが、既存資源の活用の中に入っていると思っている。だから、そういうところに 併設を認めることは、利用者にとっても地域にとっても悪いことではないので、現状の 特別養護老人ホームが入っていないということは納得できないと考えている。 (矢野委員)  認知症高齢者グループホームにおける医療ニーズへの適切な対応とあるが、医療ニー ズへの対応というのはケアプランの中でどういう位置付けになっているのか。また、医 療ニーズへの対応が適切かどうかをだれがチェックするのか。ケアマネジャーと保険者 が双方でチェックするのか。 (川尻計画課長)  グループホームも入所後、時間の経過とともに重度化してきて、医療の必要度が高ま ってくる。そういう場合に、同じグループホームの中で看取ってほしいという声もあ る。  そういうことが対応できるようなグループホームとして、一定の看護職員を確保する とか、24時間の連絡体制を確保するとか、あるいは看取りに関する指針を策定するとか という形で、まず体制を整備した上で、医療ニーズへ一定の対応をする。外部の医療機 関との連携というのは当然必要で、その場合は加算的な形で報酬を設定してはどうかと 考えている。これらのチェックは、今後認知症グループホームの中にケアマネジャーを 必置とするので、そこできちんとチェックをし、地域密着型サービスとして市町村に指 導監督してもらうことになっているので、適切な対応かチェックできると考えている。 (野中委員)  地域密着型介護老人福祉施設に関しては、地域住民が住み慣れた地域で住み続けると いうことを実現するためには必要なことと思っているところだが、本体施設との連携を 前提に必置規制を規制緩和と書いてあり、施設における配置医師との関係が適切に理解 されていない現状がある。  医療医科点数表には、医師はみだりに施設に対して訪問してはならないという項目が あり、これについて医師側は非常に怒っているわけだが、これは施設長が配置医師がい るにもかかわらずみだりに往診を依頼してはいけないということと理解している。例え ば配置医師に依頼せず地域の医師に往診を依頼するのがいけないというわけではない が、往診料や指導料等を施設側が払う認識を持っていればいいが、その認識がないのが 実状である。本体施設との連携で必置規制をどう考えるのか。  あるいは、地域の医師が地域の主治医として行くことが可能になるのか。また看護師 が施設に土日はいないが、その為に例えばインシュリンの自己注射をやっている患者 が、施設の入所を拒否されるケースがある。それでは本来の目的に反するので、この必 置規制の緩和の意味を教えてほしい。  それから、認知症対応共同生活介護の中で健康管理として、医療機関との契約による 当該グループホーム、利用者の健康管理に責任を持つ看護師を1名以上確保しているこ とは理解するが、医療ニーズというのは24時間365日であり、本当に1人以上というこ とが患者の医療ニーズに応じていると想定しているのか。 (川尻計画課長)  地域密着型特養については、現在構造改革特区で何か所かやっているので、今回の人 員基準等は、基本的に構造改革特区で行っている形のものを提案している。  その考え方は、29人以下の小規模な特養ということなので、基本的には本体施設があ って、そこで医師、栄養士等が配置されているという場合には、例えば車で10分以内く らいの距離にあるという形で特区では運営をしているが、そういう連携状況にあること を確認をした上で、小規模な側には置かなくてよいとしている。  それで、みだり診療の禁止については、中医協でも議論があるかもしれないが、特養 については基本的に一般的な健康管理ではなくて、感染症が発生した場合に、外部の医 療機関からの協力を得、配置医師だけではなく、いろいろな形で対応することが必要と いうことで、きちんとした医療体制は確保していこうと思っている。  看護職員の関係については、必ずしも常勤の看護師という形ではなくて、連携体制の 下に毎日看護師が機能できるような体制を考えている。  それから、グループホーム の看護師についての考え方ということであるが、重度化、あるいは医療の必要度の高い 場合ということを考えて、職員として看護師を置く、あるいは訪問看護ステーションと の連携という形で、看護師が機能している場合には加算を考えたらどうかということで ある。 (木村委員)  夜間対応型訪問介護について、現行の報酬体系では深夜加算等が付いて、利用者の負 担が増えるということと、地域での見守りということで大事なサービスであると検討さ れてきたと思う。出来高報酬と定額ということについては、低額が望ましい。ある一定 の負担の中でいつでも呼べるという使いやすさを考えてもらいたいと思う。  それから、小規模多機能型居宅介護の事業所は泊まりがあるので、グループホーム的 な人員配置の考え方があってケアマネジャーの配置ということを考えたのではないかと 思うが、そこの利用者のケアマネジメントは実際にだれがやることになるのか。例え ば、1事業所の登録者は25名程度とあるが、この25名程度のケアマネジメントは個別に 契約したケアマネジャーなのか、それとも個々に事業所に配置されるケアマネジャーな のかよく分からないので教えてほしい。 (川尻計画課長)  ケアマネジャーが小規模多機能型居宅介護の職員として配置された場合、当該ケアマ ネジャーは小規模多機能型のサービスだけではなく、例えば訪問看護等のサービスが必 要ということであれば、それも含めてケアプランを作成するという整理をしている。  外部のケアマネジャーで対応するということも考えられるが、小規模多機能型居宅介 護というのはいわゆる在宅の3大サービスをすべて提供するということなので、ほとん どのケアプランがここでできてしまうという話と、外部のケアマネジャーでやるという 場合、小規模多機能に併設型のケアマネ事業所ができて、それに高い報酬をまた支払う というのもおかしいのではないかということで、むしろ小規模多機能の中に配置して、 その部分も勘案して報酬を設定していく方が合理的ではないかと考えている。 (田中(雅)委員)  これまでグループホームが急増したことによって質の低下を引き起こしたという教訓 を踏まえていかなければならない。  その上で今回、人員や設備に関しては規制緩和という方向があるが、従事者の質とい う問題からは、介護サービスの質の向上についても専門職の配置、すなわち介護福祉士 の配置ということについてきちんと担保すべきではないか。  これまでは、介護福祉士の数が少ないということもあったが、既に介護福祉士は47万 を超えていて、その中の3割以上が就労をしていないという実態があり、そういう面に おいても、やはり質の確保という観点からこれからは介護従事者に関しては資格職の配 置を考えるべきである。 (椎名参考人)  定額報酬という言葉が出てきているが、支払い方式として考えた場合、質の担保をど のように考えるのか。質を考えた場合、大きく2つあり、1つはそのデータの質で、例 えばアセスメントの中身とかデータの質と、もう1つはサービスの質で、そういう意味 で支払い方式として考えた場合に質の担保をどう考えるのか、教えてほしい。 (三浦老人保健課長)  今回は新予防給付に定額的な報酬を入れてはどうかという提案が多いが、新予防給付 のケアマネジメントは地域包括支援センターが行うとされているが、地域包括支援セン ターが場合によってはその委託先としての居宅介護支援事業者と協力しながら実際のケ アマネジメントを行っていくということになると考えている。  地域包括支援センターでは職員配置などからいっても、多職種協働のケアマネジメン トが行われると考えており、また自立性や中立性の確保のために例えば市町村ごとに運 営協議会を置くなど、多方面で透明性の確保ということを行っていくこととなる。合わ せて、ケアマネジメントに定められたケアプランの内容が実施されているかどうかを評 価する機能も地域包括支援センターが担うことになるので、そういう点で従前のサービ スに比べて、よりケアマネジメント機能が向上すると考えている。  そうした中で適 切に利用者の状況についてアセスメントをし、それに基づいて必要なサービスが的確に 行われるということが担保されると考えている。 (永島委員)  先ほど認知症というのは普遍だという説明があり安心したが、現在でも通所などで認 知症の人が断られるということが多く、その質についての担保はどうなるのか心配して いる。  それから、小規模多機能とグループホームとの関係はどういうものになるのか教えて ほしい。  また、グループホームで看取りという言葉があるが、これはターミナルを意味してい るのかどうか、ターミナルを意味しているとすると、訪問診療など、そのほかのことも 全部含まれるので、この辺についてはもう少しはっきりしてほしいと思う。 (川尻計画課長)  まず質の担保について、サービスについて囲い込み等が生じないように、地域の関係 者を集めて運営状況について協議、評価をする場を設けることを通じて、認知症のケア が適切に行われているかについて地域の関係者が評価する仕組みを考えている。  それから、訪問、通い、泊まりという在宅を前提とした小規模多機能型居宅介護と、 完全にその場所に移って居住するという形のグループホームは機能的に分けられると思 っているが、連続的に利用される場合もあるので、併設された場合になじみの関係が保 てるよう、小規模多機能とグループホームとの職員は兼務できるような工夫も考えてい る。  それから、看取りとターミナルの関係については、最後まで同じ施設、グループホー ム等で高齢者を看ていきたいということで、ターミナルよりも広い意味で看取りという 言葉を使っているところである。 (花井委員)  夜間対応型訪問介護について「必要に応じ、訪問チームに看護職員を組み込むことと する」「安全確保のための配置について検討することが必要であるとの意見があった」 とあるが、深夜24時間動くわけで、多分女性が圧倒的に多いと思うが、その安全性確保 という観点から複数配置ということを基準として設けるべきではないかと考えている。  もし現状のモデルケースについて複数配置でないとしたら、そういう問題が起こって いないのかどうか教えてほしい。 (川尻計画課長)  モデルケースでは一応2名で回っていると聞いているが、別の夜間の訪問介護ではな じみの関係になっている利用者宅には1人で回る場合もあるということも聞いているの で、余り重装備にならないような形で、かつ提供者側の安全がどうやって確保できるか ということを含めて、基準上どうするか検討していきたい。 (花井委員)  もし複数配置が難しいということであれば、安全確保のための対策が十分できるよう なことを検討してほしいと思う。 (木下委員)  認知症高齢者グループホームのところで、「看取り」に関する指針を策定とあるが、 見取りには医師の関わりが必ず必要だということと、本来何らかの医療をすれば助かる 可能性のある人が看取りということにされてしまう危険性について、何か方策を立てる べきではないかと思っている。 (井部委員)  「看取り」に関する指針を策定して説明と同意を行うとあるが、これは例えば連携す る医療機関などで看取るというニュアンスに取れるが、どのように解釈するのか。 (川尻計画課長)  看取りに関する指針の中で明記する必要があると思うし、本当の最期に病院に行くこ とはあり得るが、基本的にはグループホームでターミナルまでケアするということを想 定して、20ページの3要件をすべて確保する場合には加算を行うことを考えている。 (田中(滋)委員)  主任ケアマネジャーの配置によって点数が変わるかもしれないし、また質の確保の上 でも重要であると思う。  一方、地域包括支援センターでも主任ケアマネジャーが必要になってくるので、主任 ケアマネジャーに期待されている内容、能力と、なれる要件とのリンクがどうなるの か、よく分からない。  これは安易に数を増やしてもいけないし、しかし絶対数が足りなくて引き抜き競争を してもいけないしと思っている。 (古都振興課長)  主任ケアマネジャーについては、カリキュラム等をこれからきちんと定めて養成して いきたい。基本的には、ある程度スーパーバイズできる能力は必要で、地域包括支援セ ンターの中でも地域のケアマネジャーが抱える課題に的確なアドバイスができたり、介 護サービス以外のサービスとの連携の仕組づくりも必要になると考えている。地域包括 支援センターの他の職種とも連携をしながら支援体制をつくることが地域包括支援セン ターの中の主任ケアマネジャーに期待されることなので、ケアマネジャーとしての高い 資質を持った上で、ソーシャルワーク的な視点、あるいは指導的な役割を持てるような 養成をしていきたいと考えている。  これからカリキュラムを決めて養成していくということなので、更にここでの議論な ども踏まえながら進めていきたいと考えている。 (村川委員)  「ケアマネジメントの質を確保する観点からケアマネージャー1人当たりの標準担当 件数を30〜40程度に引下げる」という考え方に賛成である。ただし、私は30年ほど前に 福祉事務所のケースワーカーを5年ほどやっていて、担当ケースワーカーは80対1とい うことで、もちろん仕事の仕方、内容が違うから単純に比較はできないが、仮にケアマ ネジャーが40対1となれば、ケアマネジャーに課せられる責任が重いということも理解 する必要がある。質を担保する意味で、減算措置を併設しないと、非常に甘い基準にな ると考える。  それから、今ケアマネジメントは10割給付で、ケアマネジメントを育てるという観点 からはよいと思うが、中長期的には、契約の本来の意味なり、ケアマネジャーの業務上 の実効性の担保なり、利用者の視点からも給付率を考える必要があると思う。  ケアマネジャーについて、大幅な基準改善をした場合、従来過疎地域等を念頭に入れ て、今後ケアマネジャーになる者の基盤を緩やかにしていると思うが、社会福祉士・保 健師等、国家資格で縛るとか、そういう事柄とセットにしていくことも考えてはどうだ ろうか。  法的にもケアマネジャーについて、資格を5年更新としているが、できればもっと実 効の上がる研修システム等、質を担保する要素、要件が必要ではないだろうか。  22ページの上から4つ目、ケアマネジャーはソーシャルワーク、ケアワーク両面に熟 達していることは大事であるが、地域のサービス担当者会議等ができていないことは、 むしろソーシャルワークの方法が欠落しているのであり、個別ケースワークだけではな く、コミュニティワークとかソーシャルアドミニストレーションとか、いろいろな方法 論もあるわけだから、研修の内容やシステムとしてしっかりしたものを担保してほし い。 (沖藤委員)  初回アセスメントのことで、今度は地域包括支援センターで新予防給付の初回アセス メントがあって、その中で残念ながら重度化する場合もあり、地域包括支援センターか ら来る人は、もうかなりのアセスメントが行われているはずだと思う。そこに初回アセ スメントの評価を加えるのは、介護報酬を全体に見直そうというときにいかがなもの か。初回という定義をしっかりしないと混乱するのではないかと思っている。 (森田参考人)  地域包括支援センターで新予防給付のマネジメントをするという表現になっている が、詳しく言えば地域包括支援センターを運営する法人がやっている指定介護予防支援 事業所が要支援1と要支援2の方の予防プランをつくるというのが正確な定義ではない かと思う。  それで、地域包括支援センターの3職種の部分は市町村からの委託事業となっている と思うが、市町村から払う委託料の部分と、それから予防給付のマネジメントの介護報 酬の両方で地域包括支援センターを運営するのではないかと思うが、少なくとも指定介 護予防支援事業所で必要な要支援1と2の人の予防プランの作成に要する費用は報酬の 方で賄い、それ以外の部分については市町村からの委託料で賄うという住み分けができ るのかどうか。  神戸市も地域包括支援センターの運営協議会を立ち上げて事業所の公募をしようとし ているが、委託料が幾らかというのがこちらから提示できないし、予防給付の報酬が幾 ら入ってくるかわからない中で体制を整えたり、人員確保しなければいけないという非 常に不透明な部分があるので、その考え方が分かれば教えてほしい。 (三浦老人保健課長)  地域包括支援センターの収入としては市町村からの委託に係る部分と、ケアマネジメ ントに関する報酬が両面で入ってくると考えている。それで、制度的には両者の会計・ 勘定を分けて地域包括支援センターの運営を行うことになると考えているが、一方でケ アマネジメント経費としては、例えば主任ケアマネジャー、保健師、あるいは社会福祉 士が協働しながら作業をしていくわけだから、それらの作業に要する費用を合わせて報 酬の設定が行われることとなると考えている。 (矢野委員)  ケアマネジメントの質という観点から事業所評価について論じられているが、事業者 評価の問題は介護予防でも大事なテーマになっている。既存のサービスはもちろんだ が、特に新しい介護予防サービスについては、その評価を適切に行うことが大事であ る。  利用者がどのような基準で事業所を選ぶのかを考えると、1つは人員配置、サービス メニュー等の体制であり、もう1つは、結果、アウトカム情報であると思う。これは個 人差があって難しいという指摘もあるが、そのアウトカム情報の評価基準づくりを検討 すべきであると思う。特に介護予防については一生懸命頑張っていることが形になるよ うな何か客観的な基準、アウトカム情報も含めた基準づくりに取り組むべきである。利 用者の選択の基準にもなる上、介護予防については3年後に見直そうとしているのであ るから、重要な指標になってくるのではないかと思う。 (大森分科会長)  いろいろ実例が出てくるので、それを集積して分析し、今後生かしていくという表記 に今回なっていると思う。 (石井委員)  従来に比べて新予防給付ではケアマネジメントが更に実行される仕組みになっている という話で、新たなサービスを使うにはアセスメントが重要で当然そこにつながってい くということであったはずだ。現実には従来もケアマネジメントが機能していなかった から、本当に必要なサービスがつながらなかったということがある。  そうすると、この地域包括支援センターの役割は、少なくとも処遇困難事例というと ころでのスーパーバイズ研修というのは検討されているが、こういう事例、アセスメン トでこういうものが出てきたことに関しては、少なくとも専門家につなぐという判断を きちんとできるための研修であってほしいと思っている。 (井形分科会長代理)  全般を見て、ケアマネジャーというのは介護保険の導入前はゼロであったのが、今日 ここまできたという実感である。  今、資格更新制度を始め、障害研修システムというものは、従来のケアマネジメント のノウハウを高めることだけではなくて、新しいことが出てきている。新しい能力がい ろいろ要求されてきていて、どんどん知識の要求が高まっていく中で、やはりこの資質 の向上は生涯学習体系を多くして皆が高いレベルのケアマネジメントができるようにし ていくことが必要ではないかと思っている。 (花井委員)  今回ケアマネジメントの介護報酬の設定を要介護度別にするということが提案されて いるが、これは3年前の改定で一本化にしたものを、今回また要介護度別に戻すという ことになり、現場から不安の声が挙がっている。前回一本化したものをもう一度要介護 度別に戻すという理由をきちんと説明してほしい。  予防給付のケアマネジメントも同様に、サービスや給付管理業務の簡素化を踏まえた 報酬水準ということで、大幅に下げられるのではないかという不安がある。特に予防給 付については地域包括支援センターから民間事業者に委託することが多く起こると思う が、その委託料がどの程度必要とか、余り報酬が下がった場合、引き受ける民間事業者 がいなくなるのではないかとか、さまざまな問題が出てきているので、理解できるよう な説明が必要と思っている。 (横山委員)  実際にこれだけ地域包括支援センターの業務量が多くなると、やはり委託がかなり進 むだろうと思っている。  そこで、30から40人に1人というケアマネジャーの数があるが、1人のケアマネジャ ーが行う新予防給付のマネジメントと、介護給付のマネジメントの両方を含めて30から 40という考え方にするのか。それから、介護給付のマネジメントと予防給付のマネジメ ントの報酬の設定というのは、インセンティブのつく話なので、そこの中でどういう影 響度を考えていくのかということを説明してほしい。 (山崎総務課長)  現行の介護報酬を考えた場合、前回の改定で段階別を一本にしたということで、逆に 今回は元に戻す形になるが、やはりケアの難しい方については単価を高くしたいという 考えは変わっていない。  今の仕組みは要介護度とは別に、サービス数で加算している形になっていて、数だけ を追いかけるという弊害も大分聞いているし、実態を更に詳しく調べると、やはり中重 度と軽度は違うし、業務面でも違う面はあるので、確かに前に戻すという批判もある が、実態で考えた場合、今の仕組みよりそちらの方がスムーズにいくのではないかと考 えている。もちろん十分な説明は必要であるし、その中で混乱のないようにしたい。  それから、介護予防について定額制的なものが入ってくると、給付管理業務について は相当業務的に簡素化されるのではないかと期待している。逆に言えば、業務を簡素化 することは大変大事であり、それに合わせながら報酬設定を考えていきたいと考えてい る。  そして、30から40人というのはどの程度にするかはまだ検討によるところであるが、 これはあくまでも介護給付の対象者であり、予防給付についてはまた別でやると考えて いる。 (沖藤委員)  このように介護報酬とか、制度をどう組み立てるかという専門的な話になればなるほ ど、人間の存在というものが遠ざかっていくような感じがある。  ですから、人間の視点をきちんと持ちながら議論をしていくということは絶対に外さ ないようにということをお願いしたい。 (大森分科会長)  そうした視点なしに分科会長を引き受けた覚えはないので、議論するとどうしてもい ろいろな話になるが、それが実際の現場にどういう影響を及ぼしていくかということを いつも気にしながら、今のような観点は絶対忘れないということは思っている。 ○大森分科会長より閉会の宣言 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)