05/10/11 社会保障審議会介護給付費分科会介護予防ワーキングチーム第6回議事録 社会保障審議会 第6回介護給付費分科会介護予防ワーキングチーム議事録 1 日時及び場所 :平成17年10月11日(火) 10時から12時            東海大学校友会館 阿蘇の間 2 出席委員:井形、大内、大川、開原、川越、高橋、辻、栃本、松田、吉 池の各委員        田中委員は欠席 3 議題  (1)「目標の達成度に応じた評価の仕組み」について(案)  (2)その他 ○渡辺認知症対策室長より資料に沿って説明。 (栃本委員)  目標の達成度に応じた評価を通所系サービスに限るという話だが、これ までのワーキングチームの議論ではホームヘルプサービスについても必要 ではないかという議論をしたと思うがどうか。 (渡辺認知症対策推進室長)  8月30日の中間報告の中で、この目標達成度に応じた評価というのが介 護予防の通所介護、通所リハビリテーションのところに載せていて、その ような形で分科会にも報告をさせていただいている。 (大内委員)  実利用人員の関係で、案では年間10名というボーダーをつくるというこ とだが、そうすると、評価の対象外となる事業所はものすごく少ないと考 えてよいか。どのぐらいの割合になるか把握しているのか。 (渡辺認知症対策推進室長)  実際に1年間を通じてどのくらいのターンオーバーがあるかどうかとい うデータはないが、年間としたのは、1か月当たりで見るとかなり少ないと いうことと、それから新予防給付はかなりのクールで回っていくので、年 間で見ればある程度の分母が確保されるのではないかと考えている。対象 が多くなるという点については、例えば要介護度を指標にすると、利用者 でもさらに更新認定が行われないと分母に入ってこないというところもあ るので、そこの部分を勘案してもう少し精緻に詰めてみないといけないと 思うが、必ずしもかなり多くのところが対象となるということにもならな いのではないかと思っている。 (大内委員)  本来、目標達成度に応じた評価の仕組みというのは、介護予防を効果的 に進めて、要介護度が改善する方向に誘導していくという趣旨だと思うの で、基本的な制度設計として規模によって違うシステムで評価されるのは 分かりづらい。理想としては、大多数の事業所が同じ評価システムで取り 込めるようになる方がいいと思うので、どの程度が対象になるかという具 体的なラインを決めるときに、ある程度考えるべきである。少なくともど の程度を想定するのか、もしデータがあったら必要と思うのでお願いした い。 (三浦老人保健課長)  なるべく多くの事業所が評価の対象になるのは一つの考え方と思うが、 一方で余りにも対象者が少ないと、非常に不安定ということもあって、今 回は年間利用実人員によって一定の枠組みをつくった方が安定した状況に なるのではないかと考えている。一定の規模というのを「大数の法則」と いう言葉を使っているが、どれぐらいであれば安定して改善が見込める事 業所と考えられるのかという観点から議論いただきたい。 (井形座長)  これは目標達成度に応じた加算を付けることが目的ではなく、インセン ティブを与えることが目的なので、一定の規模以下は全く関係ないという のは余り好ましくないと思う。例えばコンスタントに少人数でもいい成績 を上げているところは、ハードルを高くしてもいいから設定できないだろ うか。何かイメージとして、規模が小さいところは恩恵にあずかれないと いう表現を避ける工夫が必要と思う。 (開原委員)  この間の中間報告では、訪問介護の在宅系と、通所系との連携が非常に 大事であると書かれていたが、介護予防では、在宅にいる人をどうやって 通所系サービスへもってくるかが大事なのではないかと思っている。  通所に通っている人はある意味では大丈夫な人なので、在宅にいる人が どうやって通所系サービスを利用して、そこで改善していくかということ にならないといけないと思う。そういう意味で、通所系サービスだけを対 象としてしまうと、在宅との関係がインセンティブとして働かないような 気がするので、例えば新しく通所に通ってきた人数なども評価の対象にす るとよいのではないかと考えている。 (吉池委員)  事業所単位での評価を行う場合、事業所側が改善の見込みが薄い利用者 を避ける可能性も考慮しなければいけないという議論があったと思うが、 その点についてはどう考えているのか。今回の論点の中に明示されていな いので、そこの部分は余り考慮しなくてもよいのか、あるいは慎重に考え るべきことなのか教えてほしい。 (三浦老人保健課長)  その点は、ある意味でコンセンサスというか、そういう基本的な考え方 は常に存在していると考えている。   (辻委員)  事業者評価は確かに重要だと思うが、その分母の計算というのはかなり 大変だと思う。つまり年度ごとに評価する場合、年度の途中で入って終了 していない人や、途中で自己都合でやめてしまった人などをどうするかで、 この数値は大きく変わってしまう。また小規模の評価が抜けてしまうと、 地域密着型で頑張っているところ等が正当に評価されないということにな り、かなり問題であると思う。  この事業者評価の基本的なモチベーションは何かというと、介護予防サ ービスが成功して要介護度が改善する、あるいはサービスが要らなくなる ということになると、その事業者としては、給付費が減るというディスイ ンセンティブが働いくので、そこを何とかしなければいけないというとこ ろがあったと思う。全体にパーセンテージを集計して、それに地域包括支 援センターも関わるとなると、事業者も地域包括支援センターも事務負担 がかなりかかるので、一番簡単なのは、個人単位で、要介護度の改善なり、 サービスの離脱について事後加算して、事業者評価に関しては最終的なデ ータベースを後で各事業者が公表し合えばいい話だと思うがどうか。 (三浦老人保健課長)  この件については前から議論があって、それに基づいて分科会での議論 も事業者評価としてやっていった方が適切ではないかという意見が多かっ たもので、個人の改善の度合いに対して個別に報酬上対応するということ ではなくて、ある一定の改善が見られる傾向のある事業者全体について、 その事業者の行う事業について何らかの報酬上の評価をしてはどうかとい うことになってきている。 (井形座長)  選択肢がたくさんあって、絶対これがいいという方法はないと思う。資 料にはないが、加算がついたときの個人負担はどうなるのか。 (三浦老人保健課長)  ワーキングチームでの議論の中で、例えばケアマネジメントの部分に報 酬として評価すれば本人負担がない形で、あとは地域包括支援センターか ら評価された事業者に配分するという方法も検討されたが、システムが複 雑になり、かつ地域包括支援センターの負担が大きいということから、直 接事業者に報酬を払うやり方はどうかというのが、このワーキングチーム の結論であった。そうなると、事業者に払う報酬なので、その1割は利用 者負担となり、御指摘のように、利用者にとって若干負担が増える場合が あり得る。 (辻委員)  事業者評価は非常に重要であり、やるべきだと思う。ただ、現在検討さ れている方法では事業者の約3分の1が評価の対象外になるだろうという ところは考えなければいけない。  それと事業者評価は個人別に評価した上で、それを積み上げれば事業所 評価になり、個人に加算すれば事業所に最終的に加算が付される。事業者 評価に関しては、その後事業所ごとにデータベースをつくって公開してい くことでできると思うし、また、小規模のところが今回対象外にされてし まうというのは制度として不十分ではないかと考えている。 (橋委員)  小規模の通所デイというのは、新予防給付よりもむしろ介護給付の方で きちんとやっていくものと考えている。これから通所は、より重度化対応 していくことになり、小規模のメリットを発揮したサービス提供が必要で はないか。今回の議論は、制度がきちんと安定してスタートするというこ とが重要で、それは平成21年に新予防給付の在り方の検討が予定されてい るので、きちんとしたデータと方法を積み重ねていく必要があると思って いる。  また、個別の事後加算は、スキームクリミングを誘発する、行動様式を 誘発するようなやり方であるとすれば、事業者の達成度評価というところ から出発させるというのが妥当と考えている。 (山崎総務課長)  個別に入った場合、逆選択を含め、サービス事業者の行動にも、利用者 側の行動にも相当大きな影響が出てくると思っている。  決して小規模を対象外にしたいという意味ではなくて、ある程度統計学 上はっきりしたものについて、それも加算の金額をどの程度にするかとい う課題があり、この加算がないとサービス提供できないことがあってはい けないと思っていて、最初の導入では明確な効果が出ているところに絞っ ていく。金額も少し抑えた形で出していくというのが、今の段階では現実 的ではないかと考えているところである。 (吉池委員)  新メニューを提供する事業所を対象とした場合、結果的にある程度規模 があるところになるのではないか。新メニューを提供しても、規模が小さ くて落ちてしまうところはそれほどないように思うがどうか。 (三浦老人保健課長)  新予防給付の中で運動器、栄養、口腔機能は、社会的にも関心を集めて いるところであり、多くの事業者が取り組むだろうと予想していて、新メ ニューをやっているかどうかによって対象外になる事業所は、それほどは ないだろうと考えている。 (井形座長)  するとこの母集団は、介護予防メニューでない人も加えて母集団になる わけか。 (三浦老人保健課長)  新予防給付の対象者を一定数対象として事業を行った事業者が対象にな るということで、介護給付の人数はここでは勘案していない。 (井形座長)  評価を行うに当たって対象となるものの条件をどうするか。一般的に言 うと、改善してよくなったということは、長期の視野でやった方がいいと 私は思っている。 (大川委員)  新予防給付の対象者は、廃用症候群、生活不活発病の状態にある者、も しくはその可能性がかなり高い者であり、例えば、生活行為が不自由にな った場合、きちんとしたことをやれば、1か月以内に改善できるというこ とはよくある。長めにやっていた介護保険サービスを、必要なときに早め に機動性を高く関与して、早急に改善させるということが大事ではないか。  だからどの程度以上サービスを利用したかという規定はつくる必要はな いのではないのかと思っている。本人の諸事情や、疾病により中断したと いう場合に除外する等は必要だが、サービスの期間を一定以上というのは、 長めに介護保険サービスを受けるような土壌をつくってしまう危険性もあ るので、サービスの期間で対象とするものは決めない方がよいだろうと思 う。 (大内委員)  結局、対象事業所や評価期間、評価指標は全部関連しているので、どこ が落としどころかというのは難しい。介護予防のサービスの質を担保して いくために必要なのは、客観的というのも重要であるが、実際にサービス を提供している人たちが自己評価できて、その評価対象の指標を改善する ためのイメージができることだと思う。  サービスの離脱という話で、一番シンプルな形は、ある一定期間内に新 規でサービス導入された方と、その期間中ずっと継続された方を分母にし て、そのときに終了した人、通所サービスでサービスも受けなくなった人 を分子にする形になると思っているが、これは検討の中で何か問題があっ たのか。 (三浦老人保健課長)  資料4ページの案の1が大内委員の言われる方法論になると思うが、こ れは先ほど説明したように、技術的難点があるということで難しいだろう と考えているが、選択肢としてはもちろん入っている。 (井形座長)  サービスの離脱は、介護予防は訓練ではなくて楽しくやるイメージで、 みんなに親しまれないといけないと思っており、元気になったら終わりに すると途中でシャットアウトされるイメージがあるし、事業所の方も離脱 を条件にすると、どうしても離脱を急がせると思うから、私はやはり「要 介護度」の指標が一番客観的でいいと考えている。 (栃本委員)  基本的にデイサービスについて、この目標の達成に応じた評価の仕組み を限定的に行うことになっているが、訪問との関係を関連付けることを少 し考えるべきではないかと思っている。  実際デイの方にシフトするといっても、いつまで続くのかわからないし、 また訪問については、最初から対象外ではなく、利用条件を限定して「サ ービスからの離脱」等の発生する余地がほとんど出ない形にするやり方も あると思う。また、サービスの離脱だけ考えてしまうと、デイは使わなく なっても訪問を使い始めるということも起きてしまうので、訪問介護につ いてもう少し工夫する必要があると思う。  「共通的サービス」と「選択的サービス」で、「このうち評価の対象とな る事業所については、どのサービスを提供する事業所とすることが適当か」 ということで、もう既に事務局から「選択的サービス」を使っているとこ ろという話があったが、「共通的サービス」の部分を工夫しないと在宅でサ ービスを使わないで生活するような形にもっていけないと思う。  目標の達成に応じた評価の仕組みということで「サービスからの離脱」 を指標とする方法は、要介護状態を改善するのは利用者にとって好ましい ことであり、またもともと利用の適正化があったと思うので、給付の適正 化ということを考えると、目標の達成度に応じたというものの目標という のが、実際には、サービスを使わなくなったということを目標として想定 していいわけであり、わかりやすいと思う。 (松田委員)  多分、この中の指標で一元的に評価することは難しいだろうが、私は「要 介護度」を指標にするのが一番やりやすいと思っている。「サービスからの 離脱」を指標とする場合、それをどう評価するかということに関しては、 ケアプランとサービスプランとの整合性を別途評価して、それを例えば施 設評価の中でやる等、二本立てにしないと難しいから、事業者の認証制度 と介護報酬の事業者評価とは区別してやっていく方がいいのではないかと 思っている。  それから改善だけが評価されているわけだが、その利用者の中で悪化し た者の割合はどう評価するのか、これは議論が必要ではないかと思う。  また、期間について、一定期間というものをケアプランの中で設定され ている期間と考えることも可能だと思うが、事務的に非常に手間がかかる ので、運動等は3か月クールであるし3か月がいいと思っている。 (三浦老人保健課長)  悪化についてどう評価するかということで、案の中で維持と改善を評価 するということは、逆に言うと悪化を逆評価している、つまり「改善」「維 持」「悪化」しかないので、悪化を評価しないということは、逆に言うと、 これは逆評価として評価をしているのではないかと考えているところであ る。   (辻委員)  指標については「要介護度」でいいと思う。介護予防は、高齢者を対象 とするので、維持ということも十分評価できる体制が必要である。資料4 ページの「評価の対象とする『維持』については」「支援包括支援センター が、当該利用者のケアプランに照らし、設定した目標を達成したと認めた 者とする。」とあるが、これが制度になると、例えば意図的に目標を低めに 設定することが考えられ、これ自体客観性を阻害してしまうので、むしろ 単純に維持すれば十分というところまで割り切った方がいいのではないか と思う。  それと今回いろんなインセンティブがどうも介護予防の中の通所系、し かも大規模事業者という、かなり一部のところに限定されているので、も う一度検討してもらいたいと思う。 (井形座長)  今度の制度は通所系がメインになるわけで、訪問系から通所系に移ると いうことは比較的短期間で起こると思う。 (辻委員)  訪問系、通所系のどちらがメインになるかという議論は、これからの介 護予防の在り方を考えると非常に重要だと思うが、基本的に通所系と訪問 系は目指すところが違うと思う。できれば通所系で一気にレベルを上げて、 それを家庭の中で維持するために、訪問系のサポートが必要ということで、 両方なしには進まないと思う。 (山崎総務課長)  訪問系の重要性を否定しているわけではなく、個別に評価すれば、訪問 サービスはかなり重要になってくるし、実際に訪問系サービス自体、かな り個別性が高いサービスだろうというイメージを持っている。その中で事 業者の評価という、トータルな評価をするときに、訪問系サービスの評価 というのはすぐできるかどうか、まず評価というレベルで少し問題がある と感じている。その重要性自体を否定するものではなく、今回の仕組みで どこまでいけるか考えた場合に、こういう形の整理でどうかと示している ものである。 (栃本委員)  「サービスからの離脱」ということからいうと、訪問介護について、無 理やり離脱させるという意味じゃなくて、要支援では支援の仕方によって 使わなくて済むということがあるだろうし、今後やはり検討する必要はあ ると思っている。事業所単位という場合は難しいとのことだが、サービス の離脱ということを考えたら、それは何らかの方法があると思う。 (橋委員)  訪問介護の現状を考えると、生活援助と身体介護が混乱している中に、 生活維持向上という概念を持ち込むとさらに混乱する。これは2年かけて 考えるという話もあるし、通所と訪問の組み合わせの議論も出ているから、 制度すべてをカバーするような形で導入すると、また混乱を起こすと思う。 (栃本委員)  今回の介護予防訪問介護については、身体介護と生活援助を一本化とい うことで前進したと思う。あと時間単位に対する検討は、サービスの質を 大きく改善すると思っており、要支援者における新予防給付の導入は画期 的なものになっていくと思うので、さらに工夫をした方がいいだろうと考 えている。  また「要介護度」を指標とする方法というのが、比較的賛成が得られや すいと思う。ただ実際に「一定期間以上サービスを利用した者であって、 認定の更新した者」ということについて、認定期間を12か月とか24か月 でやっているところがあるが、その場合どのように考えているのか。 (三浦老人保健課長)  要支援認定については、基本的に12か月というのが基本単位になってい るので、12か月を一つのタームとして考えられる。その際の分子にくるも のとして、一定期間利用している者が対象として入ってくるということに なる。 (栃本委員)  要介護認定だって一定の期間を定めていたけれども、守られていないと 思う。要支援については、きちんと守るということでよいか。 (三浦老人保健課長)  基本的に12か月で運用されていると理解している。 (井形座長)  介護予防の目標達成度という中に、運動器と栄養と口腔機能とがそれぞ れあり、それぞれの評価があっても、全体としては要介護に含まれている ので、そういう意味で、「要介護度」の評価が合理的ではないかと思ってい る。 (大川委員)  私も「要介護度」で評価するのがいいと思う。臨床的に言えば、離脱で 見た方がいいが、現状ではベストのことをやった上での離脱というのが難 しいので、客観的に見て「要介護度」を指標とするのがいいと思う。  算定の方法については、維持も含めた改善の程度によって差をつける形 で評価するのがいいと思う。ただ、維持を評価すると、維持するために介 護予防通所サービスを延々と続けなければならないという危険性もある点 に気をつけるべきで、本当に通所のサービスを受けなければ維持ができな かったのかという客観的に評価できる観点が必要だと思う。  基本的に廃用症候群がある者は、社会参加とか日常生活を活発化させる という指導が必要なのであり、それがきちんと続けられているのであれば、 そういう者が延々と通所サービスを受けることは、むしろ本人にとっても 財政的にもマイナスになるから、何らかの方策を考えてるべきである。 (辻委員)  私も「要介護度」を指標として、7ページの「ア」の改善の程度に応じ て加算していく方法がいいと思う。ただ、その基準値の根拠はどのように 考えているのか教えてほしい。 (三浦老人保健課長)  今回の事業者評価について加算を設けるとしても、それが余りにも大き なものになることはないだろうと思うし、それから、どの程度まで評価対 象を広げるかという財政上の問題等も調整しながら決めていくものと思っ ている。  実態としてどれぐらいあるのかというのも勘案しながら検討していく必 要があるのではないかと思っている。 (松田委員)  数値の設定は、過去の要介護度の全国の推移等を使うと思うが、地域差 がかなりある。地域によって「要支援」そのものの人数がすごく多いとこ ろとかあるが、そういう地域差をどう勘案するかが問題になると思う。 (開原委員)  以前とりまとめた中間報告には、今日の議論以外にもいろいろ書いてあ ったと思うが、その部分が、給付費分科会でどういう議論になっているの か分からないので、説明してもらいたいと思う。 (三浦老人保健課長)  総論として基本的には、このワーキングチームの意見が妥当なものでは ないかということで、分科会でも認めていただいている。つまり、例えば 通所系のサービスで言うならば、「共通的サービス」「選択的サービス」の 二段構えにするとか、あるいはそれを月単位の包括的な報酬としてはどう かという意見が基本を占めていて、介護給付費分科会で今後、このワーキ ングチームの意見に基づいて、新予防給付を含めた意見のとりまとめを行 いたいと考えている。 (大内委員)  要介護度にも地域差があるのは自明のことで、この割合はどこか固定し たものを告示等で出さなければならないのか。例えば地域包括支援センタ ーとか保健所等、都道府県の指導を担保する意味もあって、地域の方で上 位何%の事業所に与えるという形はできないのか。 (三浦老人保健課長)  基本的には介護保険財政は、その地域での保険料ということもあるが、 例えば、2号被保険者の負担とか、公費の負担ということを考えると、介 護報酬というのは全国一律のルールになっている。介護報酬を地域におい て、それぞれ個別に、具体的に要件を変えていくことになると、制度とし て大変複雑になるということと、全国的な財源問題をどう取り扱うのかと いう問題があると思う。そういう意味では、この事業者評価報酬というの は、その地域ごとの相対評価というよりも、むしろ全国的な絶対評価とし て位置付けられるものと想定しているところである。 (大内委員)  今回、この評価のスパンは基本的に年度主義ということにならざるを得 ないと思っているが、本来であれば日々提供しているサービスの中で改善 していく、インセンティブになる方が実効上はあると思う。例えば、医療 保険の方では、平均在院日数とか紹介患者率とかは、直近の3か月の実績 値を見ていって、そこの中で見直していくという制度があるので、できれ ば常に改善等が評価に反映されて、それがインセンティブにつながるよう な形を考えていくのがいいと思っている。 (辻委員)  先ほどの基準値については全国一律にしなければいけないと思っている。 松田委員の指摘のように地域格差は非常に大きいが、各地域では全国デー タはわかないから、全国平均と比べて、各地域の介護予防の効果がどうな のかを理解することを通じて、全体的なサービスの質が高まるものと思う。 そういった意味では、これが一つの制度的な保障になるのではないかとい うことで、全国一律の基準値をお願いしたい。  それからこの事業所評価によって地域包括支援センター等の事務負担が 非常に大きくなるのではないかと思うので、そこは配慮してもらいたい。 (山崎総務課長)  辻委員の指摘の通りで、特に地域包括支援センターについては、いろん な業務が増えていくのではないかと心配をしている。そうしたところから も、通所系を含め定額化ということが出てきており、これは今のケアマネ ジャーの給付管理業務がほとんど要らなくなる仕組みになり、事務的な負 担が軽減するものと考えている。 (栃本委員)  改善が見られたことについて、地域包括支援センターがチェックする形 でまとめられているが、要支援の部分だから従量化する必要はほとんどな いと思う。そういう意味では、7ページの加算による評価の体系案について、 「ウ」の非該当を入れておくというのはこれからポイントになると思う。 改善ということになると真面目にやっていく方向になるから、離脱という のを入れておくというのがポイントになるということである。  もう一つは、全国一律ということであるが、例えば、介護保険事業計画 で要介護度の低い者が適切にサービスを利用することによって、当初想定 されたよりも目標管理的にいうとカットされた場合に、カットされた部分 を継続して、その部分で係数を掛けるとかで評価はできないだろうか。前 回ワーキングのときに、地域包括支援センターを絡ませて、そういうサー ビスを減らすことを評価するという議論があったと思う。今回は難しいか もしれないが、削減した部分に応じて、ある部分に報酬を与えるという意 味で、係数を掛けることがあると思う。市町村によって地域格差があって、 サービスを使うようなインセンティブを与えているところとか、漫然とし たサービスを使っているところ等があり、最初の出発点が違うから、とい うことを考えると、改善という話だけでは済まなくなると思う。目標管理 でこのぐらい下げるために頑張り、頑張った部分については、保険者から 多少プラスが付くということも将来考えておくといいのではないか。 (吉池委員)  7ページの加算による評価の体系案では「ア」で基本的によいと思う。 分母のところは人数ということでよいと思うが、こういう指標を地域格差 とかモニタリングに使ったときに、同じ結果が得られるのであれば、1年 やるよりは3か月の方がいいと考えられるので、対象となった人々に何か 月サービスを提供したのかというような、サービス提供月数を分母とする と、12か月と3か月の場合は、3か月で同じアウトカムが得られた方が数 値は高くなるので、一つの指標として考えられると思う。 (井形座長)  今日の議論は、目標達成度の加算がどの程度かという議論は全く出てい ない。問題は指標をつくって、どのぐらいのところの加算が得られるのか、 なるべく広く浅くにしないと、せっかくのインセンティブの効果がないと 思う。 (松田委員)  基本的に介護予防サービスは定額制を予定しており、定額制に対して加 算が付くということになり、1割は自己負担なので、加算が付いている施 設が利用者にとって非常に高くつくようになってしまってはいけないと思 う。利用者に選択されるレベルの加算にするべきである。  新メニューで、運動器の機能向上と栄養改善と口腔機能向上が入ってく るが、これらのメニューが不要な要支援者はほとんどいないと思っている。 この辺りの認定の仕方というのは、今後どうなる予定なのか教えてほしい。 (三浦老人保健課長)  今までの要介護認定は、いわば介護に要する手間を勘案して、要支援か ら要介護5までの認定を行ってきたが、それに加えて、今回は改善可能性 を加味した判定を行うということで、具体的には要介護1のところを要支 援2と従前の要介護1に分けるというやり方をモデル事業などを含めて検 討しているところである。  選択的サービスの利用をどうするかということについては、これは従前 と同じようにサービス内容については、ケアプランを作成する際に選択す るものであり、認定審査会で特段の理由があれば別であるが、基本的には 要介護度だけを決定し、あとは地域包括支援センターが行う介護予防のケ アマネジメントの中で選んでいくということになる。 (松田委員)  聞きたいのは、運動器の機能向上、栄養改善や口腔機能の向上というプ ログラム自体を従来のサービスからどう区分するのかということである。  指定されるサービス事業者は、特に指定がないという理解でよいか。   (三浦老人保健課長)  それら選択的サービスは通所系サービスにいわば包含されるということ になるので、通所介護で運動をやるとか、あるいは通所リハビリテーショ ンで口腔機能の向上をやるということをケアプランに書くことによって、 そのサービスの利用が始まるということになる。  事業者についても、一定の要件を付けてはどうかということで、介護給 付費分科会で議論いただいているところである。例えば具体的にいうなら ば、運動器の機能向上にはどういう体制が必要なのか、どういう施設基準 を持たなければいけないのか、あるいは運用上、特に留意する点を義務化 しなくていいのか等、それぞれのプログラムごとに議論が必要だと考えて いる。 (井形座長)  本人負担も加算にあわせて上がるという仕組みは、例えば省令で9割を 加算すると決めるという方法とかできないのか。 (山崎総務課長)  今までの議論の中で、個人ごとに評価し、それを成功報酬としてやると いうことになれば、それが利用者にとって負担になってくるだろうと思う が、優秀な事業所が事前にわかった上で、事業所のサービスを利用すると いうことで、いわば目標達成度の確率が高いところを利用するということ について一定の負担が生じるものとなる。あらかじめわかっているという ことで、利用者に対して、ケアプラン作成時に十分説明し、そして理解い ただくということが基本ではないかと思っている。 (栃本委員)  4ページ目の誰も採択しない案1について、※印の「特定の事業者によ るサービス利用を終了した者であって、その終了が、介護予防ケアマネジ メントにおいて設定した目標に照らし、当該事業者におけるサービス利用 により状態の改善が認められたことによるものであると地域包括支援セン ターが認めた者」である必要はほとんどない。もちろん死亡、転居等を除 けば、介護予防ケアマネジメントの目標達成ということによって、サービ スを使わなくなったということを地域包括支援センターでチェックする必 要はないから、ここは除いていいと思う。  枝葉末節のことであるが、そもそもが「サービスからの離脱」というこ とを考えた場合に、ケアプランで認めた者ということにすると、他の案も 部分的に関係した形になるから、整理した方がいいのではないかと思う。 ○井形座長より閉会の宣言。 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)