05/10/06 中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織各分科会平成17年10月6日 DPC評価分科会議事録 05/10/06 診療報酬調査専門組織          平成17年度第2回DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成17年10月6日(木)15:00〜16:50 (2)場所  三田共用会議所大会議室 (3)出席者 西岡清分科会長 原正道分科会長代理 伊藤澄信委員        柿田章委員 熊本一朗委員 齋藤壽一委員 酒巻哲夫委員        武澤純委員 田所昌夫委員 谷川原祐介委員 松田晋哉委員        三上裕司委員 山本義一委員 山口俊晴委員 吉田英機委員        <事務局>        福田企画官 堀江保険医療企画調査室長 赤川薬剤管理官 他 (4)議題 ○ 診断群分類の緊急見直しについて(報告)       ○ 中医協診療報酬基本問題小委員会における報告について       ○ 平成17年度特別調査について(報告) (5)議事内容 ○西岡分科会長  それでは、時間になりましたので、ただいまから平成17年度第2回診療報酬調査専門 組織・DPC評価分科会を開催させていただきます。  まず始めに、委員の交代がご ざいましたので、事務局より御紹介をお願いいたします。 ○眞鍋補佐  それでは紹介させていただきます。安川林良委員に代わりまして、今回より、JFE 健康保険組合川鉄千葉病院院長の山本義一委員にいらしていただいております。 ○山本委員  川鉄千葉病院の山本です。昭和48年に千葉大を卒業しまして、消化器外科を専門にや っております。病院の院長は4月から拝命しまして、分科会に出ろと言われて、DPC に関しては前から調査協力はやっていてある程度は理解しているつもりですが、勉強し ながら協力していきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。 ○眞鍋補佐  ありがとうございました。続きまして、小島恭子委員に代わりまして、今回より、京 都大学医学部附属病院看護部長の嶋森好子委員に御着任いただいてございますが、本日 は御都合がつかず御欠席という御連絡をいただいております。また、当分科会のオブザ ーバーといたしまして、これまで中医協の委員である佐々委員に御出席いただいており ましたが、中医協委員が変更になりました関係で、今回は石井中医協委員に交代してい ただいております。若干遅れていらっしゃるようでございますが、本日は石井委員にオ ブザーバーとしていらっしゃっていただく予定でございます。  以上です。 ○西岡分科会長  次に、事務局の交代がありましたので、それも御紹介をお願いいたします。 ○眞鍋補佐  紹介させていただきます。日付の早い順ということでございますが、9月15日付で着 任いたしました高階補佐でございます。 ○高階補佐  高階です。よろしくお願いいたします。 ○眞鍋補佐  続きまして、10月1日付で着任いたしました佐原補佐でございます。 ○佐原補佐  佐原です。どうぞよろしくお願いします。 ○眞鍋補佐  以上でございます。 ○西岡分科会長  どうもありがとうございました。それでは山本委員、まだお見えになっていらっしゃ いませんが石井委員、よろしくお願いいたします。また、本日は池上委員、嶋森委員、 信友委員が御欠席でございます。  それではまず、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○眞鍋補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。封筒から資料を出していただきまし て、一番上に本日の座席表があろうかと思いますが、その次に本日の議事次第、これは 1枚のものでございます。次に、本日のDPC評価分科会の出席状況ということであり ますが、委員の名簿で一部アップデートされていないところがございます。大変申しわ けございませんでした。そこは次回までにアップデートさせていただくつもりでござい ますが、このような出欠状況ということでございます。  そして、本日御報告あるいは御議論いただく資料でございます。まず、診調組D−1 といたしまして、「診断群分類別包括評価における診断群分類の見直しについて」とい うホチキスどめの縦長の資料が一つあろうかと思います。次に、診調組D−2−1とい たしまして、「平成16年度DPC導入の影響評価に関する調査及び評価について」とい う、こちらは中医協の4月27日のものを再度資料として用意したということでございま す。次のホチキスどめの資料が、こちらは中医協の報告の際に附属して使わせていただ きました参考のグラフ等でございます。その次に、参考資料といたしまして、「平成17 年4月27日診療報酬基本問題小委員会 議事録抜粋」という資料をつけさせていただい てございます。次に、またこちらもホチキスどめの資料でございますが、診調組D−2 −2といたしまして、厚い資料をつけさせていただいてございます。最後の資料で診調 組D−3でございますが、こちらも4月27日の基本小委から抜粋させていただいており ます、「平成17年度におけるDPCに関する調査について」という資料でございます。  まず資料の確認をさせていただきました。もし乱丁や落丁等がございましたら、事務 局の方にお申しつけください。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。資料の方はよろしいでしょうか。  前回の分科会が4月12日に開催されておりまして、それから半年が経過しておりま す。前回の分科会終了後にDPC導入の影響評価について、私から中医協診療報酬基本 問題小委員会に報告させていただきました。本日の議題はその内容を含めまして、報告 事項が中心となっております。  まず初めに、「診断群分類の緊急見直しについて」でございますが、これについて御 報告をお願いしたいと思います。 ○眞鍋補佐  それでは、診調組D−1の資料に基づきまして御説明をさせていただきたいと思いま す。「診断群分類別包括評価における診断群分類の見直しについて」ということでござ います。上の診調組D−1の右側に「中医協 総−1−1」というふうに資料番号がつ いてございまして、今年の17年6月8日に、中医協の総会に御提出させていただきまし た資料をそのまま持ってきておるという形でございます。  改正内容でございますが、平成15年4月より、特定機能病院等において診断群分類別 の包括評価が実施されておりますが、この包括評価につきましては、評価の基礎となる 診断群分類について精緻化を行うために、継続的にデータの収集・調査が行われており ます。そして今般、平成15年、平成16年のデータに基づいた分析におきまして、高額な 医薬品や医療機器を使用するために包括評価と出来高による評価の乖離が明らかに大き く、かつ、件数が相当数あると認められるものについて、こちらの包括評価を見直し て、そういった高額な医薬品や医療機器を使用したか否かにかかわらず、出来高による 評価を行うこととするもの、というような趣旨で提案させていただいたものでございま す。  これのもととなってございますのは、4月27日に西岡分科会長から御報告いただきま したその中に、緊急の見直しを要するとされていたものが30ほどあったわけでございま すが、そのうちこちらの下の表に掲げてございます、脳梗塞に対するエダラボン療法、 頻脈性不整脈、徐脈性不整脈に対する検査といたしまして、電極カテーテルを用いまし た電気生理学的検査、非ホジキンリンパ腫に対するリツキシマブ療法、この3つのもの に関しましては、その乖離が明らかに大きく、なおかつ件数が相当数あり、あと全体へ の影響が余り考えられないというところから、包括評価から緊急に出来高評価にすると いうことで、基本問題小委、そしてまた中医協の総会の了解が得られたところでござい ます。  ただそのときに、見直す際に指摘がございまして、一番下の「・」でございますが、 「なお、今回対応する分類については、次期診療報酬改定における診断群分類見直しに おいて、適切な分類となるよう見直すこととする」ということでございまして、今回緊 急に出来高にするものにつきましても、平成18年4月の改定に向けた作業の中で分類の 再設定というような、全体の見直しの中でまた包括化を検討するべしという指摘をいた だいておるところでございます。  資料の2ページ、3ページ、4ページは、これはちょっと字が細かくて見にくうござ いますが、脳梗塞、不整脈、非ホジキンリンパ腫の今の診断群分類でございまして、そ こに黒く矢印で右側に示しておるところにつきまして、今回包括評価から出来高評価に 見直しをさせていただいたということでございます。こちらはことしの7月1日から出 来高ということで、見直しをさせていただいたところでございます。  以上、診断群分類の見直しの御報告でございました。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。今の御説明に対しまして、何か御質問はございませんでし ょうか。はい、どうぞ。 ○山口委員  乖離があるということと、この件数で決めたということですが、この3つについてど れぐらいの乖離があって、何件ぐらいあるのか教えていただけますか。 ○眞鍋補佐  中医協資料を少し繰ることになりますので、ちょっとお時間をいただけますでしょう か。準備ができた段階で。 ○山口委員  おおよそで結構です。 ○西岡分科会長  では、今、中医協の資料を繰りますのでちょっとお時間をいただきまして、ほかに何 か御質問、コメントはございませんでしょうか。今の件に関しましては、たしか齋藤先 生が中心でおまとめいただきましたところで指摘されたことだと思いますが、先生、何 かございますでしょうか。 ○齋藤委員  それでは、もうMDC毎の作業班のことをお話ししましょうか。 ○西岡分科会長  では、そうしましたらそこも含めて。その間にまた数値に関して調べて御報告くださ い。 ○齋藤委員  診断群分類の作業班をお世話させていただいた齋藤でございます。平成16年度に問題 になりましたのは、やはりアウトライヤーの問題、いわゆる診断群分類で外れという形 になるものが、病院の経営上等の観点からも、あるいは診療展開の上からも看過できな いものが見られると、そういう御指摘もございました。平成16年度の観点を踏まえます と、4つの分類上の基準というものが浮かび上がってまいります。まず医療資源の同等 性でございます。比較的同等の医療資源で診断群が治療できること。それから臨床的に 類似していること、臨床的類似性でございます。それから、簡素化及び必要な部分につ いてできるだけ精緻化していこうということで、どのようなものをどのように簡素化 し、また状況をいかに精緻に反映するかという精緻化の問題でございます。それから、 実際に制度を運用していく上で、余りに判断が臨床の医師にとって困難であるとか、あ るいはアウトライヤーも含めまして制度運用上の適切性ということが4番目にございま す。  これらの観点から、DPCを実施する上での診断群分類をさらに検討していくという ことが、MDC毎の作業班の基本的な姿勢でございます。すべての作業班に松田先生に 参加していただきまして、現在診断群分類の見直し作業が行われているところでござい ます。  2月に緊急の見直しが必要とされた項目が幾つかございました。その中に今御紹介の ありましたエダラボン療法、電気生理学的検査、リツキシマブ療法と、いずれも突出し て高額となってしまうということで、診断群分類の緊急見直しが必要であろうと指摘さ れたものでございます。これは結果的には一たん出来高に移すという処置になっており ますが、診断群分類というものの立場からいたしますと、これらの取り扱いが今後さら に検討されて、包括化の位置づけというものが得られるような形で考えたいと思ってお ります。  今後の作業のスケジュールといたしましては、10月末までにMDC毎に一定の取りま とめを行いまして、またそれぞれのMDC間の整合性も十分に調整した上で、なるべく 早期に診断群分類の見直し案について提案してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。では、先ほどの山口委員の御質問に対するお答えをお願い します。 ○眞鍋補佐  手元に中医協資料がございまして、それで御説明させていただきます。本日は配付し てございません。  ことしの5月に、中医協の診療報酬基本問題にて御報告させていただいた中のもので ございますが、例えば脳梗塞に対するエダラボン療法につきましては、4つの分類を出 来高にさせていただいたところでございます。そのうち代表例として脳梗塞に対する治 療で、手術なし、手術・処置等2あり、副傷病ありというような分類でございますが、 これを例にとりますと、エダラボンなしが550件程度、エダラボンありが500件程度でご ざいまして、差ということでございますが、1入院での包括範囲の出来高点数は、エダ ラボンなしですと68,000点程度だったものが、エダラボンありですと93,000点程度とい うふうに、25,000点程度の差が出ます。これは1入院でございますが、こういった差が あったということで、これは4つの分類のうちの1つでございますが、こういった観点 で検討を行いまして、数百件のレベルで、あと1日当たり数万円以上、1入院ですと10 万円とかそういった差があるものが、今回選ばれておるということでございます。 ○西岡分科会長  山口委員、どうぞ。 ○山口委員  ありがとうございました。例えば抗がん剤などはこういう抗体の製品がこれからどん どん出てきて、同じようなことが随分起きると思うんですね。そのときにこのリツキシ マブについてこういう処置がとられたのだから、緊急避難的にまた包括から外す、ある いは分類を見直すということがこれから行われるのでしょうか。原則として。あるいは 今回だけのことなのでしょうか。 ○西岡分科会長  どうぞ、事務局の方でお願いします。 ○眞鍋補佐  非常に重要な御指摘をありがとうございます。診断群分類の見直しにつきましては、 そもそも中医協の方でDPCの制度を導入するときに、柔軟に見直すべしというような 御指摘をいただいてございます。そういったこともございまして、年度の途中でありま したが、今回もこういった分類を出来高にするということで対応させていただいたとこ ろでございます。  来年につきまして、齋藤先生の御報告にもありましたとおり、今実はMDCの1〜16 につきましてそれぞれ見直しを行っているところでございますが、今山口委員に御指摘 いただいたようなことを、各班の先生からいろいろなことを同じように指摘されており まして、やはりそこは何らか出来高で対応できるような仕組みなりが必要でないかとい う御指摘を受けております。そこは今後点数の設定という話になりますので、基本問題 小委の方にお諮りしたいと思っております。 ○西岡分科会長  この問題はDPC導入のときに、私からいろいろな御要望をさせていただいたものの 一つです。医学の進歩に伴っていろいろなものが出てまいります。それで、DPCの場 合には一つずつ後追いの感じになってまいりますので、それが臨床の場で使われないと いうのは非常にまずいということで、中医協の方に要望をさせていただきました。た だ、それがずっと永久に外出しになるのではなしに、時期を見て包括化の中に入るよう な形にしてはどうかという回答をいただきました。そういう状況でございます。山口委 員、よろしいでしょうか。どうぞ、齋藤委員。 ○齋藤委員  この問題は、ちょうど混合診療の問題のときに新しい治療法、新しい薬剤と薬価収載 の関係で非常に議論になって、新しいものが患者に適用されない局面があると。それで 保険収載がおくれるではないかと。これは例えば改定のインターバルが最長2年あるわ けですので、その間の時期をどうやって過ごすかという問題にもなりますし、何を包括 化に入れるかということの重要な課題なので、ぜひこの委員会でもそういうことについ ても、建設的な御意見をお出しいただくのがよいかなと思っております。 ○西岡分科会長  どうぞ、三上委員。 ○三上委員  逆の乖離が大きかったものというのは、何点か特に目立つようなものはあるのでしょ うか。例えば画像診断等が外来に移ったために、本来のDPCよりもはるかに出来高の 方が低くなったというのがあったのでしょうか。特徴的なものがありましたら教えてい ただきたいのですが。 ○西岡分科会長  事務局の方で何かございますでしょうか。 ○眞鍋補佐  ありがとうございます。今の御指摘に直接お答えできるようなデータはちょっと今手 元にございませんが、在院日数の分布などをお示ししたグラフがございまして、そこで 分布を見ていただきますと、イメージをちょっとつかんでいただけるのではないかなと 思いますので、後ほどその議論をさせていただくときに、まとめて先生方の御意見をい ただけたらと思っております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。この三上委員の御意見は非常に重要なことだと思いますの で、ぜひともその解析もやっていかなければいけないのではないかと思います。ほかに 何か御意見はございませんでしょうか。では、齋藤先生の方で今進捗状況を御披露いた だきましたので、それは続けてよろしくお願いいたします。  それでは2つ目の、「中医協診療報酬基本問題小委員会における報告」についてでご ざいます。実際に報告させていただきました私から、そのあらまし及び御議論いただき たいことについて説明いたします。  まず、平成16年度に「7月〜10月までの退院患者に係る調査」に加え、9つの特別調 査を行いまして、その調査結果につきまして、4月12日に本分科会として取りまとめを していただきました。取りまとめました結果について、4月27日の基本問題小委員会に 報告をさせていただきました。その際に用いた資料が、お手元にございます資料D−2 −1と、それに伴う参考というのがございます。これをもとにして報告させていただき ました。  私からの報告に対しまして、中医協におきまして貴重なコメントをいただきました。 そのコメントは、議事録が同時に資料としてついてございます。そのコメントの具体的 なものを申し上げますと、1つはDPCに移行して、在院日数などが非常に短くなった ということを数値でお示ししたわけでございますが、本当に診療内容がよくなったのか どうか、患者のためによい医療ができているのかどうか、という御指摘をいただきまし た。それにつきましても、議事録にございますように、私といたしましては患者さんに とってもいい形になっているのではないかということで、お答えさせていただいたとこ ろでございます。  また、病床の利用率についてどういう変化があったのかと。このときには病床の利用 率についてのデータをつけていなかったのですが、大体病床利用率が全体で80%ぐらい で、かつ都市部では病床利用率はほとんど変化がないのですが、一部の地方におきまし ては病床利用率が少し減少している傾向があるといったようなことを、私としては報告 させていただきました。  それからまた、DPC対象病院における高度医療の提供に関する御指摘もいただきま した。これは実際の中医協の御批判、それからこの委員会でのいろいろな御意見を踏ま えまして、DPCを導入することによって、今まで行ってきた特定機能病院の高度医療 が実施されていないんじゃないかという御指摘がございました。その調査結果として高 度先進医療の数がどうだったのか、あるいは治験の数がどうだったのかといったような ことを、数値として報告させていただきました。  そういった形で、御指摘を受けました。これはいずれも非常に貴重な御指摘だと考え ております。実際の医療の中身はどうだったのかということが議論されるべきと思いま すが、この報告の数値の中ではなかなかそこまで言及できないところがありましたの で、御理解いただけなかったのではないかと思っておりますが、最初に指摘されました 粗診粗療になっていないかどうかということに関して、特に私たちの今回の調査では粗 診粗療にはなっていないのではないかという結論で御報告させていただきました。  そこで、種々指摘事項をいただきましたので、私の方から事務局にお願いいたしまし て、さらにいろいろなデータを出していただきました。その検討のためのデータをここ に用意していただいておりますので、これにつきまして事務局より御説明をお願いでき たらと思います。 ○眞鍋補佐  それでは、御指示を受けまして、用意させていただいた資料等につきまして御説明さ せていただきます。  まず、参考資料を参照いただきながら、診調組D−2−2という資料と、これを両方 使いながら御説明させていただきます。当然評価自体はこの分科会で行っていただくも のでございますので、事務局としてこちらの議論に役に立ちそうなデータですとか、あ るいは単純な数を出すものは数を出したというようなことで、そういう観点から準備を したものでございます。  まず参考資料でございますが、こちらは御説明申し上げましたとおり、平成17年4月 27日の診療報酬基本問題小委員会の議事録の抜粋でございます。西岡分科会長から、こ ちらのDPC導入の影響評価について御報告いただいた後の、中医協の委員の先生方と のやりとりということでございます。  これを全部読みますと時間がかかりますので、その中で具体的な指摘だと思われるよ うなところにつきまして、事務局で下線を引かせていただいてございます。ここを中心 に、もちろんここ以外でも結構でございますが、私どもで対応できるものに関しまして は資料を用意させていただいたような状況でございます。  そういったところで、まず1つ目は参考資料の1ページでございます。下線を引いて ある部分でございますが、DPCの導入によりまして診療内容の変化があったのだけれ ども、診療内容がこれでよくなったとか、患者さんのためによい医療ができたというと ころが見えない、という御指摘をいただいたところでございます。ここに対しまして、 私どもは参考ということで考えておるのですが、D−2−2の資料の1ページ目、これ は細かい字で大変恐縮でございます。DPC対象病院ごとの在院日数の変化を、その82 の病院すべてにつきまして出してございます。青い色が平成14年、赤い色が平成15年、 黄色いのが平成16年の対象病院の在院日数の平均でございます。平成16年データで短い ものから、上から順に並べておるようなグラフでございます。見ていただきますと、平 成14年の青いところのグラフが突出しておりまして、それが平成15年、平成16年となる につれて短くなっているというところが示されております。  次に2ページから13ページまで、こちらは新しい資料でございますが、12の分類につ きまして解析をさせていただいて、本日提出させていただいてございます。まずこちら 12の疾患についてどんな解析を行ったかにつきまして、2ページの資料を用いまして御 説明をさせていただきます。グラフが上から3つ、平成14年度、平成15年度、平成16年 度というふうに並んでおるかと思います。そして、これはヒストグラムでございまし て、タイトルにありますくも膜下出血、破裂脳動脈瘤(JCS30未満)、脳動脈瘤流入血 管クリッピング(開頭して行うもの)等という分類に該当した、そういった件数につい て年度の変化を見ているものでございます。横軸に在院日数をとってございまして、0 〜100というところで、平成14年度では大体30数日のところに平均値がきているような ところでございますが、それぞれ何日のところにどのぐらい度数があるか、患者さんの 件数があるかというふうにまとめたものでございます。平成15年度につきましても、そ の下に同じようにまとめたものでございます。縮尺は平成14年度、平成15年度、平成16 年度すべて同じにしておりますので、それぞれ何日ぐらいの在院日数の方がどのぐらい いたかということを、視覚的に見えるように工夫をしてみたつもりでございます。  その下に「在院日数(日)」とございまして、こちらは上に書いてありますグラフに ついて、統計的な解析をしたものでございます。該当数が例えば14年度ですと233件、 15年度ですと271件、16年度は255件とあったもので、平均値、これは在院日数の平均値 でございますが、これが14年度は36.64日、15年度は38.14日、16年度は38.81日と。そ の標準偏差、いわゆるこれはばらつきでございますが、ばらつきにつきましては、この 分類につきましては、14年度は18.47、それから大体18前後で推移をしておるというよ うなグラフでございます。これを一つ一つ御説明させていただきたいと思います。今の がくも膜下出血の分類のデータでございます。  次のページは、白内障、水晶体の疾患、白内障手術、手術・処置等2なしの分類でご ざいますが、こちらはグラフを見ていただきますと、在院日数の平均がだんだん短くな ってきておることがわかると思います。実際にその数で見まして、在院日数の14年度、 15年度、16年度を見ますと、平均値は9.83日、8.40日、7.16日、標準偏差は5.58から 4.50というふうに減ってきておるという状況でございます。  次に4ページ、こちらは慢性化膿性中耳炎ということでございまして、該当数は大体 1000件以上ございました。在院日数の平均値は14年度が19.86日ですが、それが15年度、 16年度と17.74日、16.53日というふうに減ってきておりまして、標準偏差も6.47から減 ってきておるという表でございます。  次に5ページ、こちらは同じように急性心筋梗塞について見たものでございます。大 体200〜300件の回答数がございまして、在院日数の平均値は導入前が21.22日、それが 18.62日、16.76日というふうに短くなってきております。標準偏差につきましても、小 さくなるような傾向にございます。  6ページでございますが、胃の悪性腫瘍の胃全摘術の一つの分類でございます。こち らも100件以上の該当数があったところでございますが、在院日数の平均値は27.72日か ら24.49日というふうに減ってございまして、標準偏差自体は9前後から16年度は8に なっておるということでございます。  7ページでございますが、こちらは胃の悪性腫瘍の胃切除術で、腹腔鏡下によるもの を含むという分類でございます。こちらは14年度が25.77日、これが16年度ですと22.02 日というふうに減ってございまして、標準偏差は14年度が8.56だったものが7.44になっ ておるというような表でございます。  次に大腸の悪性腫瘍につきまして同様の解析をしておりまして、こちらも14年度、15 年度、16年度と同じ数字を並べてございますが、在院日数の平均値が24.53日から16年 度は21.19日、標準偏差自体は余り変化がないということでございます。  次に9ページ、こちらは肝・肝内胆管の悪性腫瘍の分類でございます。該当数は100 件前後でございました。こちらは在院日数の平均値は30.90日から16年度では28.26日、 標準偏差は11.78から15年度で上がってございまして、16年度で10.58となっておりま す。  次に10ページ、これはちょっと件数が多い分類でございますが、2型の糖尿病(糖尿 病性ケトアシドーシスを除く)ということでございます。14年度のデータを見ますと、 在院日数の平均値は23.23日でございました。それがだんだん短くなってきていまして、 16年度は21.10日となっておりまして、15年度より0.1日ぐらい延びております。ただ、 14年度から15年度で標準偏差が大きく減っているような状況が示されております。  11ページが腎の悪性腫瘍でございます。こちらも在院日数の平均値は14年度の22.62 日から16年度は19.34日、標準偏差は8.93から7.33というふうに減ってきています。  12ページでございますが、こちらは前立腺の悪性腫瘍でございます。14年度は400件 程度ございまして、これが15年度、16年度と経るに従いまして平均値もかなり下がって いる例でございます。また標準偏差もかなり下がってきている例であります。  最後の13ページでございますが、これは前立腺肥大症の分類でございます。こちらは 平均値が14年度は15日余りだったものが、16年度では11.37日、標準偏差は6.11から4.13 に下がってきているというような表でございます。  こういった疾患を選んだ観点でございますが、どういうふうな基準で選んだかについ て御報告をさせていただきます。まず、主要な疾患であるところからは例を必ず一つは 採用しようと思いまして、悪性腫瘍ですとか循環器系疾患からは選ぼうと。それから、 いわゆる単科の診療科で出てくるような疾病も選ぼうと。次に、手術・処置等につきま して、その疾患について主たる手術や処置があるような診断群分類を選んでございま す。大体その疾患といったときに想定される一つの主な治療法であるというものを選ん でおるつもりでございます。それから件数についてですが、その分類ごとにある程度の 母数がないとその分析ができないと考えておりますので、大体年度ごとに100件以上を 目安といたしまして、それ以上あるものを選んでおります。ただし、1つ、2つ、100 件に満たない年もありますが、おおむね100件以上あるというところで選んでございま す。最後に、これは一番大変だったのですが、診断群分類は15年度が導入の年でござい ます。16年度は診断群分類の見直しをしておりますが、そこでかなり診断群分類が組み かわってございまして、単純な比較が難しいところがございました。ですので、診断群 分類が大きく変わっていないと。つまり包括されてその分類の対象となる方が余り変わ っていないようなところの分類を選んで、経年的な比較を行いやすいところを選んだと いうことです。以上のようなクライテリアでこういった12の疾患を選ばせていただきま して、今のような解析をさせていただきました。  ちょっと長くなりました。こちらは1つ目の指摘に対する参考となるような資料とし て、今のものを用意させていただいております。  それでは参考資料の2ページ、次の中医協委員からの御指摘ということでございま す。2ページの真ん中の段に長く下線を引かせていただいてございます。こちらの指摘 は2つコンポーネントがありまして、1つのコンポーネントは後発医薬品の使用がふえ たということですが、DPCでございますので、後発品を使っても患者さんの自己負担 は変わらないというところで、そこは患者さんのためになっていないんじゃないかとい う御指摘です。2つ目は、検査と画像診断を外来に移したことについてでありますが、 これがQOLの確保になったと本当に言えるのか、という御指摘だったと認識してござ います。そこに関しましては、本日私どもで特段の資料は用意してございません。  次に4ページでございます。真ん中の段で中医協委員から、病床利用率の結果が極め て重要な意味を持っている、というふうに指摘をいただいてございます。これも診調組 D−2−2の資料の14ページをおあけいただきますと、こちらは「一般病床の稼働病床 数及び病床利用率」を、すべての対象病院についてまとめさせていただいたものでござ います。一つ一つを読み上げると大変でございますので、下の計のところを見ていただ きたいと思います。計といたしまして、平成14年の病床利用率は全体で84.8%であった と。それが平成15年は84.6%、平成16年は83.6%ということで、平成15年〜16年で1% 程度落ちておりますが、83%、84%というふうな病床利用率になっておるということで ございました。  それでは、また参考資料に戻りまして、議事録の4ページでございます。こちらは再 入院で計画的に再入院するということでございますが、こういった制度につきまして、 今のDPC制度で入院が一回終わって退院と、また新しく入院となりますと、新しく入 院した日から、今のDPCの一番初めの高いところの点数から始まるような仕組みにな ってございます。そこに対して御指摘をいただいたものとこれは思っておりまして、こ ちらは点数設定の参考にさせていただくべき御指摘というふうに受けとめております。  5ページでありますが、下線を引いておりますところは、DPCを導入したことによ って高度な医療をちゃんとやっているのかどうか、というような御指摘と認識をしてご ざいます。こちらでございますが、まず診調組D−2−2の28ページをおあけいただけ ますでしょうか。こちらに「手術難易度別患者数」というものをつけてございます。こ ちらの表でございますが、西岡先生から冒頭お話しいただきましたとおり、4月27日の 段階では治験の数や高度先進の実施状況ということを出したんでございますが、それ以 外に何か指標はないかということで探しまして、こちらの「手術難易度別患者数」を用 意させていただいてございます。こちら難易度に関しましては、外科系学会社会保険委 員会連合(外保連)の難易度を、手術に関してつけております。その中で一番高いE− 1、E−2と言われるグループの手術件数がどうであったかというものを計算したもの でございます。一番上のDPC病院、82のところを見ていただきますと、まずE−1の ところを追っていただきますと、DPC病院が14年度でE−1の手術を行った件数が 28000件程度でございました。15年度は31600件程度、16年度は34000件程度ということ で、数はふえてきておるということでございます。次にE−2の件数を見ましても、14 年度は3197件、15年度は3940件、16年度は4271件ということで、こういった高度な手術 と考えられるものにつきましても、件数はふえてきているということが、一つは高度な 医療ということで参考になるのではないかとお示ししたものでございます。  29ページ、これに関連して一つこれもつけさせていただいてございますが、手術前と 手術後の入院日数がどんなふうに変化したかということでございます。DPC病院で14 年度の手術前の平均日数が4.47日でございました。それが15年度は4.08日、16年度は 3.74日で、こちらに関しましては0.7日程度短くなってございます。手術後の日数の変 化でございます。これは下の表でございますが、DPC病院で見ますと、14年度では 9.22日、15年度は9.64日、16年度は9.27日となってございまして、9.2日の程度で推移 しているということでございます。術前は若干短くなっておりますが、術後の日数に関 しましては余り変わっていないというふうに、データとしては示したところでございま す。  長くなって恐縮でございます。あと一つ、参考資料の8〜9ページにかけてでござい ます。患者満足度につきましてでございます。こちらにつきましても指摘があったとこ ろでありますが、「退院の時期についての評価」が「適切」だと回答したのが52%、次 の9ページに行きまして、「ほぼ適切」が23%で、8割近くが適切だと回答していると いうことは、2割の人は実は適切ではなかったのではないかという御指摘であります。 こちらは報告で確かにちゃんと説明しきれなかったところでございまして、もとのデー タとなったところを本日は用意させていただいております。診調組D−2−2の30ペー ジでございますが、こちらは「医療の達成度、患者満足度に係わる調査」の報告書から 抜粋をしてございます。「退院の時期についての評価」ということで、下の棒グラフを 見ていただきますと、「適切だった」が52.1%、「ほぼ適切だった」が23.7%、「どち らとも言えない」が7.9%ということでございまして、適切でないという御指摘の2割 の中の13.3%につきましては無回答ということでございまして、データがないという例 でございました。ですので、2割の方が適切でないというところではないと。ここは私 どもの報告書の準備状況が精緻でなかったので、こういった御指摘をいただいたのだろ うと思っているところであります。  以上、ちょっと駆け足でございましたが、議事録の御指摘に沿いまして、私どもでこ れが参考になるのではないかと思いました資料につきまして、説明をさせていただきま した。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。今の御報告に関しまして御議論をお願いしたいと思います が、何か御質問あるいはコメントはございますでしょうか。どうぞ、齋藤委員。 ○齋藤委員  在院日数が短くなったということは、これは全国調査その他でも明々白々で、その中 の疾病による差を分析されたと。その中で、在院日数がかなり短くなっている疾病と、 余りそうなっていない、例えばくも膜下出血のクリッピングのようなものは余り短縮し ていませんよね。その差は一体どういう疾病構造に由来しているのかなと。どういうも のが短縮効果を顕著に発揮していて、どういうものが発揮していないのか。その辺はな かなか難しいところだと思いますが、そういうところが……。この櫻井先生の御質問に 答えるのは、これはなかなか難しい問いかけなんですよね。在院日数は短くなったと。 それが果たして患者のためになったのかというようなお問いかけをとらえる上では、た だこの病気は短くなりました、この病気は短くなりませんでしたというと、結局同じこ との表現で、櫻井先生としては納得されないかなと。そういう思いがするので、これを 今後どう掘り下げるかということも踏まえて、ちょっと考えないといけないなと思って います。 ○西岡分科会長 ありがたい御意見だと思います。これはさらにこれからこの会で検討 していく課題になるのではないかと思います。確かに、数値で御報告申し上げるのです が、多分中医協の委員の方ではやはり中身でということになります。そこはなかなかう まく出せないところではないかなと思いますので、検討させていただきたいと思いま す。ほかに。どうぞ、山口委員。 ○山口委員  在院日数のことでちょっとお聞きしたいのですが、DPCの対象病院は確かに減って いますよね。でも、そもそも長いですよね。格段に長いですよね。この原因が難しい手 術をやっているから長いのか、それともほかの民間病院の合理化に比べて、この特定機 能病院の合理化がおくれていたために、おくれて単によくなっているのかという、その 解釈はどういうぐあいになっているのでしょうか。私はむしろ合理化がおくれていた病 院ではないかと思うのですが。 ○西岡分科会長  これはどなたにお答えいただいたらよいのでしょうか。 ○山口委員  というのは、報告を見ていると短くなった、短くなったということだけ強調されてい て、むしろこういう状態であったことはよくなかったと考えるべきだなと私は思います が、それがこのDPCを入れたためによくなったのか本当にわかっていないのに、いか にもDPCの成果であるというふうな報告は、ちょっと私としては何となく納得できな いようなところですが。 ○西岡分科会長  非常に貴重な御指摘だと思いますが。どうぞ、齋藤委員。 ○齋藤委員  私の病院について言えば、確かに糖尿病についてもDPC導入後どんどん短くなりま した。では、それはなぜ短くなったのかということを考えますと、一つはDPCの構造 上、やはり短い在院日数について手厚い診療報酬があるわけですから、これは明らかに インセンティブとして組み込まれているわけですね。だから、そういうインセンティブ があるという現実は見落とすことができないと思います。  もう一つは、患者側の意識も変わっていますし、医療者の意識も変わっていて、糖尿 病は一回入院したら1カ月は血糖コントロールに充てるべきだという意識ですが、実際 に短くしようと思って努力してみると、2週間あれば十分だということがわかってき て、あとは外来にゆだねるということが明らかになってきました。これは日本の大学病 院での教育も含めて、糖尿病を1カ月かけて治せというふうに僕らは教わってきたわけ ですが、やってみれば十分短くできるじゃないかと。だからその点では、旧弊の体質が 改善されたという側面もありますし、それから患者側の意識も、この病気でできるだけ 早く退院したいんですと。そういう意識に非常に変わってきているんですね。糖尿病だ ったらもう2週間で退院できるんでしょうと。私も忙しいから早く退院したいんです と。いろいろな要因が作動していることは確かだと思います。 ○山口委員  糖尿病はそうかもしれませんが、胃がんの患者さんが術後10日で治るのが、どんどん DPCを進めようが何をしようが3日で治るということはあり得ないわけで、これはい ずれプラトーになると思うんですね。恐らく先進的なこういうDPCに参加しようとす る病院などは、かなり一生懸命そのあたりをやっておられて、もうこのあたりが底にな っていて、恐らくDPCの試行病院は何年かおくれてそこのレベルに達するという、そ の過程を見ているだけにすぎないんじゃないかと思うのですが。 ○西岡分科会長  おっしゃるとおりだと思います。 ○齋藤委員  それが例えばクリッピングがちっとも短くなっていませんよね。だから、これは底を 打っている現象を見ているのかなということで、なぜ短くなる疾病群と短くならない疾 病群があるのか。最初に伺ったのはまさにそこのところだと思います。 ○西岡分科会長  吉田委員、どうぞ。 ○吉田委員  DPCを導入しまして、熊本先生と一緒に意識調査をやりましたけれども、確かに大 学病院で旧態依然とした雰囲気は多分あったのです。実際大学病院の医師サイドはコス ト意識が全くなかったわけですよね。これが導入されて在院日数が短いと1日幾らと か、そういう意識がだんだんと広がっていったので、多分加速的に働いたと思います。 ですから、確かに山口さんがおっしゃるみたいに、大学病院が一般病院と違って旧態依 然としていることは事実です。だから、これが導入されて医師側もコスト意識が出てき た。それから患者に対する説明も、結構これは始まったら大変なんですね。今ICにし たって「どうでもいいや」と言っていたやつが、「いや、ちゃんとやらないと困る」と いうことがわかってきたんですね。ですから、医学教育上も大分DPC導入によって変 わったと、これは事実だと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。この件に関しまして、大学の先生はいかがですか。酒巻先 生、お願いします。 ○酒巻委員  もちろんDPCが始まってかなりの意識が変わったという部分もありますが、実はも う少し長い目で見ますと、もう5〜6年ぐらい前から在院日数を短縮して、多分10年ぐ らいの動きだと思うんですね。在院日数を短くしていくことが病院として求められてい ると。それが極めてはっきりと顕在化したということの方が、事実なのではないかなと 思います。もちろん皆さんのさまざまな、経済意識だけではなくて、クオリティーに対 する意識も上がっているんですよ。これは決して経済意識だけが上がったわけではなく て、DPCというものの持っている本質をよく理解して、診療はしっかり終了させると いうことはそういう形でやっている。 ○西岡分科会長  熊本先生、どうぞ。 ○熊本委員  私の方からも発言させていただきますが、鹿児島の地域性を考えますと、在院日数を 短くするのは難しいということを、最初の会で私もここで発言していたかと思います が、実際やはり比べることによって、かなり努力ができるようになってきたというの が、DPCの大きなもう一つの特徴ではないかなと。必ずしもインセンティブだけでは ない面があるのかなと思います。  それで、それに向かって鹿児島等でもどういうことをしたかというと、やはり退院の 支援というか連携ですね。そういったネットワークというか仕掛けを、山口先生が御指 摘のように、やはり今まで努力してきていなかった面があるかと思うのですが、そうい ったことを地域の中で努力するということに非常に積極的になってきた。そういう点も あるのではないかな。必ずしもインセンティブだけではない面も多々あるかと思いま す。 ○三上委員  今のお話のとおり、DPCによってベンチマークで比較できるというのが一番大きい のではないかと思います。医師会の中でも大学病院との懇談をやったのですが、岩手と かそういう周りにいろいろな連携する病院や医療機関がないところでは、どうしても在 院日数を短くできないというような事情もありますので、この件に関しましては、やは り地域性を考慮するというのが避けられないのではないかと思います。全国一律の形で 考えると、かなり問題が起こるのではないかという気はいたします。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。確かに地域性というのは、もう最初のときから問題点として 挙げられておりましたので、これも検討していかなければいけないことではないかと思 います。ほかに何か御意見は。どうぞ、武澤委員。 ○武澤委員  大学病院のビヘービアですが、山口先生がおっしゃったように、医療を供給するとき もシステム上のむだといいますか、いろいろなものが今までありましたよね。それが恐 らくかなり合理化されてきたことは事実だろうと思います。ですから、ここにも書いて いますけれども、病院にいなくてもいい患者さんが、なるべく早く治療を終えて出られ るような体制になった。検査をするために、病院にずっと1週間もいなければいけない ということはなくなった。これはすごくいいことだと思うので、そういう意味でのむだ が非常になくなったと。その辺を合理化された、クリニカルパスとかそんなのもきっと いけるだろうと思いますが、システム上患者のトランスポートといったらおかしいけれ ども、治療の仕方が標準化されていったということが一つあると思います。  ただ、その中でも国立大学は、皆さん御存じのように看護婦の数が非常に少なくて、 ベストなオプティマルな看護、あるいはケアを提供しようと思っても、今まで人員が限 られていたためにできなかったわけです。それが今度法人化になったために、いろいろ バリエーションがついてきたので、そういう意味では今後恐らくさらにそういうシステ ム的な問題は改善されていくだろうと。つまり、さらに在院日数が短くなってくるだろ うと思います。  もう一つは診療技術ですね。診療内容が本当によくなったのか。これに関しては極め て不透明だと思います。特にスキルスタンダートというか、スキルが非常に高いものに 関しては、これはクリッピングもそうですが、これ以上縮めることはできないわけです よね。そうすると、診断、治療に関して非常にバリエーションのあるものは何かという と、恐らく内科的な疾患。それからあと、特に抗がん剤も含めて薬を使う治療、その辺 が一体どのぐらいレベルが上がって、患者さんの治療成績がよくなって、在院日数が短 くなっていったのか。それで予後もよくなったのかというデータを出さなければいけな いので、一概に診療内容をどう評価するかという問題を語るのは非常に難しくて、です からスキルでもってやるやつと、そうでなくて診断、知識、ケアというもので患者さん をフォローする内容と、その2つに分けて中身を検討しないと、一般的にここで櫻井先 生がおっしゃっているのはよくわかるのですが、患者さんのためによい医療といった場 合に、一体定義が何かということを明らかにしないと、これはもうとんでもない議論に なってしまいます。ですからその辺を分類して、それで評価をするようなことを、この 委員会でもう少し検討していったらいいのではないかと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ、三上委員。 ○三上委員  今の患者さんにとっていい医療とは何かというのは、定義がないのでこういう議論が むなしいというお話ですが、逆に言えば、平均在院日数が短いことがどうなんだという こと、また、これは医療費を抑制するためにはいいんだとか、そういうことがはっきり 目標が決まっておれば議論はしやすいのですが、患者さんのためにいい医療をすること を前提にDPCを導入するということであれば、やはりその定義を決めてからDPCを 始めないと、評価のしようがないと思います。 ○西岡分科会長  なかなか難しい議論に入ってきたのですが、医療の質を考えるときに重要な指標がた くさんありますけれども、平均在院日数というのはそのうちの一つであるということ が、国際的にも認知されております。まずその部分から入っていったというところでは ないかと思います。本当の医療の質ということを考えていきますときに、このDPCの コーディングのところから、もっといろいろなファクターが取り出せると思います。こ れは松田先生の方がいろいろ企画してくださっていますので、そういったものも今後出 しながらやっていかないと、今まではきっちりした指標が明らかにされていなかったと いうのも、三上委員の御意見だと思いますが。そこで平均在院日数が出しやすいという ところもあったんじゃないかと思うのですが、そのあたり松田委員、御意見をお願いい たします。 ○松田委員  同じ病態に対して、いろいろな一連のバリエーションがある。それに対する評価をど うするのかということがポイントになってくると思いますが、一つにはやはりそもそも どういう診療が行われているのかという、その内容に関するデータをつくるということ が大事だろうと思います。そのDPCというのはあくまで比較の単位ですので、その単 位でいろいろな情報を集めてきて、やはりいろいろなことが見えてきました。例えばそ のカイ手術をやるにしても、やはり同じ病態に対しても、病院によってあるところはオ フポンプでやっている、あるところはオンポンプでやっている、その割合。あるいは胆 嚢結石に対しても、あるところはラパコレが非常に多くて、あるところは今までどおり の開腹術である。あるいはこういう心カテにしても、POBAとかPCIとかいろいろ ありますが、その割合もかなり違っている。あるいはがんセンターの石川先生がやって くださっているように、がんに対する化学療法の組み合わせというものに関しても、か なりいろいろなものが見えてきている。そういうばらつきが果たしてアウトカムとどう いうふうに関係しているのかということを、やっと評価できる体制になったのだろうと 思っています。  ただ、分析をする側として非常に苦労しているのが、やはりそのデータを同じフォー マットで出していただくということに関する、今各施設が持っている非常に困難な状況 だろうと思います。それはなぜ困難な状況なのかというと、基本的にはレセ電算のマス タが、すべての病院が必須レセ電算を使ってくれているわけではない。ここのところは やはりまず一般化することが必要ですし、それが前提となって電子レセプト的な枠組み でデータが集められるようになると、その辺の手間が非常に省けてきますので、今櫻井 先生がこうやって御指摘しているような、いろいろな要望にこたえられるのではないか なと思います。そういう意味では、ぜひそういうものにこたえるためにも、やはり情報 の標準化、電子化というものが今非常に必要になってきているのではないかなと思いま す。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。なかなか核心的な議論に進んでまいります。これが一番この 分科会の目的とするところでございますが、ほかに何か。どうぞ。 ○原分科会長代理  大学病院の現場といたしましては、たくさんの要因がございますが、今、熊本委員も 言われましたように、質というか均一化に対する比較ですね。これはかなり現場で病院 長が部長会などで言いますと、見事にそれが反映していきます。今月はこうだと。ここ 3カ月在院日数が上がっていると。やっていただかないとと。例えば具体的に、「あな たの科はここ何カ月でこうなっています」と言うと、間違いなくそれは翌月からレスポ ンスが来る。非常に現実的な話ですが、それも事実であるということです。その背景 に、今たくさんの委員の方が言われましたようにいろいろなファクターがありますが、 現場ではそういう動きがあるということを申し上げておきたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかに。どうぞ、山口委員。 ○山口委員  私はDPCが悪いと言っているわけではないんでして、むしろ逆さまで、こういう特 定機能病院にとっては大変よかったと思います。全くそのとおりですけれども、例えば 今新規に調査で協力しているところは既に短いですよね。こういうところに拡大して何 かメリットがあるかということはちょっと言えないんじゃないかなという意見で、決し てDPCが特定機能病院で悪かったとは全然思っていません。むしろよかったのではな いかということは全く同感です。 ○西岡分科会長  山口委員のおっしゃるとおり、DPCが導入されましてから、確かに医療人の意識が かなり変わりました。だから、今まで大学病院では何となく患者が入院していて、稼働 率が高ければそれでオーケーといったような感じのところがあったのですが、それがか なり有効な医療という形で改善されていっているんだということは、確かではないかと 思います。ほかに何か御意見はございませんでしょうか。はい、どうぞ、齋藤委員。 ○齋藤委員  これはプリミナリーな報告ですが、やはりDPC導入によってインシデント・アクシ デントのケースが減ったと言っておられる病院があるんですね。それは、医療の吟味の 結果だろうと思います。DPCというのは、一方ではクリニカルパスとかそういうもの がありますが、退院の時期を決めるとか、薬をどのぐらい使うかとか、それは医師の側 の裁量権が保険診療と違って非常にふえておりますので、ですからその点で絶えず深い 吟味を展開しないと、患者満足に直結する治療成績が得られないと思います。  それで今手元に、きのう実は刷り上がったのですが、社会保険病院でDPCを試行的 にやっている25病院と、それから調査協力または未実施の27病院と、全国にばらまいた 社会保険病院を2群に分けて患者満足度を調査しておりますが、看護師への質問をして みますと、入院から退院までの医療で患者は満足していますかという問いかけに、試行 的適用病院は84.3%が「満足」または「ほぼ満足」、それから非試行病院が84.0%と、 看護師の目から見て患者満足度というのは、DPCをやっている病院もやっていない病 院も全く差がないんですね。それから、患者自身への質問でも、外来受診から入院まで に提供された医療に満足しているかというので、試行的適用病院は93.4%、非試行病院 が93.6%と、それが「満足」プラス「ほぼ満足」ですね。それから、入院から退院まで の医療で満足しているかというのは、試行的適用病院は95.3%が「満足」または「ほぼ 満足」で、非試行病院は93.9%が「満足」または「ほぼ満足」ということで、患者満足 ということを数値で見れば、DPCをやっている病院もやっていない病院も、これはほ とんど無作為に分けたような形になっているのですが、差がないんですね。  ただ、患者の満足度というものが医療の質を本当に反映しているのかという議論も、 それは全くないわけではないと思います。中医協での医師会の先生なんかの批判を受け るとすれば。だから今後どういう形での調査によって、医療の質を検証していくことが できるのか。そういう課題になるのかと思っております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。患者満足度に関しても御意見があったのですが、熊本先生、 何か御意見はございますでしょうか。 ○熊本委員  今、社会保険病院でDPCの病院と比べていただいて、非常に明確なきれいなデータ ですので、また今年度の調査計画にも参考にさせていただきたいと思います。  DPC病院の特定機能病院を中心に、それと社会保険病院の一部に関しまして16年度 調査を行いましたが、無理強いをしてかなり悪い結果が出るんじゃないかという懸念に 対してやりましたところ、全然そういうことはなかったということ。それと、後からも ちょっと追加したいと思いますが、職員に対する達成度というところでも、かなり満足 するような御意見が出ていて、この報告書の中に入れておりませんでしたけれども、個 別的に変化した内容に関してお伺いしたところ、自由記載にしたものですから今回ちょ っと御報告がおくれておりますが、かなりポジティブな評価をされていることがござい ます。そこでちょっと先走りますが、17年度ではそういったものを定量的に見られるよ うな形の調査設計にしていって、患者満足度もしくは職員の達成度に関しても、さらに 調査設計を深めていきたいと思っております。 ○西岡分科会長  齋藤委員、どうぞ。 ○齋藤委員  調査設計の話が出ましたので、もうちょっと踏み込んだコメントをさせていただきま すと、やはりプリミナリーなチェックでは医療事故の発生頻度が、DPC適用病院と非 適用病院で、DPCを適用した方がむしろ減りぎみであるというようなシグナルが出て おります。それからもう一つは、やはり最近病診連携が非常に進んで、病院の医療や患 者が病院で受けた医療というものを、診療所の先生方が非常に細かく見ておられるんで すね。これは病診連携になりますので、そういう点からいうと今後の調査の中の一つと して、近隣の診療所から見て、DPCを導入して医療の質は本当にどうなったんでしょ うかと。そういう問いかけを何らかの形で調査できると、医師会の先生も納得なさるの かなと、そういう気がします。 ○西岡分科会長  これに関しまして、酒巻委員の方で前回調査を少ししていただいたと思うのですが。 ○酒巻委員  前回はDPC病院といいますか、大学病院が中心だったものですから、必ずしも調査 協力病院との比較という形でそれがなされているわけではないですが、いわゆる連携の 強い相手先の病院からの評価というのは、これは職員からいただいたんですけれども、 非常によいと。今数字としては特別覚えておりませんが80%以上は満足していると。そ れから、必ずしも早すぎる退院であったわけではないというふうに評価をいただいてお りまして、これはこの次の調査のときにも設計として入れていきたいと思っています。 ○西岡分科会長  三上委員、どうぞ。 ○三上委員  DPCがいいというのは、今現在そういう感じで出ていると思うのですが、一番問題 は支払い方式と連結した形で行われているというところです。現在は非常にゆとりのあ る報酬体系になっているので、それほど問題が起こっていないということですが、もと もとの導入の経緯というのは、質を上げるということも当然あるわけですが、効率化と いうことも一つの目標になっているわけで、そこがまた強く出てきますと、やはり急性 期の疾患に対しての包括評価というのは、慢性期と違って問題が起きた場合には大変な ことになります。そこを今後の検証の項目にする必要があるのではないかと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。貴重な御意見だと思います。ほかにございませんでしょう か。かなりいろいろポイントを挙げていただきましたので、今後の調査にとって有意義 ではないかと思っております。こういった議論は、また来月以降の中医協への報告をす るということで、進めさせていただきたいと思っております。 ○松田委員  よろしいでしょうか。今後の検討の進め方でございますが、11月以降の基本小委へ提 出する資料等についてでございますが、改定に当たりまして多分昨年と同じような資料 を作成されると思いますが、やはり今年度、今まで御議論いただいたようなことにこた えるためにも、この5月以降特に出されている御意見にこたえるためにも、試行的適用 病院等も含めたデータの解析というのを、少し進めていくべきではないかと思います。 ○西岡分科会長  非常に大事なことだと思います。今までの報告の概要は、ほとんど特定機能病院のデ ータでしか進んでおりませんので、試行的病院での状況というのを、やはり反映させて いかなければいけないと思います。では、この件に関して事務局、よろしくお願いいた します。  それで、議題を移しまして、平成17年度の特別調査でございます。これにつきまし て、御担当の先生方から準備状況を御報告いただきたいと思います。なお、これらの調 査を行うことは、既に基本問題小委員会で了承いただいておりますが、本日はその内容 につきまして御確認いただければと思います。  それでは、資料構成について事務局より御説明いただいた後、各担当の先生方から、 5分程度の御説明をお願いいたしたいと思います。また、御担当の嶋森委員がきょう御 欠席でございますので、これにつきましては事務局から御説明をお願いしたいと思いま す。では、お願いいたします。 ○眞鍋補佐  それでは、診調組D−3の資料に沿いまして御説明をさせていただきます。まず1ペ ージ目は、平成17年4月27日の中医協・基本小委の資料から抜粋をしてございます。ち ょっと誤解を与える資料構成で大変申しわけなかったのですが、2枚目以降はこのとき の基本小委にはつけてございませんで、今回新しく用意した資料でございます。そこは 明確化させていただきたいと思います。この1枚目だけが基本小委のものからの抜粋で ございます。2枚目以降は、本日新しく用意させていただいた資料でございます。では 私の方から、まず1枚目の資料につきまして御説明をさせていただきます。  こちらの資料は、4月27日に西岡分科会長から基本小委の方に、今年度のDPCに関 する調査といたしまして、前回4月12日の分科会で行われました議論を踏まえて、御報 告いただいたものでございます。4月12日の議論では、ことしは昨年度のような重厚な 特別調査をたくさんやるというようなものではなくて、かなり項目を絞った方がいいの ではないかという御議論を踏まえて御提案をさせていただきまして、基本小委では了承 をいただいてございます。  ただ、こちらの4月12日の分科会では、患者満足度に関しては引き続き特別調査をや るべきである。あるいは看護の必要度についても引き続き特別調査をやるべきである。 それから、医療連携と退院後受療に関するものについても引き続きやるべきである。そ れから、再入院につきましても引き続き特別調査をやるべきであるというふうな、この 4つの調査につきましては、特別調査をちゃんと組んで昨年度と同様やるべしというよ うな御意見をいただきましたので、そのとおりに西岡分科会長から御報告をいただきま して、基本小委でもお認めいただいたものでございます。  以上、まず1ページ目について、資料の位置づけについて御説明をさせていただきま した。 ○西岡分科会長  それでは、まず「再入院に係る調査について」ということで、今回この班の班長をし ていただきます松田先生から、調査の概要をお願いいたします。 ○松田委員  今年度、再入院に係る調査を担当させていただきます。調査の目的等はここに書いて あるとおりでございますが、医療効率化の一つの指標として在院日数が用いられるが、 DPC包括評価が実施されたことによってこれが短くなっているけれども、それが先ほ ど来いろいろなところで議論されていますように、粗診粗療につながっていないのか。 そういうものの指標としまして、従来より諸外国におきましても、予期しない再入院と いうものがかなり使われているわけでございまして、今回もその調査をやりたいと考え ております。  班の構成は、私と西岡先生、原先生、柿田先生の4名で検討させていただきます。  調査方法は、昨年のものと基本的にはもう変えない形でやりたいと思います。やは り、昨年度までのデータとの比較可能性という問題がございますので、これまでの方法 でやりたいと思います。基本的にはこの退院患者基礎調査実施期間中に収集されたデー タにより、ここにありますように、データ識別IDの重複があれば再入院として判定す る。ただし、この再入院の定義を一応前回入院から6週間以内といたします。それで、 ICD−10の一致の場合には同一疾患、不一致の場合には異なる疾患と判断して、両者 の再入院率を調査したいと考えております。再入院ありと判定された患者につきまして は、別途「再入院調査票」というものをお送りいたしまして、再入院の理由を調査して いただきます。ちょっと重い調査になりますが、そういう形で再入院の調査を行いま す。  対象病院につきましては、非常に御苦労をおかけするわけでございますが、DPC対 象病院、DPC試行対象病院、DPC調査協力病院の全病院を対象として行います。先 ほど申し上げましたように、これまでの調査との整合性を図る目的で、昨年度の調査票 を用いて調査を行います。  実施予定でございますが、11月に調査票を発送し、12月の中旬にこのデータ提出期限 を設定しまして、そこからエラーチェックを行いまして、エラーがあった場合にはもう 一度送り返して再提出する。それでデータ集計を行って、1月以降何らかの形で、早い 時期に結果について報告できるようにしたいと考えております。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。では続きまして、「医療連携と退院後受療に係る調査」につ いて、酒巻委員、説明をお願いいたします。 ○酒巻委員  昨年に引き続いて同名の調査ですが、去年の結果を踏まえて幾つか変えていこうとし ております。  班の構成は私を含めて5名とさせていただいております。山本先生に新たに加わって いただきました。  調査の方法は、アンケートで第1次の調査をDPC病院等に行いまして、その結果を もとにして、連携の濃厚な医療機関・施設の職員に対する調査を行います。これが第2 次調査ということになります。昨年この第2次調査がいろいろな意味合いを見せてくれ たわけです。  調査の対象病院としまして、今年度は昨年と同じ病院にするわけではありませんで、 それ以外の病院に対して検討をいたします。特定機能病院以外に、DPC試行的適用病 院、DPC調査対象病院に加わっていただきたいと考えております。  次のページを見ていただきますと、実施予定はこのような形でしたいと思っていま す。  調査項目としまして、実は昨年と同じものというふうに最初は考えたのですが、やは り少し前進できる調査をと思いまして、特に1次調査の方に診療科の診療内容というの が、どういう患者さんが入院しているかということですが、そういう患者さんの状態が 実は病診連携に非常に大きな影響を与えていると思っていますし、昨年のでも見てみま すと少しはそういう感じがするものですから、そのことを少し詳し目にとらせていただ こうと思っています。特に患者様の病態が非常に複雑な場合、あるいはこのDPC病院 が、特に悪性腫瘍にかなり大きな比率を持っていることがわかってきておりますので、 そういうことを中心に1次調査は行っていきます。その中から連携の密な医療機関のリ ストを挙げていただきまして、第2次調査に移っていくということです。  第2次調査では、昨年同様の評価を職員からいただく、そういうことをしたいと思っ ています。したがって(2)の(2)が中心になるわけです。データを読むために、医療 機関の機能等もやはりお伺いすることにいたしたいと思っております。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。それでは続きまして、看護の必要度に関することでお願いい たします。 ○高階補佐  それでは、看護必要度調査につきまして、進捗状況を御報告申し上げます。昨年度は DPC導入前後の重症度・看護必要度の変化に焦点を当てた調査をさせていただきまし た。本年度の調査におきましては、昨年度の結果を踏まえつつ、調査対象を拡大いたし まして、重症度が高いと予想される診断群分類と看護必要度との関係及び看護配置等の 実態について分析をするととともに、看護業務密度の高度化に伴う看護提供体制や、看 護職員の労務管理等の看護管理の変化を明らかにすることとしております。  研究班の構成といたしましては、嶋森委員を中心にいたしまして、5名の協力者を得 て研究班を組織して、現在調査に当たっていただいております。  対象病院は、DPC対象病院、試行的適用対象病院、調査協力を得られた病院という ことになっておりまして、この調査協力を得た病院のうち、DPCによる支払いの対象 となる一般病床に入院している全ての患者様を対象とする調査を行うとしております。  現在、調査票を配布いたしましてデータを収集しているところでございますが、この 収集するデータの精度を高めるために、調査対象病院におきましては、データ収集及び その取りまとめを行う看護師等を選定いただき、その方々を対象とする評価の研修、そ れから調査に必要な説明会を開催した上で、調査に当たっていただいております。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。それでは最後に、「医療の達成度、患者満足度に係る調査 について」、熊本委員、お願いします。 ○熊本委員  それでは御説明させていただきます。「医療の達成度、患者満足度に係る調査」を、 平成16年度に引き続き平成17年度も計画させていただいております。昨年はDPC病院 を対象としておりましたが、今年度は拡大しまして、DPC試行適用病院を調査対象と したいと考えております。調査項目等に関しましては、患者のDPCに対する満足度調 査、医療従事者の満足度調査、項目はなるだけ比較できるということで同じような項目 にしまして、もちろんちょっとブラッシュアップをさせていただきたいと思っておりま す。特に先ほどの基本小委員会等の御意見等を踏まえて、考えていきたいと思っており ます。  班構成に関しましては、ちょっとこれはワープロのミスかと思います。吉田先生にも 昨年入っていただいておりまして、3名でやっておりますので、ことしも吉田先生、よ ろしければ御参加いただきたいと思っています。ちょっとこれは間違いでございます。 吉田先生をお加えいただきたいと思います。  実際の方法に関しましては、今申し上げましたように平成16年度の結果を踏まえ、平 成17年度の実際のアンケートをブラッシュアップして作成しようと思っております。  調査の実施時期ですが、昨年は2月ごろまで諸事情でずれ込みまして報告がおくれま したので、きょういろいろなことをお認めいただければ、なるだけ早く調査を開始し、 報告も早くできればと考えております。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。今年度の調査に関しまして4つの部分を御報告いただいたの ですが、これに関しまして何か御意見、コメントはございますでしょうか。どうぞ、齋 藤委員。 ○齋藤委員  幾つかありますが、松田先生が予定された再入院と予期しない再入院という形で集め られる御予定ですが、予期しない再入院というのが、見ようによってはよくならないの に途中で追い出してしまって、すぐ悪くなって入院してきた、そういう負のイメージで とらえられかねない状況があるのですが。医療の現場からいえば、例えば悪性腫瘍など で一たんここでお帰りいただくけれども、ぐあいが悪くなったらまたいつでも入院して いただいていいんですよと。申し出てくださればベッドをあけて待っていますからと。 患者さんも少しでも家に長くいられて幸せだと。そういうよい面での予期しない再入院 というのも少なくないと思うんですよね。そういうことをぜひスタートにおいて踏まえ ていただいて、予期しない再入院がふえているのは、よくならないのに帰してしまった から、DPCの悪い面ではないかというふうに読まれるようなことになると、それは実 態を正しく反映していない可能性があると。そのことをちょっと申し上げたいなと思っ ています。 ○西岡分科会長  どうぞ事務局で。 ○眞鍋補佐  今の齋藤委員の御指摘につきましては、事実関係だけ御説明させていただきますが、 今、齋藤委員に御指摘いただいた例は、実は前回調査でも予期された再入院の方に入っ てございまして、可能性があるというようなことで退院された方が再入院されたのは、 前回の調査でも一応予期された再入院のところに入ってございます。 ○齋藤委員  予期したか、しないかというのは、これはなかなか主観的で、例えば心筋梗塞の患者 さんがかなり落ちついてきたので一たん退院すると。間もなく再発作が起こって入院し たというのを予期したものとみなすか、予期しないものとみなすのか。予期の定義をは っきりさせないと、回答側としてはなかなか難しいかなと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。たしか昨年の調査ではかなり例示をさせていただきまして、 それでこういった場合というので御回答いただいたのですが、そこのところでわかりに くいところはさらに松田委員の方で御検討いただくことになろうかと思います。ただ、 これは余り基準を変えてしまいますと、比較ができなくなってしまうところがありま す。そのあたり松田委員、いかがですか。 ○松田委員  事務局から御説明がございましたように、いつ起こるかわからないけれども起こるこ とが予想される疾患というのは予期する再入院ということで、昨年度説明させていただ いたわけでございますが、今年度は調査を始める前に、少しその辺のところにつきまし て事前にお聞きをして、御意見をいただいて、誤解のないように、少なくとも調査され る側が統一の見解に基づいて答えができるように工夫したいと思います。 ○齋藤委員  全く予期できないもの、例えば心筋梗塞の患者さんが退院なさったら、3日目に廊下 で転んで骨折したと。そういうようなほとんど原疾患とかかわりのない事象は、確かに 予期しない再入院ですが、そういうものに限定して考えてよいのかどうかということ で、それの頻度を見ることがDPCの質を見ることになるのかなという疑問もあるので すが。 ○松田委員  そういうものを検討できるための資料としまして、参考資料の16ページのところを見 ていただきますと、一応予期せぬ疾患につきましては、その本体の悪化、再発、それか ら合併症、それからもう一つは全く関係ない他の疾患が発症したというのを区別してデ ータをとっておりますので、そういう形で今の先生の御質問にお答えできるような分析 をしたいと思います。 ○齋藤委員  その辺が、結果が出てから議論が結構出るところかなという気がいたします。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかに御質問は。どうぞ、吉田委員。 ○吉田委員  これは最初のときにもお願いしたのですが、実はこれは調査の中で隠れているのが一 個あるんですね。実はこのDPCの医療行為は、じゃ、どうやってお金をもらうかとい うと、DPCのレセプトが発生するわけですね。そのレセプトの審査上非常に混乱して いまして、例えばチェックをするソフトがありません。各医療機関がレセプトを再チェ ックするのに、人の目でやっているんですね。そのために非常に混乱しているのです。 これは調査ですので、このDPCレセプトの審査上の問題点というやつもぜひやっても らってはいかがかと。  それから今、特に松田さんがやっているのですが、DPCが導入できないという病院 に聞きますと、ベンダーというソフトウエアは2,000万円とかものすごく高いお金がか かるんですね。それで、ちょっとこの係数が変わりますと、また600万円さらにこれは 出てくるのです。ですから、そういう医療機関のDPCのためのコストの変化も調査い ただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○西岡分科会長  コストに関してはコストの分科会の方で、電算化の部分のコストを調査するというの を、たしか松田先生はそれも担当されたと思いますが、今、吉田委員の御質問の一部で もお答えいただけたらと思います。 ○松田委員  レセプトに関しましてまず一つ、2点目のIT化の方につきましては、そういう調査 を今年度行いますので、今先生が御指摘になったところを含めて調査をしたいと思いま す。  1点目のレセプトの審査上の問題点につきましても、今後そういう研究をする企画が 今持ち上がっておりますので、もしそれが走るようでしたらその中でぜひやらせていた だきたい。私たちの方としましては、DPCの開発の過程で、一応2つプログラム的な ものはつくっております。そうしたらそのレセプトを、審査にも使えると思いますが、 集計できるようなプログラムと、もう一点は同じ番号のDPCのレセプトを、DPCの データを抜き取るという、そういうソフトをもうつくっております。ですから、そうい うものを使っていただきますといろいろな審査、いろいろな調査に適用することも可能 かと思いますので、それにつきましては持ち帰って検討させていただけたらと思いま す。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。今、吉田委員の御指摘のごとくは、DPCを導入しようとし てもすごくお金がかかるというところは、各病院の御指摘のあるところでございますの で、やはりそれも厚労省の方で用意していただいて、ダウンロードできるぐらいの形に なっていかないとまずいのではないかと思います。 ○吉田委員  もう一ついいですか。審査委員の立場から、従来どおり出来高の審査しか頭がないん ですよ。そのDPCで来ますと、すべて出来高でもって判定してしまうんですね。例え ばこういう例があります。胃がんの手術で入院した患者が術後DICになってしまった と。そっちへシフトするわけですね。そうすると、ICD−10の中でも変換できなくな ってしまって、ICDの診断群分類で、下の方に手術名が胃がんの手術が入ってくるん ですよ。病名がないわけですね。本来それでいいわけですよ。主治医が決めるんですか ら。ところが審査委員としては、DICだけで病名がないじゃないかといって、その手 術を全部査定してしまうんですね。ありませんから。  それからもう一つは、一連といういろいろな行為がありますね。一連のときに、診療 開始日がないんですよ。書く必要がないんですね。だから、一連かどうかわからないわ けです。そうすると、保険者はそれは一連で見てきて、これは一連だと。何カ月もやっ ているとしてくるんですけどね。だから、そういう審査の基準が全く違うんだというこ とを、これは言わなければいけませんし、すべて審査委員が出来高でもって判断するん ですね。ですから、青本の右側にいろいろごちゃごちゃありますよね。あれを全部省い た別の保険点数をつくらないと、そういう考えでもって審査を全部やってしまうんです よ。だから、この疾患でこういう検査は必要ないとか、そういうことは一切関係ないん ですけどね。だからそういう点数表も全く別個につくらないと、延々とこれは続くんじ ゃないですかね。そう思いますので、一応個人的には医療課の方と相談しますが、もし この委員会で承認が得られれば独自にまた調査して相談しますが、よろしいですか。 ○西岡分科会長  事務局、コメントをお願いいたします。 ○眞鍋補佐  まず、この分科会で行うことの位置づけについて御説明させていただきます。中医協 に診療報酬基本問題小委がございまして、そこからこういうことを調査し、分析し、と いうことがミッションとして与えられてございます。DPCにつきましても既に大きな 3つの柱がございまして、それに沿ってこれまで2年間をかけましてずっと調査をして 評価をしてきました。今回の特別調査につきましても、その文脈の中で継続でやるべき だということで、基本小委の方にお認めいただいたものでございます。  今、吉田委員から御提案がありました審査のところでございますが、当然DPCは新 しい制度でございますので、予期しなかった審査上の問題ですとか、出てくるのはあり 得ることだと思っておりますし、それが制度としてどうなのかというところは評価の対 象になるのだろうと思いますが、ただ、中医協の基本小委から一番初めにいただいたミ ッションのところでどう読めるか。あと、読めないとしたら提案ができるのかどうなの か。その辺の位置づけを、一度私ども事務局で引き取りまして検討させていただきたい と思います。この分科会の位置づけ自体が、基本小委からこれをやってくださいと言わ れて、そこに対してこたえる委員会でございますので、独自にやるといっても、基本小 委の方では、お願いしていないことの答えを返されてもという感じになってしまうこと もあるかもしれませんので、そこは私どもの方でちょっと位置づけを一回整理して答え たいと思っております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。この審査の問題は、この分科会が始まったときからの御指摘 の部分だと思います。ちょっとこの分科会でそこまで言及できるのかどうかというのは かなり大きな問題となりますので、それは事務局の方で検討して、また御回答をお願い できたらと思いますので、よろしくお願いします。これをやめてしまうというわけでは なし、これは避けて通れないものでございますので、その点はよろしくお願いします。 どうぞ、酒巻委員。 ○酒巻委員  昨年、「医療連携と退院後受療に係る調査」という中で、保険者側から調査をすると いうことを幾つかさせていただいたわけです。どういうフォーマットでデータがあるか というようなことを見させていただいた上で、調査可能な範囲内というのは考えさせて いただいたのですが、これは報告書の方にまとめさせていただきました。それで、ここ の「その他」の中の最後のところに「保険者による調査」というものがございまして、 これは要検討ですけれども、どのようなことが可能であるかということを、どなたか班 を別にして考えていただけると本当はありがたいんですけれど。事務局がもし考えがあ れば。 ○眞鍋補佐  こちらに関しましては、まさに西岡先生から基本小委に御報告いただいたときも、要 検討というところで書いてございました。実施可能性も含めて要検討ということだと思 っております。ただ、分科会の方でやるべしという御意見だったことは承知しておりま すので、どんな形で可能かどうかということをぜひ検討させていただきたいと思ってお ります。 ○西岡分科会長  よろしくお願いいたします。どうぞ、山口委員。 ○山口委員  さっきの予期せぬ再入院のことでちょっと松田先生にお伺いしたいのですが、例えば 胃がんで順調に回復しているけれども、少し傾向としてはよくないと。でもパスどおり 退院させたいと。DPCだし、なるべく早く退院させたいということで帰しますよね。 そうしたらどういうことが起きるかといったら、例えば肺炎を起こしたり、あるいは筋 力の回復が十分でなくて、転倒して骨折したりしていますよね。それは一体どういうこ とになるのでしょうか。それは極めてクオリティーの悪いことだと思いますが、こうい う調査でキャッチできるのでしょうか。 ○松田委員  多分それは例示になると思いますが、退院時のアセスメントのところにそういうもの が発生することが予想されるというふうに記載されていれば、それは予期されているも のになるだろうと思います。 ○山口委員  ということは、各施設の判断に任せるということですよね。 ○松田委員  でも一応そこの部分は例示をしますので、その例示に従ってやっていただくことにな ると思います。 ○山口委員  では、今言ったような例はどうなるのでしょうか。 ○松田委員  今言ったような例は、アセスメントに記載されるわけですよね。 ○山口委員  ええ。それはどういうカテゴリーに分類すべきものですか。 ○松田委員  それは予期されたの方になります。 ○西岡分科会長  どうぞ、伊藤委員。 ○伊藤委員  今、山口先生がお感じになられているのと同じことで、本来予期されたというのは、 例えば化学療法みたいに何カ月サイクルでやるということが、3週間サイクルでやると いうことが予期されたということであって、今、山口先生がおっしゃったのを予期され たにしてしまうと、本来そういう化学療法とか、その手の話のものがわからなくなるの ではないか。あとやはり多少気になりますのは、肺炎で入院されて貧血があるからと胃 がんが見つかった。そうしたらそれは一回退院していただいて、また別のときに入院し ていただく。前であれば通常そのまま手術までいったのが、区別されたりというのが患 者さんにとっていかがかというような気がするんですね。  だから、今お話をされたようなのを予期されたという形にしてしまうと、みんなが予 期された、どんなことでもあり得るという話になるので、何を見ているのかわからなく なるのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。 ○西岡分科会長  よろしいですか。ちょっと整理のために、この参考資料の15ページに予期された計画 的入院の例がずらりと並んでおりまして、予期されぬ入院の方が16ページにございま す。ですから、ちょっと今の山口委員の例示はかなり微妙なところがあるのかなと思っ たのですが。松田先生、どうぞ。 ○松田委員  倒れて骨折するのはどうかなと思いますが、例えば術後早く帰してしまったために、 何か続発症が起こる可能性が非常に高いというものは、ここのその他にいろいろ書いて ありますが、そこは少しまた整理させていただきたいと思うんですけれども、やはり起 こることが高い確率で予想されるというものは、予期されたということになるのではな いかなと思います。その辺は少し、先ほども御質問がございましたけれども、昨年の調 査対象施設が全施設でございますけれども、そこの関係者の方に少しお話を聞いて、そ の部分をちゃんと整理して例示したいと考えてございます。 ○柿田委員  毎年議論になるところですが、予期せぬ再入院がふえるところが質が悪くなったとい う見方もありますが、逆に、予期した再入院がふえるというのも質が悪いとも言えると 思います。というのは、本来ならば2週間で治療しなければならないものを、3日で再 三再四入院させるということは、DPCの施行上としてはある種の盲点のようなとこ で、在院日数短縮の方法としてここをうまく使っていはしないかという指摘もあるやに 伺いますので、予期したものがふえること、予期せぬものがふえることというのは、ど ちらもその結果を見て判断すべきことであって、余り調査のたびに定義が振れるのはよ くないと思います。  今の山口先生のようなケースの場合、逆に言うと、ひょっとすれば予期しない方でな いかと思うような、微妙な部分だと思うんですね。だけど、それが予期しない再入院で あったとしても、その種のものが逆にDPC導入でふえたとすれば、やはりそれは胃が んの治療上のある種のクオリティーを維持するための問題点として、1週間で帰すべき ではなかったわけで、本来2週間かけて帰すべきであったものと考えるべきです。結果 を見て比較して、それをまとめる段階でいかに総括できるか、考案できるかということ が大事であって、増えたか増えなかったかは比較してみなければわからないのではない かと思います。だから、なるべくシンプルでみんなが納得できるクライテリアで集めて みる方がいいと思っているのですが。化学療法は明らかにこれは予期した、3週間後に はクールで戻りますからそれでいいのですが、先ほどの例はどちらかというと非常に微 妙で非常に難しいと思います。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○松田委員  そういうものにつきましては、もし再入院であるとしても多分その他のところに入っ てくると思いますが、その部分については具体的な事由を、理由を書いていただくとい う形で処理させていただいて、その内容を見た上でどちらの方に整理するという形での 方法もあり得ると思いますので、その部分はそういうものが明らかになるように、調査 項目を工夫させていただきたいと思います。 ○柿田委員  ちょっと追加でいいですか。実は前にも、御指摘があった記憶があるのですが、例え ば化学療法のために従来ならば4週間そのまま入院していたものを、これを4つに区切 ってやっているのではなかろうかという指摘です。DPCはリピートした方がリセット できるわけですから。そういった御指摘も理解できますが、一方、なるべく在宅で治療 に専念していただく、あるいは外来の化学療法をやる方が、患者様の本当のクオリティ ーにはいいという概念がこのごろやっと確立されつつあるように思います。そういった いろいろな変化があるので、むしろ予期せぬ再入院、予期した再入院がどう動くかとい うのも、一つのDPC後の動向だと思うんですね。ですから、先ほど申し上げたよう に、どちらが多いからいい悪いという問題ではなくまず、ありのままデータをとってお くべきだと思います。 ○西岡分科会長  齋藤委員、どうぞ。 ○齋藤委員  酒巻先生のなさるこの医療連携のスタディーも、これからさらに重要度が増してくる と思うんですね。患者自身とか、あるいは病院の医療者による評価というものがありま すが、DPCを周辺の連携医療機関に評価してもらいたいということが非常にありまし て、特に機能別にごらんなる場合に、慢性期や急性期の病院で受け入れたときと、それ から診療所が退院後受け入れたときとで、その反応が非常に違うと思うんですね。そう いうことで、医療機関の機能ということでございますので、その機能によって受けとめ 方がどう違うのかということまで踏み込んで解析できるような設定をおつくりいただけ ると、特に医師会の先生は診療所の先生が非常に多いので、診療所の先生方も前向きな 評価なんですよということがわかれば、日本の医療者のコンセンサスが得やすいのかな という気もいたしますので、ぜひそういう視点をお願いしたいと思います。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○原分科会長代理  私は一つこういうことをお願いしたいのですが、予期せぬ再入院があったというもの と、在院日数が非常に短縮した病院と、そういう相関をとっていただければ、多少デー タに意味が出てくるのではないかと思います。例えば30日が20日になった病院というの が、予期せぬ再入院が仮に多かったとするなら、多少DPCと関連性もあるかもしれな い。ここは今そういうデータが全然出ておりませんが、そういう見地から、見方からし ても、あるいは意味のあるデータがとれるのではないかと思います。 ○西岡分科会長  どうぞ、酒巻委員。 ○酒巻委員  もう一つ、この再入院と絡めて調査が可能であるとすれば、それは患者満足度の中 で、再入院が約束されているような患者さんと、逆に今度は前回入院して再入院したと いう患者さんを識別していきますと、その患者さんの意見というのが少しわかってくる のではないか。やはり予期せぬということの中身は、患者さんから聞かないとなかなか わからないのではないかという感じがするものですから、もしそういう調査の工夫がで きるのであれば、調査班そのものは全然違うところですが、関連性を持ってくみ上げる ことができるのではないかと思います。 ○西岡分科会長  ちょっと難しいデータ解析になるのですが、熊本先生、いかがですか。 ○熊本委員  予期せぬ入院かどうかということではないですが、DPC以前に入院した方とDPC 後に入院した方を比較したデータも前回出したんですけれども、それに関してもやはり 基本小委員会でかなりいろいろ御意見をいただいているようです。同じことではないと か、いろいろ条件が違うのに満足を比較できるのかという御意見があったと思うので、 今の酒巻先生のことをするには、やはり化学療法のそういう特殊な条件の人たちだけで するということで、特定でしないと、全体の患者様にお伺いしてもなかなか分析結果は 得にくいことかと思います。特定のことに限定すればできるようなものかなと考えま す。 ○伊藤委員  去年のデータを再解析して、例えば在院日数の短い病院群と長い病院群とを比べてみ て、何かが出てきて、それからそういった調査の精緻化を考えないと、頭の中の議論だ けでもう一回かなり多大な労力……。特にいろいろな方から「何でこんな調査をいっぱ いさせるんだ」と言われて、病院の方から、現場からは相当怒られますので、それは外 に対して調査をする理由が明確になってからの方が。特に今、酒巻委員の言われたよう なのをまともにやろうと思うと相当大変な調査になるので、基礎データを出した上で検 討した方がよろしいのではないでしょうか。 ○西岡分科会長  確かに満足度調査でそこまでいくとなりますと、記名のアンケートをいただかなけれ ばいけないことになってしまうところがあるので、そこは難しいかなと思います。そう いったことも検討させていただきたいと思っております。ほかに何か御意見はございま すでしょうか。特に再入院に関しましては、毎年大きく議論のあるところでございます が、そこのところもできるだけ精緻化してやっていきたいと思います。それでは各担当 の先生方、調査の実施につきましてどうぞよろしくお願いいたします。  大体きょうの議論は以上でございますが、何か追加はございますでしょうか。なけれ ば事務局の方、連絡事項をお願いいたします。 ○眞鍋補佐  ありがとうございました。それでは連絡につきまして御報告させていただきます。今 後の見通しを御説明させていただきたいと思っております。  前回の診療報酬改定におきましても、大体秋以降のタイミングで、今行われておりま す調査の7月、8月分のデータを中間報告のような形で解析いたしまして、御議論いた だいて、その結果を中医協の基本問題小委に西岡先生の方から御報告をいただいており ます。ことしも同じようなスケジュールを考えてございまして、そのためには先生方大 変お忙しいところを恐縮ですが、恐らく来月の上旬、中旬ぐらいには、もう一度開催さ せていただくような運びになるのではないかと思っておりまして、また日程調整をさせ ていただこうと考えております。その後、そこで御議論いただいた内容を、西岡先生か ら基本問題小委に御報告いただくことになるのではないかというふうに、今の事務局の 案としてはそう考えております。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。特に何かございましたら。ないようですので、これで平成17 年度の第2回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を終了させていただきたいと思 います。本日はお忙しいところをどうもありがとうございました。                                    − 了 −                【照会先】                 厚生労働省保険局医療課医療係                 代表 03−5253−1111(内線3276)