05/10/05 第6回「子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会」議事録                    第6回        子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会        日時:平成17年10月5日(水)16:00〜18:00        場所:中央合同庁舎第5号館5階共用第7会議室 1.開会 ○事務局/母子保健課長補佐  定刻となりましたので、ただいまから第6回「子どもの心の診療医の養成に関する検 討会」を開催いたします。  このたび、雇用均等・児童家庭局長が、伍藤局長から北井久美子局長に交代いたしま したので、北井局長から一言ご挨拶申し上げます。 ○北井雇用均等・児童家庭局長  8月26日付で雇用均等・児童家庭局長を拝命いたしました北井と申します。どうぞ よろしくお願い申し上げます。これまで2年間、この局担当の審議官をやっておりまし たが、当局には非常に多岐にわたる課題がございます。一生懸命やってまいりたいと思 います。  そしてまた、この検討会にお願いしております問題も、大変重要な課題だと認識して おります。ぜひともよい成果を挙げていただきますようお願いいたしまして、簡単でご ざいますがご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○事務局/母子保健課長補佐  それでは座長の裄V先生、どうぞよろしくお願いいたします。 ○裄V座長  それでは早速ですが、議事を進めさせていただきます。  最初に、事務局から簡単に資料の確認と、一部の資料についての説明をお願いいたし ます。 ○事務局/母子保健課長補佐  お手元にお配りしました資料につきまして、順番にご説明をさせていただきます。  まず会議次第の綴りがございます。会議次第の一枚おめくりいただきますと、資料が 掲載してあります。  資料番号1から3とございます。資料1に開催要綱(5頁)。  いつも使用されております「子どもの心の診療医」のイメージ図(別紙)。  資料2としまして、スケジュール(7頁)。  資料3としましては(11頁)、今回議論の中心となります。前回第5回までの検討 会でご議論いただきました内容につきまして、議論の要点を簡単にまとめているもので ございます。こちらにつきましては、事前に原案について委員の先生方からコメントを 頂戴しておりますので、盛り込ませていただいております。  なお、保科委員、そして本日ご意見を頂戴いたしました別所委員、神山先生からのコ メントにつきまして、資料の準備の関係上、「意見の中間とりまとめ(案)について  〜委員の意見〜」ということで、別の綴りにご用意いたしております。  また、今回は、第4回検討会の議事録と第5回検討会の議事録をご用意いたしており ます。議事録につきましては、厚生労働省のホーム頁の中で随時掲載をしております。 第4回議事録は本日から掲載の予定でございます。第5回議事録につきましては、1〜 2週間後に掲載の予定でございます。  そのほか、委員の先生方からご提供いただいております資料が三点ございます。一点 目は、小冊子で緑の表紙「あすなろの20年」がございます。こちらは西田委員からご 提供をいただいております。  二点目としまして、杉山委員から、日本小児精神神経学会の10月14・15日の二 日間にわたって名古屋で開催されますプログラム・抄録集を頂戴しております。テーマ は「子どもの心の専門家になる子どもの心の専門家を育てる」というものでございま す。  三点目としましては、国立精神神経センターからご提供いただいているものでござい ます。白いA4版の表紙の小冊子で、「子どものこころを考える −我が国の健全な発 展のために−」という日本学術会議の「子どものこころ特別委員会」の報告書でござい ます。以上です。 2.意見の中間とりまとめ(案)について ○裄V座長  ありがとうございました。資料はよろしいでしょうか。  これまでの議論で、「子どもの心の診療」の現状、あるいは子どもの心の問題への対 応を行う小児科医や精神科医などの総称として、「子どもの心の診療医」という言葉を 使わせていただいてます。その養成の現状、また関係の深い周辺の課題などについて活 発なご意見をいただきました。  前回は、「子どもの心の診療医」の養成のあり方について具体的な議論が始まりまし た。養成方法に関する提言を行うといった、いわば検討会の中心的な課題に議論が入っ たと言えると思います。これまでの議論の中で形成されてきた共通認識は、きょうも会 議次第4枚目(7頁)に、逆三角形の図で示されている「子どもの心の診療医」の全体 図。そのうちの「I」から「III」まで、すべての医療レベルの医師がいずれも必要であ ると、すなわち子どもの心の問題に関する一般の医師、その主体は小児科医・精神科医 であると。一般の医師のレベルアップから、より高度専門的な技能を持つ医師の養成ま で、そのニーズが非常に幅広いものであるということです。しかしながら議論が散漫に なることを避けるために、まず逆三角形のもっとも広いすそ野の部分である一般小児科 ・精神科のレベルアップの方法について議論を行い、その後、後半としてより高度な技 能を持つ専門医の養成について議論を行うということで進めてまいりました。  今回は、事務局と事務局サポートチームが、これまでの議論の概要を議事録風に簡単 な意見の中間とりまとめといった形でまとめられたのが資料3(11頁)です。この中 でも、特に、「III.子どもの心の診療医の養成のあり方」(19頁)を議論していき たいと思います。しかし、その前に、この意見の中間とりまとめの位置づけ、またこれ をどのようにこれから取り扱うことになるのかについて少し確認をしておきたいと思い ます。この点について、事務局からお考えをお聞かせいただきます。よろしくお願いし ます。 ○事務局/母子保健課長  本検討会は、最終的には平成17年度中にご提言をいただくことを目標としておりま す。本日、ご覧いただきますように11頁以降を資料3という形で準備させていただい ております。現状については、だいぶ整理されてきたのではないかと思っております。  私が春に申し上げましたので覚えておられるかと思いますが、できれば寒くならない 秋口の時点で、それなりの形式のものが提示できればというお話しをさせていただきま した。そういう意味では、今回資料3として準備させていただいたと考えております。  今、座長からもお話しがありました取り扱いをこの時点で、公式の報告書のような形 で提出することがいいのかどうかということについてですが、事務局の意見としまして は、今の時点でどのような目的をもって公表するかということもあります。そういった ことを総合的に勘案しますと、議論の折り返し地点を迎えるにあたって、これまでのご 議論をいわば備忘の形でまとめたという性格のものにさせていただけないかと考えてお ります。  したがいまして、冒頭にあります資料2(9頁)、これが春、夏に出させていただき ましたスケジュールに沿った形でご提示をしているわけです。この中では、第7回目に (案)のとれた「意見の中間とりまとめ」として修正して、つまり世に問うといった形 で、少し大掛かりに書いておりましたが、もしこの方向で進むのであれば、最終報告書 に向けてのご議論に力を注いでいただけないかと考えております。  このようなわけで、座長も含め委員の先生方のお許しがいただけるようでしたら、今 後は各項目の項立て、章立て、あるいは全体的に細かなところそうでないところ、言い 方が適当かわかりませんが粗密なところ、足りないところ、バランス、あるいは外部の 人が読んだら意味がわからないということがあろうかと思います。そういった視点でこ の資料をご覧いただければと思います。私どもの方は、関係箇所、例えば精神保健福祉 法の取り扱いについて等、省内の担当課にも確認していただき、調整をしたいと思って おります。  それから資料3は資料3として、別途お願いがあります。この間も申し上げたと思い ますが、「健やか親子21」などで掲げております目標を考えますと、物ができてか ら、例えばテキストができるまで、あるいは本日の資料3の基盤ができるまで、修正さ れるまでといって待っておりますとなかなか難しい面もあろうかと思います。そういう 意味では、今後、少しモデル的、パイロット的に研修を実施していく必要があるだろう と思っております。  そういう先ぶりはともかくとして、本検討会にご出席いただいております関係学会の 皆様から関係機関の取り組みの現状につきましては、事前に情報をいただき、資料の形 で末尾にまとめています。現在、既に行っている研修、関連する活動をどのように有効 に活用していくかということも、この資料3のご議論とは別にモデル的、パイロット的 な研修について、協力できるとか少し膨らませれば近いものができるといったこともご 議論いただければと思います。以上です。 ○裄V座長  ありがとうございました。ただいま、母子保健課長から中間報告書といったものにつ いて、本検討会での性格づけについてご説明いただきました。  通常、検討会の中間報告書といいますと、ほとんど内容が見える形のしっかりしたも のが出されると思いますが、この検討会に関しては、今までの議論の内容を整理して、 これからの議論のたたき台にするという形での備忘録的な意見の中間とりまとめという 形でやっていくと。そして事務局及びサポートチームが、資料3としてまとめられてい るものを作って下さったということだと思います。  それとともに、これから学会間の連携も密にしておのおのの学会に「子どもの心の診 療医養成」と、この検討会としての目的に沿った活動の拡充を図っていただきたいとい った旨の要望もございました。これについては、養成を実行していく上で大変重要なこ とだと思いますので、さらに具体的にこの検討会としても考えていきたいと思います。  以上、意見の中間とりまとめについてのご説明、取り扱いに関してのご説明につい て、何かご意見がございますでしょうか。そういう形で取り扱わせていただくというこ とでよろしいでしょうか。  前もって委員に提示されてありましたが、これに関して、あらかじめ何人かの委員か らコメントが寄せられているということです。その中に、日本小児科医会から大変参考 になるコメントを出していただいております。これについて保科委員からご説明をお願 いいたします。 ○保科委員  「意見の中間とりまとめ(案)について 〜委員の意見〜」をお読みいただければ、 特に説明することはありません。  前からお話がありますように、ボトムアップのための基礎づくりという形で、実際の 現場に出ている先生をいかにボトムアップするかが私たちの役目です。学会の先生方と 研修の初期からの中の問題とは、少しイメージが違うというのは認識していただきたい と思います。  5頁の下の方に書いてありますが、主たる研修は、「子どもの心研修会」というよう な短期的なものでしかありませんが、少しでもイメージをつかんでいただくことで行っ ております。できるだけ全国的に広げていくということで1年置きに東京には戻ります が、その間は必ず地方に行くという形で開催してます。  関連講習会として「思春期の臨床講習会」、「カウンセリングの実際」です。「カウ ンセリングの実際」は、どうしても少人数で行っているのが現状です。以上です。 ○裄V座長  ありがとうございました。ぜひ、ほかの学会また団体につきましても、このような形 で「子どもの心の診療医」の養成のための研修など、質的、量的に拡大できる方向で検 討、計画をしていただきたいと思います。  ほかに何かこのような取り組みについて、お話しいただける方がいらっしゃいますで しょうか。 ○神山先生  「意見の中間まとめ(案)」についての3番目に書かせていただいております。この 最後に、今年の7月に国立精神・神経センター精神保健研究所で、日本小児神経学会の 理事でもある加我先生が中心になられて開催されたプログラムをご紹介します。  齋藤先生も参加していただきました。初めは50人の出席を予定しておりましたが1 24名が参加しました。精神科の先生も来ていただきましたが、小児神経科医が多かっ たと思います。あとは、一般の小児科医も来ました。こういった形での講習を今年初め て開いたわけです。今、保科先生が仰ったボトムアップ、プラスもう少し神経というこ とに関して、こと「心」ということに関して関心を持っている方への対象という試みと とらえていただければと思います。 ○裄V座長  ありがとうございました。今、日本小児神経学会としての取り組みということでお話 しをいただきました。ここに代表として出ておられる学会、団体としても現在まで行わ れてきた研修、またはこれから企画しようとしていることを、議論を反映したような形 で進めていただければと思います。これについては、後ほどあればどんどん出していっ ていただきたいと思います。  もう一つ、この冊子には日本小児科学会からの意見もありますが、中間とりまとめに ついて具体的にさまざまなコメントがつけられております。これについては、事務局ま たはサポートチームでバージョンアップする上で参考にさせていただきたいと思いま す。よろしいでしょうか。  そういうことで次回には、個別具体的に各学会や団体に、どのような点をお願いでき るのかお話しいただく機会を設けたいと思います。  母子保健課長からは、正式な形での中間報告書をとりまとめるのでなく、前半の議論 の備忘として、引き続き議論を進めるための土台として本日の資料をまとめられたとい うお話でした。基本的には、中間とりまとめはむしろ今後の最終報告書に向けた準備資 料的なものになると位置づけられるものではないかと思います。  内容を見ていただきますと、「I.子どもの心の診療の現状」、「II.子どもの心の 診療医の養成の現状」、そして「III.子どもの心の診療医の養成のあり方」、「IV. 子どもの心の診療医養成に係るその他の課題」といった4部構成になっております。  今回は特に「III.子どもの心の診療医の養成のあり方」(19頁)を重点的にご議 論いただきたいというお話がございました。もし時間があれば、そのほかのところも議 論したいと思います。そこでサポートチームの中心になっておられる奥山委員、齋藤委 員から補足することがあれば説明をお願いいたします。 ○奥山委員  では簡単にご説明をいたします。裄V座長からお話がありましたように、「III」が 今回の大きな議題だと思います。  その前に、それまでの部分に関して一つお願いがございます。本日、神山先生からご 提出いただきましたように、資料を提出していただけるとエビデンスがわかってよろし いかと思います。ここに資料1、2、3と書いてあるのは、事務局サポートチームで、 こういう資料は出せるであろうというところでまとめたものです。神山先生からのご提 出がありましたように、それ以上に資料があれば、ぜひご提示いただいて組み込んでい きたいと思いますのでよろしくお願いします。  「III」に入ります。「子どもの心の診療医の養成のあり方」をAとBに分けました。 Aは、到達目標を多少提示をさせていただいき、Bはそれを実現するために具体的にど のような方法があるのか考えられるものを書いております。Aは、前回の1次、2次、 3次という形で考えてみたものをもとに、今度は研修をするときにどんな到達目標が必 要かというところで落とし込んでみました。これに関しても、今回は細かく書いてみま したが、どこまで細かく書くべきかのご議論もいただきたいと思います。また、これに 対してもっと加えるべきだ、省くべきだとのご意見もあるかと思います。事前にご提出 いただいた先生もおられますが、その他にもご意見をいただけると助かります。  次のB、「養成のための具体的な方法(素案)」と書いてありますが、これまであま り具体的にご議論いただいていない部分だと思います。たたき台が必要であろうといこ とで、事務局サポートチームで議論をし、こんなことが考えられるのではないかという ことを書かせていただきました。ですから、これは皆様のご議論をまとめたというよ り、こちらがたたき台として出させていただいたものになりますので、ぜひここのとこ ろを中心に皆様のご意見をまとめさせていただければと思います。  話が前後して申し訳ありません。AとBそれぞれに「1.卒前教育」、「2.卒後研 修」、「3.生涯教育」の中で子どもの心の診療に関する研修、「4.専門研修」、と いう形で4つの項目でまとめさせていただいております。卒前教育はご承知のとおり医 学部の教育です。卒後研修の中には、新医師臨床研修と後期研修があります。小児科の 専門医研修と精神科の専門医研修をいわゆる後期研修として挙げております。3番目が その研修が終わったあと、先ほど保科先生からもお話しがありましたように、終わった 方々でさらに子どもの心の診療を目指す研修として何が必要かということになります。 最後は、本当に子どもの心をもっぱらに見るような専門医としての研修にはどんなもの が必要かといったように分けて、AとBそれぞれに対応して書かせていただいておりま す。以上、よろしくお願いいたします。 ○裄V座長  19頁以降には、かなり細かい具体的な子どもの心の診療に関するといいますか病 態、あるいは診断、病名が出ております。重要な問題であればここで意見を出していた だきたいと思いますが、細かい内容に関してであれば事務局にご意見をお寄せいただ き、事務局サポートチームの方で検討してバージョンアップの中に反映させていく形を とりたいと思います。 ○山内委員  7頁のイメージ図ですが、我々が合意している逆三角形のイメージ図と、奥山先生が 説明なさった卒前、卒後の臨床研修、その後の各科の専門医の養成のための研修、ま た、もっとサブスペシャリティの高い子どもの心の診療専門医といったものがあると思 うのです。それらとイメージ図の関係が明確にされていないような気がします。  また、各学会が持っている専門医制度と、どういう対応関係にあるのか、あるいは奥 山先生が仰った研修は、このイメージ図のどこに位置づけられるのか、そのあたりをも う少し詰めた方がいいのではないかと思いました。   ○裄V座長  山内先生のご意見に関して何かございますでしょうか。   ○奥山委員  イメージといたしましては、「I」の一般小児科、一般精神科の部分は、ここでいう 2番、いわゆる卒後研修の終わったといいますか、私自身のイメージでは卒後研修修了 をイメージしております。それから「II」に基礎研修という昔の言葉を残してしまった のですが、いわゆる生涯教育としての研修を受けたというあたりが逆三角形のIIにあた るのかと思います。それから専門研修を受けた医師が、「III」にあたると思っており ます。  それぞれ非常に入り組んだ部分もありますので、「おおむね」ということのイメージ でございます。 ○裄V座長  私の方から意見を言わせていただきます。ここで卒後研修としてスーパーローテイト による医師臨床研修と、小児科及び精神科の専門医研修と分けてあります。いわゆる専 門研修あるいは後期研修という言葉が使われています。そこで初期研修2年、後期研修 あるいは専門研修3年が経った段階で、小児科専門医あるいは精神科専門医の試験を受 ける資格ができる。その範囲の小児科医・精神科医というのは、いわば General Pediatrician(ジェネラル・ペディアトリシャン)であり、 General Psychiatrist (ジェネラル・サイカイアトリスト)であると。その範囲のものが、三角形のボトムの 部分だと私は解釈しておりました。  その一方で、既に既存の小児科医・精神科の先生方がいらっしゃるわけです。そうい う方々については、これからさらに生涯研修という形でレベルアップを図っていかなけ ればいけないということになります。そのレベルも、今、言った専門研修のレベルとほ ぼ同じだと思いますが、それを生涯教育の中で進めていく。そういったことを担うの は、ベースになる小児科学会、精神神経学会、小児科医会だという位置づけになると思 います。  先生のご質問に対して奥山委員と私の意見で少し明確になったかどうかもう一度お伺 いしたいところです。 ○山内委員  そうしますと、「I」の一般小児科・精神科などの医師というのは、いわゆる学会の 専門医になった人たちと、 General Pediatrician とか General Psychiatrist という ものであると考えるわけです。そうしますと「II」は、その中でサブスペシャリティと して子どもの心の診療をするという人たちが相当すると、そういう理解でよろしいので しょうか。  それから前にそういう議論になったことを記憶していますが、そういうサブスペシャ リティを持った人でも、自分がどういう施設にいるかで高度な対応ができないというこ ともあるし、施設によっては高度の対応ができるようになるので、この「II」と「III」 のところは実はそういう施設の対応能力ということも関係してくる。「II」、「III」 はそういう意味ではサブスペシャリティとして子どもの心の診療ができる人という理解 になるのでしょうか。 ○裄V座長  そうだと思います。その辺りのところ、「II」に関しては、日本小児神経学会また日 本児童青年精神医学会、あるいは日本小児精神神経学会、日本小児心身医学会そういっ たところでの研修などが担うレベルではないかと思っていますがいかがでしょうか。 ○森委員  話を聞いていて大変混乱をしております。山内先生が言われた三角形の部分とこの表 を当てはめようとすると無理が起こるのです。卒前教育、卒後教育は医師の養成の課程 ですよね。前にも申し上げたと思うのですが、新医師臨床研修があって後期研修の専門 医教育がある。これは全体のジェネラルな話ではあるのだけれども、これをここに書い てしまうと、非常にわかりにくいと思います。ジェネラルなところが一旦終わって、サ ブスペシャリティになって基礎研修をやるわけではなく、やはり基礎研修はあくまで全 体にかかるわけです。ですからこの順番でいくと、どうしても途中までがジェネラルで 途中からサブスペシャリティになってしまいます。そのサブスペシャリティの中に基礎 研修があるというと、それをサブスペシャリティとして選んだ人だけが基礎研修に出る ことになってしまうのです。そのように読めてしまいます。書き方をもう少し工夫して いただくと。 ○裄V座長  今、仰った基礎研修という言葉は、非常に誤解しやすいというかわかりにくいと思い ます。先ほど奥山委員もその点に触れたのだと思いますけれど、基礎研修という言葉を そこで使うと非常に混乱をする。 ○森委員  「3.生涯教育としての子どもの心の診療に関する研修」(23頁)の中にも(1)基 礎研修、(2)応用研修、(3)臨床研修と書いてあります。子どもの心の問題が大きな問題 であるということで、こういう逆三角形の研修のシステムを含めて考えていこうという ところが出発点なものですから、医師の全体の教育システムを一緒に入れてしまうと、 恐らく混乱してしまうと思うのです。それがわかりにくさだと思うのです。 ○裄V座長  仰っていることはわかります。ただ、そういった医師養成の全体の枠組みの中で、そ れは学部教育まで含めてこういった点についての現在あるような状態よりもレベルアッ プしたといいますか、教育が必要であるというご意見であったと思います。それを、こ のような形で卒前教育から含めて述べていると。 ○森委員  よくわかります。要するに本来は、ジェネラルなお医者さんを養成していく卒前教育 あるいは卒後研修の中で、子どもの問題がきちんと組み込まれることが理想なのです。 だけどその時間がないという議論があったと思います。ですから別個基礎研修から始め なければいけないかもしれません。結論がこれですと、どこが担うのか。こういう卒前 教育・卒後研修、新医師臨床研修の中に、児童思春期の問題をきちんと何時間以上入れ なさいとやっていくわけではない、できないということだったわけですから。精神科専 門医の中でジェネラルなものとして基礎研修を終わらせるのか。   ○裄V座長  そこで、やはり基礎研修という言葉の意味が非常に話をわかりにくくしているように 思います。 ○奥山委員  すみません、恐らく最初の頃に書いていたもので、生涯教育としての臨床研修という ところが基礎研修という名前になっていたと思うのです。それがそのまま逆三角形のと ころで残っているので誤解を招きやすくなっていると思うのです。そこが変わってしま ったので、ここも変えるべきだと思います。  もう一つ、23頁にある(2)の<案>としての(1)基礎研修、(2)応用研修、(3)臨 床研修と書きましたのは、生涯教育としての中での基礎的な研修です。ですから「的な 」というのを入れた方が良かったのかもしれません。基礎的な研修・応用的な研修・実 技を含めた研修という形です。ここでは、個人個人の目的によって色々なメニューで選 べるように、でも基礎はきちんとしましょうということを言いたくてこれを入れまし た。 ○森委員  そこが明確になっていればわかるのですが、整理されていないと、どこに責任が求め られているのかわからない状況だったものですから。 ○裄V座長  仰ることはよくわかりました。この逆三角形のイメージ図の「II」として基礎研修と いう言葉が使われています。その基礎研修の意味合いがわかりにくいということです。 ○齋藤委員  この逆三角形が理解しにくい部分があるとすれば、これは現状のことを整理するため のものなのか、それともこれから目標としているものをやるのかというところも少し分 けて、両方に逆三角形が成立し得ると思いますので分けて考えないといけないと思いま す。  そして現状でも、この逆三角形は全く成立しているわけです。その中では一般的に小 児科は、心まではあまり専門的だと感じていないところもでも、General Pediatrician として成立するわけです。精神科でいえば、子どもの教育を受けたこともないし関心も ないという方たちも、これは現時点では General Psychiatrist として成立し得るわけ ですから、そのところで生涯教育の中の例えば小児科医会が行ない、あるいは森先生の ところで行うといったような3泊4日ぐらいの研修を行って、いささかなりとも関心や 知識を得ていただいた方たちは、現状で言えば「II」の段階になると思うのです。そし て、より実際に症例を持って指導医のいるところで何年かの研修をしたという人たち が、多分、「III」の形になるのだと思います。  ところがこれで今後のことを考えていったときには、できたら「I」のところでも、 例えば小児科では心を多少とも専門的な知識を得るトレーニングの期間も必要ではない か、精神科の専門医となるためにも児童や思春期のことも課題の中に入れてもいいので はないかという話もでてきていると思うのです。それを入れてこの逆三角形を考えてい くのかどうかというところをはっきりさせた方がいいかもしれません。そうだとすれ ば、「II」というのは非常に微妙なところになって、現状の「II」に当たることは、も しそういう専門医制度が小児科及び精神科のカリキュラムの中にきちんと位置づけられ るなら、「II」はもう含まれているわけです。その段階での「II」というのは、もっと 違った性格を帯びてくると考えられるように思います。 ○牛島委員  そこら辺りの問題ですが、基礎研修というのは、小児・精神医学の研修を受けたぐら いでもいいと思います。言葉はどうでもいいと思うのですが、どのぐらいの内容を考え ておいでかということが大事のような気がします。例えば、日本精神科病院協会が厚生 労働省の精神保健福祉課の委託を受けてやっていらっしゃる新規講座みたいな、あの程 度でも既に「II」に入れてしまうのか、それとももう少し内容のある例えば臨床医を伴 ったものまで含めさせるのか、実はこの検討会そのものがボトムアップということがメ インテーマのようですので、そこらあたりの内容についてはまだ議論の余地があるので はないかと思います。  それからあれは基本的には個人です。この間、私は個人にするのか、施設を中心にす るのかと言いましたが、基本的には個人で、資格の問題が絡んでくるように書いてござ います。例えば、齋藤先生が、現在はトップレベルの技術診療をやっていらっしゃいま すが、定年退職なされた後にクリニックでも開業されてゆっくり診るようになったら、 少し落ちるのかといったら必ずしもそうでないのです。 ○裄V座長  その点の議論は前回の最後のところでやりました。   ○牛島委員  その問題に少し関係したような気がしています。それはそれでいいような気がします が、きちんと資格を取って、知識と技能があって与えられた場所であれば、きちんと実 力が発揮できるという形でもっていけばいいなと、今、気付きました。ただ、この「II 」のところをもう少し議論を詰めないと、色々指摘されて返事に窮することが出てくる ような気がします。 ○裄V座長  その点の研修の内容、カリキュラム、到達目標といったものが、具体的にどういうも のかということが19頁から22頁にかけて書いてあります。それを見て一般小児科 医、精神科医としての持つべきレベルはこの程度のものでよろしいでしょうか。あるい はまた、さらにもう少し上のレベルの、子どもの心に関して多少専門的なレベルと、こ こでは逆三角形のIIに該当するような人にとっては、ここに書いてあるようなレベルで はどうでしょうか、それがここに提案されているのだろうと思います。 ○杉山委員  「資料3 子どもの心の診療医の養成について 〜意見の中間とりまとめ(案)〜」 をメールで送っていただいてざっと読んだときにすごく気になったことがあります。 「説明ができる」、「助言ができる」といった言葉が多くて、特に「基準を述べること ができる」ということが最初の方に書いてあります。例えば、19頁の「2.卒後研修 」、「2)個別行動目標」にある4つ目の「・神経性無食欲症の身体治療について述べ ることができる」という記述です。こういう書き方は医学部の学生の諮問であればいい のですが、実地のプラクティカルなお医者さんの目標としますと「診断ができる」とか 「治療ができる」ということにすると、いくら初期研修であっても、この書き方ではま ずいのではないかと思いました。いかがでしょうか。 ○山内委員  どなたがつくったかわかりませんが、医学教育学会ではこういう一般目標などといっ た形で言葉にこだわっています。「なんとかができる」といった表現でつくりなさいと いう指導を受けています。私はこれを読んだときに、医学教育学会などの提唱している 一つのシステムに乗っておつくりになったのかと思いました。それは作法みたいなもの らしいです。  ついでに、先ほどのイメージ図との関係です。色々なご意見がありましたが、まずは 齋藤委員が仰ったことと関連しますが、「こうあるべきだ」というのが、一般目標とか 教育目標との繋がりで出すのが混乱しなくていいと思います。そしてそれに、今、何が 欠けているのか、どこをどうしなければいけないかということを明確化して、現在の現 実的目標と将来の到達目標を区別した方が混乱しなくていいのではないかということで す。  それからこの逆三角形ですが、本日の議論を聞いていて、実は逆三角形の一番広いと ころに少し上乗せの部分があり、そこは卒前、卒後臨床研修でジェネラルな人たちの中 でも子どもの心にある程度の判断ができるような人たちを育てるべきだということで、 今までの議論があったと思うのです。そうすると、「I」の学会・専門医というところ でも、もう少しそういうところに力をいれたプライマリーケアで対応できるようなもの をつくるべきだということになると思います。  そうすると、「II」と「III」のところは実はサブスペシャリティで、子どもの心の 診療を専門とする人たちという二分法になるのではないかと思います。その中で、では 「II」と「III」は何が違うのかという議論がもう少し明確化された方が混乱しないの ではないかと思いました。 ○裄V座長  「II」と「III」のレベルの違いはどのようにとらえたらいいでしょうか。今までも 何回かそういった議論が出てきたと思いますが。 ○杉山委員  僕自身の最初のイメージは、例えば今度シンポジウムをやっていただく中に静岡で開 業していらっしゃる小児科医がいます。その方は星加先生のもとで研修を受けられて、 齋藤先生のもとで1年間レジデントとして研修を受けて、そして今開業医をやっていま す。そういう方が「II」だと思っていました。  ただ、考えてみますと、本来は第二次医療機関は、例えば市民病院のレベルです。そ うすると市民病院の小児科であるとか精神科であるとしますと、子どもに関してある程 度のレベルを持っていないといけないはずです。それより上がスペシャリティになるわ けです。そこらあたりが混乱を招く要因になるのだと思います。  それから用語の問題ですが、医学的なトレーニングというのは知識と実践(現在は技 能)です。その繰り返しが必要になってくるわけです。僕自身ボトムアップで気になる ところはそこです。例えば今やっているボトムアップ議論は、講義を行うということが でています。講義だけで技能に達するかといったら無理だと思います。実際の臨床の場 面を体験するにはそれに近いトレーニングを行うシステムがないと、ボトムアップには なりえない。講義レベルで知識は獲得できますが、プラクティカルの方は無理で、ボト ムアップ議論でも、そこのところをどうやって保証するのかというのをしないと意味が ないと考えます。 ○奥山委員  実は新医師臨床研修などの場合、「述べることができる」がどうしても多くなってし まいます。新医師臨床研修は先生が仰るように対象となる患者さんに当たるかどうかわ からない状況です。1ヶ月しか小児科にいない、1ヶ月しか精神科にいない中で、そう いう患者さんと出会うということ自体が難しいのです。では何も知らなくていいかとい うと、知識だけはやはりある程度もってほしいということがあると思うのです。ですか ら新医師臨床研修の中では、例えば一般のお子さんの発達歴とか家族歴、アナムネを取 っていく中で、心の問題を意識をして行えるようなトレーニングができるということを 入れますが、それ以外のところは技能として入れるのは難しいのではないかと思って 「述べる」が多くなっています。  もうひとつ、先生が仰るように、トレーニングは本来は実技といいますか技能が伴う ものでなければいけないと思います。現実、先ほど来山内先生からもお話しがあるよう に「I」、「II」、「III」と書いてありますが、もしかしたら「I」と「III」の二つで いいのかもしれません。ところが今あまりにも三角形のとんがった部分が少ないので、 なんとか「II」の部分を充実させていかなければいけないということが背景にあるのだ と思います。そういう意味で保科先生のところは、保科先生のところで色々ボトムアッ プとしてやってこられております。杉山先生が仰ったようなドクターは、そのドクター の目標に合わせていろいろな研修を受けてこられたと思うのです。  その「II」の部分を、「無し」としてしまうのでなく、「有り」として少し幅広く取 り込んでおくとことが必要です。個々の目的に応じて、いろいろな研修を受けられるよ うな制度を「II」のところで入れておかないと、広いところ・狭いところだけになって しまうとつながらないのではないかという危険性があるので、「II」が少し膨らんでく るのではないかと思います。 ○牛島委員  専門家とか素人とか、その中間というとただ、専門のところが色が濃くて、中間は中 間色で上は薄くてという感じで、何もかも全てに亘って地域は同じだけれどもその内容 が少しずつ薄れていくというものの見方で、果たして通用するのかということを考えて おかなければいけないような気がします。特に、子供の問題で現実を見ていると、例え ば発達障害には強いけれど、アノリキシネルボーザといった心理的なことになると駄目 だという専門家と称するような人もいるような気がします。逆もまた真で、心的なこと に対して社会的なことに対して強いけれども、発達障害については駄目だという人がい ると思うのです。だから「II」のところは、もう少し議論すべきだと言ったのはそうい うことです。ただ、専門的で非常に技能、知識が豊かであると、それを少し薄めた人た ちというものの考え方から離れたほうがいいのではないかという気がします。この点は いかがでしょう。 ○神山先生  今の議論で、患者さんの立場の議論が欠けているのではないかという気がしましたの で発言させていただいています。患者さんとして、一体どこに行ったらいいのかという こと、それから逆に1次、2次のドクターにしてもどこに送ったらいいのかというのが すごく大事だと思うのです。そうすると牛島先生の意見とは違いますが、医者としたら ひょっとしたら1次は別ですが、2次、3次が一緒で、2次と3次の違いは逆に施設な のかという気がします。  専門の施設では、やはりそれ以前の時点では1次である医者も受け入れて研修してい ただき、多くのドクターがいて、という中でこそ3次の専門の施設としての役割が果た せるのではないかと思います。ドクターとしては大きく分けて2つですが、「II」のと ころが施設によって少し分かれてくるのかなと感じました。 ○南委員  私もこれを一般の人が見た場合のことで意見を申し上げます。今、先生が仰ったこと と多少重複するかと思います。  一般の国民からみますと、やはり「I」はいわゆる総合診療医的なものになるという ことにほとんど異論はないと思います。「II」と「III」は、やはり旧来牛島先生ご指 摘のとおり施設と不可分なことだと思うのです。最終的に施設が重度で、入院が必要な 患者さんの対応はどうしても「III」だとすると、「II」と「III」の違いは、やはり 「II」は入院施設があるにしても星加先生のところのような一般病棟の中での対応とい ったものだと思います。ですので、施設との議論は、どうしても完全に分けてしまうこ とができないのではないかという気がします。 ○裄V座長  人か施設かというのは前回議論されたところです。またそこにある意味で戻ってしま ったところがあります。個々のドクターの知識と技能が、場所によってどの程度生かさ れるかということでもあるわけです。何回か例が出ていますように、非常に児童精神の 専門として活躍しておられる先生方、また教育的な立場に立っておられる先生方も開業 されればそのような役割を担うことができる。それはそこの場ではそうですが、その方 は高度の専門家であることは間違いないと思います。  また一方で小児科医であって特に小児神経を専門にしておられる先生の中で、発達障 害なりもう少し広く子どもの心について十分な興味をもっておられ、一般の小児神経の 診療している中で子どもの心の診療についてもジェネラルな小児科医よりはずっと高い 立場にあるという方は、ここで言えば「II」のレベルだろうと思います。  その方がさらに、例えばナショナルセンターで1年なり2年なり研修をして、子ども の心の問題に関して後から来る先生方に教育することもできるというレベルであれば、 さらにスペシャリティが高い、専門家だという位置づけをイメージとして持っているの です。 ○南委員  少し言い足りませんでした。私も施設か人かという議論に戻すということでは必ずし も意味しなかったのです。ここで今、問題にしているのは人であるということに異存は 全くありません。この図をどう読み取るかというところでは、結局この三角形の頂点の ところは、対象となる患者さんの難易度と読み替えられないかどうかという点です。重 度の入院が必要、家族から引き離す必要があるといった例が多くなるのではないかとい う意味で、施設と不可分ではないかと思ったのです。 ○裄V座長  実際その通りだと思います。 ○吉村委員  少し関係ないかもしれません。先ほどの厚生労働省の特定機能病院の会で、救急施設 のことを述べました。救急は初期救急施設と2次救急施設、3次救急施設となっており ます。初期は外来レベル、2次は入院が必要な、しかし生命に直接かかわらない患者を 扱う施設、3次は非常に生命にかかわるような重症なあるいは複雑なものとなっており ます。今のお話に出ておりましたが、それとは別に救急専門医というのは、その施設と は関係なしにレベルがあります。これを見ますと、今の「I」の一般の方々は、いくら 研修を受けても自動的に「II」に行くわけではありません。ですから「I」の方は一般 の精神科、小児科の方で子どものことに十分な研修をしていただいて次に送れると。 「II」の方は、それを修了してさらに基礎研修を修了した医師というよりも、そこの段 階で子どもの心についてよりサブスペシャリティの研修を深くやっておられる方という ことではないでしょうか。そして、「III」はさらにそれを3次レベルのところで扱わ れるような、あるいは2次でもよろしいのでしょうが何か別のカテゴリーになるのでは ないかと思います。  ですから、医師と施設とそれを扱う患者さんを分けて考えるとすっきりするのかなと 思ったのですがいかがでしょうか。 ○伯井委員  日本医師会としては、新医師臨床研修という問題とその後の後期研修という名前を言 われていますが、これは非常に紛らわしいということで分けて考えなければいけないの ではないかと問題提起をしています。専門医というのがありますが、「I」に小児科・ 精神科と書いてありますが、一応小児科・精神科と書いてあれば専門医と呼ぶのかで す。私は2年間で新医師臨床研修を終了したあと3年間小児科の研修をやったら、小児 科専門医としているような学会が多いのですが、これはやはり専門医でなく認定医だと 思うのです。小児科をする認定医であって、小児科の専門医というのは、そこから今言 ったような子どもの心の問題とか、あるいは代謝の問題といったところをさらにサブス ペシャリティとしてやるのが専門医だと思います。私は、そういう仕分けをこれからし ていかないといけないと思います。  例えば何科の人が1万人いて、9000人が専門医とこんなばかなことはないわけで す。だから認定医ということを、まず5年間やることによって「あなたは小児科の認定 医ですよ」ということをした上でと、それが一番だと思います。  ここでは学会専門医というのはおかしいと、そこから「II」に移る場合は小児科とし ての認定医であるけれども、その中でサブスペシャリティとして心の問題ということで 勉強するということで「II」にしたらいいのではないかと思います。そこから「III」 へ行く場合は、ジェネラルはやらないで心の問題ばかりやる人が「III」、これが本当 の専門医という気がします。  そういう振り分けをしないと、一番すそ野の一般の小児科・精神科と単に言うのは学 生なのか医者になった直後の人なのか、非常にあいまいです。小児科としては、5年し ないとあなたは小児科医ですよとある意味では言えないという認定医という感覚でいか ないと、そこでふるい分けしたら、ある程度「II」、「III」がいけるのかという気が します。 ○裄V座長  伯井委員が日本医師会のお立場で仰ったことはよくわかります。しかし、現在日本に おける専門医制度、各学会、非常にたくさんの学会が専門医制度を作っています。そし てまたそれについて厚生労働省に届出をして認められたものに関しては、専門医の広告 ができるといった制度としてあります。そこでの専門医は、今先生が言葉として認定医 が適当だと仰ったレベルの者を専門医として認めて、それについて各学会もそういう形 で専門医制度を構築しております。厚生労働省としても広告ができるという形で制度化 されている。しかし、その枠組み全体に関して、言葉の使い方として問題があるという ことはご意見としてわかります。 ○伯井委員  今、医師会でその辺りのことは学会とも話し合って詰めています。急に専門医が認定 医というわけにもいきませんから、それは過去の専門医ということも考えながら今、詰 めているところです。考え方としては、今のような考え方をして「I」、「II」、「III 」とするならいいのかなという気がします。 ○裄V座長  その点はわかります。しかし、専門医という位置づけというものについては、日本医 師会、日本医学会、専門医認定制機構といったところで議論をしておられるところだと 認識しております。その議論に、ここでの検討会での議論を現時点で重ね合わせるのは 非常に難しいと思います。  先生のご意見としては「認定医」という呼び方が適当だと仰るのはわかりますが、こ こでの言葉づかいとしては、現時点での小児科専門医・精神科専門医という言葉を使わ せていただきたいと思います。 ○森委員  少し話を戻して申し訳ありませんが、先ほど吉村先生が仰ったようにこの逆三角形は 施設と人はたぶん違うと思うのです。「施設」イコール「人」ではない、リンクしない のではないかと最初から思っていました。  医師としての「I」、「II」、「III」はもちろんあると思いますが、施設としての 「I」、「II」、「III」と必ずしもリンクはしないだろうと思います。例えば、外科な どですと、オペの回数で評価するのはユーザーが評価します。例えば牛島先生がたくさ んの症例を見ておられれば、その症例を将来的には開示をして、この先生はどういう患 者さんをどれだけ診ているというのが専門であると評価して、みんながかかるわけで す。そういう世界がこれから来るわけですので、こちら側から「あなたは研修を受けて こうしたから一番上級です」ということでは違うと思います。とりあえず施設で分けざ るを得ないけれども、人は後から評価がついてくるだろうと思うので、リンクはしない のではないかという気がします。 ○山内委員  この問題、特に「II」と「III」がどういう関係にあるかということを明確化するた めに、一つのテーマを出したいと思います。これは「子どもの心の診療医の養成」とい うテーマでやっているわけです。資格として「II」と「III」は違った資格を付与すべ きなのか、同じサブスペシャリティの専門家として、「II」と「III」は同等でいいの かといったことについていかがでしょうか。 ○裄V座長  資格の付与という言い方をされましたが、検討会として子どもの心の診療に関する専 門医資格というものについて、委員の皆さん方どのように受け取っておられたのでしょ うか。  私は、子どもの心の専門医資格というものに関しては、学会がそういうものが必要だ と考えて、これからそういった制度を構築していくということはあろうかと思います。  しかし、国としての今後の政策を進めていくための検討会が、検討会として資格制度 といいますか、専門医制度が必要だといえるのかどうか、議論できるのかどうかです。 ○山内委員  すみません、余分なことを言って混乱が増したら申し訳ないです。資格の付与という のでなく、専門性にこの「II」と「III」では違いがあるのかと。例えばどういうよう なことが、態度とか技能の習得をしなければ「III」になれないと考えるのか、その 「II」と「III」の間の専門性に違いがあるかどうかという質問に変えます。 ○裄V座長  わかりました。 ○杉山委員  施設と人との問題に絡みますが、南先生の仰ったことはごもっともです。この領域に は人があまりにも少ないものですから、階層性が機能していないのは最初から出ている 問題です。1次も2次も医療機関がきちんと診てくれないというか、お金にもならない のであまり見たくないのです。そうすると全部3次に集中するという現象が起きていて います。だからこそ良質な1次医療機関でもう少しボトムアップが必要だとか、良質な 2次医療機関に当たる部分を増やさなくてはいけないという議論だと思います。それで いきますと、今山内先生が言われたことは、裄V先生が先ほどから仰っている学会レベ ルに入っている人は「II」だという具合に考えてしまうほど、おおらかに認めないと仕 方がないと思います。施設ではなく、やはり人だと。  例えば星加先生が理事長をしている小児精神神経学会は、会員の平均年齢が42歳ぐ らいです。役員でなく会員です。つまり若手の小児科医は、食うや食わずで結局目が向 かないです。小児科医を何年もやっていて、余裕が出てきた人が「心」のことをやって みるかという世界だと思うのです。少し言い過ぎていますが、今の段階ですと現実的に は2次も1次もないので人でやるしかないと思います。 ○吉村委員  「II」の、基礎研修を修了した医師という表現が悪いのではないですか。というの は、一般の先生方にもすべて基礎研修をやっていただいて簡単なものは診てもらい、必 要ならば送りましょうということですね。ですから「II」は、基礎研修を修了してさら に心の専門の医療をサブスペシャリティとしてやっていると。「II」と「III」の違い はよくわかりませんが。 ○裄V座長  先ほど私もそういう意味で、「II」の規定として基礎研修を修了したという言い方は 問題であると申しました。 ○吉村委員  「I」の方もぜひ基礎研修を修了してほしいということですね。 ○南委員  杉山先生に仰っていただき、私も、現状は本当に数が足りなくて「II」と「III」を 分けて何人ぐらいどうこうと言える状態でないことは重々承知しているつもりです。だ からこそ逆に、今ある「II」をきちんと充実させることを一義的に考える必要があると いうのはわかります。そうだとすると、やはり「II」と「III」で医師のクオリフィケ ーションどういう違いがあるのかというところは、患者さんの立場にしてみると総合診 療的に診てくれるところ、そこから送られていくところ、そこでもなおかつ手に負えな いもの、さっき言われた命にかかわる状態といった「III」を特別に言うためには、ど うしても施設と人が一緒になってくるのかと思ったものですから、そのように申し上げ ました。 ○裄V座長  患者さんのお立場からすればそういうことだと思います。  議論をもう少し整理する意味で、特に「I」と「II」の違いといいますか、ジェネラ ルな精神科医・小児科医と子どもの心に関して専門性を持った医師との違いは、例えば 19頁から20頁にかけて、小児科専門医研修及び精神科専門医研修として到達目標が 挙げられています。それから20頁の下から21頁の終わり、そのあたりに書かれてい る内容との違いということで見た場合、これは妥当でないあるいは問題があるというと ころはあるでしょうか。私も、必ずしもこういった面の専門家ではありませんので、こ れが妥当かどうかということに関してはご意見をいただきたいと思います。 ○牛島委員  私の個人的な意見です。(子どもの心の診療医の養成のあり方、19頁)A、Bに分 けてありますが、これは比較的よくできている気がします。養成のための具体的素案と して卒前、卒後研修、生涯教育、専門的研修を済んだ人と。 ○裄V座長  今、私が申し上げたのは、具体的な方法の前に書いてある目標といいますか、個別行 動目標に書かれている内容です。 ○牛島委員  比較的に、ここの研修のところをきちんとすれば目標はどうでもなると言ったら言い すぎですが、かなり変更は可能だと思います。柔軟性があると思います。ここで見たと きに3と4は違うと思います。明確に外した方がいいのではないかという気がします。  これは教育指定病院といわれるところできちんとしたトレーニングを受けた人。それ からそこまでは行かないけれども、日ごろから一生懸命に勉強をしているが本当の専門 的なトレーニングまでは受けたことがない人というのは別にした方がいいし、そうすべ きだという気がします。そうしないと、ここは全然別だと言われると、例えば学会あた りで専門医制度をつくったりしたときに、そこあたりの機能が社会的に果たせなくなる 可能性があるような気がします。ですから2と3はやはり分けておいた方がいいような 気がします。先ほどから申しますように、濃い・薄いだけでしない方がいいのではない かと思います。 ○杉山委員  少し内容に踏み込んでもよろしいですか。20頁の「3.生涯教育としての子どもの 心の診療に関する研修」です。一番気になるのは結局小児科サイドから入ったときに、 専門医のあるレベルまで行けるかどうかということに関して、例えば精神科サイドの非 常に重篤な問題の識別ができるかどうかだと思うのです。例えば統合失調症の初期症状 のようなものは、小児科医が識別できるかが重要だと思います。逆に精神科サイドから は、子どもの心の専門家というからには、発達の細かなステップが評価できるとか愛着 の障害がきちんと評価できるか、ということだと思うのです。そのあたりをもう少し明 確に、書いてないわけではありませんが、記載してほしいという印象を持ちました。 ○裄V座長  これを作られたサポートチームとして何かご説明、ご意見がございますか。杉山委員 が言われたようなことが、ここでだいたい表わされているかと。 ○奥山委員  仰ったことは内容的に混在して含まれていますが、それを明確に文章にして加えて入 れることは不可能でないと思います。  確かに、小児科の先生の特徴と精神科の先生の特徴と考えて、ここをもう少しやるべ きだということはあると思います。ただ、これは目標ですので、最終目標は一緒でいい のかなという形で作っています。それに到達するプロセスとしては違いがあるかもしれ ないと認識しています。 ○裄V座長  先ほど、牛島委員は、ここに書かれてある具体的な方法の3と4、23頁と24頁、 そういったところでのきちんとした研修がそれぞれ行われれば目標としているレベルは 会得できるだろうと仰ったのですか。 ○牛島委員  そういうことです。多少、そこら辺りに意味があれば、これをいくらでも変えていい のではないかと思います。具体的にどういう研修をさせるかということです。その結果 どういうことが起こるかという意味においては、3と4は内容が違うと思います。逆三 角形の「II」と「III」は違ってくると思います。 ○齋藤委員  ベーシックな小児科にしろ精神科にしろ専門医の到達点は、これですと卒後研修の2 のところだと思います。3、4はやはりサブスペシャリティの水準ではないか、4だけ をサブスペシャリティとしたら、あまりにも限られてしまいます。将来的にはそれがま た一つの資格化していく時代が来るかもしれませんが、現時点では3、4をサブスペシ ャリティ、2をベーシックな基本的な科の専門医という形で分けると。これを作ったと きはそういうイメージでいたわけです。 ○裄V座長  皆さんのご意見を伺っていて、大体そういう認識は共通してきたかと思いますがいか がでしょうか。 ○神山先生  少し具体的に申し上げさせていただきます。日本小児科医会が行っている「子どもの 心の研修医」、僕も1回講師として呼んでいただいたことがあります。あれはやはり生 涯教育として1のレベルの先生方のこれからのコンスタントな勉強の場という認識でい いと思います。それから本日、資料として添付させていただきましたような、小児神経 科医が行くようなところ、これに関しては「II」のレベルの人たちのある意味では生涯 研修という形になるのかなと思いました。  それで牛島先生が仰ることはもっともで、2の研修を受けたからといって2と3にい くのは皆同じかと、それは確かに違うと思うのです。ただ、そこで3次の施設に行って 研修を受けた人の場合は、別の新たな3次施設の指導医になるというような、相当レベ ルの高いところの話になります。資格云々のところでは、分ける必要はないのかなと感 じました。 ○富田委員  本日の専門医に関しての討論では、主に施設か人かの議論が出ていますが、これは医 療レベルだけでの討論になっていると思います。今、ここで問題にしている子どもの疾 患や状態は、すべて医療レベルだけで診ていけるものではないので、もう少し広く考え るべきだと思います。したがって、本日の資料にも医師が「助言できる」、「紹介でき る」と書いてありますが、むしろここは「連携できる」という文言が大切ではないかと 思います。あらゆる場合に、最低限、子どもの所属している幼稚園や学校と、実際に種 々の状況から「できる/できない」は別にして、連携が必要になります。その他、心理 関係や教育関係の施設も含め、この種の医療では「連携」を強調する必要があると思い ます。  また、医療レベルだけで云々すると、入院可能であることが高度医療になりますが、 私はこの分野は必ずしも入院の可能な病院が「高度」で、家庭医のレベルが「高度」で ないとは言えないと思います。家庭医でも施設の中で、子どもを集団で集める場を作っ ているとか、種々の工夫がやれていれば、何もそのような設備のない、しかし入院が可 能である病院よりも「高度」になると思います。もう少し医療レベルだけで考えない で、総合的に子どもを診る施設・設備といったことも付け加えていただきたいと思いま す。 ○裄V座長  富田委員のご発言に関しては、バージョンアップに際してもう一度検討いただきたい と思います。 ○奥山委員  その通りだと思います。生涯教育の中に「助言」、「助言」となっています。やり取 りができ一緒に診ていくことができるという意味で「連携」という言葉を入れ込む形に したいと思います。 ○裄V座長  ほかにも、具体的な個別の行動目標に記載されていることに関して、細かな意見が色 々あろうかと思います。それについては、この場でもよろしいですが、事務局の方に出 していただき、それをサポートチームで検討していただくのはどうでしょうか。 ○森委員  これは「GIO(general instructive objectives)」と「SBO(specified behavioral objectives)」で分けて書いておられますが、例えば新医師臨床研修にこ ういうのを入れてみたらどうかという一つの考え方です。こういうものが今後どのよう に生かされるかということですが、例えば新医師臨床研修ですとこれはガイドラインが どんどんできております。そこにこういうものを入れるように働きかけるということで すね。 ○裄V座長  私がイメージしているのはそういうことです。一つの方法として、新医師臨床研修の 指導書があります。 ○森委員  国立保健医療科学院のガイドライン、例えば精神科領域ですと精神科七者懇というと ころで卒後研修委員会というのがありまして、そこでガイドラインにかかわるところに 私もいるものですから、よくわかっているつもりです。ほとんどが1ヶ月の研修で、今 の項目だけでも多すぎてとてもできない。これをまた精神科に入れると、それもできな いという話になってしまうと思って見ていたのです。ですから提言としてはとてもわか りますが現実にはこれはできないなという思いがあります、その部分はどうしたらよい でしょうか。 ○裄V座長  現実にどうかと、それは確かに仰るようなことが予想されます。提言としては出す。 卒前教育すなわち学部教育になったらなおさら難しい。提言したからといって、それが すぐに各大学のカリキュラムの内容に反映されるという訳にはいかないと思います。 ○森委員  その部分が現実不可能であるということになると、ボトムアップはここではなくて別 のところでやるという話に結果的になりますが。 ○裄V座長  結果的には、むしろ専門研修。例えばここには、卒後のスーパーローテイトの研修に 関しての責任をもっているような立場の人はおられないと思うのですが、後期研修、専 門研修に関しては学会を代表してでておられる方がおられるわけですから、そういうお 立場でぜひ反映していただきたいと思います。 ○森委員  精神科専門医のガイドラインを作成するところにもかかわっているものですから、と てもできないと思ってみていました。理事長がいらっしゃいますので。 ○裄V座長  理事長もおられますし、森委員もおられます。それぞれそういうお立場で、それぞれ の団体で役割を担っていただきたいというのが私の個人的な希望です。 ○森委員  もう1点です。本日から3日間で日本精神科病院協会の研修会が始まっております。  出席者が167名、北海道から鹿児島までいらっしゃっています。全てコメディカル の方です。心理、保健師、栄養士、看護師、ケースワーカーという方たちだけの研修を しています。こういうものの位置づけを、これは医師の研修についてですが、どうして も子どもの問題は、先ほどお話があったようにいろいろな関係機関の連携、共有する基 礎的なものは共有していないと話が繋がらないわけです。ある意味、チーム医療でなけ ればならない。そういった研修は、これは医師の研修のことについて考えているわけで すから出てこなくていいと思うのですが、やはりどこかに反映していただいたらいいと 思います。 ○裄V座長  仰るとおりだと思います。そういう点に関して、中間まとめでは最後の方にコメディ カルについて、また診療報酬について等いろいろ課題として挙げられています。ただ、 まだ細かなディスカッションはされておりません。 ○西田委員  議論を伺っていますとボトムアップというのはとても時間がかかり、遠い世界のよう に思うのです。現実に子どもの診療にかかわっている担当としては、せめて逆三角形の 「II」の部分のところをもっと充実する提言が何とかできないと結局は臨床にかかわる 医師というかそういう人は育たないと思うのです。知識があっても実際に何ができる か、子どものために何をするかができないと何ともなりません。それが保証されて始め て、3次のところが充実してくると思うのです。それをぜひなんとか具体的にしてほし いと思います。 ○裄V座長  その議論も今までに何回も繰り返されていまして、ある意味では堂々巡りになってい るわけです。ここでの議論はまずボトムアップからということで進めております。 ○神山先生  ある程度名前の公表というのでしょうか、自薦、他薦その辺りは決める必要があると 思いますが、「II」なのか「III」なのか、一緒なのかそれは別にして、ある程度ドク ター名、施設名を公表するということもぜひこの会の中で、最終的には盛り込まれたら いかがかと思います。  もう一つ、コメディカルなことに関して、このイメージ図でいうといわゆる矢印の部 分が、言葉は適当かわかりませんが0.5次に相当する部分で、これが例えば乳幼児の 発達相談であったり保健師、保育士さんであったりといった方々のかかわりが非常に大 きいと思うのです。ですから、すでに仰っていただきましたが、ここのところのレベル アップと、心との連携です。この前メールをいただいた中での政府、国で何かできるこ とという言葉がありましたので、ここのところの充実を医師の養成だけでなく、国とし て連携とパワーアップを図っていただけたらと思います。 ○裄V座長  今、仰ったことも、建設的な意見だと思います。 ○西田委員  今、神山先生が仰ったことと通じると思いますが、そうすると子どもの心の診療部と いうのができたら、今度全然違ってきます。今はほとんどありません。どこに行っても 子どもの心の専門の標榜は少ないし、公に認められているわけでもありません。こうい うのがはっきりでてくれば、もっとはっきり「子どもの心の診療」をやるのだなという ところが増えてくると思うのです。 ○裄V座長  西田委員が仰ったのは標榜科のことですか。 ○西田委員  そうです。今は曖昧です。同じことをやっているのに、名前が違ったりします。 ○裄V座長  標榜科のことも、関係する課題の中に課題としては取り上げております。 ○神山先生  保科先生の小児科医会の方でこの研修が終わった先生のために、ある程度できるとい うふうに言われていましたが、内輪での話だと思いますが、あれで実際に患者さんが増 えているのか、その辺りの情報が役立つのかと思いますが。 ○裄V座長  子どもの心の相談医ですね。 ○保科委員  実際に聞いてみますと、3分の1ぐらいは掲げて増えています。3分の2は掲げてや めたのです。来られると時間がかかってとても他が処理できない、一般の患者を診られ ないということで引き下げてしまうのです。だから自分の病院の施設の中で掲げるのは 構わないわけで、いいですよという形にしております。オープンにはでません。日本小 児科医会のホーム頁では心の相談医はここにいますよ、というのを探すことができるよ うになっています。 ○神山先生  メリット、デメリット難しいところがあると思いますが、一応、国の機関として、こ ういった方々は診てくれるのだという情報を国民の皆さんに提示することは、それなり の意味があると思います。 ○裄V座長  本日は「中間とりまとめ(案)」の中で、特に子どもの心の診療医の養成のあり方を 中心にご議論いただいております。この素案に対してさまざまなご意見をいただきまし た。それらについて再度検討いただいて、これをバージョンアップするという作業を事 務局並びにサポートチームにお願いしたいと思います。  そろそろ予定した終了の時間に近づいていますが、何かご意見がございますでしょう か。 ○奥山委員  結局、医師の養成をどうするかということで一番重要なのは、Bの具体的な方法をど のように考えるかということです。そしてそれをどの程度提言できるかというのがこの 委員会の非常に大きな使命だと思います。そこの辺りでのご意見をぜひ、本日でなくて も事務局の方にいただくようにお願いしたいと思います。 ○裄V座長  AとBと分けられており、目標と具体的な方法。特に具体的な方法に関しては括弧し て「(案)」の中でまた「(素案)」と書いてあります。これはまだ未熟な段階と思い ますので、特にこの点に関してご意見があればぜひいただきたいと思います。 ○杉山委員  先ほども申し上げましたが、結局、講義というやり方では駄目というか役に立たない と思います。実技に繋がることをベースラインのところでそれをやらなければいけない と思うのです。講義を聞いてすぐに実技の実施をやって、また講義を聞いて実技をやる というそれを繰り返すような形、これはいろいろなトレーニングセミナーではそういう 形をとられつつあると思うのです。そのタイプのボトムアップ研修を広めていかないと いけないと思います。それがボトムアップだと思います。  それから「II」、「III」のレベルになりますと、特に「II」のレベルを増やすため には1年とか2、3年といった長い期間のトレーニングに行ける立場の人間は非常に限 られています。むしろ3ヶ月あるいは2週間といった研修で、それでも違うと思うので す。例えば、うちの施設に2週間来てもらいますと、多分その間に外来にずっとつけば 数百人の子どもを診ます。比較的短い期間の研修をどういう形で保証するのかという具 体的な提案ができればと思います。 ○裄V座長  今、杉山委員が仰ったようなことが、具体的な方法としてこれから検討されなければ いけないことだと思います。医会での研修会は4日間の講義です。そういった数日間に わたる講義、それでもそれを修了して修了書を診療所の中に掲げることによって患者さ んはおみえになる。自分のところで対応できるものは対応し、難しければ高次の医療機 関に送るといった診療ができると仰ったわけです。そのレベルであっても実技的な研修 が可能であればぜひそれはすべきだと思いますし、それを実際可能にするようなシステ ムが提案できればぜひしていただきたいと思います。 ○森委員  その辺りのことは、その前の到達目標をきちんと充実させればいいと思うのです。到 達目標で、わざわざ「GIO」と「SBO」に分けて書いておられますので、「SBO 」の中にはご存知のように知識と技能と態度に分けられるのです。知識の部分と技能の 部分と態度の部分の「SBO」を作るわけです。そうすると知識は講義で済みますが、 技能は実習をしなければいけないということが自然に決まってくるわけです。そこらが まだ配慮されてないので知識だけが中心になっているから講義だけで済んでしまいま す。その「SBO」の作り方によって、これを達成するためにはここは実習をさせなけ ればいけないということが決まってくるわけです。ですから、この到達目標で規定をす るという方法も一つはあるだろうと思います。その辺りはどうでしょうか。 ○牛島委員  目標ですが、何もけちをつけるつもりで言っていませんが、私のところにそういう問 題で相談があったので言います。例えば50名で予定して始めます。160名来たとな ると、恐らくその講習会は何の意味もないだろうというのが意見としてあります。講義 をしたならば、ゆっくりどのくらいきちんと講義の内容を理解したのかということのフ ィードバックをしないと、講習会の意味がないのではないかと、外国のあるところでそ ういうことを言い出して僕のところに来た人がいます。別の領域の話ですが。  ですから、講習会といったことも杉山先生が仰るように、杉山先生のところに行って 勉強したらよくなる、それは確かにそうかもしれませんが、そこまでできないにして も、中間領域として少人数制の講習会とか。だから講習会の持ち方とかなんとかをもう 少し考えるようなことして、この3の生涯というところ、そういったところをディスカ ッションした方がいいのではないかという気がします。これは専門機関のメンバーとし て働けばきちんとした実力がついてくることは確かです。その他いろいろ知的な習得も 可能です。そういう問題はないですが、やはり3の教育をどうするかを議論した方がい いと思います。 ○裄V座長  全くその通りです。その研修をする上で、どんな理想的な研修のシステムを考えても 机上の空論ですので、現実可能であってしかもそれを具体的に実行する上で各学会なり 団体なりが、あるいは各施設として、どの程度できるか。今、やっている、もっと拡充 する、あるいはレベルアップするといったさまざまな工夫をしていただきたいというこ とだと思います。   ○星加委員  実は私自身、専門病院で研修するチャンスがまったくないまま、こういった分野の診 療を担当するようになりました。その途中で、あるときに専門病院の外来が見てみたい と思うようになりました。それまでいわゆるセミナーと称するもの、あるいは学会での いろいろな講演を聞きましたが、現実の問題としてピンと来ませんでした。具体的に名 前を出してもいいのでしょうか、本検討会委員の齋藤先生に個人的にお願いをして初診 の外来につかせてもらうという許可をいただいていたのですが、私側の事情で果たせな かったことがありました。あの当時考えても、私どものような小さな小児科の教室では 医局員を何ヶ月も研修に出すことは極めて難しい現状でした。ただ、自分のアルバイト を1日休むのであれば、その1日は研修に出してもらえるということがあったものです から、あの時の私としては選択肢はそれしかなかったように思います。  杉山先生とはこういった卒後の研修についても、学会の中で何度か話すチャンスがあ りましたが、先ほど先生が仰ったような非常に短期の1週間、2週間でも症例数が多け ればかなり役に立つのではないかと思います。例えば1週間に1回、この曜日であった ら行けるという先生方が意外といらして、そういった人たちのためにもいろいろなシス テムを考えていただければ現実の問題としてかなりいいのではないかと思います。 ○裄V座長  考えていただければというより、それを学会なり先生の施設なり、あるいは団体なり でぜひ、こういうことならできるというのを出していただかないとこの検討会としての 目的が達せられないのではないかと思います。 ○奥山委員  ここに臨床的な研修として、1ヶ月ぐらい集中的に技能的研修を受けるとか、週1回 研修に行くと書いてあります。しかし、これを担保するにはどうしていったらいいかと いうことが問題です。そのためにどういうシステムを組めばいいのか、どこかにお願い するような形をとるのか、あるいは厚生労働省からのお願いになるのか、それとも学会 からの施設基準みたいなものを設けてそこで研修ができるようにするなど、その先の担 保する方法のオプションをもう少し考えていただきたいところだと思います。 ○星加委員  恐らく各学会でかなり事情が違うのではないかと思いますので、その学会の中で検討 してみる必要があるのではないかという気がします。例えば、日本小児精神神経学会の 中でも何箇所か、恐らく可能な施設があるだろうと思いますので、それからスタートす るのも一つの方法だと思います。 ○山内委員  今のお話は、要するに教育のストラテジーの話になります。そこまでやっているとこ れは大変なことになります。できれば個別の目標を立てて、きょう出たように知識だけ でなく態度、技能も学ぶような個別目標を立てておくと。あとは各学会等が達成できる ように努力するという程度にしておいたほうがいいような気がします。  もう一つ、生涯教育という言葉がこの中で使われています。生涯教育は一般ジェネラ リストの生涯教育もあれば、サブスペシャリティを取った人の生涯教育もあります。ほ かの人が見ると少し理解しかねるかもしれませんので、一行ぐらい何を、誰を、対象と しているかというのを書いてあった方が理解し易いと思います。 ○裄V座長  わかりました。今のご意見も入れてこれから中間とりまとめをバージョンアップして いただきたいと思います。  本日は、ほとんど養成のあり方というところに議論を集中して、多くの方からご意見 をいただきました。それぞれに建設的なご意見であったと思います。  ご意見があれば事務局の方に仰っていただくということになろうかと思います。  大体予定の時間になりましたが、事務局からございますでしょうか。 3.その他 ○事務局/母子保健課長補佐  ひとつ先生方にご報告させていただきたいことがあります。この検討会でご議論いた だいているのと同時並行で行っている研究班がございます。厚生労働科学研究費で平成 17年度から3カ年の計画で「子ども家庭総合研究」という枠組みがございます。その 中でもまた、主任研究者をやはり裄V先生にお願いをいたしておりますが、「子どもの 心の問題に関する研究班」という形で対応をお願いしたところです。調査、分析といっ たものが中心になろうかと思いますが、こちらの検討会と非常に密接な形で話が繋がっ てくるかと思います。  これからのことですが、その研究班も平成18年度は、この検討会で養成のあり方と いったご提言いただいたものを、実際に実行をいかにしていくかということがありま す。そのために必要な例えば研修のガイドライン、より具体的なことを申し上げるとテ キストブック、先ほどストラテジーといった話も出てきておりますが、そういったもの もお考えいただき、可能な範囲でのパイロットといったものを研究的に実施していただ くのはどうかということで、ご相談させていただいているところです。  先の話になるかもしれませんが、同時に研究班の中で、例えば研修のためのモデル病 院、施設といったものもお考えいただければと思っています。その前提としまして、ま た研究に繋がっていきますが、モデルといった形でやる場合、日本全国でみたときにさ まざまなレベルのものがありますが、病床であるとか医療機関の数、病棟、さらには子 どもの心の診療医が何人ぐらい最終的に必要かといったことについても推計を行ってい く必要があると思われます。本検討会との繋がりのある部分ですので、こういったこと も合わせて今後ご検討をお願いできればと思います。  それでは最後に、事務的な連絡をさせていただきます。第7回の検討会は、11月 29日の火曜日、16時から18時までを予定しております。会場などにつきまして は、決定次第、後日ご案内させていただきます。ありがとうございました。 4.閉会 ○裄V座長  母子保健課長補佐が仰った研究班ですが、これは今年度からこの検討会と並行する形 で組織されました。本年度は、分担研究者がそれぞれ分担した調査研究が主体で、それ は大雑把に言えば医療提供者側の体制についての調査とニードに関する調査というもの から構成されると思います。来年度に関して、母子保健課の方からさらに研修のガイド ライン、テキストブックについても検討するようにといった指示をいただいた形になっ ていると受け取っています。連動しながら、この診療医の養成といったことをよりよい 形のものを作成していくという上でお役に立てればと思います。  本日は、長時間にわたりまして活発なご議論をいただきましてありがとうございまし た。それでは次回またよろしくお願いいたします。                   ―終了―                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                    電話 :(代表)03−5253−1111                             齋藤(内線:7933)                             飯野(内線:7938)