05/10/05 第2回自立支援医療制度運営調査検討会議事録           第2回自立支援医療制度運営調査検討会議事録                    日時 平成17年10月5日(水)17:30〜19:15                    場所 厚生労働省5階 専用第12会議室 (議事次第) 1.開会 2.あいさつ 3.議事  (1)精神通院医療における「重度かつ継続」の範囲について  (2)その他 4.閉会 (議事内容) ○佐藤座長  それでは定刻でございますので、ただいまより第2回の自立支援医療制度運営調査検 討会を開催したいと思います。委員の皆様には、今日はお忙しいところをご出席いただ きまして誠にありがとうございます。  8月末に厚生労働省において人事異動がありまして、新たに障害保健福祉部に中谷部 長が就任なさっておるとお聞きしております。部長からごあいさついただきたいと思い ますので、よろしくお願いいたします。 ○中谷障害保健福祉部長  今、ご紹介に預かりました障害保健福祉部長になりました中谷比呂樹でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。新村課長も変わっておりまして新しいチームでこの 新法の話を進めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  そこで、背景の説明を若干させていただきたいと思います。この前、衆議院で36時間 45分も論議をいただき、参議院でも6時間論議をいただいたところで、国会が郵政法案 の否決によりまして解散となりました。解散となってしまうと、法律も廃案という形に なりました。  しかしながら、思い起こしていただきますと、衆議院におきましては与党の賛成によ りまして自立支援法が可決をしております。そこで、私たちはこのまま放置をしていき ますと、せっかく精神障害者を含めて3障害の方々を一緒にした福祉の改革をしようと いう機運がそがれてしまうこと、それからやはり支援費制度は財政的には破綻状況にあ りますので、そこを一刻も早く立ち直しをしなければならないということ、こういうこ とから改めて自立支援法を国会に提出をいたしまして、実は明日から審議入りでござい ます。そこで一刻も早くその成立を見まして、具体的な施行準備に入っていきたいと思 っているわけでございます。  一方で、精神の領域につきましては今まで3障害から外れていたという関係もあり、 率直に言ってやることはたくさんございます。その中で1つがいわゆる32条、これを今 般の自立支援法に持ってきた場合の自己負担の在り方ということで、これは大変大きな 問題であると認識しておりまして、先生方のお知恵をお借りしてきたところでございま す。すなわち、32条の場合には5%の自己負担であったものが、今般の自立支援法です と原則は10%の負担になります。しかし、精神疾患の範囲が変わるではありませんし、 そういう意味では変わらないわけです。  それから、実際に日精協のデータなどを見せていただきますと、精神障害者の方は大 変経済的に苦しい状況でございますので、私たちが既に国会などでご答弁申し上げてお ります費用軽減措置でしてみますと生活保護の方はお金が幾らか入る。それから、市町 村民税を払っておらない方は2,500円あるいは5,000円の上限が既に決まっております。 そういった中で、ではもう少し所得が大きい方で、それでありながらもやはり継続的に 医療費がかかる方々をどうお救い申し上げようかということで、重度継続というような 方につきまして先生方のお知恵を拝借しているところでございます。  前回、第1回目の議事録を拝見いたしますと非常にさまざまなご論議があり、例えば 同じ統合失調症の患者の方にしても、軽い方もいれば重い方もいるのではないか。ある いは、こういう当初事務局が提案いたしました3疾患以外にも検討すべきものはない か。こういう論議が交わされ、本日以降、具体的なデータに基づいたさらなる論議が期 待されているところでございます。  先生方におかれましては、私たちは法律ができたら早く成立を見まして具体的な準備 を始めなければなりませんし、施行は私たちの提言は4月1日でございます。そういう 意味で、余り後ろがないというような中で、この秋のうちにおまとめをいただきたいと 思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  また、冒頭にあいさつをしながら大変ご無礼なことなのでございますが、明日国会は 法案の集中審議でございまして、途中で退席をする非礼をお許しいただきたいと思いま す。どうぞよろしくお願いいたします。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。それでは、議事に入る前に事務局より配布されまし た資料の確認をお願いしたいと思います。 ○鷲見課長補佐  それでは、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。  まず1枚目が調査検討会の議事次第でございます。  2枚目が構成員名簿、そして座席表でございます。  それから、今お配りをさせていただいたのですが、資料1という2枚紙の横の紙でご ざいます「第1回自立支援医療制度運営調査検討会の概要」でございます。  それから、資料1の参考資料としまして6月22日に開催されました前回、第1回の議 事録を入れております。こちらは先生方にご確認いただきましてホームページの方に掲 載させていただいているところでございます。  資料2は「団体提供データのまとめ」ということで、日精協さん、日精診さんから提 出していただいたデータを私どもの方でまとめたものでございます。  資料3は、竹島先生の特別科学研究の関係の概要の1枚紙でございます。  それから、本日別途カラー刷りで日精協資料1と書いてあるものが1枚目にございま すが、こちらは日精協の花井先生の方から3枚紙で新たにデータが追加されましたの で、そちらについても今回合わせてお配りさせていただいております。  もし不足乱丁等がございましたら事務局までご連絡いただければと思いますが、よろ しいでしょうか。 ○佐藤座長  それでは、本日は議題が2つでございますけれども、1が「精神通院医療における 「重度かつ継続」の範囲について」、2が「その他」となっております。議事の1から 進めたいと思いますが、まず事務局の方から説明をいただきたいと思います。 ○鷲見課長補佐  それでは、お手元の資料1、2枚紙の横の紙に基づいて説明させていただきたいと思 います。  まず前回から少しお時間がたっておりますので、前回どういったご議論が行われて、 本日はどういった点を中心にご議論いただきたいのかという点についてお話をさせてい ただきたいと思います。  まず「1.本検討会における検討事項の確認」です。これは前回もお示しさせていた だいているものなのですが、先ほど部長からお話をさせていただきました「重度かつ継 続」の考え方について、それから再認定に係る考え方について、そしてその他の検討事 項として適正化、質の確保、対象者の明確化、こういったものについてご検討いただく ことになっております。ただ、当面の検討事項といたしまして、「重度かつ継続」の範 囲についてご議論いただきたいというものでございます。  2番といたしまして「「重度かつ継続」の考え方について」です。こちらは、自立支 援医療の対象者のうち、医療上の必要性から相当額の医療費が継続的に発生する者につ いて、一定の負担能力がある場合も月の負担額に上限を設けるというものでございま す。  この「重度かつ継続」についてなのですが、1枚おめくりいただくと図表を載せてお ります。こちらはこれまでも何度かお示しをさせていただいているものなのですが、 「自立支援医療の対象者、自己負担の概要」の紙でございます。このうち「重度かつ継 続」というのはこの表の右下の部分でございますが、「重度かつ継続」で米印が付いて おります。こちらは中間的な所得層で申し上げておりますが、所得税が非課税の場合は 負担上限額は5,000円、負担上限額が所得税額30万円未満の場合は1万円、それから一 定所得以上の場合は負担上限額は2万円という形で、「重度かつ継続」に該当した場合 にはこちらに該当する。  それ以外の場合につきましては、原則自己負担については1割負担ということになっ ておりますが、例えば一定所得以下の方であれば負担上限額は2,500円、負担上限額は 5,000円、こちらは「重度かつ継続」とは関係なくこうした上限額が設けられている。  一方、右上のところでございますが、一定所得以上、所得税額が30万円以上でござい ますが、こうした場合については「重度かつ継続」に当たらない場合は公費負担の対象 外となるという整理となっております。  それで、「重度かつ継続」の具体的範囲でございますが、もう一度1ページ目に戻っ ていただきたいと思います。まず疾病にかかわらず医療保険の多数該当の者、この多数 該当の者というのは医療保険の制度の中で高額医療費が4か月以上となる方については 多数該当となりまして、例えば7万2,300円という高額医療費に7万2,300円プラスアル ファというような高額医療費に該当する人が4か月目になりますと4万200円といった ような上限額が定められることとなります。こうした場合におきましては、「重度かつ 継続」の対象になるというようなことでございます。  それから、疾病別に対象となる者、こちらについてはまず精神の通院公費においては 統合失調症、狭義のそううつ病、難治性てんかん、この3疾患を現時点では考えており ます。また、更生・育成については腎臓機能障害、小腸機能障害、免疫機能障害となっ ているという整理でございました。  前回においてはここまでご議論いただいたわけですけれども、今後という部分を見て いただきたいのですが、精神通院医療については日精協さんと日精診さんから提供を受 けるデータに基づいて検討をするということになっておりました。ですので、今回第2 回はこの部分に関してご検討いただきたいというものでございます。  また、更生医療、育成医療につきましては現時点ではデータが少ないというようなこ とから、精神のように日精協さんに精神さんから出していただけるようなデータが更生 医療、育成医療にはないというようなことから、平成17年度、厚生労働科学研究におい てデータ収集に着手したところでございます。こちらは、今回この検討会の委員でもあ ります竹島委員に主任研究者をお願いして検討を進めることとしておりまして、結論が 得られたものから随時対応していきたい。この疾患の範囲については対応してまいりた いという整理となっております。こちらが資料1でございます。  続きまして、資料2について、まず私の方からご説明させていただきたいと思いま す。後ほど日精協さんと日精診さんの方から補足説明というか、追加でご説明いただけ ることになっております。  それでは、資料2についてご説明させていただきます。「精神通院公費制度利用者の レセプト抽出調査の概要」ということで、日精協さんから9,192のデータ、日精診さん から1,682のデータをいただいております。こちらをICDコードに基づきましてF0 からG40までの種別で分類させていただきました。一部、F31については双極性感情障 害、現時点では狭義のそううつ病ということで「重度かつ継続」の対象になっているわ けですが、これについてはあえて抜き出すということと、それと合わせて反復性うつに ついてもご議論があったことから、この2つについては1けたではなく2けたのところ まで分類させていただいております。こちらにつきまして罹病期間5年以上、月額医療 費5万円以上の割合、そして月平均の医療費がどの程度かというものをお示ししたとこ ろでございます。  こちらから向かって左側が日精協さん、右側が日精診さんのデータになっておりま す。この表を比較いたしますと、現在対象になっているのが、統合失調症とは書いてお りませんが、F2については罹病期間が77.2%、日精診さんが66.5%と比較的高いとい うか、長い罹病期間だということがわかると思います。また、F31でございますが、こ ちらは日精協さんの方が71.3%の罹病期間、そして5年以上、日精診さんの方ではやや これは傾向が異なっていますが、48.3%ということです。それから、一番下のG40のて んかんについては現時点では難治性てんかんというものが「重度かつ継続」の対象にな っておりますが、これは非常に長い罹病期間ということを示しております。  それから月額医療費、月平均医療費でございますが、日精協さんのデータと日精診さ んのデータの両者を比較しますと少し傾向が異なるのかなと。まずF0のところはいわ ゆる認知症が入るわけですけれども、こうしたものについて22.9%以上の方が5万円以 上、そして日精診さんの方が3%ということになっております。また、統合失調症の F2の部分も34.8%と14%で、ややここの辺りは傾向が異なるのかなというようなこと が示されております。  なぜこういった違いが出るのかというと、恐らくデイケアの利用状況であるとか、そ うしたものがこうした月額医療費に影響を与えているのではないかということが推測さ れます。こちらは、月平均医療費にもほぼそうしたような傾向が見られるということに なっております。あえて5年以上、5万円以上となっておりますが、特にこちらで基準 を定めるということではございませんで、まずこの両者を比較するに当たって一番長い データについて比較させていただいたということでございます。  1枚おめくりいただきますと少し詳し目のものが出ておりまして、日精協さんのデー タでございます。こちらは患者数についてもICDコード別に載せておりまして、この 数を見ますと大体患者さんの割合というものが疾患別でわかるのではないかと考えられ ます。そうしますと、現時点で「重度かつ継続」の対象となっているものがF2、 F31、G40の一部分ということを考えますと、大体合計で4,500人程度ということにな っておりますので、半分くらいが現在の「重度かつ継続」の範囲でカバーされるのでは ないかということが推測されます。  1枚おめくりいただきまして、日精診さんのデータにおきますと少し患者さんの傾向 が違いますが、患者さん全体のデータが少ないということもあるかもしれません。F2 とF31とG40を見ますと、合計で言うと800弱ということで、これも5割前後の患者さ んをカバーしているのではないかということが推測されるわけであります。それ以上の 1年以上、3年以上であるとか、細かい医療費の月額については、後ほどもしよろしけ ればそれぞれの団体の先生方から補足をいただければと思います。  以上、簡単ではございますが、私の方からの説明は終わらせていただきます。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。それでは、もう一つ資料が出ておりますので、資料 3について竹島先生より説明をお願いいたします。 ○竹島構成員  それでは、先ほど補佐の方からお話のあった研究のことについて簡単に説明させてい ただきたいと思います。  特別研究について、概要を資料3にまとめてございますけれども、私ども実施の特別 研究は1年限りの研究になっておりまして、主に実施する研究の内容といたしましては 更生医療、育成医療、精神通院公費の給付状態の実態を分析するということで、これは 無作為抽出をした診療報酬明細書を元に分析を行うということでございます。  診療報酬明細書の中で個人情報を除いたデータを収集いたしまして、それはできたら 12年の特別研究で分析をしたのと同じ抽出率を用いて収集し、また育成・更生に関して はそれぞれの必要な抽出率があるかと思いますので、それに応じた抽出を行いまして、 必要な分析を行っていくということになるかと思います。  精神の場合には12年度以降にも相当数の増加がありますので、それがどういうとこ ろに増加しているのかということをこの調査から明らかにすることができるかと思いま す。  次に、この通院公費の分析といいましょうか、診療報酬明細書の分析は全国という形 で行いますので、各都道府県によるデータはこの中では明らかになってこないという面 があります。  それから、都道府県によって審査体制等、精神の場合にはその違いが見られるのでは ないか等のことがありますので、それに関しましては事前に精神科の病院または精神科 診療所、それから精神保健福祉センターの方、あるいは審査の委員の方々のヒアリング を行いまして、その上で調査票を設けまして、それを元に全国のセンターに質問調査を 行い、その分析結果から整理すべきことを明らかにすることを考えております。  診療報酬明細書の分析というのは結構、手のかかる作業でありまして、できましたら 今月、10月半ばには班会議を持ちまして、その抽出方法等について決めて研究に入って いきたいと考えております。これからこの会議の議論等もすべて踏まえて調査票、また はその分析の視点等に加えていきたいと思いますので、ご指導よろしくお願いいたしま す。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。では、事務局から先ほど説明いただきました資料2 に関しまして、両団体の委員の方から何か補足があればお願いしたいところでございま すが、最初に日精協さんの方から、資料の追加もあるかもしれませんが、それも含めて お願いしたいと思います。 ○花井構成員  ただいま鷲見課長補佐から説明のあったペーパーの基礎となる1つが、今日カラーで お配りしたデータになっております。このデータは、1年未満から1年刻みで5年以上 までに罹病期間を分けまして、各疾患カテゴリー別に人数、パーセント、それから各医 療機関の平均医療費を表にしたものです。  なぜこういう表をつくったかといいますと、「重度かつ継続」の概念が医療上の必要 から相当額の医療費が継続的に発生するということが大きな要件になっておりますの で、それを各期間別に見てみたということであります。  ブルーのところが、いわゆる現在3疾患として言われているものであります。こうい うふうに見ていきますと、特に継続的に相当額の医療費が発生する。一定所得以上であ っても、それに対する負担軽減策を設ける。これが「重度かつ継続」の範囲分けの趣旨 であるという話でありましたけれども、それを今までの経過としては3疾患が挙げられ まして、そのほかに疾患に妥当するものがあるかどうか。つまり、疾患名をどういうふ うに特定していくのかという論議とか、そういう枠組みの中で提案がずっとされてきた と思います。  それで、このデータを見る限りは、何年以上をもって継続的と言うのかという問題も ありますし、それからどのぐらいの医療費負担額が相当額と言うのかという問題もいろ いろありますけれども、それを疾患で見る限りにおいては、どのように考えてもこの疾 患が長期間にわたって相当額の医療費が特異的にかかっていますよという疾患を抽出す ることはこのデータからはできないという結論に到達すると思います。  そういう負担上限額を設けるための措置として3疾患が既に提案されていますけれど も、先ほどお話がありましたようにF2、統合失調症の場合がどの期間別で見ても比較 的高い。これはやはりデイケアあるいはデイナイトケア、通所の人を含んでいるという ことが一つの大きな要因になっておりまして、事前にこれをデイケア併用群とデイケア を併用しない群に分けた場合のデータを出しましたけれども、それでは随分差があっ て、3分の1くらいの費用にデイケア非併用群は統合失調症でもなっているということ は前にもお出ししたと思います。  それから、F0に関しましても比較的日精協のデータが多いというのは、精神科には 老人性痴呆疾患の治療あるいは療養病棟をやっていたり、痴呆老人疾患を対象にしてい る病院は結構あります。その中では重度痴呆デイケアというものをやっている方もいま して、これが入ってきているのでF0は比較的高目の医療費になっているというふうに 私どもは考えております。  ただ、既に一応提案されている3疾患について見ましても、てんかんというか、Gの 40に関しましては難治性を特に抽出しているわけではございませんけれども、てんかん に関しては確かに小さいころからずっと長期にわたって継続する例が多いので、罹病期 間も長い傾向があります。  ただ、医療費から見ますと、ここにありますようにほかの疾患カテゴリーに比べてむ しろ低いというのが特徴で、そういうところから見てもこの疾患がなぜ3疾患として特 定されたのかが私はよくわからないと思います。  そういうことから次のグラフですが、今の表を目で見やすいようにと思ってつくった グラフで、横軸が疾患、縦軸が医療費の月平均額です。これをさっきの期間別で見てみ ますと大体同じような傾向がありまして、その中で特にF7ですね。知的障害とか精神 遅滞において3年から4年のグループと、それから1年未満のグループが比較的高くな っているという特徴はありますけれども、全体的に見ましてこれによって何か疾患別に 特に長期にわたって高額な医療費が発生する特異性は、目で見てもこれから割り出して いくということは不可能ではないかと私は考えております。  それで、日精協は厚生労働省の精神保健福祉課とも話し合いながらいろいろなデータ を提出して分析してきましたけれども、負担上限額を設定することによって長期間にわ たって相当額の医療費負担が発生する。それに対する軽減措置を設ける。それを疾患に よって、この疾患はこの対象であると疾患によって設定することは不可能であるという ことを結論として私は申し上げたいと思います。それが1点です。  それからもう一点は、あえて「重度かつ継続」を疾患名で、今は3疾患ですが、後か ら5疾患、8疾患というふうに増やしていったとしても、そのエビデンスがないという ことですので、そういう形で増やしていくと、逆に通院公費負担医療制度の制度として の不公平性を生み出すという結果にしかならないことははっきりしているだろうと思い ます。既におわかりのように、例えば統合失調症がその対象疾患となった。それに対し て反復性うつ病がもしならなかったといった場合、反復性うつ病においても5年以上に これだけのパーセンテージの人がいて、これだけの医療費がかかっているんです。  他方、疾患では分裂病でデイケアに通っていない人は比較的医療費負担が少ない。そ うすると、自分の方が長く、あるいは医療費がかかっているのに、反復性うつ病のため に負担軽減の対象にならない。こういうふうな制度的な不公平感があらゆる疾患で出て くるということははっきりしていると思います。  そういう点からいいましても、私としては「重度かつ継続」の範囲を負担軽減策を設 けるということは賛成なのですが、その範囲を決める方法として、疾患によってそれを 特定するということはできない。不可能であるという結論に達したということを報告し たいとと思います。以上です。 ○佐藤座長  どうもありがとうございました。では、日精診さんの方からお願いいたします。 ○三野構成員  日本精神神経科診療所協会の三野でございます。お示ししましたデータがございます が、前回、第1回のときにご提供させていただきましたものと若干といいますか、元の 基礎データが違っております。  私どもは2005年、平成17年の1月、3月、6月と3回調査をしております。実は、第 1回のときにはこの調査検討会が開設されるかどうかわからないという状況で、とにか く私どもの会員のほとんどが、32条の実態として判定指針に基づいてどれぐらいの数 で、なおかつどれぐらいの精神障害の分布であるのかということを調べるために、約15 万名の32条患者の分布とデイケアの比率をまず確認いたしました。それで、検討会が開 催されるということになりまして、3月に抽出いたしまして32条患者1,700名のデータ の解析をいたしまして、粗データとして第1回に提出をいたしました。  その際に、恐らく私どもはパラメータにならないだろうと思いまして、先ほど竹島先 生もおっしゃっておられたと思うんですが、レセプトから32条患者を全部点数を割り出 すというのは大変な作業でございまして、私ども診療所では院外処方の方が半数くらい おいでになるんです。そうしますと、それを何月という特定をしてやったとしても、そ の患者さんがどこの薬局に行っていて何点だったかを全部追跡調査するというのは結構 大変なことでございまして、とにかくそれでも頑張ってやろうということでやりまし た。  そのときに、実は罹病期間として分析していなかったんです。それで、6月の第1回 の検討会のときに事務局の方から罹病期間との相関を是非見たいというご要請がありま したので、それでは急きょやらなければいけないということで、6月にもう一度パラメ ータをきちんと設けまして、大体標準的と思われる10診療所を選定いたしまして、罹病 期間、それからレセプト、これは厳密にいわゆる再診療、初診料、精神科、専門療法な どの医療費部分と薬剤費部分を分けまして、デイケアの有無、32条の有無、そして第1 回の検討会で強迫性障害や摂食障害などがかなりその疾病構造の変化に伴って重要にな ってくるのではないかというご指摘がございましたので、その有無等も含めまして一度 徹底的にレセプトを洗い出したのがこの1,682名の数字でございます。ですから、少し 第1回目のデータとは異なっているということをご承知おきいただきたいと思います。  資料の最初のデータを見ていただきたいのですが、先ほどの日精協さんのデータと相 当異なっているところが今、鷲見課長補佐からもご指摘がございましたように多くござ います。これは、例えばF0が月額医療費が日精協では22.9%なのが我々は3%しかな い。この差は、まさしく重度認知症デイケアがあるかないかの違いでございます。10診 療所の中で重度認知症デイケアをやっておられるところは一つもございませんでしたの で、このような結果になっています。もし一つでも重度認知症デイケアをやっていると ころが入れば、断トツにこれが高くなってくる。つまり、非デイケアの方々は大体平均 が1万5,000とか、それくらいのものが、デイケアに通っていますとほとんどが5万以 上になってしまう。このような方がバイアスとしてかかってしまうと、全然データが違 ってしまうということがあるということをご承知おきいただきたいと思います。  ですから、F1及びF2におきましても日精協と日精診でデータが著しく異なるよう に見えますのは、これはデイケアの比率が大きく異なっている。デイケアを全く施行し ていない診療所がかなり入っておりますので、その差でございます。先ほど花井構成員 からもご指摘がございましたが、非デイケアとデイケアで分けた分析結果も私どもの手 元に今ございますけれども、それで見ますと非デイケアだけで見ますと統合失調症だか ら特に高いということはございません。ほとんど多くの疾患で32条の対象患者は大体同 じような数値を示す。高いのは、むしろデイケア比率が高いということを示すだけであ ると言っても過言ではないかと思います。  それで、最初の資料でごらんになってわかるのは、ここには母数、数が出ておりませ んので一見非常に高く出ているものもございますが、次の3ページ目を見ていただいた らわかるのですけれども、患者数nがものすごいばらつきがあって、平均だけ見ても意 味がありません。3枚目の日精診データの患者数を見ていただければわかるんですが、 1,682ありますけれども、統合失調症はそのうち660、それからFの3件内が87、350、 230と、これだけ占めております。あとは、例えばFの5とかFの90といったものは14 とか13とかになりますので、ほとんどこれは統計学的には意味のない数値と思ってい ただいていいと思います。  ですから、この1枚目のデータだけで平均を見ると見誤ると思います。ほとんどこれ は信頼できるデータ、統計学的に推計できるデータでいきますと、やはり母数からいき ますとF2、F3、F4、そしてF5は14しかございませんので、F6ですね。この4 つ、5つくらいが統計的に信頼のできるデータではないかと思います。  その平均値が大体この最初のページになりますように、統合失調症が3万円になって おりますが、この中にはかなりデイケアが入っておりますので高くなっております。大 体F31、F33、それ以外にF3で、2万4,000から2万5,000くらいがこの32条の患者さ んの平均のデータかと思います。  もう一つ注目すべきは、F6で成人の人格及び行動の障害というものがあります。こ れはn、つまり母数も結構多いです。71ありながら月平均医療費が3万4,205と非常に 高い。私どものデータでは、統合失調症よりもむしろ高いデータが出ております。それ で、平均罹病期間も5年以上です。  ただ、人格障害及び行動障害というのは疾患名としては特殊で、今は3疾病というふ うに出ていますが、それに当てはまらないんです。ICD-10では別個の疾患単位とし て認められていますけれども、私どもがよく使いますDSM-IVという概念では多軸診 断になっておりまして、例えば反復性うつ病であって、なおかつ二軸で人格障害という ことがあり得るわけです。そういう意味でいいますと、ここのデータというのは人格障 害であって、なおかつ例えば反復性うつだと重複する場合もある。この疾患名は32条で 申請をしている疾患名になりますので、その点をご承知おきいただきたいと思います。  3ページ目の私ども日精診のデータを見ていただきたいのですが、これほどばらつき があるというふうに見えますけれども、これは当然のことでありまして、現行で行われ ております精神保健福祉法の32条に基づく患者の運営の判定指針がございます。それに 基づいて精神病もしくは放置しておけば入院に至るような症例ということで言います と、例えばF4は255ございますけれども、本来はよほどの精神病状態であるとか、あ るいは入院に至るような激しい重症化をしているとか、こういうものでなければ該当し ないです。それでも255ある。  しかし、これは私ども先ほど申し上げましたように、レセプトの全数調査をいたしま した。32条の患者さんだけではなくて、実は今日この6月の調査のデータを持ってきて はいるんですが、今回ここでは32条の患者さんを比較するということでデータとしてお 示ししておりませんが、総数で言いますと5,303名のレセプトを全部調査しております。 ですから、そのうち32条の適用患者は1,682、非32条は3,621というデータの中で、F4 は255ありますけれども、実は32条ではない方が1,584ございます。つまり、非32条の方 が圧倒的に多い。その中から当然高額の医療費が発生して、長期間罹病した方で判定指 針に合致する方が中に入っているので、ある程度高く出るのは当たり前です。  しかし、それでもかなり月平均額は低いということになろうかと思います。数字及び 罹病期間で分析をいたしましても、先ほど花井構成員からもございましたように、母数 の問題もございますけれども、罹病期間と医療費あるいは疾患との差異というものは、 この32条のデータを見る限りございません。いろいろな多変量解析とかクラッシャー分 析とかも私は少しやってみなましたけれども、ほとんどないと言っていいだろうと思い ます。  それから、医療費の月額に関しては差は一見あるように見えますが、この差はデイケ アの方がどれだけおいでになるかということになろうかと思っております。  その意味から結論を申し上げますと、やはり先ほど花井構成員がおっしゃられたのと 同じように、この32条の現存の患者さんのデータの医療費の分析と疾患名というものは 相関がない以上、「重度かつ継続」、そして厚生労働大臣がお示しなされた長期間にわ たって罹病して高額の医療費が発生するということを疾患で指定するということは、極 めてこれを実証的に検証するということは難しいのではないかというのが私どもの結論 でございます。  なおかつ、これはあえてお示しをしておりませんけれども、非32条、つまり32条を申 請されていない残りの3,621のデータを見ますと、F0からG40まで全疾患ほとんど月 平均額は差がございません。つまり、32条の申請患者というのはそのように医療費にし てみたら大体均質な患者の中で、高額に医療費が発生してしまうのでやむを得ずご本人 が32条の申請をされている。あるいは、医療機関と相談をしながら32条の申請をされ て、その中で何とか外来医療を維持する。そういった制度として機能しているという逆 の結果が出てきていると思います。  私どもの結論からすれば、現行の32条の患者さんというのは、最初から本来の概念で 言う「重度かつ継続」の方が32条の患者さんになっているというのが、このデータから 見られる結論だろうと私は思っております。以上でございます。 ○佐藤座長  三野構成員と花井構成員にご説明いただきまして、ありがとうございます。  それでは、ただいま資料の内容等についてご説明いただきましたけれども、ご質問な りご意見のある方は順次発言していただきまして、我々の考えの方向を考えてみたいと 思います。今お2人の方からはデータの説明と、または考え方と両方をいただいたとこ ろでございますけれども、いかがでございましょうか。 ○竹島構成員  これからの研究に関わりますので感触を教えていただきたいのですが、1つは平成 12年度の特別研究の方で見ますと、例えば神経症性障害の扱いに関して、神経症性障 害に関して基本的に承認するという都道府県と、重症度に応じて個々に判定するという 回答が相半ばするというような状況が出ているわけです。うつというか、気分障害、そ れから神経性障害が統合失調症と大きく違うのは、受療率と有病率が大きく異なる可能 性がある。  有病率がかなり高いであろうと予測される中で、医療を受診されている方がいて、そ の中に通院公費というものがあって、更にその通院公費の審査で、対応が都道府県によ って異なるかもしれないということになる。都道府県によって通院公費の制度の利用の 状況が異なっている可能性というのはあるのでしょうか。それとも、今回調査をする上 でその辺のところも聞く必要があるのかどうかということをお聞きしたいと思って質問 させていただきました。 ○三野構成員  今、竹島先生からご指摘がありましたように、地方格差といいますか、都道府県によ って大きく異なるだろうというのが私の意見です。私は、地方の香川県の出身で診療所 を開設しておりますけれども、香川県はかなり厳密に運営指針を守っておりますが、恐 らくいわゆる神経症と書いた場合には通らないと思います。それは内々にといいます か、私どもの中のコンセンサスであろうと思います。  例えば抑うつ神経症ですが、こういうものは通るけれども、しかし不安神経症という 名前では通らない。パニック障害というのはかなり精神病性の状態になったり、重いう つ状態になることを呈して判定指針に該当すると思いますが、パニック障害というふう に出した場合には少し疑問を呈されますので、実際に二重診断としてそういうことは結 果として反復性うつという形で取っている場合があります。  ところが、私は香川県におりまして別の都道府県の住所の方が移ってこられて見たと きに、どう考えてもこの患者さんは単なる全般性不安障害であって、何かストレス状況 がある中で過敏になっておられたり、不安状態がある方でも32条の申請がなされて通っ ている場合があって、どう書こうかと思う場合は結構多くございます。これは、都道府 県によってはかなり格差があると言わざるを得ないと思います。この辺は、本来は判定 指針というものがある以上、運営指針というものがある以上、きちんとそれを運営する ことが一番重要なことであろうと思いますし、実際に例えば保健所の指導員や都道府県 の市町村の窓口の方が32条がありますよというときに、その状態像を確認もせずにお渡 しになって、私はこの検討会の前からいろいろな精神保健福祉関係者の方にこういう判 定指針があることを知っていますかと伺いましたら、ほとんどの方が知らないです。こ こら辺は大きな問題ではなかろうかと思っております。以上でございます。 ○佐藤座長  今、三野先生から大きな差があるだろうというご意見が出されましたけれども、花井 構成員も同じようなお考えがございますか。 ○花井構成員  日精協の会員の先生方のお話を聞いた範囲では、やはりある程度違いがあるという印 象は持っております。私は札幌市ですけれども、札幌市の場合には一応判定指針に基づ いてこの状態像を書くということであれば神経症ならば通るとなっていますし、この辺 がやはり地域によって濃淡が違うなという印象は持っております。 ○佐藤座長  その件に関しては前回も多少ディスカッションがあったのではないかと思うのです が、桑原構成員からもそういう発言があったように思いますが、いかがでございましょ うか。 ○桑原構成員  皆様方がおっしゃるとおりで、通院公費の判定については、いろいろ基準があるので すが、各都道府県単位で、どのぐらい厳格に、またどこを重視して行うのかということ が問題です。具体的に調べたわけではありませんが、全国の精神保健福祉センターでこ の判定を行っていますので、相互の意見交換などによりますと、都道府県によって通公 費制度の利用状況にはかなり差があるのが実情だと思います。  もう一点問題なのは、今回出されたデータはいずれも精神科の専門医が診断をされた 結果ということで、非常に信頼性が高いと思いますが、実は、申請書を出してこられる 先生方は精神科医とは限りません。抑うつ状態に類するものということで、それが精神 的な疾患なのかどうかということがはっきりしないままに書類が上がってくるというよ うなこともありまして、そういったことが更にそういった格差に大きく影響を与えてい る可能性があるだろうと感じております。  ですから、これはちょっと議論が拡散しますけれども、3障害一体の制度ということ で考えたときに、更生・育成の方は診断書を書く資格のある医師が判断をしているとい うこともございます。それから、平成12年度の通公費の研究をふまえた14年度の通公費 負担の適正化のあり方の検討会の中でも、やはり診断書を書く医師の資格要件のことが 問題になっていますので、そういったことも考慮しながら、自立支援医療費の対象者に ついて検討をしていくことが必要だと思います。その意味で、竹島先生が今度検討をさ れるときに、なかなか難しいかもしれませんけれども、精神科の専門医の先生と、それ 以外の先生から上がってくるレセプトと、具体的な区別が付くようでしたら、是非そう いったことについてのデータもお示しいただけると参考になるのではないかと思いま す。 ○佐藤座長  ありがとうございました。竹島先生からのご質問に関して3人から同じようなご意見 というか、ご感想等をいただいたわけでございますが、このことも含めて本日の主題で ある「重度かつ継続」というものをどういうふうに考えていくかについてご意見をどう ぞ。また、先生、今の質問等を含めて、今日の主題との関連で何かございましたらどう ぞ。 ○竹島構成員  その制度のもともとの成り立ちから考えて、仮に統合失調症、てんかん、重症の反復 性等になってきた場合に、それ以外のものがどうなるのかというお話がございましたけ れども、ではそれ以外のものということになると一気に全部ということに広がっていく のか。  例えば、我が国の精神保健福祉の中にありますけれども、対象者というのは二百数十 万という数で挙げられておりますので、一体この制度が適用されるのはどういう人なの か。三野構成員の先ほどの話でも、審査の場でそういうことが議論されてきている土壌 があるかと思いますので、やはり私どもとしては質問調査をできるだけ早急にして、そ の中で共通項というものがどこら辺にあるかということを押さえていかなければいけな いかという感じがしました。 ○佐藤座長  竹島構成員からは、研究に対しても反映していきたいということでご発言いただきま したけれども。 ○花井構成員  今、竹島先生がおっしゃった件に関連しまして、32条もそうですし、今回の自立支援 医療制度も精神の通院に関しては対象の疾患としては従来どおりであるということは一 つのレールに載っていて、たしか土台になっているんですね。だから、そのことも今度 の研究班でもう一度見直しの検討の課題にするということの意味でしょうか。そういう 意味ではないですね。 ○竹島構成員  そういう意味ではないです。現状分析です。 ○佐藤座長  ほかにいかがでしょうか。「重度かつ継続」の件で、評価の件はまた別のときに話に なると思いますけれども。 ○三野構成員  「重度かつ継続」に関して限定して、今、桑原先生の方からご指摘があったように、 私どもは当然精神科医でございますし、専門医でございますから、当然その判定指針を 見てこうだという形で判定しますが、もちろん当然精神疾患の患者さん、あるいはてん かんの患者さんが内科、診療内科あるいは神経内科等に行かれるということはあり得る と思います。  特に地方に行きますと、精神科診療所や病院というのはかなり偏在化しておりますの で、当然あり得るだろうと思いますが、桑原先生の印象で、診断書等で見たときに精神 医学的な診断ということから言うと少し難しいかなと思われる方々が多く存在するとす れば、逆に今回の「重度かつ継続」ということに関してこの3疾病、狭義のそううつ病 であるとか、統合失調症であるとか、このことに関しての定義づけは私どもはある程度 の範疇で持っていると思いますけれども、それがなかなか審査の対象として難しくなる ということもあるのでしょうか。ちょっと質問が難しいかもわかりませんけれども。 ○桑原構成員  私の感じていることをお話しますと、実はセンターは32条だけではなくて手帳の判定 もやっております。それは、前回もちょっとお話しました。それで、現時点では、手帳 が認められた人は通公費の対象になるということになっていますので、手帳申請にかか る情報があると、総合的に申請者の状態をみることができます。そうした場合と比べる と、現在の通公費申請の診断書から得られる情報だけで「重度かつ継続」を判断しよう とすると、例えば薬の最が多いとか、デイケアを使っているとか、罹病期間がどうかと いう情報で、ある程度まで判断できるにしても、やはり限界があります。特に、精神科 医の先生が書かれたものであれば、ある程度の判断はできますが、それでも、例えば、 薬の記載などもどこまで具体的に書かれているかによって、中には判断がなかなか難し いものがあることも事実です。  それから、具体的な評価の方法について、さきほど花井委員の言われたこととの関係 で教えて頂きたいのですが、私は、精神の場合は、初年度は全疾患を一応認める。それ で、2年目の更新の時点で「重度かつ継続」というものが課題になるというふうに思っ ていたのですが、そういう理解でよろしいのでしょうか。 ○鷲見課長補佐  基本的に通院公費の対象になるのは、これまでどおり32条というのは継続的に精神医 療を必要とする患者ということになっておりまして、その患者さんたちが今回の新しい 自立支援医療の中での対象になるということです。  ただ、その中で継続的に非常に高い医療費が必要となる人については、別途その中で ある意味で中2階的にというか、そこの部分だけはその中で抜き出すというような形 で、そういった患者さんというのはどういった患者さんなのかということを考えたとき に、どういう切り口があるのかということをご議論いただいています。  これまで私どもの認識では、もちろんいろいろな切り口があるかと思うんですけれど も、なかなか今いい指標がない。GAFみたいな話もご指摘があったかとは思うのです が、なかなか現時点ではいい指標にならないというようなことの中から、もし中2階で そういった疾患というか、あるカテゴリーをつくるとすると、現時点での疾患というこ とは考えられるのではないか。その疾患を考える際には、医療機関であるとか、平均的 な月額医療費というものであるとか、そういった高い金額、月額医療費の高額な割合と いうものがどのくらいか。そういったものが一つの指標として更には考えられるのでは ないかということであります。  ですので、疾患で区切ったときには花井先生がおっしゃるように、一部の患者さんに ついてはそういった逆転現象がもしかしたら起こる可能性というのはあるとは思うんで すが、できるだけそういうことが起こらないように、まずは割合を見ながら先生方にご 議論いただきたいというようなことを今お話させていただいているということでござい ます。 ○佐藤座長  いかがですか。我々の基本スタンスはそういうことでディスカッションしているわけ でございますけれども、今日は精神について話をいただいているのですが、更生・育成 医療に関しては同じ土俵でということになるわけで、前回、上小鶴先生からはここに挙 がっている3つについてはいいのではないかということでご意見をいただいています。  そのときは額などのコメントはなかったのですが、上小鶴先生、あえて今日は更生・ 育成医療のお話を参考にさせていただくとすると、更生の額について、また、更生医療 においても分断されるという感覚があるかどうかということも含めてご意見をいただけ ればと思うんですけれども。 ○上小鶴構成員  更生に関しては身障手帳がベースですから、それが取れることが必ず条件になりま す。そこで、まずそこのバリアがあります。  それで、すべて現時点ではその疾患の治療に関する年単位の感じできちんと短期で見 ています。長期というのは、既に書いてある疾患に関してはずっと続くものという位置 付けは皆わかっていますので、再認定をしていく場合にこの辺は通していくよという考 えは既にあるわけです。そういうふうに運用されているわけですので、そういう意味で はそれを確認したという形で出てきたということは理解できますという話です。  それで、現実には非常に困っている人たちが出てくることは先ほどの所得等の関係で 表現されていますので、そういう声はいろいろ出てはおります。現実に困るという話で すが、この費用負担の問題が現実には一番大きな問題になっていますが、今日はそこを 抜きにした形での議論だろうということですので、今までのやり方の中ではそれを組ま れた切り口で出されたという了解をしたということです。 ○佐藤座長  更生医療・育成医療の方はまだデータはないんですけれども、臨床各分野の専門の先 生方から聞いている範囲で言うと、20万、40万円程度であり、示された3疾患について いろいろな計算をしてみてもそのような感じです。3障害を一体的にというときには、 今から研究の中でそういうことも含めて3障害の性格というものを多分考えてくださる とは思うのですが、そういう更生・育成医療の話も伺いながらこの精神をどういうふう に考えていくかということをディスカッションいただければと思います。  冒頭に前の塩田部長さんからは、この制度を持続可能なシステムに持っていきたいと いうようなことで、そういうものを目指して整理いただけないかというご依頼があった と思うのですが、そういうことも含めてもう少し絞るということができるのか、できな いのか。今、竹島先生方が行う研究を前にしてそういうことをここで吟味していくとい うことが研究に反映するかと思いますので、もう少しディスカッションを「重度かつ継 続」のところに絞っていただければと思いますが、いかがでしょうか。  では、三野先生お願いします。 ○三野構成員  「重度かつ継続」という概念は、前回も私はちょっと申し上げましたが、低所得者の 方、あるいは中間的所得者の方の負担上限額を設けることで軽減するんだというお話は 恐らく育成医療、更生医療に関してはそれが非常に重要な問題になるだろう。今この表 を見させていただきますと、中間的な所得の負担上限額は5,000円、1万円、2万円、 私どもの資料を見ても恐らく負担上限額5,000円を超える方、つまり5万円を超える方 というのはデイケアの方以外にまずないんです。これは私どものデータを全部見てもそ うだと思います。負担上限額1万円、つまり医療費10万円を超える。外来医療で10万円 を超えるということはまずあり得ない。20万円を超えるということはまずあり得ない。  そういう意味からいいますと、これは精神だけの特殊性を申し上げているわけではな いのですが、この負担上限額の話というのはほとんど「重度かつ継続」に関しては意味 をなさないものだろうと思います。もし意味をなすとすれば、生活保護の方のゼロ円と 2,500円の方の線だけだろう。この方はもともと非常に低所得ですから意味があると思 うんですけれども、この「重度かつ継続」に関して我々が非常に問題だと思っているの は、実は一定所得税額の30万円以上の白い部分ですね。該当しない。つまり、所得税が 30万円以上であって「重度かつ継続」でないとされた方々が、今までは状態像に基づい てすべて判定をされて認められていたわけですけれども、それが除外されてしまうこと が非常に問題ではないかと私は思います。  この所得のことに関してはさまざまな緩和措置が先の国会の衆議院の付帯決議、ある いは厚生労働大臣の答弁の中で示されて、かなり具体化されたので救済される方も多い かと思いますけれども、私どもが具体的な患者さんで見ますと、やはり配偶者がおいで になってかなりの収入がある方でも、例えば奥様が重度のうつ病にかかってしまって、 なかなかそのご理解が得られない場合、この精神通院公費から脱落してしまって入院に 至る場合もあるだろうと思います。  それから、子どもさんの場合は自動的に扶養に入ってしまいますので、その中でお父 様やお母様の収入がかなり高ければ、この白い枠に入ってしまう。ですから、むしろ 「重度かつ継続」というのは高額的に医療費が発生して、負担上限額が幾らかという問 題は精神の場合は余り5,000円以上というものがない。1割になればないだけに、余り 大きな問題にならない。むしろそれよりも枠からはみ出る方がどれだけいるか。その方 々が制度の趣旨、つまり入院を阻止して外来医療を維持するという制度の趣旨に反する かどうかということが一番大きな問題になるのではないかと私どもは危惧を持っており ます。 ○佐藤座長  ほかにございますか。 ○花井構成員  やはり2点なのですが、今、三野先生がおっしゃったように適用除外の部分を設ける というのは、先ほどの部長さんのお話でもそうですし、国会での大臣の答弁でもそうで すけれども、根拠となる規定、法の精神はそのまま精神保健福祉法から自立支援法の方 に移るんですよ、制度の趣旨はそのまま移るんですよという説明をしているんです。そ して、大臣は明らかにそれを政省令で明記するとも回答しているんです。制度の趣旨 が、そのまま法が引っ越しただけで本当にそれだけなのかというのは非常に私は疑問な わけです。  というのは、ご存じのように32条の制度の趣旨というのはもちろん精神障害者の方が 疾病のために就労できないなど、経済的な困難がある。それに対する支援であるという のはもちろんそうです。しかし、この制度の趣旨はそれだけではないんです。なかなか 治療の必要性に理解が得られない。それで、自ら進んで通院治療を継続することが困難 であったり、あるいは継続的な治療が行われないと再燃、再発してまた悪くなってしま ったり、社会復帰が一層困難になる。こういうことに対してどう社会的に支援するかと いうのがこの32条の趣旨なわけです。  そういう趣旨を本当に大臣を含めて皆さんが理解した上で、法が引っ越しただけなん ですよということであれば、こんな適用除外なんか絶対出ないはずなんです。そこが私 は非常におかしいところだと思います。口では引っ越しだと言いながら引っ越しになっ ていない。制度の趣旨を一部損ねているというところを私は徹底的に議論したいと思っ ています。それが1点です。  それからもう一点は、「重度かつ継続」ということはどういう形で持ち出されてきた のかの経過そのものについては私は詳しくはわかりませんが、厚生労働省のここにおら れる方々のこれまでの発言を聞いていますと、「重度かつ継続」ができたいきさつは、 疾病として重度であれば医療費も高くなるだろう。それで、長くなれば重度な疾患であ れば医療費も長く高いものが続くだろう。だから「重度かつ継続」なんだ。それに対す る負担軽減策なんだというふうな発想で考えているように思えてならないんです。「重 度かつ継続」というのは、果たしてそれでいいんですか。先ほど言ったように、制度の 趣旨を本当に考えれば、重度ではなくて寛解して本当に月に1回でも外来治療に来て、 それで状態が安定している。  では、そういう人たちは対象にしなくていいんですか。制度の趣旨というものをしっ かり考えれば、疾患が重度であるかどうかとか、この疾患は対象だけれども、こちらの 疾患は対象でないというような発想が、本当に精神障害者の社会復帰や安定した生活の 維持を考えていく立場から述べられているとは到底私は思えないです。 ○佐藤座長  その辺のところはどういうふうに考えていくかというところも疑問として出されてお りますが、事務局の方から何かコメントがございますか。 ○鷲見課長補佐  今、花井先生からお話のありました、先ほどの資料1の図表の右上の部分で、いわゆ る一定所得以上、所得税額30万円以上の方が今回の自立支援医療の対象外になるという ことは問題ではないか。これは三野先生の方からもお話がございました。  私ども、この点につきましては冒頭に部長からも私の方からも申し上げたとおりです けれども、この制度自体について費用自体急増しているというようなことから、必要な 医療を確保しながら制度を持続的で、しかも安定に供給するためにはどうしたらいいの か。そういうふうに考えたとき、費用を皆で支え合う仕組みにする必要があるだろうと いうことなんです。  これについては、逆に言うと右上のところが対象外にはなるんですが、逆にその所得 の低い方であるとか、「重度かつ継続」の方々には上限額を設けるということで給付の 重点化を図るというのが今回の今、先生が言った1つ目の趣旨でございます。つまり、 右上のところは対象外になるけれども、その分「重度かつ継続」であるとか、所得が少 ない方にはちゃんと重点配分をするというのが今回の制度で今、言った費用負担の部分 でございます。  また、今の一般の負担能力がある方については先生がおっしゃるように高額の医療費 が発生した場合、医療保険どおりの負担額、もし非常に高い場合には高額医療費の対象 になるわけですが、今回この自立支援法というのは必ずしも医療の部分だけではなくて 福祉のことも含めて一体的でやるというようなことから、法律全体の趣旨をご理解した 上でご議論いただければというのが私どもの考えです。  ただ、1つ申し上げたいのは、この検討会の中でご議論いただきたいと思っているの は、もちろんその趣旨自体についてご疑問があるというのはわかるんですが、基本的に この検討会のスコープというか、そういったものは第1回に整理させていただいたとお りでございまして、まずは「重度かつ継続」の範囲についてご議論いただくということ と、もう一つは精神の「重度かつ継続」の範囲についてご議論いただくということです ので、そういった観点でご議論いただければというふうに事務局としては考えておりま す。 ○佐藤座長  よろしいでしょうか。そういう意味で、先ほどのご発言と今の事務局からの答弁とい うところに多少ご意見もあろうかとは思いますが、我々がここでディスカッションをし てほしいというか、しなければならないことは、まさにそこのところの具体的なデータ を元にそういうものをどういうふうに整理できるかということで、今日はこの会を設け ようというふうに前回もお話をしたわけでございます。  今日いろいろ2つのデータ、または追加のデータ等をいただきながら、このデータか らそういうことを考えていけるかどうかという点について、もう一度戻ってお話をいた だきたいと思います。 ○鷲見課長補佐  もし1点よろしければ、ご質問をさせていただきたいと思います。  冒頭、先生の方から、今回このデータ自体は公費負担のこういうようなものだけなの で、おのずと高くなる傾向が出てしまうというお話があったのですが、逆に公費負担以 外のものを含めて整理をすると、疾患別に見たときに公費負担を取っている疾患群とい うのはこういうものなのかということが明らかになってくるのでしょうか。例えば、統 合失調症であればデイケアなどを使っているからどうしても公費負担を取っている割合 が高くなっているとかということで傾向が高くなるということが言えるようなことであ れば、そうしたデータもあると非常に勉強というか、参考になるかと思うのですが。 ○三野構成員  非32条の患者さんのデータを全てお渡ししています。この場では議論にならないこと だったのですが、それを見るとわかると思います。非32条に関しては、疾患はほとんど 変わらないです。これは今、持っていますのでお配りしてもよろしいですが、変わらな いです。 ○鷲見課長補佐  花井先生の方はいかがでしょうか。 ○花井構成員  そもそも私どもの結論としては、「重度かつ継続」を疾患名で、これが対象です、こ れは違いますと振り分けられる根拠がこのデータから得られないという結論を述べたわ けです。いやそうではない。これから得られるはずだという意見を私は聞きたいんで す。 ○三上構成員  「重度かつ継続」が相当額の医療費が継続的にということで、医療費の額で決めると いうことなので、それぞれの疾患で患者さんによって医療費というのはかなり違うわけ ですから、ここのデータでもそれほどはっきりといわゆる上中下みたいな形できちんと 分かれるようなものではないということで、こういうふうな疾患名を決めるということ 自体がナンセンスというのか、ちょっと無理があるという気は非常にいたしました。  それから、そもそも論で言えば障害者自立支援法、あるいは自立支援医療というのは 障害者世帯自立支援医療ではないので、個人所得にしていただくとこの範囲というのも 右上の白い部分もやはり対象者が少なくなるのではないかという気がいたしますし、な おかつ更生医療・育成医療と全く医療費が32条と精神の場合は大分違いまして、身体障 害者の場合の何十万というのとこういう2、3万というのとは全く違うので、「重度か つ継続」ということを余り言う必要がないというか、精神については自動的に32条の人 は「重度かつ継続」という言葉を出さずにすべて対象にするという形の方が後で混乱し ないのではないかと思います。  それから、最初に桑原先生が言われた、診断書を書く場合に指定医のような資格が要 るのではないかという話ですが、外来の部分につきましては余り資格ということを言う と非常に難しい。指定医と書くのもなかなか難しいですし、必ず指定医が外来で見ると いうことではないので、それは非常に難しいのではないかという気がいたします。 ○竹島構成員  持続可能な制度というところにもう一回話を戻したいと思うのですが、先ほど私が申 し上げたのは、Fのゼロから9まで、またてんかんも含めた場合は国民的広がりを持っ ていくわけです。これをすべて通院公費とか、今の自立支援医療の中で見ていくという のは、恐らく社会全体から見たときにどれほどの公平性があるのか、非常に難しい点も 出てくるのではないかと思うわけです。ですから、この制度自体を持続可能な仕組みに していくということをやるとするならば、やはり何らかの優先順位といった考え方がそ こに導入されてしかるべきではなかろうかという気がするわけです。  ただ、私どもはまだレセプトの分析とか、質問調査等でその辺りの考え方の整理をし ていきたいと思うのですが、その辺りに関してはある程度の意見の一致するところがあ るのか、そこのところをもう少しお聞かせいただければ、我々もまた調査に反映させて いくことができるかと思います。 ○三上構成員  今の自立支援化という話ですけれども、いわゆる3障害の問題で、精神の部分という のはその3障害のうちでも非常に規模が小さかったような気がするんです。いわゆる支 援費とか、あちらの方は非常に大きくて、それをカバーするために精神に入ったんです けれども、精神自体は非常に規模が小さかったのではないかと思うんです。ですから、 この部分を仮にすべて認める。すべて「重度かつ継続」に入れるという形にしても影響 は非常に少ないのではないかという印象というか、記憶があるのですけれども、それは どうでしょうか。 ○新村精神保健福祉課長  大ざっぱな数字を申し上げますと、精神通院に出ている予算上の額が五百数十億、そ れから更生医療が100億、育成が20億台ということで、実は精神通院が非常に大きいで す。 ○桑原構成員  行政の立場からみますと、地方自治体の精神保健関連予算の中でも通公費の比重が非 常に大きくなってきていることは事実です。そのために保健福祉的なサービスにかかる 予算が圧迫されているということがありまして、やはり総体的にどういう精神保健医療 福祉支援を展開していくべきなのかを考えますと、通公費負担についての適正な基準と いうものを考えていく必要があるのではないかと思います。  では、今回のデータから「重度かつ継続」に該当する疾患名を決められるのかという と、私の実感では、これでそれを決めるということは難しいのではないかと思います。 例えば、前回も申し上げましたけれども、今回のデータでも、統合失調症の方で5年以 上継続している方は70%前後ですが、残りの30%の方はしていない。なかには、途中で軽 快する方もいらっしゃるわけです。また、どういう方がどういう形で申謂して来られる かということはいろいろな事情があろうかと思いますが、そういう意味でも医療的な側 面だけで、例えば、継続が何年かとか、医療費がどのぐらいかというところで線引きす ることはなかなか難しいのではないかと感じます。  その意味で、私はこの前、第1回のときに申し上げた、行政の方で「重度かつ継続」 というところ、文字どおり重篤で継続的な医療が必要だというところを総合的に判断す るにはもう一つ別な基準が必要になると思います。これは、精神の特殊性、要するに疾 愚と生活のしづらさ、障害とが渾然一体となっているということもありますが、やはり 障害程度区分、これもなかなか難しいのですが、手帳で言う生活のしづらさにかかる総 合評価なり、場合によってはGAFという案も出ましたけれども、そういったものをもう 一つ変数として持ってこないと、なかなか「重度かつ継続」ということをきっちりと整 理していくことは難しいのではないかという気がいたします。  結論としては、行政の場で実際に担当しているところから見ますと、全部認めてあげ られれば一番いいんですが、通公費関連予算がすごい勢いで伸びているということもあ りますので、バランスの取れた判定基準を導入するということも含めて、考え方を整理 していくことが必要ではないかと思います。 ○三野構成員  今の桑原先生のご発言で1つ気になりましたので、よろしいですか。  確かに、別の概念は生活のしづらさとか障害区分というものを入れなければいけない ということは、障害者自立支援法全体の障害者の中で3障害の統合ということは極めて 重要だろう。しかし、この自立支援の中の精神通院公費に限って言えば、そもそも精神 保健福祉法の32条にあった外来医療の精神医療における医療の普及ということが制度趣 旨なんです。それは変わらないということは衆議院の先の議員での質問でも確定されて おります。そういう意味からいいますと、福祉制度あるいは福祉の中での障害、つまり 固定化された障害の中でどうなるかということの概念が入ってしまうと、また極めて難 しい問題が出てくるということは少しご勘案いただきたいと思います。  もう一つ、竹島先生が言われた制度の持続可能性ということに関してどうなのかと言 えば、今、増大しているものが一体どういうふうな原因で増大しているかということ は、これから先、あと3年あるわけですから考えていかなければいけないけれども、や はり薬剤費が極めて高くなっているとか、失業者の増大とか、こういった社会的な要因 というものもひとつあるだろうと思いますけれども、制度の持続可能性ということで言 えば現在の判定指針と、それから審査体制をきちんと強化することだけでも、もう少し これは抑制できるのではないか。きちんとした厳正な運営ができれば、例えば合併症の 問題とか、先ほど地方格差の問題がございましたけれども、それが全く触れられていな い場合もあるわけです。その辺をきちんと運営していくということがまず先決であっ て、先ほど花井構成員からご意見がございましたけれども、そちらの方をいじらないで 先に疾患を制限するという形でやってしまえば公正さを欠くのではないかと私は思いま す。現在の運営指針を厳正に運営する中で、制度の持続可能性はあると私どもは考えて おります。 ○佐藤座長  時間にもなってきましたけれども、もう少し続けてやりたいと思いますので、どう ぞ。 ○竹島構成員  通院は、各都道府県がほとんどおしなべて99%の申請が承認されるということで並ん でいる数字がございます。私の研究のところから少し外れてしまうかもしれませんが、 なぜそういうことなのか。つまり、もともとの成り立っている土台というものが各都道 府県によって差が生じていて、それを都道府県の単位でなかなか修正がしにくいという 問題であるのか。  そうすると、例えばこちらで書いている統合失調症、狭義のそううつ病、難治性てん かん、この辺りについて意見の相違が大きくあるものではないとは思うんです。ただ、 少なくともこの制度が持続的に発展していくには、そこにおいて生じた問題点や不公平 を是正していく仕組みですよね。あるいは、それを分析してその次の制度の改正に生か していく仕組みだとか、審査の仕組みに反映していく仕組みだとか、持続可能にするた めの仕組みというものがきちんと議論されていくことによって、制度の持続性というこ とはある程度担保できるのではないか。あるいは、そのように分析することによって、 社会全体にもこの制度の必要性を示していくことができるのではないか。 ○三野構成員  「重度かつ継続」がそうだということですか。 ○竹島構成員  「重度かつ継続」の議論で、そういうことが必要なことなのではないだろうかという 気がするんです。そういう意味で私は特別研究というものが重要だと思いますし、ここ の検討会の場面で優先順位としてまずはこの人たちを第一に助けていきたいという部分 がある程度議論ができると、我々は社会に対してもそれはこたえていけることなのかな という気持ちでここにおります。 ○佐藤座長  今のお話で、もう一度先生の研究のためにも我々のここでのディスカッションの部分 を確保したいと思います。今日のデータを見せていただいて、三野委員からまさに指摘 があったように、患者数が少ないところは根拠となりませんということで、三野委員は 多分七十くらいの例数があれば検討に耐えうるだろうと申されたわけですが、さらに分 散を見ながら今後の研究においてどの程度の数できっちりと統計的に言えるかというこ とも含めて検討いただくことになろうと思うのですが、是非それをお願いしたいと思い ます。  今日のデータを見ると、ばらつきもあるようで、患者数では1けた台のものもありま すので、そういうことを含めて是非このデータをもう一回検討に載せていいデータでも って見直すことも必要かと思います。また、「継続」でございますが、精神の場合には 継続的に治療の必要性があるということで、そこのところの違いがないということは、 ここは明らかでございますので、「重度かつ継続」の継続という部分では大きな差がな いとすると、ここの表にあるように医療費の上では大きな違いがあるように思うのです けれども、先ほど話されたように今後のことを考えたときに、こういう額の差というも のを何らか検討して、今日のデータからのディスカッションということができないの か。また、今後に向けてそういうことについてどういうふうに考えていけばいいかとい うような方向も少しご検討いただくことがあればお願いしたいと思います。 ○竹島構成員  データのことで申し上げますと、件数の分布とかはこの一覧データからも続けて出す ことができるのですか。それとも、分布は難しいですか。 ○三野構成員  件数の分布は全部データはございます。非32条も含めて出ております。  ただ、先ほど佐藤先生が言われたような、かなり数が少ないものに関してもう少し増 やすとかということは、32条のそもそもの判定指針から言ってほとんどあり得ないよう な疾患群もあるわけですから、そういう意味から言うとむしろ例えば精神発達障害の方 は非常に数が少ないということはあっても、これが精神病性のものになってしまえば別 の疾患群に入ってしまうということになるわけです。例えば、妄想があれば妄想性障害 の方にいってしまうので、幾ら母集団を増やしても数は増えないだろうと思います。 ○佐藤座長  私は議長で申し上げるのもあれなんですが、そのときに母集団が少なくてもそこのと ころの分布を見て、その数ではっきり言えるのかどうかということもあろうと思います ので、またそのデータも……。 ○三野構成員  データはお出ししますので。 ○佐藤座長  そういう意味でも、先生に続けてご検討いただくという方向に今日のディスカッショ ンをさせていただければと思いますし、また先ほど三野先生の方からはF6などは重複 しているので、こういうものは一応別なところでも救えているのではないかとか、そう いうご意見もあったのですが、そういうようなことも踏まえて少しこのデータの読みか らいろいろなことが言えないかどうか。 ○竹島構成員  では、もう一点教えていただきたいのですが、この診断のカテゴリーですけれども、 優先順位が何かの共通の仕組みでされているのか。そこのところはどんな形なんでしょ うか。 ○三野構成員  私どもは生のデータとしてできるだけ客観的に出したいと思いましたので、32条に申 請をしたときの病名を出しました。本来、例えば医学的に言えばDSM−IVを使えば多 軸分類になって2つになる場合もありますけれども、現実に申請を出している主たる傷 病名で出して、それで分類をしております。当然F7とかF8というのは非常に少なく なって、別の疾患群に入ってしまう場合もあるだろうと思います。 ○花井構成員  ちょっとすっきりしないのでもう一回言わせてもらいますけれども、我々も制度の持 続的な維持をやっていくために、ある程度負担できるものは負担していただこうという 考えについては、負担増は反対だというふうに少なくとも私は一概に言っているわけで はないんです。例えば原則1割負担というのはやむを得ないだろう。しかも、そこに負 担上限額を設けるのであれば、それを見込んでいくというのは今としては必要だろうと いう認識は持っているんです。  ただ、その1割負担の中で負担上限を設ける、その基準を疾患によって定めるという ことは不可能だという結論を私は今日、言ったのであって、それはここでの論議とし て、疾患でそれを決める可能性はまだ残っていますよというご意見なのか。その辺をひ とつはっきりと私はしていただきたい。その辺をあいまいにして進まれるのはどうもう まくないと思います。頑固ですけれども。 ○佐藤座長  議長がそういう誘導をしているわけではございませんけれども、今日はデータの上か ら客観的な分析をして我々に課せられたテーマに答えを出すという方向をどういうふう に進め得るかということについて、もう少しご意見をいただきたいということでござい ましたので、このデータの見方というのはいろいろあろう、また解釈の仕方もいろいろ あろうと思いますので、その辺はもう少しいろいろな方のご意見もいただきながら今日 の基本的なスタンスのディスカッションをもう少し続けたいと思います。 ○花井構成員  ただ、タイムリミットがあるでしょう。話によると、11月上旬が第3回で、それで終 わりたいという意向があるようですから。 ○三野構成員  自治体に示すためのタイムリミットがあるわけですね。 ○鷲見課長補佐  今、法案審議をしている最中ではありますけれども、このままもし審議が終わりまし て、その後、予定どおり4月から施行ということになった場合、実際にある程度その準 備期間が必要になるということから、ぎりぎりいっぱいのリミットが11月末だというの が私たちの認識なんです。  そう考えますと、11月中には遅くとも結論を得たいということで、次回が11月9日と いうことで先生方には日程を確認させていただいておりますので、そのときに改めてご 議論いただければと事務局としましては考えております。 ○三野構成員  何度も申し訳ないのですが、やはり疾患別のデータだけで更に新たに検討するという のは、どうやっても統計的に実証的に分析しても難しいだろうというのが私どもの結論 でございます。多数該当ということでどれぐらい多数かということはわかるかもしれま せんけれども、私どもが出したデータの中でこの疾患はこれだけ有意に高いからこうだ と、統計学的に出してこれを付け加えるというのは非常に難しいのではないかという印 象はございます。 ○佐藤座長  そのほか、ご意見はいかがでしょうか。今の「重度かつ継続」ということで精神に限 定してということでございますけれども。 ○中澤構成員  専門が全く違いますのであれですけれども、花井構成員あるいは三野構成員が示され たデータをある意味でのサイエンティスとして見ますと、これを疾患でくくるのはまず 無理だろう。疾患で決めてしまうのは無理ではないかという印象は持ちます。先ほど竹 島構成員が言われた分布ということもやはり知りたいということはありますし、分布に よりますとそういうある程度の重度かつ継続の負担群というものが出てくると思います し、頻度も出てくるだろうし、そういうことでそういう分析をなさるといいのではない かと私は思います。  今のご議論に、私は1つは日精協さん、日精診さんがまとめられたこういうデータと いうのはそういうことを十分に示しているデータではないかと、私はこれをサポートし たいと思います。 ○佐藤座長  そのほかにどうでしょうか。今日の我々のディスカッションの課題についてですが。 よろしいでしょうか。  では、先生から最後にございますか。 ○竹島構成員  三野構成員が言われていた審査といったところの仕組みの中で、例えば神経症性障害 の中でもこれは重症であるという部分が仮にあるとしたら、そこの部分をどういった事 例であるということでクリアにしつつ、かつそれがどれぐらい実際に含まれるかという ことを明らかにしていくことによって議論が進まない部分が整理できるのではないだろ うかという気がします。そういったところが今の構成員のメンバーで早急に整理ができ る情報ではないかと考えます。 ○佐藤座長  では、時間になってまいりましたので、今日はいろいろのディスカッションをいただ きながら結論に至ってはおりませんけれども、次回の本検討会において、先ほどからも タイムリミットがあるということでございますので、結論が得られるように、もう少し 関係者と議論をする必要があると考えております。次回までに新たにご意見があれば、 またデータについてももう少し分析をいただくことがありましたら、そういうものを事 務局に登録いただきたいと思います。 ○中澤構成員  その他というところを少し待っておりましたが、自立支援ということは先ほども少し お話がありましたようにご本人の自立ということ、社会復帰ということ、あるいは社会 化ということだろうと思いますけれども、この中で育成医療というのは18歳未満が対象 であるとすれば、これはご家族の支援ということになるのかなと。そうしますと、その 守備範囲そのものが少し違うのかなということが1つ気になります。こういうことはも うご議論が済んだ話だろうと思いますが、ただ、ここで私がこの会議に出席させていた だきましたときにも最初に疑問を呈した点でございます。  それからもう一点は、これが精神の場合には外来というふうなことで限定をされてお りますが、私は循環器で育成医療あるいは更生医療に深く関わっておりますけれども、 特に育成医療に関しましては年に2回あるいは事によっては3回の手術を受ける方がお られる。そうすると、これから調査をしていただくということでありますので、外来と いうことだけではなくて入院ということの調査も少しお含みいただきたい。私自身は育 成医療をこの中に含めること自体、基本コンセプトが違うのではないかということもあ るのですけれども、これは議論が済んだということだろうと思いますので、そこは疑問 のまま空けておきたいと思いますが、経費の負担、医療費の負担ということに関しまし て言えば、育成医療というのは入院も含みますので、その点が大きなポイントになるで あろうということです。  もう一つは、3障害を一緒にしていただいて、今、課長さんが言っていただきました 公費負担が500億、育成医療が20億、そして全体が増えておられる。ですから、少しこ ういうことを考えていこうというご発言だったやに受け止めたわけですが、では個々の 3障害の部分の変化率はどうなんだろうか。なぜこの育成医療が同じ土俵に踏み込んで その負担額というか、公費負担額を減らさないといけないのだろうか。その辺も私は疑 問が解けない気がします。その辺のところを次のときでも事務局からお返事がいただけ ればいいかと思っております。以上です。 ○上小鶴構成員  今のことは、更生医療に関しても金額などが資料として提出がなされていないです ね。実はデータは国会で非常に問題になったこともありましたし、その辺がデータなし での議論になってしまっている部分があります。我々も更生相談関係でのデータはある 程度持っていますけれども、その辺も含めて検討が必要かと思っております。 ○佐藤座長  竹島先生を中心にした研究会も今、動き出しているということも踏まえて、また次回 にお答えいただく部分もあるかと思いますが、大分時間をオーバーしてしまいましたの で、これで今日の会は終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか。  では、最後に事務局から何かご連絡がございましたらお願いします。 ○鷲見課長補佐  先ほど申し上げましたが、第3回の会議が来月の9日午後3時から開催される予定に なっております。引き続きよろしくお願いいたします。私どもの方で先生方とご相談さ せていただきながら、必要なデータなどについてご協力いただくことがあるかもしれま せんので、その際はどうぞよろしくお願いいたします。 ○佐藤座長  それでは、これをもちまして第2回の自立支援医療制度運営調査検討会を閉会いたし ます。どうもありがとうございました。                    (照会先)                     [自立支援医療制度運営調査検討会事務局]                      厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部                             精神保健福祉課 医療費係                                    岩倉 慎                          TEL: 03-5253-1111(内線3057)                          FAX: 03-3593-2008