血液製剤の平均的使用量調査に係る適正使用調査会での意見について


 平成15年度第2回適正使用調査会(平成16年3月11日)議事要旨

 ○  一番個人差が大きいのは術者の認識であり、彼らは、輸血の指針を知っていながら「何故こういうもの」という認識がある。彼らを説得するだけの大規模な研究というものはなく、私たちは患者さんを人質に取られたような状態でなかなか議論できない。
 ○  そういう外科医たちに自分たちが全国レベルでどの辺にいるのかということを調査し認識してもらう必要がある。
 ○  輸血を行う術式に関して、ある程度症例を絞って、一体その施設でどの程度なのか、施設よりも細かく術者レベルでどの程度使われているかについて把握して、彼らが全国レベルでどの程度の位置にあるか認識してもらう必要がある。
 ○  施設ごとに1床当たりの血液製剤の使用量が分かれば、他大学と比較しやすく、使用状況に応じた原因分析や対応もしやすいと考えられる。
 ○  国立大学の独法化が4月から始まり、全国的なデータが出てきて、基準というか、評価法のようなものが出てくれば参考になるのではないか。
 ○  厚生労働省から研究費をもらって、代表的な外科手術を5つか6つ取り上げて、例えば胃がん患者について施設ごとの患者数、そのうち手術を受けた者数、そのうち輸血を受けた数を調査し、輸血を受けた1症例当たりの輸血量を調べ、比較するのはどうか。
 ○  輸血療法委員会が機能しているかも調査する必要がある。例えば、不適切な輸血のオーダーが出たときにどうするか。あるいは不適切であるということを判断するだけの材料が与えられているか。
 ○  コンピュータ上ICD入力されているような比較的標準的な病院で、輸血をしてICD10で出てきた疾患群のどのくらいに使用されたのか比較的速やかに出してもらえれば、疾患ごとの使用量がわかる。なお、少なくとも悪性腫瘍だけはさらにサブグループに分けた疾患群での集計が必要。
 ○  使用量の多い医療機関では、コンピュータ管理されていると思うので、そういうところにさらに詳細なデータを求めるのはどうか。今回の調査は、総論で聞いているが、例えば、本当に輸血療法委員会が機能するためには、各科又は疾患ごとのデータを求めながら、これに相当答えられた施設を母数にして求め、これが我が国の主立った数字だということを示せば、輸血療法委員会での議論に厚みが出る。
 ○  このような調査が時々来る。医療機関はかなり努力してデータを出すが、どの様に取り扱われているかわからない。還元されていない。
 ○  今回の調査は極めて一般的な調査であり、ここから適正使用の結果が出てくるか非常に疑問である。具体的なことについて調査しないと適正使用に結びつかないと思う。具体的にすべての症例をやらなくても良く、年ごとに疾患等を変えるのはどうか。
 ○  東京都、福岡県が類似の調査を行っている。東京都では医療機関、血液センター、輸血学会関係者及び献血の団体が集い、こういった調査結果をもとに適正使用の取組について議論することが、非常に効果を上げている。研究班で行ったある県では、血小板が非常に多く使われていた施設が翌年突然少なくなる一方、別の施設が突出して多くなった。調査すると、使用量の多い医師が別の医療機関へ移ったためであることが分かった。他の都道府県でも医療機関別の実態調査をやってもらい、需給調査や適正使用に役立ててもらってはどうか。
 ○  患者調査に輸血又は血液製剤の使用状況の項目を入れて欲しい。
 ○  使われる側、オーダーする側、使う側の認識が一致しないと上だけで調査してもダメ。実際に使っている医師がどういう感覚で使っているのか、輸血を受けた人がどう考えているのかなどについて、調査を加えた方がよい。
 ○  患者さんの満足度調査は、大規模な調査であれば難しく、医療機関ごとに行っているところがあれば提供いただくとして、少なくともインフォームド・コンセントがしっかりなされているかについて伺うのが大切。
 ○  輸血の問題は、大きな病院が必ずしも主ではなく、小さな病院もそれなりに血液をいかに転用して無駄なく使うかという問題がある。


 平成16年度第1回適正使用調査会(平成16年9月9日)議事要旨

 ○  個別の医療機関のイメージにあうような何らかの集計で、標準的な使用量を出す必要があるのでは。
 ○  各医療機関が、自分たちの医療機関の中で極端に使用量が多くないか、国際的な標準から比べても十分なものか、そういう視点で医療機関に適正使用をお願いする際の標準的な指標としてわかりやすい形でどう作るかが重要である。


 平成16年度第2回適正使用調査会(平成16年12月20日)議事要旨

 ○  今回の平均的使用量として示された到達目標というのが、かなり妥協したところに置かざるを得ないような気がする。例えば、心臓手術等を扱っている病院のもとに心臓手術だけをピックアップして集計して、全国的にどうなんだということを出した方が明確に出るのではないかと思う。もう少し具体的なところまで入り込んでいただいた方が、より具体的な対策が立てられる。
 ○  今回提示された平均的使用量については、病院全体としての機能を十分に酌み取り、全体像として評価するにはこれでいいと思う。
 ○  使用量には外科医の認識の違いがものすごく反映する。
 ○  次回の調査は、術式別などまで踏み込んだ調査を計画してはどうか。

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