資料1

第11回検討会で出された「看護職員の専門性の向上について」に出された主な意見

 専門看護師や認定看護師の制度は看護協会のもとにある認定制度である。専門制度というものは、国が律して行うものではなくて、団体が自主的に行うことが大切である。

 専門医と異なり、専門看護師の制度は、修士課程を修了していないとなれない。専門性を深めるためには必ずしも学歴は必要ではない。学歴を課すことは、不公平にはならないか。

 専門看護師も、看護師の資格が土台となっているが、質の高い看護を提供するためには、それなりの知識が必要であると考え、修士課程修了を必須としている。これは諸外国にも同様の制度がある。

 専門職の養成を大学院だけで行っていいのかという議論はあるが、現状では、看護系の学会は専門性を認定するだけの十分な力量がない学会も多いので、今のような形でも当面はやむを得ないのではないかと思う。

 現状の認定看護師、専門看護師の制度では、「保健師、助産師、看護師のいずれかの免許を有すること」となっており、看護師国家試験が不合格で看護師の資格を有しておらず、助産師のみ資格を有している場合も、認定看護師や専門看護師の資格を取得することは可能性があるのはよろしくないのではないか。

 (現場での活用)
 専門看護師や認定看護師の資格をとらせるには、時間的にも、マンパワー的にもかなりの犠牲を払わなければ成り立たない。また、専門看護師や認定看護師の資格を得たからといって、経済的な評価をされるわけではない。専門看護師や認定看護師をどのように評価し、処遇に反映させるかが課題である。専門医はかなり増加し、その地位も確立した。一方で、看護師は専門制度を導入しても増加のスピードは緩やかである。

がん専門看護師は、がん患者の相談、ケアの提供に加え、看護師の教育や相談、研究の指導や倫理的課題の調整役なども担っている。重症集中ケアの認定看護師はフィジカルアセスメントをどのように看護に生かしていくかを考えて活動している。

 専門看護師、認定看護師を養成は、資格を取得するための期間が長期に及び、しかもその期間は原則としては現場を離れなければならないため、現場の負担は大きい。そのような現場の負担が大きい中で、資格を取得してきた者を有効に活用できるよう配置するように気をつけている。専門看護師や認定看護師は、現場の看護師たちから頼りにされ、医師やコメディカルとの連携もスムースにいっている。

 がん専門看護師はがん患者の告知後のフォローを行ったり、告知プログラムの作成を提案したり、患者はもとより医師からも信頼を得ている。専門看護師や認定看護師の資格取得をするために病院から人を出すことは確かに大変なことではあるが、資格を取得して戻ってきたときの貢献度を考えれば検討の価値はある。

 処遇については、がん専門看護師が、診療報酬における加算が認められる制度があるくらいであり、今後は彼らの活躍具合をどのように反映させるかは課題である。

 現状では資格を持っているからといって、給料に反映させることは難しい。また、これらの資格は5年の更新制であり、それ故に、彼らにとっては、研究やその分野の勉強の大きなモチベーションになっている。

 専門看護師や認定看護師が、看護職員が随所に配置されれば、インシデント、アクシデントの発生防止に効果があり、安全で質の高い看護が提供できる。現在のところ、専門看護師や認定看護師の配置の効果を示すエビデンスが十分にはないので、これからエビデンスを作り上げていくことが大切である。

 現在は確かに専門看護師、認定看護師の養成数は少ないし、現場からなかなか資格を取得するために人を出すことが難しいという現状もあるが、専門看護師、認定看護師がいる病院では、着実に成果をあげており、職場からの派遣も多い。人気分野については、応募も多く、試験が難しすぎて入学できないので、養成数を増やしてほしい等の意見も多い。今後は少しずつではあるが、養成数、有資格者も増加してくると思う。

 専門看護師、認定看護師の量を増やすことと入学時の試験のハードルを調整することの両立に課題がある。看護師の質を高めることと数を増やすことの両立については検討が必要である。

 (広告について)
 臨床現場では、資格制度がない状態でも、専門性の高い看護を提供する看護師もいる。専門看護師とか認定看護師の制度を否定するものではないが、これらの専門性を国がコントロールすることはよくない。医療の現場で官製はよろしくない。民間団体にできることは、民間団体にがんばってもらうというのが、今の政府の姿勢ではないのか。広告は、医療部会でネガティブにするかポジティブにするか結論が出ていないので、この場では議論はできない。

 医師は、その存在自体が専門性である。一方、看護師の場合は看護師全員がジェネラリストであったが、医療の進歩に合わせて、看護の中でも専門をつくっていく必要性がでてきて、意図的に分化させて、専門化に取り組んでいると思う。看護の広告はこれまであまりなかったわけだが、日本看護協会では、専門看護師、認定看護師として、看護師としてのより高度な看護師像を想定していることと思う。看護の資格は、保健師、助産師、看護師とあるが、看護師をベースの資格と考えるのであれば、ある程度、保健師、助産師も専門看護師とも解釈できないわけではない。保健師、助産師と専門看護師の関係性を明確にして、保健師助産師看護師法をどのように構築、改正していくか、避けては通れない問題であると考える。

 医師の場合は、専門の標榜と実際の専門が異なると具合が悪いという旨の意見があったが、看護師も基本的には同じだと思う。不妊治療を実施しているクリニック等に不妊看護の認定看護師は配置されているのかという利用者からの質問もあり、利用者の看護への専門性の期待は大きい。専門看護師も認定看護師も、現場では一定の成果をあげているので、積極的に広告を認めてもいいのではないかと思う。

 パンフレットや院内掲示等で専門看護師について掲示を行った結果、患者は専門看護師のところへ相談に行くようになった。専門看護師の存在を知らない患者も多い現状では、広告は必要であると思う。

 患者が情報を持って自分自身で選択できるようにする1つの方法としても、広告は必要である。

 看護師の専門分化はこれから推進していかなければいけない。看護の専門分化は、自分たちである程度、専門分化していかなければならないと思う。学会で専門認定することも結構であるが、ただ、そのプログラムについては、何らかの客観的なチェック体制を整備する必要があると考える。そのようなチェック体制が担保されるのであれば広告規制を緩和しても構わないと思う。

 ハードル、妥当性を検討していかなければならない。

 (その他)
 産科専門看護師、精神科専門看護師などの名称を使用することは法律上問題はないのか。専門看護師と名乗ったり、名刺に記載したりすることが法律上問題にならないのか。以前、「○○専門看護師」という名称を使うことは法律上問題がある、というような記述を読んだ記憶がある。このあたりをきちんと整理しなくてはいけない。

 地域の医療現場で助産師が不足していることを考慮し、産科エキスパートナース、分娩看護の分野の認定を考えるべきではないか。医師から独立、開業して助産を行う助産と、医療機関内で医師の指示の下で行われる助産は、求められる能力が異なることから、6か月600時間は少し緩和されるのではないか。

 分娩に特化し、医療機関の中で医師の監視下で分娩の介助を行うので、助産師ほどの高度な内容の教育をしなくても十分に業務を提供できるのではないか。

 助産は、助産師の養成を考えるべき。助産師が不足しているからといって、安易に分娩に特化した認定の看護師を養成するべきではない。

 助産師の教育の養成期間は6ヶ月以上となっている。認定看護師も養成期間は6ヶ月以上、600時間以上だが、さらに実務経験が5年以上なければならず、助産師の養成より困難となる。

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