資料6


第5回協議会 児童扶養手当関係資料


−目次−


I  児童扶養手当受給者の就業支援の在り方とその取組状況の地域間格差について

 母子家庭の自立支援策の概要
 母子寡婦福祉法等の改正の概要と対策の実施時期一覧
 母子家庭の現状と自立支援のあるべき方向
 自治体における就業支援策について
 母子家庭の就業支援関係事業の実施状況等
 就業支援施策の取組事例
 児童扶養手当の受給者に対する就労支援


II  養育費の確保対策について

 養育費に関する現状
 養育費確保に関する最近の取組み



I  児童扶養手当受給者の就業支援の在り方とその取組状況の地域間格差について

 母子家庭の自立支援策の概要

○平成14年度に母子及び寡婦福祉法、児童扶養手当法等を改正し、「児童扶養手当中心の支援」から「就業・自立に向けた総合的な支援」へと転換したところ。

自立・就業支援に主眼を置いた総合的な母子家庭等対策の推進
児童扶養手当法第2条(児童扶養手当の趣旨)
児童扶養手当の支給を受けた母は、自ら進んでその自立を図り、家庭生活の安定と向上に努めなければならない。
母子及び寡婦福祉法第4条(自立への努力)
母子家庭の母及び寡婦は、自ら進んでその自立を図り、家庭生活及び職業生活の安定と向上に努めなければならない。
子育てと生活支援

保育所の優先入所の法定化
ヘルパーの派遣などによる子育て、生活支援策の実施
サテライト型施設の設置など母子生活支援施設の機能の拡充
就業支援

母子家庭等就業・自立支援センター事業の推進
母子家庭の能力開発等のための給付金の支給
母子家庭の母の公共的施設における雇い入れの促進
養育費の確保

養育費支払い努力義務の法定化
法律相談事業の実施
養育費の額の目安となる算定表を含む「養育費の手引」の作成
民事執行制度の改正による履行確保の促進
経済的支援

自立を支援する観点から母子寡婦福祉貸付の充実
児童扶養手当の支給
母子自立支援員の設置  相談に応じ自立に必要な指導、職業能力の向上及び求職活動に関する支援を実施(都道府県、市等)(平成16年度 1,373人)


 母子寡婦福祉法等の改正の概要と対策の実施時期一覧

平成14年度実施

(平成14年度予算に基づき実施)

児童扶養手当制度(8月実施)
所得額と手当額の関係や所得の範囲の見直し

グラフ
母子寡婦福祉貸付金
技能習得資金の一時貸付の充実
特例児童扶養資金の創設(児童扶養手当制度の改正に伴う貸付金)

平成15年度実施

(母子寡婦福祉法、児童扶養手当法、児童福祉法の一部改正とそれに基づく予算措置で実施)

子育て支援策
保育所の優先入所の法定化 等
就業支援策
母子寡婦団体における就職情報の提供や無料職業紹介の実施 等
養育費の確保
養育費支払いの責務の明確化 等
  母子寡婦福祉貸付金の拡充
児童本人に対する貸付を創設
児童扶養資金の減免制度の導入(14年度の改正に伴うもの) 等
児童扶養手当制度の見直し
支給期間と手当額の関係の見直し
受給期間が5年を超える場合手当の一部減額
3歳未満の児童の養育への配慮
障害者など自立困難者への配慮
認定に係る請求期限の廃止 等  │
 │
 

施行5年後頃
平成15年度の法施行後5年後を目途に適用。そのための関係政令を施行(平成20年4月1日)までに制定


 母子家庭の現状と自立支援のあるべき方向

〈母子家庭の現状〉         〈あるべき方向〉
急増する母子世帯
 ・ 123万世帯(H15)
(5年前に比べ28%増)

母子の若年化の進行
 ・ 母子家庭となった時の平均年齢
母33.5歳、子4.8歳
(子が18歳に達するまで約13年)

就業率は高いが、
不安定な地位で就業

 ・ 8割を超える就業率
 ・ うちパート49%、
常用雇用39%

不就業の者でも、高い就業意欲
不就業者のうち、約86%が「就職したい」と回答
→
母子家庭の自立に向けた総合的なサ|ビスの提供が不可欠
(1) 子育て・生活支援

保育所への優先入所等、子育て支援サービスの提供
日常生活支援サービスの提供
各種生活相談(養育費の確保等)

(2) 就業支援

就業相談、就業に関する情報提供
職業能力開発等への支援
雇用・就業機会の増大

(3) 経済的支援

児童扶養手当
母子寡婦福祉貸付金











┼→







自治体による自立支援のための総合的なコーディネートが不可欠

○総合的な相談窓口

  ・ 手当事務と他の就業・自立支援策との連働

○母子家庭の個々の状況に応じた自立支援プログラム(メニュー)の作成と実施

  ・ 地域の各種社会資源の活用





保育所、学校、子育てNPO、
児童福祉施設、母子寡婦福祉団体、民生委員・児童委員、ハローワーク など






 自治体における就業支援策について

(1) 母子家庭等就業・自立支援センター事業(実施主体:都道府県・指定都市・中核市)(H15〜)
(職業相談から就業支援講習会の実施、就業情報の提供等一貫した就業支援サービスを提供)

(2) 母子家庭自立支援給付金(実施主体:都道府県・市・福祉事務所設置町村)(H15〜)

自立支援教育訓練給付金(教育訓練の受講料の4割を支給(上限20万円))
    雇用保険制度の教育訓練給付の指定対象講座等以外に自治体が地域の実情に応じて対象講座を追加指定する場合、国への事前協議を廃止(H17〜)

高等技能訓練促進費
(修業期間中の生活費について一定期間の経済的支援。月額10万3千円、修業期間の最後の1/3の期間(12月を限度))
    看護師等の国が定める対象資格以外に自治体が地域の実情に応じて対象資格を追加指定する場合、国への事前協議を廃止(H17〜)

常用雇用転換奨励金
(母子家庭の母を新規にパート等として雇用し、OJT実施後、常用雇用労働者に雇用転換した事業主に対して奨励金(1人当たり30万円)を支給する。)

(3) 準備講習付き職業訓練(実施主体:国・都道府県)(H17〜)
(1500人分(訓練手当は1,000人分支給))

(4) 児童扶養手当受給者に対する就労支援(東京都・大阪府及び政令指定都市でモデル実施)(H17〜)
(自立支援プログラムの策定とハローワークとの連携による就労支援)


 母子家庭の就業支援関係事業の実施状況等

(1) 母子家庭等就業・自立支援センター事業
 母子家庭の母等に対して、就業相談や就業支援講習会の実施、就業情報の提供など一貫した就業支援サービスや養育費の相談など生活支援サービスを提供する。

  都道府県
(47)
指定都市
(13)
中核市
(35)
合計
(95)
平成15年度 39か所
(83.0%)
8か所
(61.5%)
11か所
(31.4%)
58か所
(61.1%)
平成16年度 47か所
(100.0%)
12か所
(92.3%)
21か所
(60.0%)
80か所
(84.2%)
平成17年
(予定)
47か所
(100.0%)
12か所
(92.3%)
21か所
(60.0%)
80か所
(84.2%)

(2) 自立支援教育訓練給付金事業
 地方公共団体が指定する教育訓練講座を受講した母子家庭の母に対して、講座終了後に受講料の一部を支給する。
 受講料の4割相当額(上限20万円、下限8千円)

  都道府県
(47)
指定都市
(13)
中核市
(35)
一般市等 合計
平成15年度 35か所
(74.5%)
1か所
(7.7%)
6か所
(17.1%)
116か所
(17.6%)
158か所
(21.0%)
平成16年度 45か所
(95.7%)
7か所
(53.8%)
24か所
(68.6%)
251か所
(36.0%)
327か所
(41.2%)
平成17年度
(予定)
47か所
(100.0%)
13か所
(100.0%)
30か所
(85.7%)
346か所
(48.1%)
436か所
(53.6%)

(3) 高等技能訓練促進費事業
 介護福祉士等の経済的自立に効果的な資格を取得するために2年以上養成機関等で修学する場合で、就業(育児)と修業の両立が困難な場合に、生活費の負担軽減のため、高等技能訓練促進費を支給する。
 修学期間の最後の1/3の期間(12ヶ月を限度)
 月額10万3千円

  都道府県
(47)
指定都市
(13)
中核市
(35)
一般市等 合計
平成15年度 29か所
(61.7%)
1か所
(7.7%)
6か所
(17.1%)
91か所
(13.8%)
127か所
(16.9%)
平成16年度 37か所
(78.7%)
5か所
(38.5%)
24か所
(68.6%)
186か所
(26.6%)
252か所
(31.8%)
平成17年度
(予定)
40か所
(85.1%)
10か所
(76.9%)
28か所
(80.0%)
265か所
(36.9%)
343か所
(42.1%)

(4) 常用雇用転換奨励金事業
 母子家庭の母を新規にパートタイムとして雇用し、OJT実施後、常用雇用(一般)労働者に雇用転換した事業主に対して奨励金を支給する。
 1人あたり 30万円

  都道府県
(47)
指定都市
(13)
中核市
(35)
一般市等 合計
平成15年度 19か所
(40.4%)
1か所
(7.7%)
2か所
(5.7%)
56か所
(8.5%)
78か所
(10.4%)
平成16年度 29か所
(61.7%)
3か所
(23.1%)
11か所
(31.4%)
125か所
(17.9%)
168か所
(21.2%)
平成17年度
(予定)
31か所
(66.0%)
4か所
(30.8%)
12か所
(34.3%)
150か所
(20.9%)
197か所
(24.2%)


 就業支援施策の取組事例

大阪市における取組
《センター事業の就業実績》(H15.4.1〜H16.12.31)
就業実績(延べ人数)
総数 常勤 非常勤
・パート
自営業
・その他
602人 257人 345人 0人
*センターで実施されている3事業による就業実績の合計であり、重複計上もある。
(1)  就業支援を希望する児童扶養手当受給者に就業支援策の内容を説明するようルール化されており、母子自立支援員を対象にした研修会などで説明。
(2)  ハローワークと母子家庭等就業・自立支援センターとの間に直接的連絡があり、週に1回程度の頻度で、求人状況等の情報収集のためハローワークに足を運んでいる。

富山市における取組
《センター事業の就業実績》(H15.10.1〜H16.12.31)
就業実績(延べ人数)
総数 常勤 非常勤・パート 自営業・その他
145人 118人 25人 2人
*センターで実施されている3事業による就業実績の合計であり、重複計上もある。
(1)  広報誌やリーフレット、様々な施策を盛り込んだ冊子に就業支援策のすべてを掲載し、就業支援策を積極的に周知。
(2)  ハローワークと母子家庭等就業・自立支援センターとの間に直接的連絡があり、週2回程度資料の郵送を行っている。また、地域別就労支援員を配置し、ハローワーク窓口へ足を運び情報収集に努めている。
(3)  母子自立支援員と母子家庭等就業・自立支援センターの就労支援員が出席する合同会議を開催して、情報交換を行っている。

長野県における取組
《センター事業の就業実績》(H15.4.1〜H16.12.31)
就業実績(延べ人数)
総数 常勤 非常勤・パート 自営業・その他
519人 299人 220人 0人
ハローワークとの連携
ハローワークより業務月報、週間求人情報、求人公開カードの提供。
定期的(週1〜2回)な連絡調整。
ハローワーク主催の求人求職の講座や検討会議等に出席。
求職登録者とハローワークへの同行及び担当者との相談、求職活動。


 児童扶養手当の受給者に対する就労支援

 個々の児童扶養手当受給者の状況・ニーズに応じ、自立支援計画書を策定し、母子家庭等就業・自立支援センター事業の活用やハローワークとの連携による就労支援により、きめ細かな自立・就労支援を実施する。
母子自立支援プログラム策定員の選定と配置
ハローワークOB、人事担当部局経験者など就業相談の知識・経験がある者等
※母子家庭等就業・自立支援センターへの配置可
   ↓
面接の実施
児童扶養手当受給者のうち自立・就労に対する意欲のある者等に対し個別に面接を実施
   ↓
自立支援計画書の策定
   
就労支援事業への移行
(1)  生活や子育て、健康、収入、就労の状況等、本人の現在の状況を理解するために必要な事項
(2)  本人の自立・就労を阻害している要因、課題
(3)  自立・就労阻害要因を克服するための支援方策の内容
(4)  自立目標
(5)  支援方策実施後の経過、自立・就労の進捗状況、支援内容等に対する評価
(6)  面接者の見解、面接者が本人に対して行った指導、助言、対応等の内容
関係機関等との連絡調整

 就職等支援方策を検討するため、ハローワークとの連携による就労支援へ移行することが望ましいと考えられる支援対象者については、福祉事務所総括コーディネーターと事前に相談・調整。
 母子自立支援プログラム策定員は、就労支援メニュー選定チームの構成員として、ハローワーク担当者及びハローワーク担当コーディネーターとともに、支援対象者に対し面接を実施。
 面接修了後、支援対象者に最も適した支援メニューを選定。


II  養育費の確保対策について

 養育費に関する現状(平成15年全国母子世帯等調査 H15.11.1現在)

(1) 養育費の取り決め状況等
H15離婚母子世帯数978,500世帯のうち、34.0%が取り決め(H10年 35.1%)

離婚母子世帯数 養育費の取り決めをしている 養育費の取り決めをしていない
  うち文書有り うち文書なし
H15年 978,500世帯 34.0% 64.7% 35.3% 66.0%
H10年 653,600世帯 35.1% 66.7% 31.9% 59.7%

(2) 養育費の取り決めをしていない主な理由
相手に支払う意思や能力がないと思った  48.0% (H10 61.1%)
相手と関わりたくない  20.6% (H10   −  )
取り決めの交渉をしたが、まとまらなかった  9.8% (H10 11.3%)
取り決めの交渉がわずらわしい  3.8% (H10  6.5%)

(3) 養育費の受給状況
現在も養育費を受けている者は、17.7% (H10 20.8%)

離婚母子世帯数 現在も養育費を受けている 養育費を受けたことがある 養育費を受けたことがない
H15年 978,500世帯 17.7% 15.4% 66.8%
H10年 653,600世帯 20.8% 16.4% 60.1%

(4) 養育費の1世帯平均月額
H15 44,660円 (H10 53,200円)
   養育費を現在も受けている又は受けたことのある者の養育費(1世帯平均)の状況


 養育費確保に関する最近の取組み

(1) 養育費に関する規定の創設(15年4月施行)
母子及び寡婦福祉法を改正し、養育費支払いの責務等を明記した。


















【参照条文】
母子及び寡婦福祉法(昭和39年法律第129号) (抄)
 (扶養義務の履行)
第5 条 母子家庭等の児童の親は、当該児童が心身ともに健やかに育成されるよう、当該児童の養育に必要な費用の負担その他当該児童についての扶養義務を履行するように努めなければならない。
 母子家庭等の児童の親は、当該児童が心身ともに健やかに育成されるよう、当該児童を監護しない親の当該児童についての扶養義務の履行を確保するように努めなければならない。
 国及び地方公共団体は、母子家庭等の児童が心身ともに健やかに育成されるよう、当該児童を監護しない親の当該児童についての扶養義務の履行を確保するために広報その他適切な措置を講ずるように努めなければならない。
民法(明治29年法律第89号) (抄)
 (扶養義務者)
第8 77条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2・3 (略)


















(2) 強制執行手続の改善
 (1) 平成15年の民事執行法改正(16年4月施行)
 養育費等の強制執行について、より利用しやすくした(一度の申立てで、将来の分についても給料等の債権を差し押さえることができるようにした。)。

 (2) 平成16年の民事執行法改正(17年4月施行)
 養育費等の強制執行について、直接強制(債務者の財産を換価して、そこから弁済を受ける方法)のほか、間接強制(不履行の場合には上乗せ的に金銭を支払うよう債務者に命じて、自ら履行することを心理的に強制する方法)も可能とした。

(3)  養育費算定基準の周知等(16年3月)
 養育費の相場を知るための養育費算定表や、養育費の取得手続の概要等を示した「養育費の手引き」を作成。母子家庭等に対する相談において活用してもらうべく各自治体に配布。

(4)  養育費の取得に係る裁判費用の貸付(15年4月)
 母子寡婦福祉資金の一環として、養育費の確保に係る裁判費用については、特例として生活資金を12ヶ月分(約123万円)一括して貸し付け。

(5)  各種相談の実施
 母子家庭等就業・自立支援センターにおいて、養育費の問題に関し弁護士等による相談を実施するなど、各種相談を実施。

(6)  離婚届出時等における養育費取り決めの促進策の実施(17年8月)
 離婚する時などをとらえて、子の養育に関する法的義務について周知し、養育費の取決め書の作成を促すことが有効と考えられることから、「養育費に関するリーフレット(次ページ参照)」を作成し、市町村へ配布

【活用方法】
 母子家庭等対策部署と戸籍事務等関係部署と連携の上、
  (1)  離婚届用紙交付時に、「養育費に関するリーフレット」の配布
  (2)  関係部署の窓口への「養育費に関するリーフレット」の設置
  (3)  養育費の確保の促進に向けた広報活動
など、「養育費に関するリーフレット」を活用し、養育費の確保の促進策を実施。

【養育費に関するリーフレット】

養育費に関するリーフレットの図 養育費に関するリーフレットの図

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