資料4

平成17年10月19日


生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会
共同作業における議論のまとめ



[生活保護]

平成17年10月19日

生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会
共同作業における議論のまとめ


 失業率等の経済・雇用情勢、高齢化等の社会的要因の影響について
 保護率と、失業率や高齢化、離婚率等との相関は高く、経済・雇用情勢や社会的要因は保護率・保護費の上昇や保護率の地域間較差に極めて大きな影響を及ぼしている。


 生活保護以外の社会保障制度や厚生労働省の制度運営の影響について
 生活保護以外の社会保障制度における自己負担の増加や給付水準の上昇、低所得者施策の在り方や生活保護の適正実施に必要な厚生労働省の制度運営に係る通知等が保護の動向に影響を与えているという定性的な見方もあるが、定量的にはその具体的な影響の有無や程度を示すデータは示されていない。


 地方自治体における保護の実施体制や取組状況等について
(1)  地方自治体における保護の実施体制や実施状況には地域間で較差があり、これらの指標と保護の動向の間の相関のあるデータ等も見受けられるが、相関のないデータもある。
 なお、保護の実施体制や実施状況と被保護人員数等の保護の動向の因果関係については、保護の動向が実施体制の在り方に影響を与えるものの、実施体制の在り方が保護の動向に影響を与えているものではないことを示す統計的時系列分析が行われたが、これに対しては、この分析の有意性に関して問題があるとする反論も示された。

(2)  保護の適正化や就労自立支援、高齢被保護者や傷病・障害被保護者が入院せず、在宅や施設で暮らせるようにするための支援等に組織的に取組むことは重要であり、これにより保護率低下や保護費削減に一定の成果を上げている自治体がある。
 ただし、全国平均的には高齢者世帯や傷病・障害者世帯が8割を超えている現状においては、就労自立支援が保護率を低下させる効果は限定的であると考えられる。


 その他
 病床数と医療扶助費の相関については、一人当たり医療扶助費のデータの取り方によって、相関があるとするデータとないとするデータがある。



(参考資料)

 失業率等の経済・雇用情勢、高齢化等の社会的要因の影響について
 (1) 保護率の上昇
  ○  保護率は現行法が始まった昭和26年の24.2‰以降長期継続的に低下傾向にあったが、平成7年の7.0‰を底として再び上昇に転じ、平成15年には10.5‰に上昇した。

 (2) 保護率の上昇や地域較差をもたらす要因
  ○  以下の社会経済的要因と高い相関がある。
   (1)  失業率などの経済・雇用情勢(データ:保護率と各種指標との相関係数)
(都道府県)
 完全失業率:r=0.74、0.70
 完全失業率と保護率(20〜64歳):r=0.71
 失業者人口比:r=0.80
 共働き世帯割合:r=−0.76
(指定都市)
 完全失業率:r=0.70
   (2)  高齢化の進展、都市化の進展(データ:保護率と各種指標との相関係数)
(都道府県)
 高齢単身世帯割合:r=0.80、0.59
 高齢単身世帯割合と保護率(65歳以上):r=0.79
 高齢単身借家世帯:r=0.77
 単身世帯割合:r=0.70
 3世代同居率:r=−0.69、−0.67
 持ち家比率:r=−0.60
(指定都市)
 高齢単身世帯比率:r=0.82
 高齢単身借家世帯比率:r=0.77
   (3)  離婚率の上昇などの家族の変容(データ:保護率と各種指標との相関係数)
(都道府県)
 離婚率:r=0.75、0.73
 女性離別率:r=0.77
 女性就業率:r=−0.66
 母子世帯比率:r=0.45、0.65
(指定都市)
 離婚率:r=0.76
   (4)  その他の社会的要因(相互扶助の度合い等地域のコミュニティーの状況や生活保護に対する意識の違い)
総務省・地方団体 厚生労働省
 相互扶助の度合いといった地域のコミュニティーの状況や生活保護に対する意識の違いなどによって、地域較差が生じていると認められる。
【データ】
 ・ 民事訴訟件数:r=0.62
 ・ 国民年金未納率:r=0.56
 ・ 低所得世帯に占める被保護世帯割合:r=0.82
 民事訴訟件数、国民年金未納率、低所得世帯に占める被保護世帯割合が、それぞれ相互扶助の度合いといったコミュニティーの状況や生活保護に対する意識の違いを説明するデータ(代理変数)とは言えない。
   (5)  保護率と社会・経済指標の相関(重回帰分析)
総務省・地方団体 厚生労働省
 経済・社会的要因を表す失業率(又は個人所得)、高齢単身借家世帯比率、女性離別率の3つの指標で、保護率の地域較差の8割程度は説明でき、この3つの指標に、低所得者に占める被保護世帯の割合の指標を加えると、地域較差の9割程度は説明できる。
 なお、t値及び多重共線性の検証から当該分析は有効。
 低所得世帯に占める被保護世帯割合は、生活保護の受給要件を満たす世帯がどれだけ実際に生活保護を受けているか(いわゆる「捕捉率」)を示そうとするもので、相互扶助の度合いといったコミュニティーの状況や生活保護に対する意識の違いを説明するデータといえる。
【データ】
 失業率a、高齢単身借家世帯率b、女性離別率c:R=0.76
 (係数とt値:
  a= 1.00(1.25)、
  b= 4.25(4.63)、
  c= 3.54(3.33))
 個人所得a、高齢単身借家世帯率b、女性離別率c:R=0.82
 (係数とt値:
  a= −0.01(−3.76)、
  b= 6.71(6.77)、
  c= 1.63(1.58))
 個人所得a、高齢単身借家世帯率
b、女性離別率c、低所得者に占める被保護世帯割合d:R=0.95
 (係数とt値:
  a= −0.01(−9.03)、
  b= 2.45(3.62)、
  c= 1.31(2.36)、
  d= 1.21(10.29))
 下記の低所得世帯に占める被保護世帯割合を含め、データの指標の取り方や標準化した係数値から説明変数に問題があること、定数項の有意性がないこと、係数のt値に有意でないものがあること、説明変数相互間に相関がある(多重共線性)ことなどの統計学的な問題があり、左記の分析は有効でない。
 低所得世帯に占める被保護世帯割合は、低所得者世帯割合以外の全ての要因を含んだ概念であり、保護の実施機関の体制や業務の運営の方針などの社会経済要因以外の要因も含むもので、相互扶助の度合いといったコミュニティーの状況や生活保護に対する意識の違いを説明するデータ(代理変数)とはいえない。

 ○  完全失業者数の増減と被保護者数の増減との相関(都道府県、平成9→15年度):r=−0.16


 他の社会保障制度や厚生労働省の制度運営の影響について

総務省・地方団体 厚生労働省
 老人保健、介護保険等における自己負担の増加や、DV被害者やホームレスへの保護の適用方針等が保護率の上昇要因の一つとなっているというのが現場の感覚ではないか。
 生活保護制度は他法他施策を優先し、また、困窮に陥った原因を問わず最低生活を保障する制度であるが、他の社会保障制度や低所得者施策の在り方が保護率等に及ぼす具体的な影響の有無や程度の評価はできていないのではないか。
 『生活保護の動向解析(保護課監修)』では、「昭和48年1月の老人医療費公費負担制度の発足に伴い、従来大きな割合を占めていた傷病による保護開始が減少し、(以下略)」と記述し、厚生労働省も老人医療費公費負担制度の導入が生活保護の動向に影響を及ぼしていることを認めている。
 左記の記述は定量的な分析をしているものではなく、定性的な見方を示したに過ぎない。
 国民健康保険料滞納者のうち生活困窮者への生活保護申請勧奨、生活困窮者把握のための情報収集等や、申請権の侵害の防止等に関する厚生労働省通知(別添)が、保護率・保護費の増加につながっているのではないか。
 これらの通知は保護を受けるべき人に保護が適用されることを確保し、また、保護を適正に実施するために必要なものではないか。


 地方自治体における保護の実施体制や取組状況等について
(1) 保護の実施体制や実施状況に関する指標と保護の動向の相関
 (1)  保護の実施体制及び実施状況に関する地域間較差
  ○  保護の実施体制・実施状況の較差の例
 現業員充足率(都道府県別)
  最高184.4%、最低68.4%(全国平均98.9%)
 申請一件当たりの関係先に対する資産・収入調査件数(都道府県別)
  最高43.4件、最低6.1件(全国平均23.1件)
 被保護世帯一世帯当たり年間訪問調査活動回数(都道府県別)
  最高6.91回、最低2.32回(全国平均3.86回)
 新規保護申請件数に対する保護開始件数(都道府県別)
  最高96.0%、最低70.1%(全国平均89.2%)
  ○  これらに対する評価
 調査件数、訪問件数の較差は、実施体制によるものではなく、対象となる世帯類型などに関係するものであり、件数の多さよりも効率性・実効性が重要である。
 生活保護手帳に「生活圏内の関係先調査」と明記されており、較差が生じるのは当然。

 (2)  保護の実施体制・実施状況と保護の動向の相関
項目 相関がないとするデータ 相関があるとするデータ
 保護の実施体制と保護率の関係

1) 現業員充足率と保護率の関係
 標準数2人以上の福祉事務所の保護率と現業員充足率(専任換算有):
 r=0.22(都道府県別)
 r=−0.21(指定都市別)
 標準数2人以上の福祉事務所の保護率と現業員充足率(専任換算無):
 r=−0.26(都道府県別)
 r=−0.19(指定都市別)

 現業員の標準数1人の福祉事務所は、複数の配置を余儀なくされ、結果として現業員充足率は高くなる。標準数1人の福祉事務所が多いのは農村部であり、もともと保護率が低い。このような地域では、自ずから現業員充足率は高いこととなる。
 【データ】現業員充足率と標準数一人の福祉事務所数の全福祉事務所数に占める割合との相関
 r=0.79

 現業員数には、他の福祉関係業務を担当する兼務者を含んでおり、実態を反映していない。
 現業員充足率と保護率の相関
(都道府県別・全福祉事務所)
 =0.51(y=306737x-2.24495
(特徴)
 (1) 現業員充足率が特に高い自治体においては保護率が低い
 (2) 保護率が10‰を超える自治体で現業員充足率が特に高いところはみられない
 現業員充足率と保護率の相関  (福祉事務所別):
 =0.32(y=3665.2x-1.3181
 標準数2名以上の福祉事務所の現業員充足率と保護率の相関(都道府県別):
 =0.31(y=387566x-2.3149
 現業員充足率が100%以上の福祉事務所が占める割合と、平成9年から15年の保護率の変化の相関:
 r=0.77
 現業員充足率と保護人員の伸び率との相関(平成11年〜15年度平均、指定都市別):
 r=−0.60
 現業員充足率が100%以上の福祉事務所と100%未満の福祉事務所における保護率の比較:
 前者は保護率の平均が7.63‰であるのに対し、後者は16.76‰であり、現業員充足率が100%以上の福祉事務所の方が、現業員充足率が100%未満の福祉事務所よりも、平均して保護率が低い。
2) 保護率の変化と現業員充足率の推移との関係
 現業員充足率と保護率の相関について、現業員充足率の低下は保護率の上昇に配置が追いつかないことから生じるものであり、現業員充足率が低いことが保護率が高い原因となっているわけではないのではないか。
 以下のデータから、現業員充足率の低下は保護率の上昇に伴い不可避的に低下するものではなく、自治体により充足率の変化状況に較差があるのではないか。
 指定都市における現業員充足率を経年的に比較すると、保護率の上昇局面においても現業員充足率を維持し、保護率があまり大きく上昇していない自治体と、保護率の上昇に伴い現業員充足率が低下し続け、保護率も大きく上昇している自治体がある。
 平成15年度現業員充足率が100%以上の都道府県と100%未満の都道府県の平均保護率と平均現業員充足率の推移について見ると、昭和60年には双方とも保護率は12‰、現業員充足率は110%前後であったが、平成7年から15年の保護率上昇局面には前者に比べて後者の保護率の上昇・現業員充足率の下落の幅がともに大きくなっている。
 (前者: 保護率+2.1‰
現業員充足率−20.1%
後者: 保護率+5.0‰
現業員充足率−28.4%)
 保護の実施状況と保護率との相関
 申請一件当たり関係先調査件数と保護率の相関:
 r=−0.03(都道府県別)
 r=0.11(指定都市別)
 年間訪問回数と保護率の相関
(都道府県別、平成15年度):
 r=−0.12
 不正受給発見数と保護率の相関
(都道府県別):
 r=−0.12
 過誤調整率と保護率の相関:
 r=−0.04
 申請一件当たり関係先調査件数と保護人員の伸び率
(指定都市別、平成11〜15年度平均):
 r=−0.73
 年間訪問調査回数と保護人員の伸び率の相関(平成11〜15年度平均):
 r=0.49(都道府県別)
 r=−0.46(指定都市別)
 申請件数に対する開始件数割合と被保護人員数の伸び率の相関
(都道府県別):
 r=0.61
 同じ実施体制で事務を行っている同一行政区域内の各実施機関ごとの保護率や同一の実施機関内の小学校区の保護率に大きな差が生じている。
大阪市の実施機関の保護率較差
   福島: 8.6‰  
   西成: 147.9‰  約17倍
京都市の同一実施機関内の保護率較差
   A学区: 9.7‰  
   B学区: 176.7‰  約18倍
 左記の主張に関しては、大阪市の一部の区においてはホームレス等の偏在、京都市の同一実施機関内の一部学区については低所得者向け住宅の密集等の影響により保護率が突出して高くなっている可能性が高いが、このような特定の事情の保護率への影響をもって、保護の実施体制と保護の動向に関する相関の存在そのものが否定されるものではない。
 関係先調査件数が増加しているにもかかわらず、保護の開始世帯が増加しているところがある。
 左記と同じ調査において、関係先調査件数の増加に伴い、保護の開始世帯が減少しているところもある。
 保護の実施体制と保護の実施状況との相関
 現業員充足率と関係先調査件数との相関(都道府県別):
 r=0.13
 現業員充足率と年間訪問回数との相関:
 r=0.29
 現業員充足率と不正受給発見件数との相関:
 r=−0.17
 現業員充足率と過誤調整率
 r=0.12

 調査件数、訪問件数の較差は、実施体制によるものではなく、対象となる世帯類型などに関係するものであり、件数の多さよりも効率性・実効性が重要である。また、生活保護手帳に「生活圏内の関係先調査」と明記されており、較差が生じるのは当然。
 現業員充足率と関係先調査件数との相関
 r=0.40(指定都市別)
 現業員充足率と年間訪問回数との相関
 r=0.53(指定都市別)

 (2) 保護の実施体制に関する指標と保護の動向との因果関係

総務省・地方自治体 厚生労働省
 保護の実施体制と保護の動向とのグレンジャーの因果関係について分析を行った結果、保護の動向は実施体制に対してグレンジャーの因果関係があり、実施体制は保護の動向に対してグレンジャーの因果関係がないことが証明された(**1%で有意、*5%で有意)。
【データ】
 因果関係が認められるもの
・A-(1)  被保護人員数は現業員数に対して因果関係がある。
F値=8.51**
・A-(2)  保護率は充足率に対して因果関係がある。
F値=5.28*
・A-(3)  被保護人員数の伸び率は充足率に対して因果関係がある。
F値=5.35*
・A-(4)  標準数は現業員数に対して因果関係がある。
F値=13.44**
 因果関係が認められないもの
・B-(1)  現業員数から被保護人員数への因果関係はない。
F値=0.42
・B-(2)  充足率から保護率への因果関係はない。
F値=0.77
・B-(3)  充足率から被保護人員数の伸び率への因果関係はない。
F値=0
・B-(4)  標準数から現業員数への因果関係はない。
F値=1.76
 
 グレンジャーテストは、時系列のデータに基づいて統計的因果関係を分析するものである。2つの変数xとyがあるとき、xの過去の情報によって、yがよりよく予測できるとき(統計的に有意に)、xはyに対して因果関係があるという。計量経済学の一つの手法である。
 グレンジャーテストによって説明できるのは、変数間の本来の意味での因果関係ではなく、あくまで、どちらの変数が先に動くかのみ。つまり、XとYを時系列観察するとき、XがYより先に起こるのか、YがXより先に起こるのか、両方とも同時的に起こるのか、を知ることができるに過ぎず、またそれのみがグレンジャーの因果性検定の目的である。
 グレンジャーテストは、個々の推計式における各変数の計数値やその符号、さらにt検定をみるものではない。言い換えれば、グレンジャーテストの結果の情報として、これらは必要ではない。これがグレンジャーテストの特徴である。
 ただし、原因とされる変数が結果とされる変数に及ぼす影響の方向をみるために、原因とされる変数の過去値の係数の符号を総体としてみる。
 因果関係の方向は、下記のとおりである。
A-(1)ついて、被保護人員数の過去値の係数は正である。したがって、被保護人員数が増える(あるいは減る)と現業員数が増える(あるいは減る)。
A-(2)について、保護率の過去値の係数は負である。したがって、保護率が高くなる(あるいは低下する)と、充足率が低下する(あるいは上昇する)。
A-(3)について、被保護人員の伸び率の過去値の係数は負である。したがって、被保護人員の伸び率が高くなる(あるいは低下する)と、充足率は低下する(あるいは上昇する)。
A-(4)について、標準数の過去値の係数は正であって、従って標準数が高くなる(あるいは低下する)と、現業員数が増える(あるいは減る)。
 XがYよりも先に動くことが有意な結果となったとしても、重要なのはそのメカニズムをいかに説明できるかという点であるが、グレンジャーの因果性検定は、そのメカニズムを含めて因果関係があると結論づけることができる統計分析ではない。
 本件グレンジャーテストが有効であるかどうかを判別するためには、F検定結果のみならず、変数の係数値やその符号、さらにそのt検定なども必要である。
 左記の分析結果は、例えば、被保護人員数と現業員数の「因果関係」について言うと、「被保護人員数が増加したら、現業員数が増加した」ことは有意と言えたが、「現業員数が増加したら被保護人員数が増加した」とは有意に言えなかったことを意味しているに過ぎず、被保護人員数等の保護の動向と現業員数等の保護の実施体制の原因と結果の因果の関係が明らかになったわけではない。
 当該分析に使用したデータは、時系列のデータである。大阪市についても分析し、結果は同じであった。
 また、左記のグレンジャーテストについては、データの使用方法についても以下のような問題がある。
 ・  ある期間内において、A福祉事務所は、被保護人員数が増加、現業員数も増加し、同じ期間内にB福祉事務所は被保護人員数が減少、現業員数も減少している場合、左記の分析は、これらの福祉事務所ごとのデータを足し上げた全国計の2つのデータを用いて分析しており、この2つの変数の「因果関係」の検定として意味がない。
 不連続ではない。地方団体にとって標準数の性格は変わらない。
 ・  現業員数のよるべき基準は、平成11年以前は「法定数」、以後は「標準数」であって、現業員数に関わるデータは、この前後で不連続である。
 右記の分析で因果関係が明らかになったとすることは正しくない。その理由は以下のものである。
(1)  時系列の分析においては、変数からトレンド、循環性などを除く必要がある。
(2)  変数相互の関係と変数の自己回帰的変動とを区別できない。相関があるようにみえても、単に2変量の自己回帰的変動パターンが類似しているだけの可能性がある。
 保護率と現業員充足率について、1年又は2年のラグをとってその相関係数をとると、現業員充足率は1年後、2年後の保護率に対して、非常に高い相関がみられたが、保護率は1年後、2年後の現業員充足率に対して、相関がなかった。
【データ】
 ・  当年の充足率と、2年後の保護率との相関 r=−0.91
 ・  当年の充足率と、1年後の保護率との相関 r=−0.78
 ・  当年の保護率と、2年後の充足率との相関 r=0.14
 ・  当年の保護率と、1年後の充足率との相関 r=−0.19
 被保護人員数と現業員充足率について、1年又は2年のラグをとってその相関係数をとると、現業員充足率は1年後、2年後の被保護人員数に対して、非常に高い相関がみられたが、被保護人員数は1年後、2年後の現業員充足率に対して、相関がなかった。
【データ】
 ・  当年の充足率と、2年後の被保護人員数との相関 r=−0.93
 ・  当年の充足率と、1年後の被保護人員数との相関 r=−0.83
 ・  当年の被保護人員数と、2年後の充足率との相関 r=0.08
 ・  当年の被保護人員数と、1年後の充足率との相関 r=−0.28


 (3) 保護の適正化や自立支援のための組織的取組の効果
  ○  保護の適正化や自立支援のための組織的取組の例
 北九州市においては、生活保護の適正実施を図るため、(1)実施体制強化のため組織機構・人員配置の改編、(2)マネジメントサイクルを導入し生活保護業務の改善等を実施した結果、全国の保護率の上昇局面(平成6年:7.1‰→平成15年度:10.5‰)においても保護率は低下(平成6年:16.0‰→平成15年度13.0‰)
 横浜市においては、就労可能な者に対する支援を組織的に行うため、(1)各福祉事務所における自主事業の実施、(2)就労支援員の配置などを実施した結果、平成16年度には支援対象者928人中就労開始594人、保護廃止159世帯、収入増435世帯、財政支出削減効果252,326千円の成果。
 八尾市においては、母子世帯に対する支援を組織的に行うことを目的として「自立支援プログラム策定モデル事業」を実施した結果、平成16年10月から平成17年1月(3月末までの見込みを含む)で支援対象世帯53世帯中就職・転職等による増収31世帯、1ヶ月当たり財政支出削減効果879,448円の成果。
 大阪市においては、適正化担当の課長代理を配置し、母子世帯に対する自立支援プログラムを策定するとともに、被保護者の就労自立に向けた支援事業をモデル的に実施した結果、16年度(11ヶ月)では支援対象381世帯388人のうち、86人が就職し、11世帯が保護廃止となった。事業効果は、計14,651千円で、1ヶ月当たり財政支出削減効果は1,332千円である。なお、17年度には40人の自立支援担当係長を配置し、事業メニューを拡充して、支援に取り組んでいる。

総務省・地方自治体 厚生労働省
 全国平均的には高齢者及び傷病・障害世帯が8割を占めることから、就労支援が経済的自立につながる世帯はごくわずかであり、保護率や保護費の縮減に与える影響は軽微にとどまるのではないか。
 都内X区の実績(平成16年度)
被保護人員17,280人  
     (100.0%)
うち稼働年齢層  
   5,716人  (33.1%)
うち就労阻害要因なし  
   725人  (4.2%)
うち就労者  260人  (1.5%)
保護廃止世帯 20世帯  
  (被保護世帯の0.17%)
 高齢者及び傷病・障害世帯で、仮に就労が期待できないとしても、例えば入院せず、在宅や施設で暮らせるように支援することも生活保護の自立支援の範疇であり、これによって、保護費が縮減できることもあるのではないか。


 医療扶助に係る要因
  ○  保護率や医療扶助における入院人員数等と病床数医療提供体制関係指標との相関(都道府県、平成15年)
 人口10万対病床数と人口10万対医療扶助における入院人員数:r=0.67
 人口10万対精神科病床数と人口10万対医療扶助における精神疾患入院人員数:r=0.79
 人口10万対医療機関数と保護率:r=0.39
 人口10万対医療機関数と人口10万対医療扶助における入院外人員数:r=0.39
 人口10万対病床数と医療扶助保護率の相関:r=0.46
 人口10万対精神科病床数と医療扶助保護率の相関:r=0.37

  ○  病床数と人口10万対医療扶助における入院人員数等と相関があることは、病床があればそこに一定の割合で、生活保護受給者が占めていること、つまり、病床数と一般の医療保険にかかる入院人員数と同様の傾向を示しているもの。

総務省・地方自治体 厚生労働省
 一つの集団の医療費水準を表す代表的指標は、「人口一人当たり医療費」ではなく、「当該集団の加入者一人当たり医療費」であり、医療供給と医療との関係の分析は、「加入者一人当たり医療費」、あるいはそれらを分解してできる医療の3要素(一人当たり件数、一件当たり日数、一日当たり診療費、あるいはこれらの組み合わせ)によって行う。
加入者一人当たり医療費
医療費総額
加入者数
件数
加入者数
× 日数
件数
× 医療費総額
日数
(一人当たり件数)×(一件当たり日数)×(一日当たり診療費)
「加入者一人当たり医療費」は、一定期間にかかった医療費総額を加入者総数で除したもので、例えば、国民健康保険では、以下のように、国保の医療費総額を国保被保険者総数で除す。
国保一人当たり医療費

国保医療費総額
国保被保険者数
(a)

国保医療費総額
人口
(b)

×

国保被保険者数
人口
(c)
 医療費ハンドブックにおける国民健康保険の分析では、(b)と(c)を含んだ「国保被保険者数一人当たり医療費」で分析しており、「人口一人当たり国保医療費」で分析していない。
 また、厚生労働白書で老人医療費と病床数の相関関係を分析する際にも、「老人一人当たり老人医療費」で分析しており、「人口一人当たり老人医療費」で分析していない。
生活保護の医療扶助を分析する際も、「人口一人当たり医療扶助費」でなく、「被保護人員一人当たり医療扶助費」で分析するのが当然である。
 このような考え方に基づき、医療提供体制指標(病床数、医療機関数等)と被保護実人員一人当たり医療扶助費との相関関係を分析した結果、ほとんど相関関係がないか弱い相関にとどまった。
【データ(例)】
 人口10万対病床数と被保護実人員1人当たり医療扶助費
 r=0.35
 うち入院r=0.33 外来r=0.08
 人口10万対精神病床数と被保護実人員1人当たり医療扶助費
 r=0.28
 うち入院r=0.31 外来r=−0.12
 人口10万対医療機関数と被保護実人員1人当たり医療扶助費
 r=0.14
 うち入院r=0.02 外来r=0.45
 人口10万対医師数と被保護実人員1人当たり医療扶助費
 r=0.25
 うち入院r=0.14 外来r=0.43
 病床数と人口一人当たり医療扶助費には相関がある。
【データ】
 ・  人口10万対病床数と人口10万対入院医療扶助費の相関
 r=0.59
 被保護実人員一人当たり医療扶助費は保護率の影響を受けることから、医療提供体制と医療扶助費の動向の相関を見るためには、人口一人当たり医療扶助費によることが適当。

【検証】
 被保護実人員1人当たり医療扶助費
医療扶助費
被保護者数

医療扶助費
人口 × 被保護者数
人口
医療扶助費
人口
× 人口
被保護者数

医療扶助費
人口
(a)

×

保護率
(b)
 (a) :人口一人当たり医療扶助費
 (b) :被保護実人員一人当たり医療扶助費はこの影響を受ける(保護率が高い地域は小さく、保護率が低いところは大きい値を取る)こととなり、医療提供体制自体と医療扶助費の関係性が不明確となる。
 左記(c)(人口当たり国保被保険者数)の地域間較差は都道府県単位で1.5倍程度と小さいのに対し、保護率の地域間格差は約10倍と大きいため、左記の指標ではなく、上記の指標(a)を用いる必要がある。
 なお、国民健康保険において、被保険者一人当たり医療費を用いているのは、保険料拠出者一人当たりの負担額をベースにすることにより、負担の面から見た医療の実施状況の適正さを検証するためであり、拠出に基づかず、全額税負担である生活保護制度の場合は、納税者たる国民一人当たり医療扶助費を取ることにより、国民の負担の面から見た医療扶助実施状況の適正さを評価する意味があるものであり、この観点からも左記の分析は有効でない。

 医療提供体制(病床数)が影響し得るのは入院人数であり、外来との相関を取るのはそもそも無意味。






(参考) 総務省・地方団体側相関基準
   0.0≦|r|≦0.2 ほとんど相関がない
   0.2<|r|≦0.4 弱い相関がある
   0.4<|r|≦0.7 中程度の相関がある
   0.7<|r|≦1.0 強い相関がある








(別添)

厚生労働省の関係通知等

1.  ホームレスへの保護適用(平成15年7月31日社援保発第0731001号)
 「居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものではないことに留意」
 「公営住宅等を活用することにより居宅において保護を行うこと」
 「公営住宅への入居ができず、住宅を確保するため敷金等を必要とする場合」は、「保護開始時の敷金等の支給の対象になる」

2.  DV法の被害者への保護適用(「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針」平成16年内閣府、国家公安委員会、法務省、厚生労働省告示第1号)
 「被害者に対し、事案に応じ、生活保護制度の適用について、福祉事務所に相談するよう、情報提供等を行うことが必要である」

3.  国民健康保険料(税)滞納者の保護適用(平成17年2月15日保国発第0215001号)
 「生活保護申請が必要な状況にもかかわらず、生活保護の申請を行わない被保険者の発見に努め、資産状況、収入状況を把握して、早急に生活保護の申請を勧奨すること」

4.  関係機関の連携による保護適用
 「水道も生活に困窮していることを発見できる機関の一つであるとの視点に立ち」、「厚生省からは、市民団体の意見を参考に、督促状の下に、『○月○日には給水停止を行いますので、真に生活に困窮されている方は、○○(市町村の福祉事務所等)へ連絡願います。』と付記することを検討するよう提案したところ」(平成12年4月13日事務連絡 厚生省水道整備課)
 「水道・電気等の事業者や居宅介護支援事業者等の福祉サービス提供事業者等との連絡・連携体制についても強化を図り、要保護者の把握、適正な保護の実施に努められるよう管内実施機関に対し周知されたい」(平成13年3月30日社援保発第27号)
 「生活困窮者と把握できた場合には、」「福祉部局等との連携について協力していただくようお願い申し上げます」(平成14年資源エネルギー庁電力・ガス事業部ガス市場整備課長通知等)

5.  職権による保護適用
 「生活保護制度は、申請主義をとっているため、生活に困窮する者からの申請で保護の開始決定を行うことが原則となっている」が、「単に本人等からの申請を待つだけでなく、真に保護が必要な者に対して適切に保護が実施できるように、地域の実情に応じて、住民に対する制度の周知や民生委員等の関係機関との連携によって生活に困窮する者の情報が福祉事務所につながるような工夫が必要である」(平成15年3月31日社援保発第0331004号)
 生活保護の「申請の意思のある方への申請手続きの援助指導をお願いしたい」、「特に、申請行為の有無を争点とする審査請求等が見受けられることから、法律上認められた保護の申請権を侵害しないことは言うまでもなく、侵害していると疑われるような行為自体も厳に慎まれたい」(平成17年3月2日生活保護関係全国係長会議資料)

6.  施術給付の取扱い
 「被保護者に対して事前の医療機関への受診を求める誤った取扱いがなされていたことから、あらためて、管内の実施機関に対し、施術(柔道整復、あん摩・マッサージ及びはり・きゅう)の取扱いについて再確認していただくよう周知徹底をお願いいたします。また、生活保護受給者に対しても、保護開始時にその取扱いを説明するなどし、医療扶助の実施に遺憾なきを期されたい」(平成13年12月13日社援保第58号)
 「施術者等関係機関及び生活保護受給者に対する周知をお願いいたします」(平成13年12月13日事務連絡 社会・援護局保護課医療係長)
 「施術の給付を希望する者に対して一律に医療機関への受診を指導したケースや、正当な理由がなく施術の給付を認めなかったケースなどが見受けられ、関係団体からも『被保護者に対する受診妨害や、指定施術機関に対する営業妨害等になるのではないか』との指摘を受けているところであります」、「施術の給付について適切な取扱いがなされるようご指導方をお願いいたします」(平成15年4月28日事務連絡社会・援護局保護課医療係長)



[児童扶養手当]
平成17年10月19日


生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会
共同作業における議論のまとめ


 離婚率等の社会的要因、有効求人倍率等の経済・雇用情勢の影響について
 児童扶養手当の受給の動向には、離婚率・離別率、有効求人倍率・失業率、常用雇用率等、社会的要因や経済・雇用情勢が極めて大きな影響を及ぼしている。


 地方自治体における就業・自立支援の取組状況等について
 母子家庭の就業・自立支援については、平成15年度から事業が始まったところであり、積極的な取り組みにより就業実績をあげている自治体がある一方、事業化がなされていない自治体があるが、年々その実施団体数は増加している。
 個別の事例を見れば、就業や収入増加を通じて児童扶養手当の受給額の減少に結びつける効果をあげている地方自治体もあり、就業・自立支援の取り組みを更に進めていくことが重要である。
 なお、就業・自立支援の取り組みが進み、安定した就労が確保されていくことにより受給者の減少につながる効果が期待できるという見方もあるが、母子家庭の8割以上が就業している中、母子家庭を取り巻く雇用環境が厳しい現状においては、常用雇用への転換などにより受給者の減少につながる効果は限定的であるという見方もある。



(参考資料)

 離婚率等の社会的要因、有効求人倍率等の経済・雇用情勢の影響について
 (1) 受給の動向に影響をもたらす要因
  ○  以下の社会経済的要因と高い相関がある。
   (1)  離婚率等の社会的要因(都道府県)
受給世帯率と各種指標との相関(受給世帯率=児童扶養手当受給世帯/一般世帯)
 ・ 離婚率 r=0.57
 ・ 離別率 r=0.85
 ・ 母子世帯率 r=0.98
総務省・地方団体 厚生労働省
 受給資格者率及び受給率の計算に用いている受給資格者とは、現に児童扶養手当を受給している者のほかに、受給要件を満たさなかった者を含む一方で、潜在的な受給資格者を含まない計数であることから、これを用いた数値分析は意味がない。
【データ】受給資格者率又は受給率と各種指標との相関(受給資格者率=受給資格者数/推計人口、受給率=受給者数/受給資格者数)
※受給資格者数: 受給者数+全部支給停止者数
 ・ 離婚率 r=0.78
 ・ 三世代同居率 r=−0.38

   (2)  有効求人倍率等の経済・雇用情勢(都道府県)
受給世帯率と各種指標との相関
 ・ 失業率 r=0.78
 ・ 常用雇用率 r=0.55
総務省・地方団体 厚生労働省
 受給資格者率及び受給率の計算に用いている受給資格者とは、現に児童扶養手当を受給している者のほかに、受給要件を満たさなかった者を含む一方で、潜在的な受給資格者を含まない計数であることから、これを用いた数値分析は意味がない。
【データ】受給率と各種指標との相関
有効求人倍率 r=−0.64

   (3)  児童扶養手当受給世帯率と社会・経済指標の相関(重回帰分析)
総務省・地方団体 厚生労働省
 経済・社会的要因を表す個人所得、失業率、女性離別率の3つの指標で、受給世帯率の地域較差の9割程度は説明できる。
 なお、t値及び多重共線性の検証から当該分析は有効。
 これらの3つの指標との関係は生活保護と同じであり、児童扶養手当は生活保護と同じ構造である。
【データ】
 ・ 個人所得a、失業率b、女性離別率c:R=0.89
(係数とt値:
a=−0.01(−6.78)
b=1.98(5.10)
c=1.99(3.60))
 データの指標の取り方や標準化した計数値から説明変数に問題があること、説明変数相互間に相関がある(多重共線性)ことなどの統計学的な問題があり、左記の分析は有効ではない。





(参考)総務省・地方団体側相関基準
0.0≦|r|≦0.2  ほとんど相関がない
0.2<|r|≦0.4  弱い相関がある
0.4<|r|≦0.7  中程度の相関がある
0.7<|r|≦1.0  強い相関がある






2. 地方自治体における就業・自立支援の取組状況等について
 (1) 就業・自立支援の取組状況
   ○  就業支援関係事業の実施状況

〈母子家庭等就業・自立支援センター事業〉
  都道府県 指定都市 中核市 合計
平成15年度 39か所
(83.0%)
8か所
(61.5%)
11か所
(31.4%)
58か所
(61.1%)
平成16年度 47か所
(100.0%)
12か所
(92.3%)
21か所
(60.0%)
80か所
(84.2%)
平成17年度
(予定)
47か所
(100.0%)
12か所
(92.3%)
21か所 
(60.0%)
80か所
(84.2%)

〈自立支援教育訓練給付金事業〉
  都道府県 指定都市 中核市 一般市等 合計
平成15年度 35か所
(74.5%)
1か所
(7.7%)
6か所
(17.1%)
116か所
(17.6%)
158か所
(21.0%)
平成16年度 45か所
(95.7%)
7か所
(53.8%)
24か所
(68.6%)
251か所
(36.0%)
327か所
(41.2%)
平成17年度
(予定)
47か所
(100.0%)
13か所
(100.0%)
30か所
(85.7%)
346か所
(48.1%)
436か所
(53.6%)

〈高等技能訓練促進費事業〉
  都道府県 指定都市 中核市 一般市等 合計
平成15年度 29か所
(61.7%)
1か所
(7.7%)
6か所
(17.1%)
91か所
(13.8%)
127か所
(16.9%)
平成16年度 37か所
(78.7%)
5か所
(38.5%)
24か所
(68.6%)
186か所
(26.6%)
252か所
(31.8%)
平成17年度
(予定)
40か所
(85.1%)
10か所
(76.9%)
28か所
(80.0%)
265か所
(36.9%)
343か所
(42.1%)

〈常用雇用転換奨励金事業〉
  都道府県 指定都市 中核市 一般市等 合計
平成15年度 19か所
(40.4%)
1か所
(7.7%)
2か所
(5.7%)
56か所
(8.5%)
78か所
(10.4%)
平成16年度 29か所
(61.7%)
3か所
(23.1%)
11か所
(31.4%)
125か所
(17.9%)
168か所
(21.2%)
平成17年度
(予定)
31か所
(66.0%)
4か所
(30.8%)
12か所
(34.3%)
150か所
(20.9%)
197か所
(24.2%)
上記4事業については、平成15年度から実施

   ○ 就業・自立支援の取組状況に関するその他の指標
総務省・地方団体 厚生労働省
就業支援関係事業の実績を見ると、当該事業により就業できた受給者の割合は極めて小さい。
【データ】
就業支援関係事業の実績(母子家庭等就業・自立支援センターの就業実績及び母子家庭自立支援給付金事業の就業実績の合計/受給者数)
 (都道府県別)
0‰〜10‰未満  38自治体 (80.8%)
10‰〜20‰未満  4自治体 ( 8.5%)
20‰〜30‰未満  2自治体 ( 4.3%)
30‰〜40‰未満  2自治体 ( 4.3%)
40‰以上  1自治体 ( 2.1%)
 ※ 事業実施期間が短期間(H16.4.1〜H16.12.31)であることを考慮すれば、受給者数との対比で比較的上位の実績を挙げている自治体の取り組みは評価すべき。


 (2) 母子家庭の就業・自立支援のための取り組み事例
  (1)  就業・自立支援策の事例

   ○ 大阪市
 就業支援を希望する児童扶養手当受給者に就業支援策の内容を説明するようルール化されており、母子自立支援員を対象とした研修会などで説明している。
 ハローワークと母子家庭等就業・自立支援センターに直接的連絡があり、週に1回程度の頻度で、求人状況等の情報収集のためハローワークに足を運んでいる。
センター事業就業実績(H15年度) 282人(常勤94人、非常勤188人)
 (注) 「就業相談」、「就業支援講習会」、「就業情報提供」による就業実績の合計であり、重複計上もある。
給付金3事業実績(H15年度) 15人
(自立支援教育訓練給付金3人、高等技能訓練促進費12人)

   ○ 富山市
 広報誌やリーフレット、様々な施策を盛り込んだ冊子に就業支援策のすべてを掲載し、就業支援策を積極的に周知している。
 ハローワークと母子家庭等就業・自立支援センターに直接的連絡があり、週2回程度資料の郵送を行っている。また、地域別就労支援員を配置し、ハローワーク窓口へ足を運び情報収集に努めている。
 母子自立支援員と母子家庭等就業・自立支援センターの就労支援員が出席する合同会議を開催して、情報交換を行っている。
センター事業就業実績(H15年度) 44人(常勤37人、非常勤7人)
(注) 「就業相談」、「就業支援講習会」、「就業情報提供」による就業実績の合計であり、重複計上もある。
給付金3事業実績(H15年度) 3人(いずれも高等技能訓練促進費)


  (2)  就業・自立支援策と児童扶養手当の受給状況との関係
   ○ 富山市
 給付金3事業(平成15年10月開始)において給付済みの支援対象者(合計16人)
【自立支援教育訓練給付金 8人、高等技能訓練促進費 7人、常用雇用転換奨励金 1人】について、

就業支援策により所得が増加し、手当が減額される者       平成17年8月から7名
  児童扶養手当受給者に対する割合 0.30%
就業支援策により所得が増加し、手当の減額が見込まれる者  平成18年8月から9名
  児童扶養手当受給者に対する割合 0.38%

   ○ 大阪市
母子家庭等就業・自立支援センター事業
  就業実績
常勤 非常勤・パート
合計(H15.4.1〜H16.12.31) 115人 139人 254人
児童扶養手当受給者に対する割合 0.39% 0.47% 0.85%

自立支援教育訓練給付金
 給付金受給者(講座終了時期:H16.1〜3)のうち、H17現況届提出者(5人)は全員就労しており、その平均収入(H16年所得)は約106万円(給与所得控除前)である。
 しかしながら、全部停止になるまでの増収は図られていない。
  支給実績 支給実績と児童扶養手当受給者の割合
H16.1〜3 6人 0.02%
H16.4〜17.3 121人 0.42%
H17.4〜9 61人 0.21%

高等技能訓練促進費
 受給者(H15年度)のうち、H17現況届提出者(10人)は全員看護師として就労しており、その平均収入(H16年所得)は約269万円(給与所得控除前)である。
 しかしながら、全部停止になるまでの増収は図られていない。
  支給実績 支給実績と児童扶養手当受給者の割合
H15 12人 0.04%
H16 27人 0.09%
H17 42人 0.14%

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