性差別に係る主な個別労働関係紛争の解決手続の概要
  民事訴訟手続
(民事訴訟法)
民事調停
(民事調停法)

個別労働紛争解決制度
(個別労働紛争解決促進法)
男女の雇用機会均等に係る個別紛争解決の援助
(男女雇用機会均等法)
労働審判手続
(労働審判法)
裁判外紛争解決手続
(ADR法)
制度の施行日 平成10年1月1日施行
(新法)
昭和26年10月1日施行 平成13年10月1日施行 昭和61年4月1日施行 平成18年4月1日(第9条の労働審判員の任命に関する規定は平成17年10月1日) 平成19年5月31日までの政令で定める日に施行予定
対象となる事案 民事に関する紛争 民事に関する紛争 労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争
(あっせんについては労働者の募集・採用に関する紛争は除く。均等法の調停の対象となる事案を除く。)
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇に関する事業主の措置で、募集・採用、配置・昇進・教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇に係る女性労働者と事業主との間の紛争(調停については労働者の募集・採用に関する紛争は除く。) 労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争(労働者の募集・採用に関する紛争は除く)
(なお、事案が複雑で、3回の期日では解決に至ることが難しい場合等については、労働審判によらずに労働審判事件を終了させることが可能。)
紛争の当事者が和解することができる民事に関する紛争
労働関係の事案に限られないが、権利義務関係の事案に限られる。
労働関係の事案に限られず、また権利義務関係の事案に限られない。
権利義務関係の事案に限られない。
権利義務関係の事案に限られない。
権利義務関係の事案に限られる。
労働関係の事案に限られず、また権利義務関係の事案に限られない。
紛争処理の方法 裁判 調停
(1) 助言、指導

(2) あっせん
(1) 助言、指導、勧告

(2) 調停
調停の成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み、その解決に至らない場合は労働審判を行う。
労働審判に対して適法な異議の申立てがあったときは、訴訟に移行する。
和解の仲介(いわゆる調停、あっせん等)
手続の主体 裁判所(裁判官) 調停委員会
調停主任(裁判官)1人
民事調停委員(裁判所が各事件について指定)2人以上
(1) 都道府県労働局長

(2) 都道府県労働局に置かれる紛争調整委員会(学識経験を有する者の内から厚生労働大臣が任命する委員3人以上12人以内をもって組織)の委員のうちから会長が事件ごとに指名する3人のあっせん委員
(1) 都道府県労働局長

(2) 機会均等調停会議(紛争調整委員会において、会長があらかじめ指名した3人の調停委員)
各地方裁判所におかれる労働審判委員会
労働審判官(裁判官)1人
労働審判員(労働関係に関する 専門的な知識経験を有する者の うちから任命し、事件ごとに裁 判所が指定)2人
(1) 民間の紛争解決事業者

(2) 認証紛争解決事業者
((1)のうち、その業務が一定の認証の基準に適合し、かつ、必要な知識、能力、経理的基礎を有するものとして認証を受けた者。
 認証紛争解決事業者の行う紛争解決手続きを利用した場合、
(ア) 訴訟手続きに移行する等一定の要件を満たす場合の時効の中断
(イ) 当事者間に認証紛争解決手続きによって紛争解決を図る旨の合意がある場合に受訴裁判所が訴訟手続きを中止でき等
の特例がある。)
手続の公開・非公開 原則、公開 非公開。ただし、調停委員会は、相当であると認める者の傍聴を許すことができる。 非公開 非公開 非公開。ただし、労働審判委員会は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 法律上規定なし
手続開始の
要件
当事者の一方からの提訴で可能
当事者の一方からの申立てで可能
当事者の一方からの申請で可能
当事者の一方からの申請で可能
当事者の一方からの申立てで可能
申立ては当事者の一方から可能(ただし、具体的な和解の仲介行為を進めるためには双方の同意が必要
 
  民事訴訟手続 民事調停
個別労働紛争解決制度 男女の雇用機会均等に係る個別紛争解決の援助 労働審判手続
裁判外紛争解決手続
証拠調べの
方法等
証人尋問。
(正当な理由なく証人が出頭しないときは過料、罰金、拘留の制裁があり、勾引されることもある。)
当事者尋問。
(正当な理由がなく当事者が出頭しないときは、裁判所は、相手方の主張を真実と認めることができる。)
鑑定。
(正当な理由なく鑑定人が鑑定を拒絶したときは、過料、罰金又は拘留の制裁がある。)
書証
(当事者又は第三者に対し文書提出命令がされた場合において、当事者が命令に従わないときは、裁判所は、相手方の主張を真実と認めることができる。また、第三者が命令に従わないときは、過料の制裁がある。)
検証
(当事者又は第三者に対し検証物提示命令等がされた場合において、当事者が正当な理由なくそれらに従わないときは、裁判所は、その検証物の性状等に関する相手方の主張を真実と認めることができる。また、第三者が正当な理由なく検証物提示命令に従わないときは、過料の制裁がある。)
現地調査等強制力を用いる方法によらない事実の調査。
民事訴訟手続と同様の証拠調べ(証人尋問、当事者尋問、鑑定、書証、検証)
事件の関係人からの聴取。
(調停委員会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、過料の制裁がある。)
<(2)について>
紛争当事者、参考人等からの意見聴取。
関係行政庁に対し、資料の提供その他必要な協力要請。
<(2)について>
関係当事者の出頭、文書又は物件の提出要請。
 関係行政庁に対し、資料の提供その他必要な協力要請。
現地調査等強制力を用いる方法によらない事実の調査。
民事訴訟手続と同様の証拠調べ(証人尋問、当事者尋問、鑑定、書証、検証)
事件の関係人からの聴取。
(労働審判官の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、過料の制裁がある。)
法律上規定なし。
(当事者と紛争解決事業者が合意した方法による)
紛争解決の効力
確定判決は債務名義となり、強制執行が可能。
訴訟上の和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。
調停において成立した当事者の合意を調書に記載したときは、その記載は裁判上の和解と同一の効力を有する。
調停委員会の調停が成立する見込みがない場合、裁判所は、職権で、必要な決定をすることができる。この決定に対して異議の申立てがない場合は、この決定は、裁判上の和解と同一の効力を有する。
(1) 私法上の効力なし。

(2) あっせんにより当事者間に合意が成立した場合には、民法上の和解契約となる。
(1) 私法上の効力なし。

(2) 調停により当事者間に合意が成立した場合には、民法上の和解契約となる。
調停において成立した当事者の合意を調書に記載したときは、その記載は裁判上の和解と同一の効力を有する。
労働審判が確定した場合には、裁判上の和解と同一の効力を有する。
和解(いわゆる調停、あっせん)が成立した場合には民法上の和解契約となる
申立てに係る不利益取扱い 規定なし。 規定なし。 労働者が助言。指導の申出又はあっせんの申請をしたことを理由として、事業主が解雇その他不利益な取扱いを行うことを禁止。 労働者が調停を申請したことを理由として、事業主が解雇その他不利益な取扱いを行うことを禁止。 規定なし。 規定なし。
件数 民事通常訴訟事件(地方裁判所)の既済件数
平成14年度   155,754件  
平成15年度   159,032件  
平成16年度   148,706件 (注1)
なお、労働関係民事通常訴訟事件(地方裁判所)の既済件数は、
平成14年度   2,209件  
平成15年度   2,393件  
平成16年度   2,431件 (注2)
民事調停事件(簡易裁判所及び地方裁判所)の既済件数
平成14年度   467,681件  
平成15年度   606,795件  
平成16年度   485,948件 (注3)
<(1)について>
平成14年度   2,332件
平成15年度   4,377件
平成16年度   5,287件
<(2)について>
平成14年度   3,036件
平成15年度   5,352件
平成16年度   6,014件
(受理件数)(注4)
<(1)について>
平成14年度   122件
平成15年度   157件
平成16年度   149件
<(2)について>
平成14年度   11件
平成15年度   2件
平成16年度   3件
(受理件数)(注5)
未施行 未施行
平均的な処理期間 民事通常訴訟事件(地方裁判所)の既済件数で3ヶ月以内に終了したものが
平成14年度   44.3%  
平成15年度   44.5%  
平成16年度   42.0% (注1)
なお、労働関係民事通常訴訟事件(地方裁判所)の既済件数で6ヶ月以内に終了したものが
平成14年度   38.3%  
平成15年度   37.7%  
平成16年度   36.5% (注2)
民事調停事件(簡易裁判所及び地方裁判所)の既済事件で3ヶ月以内に終了したものが
平成14年度   83.2%  
平成15年度   81.5%  
平成16年度   84.2% (注3)

<(1)について>
3ヶ月以内に処理したものが
平成14年度   96.0%
平成15年度   98.4%
平成16年度   99.5%
<(2)について>
3ヶ月以内に処理したものが
平成14年度   96.5%
平成15年度   97.6%
平成16年度   98.1%
(注4)
<(1)について>
3ヶ月以内に処理したものが
平成14年度   90.2%
平成15年度   91.4%
平成16年度   94.1%
<(2)について>
○平均処理月数
平成14年度   約6ヶ月で
100%処理
平成15年度   約3ヶ月で
100%処理
平成16年度   約4ヶ月で
100%処理
処理期間は一事案あたり1ヶ月〜半年程度(注5)
未施行
(原則として、3回以内の期日において、審理を終結しなければならないこととされている。)
未施行
(注1)   最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する検討会」第7回会合配付資料、司法統計年報(最高裁判所、平成14年度版、平成15年度版、平成16年度版)
(注2)   法曹時報第57巻第8号「平成16年度労働関係民事・行政事件の概況」(最高裁判所)
(注3)   司法統計年報(最高裁判所、平成14年度版、平成15年度版、平成16年度版)
(注4)   個別労働紛争解決制度施行状況(厚生労働省、平成14年度、平成15年度、平成16年度)
(注5)   厚生労働省調べ

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