資料4−2

「評価方法」に基づいて評価できなかった成分及び リスク評価の調整を行った成分について


I.「評価方法」に基づいて評価できなかった成分

1.適当な医療用医薬品の添付文書が存在しなかった成分
 類似成分等の評価結果を参考に評価を行った。・・・【別紙1】


II.リスク評価の調整を行った成分

1.類似成分間で評価にバラツキがある成分
 以下の成分については、類似成分の評価結果を参考に評価の調整を行った。 ・・・【別紙2〜11】

(1)カルシウム含有成分・・・【別紙2】
<評価の相違点>
グルコン酸カルシウムのみB欄にリン酸エストラムスチンとの相互作用の記載あり
グルコン酸カルシウムのみC欄の高カルシウム血症、結石の評価が高い
沈降炭酸カルシウムのみF欄に胃酸の反動性分泌の記載あり
沈降炭酸カルシウムのみG欄の記載なし
パントテン酸カルシウムの評価が他のカルシウム含有製剤に比べ低い
<グルーピング方法>
カルシウムの効果を主とする成分と、そうでない成分(塩としてカルシウムが含まれる成分)を区別し、カルシウムの効果を主とする成分について、カルシウムに起因する評価を他のカルシウム含有製剤の評価に反映した

(2)アルミニウム含有成分・・・【別紙3】
<評価の相違点>
合成ヒドロタルサイトのみC欄がAA評価(アルミニウム脳症)
<グルーピング方法>
アルミニウムに起因する評価を他のアルミニウム含有製剤の評価に反映した

(3)マグネシウム含有成分・・・【別紙4】
<評価の相違点>
L―アスパラギン酸マグネシウムのみB欄がB評価(テトラサイクリン系及びニューキノロン系抗生物質との併用注意の記載なし)
硫酸マグネシウムのみC欄がC評価
L―アスパラギン酸マグネシウムのみE欄がA評価(高マグネシウム血症)
<グルーピング方法>
点眼薬と内服薬とを区別し、内服薬について、マグネシウムに起因する評価を他のマグネシウム含有製剤の評価に反映した

(5)抗コリン成分・・・【別紙5】
<評価の相違点>
臭化ブチルスコポラミンのみF欄がP評価(細菌性下痢)
<グルーピング方法>
抗コリン成分に共通する評価について、他の抗コリン成分の評価に反映した

(6)サルファ剤成分・・・【別紙6】
<評価の相違点>
スルファジアジンのみF欄がP評価(最小限の期間の投与にとどめる:耐性菌の発現防止)
<グルーピング方法>
サルファ剤に共通する評価について、他のサルファ剤の評価に反映した

(7)ヨウ素含有成分・・・【別紙7】
<評価の相違点>
ヨウ素(1)のみC欄がB評価(ショックの記載無)
ポピドンヨード(1)、ヨウ素及びヨウ素(2)のみE欄がB評価(ヨウ素過敏症が慎重投与)
<グルーピング方法>
ヨウ素に起因する評価を他のヨウ素含有製剤の評価に反映した

(8)充血除去成分・・・【別紙8】
<評価の相違点>
塩酸エフェドリンのみ内服薬の添付文書で評価
<グルーピング方法>
吸収の程度等を考慮し、点眼剤の添付文書で評価を行った類似薬効群の塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸ナファゾリンの評価に合わせた

(9)血管収縮成分(点鼻剤)・・・【別紙9】
<評価の相違点>
塩酸フェニレフリンのみ点眼薬の添付文書で評価
<グルーピング方法>
吸収の程度等を考慮し、点鼻薬の添付文書で評価を行った類似薬効群の塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリンの評価に合わせた

(10)抗白癬菌成分・・・【別紙10】
<評価の相違点>
トルナフタートのみF欄がP評価(「患部が化膿している場合への使用」についての記載あり)
<グルーピング方法>
抗白癬菌成分に共通する評価について、他の抗白癬菌成分の評価に反映した

(11)アミノ安息香酸エチル・・・【別紙11】
<評価の相違点>
アミノ安息香酸エチルについて、投与経路ごとに最も適当と思われる添付文書を用いて評価を行った結果、以下の点で評価にバラツキが出た
「歯痛・歯槽膿漏薬」のみC欄がAA評価(ショック)、他の剤形はB評価
E欄の評価が投与経路によりAA評価(乳幼児)、A評価及びB評価とバラツキがある
<グルーピング方法>
「歯痛・歯槽膿漏薬」のC欄AA評価(ショック)については、同じ粘膜投与である坐剤の評価及び吸収の程度(傷の有無による評価のバラツキ)等を考慮しワンランク低くし、A評価とした
「歯痛・歯槽膿漏薬」のE欄A評価については、乳幼児へ使用するケースは無いと考え、A評価は妥当であると考えた
「その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬」「鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬」「点耳薬」のE欄B評価は、吸収の程度等を考え、B評価は妥当であると考えた

(12)点眼剤
<評価の相違点>
G欄の「点眼用のみに使用」の記載ついて、成分により記載があるものとないものとがある
<グルーピング方法>
点眼剤を他の用途に使用しても、深刻な被害に結びつく可能性は低いと考え、「点眼用のみに使用」の記載について評価を行わなかった


2.特性に合わせ個別評価を行った成分
(1)評価において「AA評価」・「PP評価」とした成分

B欄:「相互作用」の項目

成分 問題となる相互作用
β-刺激薬
 dl-塩酸メチルエフェドリン(No1,20,23,33)
カテコールアミン製剤との併用により心停止のおそれ

C欄:「副作用」の項目

成分問題となる副作用
○具体例(一例)
解熱鎮痛成分(SJ症候群)
 アスピリン(No1,2)
 アセトアミノフェン(No1,2)
 イソプロピルアンチピリン(No1,2)
 イブプロフェン(No1,2)

H2―ブロッカー(汎血球減少症)
 塩酸ラニチジン(No7)
 シメチジン(No7)
 ファモチジン(No7)

局所麻酔成分(ショック)
 塩酸ジブカイン(No23,24,37,38)
 塩酸プロカイン(No23,44)
 リドカイン(No23,34,37,39)
重篤な副作用(「医薬品等の副作用の重篤度分類基準について」(平成4年6月29日 薬安第80号)において、グレード3とされている副作用)

劇症肝炎、急性腎不全、汎血球減少症、SJ症候群、ショック、アナフラキシー様症状、呼吸抑制、間質性肺炎、麻痺性イレウス、心室性期外収縮、心停止、脳症、意識障害 など

E欄:「患者背景」の項目

成分 問題となる患者背景
抗ヒスタミン成分
 塩酸ジフェンヒドラミン(No1,3,23,32,)
 d-マレイン酸クロルフェニラミン
(No1,5,20,23,32,34,41,42)

解熱鎮痛成分
アスピリン(No1,2)
イブプロフェン(No1,2)
サリチルアミド(No1)
エテンザミド(No1,2,6)

局所麻酔成分
 アミノ安息香酸エチル(No13,23)

止瀉薬
 塩酸ロペラミド(No14)

止血成分
 塩酸テトラヒドロゾリン(No23)
 塩酸ナファゾリン(No23)

殺菌成分
 レゾルシン(No36)

ステロイド成分
 吉草酸酢酸プレドニゾロン(No37)
 デキサメタゾン(No37)
年齢に関する記載がある(新生児での痙攣、乳幼児でのインフルエンザ脳症、小児での昏睡 など)

  低出生体重時・新生児
15歳未満の水痘又はインフルエンザの患者
乳幼児
6カ月以上2歳未満の乳幼児
6ヶ月未満の乳児
2歳未満の幼児・乳児
高齢者
小児
瀉下薬
 センナ(No15)
 センノシド(No15)

蛋白同化ステロイド成分
 メチルテストステロン(No24)

粘膜修復成分
 ゲファルナート(No12)

ビタミン成分
 ビタミンA(No25,26)

ステロイド成分
 吉草酸酢酸プレドニゾロン(No37)
 デキサメタゾン(N037)
 酪酸ヒドロコルチゾン(No37)

禁煙補助薬
 ニコチン(No47)

女性ホルモン成分
 エストラジオール(No31)
婦人に関する記載がある(流早産、催奇形性等のおそれがある)

  妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
妊娠3ヶ月以内又は妊娠を希望する婦人
抗コリン成分
 ロートエキス(No5,8,13)
 臭化水素酸スコパラミン(No5)
 塩酸ジサイクロミン(No13)
 臭化メチルオクタトロピン(No13)
 臭化ブチルスコポラミン(No13)
 ベラドンナ総アルカロイド(No42)

抗ヒスタミン薬
 塩酸ジフェンヒドラミン(No1,3,23,32,)
 フマル酸クレマスチン(No1)
 d-マレイン酸クロルフェニラミン
(No1,5,20,23,32,34,41,42)
 サリチル酸ジフェンヒドラミン(No5)
 塩酸ジフェニルピラリン(No42)
 メキタジン(No32,42)

ステロイド
 酢酸ヒドロコルチゾン(No23)
 酢酸プレドニゾロン(No23)

充血除去成分
 塩酸テトラヒドロゾリン(No41)
 硝酸ナファゾリン(No41)
緑内障(失明または症状悪化のおそれがある)
抗コリン成分
 ロートエキス(No5,8,13)
 臭化水素酸スコパラミン(No5)
 塩酸ジサイクロミン(No13)
 臭化メチルオクタトロピン(No13)
 臭化ブチルスコポラミン(No13)
 ベラドンナ総アルカロイド(No42)

抗ヒスタミン剤
 塩酸ジフェンヒドラミン(No1,3,23,32,)
 フマル酸クレマスチン(No1)
 d-マレイン酸クロルフェニラミン
(No1,5,20,23,32,34,41,42)
 サリチル酸ジフェンヒドラミン(No5)
 塩酸ジフェニルピラリン(No42)
 メキタジン(No32,42)
前立腺肥大(排尿障害)
アルミニウム含有成分
 合成ケイ酸アルミニウム(No2)
 乾燥水酸化アルミニウムゲル(No8)
 合成ヒドロタルサイト(No2,8)
 アルジオキサ(No12)
 スクラルファート(No12)
 ケイ酸アルミン酸マグネシウム(No8)
 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(No2,8)
透析療法(腎障害のおそれ)

  ※ 透析療法は他のものと比べ母集団が少ないが、積極的な情報提供を行わないと重篤な健康被害に結びつく可能性があるためAA評価とした
β-刺激薬
 dl-塩酸メチルエフェドリン(No1,20,23,33)
カテコールアミン製剤を投与中の患者(心停止のおそれ)

F欄:「効能・効果」の項目(症状の悪化につながる、症状の判別に注意を要する)

成分 問題となる内容
H2−ブロッカー
 塩酸ラニチジン(No7)
 シメチジン(No7)
 ファモチジン(No7)
胃癌を隠蔽する

G欄:「使用方法(誤使用のおそれ)」の項目(過量使用、長期使用による健康被害のおそれ)

成分 問題となる内容
瀉下薬
 センノシド(No15)
 センナ(No15)
妊婦等に対する情報提供が必要なもの

  流早産、催奇形性等の危険性(過量投与及び長期連用)
女性ホルモン薬
 エチニルエストラジオール(NO31)
子宮内膜癌(長期連用)
女性ホルモン薬
 エストラジオール(NO31)
乳癌(長期連用)
鎮咳成分
 リン酸ジヒドロコデイン(No1,20)

鎮静催眠成分
 ブロムワレリル尿素(No2)
薬物依存(長期連用)
アルミニウム含有製剤
 合成ケイ酸アルミニウム(No2)
 乾燥水酸化アルミニウムゲル(No8)
 合成ヒドロタルサイト(No2,8)
 アルジオキサ(No12)
 スクラルファート(No12)
 ケイ酸アルミン酸マグネシウム(No8)
 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(No2,8)
アルミニウム脳症(長期連用)
鎮咳成分
 ヒベンズ酸チペピジン(No1)
 クエン酸チペピジン(No20)

キサンチン製剤
 テオフィリン(No5,20)
意識障害(過量投与)
意識消失(過量投与)
β-刺激薬
 dl-塩酸メチルエフェドリン(No1,20,23,33)
 塩酸トリメトキノール(No20)
心停止(過量投与)
抗コリン成分
 臭化水素酸スコポラミン(No5)
呼吸抑制(過量投与)
止瀉薬
 塩酸ロペラミド(No14)
昏睡(過量投与)
呼吸抑制(過量投与)
麻痺性イレウス(過量投与)
蛋白同化ステロイド薬
 メチルテストステロン(No24)
再生不良性貧血患者に肝腫瘍
(長期大量投与)
血管収縮成分
 塩酸フェニレフリン(No42)
心室性期外収縮(過量投与)
ステロイド成分
 吉草酸酢酸プレドニゾロン(No37)
 デキサメタゾン(N037)
 酪酸ヒドロコルチゾン(No37)
広範囲の使用により全身的投与をした場合と同様な症状が現れることがある(過量又は長期連用)
瀉下薬
 ヒマシ油(No15)
 センノシド(No15)

解熱鎮痛成分
 アスピリン(No1,2)
 アセトアミノフェン(No1,2)
 イブプロフェン(No1,2)
 サリチルアミド(No1)

抗ヒスタミン成分
 ジメンヒドリナート(No5)

筋弛緩薬
 メトカルバモール(No6)

止瀉薬
 次硝酸ビスマス(No14)
 次没食子酸ビスマス(No14)

ビタミン成分  ビタミンA(No25,26)
上限量が定められているもの


(2)B欄「相互作用」において「B」評価された成分のうち、「併用注意」として問題となる併用薬に臨床的意義が大きい薬剤が含まれるため、「A」評価とした成分

成分 併用薬として問題となる薬剤
解熱鎮痛成分 作用増
 アスピリン(No1,2)
 イブプロフェン(No1,2)
 サリチルアミド(No1)
 エテンザミド(No1,2,6)

ビタミン成分 作用減
 フィトナジオン(No46)
クマリン系抗凝血薬
(ワーファリン)
中枢神経興奮成分 作用増
 ジプロフィリン(No5,20)
 テオフィリン(No5,20)
 無水カフェイン(No1,2,4,5,6)
 カフェイン(No4,24,26)
キサンチン系薬
(テオフィリン等)
H2ブロッカー 作用増
 シメチジン(No7)
肝薬物代謝酵素P-450の活性低下により代謝、排泄が遅延する薬剤
 クマリン系抗凝血薬(ワーファリン)
 ベンゾジアゼピン系薬(ジアゼパム等)
 抗てんかん薬(フェニトイン等)
 抗うつ薬(三環系抗うつ剤、パロキセチン)
 β-遮断薬(プロプラノロール等)
 カルシウム拮抗薬(ニフェジピン等)
 抗不整脈薬(リドカイン等)
 キサンチン系薬(テオフィリン等)
消化薬成分 作用増
ウルソデオキシコール酸(No11)
スルフォニル尿素系経口糖尿病用薬
(グリベンクラミド等)
マグネシウム含有成分 作用減
 酸化マグネシウム(No8,15)
 硫酸マグネシウム(No15)
 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(No2,8)
 ケイ酸アルミン酸マグネシウム(No8)
 炭酸マグネシウム(No8,27)
 合成ヒドロタルサイト(No2,8)

鉄含有成分 作用減
 フマル酸第一鉄(No19)
 溶性ピロリン酸第二鉄(NO19)

カルシウム含有成分 作用減
 沈降炭酸カルシウム(No8,14)
 乳酸カルシウム(No14,27)
 グルコン酸カルシウム(No26,27)
 炭酸カルシウム(No26,27)
 無水リン酸水素カルシウム(No27)

アルミニウム含有成分 作用減
 合成ケイ酸アルミニウム(No2)
 乾燥水酸化アルミニウムゲル(No8)
 合成ヒドロタルサイト(No2,8)
 アルジオキサ(No12)
 スクラルファート(No12)
 ケイ酸アルミン酸マグネシウム(No8)
 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(No2,8)
テトラサイクリン系抗生物質
(テトラサイクリン等)
ニューキノロン系抗菌薬
(レボフロキサシン等)
蛋白同化ステロイド 作用増
 メチルテストステロン(No24)

消炎酵素成分 作用増
 ブロメライン(No22)
 セラペプターゼ(No42)
抗凝血薬
(ワーファリン等)
β−刺激薬 場合によっては心停止
 塩酸トリメトキノール(No20)
カテコールアミン
(塩酸ドパミン等)

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